(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】屋根構造体
(51)【国際特許分類】
E04B 7/00 20060101AFI20220808BHJP
E04B 1/343 20060101ALI20220808BHJP
E04H 6/02 20060101ALI20220808BHJP
E04B 7/02 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
E04B7/00 Z
E04B1/343 U
E04H6/02 G
E04B7/02 521C
(21)【出願番号】P 2018059745
(22)【出願日】2018-03-27
【審査請求日】2020-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤峯 弘城
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-229084(JP,A)
【文献】特開2005-240299(JP,A)
【文献】特開2003-343013(JP,A)
【文献】特開2016-108917(JP,A)
【文献】意匠登録第1562924(JP,S)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 7/00-7/24
E04B 1/343
E04H 6/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに間隔を隔てて並設された少なくとも二つのフレームと、前記二つのフレームに支えられた屋根とを備えており、
前記二つのフレームは、支柱と、前記支柱に固定された梁とをそれぞれ備えており、
前記屋根は、前記梁に対して上方に離間して配置されて
いると共に少なくとも二つの束に固定されており
、
前記二つの束の間であって前記梁のうち前記屋根の下面に対して上下方向に対向する領域内には、前記屋根の下面を照らす上方照明具が設置されており、
前記梁は、中空枠状の梁本体と、前記梁本体の梁上面部に取り付けられた底面部および前記底面部の両側縁に形成された側枠部を有するとともに、前記底面部の凹部底面および前記側枠部の凹部側面によって形成する凹部に前記上方照明具が配置される凹部形成体とを有しており、
前記底面部には、
前記束が立設されている
ことを特徴とする屋根構造体。
【請求項2】
請求項
1に記載の屋根構造体において
前記上方照明具は、前記梁の長手方向において前記二つの束に対して等間隔を隔てて配置されている
ことを特徴とする屋根構造体。
【請求項3】
請求項
1または請求項
2に記載の屋根構造体において、
前記梁の長手方向における前記上方照明具の照射範囲は、前記屋根の下面のうち少なくとも前記二つの束の間の全範囲に設定される
ことを特徴とする屋根構造体。
【請求項4】
請求項
3に記載の屋根構造体において、
前記凹部は、前記梁の長手方向に延びて形成されており、
前記梁には、前記凹部の開口を覆うカバー材が取り付けられており、
前記カバー材には、前記上方照明具からの照射光が通る照明開口が形成されている
ことを特徴とする屋根構造体。
【請求項5】
請求項1から請求項
4のいずれか一項に記載の屋根構造体において、
前記屋根は、前記屋根の後側から前側に向かうにつれて仮想水平面に対して斜め上向きに傾斜している
ことを特徴とする屋根構造体。
【請求項6】
請求項1から請求項
5のいずれか一項に記載の屋根構造体において、
前記梁は、その長手方向において前記屋根に対して外側まで延出しており、
前記梁のうち前記延出した部分には、照射方向が下向きとされた下方照明具が設置されていることを特徴とする屋根構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーポートなどの屋根構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋根構造体として、支柱と、支柱に固定された母屋受け材と、母屋受け材に取り付けられた屋根とを備えたカーポートが知られている(特許文献1参照)。
屋根は、左右一対の桁材および前後一対の梁によって枠組みされており、一対の梁には前後方向に沿った複数の母屋材が取り付けられており、一対の桁材には左右方向に沿った複数の垂木部材が取り付けられており、複数の垂木部材は屋根板を支持しており、屋根板は垂木部材にビス止めされる屋根板押え部材によって上から押えられている。
前述した桁材、梁、母屋材、垂木部材および屋根板押え部材はアルミ押出形材によって形成された構造材であり、このなかの母屋材が母屋受け材に直にビス止めされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載したようなカーポートでは、一般に夜間照明用の照明具が設置される。この照明具としては、屋根に設置されて当該屋根側から下方を照らすダウンライトが挙げられる。
ところで、屋根の下面(天井面)を照らして当該屋根の照明演出をしたい場合、照射方向が下向きのダウンライトでは屋根の下面を照らすことができず、屋根を照明演出することが困難である。
ここで、支柱や梁に取付アームを介して照射方向が上向きのアッパーライトを取り付け、このアッパーライトによって屋根を照らすことが考えられるが、アッパーライトが取付アームによって支柱や梁から張り出した位置に配置されることとなってしまい、アッパーライトが外観上目立つ構成となるおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、屋根の下面を照らして当該屋根を照明演出できると共に、屋根を照らす照明具が外観上目立たない構成にできる屋根構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の屋根構造体は、互いに間隔を隔てて並設された少なくとも二つのフレームと、前記二つのフレームに支えられた屋根とを備えており、前記二つのフレームは、支柱と、前記支柱に固定された梁とをそれぞれ備えており、前記屋根は、前記梁に対して上方に離間して配置されており、前記梁のうち前記屋根の下面に対して上下方向に対向する領域内には、前記屋根の下面を照らす上方照明具が設置されていることを特徴とする。
本発明の屋根構造体によれば、上方照明具によって屋根の下面を照らすことで、梁から上方に離間した屋根の浮遊感を照明演出することができる。
また、上方照明具が梁のうち屋根の下面に対向する領域内に収まるので、例えば取付アームなどによって梁から張り出した位置に上方照明具を取り付ける場合と比べて、上方照明具が外観上目立たない構成にできる。
【0007】
本発明の屋根構造体では、前記梁には、少なくとも二つの束が前記梁の長手方向に間隔を隔てて立設されており、前記二つの束には、前記屋根が固定されており、前記上方照明具は、前記二つの束の間に配置されていてもよい。
このような構成によれば、二つの束は互いに梁の長手方向に間隔を隔てて配置することで屋根の支持状態をより安定させることができるが、例えば二つの束よりも梁の端部側の位置に配置した上方照明具では、上方照明具からの照射光が束に遮られてしまい、二つの束の間において屋根の下面を広範囲に照らすことが困難である。本発明では、上方照明具を二つの束の間に配置するので、この上方照明具からの照射光によって、二つの束の間において屋根の下面を広範囲に照らすことができる。
【0008】
本発明の屋根構造体では、前記上方照明具は、前記梁の長手方向において前記二つの束に対して等間隔を隔てて配置されていてもよい。
このような構成によれば、二つの束の間に配置された上方照明具からの照射光を梁の長手方向における両側に同様に広げることができる。また、上方照明具が二つの束の間に複数設置されていても、複数の上方照明具のうち一方の端側にある上方照明具および一方の束の間隔と、複数の上方照明具のうち他方の端側にある上方照明具および他方の束の間隔とを等しい間隔とすることで、複数の上方照明具からの照射光を梁の長手方向における両側に同様に広げることができる。
【0009】
本発明の屋根構造体では、前記梁の長手方向における前記上方照明具の照射範囲は、前記屋根の下面のうち少なくとも前記二つの束の間の全範囲に設定されていてもよい。
このような構成によれば、上方照明具によって二つの束の間の全範囲を照らすことで、屋根の下面のうち二つの束の間に位置する部分から暗い部分をなくすことができて屋根の浮遊感を演出できる。
【0010】
本発明の屋根構造体では、前記梁の上面には、上部で開口した凹部が形成されており、前記凹部には、前記上方照明具が配置されていてもよい。
このような構成によれば、上方照明具を凹部に配置するので、梁の上面に凹部を形成せずに上方照明具を載置して取り付ける場合と比べて、上方照明具が外観上目立たない構成にできる。
【0011】
本発明の屋根構造体では、前記凹部は、前記梁の長手方向に延びて形成されており、前記梁には、前記凹部の開口を覆うカバー材が取り付けられており、前記カバー材には、前記上方照明具からの照射光が通る照明開口が形成されていてもよい。
このような構成によれば、梁の凹部に電線管等を収めても、この凹部の開口をカバー材によって覆うことで、凹部に収めた電線管等が外部に露出しない構成にできる。一方、カバー材を梁に取り付けた状態でも、上方照明具からの照射光がカバー材に形成された照明開口を通るので、屋根の下面を照らすことができる。
【0012】
本発明の屋根構造体では、前記屋根は、前記屋根の後側から前側に向かうにつれて仮想水平面に対して斜め上向きに傾斜していてもよい。
このような構成によれば、前述したように屋根が傾斜しているので、屋根の前方側から屋根の下面が見えやすくなり、この屋根の下面を上方照明具で照らすことで、屋根を前方側からみたときの照明演出をより効果的に行うことができる。また、屋根の下面に反射した反射光によって前方側を照らすことができる。
【0013】
本発明の屋根構造体では、前記梁は、その長手方向において前記屋根に対して外側まで延出しており、前記梁のうち前記延出した部分には、照射方向が下向きとされた下方照明具が設置されていてもよい。
このような構成によれば、例えば屋根に下方照明具を設置する場合には、屋根が存在しない箇所に下方照明具を設置することはできないが、本発明では梁の前記延出した部分に下方照明具を設置するので、屋根が存在しない箇所にも下方照明具を設置することができ、この下方照明具によって梁側から下方を照らすことができる。
また、このような屋根構造体は、屋根がある領域を上方照明具によって照らされるカーポートなどに利用すると共に、屋根の外側に梁が延出した領域を下方照明具によって照らされるアプローチなどに利用することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、屋根の下面を照らして当該屋根を照明演出できると共に、屋根を照らす照明具が外観上目立たない構成にできる屋根構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るカーポートを示す斜視図。
【
図2】第1実施形態に係るカーポートを前方から示す正面図。
【
図3】第1実施形態に係るカーポートを示す側面図。
【
図4】第1実施形態に係るカーポートを示す断面図。
【
図5】第1実施形態に係るカーポートの要部を示す説明図。
【
図6】第1実施形態に係るカーポートの梁を示す説明図。
【
図7】第1実施形態に係るカーポートの照明具を示す説明図。
【
図8】第1実施形態に係るカーポートの止水構造を分解して示す斜視図。
【
図9】第1実施形態に係るカーポートの束を示す説明図。
【
図10】第1実施形態に係るカーポートの止水部材を示す説明図。
【
図11】第1実施形態に係るカーポートの屋根材を示す断面図。
【
図12】第1実施形態に係るカーポートの屋根材の施工を示す説明図。
【
図13】第1実施形態に係るカーポートの枠材の施工を示す斜視図。
【
図14】第1実施形態に係るカーポートの屋根枠のコーナー部の施工を示す斜視図。
【
図15】本発明の第2実施形態に係るカーポートの止水構造を示す斜視図。
【
図16】第2実施形態に係るカーポートの止水部材を示す斜視図。
【
図17】第2実施形態に係るカーポートの止水構造を分解して示す斜視図。
【
図18】本発明の第3実施形態に係るカーポートの止水部材を示す斜視図。
【
図19】第3実施形態に係るカーポートの止水構造を分解して示す斜視図。
【
図20】本発明の変形例に係るカーポートを示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1~4において、第1実施形態に係る屋根構造体としてのカーポート1は、駐車スペースに設置される下部構造物である二つのフレーム2A,2Bと、フレーム2A,2Bに立設された複数の束10(10A,10B)と、複数の束10(10A,10B)に支えられた上部構造物である屋根50とを備えている。
以下の説明において、カーポート1の間口方向をX軸方向とし、カーポート1の奥行方向はY軸方向とし、カーポート1の上下方向はZ軸方向とする。X,Y,Z軸方向は互いに直交している。
【0017】
