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特許7118837電気デバイス用のシールハウジングおよびシールハウジングを使用する封止型リレー
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  • 特許-電気デバイス用のシールハウジングおよびシールハウジングを使用する封止型リレー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】電気デバイス用のシールハウジングおよびシールハウジングを使用する封止型リレー
(51)【国際特許分類】
   H01H 45/02 20060101AFI20220808BHJP
【FI】
H01H45/02 E
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018179583
(22)【出願日】2018-09-26
(65)【公開番号】P2019067758
(43)【公開日】2019-04-25
【審査請求日】2021-06-01
(31)【優先権主張番号】17398004.6
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516028495
【氏名又は名称】タイコ エレクトロニクス コンポーネンテス エレクトロメカニコス エリデーアー
(74)【代理人】
【識別番号】100100077
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 充
(74)【代理人】
【識別番号】100136010
【弁理士】
【氏名又は名称】堀川 美夕紀
(74)【代理人】
【識別番号】100130030
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 夕香子
(74)【代理人】
【識別番号】100203046
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 聖子
(74)【代理人】
【識別番号】100121533
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 まどか
(72)【発明者】
【氏名】サンドヴァル,ルイス
(72)【発明者】
【氏名】レアル,ヌーノ
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-139821(JP,A)
【文献】実開平07-041941(JP,U)
【文献】実開昭54-137746(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 9/00 - 9/28
H01H 45/00 - 45/14
H01H 50/00 - 50/92
H01H 89/00 - 89/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気デバイス用のシールハウジングであって、
ベース(230、320)と、
前記ベース(230、320)の内向き面を覆い、それによって前記電気デバイス(200、300、400)の構成要素を収容するためのハウジングを形成するように適合されたカバー(240、390、410)と、
前記ベース(230、320)の外向き面を部分的に覆うように適合された封止板(280、370)とを備えており、
前記封止板(280、370)の外面が、前記封止板(280、370)の前記外面に形成される流体または凝縮流体の進路を変えるような形状の輪郭を有する、シールハウジング。
【請求項2】
前記封止板(280、370)の前記外面は、前記ベース(230、320)の前記外向き面に対してゼロとは異なる傾斜角だけ傾斜している1つまたは複数の面(286)を含んでおり、それにより凝縮流体が前記1つまたは複数の傾斜面(286)に沿って下降するようになっている、
請求項1に記載のシールハウジング。
【請求項3】
前記封止板(280、370)の前記外面は、角錐の形状を形成する複数の傾斜面(286)を含む、
請求項1または2に記載のシールハウジング。
【請求項4】
前記封止板(280、370)は、前記ベース(230、320)から外方に突出する1つまたは複数の端子(220、224、360)を通すための1つまたは複数の開口(282、284、350)を含んでおり、前記封止板(280、370)の前記1つまたは複数の開口(282、284、350)はそれぞれ、分離間隙をあけてそれぞれの前記端子を取り囲んでいる、
