(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】安全運転支援装置
(51)【国際特許分類】
B61L 23/00 20060101AFI20220808BHJP
B60L 15/40 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
B61L23/00 A
B60L15/40 Z
(21)【出願番号】P 2018083284
(22)【出願日】2018-04-24
【審査請求日】2021-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】二神 拓也
(72)【発明者】
【氏名】小林 広幸
(72)【発明者】
【氏名】高橋 雄介
(72)【発明者】
【氏名】堀江 勝大
(72)【発明者】
【氏名】佐口 太一
(72)【発明者】
【氏名】中村 幸太
(72)【発明者】
【氏名】安田 幸司
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 直人
(72)【発明者】
【氏名】服部 陽平
【審査官】西井 香織
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-010003(JP,A)
【文献】特開2009-202635(JP,A)
【文献】特開2016-088183(JP,A)
【文献】特開平07-186955(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102014206473(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 23/00
B60L 15/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両の位置と、当該鉄道車両の進行方向にある障害物に関する情報を検知すべき範囲である検知範囲と、の対応関係を示す検知範囲情報、および、前記鉄道車両が走行する線路の分岐に関する分岐情報を記憶する記憶部と、
前記鉄道車両の現在位置を取得する位置取得部と、
前記位置取得部により取得された前記現在位置と、前記記憶部に記憶された前記検知範囲情報と、前記記憶部に記憶された前記分岐情報と、
前記鉄道車両の前記分岐を越えた先の進行方向と、に基づいて、前記現在位置
および前記鉄道車両の前記分岐を越えた先の進行方
向に応じた前記検知範囲を取得する検知範囲取得部と、
前記検知範囲取得部により取得された前記検知範囲から前記障害物に関する情報を検知する検知部と、
前記検知部による検知結果を出力する出力部と、
を備え
、
前記検知範囲は、複数の検知範囲を含み、
前記検知部は、前記複数の検知範囲の各々から前記障害物に関する情報を検知し、
前記出力部は、前記検知結果を、前記複数の検知範囲のいずれを対象として得られたものであるかを識別可能な形態で出力する、安全運転支援装置。
【請求項2】
前記位置取得部は、前記現在位置を、緯度および経度により表される絶対位置、または前記鉄道車両の走行距離として取得する、
請求項1に記載の安全運転支援装置。
【請求項3】
前記出力部は、前記検知結果として、前記障害物の有無と、前記障害物までの距離と、を出力する、
請求項1
または請求項2に記載の安全運転支援装置。
【請求項4】
前記出力部は、前記検知結果の出力形態を所定の基準に応じて変化させる、
請求項1~
3のいずれか1項に記載の安全運転支援装置。
【請求項5】
前記記憶部は、前記検知結果の履歴をさらに記憶し、
前記出力部は、前記履歴に基づいて特定される前記障害物の発生頻度に応じて、前記検知結果の出力形態を変化させる、
請求項1~
4のいずれか1項に記載の安全運転支援装置。
【請求項6】
前記検知部は、前記鉄道車両の進行方向の領域を撮像するように前記鉄道車両に設けられるカメラにより得られる撮像画像における前記検知範囲に対応した領域から、前記障害物に関する情報を検知する、
請求項1~
5のいずれか1項に記載の安全運転支援装置。
【請求項7】
前記出力部は、前記検知結果を前記撮像画像に重畳して出力する、
請求項
6に記載の安全運転支援装置。
【請求項8】
ユーザの操作入力を受け付け、受け付けた前記操作入力に応じて前記検知範囲情報を変更する入力部をさらに備える、
請求項1~
7のいずれか1項に記載の安全運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、安全運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、鉄道車両の安全運転を実現するための技術として、線路上にカメラを設置し、当該カメラから得られた画像に基づき、鉄道車両の進行方向における障害物の有無などを検知する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5096959号公報
【文献】特開2004-9993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、線路上のカメラから得られる画像は、線路の特定範囲の領域の情報しか含まない。したがって、このような従来の技術によって鉄道車両の走行範囲の全てを詳細にカバーするためには、線路の全区間にわたって複数のカメラを設置する必要があり、コストやメンテナンス性の観点で不都合が生じる。
【0005】
