(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】表示装置及びその駆動方法
(51)【国際特許分類】
G09G 3/36 20060101AFI20220808BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20220808BHJP
G02F 1/1368 20060101ALI20220808BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20220808BHJP
G02F 1/1343 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/20 624B
G09G3/20 624D
G09G3/20 624E
G09G3/20 641E
G09G3/20 611A
G09G3/20 622D
G09G3/20 622R
G09G3/20 621B
G02F1/1368
G02F1/133 550
G02F1/133 575
G02F1/1343
(21)【出願番号】P 2018143874
(22)【出願日】2018-07-31
【審査請求日】2021-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 宏宜
(72)【発明者】
【氏名】小出 元
【審査官】塚本 丈二
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-109600(JP,A)
【文献】特開2011-150010(JP,A)
【文献】特表2001-520762(JP,A)
【文献】国際公開第2008/026350(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0067402(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00-3/38
G02F 1/1368
G02F 1/133
G02F 1/1343
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1走査線と、
第2走査線と、
信号線と、
容量配線と、
画素電極、前記画素電極と静電容量結合している補助電極、第1スイッチ、第2スイッチ、及び第3スイッチを有する画素と、
を有する第1基板と、
前記画素の一部を構成する共通電極を有する第2基板と、
前記画素電極と前記共通電極との間の表示機能層と、を備え、
前記第1スイッチは前記信号線と前記画素電極と前記第1走査線に電気的に接続され、
前記第2スイッチは前記補助電極と前記第1走査線と前記容量配線に電気的に接続され、
前記第3スイッチは前記信号線と前記第2走査線と前記補助電極に電気的に接続さ
れ、
前記補助電極は、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、及び前記第3スイッチのそれぞれと対向している、
表示装置。
【請求項2】
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチのそれぞれのオンオフを切り替えるために前記第1走査線に第1制御信号を与え、前記第3スイッチのオンオフを切り替えるために前記第2走査線に第2制御信号を与え、前記信号線に画像信号を与え、前記容量配線に補助信号を与える駆動部と、をさらに備え、
前記駆動部は、
第1駆動期間に、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをそれぞれオンし、前記第3スイッチをオフし、前記画像信号を前記信号線及び前記第1スイッチを介して前記画素電極に与え、前記容量配線及び前記第2スイッチを介して前記補助電極に前記補助信号を与え、
前記第1駆動期間に続く第2駆動期間に、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをそれぞれオフし、前記第3スイッチをオンし、前記画像信号を前記信号線及び前記第3スイッチを介して前記補助電極に与える、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記駆動部は、前記第2駆動期間に、
前記画像信号の電圧値が前記補助信号の電圧値と異なる場合、前記画素電極の電位を変動させ、
前記画像信号の電圧値が前記補助信号の電圧値と同一である場合、前記画素電極の電位を変動させない、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記補助電極は、前記画素電極と、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、及び前記第3スイッチを含むスイッチ群と、の間に位置している、
請求項1乃
至3の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1走査線、前記第2走査線、及び前記容量配線は、第1方向に延在し、
前記信号線は、前記第1方向に交差する第2方向に延在し、
前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、及び前記第3スイッチは、平面視にて、前記第1走査線と前記第2走査線との間に位置し、前記補助電極と対向し、
前記容量配線は、平面視にて、前記第2走査線より前記第1走査線の近傍に位置し、前記補助電極に距離を置いて位置している、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1基板は、
絶縁層と、
前記絶縁層の上に位置する他の絶縁層と、をさらに備え、
前記容量配線及び前記補助電極は、前記絶縁層と前記他の絶縁層との間に位置している、
請求
項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1基板は、前記画素を含む複数の画素をさらに有し、
前記共通電極は、前記複数の画素で共用され、
前記駆動部は、前記共通電極にコモン電圧を与える、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項8】
前記表示機能層は、リバース型高分子分散液晶を利用した液晶層である、
請求
項7に記載の表示装置。
【請求項9】
1フレーム期間は連続する複数のサブフレーム期間を有し、
前記駆動部は、1サブフレーム期間毎に、前記画素電極に正極性の前記画像信号と負極性の前記画像信号とを交互に与え、前記コモン電圧の極性を前記画像信号の極性と異なる極性に設定する、
請求
項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記補助信号の電圧値は、前記コモン電圧の値と同一である、
請求
項7乃至9の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
前記第1スイッチは、薄膜トランジスタで形成され、前記第1走査線に電気的に接続された第1ゲート電極と、前記第1ゲート電極と対向した第1チャネル領域、前記信号線に電気的に接続され前記第1チャネル領域より低抵抗である第1低抵抗領域、及び前記画素電極に電気的に接続され前記第1チャネル領域より低抵抗である第2低抵抗領域を有する第1半導体層であって、前記第1チャネル領域は前記第1低抵抗領域と前記第2低抵抗領域との間に位置している前記第1半導体層と、を備え、
前記第2スイッチは、薄膜トランジスタで形成され、前記第1走査線に電気的に接続された第2ゲート電極と、前記第2ゲート電極と対向した第2チャネル領域、前記容量配線に電気的に接続され前記第2チャネル領域より低抵抗である第3低抵抗領域、及び前記補助電極に電気的に接続され前記第2チャネル領域より低抵抗である第4低抵抗領域を有する第2半導体層であって、前記第2チャネル領域は前記第3低抵抗領域と前記第4低抵抗領域との間に位置している前記第2半導体層と、を備え、
前記第3スイッチは、薄膜トランジスタで形成され、前記第2走査線に電気的に接続された第3ゲート電極と、前記第3ゲート電極と対向した第3チャネル領域、前記信号線に電気的に接続され前記第3チャネル領域より低抵抗である第5低抵抗領域、及び前記補助電極に電気的に接続され前記第3チャネル領域より低抵抗である第6低抵抗領域を有する第3半導体層であって、前記第3チャネル領域は前記第5低抵抗領域と前記第6低抵抗領域との間に位置している前記第3半導体層と、を備える、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項12】
第1方向に延在した複数の第1走査線と、
前記第1方向に延在した複数の第2走査線と、
前記第1方向に交差する第2方向に延在した複数の信号線と、
前記第1方向に延在した複数の容量配線と、
前記第1方向及び前記第2方向にマトリクス状に設けられた複数の画素と、
を有する第1基板と、
共通電極を有する第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間のリバース型高分子分散液晶と、を備え、
各々の前記画素は、画素電極、前記画素電極と静電容量結合している補助電極、第1スイッチ、第2スイッチ、及び第3スイッチを有し、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチのそれぞれのオンオフを切り替えるために前記複数の第1走査線に第1制御信号を順に与え、前記第3スイッチのオンオフを切り替えるために前記複数の第2走査線に第2制御信号を順に与え、前記複数の信号線に画像信号を与え、前記複数の容量配線に補助信号を与える駆動部をさらに備え、
前記第1方向に並んだ各行の複数の画素は、前記複数の第1走査線、前記複数の第2走査線、及び前記複数の容量配線のうち、対応する一の第1走査線、対応する一の第2走査線、及び対応する一の容量配線に共通して接続され、
前記第2方向に並んだ各列の複数の画素は、前記複数の信号線のうち、対応する一の信号線に共通して接続され
、
前記補助電極は、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、及び前記第3スイッチのそれぞれと対向し、
前記駆動部は、
前記共通電極にコモン電圧を与え、前記画素電極と前記共通電極との間に印加される電圧を前記リバース型高分子分散液晶にかけ、
1水平走査期間の第1駆動期間に、一行の全ての画素の前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオンし前記第3スイッチをオフし、前記画像信号を前記複数の信号線及び前記複数の第1スイッチを介して前記一行の全ての画素の前記画素電極に与え、前記対応する一の容量配線及び前記複数の第2スイッチを介して前記一行の全ての画素の補助電極に前記補助信号を与え、
前記1水平走査期間のうち前記第1駆動期間に続く第2駆動期間に、前記一行の全ての画素の前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオフし前記第3スイッチをオンし、前記画像信号を前記複数の信号線及び前記複数の第3スイッチを介して前記一行の全ての画素の補助電極に与える、
表示装置。
【請求項13】
第1走査線と、第2走査線と、信号線と、容量配線と、画素電極、前記画素電極と静電容量結合している補助電極
、前記補助電極に対向する第1スイッチ
、前記補助電極に対向する第2スイッチ、及
び前記補助電極に対向する第3スイッチを有する画素と、前記画素の一部を構成する共通電極と、表示機能層と、を備える表示装置の駆動方法において、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチのそれぞれのオンオフを切り替えるために前記第1走査線に第1制御信号を与え、
前記第3スイッチのオンオフを切り替えるために前記第2走査線に第2制御信号を与え、
前記信号線に画像信号を与え、
前記容量配線に補助信号を与え、
第1駆動期間に、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをそれぞれオンし、前記第3スイッチをオフし、前記画像信号を前記信号線及び前記第1スイッチを介して前記画素電極に与え、前記容量配線及び前記第2スイッチを介して前記補助電極に前記補助信号を与え、
前記第1駆動期間に続く第2駆動期間に、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをそれぞれオフし、前記第3スイッチをオンし、前記画像信号を前記信号線及び前記第3スイッチを介して前記補助電極に与え、
前記共通電極にコモン電圧を与え、前記画素電極と前記共通電極との間に印加される電圧を前記表示機能層にかける、
表示装置の駆動方法。
【請求項14】
前記第2駆動期間に、
前記画像信号の電圧値が前記補助信号の電圧値と異なる場合、前記画素電極の電位を変動させ、
前記画像信号の電圧値が前記補助信号の電圧値と同一である場合、前記画素電極の電位を変動させない、
請求
項13に記載の表示装置の駆動方法。
【請求項15】
1フレーム期間は連続する複数のサブフレーム期間を有し、
1サブフレーム期間毎に、
前記画素電極に正極性の前記画像信号と負極性の前記画像信号とを交互に与え、
前記コモン電圧の極性を前記画像信号の極性と異なる極性に設定する、
請求
項13に記載の表示装置の駆動方法。
【請求項16】
前記補助信号の電圧値は、前記コモン電圧の値と同一である、
請求
項15に記載の表示装置の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置及び表示装置の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話端末やパーソナルコンピュータ等の電子機器に搭載される表示装置として、液晶表示装置が広く利用されている。例えば液晶表示装置は、互いに対向して配置されたアレイ基板及び対向基板と、これら両基板間に挟持された液晶層と、マトリクス状に配置された複数の画素と、複数の画素を駆動する駆動回路と、を備えている。
【0003】
アレイ基板には、各画素に対応するように画素電極がマトリクス状に配置されている。対向基板には、複数の画素電極と対向するように対向電極が配置されている。液晶層に含まれる液晶分子は、画素電極に印加される電圧と対向電極に印加される電圧とによって、液晶分子の配向状態が制御される。
【0004】
液晶層は、長時間同じ電圧(直流電圧)が印加されていると、液晶層の傾きが固定され、その結果として残像現象を引き起こし、液晶層の寿命を縮めることになる。これを防止するために、液晶表示装置においては、液晶層に印加する電圧をある一定時間毎に交流化、即ち、対向電極に印加する電圧を基準にして、画素電極に印加する電圧を一定時間毎に正電圧側および負電圧側に変化させるようにしている。すなわち、極性反転駆動を行っている。
【0005】
このように液晶層に交流電圧を印加する駆動方法として、画素スイッチが非導通状態の期間に、補助容量線の電圧を制御し、信号線に供給する信号電位の変化量より、画素電極電位の変化量を大きくする容量結合(CC:Capacity Coupling)駆動方式が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本実施形態は、低消費電力化を図ることが可能な表示装置及び表示装置の駆動方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態に係る表示装置は、
第1走査線と、第2走査線と、信号線と、容量配線と、画素電極、前記画素電極と静電容量結合している補助電極、第1スイッチ、第2スイッチ、及び第3スイッチを有する画素と、を有する第1基板と、前記画素の一部を構成する共通電極を有する第2基板と、前記画素電極と前記共通電極との間の表示機能層と、を備え、前記第1スイッチは前記信号線と前記画素電極と前記第1走査線に電気的に接続され、前記第2スイッチは前記補助電極と前記第1走査線と前記容量配線に電気的に接続され、前記第3スイッチは前記信号線と前記第2走査線と前記補助電極に電気的に接続され、前記補助電極は、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、及び前記第3スイッチのそれぞれと対向している。
【0009】
また、一実施形態に係る表示装置の駆動方法は、
第1走査線と、第2走査線と、信号線と、容量配線と、画素電極、前記画素電極と静電容量結合している補助電極、前記補助電極に対向する第1スイッチ、前記補助電極に対向する第2スイッチ、及び前記補助電極に対向する第3スイッチを有する画素と、前記画素の一部を構成する共通電極と、表示機能層と、を備える表示装置の駆動方法において、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチのそれぞれのオンオフを切り替えるために前記第1走査線に第1制御信号を与え、前記第3スイッチのオンオフを切り替えるために前記第2走査線に第2制御信号を与え、前記信号線に画像信号を与え、前記容量配線に補助信号を与え、第1駆動期間に、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをそれぞれオンし、前記第3スイッチをオフし、前記画像信号を前記信号線及び前記第1スイッチを介して前記画素電極に与え、前記容量配線及び前記第2スイッチを介して前記補助電極に前記補助信号を与え、前記第1駆動期間に続く第2駆動期間に、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをそれぞれオフし、前記第3スイッチをオンし、前記画像信号を前記信号線及び前記第3スイッチを介して前記補助電極に与え、前記共通電極にコモン電圧を与え、前記画素電極と前記共通電極との間に印加される電圧を前記表示機能層にかける。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施形態における表示装置の構成例を示す平面図である。
【
図3】
図3は、
図1の表示装置の主要な構成要素を示す図である。
【
図5】
図5は、上記表示装置の表示パネルの一部を示す平面図であり、上記画素を示す図である。
【
図6】
図6は、
図5の表示パネルを線VI-VIに沿って示す断面図である。
【
図7】
図7は、
図5の表示パネルを線VII-VIIに沿って示す断面図である。
【
図8】
図8は、
図5の表示パネルを線VIII-VIIIに沿って示す断面図である。
【
図9】
図9は、
図5の表示パネルを線IX-IXに沿って示す断面図である。
【
図11A】
図11Aは、液晶層が透明状態である場合の表示パネルを示す断面図である。
【
図11B】
図11Bは、液晶層が散乱状態である場合の表示パネルを示す断面図である。
【
図14】
図14は、表示走査における画像信号、画素電極の電位、コモン電圧、及び補助信号の一例を示す図であり、階調の最大値に対応する波形を示す図である。
【
図15】
