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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】投影機及びその照明システム
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20220808BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20220808BHJP
   F21V 7/28 20180101ALI20220808BHJP
   F21V 7/30 20180101ALI20220808BHJP
   F21V 9/40 20180101ALI20220808BHJP
   F21V 9/45 20180101ALI20220808BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20220808BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
G03B21/14 A
F21S2/00 340
F21V7/28 240
F21V7/30
F21V9/40 200
F21V9/45
G03B21/00 D
H04N5/74 Z
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2018189947
(22)【出願日】2018-10-05
(65)【公開番号】P2019070800
(43)【公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-02-05
(31)【優先権主張番号】201721288849.9
(32)【優先日】2017-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】500093133
【氏名又は名称】中強光電股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】邱 浩▲うぇい▼
(72)【発明者】
【氏名】廖 建中
【審査官】西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/016076(WO,A1)
【文献】特開2013-250285(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0362830(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0250253(US,A1)
【文献】国際公開第2014/109333(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/14
G03B 21/00
F21S 2/00
F21V 9/45
F21V 9/40
F21V 7/30
F21V 7/28
H04N 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明システム、オプトメカニカルモジュール及びレンズを含む投影機であって、
前記照明システムは、励起光源組、波長変換素子及び光混合素子を含み、
前記励起光源組は、少なくとも1つの第一発光素子を含み、前記第一発光素子は、第一光束を提供し、
前記波長変換素子は、反射領域及び波長変換領域を有し、前記反射領域及び前記波長変換領域は、順番に前記第一光束の伝播経路に挿入し、
前記光混合素子は、前記励起光源組と前記波長変換素子との間に配置され、且つ少なくとも1つの第一分色部、少なくとも1つの第一反射部及び前記第一発光素子に面する第一光混合面を有し、前記第一分色部は、前記第一光混合面の第一象限に対応し、前記第一反射部は、前記第一光混合面の第三象限に対応し、
前記第一光束は、前記第一分色部を通過して前記波長変換素子に伝播し、
前記反射領域は、前記第一光束を前記第一反射部へ反射し、
前記波長変換領域は、前記第一光束を励起光束に変換し、且つ前記励起光束を前記光混合素子へ反射し、
前記光混合素子の前記第一分色部及び前記第一反射部は、前記励起光束を反射し、前記光混合素子の前記第一反射部は、前記反射領域から前記第一光束を反射し、前記第一光束及び前記励起光束が照明光束を構成するようにさせ、
前記オプトメカニカルモジュールは、ライトバルブを含み、前記ライトバルブは、前記照明光束の伝播経路に位置し、且つ前記照明光束を映像光束に変換し、
前記レンズは、前記映像光束の伝播経路に位置し、前記映像光束は、前記レンズを通過した後に投影光束になり、
前記励起光源組は、少なくとも1つの第二発光素子をさらに含み、前記第二発光素子は、第二光束を提供し、前記光混合素子は、少なくとも1つの第二分色部及び少なくとも1つの第二反射部をさらに含み、前記第二分色部は、前記第一光混合面の第三象限に対応し、前記第二反射部は、前記第一光混合面の第一象限に対応し、
前記第二光束は、前記第二分色部を通過して前記波長変換素子に伝播し、
前記反射領域は、前記第二光束を前記第二反射部へ反射し、