請求項1から3のいずれか一項に記載のシールハウジング。
【請求項5】
前記封止板(280)の前記開口(282、284)のうちの1つまたは複数が、それぞれの前記端子の周りに閉鎖型流体リザーバを形成する閉鎖型開口(282)である、
請求項4に記載のシールハウジング。
【請求項6】
前記封止板(280)の前記開口(282、284)のうちの1つまたは複数が、前記ベース(230、320)に設けられた排出チャネル(290、382)内へ開いている、
請求項4または5に記載のシールハウジング。
【請求項7】
前記排出チャネル(290、382)は、前記カバー(240、390)との前記ベース(230、320)の交差縁部に沿って位置しており、かつ/または
前記カバー(240、390)は、前記排出チャネルに蓄積する前記凝縮流体を前記ベース(230、320)から放出するために、前記排出チャネルに沿って1つもしくは複数のスロット(292、294)を含む、
請求項6に記載のシールハウジング。
【請求項8】
1つまたは複数の電気端子(220、224、360)が突出する前記ベース(230、320)の1つまたは複数の開口(250、350)の周りの1つまたは複数の離散的な領域に設けられて、前記電気端子(220、224、360)と前記ベース(230、320)との間の接合部を封止する封止コンパウンド(260、340)をさらに含んでおり、
前記1つまたは複数の離散的な領域のサイズが、前記電気端子(220、224、360)を通すために前記封止板(280、370)に設けられたそれぞれの前記開口(282、284、350)のサイズと実質上一致している、
請求項1から7のいずれか一項に記載のシールハウジング。
【請求項9】
前記封止コンパウンドは、前記封止板(280、370)の開口とそれぞれの前記電気端子との間の分離間隙を部分的に充填して、前記封止板(280、370)から進路を変えられた凝縮流体を収集するためのリザーバを形成している、
請求項8に記載のシールハウジング。
【請求項10】
前記ベース(230、320)の前記外向き面は、前記封止板(280、370)の1つまたは複数の開口(282、284、350)の下の整合位置に設けられた1つまたは複数の凹部を備えており、前記1つまたは複数の凹部は、封止コンパウンドで充填されるように適合されている、
請求項1から9のいずれか一項に記載のシールハウジング。
【請求項11】
前記電気デバイス(200、300、400)は電磁リレーである、
請求項1から10のいずれか一項に記載のシールハウジング。
【請求項12】
リレーアセンブリと、
前記リレーアセンブリに結合された1つまたは複数の電気端子(220、224、360)と、
前記リレーアセンブリを収容するための請求項1から11のいずれか一項に記載のシールハウジングとを備えており、
前記シールハウジングの前記ベース(230、320)は、前記電気端子(220、224、360)を前記シールハウジングの外側へ通すための1つまたは複数の開口(282、284、350)を備えている、
電磁リレー。
【請求項13】
電気デバイス(200、300、400)のハウジングのベース(230、320)を凝縮流体から保護するための封止板であって、電気構成要素の複数の端子(220、224、360)が、前記ベース(230、320)から突出しており、前記封止板(280、370)は、
前記ベース(230、320)から突出する前記端子(220、224、360)を通すための複数の開口(282、284、350)を含んでおり、
前記封止板の外面が、前記封止板(280、370)が取り付けられる前記ベース(230、320)の面に対して傾斜している1つまたは複数の面(286)を含んでおり、それにより凝縮流体が前記傾斜面(286)に沿って下降するようになっている、封止板。
【請求項14】
前記封止板(280、370)の前記外面は、角錐の形状を形成する複数の前記傾斜面(286)を含んでおり、かつ/または
前記封止板(280、370)は、凝縮流体を収集するための1つもしくは複数のリザーバを形成するために、前記ベース(230、320)を部分的に覆い、前記ベース(230、320)を取り囲むカバー(240、390、410)の縁部および/もしくは前記ベース(230、320)から外方に突出する要素に対して、1つもしくは複数の分離間隙を残すように適合されている、