図15は、表示走査における画像信号、画素電極の電位、コモン電圧、及び補助信号の一例を示す図であり、階調の最小値に対応する波形を示す図である。
【
図16A】
図16Aは、透明走査における画像信号、画素電極の電位、コモン電圧、及び補助信号の一例を示す図である。
【
図16B】
図16Bは、透明走査における画像信号、画素電極の電位、コモン電圧、及び補助信号の他の例を示す図である。
【
図17】
図17は、1フレーム期間における、画像信号、第1制御信号、第2制御信号、補助信号、及びコモン電圧の変化を示すタイミングチャートである。
【
図18】
図18は、2水平走査期間における、画像信号、第1制御信号、第2制御信号、補助信号、コモン電圧、画素電極の電位、及び補助電極の電位の変化を示すタイミングチャートであり、上記画素電極に正極性の画像信号を書き込む例を説明するための図である。
【
図19】
図19は、2水平走査期間における、画像信号、第1制御信号、第2制御信号、補助信号、コモン電圧、画素電極の電位、及び補助電極の電位の変化を示すタイミングチャートであり、上記画素電極に負極性の画像信号を書き込む例を説明するための図である。
【
図20】
図20は、
図3に示したタイミングコントローラの一構成例を示す図である。
【
図21】
図21は、上記表示装置の使用例を示す図であり、単個の書換え領域内に画像を表示している状態を示す表示パネルの平面図である。
【
図23】
図23は、
図22に示した複数の画素を示す等価回路であり、第1走査線、第2走査線、信号線、容量配線、スイッチ、画素電極、及び補助電極の接続関係を示す図である。
【
図24】
図24は、表示動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図25】
図25は、上記実施形態の変形例1に係る表示装置の主要な構成要素を示す図である。
【
図27】
図27は、上記実施形態の変形例2に係る表示装置の第1基板の一部を示す平面図であり、上記画素を示す図である。
【
図28】
図28は、
図27の第1基板を線XXVIII-XXVIIIに沿って示す断面図である。
【
図32】
図32は、上記実施形態の変形例3に係る表示装置の第1基板の一部を示す平面図であり、上記画素を示す図である。
【
図33】
図33は、
図32の第1基板を線XXXIII-XXXIIIに沿って示す断面図である。
【
図37】
図37は、上記実施形態の変形例4に係る表示装置の第1基板の一部を示す平面図であり、上記画素を示す図である。
【
図38】
図38は、
図37の第1基板を線XXXVIII-XXXVIIIに沿って示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(一実施形態)
以下に、本発明の一実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0012】
本実施形態においては、表示装置の一例として、高分子分散型液晶を適用した液晶表示装置について説明する。表示装置は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話端末等の種々の装置に用いることができる。
【0013】
図1は、一実施形態における表示装置DSPの構成例を示す平面図である。
図1に示すように、第1方向X及び第2方向Yは互いに交差する方向であり、第3方向Zは第1方向X及び第2方向Yと交差する方向である。第1方向Xは、行方向に相当し、第2方向Yは、列方向に相当している。一例では、第1方向X、第2方向Y、及び第3方向Zは、互いに直交しているが、互いに90度以外の角度で交差していてもよい。本明細書において、第3方向Zを示す矢印の先端に向かう方向を上方(あるいは、単に上)と称し、矢印の先端から逆に向かう方向を下方(あるいは、単に下)と称する。
【0014】
表示装置DSPは、表示パネルPNL、配線基板F1,F2などを備えている。表示パネルPNLは、画像を表示する表示領域DA、及び表示領域DAを囲む額縁状の非表示領域NDAを備えている。表示パネルPNLは、n本の第1走査線Ga(Ga1~Gan)、n本の第2走査線Gb(Gb1~Gbn)、m本の信号線S(S1~Sm)などを備えている。なお、n及びmはいずれも正の整数であり、nがmと等しくてもよいし、nがmとは異なっていてもよい。複数の第1走査線Ga及び複数の第2走査線Gbは、表示領域DAにて、それぞれ第1方向Xに延在し、第2方向Yに間隔をおいて並んでいる。言い換えると、複数の第1走査線Ga及び複数の第2走査線Gbは、行方向に延在している。複数の信号線Sは、表示領域DAにて、それぞれ第2方向Yに延在し、第1方向Xに間隔をおいて並んでいる。
【0015】
表示パネルPNLは、複数の第1接続配線CW1及び複数の第2接続配線CW2を備えている。複数の第1接続配線CW1は、非表示領域NDAに設けられ、第1走査線Ga、第2走査線Gb、及び信号線Sの何れか一に電気的に接続されている。本実施形態において、第1接続配線CW1は、信号線Sと同一の材料で形成されている。複数の第2接続配線CW2は、非表示領域NDAに設けられ、複数の第1接続配線CW1に一対一で接続されている。本実施形態において、第2接続配線CW2は、第1走査線Ga及び第2走査線Gbと同一の材料で形成されている。
また、これに限らず複数の第1接続配線CW1は第1走査線Ga及び第2走査配線Gbと同一の材料で形成されても良く、さらには後述する容量配線Csと同一の材料で形成されても良い。
【0016】
表示パネルPNLは、第1方向Xに延在する端辺En1,En2と、第2方向Yに延在する端辺En3,En4と、を有している。本実施形態において、端辺En1,En2はそれぞれ長辺であり、端辺En3,En4はそれぞれ短辺である。
【0017】
走査線駆動回路GD1,GD2、及び信号線駆動回路SD1,SD2,SD3は、表示パネルPNLの非表示領域NDAに実装されている。本実施形態において、走査線駆動回路GD1、信号線駆動回路SD1、信号線駆動回路SD2、信号線駆動回路SD3、及び走査線駆動回路GD2は、表示領域DAと端辺En2との間に位置し、第1方向Xに順に並んでいる。走査線駆動回路GD1,GD2、及び信号線駆動回路SD1,SD2,SD3は、それぞれ複数の第2接続配線CW2と電気的に接続されている。
【0018】
配線基板F1は、表示パネルPNL及び配線基板F2に接続されている。配線基板F1は、走査線駆動回路GD1,GD2、及び信号線駆動回路SD1,SD2,SD3と電気的に接続されている。配線基板F2は、タイミングコントローラTCや電源回路PCなどを備えている。配線基板F1は、配線基板F2のコネクタCTに接続されている。なお、配線基板F1,F2は、単一の配線基板に置換されてもよい。上述した走査線駆動回路GD1,GD2、信号線駆動回路SD1,SD2,SD3、及びタイミングコントローラTCは、本実施形態の駆動部DRを構成している。駆動部DRは、第1走査線Ga、第2走査線Gb、信号線S、後述する容量配線、及び後述する共通電極のそれぞれの駆動を制御するように構成されている。
また、走査線駆動回路GD1,GD2、及び信号線駆動回路SD1,SD2,SD3は例えばドライバICであり、ドライバICの走査線駆動回路GD1,GD2,及び信号線駆動回路SD1,SD2,SD3は表示パネルPNLに実装される例に限らず、配線基板F1もしくは配線基板F2に実装される構造であっても良い。
【0019】
図示した例では、端辺En1の側から奇数番目の第1走査線Ga1,…Ga(n-1)及び第2走査線Gb1,…Gb(n-1)が走査線駆動回路GD1に接続され、偶数番目の第1走査線Ga2,…Gan及び第2走査線Gb2,…Gbnが走査線駆動回路GD2に接続されている。但し、第1走査線Ga及び第2走査線Gbと、走査線駆動回路GD1,GD2との接続関係は図示した例に限定されるものではない。例えば、走査線駆動回路GD1,GD2を単一の走査線駆動回路に置換し、全ての第1走査線Ga及び全ての第2走査線Gbを単一の走査線駆動回路に接続してもよい。信号線Sと、信号線駆動回路SD1,SD2,SD3との接続関係も図示した例に限定されるものではない。信号線駆動回路SD1,SD2,SD3を単一の信号線駆動回路に置換し、全ての信号線Sを単一の信号線駆動回路に接続してもよい。
【0020】
図2は、
図1に示した表示装置DSPの断面図である。ここでは、第2方向Y及び第3方向Zによって規定されるY-Z平面における表示装置DSPの断面において、主要部のみを説明する。
【0021】
図2に示すように、表示パネルPNLは、第1基板SUB1、第2基板SUB2、表示機能層としての液晶層30などを備えている。第1基板SUB1は、透明基板10、画素電極PE、配向膜AF1などを備えている。第2基板SUB2は、透明基板20、共通電極CE、配向膜AF2などを備えている。画素電極PE及び共通電極CEは、例えばインジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの透明な導電材料によって形成されている。
【0022】
液晶層30は、少なくとも表示領域DAに位置している。液晶層30は、高分子分散液晶を含み、配向膜AF1と配向膜AF2との間に位置している。本実施形態の液晶層30は、リバース型高分子分散液晶(R-PDLC:reverse mode polymer dispersed liquid crystal)を利用している。上記の液晶層30は、印加される電圧が低い場合に入射される光の平行度を維持し、印加される電圧が高い場合に入射される光を散乱させる。第1基板SUB1及び第2基板SUB2は、シール材40によって接合されている。第1基板SUB1は、透明基板20の端部20Eよりも第2方向Yに延出した延出部EXを有している。
【0023】
配線基板F1は、第1基板SUB1の延出部EXに実装され、延出部EXに物理的に固定されている。また、配線基板F1は、延出部EXの図示しないパッドに電気的に接続されている。なお、上記パッドは、上述した走査線駆動回路GD1,GD2、及び信号線駆動回路SD1,SD2,SD3と電気的に接続されている。
光源ユニットLUは、表示領域DAの外側の非表示領域NDAに位置している。光源ユニットLUは、発光素子LS、配線基板F3などを備えている。発光素子LSは、配線基板F3に接続され、延出部EXの上に位置している。発光素子LSは、端部20Eと対向する発光部(発光面)EMを有している。発光部EMから出射された照明光は、後述するように、端部20Eに入射し、表示パネルPNLを伝播する。
【0024】
図3は、
図1に示した表示装置DSPの主要な構成要素を示す図である。
図3に示すように、表示装置DSPは、図中に破線で示すコントローラCNTを備えている。コントローラCNTは、タイミングコントローラTC、走査線駆動回路GD1,GD2、信号線駆動回路SD1,SD2,SD3、Vcom回路VC、補助回路AC、光源ドライバLSDなどを含んでいる。
タイミングコントローラTCは、外部から入力された画像データや同期信号などに基づいて各種信号を生成する。一例では、タイミングコントローラTCは、画像データに基づき、所定の信号処理を行って生成した画像信号(例えば、映像信号)を信号線駆動回路SD1,SD2,SD3に出力する。また、タイミングコントローラTCは、同期信号に基づいて生成した制御信号を、走査線駆動回路GD1,GD2、信号線駆動回路SD1,SD2,SD3、Vcom回路VC、補助回路AC、光源ドライバLSDにそれぞれ出力する。タイミングコントローラTCの詳細については後述する。
【0025】
図中に二点鎖線で示す表示領域DAは、複数の画素PXを備えている。複数の画素PXは、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に設けられている。各画素PXは、第1走査線Ga、第2走査線Gb、信号線S、及び容量配線Csと電気的に接続されている。
なお、n本の容量配線Cs(Cs1~Csn)は、表示領域DAにて、それぞれ第1方向Xに延在し、第2方向Yに間隔を置いて並んでいる。
【0026】
共通電極CEは表示領域DAに位置している。共通電極CEは、複数の画素PXで共用されている。共通電極CEは、画素PXの一部を構成している。第1走査線Gaの各々には、走査線駆動回路GD1又はGD2から第1制御信号が与えられる。第2走査線Gbの各々には、走査線駆動回路GD1又はGD2から第2制御信号が与えられる。信号線Sの各々には、信号線駆動回路SD1、SD2又はSD3から画像信号(映像信号)が与えられる。容量配線Csには、補助回路ACから補助信号ASが与えられる。共通電極CEには、Vcom回路VCからコモン電圧Vcomが与えられる。
【0027】
本実施形態において、複数の信号線Sは、セレクタ回路を介すること無しに信号線駆動回路SDと接続されている。そのため、信号線駆動回路SDは、全ての信号線Sに画像信号を同時に与えることができる。但し、本実施形態と異なり、複数の信号線Sは、セレクタ回路を介して信号線駆動回路SDと接続されていてもよい。この場合、複数の信号線Sは時分割的に駆動され、複数の信号線Sには、時分割的に画像信号が与えられる。
また、走査線駆動回路GD1,GD2はドライバICの例に限らず、第1基板SUB1上に形成されたゲート内蔵回路であっても良く、信号線駆動回路SDに接続されるセレクタ回路も第1基板SUB1上に形成された内蔵回路であっても良い。
【0028】
光源ユニットLUは、液晶層30に無彩色以外の色の光を照射するように構成されている。光源ユニットLUは、複数色の発光素子LSを備えている。例えば、光源ユニットLUは、液晶層30に第1色の光を照射する発光素子(第1発光素子)LSRと、液晶層30に第2色の光を照射する発光素子(第2発光素子)LSGと、液晶層30に第3色の光を照射する発光素子(第3発光素子)LSBと、を備えている。上記の第1色、第2色、及び第3色が、互いに異なる色であることは言うまでもない。本実施形態において、第1色は赤色、第2色は緑色、第3色は青色である。光源ドライバLSDは、これらの発光素子LSR、LSG、LSBの点灯期間を制御する。後に詳述するが、1フレーム期間が複数のサブフレーム期間を有する駆動方式においては、各サブフレームにおいて3つの発光素子LSR、LSG、LSBのうちの少なくとも1つが点灯し、サブフレーム毎に照明光の色が切り替えられる。
また、光源ユニットLUは、上述のように第1色、第2色、第3色の発光素子LSを備えたカラー表示用に限らず、白色の発光素子のみを備え、モノクロ表示に用いるものであっても良い。
【0029】
次に、上記複数の画素PXを代表し、j行i列に位置する一画素PX(j,i)について説明する。なお、複数の画素PXは、同様に構成されている。
図4は、
図3に示した画素PXを示す等価回路図である。
図4に示すように、画素PXは、画素電極PE、補助電極AE、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、第3スイッチSW3、及び共通電極CEを有している。
【0030】
共通電極CEには、駆動部DRからコモン電圧Vcomが与えられる。液晶層30には、画素電極PEと共通電極CEとの間に印加される電圧がかかる。補助電極AEは、画素電極PEと静電容量結合している。言い換えると、補助電極AE及び画素電極PEは、コンデンサCOを形成している。2以上の画素電極PE同士は電気的に接続されておらず、また、2以上の補助電極AE同士は電気的に接続されていない。なぜなら、画素PXが異なると、画素電極PEの電位が異なったり、補助電極AEの電位が異なったりすることがあり得るためである。
【0031】
第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、及び第3スイッチSW3は、薄膜トランジスタ(TFT)などのスイッチング素子で構成されている。本実施形態において、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、及び第3スイッチSW3は、それぞれNチャネル型かつダブルゲート型のTFTである。
第1スイッチSW1は、第1ゲート電極GE1、第1電極E1、及び第2電極E2を有している。第1ゲート電極GE1は、第1走査線Gajに電気的に接続されている。第1電極E1は、信号線Siに接続されている。第2電極E2は、画素電極PEに電気的に接続されている。第1スイッチSW1のオンオフは、第1走査線Gajを介して与えられる第1制御信号Cajに基づいて切り替えられる。第1スイッチSW1がオンした状態、すなわち第1スイッチSW1を構成するTFTが導通状態に切り替わった状態にて、駆動部DRが信号線Siに画像信号Vsigを出力すると、画像信号Vsigは、信号線Si及び第1スイッチSW1を介して画素電極PEに与えられる。
【0032】
第2スイッチSW2は、第2ゲート電極GE2、第3電極E3、及び第4電極E4を有している。第2ゲート電極GE2は、第1走査線Gajに電気的に接続されている。第3電極E3は、容量配線Csjに電気的に接続されている。第4電極E4は、補助電極AEに電気的に接続されている。第2スイッチSW2のオンオフは、第1スイッチSW1と同様、第1走査線Gajを介して与えられる第1制御信号Cajに基づいて切り替えられる。第2スイッチSW2がオンした状態、すなわち第2スイッチSW2を構成するTFTが導通状態に切り替わった状態にて、駆動部DRが容量配線Csjに補助信号ASを出力すると、補助信号ASは、容量配線Csj及び第2スイッチSW2を介して補助電極AEに与えられる。
【0033】
第3スイッチSW3は、第3ゲート電極GE3、第5電極E5、及び第6電極E6を有している。第3ゲート電極GE3は、第2走査線Gbjに電気的に接続されている。第5電極E5は、信号線Siに接続されている。第6電極E6は、補助電極AEに電気的に接続されている。第3スイッチSW3のオンオフは、第2走査線Gbjを介して与えられる第2制御信号Cbjに基づいて切り替えられる。第3スイッチSW3がオンした状態、すなわち第3スイッチSW3を構成するTFTが導通状態に切り替わった状態にて、駆動部DRが信号線Siに画像信号Vsigを出力すると、画像信号Vsigは、信号線Si及び第3スイッチSW3を介して補助電極AEに与えられる。
【0034】
第1方向Xに並んだ各行の複数の画素PXは、複数の第1走査線Ga、複数の第2走査線Gb、及び複数の容量配線Csのうち、対応する一の第1走査線Ga、対応する一の第2走査線Gb、及び対応する一の容量配線Csに共通して接続されている。例えば、j行目の複数の画素PXは、第1走査線Gaj、第2走査線Gb、及び容量配線Csjに共通して接続されている。
第2方向Yに並んだ各列の複数の画素PXは、複数の信号線Sのうち、対応する一の信号線Sに共通して接続されている。例えば、i列目の複数の画素PXは、信号線Siに共通して接続されている。
【0035】
図5は、表示装置DSPの表示パネルPNLの一部を示す平面図であり、画素PXを示す図である。なお、
図5において、後述する遮光層BM,SH1,SH2,SH3の図示は省略している。