前記波長変換領域は、前記第二光束を前記励起光束に変換し、且つ前記励起光束を前記光混合素子へ反射し、
前記光混合素子の前記第二分色部及び前記第二反射部は、前記励起光束を反射し、前記光混合素子の前記第二反射部は、前記反射領域からの前記第二光束を反射し、前記第一光束、前記第二光束及び前記励起光束が前記照明光束を構成するようにさせる、投影機。
【請求項2】
請求項に記載の投影機であって、
前記励起光源組は、少なくとも1つの補充用発光素子をさらに含み、前記補充用発光素子は、前記第一発光素子と前記第二発光素子との間に配置され、前記補充用発光素子は、補充用光束を提供し、前記光混合素子は、少なくとも1つの第三分色部及び少なくとも1つの第三反射部をさらに有し、前記第三分色部は、前記第三反射部と前記第二反射部との間に位置し、
前記補充用光束は、前記第三分色部を通過して前記波長変換素子に伝播し、前記波長変換素子は、前記補充用光束を前記第三反射部へ反射し、
前記第三反射部は、前記波長変換素子からの前記補充用光束を反射し、前記補充用光束、前記第一光束、前記第二光束及び前記励起光束が前記照明光束を構成するようにさせる、投影機。
【請求項3】
請求項1に記載の投影機であって、
前記照明システムは、補充用光源組をさらに含み、前記補充用光源組は、前記励起光源組の一方側に配置され、前記補充用光源組は、少なくとも1つの補充用光束を提供し、前記補充用光束は、対応する前記第一分色部を通過する、投影機。
【請求項4】
請求項1に記載の投影機であって、
前記波長変換素子の前記反射領域は、金属素子である、投影機。
【請求項5】
請求項1に記載の投影機であって、
前記波長変換素子の前記反射領域は、ガラス素子及び反射膜層を含み、且つ前記ガラス素子は、第一表面及び第二表面を有し、前記第一表面は、前記光混合素子に面し、前記第二表面は、前記第一表面に相対し、前記反射膜層は、前記第一表面又は前記第二表面に配置される、投影機。
【請求項6】
請求項1に記載の投影機であって、
前記波長変換素子の前記反射領域は、ガラス素子、反射膜層及び拡散構造を含み、且つ前記ガラス素子は、第一表面及び第二表面を有し、前記第一表面は、前記光混合素子に面し、前記第二表面は、前記第一表面に相対し、前記拡散構造は、前記第一表面に配置され、前記反射膜層は、前記第二表面に配置される、投影機。
【請求項7】
請求項1に記載の投影機であって、
前記波長変換素子の前記反射領域は、反射面及び複数の波長変換物質を有し、前記複数の波長変換物質は、前記反射領域の前記反射面に分布している、投影機。
【請求項8】
請求項1に記載の投影機であって、
前記光混合素子は、拡散構造をさらに含み、前記拡散構造は、前記第一分色部及び前記第一反射部のうちの少なくとも1つに配置される、投影機。
【請求項9】
請求項1に記載の投影機であって、
前記励起光源組は、レンズ組をさらに含み、前記レンズ組は、前記光混合素子と前記波長変換素子との間に位置し、前記レンズ組は、前記光混合素子からの前記第一光束の伝播経路に位置し、前記第一光束を前記波長変換素子に伝播させ、且つ前記レンズ組は、前記励起光束、及び前記波長変換素子からの前記第一光束の伝播経路に位置し、前記励起光束及び前記第一光束を前記光混合素子に伝播させる、投影機。
【請求項10】
励起光源組、波長変換素子及び光混合素子を含む照明システムであって、
前記励起光源組は、少なくとも1つの第一発光素子を含み、前記第一発光素子は、第一光束を提供し、
前記波長変換素子は、反射領域及び波長変換領域を有し、前記反射領域及び前記波長変換領域は、順番に前記第一光束の伝播経路に挿入し、
前記光混合素子は、前記励起光源組と前記波長変換素子との間に配置され、且つ少なくとも1つの第一分色部、少なくとも1つの第一反射部及び前記第一発光素子に面する第一光混合面を含み、前記第一分色部は、前記第一光混合面の第一象限に対応し、前記第一反射部は、前記第一光混合面の第三象限に対応し、
前記第一光束は、前記第一分色部を通過して前記波長変換素子に伝播し、
前記反射領域は、前記第一光束を前記第一反射部へ反射し、
前記波長変換領域は、前記第一光束を励起光束に変換し、且つ前記励起光束を前記光混合素子へ反射し、
前記光混合素子の前記第一分色部及び前記第一反射部は、前記励起光束を反射し、前記光混合素子の前記第一反射部は、前記反射領域からの前記第一光束を反射して、前記励起光束及び前記第一光束が照明光束を構成するようにさせ、
前記励起光源組は、少なくとも1つの第二発光素子をさらに含み、前記第二発光素子は、第二光束を提供し、前記光混合素子は、少なくとも1つの第二分色部及び少なくとも1つの第二反射部をさらに有し、前記第二分色部は、前記第一光混合面の第三象限に対応し、前記第二反射部は、前記第一光混合面の第一象限に対応し、
前記第二光束は、前記第二分色部を通過して前記波長変換素子に伝播し、
前記反射領域は、前記第二光束を前記第二反射部へ反射し、
前記波長変換領域は、前記第二光束を前記励起光束に変換し、且つ前記励起光束を前記光混合素子へ反射し、
前記光混合素子の前記第二分色部及び前記第二反射部は、前記励起光束を反射し、前記光混合素子の前記第二反射部は、前記反射領域からの前記第二光束を反射し、前記第一光束、前記第二光束及び前記励起光束が前記照明光束を構成するようにさせる、照明システム。