請求項13に記載の封止板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、電気デバイス用のシールハウジング、ならびに水および結露などの流体の影響から電気デバイスの構成要素を保護するためにシールハウジングを使用する電磁リレーなどの封止型電気デバイスに関し、より詳細には、封止型電気デバイスのすべての取付け方向に対して、ベースから突出する電気デバイスのあらゆる端子を結露によって引き起こされる短絡から保護する封止ベースを有するシールハウジングに関する。
【背景技術】
【0002】
電気デバイスの構成要素を流体、湿気、および/または結露の侵入から保護するために封止型の液密ハウジングを有する電磁リレーなどの電気デバイスは、凝縮水または着氷が生じる可能性が高い適用分野で頻繁に用いられている。たとえば、そのような状況は、自動車の空調システムの下など、温度が急低下しうる区域内に電気デバイスが取り付けられているときに生じる可能性がある。
【0003】
図1は、そのような従来の封止型リレー100の例示的な構成を示す。リレーアセンブリの構成要素(図示せず)は、ハウジング110内に収容されており、リレー100の電気端子120が、ハウジング110からリレー100の平坦なベース130を通って突出している。ベース130を介した封止型リレー100内への流体、湿気、または塵の侵入は、リレーベース130の表面全体に付着された封止接着剤140によって防止される。封止型リレー100のこの構成は、外部からの流体または湿気がリレーハウジング内へ侵入することを実質上防ぐ。しかし、この従来の構成には依然として、リレーベース130に存在する外部からの流体または湿気によってリレー端子130間に短絡経路が確立され、したがって封止型リレー100の誤動作しうるという欠点がある。特に、図1に示すように、封止型リレー100がベース130および端子120を上向き(すなわち、重力とは反対の方向)にして取り付けられているときなど、封止型リレー100が端子120間の流体または結露の蓄積を助長する向きで取り付けられている場合、リレー端子120間に短絡が形成されるというリスクは、実質上増大する。図1に示す封止型リレー100の別の短所は、大量の封止接着剤140を必要とすることであり、それにより生産コストが増大する。
【0004】
流体の凝縮またはリレーハウジング内への侵入によって誤動作する可能性を低減するための他の解決策も提案されている。たとえば、特開2002-245916号公報は、開放型の電磁リレーを記載しており、カバーによって覆われたコンタクトチャンバ内にリレーコンタクトが設けられ、コンタクトチャンバおよびカバーは、コンタクトチャンバ内への湿気の侵入を防止または抑制するために、2つの部分から形成される樹脂製の管状体によって封止されている。
【0005】
CN203367153Uは、防水型の自動車用リレーを記載しており、防水型の自動車用リレーの上部カバーおよび下部カバーが、塵および水からの封止機能ならびにリレーアセンブリによって放散される熱の伝導を改善するために、防水の熱伝導性接着剤によって封止して接続されている。
【0006】
米国特許第4,430,537号公報は、封止型コンタクトチャンバ内で使用するためのゲッタを記載しており、ゲッタは、電気コンタクトに抵抗膜を形成する可能性のある物質を吸着する働きをする多孔質ゲッタ材料からなる。
【0007】
しかし、上記の構成は、ハウジングの内側に位置する構成要素を流体または湿気の侵入から保護することを実質上改善する可能性はあるが、ハウジングの外側に位置する電気端子を湿気または凝縮の影響から実質上保護することはない。その結果、端子間の短絡を引き起こすリスクを冒さずに、それぞれの封止型リレーを任意の向きに取り付けることはできない。
【0008】
したがって、封止型電気デバイスの取付け方向とは関係なく、流体または結露の存在が生じる可能性が高い環境内で固定して使用することができ、費用効果が高く、リレー端子間の結露または湿気によって障害が引き起こされるリスクを低減しまたはさらには解消する、電磁アレイなどの電気デバイス用のシールハウジング、およびシールハウジングを使用するそれぞれの封止型電気デバイスがやはり必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2002-245916号公報
【文献】CN203367153U
