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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】二重ダイヤフラムポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04B 43/02 20060101AFI20220808BHJP
   F04B 43/06 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
F04B43/02 L
F04B43/02 H
F04B43/06 B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2016119864
(22)【出願日】2016-06-16
(65)【公開番号】P2017020499
(43)【公開日】2017-01-26
【審査請求日】2019-03-07
【審判番号】
【審判請求日】2021-01-13
(31)【優先権主張番号】15176316.6
(32)【優先日】2015-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508046878
【氏名又は名称】ワグナー インターナショナル アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】WAGNER INTERNATIONAL AG
(74)【代理人】
【識別番号】100105393
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 直哉
(72)【発明者】
【氏名】ギルバート・ルッツ
(72)【発明者】
【氏名】カルステン・ユーターボック
(72)【発明者】
【氏名】アンジェロ・バッソ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・クルーサー
【合議体】
【審判長】窪田 治彦
【審判官】田合 弘幸
【審判官】関口 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-293502(JP,A)
【文献】特開2001-115968(JP,A)
【文献】特開平3-179184(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0092386(US,A1)
【文献】実開平4-125685(JP,U)
【文献】特開2006-46284(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 43/00-47/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のポンプ室(13)の壁を形成する第1のダイヤフラム(10)を備え、
第1のアクチュエータ(11,12)は、該第1のダイヤフラム(10)に第1のロッド(12.1)を介して機械的に結合され、該第1のアクチュエータ(11,12)は該第1のロッド(12.1)を介して該第1のダイヤフラム(10)を動かすように構成されており、
該第1のダイヤフラム(10)の両方の終端位置を把握するように第1及び第2の終端位置検出スイッチ(35,36)を備え、
第2のポンプ室(113)の壁を形成する第2のダイヤフラム(110)を備え、
第2のアクチュエータ(111,112)は、該第2のダイヤフラム(110)に第2のロッド(112.1)を介して機械的に結合され、該第2のアクチュエータ(111,112)は該第2のロッド(112.1)を介して該第2のダイヤフラム(110)を動かすように構成されており、
該第2のダイヤフラム(110)の両方の終端位置を把握するように第3及び第4の終端位置検出スイッチ(37,38)を備え、
該第1及び第2のダイヤフラム(10,110)が、固定され機械的に相互依存することなく自由に動くことができるように、該第1のダイヤフラム(10)は該第2のダイヤフラム(110)に機械的に結合されておらず、
該第1及び第2のアクチュエータ(11,111;12、112)の動きを制御する制御装置(30)を備え、
該制御装置(30)は、近似的に一定の送出圧力の送出の流れを発生させるように、該第1のダイヤフラム(10)の該両方の終端位置及び該第2のダイヤフラム(110)の該両方の終端位置に関連する条件にしたがって、該第1及び第2のアクチュエータ(11,12;111、112)を制御するように形成され、運転可能であり、
該制御装置(30)は差動弁(32)を備え、
該差動弁(32)は、一方の位置(A)で、圧縮空気源(50)を該第1のアクチュエータ(11,12)と結合し、その結果、該第1のアクチュエータが該第1のダイヤフラム(10)を動かし、その結果、該第1のポンプ室(13)において負圧が生じ、
該差動弁(32)は、他方の位置(B)で、該圧縮空気源(50)を該第2のアクチュエータ(111,112)と結合し、その結果、該第2のアクチュエータが該第2のダイヤフラム(110)を動かし、その結果、該第2のポンプ室(113)において負圧が生じ、
該制御装置(30)がフリップ・フロップ弁(31)を備え、該フリップ・フロップ弁(31)は、終端位置検出スイッチ(35,36,37,38)によって制御可能であり、該差動弁(32)を制御する二重ダイヤフラムポンプ。
【請求項2】
該制御装置(30)は、ダイヤフラム(10;110)が一方のポンプ室(13;113)においてその死点に到達する前に、すでに他方のポンプ室(113,13)において圧力が生成されるように形成され、運転可能である請求項1に記載の二重ダイヤフラムポンプ。
【請求項3】
該制御装置(30)は、一方のポンプ室(13;113)において、負圧(p13;p113)が所定の閾値より低下した場合に、他方のポンプ室(113,13)において圧力が生成されるようにするように形成され、運転可能である請求項1に記載の二重ダイヤフラムポンプ。
【請求項4】
該第1のダイヤフラム(10)によって該第1のポンプ室(13)から分離された第1の圧力室(14)と、
該第2のダイヤフラム(110)によって該第2のポンプ室(113)から分離された第2の圧力室(114)と、を備えた請求項1からのいずれかに記載の二重ダイヤフラムポンプ。
【請求項5】
該アクチュエータ(11,12;1111、112)のうちの少なくとも一つが、圧縮空気で運転可能なアクチュエータである請求項1からのいずれかに記載の二重ダイヤフラムポンプ。
【請求項6】
該アクチュエータ(11,12;111、112)が、それぞれ、シリンダー(11,111)内で可動なピストン(12,112)、または圧縮空気によって動作可能なダイヤフラムを備える請求項1からのいずれかに記載の二重ダイヤフラムポンプ。
【請求項7】
該アクチュエータ(11,12;111、112)が、それぞれ、シリンダー(11,111)内で可動なピストン(12,112)、または、少なくとも一方向に、弾性エレメントによって動作可能なダイヤフラムを備える請求項1からのいずれかに記載の二重ダイヤフラムポンプ。
【請求項8】
該制御装置(30)は、該終端位置検出スイッチ(35-38)からの信号にしたがって、両方のアクチュエータ(11,12;111、112)を制御するように形成され、運転可能である請求項に記載の二重ダイヤフラムポンプ。
【請求項9】
該制御装置(30)は、該第1のアクチュエータ(11,12)の該終端位置検出スイッチ(35)及び該第2のアクチュエータ(111,112)の該終端位置検出スイッチ(37)が作動した場合に、該アクチュエータ(11,12;1111、112)方向反転を引き起こすように形成され、運転可能である請求項またはに記載の二重ダイヤフラムポンプ。
