(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】燃料供給装置
(51)【国際特許分類】
F02M 37/14 20060101AFI20220808BHJP
F02M 37/04 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
F02M37/14
F02M37/04 B
(21)【出願番号】P 2018070980
(22)【出願日】2018-04-02
【審査請求日】2020-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 良典
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 智紀
【審査官】齊藤 彬
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-247598(JP,A)
【文献】特開2015-078609(JP,A)
【文献】特開2013-221420(JP,A)
【文献】特開2011-117376(JP,A)
【文献】特開2010-121560(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0132825(US,A1)
【文献】特開平09-203360(JP,A)
【文献】特開2017-198145(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 37/14
F02M 37/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンク内に配置される燃料ポンプと、
前記燃料ポンプの吸入口に取り付けられているフィルタと、
前記フィルタの少なくとも一部を収容しているリザーブカップと、
前記燃料ポンプから吐出される燃料の一部を前記燃料タンク内に送出するプレッシャレギュレータと、
前記プレッシャレギュレータから前記燃料タンク内に送出される燃料を前記フィルタ及び前記リザーブカップに案内する案内部であって、前記プレッシャレギュレータから前記フィルタ及び前記リザーブカップに向けて延びており、延長線上に前記フィルタ及び前記リザーブカップが配置されている前記案内部と、
前記燃料ポンプの外周を覆っており、前記リザーブカップの前記案内部側に配置されているポンプカバーと、を備え、
前記案内部は、
前記プレッシャレギュレータの吐出口に間隔を置いて対向する平板形状の第1案内壁と、
前記第1案内壁に隣接する平板形状の第2案内壁と、
前記第2案内壁に対して前記第1案内壁を挟んで対向する第3案内壁と、を備え、
少なくとも前記第1案内壁と、前記第2案内壁と、前記第3案内壁と、
のそれぞれによって画定される流路は、前記プレッシャレギュレータの前記吐出口から
前記案内部の前記フィルタ側の端まで直線状に延びて
おり、
前記フィルタは、前記ポンプカバーの外周に沿って配置されており、
前記案内部は、前記フィルタと前記ポンプカバーとの間に向けて前記プレッシャレギュレータから前記燃料タンク内に送出される燃料を案内する、燃料供給装置。
【請求項2】
請求項
1の燃料供給装置であって、
前記燃料ポンプと内燃機関との間に配置されている第1燃料管をさらに備え、
前記案内部と前記第1燃料管と前記プレッシャレギュレータとは、一体に構成されている、燃料供給装置。
【請求項3】
請求項
2に記載の燃料供給装置であって、
前記第1燃料管の前記燃料ポンプと反対側の端部に挿入される第2燃料管をさらに備え、
前記第1燃料管の前記燃料ポンプと反対側の前記端部の内径は、前記燃料ポンプと反対側の端から前記燃料ポンプ側に向かって縮小されており、
前記第1燃料管の前記燃料ポンプと反対側の前記端部の内周面には、前記燃料ポンプと反対側から前記燃料ポンプ側に向かって前記第1燃料管の内径が縮小される方向に傾斜する傾斜面が配置されている、燃料供給装置。
【請求項4】
請求項
3に記載の燃料供給装置であって、
前記第2燃料管に取り付けられており、前記第1燃料管と前記第2燃料管との間に挟持されるOリングをさらに備え、
前記第1燃料管の前記燃料ポンプと反対側の端から前記傾斜面までの距離は、前記第2燃料管の前記第1燃料管側の端から前記Oリングまでの距離よりも短い、燃料供給装置。
【請求項5】
請求項
3又は4に記載の燃料供給装置であって、