【文献】米国特許第4,430,537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、従来技術の欠点および短所を考慮してなされたものであり、その目的は、流体の侵入からハウジング内の電気デバイスの構成要素を実質上保護するとともに、電気デバイスの端子間で結露または湿気によって引き起こされる短絡に起因して誤動作するリスクを低減しまたはさらには解消する、リレーなどの電気デバイス用の費用効果の高いシールハウジングを提供することである。本発明のさらなる目的は、シールハウジングを使用する封止型リレーを提供することである。本発明のさらなる目的は、電気デバイスの端子ベースおよびそれぞれの電気端子を流体、結露、または湿気から保護する封止板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これらの目的は、添付の独立請求項の主題によって解決される。本発明の有利な実施形態は、添付の従属請求項の主題である。
【0012】
本発明によれば、電気デバイス用のシールハウジングであって、ベースと、ベースの内向き面を覆い、それによって電気デバイスの構成要素を収容するためのハウジングを形成するように適合されたカバーと、ベースの外向き面を部分的に覆うように適合された封止板とを備えており、封止板の外面が、封止板の外面に形成される流体または凝縮流体の進路を変えるような形状の輪郭を有する、シールハウジングが提供される。
【0013】
さらなる発展形態によれば、封止板の外面は、ベースの外向き面に対してゼロとは異なる傾斜角だけ傾斜している1つまたは複数の面を含んでおり、それにより凝縮流体が1つまたは複数の傾斜面に沿って下降するようになっている。
【0014】
さらなる発展形態によれば、封止板の外面は、角錐の形状を形成する複数の傾斜面を含む。
【0015】
さらなる発展形態によれば、封止板は、ベースから外方に突出する1つまたは複数の端子を通すための1つまたは複数の開口を含んでおり、封止板の1つまたは複数の開口はそれぞれ、分離間隙をあけてそれぞれの端子を取り囲んでいる。
【0016】
さらなる発展形態によれば、封止板の開口のうちの1つまたは複数は、それぞれの端子の周りに閉鎖型流体リザーバを形成する閉鎖型開口である。
【0017】
さらなる発展形態によれば、封止板の開口のうちの1つまたは複数は、ベースに設けられた排出チャネル内へ開いている。
【0018】
さらなる発展形態によれば、排出チャネルは、カバーとのベースの交差縁部に沿って位置しており、かつ/またはカバーは、排出チャネルに蓄積する凝縮流体をベースから放出するために、前記排出チャネルに沿って1つもしくは複数のスロットを含む。
【0019】
さらなる発展形態によれば、シールハウジングは、1つまたは複数の電気端子がベースから突出するベースの1つまたは複数の開口の周りの1つまたは複数の離散的な領域に設けられて、電気端子とベースとの間の接合部を封止する封止コンパウンドをさらに含んでおり、1つまたは複数の離散的な領域のサイズは、電気端子を通すために封止板に設けられたそれぞれの開口のサイズと実質上一致している。
【0020】
さらなる発展形態によれば、封止コンパウンドは、封止板の開口とそれぞれの端子との間の分離間隙を部分的に充填して、封止板から進路を変えられた凝縮流体を収集するためのリザーバを形成している。
【0021】
さらなる発展形態によれば、ベースの外向き面は、封止板の1つまたは複数の開口の下の整合位置に設けられた1つまたは複数の凹部を備えており、1つまたは複数の凹部は、封止コンパウンドで充填されるように適合されている。
【0022】
さらなる発展形態によれば、電気デバイスは電磁リレーである。
【0023】
本発明によれば、リレーアセンブリと、リレーアセンブリに結合された1つまたは複数の電気端子と、リレーアセンブリを収容するための上記請求項のいずれか一項に記載のシールハウジングとを備えており、シールのベースが、電気端子をシールハウジングの外側へ通すための1つまたは複数の開口を備えている、電磁リレーが提供される。
【0024】
本発明によれば、電気デバイスのハウジングのベースを凝縮流体から保護するための封止板であって、電気構成要素の複数の端子がベースから突出しており、封止板が、ベースから突出する端子を通すための複数の開口を含んでおり、封止板の外面が、ベースのうち封止板が取り付けられる面に対して傾斜している1つまたは複数の面を含んでおり、それにより凝縮流体が傾斜面に沿って下降するようになっている、封止板が提供される。