【請求項10】
該第1及び第2のポンプ室(13,113)が、それぞれ、ポンプ室排出口(13.3,113.3)を備え、
該ポンプ室排出口は、共通のポンプ排出口(3)へ通じる請求項1からのいずれかに記載の二重ダイヤフラムポンプ。
【請求項11】
該差動弁(32)は、一方の位置(A)で、該圧縮空気源(50)を該第2のアクチュエータ(111,112)と結合し、その結果、該第2のアクチュエータが該第2のダイヤフラム(110)を動かし、その結果、該第2のポンプ室(113)において正圧が生じ、
該差動弁(32)は、他方の位置(B)で、該圧縮空気源(50)を該第1のアクチュエータ(11,12)と結合し、その結果、該第1のアクチュエータが該第1のダイヤフラム(10)を動かし、その結果、該第1のポンプ室(13)において正圧が生じる請求項1に記載の二重ダイヤフラムポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、塗料やワニスなどの流体の送出用の二重ダイヤフラムポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の公報から二重ダイヤフラムポンプは公知である。該ポンプにおいては、第1及び第2のポンプ室、並びに第1及び第2の圧力室が存在し、第1のポンプ室及び第1の圧力室は、第1のダイヤフラムによって、第2のポンプ室及び第2の圧力室は、第2のダイヤフラムによって、互いに分離されている。両方のダイヤフラムは、機械的にシャフトによって結合されている。シャフトは、両方のダイヤフラムのそれぞれの中心を通る線に沿って軸上に延伸し、両方のダイヤフラムに、それぞれ二枚のプレートによって固定される。したがって、ポンプが機能するときに、両方のダイヤフラムは、一斉に運動する。第1の圧力室に圧力を与えると、第1の圧力室に属するダイヤフラムが、組み合わされた第1のポンプ室内の流体を圧縮させる。したがって、流体は第1のポンプ室から押し出される。同時に、第2のポンプ室に組み合わされたダイヤフラムが移動され、その結果、流体が第2のポンプ室に引き込まれる。両方のダイヤフラムは、両方のポンプ室を交互に満たし、かつ空にするために、一斉に(互いに同期して)往復運動する。
【0003】
しかし、このように構成された二重ダイヤフラムポンプは、以下に説明するいくつかの欠点を有する。
【0004】
第1のダイヤフラムがその作動行程の端点(死点)に到達した時点で、第1のポンプの送出圧力は著しく低下する。この段階において、第2のダイヤフラムも同様にその死点に到達しているので、第2のポンプ室も同様に流体の押し出し圧力をまだ得られない。この結果、シャフトが逆転し、第2のダイヤフラムが第2のポンプ室内に送出圧力を生成するまで、送出圧力は非常に低いかゼロである。所定の期間観察すると、二重ダイヤフラムポンプの排出側における上記の振る舞いは、周期的に繰り返される送出圧力の低下、及び、それに伴うかなりの程度の送出の中断をもたらす。
【0005】
この二重ダイヤフラムポンプは、これ以外の欠点を有する。送出圧力は、ダイヤフラムの材料(剛性)に依存し、そのために行程の間で変化する。とりわけ、排出段階の初めに、ダイヤフラムは片寄った位置にあり、そのために圧力がかかっているので、流体は強い圧力で排出される。引き続いて、排出圧力は減少し、行程の終わりころに、流体だけではなくダイヤフラムも最終位置に押される必要がある。他方のダイヤフラムが、吸引段階から排出段階に移り変わったときに初めて、流体は再び高い圧力で排出される。所定の期間観察すると、送出圧力は、直線ではなく、望ましくない鋸の歯の形状のパターンを示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】DE3876169T2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、上述の欠点を回避するか、または少なくとも最小とする二重ダイヤフラムポンプを提示することである。
【0008】
本発明による二重ダイヤフラムポンプは、好ましいことに、近似的に一定の送出圧力の送出の流れを発生させる。
【0009】
通常、本発明による二重ダイヤフラムポンプのように一定の送出圧力を発生させないポンプには、脈動ダンパーを補充する必要がある。本発明による二重ダイヤフラムポンプのさらなる利点は、このような脈動ダンパーなしに機能することである。
【0010】
本発明による二重ダイヤフラムポンプは、たとえば、二成分のスプレー装置(Spritzanlage)にも使用することができる。A成分は塗料であり、B成分は硬化剤であってもよい。このような二成分のスプレー装置において、多くの場合、A成分を送出するポンプがマスターとして使用され、B成分がさらに添加される。これは、以下のように行うことができる。所定の時点で所定の期間、B成分用の材料弁が開かれ、B成分が送出管内においてA成分に到達する。しかし、このことは、B成分が、A成分よりも高い圧力で送出されることを前提とする。さもなければ、B成分は送出管に到達しない。A及びB成分用のポンプが鋸の歯状の圧力パターンを示す場合には、B成分用の圧力がA成分用の圧力よりも高くなるまで、B成分の添加は可能ではない。この場合には、とにかく、B成分用の圧力が十分に大きくなるまで待つ必要がある。この結果、B成分をいつでも添加することはできないことになる。しかし、本発明による二重ダイヤフラムポンプは、一定の圧力パターンを示すので、本発明による二重ダイヤフラムポンプによって上記の欠点を回避することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題は、請求項1に申し立てられた特徴を備えた二重ダイヤフラムポンプによって解決される。
【0012】
本発明による二重ダイヤフラムポンプには、第1のポンプ室の壁を形成し、第1の駆動手段によって可動な、第1のダイヤフラムが備わる。さらに、第2のポンプ室の壁を形成し、第2の駆動手段によって可動な、第2のダイヤフラムが備わる。さらに、該駆動手段用の制御装置が備わり、該制御装置は、一つまたは複数の条件にしたがって、両方の駆動手段を制御するように形成され、運転可能である。
【0013】
該第1及び第2の駆動手段は、互いに独立して運転可能であるように形成するのが有利である。このように、該駆動手段用の該制御装置は、第2の駆動手段とは独立して第1の駆動手段を制御することができる。したがって、制御装置の視点から、両方の駆動手段は、互いに干渉しない2台の駆動手段である。
【0014】
本発明の有利な展開は、従属請求項において申し立てられた特徴から明らかである。
【0015】
本発明による二重ダイヤフラムポンプの一実施形態において、該条件が、時間、圧力、経路、及び/または位置に関連している。
【0016】
本発明による二重ダイヤフラムポンプの別の実施形態において、該制御装置は、ダイヤフラムが一方のポンプ室においてその前方の死点に到達する前に、他方のポンプ室における圧力が生成されるようにするように形成され、運転可能である。ダイヤフラムの前方の死点とは、ここでは、上記のダイヤフラムに所属するポンプ室内の容積が最小となる点を意味する。
【0017】
本発明による二重ダイヤフラムポンプの別の実施形態において、該制御装置は、一方のポンプ室において、負圧が所定の閾値より低下した場合に、このポンプ室における圧力が生成されるようにするように形成され、運転可能である。
【0018】
本発明による二重ダイヤフラムポンプの別の実施形態において、該制御装置は、両方のダイヤフラムが、互いに時間的にオフセットして動くように、両方の駆動手段を互いに時間的にオフセットして制御するように形成され、運転可能である。
