(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】X線CT装置および撮影条件算出方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20220808BHJP
【FI】
A61B6/03 330B
A61B6/03 371
(21)【出願番号】P 2018103546
(22)【出願日】2018-05-30
【審査請求日】2021-03-23
(31)【優先権主張番号】P 2017107336
(32)【優先日】2017-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平山 洋志
(72)【発明者】
【氏名】原田 早苗
(72)【発明者】
【氏名】本多 豊正
【審査官】倉持 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-195978(JP,A)
【文献】特開平01-293844(JP,A)
【文献】特表2007-526782(JP,A)
【文献】特開2003-175029(JP,A)
【文献】特開2007-007255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体における基準位置を含む参照画像と、前記基準位置を含む基準画像と、を取得する基準位置画像取得部と、
前記被検体の体軸方向に複数の離散的な位置
のそれぞれで前記基準画像と同一のスキャンプロトコル実行中に撮影される離散画像を取得する離散画像取得部と、
前記参照画像と前記基準画像とに基づいて、前記複数の離散的な位置と、本スキャンのスキャン範囲との位置関係を算出する位置関係算出部と、
複数の前記離散画像に基づいて、
前記本スキャンのスキャン範囲に対応する撮影条件を算出する撮影条件算出部と、を備えるX線CT装置。
【請求項2】
前記離散画像取得部が取得する
前記離散画像は、前記被検体の体軸方向に複数の離散的な位置でX線の照射のON/OFFを繰り返すことで取得される、
請求項1に記載のX線CT装置。
【請求項3】
前記撮影条件算出部は、前記本スキャンのスキャン範囲に対応する管電流値乃至は管電圧値の少なくとも一方を算出する、
請求項1または2に記載のX線CT装置。
【請求項4】
前記撮影条件算出部は、
前記複数の離散的な位置のそれぞれに対応する複数の前記離散画像に基づいて、前記複数の離散的な位置のそれぞれにおける管電流値を求め、この求めた複数の離散的な位置のそれぞれにおける
前記本スキャンの撮影条件としての管電流値にもとづいて前記本スキャンのスキャン範囲に対応する管電流値を求める、
請求項3記載のX線CT装置。
【請求項5】
前記撮影条件算出部によって算出された前記本スキャンのスキャン範囲に対応する管電流値にもとづいて管電流変調を伴う前記本スキャンを行なう撮影部、
をさらに備えた請求項4記載のX線CT装置。
【請求項6】
前記位置関係算出部は、
前記本スキャンにおける撮像系の回転速度と前記被検体を載置する天板と撮像系との相対速度と、に基づいて、前記本スキャンのスキャン範囲内の前記複数の離散的な位置のそれぞれの位置を算出する、
請求項
1ないし5のいずれか1項に記載のX線CT装置。
【請求項7】
前記基準位置画像取得部は、
前記参照画像として、モダリティまたは光学カメラで前記被検体を過去に撮影して取得した前記基準位置を含む過去の画像を取得する、
請求項
1ないし6のいずれか1項に記載のX線CT装置。
【請求項8】
前記基準位置画像取得部は、
前記参照画像として、前記被検体を過去にスキャノ撮影して取得した前記基準位置を含むスキャノ画像を取得する、
請求項
1ないし6のいずれか1項に記載のX線CT装置。
【請求項9】
前記基準位置画像取得部は、
前記過去の画像を撮影した時と現在との前記被検体の形状変化にもとづいて前記過去の画像を前記参照画像として利用することの可否を判定する、
請求項
7または
8に記載のX線CT装置。
【請求項10】
前記基準位置画像取得部は、
前記過去の画像を前記参照画像として利用可能と判定すると、前記参照画像として前記過去の画像を取得する一方、利用不可と判定すると、前記参照画像として前記被検体の現在の画像を取得する、
請求項
9記載のX線CT装置。
【請求項11】
前記参照画像に付帯する天板位置情報と前記基準画像とにもとづいて、前記被検体を載置する天板と撮像系との相対位置を調整することにより、前記参照画像と前記基準画像とを画像位置合わせする位置合わせ部、
をさらに備えた請求項
1ないし
10のいずれか1項に記載のX線CT装置。
【請求項12】
被検体における基準位置を含む参照画像と、前記基準位置を含む基準画像と、を取得するステップと、
前記被検体の体軸方向に複数の離散的な位置
のそれぞれで前記基準画像と同一のスキャンプロトコル実行中に撮影される離散画像を取得するステップと、
前記参照画像と前記基準画像とに基づいて、前記複数の離散的な位置と、本スキャンのスキャン範囲との位置関係を算出するステップと、
複数の前記離散画像に基づいて、
前記本スキャンのスキャン範囲に対応する撮影条件を算出するステップと、
を有する撮影条件算出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、X線CT装置および撮影条件算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