前記第1燃料管の前記燃料ポンプと反対側の前記端部の内周面には、前記燃料ポンプと反対側から前記燃料ポンプ側に向かって前記第1燃料管の内径が縮小される方向に傾斜する複数の前記傾斜面が配置されており、
前記複数の傾斜面のうちの第1の傾斜面は、前記第1燃料管の前記燃料ポンプと反対側の前記端に配置されており、
前記複数の傾斜面のうちの第2の傾斜面は、前記第1の傾斜面から前記燃料ポンプ側に離間して配置されており、
前記複数の傾斜面のうちの第3の傾斜面は、前記第2の傾斜面から前記燃料ポンプ側に離間して配置されており、
前記第2の傾斜面における前記第1燃料管の内径は、前記第1の傾斜面における前記第1燃料管の内径よりも縮小され、
前記第3の傾斜面における前記第1燃料管の内径は、前記第2の傾斜面における前記第1燃料管の内径よりも縮小される、燃料供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、内燃機関に燃料を供給する燃料供給装置に関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、燃料供給装置が開示されている。燃料供給装置では、燃料ポンプから吐出される燃料の圧力を調整する圧力調整弁が配置されている。圧力調整弁から吐出される余剰燃料は、燃料誘導路によって、フィルタの側面に誘導される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
燃料供給装置では、燃料タンク内に貯留される燃料量が減少した場合でも燃料ポンプが燃料を吸入することができるように、燃料ポンプの吸入口付近にリザーブカップが設置される。リザーブカップ内の燃料が減少すると、燃料ポンプが安定して燃料を吸入することができない事態を生じ得る。
【0005】
本明細書では、リザーブカップ内の燃料の減少を抑制することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示される技術は、燃料供給装置に関する。燃料供給装置は、燃料タンク内に配置される燃料ポンプと、前記燃料ポンプの吸入口に取り付けられているフィルタと、前記フィルタの少なくとも一部を収容しているリザーブカップと、前記燃料ポンプから吐出される燃料の一部を前記燃料タンク内に送出するプレッシャレギュレータと、前記プレッシャレギュレータから前記燃料タンク内に送出される燃料を前記フィルタ及び前記リザーブカップに案内する案内部であって、前記プレッシャレギュレータから前記フィルタ及び前記リザーブカップに向けて延びており、延長線上に前記フィルタ及び前記リザーブカップが配置されている前記案内部と、を備えていてもよい。
【0007】
この構成では、プレッシャレギュレータから燃料タンクに吐出される燃料、即ち余剰燃料が、フィルタ及びリザーブカップの延長線上から、フィルタ及びリザーブカップに向けて吐出される。この結果、フィルタに燃料が供給されるとともに、リザーブカップにも燃料が供給される。この構成によれば、フィルタに燃料が供給されることによって、燃料ポンプが吸入するリザーブカップ内の燃料量を抑制することができる。さらに、リザーブカップに燃料が供給されることによって、リザーブカップに燃料を供給することができる。これにより、リザーブカップ内の燃料の減少を抑制することができる。
【0008】
前記燃料ポンプの外周を覆っており、前記リザーブカップの前記案内部側に配置されているポンプカバーをさらに備え、前記フィルタは、前記ポンプカバーの外周に沿って配置されており、前記案内部は、前記フィルタと前記ポンプカバーとの間に向けて前記プレッシャレギュレータから前記燃料タンク内に送出される燃料を案内してもよい。この構成によれば、余剰燃料がフィルタとポンプカバーとの間に供給されているために、燃料タンクが傾斜している状態でも、リザーブカップとフィルタとの少なくとも一方に燃料を供給することができる。これにより、リザーブカップ内の燃料の減少を抑制することができる。
【0009】
前記燃料ポンプの前記吐出口から内燃機関に向けて配置されている第1燃料管をさらに備え、前記案内部と前記第1燃料管と前記プレッシャレギュレータとは、一体に構成されていてもよい。この構成によれば、組み付けの部品点数を削減し得る。
【0010】