【0019】
本発明による二重ダイヤフラムポンプの別の実施形態において、該制御装置は、両方の駆動手段を互いに等時的に制御するように形成され、運転可能である。
【0020】
本発明による二重ダイヤフラムポンプの別の実施形態において、該第1のダイヤフラムによって該第1のポンプ室から分離された第1の圧力室を備えることができる。さらに、該第2のダイヤフラムによって該第2のポンプ室から分離された第2の圧力室を備えることができる。
【0021】
さらに、本発明による二重ダイヤフラムポンプにおいて、該駆動手段のうちの少なくとも一つが、圧縮空気で運転可能な駆動手段であってもよい。
【0022】
本発明による二重ダイヤフラムポンプにおいて、該駆動手段が、それぞれ、シリンダー内で可動なピストン、または圧縮空気によって動作可能なダイヤフラムを備えるのがより有利である。
【0023】
本発明による二重ダイヤフラムポンプにおいて、該駆動手段が、それぞれ、シリンダー内で可動なピストン、または、少なくとも一方向に、弾性エレメントによって動作可能なダイヤフラムを備えることも有利である。
【0024】
本発明による二重ダイヤフラムポンプにおいて、該駆動手段が、それぞれ、終点位置を把握するための少なくとも一つのセンサを備えることができる。
【0025】
本発明による二重ダイヤフラムポンプにおいて、該制御装置は、センサからの信号にしたがって、両方の駆動手段を制御するように形成され、運転可能であるようにすることができる。
【0026】
本発明による二重ダイヤフラムポンプの展開において、該制御装置は、該第1の駆動手段のセンサ及び該第2の駆動手段のセンサが作動した場合に、該駆動手段の方向反転を引き起こすように形成され、運転可能である。
【0027】
本発明による二重ダイヤフラムポンプの別の展開において、該第1及び第2のポンプ室が、それぞれ、ポンプ室排出口を備え、該ポンプ室排出口は、共通のポンプ排出口へ通じる。
【0028】
本発明による二重ダイヤフラムポンプのさらなる展開において、ダイヤフラムに、少なくとも送出段階の前に、機械的にプレストレスをかける。それによって、圧力パターンをさらに最適化し、微調整を行うことができる。
【0029】
本発明による二重ダイヤフラムポンプの実施形態において、該制御装置が差動弁を備え、該差動弁は、一方の位置で、圧縮空気源を該第1の駆動手段と結合し、その結果、該第1の駆動手段が該第1のダイヤフラムを動かし、その結果、該第1のポンプ室において負圧が生じる。該差動弁は、他方の位置で、該圧縮空気源を該第2の駆動手段と結合し、その結果、該第2の駆動手段が該第2のダイヤフラムを動かし、その結果、該第2のポンプ室において負圧が生じる。
【0030】
本発明による二重ダイヤフラムポンプは、始動時点において、ピストン及びダイヤフラムが、どの位置に存在するかということに関係なく、問題なく作動開始するという利点を、さらに有する。また、物質の入口において、物質の代わりに空気を吸引しても、本発明による二重ダイヤフラムポンプは、問題なく作動開始する。この状況は、たとえば、最初の操業開始の際に、ポンプがまだ空であるか、または、物質備蓄容器が空である場合に発生し得る。
【0031】
さらに、二重ダイヤフラムポンプは、ポンプの望ましくない停止を確実に回避するように形成することもできる。このために、二重ダイヤフラムポンプは、たとえば、フリップ・フロップ弁のような、差動ピストン及び制御弁(Vorschaltventil)を備えた切換え弁を備えることができる。
【0032】
本発明による二重ダイヤフラムポンプの別の実施形態において、差動弁は、一方の位置で、圧縮空気源を第2の駆動手段と結合し、その結果、第2の駆動手段が第2のダイヤフラムを動かし、その結果、第2のポンプ室において正圧が生じる。差動弁は、他方の位置で、圧縮空気源を第1の駆動手段と結合し、その結果、第1の駆動手段が第1のダイヤフラムを動かし、その結果、第1のポンプ室において正圧が生じる。
【0033】
最後に、本発明による二重ダイヤフラムポンプにおいて、該制御装置がフリップ・フロップ弁を備え、該フリップ・フロップ弁は、リミットスイッチ(Endlagenschaltern)によって制御可能であり、差動弁を制御するようにすることができる。
【0034】
リミットスイッチを使用した制御装置は、ピストン、またはダイヤフラムの終端位置を、簡単かつ確実な方法で検出することができるという利点を有する。したがって、必要に応じて、両方のダイヤフラムが全行程を実行することを保証することができる。
【0035】
本発明は、以下において、複数の図面をもとにして、複数の実施形態を使用してさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明による二重ダイヤフラムポンプの第1の可能な実施形態を3次元の眺めで示す図である。
図2】本発明による二重ダイヤフラムポンプの第1の実施形態を制御機器なしで3次元の眺めで示す図である。
図3】本発明による二重ダイヤフラムポンプの第1の実施形態を側面の縦断面で示す図である。
図4】本発明による二重ダイヤフラムポンプの第1の実施形態を上からの縦断面で示す図である。
図5】本発明による二重ダイヤフラムポンプの第1の実施形態を横断面で示す図である。
図6】本発明による二重ダイヤフラムポンプの第1の実施形態の構造を示すブロック図である。
図7】本発明による二重ダイヤフラムポンプの第2の実施形態の構造を示すブロック図である。
図8】本発明による二重ダイヤフラムポンプの第3の実施形態の構造を示すブロック図である。
図9】個々の圧力及び全圧力の時間的経過をダイヤグラムで示す図である。
図10】個々の圧力及び全圧力の時間的経過をダイヤグラムで示す図である。
図11】個々の圧力及び全圧力の時間的経過をダイヤグラムで示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1及び図2においては、本発明による二重ダイヤフラムポンプ1の第1の可能な実施形態が3次元の眺めで描かれている。二重ダイヤフラムポンプ1は、第1のダイヤフラムポンプ及び第2のダイヤフラムポンプをその中に収納したケーシング9を含む(図3及び4参照)。ケーシング9上に、2個の圧力計22,23、2個の圧力調節器20,21、圧縮空気接続部4、及び止め弁8を備えた操作ユニットを配置してもよい。操作ユニットによって、二重ダイヤフラムポンプへ供給する空気圧力及び二重ダイヤフラムポンプの送出圧力を調整し監視することができる。さらに、圧縮空気接続部4に、第1及び第2のダイヤフラムポンプへ供給するために、圧縮空気を接続することができる。図2においては、操作ユニットなしの二重ダイヤフラムポンプ1が示されている。ケーシング9上には、操作ユニットと結合可能な圧縮空気接続部7が存在する。ケーシング9の側面には、送出されるべき媒体用のポンプの吸入口2及び該媒体用のポンプの排出口3が存在する。本発明による二重ダイヤフラムポンプによって、たとえば、塗料、ワニス、酸、アルカリ液、着色液、溶剤、水、テルペンチン、グルテン(液)、接着剤、汚水泥、ガソリン、油、流体状化学物質、固体成分を伴う流体状媒体、高粘性の媒体、毒性の媒体、流体状の顔料、セラミックスリップ、スラリー、うわぐすりなどの種々の流体状の物質を送出することができる。
【0038】
図3においては、本発明による二重ダイヤフラムポンプの第1の実施形態が、切断面A-Aに沿った側面の縦断面で描かれている。図4は、本発明による二重ダイヤフラムポンプの第1の実施形態を、切断面B-Bに沿った上からの縦断面で示す。図5は、本発明による二重ダイヤフラムポンプを切断面C-Cに沿った横断面で示す。上述のように、本発明による二重ダイヤフラムポンプは、2台の個別のダイヤフラムポンプを含み、それらは、1台の適切に形成された制御装置30(図6、7及び8参照)によって制御することができる。