フレーム2A,2Bは、駐車スペースに立設された一対の支柱3と、一対の支柱3に固定された梁4とを備えた門型フレームとしてそれぞれ構成されている。フレーム2A,2BはY軸方向に間隔を隔てて並設されており、一対の支柱3同士はX軸方向に間隔を隔てて対向しており、梁4の長手方向はX軸方向に沿っている。一対の支柱3間の間隔は駐車スペースに駐車する車等の台数に応じて適宜設定される。フレーム2Aにおける支柱3の上下寸法L1は、フレーム2Bにおける支柱3の上下寸法L2よりも大きくされており、これにより、フレーム2A,2Bに支えられる屋根50はそのY軸方向における後側から前側に向かうにつれて仮想水平面52に対して斜め上に傾斜することとなって屋根50の勾配が設定される。
【0018】
梁4は、
図6(A)および
図6(B)に示すように、梁本体410と、梁本体410の上部に取り付けられた凹部形成体420とを備えている。ここで、
図6(A)は梁4の縦断面を示しており、
図6(B)は
図6(A)に示すC-C断面図である。
梁本体410は、梁上面部411、梁下面部412および一対の梁側面部413,414を有して中空枠状に形成されている。
凹部形成体420は、梁上面部411に取り付けられた底面部421と、底面部421のX軸方向に沿った両側縁に形成された断面矩形枠状の側枠部422,423とを有しており、底面部421の凹部底面421Aと側枠部422,423のうちY軸方向に間隔を隔てて向かい合う凹部側面422A,423AとによってX軸方向に沿った凹部4Aが形成されている。凹部4Aは、梁4のうち屋根50の下面822A,862Aに対してZ軸方向に対向する領域内にある。凹部側面422A,423Aは、側枠部422,423の上面424から下方に延出しており、凹部側面422A,423Aの下縁間に凹部底面421Aが配置されている。また、側枠部422,423には、凹部側面422A,423AからY軸方向に突出した取付片部425がそれぞれ形成されている。
【0019】
側枠部422,423の取付片部425には、照明取付部材501がねじ止めされており、この照明取付部材501には、照射方向が上向きとされる上方照明具としてのアッパーライト510が取付金具502を介して取り付けられている。
アッパーライト510は、
図7(A)に示すように、平面視において長方形状に形成されており、アッパーライト510の上面511にはその長手方向に沿ってLED等の発光素子51が複数設置されている。
取付金具502は、
図7(B)に示すように、断面略コ字形状に形成されており、その両縁部に内向きに突出した係合凸部503が形成されている。この取付金具502は、照明取付部材501にねじ止めされている。
取付金具502には、アッパーライト510が上方から嵌め込まれると共に係合凸部503がアッパーライト510の幅方向両側に係合することで、アッパーライト510が取り付けられる(
図6(A)、
図6(B)参照)
このように梁4に取り付けられたアッパーライト510は、凹部形成体420の凹部4Aによって区画された空間に配置されており、凹部側面422A,423A間のY軸方向における中央位置に配置されている(
図6(A)参照)。また、アッパーライト510は、
図2に示すように、二つの束10からX軸方向に等しい距離L3を離れて配置されている。つまり、アッパーライト510は、前述した二つの束10に対して等間隔を隔てて配置されている。このアッパーライト510は、二つの束10の間のX軸方向における中央位置に配置されている。なお、凹部4Aには電線管100が収容されている。
【0020】
凹部形成体420には、凹部4Aの上部における開口を覆う上カバー材5A(カバー材)が取り付けられている。上カバー材5Aは、X軸方向に延びた板状の覆板部521と、覆板部521から下方に延出した二つの係合片部522とを有している。二つの係合片部522は、照明取付部材501に係止された二つの係合爪部501Aにスナップフィット式に係合しており、覆板部521は、凹部4Aの開口を覆って側枠部422,423の上面424に当接している。
覆板部521には、束10が挿通される束挿通口(図示省略)と、Z軸方向においてアッパーライト510に対応した位置に配置される照明開口523とが形成されており、この照明開口523には、ポリカーボネード等の透光性を有した透光カバー524が設けられている。照明開口523は長方形状であり、アッパーライト510の上面511(特に投光面)のX軸方向における長さ寸法およびY軸方向における幅寸法に対して同等かそれよりも大きい寸法とされている。この照明開口523は、アッパーライト510の上面511の真上に配置されている。
このように設置されたアッパーライト510は、その上面511から上方に照射光を照射し、この照射光が透光カバー524を通って屋根50(本実施形態では主に複数の屋根材81)の下面822A,862Aを照らす。本実施形態では、アッパーライト510の長さ寸法は、X軸方向における二つの束10間の寸法に対して8割程度の寸法とされており、このアッパーライト510による屋根50の下面822A,862AのX軸方向における照射範囲I(
図2参照)は、アッパーライト510から透光カバー524を通った照射光が広がりながら屋根50の下面に到達することで、X軸方向における束10A,10A(束10B,10B)間の全範囲に及ぶ。これにより、梁4から上方に離間した屋根50の浮遊感を照明演出する。
また、前述した照射光のうち屋根50の下面822A,862Aに反射した反射光は、屋根50側から下方を照らす間接照明となる。更に、屋根50はその後側から前側に向かうにつれて斜め上向きに傾斜しているので、このように傾斜した屋根50の下面822A,862Aに反射した反射光は、カーポート1よりも前方に位置する道路などを照らす。
【0021】
梁本体410の梁側面部413,414は、梁下面部412よりも下方に延出しており、それぞれの下縁部に係合凸部415が形成されている。梁側面部413,414には、これらの係合凸部415に係合する係合凹部504が形成された下カバー材5Bが取り付けられている。下カバー材5Bは、梁本体410の下面を覆って配置されていると共に、照射方向が下向きとされる下方照明具としてのダウンライト530が
図2に示すようにX軸方向に沿って複数設置されている。ダウンライト530は、
図7(C)に示すように、略円形状に形成されており、その下面531が投光面となっている。
【0022】
屋根50は、四つの枠材61~64を四周枠組みして屋根50の周縁部を構成する屋根枠60と、両端が屋根枠60に取り付けられた上梁70と、屋根枠60内に並設された複数の屋根材81とを備えている。屋根枠60の各枠材61~64および上梁70はアルミ押出形材によって構造材として形成されており、本実施形態では、複数の屋根材81もアルミ押出形材によって形成されており、屋根枠60に固定されることで構造材としての機能を発揮し得る。枠材61,62はX軸方向に沿った前枠61および後枠62として構成されており、枠材63,64はY軸方向に沿った側枠63,64として構成されている。側枠63には側枠64側に延出した上側重なり部632が形成されており、側枠64には側枠63側に延出した上側重なり部642が形成されている(
図4参照)。屋根材81は上梁70に対して下方に配置されている。屋根材81には束10が挿通される挿通口91,92が構成されている。上梁70の長手方向はX軸方向に沿っており、梁4の長手方向と平行である。複数の屋根材81の長手方向はY軸方向に沿っており、上梁70の長手方向と直交している。この屋根50では、屋根枠60はフレーム2A,2Bに固定されておらず、上梁70が束10に固定されているので、屋根枠60が一対の支柱3よりもX軸方向に張り出して位置する屋根50を構成することが可能である。なお、
図8に示すように、上梁70の上面部72には、後述する固定ボルト7および固定ビス123が通り抜ける通し孔73,74が形成されており、この各通し孔73,74は、板状の蓋部材75が上面部72にビス止めされることによって塞がれる。
【0023】
束10には、フレーム2Aの梁4に立設された複数の束10Aと、フレーム2Bの梁4に立設された複数の束10Bとがあり、束10A,10Bは互いに同様に構成されている。複数の束10Aは、フレーム2Aの梁4の長手方向(X軸方向)において屋根50の周縁部を構成する後述する屋根枠60よりも内側に配置されており、複数の束10Bは、フレーム2Bの梁4の長手方向(X軸方向)において屋根枠60よりも内側に配置されている。
束10は、
図5および
図8~10に示すように、アルミ押出形材によって形成された束材20と、束材20の中空部25に配置されたスチール製の補強材30と、束材20の下端29に固定されたスチール製の固定体40とを備えている。
図5に示すように、固定体40は梁4の凹部4Aに配置されており、凹部4Aの開口に上カバー材5Aが設置されることで外部に露出しない配置となっている。
【0024】
束材20は、Y軸方向において互いに対向する一対の第一束片部21,22およびX軸方向において互いに対向する一対の第二束片部23,24を有して角筒状に形成されており、第一束片部21,22および第二束片部23,24によってZ軸方向に沿った中空部25が形成されている。束材20の上面は、仮想水平面52に対して屋根50の勾配に応じた角度をもって傾斜している。本実施形態では、第一束片部21および第一束片部22の面内における水平方向はY軸方向に沿っており、第二束片部23,24の面内における水平方向はX軸方向に沿っている。第二束片部23,24のY軸方向に沿った幅寸法W1は、第一束片部21および第一束片部22のX軸方向に沿った幅寸法W2よりも大きく設定されている。
第二束片部23の内面には、後述する第二補強片部33に向かってX軸方向に突出した二つの当接凸部231が形成されており、第二束片部24の内面には、後述する第二補強片部34に向かってX軸方向に突出した二つの当接凸部241が形成されている。
第二束片部23および第一束片部21が交わる第一角部261は第二束片部23および第一束片部21に対して内側(束材20の軸中央側)に膨出しており、第二束片部23および第一束片部22が交わる第二角部262は第二束片部23および第一束片部22に対して内側(束材20の軸中央側)に膨出しており、第二束片部24および第一束片部21が交わる第三角部263は第二束片部24および第一束片部21に対して内側(束材20の軸中央側)に膨出しており、第二束片部24および第一束片部22が交わる第四角部264は第二束片部24および第一束片部22に対して内側(束材20の軸中央側)に膨出している。
図10(A)は束10および止水部材110を示す平面図である。
図10(B)は
図10(A)に示すB-B線に沿った断面図であり、束10の図示を省略している。
図10(A)に示すように、第一角部261のY軸方向に沿った厚さ寸法T1は第二束片部23の厚さ寸法T3よりも大きく、第一角部261のX軸方向に沿った厚さ寸法T2は第一束片部21の厚さ寸法T4よりも大きい。また、第二束片部23,24は同じ厚さ寸法T3であり、第一束片部21および第一束片部22は同じ厚さ寸法T4である。第二角部262から第四角部264も第一角部261と同様に厚さ寸法T1,T2を有しており、第二束片部23,24の厚さ寸法T3および第一束片部21および第一束片部22の厚さ寸法T4よりも大きな厚さ寸法とされている。
第一角部261から第四角部264には、固定具である固定ボルト7が螺合する固定孔27がそれぞれ穿設されている。各固定孔27は、束材20の軸方向に沿って延びており、束材20の上面および下面で開口している。このように形成された各固定孔27は、束材20の中空部25に対してスリット等によって連続させておらず、束材20のうち各固定孔27の周囲を囲む部分を水平方向におけるせん断耐力の向上に利用している。
【0025】
補強材30は、束材20の上面から下面までZ軸方向に延びて形成されており、屋根50の鉛直荷重を支持するものである。補強材30は、
図10(A)に示すように、Y軸方向において互いに対向する一対の第一補強片部31,32およびX軸方向において互いに対向する一対の第二補強片部33,34を有して角筒状に形成されており、四つの角部は円弧面によって丸角状に形成されている。
第二補強片部33,34は、ネジ6によって束材20の第二束片部23,24にそれぞれ取り付けられており、ネジ6のねじ込みによって当接凸部231,241の突出端が第二補強片部33,34の外面に当接されている。
第一補強片部31はY軸方向において第一角部261および第三角部263よりも第一束片部22側に寄って位置しており、第一補強片部32はY軸方向において第二角部262および第四角部264よりも第一束片部21側に寄って位置している。
また、第二補強片部33は第一角部261および第二角部262の間に挟まれる位置に配置されており、第二補強片部34は第三角部263および第四角部264の間に挟まれる位置に配置されている。
【0026】
固定体40は、
図9(A)および
図9(B)に示すように、金属板材をプレス曲げ加工して形成された第一固定部材40Aおよび第二固定部材40Bを上下に重ね合わせて構成されている。第一固定部材40Aは、固定片部41Aと、一対の垂下片部42A,43Aと、一対の取付片部44A,45Aとを有しており、第二固定部材40Bは、固定片部41Bと、一対の垂下片部42B,43Bと、一対の取付片部44B,45Bと、二つの補強リブ46とを有している。
固定片部41Aは平面視四角形状であり、固定片部41Aには固定ボルト7が挿通される孔が形成されている。固定片部41Aは、当該孔に挿通された固定ボルト7が束材20の固定孔27に締結されることによって束材20の下端29に固定されている。また、固定片部41Aのうち束材20の中空部25に面する部分に配管用開口471が形成されている。垂下片部42Aは、