X線CT(Computed Tomography)装置により被検体の撮影を行う際には、本スキャンの前に、あらかじめスキャノ撮影を行ってスキャノ像を得ておくことがある。スキャノ像を用いることにより、本スキャンの為の位置決め(断層像を得る範囲(スキャン範囲)の設定)や撮影条件の設定をより正確に行うことができる。
【0003】
しかし、本スキャンの前に本スキャンのための位置決めや撮影条件の設定のために行われるスキャノ撮影では、時間的に連続してX線を照射しながら撮影が行われる場合が多い。この場合、スキャノ撮影は本スキャンに比べて管電流は低いものの、撮影が長時間になりがちであるため、被検体の被ばく線量が多くなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、本スキャンの前に本スキャンのための位置決めや撮影条件の設定のために行われるスキャノ撮影における被検体の被ばく線量を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係るX線CT装置は、被検体の体軸方向に複数の離散的な位置で離散画像を取得する離散画像取得部と、複数の前記離散画像に基づいて、本スキャンのスキャン範囲に対応する撮影条件を算出する撮影条件算出部と、を備えたものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態に係るX線CT装置の一例を示すブロック図。
【
図2】処理回路のプロセッサによる実現機能例を示す概略的なブロック図。
【
図3】本スキャン前に撮影される基準画像を説明するための図。
【
図4】(a)は参照画像の基準画像と本スキャン前に撮影した基準画像とを照合した様子の一例を示す説明図、(b)は参照画像の基準画像と本スキャン前に撮影した基準画像とを画像位置合わせした様子の一例を示す説明図。
【
図5】(a)は、スキャンポイントの一例を示す説明図、(b)はスキャンポイントのスキャンデータから管電流値を求める様子の一例を示す説明図。
【
図6】スキャンポイントに対応する位置のみで取得されるパルススキャノ画像の一例を示す説明図。
【
図7】スキャンポイントごとに設定されるAP方向の管電流値およびRL方向の管電流値の一例を示す説明図。
【
図8】処理回路のプロセッサにより、本スキャンの前に本スキャンのための位置決めや撮影条件の設定のために行われるスキャノ撮影における被検体の被ばく線量を低減する際の手順の一例を示すフローチャート。
【
図9】
図8のステップS1で基準位置画像取得機能により実行される過去画像の利用可否の判定処理の手順の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係るX線CT装置および撮影条件算出方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態に係るX線CT装置1の一例を示すブロック図である。なお、本実施形態では、非チルト状態での回転フレーム13の回転軸または寝台装置30の天板33の長手方向をz軸方向、z軸方向に直交し、床面に対し水平である軸方向をx軸方向、z軸方向に直交し、床面に対し垂直である軸方向をy軸方向とそれぞれ定義するものとする(
図1参照)。
【0010】
X線CT装置1は、架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とを有する。
【0011】
なお、本発明の一実施形態に係るX線CT装置および撮影条件算出方法は、本スキャンにおいて管電流変調をともなう撮影(以下、管電流変調撮影という)または管電圧変調をともなう撮影(以下、管電圧変調撮影)を行なうことができるとともに、本スキャンの前に、あらかじめスキャノ撮影を行ってスキャノ像を得ることができるものである。
【0012】
X線CT装置1には、X線管と検出器とが一体として被検体の周囲を回転するRotate/Rotate-Type(第3世代CT)、リング状にアレイされた多数のX線検出素子が固定され、X線管のみが被検体の周囲を回転するStationary/Rotate-Type(第4世代CT)等様々なタイプがあり、いずれのタイプでも本実施形態へ適用可能である。以下の説明では、本実施形態に係るX線CT装置1として第3世代のRotate/Rotate-Typeを採用する場合の例を示す。
【0013】
架台装置10は、X線管11、X線検出器12、撮像領域が内在する開口部19を有する回転フレーム13、X線高電圧装置14、制御装置15、ウェッジ16、コリメータ17、およびデータ収集回路(DAS:Data Acquisition System)18を備える。
【0014】
X線管11は、X線高電圧装置14からの高電圧の印加により、陰極(フィラメント)から陽極(ターゲット)に向けて熱電子を照射する真空管である。
【0015】
なお、本実施形態においては、一管球型のX線CT装置にも、X線管と検出器との複数のペアを回転リングに搭載した、いわゆる多管球型のX線CT装置にも適用可能である。また、X線を発生させるハードウェアはX線管11に限られない。たとえば、X線管11に代えて、電子銃から発生した電子ビームを集束させるフォーカスコイルと、電磁偏向させる偏向コイルと、被検体Pの半周を囲い偏向した電子ビームが衝突することによってX線を発生させるターゲットリングとを含む第5世代方式を用いてX線を発生させることにしても構わない。