そこで、鉄道車両の進行方向に存在しうる障害物に関する情報を、鉄道車両の走行範囲の全てにわたって高精度に検知することを実現する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態にかかる安全運転支援装置は、記憶部と、位置取得部と、検知範囲取得部と、検知部と、出力部と、を備える。記憶部は、鉄道車両の位置と、当該鉄道車両の進行方向にある障害物に関する情報を検知すべき範囲である検知範囲と、の対応関係を示す検知範囲情報、および、鉄道車両が走行する線路の分岐に関する分岐情報を記憶する。位置取得部は、鉄道車両の現在位置を取得する。検知範囲取得部は、位置取得部により取得された現在位置と、記憶部に記憶された検知範囲情報と、記憶部に記憶された分岐情報と、鉄道車両の分岐を越えた先の進行方向と、に基づいて、現在位置および鉄道車両の分岐を越えた先の進行方向に応じた検知範囲を取得する。検知部は、検知範囲取得部により取得された検知範囲から障害物に関する情報を検知する。出力部は、検知部による検知結果を出力する。また、検知範囲は、複数の検知範囲を含み、検知部は、複数の検知範囲の各々から障害物に関する情報を検知し、出力部は、検知結果を、複数の検知範囲のいずれを対象として得られたものであるかを識別可能な形態で出力する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施形態にかかる安全運転支援装置のシステム構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態にかかる安全運転支援装置が有する機能を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態にかかる安全運転支援装置の各部が実行する処理の流れの一例を示した例示的かつ模式的なフローチャートである。
【
図4】
図4は、第1実施形態にかかる検知範囲および当該検知範囲に対する検知結果の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態にかかる検知範囲および当該検知範囲を特定するための検知範囲情報の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態にかかる安全運転支援装置が検知結果の通知のために提供する通知画面の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態にかかる安全運転支援装置が提供する通知画面の
図6とは異なる他の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態にかかる安全運転支援装置が提供する通知画面の
図6および
図7とは異なるさらに他の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態にかかる安全運転支援装置が提供する通知画面の
図6~
図8とは異なるさらに他の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態にかかる安全運転支援装置が有する機能を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態にかかる安全運転支援装置が保持する位置変換情報およびその使用方法の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態の変形例にかかる検知範囲情報の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
【
図13】
図13は、第3実施形態にかかる安全運転支援装置が有する機能を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
【
図14】
図14は、第3実施形態にかかる安全運転支援装置の各部が実行する処理の流れの一例を示した例示的かつ模式的なフローチャートである。
【
図15】
図15は、第3実施形態にかかる分岐および当該分岐に関する分岐情報の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
【
図16】
図16は、第3実施形態にかかる検知範囲の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
【
図17】
図17は、第4実施形態にかかる安全運転支援装置が有する機能を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
【
図18】
図18は、第4実施形態にかかる安全運転支援装置が手動による検知範囲の設定のために提供する設定画面の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。以下に記載する実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。
【0009】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態にかかる安全運転支援装置100のシステム構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。安全運転支援装置100とは、線路RLに沿って運行する鉄道車両RVの安全運転を実現するために鉄道車両RV搭載されたシステムである。なお、
図1では、鉄道車両RVの進行方向が矢印D1として例示されている。