図9(A)において左側にある固定片部41Aの側縁に連続しており、垂下片部43Aは
図9(A)において右側にある固定片部41Aの側縁に連続している。取付片部44Aは、垂下片部42Aの下縁に連続していると共に
図9(A)において左側に延出しており、取付片部45Aは、垂下片部43Aの下縁に連続していると共に
図9(A)において右側に延出している。取付片部44A,45Aには、梁4に対する固定用の固定ネジ8が挿通される孔48が複数形成されている。
垂下片部42A,43Aおよび取付片部44A,45Aには、配管用切欠き472が形成されている。垂下片部42Aおよび取付片部44Aの配管用切欠き472は、当該垂下片部42Aおよび取付片部44Aに連続して形成されており、取付片部44AのY軸方向に沿った外側縁で開口している。また、垂下片部43Aおよび取付片部45Aの配管用切欠き472は、当該垂下片部43Aおよび取付片部45Aに連続して形成されており、取付片部45AのY軸方向に沿った外側縁で開口している。
固定片部41B、垂下片部42B,43Bおよび取付片部44B,45Bは、前述した固定片部41A、垂下片部42A,43Aおよび取付片部44A,45Aと概略同様に形成されているが、固定片部41BのX軸方向における寸法は固定片部41AのX軸方向における寸法よりも若干小さく、垂下片部42B,43Bの上下寸法は、垂下片部42A,43Aの上下寸法よりも小さく、取付片部44B,45BのX軸方向における寸法は取付片部44A,45AのX軸方向における寸法よりも若干大きく設定されている。また、固定片部41Bには固定ボルト7が挿通される孔が形成されていない。
固定片部41Bは、固定片部41Aに対して間隔を隔てて下方に配置されており、固定片部41Aとの間に固定ボルト7を収められる空間49を形成している。また、固定片部41Bは、複数の取付けネジ9によって固定片部41Aに取り付けられている。垂下片部42Bの外面は垂下片部42Aの内面に重ね合わされており、垂下片部43Bの外面は垂下片部43Aの内面に重ね合わされている。取付片部44Bの上面は取付片部44Aの下面に重ね合わされており、取付片部45Bの上面は取付片部45Aの下面に重ね合わされている。
二つの補強リブ46は、X軸方向に沿った板材によって形成されており、垂下片部42B,43Bの内面および固定片部41Bの下面に連続している。
なお、束材20には、束材20の中空部25と、固定体40の配管用開口471および配管用切欠き472に電線管100が通されていてもよい。このように束材20に電線管100が通されることで、フレーム2A,2Bから屋根50に連続した電線管100を外部に露出させずに設置可能となる。
【0027】
複数の屋根材81には、
図11(A)に示す屋根材81Aと、
図11(B)に示す屋根材81Bと、
図11(C)に示す屋根材81C(端部屋根材)とがある。
屋根材81Aは、
図11(A)に示すように、両端部で開口した中空枠状のパネル材82と、パネル材82に連続した下側重なり部836および上側重なり部846とを有している。パネル材82は、上面部821と、下面部822と、上面部821および下面部822に連続した一対の側面部833,843と、一対の側面部833,843の間において上面部821および下面部822に連続した二つの縦片部823とを有している。上面部821のうちパネル材82の幅方向における中央部分は後述する下重なり片部835および上重なり片部845よりも上方に突出した取付部821Aとして構成されており、この取付部821Aが上梁70に取り付けられている。
前述した取付部821A、下面部822および二つの縦片部823によって断面四角形状のボックス部88が構成されており、このボックス部88の各角部にはビスホール85がパネル材82の長手方向に延びて形成されている。また、上面部821および側面部833が交わる角部と、上面部821および側面部843が交わる角部とには、ビスホール85がパネル材82の長手方向に延びて形成されている。
このパネル材82の内部には、二つの縦片部823によって区画された三つの中空部829,839,849が形成されている。
下側重なり部836は、上面部821および側面部833が交わる角部から上方に立ち上げられた立上げ片部834と、立上げ片部834から側面部833に対して内側(パネル材82の幅方向における側面部843側)に向かって延出した下重なり片部835とを有して断面略L字形状に形成されている。また、パネル材82には、側面部833から外側に突出した断面略L字形状の樋部837が形成されている。
上側重なり部846は、上面部821および側面部843が交わる角部から側面部843よりも外側に持ち出されて上方に立ち上げられた立上げ片部844と、立上げ片部844から側面部843に対して外側(パネル材82の幅方向において側面部833から離間する側)に向かって延出した上重なり片部845とを有して断面略L字形状に形成されている。
屋根材81Aの上面部821においてボックス部88と下側重なり部836および上側重なり部846との間にはX軸方向に沿った樋部831,841がそれぞれ形成されている。
【0028】
屋根材81Bは、
図11(B)に示すように、中空枠状のパネル材86と、下側重なり部868と、上側重なり部869とを有している。パネル材86は、上面部861と、下面部862と、上面部861および下面部862に連続した一対の側面部863,864と、一対の側面部863,864の間において上面部861および下面部862に連続した二つの縦片部865とを有している。上面部861、下面部862および二つの縦片部865によって断面四角形状のボックス部89が構成されており、このボックス部89の各角部にはビスホール85がパネル材86の長手方向に延びて形成されている。上面部861には二つの立上り片部866が形成されており、これにより、上面部861の上面861Aには、この二つの立上り片部866の立上り面866A(立上り片部866の上面)を有した断面凹状の樋部867が形成されている。また、パネル材86には、側面部863から外側に突出した前述した樋部837が形成されている。
また、前述した挿通口91は下面部862を貫通して構成されており、挿通口92は樋部867の底部を貫通して構成されている。
このパネル材86の内部には、二つの縦片部865によって区画された三つの中空部871,872,873が形成されており、挿通口91,92は、中央の中空部871に連通している。
下側重なり部868は、上面部861のうち樋部867よりも側面部863側の部分によって構成されており、側面部863に対して内側に位置している。
上側重なり部869は、側面部864から外側に向かって延出した上重なり片部によって構成されている。
【0029】
屋根材81Cは、
図11(C)に示すように屋根材81Aと概略同様に形成されているが、上側重なり部846に代えて、下側重なり部836Aを有している。この下側重なり部836Aは、立上げ片部834Aおよび下重なり片部835Aを有して下側重なり部836と同様に構成されているが、下重なり片部835Aはパネル材82の幅方向において側面部833側に向かって延出している。つまり、下重なり片部835,835Aは、立上げ片部834,834Aから屋根材81Cの幅方向における中央側に向かって延出している。また、側面部833,843の双方に樋部837が形成されている。
【0030】
前枠61は、複数の屋根材81のうちX軸方向における両端に位置する屋根材81A,81CまでにわたってX軸方向に延びた端板材611を備えており、端板材611にはX軸方向に延びた化粧材615が取り付けられる(
図13参照)。端板材611および化粧材615はアルミ押出形材によって形成されている。
端板材611は、略矩形板状に形成されており、その上部にはX軸方向外側に延出した延出片部612が形成されており、その下部にはX軸方向外側に開口した嵌合溝部613が形成されている。また、端板材611には、固定具である固定ビス65がそれぞれ挿通される複数の孔614が形成されている。孔614の各位置は、
図13に示す複数の屋根材81(81A,81B,81C)のビスホール85の各位置に対応した配置となっている。
この端板材611は、複数の屋根材81の長手方向における端部811(前枠61側の端部)との間にX軸方向に延びたシート状の乾式シール材55を挟み込んだ状態で固定ビス65によって屋根材81の各端部811に固定されている。
乾式シール材55は、スポンジ、ゴム等によって矩形シート状に形成されており、端板材611と略同じ長さ寸法とされている。この乾式シール材55は、固定ビス65のねじ軸部65AがY軸方向に沿った状態で端板材611の各孔614に挿通されて複数の屋根材81の各ビスホール85にねじ込まれることで、複数の屋根材81の中空部829,839,849,871,872,873の端部811における開口をまとめて塞いでおり、複数の屋根材81の端部811と端板材611との間を止水している。
化粧材615は、
図14に示すように、上面部616A、側面部616Bおよび下面部616Cを有して断面略コ字形状に形成された化粧本体部616と、化粧本体部616からY軸方向外側に張り出した中空枠状の化粧張出部617とを有している。上面部616Aの縁部には端板材611に当接する当接片部618が下方に垂下して形成されている。下面部616Cの縁部には、端板材611の嵌合溝部613に嵌合する嵌合膨大部619が形成されている。また、下面部616Cには、二つの垂下片部616Dが連続しており、この二つの垂下片部616Dの下縁には底面部616Eが連続している。化粧本体部616において、上面部616A、側面部616B、嵌合膨大部619側の垂下片部616Dおよび底面部616Eには、X軸方向に沿ったビスホール66がそれぞれ形成されている。また、化粧張出部617の内面には、X軸方向に沿ったビスホール66が複数形成されている。
化粧材615の長手方向における端部615Aは、後述する化粧材645の長手方向における端部645Aと突合せ可能に斜めカットされており、この端部615Aには
図14に示す角部シール部材68が固定具である固定ビス67によって固定されている。なお、化粧材615の長手方向における反対側の端部615Aも前述同様に斜めカットされて角部シール部材68が固定ビス67によって固定されている(
図1参照)。
角部シール部材68は、化粧材615の端部615Aを塞ぐ樹脂製のキャップ部材として構成されており、シール板部681と、シール板部681の周縁から当該シール板部681の面外方向両側に延出した周縁延出部682とを有している。角部シール部材68の外形は、化粧材615の外形に概略沿った形状とされている。
この化粧材615は、当接片部618が端板材611の延出片部612に載せられて当該端板材611の外面に当接し、且つ、嵌合膨大部619が端板材611の嵌合溝部613に嵌合されることで、端板材611に取り付けられる。なお、当接片部618は端板材611にねじ止めされてもよい。このように端板材611に取り付けられた化粧材615は、端板材611を外部から覆っており、端板材611と上面部616A、側面部616Bおよび下面部616Cによって電線管100等を配管可能な空間を形成している。
【0031】
屋根50が傾斜しているので前枠61よりも低い位置にある後枠62は、
図5に示すように、複数の屋根材81の長手方向における端部812(後枠62側の端部)にねじ止めされた排水用端板材621を備えており、この排水用端板材621には、X軸方向に沿った樋部626が形成された化粧材625が取り付けられている。排水用端板材621および化粧材625はアルミ押出形材によって形成されている。
排水用端板材621は、
図12に示すように、複数の屋根材81のうちX軸方向において両端側に位置する屋根材81A,81CにわたってX軸方向に延びて形成されており、その上縁のうち各屋根材81A~81Cの樋部831,841,867に対応する位置には、当該樋部831,841,867を開放する複数の排水溝622が形成されており、複数の排水溝622を通じて化粧材625の樋部626に排水可能である。また、排水用端板材621の下縁は、各屋根材81の下面部822,862よりも高い位置に配置されており、これにより、仮に中空枠状の屋根材81内に雨水が浸入しても、排水用端板材621の下方から化粧材625の樋部626に排水可能である。
化粧材625は、
図5に示すように、前記樋部626が断面略凹状に形成された化粧本体部627と、化粧本体部627からY軸方向外側に張り出した化粧張出部628とを有して枠状に形成されている。この化粧材625には、X軸方向に沿った複数のビスホール66が形成されており、これらのビスホール66に固定ビス67(
図14参照)がねじ込まれることによって前述した角部シール部材68が化粧材625の長手方向における両端部635A(
図1参照)にそれぞれ固定されている。
【0032】
側枠63は、
図4および
図12に示すように、上梁70の長手方向における一方の端部にねじ止めされた側板材631を備えており、この側板材631には化粧材635が取り付けられている。側板材631および化粧材635はアルミ押出形材によって形成されている。側板材631はY軸方向に延びて形成されているとともにビスホールが形成されており、このビスホールに固定ビス65がねじ込まれることによって側板材631の両端に端板材611および排水用端板材621が固定される。この側板材631には前述した上側重なり部632が形成されている。