【0016】
X線検出器12は、X線管11から照射され、被検体Pを通過したX線を検出し、当該X線量に対応した電気信号をDAS18へと出力する。X線検出器12は、たとえば、X線管11の焦点を中心として1つの円弧に沿ってチャネル方向に複数のX線検出素子が配列された複数のX線検出素子列を有する。X線検出器12は、たとえば、チャネル方向に複数のX線検出素子が配列されたX線検出素子列がスライス方向(列方向、row方向)に複数配列された構造を有する。
【0017】
また、X線検出器12は、たとえば、グリッドと、シンチレータアレイと、光センサアレイとを有する間接変換型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有し、シンチレータは入射X線量に応じた光子量の光を出力するシンチレータ結晶を有する。グリッドは、シンチレータアレイのX線入射側の面に配置され、散乱X線を吸収する機能を有するX線遮蔽板を有する。光センサアレイは、シンチレータからの光量に応じた電気信号に変換する機能を有し、たとえば、光電子増倍管(フォトマルチプライヤー:PMT)等の光センサを有する。
【0018】
なお、X線検出器12は、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。
【0019】
回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを対向支持し、後述する制御装置15によってX線管11とX線検出器12とを回転させる円環状のフレームである。なお、回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12に加えて、X線高電圧装置14やDAS18を更に備えて支持する。なお、DAS18が生成した検出データは、回転フレーム13に設けられた発光ダイオード(LED)を有する送信機から光通信によって架台装置10の非回転部分、たとえば図示しない固定フレーム、に設けられた、フォトダイオードを有する受信機に送信され、コンソール装置40へと転送される。なお、回転フレーム13から架台装置10の非回転部分への検出データの送信方法は、前述の光通信に限らず、非接触型のデータ伝送であれば如何なる方式を採用しても構わない。また、図示しない固定フレームは回転フレーム13を回転可能に支持するフレームである。
【0020】
X線高電圧装置14は、変圧器(トランス)および整流器等の電気回路を有し、X線管11に印加する高電圧を発生する機能を有する高電圧発生装置と、X線管11が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。なお、X線高電圧装置14は、回転フレーム13に設けられてもよいし、架台装置10の固定フレーム側に設けられても構わない。
【0021】
制御装置15は、プロセッサおよび記憶回路と、モータおよびアクチュエータ等の駆動機構とを有する。制御装置15は、コンソール装置40若しくは架台装置10に取り付けられた入力インターフェースからの入力信号を受けて、架台装置10および寝台装置30の動作制御を行う機能を有する。たとえば、制御装置15は、入力信号を受けて回転フレーム13を回転させる制御や、架台装置10をチルトさせる制御、ならびに寝台装置30および天板33を動作させる制御を行う。なお、架台装置10をチルトさせる制御は、架台装置10に取り付けられた入力インターフェースによって入力される傾斜角度(チルト角度)情報により、制御装置15がX軸方向に平行な軸を中心に回転フレーム13を回転させることによって実現される。なお、制御装置15は架台装置10に設けられてもよいし、コンソール装置40に設けられても構わない。
【0022】
ウェッジ16は、X線管11から照射されたX線量を調節するためのフィルタである。具体的には、ウェッジ16は、X線管11から被検体Pへ照射されるX線があらかじめ定められた分布になるように、X線管11から照射されたX線を透過して減衰するフィルタである。たとえば、ウェッジ16(ウェッジフィルタ(wedge filter)、ボウタイフィルタ(bow-tie filter))は、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウムを加工したフィルタである。
【0023】
コリメータ17は、ウェッジ16を透過したX線の照射範囲を絞り込むための鉛板等であり、複数の鉛板等の組み合わせによってスリットを形成する。
【0024】
DAS18(Data Acquisition System)は、X線検出器12の各X線検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を行う増幅器と、電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器とを有し、検出データを生成する。DAS18が生成した検出データは、コンソール装置40へと転送される。
【0025】
寝台装置30は、スキャン対象の被検体Pを載置、移動させる装置であり、基台31と、寝台駆動装置32と、天板33と、支持フレーム34とを備えている。
【0026】