【0025】
さらなる発展形態によれば、封止板の外面は、角錐の形状を形成する複数の傾斜面を含んでおり、かつ/または封止板は、凝縮流体を収集するための1つもしくは複数のリザーバを形成するために、ベースをカバーによって部分的に覆い、ベースを取り囲むカバーの縁部および/もしくはベースから外方に突出する要素に対して、1つもしくは複数の分離間隙を残すように適合されている。
【0026】
添付の図面は、本発明の原理について説明する目的で、本明細書に組み込まれており、その一部を形成する。これらの図面は、本発明をどのように実施および使用することができるかに関して図示および記載する例のみに本発明を限定すると解釈されるべきではない。
【0027】
さらなる機構および利点は、添付の図面に示す本発明の以下のより詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】従来技術の構成による封止型リレーを示す図である。
図2】電気端子を上向きにして見たときの、本発明の一実施形態による封止型リレーおよび封止型リレーのシールハウジングの斜視図である。
図3】ベースおよびカバーがともに組み立てられたときの、電気端子側から見た組立ての初期段階における封止型リレーの斜視図である。
図4】リレーベース、リレーカバー、および/またはリレー電気端子間の交差領域に沿って封止コンパウンドが付着されたときの、組立ての中間段階にある封止型リレーの斜視図である。
図5】封止板がリレーベースの上に取り付けられたときの、組立ての最終段階にあるリレーの斜視図である。
図6】リレーベース側から見た図2の封止型リレーの上面図である。
図7】さらなる実施形態による封止型リレーの断面図である。
図8】リレーカバー側から見たときの、図2に示す封止型リレーのさらなる斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に本発明について、本発明の例示的な実施形態が示されている添付の図面を参照しながら、以下でより詳細に説明する。しかし、本発明は、多くの異なる形態で実施することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。逆に、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全になり、本発明の範囲を当業者に完全に伝えるように提供される。特に、例示的な実施形態の特定の機構について、「頂部」、「底部」、「上部」、「外方」、および「内方」などの用語を使用して以下で説明するが、これらの用語は、それぞれの機構およびそれらの相対的な向きについての説明を容易にする目的のみで使用されるものであり、請求される本発明またはその構成要素のいずれかを特定の空間的な向きでの使用に限定すると解釈されるべきではない。説明全体にわたって、同様の数字は同様の要素を指す。
【0030】
図2は、本発明の一実施形態によるシールハウジング210を使用する封止型リレー200の斜視図である。図2で、封止型リレー200は、リレー端子220、224が上向きになる取付け方向で示されている。シールハウジング210は、ベース230の内側にリレーアセンブリ(図示せず)を取り付けるためのベース230と、リレーアセンブリを覆うためのカバー240とを備える。わかりやすくするために、以下、リレーベース230のうちハウジング210の内側を向いている面を内向き面と呼び、ハウジング210の外側を向いている面を外向き面と呼ぶものとする。リレーベース230およびリレーカバー240はともに嵌合されて、リレーアセンブリの構成要素(図示せず)を内側に収容するための閉鎖型チャンバを形成する。
【0031】
図3に示すように、リレーアセンブリを外部電気回路に結合するために、1つまたは複数の電気端子220、224をベース230の外向き面に通すための1つまたは複数の開口250が、リレーベース230に設けられる。塵、流体、または湿気が電気端子220、224のためのベース開口250を通ってハウジング210に侵入するのを防止するために、各ベース開口250とそれぞれの端子220、224との間の接合部が、接着剤などの封止コンパウンド140によって、外側から封止される。封止コンパウンド140は、リレーベース230の外向き面において、開口およびそれぞれの端子の周りの離散的な領域260に付着される。
【0032】