前記第1燃料管の前記燃料ポンプと反対側の端部に挿入される第2燃料管をさらに備え、前記第1燃料管の前記燃料ポンプと反対側の前記端部の内径は、前記燃料ポンプと反対側の端から前記燃料ポンプ側に向かって縮小されており、前記第1燃料管の前記燃料ポンプと反対側の前記端部の内周面には、前記燃料ポンプと反対側から前記燃料ポンプ側に向かって前記第1燃料管の内径が縮小される方向に傾斜する傾斜面が配置されていてもよい。この構成によれば、第1燃料管の燃料ポンプと反対側の端部の開口を、第1燃料管の中間位置の内径よりも大きくすることができる。これにより、第1燃料管の開口から第2燃料管を挿入し易くすることができる。また、第1燃料管内に傾斜面を設けることによって、第2燃料管を第1燃料管に挿入する際に、第2燃料管の中心軸が第1燃料管の中心軸に対してずれている状態であっても、第2燃料管が第1燃料管の内周面に当接することによって、軸のずれを修正して、第2燃料管を第1燃料管に挿入することができる。
【0011】
前記第2燃料管に取り付けられており、前記第1燃料管と前記第2燃料管との間に挟持されるOリングをさらに備え、前記第1燃料管の前記燃料ポンプと反対側の端から前記傾斜面までの距離は、前記第2燃料管の前記第1燃料管側の端から前記Oリングまでの距離よりも短くてもよい。この構成によれば、第2燃料管を第1燃料管に挿入する際に、第2燃料管の中心軸が第1燃料管の中心軸に対してずれている状態であっても、第2燃料管が第1燃料管の内周面に当接して軸のずれが修正された後に、Oリングが第1燃料管に挿入される。これにより、Oリングが第1燃料管に挿入される際に、Oリングが、第1燃料管と第2燃料管とに当接して、ねじれたり破損したりすることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図4】実施例の第1燃料管と第2燃料管の結合部分の縦断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施例)
図1から
図4を参照して、本実施例の燃料供給装置10を説明する。まずは、
図1及び
図2を参照して、燃料供給装置10を説明する。燃料供給装置10は、二輪車の燃料タンク内に収容される。なお、本実施例では、
図1の方向で上下方向が規定されているが、この方向は実際の使用姿勢を限定するものではない。
【0014】
燃料供給装置10は、燃料ポンプ12と、下カバー14と、上カバー16と、プレッシャレギュレータ18と、フィルタ30と、液面検出部40と、を備える。
【0015】
燃料ポンプ12は、モータによってインペラを回転させて、下端に位置する吸入口より燃料を燃料ポンプ12内に吸入し、燃料を昇圧させて、上端に位置する吐出口から吐出する。吐出口には、プレッシャレギュレータ18が連結されている。プレッシャレギュレータ18は、吐出口から吐出される燃料を調圧してエンジンに送出する。プレッシャレギュレータ18は、上カバー16に一体的に取り付けられている。
【0016】
上カバー16は、燃料ポンプ12の上端部を覆っている。上カバー16は、案内部50と、第1燃料管52と、を備える。案内部50と第1燃料管52とは、樹脂成形によって一体的に成形されている。案内部50は、プレッシャレギュレータ18で調圧された燃料を案内する。案内部50の構成は、後述する。上カバー16には、プレッシャレギュレータ18以外に、液面検出部40が取り付けられている。液面検出部40は、センサ支持部42と、図示省略したセンサと、カバー44と、を備える。センサ支持部42は、下端において上カバー16に取り付けられている。センサ支持部42は、上方に向かって徐々に細くなる。
【0017】
センサ支持部42の上端には、センサが取り付けられている。センサは、温度センサを備えている。センサが燃料に浸漬されている状態と浸漬されていない状態とで検出される温度が異なる。これにより、燃料タンク内の液面がセンサよりも上方に位置するか下方に位置するかが検出される。
【0018】
センサ及びセンサ支持部42は、カバー44に覆われている。これにより、例えば車両の揺れによって燃料タンク内の燃料の液面が揺れている場合に、燃料の液面がセンサよりも下方にあるにも関わらず、液面の揺れによって燃料がセンサに接触してしまい、センサが誤検知する事態を回避することができる。
【0019】
(第1燃料管の構成)
第1燃料管52は、燃料ポンプ12の吐出口に連通している。第1燃料管52は、円筒形状を有する。第1燃料管52は、燃料ポンプ12の吐出口とエンジンとの間に配置されている。プレッシャレギュレータ18によって調圧済みの燃料は、第1燃料管52内をエンジンに向けて流れる。第1燃料管52は、上下方向に平行に延びている。