図5に示すように、容量配線Csjは、平面視にて、第2走査線Gbjより第1走査線Gajの近傍に位置し、補助電極AEに距離を置いて位置している。第2方向Yにおいて、第1走査線Gajは、容量配線Csjと第2走査線Gbjとの間に位置している。本実施形態において、第2走査線Gbj-1、容量配線Csj、及び第1走査線Gajは、第2方向Yに間隔を置いて設けられている。また、第2走査線Gbj、容量配線Csj+1、及び第1走査線Gaj+1は、第2方向Yに間隔を置いて設けられている。
【0036】
平面視にて、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、及び第3スイッチSW3は、実質的に第1走査線Gajと第2走査線Gbjとの間に位置し、実質的に信号線Siと信号線Si+1との間に位置している。上記のことから、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、及び第3スイッチSW3は、実質的に、第1走査線Gaj、第2走査線Gbj、信号線Si、及び信号線Si+1で囲まれた領域に位置している。
【0037】
画素電極PE及び補助電極AEは、平面視にて、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、及び第3スイッチSW3のそれぞれと対向している。画素電極PE及び補助電極AEは、四角形の形状を有し、容量配線Csj、容量配線Csj+1、信号線Si、及び信号線Si+1で囲まれた領域に位置している。本実施形態において、画素電極PE及び補助電極AEは、第1走査線Gaj及び第2走査線Gbjに重なり、容量配線Csj、容量配線Csj+1、信号線Si、及び信号線Si+1に重なっていない。
【0038】
補助電極AEは、画素電極PEと実質同一サイズを有している。補助電極AEは、容量配線Csと対向する側にノッチ部AEnを有している。第2方向Yに隣合う一対の補助電極AEにおいて、ノッチ部AEn同士は対向している。補助電極AEは、開口AEoを有している。開口AEoは、画素電極PEを第1スイッチSW1にコンタクトさせるために用いられる。画素電極PEは、補助電極AEの開口AEoを通り、第1スイッチSW1の第2電極E2にコンタクトしている。また、補助電極AEは画素電極PEと同一サイズに限らず画素電極PEよりも内側に形成されるような画素電極PEよりも小さいサイズであってもよく、また補助電極AEの画素PXの中央領域に位置する部分をくり抜き4つの線部により形成されるものであってもよい。
【0039】
接続電極ELは、平面視にて、容量配線Csに重なっている。接続電極ELは、第2方向Yに隣合う補助電極AEのノッチ部AEnに囲まれた領域に位置し、補助電極AEに距離を空けて位置している。補助電極AE及び接続電極ELは、互いに同一の材料で形成されている。例えば、補助電極AE及び接続電極ELは、ITOやIZOなどの透明な導電材料によって形成されている。但し、表示パネルPNLは、本実施形態と異なり、接続電極EL無しに形成されていてもよい。
【0040】
第1スイッチSW1において、第1電極E1は、例えば、第2方向Yに延在し、第2方向Yに延在した信号線Sjと一体に形成されている。第2電極E2は、例えば、第2方向Yに延在し、画素電極PEに接続されている。第1ゲート電極GE1は、それぞれ、第2方向Yに延在し、第1電極E1と第2電極E2との間に位置し、第1方向Xに延在した第1走査線Gajと一体に形成されている。
【0041】
第1スイッチSW1の第1半導体層SMC1は、第1電極E1、第1ゲート電極GE1、及び第2電極E2のそれぞれと対向し第1方向Xに連続的に延在している。第1半導体層SMC1は、第1ゲート電極GE1に沿って第2方向Yに連続的に延在している。但し、本実施形態と異なり、第1スイッチSW1は、第2方向Yに物理的に独立して並んだ複数の第1半導体層SMC1を有していてもよい。
【0042】
第2スイッチSW2において、第3電極E3は、例えば、第2方向Yに延在し、容量配線Csj及び接続電極ELと対向している。第4電極E4は、例えば、第2方向Yに延在し、補助電極AEに接続されている。第2ゲート電極GE2は、それぞれ、第2方向Yに延在し、第3電極E3と第4電極E4との間に位置し、第1走査線Gajと一体に形成されている。
【0043】
第2スイッチSW2の第2半導体層SMC2は、第4電極E4、第2ゲート電極GE2、及び第3電極E3のそれぞれと対向し第1方向Xに連続的に延在している。第2半導体層SMC2は、第2ゲート電極GE2に沿って第2方向Yに連続的に延在している。但し、本実施形態と異なり、第2スイッチSW2は、第2方向Yに物理的に独立して並んだ複数の第2半導体層SMC2を有していてもよい。
【0044】
第3スイッチSW3において、第5電極E5は、例えば、第2方向Yに延在し、信号線Sjと一体に形成されている。第6電極E6は、例えば、第2方向Yに延在し、補助電極AEに接続されている。第3ゲート電極GE3は、それぞれ、第2方向Yに延在し、第5電極E5と第6電極E6との間に位置し、第1方向Xに延在した第2走査線Gbjと一体に形成されている。
【0045】
第3スイッチSW3の第3半導体層SMC3は、第5電極E5、第3ゲート電極GE3、及び第6電極E6のそれぞれと対向し第1方向Xに連続的に延在している。第3半導体層SMC3は、第3ゲート電極GE3に沿って第2方向Yに連続的に延在している。但し、本実施形態と異なり、第3スイッチSW3は、第2方向Yに物理的に独立して並んだ複数の第3半導体層SMC3を有していてもよい。
【0046】
上述した第1電極E1乃至第6電極E6、及び信号線Sは、同一の金属材料で形成されている。例えば、第1電極E1乃至第6電極E6、及び信号線Sは、それぞれ三層積層構造(Ti系/Al系/Ti系)が採用され、Ti(チタン)、Tiを含む合金などTiを主成分とする金属材料からなる下層と、Al(アルミニウム)、Alを含む合金などAlを主成分とする金属材料からなる中間層と、Ti、Tiを含む合金などTiを主成分とする金属材料からなる上層と、を有している。
【0047】
第1ゲート電極GE1乃至第3ゲート電極GE3、第1走査線Ga、及び第2走査線Gbは、同一の金属材料で形成されている。例えば、第1ゲート電極GE1乃至第3ゲート電極GE3、第1走査線Ga、及び第2走査線Gbは、Al、Ti、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、銅(Cu)、クロム(Cr)などの金属材料や、これらの金属材料を組み合わせた合金などによって形成され、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。本実施形態において、第1ゲート電極GE1乃至第3ゲート電極GE3、第1走査線Ga、及び第2走査線Gbは、Moで形成されている。
【0048】
容量配線Csは、金属材料で形成されている。例えば、容量配線Csは、三層積層構造(Mo系/Al系/Mo系)が採用され、Mo、Moを含む合金などMoを主成分とする金属材料からなる下層と、Al、Alを含む合金などAlを主成分とする金属材料からなる中間層と、Mo、Moを含む合金などMoを主成分とする金属材料からなる上層と、を有している。
【0049】
補助電極AEは、第2スイッチSW2、第3スイッチSW3、及びコンデンサCOの共通のノードとして機能している。そのため、補助電極AEが上記ノードとして機能していない場合と比較して、画素PXにおける、第2スイッチSW2、及び第3スイッチSW3の面積効率を高くすることができる。例えば、第4電極E4及び補助電極AEをつなぐ配線や第6電極E6及び補助電極AEをつなぐ配線を減らすことができ、画素PXの開口面積を大きくとることができる。
【0050】
次に、表示パネルPNLの断面構造について説明する。
図6は、
図5の表示パネルPNLを線VI-VIに沿って示す断面図である。
図6に示すように、第1基板SUB1は、透明基板10、絶縁層11,12,13,14,15,16、信号線S、補助電極AE、画素電極PE、及び配向膜AF1を備えている。透明基板10は、絶縁性を有する透明基板としてガラス基板を利用することができる。但し、透明基板10にガラス基板以外の基板を利用してもよい。例えば、透明基板10は樹脂基板であってもよい。
【0051】
透明基板10の上に、絶縁層11、12、13、14、15、及び16が順に配置されている。絶縁層11、12、13、14、及び16は、シリコン酸化物やシリコン窒化物などの無機絶縁層、又はそれらの積層体で形成されている。絶縁層15は、有機絶縁層で形成されている。
【0052】
信号線Sは、絶縁層14の上に位置し、絶縁層15で覆われている。補助電極AEは、絶縁層15の上に位置し、絶縁層16で覆われている。画素電極PEは、絶縁層16の上に位置し、配向膜AF1で覆われている。補助電極AE、絶縁層16、及び画素電極PEは、コンデンサCOを形成している。補助電極AE及び画素電極PEは、ITOなどの光透過性の導電材料によって形成されている。そのため、FFS(Fringe Field Switching)モードの液晶表示パネルと同様の製造方法にて、第1基板SUB1を形成することが可能である。
【0053】
第2基板SUB2は、透明基板20、遮光層BM、オーバーコート層OC、共通電極CE、及び配向膜AF2を備えている。透明基板20は、絶縁性を有する透明基板としてガラス基板を利用することができる。但し、透明基板20にガラス基板以外の基板を利用してもよい。例えば、透明基板20は樹脂基板であってもよい。
【0054】
遮光層BM及びオーバーコート層OCは、透明基板20の第1基板SUB1と対向する側に位置している。遮光層BMは、透明基板20とオーバーコート層OCとの間に位置している。遮光層BMは、第1方向Xに間隔を置いて並んだ複数の第1遮光部BM1を有している。各々の第1遮光部BM1は、信号線Sと対向し、信号線Sに沿って延在している。第1遮光部BM1の端部は、画素電極PEと第3方向Zに対向している。共通電極CE及び配向膜AF2は、オーバーコート層OCの第1基板SUB1と対向する側に順に配置されている。オーバーコート層OCは、透明な樹脂によって形成されている。
遮光層BMを設けることで表示装置の透明度は若干低下する可能性があるが、遮光層BMを設けることで表示のコントラストが向上する。ただし、遮光層BMについては、表示装置の透明度を向上させるために第2基板SUB2に遮光層BMを形成しない構造であっても良い。
【0055】
上述した第1基板SUB1及び第2基板SUB2は、第1配向膜AF1及び第2配向膜AF2が対向するように配置されている。図示しないが、スペーサは、第1基板SUB1及び第2基板SUB2の間に配置されている。これにより、第1配向膜AF1と第2配向膜AF2との間に所定のセルギャップが形成される。但し、スペーサとして、セルギャップを形成するメインスペーサの他に、表示パネルPNLに対して外部応力が加わっていない定常状態で一方の基板に接触していないサブスペーサが含まれていてもよい。セルギャップは、例えば2乃至5μmである。
【0056】
液晶層30は、第1基板SUB1及び第2基板SUB2の間に位置し、第1配向膜AF1と第2配向膜AF2との間に保持されている。液晶層30は、第1基板SUB1及び第2基板SUB2とともに複数の画素PXを構成している。
【0057】
図7は、
図5の表示パネルPNLを線VII-VIIに沿って示す断面図である。
図7に示すように、第1基板SUB1は、第1走査線Ga、第2走査線Gb、及び容量配線Csをさらに備えている。第1走査線Gaj,Gaj+1、及び第2走査線Gbj-1,Gbjは、絶縁層13の上に位置し、絶縁層14で覆われている。容量配線Csjは、絶縁層15の上に位置し、絶縁層16で覆われている。容量配線Cs及び補助電極AEは、絶縁層15と絶縁層16との間に位置し、互いに距離を置いて設けられている。
【0058】
遮光層BMは、第2方向Yに間隔を置いて並んだ複数の第2遮光部BM2を有している。複数の第2遮光部BM2は、複数の第1遮光部BM1と交差し、複数の第1遮光部BM1と一体に形成されている。各々の第2遮光部BM2は、第2走査線Gb、容量配線Cs、及び第1走査線Gaと対向し、第2走査線Gb、容量配線Cs、及び第1走査線Gaに沿って延在している。第2遮光部BM2の端部は、画素電極PEと第3方向Zに対向している。
【0059】
次に、第3スイッチSW3の断面構造について説明する。
図8は、
図5の表示パネルPNLを線VIII-VIIIに沿って示す断面図である。
図8に示すように、第1基板SUB1は、遮光層SH3及び第3スイッチSW3をさらに備えている。遮光層SH3は、絶縁層11の上に位置し、絶縁層12で覆われている。遮光層SH3は、金属材料で形成されているが、黒色樹脂などの遮光材料で形成されていてもよい。
【0060】
第3ゲート電極GE3は、絶縁層13の上に位置し、絶縁層14で覆われている。第3半導体層SMC3は、絶縁層12の上に位置し、絶縁層13で覆われている。第3半導体層SMC3は、2つの第3チャネル領域RC3、第5低抵抗領域R5、及び第6低抵抗領域R6を有している。第3チャネル領域RC3は、第5低抵抗領域R5と第6低抵抗領域R6との間に位置している。各々の第3チャネル領域RC3は、第3ゲート電極GE3と対向している。
【0061】
第5低抵抗領域R5は、信号線Si(第5電極E5)に電気的に接続され、第3チャネル領域RC3より低抵抗である。なお、信号線Si(第5電極E5)は、絶縁層13及び絶縁層14を貫通し第5低抵抗領域R5と対向する領域に位置した1以上のコンタクトホールCH5を通り、第5低抵抗領域R5に電気的に接続されている。
【0062】
第6低抵抗領域R6は、第6電極E6を介して補助電極AEに電気的に接続され、第3チャネル領域RC3より低抵抗である。なお、第6電極E6は、絶縁層14の上に形成されている。第6電極E6は、絶縁層13及び絶縁層14を貫通し第6低抵抗領域R6と対向する領域に位置した1以上のコンタクトホールCH6を通り、第6低抵抗領域R6に電気的に接続されている。
【0063】
遮光層SH3は、第3スイッチSW3と対向している。遮光層SH3は、第3半導体層SMC3のうち少なくとも第3チャネル領域RC3の全体と対向している。補助電極AEは、絶縁層15に形成されたコンタクトホールCN3を通り、第6電極E6に電気的に接続されている。
遮光層BMは、複数の第4遮光部BM4をさらに有している。各々の第4遮光部BM4は、第1遮光部BM1及び第2遮光部BM2とともに第3スイッチSW3と対向し、第1遮光部BM1及び第2遮光部BM2と一体に形成されている。
【0064】
次に、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2の断面構造について説明する。
図9は、
図5の表示パネルPNLを線IX-IXに沿って示す断面図である。
図9に示すように、第1基板SUB1は、遮光層SH1,SH2、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、及び接続電極ELをさらに備えている。遮光層SH1,SH2は、絶縁層11の上に位置し、絶縁層12で覆われている。遮光層SH1,SH2は、遮光層SH3と同一の材料で形成されている。遮光層SH1、SH2、及びSH3は、物理的に独立して位置し、電気的にフローティング状態にある。但し、遮光層SH1及びSH2は物理的に連続して形成されていてもよい。
【0065】
第1ゲート電極GE1は、絶縁層13の上に位置し、絶縁層14で覆われている。第1半導体層SMC1は、絶縁層12の上に位置し、絶縁層13で覆われている。第1半導体層SMC1は、2つの第1チャネル領域RC1、第1低抵抗領域R1、及び第2低抵抗領域R2を有している。第1チャネル領域RC1は、第1低抵抗領域R1と第2低抵抗領域R2との間に位置している。各々の第1チャネル領域RC1は、第1ゲート電極GE1と対向している。
【0066】
第1低抵抗領域R1は、信号線Si(第1電極E1)に電気的に接続され、第1チャネル領域RC1より低抵抗である。なお、信号線Si(第1電極E1)は、絶縁層13及び絶縁層14を貫通し第1低抵抗領域R1と対向する領域に位置した1以上のコンタクトホールCH1を通り、第1低抵抗領域R1に電気的に接続されている。
【0067】
第2低抵抗領域R2は、第2電極E2を介して補助電極AEに電気的に接続され、第1チャネル領域RC1より低抵抗である。なお、第2電極E2は、絶縁層14の上に形成されている。第2電極E2は、絶縁層13及び絶縁層14を貫通し第2低抵抗領域R2と対向する領域に位置した1以上のコンタクトホールCH2を通り、第2低抵抗領域R2に電気的に接続されている。
【0068】
遮光層SH1は、第1スイッチSW1と対向している。遮光層SH1は、第1半導体層SMC1のうち少なくとも第1チャネル領域RC1の全体と対向している。画素電極PEは、絶縁層15及び絶縁層16に形成されたコンタクトホールCN1を通り、第2電極E2に電気的に接続されている。
【0069】
第2ゲート電極GE2は、絶縁層13の上に位置し、絶縁層14で覆われている。第2半導体層SMC2は、絶縁層12の上に位置し、絶縁層13で覆われている。第2半導体層SMC2は、2つの第2チャネル領域RC2、第3低抵抗領域R3、及び第4低抵抗領域R4を有している。第2チャネル領域RC2は、第3低抵抗領域R3と第4低抵抗領域R4との間に位置している。各々の第2チャネル領域RC2は、第2ゲート電極GE2と対向している。
【0070】
第3低抵抗領域R3は、第3電極E3に電気的に接続され、第2チャネル領域RC2より低抵抗である。なお、第3電極E3は、絶縁層13及び絶縁層14を貫通し第3低抵抗領域R3と対向する領域に位置した1以上のコンタクトホールCH3を通り、第3低抵抗領域R3に電気的に接続されている。図示した例では、第3電極E3は、4個のコンタクトホールCH3を通り、第3低抵抗領域R3に電気的に接続されている。本実施形態において、第1電極E1、第2電極E2、及び第4電極E4乃至第6電極E6も、それぞれ4個のコンタクトホールCHを通り、対応する半導体層SMCに電気的に接続されている。
【0071】
第4低抵抗領域R4は、第4電極E4を介して補助電極AEに電気的に接続され、第2チャネル領域RC2より低抵抗である。なお、第4電極E4は、絶縁層14の上に形成されている。第4電極E4は、絶縁層13及び絶縁層14を貫通し第4低抵抗領域R4と対向する領域に位置した1以上のコンタクトホールCH4を通り、第4低抵抗領域R4に電気的に接続されている。
【0072】
遮光層SH2は、第2スイッチSW2と対向している。遮光層SH2は、第2半導体層SMC2のうち少なくとも第2チャネル領域RC2の全体と対向している。補助電極AEは、絶縁層15に形成されたコンタクトホールCN2を通り、第4電極E4に電気的に接続されている。補助電極AEは、画素電極PEと、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、及び第3スイッチSW3を含むスイッチ群と、の間に位置している。
【0073】
