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特許7118831データ処理システム、及びデータ処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】データ処理システム、及びデータ処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07B 15/00 20110101AFI20220808BHJP
【FI】
G07B15/00 E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018173908
(22)【出願日】2018-09-18
(65)【公開番号】P2020046852
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 和久
【審査官】永安 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-100334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの入出場を管理する自動改札装置と、前記ユーザの出場時の利用料金に関するデータ処理を行うデータ処理装置とを含むデータ処理システムであって、
前記自動改札装置は、
ユーザが出場する際に前記ユーザのアカウントを取得する取得部と、
前記取得部で取得した前記アカウントを前記データ処理装置へ送信するアカウント送信部と、
を備え、
前記データ処理装置は、
ユーザのアカウントと、複数のユーザで供給する共有アカウントと、前記アカウント及び前記共有アカウントにそれぞれ対応付けられた電子金額情報と、前記アカウントの電子金額情報にかえて前記共有アカウントの電子金額情報を利用して前記利用料金の精算を行う設定とを管理する管理部と、
前記アカウント送信部から前記アカウントを受信した場合、前記管理部を参照し、当該アカウントにかえて前記共有アカウントを利用する設定がされているときは、前記共有アカウントに対応付けられた電子金額情報を利用して前記ユーザの前記利用料金を精算する精算部と、
を備える、データ処理システム。
【請求項2】
前記自動改札装置は、
前記精算部の処理結果を受信した場合、当該処理結果に基づいて、前記ユーザの出場時の扉の開閉処理をする開閉処理部と、
を備える、請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項3】
前記取得部は、前記ユーザが所持する情報記憶媒体から前記ユーザの前記アカウントを取得する、
請求項1又は2に記載のデータ処理システム。
【請求項4】
前記共有アカウントは、共有者のうちの任意のユーザに対して前記精算を行っているときは、他のユーザは前記共有アカウントの利用が制限される、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のデータ処理システム。
【請求項5】
前記共有アカウントは、複数の前記ユーザに対して前記精算が同時に実行できるように構成される、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のデータ処理システム。
【請求項6】
ユーザの入出場を管理する自動改札装置と、前記ユーザの出場時の利用料金に関するデータ処理を行うデータ処理装置とを含むデータ処理システムであって、
前記自動改札装置は、
ユーザが出場する際に前記ユーザのアカウントを取得する取得部と、
前記取得部で取得した前記アカウントを前記データ処理装置へ送信するアカウント送信部と、
を備え、
前記データ処理装置は、
ユーザのアカウントと、複数のユーザで供給する共有アカウントと、前記アカウント及び前記共有アカウントにそれぞれ対応付けられた電子金額情報と、前記アカウントの電子金額情報にかえて前記共有アカウントの電子金額情報を利用して前記利用料金の精算を行う設定とを管理する管理部と、
前記アカウント送信部から前記アカウントを受信した場合、前記管理部を参照し、アカウントにかえて前記共有アカウントを利用する設定がされているときは、前記共有アカウントに対応付けられた電子金額情報を前記自動改札装置に送信する電子金額情報送信部と、
を備え、
さらに、前記自動改札装置は、前記電子金額情報送信部から受信した電子金額情報を利用して前記ユーザの前記利用料金を精算する精算部を備える、
データ処理システム。
【請求項7】
ユーザの入出場を管理する自動改札装置と接続され、前記ユーザの出場時の利用料金に関するデータ処理を行うデータ処理装置であって、