基台31は、支持フレーム34を鉛直方向(y方向)に移動可能に支持する筐体である。寝台駆動装置32は、被検体Pが載置された天板33を天板33の長軸方向(z方向)に移動するモータあるいはアクチュエータである。支持フレーム34の上面に設けられた天板33は、被検体Pが載置される板である。
【0027】
なお、寝台駆動装置32は、天板33に加え、支持フレーム34を天板33の長軸方向(z方向)に移動してもよい。また、寝台駆動装置32は、寝台装置30の基台31ごと移動させてもよい。本発明を立位CTに応用可能な場合は、天板33に相当する患者移動機構を移動する方式であってもよい。また、ヘリカルスキャン撮影や本スキャンで断層像を得る範囲(スキャン範囲)の設定(以下適宜、本スキャンのための位置決めという)等のためのスキャノ撮影等、架台装置10の撮像系と天板33の位置関係の相対的な変更をともなう撮影を実行する場合は、当該位置関係の相対的な変更は天板33の駆動によって行われてもよいし、架台装置10の固定フレームの走行によって行われてもよく、またそれらの複合によって行われてもよい。
【0028】
コンソール装置40は、メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インターフェース43と、ネットワーク接続回路44と、処理回路45とを有する。なお、コンソール装置40が単一のコンソールにて全ての機能を実行するものとして以下説明するが、これらの機能は複数のコンソールが実行してもよい。
【0029】
メモリ41は、たとえば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等の、プロセッサにより読み取り可能な記録媒体を含んだ構成を有する。メモリ41は、たとえば、投影データや再構成画像データを記憶する。なお、X線CT装置1が生成した投影データや再構成画像データは、メモリ41に記憶されてもよいし、ネットワークを介してX線CT装置1と接続可能なクラウドサーバ等の他の電子機器がX線CT装置1からの保存要求を受けて投影データや再構成画像データの記憶を行ってもよい。同様に、メモリ41の記録媒体内のプログラムおよびデータの一部または全部は、ネットワークを介した通信によりダウンロードされてもよいし、光ディスクなどの可搬型記憶媒体を介してメモリ41に与えられてもよい。
【0030】
また、メモリ41は、モダリティまたは光学カメラで被検体Pを過去に撮影した過去画像をあらかじめ記憶しておくとよい。なお、過去画像は、処理回路45によりネットワークを介して画像サーバなどから取得されてメモリ41に記憶されてもよい。
【0031】
ここで、過去画像は、後述する本スキャンのための位置決め(スキャン範囲の設定)で利用される参照画像の1種である。本実施形態に係る参照画像は、本スキャンのための位置決めで利用される、被検体Pの所定の基準位置の画像(以下、基準画像という)を少なくとも画像中に含む。また、過去画像を撮影するモダリティとしては、X線CT装置1のほか、磁気共鳴イメージング装置や超音波診断装置など、種々のモダリティを用いることができる。たとえば、過去画像を撮影するモダリティがX線CT装置1である場合は、過去画像はたとえばスキャノ撮影により生成されたスキャノ画像であってもよい。
【0032】
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。たとえば、ディスプレイ42は、処理回路45によって生成された医用画像(CT画像)や、ユーザからの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。たとえば、ディスプレイ42は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイイ、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ等である。
【0033】
入力インターフェース43は、ユーザからの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路45に出力する。たとえば、入力インターフェース43は、投影データを収集する際の収集条件や、CT画像を再構成する際の再構成条件、CT画像から後処理画像を生成する際の画像処理条件等をユーザから受け付ける。たとえば、入力インターフェース43は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック等により実現される。
【0034】
ネットワーク接続回路44は、ネットワークの形態に応じた種々の情報通信用プロトコルを実装する。ネットワーク接続回路44は、この各種プロトコルに従ってX線CT装置1と画像サーバ等の他の機器とを接続する。この接続には、電子ネットワークを介した電気的な接続などを適用することができる。ここで電子ネットワークとは、電気通信技術を利用した情報通信網全般を意味し、無線/有線の病院基幹LAN(Local Area Network)やインターネット網のほか、電話通信回線網、光ファイバ通信ネットワーク、ケーブル通信ネットワークおよび衛星通信ネットワークなどを含む。
【0035】
処理回路45は、メモリ41に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、本スキャンの前に本スキャンのための位置決め(スキャン範囲の設定)や撮影条件の設定のために行われるスキャノ撮影における被検体Pの被ばく線量を低減するための処理を実行するプロセッサである。処理回路45はまた、X線CT装置1の全体の動作を制御する。