【0039】
第1のダイヤフラムポンプ
第1のダイヤフラムポンプは、図3及び4において左側に描かれている。第1のダイヤフラムポンプは、好ましくは丸く形成され、その外側の端部が2個の仕切り壁18及び17.1の間に固定されたダイヤフラム10を含む。ダイヤフラム10は、仕切り壁18及び17.1の間においてフレキシブルな分離壁を形成する。このようにして、ダイヤフラム10は、仕切り壁18とともに、以下において、圧縮空気室、または短く圧力室14とも呼称される第1の部屋を形成する。さらに、ダイヤフラム10は、仕切り壁17.1とともに、以下において、送出室、またはポンプ室13と呼称される第2の部屋を形成する。ダイヤフラム10は、駆動手段15によって、往復運動する。駆動手段15は、2個のシリンダー室11.1及び11.2を備えたシリンダー11を含む。駆動手段15は、圧縮空気室14をも含むことができる。2個のシリンダー室11.1及び11.2の間には、ピストンロッド12.1でダイヤフラム10に結合された、可動なピストン12が存在する。ピストンロッド12.1は、その一端において、ボルトによってピストン12に結合することができる。代替的に、ピストンロッド12.1の端部に外側ネジを備え、ピストン12上のナットと固定することもできる。他端において、ピストンロッド12.1は、仕切り壁18を通って突出し、たとえばはめ合わせによって、ダイヤフラム10と結合される。さらに、ピストンロッド12.1は、ダイヤフラム10とともに成形されていてもよい。ピストンロッド12.1には、溝12.2がある。弁体とともに、溝12.2は、2個の弁35及び36を形成する。これらは、好ましくはリミットスイッチとして機能する。しかし、ピストンロッド12.1は、それによって、2個の弁35及び36が作動可能であるように形成することもできる。
【0040】
両方の弁35及び36は、それぞれ1個の制御用入力部を有し、それぞれ、二つの切り替え状態AまたはBをとることができる。弁35及び36の制御用入力部に信号がない静止状態において、弁35及び36は、切り替え状態Bにある(図6も参照のこと)。ピストン12、及びそれとともにピストンロッド12.1が完全に左側にあれば、弁35は、切り替え状態Aにあり、弁36は、切り替え状態Bにある。ピストン12及びピストンロッド12.1が十分に右側にあれば、弁35は、切り替え状態Bにあり、弁36は、切り替え状態Aにある。
【0041】
第2のダイヤフラムポンプ
本発明による二重ダイヤフラムポンプ1の第1の実施形態において、第2のダイヤフラムポンプが、第1のダイヤフラムポンプと鏡面対称に配置される。このようにすることが有利ではあるが、必須ではない。
【0042】
第2のダイヤフラムポンプは、図3及び図4において右側に描かれている。第2のダイヤフラムポンプは、好ましくは丸く形成され、その外側の端部が2個の仕切り壁17.2及び19の間に固定されたダイヤフラム110を含む。ダイヤフラム110は、仕切り壁17.2及び19の間においてフレキシブルな分離壁を形成する。このようにして、ダイヤフラム110は、仕切り壁19とともに、以下において、圧縮空気室、または短く圧力室114とも呼称される第1の部屋を形成する。さらに、ダイヤフラム110は、仕切り壁17.2とともに、以下において、送出室、またはポンプ室113と呼称される第2の部屋を形成する。ダイヤフラム110は、駆動手段115によって、往復運動する。駆動手段115は、2個のシリンダー室111.1及び111.2を備えたシリンダー111を含む。駆動手段115は、圧縮空気室114をも含むことができる。2個のシリンダー室111.1及び111.2の間には、ピストンロッド112.1でダイヤフラム110に結合された、可動なピストン112が存在する。ピストンロッド112.1は、その一端において、ボルトによってピストン112に結合することができる。代替的に、ピストンロッド112.1の該一端に外側ネジを備え、ピストン112上のナットと固定することもできる。他端において、ピストンロッド112.1は、仕切り壁19を通って突出し、ダイヤフラム110と結合される。さらに、ピストンロッド112.1には、溝12.2がある。溝12.2は、環状溝として形成することができる。溝12.2は、対応する弁体とともに、2個の弁37及び38を形成する。弁37及び38は、リミットスイッチとして機能する。
【0043】
両方の弁37及び38は、それぞれ、二つの切り替え状態AまたはBをとることができる。ピストン112、及びそれとともにピストンロッド112.1が完全に左側にあれば、弁37は、切り替え状態Aにあり、弁38は、切り替え状態Bにある。ピストン112及びピストンロッド112.1が十分に右側にあれば、弁37は、切り替え状態Bにあり、弁38は、切り替え状態Aにある(図6,7及び8も参照のこと)。
【0044】
基本的に、第1及び第2のダイヤフラムポンプの間に機械的な結合はない。本発明による二重ダイヤフラムポンプ1が、所望の圧力及び所望の圧力パターンで所望の物質量を送出するように、第1及び第2のダイヤフラムポンプは、圧縮空気によって駆動され適切に制御される。
【0045】
本発明による二重ダイヤフラムポンプの利点は、二重ダイヤフラムポンプ1の両方のダイヤフラム10及び110を互いに独立して配置することができることである。ダイヤフラム10及び110は、たとえば、図示されるように、向かい合わせに位置することができる(左側、右側)。しかし、両方のダイヤフラム10及び110は、互いに重ねて(上及び下)、互いに隣接して、または互いにオフセットして配置することもできる。
【0046】
ポンプの吸入口2は、送出室13の吸入口、また送出室113の吸入口と結合されている。送出段階において送出されるべき物質が、送出室から吸入口2に戻らないことを保証するように、逆止弁5及び105が備わる。
【0047】
送出室13及び113の排出口13.3及び113.3は、互いに結合し、ケーシング9上のポンプ排出口3へ通じる。送出されるべき物質が、一方の送出室から他方の送出室へ至らないように、逆止弁6及び106が備わる。
【0048】
第1の実施形態において、空間的に見て両方のダイヤフラムの間に、主弁32が存在する。主弁32は、もちろん、他の場所に存在してもよい。主弁32は、2個の制御用入力部32.1及び32.2、ならびに二つの切り替え状態、すなわち位置A及びBを有する(機械的構造については、図3及び5を、機能の仕方については図6,7及び8を参照のこと)。本実施形態においては、主弁32は、差動弁として形成されている。このことは、必須ではない。
【0049】
主弁32の下に、四つの切り替え状態、すなわち、位置A、B、C及びDを備えたフリップ・フロップ弁31が存在する(図3及び6も参照のこと)。フリップ・フロップ弁31は、他の場所に存在してもよい。フリップ・フロップ弁31の機能の仕方は、後で説明する。
【0050】
第1のダイヤフラムポンプ、第2のダイヤフラムポンプ、及び弁31-37を互いにどのように結合することができるかは、図6乃至8から読み取ることができる。
【0051】
制御装置30は、両方の駆動装置15及び115を制御する。基本的に、制御装置30は、一つまたはいくつかの条件にしたがって両方の駆動装置15及び115を制御するように形成され、運転可能である。条件は、たとえば、所定の期間、所定の位置への到達、または所定の圧力への到達であってもよい。
【0052】
以下において、制御装置30のいくつかの実施形態を記述する。
【0053】
時間による制御