ユーザのアカウントと、複数のユーザで供給する共有アカウントと、前記アカウント及び前記共有アカウントにそれぞれ対応付けられた電子金額情報と、前記アカウントの電子金額情報にかえて前記共有アカウントの電子金額情報を利用して前記利用料金の精算を行う設定とを管理する管理部と、
ユーザが出場する際に前記ユーザのアカウントを前記自動改札装置から受信した場合、前記管理部を参照し、当該アカウントにかえて前記共有アカウントを利用する設定がされているときは、前記共有アカウントに対応付けられた電子金額情報を利用して前記ユーザの前記利用料金を精算する精算部と、
を備える、データ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、データ処理システム、及びデータ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
個人情報、定期券の情報に加え、チャージした電子金額情報(以下、「SF(ストアードフェア)バリュー」という。)等が記憶されているICカードを利用して、料金の精算を行うシステムが知られている。このシステムは、例えば、鉄道の利用料金の精算に用いられる。具体的には、ユーザが鉄道の所定の駅内に入場する際に、当該ICカードを入場口に設置された自動改札装置にかざすとICカードに入場駅が記憶される。そして、電車等を利用して他の駅まで移動し、駅から出場するときに、ユーザが当該出場駅に設置されている自動改札装置に当該ICカードをかざす。すると、入場駅から出場駅までの移動分に相当する利用料金が当該ICカードに記憶されているSFバリューから減額され、精算が行われる仕組みになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-100334号公報
【文献】特開2004-054628号公報
【文献】国際公開第2016/009722号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、既述のようなICカードには、SFバリューだけでなく個人情報や定期券等の情報が含まれている。このため、SFバリューは、個人を特定する情報と紐付けて利用する必要があり、ICカードに記憶されているSFバリューを複数人で共有して利用することができなかった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、電子金額情報を複数人で共有して利用することができるデータ処理システム、及びデータ処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係るデータ処理システムは、ユーザの入出場を管理する自動改札装置と、前記ユーザの出場時の利用料金に関するデータ処理を行うデータ処理装置とを含む。前記自動改札装置は、取得部と、アカウント送信部を備える。取得部は、ユーザが出場する際に前記ユーザのアカウントを取得する。アカウント送信部は、前記取得部で取得した前記アカウントを前記データ処理装置へ送信する。前記データ処理装置は、管理部と、精算部を備える。管理部は、ユーザのアカウントと、複数のユーザで供給する共有アカウントと、前記アカウント及び前記共有アカウントにそれぞれ対応付けられた電子金額情報と、前記アカウントの電子金額情報にかえて前記共有アカウントの電子金額情報を利用して前記利用料金の精算を行う設定とを管理する。精算部は、前記アカウント送信部から前記アカウントを受信した場合、前記管理部を参照し、当該アカウントにかえて前記共有アカウントを利用する設定がされているときは、前記共有アカウントに対応付けられた電子金額情報を利用して前記ユーザの前記利用料金を精算する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態に係るネットワーク構成全体の概略的な一例を示す図である。
図2図2は、同実施形態に係るアカウントデータベース部に記憶される情報の一例を示す図である。
図3図3は、同実施形態に係るSFバリュー(共有)の設定処理の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、同実施形態に係るSFバリュー情報の表示例を示す図である。
図5図5は、同実施形態に係るアカウントデータベース部に記憶される情報の一例を示す図である。
図6図6は、同実施形態に係る自動改札装置が実行するアカウント情報の送信処理の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、同実施形態に係るサーバが実行するアカウント情報受信処理の一例を示すタイムミングチャートである。