カバー240とリレーベース230との間の接合部の液密性は、カバー240の側壁をリレーベース230の側面に重ねて、リレーベース230の外面をわずかに越えるようにして、リレーベース230の外面に交差縁部を形成することによって改善することができ、交差縁部は、交差縁部に沿って封止コンパウンドの細片270を付着することによって封止することができる。図4は、リレーアセンブリおよびリレーベース230がリレーカバー240によって閉鎖され、それぞれリレー端子220、224の周りにベース230の交差縁部に沿って封止コンパウンドが離散的なパッチ260および細片270として付着された後の、封止型リレー200の中間組立て段階を示す。
【0033】
したがって、封止コンパウンド140がリレーベース130全体に付着される図1に示す従来のリレーとは対照的に、本発明では、封止コンパウンド140は、ベース230とカバー240との間の交差縁部を一周する、および/または、電気端子220、224とリレーベース230のそれぞれの開口250との間の交差部における、離散的な領域260、270のみに付着される。
【0034】
ハウジングベース230の液密性をさらに改善し、リレーベース230から外方へ突出する電気端子220、224間に蓄積する結露および/または流体に起因する短絡の発生を防止するために、図5を参照して次に説明するように、リレーベース230の区域を部分的に覆い、電気端子220、224を互いに分離するための封止板を設けることができる。
【0035】
図5に示すように、封止板280は、リレーベース230から突出する電気端子220、224を通すための1つまたは複数の開口282、284を有するカットプロファイル(cut profile)を有する。封止板280の各開口282、284は、封止板280が電気端子220、224に直接接触しないように、それぞれの電気端子に対する分離間隙を見込んでサイズ設定されている。好ましくは、開口282、284の寸法は、リレーベース230から突出する各電気端子220、224の周りに堆積させた封止コンパウンドの離散的なパッチ260のサイズと整合されており、したがって封止板280がリレーベース230の上に配置されているとき、封止板280および封止コンパウンド260は、互いに密に接触するが重ならないようになっている。したがって、封止板の開口282、284の縁部もまた、封止コンパウンドのパッチ260によって封止され、それにより液体または湿気が封止板280とリレーベース230との間の空間に侵入することを防ぐ。したがって、封止板280によって覆われていないベース230、カバー240、および/または電気端子220、224間の交差領域のみに封止材料が付着されるため、封止コンパウンドの量を大幅に削減することができる。
【0036】
封止板280、特にその各開口282、284の縁部における厚さは、好ましくは、リレーベース230に堆積させた封止材料の厚さより大きく、したがって封止板280はまた、リレーベース230から突出する端子220、224を互いに分離し、したがってリレー端子220、224間の湿気または結露の蓄積によって短絡経路が確立されることを防止する物理的な障壁としても働く。さらに、各電気端子220、224の周りの封止コンパウンドのパッチ260と封止板280の縁部との間の厚さの差によって、それぞれの分離間隙の幅を有する流体リザーバが、各電気端子220、224の周りに形成され、それにより後に説明するように、電気端子220、224の周りに形成されかつ/または封止板280から進路が変えられうるあらゆる流体または結露を局所化することが可能になる。
【0037】
図5に示すように、封止板開口のうちの1つまたは複数は、ベース230でそれぞれの電気端子220を隣接する端子から完全に分離する閉鎖型開口282とすることができる。他方では、複数の封止板開口284は、それぞれの端子224の周りのリザーバ284内に蓄積した流体の排出を可能にするように、排出チャネル290内へ開くことができる。電気端子220、224の位置および/またはサイズに応じて、閉鎖型開口282および開放型開口284の混合した分布を封止板280に提供することができる。たとえば、封止板280の周りに開放型リザーバ284および閉鎖型リザーバ282を交互に配置して、隣接する端子を互いに分離し、開放型リザーバ内に蓄積した流体によって排出チャネル290を介して最終的に形成されうるあらゆる接続経路の長さを最大にすることができる。開放型開口284はまた、最も大きいリレー端子224および/またはより大量の結露が生じる可能性が高い区域に割り当て、開放型開口284内に蓄積した流体を、排出チャネル290を介して放出することを可能にすることもできる。