図4は、第1燃料管52の中心軸を通過する断面であって、第1燃料管52の下端部、即ち、燃料ポンプ12と反対側の端部を示す断面図を示す。
【0020】
第1燃料管52の下端部では、下端に向かって第1燃料管52の内径が徐々に拡大している。第1燃料管52は、内周面に複数の傾斜面54、56、58を備える。傾斜面58は、第1燃料管52の下端の開口60に配置されている。傾斜面58は、その直径が燃料ポンプ12側に向かって連続的に小さくなるように(即ち断面において直線的に)傾斜している。
【0021】
傾斜面56は、開口60から上方に距離D1離れた位置に配置されている。傾斜面58と傾斜面56との間では、第1燃料管52の内径は変化しておらず、第1燃料管52は円筒形状を有する。傾斜面58は、その直径が燃料ポンプ12側に向かって連続的に小さくなるように(即ち断面において直線的に)傾斜している。
【0022】
傾斜面54は、傾斜面56から上方に離間した位置に配置されている。傾斜面54と傾斜面56との間では、第1燃料管52の内径は、傾斜面58と傾斜面56との間の内径よりも小さい内径で変化しておらず、第1燃料管52は円筒形状を有する。傾斜面54は、その直径が燃料ポンプ12側に向かって連続的に小さくなるように(即ち断面において直線的に)傾斜している。傾斜面54の上端よりも上方では、第1燃料管52は、一定の内径を有する。
【0023】
図1及び
図2に示すように、燃料ポンプ12の下端部は、下カバー14に収容されている。下カバー14は、燃料ポンプ12の下端において、カバー部70と、リザーブカップ72と、第2燃料管74と、ノズル76と、を備える。カバー部70とリザーブカップ72と第2燃料管74とノズル76とは、樹脂成形によって一体的に作製されている。カバー部70は、燃料ポンプ12の外周面に沿って配置される略円筒形状を有する。
【0024】
カバー部70の外側には、上カバー16の第1燃料管52の下端に連結される第2燃料管74が配置されている。第2燃料管74は、上下方向に平行に配置されている。第2燃料管74は、第1燃料管52を通過した燃料が通過する。
図4に示すように、第2燃料管74は、第1燃料管52に挿入されている。第2燃料管74は、先端部80を備える。先端部80は、第2燃料管の第1燃料管52側の端に配置されている。先端部80の上端部は、外径が小さくなるように傾斜されている。先端部80の外径は第2燃料管74の外径よりも小さく、先端部80の内径は第2燃料管74の内径と同一である。これにより、先端部80の下端には、段差が形成されている。
【0025】
先端部80の下端の外周には、Oリング90が配置されている。Oリング90は、先端部80の下端の段差に当接して位置決めされている。Oリング90の上端から先端部80の上端までの距離D2は、距離D1よりも短い。
【0026】
燃料供給装置10を作製する場合、第2燃料管74が、下方から第1燃料管52に挿入される。第1燃料管52の開口60は、第1燃料管52の中間位置の内径よりも大きい。これにより、開口60から第2燃料管74を挿入し易くすることができる。第1燃料管52及び第2燃料管74は、樹脂成形時に傾く場合がある。第1燃料管52内に傾斜面54、56、58を設けることによって、第2燃料管74を第1燃料管52に挿入する際に、第2燃料管74の中心軸が第1燃料管52の中心軸に対してずれている状態であっても、第2燃料管74が第1燃料管52の内周面に当接することによって、軸のずれを修正して、第2燃料管74を第1燃料管52に挿入することができる。
【0027】
また、Oリング90の上端から先端部80の上端までの距離D2は、距離D1よりも短い。これにより、第2燃料管74を第1燃料管52に挿入する際に、第2燃料管74の中心軸が第1燃料管52の中心軸に対してずれている状態であっても、第2燃料管が第1燃料管の傾斜面56に当接して軸のずれが修正された後に、Oリング90が第1燃料管52に挿入される。これにより、Oリング90が、第1燃料管52に挿入される際に、第1燃料管52と第2燃料管74とに当接して、ねじれたり破損したりすることを抑制することができる。
【0028】
さらに、第2燃料管74の上端は、傾斜面54に対向する位置に配置されている。個の構成によれば、第2燃料管74の中心軸が第1燃料管52の中心軸に対してずれていても、第2燃料管74の上端が傾斜面54に当接することによって、第2燃料管74の中心軸が矯正される。
【0029】
第2燃料管74の下端には、ノズル76が連結されている。ノズル76は、第2燃料管74を通過した燃料を、燃料供給装置10の外部に位置するエンジンに連通されている供給管に連結されている。