【請求項11】
請求項1に記載の照明システムであって、
前記励起光源組は、少なくとも1つの補充用発光素子をさらに含み、前記補充用発光素子は、前記第一発光素子と前記第二発光素子との間に配置され、前記補充用発光素子は、補充用光束を提供し、前記光混合素子は、少なくとも1つの第三分色部及び少なくとも1つの第三反射部をさらに含み、前記第三分色部は、前記第三反射部と前記第二反射部との間に位置し、
前記補充用光束は、前記第三分色部を通過して前記波長変換素子に伝播し、前記波長変換素子は、前記補充用光束を前記第三反射部へ反射し、
前記第三反射部は、前記波長変換素子からの前記補充用光束を反射し、前記補充用光束、前記第一光束、前記第二光束及び前記励起光束が前記照明光束を構成するようにさせる、照明システム。
【請求項12】
請求項1に記載の照明システムであって、
補充用光源組をさらに含み、
前記補充用光源組は、前記励起光源組の一方側に配置され、前記補充用光源組は、少なくとも1つの補充用光束を提供し、前記補充用光束は、対応する前記第一分色部を通過する、照明システム。
【請求項13】
請求項1に記載の照明システムであって、
前記波長変換素子の前記反射領域は、金属素子である、照明システム。
【請求項14】
請求項1に記載の照明システムであって、
前記波長変換素子の前記反射領域は、ガラス素子及び反射膜層を含み、前記ガラス素子は、第一表面及び第二表面を有し、前記第一表面は、前記光混合素子に面し、前記第二表面は、前記第一表面に相対し、前記反射膜層は、前記第一表面又は前記第二表面に配置される、照明システム。
【請求項15】
請求項1に記載の照明システムであって、
前記波長変換素子の前記反射領域は、ガラス素子、反射膜層及び拡散構造を含み、前記ガラス素子は、第一表面及び第二表面を有し、前記第一表面は、前記光混合素子に面し、前記第二表面は、前記第一表面に相対し、前記拡散構造は、前記第一表面に配置され、前記反射膜層は、前記第二表面に配置される、照明システム。
【請求項16】
請求項1に記載の照明システムであって、
前記波長変換素子の前記反射領域は、反射面及び複数の波長変換物質を含み、前記複数の波長変換物質は、前記反射領域の前記反射面に分布している、照明システム。
【請求項17】
請求項1に記載の照明システムであって、
前記光混合素子は、拡散構造をさらに含み、前記拡散構造は、前記第一分色部及び前記第一反射部のうちの少なくとも1つに配置される、照明システム。
【請求項18】
請求項1に記載の照明システムであって、
前記励起光源組は、レンズ組をさらに含み、前記レンズ組は、前記光混合素子と前記波長変換素子との間に配置され、前記レンズ組は、前記光混合素子からの前記第一光束の伝播経路に位置し、前記第一光束を前記波長変換素子に伝播させ、且つ前記レンズ組は、前記励起光束、及び前記波長変換素子からの前記第一光束の伝播経路に位置し、前記励起光束及び前記第一光束を前記光混合素子に伝播させる、照明システム。
【請求項19】
請求項1に記載の照明システムであって、
前記励起光源組は、複数の発光素子及び複数の補助発光素子を含み、前記複数の発光素子は、前記光混合素子の一側辺に設置され、前記複数の補助発光素子は、前記光混合素子の同一側辺に設置される、照明システム。
【請求項20】
請求項1に記載の照明システムであって、
前記励起光源組は、複数の発光素子及び複数の補助発光素子を含み、前記複数の発光素子は、前記光混合素子の一側辺に設置され、前記複数の補助発光素子は、前記光混合素子の相対する他の側辺に設置される、照明システム。
【請求項21】
照明システム、オプトメカニカルモジュール及びレンズを含む投影機であって、
前記照明システムは、励起光源組、波長変換素子及び光混合素子を含み、
前記励起光源組は、少なくとも1つの第一発光素子を含み、前記第一発光素子は、第一光束を提供し、
前記波長変換素子は、反射領域及び波長変換領域を有し、前記反射領域及び前記波長変換領域は、順番に前記第一光束の伝播経路に挿入し、
前記光混合素子は、前記励起光源組と前記波長変換素子との間に配置され、且つ少なくとも1つの第一分色部、少なくとも1つの第一通過部及び前記第一発光素子に面する第一光混合面を有し、前記第一通過部は、前記第一光混合面の第一象限に対応し、前記第一分色部は、前記第一光混合面の第三象限に対応し、
前記第一光束は、前記第一分色部により前記波長変換素子へ反射され、
前記反射領域は、前記第一光束を前記第一通過部へ反射し、
前記波長変換領域は、前記第一光束を励起光束に変換し、且つ前記励起光束を前記光混合素子へ反射し、
前記光混合素子の前記第一分色部及び前記第一通過部は、前記励起光束を通過させ、前記第一通過部は、前記第一光束及び前記励起光束を通過させ、これにより、前記第一光束及び前記励起光束は、照明光束を構成し、
前記オプトメカニカルモジュールは、ライトバルブを含み、前記ライトバルブは、前記照明光束の伝播経路に位置し、且つ前記照明光束を映像光束に変換し、
前記レンズは、前記映像光束の伝播経路に位置し、前記映像光束は、前記レンズを通過した後に投影光束になり、