化粧材635は、Y軸方向に沿って枠状に形成されており、その外形は、化粧材615,625の外形と同形状に形成されている。化粧材635の長手方向における両端部635Aには、化粧材615,625に固定された角部シール部材68にそれぞれ接着されるており、これにより、端部635Aが化粧材615,625の端部615A,625Aに突き合わされて屋根枠60のコーナー部69を構成している(
図1参照)。
【0033】
側枠64は、
図1、
図4および
図12に示すように、側枠63の側板材631と同様に形成された側板材641を備えており、化粧材635と同様に形成された化粧材645が側板材641に取り付けられている。この側枠64は、X軸方向において側枠63とは逆向きに配置されている。側板材641には前述した上側重なり部642が形成されている。化粧材645の長手方向における両端部645Aには、化粧材615,625に固定された角部シール部材68がそれぞれ接着されており、これにより、端部645Aが化粧材615,625の端部615A,625Aに突き合わされて屋根枠60のコーナー部69を構成している(
図1参照)。このように構成された各コーナー部69は、乾式の角部シール部材68によって止水されている。
【0034】
前述した屋根50は次のようにして施工される。まず、束10に屋根材81Bを通して上梁70を固定し、上梁70の両端部に側枠63,64の側板材631,641を取り付けて
図12に示すように二方枠を形成する。なお、この時点では
図12に二点鎖線で示す後枠62は取り付けられていない状態である。
次に、この二方枠内に複数の屋根材81を設置する。手順は次の通りである。複数の屋根材81をX軸方向に並べて梁4に載置し、
図12において左端に位置する屋根材81AをZ軸方向において真上に移動し、この屋根材81Aの下重なり片部835を側板材641の上側重なり部642の下側に重ね合わせ、重ね合わせた上側重なり部642および下重なり片部835を固定具である固定ネジ87によって固定する。
次に、固定した屋根材81Aの上重なり片部845の真下に別の屋根材81Aの下重なり片部835を配置し、下方の屋根材81Aを真上に移動して、上重なり片部845の下側に下重なり片部835を重ね合わせ、重ね合わせた上重なり片部845および下重なり片部835を固定ネジ87によって固定する。
次に、屋根材81Aの上重なり片部845の真下に下側重なり部868が位置する屋根材81Bを束10に沿って真上に移動して、上重なり片部845の下側に下側重なり部868を重ね合わせ、重ね合わせた上重なり片部845および下側重なり部868を固定ネジ87によって固定する。
次に、屋根材81Bの上側重なり部869の真下に屋根材81Aの下重なり片部835を配置し、屋根材81Aを真上に移動して、上側重なり部869の下側に下重なり片部835を重ね合わせ、重ね合わせた上側重なり部869および下重なり片部835を固定ネジ87によって固定する。このように、屋根材81同士、または屋根材81A,81B同士をX軸方向に沿って連結していく。
最後に、側板材631の上側重なり部632の真下に屋根材81C(端部屋根材)の下重なり片部835Aを配置すると共に、屋根材81Aの上重なり片部845の真下に屋根材81Cの下重なり片部835を配置し、屋根材81Cを真上に移動して、側板材631の上側重なり部632の下側に屋根材81Cの下重なり片部835Aを重ね合わせ、且つ、屋根材81Aの上側重なり片部845に屋根材81Cの下重なり片部835を重ね合わせ、重ね合わせた上側重なり部632および下重なり片部835Aを固定ネジ87によって固定すると共に、重ね合わせた上側重なり片部845および下重なり片部835を固定ネジ87によって固定する。
このようにして、複数の屋根材81をX軸方向に並設する。なお、上重なり片部845および上側重なり部632,642,869と下重なり片部835および下側重なり部868との間には、ブチルゴム等の止水材が挟み込んでおり、これにより前述した重ね合わせ部分を止水している。
複数の屋根材81の並設後、
図13に示すように複数の屋根材81の端部811に対して、乾式シール材55を挟み込んだ状態で端板材611を固定ビス65によって固定し、固定ビス65による締め付けによって前記端部811および端板材611の間を止水する。また、複数の屋根材81の端部812(
図5参照)に対して排水用端板材621を固定する。これにより、端板材611、排水用端板材621および側板材631,641を四周枠組みする。続いて、化粧材635,645を側板材631,641にそれぞれ取り付け、両端部615A,625Aに角部シール部材68が固定された化粧材615,625を端板材611および排水用端板材621にそれぞれ取り付けると共に、化粧材635,645の両端部635A,645Aを角部シール部材68の周縁延出部682内に差し込んで当該角部シール部材68に接着する。なお、接着剤は角部シール部材68に予め塗布しておく。このようにして前枠61、後枠62および側枠63,64を枠組みしてなる屋根枠60を構成する。以上のようにして屋根50を施工する。
【0035】
第1実施形態のカーポート1では、
図4、
図5、
図8および
図10に示すように、前述した屋根材81Bと束10との間を、屋根材81Bの上面に設置した樹脂製の止水部材110によって止水する止水構造が構成されている。
止水部材110は、挿通口92の上部開口92Aを囲んだ筒状本体111と、筒状本体111の内周に形成された複数の下固定ビスホール121および複数の上固定ビスホール122とを有している。
筒状本体111は、一対の縦側片部112,113および一対の横側片部114,115を有して平面視四角形状に形成されており、筒状本体111の四つの角部は円弧面によって丸角状に形成されている。
複数の下固定ビスホール121および複数の上固定ビスホール122は、筒状本体111の軸方向にそれぞれ延びて形成されている。下固定ビスホール121は、縦側片部112,113のそれぞれに対してX軸方向の間隔を隔てて二つ形成されており、横側片部114,115のそれぞれに対してY軸方向の間隔を隔てて四つ形成されている。前述した下固定ビスホール121の上面121Aは、筒状本体111の上面111Aに対してZ軸方向における上下寸法H(
図10(B)参照)だけ低い位置に配置されている。
上固定ビスホール122は、縦側片部112,113のそれぞれに対してX軸方向の間隔を隔てて二つ形成されており、各二つの上固定ビスホール122間には、縦側片部112,113にそれぞれ形成された各二つの下固定ビスホール121が配置されている。上固定ビスホール122は、横側片部114,115のそれぞれに対して一つ形成されており、横側片部114,115のY軸方向における中央位置にそれぞれ配置されている。横側片部114,115に形成された上固定ビスホール122のY軸方向における両側には、横側片部114,115に形成された下固定ビスホール121が二つずつ配置されている。
この止水部材110は、複数の下固定ビスホール121に螺合した固定ビス123によって屋根材81Bの上面部861に固定されており、複数の上固定ビスホール122に螺合した固定ビス123によって上梁70の下面部71(
図5参照)に固定されている。ここで、筒状本体111の下面111Bと屋根材81Bの上面部861における上面861Aとの間には、筒状本体111の下面111Bに沿った平面視四角形状の乾式シール材125が介在されており、固定ビス123のねじ込みによって筒状本体111の下面111Bと屋根材81Bの上面861Aとに圧着されることで止水部材110と屋根材81Bとの間を止水している。また、筒状本体111の上面111Aと上梁70の下面71A(
図5参照)との間にも乾式シール材125が介在されており、固定ビス123のねじ込みによって筒状本体111の上面111Aと上梁70の下面71Aに圧着されることで止水部材110と上梁70との間を止水している。
【0036】
[第1実施形態の効果]
(1-1)屋根50の浮遊感を演出することを目的とした場合、カーポート1は、一対の支柱3および一対の支柱3に固定された梁4によってそれぞれ構成されて並設された二つのフレーム2A,2Bと、梁4
(梁4の底面部421(図5参照))にそれぞれ立設された束10と、束10に支えられた屋根50とを備えており、束10は、梁4の長手方向において屋根50の周縁部(周縁部を構成する屋根枠60)よりも内側に配置されていることを特徴とする。上記構成を有するため、束10の上下寸法に応じて、屋根50を梁4から上方に離して配置することができる。また、束10は、X軸方向において屋根50の周縁部を構成する屋根枠60の側枠63,64よりも内側に配置されているので、屋根50を支柱3側から見上げても、束10が梁4にある程度隠れて目立たない外観を構成できる。このように、屋根50を梁4に対して上方に離して配置すると共に束10が目立たない構成とすることで、屋根50が梁4に対して上方に浮いているような浮遊感を演出することができる。
(1-2)屋根50は、屋根50の周縁部を構成する屋根枠60と、両端が屋根枠60に取り付けられた上梁70と、屋根枠60に取り付けられた屋根材81とを備えており、上梁70は、束10の上端部11に取り付けられており、上梁70の長手方向は、梁4の長手方向と平行である。このため、例えば上梁70と梁4との長手方向が直交する場合と比べて、束10の上梁70および梁4に対する取付位置を上梁70および梁4の長手方向に沿った位置に自由に設定することができる。
(1-3)屋根50は、屋根50の周縁部を構成する屋根枠60と、両端が屋根枠60に取り付けられた上梁70と、屋根枠60に取り付けられた屋根材81とを備えており、屋根材81は、上梁70に対して下方に配置されている。このため、屋根材81を上梁70に対して下方に配置することで、屋根50を下側から見上げても上梁70が見えないシン
プルな外観を構成することができる。
(1-4)屋根50は、中空部871を有した屋根材81によって構成されており、屋根材81には、中空部871に連通した挿通口91,92が形成されており、挿通口91,92には、束10の上端部11が挿通されている。このため、束10の上端部11を屋根材81の中空部871に配置できるので、束10の上端部11を屋根50に取り付けても取付部分が外部に露出しない配置にできる。このように束10の上端部11を屋根材81によって隠すことができ、屋根50を下側から見上げた際に屋根50および束10の取付部分が露出しないシンプルな外観を構成できる。
(1-5)二つのフレーム2A,2Bのうちの一方における一対の支柱3の上下寸法L1は、二つのフレーム2A,2Bのうちの他方における一対の支柱3の上下寸法L2と異なっている。このため、フレーム2Aに立設された束10Aとフレーム2Bに立設された束10Bとの上下寸法が同じであっても、フレーム2Aの支柱3とフレーム2Bの支柱3との上下寸法L1,L2を異ならせることで、フレーム2A,2Bの並設方向における屋根勾配を設定することができ、フレーム2A,2Bにそれぞれ立設される束10A,10Bに共通のものを採用できる。
(1-6)屋根50は、屋根50の周縁部を構成する屋根枠60と、両端が屋根枠60に取り付けられた上梁70と、屋根枠60内に並設されていると共に各両端が屋根枠60に取り付けられた複数の金属製の屋根材81とを備えており、上梁70および梁4の長手方向は平行であり、複数の屋根材81の長手方向は、上梁70の長手方向に対して直交している。このため、上梁70の長手方向に沿った外力が屋根50に加えられた場合には、この外力を上梁70によって受けることができ、また、複数の屋根材81の長手方向に沿った外力が屋根50に加えられた場合には、この外力を複数の屋根材81によって受けることができる。このように本発明では、上梁70のほか複数の屋根材81を屋根50の構造材として機能させることができ、屋根50の剛性を高めることができる。
また、間口寸法が異なる各種のカーポート1を構成する場合、X軸方向に並設される屋根材81の枚数を適宜設定することで前記各種のカーポート1の間口寸法に応じた屋根50を構成できる。
(1-7)梁4のうち屋根50の下面822A,862Aに対してZ軸方向に対向する領域内には、屋根50の下面822A,862Aを照らす上方照明具としてのアッパーライト510が設置されている。このため、梁4に設置したアッパーライト510によって屋根50の下面822A,862Aを照らすことで、梁4から上方に離間した屋根50の浮遊感を照明演出できる。また、例えば取付アームなどによって梁4から張り出した位置にアッパーライト510を取り付ける場合と比べて、アッパーライト510が梁4のうち屋根50の下面822A,862Aに対向する領域内に収まるので、アッパーライト510が外観上目立たない構成にできる。
【0037】