接続電極ELは、絶縁層15の上に位置し、絶縁層16で覆われている。接続電極ELは、絶縁層15に形成されたコンタクトホールCN4を通り、第3電極E3に電気的に接続されている。容量配線Csjは、接続電極ELの上に位置している。本実施形態において、補助電極AE及び接続電極ELを形成した後、容量配線Csを形成しているが、容量配線Csを形成した後、補助電極AE及び接続電極ELを形成してもよい。その場合、容量配線Csが第3電極E3に直にコンタクトし、接続電極ELは容量配線Csの上に形成されている。
【0074】
ここで、本実施形態において、コンタクトホールCN2及びコンタクトホールCN3の直径は、実質5μmである。絶縁層15におけるコンタクトホールCN1の直径は、実質5μmである。コンタクトホールCN1とコンタクトホールCN2とは、実質的に8-10μm離れて位置している。また、画素電極PEの一辺は、コンタクトホールCNの直径に比べ大きく、例えば80-300μmであり、本実施例では80-150μmとしている。そのため、コンタクトホールCN1,CN2,CN3を設けるスペースは十分に確保されている。
【0075】
遮光層BMは、複数の第3遮光部BM3をさらに有している。各々の第3遮光部BM3は、第1遮光部BM1及び第2遮光部BM2とともに第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2と対向し、第1遮光部BM1及び第2遮光部BM2と一体に形成されている。
遮光層BM,SH1,SH2,SH3は、第1半導体層SMC1、第2半導体層SMC2、及び第3半導体層SMC3を遮光しているため、第1半導体層SMC1、第2半導体層SMC2、及び第3半導体層SMC3に生じ得るリーク電流を小さくすることができる。
【0076】
第1半導体層SMC1、第2半導体層SMC2、及び第3半導体層SMC3は、非晶質シリコン、多結晶シリコン、有機物半導体、酸化物半導体などの半導体で形成されている。酸化物半導体の体表的な例としては、例えば、酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO)、酸化インジウムガリウム(IGO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、亜鉛スズ酸化物(ZnSnO)、亜鉛酸化物(ZnO)、及び透明アモルファス酸化物半導体(TAOS)などが挙げられる。本実施形態において、第1半導体層SMC1、第2半導体層SMC2、及び第3半導体層SMC3は、多結晶シリコンとしての低温ポリシリコンで形成されている。
【0077】
第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、及び第3スイッチSW3は、それぞれ2個のゲート電極GEを備えているが、これに限らず、1個又は3個以上のゲート電極GEを備えていてもよい。例えば、第1半導体層SMC1、第2半導体層SMC2、及び第3半導体層SMC3が非晶質シリコンで形成されている場合、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、及び第3スイッチSW3は、それぞれシングルゲート型のTFTであってもよい。
【0078】
また、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、及び第3スイッチSW3は、トップゲート型のTFTで構成されている。但し、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、及び第3スイッチSW3は、本実施形態に限定されるものではなく、ボトムゲート型のTFTで構成されていてもよい。
【0079】
以下に、高分子分散液晶層である液晶層30を備えた表示装置の一構成例について説明する。
図10Aは、透明状態の液晶層30を模式的に示す図である。
図10Aに示すように、液晶層30は、液晶性ポリマー31及び液晶性分子32を含んでいる。液晶性ポリマー31は、例えば、液晶性モノマーが配向膜AF1及びAF2の配向規制力によって所定の方向に配向した状態で高分子化されることによって得られる。液晶性分子32は、液晶性モノマー内に分散されており、液晶性モノマーが高分子化された際に、液晶性モノマーの配向方向に依存して所定の方向に配向される。なお、配向膜AF1及びAF2は、第1方向X及び第2方向Yによって規定されるX-Y平面に沿って液晶性モノマー及び液晶性分子32を配向させる水平配向膜であってもよいし、第3方向Zに沿って液晶性モノマー及び液晶性分子32を配向させる垂直配向膜であってもよい。
【0080】
液晶性分子32は、正の誘電率異方性を有するポジ型であってもよいし、負の誘電率異方性を有するネガ型であってもよい。液晶性ポリマー31及び液晶性分子32は、それぞれ同等の光学異方性を有している。あるいは、液晶性ポリマー31及び液晶性分子32は、それぞれ略同等の屈折率異方性を有している。つまり、液晶性ポリマー31及び液晶性分子32の各々は、常光屈折率及び異常光屈折率が互いに略同等である。なお、常光屈折率及び異常光屈折率のいずれについても、液晶性ポリマー31及び液晶性分子32のそれぞれの値が完全に一致していなくてもよく、製造誤差などに起因したずれは許容される。また、液晶性ポリマー31及び液晶性分子32の各々の電界に対する応答性は異なる。すなわち、液晶性ポリマー31の電界に対する応答性は、液晶性分子32の電界に対する応答性より低い。
【0081】
図10Aに示した例は、例えば、液晶層30に電圧が印加されていない状態(画素電極PEと共通電極CEとの間の電位差がゼロである状態)、あるいは、液晶層30に後述する第2透明電圧が印加された状態に相当する。
【0082】
図10Aに示すように、液晶性ポリマー31の光軸Ax1及び液晶性分子32の光軸Ax2は、互いに平行となる。図示した例では、光軸Ax1及び光軸Ax2は、いずれも第3方向Zに平行である。ここでの光軸とは、偏光方向によらず屈折率が1つの値になるような光線の進行方向と平行な線に相当する。
【0083】
上記の通り、液晶性ポリマー31及び液晶性分子32は略同等の屈折率異方性を有しており、しかも、光軸Ax1及びAx2は互いに平行であるため、第1方向X、第2方向Y、及び第3方向Zを含むあらゆる方向において、液晶性ポリマー31と液晶性分子32との間にほとんど屈折率差がない。このため、第3方向Zにて液晶層30に入射した光L1は、液晶層30内で実質的に散乱されることなく透過する。液晶層30は、光L1の平行度を維持することができる。同様に、第3方向Zに対して傾斜した斜め方向に入射した光L2及びL3についても、液晶層30内でほとんど散乱されることはない。このため、高い透明性が得られる。
図10Aに示した状態を『透明状態』と称する。
【0084】
図10Bは、散乱状態の液晶層30を模式的に示す図である。
図10Bに示すように、上記の通り、液晶性ポリマー31の電界に対する応答性は、液晶性分子32の電界に対する応答性より低い。このため、液晶層30に上記の第2透明電圧及び後述する第1透明電圧の各々より高い電圧(後述の散乱電圧)が印加された状態では、液晶性ポリマー31の配向方向がほとんど変化しないのに対して、液晶性分子32の配向方向は電界に応じて変化する。つまり、図示したように、光軸Ax1は第3方向Zとほとんど平行であるのに対して、光軸Ax2は第3方向Zに対して傾斜している。このため、光軸Ax1及びAx2は、互いに交差する。したがって、第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zを含むあらゆる方向において、液晶性ポリマー31と液晶性分子32との間に大きな屈折率差が生ずる。これにより、液晶層30に入射した光L1乃至L3は、液晶層30内で散乱される。
図10Bに示した状態を『散乱状態』と称する。
上記駆動部DRは、液晶層30を透明状態及び散乱状態の少なくとも一方に切替える。
【0085】
図11Aは、液晶層30が透明状態である場合の表示パネルPNLを示す断面図である。
図11Aに示すように、発光素子LSから出射された照明光L11は、端部20Eから表示パネルPNLに入射し、透明基板20、液晶層30、透明基板10などを伝播する。液晶層30が透明状態である場合、照明光L11は、液晶層30でほとんど散乱されないため、透明基板10の下面10B及び透明基板20の上面20Tからほとんど漏れ出すことはない。
【0086】
表示パネルPNLに入射する外部光L12は、液晶層30でほとんど散乱されることなく透過する。つまり、下面10Bから表示パネルPNLに入射した外部光は上面20Tに透過され、上面20Tから入射した外部光は下面10Bに透過される。このため、表示パネルPNLを上面20T側から観察した場合には、ユーザは、表示パネルPNLを透かして下面10B側の背景を視認することができる。同様に、表示パネルPNLを下面10B側から観察した場合には、表示パネルPNLを透かして上面20T側の背景を視認することができる。
【0087】
図11Bは、液晶層30が散乱状態である場合の表示パネルPNLを示す断面図である。
図11Bに示すように、発光素子LSから出射された照明光L21は、端部20Eから表示パネルPNLに入射し、透明基板20、液晶層30、透明基板10などを伝播する。図示した例では、画素電極PEαと共通電極CEとの間の液晶層30(画素電極PEαと共通電極CEとの間に印加される電圧が印加される液晶層)は透明状態であるため、照明光L21は、液晶層30のうち画素電極PEαと対向する領域でほとんど散乱されない。一方、画素電極PEβと共通電極CEとの間の液晶層30(画素電極PEβと共通電極CEとの間に印加される電圧が印加される液晶層)は散乱状態であるため、照明光L21は、液晶層30のうち画素電極PEβと対向する領域で散乱される。照明光L21のうち、一部の散乱光L211は上面20Tから外部に放出され、また、一部の散乱光L212は下面10Bから外部に放出される。
【0088】
画素電極PEαと重なる位置では、表示パネルPNLに入射する外部光L22は、
図11Aに示した外部光L12と同様に、液晶層30でほとんど散乱されることなく透過する。画素電極PEβと重なる位置では、下面10Bから入射した外部光L23は、その一部の光L231が液晶層30で散乱された後に上面20Tから透過される。また、上面20Tから入射した外部光L24は、その一部の光L241が液晶層30で散乱された後に下面10Bから透過される。
【0089】
このため、表示パネルPNLを上面20T側から観察した場合には、画素電極PEβと重なる位置で照明光L21の色を視認することができる。加えて、一部の外部光L231が表示パネルPNLを透過するため、表示パネルPNLを透かして下面10B側の背景を視認することもできる。同様に、表示パネルPNLを下面10B側から観察した場合には、画素電極PEβと重なる位置で照明光L21の色を視認することができる。加えて、一部の外部光L241が表示パネルPNLを透過するため、表示パネルPNLを透かして上面20T側の背景を視認することもできる。なお、画素電極PEαと重なる位置では、液晶層30が透明状態であるため、照明光L21の色はほとんど視認されず、表示パネルPNLを透かして背景を視認することができる。
【0090】
図12は、液晶層30の散乱特性を示すグラフであり、液晶層30に印加される電圧VLCと輝度との関係を表している。ここでの輝度は、例えば
図11Bに示したように、発光素子LSから出射された照明光L21が液晶層30にて散乱した際に得られる散乱光L211の輝度に相当する。他の観点から言えば、この輝度は、液晶層30の散乱度を表している。
【0091】
図12に示すように、電圧VLCを0Vから上昇させていくと、輝度は8V程度から急峻に上昇し、20V程度で飽和する。なお、電圧VLCが0Vから8Vの間においても、輝度は僅かに上昇する。本実施形態では、2点鎖線で囲った領域、すなわち8Vから16Vの範囲の電圧を各画素PXの階調表現(例えば256階調)に用いる。以下、8V<VLC≦16Vの電圧を『散乱電圧』と呼ぶ。また、本実施形態では、一点鎖線で囲った領域、すなわち0V≦VLC≦8Vの電圧を『透明電圧』と呼ぶ。透明電圧VAは、上述した第1透明電圧VA1及び第2透明電圧VA2を含んでいる。
【0092】
なお、本明細書に記載した電圧値などの数値は例示である。よって、電圧値が本明細書に記載した範囲外となることを否定するものではない。例えば、散乱電圧VB及び透明電圧VAの下限値及び上限値はこの例に限られず、液晶層30の散乱特性に応じて適宜に定め得る。本実施形態と異なるが、例えば、0V≦VLC≦10Vの電圧を『透明電圧』と呼び、10V<VLC≦20Vの電圧を『散乱電圧』と呼ぶ場合もあり得る。
【0093】
ここで、液晶層30に散乱電圧VBを印加した際に液晶層30に入射される光の散乱度が最も高くなる場合の散乱度を100%とする。ここでは、16Vの散乱電圧VBを液晶層30に印加した際の散乱度を100%としている。例えば、透明電圧VAは、散乱度(輝度)が10%未満となる電圧VLCの範囲と定義することができる。あるいは、透明電圧VAは、最低階調に対応する電圧(
図12の例では8V)以下の電圧VLCと定義することもできる。
また、透明電圧VA(第1透明電圧VA1及び第2透明電圧VA2)は、
図12に示した例と異なっていてもよい。例えば、上記第1透明電圧VA1は、散乱度が10%以上50%以下の範囲となる電圧であってもよい。また、上記第2透明電圧VA2は、散乱度が10%未満の範囲となる電圧であってもよい。
【0094】
なお、
図12に示したグラフは、液晶層30に印加する電圧の極性が正極性(+)の場合と、負極性(-)の場合とに適用可能である。後者の場合、電圧VLCは、負極性の電圧の絶対値である。
【0095】
表示装置DSPには、液晶層30に印加する電圧の極性を反転する極性反転駆動を適用することができる。
図13A、
図13B、及び
図13Cは、極性反転駆動の概要を示す図である。ここでは、1フレーム期間が複数のサブフレーム期間(複数のフィールド期間)を有する駆動方式を表示装置DSPに適用する。このような駆動方式は、例えばフィールドシーケンシャル方式と呼ばれる。
【0096】
図13Aは、1サブフレーム期間毎に、一行の画素PX(1ライン)の単位で、液晶層30に印加する電圧(画素PXに書き込む電圧)を正極性(+)と負極性(-)とで反転する1ライン反転駆動を表している。
【0097】
このような駆動方法においては、例えば、走査線駆動回路GD1,GD2が、第1走査線Gaに第1制御信号Caを与え、第2走査線Gbに第2制御信号Cbを与える1水平期間ごとに、共通電極CEに供給されるコモン電圧Vcomの極性と、信号線駆動回路SD1,SD2,SD3から信号線Sに供給される画像信号Vsigの極性とが反転される。同じ水平期間において、コモン電圧の極性と映像信号の極性は、例えば逆である。
又は、駆動部DRは、1フレーム期間毎に、液晶層30に印加する電圧を正極性と負極性とで反転する1ライン反転駆動を行ってもよい。
【0098】
又は、駆動部DRは、1サブフレーム期間毎にインターレース方式による駆動を行ってもよい。その場合、奇数フィールド期間と偶数フィールド期間とが切り替わる際に、駆動部DRは極性反転を行う。1サブフレーム期間毎の極性反転の回数を大幅に少なくすることができ、低消費電力化に寄与することができる。一行の画素PXに注目した場合、駆動部DRは、1サブフレーム期間毎又は1フレーム期間毎に、液晶層30に印加する電圧を正極性と負極性とで反転する1ライン反転駆動を行うことが可能である。
【0099】
図13Bは、2ラインごとに液晶層30に印加する電圧を正極性(+)と負極性(-)とで反転する2ライン反転駆動を表している。
図13A及び
図13Bの例に限られず、3つ以上のラインごとに極性を反転してもよい。
【0100】
図13Cは、サブフレーム期間ごとに液晶層30に印加する電圧を正極性(+)と負極性(-)とで反転するサブフレーム反転駆動を表している。このような駆動方法においては、例えば、1サブフレーム期間ごとに、コモン電圧Vcomの極性と、画像信号Vsigの極性とが反転される。同じサブフレーム期間において、コモン電圧Vcomの極性と画像信号Vsigの極性は、例えば逆である。
又は、駆動部DRは、1フレーム期間毎に、液晶層30に印加する電圧を正極性と負極性とで反転するフレーム反転駆動を行ってもよい。
【0101】
ここで、画像信号Vsigと、コモン電圧Vcomとの関係について説明する。
高耐圧の信号線駆動回路SDを使用できるなど、駆動部DR(信号線駆動回路SD、Vcom回路VCなど)が電圧耐久性に優れている場合、信号線駆動回路SDは0~+16Vの画像信号Vsigを出力し、Vcom回路VCはコモン電圧Vcomの電圧値を0~+16Vの範囲で切り替える。これにより、
図12に示した電圧VLC(-16V~+16V)を液晶層30に与えることができる。
【0102】
しかしながら、上述した駆動部DRを使用する場合、駆動部DRの消費電力が高くなってしまう。そのため、少なくとも駆動部DRの低消費電力化を図ることが求められている。
また、例えば、既存の信号線駆動回路SDでは電圧耐久性が不足する恐れがある。そのため、駆動部DRは電圧耐久性に優れている方が望ましい。
またさらに、高耐圧の信号線駆動回路SDを用意する場合、製造コストの高騰を招く恐れがある。そのため、駆動部DRに関する製造コストを低減できた方が望ましい。
【0103】
そこで、本実施形態では、少なくとも駆動部DRの低消費電力化を図る技術を提供するものである。本実施形態では、信号線駆動回路SDは0~+8Vの画像信号Vsigを出力し、Vcom回路VCはコモン電圧Vcomの電圧値を0~+8Vの範囲で切り替える。これにより、上記電圧VLC(-16V~+16V)を液晶層30に与えるものである。
また、本実施形態では、画像信号Vsigの電圧値及びコモン電圧Vcomの値を抑えることができるため、駆動部DRの耐圧を低く抑えることが可能である。
またさらに、高耐圧の信号線駆動回路SDを用意する場合と比較し、駆動部DRに関する製造コストを低減することができる。
【0104】
次に、0~+8Vの画像信号Vsigと、画素電極PEの電位Ppと、0~+8Vのコモン電圧Vcomとの関係について説明する。なお、コモン電圧Vcomの極性は画像信号Vsigと反対の極性である。
【0105】
図14は、上述したようなサブフレーム反転駆動を適用した表示走査において、画像信号Vsig、画素電極PEの電位Pp、コモン電圧Vcom、及び補助信号ASの一例を示す図であり、階調の最大値に対応する波形を示す図である。なお、
図14や、後述する
図15、
図16A、及び
図16Bにおいて、図示の関係上、波形の電圧レベルが同一であっても、複数の波形同士を僅かにずらして表している。
【0106】
図14に示すように、画像信号Vsigの波形を二点鎖線で示し、画素電極PEの電位Ppの波形を実線で示し、コモン電圧Vcom及び補助信号ASの波形を破線で示している。本実施形態において、補助信号ASの電圧値は、コモン電圧Vcomの値と同一である。画像信号Vsig及び画素電極PEの電位Ppに関しては、階調の最大値(max)に相当する波形を示している。この図の例において、コモン電圧Vcom(補助信号AS)と、画像信号Vsigとは、1サブフレーム期間Psf毎に極性反転している。コモン電圧Vcom(補助信号AS)と、画像信号Vsigとの各々において、下限値は0Vであり、上限値は8Vである。