二重ダイヤフラムポンプ1のスイッチを切ったときに、ダイヤフラム10が存在する位置は、以下において、ダイヤフラム10の静止状態と呼称する。ダイヤフラム110についても同様である。基本的に、二重ダイヤフラムポンプ1のスイッチを切ったときに、ダイヤフラム10及び110がどの位置に存在するかは重要ではない。しかし、二重ダイヤフラムポンプ1の機能の仕方をよりわかりやすく説明することができるように、以下において、ダイヤフラム10は、静止状態において、その左側の死点に存在し、ダイヤフラム110は、その左側の死点に存在することとする。ダイヤフラム10は、最も左側に変位しているときに、その左側の死点に存在し、このことをダイヤフラム10の後方の終端位置と呼称する。図9において、時点t0において、ダイヤフラム10は、その左側の死点に存在する。ダイヤフラム10は、最も右側に変位しているときに、その右側の死点に存在し、このことをダイヤフラム10の前方の終端位置と呼称する。ダイヤフラム110についても同様である。ダイヤフラム110は、最も左側に変位しているときに、その左側の死点に存在し、このことをダイヤフラム110の前方の終端位置と呼称する。ダイヤフラム110は、最も右側に変位しているときに、その右側の死点に存在し、このことをダイヤフラム10の後方の終端位置と呼称する。図9において、時点t0において、ダイヤフラム110は、その左側の死点に存在する。
【0054】
以下において、二重ダイヤフラムポンプ1の機能の仕方を、図1から5に描かれた構造、及び図6に示された空気圧回路図を使用して、図9に示されたダイヤグラムに基づいてさらに説明する。二重ダイヤフラムポンプ1は、ピストン12及び112が、両方のダイヤフラム10及び110を動かし始めた時に作動開始する。本例において、制御装置30は、時点t0=0秒において、ピストン12によってダイヤフラム10がポンプ室13の方向に押され、ポンプ室13において、圧力p13が発生するようにする。圧力p13は、ポンプ室13において、時点t1において最大圧力pmax(本例において約2.2バール)に到達するまでランプ状に増加し、その後時点t5まで(したがって、約0.8秒の期間)一定にとどまる。この間に、ピストン12は、ダイヤフラム10がその右側の死点に到達するまで、ダイヤフラム10を右側へ押し続ける。ポンプ室13における圧力p13は、そのときから、時点t8でゼロに低下するまで、急速に低下する。二つの時点t0及びt8の間で起こる過程は、二重ダイヤフラムポンプ1の左側の部分のポンプ段階または送出段階F13と呼称される。この段階において、ポンプ室13に存在する流体は、ポンプ室から押し出される。二重ダイヤフラムポンプ1の左側の部分(左側ダイヤフラムポンプ)は、したがって、この期間に流体を送出する。
【0055】
引き続いて、制御装置30は、時点t8=1.0秒において、ピストン12によってダイヤフラム10がポンプ室13から再び引き戻され、ポンプ室13に負圧p13が発生するようにする。圧力p13は、ポンプ室13において、時点t9において最大負圧pmin(本例において、ゼロの線で描かれた標準圧力を基準として約-0.5バール)に到達するまでランプ状に低下し、その後時点t10まで(したがって、約0.3秒の期間)一定にとどまる。この期間に、ピストン12は、ダイヤフラム10が時点t10にその左側の死点に到達するまで、ダイヤフラム10を左側へ引き続ける。その時点から、ポンプ室13に新たな流体が吸い込まれることはない。逆止弁5は、吸入マニホルドにおいて閉じている。そのときから、ポンプ室13の負圧は、再び減少し、時点t11で再び値ゼロに到達し、その後時点t13までゼロでとどまる。二つの時点t8及びt13の間で起こる過程は、吸入段階S13と呼称される。二重ダイヤフラムポンプ1の左側の部分は、この期間に流体を吸引する。吸引段階S13に新たな送出段階F13及び新たな吸引段階S13が続く。送出段階F13及び吸引段階S13は、交代しながら一緒にサイクルを形成する。
【0056】
制御装置30は、時点t0=0秒において、ピストン112によってダイヤフラム110がポンプ室113から引き戻され、ポンプ室113に負圧p113が発生するようにする(図9を参照のこと)。圧力p113は、ポンプ室113において、時点t2において最大負圧pmin(本例において約-0.5バール)に到達するまでランプ状に低下し、その後時点t3まで(したがって、約0.3秒の期間)一定にとどまる。この期間に、ピストン112は、ダイヤフラム110が時点t3にその右側の死点に到達するまで、ダイヤフラム110を右側へ引き続ける。その時点から、ポンプ室113に新たな流体が吸い込まれることはない。逆止弁105は、吸入マニホルドにおいて閉じている。そのときから、ポンプ室113の負圧は、再び減少し、時点t4で再び値ゼロに到達し、その後時点t6までゼロでとどまる。二つの時点t0及びt6の間で起こる過程は、吸入段階S113と呼称される。二重ダイヤフラムポンプ1の右側の部分(右側ダイヤフラムポンプ)は、この期間に流体を吸引する。
【0057】
引き続いて、制御装置30は、時点t6=0.9秒において、ピストン112によってダイヤフラム110がポンプ室113の方向に押され、ポンプ室113において、正圧p113が発生するようにする。圧力p113は、ポンプ室113にいて、時点t7において最大圧力pmax(本例において約2.2バール)に到達するまでランプ状に増加し、その後時点t12まで(したがって、約0.8秒の期間)一定にとどまる。この間に、ピストン112は、ダイヤフラム110がその左側の死点に到達するまで、ダイヤフラム110を左側へ押し続ける。そのときから、ポンプ室113における圧力p113は急速に低下する。二つの時点t6及びt15の間で起こる過程は、二重ダイヤフラムポンプ1の右側の部分のポンプ段階または送出段階F113と呼称される。この段階において、ポンプ室113に存在する流体は、ポンプ室113から押し出される。二重ダイヤフラムポンプ1の右側の部分は、したがって、この期間に流体を送出する。排出段階F113に新たな吸引段階S113及び新たな排出段階F113が続く。排出段階F113及び吸引段階S113は、交替しながら一緒にサイクルを形成し、周期的に繰り返される。
【0058】
制御装置30によって、二重ダイヤフラムポンプの右側部分の送出段階F113が、二重ダイヤフラムポンプの左側部分の送出段階F13に続き、それに、再び二重ダイヤフラムポンプの左側部分の送出段階F13が続くようにされる。このようにして、二重ダイヤフラムポンプの左側部分及び右側部分の送出段階F13及びF113は交替し、短い始動段階の後に、連続した、中断のない、一定送出圧力p1の流体の流れを生成する。
【0059】
制御装置30は、本実施例において、所定の時点で空気圧信号を出力するように構成されている。基本的に、空気圧信号である必要はなく、油圧信号であっても電気信号であってもよく、要するに、指令のどのような適切な形態であってもよい。したがって、以下において、指令という言葉を用いる。所定の指令がいつ出力されるかの条件は、時間、好ましくは所定の期間に関係している。たとえば、「送出段階F113を開始せよ」との指令が、吸引段階S113が開始された後0.9秒で出力される(図9を参照のこと)ことを定めることができる。あるいは、「送出段階F113を開始せよ」との指令は、吸引段階S113が開始された後t6=0.8秒で出力することもできる(図11を参照のこと)。該指令は、「送出室13において供給圧力(Vordruck)pvを形成せよ」と述べることもでき、吸引段階S113が開始された後0.35秒で出力することができる(図10を参照のこと)。
【0060】