(2-1)風、地震等によって屋根50やフレーム2A,2Bに水平方向の力が加えられた場合、束10にはその軸方向に直交する水平方向のせん断力が加えられることがあるので、束10の水平方向のせん断耐力を向上させることが望まれる。水平方向のせん断耐力を向上することを目的とした場合、束10は、角筒状に形成された束材20と、角筒状に形成されていると共に束材20の中空部25に配置された補強材30とを備えており、束材20は、一対の第一束片部21,22と、一対の第一束片部21,22に交わって角部261~264(厚肉部)を形成する一対の第二束片部23,24とを有しており、角部261~264は、一対の第一束片部21,22が互いに対向するY軸方向における寸法T1(厚さ寸法)が第一束片部21,22の厚さ寸法T4よりも大きくされていると共に、一対の第二束片部23,24が互いに対向するX軸方向における寸法T2(厚さ寸法)が第二束片部23,24の厚さ寸法T3よりも大きくされており、各角部261~264のそれぞれには、束材20の軸方向に沿った固定孔27が穿設されていることを特徴とする。上記構成を有するため、束材20の下端29において固定ボルト7等の固定具をフレーム2A,2Bの梁4などの下部構造物を介して各角部261~264の固定孔27に締結し、また前述した固定体40を備える場合には固定体40の取付片部44A,44B,45A,45Bを固定ネジ8によって下部構造物に取り付けることで、下部構造物に束10を固定でき、束材20の上端28において固定ボルト7等の固定具を屋根50の上梁70などの上部構造物を介して各角部261~264の固定孔27に締結することで、上部構造物を束10に固定できる。また、上部構造物の鉛直荷重は束材20の中空部25に配置された補強材30によって支持できる。更に、前述したように第一束片部21,22および第二束片部23,24の厚さ寸法T3,T4よりも大きい寸法T1,T2とされた各角部261~264に固定孔27が穿設されているので、例えば束材20の中空部25とつながるビスホールが束材20の第一角部261から第四角部264に形成されている場合と比べて、束材20の水平方向のせん断耐力を向上することができる。
なお、束10は、前述したカーポート1のような屋根構造体の屋根50を支える束10として用いられるだけではなく、床、デッキ、テラス屋根などを支える束10として用いることができ、このように用いられる場合にも束10の水平方向のせん断耐力を向上することができる。束10を備えた構造体としては、カーポート1等の屋根構造体のほか、床、バルコニー、テラス、アプローチなどが挙げられる。
(2-2)束10の第二束片部23,24には、補強材30に向かって突出した当接凸部231,241が形成されている。このため、風、地震等によって束材20の第二束片部23,24の面外方向(X軸方向)の外力が束10に加えられた場合には、前述した当接凸部231,241が補強材30に当接することで、X軸方向における束のせん断耐力を向上することができる。
(2-3)束10は、束材20の下端29に固定された固定体40を備えており、固定体40は、固定孔27に締結された固定ボルト7等の固定具によって束材20の下端29に固定された固定片部41Aと、固定片部41Aから垂下した一対の垂下片部42A,43Aと、垂下片部42A,43Aの下縁47に連続した一対の取付片部44A,45Aとを有している。このため、固定ボルト7を束材20の下端29から固定孔27に締結することで固定片部41Aを束材20の下端29に固定できるので、固定ボルト7を挿通するための挿通孔などをフレーム2A,2Bの梁4などの下部構造物に予め加工する手間を省くことができ、また、この挿通孔を形成することによる下部構造物の強度の低下をなくすことができる。この場合、束10の下部構造物への固定は、固定体40の一対の取付片部44A,45Aを下部構造物に面接触させ、取付けネジ9を一対の取付片部44A,45Aから下部構造物にねじ込むことによって行われる。また、固定片部41Aは、垂下片部42A,43Aによって取付片部44A,45Aよりも高い位置に配置されるので、固定孔27に締結された固定ボルト7の頭部(固定具の一部)が固定片部41Aの下面から突出していても、この突出部分を固定片部41Aと下部構造物との間に納めることができる。
(2-4)束10の固定体40は、固定片部41A,41B、一対の垂下片部42A,42B,43A,43Bおよび一対の取付片部44A,44B,45A,45Bをそれぞれ有した第一固定部材40Aおよび第二固定部材40Bを備えており、第一固定部材40Aにおける一対の垂下片部42A,43Aおよび一対の取付片部44A,45Aは、第二固定部材40Bにおける一対の垂下片部42B,43Bおよび一対の取付片部44B,45Bに重ね合わされており、第一固定部材40Aの固定片部41Aは、固定孔27に締結された固定ボルト7等の固定具によって束材20に固定されており、第二固定部材40Bの固定片部41Bは、第一固定部材40Aの固定片部41Aに対して上下方向(Z軸方向)の間隔を隔てて固定されている。このため、第一固定部材40Aおよび第二固定部材40Bを重ね合わせて固定体40を構成することで、例えば一つの固定部材によって固定体40を構成する場合と比べて、固定体40の強度を向上することができる。また、固定ボルト7の頭部(固定具の一部)を第一固定部材40Aおよび第二固定部材40Bの固定片部41A,41Bの間に配置でき、例えば固定ボルト7が緩んで下方に落ちてきても、固定ボルト7が第二固定部材40Bの固定片部41Bに当接するので、固定ボルト7の脱落を防止することができる。
(2-5)固定片部41A(41B)には、配管用開口471が形成されており、一対の垂下片部42A,43A(42B,43B)および一対の取付片部44A,45A(44B,45B)のうちの少なくとも一方の垂下片部、第1実施形態では双方の垂下片部42A,43A(42B,43B)および双方の取付片部44A,45A(44B,45B)には、配管用切欠き472が形成されている。このため、電線管100等を束材20の中空部25に通し、配管用開口471から配管用切欠き472を通すことができ、梁4などの下部構造物に対して電線管100を通すための配管用開口や切欠きを加工する必要をなくすことができ、この加工による下部構造物の強度の低下をなくすことができる。
(2-6)束10の固定体40には、一対の垂下片部42A,43A(42B,43B)の対向方向(X軸方向)に沿った補強リブ46が一対の垂下片部42B,43Bに連続して形成されている。このため、補強リブ46によってX軸方向における固定体40の強度を向上することができる。なお、固定体40が第二固定部材40Bを備えず、第一固定部材40Aによって構成される場合には、補強リブ46は一対の垂下片部42A,43Aに連続して形成される。
(2-7)束材20は、第二束片部23,24が第一束片部21,22の幅寸法W2よりも大きい幅寸法W1とされているので、Y軸方向のせん断耐力よりもX軸方向のせん断耐力が大きくなる構成とされている。このように束材20はX軸方向を強軸方向とされているが、束材20がX軸方向の大きな外力を受けると若干歪もうとする場合がある。この場合には、第一角部261から第四角部264が補強材30に当接することで束材20を補強することができる。
(2-8)梁4に立設された束10に対して上梁70が固定されることで、梁4が上梁70によって補強されることとなり、梁4がその自重によって下方に撓むことを抑制できる。このため、梁4がX軸方向に真っ直ぐ延びた形状を保つことができ、例えば自重によって下方に撓んだ梁と比べて、外観上スリムな印象を与えることができる。また、梁4に設置されたアッパーライト510などを所定の照射向きに保つことができる。
【0038】
(3-1)束10および屋根50の接合箇所に止水処理を施すことが望ましいが、例えば湿式シール材などを屋根50と束10との接合箇所に直接塗布する止水作業には手間を要する。屋根50と束10との止水作業を簡略化することを目的とした場合、挿通口91,92が構成された屋根材81と挿通口91,92に挿通された束10との間を止水する止水構造は次の通りとなる。屋根材81の上面861Aには止水部材110が設置されており、止水部材110は、挿通口92の上部開口92Aを囲んだ筒状本体111と、筒状本体111の内周に形成された複数の下固定ビスホール121とを有しており、止水部材110は、複数の下固定ビスホール121に螺合した固定ビス123によって屋根材81に固定されていることを特徴とする。上記構成を有するため、束10が挿通された屋根材81の挿通口91,92を止水部材110の筒状本体111によって囲み、止水部材110を屋根材81にビス固定することで、屋根材81の挿通口91,92の周囲に堰を構成することができ、これにより屋根材81と束10との間を止水できる。このように止水部材110を屋根材81に対して上方から設置するだけで止水構造を構成できるので、例えば屋根材81と束10との接合箇所に湿式シール材を直接塗布する手間を省いて止水作業を簡略化できる。また、工場等にて予め止水部材110を屋根材81に固定しておくことができるので、止水部材110および屋根材81を圧着する場合や、止水部材110および屋根材81の接合箇所に湿式シール材、乾式シール等を用いる場合のいずれにおいても、屋根材81等の施工現場における止水作業を簡略化できる。
(3-2)屋根材81の上面861Aおよび止水部材110の下面111Bの間には、乾式シール材125が介在されていてもよい。このような構成によれば、止水部材110の下固定ビスホール121に固定ビス123をねじ込むことで、乾式シール材125を止水部材110の下面111Bおよび屋根材81の上面861Aに圧着でき、これにより、屋根材81の上面861Aと止水部材110の下面111Bとの間の止水性を向上できる。
(3-3)屋根材81の上面861Aには、二つの立上り面866Aを有した断面凹状の樋部867が形成されており、挿通口92は樋部867において開口しており、束10の上端には上梁70が固定されており、止水部材110は、筒状本体111の内周に形成された複数の上固定ビスホール122を有しており、止水部材110は、複数の上固定ビスホール122に螺合した固定ビス123によって上梁70に固定されている。このため、止水部材110を上梁70にビス固定することで、止水部材110および上梁70の間を止水でき、例えば屋根材81の樋部867を流れる水の水位が上昇しても、止水部材110および上梁70の間から水が浸入して挿通口92から流れ落ちることを抑制できる。
(3-4)複数の下固定ビスホール121の上面121Aは、筒状本体111の上面111Aよりも低い位置に配置されている。このため、固定ビス123を下固定ビスホール121の上からねじ込んで止水部材110を屋根材81に固定しても、固定ビス123を筒状本体111の上面111Aよりも低い位置に収めることができる。このように、下固定ビスホール121にねじ込んだ固定ビス123が止水部材110よりも上方に突出しないので、固定ビス123を上固定ビスホール122にねじ込んで止水部材110を上梁70に固定しても、上梁70の固定の邪魔とならない。
【0039】
(4-1)少なくとも二方の側枠63,64(枠材)が枠組みされ、二方枠内に複数の屋根材81を並設する場合であって、二方枠内に遊び空間がほとんどなくても複数の屋根材81を簡単に施工することを目的とした場合、複数の屋根材81は、一対の側面部833,843(863,864)を有した中空枠状のパネル材82(86)と、一対の側面部833,843(863,864)のうちの一方の側面部843(864)よりも外側に延出した上側重なり部846(869)と、一対の側面部833,843(863,864)のうちの他方の側面部833(863)よりも内側に位置した下側重なり部836(868)とを有しており、複数の屋根材81のうち互いに隣接する一方の屋根材81の上側重なり部846(869)の下側には、複数の屋根材81のうち互いに隣接する他方の屋根材81の下側重なり部836(868)が重ね合わされていることを特徴とする。上記構成を有するため、一方の屋根材81の上側重なり部846(869)の下方に他方の屋根材81の下側重なり部836(868)を配置し、これら屋根材81のいずれかをZ軸方向に移動させるだけで、上側重なり部846(869)の下側に下側重なり部836(868)を簡単に重ね合わせることができ、この上側重なり部846(869)および下側重なり部836(868)を固定ネジ87によって固定することで複数の屋根材81を並設することができる。
また、例えば屋根材81の側面部833,843(863,864)から延出した樋部があっても、屋根材81の側面部843(864)よりも外側に位置した上側重なり部846(869)が、屋根材81の側面部833(863)よりも内側に位置した下側重なり部836(868)に重ね合わされるので、例えば上側重なり部および下側重なり部のうちの一方と樋部との間に他方を呑み込ませる構成とはならず、前述同様に屋根材81を上下方向に移動させるだけで、上側重なり部846(869)および下側重なり部836(868)を簡単に重ね合わせることができる。
更に、複数の屋根材81の並設方向における屋根枠60の二つの側枠63,64間の寸法に遊びがなくても複数の屋根材81を簡単に並設することができる。
(4-2)屋根材81Aでは、上側重なり部846は、パネル材82から上方に立ち上げられた立上げ片部844と、立上げ片部844からパネル材82の外側に向かって延出した上重なり片部845とを有しており、下側重なり部836は、パネル材82から上方に立上げられた立上げ片部834と、立上げ片部834からパネル材82の内側に向かって延出した下重なり片部835とを有している。このため、下側重なり部836および上側重なり部846が立上げ片部834,844によってパネル材82から立ち上げられているので、立上げ片部834,844の間に樋部を構成できる。このため、樋部材を屋根材81Aに設置する必要がなくなり、部品点数を削減できると共に樋の施工を簡略化でき、屋根材81Aにおいて樋部分が目立たないシンプルな外観を構成できる。