【0107】
図14に示す例に限らず、後述する
図15などの例を含めた極性反転駆動に注目すると、液晶層30に印加する駆動電圧(画素PXに書き込む電圧)が正極性である場合、画素電極PEの電位Ppとコモン電圧Vcomとの差(Pp-Vcom)は0V又は正の電圧値となる。一方、液晶層30に印加する駆動電圧(画素PXに書き込む電圧)が負極性である場合、電位Ppとコモン電圧Vcomとの差(Pp-Vcom)は0V又は負の電圧値となる。
【0108】
図14に示す極性反転駆動に注目すると、画素PXに負極性の電圧を書き込むサブフレーム期間Psf1において、コモン電圧Vcomの値(補助信号ASの電圧値)は8Vとなり、画像信号Vsigの電圧値は0Vとなる。サブフレーム期間Psf1の第1駆動期間Pd1において、0Vの画像信号Vsigに基づいて、電位Ppは0Vに設定される。サブフレーム期間Psf1において、画像信号Vsigの電圧値は、補助信号ASの電圧値と異なっている。そのため、サブフレーム期間Psf1の第1駆動期間Pd1に続く第2駆動期間Pd2において、コンデンサCOによるカップリング作用により、電位Ppは、変動し、-8Vに設定される。なお、電位Ppの変動の詳細については後述する。
【0109】
一方、画素PXに正極性の電圧を書き込むサブフレーム期間Psf2において、コモン電圧Vcomの値(補助信号ASの電圧値)は0Vとなり、画像信号Vsigの電圧値は8Vとなる。サブフレーム期間Psf2の第1駆動期間Pd1において、8Vの画像信号Vsigに基づいて、電位Ppは8Vに設定される。サブフレーム期間Psf2において、画像信号Vsigの電圧値は、補助信号ASの電圧値と異なっている。そのため、サブフレーム期間Psf2の第1駆動期間Pd1に続く第2駆動期間Pd2において、
コンデンサCOによるカップリング作用により、電位Ppは、変動し、16Vに設定される。
何れの場合でも、共通電極CEと画素電極PEとの間に、16Vの電圧が印加される。そして、液晶層30に、散乱度が100%となる散乱電圧VBが印加される。
【0110】
図15は、上述したようなサブフレーム反転駆動を適用した表示走査において、画像信号Vsig、画素電極PEの電位Pp、コモン電圧Vcom、及び補助信号ASの一例を示す図であり、階調の最小値に対応する波形を示す図である。
図15に示すように、画像信号Vsig及び画素電極PEの電位Ppに関しては、階調の最小値(min)に相当する波形を示している。この図の例において、コモン電圧Vcom(補助信号AS)と、画像信号Vsigとは、1サブフレーム期間Psf毎に極性反転している。コモン電圧Vcom(補助信号AS)において、下限値は0Vであり、上限値は8Vである。画像信号Vsigの電圧値は4Vに固定している。
【0111】
図15に示す極性反転駆動に注目すると、画素PXに負極性の電圧を書き込むサブフレーム期間Psf1において、コモン電圧Vcomの値(補助信号ASの電圧値)は8Vとなり、画像信号Vsigの電圧値は4Vとなる。サブフレーム期間Psf1の第1駆動期間Pd1において、4Vの画像信号Vsigに基づいて、電位Ppは4Vに設定される。サブフレーム期間Psf1において、画像信号Vsigの電圧値は、補助信号ASの電圧値と異なっている。そのため、サブフレーム期間Psf1の第1駆動期間Pd1に続く第2駆動期間Pd2において、コンデンサCOによるカップリング作用により、電位Ppは、変動し、0Vに設定される。
【0112】
一方、画素PXに正極性の電圧を書き込むサブフレーム期間Psf2において、コモン電圧Vcomの値(補助信号ASの電圧値)は0Vに切り替わるが、画像信号Vsigの電圧値は8Vのままである。サブフレーム期間Psf2の第1駆動期間Pd1において、4Vの画像信号Vsigに基づいて、電位Ppは4Vに設定される。サブフレーム期間Psf2において、画像信号Vsigの電圧値は、補助信号ASの電圧値と異なっている。そのため、サブフレーム期間Psf2の第1駆動期間Pd1に続く第2駆動期間Pd2において、コンデンサCOによるカップリング作用により、電位Ppは、変動し、8Vに設定される。
何れの場合でも、共通電極CEと画素電極PEとの間に、8Vの電圧が印加される。そして、液晶層30に、散乱度が0~10%となる第1透明電圧VA1が印加される。したがって、画像信号Vsigを階調の最小値とした場合であっても、表示パネルPNLに入射する外部光は僅かに散乱され、表示パネルPNLの背景の視認性が低下し得る場合がある。
このため、後述するが、画素電極PEと共通電極CEとの間の電圧を例えば階調の下限値よりも小さくする透明走査(後述するリセット期間における走査)を画像表示のシーケンスに取り入れることで、表示パネルPNLの背景の視認性を向上させることができる。
【0113】
図16Aは、透明走査における画像信号Vsig、画素電極PEの電位Pp、コモン電圧Vcom、及び補助信号ASの一例を示す図である。
図16Aに示すように、
図14及び
図15の例と同じく、コモン電圧Vcomは、1サブフレーム期間Psf毎に0Vと8Vとに交互に切替っている。透明走査においては、サブフレーム期間Psf毎に、画像信号Vsigは、コモン電圧Vcomと一致している(Vsig=Vcom=0V又はVsig=Vcom=0V)。
【0114】
各々のサブフレーム期間Psfにおいて、画像信号Vsigの電圧値は、補助信号ASの電圧値と同一である。そのため、各々のサブフレーム期間Psfの第2駆動期間Pd2において、コンデンサCOによるカップリング作用に起因した電位Ppの変動は生じない。よって、各々のサブフレーム期間Psfにおいて、画像信号Vsigに基づいて、電位Ppはコモン電圧Vcomと同一の値に設定される。そのため、液晶層30には0Vが印加される。言い換えると、液晶層30には第2透明電圧VA2が印加される。
【0115】
但し、透明走査における画像信号Vsigは、
図16Aに示した例に限定されるものではない。例えば、コモン電圧Vcomが0Vとなる期間、画素電極PEの電位Ppは0Vを超え8V未満に設定されてもよい(0V<Pp<8V)。コモン電圧Vcomが8Vとなる期間、電位Ppは0Vを超え8V未満となってもよい(0V<Pp<8V)。何れにおいても、透明走査によれば、電位Ppとコモン電圧Vcomとの差の絶対値が8V未満となり、液晶層30を透過する光の平行度が増す。言い換えると、第2透明電圧VA2は0Vに限らず、第2透明電圧VA2の絶対値は8V未満であってもよい。
【0116】
なお、透明走査では、液晶層30に印加される電圧が階調の下限値(例えば8V)未満となればよく、画素電極PEの電位Ppはコモン電圧Vcomと完全に一致しなくてもよい。上記のように、液晶層30に散乱電圧VBを印加した際に液晶層30に入射される光の散乱度が最も高くなる場合の散乱度を100%とする。例えば、第2透明電圧VA2は、散乱度が10%未満となる電圧である方が望ましい。
【0117】
また、
図16Aの透明走査では、上述したようにカップリング作用に起因した電位Ppの変動は生じない。そのため、各々のサブフレーム期間Psfは、第1駆動期間Pd1及び第2駆動期間Pd2の両方を有していなくともよく、第1駆動期間Pd1のみ有していてもよい。言い換えると、第1走査線Gaのみ駆動し、第2走査線Gbを駆動しなくともよい。
【0118】
図16Bは、透明走査における画像信号Vsig、画素電極PEの電位Pp、コモン電圧Vcom、及び補助信号ASの他の例を示す図である。
図16Bに示すように、この例では、透明走査において、コモン電圧Vcom及び画像信号Vsigの極性反転が停止されている。さらに、コモン電圧Vcom及び画像信号Vsigが4Vで一致している。なお、コモン電圧Vcom及び画像信号Vsigは、0Vなど、4V以外の電圧で一致してもよい。
【0119】
各々のサブフレーム期間Psfにおいて、画像信号Vsigの電圧値は、補助信号ASの電圧値と同一である。そのため、上記カップリング作用に起因した電位Ppの変動は生じない。よって、各々のサブフレーム期間Psfにおいて、画像信号Vsigに基づいて、電位Ppはコモン電圧Vcomと同一の値に設定される。そのため、液晶層30には第2透明電圧VA2が印加される。また、
図16Aに示した場合と同様に、第2透明電圧VA2は、散乱度が10%未満となる電圧である方が望ましい。
【0120】
なお、
図16Bの透明走査でも、上述したようにカップリング作用に起因した電位Ppの変動は生じない。そのため、各々のサブフレーム期間Psfは、第1駆動期間Pd1及び第2駆動期間Pd2の両方を有していなくともよく、第1駆動期間Pd1のみ有していてもよい。
【0121】
次に、表示装置DSPの駆動方法について説明する。
図17は、1フレーム期間Pfにおける、画像信号Vsig、第1制御信号Ca、第2制御信号Cb、補助信号AS、及びコモン電圧Vcomの変化を示すタイミングチャートである。
【0122】
図17に示すように、1フレーム期間Pfは、第1サブフレーム期間Psf1、第2サブフレーム期間Psf2、及び第3サブフレーム期間Psf3を有している。例えば、第1サブフレーム期間Psf1においては赤色の画像が表示され、第2サブフレーム期間Psf2においては緑色の画像が表示され、第3サブフレーム期間Psf3においては青色の画像が表示される。このように時分割で表示された画像が合わさって、多色表示の画像としてユーザに視認される。また、各サブフレーム期間Psfは、複数の水平走査期間H(H1~Hn)を有している。さらに、水平走査期間Hは、第1駆動期間Pd1及び第2駆動期間Pd2を有している。
【0123】
図17及び
図4に示すように、第1サブフレーム期間Psf1において、駆動部DRはコモン電圧Vcom、及び補助信号ASの電圧を0Vから+8Vに切り替え、駆動部DRは画像信号Vsigを出力している。
【0124】
1番目の水平走査期間H1の第1駆動期間Pd1において、駆動部DRは第1制御信号Ca1の電圧をハイ(H)レベルにシフトし、その他の第1制御信号Ca2~Can及び全ての第2制御信号Cb1~Cbnの電圧をロウ(L)レベルにする。すると、1行目の全ての画素PXの第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2はオンになり、その他のスイッチはオフになる。その後、駆動部DRは第1制御信号Ca1の電圧をLレベルにし、1行目の全ての画素PXの第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2はオフに切り替わる。
【0125】
水平走査期間H1の第2駆動期間Pd2に移行すると、駆動部DRは第2制御信号Cb1の電圧をHレベルにシフトし、その他の制御信号の電圧をLレベルのままにする。すると、1行目の全ての画素PXの第3スイッチSW3はオンになり、その他のスイッチはオフになる。その後、駆動部DRは第2制御信号Cb1の電圧をLレベルにシフトし、1行目の全ての画素PXの第3スイッチSW3はオフに切り替わる。
【0126】
次いで、2番目の水平走査期間H2の第1駆動期間Pd1において、駆動部DRは第1制御信号Ca2の電圧をHレベルにシフトし、その他の制御信号の電圧をLレベルにする。すると、2行目の全ての画素PXの第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2はオンになり、その他のスイッチはオフした状態になる。その後、駆動部DRは第1制御信号Ca2の電圧をLレベルにシフトし、2行目の全ての画素PXの第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2はオフに切り替わる。
【0127】
水平走査期間H2の第2駆動期間Pd2に移行すると、駆動部DRは第2制御信号Cb2の電圧をHレベルにシフトし、その他の制御信号の電圧をLレベルのままにする。これにより、2行目の全ての画素PXの第3スイッチSW3がオンになり、その他のスイッチはオフになる。その後、駆動部DRは第2制御信号Cb2の電圧をLレベルにシフトし、2行目の全ての画素PXの第3スイッチSW3はオフに切り替わる。
【0128】
上記したように、第1サブフレーム期間Psf1において、駆動部DRは各行の第1スイッチSW1乃至第3スイッチSW3のオンオフを切り替える。同様に、第2サブフレーム期間Psf2及び第3サブフレーム期間Psf3においても、駆動部DRは各行の第1スイッチSW1乃至第3スイッチSW3のオンオフを切り替える。なお、ここでは、サブフレーム反転駆動を採用している。そのため、第2サブフレーム期間Psf2において、駆動部DRは、コモン電圧Vcom及び補助信号ASの電圧を+8Vから0Vに切り替えている。次いで、第3サブフレーム期間Psf3において、駆動部DRは、コモン電圧Vcom及び補助信号ASの電圧を0Vから+8Vに切り替えている。
【0129】
次に、
図18及び19を参照して、j行i列に位置する画素電極PE(j,i)に画素信号Vsigを書き込む例について説明する。
【0130】
図18は、2水平走査期間Hj,Hj+1における、画像信号Vsig、第1制御信号Caj、第2走査信号Cbj、補助信号ASj、コモン電圧Vcom、画素電極PE(j,i)の電位Pp(j,i)、及び補助電極AE(j,i)の電位Pa(j,i)の変化を示すタイミングチャートであり、上記画素電極PE(j,i)に正極性の画像信号Vsigを書き込む例を説明するための図である。
【0131】
水平走査期間Hjを含むサブフレーム期間Psfにおいて、駆動部DRはコモン電圧Vcom及び補助信号ASjに0Vの電圧を与える。水平走査期間Hjにおいて、駆動部DRは+8Vの画像信号Vsigなどを出力する。
【0132】
図18及び
図4に示すように、水平走査期間Hjの第1駆動期間Pd1において、駆動部DRは第1制御信号Cajの電圧をHレベルにシフトし、駆動部DRは第2制御信号Cbjの電圧をLレベルのままにする。すると、j行目の全ての画素PXの第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2がオンに切り替わり、j行目の全ての画素PXの第3スイッチSW3はオフのままになる。駆動部DRは、画像信号Vsigを複数の信号線S及び複数の第1スイッチSW1を介して一行(j行目)の全ての画素PXの画素電極PEに与え、対応する一の容量配線Csj及び複数の第2スイッチSW2を介して一行(j行目)の全ての画素PXの補助電極AEに補助信号ASjを与える。
画素PX(j,i)に注目すると、駆動部DRによって出力された画像信号Vsigは信号線Si及び画素PX(j,i)の第1スイッチSW1を介して画素電極PE(j,i)に与えられ、駆動部DRによって出力された補助信号ASjは容量配線Csj及び画素PX(j,i)の第2スイッチSW2を介して補助電極AE(j,i)に与えられる。つまり、画素電極PE(j,i)の電位Pp(j,i)は+8Vになり、補助電極AE(j,i)の電位Pa(j,i)は0Vになる。
その後、駆動部DRは第1制御信号Cajの電圧をLレベルにシフトする。これにより、j行目の全ての画素PXの第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、及び第3スイッチSW3はオフとなる。
【0133】
水平走査期間Hjの第2駆動期間Pd2に移行すると、駆動部DRは第2制御信号Cbjの電圧をHレベルにシフトする。すると、一行(j行目)の全ての画素PXの第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2はオフのままになり、一行(j行目)の全ての画素PXの第3スイッチSW3はオンに切り替わる。駆動部DRは、画像信号Vsigを複数の信号線S及び複数の第3スイッチSW3を介して一行(j行目)の全ての画素PXの補助電極AEに与える、
画素PX(j,i)に注目すると、駆動部DRによって出力された画像信号Vsigは信号線Si及び画素PX(j,i)の第3スイッチSW3を介して補助電極AE(j,i)に与えられる。つまり、補助電極AE(j,i)の電位Pa(j,i)は0Vから+8Vに変化する。すると、画素電極PE(j,i)と補助電極AE(j,i)との間のカップリング作用により、画素電極PE(j,i)の電位Pp(j,i)は+8Vから+16Vに遷移する。
その後、駆動部DRは第2制御信号Cbjの電圧をLレベルにシフトする。すると、j行目の全ての画素PXの第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、及び第3スイッチSW3はオフとなる。なお、図示した例のように、水平走査期間Hjの先頭、第1駆動期間Pd1と第2駆動期間Pd2との間、及び水平走査期間Hjの後尾にマージン期間があってもよい。
【0134】
次いで、水平走査期間Hjの次の水平走査期間Hj+1において、画素電極PE(j,i)は、電気的にフローティング状態にある。コモン電圧Vcomは0Vのままである。これにより、画素電極PE(j,i)の電位Pp(j,i)は+16Vに保持される。
【0135】
上記したように、サブフレーム期間Psfにおいて、水平走査期間Hjの第2駆動期間Pd2以降、画素電極(j,i)の電位Pp(j,i)は16Vであり、共通電極CEには0Vのコモン電圧Vcomが与えられるため、画素電極PE(j,i)と共通電極CEとの間には+16Vの電圧が印加される。つまり、液晶層30には、+16Vの電圧がかかる。このように、本実施形態の駆動方法によれば、駆動部DRが信号線Sに与える電圧よりも高い電圧を画素電極PEに印加することができ、駆動部DRは信号線Sに与える電圧を抑制することができ、駆動部DRの低消費電力化を図ることができる。
【0136】
図19は、2水平走査期間Hj,Hj+1における、画像信号Vsig、第1走査信号Caj、第2走査信号Cbj、補助信号ASj、コモン電圧Vcom、画素電極PE(j,i)の電位Pp(j,i)、及び補助電極AE(j,i)の電位Pa(j,i)の変化を示すタイミングチャートであり、上記画素電極PE(j,i)に負極性の画像信号Vsigを書き込む例を説明するための図である。なお、
図18において説明したことは適宜省略する
水平走査期間Hjを含むサブフレーム期間Psfにおいて、駆動部DRはコモン電圧Vcom及び補助信号ASjに+8Vの電圧を与える。水平走査期間Hjにおいて、駆動部DRは0Vの画像信号Vsigなどを出力する。
【0137】
図19及び
図4に示すように、水平走査期間Hjの第1駆動期間Pd1において、駆動部DRによって出力された画像信号Vsigは画素電極PE(j,i)に与えられ、駆動部DRによって出力された補助信号ASjは補助電極AE(j,i)に与えられる。つまり、画素電極PE(j,i)は0Vになり、補助電極AE(j,i)の電位Pa(j,i)は+8Vになる。次に、第2駆動期間Pd2において、駆動部DRによって出力された画像信号Vsigは補助電極AE(j,i)に与えられる。つまり、補助電極AE(j,i)の電位Pa(j,i)は+8Vから0Vに変化する。すると、画素電極PE(j,i)と補助電極AE(j,i)との間のカップリング作用により、画素電極PE(j,i)の電位Pp(j,i)は0Vから-8Vに遷移する。