【0036】
図2は、処理回路45のプロセッサによる実現機能例を示す概略的なブロック図である。
図2に示すように、処理回路45のプロセッサは、基準位置画像取得機能51、撮影機能52、位置関係算出機能53、離散画像取得機能54、および撮影条件算出機能55を実現する。これらの各機能はそれぞれプログラムの形態でメモリ41に記憶されている。
【0037】
なお、本実施形態では、コンソール装置40の処理回路45により各機能51-55が実現される場合の例について説明するが、処理回路45のこれらの機能51-55の一部または全部は、ネットワークに接続された院内サーバ、クラウドコンソール、ワークステーションなどの、X線CT装置1とは独立した、プロセッサおよび記憶回路を少なくとも有した外部の装置によって実現されてもよい。
【0038】
基準位置画像取得機能51は、本スキャンのための位置決め用の画像が必要な場合は、被検体Pの所定の基準位置を含む参照画像を取得する。参照画像は、基準画像(被検体Pの所定の基準位置の画像)を少なくとも画像中に含む画像である。たとえば、管電流変調をともなう本スキャンを行う場合であっても、健康診断などでは、スキャノ画像を用いた厳密な位置決めを行わない場合がある。この場合、本スキャンのための位置決め用の画像を取得する必要はない。
【0039】
撮影機能52は、管電流変調をともなう本スキャンまたは管電圧変調をともなう本スキャン、または管電流変調と管電圧変調を組み合わせた本スキャンで被検体Pを撮影する。また、撮影機能52は、本スキャン前に被検体Pの所定の基準位置をスキャノ撮影することにより基準画像71を撮影する。この基準画像71は、被検体Pの所定の基準位置を含む所定幅のスキャノ画像であり、被検体Pの所定の基準位置の画像を含んでいる。
【0040】
この基準画像71は、本スキャンの前に撮影され、好ましくは本スキャンの同日、より好ましくは本スキャンの直前に、撮影される。たとえば、基準画像71の撮影は、後述するパルススキャノ撮影と同一のスキャンプロトコルに含まれるとよい。この場合、基準画像71は、パルススキャノ撮影と同一のスキャンプロトコル実行中に撮影されるため、パルススキャノ撮影で得られる複数の離散画像と同様に本スキャンの直前に撮影される。この場合、基準画像71と複数の離散画像の撮影時の被検体Pの状態は、本スキャンの撮影時とほぼ同様の状態と考えることができる。
【0041】
図3は、本スキャン前に撮影される基準画像71を説明するための図である。また、
図4(a)は参照画像の基準画像171と本スキャン前に撮影した基準画像71とを照合した様子の一例を示す説明図であり、(b)は参照画像の基準画像171と本スキャン前に撮影した基準画像71とを画像位置合わせした様子の一例を示す説明図である。
【0042】
本スキャン前に撮影した基準画像71は、画像位置合わせに用いられる。本スキャン前に撮影した基準画像71に含むべき所定の基準位置は、人体の中で吸収線量の経時的な変化が起こりづらい部位であるとよい。また、基準位置は、複数箇所が設定されてもよい。たとえば、過去画像を参照画像として用いる場合であって、過去画像の撮影時点と現在とで被検体Pの身長が大きく異なっている場合は、体軸方向に異なる2箇所以上を基準位置として用いることで、被検体Pの身長が変わってしまっていることを容易に把握することができる。また、基準位置は、たとえば本スキャンの撮影条件に含まれる本スキャンのスキャン範囲の端部としてもよく、この場合、両端を基準位置として用いてもよい(
図3参照)。
【0043】
本スキャンのための位置決めを行なう場合、位置関係算出機能53は、参照画像に含まれた基準画像171と本スキャン前に撮影した基準画像71とを照合する(
図4(a)参照)。次に、位置関係算出機能53は、参照画像の基準画像171と本スキャン前に撮影した基準画像71とを画像位置合わせする(
図4(b)参照)。このとき、参照画像の基準画像171と本スキャン前に撮影した基準画像71の差分量(
図4(a)および(b)のXmm参照)が求められる。画像位置合わせの後、参照画像を用いて本スキャンのための位置決め(スキャン範囲の設定)が行われ、スキャン開始位置が決定される。また、参照画像が過去にモダリティで撮影された過去画像であって当該過去画像に天板位置情報が付帯している場合は、位置関係算出機能53は、過去画像に付帯する天板位置情報にもとづいて、被検体Pを載置する天板33と、X線管11およびX線検出器12とを含む撮像系と、の相対位置を調整することにより、本スキャンの開始位置に被検体Pを移動させることができる。
【0044】
このため、位置関係算出機能53は、本スキャン前に撮影した基準画像71のみを用いて本スキャンのための位置決めを行なうことができる。したがって、ホールボディ(全身)撮影したスキャノ画像を用いて本スキャンのための位置決めを行なう場合に比べて、被検体Pの極一部のみをスキャノ撮影するだけでよいため(
図3参照)、大幅に被検体Pの被ばく量を低減することができる。
【0045】
ここで、管電流変調をともなう本スキャンにおける管電流値を設定するためのスキャノ撮影について説明する。
【0046】