【0010】
ここで、従来から、鉄道車両RVの安全運転を実現するための技術として、線路RL上にカメラを設置し、当該カメラから得られた画像に基づき、鉄道車両RVの進行方向における障害物の有無などを検知する技術が知られている。しかしながら、線路RL上のカメラから得られる画像は、線路RLの特定範囲の領域の情報しか含まない。したがって、このような従来の技術によって鉄道車両RVの走行範囲の全てを詳細にカバーするためには、線路RLの全区間にわたって複数のカメラを設置する必要があり、コストやメンテナンス性の観点で不都合が生じる。
【0011】
そこで、第1実施形態は、以下に説明するような構成に基づき、鉄道車両RVの進行方向に存在しうる障害物に関する情報を、鉄道車両RVの走行範囲の全てにわたって高精度に検知することを実現する。
【0012】
図1に示されるように、安全運転支援装置100は、車両情報取得部110と、前方検知部120と、インターフェイス部130と、運転支援制御部140と、を有している。これらの各部は、互いに通信可能に接続されている。
【0013】
車両情報取得部110は、たとえば鉄道車両RVの位置を示す位置情報などの車両情報を取得する。詳細は後述するが、第1実施形態において、車両情報取得部110は、たとえば、車軸に設けられる速度発電機(タコジェネレータ)の出力に基づいて、特定地点(直近の停車駅など)からの鉄道車両RVの走行距離を算出し、算出した走行距離を位置情報として取得する。
【0014】
前方検知部120は、鉄道車両RVの進行方向(
図1では矢印D1)の領域を撮像するように設けられたカメラ50により得られる撮像画像に基づいて、鉄道車両RVの進行方向の領域に存在しうる障害物に関する情報を検知する。詳細は後述するが、障害物に関する情報には、障害物の有無や、障害物までの距離などが含まれる。
【0015】
インターフェイス部130は、鉄道車両RVの運転士などからの操作入力を受け付けたり、鉄道車両RVの運転士や乗客などの乗員への通知を出力したりするデバイスである。
【0016】
運転支援制御部140は、鉄道車両RVの安全運転を実現するための各種の制御を実施するコントローラである。
【0017】
ここで、第1実施形態において、車両情報取得部110、前方検知部120、インターフェイス部130、および運転支援制御部140は、いずれも、CPU(中央演算処理装置)などのハードウェアプロセッサを有したコンピュータデバイスとして構成される。したがって、車両情報取得部110、前方検知部120、インターフェイス部130、および運転支援制御部140は、それぞれのハードウェアプロセッサによって所定のコンピュータプログラムを実行することで、以下に説明するような機能を実現することが可能である。
【0018】
図2は、第1実施形態にかかる安全運転支援装置100が有する機能を示した例示的かつ模式的なブロック図である。なお、第1実施形態では、
図2に示される各機能が、専用のハードウェア(回路)のみによって実現されていてもよい。
【0019】
図2に示されるように、車両情報取得部110は、走行距離取得部111を有する。また、前方検知部120は、検知範囲設定部121と、検知部122と、を有する。また、インターフェイス部130は、出力部131を有する。また、運転支援制御部140は、位置算出部141と、記憶部142と、検知範囲取得部143と、出力制御部144と、を有する。なお、記憶部152には、検知範囲情報142aが記憶されている。
【0020】
以下、
図2に示される各機能の詳細につき、その動作(処理フロー)とともに説明する。
【0021】
図3は、第1実施形態にかかる安全運転支援装置100の各部が実行する処理の流れの一例を示した例示的かつ模式的なフローチャートである。この
図3に示される処理フローは、鉄道車両RVの走行中に実行される。
【0022】
図3に示されるように、第1実施形態では、まず、S301において、車両情報取得部110の走行距離取得部111は、車軸に設けられる速度発電機(タコジェネレータ)の出力に基づいて、特定地点(直近の停車駅など)を起点とした鉄道車両RVの走行距離を算出(取得)する。より具体的に、走行距離取得部111は、速度発電機の出力に基づいて、鉄道車両RVの単位時間当たりの移動量を取得し、その積算値を算出することで、走行距離を算出する。そして、走行距離取得部111は、算出した走行距離を運転支援制御部140の位置算出部141に出力する。
【0023】
そして、S302において、位置算出部141は、走行距離取得部111から取得した走行距離に基づいて、鉄道車両RVの現在位置を算出する。より具体的に、位置算出部141は、走行距離取得部111から取得した走行距離に鉄道車両RVの進行方向を加味して、特定起点の位置を示すキロ程から走行距離を加算もしくは減算することで、鉄道車両RVの現在位置をキロ程として算出する。なお、キロ程とは、線路RL上に設定される固有の位置を示す指標である。そして、位置算出部141は、算出した現在位置を、運転支援制御部140の検知範囲取得部143に出力する。
【0024】
そして、S303において、検知範囲取得部143は、位置算出部141から取得した現在位置と、運転支援制御部140の記憶部142に記憶された検知範囲情報142aと、に基づいて、鉄道車両RVの進行方向にある障害物に関する情報を検知すべき範囲である検知範囲を取得する。
【0025】