【0138】
次いで、水平走査期間Hjの次の水平走査期間Hj+1において、画素電極PE(j,i)の電位Pp(j,i)は-8V、補助電極AEの電位Pa(j,i)は0Vで保持される。
【0139】
上記したように、サブフレーム期間Psfにおいて、水平走査期間Hjの第2駆動期間Pd2以降、画素電極(j,i)の電位Pp(j,i)は-8Vのままであり、共通電極CEにはコモン電圧Vcomの8Vの電圧が与えられるため、画素電極PE(j,i)と共通電極CE(j,i)との間には-16Vの電圧が与えられる。つまり、液晶層30には-16Vの電圧がかかる。
図19に示した駆動方法においても、
図18に示した駆動方法と同様の効果が得られる。
【0140】
続いて、透明走査を取り入れた表示装置DSPの制御例につき、
図20乃至
図24を参照して説明する。なお、ここでは、駆動方式としてフィールドシーケンシャル方式を表示装置DSPに適用する。各サブフレーム期間においては、赤色、緑色、及び青色の画像がそれぞれ表示される。このように時分割で表示された各色の画像が合わさって、多色表示の画像としてユーザに視認される。
【0141】
図20は、
図3に示したタイミングコントローラTCの一構成例を示す図である。
図20に示すように、タイミングコントローラTCは、タイミング生成部50、フレームメモリ51、ラインメモリ52R、52G、52B、データ変換部53、光源制御部54、アドレス検出部である検出部55などを備えている。
【0142】
フレームメモリ51は、外部から入力される1フレーム分の画像データを記憶する。ラインメモリ52R、52G、52Bは、それぞれ赤色、緑色、及び青色のサブフレームデータを記憶する。各サブフレームデータは、各画素PXに時分割で表示させる赤色、緑色、青色の画像(例えば各画素PXの階調値)を表す。ラインメモリ52R、52G、52Bが記憶する各色のサブフレームデータは、フレームメモリ51が記憶する画像データの1つ先のフレームに相当する。データ変換部53は、ラインメモリ52R、52G、52Bが記憶する各色のサブフレームデータに対してガンマ補正などの各種のデータ変換処理を施して画像信号を生成し、上述の信号線駆動回路SDに出力する。なお、フレームメモリ51にてRGBのデータに振り分けてデータ変換部53にRGBのデータを送るようにタイミングコントローラTCが構成されていてもよい。この場合、ラインメモリ52R、52G、52B無しに、タイミングコントローラTCを構成することも可能である。
【0143】
光源制御部54は、光源制御信号を上述の光源ドライバLSDに出力する。光源ドライバLSDは、光源制御信号に基づいて、発光素子LSR、LSG、LSBを駆動する。発光素子LSR、LSG、LSBは、例えばPWM(Pulse Width Modulation)制御により駆動することができる。すなわち、光源ドライバLSDは、発光素子LSR、LSG、LSBに出力する信号のデューティ比によって、発光素子LSR、LSG、LSBの各々の輝度を調整することができる。
【0144】
タイミング生成部50は、外部から入力される垂直同期信号Vsync及び水平同期信号Hsyncに同期して、フレームメモリ51、ラインメモリ52R、52G、52B、データ変換部53、及び光源制御部54の動作タイミングを制御する。また、タイミング生成部50は、SD制御信号を出力するにより信号線駆動回路SDを制御し、GD制御信号を出力することにより走査線駆動回路GDを制御し、Vcom制御信号を出力することによりVcom回路VCを制御し、AS制御信号を出力することにより補助回路ACを制御する。
【0145】
検出部55は、外部から入力される1フレーム分の画像データに画像のデータが含まれている場合、画像のデータのアドレスを検出するように構成されている。上記画像としては、表示領域DAの一部に表示されるキャラクタである。上記キャラクタとしては、文字を含む記号、図、アイコンなどが挙げられる。また、画像データにキャラクタのデータが含まれている場合とは、ディジタルデータの全てのビットの少なくとも1個所に0以外のデータを含んでいる場合である。画像のデータのアドレス情報は、データ変換部53に与えられる。このため、タイミングコントローラTCは、外部から入力される画像データに画像のデータが含まれている場合、画像を表示する領域以外の領域の散乱度(透明度)を調整するため、加工した画像信号を生成し、信号線駆動回路SDに出力することができる。加工した画像信号を生成する際は、データ変換部53による演算にて行ったり、タイミングコントローラTCのテーブル56に格納されたデータを利用して行ったり、することができる。
【0146】
ここで、画像(キャラクタ)を表示する領域以外の領域の散乱度(透明度)を調整する例について説明する。
図21に示すように、ユーザは、背景のうちF山を表示装置DSP越しにみているものとする。この場合、表示領域DAに「Mount F」の文字列の画像CRを単に表示した場合、画像CRが背景のF山に重なり、ユーザは画像CRを視認(識別)し難くなる恐れがある。そこで、本実施形態では、画像CRが背景のF山に重なる場合においても、ユーザが画像CRを視認し易くなる技術を提供するものである。又は、背景の影響をユーザが受け難くなる技術を提供するものである。
【0147】
ここで、表示領域DAのうち、画像CRを表示する領域を対象領域OAとする。本実施形態において、画像CRは間隔を置いて並んだ6文字であるため、対象領域OAは不連続な領域である。表示領域DAのうち、少なくとも対象領域OAが位置する行の全域を含む領域を書換え領域RAとする。本実施形態において、書換え領域RAは、対象領域OAの位置する行の全域だけではなく、対象領域OAより端部En1側のいくつかの行の全域と、対象領域OAより端部En2側のいくつかの行の全域と、を含んでいる。また、書換え領域RAは、この例では表示領域DAの第2方向Yの中央の領域である。書換え領域RAのうち対象領域OA以外の領域を非対象領域NOAとする。対象領域OAは、階調電圧の所定の電圧以上である散乱電圧VBが与えられている画素に対応する領域である。非対象領域NOAは、第1透明電圧VA1が与えられている画素に対応する領域である。なお、上記第1透明電圧VA1は、階調電圧の階調表現が可能になる付近の所定の範囲の電圧である。表示領域DAのうち書換え領域RA以外の領域を非書換え領域NRAとする。
この例では、表示領域DAは、書換え領域RAより端部En1側の非書換え領域NRA1と、書換え領域RAより端部En2側の非書換え領域NRA2と、を有している。上記のように、書換え領域RAの画素には散乱電圧VB又は第1透明電圧VA1が与えられ、非書換え領域NRA1,NRA2の画素には第2透明電圧VA2が与えられる。
【0148】
図22には、表示パネルPNLのうち説明に必要な部分のみを示している。また、
図22には、光路を示し、光が液晶層30で拡散される様子や、光の平行度が液晶層30で維持される様子も示している。
図23には、
図22に示した第1走査線Ga、第2走査線Gb、信号線S、容量配線Cs、スイッチSW、画素電極PE、及び補助電極AEの接続関係を示している。なお、
図23において、液晶層30の図示を省略している。
【0149】
図22及び
図23に示すように、複数の画素電極PEは、上記対象領域OAに位置する第1画素電極PEAと、上記非対象領域NOAに位置する第2画素電極PEBと、上記非書換え領域NRA2(NRA)に位置する第3画素電極PECと、を含んでいる。ここで、書換え領域RAに位置する画素PXのための走査線Gを第1走査線Ga(α)及び第2走査線Gb(α)とし、容量配線Csを容量配線Cs(α)とする。また、非書換え領域NRAに位置する画素PXのための走査線Gを第1走査線Ga(β)及び第2走査線Gb(β)とし、容量配線Csを容量配線Cs(β)する。
【0150】
複数の画素PXは、第1画素PXA、第2画素PXB、及び第3画素PXCを含んでいる。第1画素PXA及び第2画素PXBの各々は、複数の第1走査線Ga(α)、複数の第2走査線Gb(α)、及び複数の容量配線Cs(α)のうち、対応する1本の第1走査線Ga(α)、対応する1本の第2走査線Gb(α)、及び対応する1本の容量配線Cs(α)に電気的に接続されている。ここでは、第1画素PXA及び第2画素PXBは、同一の1本の第1走査線Ga(α)、同一の1本の第2走査線Gb(α)、及び同一の1本の容量配線Cs(α)に電気的に接続されている。
【0151】
第3画素PXCは、複数の第1走査線Ga(β)、複数の第2走査線Gb(β)、及び複数の容量配線Cs(β)のうち、対応する1本の第1走査線Ga(β)、対応する1本の第2走査線Gb(β)、及び対応する1本の容量配線Cs(β)に電気的に接続されている。
【0152】
液晶層30(表示機能層)は、第1画素電極PEAと共通電極CEとの間に印加される電圧がかかる第1液晶層30A(第1表示機能層)と、第2画素電極PEBと共通電極CEとの間に印加される電圧がかかる第2液晶層30B(第2表示機能層)と、第3画素電極PECと共通電極CEとの間に印加される電圧がかかる第3液晶層30C(第3表示機能層)と、を含んでいる。本実施形態において、第1液晶層30Aは第1画素電極PEAと共通電極CEとに挟まれ、第2液晶層30Bは第2画素電極PEBと共通電極CEとに挟まれ、第3液晶層30Cは第3画素電極PECと共通電極CEとに挟まれている。
【0153】
液晶層30(第1液晶層30A、第2液晶層30B、及び第3液晶層30C)は、上記散乱電圧VBが印加された場合に入射される光を散乱させ、第1透明電圧VA1が印加された場合に入射される光の平行度を維持し、第2透明電圧VA2が印加された場合に入射される光の平行度を維持する。
【0154】
上記第2透明電圧VA2が印加された場合に液晶層30を透過する光の平行度は、上記第1透明電圧VA1が印加された場合に液晶層30を透過する光の平行度より高い。上記第1透明電圧VA1が印加された場合に液晶層30を透過する光の平行度は、上記散乱電圧VBが印加された場合に液晶層30を透過する光の平行度より高い。
また、上記散乱電圧VBが印加された場合に液晶層30を透過する光の散乱度は、上記第1透明電圧VA1が印加された場合に液晶層30を透過する光の散乱度より高い。上記第1透明電圧VA1が印加された場合に液晶層30を透過する光の散乱度は、上記第2透明電圧VA2が印加された場合に液晶層30を透過する光の散乱度より高い。
【0155】
図21乃至
図23に示すように、表示領域DAの対象領域OAに画像CRを表示する際、本実施形態の上記駆動部DRは、対象領域OAに画像CRを表示し、非対象領域NOAを透明にし、非書換え領域NRAを透明にする。非書換え領域NRAの透明度は、非対象領域NOAの透明度より高い。本実施形態において、液晶層30はリバース型高分子分散液晶を利用しているため、第1透明電圧VA1は第2透明電圧VA2より高くなり、散乱電圧VBは第1透明電圧VA1より高くなる。但し、本実施形態と異なり、液晶層30がノーマル型高分子分散液晶を利用している場合、第1透明電圧VA1は散乱電圧VBより高くなり、第2透明電圧VA2は第1透明電圧VA1より高くなる。
【0156】
このため、上記駆動部は、第1液晶層30Aに散乱電圧VBを印加し、第2液晶層30Bに第1透明電圧VA1を印加し、第3液晶層30Cに第2透明電圧VA2を印加する。対象領域OAに画像CRを表示する期間のうちの1フレーム期間に注目すると、上記駆動部DRは、光源ユニットLUを駆動して液晶層30に光を照射させ、液晶層30に光が照射される期間に、第1液晶層30Aに散乱電圧VBを印加し、第2液晶層30Bに第1透明電圧VA1を印加し、第3液晶層30Cに第2透明電圧VA2を印加する。
【0157】
画像CRの色(対象領域OAに表示する色)は、光源ユニットLUが発する色に基づくこととなる。このため、上記駆動部DRは、画像CRの色を、光源ユニットLUが発する単色としたり、光源ユニットLUが発する複数色の混色としたり、することができる。また、画像CRを全て単色で表示したり、画像CRを部分毎に色を異ならせて表示したり、することも可能である。
【0158】
第1液晶層30Aの光の散乱度は、第2液晶層30B及び第3液晶層30Cのそれぞれの光の散乱度より高い。第1液晶層30Aは散乱状態となる。このため、表示パネルPNL越しに背景をみた場合、対象領域OAにおいて、背景の視認性を最も低下させることができる。
一方、第3液晶層30Cを通る光の平行度は、第1液晶層30A及び第2液晶層30Bのそれぞれを通る光の平行度より高い。第3液晶層30Cは第2透明状態となる。このため、表示パネルPNL越しに背景をみた場合、非書換え領域NRAにおける背景の視認性が最も良好となる。
また、第2液晶層30Bも第1透明状態となる。但し、第2液晶層30Bを透過する光の散乱度は、第3液晶層30Cを透過する光の散乱度より高い。表示パネルPNL越しに背景をみた場合、非対象領域NOAにおいては背景をぼかすことができ、非対象領域NOAにおける背景の視認性を低下させることができるため、ユーザは画像CRを視認し易くなる。
【0159】
図24は、本実施形態の表示装置DSPの表示動作の一例を示すタイミングチャートである。
図24に示すように、1フレームの開始時に、垂直同期信号Vsyncが立ち下がる。すなわち、この例では、垂直同期信号Vsyncが立ち下がってから、再び立ち下がるまでの時間がフレーム期間(1フレーム期間)Pfに相当する。例えば60Hzで表示装置DSPを駆動する場合、フレーム期間Pfは約16.7msである。
【0160】
フレーム期間Pfは、上述の透明駆動を実行するリセット期間Prと、第1サブフレーム期間PsfRと、第2サブフレーム期間PsfGと、第3サブフレーム期間PsfBと、を含んでいる。各サブフレーム期間Psfは、上述の表示駆動を実行する期間に相当する。この例では、リセット期間Prがフレーム期間Pfの先頭の期間である。リセット期間Pr、第1サブフレーム期間PsfR、第2サブフレーム期間PsfG、及び第3サブフレーム期間PsfBは、この順に続いている。但し、この例とは異なり、リセット期間Prがフレーム期間Pfの先頭の期間ではなく、フレーム期間Pfの最後尾の期間であってもよい。
【0161】
リセット期間Prにおいては、タイミングコントローラTCの制御の下で透明駆動が実行される。すなわち、走査線駆動回路GDは、全ての第1走査線GaにHレベルの第1制御信号Caを同時に与える。または、走査線駆動回路GDは、Hレベルの第1制御信号Caを第1走査線Ga1から第1走査線Ganまで順に与えてもよい。
【0162】
さらに、リセット期間Prにおいて、信号線駆動回路SDは、全ての信号線Sに、例えばコモン電圧Vcomと同じ値の画像信号Vsigを与える。このような動作により、全ての画素PXの画素電極PEと共通電極CEとの間に第2透明電圧VA2が書き込まれる。その後、各画素PXの画素電極PEは、次に画像信号Vsigが与えられるまで電気的にフローティング状態となる。したがって、第2透明電圧VA2が書き込まれた画素PXにおいては、次の画像信号Vsigが供給されるまで、第2透明電圧VA2が保持される。
【0163】
第2透明電圧VA2が書き込まれた画素PXにおいては、液晶層30が良好な第2透明状態にあるので、表示パネルPNLの背景の視認性が高まる。本実施形態において、リセット期間Prにおいては、発光素子LSR,LSG,LSBはいずれも消灯している。なお、発光素子LSR,LSG,LSBは、リセット期間Prに消灯している方が望ましいが、リセット期間Prに点灯していてもよい。
リセット期間Prにおいて各信号線S1~Smに与える画像信号Vsigは、各画素PXに書き込まれる電圧が第2透明電圧VA2となる値であれば、コモン電圧Vcomと同じである必要はない。透明駆動におけるコモン電圧Vcomと画像信号Vsigについては、
図16A及び
図16Bを用いて説明した種々の態様を適用し得る。
【0164】
本実施形態のリセット期間Prにおいて、第1走査線Gaを駆動するが、その後第2走査線Gbを駆動していない。
【0165】
リセット期間Prにおいて全ての第1走査線GaにHレベルの第1制御信号Caを一括して与える期間は、駆動期間Pdである。例えば、駆動期間Pdの長さは、5乃至10本の第1走査線Gaを順に走査する期間である。上記のように駆動期間Pdを一定期間確保することにより、画素電極PEの電位及び共通電極CEの電位をそれぞれ所望の値に遷移させることができる。また、図示した例では、駆動期間Pdの直後に第1サブフレーム期間PsfRが到来するため、時間期間に関して、Pr=Pdである。リセット期間Prは、駆動期間Pdの後に、第2透明電圧VA2をさらに保持するための保持期間を含んでもよい。
【0166】
第1サブフレーム期間PsfR、第2サブフレーム期間PsfG、及び第3サブフレーム期間PsfBはこの順に続いているが、この例と異なり、これらのサブフレーム期間Psfの順番は異なっていてもよい。各サブフレーム期間Psfにおいては、タイミング生成部50がフレームメモリ51、ラインメモリ52R、52G、52B、データ変換部53をデータ同期信号SSにより制御したり、検出部55及びテーブル56を利用したりして、各色の表示駆動を実行させる。
【0167】
第1サブフレーム期間PsfRは、駆動期間PdRと、保持期間PhRとを含んでいる。駆動期間PdRにおいては、走査線駆動回路GDが、第1走査線Ga1~GanにHレベルの第1制御信号Caを順に与え、第2走査線Gb1~GbnにHレベルの第2制御信号Cbを順に与える。
【0168】
さらに、駆動期間PdRに、信号線駆動回路SDがラインメモリ52Rに記憶された赤色のサブフレームデータ(R_DATA)に応じた画像信号Vsigを各信号線S1~Smに与える。より具体的には、Hレベルの第1制御信号Ca及びHレベルの第2制御信号Cbが供給されたラインの各画素PXに対応する階調の画像信号Vsigを一斉に各信号線S1~Smに与える動作が繰り返される。
【0169】
画像信号Vsigは、選択された画素PXの画素電極PEに第1スイッチSW1を介して与えられ、その後第1スイッチSW1がオフすることで、画素電極PEの電位が保持される。又は、カップリング作用により、画素電極PEの電位が変動する。その後、次の行の複数の画素PXが選択され、同様の駆動が順次行われる。
このような動作により、各画素PXの画素電極PEと共通電極CEとの間に、赤色のサブフレームデータに応じた電圧が書き込まれる。
【0170】
保持期間PhRは、全ての画素PXへの書き込みが完了してから、第2サブフレーム期間PsfGが到来するまでの期間である。この保持期間PhRにおいて、発光素子LSRが赤色の光を照射する。発光素子LSRを点灯させる際、書換え領域RAの全ての画素PXへの書き込みが完了してからマージン期間Pmをはさんで点灯させている。発光素子LSRを点灯させる際、上記マージン期間Pmをはさまなくともよいが、上記マージン期間Pmをはさんだ方が望ましい。これにより、例えば、液晶の応答期間を確保することができる。これにより、赤色の画像が表示領域DAに表示される。