図8図8は、同実施形態に係る精算処理の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、同実施形態に係る自動改札装置が実行する精算処理結果の受信処理の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、第2実施形態に係るネットワーク構成全体の概略的な一例を示す図である。
図11図11は、第3実施形態に係る共有利用可能アカウントの構成の一例を示すテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態のネットワーク構成全体1の概略的な一例を示す図である。
図1に示すように、ネットワーク構成1には、自動改札装置10、データ処理装置であるサーバ20、情報記憶媒体であるSFカード30、基地局BS、スマートフォン40が含まれる。自動改札装置10、サーバ20、基地局BSはそれぞれネットワークNを介して接続されている。なお、基地局BSは、携帯電話端末装置に用いられる通信回線を提供する。また、自動改札装置10と、サーバ20とによりデータ処理システムが構成される。
【0009】
自動改札装置10は、ユーザの入出場を管理する装置である。自動改札装置10は、例えば、鉄道の駅の入口、出口等に設置され、ユーザの進行方向を遮断するように設置される扉の開閉を行うことにより、ユーザの入出場を制限する。自動改札装置10は、通信部11、通信部12、表示部13、開閉処理部である扉開閉処理部14を含む。通信部11は、無線通信部であり、SFカード30から情報を無線通信により取得する。通信部12は、有線又は無線通信部であり、ネットワークNを介してサーバ20と通信可能に接続されている。表示部13は、例えば、SFカード30をかざして自動改札装置10を通過しようとするユーザに対して精算に関する情報等を表示する。扉開閉処理部14は、精算処理の結果に応じてユーザの進行方向を遮断する扉を開状態から閉状態、又は、閉状態から開状態に遷移させる処理を行う。なお、図1においては図示を省略しているが、自動改札装置10以外にも複数の自動改札装置が並列的に駅の入口、及び出口に設置されており、同時に多数の人数が入場、退場できるように構成される。
【0010】
サーバ20は、ユーザが鉄道を利用した場合に、ユーザの利用料金の精算を行うための処理を実行する。サーバ20は、通信部21、管理部であるアカウントデータベース部22、及び精算部23を含む。通信部21は、有線又は無線通信部であり、ネットワークNを介して自動改札装置10と通信可能に接続されると共に、ネットワークN、及び基地局BSを介してスマートフォン40と通信可能に接続される。アカウントデータベース部22は、ユーザのアカウントと、複数のユーザで供給する共有利用可能アカウント(共有アカウント)と、アカウント及び共有利用可能アカウントにそれぞれ対応付けられたSFバリュー(電子金額情報)と、アカウントのSFバリューにかえて共有利用可能アカウントのSFバリューを利用して利用料金の精算を行う設定等を管理する。アカウントデータベース部22に記憶される情報の詳細は、図2図5を参照して後述する。精算部23は、自動改札装置10からアカウントを受信した場合、アカウントデータベース部22を参照し、当該アカウントにかえて共有利用可能アカウントを利用する設定がされているときは、共有利用可能アカウントに対応付けられたSFバリューを利用してユーザの利用料金を精算する。精算部23が実行する処理についての詳細は、図8を参照して後述する。
【0011】
SFカード30は、ユーザが所持するICカードである。例えば、駅に入出場する際にユーザにより自動改札装置10の通信部11と通信可能になるように、所定位置にかざして(タッチして)利用される。SFカード30は、通信部31と、アカウント部32を含む。通信部31は、無線通信部であり、SFカード30がユーザにより自動改札装置10の所定位置にかざされたときに、自動改札装置10にアカウント部32に記憶されているアカウントAを送信する。アカウントAはSFカード30を所持するユーザに一意に割り当てられている識別コードである。なお、本実施形態では、SFカード30はICカードである場合で説明するが、ユーザが所持するスマートフォン等に通信部31、アカウント部32が設けられている場合はスマートフォン等でもよい。
【0012】