ここで、検知を行うべき検知範囲は、基本的には、鉄道車両RVの進行方向正面の線路RL上の領域であるが、鉄道車両RVの位置によっては、線路RL上の領域以外の領域からも、障害物に関する情報を検知することが望ましい場合がある。たとえば、鉄道車両RVの現在位置が駅のホームに近い場所にある場合においては、検知範囲は、線路RL上の領域に加えて、ホームの近傍の領域も含んでいることが望ましい。
【0026】
そこで、第1実施形態において、検知範囲は、鉄道車両RVの位置に応じて様々に設定される。つまり、第1実施形態において、検知範囲情報142aは、鉄道車両RVの位置と、当該位置において検知の対象とすべき検知範囲と、の対応関係を示している(具体例は後述する)。これにより、検知範囲取得部143は、位置算出部141から取得した現在位置に基づいて検知範囲情報142aを参照することで、現在位置において検知の対象とすべき検知範囲を適宜取得することができる。なお、検知範囲取得部143により取得された検知範囲は、前方検知部120の検知範囲設定部121に出力される。
【0027】
S304において、検知範囲設定部121は、検知範囲取得部143から取得した検知範囲に所定の視点変換などを施して、カメラ50用の検知範囲を設定する。そして、検知範囲設定部121は、設定した検知範囲を、前方検知部120の検知部122に出力する。
【0028】
そして、S305において、検知部122は、カメラ50により得られる撮像画像における、S304で設定された検知範囲に対応した領域から、障害物に関する情報(障害物の有無や障害物までの距離など)を検知する。
【0029】
ここで、上記のS303~S305の処理について、図面を参照しながらより詳細に説明する。
【0030】
図4は、第1実施形態にかかる検知範囲および当該検知範囲に対する検知結果の一例を示した例示的かつ模式的な図であり、
図5は、第1実施形態にかかる検知範囲および当該検知範囲を特定するための検知範囲情報142aの一例を示した例示的かつ模式的な図である。
【0031】
図4および
図5に示される例では、鉄道車両RVが位置P0にある場合における検知範囲として、4つの領域(空間)R0~R3が定義されている。より具体的に、この例では、
図4(A)および
図5(A)に示されるように、領域R0は、線路RL上の領域として定義され、領域R1は、鉄道車両RVから見て線路RLよりも右側の領域として定義され、領域R2は、鉄道車両RVから見て線路RLよりも左側の領域として定義され、領域R3は、鉄道車両RVから見て領域R1よりも右側でかつ上側の領域として定義されている。領域R0~R3は、いずれも、鉄道車両RVに対して進行方向の前方の空間Sp内に位置している。
【0032】
上記の領域R0~R3は、あくまで鉄道車両RVが位置P0にある場合の検知範囲であり、鉄道車両RVが他の位置にある場合は、領域R0~R3以外の他の領域が、検知範囲として設定されうる。ここで、上記の領域R0~R3のうち、線路RL上の領域である領域R0は、基本的には、常に検知の対象とすることが望ましい。したがって、領域R0については、車両限界または建築限界に相当する領域に基づいて、常に検知の対象としてもよい。車両限界とは、鉄道車両RVのどの部分も超えてはならない上下左右の限界であり、建築限界とは、鉄道車両RVが安全に走行するために建築物などが入ってはならない線路RL上に確保された空間である。なお、鉄道車両RVの位置によっては、領域R0を検知の対象から外しても問題ない場合もあるので、第1実施形態では、領域R0が常に検知の対象となるとは限らない。
【0033】
上記の領域R0~R3は、たとえば
図5(B)に示されるようなテーブル形式の情報501に基づいて特定される。この情報501は、鉄道車両RVの位置と検知範囲との対応関係を示す検知範囲情報142aから、位置P0(
図4(A)参照)に対応した検知範囲を抽出したものである。したがって、情報501からは、位置P0(
図4(A)参照)に対応した検知範囲としての領域R0~R3を特定するための情報を取得することが可能である。
【0034】
より具体的に、情報501は、各領域R0~R3の奥行きを示す情報(「キロ程」の欄参照)と、各領域R0~R3の線路RLの中心C(
図5(A)参照)からの横距離(水平方向の距離)および縦距離(鉛直方向の距離)を示す情報(「横距離」および「縦距離」の欄参照)と、各領域R0~R3の横幅(水平方向の幅)および縦幅(鉛直方向の幅)を示す情報(「横幅」および「縦幅」の欄参照)と、の一覧として構成されている。つまり、情報501は、線路RLの中心Cの位置が分かれば、各領域R0~R3の位置および範囲が分かるようなデータ構造を有している。
【0035】
ここで、線路RLの中心Cの位置は、鉄道車両RVの位置(ここで説明している例では位置P0)が分かれば、計算により導き出すことができる。したがって、第1実施形態にかかる検知範囲取得部143は、位置算出部141により算出された鉄道車両RVの位置と、記憶部142に記憶された検知範囲情報142aと、に基づいて、検知の対象とすべき検知範囲を特定することができる。
【0036】
そして、第1実施形態では、上記のように特定された検知範囲に対する検知結果が、たとえば
図4(B)に示されるような形式で出力される。
図4(B)に示されるように、第1実施形態において出力される検知結果は、障害物の有無と、障害物までの距離と、の(少なくとも)2種類の情報を含んでいる。なお、
図4(B)には、一例として、領域R0~R2には障害物がなく、領域R3にのみ障害物があると検知された場合が例示されている。第1実施形態では、このような検知結果が、前方検知部120の検知部122から運転支援制御部140の出力制御部144を介してインターフェイス部130の出力部131に出力される。