【0171】
第2サブフレーム期間PsfG、及び第3サブフレーム期間PsfBにおける動作は、第1サブフレーム期間PsfRと同様である。すなわち、第2サブフレーム期間PsfGは駆動期間PdGと保持期間PhGを含み、駆動期間PdGにおいて書換え領域RAの画素PXにラインメモリ52Gが記憶する緑色のサブフレームデータ(G_DATA)に応じた電圧が書き込まれる。その際、非書換え領域NRAの画素PXに第2透明電圧VA2が印加されている状態に保持し、対象領域OAの画素PXに散乱電圧VBを印加し、非対象領域NOAの画素に第1透明電圧VA1を印加する。保持期間PhGにおいて発光素子LSGが緑色の光を照射する。これにより、緑色の画像が表示領域DAに表示される。
【0172】
また、第3サブフレーム期間PsfBは駆動期間PdBと保持期間PhBを含み、駆動期間PdBにおいて書換え領域RAの画素PXにラインメモリ52Bが記憶する青色のサブフレームデータ(B_DATA)に応じた電圧が書き込まれ、保持期間PhBにおいて発光素子LSBが青色の光を照射する。これにより、青色の画像が表示領域DAに表示される。
【0173】
あるフレーム期間Pfにおいて、次のフレーム期間Pfで表示する画像データがフレームメモリ51に書き込まれる。さらに、画素PXへの書き込みが完了したラインメモリ52R、52G、52Bのサブフレームデータが、フレームメモリ51に書き込まれた画像データに対応するサブフレームデータにそれぞれ書き換えられる。
【0174】
第1サブフレーム期間PsfR、第2サブフレーム期間PsfG、及び第3サブフレーム期間PsfBにおいて時分割で表示された赤色、緑色、及び青色の画像が混合されることで、多色表示の画像CRとしてユーザに視認される。また、リセット期間Prにおいては、各画素PXの画素電極PEと共通電極CEとの間に、第2透明電圧VA2が印加される。このようなリセット期間Prを1フレーム期間Pf毎に1回設けることで、表示領域DAの透明性が高まり、表示領域DAの背景の視認性が向上する。なお、リセット期間Prを、上述したように、複数のフレーム期間Pf毎に1回設けてもよい。又は、リセット期間Prと1サブフレーム期間Psfとを交互に設けてもよい。又は、リセット期間Prと複数のサブフレーム期間Psfとを交互に設けてもよい。画像の焼き付きなどの表示不良を抑制する観点からは、リセットの頻度は高い方がよい。
【0175】
リセット期間Prを調整する際、上述したように画素電極PEの電位及び共通電極CEの電位が所望の値に遷移するまでの期間だけではなく、表示領域DAの透明性を考慮してもよい。
【0176】
フレーム期間Pfにおいてリセット期間Prが占める割合が大きいほど表示領域DAの透明性が高まるが、画像の視認性が低下し得る。これらを考慮し、リセット期間Prの長さは、例えば1フレーム期間Pfの長さの1/2以下とすることが好ましい。但し、透明性を重視する場合などには、フレーム期間Pfに占めるリセット期間Prの割合をより大きくしてもよい。第1サブフレーム期間PsfR、第2サブフレーム期間PsfG、及び第3サブフレーム期間PsfBは、例えば同じ長さとすることができる。第1サブフレーム期間PsfR、第2サブフレーム期間PsfG、及び第3サブフレーム期間PsfBの比率を異ならせることで、表示画像の色度を調整してもよい。
【0177】
次に、
図24の表示動作を利用して
図21のように画像CRを表示する際の1フレーム期間の表示動作について説明する。
図21乃至
図24に示すように、上記駆動部DRは、リセット期間Prに、第1液晶層30A、第2液晶層30B、及び第3液晶層30Cにそれぞれ第2透明電圧VA2を印加し、光源ユニットLUを液晶層30に光を照射しない消灯状態に切替える。上記駆動部DRは、第1サブフレーム期間PsfR、第2サブフレーム期間PsfG、及び第3サブフレーム期間PsfBの全ての期間に、第2液晶層30Bに第1透明電圧VA1を印加し、第3液晶層30Cに第2透明電圧VA2が印加されている状態に保持する。上記駆動部DRは、第1サブフレーム期間PsfR、第2サブフレーム期間PsfG、及び第3サブフレーム期間PsfBの一以上のサブフレーム期間に、第1液晶層30Aに散乱電圧VBを印加する。
【0178】
ここで、上記表示動作に極性反転駆動を適用した場合について説明する。
図21乃至
図24に示すように、散乱電圧VBは、正極性の散乱電圧と、負極性の散乱電圧と、を有している(
図14)。正極性の散乱電圧とは、例えば8~16Vであり、負極性の散乱電圧とは例えば-16~-8Vである。対象領域OAに画像CRを表示する際、上記駆動部DRは、1フレーム期間Pf毎に、正極性の散乱電圧VBと負極性の散乱電圧VBとを第1液晶層30Aに交互に印加する。この際、上記駆動部DRは、1フレーム期間Pf毎に、正極性の第1透明電圧VA1と負極性の第1透明電圧VA1とを第2液晶層30Bに交互に印加する。この際、上記駆動部DRは、各フレーム期間Pfに、第2透明電圧VA2を第3液晶層30Cに印加する。
【0179】
正極性の第1透明電圧VA1及び負極性の第1透明電圧VA1の絶対値は、それぞれ、正極性の散乱電圧VBの最大値の半分であり、負極性の散乱電圧VBの絶対値の最大値の半分である。例えば
図14及び
図15に示す例では、正極性の第1透明電圧VA1及び負極性の第1透明電圧VA1の絶対値はそれぞれ8Vであり、正極性の散乱電圧VBの最大値及び負極性の散乱電圧VBの絶対値の最大値は、それぞれ16Vである。例えば、第1透明電圧VA1及び散乱電圧VBが何れの極性であっても、第1透明電圧VA1の絶対値は、散乱電圧VBの絶対値の最大値の半分である。但し、上記の例に限定されるものではなく、正極性及び負極性の第1透明電圧VA1は、散乱度が50%以下の範囲となる電圧であればよい。
【0180】
上記のように構成された一実施形態に係る表示装置DSP及び表示装置DSPの駆動方法によれば、表示装置DSPは、第1走査線Gaと、第2走査線Gbと、信号線Sと、容量配線Csと、画素PXと、駆動部DRと、を備えている。画素PXは、画素電極PE、画素電極と静電容量結合している補助電極AE、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、及び第3スイッチSW3を有している。駆動部DRは、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2のそれぞれのオンオフを切り替えるために第1走査線Gaに第1制御信号Caを与え、第3スイッチSW3のオンオフを切り替えるために第2走査線Gbに第2制御信号Cbを与え、信号線Sに画像信号Vsigを与え、容量配線Csに補助信号ASを与えるように構成されている。
【0181】
駆動部DRは、第1駆動期間Pd1に、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をそれぞれオンし、第3スイッチSW3をオフし、画像信号Vsigを信号線S及び第1スイッチSW1を介して画素電極PEに与え、容量配線Cs及び第2スイッチSW2を介して補助電極AEに補助信号ASを与える。また、駆動部DRは、第1駆動期間Pd1に続く第2駆動期間Pd2に、第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2をそれぞれオフし、第3スイッチSW3をオンし、画像信号Vsigを信号線S及び第3スイッチSW3を介して補助電極AEに与える。
【0182】
画像信号Vsig、コモン電圧Vcom、及び補助信号ASのそれぞれの電圧範囲を0~+8Vに設定しても、液晶層30に印加する電圧VLCを、-16V~+16Vの範囲に設定することができる。画像信号Vsig、コモン電圧Vcom、及び補助信号ASのそれぞれの電圧範囲を0~+16Vに設定しなくともよいため、低消費電力化を図ることが可能な表示装置DSP及び表示装置DSPの駆動方法を得ることができる。
また、本実施形態では、電圧耐久性に優れた表示装置DSP及び表示装置DSPの駆動方法を得ることができる。さらに、本実施形態では、駆動部DRの製造コストの高騰を抑制することが可能な表示装置DSP及び表示装置DSPの駆動方法を得ることができる。
【0183】
(変形例1)
次に、上記実施形態の変形例1に係る表示装置DSP及び表示装置DSPの駆動方法について説明する。
図25は、上記実施形態の変形例1に係る表示装置DSPの主要な構成要素を示す図である。
【0184】
図25に示すように、表示装置DSPは、コントローラCNTがレベル変換回路(L/S回路)LSC及びVcom引き込み回路LICを備える点で、
図3に示した構成と相違している。
【0185】
Vcom回路VCから供給されるコモン電圧(Vcom)は、共通電極CEに供給されるとともに、Vcom引き込み回路LICにも供給される。Vcom引き込み回路LICは、信号線駆動回路SDと各信号線Sとの間に介在している。Vcom引き込み回路LICは、信号線駆動回路SDから出力される画像信号を各信号線Sに供給する。また、Vcom引き込み回路LICは、Vcom回路VCからのコモン電圧を各信号線Sに供給することもできる。
【0186】
図26は、
図25に示したVcom引き込み回路LICの一構成例を示す図である。Vcom引き込み回路LICは、スイッチング素子SWI1~SWImを備えている。スイッチング素子SWI1~SWImは、例えば表示パネルPNLの第1基板SUB1に配置されている。スイッチング素子SWI1~SWImの入力端(ソース)には配線LN1が接続され、出力端(ドレイン)には各信号線S1~Smがそれぞれ接続され、制御端(ゲート)には配線LN2が接続されている。
【0187】
図25に示したVcom回路VCは、配線LN1にコモン電圧Vcomを供給する。なお、この動作は、画素PXに第2透明電圧を書込む際の駆動に適用したり、リセット期間の駆動に適用したり、画素PXに第2透明電圧を書込む際の駆動とリセット期間の駆動の両方に適用したりすることができる。Vcom引き込み回路LICがコモン電圧Vcomを信号線S1~Smに供給する際、信号線駆動回路SDの出力は、ハイ・インピーダンスに制御される。また、タイミングコントローラTCは、透明走査を実行する際に、制御信号をレベル変換回路LSCに出力する。レベル変換回路LSCは、この制御信号を所定レベルの電圧に変換して配線LN2に供給する。配線LN2に制御信号が供給されると、配線LN1と各信号線S1~Smとが導通し、配線LN1のコモン電圧Vcomが各信号線S1~Smに供給される。
【0188】
このようにコモン電圧Vcomが各信号線S1~Smに供給された状態で、各第1走査線Ga1~Ganに第1制御信号Caが供給されると、各画素電極PEに各信号線S1~Smのコモン電圧Vcomが供給される。すなわち、各画素電極PEと共通電極CEとの電位差が0V(第2透明電圧)となる。
本変形例1であっても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。本変形例1の構成であれば、信号線駆動回路SDに透明走査のための電圧(例えばコモン電圧Vcom)を供給するための回路等を設ける必要が無い。
【0189】
(変形例2)
次に、上記実施形態の変形例2に係る表示装置DSPについて説明する。
図27は、上記実施形態の変形例2に係る表示装置DSPの第1基板SUB1の一部を示す平面図であり、上記画素PXを示す図である。本変形例2と上記実施形態とを比較した場合、(1)容量配線Csが延在する方向、(2)スイッチSW1,SW2,SW3(TFT)のチャネル幅、(3)コンデンサCOの容量サイズ、及び(4)スイッチSW1,SW2,SW3の配置に関して、上記実施形態と相違している。
【0190】
まず、上記事項(1)について説明する。
図27に示すように、変形例2において、容量配線Csは、第2方向Yに延在し、信号線Sと対向している。容量配線Csは、第3電極E3と電気的に接続するため、第1方向Xに突出した突出部Csbを有している。例えば、容量配線Csj-1は、信号線Siと対向し、信号線Siに沿って延在している。容量配線Csjは、信号線Si+1と対向し、信号線Si+1に沿って延在している。容量配線Csjの突出部Csjbは、接続電極ELと対向し、接続電極ELを介して第3電極E3に電気的に接続されている。
【0191】
変形例2によれば、容量配線Csと走査線Gとの容量カップリングを低減することができる。言い換えると、走査線Gの負荷を低減することができる。そのため、変形例2では、走査線Gを高速に駆動することができる。
なお、変形例2では、上記実施形態と比較し信号線Sの負荷が増大することになるが、走査線Gの負荷の増大を招く場合より優位である。また、信号線Sの負荷が増大する場合であっても、信号線Sの電気抵抗値が小さくなるように、材料などを調整して信号線Sを形成することにより、信号線Sの負荷の悪影響を及び難くすることができる。
【0192】
次に、上記事項(2)について説明する。
変形例2のスイッチSW1,SW2,SW3(TFT)のチャネル幅は、上記実施形態のスイッチSW1,SW2,SW3(TFT)のチャネル幅と比較して小さい。スイッチSW1,SW2,SW3(TFT)のチャネル領域の面積を小さくすることができる。そのため、上記実施形態と比較し、変形例2のスイッチSW1,SW2,SW3(TFT)は、信号(電圧)の書込みにかかる時間を短くすることができる。また、本変形例2では、スイッチSW1,SW2,SW3の小型化を図ることができるため、画素PXの開口面積の向上に寄与することができる。
【0193】
次に、上記事項(3)について説明する。
補助電極AEのサイズは画素電極PEのサイズより小さい。補助電極AEは画素電極PEよりも内側に形成されている。本変形例2において、補助電極AEは、第1スイッチSW1と対向しておらず、第2スイッチSW2のうち第4電極E4の一部と対向し、第3スイッチSW3のうち第6電極E6と対向している。そのため、補助電極AEの形状は、四角形ではなく、四角形を部分的に変形した形状である。例えば、第1スイッチSW1と対向する領域において、補助電極AEは、四角形の一部を部分的に凹ませて形成されている。補助電極AEを第6電極E6に対向させるため、補助電極AEは、四角形の一部を部分的に突出させて形成されている。また、補助電極AEの主要部は四角形に限らず、多角形や円形などの非矩形状であってもよく、補助電極AEの主要部が多角形や非矩形状であってもその一部分を突出させて第2スイッチSW2及び第3スイッチSW3に接続させることも可能である。
【0194】
本変形例2では、コンデンサCOのサイズを上記実施形態より小さくすることができる。補助電極AEのサイズを小さくする程、コンデンサCOの容量サイズを小さくすることが可能である。なお、コンデンサCOの容量サイズを小さくしたい場合、本変形例2のように、補助電極AEのサイズを小さくすることが好適である。例えば、補助電極AEのサイズを小さくすることにより、書き込み時間を短くすることができる。
【0195】
次に、上記事項(4)について説明する。
スイッチSW1,SW2,SW3は、画素PXの四隅にばらばらに配置されている。本変形例2において、第1スイッチSW1は、画素PXの左上隅に配置されている。第2スイッチSW2は、画素PXの右上隅に配置されている。第3スイッチSW3は、画素PXの左下隅に配置されている。なお、
図5に示す本実施形態のように、第1スイッチと第2スイッチが左上隅に隣り合っている場合は画素PX内にて透過率の高い領域と低い領域とができてしまい、表示装置全体として見た際に第1スイッチと第2スイッチとが隣り合う領域が視認者にドットパターンとして見えてしまうことや、散乱状態の見栄えを損ねる可能性があり得る。本変形例2にあるようにスイッチSW1,SW2,SW3を画素PXの四隅にばらばらに配置することにより、スイッチによる非透過領域の塊を分散させることで視認者に見えにくくするとともに散乱状態の見栄えを損ねる可能性を無くすことができる。
【0196】
次に、本変形例2の第1基板SUB1の断面構造について説明する。
図28は、
図27の第1基板SUB1を線XXVIII-XXVIIIに沿って示す断面図である。
図29は、
図27の第1基板SUB1を線XXIX-XXIXに沿って示す断面図である。
図30は、
図27の第1基板SUB1を線XXX-XXXに沿って示す断面図である。
図31は、
図27の第1基板SUB1を線XXXI-XXXIに沿って示す断面図である。
図28乃至
図31において、配向膜AF1の図示を省略している。
【0197】
図28に示すように、本変形例2の第1基板SUB1は、絶縁層11及び遮光層SH1,SH2,SH3無しに形成されている。絶縁層12は、透明基板10の上に配置されている。絶縁層15は、絶縁層14の上に隙間無しに全体に形成されているのではなく、実質的に格子状に形成されている。
図28では、絶縁層15は、信号線Sを覆い、信号線Sに沿って延在する線状部を有している。補助電極AEは、絶縁層14の上に配置されている。絶縁層16は、部分的に絶縁層14に接触している。容量配線Csは、絶縁層15の上に位置し、信号線Sと対向している。
【0198】
図29に示すように、絶縁層15は、走査線Gと対向し、走査線Gに沿って延在する線状部を有している。
【0199】
図30に示すように、絶縁層15は、第6電極E6の一部を除き、第3スイッチSW3と対向する部分を有している。絶縁層15の上記部分は、絶縁層15の上記線状部と一体に形成されている。補助電極AEは、絶縁層14及び第6電極E6の上に配置され、第6電極E6に接触している。補助電極AEは、絶縁層15にコンタクトホールを形成すること無しに、第6電極E6に接触している。
【0200】
図31に示すように、絶縁層15は、第2電極E2の一部を除き、第1スイッチSW1と対向する部分を有している。絶縁層15の上記部分は、絶縁層15の上記線状部と一体に形成されている。絶縁層16は、第2電極E2の一部、絶縁層15の一部などと対向している。画素電極PEは、第2電極E2、絶縁層15、及び絶縁層16の上に配置され、第2電極E2に接触している。
本変形例2においても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0201】
(変形例3)
次に、上記実施形態の変形例3に係る表示装置DSPについて説明する。
図32は、上記実施形態の変形例3に係る表示装置DSPの第1基板SUB1の一部を示す平面図であり、上記画素PXを示す図である。本変形例3と上記変形例2とを比較した場合、(2)スイッチSW1,SW2,SW3(TFT)のチャネル幅、(3)コンデンサCOの容量サイズ、及び(4)スイッチSW1,SW2,SW3の配置に関して、上記変形例2と同様である。しかしながら、(1)容量配線Csが延在する方向、及び(5)スイッチSW1,SW2,SW3の向きに関して、上記変形例2と相違している。
【0202】
まず、上記事項(1)について説明する。
図32に示すように、変形例3において、容量配線Csは、上記実施形態(