【0030】
カバー部70の下端には、リザーブカップ72が配置されている。リザーブカップ72は、燃料ポンプ12の吸入口を収容する。リザーブカップ72には、フィルタ30の下端部が収容されている。フィルタ30は、燃料ポンプ12の吸入口に連結されている。フィルタ30は、複数枚の不織布を重ね合わせて作製されている。フィルタ30は、カバー部70に沿って配置されている。
図3に示すように、フィルタ30とカバー部70との間には隙間が設けられている。フィルタ30は、燃料ポンプ12に吸入される燃料をろ過することによって、燃料に含まれる異物を除去する。
【0031】
(案内部の構成)
次いで、案内部50について説明する。
図2に示すように、案内部50は、プレッシャレギュレータ18の余剰燃料を吐出する吐出口18aの前方に配置されている。案内部50は、吐出口18aから下方に向けて、上下方向に平行に配置されている。案内部50は、フィルタ30の上端まで延びている。
図1及び
図3に示すように、案内部50は、案内壁92、94、96、98を備える。案内部50では、上下方向に垂直な方向において、案内壁92、94、96、98によって四方が囲まれている。案内部50では、案内壁92、94、96、98によって、断面が四角形の流路が画定されている。
【0032】
案内壁92、94は、互いに離間する平板形状を有する。案内壁92、94は、フィルタ30の直上まで延びている。吐出口18aは、案内壁92、94の隙間に配置されている。
【0033】
案内壁96は、案内壁92、94のプレッシャレギュレータ18と反対側の端において、案内壁92、94の隙間を閉じている。案内壁96は、平板形状を有している。案内壁96は、吐出口18aに間隔を置いて対向している。案内壁96は、フィルタ30の直上まで延びている。
【0034】
案内壁98は、案内壁92、94のプレッシャレギュレータ18側の端において、案内壁92、94の隙間を閉じている。案内壁98は、平板形状を有している。案内壁98は、吐出口18aの下方に配置されており、案内壁96に間隔を置いて対向している。案内壁96は、フィルタ30の直上まで延びている。案内部50の下端は、開口している。
【0035】
案内壁92、94、96、98によって画定される流路の延長線上、即ち、下方には、フィルタ30のカバー部70側の部分と、フィルタ30とカバー部70との隙間と、リザーブカップ72が配置されている。さらに、案内壁92、94、96、98によって画定される流路の延長線上には、フィルタ30と燃料ポンプ12との連結部200が配置されている。
【0036】
案内壁92の外側には、案内壁92に平行に配置されるフィルタ保持部100が配置されている。フィルタ保持部100は、平板形状を有する。フィルタ保持部100は、上カバー16と樹脂成形によって一体的に成形されている。フィルタ保持部100は、フィルタ30のカバー部70と反対側の面の上方に配置されている。フィルタ保持部100は、上下方向において、フィルタ30の上端部分と重複する位置に配置されている。フィルタ保持部100は、例えば車両が傾斜した場合に、傾いたフィルタ30に接触することによってフィルタ30が倒れることを抑制する。
【0037】
(効果)
プレッシャレギュレータ18の吐出口18aから燃料タンクに吐出される燃料、即ち余剰燃料は、案内部50によって、フィルタ30及びリザーブカップ72の上方から、フィルタ30及びリザーブカップ72に向けて吐出される。この結果、フィルタ30に燃料が供給されるとともに、リザーブカップ72にも燃料が供給される。この構成によれば、フィルタ30に燃料が供給されることによって、燃料ポンプ12が吸入するリザーブカップ72内の燃料量を抑制することができる。さらに、リザーブカップ72に燃料が供給されることによって、リザーブカップ72に燃料を供給することができる。これにより、リザーブカップ72内の燃料の減少を抑制することができる。
【0038】
また、案内部50は、フィルタ30とカバー部70との間に向けてプレッシャレギュレータ18から燃料タンク内に送出される燃料を案内する。この構成によれば、余剰燃料がフィルタ30とカバー部70との間に供給されているために、二輪車が水平方向に対して傾斜しており燃料タンクが傾斜している状態でも、リザーブカップ72とフィルタ30との少なくとも一方に燃料を供給することができる。これにより、リザーブカップ72内の燃料の減少を抑制することができる。