【0037】
図3に戻り、S306において、出力部131は、出力制御部144を介して取得した検知結果に基づいて、今回検知の対象とした(複数の)検知範囲の中に、障害物があると検知された検知範囲が存在するか否かを判断する。
【0038】
S306において、障害物があると検知された検知範囲が存在しないと判断された場合、障害物に関する情報を乗員に通知する必要はない。したがって、この場合、S301に処理が戻る。
【0039】
一方、S306において、障害物があると検知された検知範囲が存在すると判断された場合、安全のため、障害物に関する情報を乗員に通知する必要がある。したがって、この場合、S307に処理が進み、S307において、出力部131は、検知結果を乗員に通知する。そして、S301に処理が戻る。
【0040】
ここで、検知結果を通知する方法としては、音声を用いて聴覚に訴える方法や、液晶ディスプレイやプロジェクションマッピング、ホログラフなどを用いて視覚に訴える方法など、様々な方法が考えられる。以下、視覚に訴える方法のいくつかの例について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する例では、
図4(B)に示されるような検知結果が得られた状況を想定する。
【0041】
図6は、第1実施形態にかかる安全運転支援装置100が検知結果の通知のために出力する通知画面の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
図6に示される画面SC600には、4つの画像600~603が表示されている。これら4つの画像600~603は、それぞれ、検知範囲としての領域R0~R3と、位置関係や大きさなどの観点で対応している。
【0042】
ここで、第1実施形態では、障害物に関する情報の検知結果が、複数の検知範囲のいずれを対象として得られたものであるかを識別可能な形態で出力される。したがって、
図6に示される画面SC600においては、領域R3に対応した画像603のみが、他の画像600~602と異なる形態で表示(出力)されている。このように構成された画面SC600によれば、領域R3において障害物が検知され、他の領域R0~R2においては障害物が検知されなかった、という検知結果が検知範囲設定部121によって得られたことを視覚的に認識することができる。
【0043】
また、第1実施形態では、障害物の有無と障害物までの距離との両方が検知結果として(同時に)出力されうる。したがって、
図6に示される画面SC600においては、領域603の近傍に、検知された障害物までの距離(実際には
図6に不図示)が出力されてもよい。このような構成によれば、障害物の有無のみならず、障害物までの距離も視覚的に認識することができるので、有益である。
【0044】
また、第1実施形態は、検知結果の出力形態を、所定の基準に応じて変化させることが可能である。所定の基準とは、たとえば、危険度に応じて予め設定された複数の基準値が考えられる。この場合、第1実施形態は、検知結果を所定の方法で数値化したものを複数の基準値と比較することで検知結果の危険度を判定し、判定結果に応じて、検知結果の出力形態を変化させうる。このような構成によれば、たとえば危険度の大きい検知結果が得られた場合はその通知の際に強く注意喚起を行うなど、状況に応じた通知を行うことが可能になる。
【0045】
なお、第1実施形態では、検知結果の通知のために出力する通知画面として、上記の画面SC600以外の他の画面も使用されうる。
【0046】
図7は、第1実施形態にかかる安全運転支援装置100が提供する通知画面の
図6とは異なる他の一例を示した例示的かつ模式的な図である。この
図7に示される画面SC700は、複数の検知範囲に対応した複数の検知結果を
図6に示される画面SC600のようにそのまま出力することなく、複数の検知結果を、鉄道車両RVの進行方向の前方正面、前方右側、および前方左側の3種類の検知結果に分類して出力する。
【0047】
すなわち、
図7に示される画面SC700には、3つの画像700~702が表示されている。画像700は、鉄道車両RVの進行方向の前方正面の線路RL上の領域R0における障害物の有無を表すものであり、画像701は、鉄道車両RVの進行方向の前方右側の領域R1およびR3における障害物の有無を統合的に表すものであり、画像702は、鉄道車両RVの進行方向の前方左側の領域R2における障害物の有無を表すものである。画面SC700においては、画像701のみが、他の画像700および702と異なる形態で表示(出力)されている。したがって、この画面SC700によれば、画像701に対応した領域R1およびR3の少なくとも一方に障害物があることを視覚的に容易に認識することができる。
【0048】
図8は、第1実施形態にかかる安全運転支援装置100が提供する通知画面の
図6および
図7とは異なるさらに他の一例を示した例示的かつ模式的な図である。この
図8に示される画面SC800は、複数の検知結果を、鉄道車両RVの進行方向の前方正面、前方右側、および前方左側の3種類の検知結果に分類して出力する点において
図7に示される画面SC700と同様であるが、障害物の有無だけでなく、障害物までの大まかな距離も視覚的に容易に認識することができる点において
図7に示される画面SC700と異なっている。
【0049】
より具体的に、