スマートフォン40は、ユーザが所持する電子情報処理装置である。スマートフォンは、通信部41、タッチパネル部42を含む。通信部41は、基地局BS、ネットワークNを介してサーバ20と通信可能に接続される。タッチパネル部42は、表示部と、入力部とを含み、表示部に入力された情報に基づいて、入力部を操作することにより、ユーザが所定の画面を表示し、所定の入力を行うことができるようになっている。詳細は後述するが、スマートフォン40は、本実施形態では、共有されるSFバリューを利用して精算を行うために共有利用可能アカウントを既述のアカウントデータベース部22に設定する場合に用いられる。なお、本実施形態では、スマートフォン40により共有利用可能アカウントを設定する場合で説明するが、パーソナルコンピュータやタブレット装置等を用いてネットワークNを介してサーバ20にアクセスし、共有利用可能アカウントをアカウントデータベース部22に設定するようにしてもよい。
【0013】
次に、アカウントデータベース部22について説明する。図2は、アカウントデータベース部22Aに記憶される情報の一例を示す図である。
【0014】
図2に示すように、アカウントデータベース部22Aには、IDブロックのフィールド221、カード活性情報のフィールド222、入出場状態のフィールド223、SFバリューのフィールド224、SFバリュー共有IDiのフィールド225、SFバリュー(共有)のフィールド226、定期券情報のフィールド227、及び共有利用可能アカウントのフィールド228が設けられている。
【0015】
IDブロックのフィールド221は、アカウントを記憶する。アカウントには、既述のようにSFカード30を利用する個人のユーザに対して一意に割り当てられる識別コードと、複数のユーザで共有して利用するために会社等に対して一意に割り当てられる識別コードとがある。本実施形態では、前者がアカウントAであり、後者がアカウントB,C,D,Eである。カード活性情報のフィールド222は、SFカード30が活性状態(利用可能状態にある場合)か否かを示すカード活性情報を記憶する。本実施形態では、カード活性情報には、アカウントの所持者の名前も含まれる場合で説明する。入出場状態のフィールド223は、入場した駅、又は退場した駅の情報を記憶する。SFバリューのフィールド224は、チャージされているSFバリューの金額を記憶する。SFバリュー共有IDiのフィールド225は、SFバリューを共有する共有利用可能アカウントを記憶する。SFバリュー(共有)のフィールド226は、共有利用されるアカウントのSFバリューを記憶する。定期券情報のフィールド227は、アカウントの所持者が定期券を購入している場合に、その定期の区間を示す情報を記憶する。共有利用可能アカウントのフィールド228は、共有利用することが設定可能な共有利用アカウントを記憶する。
【0016】
例えば、図2に示すように、フィールド221に記憶される「アカウントA」に対応して、「活性状態、山田太郎」、「横浜駅入場」、「1,000円」、「川崎-鶴見」、「アカウントBのIDi、アカウントCのIDi」がフィールド222~224,227,228にそれぞれ記憶されている。このように、アカウントAに対して、共有利用可能アカウントは、「アカウントBのIDi、アカウントCのIDi」の2つが設定可能になっているが、SFバリュー共有IDiのフィールド225には、いずれの共有利用可能アカウントも設定されていない状態である。したがって、SFバリュー(共有)のフィールド226も同様にSFバリュー(共有)が設定されず空欄になっている。
【0017】
また、フィールド221に記憶される「アカウントB」に対応して、「活性状態、鈴木株式会社」、「川崎駅退場」、「200,000円」、「アカウントAのIDi、アカウントDのIDi、アカウントEのIDi」がフィールド222~224、228にそれぞれ記憶されている。このアカウントBは、複数のユーザがSFバリューを共有して利用するものであるため、SFバリュー共有IDiのフィールド225、SFバリュー(共有)のフィールド226、定期券情報のフィールド227には、情報が記憶されないように構成される。アカウントBは、例えば、鈴木株式会社が複数の社員にSFバリューを共有して利用させる場合に用いられる。
【0018】
次に、SFバリュー(共有)を利用できるように設定する処理について説明する。本実施形態では、ユーザがスマートフォン40を利用してサーバ20にアクセスし、アカウントデータベース部22の管理内容の設定を変更することにより行われる。図3は、SFバリュー(共有)の設定処理の一例を示すフローチャートである。なお、本実施形態においては、SFバリュー(共有)の設定は、ユーザが駅を出場するときに、当該駅の出場口に設置されている自動改札装置10にSFカード30をかざす前までに設定することとする。
【0019】