従来、管電流変調をともなう本スキャンを行なう場合、本スキャンの前に、管電流値を設定するためのスキャノ撮影が行われる。スキャノ撮影は、本スキャンのスキャン範囲を含む範囲で行われる。たとえば、本スキャンが頚部から骨盤までをスキャン範囲とする場合は、従来、本スキャンの前に頚部から骨盤までのスキャノ画像データが取得され、このスキャノ画像データにもとづいて管電流制御のための管電流の変化パターンが決定される。
【0047】
しかし、管電流値を設定するためには、本スキャンのスキャン範囲内の、被検体Pの体軸方向に沿った複数の離散的な位置のそれぞれ(以下、スキャンポイントという)のスキャノ画像データがあれば足りる。このため、従来の方法では、スキャンポイント以外のスキャノ撮影によって、被検体Pが無駄な被ばくを受けてしまう。
【0048】
図5(a)は、スキャンポイント62の一例を示す説明図であり、(b)はスキャンポイント62のスキャンデータから管電流値を求める様子の一例を示す説明図である。
【0049】
たとえば、本スキャンがヘリカルスキャンである場合、スキャンポイント62は、ヘリカルスキャンにおけるX線管11の軌跡61のうち、被検体PのAP方向(上下方向、
図5(a)参照)やRL方向(左右方向)を投影するポイントとするとよい。
【0050】
AP方向(またはRL方向)のスキャノ画像データがあれば、楕円形の水ファントムに換算した場合の面積と水等価厚での短軸の長さ(または長軸長さ)とが決定されるため、長軸長さ(または短軸長さ)が算出できる。このため、AP方向(またはRL方向)のスキャノ画像データだけで、各スキャンポイント62における楕円形である水ファントムに換算した水等価厚が求められる。このため、各スキャンポイント62のスキャノ画像データから、各スキャンポイント62で設定すべき管電流値を求めることができる(
図5(b)参照)。
【0051】
このように、被検体Pの体軸方向に沿って複数の離散的な位置(スキャンポイント62)のみで離散画像を取得するためのパルススキャノ撮影を行うことで、本スキャンの撮影条件のうち、本スキャンのスキャン範囲に対応する管電流値および管電圧値の少なくとも一方を設定することができるとともに、本スキャンの前に頚部から骨盤までをスキャノ撮影する場合に比べ、被検体Pの被ばく量を大幅に低減することができる。
【0052】
そこで、本実施形態に係る処理回路45は、本スキャン前に行なう撮影条件のうち、本スキャンのスキャン範囲に対応する管電流値および管電圧値の少なくとも一方を設定するためのスキャノ撮影において、スキャンポイント62(被検体Pの体軸方向に沿って複数の離散的な位置)のみでパルススキャノ撮影する。
【0053】
スキャンポイント62の位置をより正確に求める場合は、まず、位置関係算出機能53は、参照画像と本スキャン前に撮影した基準画像71とにもとづいて、スキャンポイント62の位置と本スキャンのスキャン範囲との位置関係を求める。より具体的には、位置関係算出機能53は、参照画像と本スキャン前に撮影した基準画像71とにもとづいて本スキャンのための位置決め(スキャン範囲の設定)を行ってから、管電流変調または管電圧変調をともなう本スキャンの撮影条件に含まれる撮像系の回転速度と、天板33と撮像系との相対速度、および設定したスキャン範囲の情報にもとづいてスキャンポイント62の位置と本スキャンのスキャン範囲との位置関係を求める。パルススキャノ撮影の前に本スキャンのための位置決めを行うことにより、本スキャンのための位置決めを行わない場合に比べ、位置関係算出機能53は、本スキャンのスキャン範囲内のスキャンポイントの位置を、より容易かつ正確に求めることができる。
【0054】
図6は、スキャンポイント62に対応する位置72のみで取得される離散画像の一例を示す説明図である。
【0055】
撮影機能52は、管電流変調をともなう本スキャンにおける管電流値を設定するために、または管電圧変調をともなう本スキャンにおける管電圧値を設定するために位置関係算出機能53が求めたスキャンポイント62に対応する複数の離散的な位置72のみで被検体Pをパルススキャノ撮影(間欠スキャノ撮影)することにより、複数の離散画像(以下、パルススキャノ画像という)を取得する。このとき、スキャンポイント62に対応する位置72を除く非ばく射位置73ではスキャノ撮影は行われない。すなわち、複数の離散画像は、被検体Pの体軸方向に複数の離散的な位置(スキャンポイント62)でX線の照射のON/OFFを繰り返すことで取得される。
【0056】
このため、スキャン範囲に対応する管電流値および管電圧値の少なくとも一方を設定するためのスキャノ撮影において、本スキャンのスキャン範囲全体でスキャノ撮影する場合に比べ、大幅に被検体Pの被ばく量を低減することができる。
【0057】
たとえば、本スキャンが天板33と撮像系とを所定の等速の相対速度で相対位置を変化させつつ撮像系を回転させながら撮影を行うヘリカルスキャンであり、撮像系の回転速度が0.5秒/回転である場合を考える。この場合、撮影機能52は、回転速度等の情報を含む本スキャンの撮影条件をメモリ41からまたはネットワークを介してクラウドサーバ等から取得し、天板33と撮像系とを本スキャンと同じ速度で相対位置を変化させつつ、0.5秒ごとに間欠的にスキャノ撮影することにより、スキャンポイント62に対応する位置72のみのパルススキャノ画像を撮影することができる。
【0058】
離散画像取得機能54は、撮影機能52の制御により架台装置10により撮影された、または外部の撮像装置により撮影された、パルススキャノ画像(被検体Pの体軸方向に複数の離散的な位置で撮影された複数の離散画像)取得する。