図8に示される画面SC800には、3つの画像群800~802が表示されている。画像群800は、鉄道車両RVの進行方向の前方正面の線路RL上の領域R0における検知結果を表すものであり、画像群801は、鉄道車両RVの進行方向の前方右側の領域R1およびR3における検知結果を統合的に表すものであり、画像群802は、鉄道車両RVの進行方向の前方左側の領域R2における検知結果を表すものである。
【0050】
ここで、
図8に示される画面SC800における各画像群800~802は、画面SC800の奥行方向に並んだ3つの画像により構成されている。3つの画像のうち最も手前側の画像は、検知範囲のうち鉄道車両RVに対して最も近い領域に対応し、最も奥側の画像は、検知範囲のうち鉄道車両RVに対して最も遠い領域に対応し、中間の画像は、検知範囲のうち鉄道車両RVに対して中程度の距離にある領域に対応する。画面SC800においては、画像群801における最も奥側の画像のみが、他の画像と異なる形態で表示(出力)されている。したがって、この画面SC800によれば、鉄道車両RVの進行方向の前方右側でかつ遠い領域(たとえば領域R3)に障害物があることを視覚的に容易に認識することができる。
【0051】
図9は、第1実施形態にかかる安全運転支援装置100が提供する通知画面の
図6~
図8とは異なるさらに他の一例を示した例示的かつ模式的な図である。この
図9に示される画面SC900は、検知結果の表示を
図6~
図8に示されるように模式的に行うのではなく、検知結果をカメラ50によって得られた撮像画像に重畳して出力することで、検知結果を鉄道車両RVからの現実の視界に合わせて通知する。
【0052】
すなわち、
図9に示される画像SC900は、カメラ50によって得られた撮像画像に基づく背景画像901に、障害物があることを示すシンボル902が重畳されることで構成されている。これにより、画像SC900を見れば、障害物の有無および当該障害物までの距離を、鉄道車両RVからの現実の視界とともに、視覚的に容易に認識することができる。
【0053】
以上説明したように、第1実施形態にかかる安全運転支援装置100は、鉄道車両RVの位置と、当該鉄道車両RVの進行方向にある障害物に関する情報を検知すべき範囲である検知範囲と、の対応関係を示す検知範囲情報142aを記憶する記憶部142と、鉄道車両RVの現在位置を取得する位置取得部としての走行距離取得部111および位置算出部141と、当該位置取得部により取得された現在位置と、記憶部142に記憶された検知範囲情報142aと、に基づいて、現在位置に応じた検知範囲を取得する検知範囲取得部143と、検知範囲取得部143により取得された検知範囲から障害物に関する情報を検知する検知部122と、検知部122による検知結果を出力する出力部431と、を有している。これにより、線路RLの全区間にわたって複数のカメラを設置することなく、鉄道車両RVの位置に応じた検知範囲に基づいて、鉄道車両RVの進行方向に存在しうる障害物に関する情報を、鉄道車両RVの走行範囲の全てにわたって高精度に検知することを実現する。
【0054】
<第2実施形態>
上述した第1実施形態では、鉄道車両RVの位置が、車軸に設けられる速度発電機(タコジェネレータ)の出力に基づいて算出される走行距離として取得されている。しかしながら、鉄道車両RVの位置は、他の態様で取得されてもよい。たとえば、以下に説明する第2実施形態のように、鉄道車両RVの位置は、GPS(Global Positioning System)やGNSS(Global Navigation Satellite System)などを利用することで特定される絶対位置として取得されてもよい。
【0055】
図10は、第2実施形態にかかる安全運転支援装置200が有する機能を示した例示的かつ模式的なブロック図である。以下では、第1実施形態にかかる安全運転支援装置100(
図2参照)が有する機能とは異なる機能について主として説明する。
【0056】
図10に示されるように、第2実施形態にかかる車両情報取得部210は、GPSやGNSSなどを利用することで鉄道車両RVの絶対値(緯度および経度)を取得する絶対位置取得部211を有している。この絶対位置取得部211により取得された絶対位置は、運転支援制御部240の位置算出部241に出力される。
【0057】
位置算出部241は、絶対位置取得部211から取得した絶対位置と、運転支援制御部240の記憶部242に記憶された位置変換情報242aと、に基づいて、絶対位置取得部211から取得した絶対位置を、特定地点を起点とした鉄道車両RVの走行距離を表すキロ程の単位に変換する。
【0058】
図11は、第2実施形態にかかる安全運転支援装置200が保持する位置変換情報242aおよびその使用方法の一例を示した例示的かつ模式的な図である。位置変換情報242aは、
図11(A)に示されるようなテーブル形式の情報1100として記憶部242に記憶される。この
図11(A)に示される情報1100は、線路RL上の複数のポイント(たとえば
図11(B)に示される例におけるポイントA~F)におけるキロ程と絶対位置との対応関係を特定するものである。以下、この
図11(A)に示される情報1100を用いた絶対位置からキロ程への変換方法について、
図11(B)を参照してより具体的に説明する。
【0059】
図11(B)において、ポイントPaは、絶対位置取得部211から取得した絶対位置を表している。このポイントPaの絶対位置(緯度および経度)に基づいて鉄道車両RVの位置を示すキロ程を算出する場合、位置算出部241は、まず、