ユーザはタッチパネル部42を操作してスマートフォンにアカウントの設定を変更する画面を表示させる。なお、ユーザのアカウントが保持されているか、又は、ユーザのアカウントが入力されることにより、上記設定画面が表示されるようになっている。このように画面を表示させると、スマートフォン40は、当該ユーザのアカウントに対応するSFバリュー情報の送信をサーバ20に要求する(ST101)。ここで、SFバリュー情報は、少なくとも当該ユーザのアカウントに対応するSFバリュー、共有利用可能な共有利用アカウント、共有利用可能なアカウントに対応するSFバリュー(共有)を含む。例えば、アカウントAの場合であれば、SFバリュー情報には、SFバリュー「1,000円」、共有利用可能アカウント「アカウントB、アカウントC」、及びこれらに設定されているSFバリュー(共有)が含まれる。なお、アカウントデータベース部22に記憶されている当該アカウントに対応する情報を全て含むようにしてもよい。
【0020】
次に、スマートフォン40は、サーバ20からSFバリュー情報を受信すると(ST102)、SFバリュー情報を所定の表示画面の形式でタッチパネル部42に表示する(ST103)。スマートフォン40はこの表示画面上からユーザの選択を受け付ける(ST104)。例えば、ユーザの操作に基づいて、共有利用可能なアカウント、及び当該アカウントに対応するSFバリュー(共有)の組が順次表示可能になり、ユーザは当該画面の表示上から利用する共有利用可能アカウントを選択する。
【0021】
次に、スマートフォン40は選択が決定されたか否かを判定する(ST105)。この判定は、タッチパネル部42に表示された決定ボタン48が入力されたか否かに基づいて実行される。図4は、タッチパネル部42に表示されるアカウントAに対応するSFバリュー情報の表示例を示す図である。ユーザとして「山田太郎」43、「入場駅:川崎」44、「SF残額:1,000円」45という情報に加えて、共有利用可能なアカウントとして「アカウントB」46、アカウントBのSF残額「200,000円」47が表示されている。さらに、決定ボタン48が表示されており、この決定ボタン48が入力されたか否かに基づいてステップST105の判定が実行される。
【0022】
決定ボタン48が入力されなかったと判定した場合(ST105:NO)、スマートフォン40は、ホームボタン49が入力されたか否かを判定する(ST106)。ホームボタン49は、当該設定の変更をキャンセルするボタンである。ホームボタン49が入力されなかったと判定した場合(ST106:NO)、処理はステップST104の処理に戻り、ユーザの選択を受け付ける処理を継続する。
【0023】
決定ボタン48が入力されたと判定した場合(ST105:YES)、又はホームボタン49が入力されたと判定した場合(ST106:YES)、スマートフォン40は、サーバ20に結果を送信し(ST107)、この処理を終了する。決定ボタン48が入力された場合、設定された共有利用可能アカウントの情報が送信され、ホームボタン49が入力された場合、設定のキャンセル、つまり、設定変更無しの情報が送信される。
【0024】
図5は、共有利用可能なアカウントが設定された場合のアカウントデータベース部22Bの一例を示す図である。図5に示すように、フィールド221に記憶される「アカウントA」に対応して、SFバリュー共有IDiのフィールド225に「アカウントBのIDi」、SFバリュー(共有)のフィールド226に「200,000円(アカウントIDiのSFバリュー)」が図2で説明した内容に追加設定されている。これにより、アカウントAで利用料金の精算を行うときに、共有利用可能アカウントとしてアカウントBの利用が可能になる。
【0025】
次に、図6から図9を用いて、ユーザがSFカード30を利用して駅を出場する際の処理について説明する。より詳細には、ユーザがSFカード30を自動改札装置10にかざし、利用料金の精算を行って駅から出場する場合である。
【0026】
まず、自動改札装置10がSFカード30のアカウント情報をサーバ20へ送信する処理について説明する。図6は、自動改札装置10が実行するアカウント情報の送信処理の一例を示すフローチャートである。
【0027】
自動改札装置10の所定位置でユーザがSFカード30をかざすと、図6に示すように、自動改札装置10は、SFカード30を認識したか否かを判定する(ST201)。SFカード30を認識したと判定しない場合(ST201:NO)、待機状態を継続する。また、SFカード30を認識したと判定した場合(ST201:YES)、通信部11は、SFカード30にアカウント情報を要求する(ST202)。ここで、アカウント情報は、SFカード30のアカウント部32に記憶されるアカウントであるが、SFカード30に含まれる他の情報を含んでもよい。次に、自動改札装置10は、SFカード30からアカウント情報を受信した場合、言い換えれば、アカウントを取得した場合(ST203:取得部)、アカウント情報をサーバ20へ送信する(ST204:アカウント送信部)。また、自動改札装置10は、当該自動改札装置10の設置駅を示す設置駅情報も送信する(ST205)。これにより、SFカード30のアカウント及び出場駅がサーバ20へ送信される。