【0038】
ベース縁部の周りに設けられた排出チャネル290の一例が、図5に示されている。排出チャネル290は、リレーベース230上に取り付けられたとき、リレーカバー240の側壁に対して距離をあけるように、封止板280を寸法設定することによって形成される。その結果、カバー縁部に対する距離の幅を有する排出チャネル290が、下にあるリレーベース230の周囲に形成される。排出チャネル290は、特に封止型リレー200が上向きに取り付けられているときは封止板280からリレーベース230の縁部の方へ進路を変えられ、ならびに排出チャネル290内へ開いている電気端子224の周りのリザーバ284のいずれかから進路を変えられた湿気または結露を、受け取って蓄積することができる。排出チャネル290の高さは、リレーベース縁部の周りに堆積させた封止コンパウンドの厚さと封止板の縁部の厚さとの間の差にほぼ等しい。
【0039】
排出チャネル290内に蓄積した流体をリレーベース230から離れる方へ排出することは、排出チャネル290に沿ってリレーカバー240に1つまたは複数の切れ目またはスロット292を設けることによって容易にすることができる。図示の実施形態では、カバー240の各側面に位置する排出チャネル290は、より大量の流体が蓄積することが予期されるカバーの隅部のより近くに配置された2つのスロット292、294を有する。しかし、排出スロットの数は、図示の実施形態に限定されるものではなく、特有の要件に応じて、より大きいまたはより小さい数の排出スロットを設けることができる。さらに、図5に示す実施形態では、排出チャネル290はリレーベース230の周囲全体に沿って通っているが、排出チャネル290がリレーベース縁部の一部分のみにわたって、たとえばより多くの流体が蓄積することが予期される区域で延びる他の構成も想定することができる。
【0040】
封止板280に形成される流体または結露をリレー端子220、224から離れて優先的に流体リザーバ282、284および/または上述した排出チャネル290の方へそらすために、封止板280は、外向きの輪郭を備えることができ、すなわち封止型リレー200が取り付けられている向きに関係なく、リレーベース230の方を向いている面とは反対側の外面に、封止板280に蓄積した凝縮流体の進路を特定の方向に沿って電気端子220、224から離れる方へ変えるように設計された平坦でない輪郭を有する形状とすることができる。たとえば、封止板280の外面は、リレーベース230に対して傾斜している1つまたは複数の面286を有することができる。傾斜面286は、実質上それぞれの傾斜角および封止型リレー200の向きによって決まる方向に沿って、封止板280に形成されうる流体または結露の進路を変える。
【0041】
好ましくは、封止板280の外面は、ベース230に対して類似のまたは異なる傾斜角を有する複数の傾斜面286を含み、それにより、封止型リレー200のすべての向きで流体がリレー端子220、224から離れる方へ進路を変えることが確実になる。たとえば、図5に示す構成において、外面は、4つの傾斜面286を含み、各傾斜面286は、リレー端子220、224を通すためのそれぞれの開口282、284を備えた三角形の形状を有し、同じ傾斜角αだけリレーベース230に対して傾斜しており、その結果、角錐の形状を有する外面が得られる。次いで、図5に示す向きと同様にリレー端子220、224を上向きにして封止型リレー200が取り付けられているとき、各傾斜面286に形成された結露は、好ましくは、それぞれの傾斜面286の下縁部にすぐ対向する排出チャネル290の方へ進路を変えられる。リレー端子220、224を下向きにして封止型リレー200が取り付けられている場合、封止板280に形成される流体は、傾斜面286に沿って封止板280の中心296の方へ進路が変えられ、次いで重力の作用によって封止板280から単に落下する。
【0042】