図5)と同様、第1方向Xに延在している。
【0203】
次に、上記事項(5)について説明する。
第1スイッチSW1において、第1半導体層SMC1は第2方向Yに延在し、第1ゲート電極GE1は第1方向Xに延在し第1半導体層SMC1と交差している。信号線Sは、第1半導体層SMC1と電気的に接続するため、第1方向Xに突出した突出部Sbを有している。例えば、信号線Siの突出部Sibは、第1電極E1であり、第1半導体層SMC1と対向し、第1半導体層SMC1に電気的に接続されている。
【0204】
第2スイッチSW2において、第2半導体層SMC2は第2方向Yに延在し、第2ゲート電極GE2は第1方向Xに延在し第2半導体層SMC2と交差している。第3電極E3は、第1方向Xに延在し、容量配線Csと対向している。接続電極ELは、第3電極E3と対向している。そのため、容量配線Csjは、接続電極ELを介して第3電極E3に電気的に接続されている。
【0205】
第3スイッチSW3において、第3半導体層SMC3は第2方向Yに延在し、第3ゲート電極GE3は第1方向Xに延在し第3半導体層SMC3と交差している。なお、第3半導体層SMC3は、隣の画素PXの第1半導体層SMC1に絶縁距離を置いて位置している。信号線Sの突出部Sbは、第3半導体層SMC3とも対向している。例えば、信号線Siの突出部Sibのうち容量配線Csj+1と対向する突出部Sibは、第5電極E5であり、第3半導体層SMC3と対向し、第3半導体層SMC3に電気的に接続されている。なお、容量配線Csj+1と対向する突出部Sibは、j+1行目の画素PXの第1電極E1としても機能している。
【0206】
次に、上記事項(3)について説明する。
補助電極AEは、第1スイッチSW1と対向しておらず、第2スイッチSW2のうち第4電極E4と対向し、第3スイッチSW3のうち第6電極E6と対向している。本変形例3においても、補助電極AEの形状は、四角形ではなく、四角形を部分的に変形した形状である。例えば、補助電極AEを第4電極E4に対向させるため、補助電極AEは、四角形の一部を部分的に第1方向Xに突出させて形成されている。さらに、補助電極AEを第6電極E6に対向させるため、補助電極AEは、四角形の一部を部分的に第1方向Xに突出させて形成されている。
【0207】
次に、本変形例3の第1基板SUB1の断面構造について説明する。
図33は、
図32の第1基板SUB1を線XXXIII-XXXIIIに沿って示す断面図である。
図34は、
図32の第1基板SUB1を線XXXIV-XXXIVに沿って示す断面図である。
図35は、
図32の第1基板SUB1を線XXXV-XXXVに沿って示す断面図である。
図36は、
図32の第1基板SUB1を線XXXVI-XXXVIに沿って示す断面図である。
図33乃至
図36において、配向膜AF1の図示を省略している。
【0208】
図33に示すように、本変形例3において、絶縁層15は、絶縁層14の上に隙間無しに全体に形成されているのではなく、実質的に格子状に形成されている。
図33では、絶縁層15は、信号線Sを覆い、信号線Sに沿って延在する線状部を有している。上記変形例2と異なり、容量配線Csは、信号線Sと対向したり、信号線Sに沿って延在したりしていない。
【0209】
図34に示すように、絶縁層15は、走査線Gと対向し、走査線Gに沿って延在する線状部を有している。容量配線Csは、絶縁層15の上に位置している。第2方向Yにおいて、容量配線Csj+1は第1走査線Gaj+1と第2走査線Gbjとの間に位置し、容量配線Csjは第1走査線Gajと第2走査線Gbj-1との間に位置している。
【0210】
図35に示すように、絶縁層15は、第6電極E6の一部を除き、第3スイッチSW3と対向する部分を有している。絶縁層15の上記部分は、絶縁層15の上記線状部と一体に形成されている。補助電極AEは、第6電極E6の上に配置され、第6電極E6に接触している。容量配線Csj+1は、絶縁層15の上に位置し、突出部Sibと対向している。
【0211】
図36に示すように、絶縁層15は、第2電極E2の一部を除き、第1スイッチSW1と対向する部分を有している。絶縁層15の上記部分は、絶縁層15の上記線状部と一体に形成されている。絶縁層16は、絶縁層14、第2電極E2の一部、絶縁層15などと対向している。画素電極PEは、第2電極E2、絶縁層15、及び絶縁層16の上に配置され、第2電極E2に接触している。
本変形例3においても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0212】
(変形例4)
次に、上記実施形態の変形例4に係る表示装置DSPについて説明する。
図37は、上記実施形態の変形例4に係る表示装置DSPの第1基板SUB1の一部を示す平面図であり、上記画素PXを示す図である。本変形例4と上記変形例3とを比較した場合、(1)容量配線Csが延在する方向、(2)スイッチSW1,SW2,SW3(TFT)のチャネル幅、(3)コンデンサCOの容量サイズ、及び(4)スイッチSW1,SW2,SW3の配置に関して、上記変形例3と同様である。しかしながら、(5)第3スイッチSW3の向きに関して、上記変形例3と相違している。
【0213】
ここでは、上記事項(5)について説明する。
図37に示すように、第3スイッチSW3において、第3半導体層SMC3は第1方向Xに延在し、第3ゲート電極GE3は第2方向Yに延在し第3半導体層SMC3と交差している。なお、本変形例4では、第3半導体層SMC3と、隣の画素PXの第1半導体層SMC1との絶縁距離は、十分に確保されている。そのため、第1半導体層SMC1の形状は、上記変形例3の第1半導体層SMC1の形状と相違している。
【0214】
次に、本変形例4の第1基板SUB1の断面構造について説明する。なお、
図37において、第1基板SUB1を線XXXIII-XXXIIIに沿って示す断面図は、
図33に示した通りである。第1基板SUB1を線XXXIV-XXXIVに沿って示す断面図は、
図34に示した通りである。第1基板SUB1を線XXXVI-XXXVIに沿って示す断面図は、
図36に示した通りである。
図38は、
図37の第1基板SUB1を線XXXVIII-XXXVIIIに沿って示す断面図である。
図38において、配向膜AF1の図示を省略している。
【0215】
図38に示すように、容量配線Csは、上記変形例3と異なり、信号線Sと対向したり、信号線Sに沿って延在したりしていない。
本変形例4においても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0216】
本発明の実施形態を説明したが、上記の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記の新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記の実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0217】
例えば、上述した実施形態では、液晶層30がPDLCを利用している液晶表示装置を及びその駆動方法を例に開示した。しかし、上述した実施形態は、液晶層30がPDLCを利用していない各種の液晶表示装置を及びその駆動方法に適用することも可能である。また、表示装置DSP及びその駆動方法としては、液晶表示装置及びその駆動方法に限定されるものではなく、あらゆる表示装置及びその駆動方法に適用可能である。液晶表示装置以外の表示装置としては、例えば電気泳動装置を挙げることができる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]第1走査線と、
第2走査線と、
信号線と、
容量配線と、
画素電極、前記画素電極と静電容量結合している補助電極、第1スイッチ、第2スイッチ、及び第3スイッチを有する画素と、を備え、
前記第1スイッチは前記信号線と前記画素電極と前記第1走査線に電気的に接続され、
前記第2スイッチは前記補助電極と前記第1走査線と前記容量配線に電気的に接続され、
前記第3スイッチは前記信号線と前記第2走査線と前記補助電極に電気的に接続される、
表示装置。
[2]前記第1スイッチ及び前記第2スイッチのそれぞれのオンオフを切り替えるために前記第1走査線に第1制御信号を与え、前記第3スイッチのオンオフを切り替えるために前記第2走査線に第2制御信号を与え、前記信号線に画像信号を与え、前記容量配線に補助信号を与える駆動部と、をさらに備え、
前記駆動部は、
第1駆動期間に、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをそれぞれオンし、前記第3スイッチをオフし、前記画像信号を前記信号線及び前記第1スイッチを介して前記画素電極に与え、前記容量配線及び前記第2スイッチを介して前記補助電極に前記補助信号を与え、
前記第1駆動期間に続く第2駆動期間に、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをそれぞれオフし、前記第3スイッチをオンし、前記画像信号を前記信号線及び前記第3スイッチを介して前記補助電極に与える、
[1]に記載の表示装置。
[3]前記駆動部は、前記第2駆動期間に、
前記画像信号の電圧値が前記補助信号の電圧値と異なる場合、前記画素電極の電位を変動させ、
前記画像信号の電圧値が前記補助信号の電圧値と同一である場合、前記画素電極の電位を変動させない、
[2]に記載の表示装置。
[4]前記補助電極は、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、及び前記第3スイッチのそれぞれと対向している、
[1]乃至[3]の何れか1に記載の表示装置。
[5]前記補助電極は、前記画素電極と、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、及び前記第3スイッチを含むスイッチ群と、の間に位置している、
[1]乃至[4]の何れか1に記載の表示装置。
[6]前記第1走査線、前記第2走査線、及び前記容量配線は、第1方向に延在し、
前記信号線は、前記第1方向に交差する第2方向に延在し、
前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、及び前記第3スイッチは、平面視にて、前記第1走査線と前記第2走査線との間に位置し、前記補助電極と対向し、
前記容量配線は、平面視にて、前記第2走査線より前記第1走査線の近傍に位置し、前記補助電極に距離を置いて位置している、
[1]に記載の表示装置。
[7]絶縁層と、
前記絶縁層の上に位置する他の絶縁層と、をさらに備え、
前記容量配線及び前記補助電極は、前記絶縁層と前記他の絶縁層との間に位置している、
[6]に記載の表示装置。
[8]前記画素の一部を構成する共通電極と、
前記画素電極と前記共通電極との間に印加される電圧がかかる表示機能層と、をさらに備え、
前記駆動部は、前記共通電極にコモン電圧を与える、
[2]に記載の表示装置。
[9]前記第1走査線、前記第2走査線、前記信号線、前記容量配線、前記画素電極、前記補助電極、前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、前記第3スイッチ、を有する第1基板と、
前記共通電極を有する第2基板と、をさらに備え、
前記表示機能層は、リバース型高分子分散液晶を利用した液晶層である、
[8]に記載の表示装置。
[10]1フレーム期間は連続する複数のサブフレーム期間を有し、
前記駆動部は、1サブフレーム期間毎に、前記画素電極に正極性の前記画像信号と負極性の前記画像信号とを交互に与え、前記コモン電圧の極性を前記画像信号の極性と異なる極性に設定する、
[9]に記載の表示装置。
[11]前記補助信号の電圧値は、前記コモン電圧の値と同一である、
[8]乃至[10]の何れか1に記載の表示装置。
[12]前記第1スイッチは、薄膜トランジスタで形成され、前記第1走査線に電気的に接続された第1ゲート電極と、前記第1ゲート電極と対向した第1チャネル領域、前記信号線に電気的に接続され前記第1チャネル領域より低抵抗である第1低抵抗領域、及び前記画素電極に電気的に接続され前記第1チャネル領域より低抵抗である第2低抵抗領域を有する第1半導体層であって、前記第1チャネル領域は前記第1低抵抗領域と前記第2低抵抗領域との間に位置している前記第1半導体層と、を備え、
前記第2スイッチは、薄膜トランジスタで形成され、前記第1走査線に電気的に接続された第2ゲート電極と、前記第2ゲート電極と対向した第2チャネル領域、前記容量配線に電気的に接続され前記第2チャネル領域より低抵抗である第3低抵抗領域、及び前記補助電極に電気的に接続され前記第2チャネル領域より低抵抗である第4低抵抗領域を有する第2半導体層であって、前記第2チャネル領域は前記第3低抵抗領域と前記第4低抵抗領域との間に位置している前記第2半導体層と、を備え、
前記第3スイッチは、薄膜トランジスタで形成され、前記第2走査線に電気的に接続された第3ゲート電極と、前記第3ゲート電極と対向した第3チャネル領域、前記信号線に電気的に接続され前記第3チャネル領域より低抵抗である第5低抵抗領域、及び前記補助電極に電気的に接続され前記第3チャネル領域より低抵抗である第6低抵抗領域を有する第3半導体層であって、前記第3チャネル領域は前記第5低抵抗領域と前記第6低抵抗領域との間に位置している前記第3半導体層と、を備える、
[1]に記載の表示装置。
[13]第1方向に延在した複数の第1走査線と、
前記第1方向に延在した複数の第2走査線と、
前記第1方向に交差する第2方向に延在した複数の信号線と、
前記第1方向に延在した複数の容量配線と、
前記第1方向及び前記第2方向にマトリクス状に設けられた複数の画素であって、各々の前記画素は、画素電極、前記画素電極と静電容量結合している補助電極、第1スイッチ、第2スイッチ、及び第3スイッチを有する、前記複数の画素と、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチのそれぞれのオンオフを切り替えるために前記複数の第1走査線に第1制御信号を順に与え、前記第3スイッチのオンオフを切り替えるために前記複数の第2走査線に第2制御信号を順に与え、前記複数の信号線に画像信号を与え、前記複数の容量配線に補助信号を与える駆動部と、を備え、
前記第1方向に並んだ各行の複数の画素は、前記複数の第1走査線、前記複数の第2走査線、及び前記複数の容量配線のうち、対応する一の第1走査線、対応する一の第2走査線、及び対応する一の容量配線に共通して接続され、
前記第2方向に並んだ各列の複数の画素は、前記複数の信号線のうち、対応する一の信号線に共通して接続され、
前記駆動部は、
1水平走査期間の第1駆動期間に、一行の全ての画素の前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオンし前記第3スイッチをオフし、前記画像信号を前記複数の信号線及び前記複数の第1スイッチを介して前記一行の全ての画素の前記画素電極に与え、前記対応する一の容量配線及び前記複数の第2スイッチを介して前記一行の全ての画素の補助電極に前記補助信号を与え、
前記1水平走査期間のうち前記第1駆動期間に続く第2駆動期間に、前記一行の全ての画素の前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをオフし前記第3スイッチをオンし、前記画像信号を前記複数の信号線及び前記複数の第3スイッチを介して前記一行の全ての画素の補助電極に与える、
表示装置。
[14]第1走査線と、第2走査線と、信号線と、容量配線と、画素電極、前記画素電極と静電容量結合している補助電極、第1スイッチ、第2スイッチ、及び第3スイッチを有する画素と、を備える表示装置の駆動方法において、
前記第1スイッチ及び前記第2スイッチのそれぞれのオンオフを切り替えるために前記第1走査線に第1制御信号を与え、
前記第3スイッチのオンオフを切り替えるために前記第2走査線に第2制御信号を与え、
前記信号線に画像信号を与え、
前記容量配線に補助信号を与え、
第1駆動期間に、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをそれぞれオンし、前記第3スイッチをオフし、前記画像信号を前記信号線及び前記第1スイッチを介して前記画素電極に与え、前記容量配線及び前記第2スイッチを介して前記補助電極に前記補助信号を与え、
前記第1駆動期間に続く第2駆動期間に、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチをそれぞれオフし、前記第3スイッチをオンし、前記画像信号を前記信号線及び前記第3スイッチを介して前記補助電極に与える、
表示装置の駆動方法。
[15]前記第2駆動期間に、
前記画像信号の電圧値が前記補助信号の電圧値と異なる場合、前記画素電極の電位を変動させ、
前記画像信号の電圧値が前記補助信号の電圧値と同一である場合、前記画素電極の電位を変動させない、
[14]に記載の表示装置の駆動方法。
[16]前記画素の一部を構成する共通電極と、表示機能層と、をさらに備える前記表示装置の駆動方法において、
前記共通電極にコモン電圧を与え、前記画素電極と前記共通電極との間に印加される電圧を前記表示機能層にかける、
[14]に記載の表示装置の駆動方法。
[17]1フレーム期間は連続する複数のサブフレーム期間を有し、
1サブフレーム期間毎に、
前記画素電極に正極性の前記画像信号と負極性の前記画像信号とを交互に与え、
前記コモン電圧の極性を前記画像信号の極性と異なる極性に設定する、
[16]に記載の表示装置の駆動方法。
[18]前記補助信号の電圧値は、前記コモン電圧の値と同一である、
[16]又は[17]に記載の表示装置の駆動方法。
【符号の説明】
【0218】
DSP…表示装置、PNL…表示パネル、SUB1…第1基板、10…透明基板、
11,12,13,14,15,16…絶縁層、CH1,CH2,CH3,CH4,CH5,CH6…コンタクトホール、CN1,CN2,CN3…コンタクトホール、
PX…画素、Ga…第1走査線、Gb…第2走査線、Cs…容量配線、S…信号線、
PE…画素電極、AE…補助電極、SW1,SW2,SW3…スイッチ、
GE1,GE2,GE3…ゲート電極、E1,E2,E3,E4,E5,E6…電極、
SMC1,SMC2,SMC3…半導体層、RC1,RC2,RC3…チャネル領域、
R1,R2,R3,R4,R5,R6…低抵抗領域、CO…コンデンサ、
SUB2…第2基板、20…透明基板、CE…共通電極、BM…遮光層、30…液晶層、
LU…光源ユニット、LS…発光素子、DR…駆動部、GD…走査線駆動回路、
SD…信号線駆動回路、Pf…フレーム期間、Psf…サブフレーム期間、
H…水平走査期間、Pd1,Pd2…駆動期間、Vsig…画像信号、
Vcom…コモン電圧、AS…補助信号、Ca,Cb…制御信号、VB…散乱電圧、
VA1…第1透明電圧、VA2…第2透明電圧、Pp,Pa…電位、
DA…表示領域、NDA…非表示領域、X…第1方向、Y…第2方向、Z…第3方向。