また、屋根材81Cでは、下側重なり部836,836Aが立上げ片部834,834Aによってパネル材82から立ち上げられているので、立上げ片部834,834Aの間に樋部を構成でき、前述同様の作用効果を発揮できる。
(4-3)複数の屋根材81の並設方向に沿った上梁70を備えており、パネル材82には、上側重なり部846および下側重なり部836(836A)よりも上方に突出した取付部821Aが形成されており、取付部821Aが上梁70に取り付けられている。このため、下側重なり部836(836A)および上側重なり部846が立上げ片部834(834A),844によって上方に立ち上げられていても、これらよりも上方に位置する取付部821Aを上梁70に取り付けることができる。
(4-4)パネル材82は、一対の側面部833,843に連続した上面部821および下面部822と、一対の側面部833,843の間において上面部821および下面部822に連続した二つの縦片部823とを有しており、上面部821、下面部822および二つの縦片部823によって中空部829が形成されており、上面部821のうち二つの縦片部823の間に位置する部分が取付部821Aとして構成されている。このため、取付部821A、下面部822および二つの縦片部823によってボックス部88を構成することでパネル材82の強度を高めることができ、また、このように強度の高い部分で取付部821Aを上梁70に取り付けることができる。
(4-5)前記複数の屋根材81の並設方向において対向する二方の枠材としての側枠63,64を少なくとも有した屋根枠60と、複数の屋根材81の並設方向において屋根枠60および複数の屋根材81A,81Bの間に配設される屋根材81C(端部屋根材)とを備えており、屋根材81Cは、一対の側面部833,843を有した中空枠状のパネル材82(端部パネル材)と、一対の側面部833,843のそれぞれよりも内側に延出した二つの下側重なり部836,836Aを有しており、屋根枠60の二方の側枠63,64のうち屋根材81Cに隣接する側枠63には、当該側枠63から屋根材81C側に延出した上側重なり部632が形成されており、複数の屋根材81のうち屋根材81Cに隣接する屋根材81Aの上側重なり部846の下側には、屋根材81Cの下側重なり部836が重ね合わされており、側枠63の上側重なり部632の下側には、屋根材81Cの下側重なり部836Aが重ね合わされている。このため、屋根材81Cがその幅方向における両側面部833,843よりも内側に位置した二つの下側重なり部836,836Aを有しているので、屋根材81Cを屋根材81Aおよび側枠63に対して上下方向に移動させるだけで、屋根材81Cの二つの下側重なり部836,836Aを当該屋根材81Cに隣接する屋根材81Aの上側重なり部846と側枠63の上側重なり部632との双方に簡単に重ね合わせることができ、重ね合わせた下側重なり部836,836Aおよび上側重なり部846,632を固定ネジ87によって互いに固定することで、屋根材81Cを屋根枠60および屋根材81Aの間に配設することができる。また、屋根材81Cを複数の屋根材81の並設方向に移動させる必要がないので、複数の屋根材81の並設方向における屋根枠60の二つの側枠63,64間の寸法に遊びがなくても、屋根材81Cを上下方向に移動させるだけで設置することができる。
(4-6)また、複数の屋根材81の下側重なり部836(868)は、前述したように側面部833(863)よりも内側に位置しているので、例えば側面部833(863)から外側に延出した下側重なり部と比べて、屋根材81の強度の高い位置で隣接する屋根材81の上側重なり部846(869)から加えられる鉛直荷重を支持でき、また、隣接する屋根材81同士の間隔を狭めることができる。
【0040】
(5-1)複数の中空枠状の屋根材81における端部811を止水することを目的とした場合、複数の中空枠状の屋根材81が並設されて構成される屋根50は、複数の屋根材81がその長手方向における端部811に開口811Aがそれぞれ形成されており、複数の屋根材81の長手方向における端部811には、前記開口811Aを覆う端板材611が配置されており、複数の屋根材81の長手方向における端部811および端板材611の間には、複数の屋根材81の並設方向(X軸方向)に延びたシート状の乾式シール材55が配置されており、乾式シール材55は、屋根材81の長手方向(Y軸方向)に沿ったねじ軸部65Aを有した固定ビス65が端板材611から屋根材81の長手方向における端部811にねじ込まれることで、複数の屋根材81の前記開口811Aを塞いでいることを特徴とする。上記構成を有するため、複数の屋根材81の長手方向における端部811に対して端板材611を固定する際にシート状の乾式シール材55を屋根材81の長手方向における端部811および端板材611の間に挟み込み、固定ビス65のねじ軸部65Aを端板材611から屋根材81の端部811にねじ込むことで、中空枠状の屋根材81の長手方向における端部811と端板材611との間を止水できる。このため、例えば前枠に呑み込み溝などを形成し、この呑み込み溝に屋根材81の端部811を呑み込ませる必要がなく施工が容易である。
また、Y軸方向に沿った固定ビス65のねじ軸部65Aを端板材611から屋根材81の端部811にねじ込むので、乾式シール材55は複数の屋根材81の端部811に圧接することとなり、止水性を向上することができる。
更に、乾式シール材55に対して、例えば屋根材81を上から押える押え材の端部が部分的に圧接することがないので、この圧接部分を湿式シール材によって止水する必要がなく、止水作業を簡略化することができる。
(5-2)複数の屋根材81A~81Cは、一対の側面部833(863),843(864)と、一対の側面部833(863),843(864)に連続した上面部821(861)および下面部822(862)と、一対の側面部833(863),843(864)の間において上面部821(861)および下面部822(862)に連続した二つの縦片部823(865)とを有しており、上面部821(861)、下面部822(862)および二つの縦片部823(865)によってボックス部88(89)が構成されており、ボックス部88(89)の各角部には、屋根材81の長手方向に沿ったビスホール85が形成されており、ビスホール85には、固定ビス65のねじ軸部65Aがねじ込まれている。このため、一対の側面部833(863),843(864)の間において上面部821(861)および下面部822(862)を二つの縦片部823(865)でつないでボックス部88(89)を構成することで、中空枠状の屋根材81の強度を高めることができ、また、このように強度が高められたボックス部88(89)の各角部にビスホール85を形成しているので、屋根材81の長手方向における端部811のうち強度が高められた部分に固定ビス65をねじ込むことで端板材611を強固に固定することができ、乾式シール材55によってボックス部88と端板材611との間をより密に止水できる。このため、ボックス部88(89)によって形成される中空部829(871)を、電線管100等を配設する空間として好適に利用できる。
(5-3)端板材611は、複数の屋根材81の並設方向において複数の屋根材81の端部811にわたって延びている。このため、複数の屋根材81の端部811に対して一つの端板材611を固定することができ、例えば複数の屋根材81の端部811のそれぞれに別々の端板材611を固定する場合と比べて施工性を向上することができる。また、一つの端板材611によって複数の屋根材81の端部811がつながれるので、端板材611を屋根50の枠材として構成することができ、この端板材611のほかに当該端板材611に沿った枠材を別途設ける必要をなくすことができる。
(5-4)端板材611には、当該端板材611を覆う化粧材615が取り付けられている。このため、例えば端板材611および化粧材615が一体に形成されている場合と比べて、化粧材615の取付け前は端板材611が外部に露出しているので、端板材611に対して直接に固定ビス65を挿通させることができ、端板材611を複数の屋根材81の端部811に容易に固定することができる。
(5-5)複数の屋根材81の並設方向に沿った化粧材615(第一化粧材)と、複数の屋根材81の長手方向に沿った化粧材635(645)(第二化粧材)とを備えており、化粧材615の端部615Aと化粧材635(645)の端部635A(645A)とが突き合わされてコーナー部69が構成されており、化粧材615の端部615Aには、角部シール部材68が固定ビス67によって固定されており、化粧材635(645)の端部635A(645A)には、角部シール部材68が接着されている。このため、工場等において予め化粧材615の端部615Aに角部シール部材68を固定することで、施工現場では化粧材635(645)の端部635A(645A)に角部シール部材68を接着するだけで、化粧材635と化粧材635(645)とを突き合せたコーナー部69を止水でき、止水作業を簡略化することができる。
(5-6)複数の屋根材81の上面821B(861A)にはその長手方向に沿った樋部831,841,867が形成されており、複数の屋根材81は、その長手方向における一方の端部811が他方の端部812よりも上方に位置するように水平方向に対して傾斜しており、複数の屋根材81の端部811には、端板材611および乾式シール材55が固定されており、複数の屋根材81の端部812には、樋部831,841,867に対応する位置に排水溝622が形成された排水用端板材621が固定されている。このため、複数の屋根材81の端部811の開口が乾式シール材55によって塞がれているので、複数の屋根材81内への雨水の浸入を抑制することができる。また、複数の屋根材81の樋部831,841,867を流れる雨水は排水用端板材621の排水溝622を通って排水することができ、樋部831,841,867に雨水が溜まることを抑制することができる。
(5-7)作業者は、端板材611の外面側から固定ビス65のねじ軸部65AをY軸方向に挿通させて屋根材81のビスホール85にねじ込む作業を行うことで、端板材611を屋根材81の端部811に固定できる。このため、端板材611を固定するために作業者が屋根材81の上に登って屋根材81の上方から固定ビスをねじ込むなどの作業を行う必要がなく、作業性を向上することができる。
【0041】
(6-1)屋根50の下面822A,862Aを照らして当該屋根50を照明演出すると共に屋根50を照らす照明具(アッパーライト510)が外観上目立たない構成にすることを目的とする場合、カーポート1は、互いに間隔を隔てて並設された少なくとも二つのフレーム2A,2Bと、フレーム2A,2Bに支えられた屋根50とを備えており、フレーム2A,2Bは、支柱3と、支柱3に固定された梁4とをそれぞれ備えており、屋根50は、梁4に対して上方に離間して配置されており、梁4のうち屋根50の下面822A,862Aに対してZ軸方向に対向する領域内には、屋根50の下面822A,862Aを照らす上方照明具としてアッパーライト510が設置されていることを特徴とする。上記構成を有するため、アッパーライト510によって屋根50の下面822A,862Aを照らすことで、梁4から上方に離間した屋根50の浮遊感を照明演出することができる。
また、アッパーライト510が梁4のうち屋根50の下面822A,862Aに対向する領域内に収まるので、例えば取付アームなどによって梁4から張り出した位置にアッパーライト510を取り付ける場合と比べて、アッパーライト510が外観上目立たない構成にできる。
(6-2)梁4には、少なくとも二つの束10がX軸方向に間隔を隔てて立設されており、二つの束10には、屋根50が固定されており、アッパーライト510は、二つの束10の間に配置されている。このため、二つの束10は互いにX軸方向に間隔を隔てて配置することで屋根50の支持状態をより安定させることができるが、例えば二つの束10よりも梁4の端部側の位置に配置したアッパーライト510では、アッパーライト510からの照射光が束に遮られてしまい、二つの束10の間において屋根50の下面822A,862Aを広範囲に照らすことが困難である。本実施形態では、アッパーライト510を二つの束10の間に配置するので、このアッパーライト510からの照射光によって、二つの束10の間において屋根50の下面822A,862Aを広範囲に照らすことができる。
(6-3)アッパーライト510は、X軸方向において二つの束10に対して等間隔(距離L3)を隔てて配置されている。このため、二つの束10の間に配置されたアッパーライト510からの照射光をX軸方向における両側に同様に広げることができる。
(6-4)X軸方向におけるアッパーライト510の照射範囲Iは、屋根50の下面822A,862Aのうち少なくとも二つの束10間(10A,10A間、10B,10B間)の全範囲に設定されている。このため、アッパーライト510によって二つの束10の間の全範囲を照らすことで、屋根50の下面822A,862Aのうち二つの束10の間に位置する部分から暗い部分をなくすことができて屋根50の浮遊感を演出できる。