【0059】
なお、位置関係算出機能53は、パルススキャノ画像を用いてスキャン範囲を調整することによりスキャン範囲の精度を向上させてもよい。この場合、本スキャン前に撮影した基準画像71とパルススキャノ画像のみを用いて本スキャンのための位置決めを行うことができるため、ホールボディ(全身)撮影したスキャノ画像を用いて本スキャンのための位置決めを行う場合に比べて、非ばく射位置73により大幅に被検体Pの被ばく量を低減することができる。
【0060】
また、上記例ではAP方向(またはRL方向)など、1つの方向のスキャノ撮影をパルススキャノ撮影とする場合について説明したが、AP方向とRL方向の両者など、2つの方向でスキャノ撮影を行ってもよい。この場合、少なくとも1つの方向のスキャノ撮影をパルススキャノ撮影とすることで、2つの方向の両方でスキャン範囲全てをスキャノ撮影する場合に比べ、被検体Pの被ばく量を大幅に低減することができる。
【0061】
また、位置関係算出機能53は、被検体Pを事前にモダリティや光学カメラなどで撮影した過去画像をディスプレイ42に表示し、この過去画像を確認しながらユーザが入力インターフェース43を介して指示した位置にもとづいて、パルススキャノ撮影を行なう位置72を特定してもよい。
【0062】
なお、この管電流値設定のためのパルススキャノ撮影は、たとえ前日など直近で同一の被検体Pについての管電流値設定が行われていたとしても、本スキャンごとに改めて実行されることが好ましい。これは、同一の被検体Pであったとしても、被検体Pの状態によって、吸収線量が変わる可能性があるためである。
【0063】
また、上述のとおり、基準画像71の撮影と管電流値設定のためのパルススキャノ撮影は、同一のスキャンプロトコルに含まれるとよい。
【0064】
図7は、スキャンポイント62ごとに設定されるAP方向の管電流値65APおよびRL方向の管電流値65RLの一例を示す説明図である。
【0065】
撮影条件算出機能55は、スキャンポイント62に対応する位置72ごとのパルススキャノ画像にもとづいて、本スキャンのスキャン範囲に対応する撮影条件を求める。たとえば、本スキャンが管電流変調撮影である場合は、撮影条件算出機能55は、スキャンポイント62ごとに管電流値を算出し、このスキャンポイント62ごとの管電流値にもとづいて本スキャンのスキャン範囲に対応する管電流値を求める(
図7参照)。
【0066】
次に、本実施形態に係るX線CT装置1の動作の一例について説明する。なお、以下の説明では、管電流変調をともなう本スキャンを行う場合の例を示す。
【0067】
図8は、処理回路45のプロセッサにより、本スキャンの前に本スキャンのための位置決めや撮影条件の設定のために行われるスキャノ撮影における被検体Pの被ばく線量を低減する際の手順の一例を示すフローチャートである。
図8において、Sに数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。
【0068】
この手順は、メモリ41から、またはネットワークを介して画像サーバ等から、被検体Pの所定の基準位置を含む過去画像の情報を取得した時点でスタートとなる。
【0069】
まず、ステップ1において、基準位置画像取得機能51は、過去画像を本スキャンのための位置決め用の参照画像として利用することの可否を判定する。
【0070】
図9は、
図8のステップS1で基準位置画像取得機能51により実行される過去画像の利用可否の判定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0071】
基準位置画像取得機能51は、過去画像を撮影した時と現在との被検体Pの形状変化にもとづいて、過去画像を本スキャンのための位置決め用の参照画像として利用することの可否を判定する。このため、基準位置画像取得機能51は、たとえば、まず被検体Pが属する年齢範囲を判定する(ステップS101-103)。
【0072】
次に、基準位置画像取得機能51は、被検体Pが属する年齢範囲ごとに設定された体重変化の閾値(ステップS201)、身長変化の閾値(ステップS202)、過去画像の撮影時点から現在までの経過期間の閾値(ステップS203)など、被検体Pの形状が大きく変化したと予想される閾値を超えていない場合には、過去画像を本スキャンのための位置決めに用いてもよいと判定し(ステップS31)、
図8のステップS2に進む。一方、被検体Pの形状が大きく変化したと予想される閾値を超えた場合には、過去画像を本スキャンのための位置決めに用いるべきではないと判定し(ステップS32)、
図8のステップS3に進む。
【0073】
図9のステップS31で過去画像を本スキャンのための位置決めに用いてもよいと判定されると、
図8に戻って、ステップS2において、基準位置画像取得機能51は、メモリ41またはネットワークを介して画像サーバ等から、被検体Pの所定の基準位置を含む過去画像を取得する。
【0074】
一方、
図9のステップS32で過去画像を本スキャンのための位置決めに用いるべきではないと判定されると、
図8に戻って、ステップS3において、基準位置画像取得機能51は、本スキャンのための位置決め用の画像が必要か否かを判定する。本スキャンのための位置決めの画像が必要な場合はステップS4に進む。
【0075】