スプレー技術(Spritztechnik)において、通常、スプレーガンで使用されるノズルは、ポンプが作動する速度、もしくは周波数をあらかじめ定める。ポンプが単一のスプレーガンとともに運転される場合に、ポンプは、ポンプが2台のスプレーガンを処理する場合とは、別の周波数で作動する。したがって、運転条件にしたがって、種々のサイクル時間が生じることがある。外部の運転条件が不変であれば、二重ダイヤフラムポンプの作動周波数は一定である。
【0061】
位置または経路による制御
制御装置30は、ピストン12または112、ダイヤフラム10または110、あるいはそれ以外の可動部材が、所定の位置に到達するか、または所定の経路を進んだ場合に、一または複数の指令を出力するように構成することもできる。いつ所定の指令を出力するかの条件は、所定の部品の位置、または所定の部品が進んだ経路に関係する。したがって、たとえば、ピストン12が位置xに到達した場合に、「送出段階F113を開始せよ」との指令が出されるように定めることができる。図9のダイヤグラムにおいて、これは時点t6に対応する。代替的に、「送出段階F113を開始せよ」との指令は、ピストン12が位置x-1に到達した場合に出力することもできる(図11のt6を参照のこと)。該指令は、「送出室13において供給圧力pvを形成せよ」と述べることもでき、ピストン112が位置zに到達した場合に出力することができる。位置zは、図10のダイヤフラムにおいて時点t3に対応する。
【0062】
圧力による制御
制御装置30は、ポンプ室13における圧力p13、またはポンプ室113における圧力p113、あるいはシリンダー11、またはシリンダー111の一つにおける空気圧が所定の閾値に達した場合に一または複数の指令を出力するように構成することもできる。いつ所定の指令を出力するかの条件は、要するに、所定の場所の圧力に関係する。したがって、たとえば、ポンプ室113における負圧113が、所定の値だけ、または所定の値まで減少した場合に、「送出室13において供給圧力pvを形成せよ」との指令が出力されるように定めることができる。図10のダイヤフラムにおいて、これは、時点t3及びt4の間に位置する一つの時点に対応する。
【0063】
圧力伝達比1:1の実施形態
図6に示した本発明による二重ダイヤフラムポンプの実施例においては、1:1の圧力伝達比である。すなわち、ポンプ室に作用する圧力は、本質的に、圧力室に作用する圧力と同じ大きさである。
【0064】
制御装置30は、四つの切り替え状態、あるいは位置A、B、C及びDを有するフリップ・フロップ弁31を含む。切り替え状態A及びDは、制御信号の除去後に保持される切り替え状態である。最後に得られた切り替え状態、すなわち、AまたはDは記憶される。フリップ・フロップ弁31の切り替え状態B及びCは中間位置である。フリップ・フロップ弁31の制御用入力部31.1に圧縮空気が当たれば、フリップ・フロップ弁31は、最初に、所定の期間、中間位置Cに切り替わり、その後、所定の期間、中間位置Bに切り替わり、最終的に位置Aにとどまる。同じことが反対方向にも当てはまる。フリップ・フロップ弁31の制御用入力部31.2に圧縮空気が当たれば、フリップ・フロップ弁31は、最初に、所定の期間、中間位置Bに切り替わり、その後、所定の期間、中間位置Cに切り替わりその後、最終的に位置Dにとどまる。
【0065】
フリップ・フロップ弁31が、図6に示すように、位置Aにあると、接続部1及び2が互いに結合されており、その結果、空気が接続部1から接続部2へ到達することができる。さらに、位置Aでは、接続部5及び7が互いに結合されている。フリップ・フロップ弁31が位置Bにあると(図示なし)、接続部1及び2が互いに結合されている。他方、接続部5及び7は、位置Bにおいて、互いに結合されていない。フリップ・フロップ弁31が位置Cにあると(図示なし)、単に接続部1及び3が互いに結合されている。フリップ・フロップ弁31が位置Dにあると(図示なし)、接続部1及び3が互いに結合されている。さらに、位置Dにおいて、接続部4及び6も互いに結合されている。フリップ・フロップ弁31が位置AからDのどの位置にあるのかは、制御用入力部31.1、または制御用入力部31.2が圧縮空気を当てられているかどうかに依存する。フリップ・フロップ弁31が非常に短い時間だけ、位置A、B、CまたはDにあることは十分に可能なことである。
【0066】
制御装置30は、2個の制御用入力部32.1及び32.2、ならびに二つの切り替え状態、または位置A及びBを備えた主弁32をさらに含む。制御用入力部32.1が圧縮空気を当てられると、主弁32は切り替え状態Aをとる。切り替え状態Aにおいて、接続部1及び3が互いに結合されている。さらに、切り替え状態Aにおいて、接続部2及び4が互いに結合されている。制御用入力部32.2が圧縮空気を当てられると、主弁32は切り替え状態Bをとる。切り替え状態Bにおいて、接続部1及び4が互いに結合されている(図5も参照のこと)。さらに、切り替え状態Bにおいて、接続部2及び3が互いに結合されている。
【0067】
さらに、一方で圧縮空気源50に結合され、他方で主弁32に結合された過剰圧力弁33が備わる。過剰圧力弁33は、調整可能な過剰圧力弁として形成することもできる。
【0068】
その他に、制御装置30は、4個の弁35、36、37及び38を含む。弁35は、駆動装置15と接続され、二つの切り替え状態AまたはBをとることができる。ダイヤフラム10または駆動ピストン12が後方の終端位置にあると、弁35は切り替え状態Aにある。この状態において、弁接続部は互いに結合されている。ダイヤフラム10または駆動ピストン12が前方の終端位置にあるか、または、図6に示すように、前方及び後方の終端位置の間にあると、弁35は切り替え状態Bにある。この状態において、弁接続部は互いに結合されていない。弁36は、ピストン12が完全に右側であれば、位置Aにあり、そうでなければ、切り替え状態Bにある。
【0069】
弁37は、弁35と構造が同じであってもよく、駆動装置115と接続される。ダイヤフラム110または駆動ピストン112が前方の終端位置にあると、弁37は切り替え状態Aにある。この状態において、弁接続部は互いに結合されている。ダイヤフラム110または駆動ピストン112が後方の終端位置にあるか、または、図6に示すように、前方及び後方の終端位置の間にあると、弁37は切り替え状態Bにある。この状態において、弁接続部は互いに結合されていない。弁38は、ピストン12が完全に右側であれば、位置Aにあり、そうでなければ、切り替え状態Bにある。
【0070】
フリップ・フロップ弁31が位置Aにあると、主弁32の制御用接続部32.2は、圧縮空気を当てられるのではなく、大気と結合されている。このことにより、主弁32は切り替え状態Aにある。その理由は、差動バルブとして形成されている主弁の接続部32.1は、基本的に圧縮空気に当てられているからである。切り替え状態Aにおいて、圧縮空気源50から生じた圧縮空気は、圧縮空気室114及びシリンダー11の右側のピストン室11.2へ押し出される。ピストン12は左側へ押され、ダイヤフラム10を同様に左側へ後方の終点位置の方向へ引く。送出室13の容積は増加し、左側ダイヤフラムポンプは吸引段階にある。圧縮空気室114の圧縮空気によって、ダイヤフラム110は、左側へ前方の終点位置の方向へ押される。送出室113の容積は減少し、右側ダイヤフラムポンプは送出段階にある。この段階の間に、フリップ・フロップ弁31の接続部3は閉ざされており、その結果、圧縮空気はそこから先へ送られることはない。弁35及び37においても、接続部は閉ざされており、その結果、圧縮空気はそこから当面先へ送られることはない。フリップ・フロップ弁31の接続部5は、大気に向かって開放された接続部7へ結合されているので、制御用接続部31.2に存在しうる制御用空気は、外に向かい大気に達する。制御用接続部31.2は解放され、そのために圧力はかかっていない。フリップ・フロップ弁31の接続部4は、閉ざされており、弁35の接続部も同様である。そのため、制御用接続部31.1に存在する制御用空気は逃れることができず、制御用接続部31.1における空気圧力は高い状態に保持される。