【0039】
案内部50と第1燃料管52とプレッシャレギュレータ18とは、上カバー16において一体に構成されていている。この構成によれば、組み付けの部品点数を削減し得る。
【0040】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0041】
(変形例)
(1)上記の実施例では、燃料供給装置10は、二輪車の燃料タンク内に配置される。しかしながら、燃料供給装置10は、二輪車以外、例えば四輪車等の車両に配置されていてもよい。
【0042】
(2)上記の実施例では、案内部50は、フィルタ30とカバー部70との間に向けてプレッシャレギュレータ18から燃料タンク内に送出される燃料を案内する。しかしながら、案内部50は、フィルタ30の直上、あるいは、フィルタ30のカバー部70と反対側に向けて、プレッシャレギュレータ18から燃料タンク内に送出される燃料を案内してもよい。
【0043】
(3)第1燃料管52及び第2燃料管74の態様は、上記の実施例の態様に限定されない。例えば、第1燃料管52と第2燃料管74とは樹脂成形によって一体的に成形されていてもよい。この場合、第1燃料管52と第2燃料管74とは、上カバー16又は下カバー14のいずれか一方、又は、上カバー16及び下カバー14とは別体で配置されていてもよい。また、第1燃料管52の傾斜面の個数は、3個に限られず、1個、2個、又は4個以上であってもよいし、傾斜面54、56、58を備えていなくてもよい。
【0044】
(4)距離D2は、距離D1よりも長くてもよい。
【0045】
(5)本明細書に開示の技術では、以下の構成を有する燃料供給装置も新規で有用である。即ち、燃料供給装置は、燃料タンク内に配置される燃料ポンプと、前記燃料ポンプと前記内燃機関との間に配置されている第1燃料管と、前記第1燃料管の前記燃料ポンプと反対側の端部に挿入される第2燃料管と、を備え、前記第1燃料管の前記燃料ポンプと反対側の前記端部の内径は、前記燃料ポンプと反対側の端から前記燃料ポンプ側に向かって縮小されており、前記第1燃料管の前記燃料ポンプと反対側の前記端部の内周面には、前記燃料ポンプと反対側から前記燃料ポンプ側に向かって前記第1燃料管の内径が縮小される方向に傾斜する傾斜面が配置されていてもよい。
【0046】
この構成によれば、第1燃料管の燃料ポンプと反対側の端部の開口を、第1燃料管の中間位置の内径よりも大きくすることができる。これにより、第1燃料管の開口から第2燃料管を挿入し易くすることができる。また、第1燃料管内に傾斜面を設けることによって、第2燃料管を第1燃料管に挿入する際に、第2燃料管の中心軸が第1燃料管の中心軸に対してずれている状態であっても、第2燃料管が第1燃料管の内周面に当接することによって、軸のずれを修正して、第2燃料管を第1燃料管に挿入することができる。
【0047】
なお、上記の構成では、「フィルタ」、「リザーブカップ」、及び「案内部」の少なくとも1個の構成を備えていなくてもよい。
【0048】
上記の変形例(5)に記載の燃料供給装置であって、前記第2燃料管に取り付けられており、前記第1燃料管と前記第2燃料管との間に挟持されるOリングをさらに備え、前記第1燃料管の前記燃料ポンプと反対側の端から前記傾斜面までの距離は、前記第2燃料管の前記第1燃料管側の端から前記Oリングまでの距離よりも短くてもよい。この構成によれば、第2燃料管を第1燃料管に挿入する際に、第2燃料管の中心軸が第1燃料管の中心軸に対してずれている状態であっても、第2燃料管が第1燃料管の内周面に当接して軸のずれが修正された後に、Oリングが第1燃料管に挿入される。これにより、Oリングが第1燃料管に挿入される際に、Oリングが、第1燃料管と第2燃料管とに当接して、ねじれたり破損したりすることを抑制することができる。
【0049】
本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0050】
10 :燃料供給装置
12 :燃料ポンプ
14 :下カバー
16 :上カバー
18 :プレッシャレギュレータ
18a :吐出口
30 :フィルタ
40 :液面検出部
42 :センサ支持部
44 :カバー
50 :案内部
52 :第1燃料管
54、56、58:傾斜面
60 :開口
70 :カバー部
72 :リザーブカップ
74 :第2燃料管
76 :ノズル
80 :先端部
90 :Oリング
92、94、96、98:案内壁
100 :フィルタ保持部