一方、本スキャンのための位置決め用の画像が不要な場合はステップS7に進む。たとえば、健康診断など、スキャノ画像を用いた厳密な位置決めを行わずに管電流変調スキャンが行われる場合には、本スキャンのための位置決め用の画像は不要である。
【0076】
なお、本実施形態では本スキャンのための位置決め用画像の要否を判定するステップS3がステップS1の後に実行される場合の例を示したが、ステップS1の前に実行されてもよい。この場合、本スキャンのための位置決め用画像が必要と判断された場合にはステップS1の処理を実行し、不要と判断された場合にはステップS7に進めばよい。この場合、位置関係算出機能53による本スキャンのための位置決めは、過去画像の利用可否によらず省略されることになる。
【0077】
ステップS3で本スキャンのための位置決め用の画像が必要と判定すると、基準位置画像取得機能51は、ステップS4において、現在の被検体Pの所定の基準位置を含む本スキャンのための位置決め用の参照画像を取得し、ステップS7に進む。この新たに取得される本スキャンのための位置決め用の参照画像は、ステップS4で光学カメラにより取得された画像でもよいし、X線CT装置1によってステップS4で改めて撮影されたスキャノ画像でもよい。なお、スキャノ画像を改めて撮影する場合は、本スキャンスキャン範囲が設定可能な範囲が撮影されていればよい。なお、この場合のスキャノ画像はたとえばステップS9で実行されるパルススキャノ撮影と同一のプロトコルの実行中に撮影してもよい。
【0078】
次に、ステップS5において、撮影機能52は、本スキャン前に、被検体Pの所定の基準位置を含む基準画像71を撮影する(
図3、
図4(a)参照)。なお、本撮影はステップS9で実行されるパルススキャノ撮影と同一のプロトコルの実行中に撮影してもよい。
【0079】
次に、ステップS6において、位置関係算出機能53は、参照画像の基準画像171と本スキャン前に撮影した基準画像71とを画像位置合わせする(
図4(b)参照)。
【0080】
次に、ステップS7において、位置関係算出機能53は、本スキャンの為の位置決めを行ってスキャン範囲を設定するとともに、管電流変調をともなう本スキャンの撮影条件をメモリ41からまたはネットワークを介してクラウドサーバ等から取得する。
【0081】
次に、ステップS8において、位置関係算出機能53は、参照画像と本スキャン前に撮影した基準画像71と本スキャンの撮影条件とにもとづいて、スキャンポイント62の位置と本スキャンのスキャン範囲との位置関係を求める(
図5(a)参照)。これらの位置関係は参照画像や基準画像71がない場合は、本スキャンの撮影条件にもとづいて求めてもよい。
【0082】
次に、ステップS9において、撮影機能52は、位置関係算出機能53が特定したスキャンポイント62に対応する位置72のみで被検体Pをパルススキャノ撮影する。離散画像取得機能54は、パルススキャノ撮影で得られた複数の離散画像(パルススキャノ画像)を取得する(
図6参照)。
【0083】
次に、ステップS10において、撮影条件算出機能55は、スキャンポイント62に対応する位置72ごとのパルススキャノ画像にもとづいて、本スキャンのスキャン範囲に対応する管電流値を求める(
図7参照)。
【0084】
次に、ステップS11において、撮影機能52は、撮影条件算出機能55によって算出された本スキャンのスキャン範囲の管電流値にもとづいて、管電流変調をともなう本スキャンを行ない、一連の手順は終了となる。
【0085】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、本スキャンの前に本スキャンのための位置決めや撮影条件の設定のために行われるスキャノ撮影における被検体Pの被ばく線量を低減することができる。
【0086】
なお、本実施形態における処理回路45は、特許請求の範囲における処理回路の一例である。
【0087】
また、上記実施形態において、「プロセッサ」という文言は、たとえば、専用または汎用のCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、または、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(たとえば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、およびFPGA)等の回路を意味するものとする。プロセッサは、記憶媒体に保存されたプログラムを読み出して実行することにより、各種機能を実現する。
【0088】
また、上記実施形態では処理回路の単一のプロセッサが各機能を実現する場合の例について示したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサが各機能を実現してもよい。また、プロセッサが複数設けられる場合、プログラムを記憶する記憶媒体は、プロセッサごとに個別に設けられてもよいし、1つの記憶媒体が全てのプロセッサの機能に対応するプログラムを一括して記憶してもよい。
【0089】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0090】
1…X線CT装置
33…天板
45…処理回路
51…基準位置画像取得機能
52…撮影機能
53…位置関係算出機能
54…離散画像取得機能
55…撮影条件算出機能
62…スキャンポイント
65AP…管電流値
65RL…管電流値
71…基準スキャノ画像