図11(A)に示される情報1100において特定されている線路RL上の複数のポイントA~Fから、ポイントPaに最も近いポイントDと、2番目に近いポイントEと、を特定する。そして、位置算出部241は、
図11(A)に示される情報1100を参照することでポイントDおよびEの絶対位置を取得し、ポイントDを原点とした座標系を定義する。
【0060】
そして、位置算出部241は、ポイントDを原点とした座標系において、ポイントDとポイントFとを結ぶ直線Laに対してポイントPaから下した垂線Lbの足をポイントPbとし、当該ポイントPbと、原点としてのポイントDとの間の距離を算出する。そして、位置算出部241は、
図11(A)に示される情報1100により特定されるポイントDおよびFのキロ程の大小関係と、ポイントPbの位置とに着目し、ポイントDのキロ程にポイントDとポイントPbとの間の距離を加算、もしくは減算することで、鉄道車両RVの現在位置のキロ程を算出する。
【0061】
なお、第2実施形態のその他の構成および動作は、第1実施形態と同様である。したがって、鉄道車両RVの現在位置が上記のようにキロ程として算出された後の処理は、第1実施形態と同様である。つまり、
図10に戻り、位置算出部241は、キロ程として算出した鉄道車両RVの現在位置を検知範囲取得部143に出力し、検知範囲取得部143は、位置算出部241から取得した現在位置と、記憶部242に記憶された検知範囲情報142aとに基づいて、検知範囲を取得する。そして、前方検知部120が障害物に関する情報の検知を行い、インターフェイス部130が検知結果を鉄道車両RVの運転士などに通知する。
【0062】
このように、第2実施形態によれば、鉄道車両RVの位置を表す指標としてキロ程を使用することなく、緯度および経度で表される高精度の絶対位置に基づいて特定された適切な検知範囲から、障害物に関する情報を検知し、検知結果を鉄道車両RVの運転士などに通知することが可能になる。
【0063】
また、上述した第2実施形態では、キロ程と絶対位置とを変換するための位置変換情報242aを記憶部242に記憶しておく必要がある。しかしながら、以下に説明する変形例のように、キロ程と絶対位置との対応関係を示す情報が検知範囲情報142aに保持されていれば、位置変換情報242aは不要となる。
【0064】
図12は、第2実施形態の変形例にかかる検知範囲情報142aの一例を示した例示的かつ模式的な図である。この第2実施形態の変形例では、検知範囲情報142aが、
図12に示されるようなテーブル形式の情報1201として記憶されている。この情報1201は、
図4(A)に示される情報501と異なり、検知範囲としての領域R0~R3の奥行きを示す情報として、「キロ程」と、当該「キロ程」の内容を緯度および経度で表した「絶対位置」と、を保持している。したがって、この情報1201によれば、第2実施形態のような位置変換情報242aを用いた絶対位置とキロ程との変換を行うことなく、検知範囲を特定することができる。
【0065】
<第3実施形態>
上述した第1実施形態では、鉄道車両RVの位置と検知範囲情報142aとに基づいて、鉄道車両RVの位置に応じた検知範囲が特定されている。しかしながら、より状況に合った検知範囲を特定するためには、他の情報をさらに考慮することも考えられる。たとえば、線路RLに分岐J(後述する
図15など参照)が存在する場合、以下に説明する第3実施形態のように、鉄道車両RVの分岐Jを超えた先の進行方向も踏まえて、検知範囲を特定することができれば効果的である。
【0066】
図13は、第3実施形態にかかる安全運転支援装置300が有する機能を示した例示的かつ模式的なブロック図である。以下では、第1実施形態にかかる安全運転支援装置100(
図2参照)が有する機能とは異なる機能について主として説明する。
【0067】
図13に示されるように、第3実施形態では、運転支援制御部340の記憶部342に、第1実施形態と同様の検知範囲情報142aと、線路RLの分岐Jに関する分岐情報342aと、が記憶されている。そして、検知範囲取得部243は、位置算出部141から取得した鉄道車両RVの位置および検知範囲情報142aに加えて、さらに、分岐情報342aに基づいて、検知範囲を取得する。なお、分岐情報342aの具体例については後述する。
【0068】
図14は、第3実施形態にかかる安全運転支援装置300の各部が実行する処理の流れの一例を示した例示的かつ模式的なフローチャートである。この
図14に示される処理フローは、第1実施形態にかかる処理フロー(
図3参照)と大部分において共通である。より具体的に、
図14におけるS1401、S1402、S1404~S1407は、それぞれ、
図3におけるS301、S302、S304~S307と同様である。したがって、以下では、第3実施形態に特有のS1403についてのみ説明する。
【0069】
第3実施形態では、S1403において、検知範囲取得部343は、運転支援制御部340の検知範囲取得部343は、位置算出部141から取得した現在位置と、運転支援制御部340の記憶部342に記憶された検知範囲情報142aと、当該検知範囲情報142aとともに記憶部342に記憶された分岐情報342aとに基づいて、鉄道車両RVの進行方向にある障害物に関する情報を検知すべき範囲である検知範囲を取得する。
【0070】
図15は、第3実施形態にかかる分岐Jおよび当該分岐Jに関する分岐情報342aの一例を示した例示的かつ模式的な図である。たとえば、