【0028】
次に、サーバ20がアカウント情報を受信したときの処理について説明する。図7は、サーバ20が実行するアカウント情報受信処理の一例を示すタイムミングチャートである。図7は、主として、サーバ20内の精算部23と、アカウントデータベース部22との間で実行される処理を示している。
【0029】
図7に示すように、自動改札装置10から精算部23がアカウント情報を受信した場合(ST301)、精算部23は、SFバリュー情報の送信をアカウントデータベース部22に要求する(ST402)。ここで、SFバリュー情報とは、アカウント情報に含まれるアカウントに対応するSFバリューと、共有利用可能アカウントと、共有利用可能なアカウントのSFバリュー(共有)、入場駅を含む情報である。アカウントデータベース部22は、SFバリュー情報の送信の要求を受信した場合(ST401)、共有利用可能アカウントをロックする(ST402)。ここで、ロックとは、共有可能利用アカウントを利用可能な他のユーザが当該共有利用可能アカウントを利用できないように制限することである。
【0030】
次に、アカウントデータベース部22は、SFバリュー情報を精算部23に送信する(ST403)。精算部23は、SFバリュー情報を受信した場合(ST303)、精算処理を実行する(ST304)。精算処理については、図8を参照して後述する。精算部23は、精算処理を実行した場合、精算処理結果をアカウントデータベース部22に送信すると共に(ST305)、精算処理結果を自動改札装置10に送信し(ST306)、処理を終了する。アカウントデータベース部22は、精算処理結果を受信した場合(ST404)、精算処理結果に基づいて共有可能アカウントのSFバリューを更新し(ST405)、共有利用可能アカウントのロックを解除する(ST406)。次に、アカウントデータベース部22は、SFバリュー(共有)の設定をクリアし(ST407)、この処理を終了する。例えば、図5に示すアカウントデータベース部22Bの状態から図2に示すアカウントデータベース部22Aの状態に戻る。このように一度精算を行う毎にSFバリュー(共有)の設定がクリアされるため、ユーザは当該設定を解除する手間を省くことができる。なお、本実施形態では、SFバリュー(共有)の設定は自動的にクリアされる場合で説明するが、ユーザがスマートフォン40により設定を解除するように構成してもよい。
【0031】
次に、既述のステップST304の精算処理について説明する。図8は、精算部23が実行する精算処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、アカウントデータベース部22から受信するSFバリュー情報を利用して実行される。
【0032】
図8に示すように、精算部23は、SFバリュー情報に基づいて、利用金額を算出する(ST501)。SFバリュー情報に含まれる入場駅と、自動改札装置10から送信される設置駅とから利用金額が算出される。次に、精算部23は、SFバリュー共有IDiのフィールド225に値が設定されているか否かを判定する(ST502)。例えば、SFバリュー情報に共有利用可能アカウント(SFバリュー共有IDiの値)が含まれているか否かで判定され、共有利用可能アカウントが含まれている場合は、YESとなり、共有利用可能アカウントが含まれていない場合は、NOとなる。
【0033】
SFバリュー共有IDiのフィールド225に値が設定されていると判定した場合(ST502:YES)、精算部23は、SFバリュー(共有)>利用金額であるか否かを判定する(ST503)。SFバリュー(共有)>利用金額であると判定した場合(ST503:YES)、精算部23は、精算後のSFバリュー(共有)を算出し(ST504)、精算処理結果を精算OKとし(ST505)、この処理を終了する。また、SFバリュー(共有)>利用金額でないと判定した場合(ST503:NO)、精算部23は、精算処理結果を精算NGとし(ST506)、この処理を終了する。
【0034】