【0071】
ピストンロッド112.1が左側へ動く間に、弁37は当面閉ざされたままである。ピストンロッド112.1が、その後十分に左側に動くと、弁37は、ピストンロッド112.1上の溝112.2によって開かれ状態Aとなる。
【0072】
ピストンロッド12.1が左側へ動く間に、弁35も当面閉ざされたままである。ピストンロッド12.1が、その後十分に左側に動いてはじめて、弁35は、ピストンロッド12.1上の溝12.2によって開かれ、状態Aへ切り替わる。両方の弁35及び37が状態Aへ切り替えられるとすぐに、圧縮空気源50からの圧縮空気は、弁37及び弁35を経由してフリップ・フロップ弁31の制御用入力部31.1へ導かれる。
【0073】
フリップ・フロップ弁31は、それによって所定の時間、位置Bへ切り替わる。主弁32の制御用接続部32.2は、フリップ・フロップ弁31を経由して圧縮空気を供給されないので、依然として圧力がかかっていないままである。そのため、主弁32は、これまでの位置のままである。フリップ・フロップ弁31の接続部3及び4は、閉ざされたままである。他方、フリップ・フロップ弁31の接続部5は、この状況で閉ざされる。これによって、圧縮空気は、制御用接続部31.2において、この状況で大気に逃れることはできないこととなる。
【0074】
フリップ・フロップ弁31は、所定の時間後、位置Bから位置Cへ切り替わる。主弁32の制御用接続部32.2は、この状況で圧縮空気に当てられる。主弁32は、位置Aから位置Bへ切り替わる。これによって、圧縮空気は、シリンダー111の左側のピストン室111.1及び圧縮空気室14へ到達することになる。それによって、ピストン112は右側へ押され、ピストン112はダイヤフラム110を同様に右側へ後方の終点位置の方向へ引く。右側ダイヤフラムポンプは、この状況で吸引段階にある。圧縮空気室14における圧力によって、ダイヤフラム10は、右側へ前方の終点位置の方向へ押される。左側ダイヤフラムポンプは、この状況で送出状態にある。
【0075】
フリップ・フロップ弁31は、切り替え状態Dへ切り替わる。ピストンロッド112.1が右側へ動く間、弁37は閉じられ、弁38は当面閉ざされたままである。ピストンロッド112.1が十分に右側に動くと、弁38は、ピストンロッド112.1上の環状溝112.2によって位置Bから位置Aへ導かれる。
【0076】
ピストンロッド12.1が右側へ動く間、弁35は閉じられ、弁36は当面閉ざされたままであるが、出口側でフリップ・フロップ弁31を経由して主弁32の制御用入力部32.2と結合される。ピストンロッド12.1が十分に右側に動いてはじめて、弁36は、ピストンロッド12.1上の環状溝12.2によって状態Bから状態Aへ導かれる。それによって、圧縮空気源50からの圧縮空気は、弁36及び弁38を経由してフリップ・フロップ弁31の制御用入力部31.2へ導かれる。フリップ・フロップ弁31は、状態Dから再び、短い時間状態Cへ、その後状態Bへ戻り、最終的に状態Aにとどまる。この時に逆方向のプロセスを繰り返し、そこでは、今度は、右側ダイヤフラムが送出し、左側ダイヤフラムが吸引する。
【0077】
圧力伝達比>1:1の実施形態
図7に示した本発明による二重ダイヤフラムポンプの実施例においては、圧力伝達比>1:1である。すなわち、ポンプ室に作用する圧力は、圧力室に作用する圧力よりも大きい。
【0078】
図6による1:1のタイプ(Version)と異なって、シリンダー室11.1は大気と結合されず、所定の時点で所定の期間圧縮空気が当てられる。それによって、ポンプ室13に作用する圧力が、圧力室14に作用する圧力よりも大きくなる。シリンダー室111.2も大気と結合されず、所定の時点で所定の期間圧縮空気が当てられる。それによって、より高い送出圧力が達成され、これは所定の媒体、たとえば、より高い粘性を備えた媒体に有利である。より高い送出圧力は、より長い距離の橋渡しにも有利であり得る。
【0079】
シリンダー室11.1及び111.2に圧縮空気を当てることができるように、これらを適切に密閉すべきである。したがって、図3及び4に示すシリンダー室の実施形態において、さらにパッキングを補充する必要がある。パッキングとしてO-リングを使用することができ、シリンダー壁とケーシング9との間に配置する。
【0080】
圧力伝達比>1:1の他の実施形態
図8に示した本発明による二重ダイヤフラムポンプの実施例においては、図7による実施形態と同様に圧力伝達比>1:1のタイプである。
【0081】
第1及び第2の実施形態の場合と同様に、第3の実施形態の場合も、制御装置30にフリップ・フロップ弁が使用される。しかし、フリップ・フロップ弁は、単に二つの切り替え状態A及びBしか有さない。静止状態、すなわち、フリップ・フロップ弁39の制御入力部39.1及び39.2に制御信号がない場合に、フリップ・フロップ弁は切り替え状態Aにある。
【0082】
最初に、主弁32は状態Aにあり、圧縮空気源50から来る圧縮空気を、シリンダー室11.2、圧力室114及びシリンダー室111.2へ導く。それによってピストン12は左側へ押される。ピストン12は、ピストンロッド12.1を経由してダイヤフラム10を同様に左側へ引き、その結果、ポンプ室13に負圧が生じる。左側ダイヤフラムポンプは、この状況で吸引段階にある。ピストン112も左側へ押される。ピストン112は、ピストンロッド112.1を経由してダイヤフラム110を同様に左側へ押し、その結果、ポンプ室13に正圧が生じる。このことは、圧縮空気を当てられた圧力室114によってサポートされる。右側ダイヤフラムポンプは、この状況でポンプ段階にある。
【0083】
ピストン12が左側の終点位置に到着するや否や、ピストンロッド12.1における溝12.2によって、弁35は状態Bから状態Aへ導かれる。ピストン112も左側の終点位置に到着すると、ピストンロッド112.1における溝112.2によって、弁37も状態Bから状態Aへ導かれる。それによって、圧縮空気がフリップ・フロップ弁39の制御入力部39.1へ流れ、フリップ・フロップ弁39は状態Aから状態Bへ切り替わる。フリップ・フロップ弁39は、この状況で圧縮空気を主弁32の制御用入力部32.2へ導き、その結果、主弁32も状態Aから状態Bへ切り替わる。この状況で圧縮空気は、圧縮空気源50から主弁32を経由して、シリンダー室11.1、圧力室14及びシリンダー室111.1へ達する。それによって、ピストン12は右側へ押される。ピストン12は、ピストンロッド12.1を経由してダイヤフラム10を同様に右側へ押し、その結果、ポンプ室13に正圧が生じる。左側ダイヤフラムポンプは、この状況でポンプ段階にある。このことは、圧縮空気を当てられた圧力室14によってサポートされる。ピストン112も右側へ押される。ピストン112は、ピストンロッド112.1を経由してダイヤフラム110を同様に右側へ引き、その結果、ポンプ室13に負圧が生じる。右側ダイヤフラムポンプは、この状況で吸引段階にある。フリップ・フロップ弁39の両方の制御入力部39.1及び39.2は、さらに、それぞれ、絞り弁40、または41を経由して大気へ結合され、その結果、弁35及び38から制御指令が来ない場合には、制御入力部39.1及び39.2を排気することができる。
【0084】
組合せ制御