(6-5)梁4の上面405(側枠部422,423の上面424、凹部底面421Aおよび凹部側面422A,423Aによって形成される面)には、上部で開口した凹部4Aが形成されており、凹部4Aには、アッパーライト510が配置されている。このため、アッパーライト510を凹部4Aに配置するので、例えば梁4の上面405に凹部4Aを形成せずにアッパーライト510を載置して取り付ける場合と比べて、アッパーライト510が外観上目立たない構成にできる。
(6-6)凹部4Aは、X軸方向に延びて形成されており、梁4には、凹部4Aの開口を覆う上カバー材5Aが取り付けられており、上カバー材5Aには、アッパーライト510からの照射光が通る照明開口523が形成されている。このため、梁4の凹部4Aに電線管100等を収めても、この凹部4Aの開口を上カバー材5Aによって覆うことで、凹部4Aに収めた電線管100等が外部に露出しない構成にできる。一方、上カバー材5Aを梁4に取り付けた状態でも、アッパーライト510からの照射光が上カバー材5Aに形成された照明開口523を通るので、屋根50の下面822A,862Aを照らすことができる。
(6-7)屋根50は、当該屋根50の後側から前側に向かうにつれて仮想水平面52に対して斜め上向きに傾斜している。このため、アッパーライト510によって屋根50の下面822A,862Aを照射することで、屋根50の下面822A,862Aに反射した反射光を当該屋根50に対して前方に向けることができる。これにより、カーポート1に対して前方にある道路などを反射光によって照らすことができ、道路などを照らすダウンライトを別途に設置する必要をなくし得る。
【0042】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態に係るカーポート1を図面に基づいて説明する。
第2実施形態に係るカーポート1は、第1実施形態と概略同様であるが、屋根材81と束10との間を止水部材110によって止水する止水構造に代えて、
図15に示す止水構造が構成されており、挿通口91は後述する止水部材130を挿通可能な開口寸法とされている。
図15に示す止水構造では、屋根材81および束10の間に樹脂製の止水部材130が設置されている。止水部材130は、
図16に示すように、互いに突合せ可能な二つの突合せ面131,132をそれぞれ有した第一部材130Aおよび第二部材130Bによって構成されている。
【0043】
第一部材130Aおよび第二部材130Bは、互いに共通形状の半割体によってそれぞれ形成されており、二つの突合せ面131,132の間で開口した平面視コ字形状の凹状部133と、凹状部133の外面から延出した半環状の鍔部134とを有している。突合せ面131には凸条部131Aが形成されており、突合せ面132には凹条部132Aが形成されている。第一部材130Aの凸条部131Aを第二部材130Bの凹条部132Aに嵌合しつつ突合せ面131,132同士を突き合わせて接着することで、第一部材130Aおよび第二部材130Bを組み合わせた一つの止水部材130が構成される。
【0044】
この止水部材130では、第一部材130Aおよび第二部材130Bの凹状部133によって角筒状の止水筒部135および案内筒部136が構成され、且つ、第一部材130Aおよび第二部材130Bの鍔部134によって矩形板状の止水本体部137が構成される。
止水筒部135は、止水本体部137から上側に突出していると共に束10の外周面101を囲んで配置される部分であり、その内周面135Aおよび外周面135Bには凹状面部138が止水筒部135の周方向に沿って複数形成されている。案内筒部136は、止水本体部137から下側に突出していると共に束10の外周面101を囲んで配置される部分であり、案内筒部136の内周面136Aは束10の外周面101に当接する。
止水本体部137には、屋根材81Bの上面部861に取り付けるための取付穴139が形成されている。
【0045】
前述した止水部材130は次の通り施工される。まず、第一部材130Aおよび第二部材130Bの凹状部133における内側および外側の凹状面部138と、鍔部134の上面とに、湿式シール材56を付着する。
次に、
図17に示すように、第一部材130Aおよび第二部材130Bを組み合わせて束10の外周面101を囲む止水部材130を構成する。このとき、止水筒部135の内周面135Aにおける凹状面部138と束10の外周面101との間には湿式シール材56が溜められたシール材溜り空間57が形成される。
次に、止水部材130を、案内筒部136を利用してガイドしながら束10の軸方向に沿って下方から上方に移動し、屋根材81Bの挿通口91を挿通し、止水筒部135を挿通口92に差し込んで屋根材81Bの上面部861と束10とに当接させ、且つ、止水本体部137の上面137Aを上面部861の下面861Bに当接させる。このとき、止水筒部135の外周面135Bにおける凹状面部138と上面部861のうち挿通口92を形成する周面との間には湿式シール材56が溜められたシール材溜り空間57が形成される。
次に、止水本体部137の取付穴139に固定ネジ140をねじ込むことによって止水部材130を屋根材81Bの上面部861に取り付ける。上面部861および止水筒部135の間と束10および止水筒部135の間とは、各シール材溜り空間57に溜められた湿式シール材56によって止水される。また、上面部861および止水本体部137の間は、止水本体部137の上面137Aに付着されていた湿式シール材56が上面部861の下面861Bに付着することによって止水される。
なお、止水部材130の取付後、屋根材81Bの下面部862の挿通口91は、板状の化粧材141によって塞ぐ。
【0046】
[第2実施形態の効果]
(1)束10および屋根50の接合箇所に止水処理を施すことが望ましいが、例えば湿式シール材などを屋根50と束10との接合箇所に直接塗布する止水作業には手間を要する。屋根50と束10との止水作業を簡略化することを目的とした場合、挿通口91,92が構成された屋根材81と挿通口91,92に挿通された束10との間を止水する止水構造は次の通りとなる。屋根材81および束10の間には止水部材130が設置されており、止水部材130は、止水本体部137と、止水本体部137から上側に突出していると共に束10の外周面101を囲んで配置された止水筒部135とを有しており、止水筒部135は、挿通口92において束10および屋根材81に当接しており、止水本体部137の上面137Aは、屋根材81に対して下方から当接していることを特徴とする。上記構成を有するため、止水部材130を束10の軸方向に沿って下方から上方に移動させることで、止水筒部135を挿通口92に挿通して束10および屋根材81に当接させ、且つ、止水本体部137の上面137Aを屋根材81の上面部861の下面861Bに当接させることで、止水部材130によって屋根材81と束10との間を止水する止水構造を構成することができる。また、このように止水部材130を束10の軸方向に沿って下方から上方に移動させて止水構造を構成するので、屋根50と束10との接合箇所に湿式シール材を直接塗布する止水作業の手間を省くことができ、止水作業を簡略化できる。
(2)止水筒部135の内周面135Aおよび外周面135Bと止水本体部137の上面137Aとには、シール材56(本実施形態では湿式シール材)が付着されている。このため、止水筒部135の内周面135Aに付着されたシール材56は束10の外周面101に付着して、止水部材130および束10の間を止水する。また、止水筒部135の外周面135Bおよび止水本体部137の上面137Aに付着されたシール材56は屋根材81の挿通口92を構成する縁部に付着して、止水部材130および屋根材81の間を止水する。
更に、前述したようにシール材56を付着した止水部材130を下方から上方に移動して束10および屋根材81の間に配置することで、前述したようにシール材56による止水処理を施すことができるので、例えば止水部材130を用いずに屋根材81と束10との接合箇所にシール材56を直接付着させる場合と比べて、止水作業を簡略化できる。
(3)止水部材130は、止水本体部137から下側に突出していると共に束10の外周面101を囲んで配置された案内筒部136を有しており、案内筒部136の内周面136Aは、前記束10の外周面101に当接しており、止水筒部135の内周面135Aには、束10の外周面101との間にシール材溜り空間57を形成する凹状面部138が形成されている。このように案内筒部136の内周面136Aが束10の外周面101に当接しているので、止水部材130を束10の軸方向に沿って下方から上方に移動した際、止水筒部135の凹状面部138と束10の外周面101との間に形成されたシール材溜り空間57にあるシール材56が止水部材130から下方に漏れ出ることを抑制できる。
(4)止水部材130は、互いに突合せ可能な二つの突合せ面131,132をそれぞれ有した第一部材130Aおよび第二部材130Bによって構成されており、第一部材130Aおよび第二部材130Bは、二つの突合せ面131,132の間で開口した凹状部133と、凹状部133の外面から延出した鍔部134とを有しており、第一部材130Aおよび第二部材130Bの二つの突合せ面131,132同士を突き合わせた状態では、第一部材130Aおよび第二部材130Bの凹状部133は、止水筒部135および案内筒部136を構成すると共に、第一部材130Aおよび第二部材130Bの鍔部134は、止水本体部137を構成する。このため、第一部材130Aおよび第二部材130Bの二つの突合せ面131,132同士を突き合わせることで、束10の外周面101を囲んだ止水部材130を構成することができ、屋根材81の挿通口91,92に束10を挿通する前に予め止水部材130を束10に通しておく必要がなく、挿通口91,92に束10を挿通した後であっても止水部材130を容易に設置できる。
(5)第一部材130Aおよび第二部材130Bは、共通形状の半割体によって構成されているので、第一部材130Aおよび第二部材130Bを同一形材で製造することで製造コストを削減でき、また、第一部材130Aおよび第二部材130Bを共通化することで施工が容易となる。
【0047】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態に係るカーポート1を図面に基づいて説明する。
第3実施形態に係るカーポート1は、第2実施形態と概略同様であるが、止水部材130に代えて、
図18に示す一体に形成された止水部材150を備えている。
止水部材150は、前述した止水部材130の案内筒部136に対応する構成を有しておらず、止水部材130のように第一部材130Aおよび第二部材130Bに分けられずに一つの部材として一体に形成されており、これらの点以外は止水部材130と同様に形成されている。
この止水部材150のZ軸方向における上下寸法H1は、屋根材81Bの中空部871のZ軸方向における上下寸法H2よりも小さくされており、これにより、止水部材150は屋根材81Bの小口から中空部871へ挿入可能である。
前述した止水部材150は次の通り施工される。まず、止水部材150の止水筒部135の内側および外側の凹状面部138と、止水本体部137の上面137Aとに湿式シール材56を付着する。
次に、
図19に示すように、止水部材150をY軸方向に移動して屋根材81Bの小口から中空部871に挿入し、続いて止水部材150を上方に移動して止水筒部135を挿通口92に差し込み、止水筒部135を屋根材81Bの上面部861に当接させ、且つ、止水本体部137の上面137Aを上面部861の下面に当接させる。この状態で、止水本体部137の取付穴139に固定ネジ140をねじ込んで止水部材150を屋根材81Bの上面部861に取り付ける。
次に、屋根材81Bの挿通口91,92に束10を挿通させ、止水部材150の止水筒部135には束10が差し込まれる。これにより、上面部861および止水筒部135の間と束10および止水筒部135の間とは、各シール材溜り空間57に溜められた湿式シール材56によって止水される。また、上面部861および止水本体部137の間は、止水本体部137の上面137Aに付着されていた湿式シール材56が上面部861の下面861Bに付着することによって止水される。
第3実施形態によれば、第2実施形態における作用効果と同様の作用効果を発揮でき、更に、止水部材150を屋根材81Bの挿通口91を通さずに小口から挿入できるので、施工現場において予め止水部材150に束10を通しておく必要がない。このため、工場において止水部材150を予め屋根材81Bに取り付けておくことができ、現場施工の負担を軽減できる。
また、止水部材150を挿通口91に通す必要がないので、挿通口91のX,Y軸方向における各寸法を止水部材150のX,Y軸方向における各寸法よりも小さくでき、挿通口91に挿通される束10の外周面101との間に隙間がほとんど形成されない形状にできる。このため、第2実施形態における化粧材141(挿通口91を塞ぐための部材)の構成を省略できる。
【0048】
[変形例]
例えば、第1実施形態では、束10は、屋根50の周縁部を構成する屋根枠60よりも内側に配置されているが、Z軸方向において屋根枠60の下方に配置されていてもよい。この場合、束10は梁4および上梁70ではなく支柱3および屋根枠60に取り付けられていてもよい。
第1実施形態では、二つのフレーム2A,2Bを備えているが、二つ以上のフレームを備えていてもよく、この場合、各フレームの梁4に束10が立設される。