一方、SFバリュー共有IDiのフィールド225に値が設定されていないと判定した場合(ST502:NO)、精算部23は、SFバリュー>利用金額であるか否かを判定する(ST507)。SFバリュー>利用金額であると判定した場合(ST507:YES)、精算部23は、精算後のSFバリューを算出し(ST508)、精算処理結果を精算OKとし(ST509)、この処理を終了する。また、SFバリュー>利用金額でないと判定した場合(ST507:NO)、精算部23は、精算処理結果を精算NGとし(ST510)、この処理を終了する。以上のように、精算部23は、精算OK又は精算NGの判定処理を行い、既述のように精算処理結果(精算OK又はNG、精算OKの場合は、利用金額、及び精算後のSFバリュー(又はSFバリュー(共有))をアカウントデータベース部22、及び自動改札装置10へ送信する。
【0035】
次に、精算処理結果を受信したときの自動改札装置10の処理について説明する。図9は、自動改札装置10が実行する精算処理結果の受信処理の一例を示すフローチャートである。
【0036】
自動改札装置10は、精算処理結果を受信したと判定した場合(ST601:YES)、精算処理結果を表示部13に表示する(ST602)。このとき、精算OKであれば、例えば、表示部13に青系統の光と共に利用金額、及び精算後のSFバリューが表示される。共有利用可能アカウントを利用して精算できたか否かも合わせて表示するようにしてもよい。精算NGであれば、例えば、表示部13に赤系統の光と共に、精算できなかった旨が表示される。このとき合わせてブザー音を鳴らすようにしてもよい。
【0037】
そして、精算処理結果が精算OKであるか否かを判定する(ST603)。精算OKであると判定した場合(ST603:YES)、扉開閉処理部14は、精算処理結果に基づいて、閉状態にある扉を開状態に遷移し、ユーザが通過した後、開状態の扉を閉状態に遷移する扉開閉処理を実行する(ST604)。扉開閉処理を実行した場合、又は、精算OKでないと判定した場合(ST603:NO)、自動改札装置10は、処理結果の表示を停止し(ST605)、この処理を終了する。
【0038】
以上のように構成された自動改札装置10、及びサーバ20によると、SFバリュー(共有)を複数人で共有して利用することができる。
また、複数人でSFバリュー(共有)を共有することが可能になる。このため、例えば、任意の企業(本実施形態では、鈴木株式会社)がSFバリュー(共有)を用意し、その企業の従業員(鈴木株式会社の社員(本実施形態では、山田太郎を含む))がSFバリュー(共有)を利用できるようにすることができる。これにより、企業において、交通の利用料金の精算を行う手間を省くことができる。
【0039】
なお、上記第1実施形態では、アカウントデータベース部22、及び精算部23がサーバ20に設けられている場合で説明したが、これに限るものではない。例えば、アカウントデータベース部22、及び精算部23が共に自動改札装置10内に設けられていてもよい。この場合、例えば、全ての自動改札装置10内のアカウントデータベース部22に記憶される内容を同期させる処理を実行することにより、上記実施形態と同様な効果を奏することができる。
【0040】
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、精算部23及びアカウントデータベース部22が共にサーバ20に設けられている構成で説明したが、精算部及びアカウントデータベース部の配置はこれに限るものではない。例えば、精算部が自動改札装置10に設けられており、アカウントデータベース部がサーバ20に設けられていてもよく、本第2実施形態では、当該構成について説明する。なお、上記実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、これらについては詳細な説明は省略する。
【0041】
図10は、第2実施形態のネットワーク構成1A全体の概略的な一例を示す図である。
図10に示すように、図1に示したネットワーク構成1と比較すると、ネットワーク構成1Aでは、サーバ20内に精算部23が設けられておらず、且つ電子金額情報送信部24が設けられており、一方、自動改札装置10内に精算部15が設けられている。
【0042】
電子金額情報送信部24は、自動改札装置10からアカウントを受信した場合、アカウントデータベース部22を参照し、アカウントにかえて共有アカウントを利用する設定がされているときは、少なくとも共有アカウントに対応付けられたSFバリュー(共有)を自動改札装置10に送信する処理をする。本実施形態では、アカウントに対応付けられたSFバリュー等も併せて送信する。
【0043】
精算部15は、電子金額情報送信部24からネットワークNを介して受信したSFバリュー(共有)、及びSFバリューを利用してユーザの利用料金を精算する。言い換えると、精算部15は、ネットワークNを介してサーバ20のアカウントデータベース部22からSFバリュー情報を取得する処理を除けば、第1の実施形態の精算部23と同様な処理を実行する。