言うまでもなく、上述の制御の実施形態を互いに組み合わせることもできる。したがって、一つの指令のトリガーのための条件を時間に関連付け、他の指令のトリガーのための条件を所定の部材の位置に関連付けることができる。さらに、別の指令のトリガーのための条件を所定の場所の圧力に関連付けることができる。指令をトリガーする条件は、時間、場所、圧力などのような、任意の物理的性質であってよい。多数の条件を任意に互いに結びつけることもできる。したがって、たとえば、二条件が満たされたときに(AND-結合)、はじめて指令をトリガーすることができる。二条件のうちの一つが満たされたときに(OR-結合)、指令をトリガーすることもできる。指令を、持続的に、その指令の取り消しのための別の指令が与えられるまで、出力することも可能である。
【0085】
駆動装置15におけるリミットスイッチ35、及び駆動装置115におけるリミットスイッチ37によって、両方の駆動装置15及び115が全行程を動作することを保証することができる。
【0086】
第1及び第2のダイヤフラムポンプの等時制御(isochrone Steuerung)は有利であるが、必須ではない。ここで、「等時」とは、複数の信号が、互いに一定の位相関係にあることをいう。したがって、たとえば、弁35及び37によって生じた制御信号は互いに等時であってもよい。さらに、弁36及び38によって生じた制御信号は互いに等時であってもよい。これらの制御信号の位相差は、好ましくは、170°と190°との間である。圧力パターンp1及びp2も、互いに等時であってもよい。両方の圧力パターンp1及びp2は、同じパターン及び同じサイクル時間を有するが、ある程度、互いに時間的にずれている。これらのパターンの位相差は、同様に、好ましくは、170°と190°との間である。
【0087】
本発明による実施例の上記の記述は、単に説明の目的のものである。本発明の範囲において、様々な変形及び変更が可能である。したがって、たとえば、図1から5による第1及び第2のダイヤフラムポンプは、図6による制御装置によっても、図7または8による制御装置によっても、運転させることができる。示された構成要素は、図に示されたのとは異なる仕方でも互いに組み合わせることができる。
【0088】
図に示した圧縮空気動作の駆動装置15、115の代わりに、ピストン12またはピストン112が、少なくとも一つの方向に弾性エレメントによって動作可能な、駆動装置も組み入れることができる。圧縮空気駆動及び弾性駆動の組合せも考えられる。
【0089】
図に示したピストン12、112の代わりに、シリンダー11及び111は、それぞれ、ダイヤフラムを備えてもよい。ダイヤフラムは、転動形ダイヤフラム(Rollmembran)の形態であってもよい。これらの、シリンダー内に配置されたダイヤフラムは、圧縮空気、及び/または弾性エレメントによって動かすことができる。弾性エレメントは、たとえば、圧縮バネであってもよい。
【0090】
転動形ダイヤフラムは、比較的長いピストンの行程を可能にする、フレキシブルなパッキングである。転動形ダイヤフラムは、しばしば、円錐台または円筒の形態であり、自身で回転する。転動形ダイヤフラムは、周囲をクランプすることができる。転動形ダイヤフラムは、行程の間に、交互にピストン及びシリンダー壁に接して回転する。回転運動はなめらかで摩擦がない。すべり摩擦、初期摩擦、及び圧力低下も生じない。
【0091】
ピストン12及び112、またはシリンダー内に配置されたダイヤフラムを、圧縮バネによって動かす予定である場合には、この動きが、それぞれのダイヤフラムポンプの吸引段階で起きるのが好ましい。圧縮バネは、シリンダー室11.2及び111.2内にあるのが有利である。
【0092】
二重ダイヤフラムポンプ1においては、駆動手段15及び115が、それぞれ、少なくとも一つのセンサを備えるようにすることができる。センサは、駆動ピストン12またはピストンロッド12.1、あるいは駆動ピストン112またはピストンロッド112.1の位置を把握するために機能する。
【0093】
センサとして、たとえば、リミットスイッチが機能し得る。リミットスイッチによって、駆動手段15の終点位置(死点)を把握することができる。駆動手段15は、左側の終点位置を把握するためのリミットスイッチ、及び右側の終点位置を把握するための別のリミットスイッチを備えることができる(図示なし)。同じことが、駆動手段115にも当てはまる。図5から8において、リミットスイッチは、弁35から38として形成される。これらの代わりに、リミットスイッチは、電気式スイッチ、または機械式スイッチであってもよい。その場合に、制御装置は、これらのスイッチに適合させる。
【0094】
ダイヤフラム10、または110よりも2倍、またはそれよりも大きい駆動シリンダー11及び111を選択すれば、たとえば、3:1の圧力伝達比も達成することができる。すなわち、6バールの空気圧力が18バールの流体圧力に相当する。
【0095】
運転中にダイヤフラム10及び110は、往復運動する。その際に、この経過はダイヤフラムに損傷を与えることがあるので、通常、望ましくないことではあるが、ダイヤフラムが折りたたまれる(umklappen)ことが起こりうる。ダイヤフラム10及び110が折りたたまれ、それによって、時間とともに損傷される危険を減少させるために、以下の構造を備えることができる。ダイヤフラム10の近くの圧力室14、及びダイヤフラム110の近くの圧力室114は、主弁32ではなく、真空発生器に結合されている。真空発生器は、両方の圧力室14及び114に高度の真空を発生させるので、ダイヤフラム10及び110は折れることなく、本質的に、その形態を維持する。
【0096】
ダイヤフラム10、または110に、送出段階前に、機械的にプレストレスをかけることができる。それによって、ダイヤフラムは、送出段階の最初から、特に、圧力室に空気圧力が生成されるまで、送出室に所定の圧力を発生させる。それによって、システムの慣性を補償し、微調整を行うことができる。ダイヤフラムにプレストレスをかけすぎるべきではない。というのは、プレストレスをかけすぎると、鋸の歯状の圧力パターンが生じることがあるからである。
【符号の説明】
【0097】
1 二重ダイヤフラムポンプ
2 ポンプ吸入口
3 ポンプ排出口
4 圧縮空気接続部
5 逆止弁
6 逆止弁
7 圧縮空気接続部
8 止め弁
9 ケーシング
10 ダイヤフラム
11 シリンダー
11.1 左側ピストン室
11.2 右側ピストン室
12 ピストン
12.1 ピストンロッド
12.2 ピストンロッドの環状溝
13 ポンプ室または送出室
13.3 ポンプ室排出口
14 圧力室
15 駆動手段
17.1 壁
17.2 壁
18 壁
19 壁
20 圧力調節器
21 圧力調節器
22 圧力計
23 圧力計
30 制御装置
31 フリップ・フロップ弁
31.1 制御用接続部
31.2 制御用接続部
32 主弁
32.1 制御用接続部
32.2 制御用接続部
33 過剰圧力弁
35 弁
36 弁
37 弁
38 弁
39 フリップ・フロップ弁
39.1 制御用接続部
39.2 制御用接続部
40 絞り弁
41 絞り弁
50 圧縮空気源
105 逆止弁
106 逆止弁
110 ダイヤフラム
111 シリンダー
111.1 左側ピストン室
111.2 右側ピストン室
112 ピストン
112.1 ピストンロッド
112.2 ピストンロッドの環状溝
113 ポンプ室または送出室
113.3 ポンプ室排出口
114 圧力室
115 駆動手段
p1 二重ダイヤフラムポンプ1の出口における圧力
p13 ポンプ室13における圧力
p113 ポンプ室113における圧力
pv 供給圧力
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11