図15(A)に示されるような2つの分岐J1およびJ2が線路RLに存在している場合、分岐情報342aは、
図15(B)に示されるようなテーブル形式の情報1501として保持される。
【0071】
図15(B)に示される情報1501は、分岐J1が存在するポイントB1および分岐J2が存在するポイントB2の位置を示す「キロ程」と、分岐J1およびJ2によって分かれる線路RLの本数を示す「進路の数」と、分岐J1およびJ2において鉄道車両RVがどの進路を選択するかを示す「進行方向」と、の対応関係を保持している。なお、「進路の数」は、
図15(A)に示される例において鉄道車両RVが矢印C1の方向に走行する場合を想定している。また、「進行方向」は、線路RLの運用に関する運用情報や、鉄道車両RVのダイヤなどの運行情報などに基づいて決定される。
【0072】
図15(B)に示されるような情報1501によれば、たとえば次のような検知範囲の特定を行うことができる。
【0073】
図16は、第3実施形態にかかる検知範囲の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
図16に示されるように、第3実施形態では、鉄道車両RVが線路RL1上を直進することなく分岐J0を介して線路RL2に進入する場合に、線路RL1上の領域ではなく、鉄道車両RVの進行方向に合った線路RL2上の領域R0´が検知範囲として取得される。したがって、第3実施形態によれば、線路RLに分岐Jが存在する場合でも、鉄道車両RVの進行方向に合った適切な検知範囲から、障害物に関する情報を検知することが可能になる。
【0074】
<第4実施形態>
上述した第1実施形態では、障害物に関する情報の検知結果を蓄積していないが、検知結果を蓄積すれば、たとえば、障害物が存在する頻度の高い領域などを統計的に特定することができるので、有益である。また、上述した第1実施形態のような構成では、検知範囲を手動で調整できれば便利である。そこで、第4実施形態では、以下に説明するような構成により、障害物に関する情報の検知結果の蓄積の利用と、手動による検知範囲の調整とを実現する。
【0075】
図17は、第4実施形態にかかる安全運転支援装置400が有する機能を示した例示的かつ模式的なブロック図である。以下では、第1実施形態にかかる安全運転支援装置100(
図2参照)が有する機能とは異なる機能について主として説明する。
【0076】
図17に示されるように、第4実施形態では、運転支援制御部440の記憶部442が、障害物に関する情報の検知結果を蓄積し、検知履歴442aとして保持する。検知履歴442aは、インターフェイス部430の出力部431に送信される。出力部431は、運転士などに検知結果を出力する場合に、検知履歴442aに基づいて特定される障害物の発生頻度に応じて、検知結果の出力形態を変化させる。これにより、たとえば現在検知結果を通知しようとしている領域が障害物の発生頻度が高い領域に該当する場合にはより強く注意喚起を行うなど、状況に応じた通知を行うことが可能になる。なお、発生頻度に応じてどのような通知を行うかは、ユーザ(運転士など)が適宜設定/変更可能なものとする。
【0077】
また、
図17に示されるように、第4実施形態は、インターフェイス部430の入力部432が、ユーザ(運転士など)の操作入力を受け付け、受け付けた操作入力に応じて、記憶部442に記憶された検知範囲情報142aを変更可能に構成されている。これにより、検知範囲の調整(追加および削除を含む)をユーザが手動で行うことができる。
【0078】
入力部432は、たとえば、次の
図18に示されるような設定画面を提供することで、ユーザの手動による検知範囲の調整を受け付ける。
【0079】
図18は、第4実施形態にかかる安全運転支援装置400が手動による検知範囲の設定のために提供する設定画面の一例を示した例示的かつ模式的な図である。この
図18に示される画面SC1800においては、一例として、カメラ50によって得られた撮像画像に基づく背景画像1801に、現在設定されている検知範囲を示すシンボル1802が重畳されている。この画面SC1800によれば、現実の視界での検知範囲を視覚的に認識することができるので、検知範囲の調整を直感的に容易に行うことが可能になる。
【0080】
なお、上述した第1~第4実施形態は、適宜組み合わせて実施することが可能である。たとえば、鉄道車両RVの走行区間が衛星からの電波が届きにくいトンネルなどの区間である場合には、鉄道車両RVの位置を第1、第3、または第4実施形態のようにキロ程で取得し、それ以外の場合には、鉄道車両RVの位置を第2実施形態のように絶対位置で取得する、といった構成が採用されてもよい。
【0081】
また、上述した第1実施形態(第2~第4実施形態も同様)において、記憶部142に記憶されているデータは、予め記憶されていてもよいし、走行中に外部との通信を介して取得されてもよい。
【0082】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態およびその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0083】
50 カメラ
100、200、300、400 安全運転支援装置
111 走行距離取得部(位置取得部)
122 検知部
131、431 出力部
141、241 位置算出部(位置取得部)
142、242、342、442 記憶部
142a 検知範囲情報
143、343 検知範囲取得部
342a 分岐情報
442a 検知履歴
432 入力部