【0044】
以上のように構成することにより、精算部15が自動改札装置10内に設けられていても、ネットワークNを介してアカウントデータベース部22と情報の送受信を行うことにより、精算部15は、精算部23がサーバ20内に設けられていた場合と同様の処理を実行することができる。このため、精算部15が自動改札装置10内に設けられていても、第1実施形態と同様な効果を奏することができる。
【0045】
(第3実施形態)
上記各実施形態では、共有者の一人がSFバリュー(共有)を利用しているときは、他の共有者が当該SFバリュー(共有)を利用できないようにロックする場合を説明している。しかしながら、このような構成だと、共有者が同時にSFバリュー(共有)を利用することができないという不便な状態が生じ得る。本実施形態では、この不便な状態の発生を防止する構成を追加した点が異なっている。なお、上記実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、これらについては詳細な説明は省略する。
【0046】
図11は、第3実施形態に係る共有利用可能アカウントであるアカウントBの構成の一例を示すテーブルTである。テーブルTに示すように、IDブロックに記憶される「アカウントB」に対応して、SFバリュー共有IDiとして、アカウントBのIDi―1からIDi―10の10個のIDiが分岐して設けられており、これら10個のIDiにそれぞれ20,000円のSFバリュー(共有)が設定されている。
【0047】
このようにアカウントBのIDiを分岐して複数のIDiを設けることにより、共有者のうちの任意のユーザがアカウントBのIDi―1を利用しているときも、他のユーザはアカウントBのIDi―2を利用することが可能になる。つまり、複数のユーザがアカウントBを利用しても、アカウントデータベース部22の内部処理として、アカウントBから分岐したIDi―1、2,3、…、10のいずれかを順次ユーザに割り当てることにより、アカウントBを共有利用可能な複数のユーザが同時にアカウントBを利用できるようにすることができる。
【0048】
また、SFバリューの上限金額が定められている場合(例えば、20,000円)には、テーブルTが示すように、アカウントを分岐する構造にすることにより、定められた上限金額以上の金額(200,000円)をアカウントBに設定しているように見せることも可能になる。
【0049】
なお、この第3実施形態では、アカウントBを分岐する構造で共有者のうちの複数ユーザがアカウントBを利用できる場合で説明したが、これに限るものではない。例えば、第1実施形態のように、アカウントBに200,000円のSFバリュー(共有)を設定しておき、共有者のうちの任意のユーザがアカウントBを利用しているときに、他のユーザがアカウントBを利用する状況が生じたタイミングで、アカウントBからアカウントB1を作成し、当該アカウントB1に200,000万円のSFバリュー(共有)から所定金額のSFバリューを割り当て、他のユーザはアカウントB1を利用して、利用料金の精算を行うようにしてもよい。このように、共有利用可能なアカウントBが、共有者のうちの複数のユーザに対して精算処理が同時に実行できるように構成されていれば、既述の不便な状態を解消することができる。
【0050】
(変形例)
また、上記各実施形態では、ユーザが鉄道の駅の出場口から出場するときの処理を説明しているが、自動改札装置10の設置場所は、鉄道駅の入出場管理を行う場所に限るものではない。例えば、イベント会場の入出場を管理する場合も考えられる。
さらに、任意の企業が従業員にSFバリュー(共有)を共有利用させる場合を説明しているが、企業が従業員に利用させる場合に限るものではない。例えば、家族でSFバリュー(共有)を共有するようにしてもよい。また、例えば、情報弱者(高齢者や小児)などが所定のグループ(病院や学校)でSFバリュー(共有)を共有するようにしてもよい。
【0051】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0052】
1,1A…ネットワーク構成、10…自動改札装置、13…表示部、14…扉開閉処理部、15,23…精算部、20…サーバ、22,22A,22B…アカウントデータベース部、30…SFカード、32…アカウント、40…スマートフォン、N…ネットワーク
図1
図2
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図4
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図9
図10
図11