特に封止型リレー200が上向きに取り付けられているとき、それぞれの傾斜面に沿って下降する凝縮流体をリレーベース230の隅部で再収集することを容易にするために、封止板280の外面の各隅部に追加の機構288を設けることができる。たとえば、図5に示すように、傾斜面286に沿って下降する流体を封止板280の隅部に蓄積し、この流体を排出スロット292、294の方へ案内するために、2つの隣接する傾斜面286が接合され、リレーカバー240の排出スロット292、294と実質上位置合わせされた封止板280の各隅部に、平坦な窪み288を設けることができる。したがって、この構成で、凝縮流体は、封止板280の平坦でない輪郭によって、リレーベース230の隅部の方へ効率的に進路が変えられ、リレーベース230の隅部から容易に放出することができる。
【0043】
図6に、リレーベース230に取り付けられた封止板280の上面図が、図5に示す角錐の形状の傾斜面286に対応する4つの三角形の区分および封止板280の各隅部に位置するそれぞれの平坦な窪み288の配置を例示するために示されている。
【0044】
図7は、本発明のさらなる実施形態による封止型リレー300およびそれぞれのシールハウジング310の断面図を示す。本実施形態は、図3~6を参照して説明した実施形態とは本質的に異なり、リレーベース320は、封止コンパウンド340の粘着を容易にするために1つまたは複数の窪み330を外向き面に含んでおり、ならびに封止コンパウンドが付着される特定の離散的な領域にリレーベース320を画定することによって、それぞれの封止作用がさらに改善される。
【0045】
たとえば、図7に示すように、リレーベースの開口350およびリレーベース320から突出している対応するリレー端子360のそれぞれを一周する1つまたは複数の凹部330を設けることができる。これらの凹部330は、好ましくは、封止板370の開口の下の整合位置に設けられる。
【0046】
加えて、この目的でベース330とハウジングカバー390との間の交差部に沿ってリレーベース320に形成された封止溝382に、封止コンパウンドの細片380を選択的に付着することができる。図7に示すように、封止溝382は、ベース320の外向き面の上にわずかに延びるカバー390の側縁部およびベース330のうちカバー390に接触する側面に画定された凹部によって形成することができる。
【0047】
封止凹部330および封止溝382は、ベース320に付着される封止コンパウンドの量を低減するために、リレーベース320のうち封止作用が実際に必要とされる選択された離散的な領域に封止コンパウンド340を固定するためのリザーバとして働く。さらに、これらの機構により、封止コンパウンドがリレーベースの上で電気端子の周りおよび/またはベースとカバーとの間の交差部に単に付着される場合と比べて、ベース320に対する封止コンパウンド340の粘着を改善することが可能になる。
【0048】
図8は、ハウジングカバー410の上面から見た封止型リレー400の斜視図であり、封止コンパウンドを硬化させてリレーを完全に封止した後に閉鎖される切取り機構420を示している。
【0049】
最後に、本発明について上記では、リレー用のシールハウジングおよびシールハウジングを使用するそれぞれの封止型リレーを参照して主に説明してきたが、本発明の原理はまた、有利には、電気デバイスの外面に蓄積する結露および/または湿気によって引き起こされる短絡からのそれぞれの電気端子の効率的な保護を必要とする他のタイプの電気および/または電子デバイスに適用することができる。
【符号の説明】
【0050】
100 従来の封止型リレー
110 ハウジング
120 リレー端子
130 リレーベース
140 封止接着剤
200 封止型リレー
210 シールハウジング
220、224 リレー端子
230 リレーベース(実施形態1)
240 リレーカバー
250 電気端子用の端子開口
260 開口の周りに位置する封止コンパウンド
270 ベース端部に沿って位置する封止コンパウンドの細片
280 封止板
282 封止板の閉鎖型開口
284 封止板の開放型開口
286 封止板の傾斜面
288 封止板の平坦な窪み
α 傾斜角
290 排出チャネル
292、294 カバー内のスロット
296 封止板の中心
300 封止型リレー(実施形態2)
310 シールハウジング
320 リレーベース
330 リレーベースの凹部
340 封止コンパウンド
350 リレーベース開口
360 電気端子
370 封止板
380 封止コンパウンドの細片
382 ベース縁部に沿って位置する封止溝
390 ハウジングカバー
395 リレーアセンブリ
400 封止型リレー
410 ハウジングカバー
420 切取り機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8