第1実施形態では、上梁70の長手方向は梁4の長手方向と平行であるが、直交していてもよい。
第1実施形態では、屋根材81がアルミ押出形材によって形成されているので、束10の上端部11は上梁70ではなく屋根材81に固定されていてもよい。この場合、束10は屋根材81の内部で固定されていてもよく、また屋根材81に挿通口91,92が形成されていない場合には当該屋根材81の下面に固定されていてもよい。
第1実施形態では、屋根材81は上梁70に対して下方に配置されているが、上梁70に対して上方に配置されていてもよい。
第1実施形態では、屋根材81は、中空部829,839,849,871,872,873を有して構成されているが、このような中空部を有していない板材によって構成されていてもよい。
第1実施形態では、フレーム2A,2Bの支柱3の上下寸法L1,L2を異ならせることで、屋根50にY軸方向に対して傾斜した勾配を設定しているが、支柱3ではなく束10A,10Bの上下寸法を異ならせることで屋根50の勾配を設定してもよい。また、支柱3同士や束10A,10B同士が同じ上下寸法とされてもよく、この場合、フレーム2Aの梁4に立設された複数の束10A同士の上下寸法L1を異ならせ、且つ、フレーム2Bの梁4に立設された複数の束10B同士の上下寸法L2を異ならせることで、屋根50にX軸方向に対して傾斜した勾配を設定してもよい。
【0049】
第1実施形態では、束10の角部261~264には固定孔27が穿設されているが、固定孔27に代えて、スリットを介して中空部25と連通するビスホールが形成されていてもよい。
第1実施形態では、束材20の角部261~264の厚さ寸法T1,T2は、第一束片部21,22および第二束片部23,24の厚さ寸法T3,T4よりも大きくされているが、同じ寸法であってもよい。
第1実施形態では、束材20の第二束片部23,24には、補強材30の第二補強片部33,34に当接する当接凸部231,241が形成されているが、この構成を省略してもよい。
第1実施形態では、束10の固定体40は、第一固定部材40Aおよび第二固定部材40Bによって構成されているが、第二固定部材40Bの構成を省略してもよい。
第1実施形態では、束材20は固定体40を介してフレーム2A,2Bの梁4に固定されているが、固定体40の構成を省略し、束材20の固定孔27に固定ボルト7を締結することで梁4に固定されてもよい。
第1実施形態では、束10には配管用開口471および配管用切欠き472が形成されているが、これらの構成を省略してもよい。
第1実施形態では、固定体40には、補強リブ46が設けられているが、この構成を省略してもよい。
第1実施形態では、束材20および補強材30は、四辺を有して四角筒状に形成されているが、これに限らず、例えば平面視三角、五角、六角等の角筒状に形成されていてもよく、また、円筒状に形成されていてもよい。束材20が円筒状に形成される場合には角部が形成されないので、固定孔27が形成される部分を厚肉部として構成してもよい。
【0050】
第1実施形態では、屋根材81の上面861Aに止水部材110が設置されているが、屋根材81と束10との間を止水する必要がない場合にはこの止水部材110の構成を省略してもよい。
第1実施形態では、止水部材110は、下固定ビスホール121および上固定ビスホール122の双方を備えているが、上梁70に固定されない場合には、上固定ビスホール122を備えていなくてもよい。
第1実施形態では、屋根材81の上面861Aおよび止水部材110の下面111Bの間には、乾式シール材125が介在されているが、これに代えて湿式シール材が施されていてもよい。また、止水部材110のうち屋根材81の上面861Aに当接する部分が軟質樹脂等によって構成されている場合には、乾式シール材125や湿式シール材を用いず、止水部材110と屋根材81との圧着によって止水してもよい。
また、上梁70の下面71Aおよび止水部材110の上面111Aの間には、乾式シール材125が介在されているが、これに代えて湿式シール材が施されていてもよい。また、止水部材110のうち上梁70の下面71Aに当接する部分が軟質樹脂等によって構成されている場合には、乾式シール材125や湿式シール材を用いず、止水部材110と上梁70との圧着によって止水してもよい。
第1実施形態では、屋根材81Bの上面861Aに樋部867が形成されているが、この樋部867の構成を省略してもよい。
第1実施形態では、止水部材110の下固定ビスホール121の上面121Aは筒状本体111の上面111Aよりも低い位置に配置されているが、止水部材110を上梁70に固定しない場合には、下固定ビスホール121の上面121Aは筒状本体111の上面111Aと同じ高さ位置または上面111Aよりも高い位置に配置されていてもよい。
【0051】
第1実施形態では、屋根材81の下側重なり部836,868は、側面部833,863よりも内側に位置しているが、側枠63,64の間のX軸方向の寸法に余裕がある場合には、側面部833,863に対して外側に延出した下側重なり部を有していてもよい。
第1実施形態では、屋根材81A,81Cの下側重なり部836(836A)および上側重なり部846は、立上げ片部834(834A),844によって上方に立ち上げられているが、パネル材82に樋部を構成する必要がない場合には、立上げ片部834(834A),844の構成を省略してもよい。この場合、下側重なり部836(836A)は、パネル材82の上面部821の一部によって構成されることとなる。
第1実施形態では、パネル材82には、下側重なり部836(836A)および上側重なり部846よりも上方に突出した取付部821Aが形成されているが、このような取付部821Aがなくてもパネル材82を上梁70に取付可能である場合には、この上方に突出した取付部821Aの構成を省略してもよい。
第1実施形態では、パネル材82(86)の一対の側面部833,843(863,864)の間において上面部821(861)および下面部822(862)に連続した二つの縦片部823(865)を有してボックス部88(89)を構成し、パネル材82(86)の強度を高めているが、ボックス部88(89)を構成しなくても十分な強度がある場合には、二つの縦片部823(865)の構成を省略してもよい。
第1実施形態では、側枠64に固定される屋根材81C(端部屋根材)を備えているが、側枠64が屋根材81A,81Bであっても固定可能に構成されている場合には、屋根材81Cに代えて屋根材81Aや屋根材81Bを備えていてもよい。
【0052】
第1実施形態では、前枠61と複数の屋根材81の端部811の間が乾式シール材55によって止水されているが、これに加えてまたはこれに代えて、湿式シール材によるシール処理を施してもよい。
第1実施形態では、端板材611は、X軸方向に延びた一つの部材によって構成され、前枠61の構造体として用いられているが、これに限らず、例えば、複数の屋根材81のうちの一つまたは一部の端部811に固定される複数の端板材を備えていてもよい。この場合には、前枠61の構造体となる枠材を別途設けてもよい。
第1実施形態では、複数の屋根材81のボックス部88(89)の各角部にビスホール85が形成されているが、これらのビスホール85をなくし、ボックス部88(89)とは異なる他の箇所にビスホール85が形成されていてもよい。また、スリットを有したビスホール85ではなく固定ビス65がねじ込める孔が形成されていてもよい。
第1実施形態では、端板材611と化粧材615とが別体であれば、端板材611を屋根材81の端部811に固定可能な構成であれば端板材611および化粧材615を一体に形成してもよい。
第1実施形態では、角部シール部材68は、化粧材615(625)の端部615A(625A)にビス止めされ、化粧材635(645)の端部635A(645A)に接着されているが、これとは逆に、化粧材635(645)の端部635A(645A)にビス止めされ、化粧材615(625)の端部615A(625A)に接着されていてもよく、また双方に接着されていてもよい。
第1実施形態では、排水用端板材621が屋根材81の端部812に固定されているが、この構成を省略してもよい。この場合、後枠62の構造体となる枠材を別途設けてもよい。
【0053】
第1実施形態では、梁4は
図2に示すように屋根50の下方に収まって配置されているが、例えば
図20に示す屋根構造体1Bのように、X軸方向において屋根50に対して外側まで延出した梁4Bを備えていてもよく、梁4Bの前記延出した部分である延出部401の端部に支柱3が固定されていてもよい。また、複数の束10(
図20では四つの束)をX軸方向に間隔を隔てて配置し、これらの束10の間においてアッパーライト510を梁4Bに設置してもよく、梁4Bの延出部401に一つまたは複数のダウンライト530を設置してもよい。このような構成によれば、例えば屋根50にダウンライト530を設置する場合には、屋根50が存在しない箇所にダウンライト530を設置することはできないが、本実施形態では梁4Bの延出部401にダウンライト530を設置するので、屋根50が存在しない箇所にもダウンライト530を設置することができ、このダウンライト530によって梁4B側から下方を照らすことができる。また、このような屋根構造体1Bは、屋根50がある領域をアッパーライト510によって照らされるカーポートなどに利用すると共に、屋根50の外側に梁4Bが延出した領域をダウンライト530によって照らされるアプローチなどに利用することができる。
第1実施形態では、フレーム2A,2Bは梁4を一対の支柱3によって両持ちする構成とされているが、強度を確保できる範囲内で片方の支柱3を省略して梁4を片持ちとする構成とされてもよい。
第1実施形態では、屋根50は束10に取り付けられているが、例えば支柱3を梁4よりも上方に延ばして構成し、支柱3によって屋根50を支える構成として、束10を省略してもよい。
第1実施形態では、X軸方向に間隔を隔てて配置された二つの束10の間には、一つのアッパーライト510が配置されているが、複数のアッパーライト510がX軸方向に並んで配置されていてもよい。この場合、複数のアッパーライト510のうち一方の端側にあるアッパーライト510および一方の束10の間隔と、複数のアッパーライト510のうち他方の端側にあるアッパーライト510および他方の束10の間隔とを等しい間隔とすることで、複数のアッパーライト510からの照射光をX軸方向における両側に同様に広げることができる。
第1実施形態では、アッパーライト510は、これを挟む二つの束10に対して等間隔を隔てて配置されているが、二つの束10に対する間隔が異なっていてもよい。
第1実施形態では、X軸方向に間隔を隔てて配置された二つの束10の間にアッパーライト510が配置されているが、これに代えてまたはこれに加えて、二つの束10の間ではなく束10よりも梁4の端部側の位置に配置されたアッパーライト510を備えていてもよい。
第1実施形態では、梁4の上面405には、上部で開口した凹部4Aが形成されているが、この構成を省略してもよく、この場合には、アッパーライト510は梁4の側枠部422,423の上面424から上方に突出した位置に設置される。
第1実施形態では、梁4に凹部4Aを覆う上カバー材5Aを備えているが、この構成を省略してもよい。また、第1実施形態では、上カバー材5Aに形成された照明開口523にはアッパーライト510の照射光が通る構成とされているが、例えばアッパーライト510の一部を照明開口523から上方に突出させて配置してもよい。
第1実施形態では、Y軸方向において屋根50の後側から前側に向かうにつれ斜め上向きに傾斜しているが、屋根勾配を設定する必要がない場合には屋根50は傾斜させずに水平に配置してもよい。
【0054】
第2実施形態では、止水筒部135の内周面135Aおよび外周面135Bにシール材溜り空間57を形成するための凹状面部138が形成されているが、この凹状面部138の構成を省略してもよい。
第2実施形態では、止水部材130を構成する第一部材130Aおよび第二部材130Bは、互いに共通形状の半割体によって形成されているが、互いに組み合わせ可能な範囲で形状が異なっていてもよい。
第2実施形態では、止水部材130に湿式シール材56を付着しているが、これに代えて、スポンジ等の乾式シール材を用いてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1…カーポート(屋根構造体)、2A,2B…フレーム、3…支柱、4…梁、10(10A,10B)…束、110,130、150…止水部材、111…筒状本体、121…下固定ビスホール、122…上固定ビスホール、135…止水筒部、136…案内筒部、137…止水本体部、20…束材、21,22…第一束片部、23,24…第二束片部、261~264…角部(厚肉部)、27…固定孔、30…補強材、31,32…第一補強片部、33,34…第二補強片部、40…固定体、50…屋根、510…アッパーライト(上方照明具)、530…ダウンライト(下方照明具)、55,125…乾式シール材、60…屋根枠、61…前枠、611…端板材、615,625,635,645…化粧材、616B,833,843,863,864…側面部、62…後枠、621…排水用端板材、63,64…側枠、631,641…側板材、632,642,846,869…上側重なり部、70…上梁、81(81A,81B,81C)…屋根材、82,86…パネル材、836,868…下側重なり部、91,92…挿通口。