前記励起光源組は、少なくとも1つの第二発光素子をさらに含み、前記第二発光素子は、第二光束を提供し、前記光混合素子は、少なくとも1つの第二分色部及び少なくとも1つの第二反射部をさらに含み、前記第二分色部は、前記第一光混合面の第三象限に対応し、前記第二反射部は、前記第一光混合面の第一象限に対応し、
前記第二光束は、前記第二分色部を通過して前記波長変換素子に伝播し、
前記反射領域は、前記第二光束を前記第二反射部へ反射し、
前記波長変換領域は、前記第二光束を前記励起光束に変換し、且つ前記励起光束を前記光混合素子へ反射し、
前記光混合素子の前記第二分色部及び前記第二反射部は、前記励起光束を反射し、前記光混合素子の前記第二反射部は、前記反射領域からの前記第二光束を反射し、前記第一光束、前記第二光束及び前記励起光束が前記照明光束を構成するようにさせる、投影機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明システムに関し、特に、投影機に用いられる照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル光源処理(digital light processing、DLP)による投影装置が、照明システム、デジタルマイクロミラー素子(digital micro-mirror device、DMD)及び投影レンズを含み、そのうち、照明システムは、照明光束を提供し、デジタルマイクロミラー素子は、照明光束を映像光束に変換し、投影レンズは、映像光束をスクリーンに投影してスクリーン上で映像画面を形成させるために用いられる。超高圧水銀ランプが、初期の照明システムに良く用いられていた光源であり、それは、白色光を照明光束として提供することができる。照明技術の発展に伴い、発光ダイオード光源やレーザー光源(レーザーダイオード)などの省エネの利点を有する光源も次第に採用されている。
【0003】
しかし、照明システムの構造が複雑であるときに、より多くの光学素子を配置する必要があり、このようにして、コストが高く、体積が大きく、発光効率が悪いといった問題をもたらすことができる。
【0004】
なお、この“背景技術”の部分が、本発明の内容への理解を助けるためだけのものであるため、この“背景技術”の部分に開示されている内容は、当業者に知られていない技術を含む可能性がある。よって、この“背景技術”の部分に開示されている内容は、該内容、又は、本発明の1つ又は複数の実施例が解決しようとする課題が本発明出願前に既に当業者に周知されていることを意味しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、コストが低く、且つ体積が小さい利点を有する投影機を提供することにある。
【0006】
本発明のもう1つの目的は、光学素子の数量を減らすことで、コストを低減し、且つ体積を小さくすることができる照明システムを提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的及び利点は、本発明に開示されている技術的特徴から、さらに理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の1つ又は一部又は全部の目的或いは他の目的を達成するために、本発明の一実施例は、投影機を提供し、それは、照明システム、オプトメカニカル(light engine module)モジュール及びレンズを含む。照明システムは、励起光源組、波長変換素子及び光混合素子を含む。励起光源組は、少なくとも1つの第一発光素子を含み、第一発光素子は、第一光束を提供する。波長変換素子は、反射領域及び波長変換領域を有し、反射領域及び波長変換領域は、順番に第一光束の伝播経路に挿入する。光混合素子は、励起光源組と波長変換素子との間に配置され、且つ少なくとも1つの第一分色(色分割)部、少なくとも1つの第一反射部、及び第一発光素子に面する第一光混合面を有し、そのうち、第一分色部は、第一光混合面の第一象限に対応し、第一反射部は、第一光混合面の第三象限に対応する。そのうち、第一光束は、第一分色部を通過して波長変換素子に伝播し、そのうち、反射領域は、第一光束を第一反射部へ反射し、そのうち、波長変換領域は、第一光束を励起光束に変換し、且つ励起光束を光混合素子へ反射し、そのうち、光混合素子の第一分色部及び第一反射部は、励起光束を反射し、光混合素子の第一反射部は、反射領域からの第一光束を反射し、第一光束及び励起光束が照明光束を形成するようにさせる。オプトメカニカルモジュールは、ライトバルブを含む。ライトバルブは、照明光束の伝播経路に位置し、且つ照明光束を映像光束に変換する。レンズは、映像光束の伝播経路に位置し、そのうち、映像光束は、レンズを通過した後に投影光束になる。
【0009】
上述の1つ又は一部又は全部の目的或いは他の目的を達成するために、本発明の一実施例は、照明システムを提供し、それは、励起光源組、波長変換素子及び光混合素子を含む。励起光源組は、少なくとも1つの第一発光素子を含み、第一発光素子は、第一光束を提供する。波長変換素子は、反射領域及び波長変換領域を有し、反射領域及び波長変換領域は、順番に第一光束の伝播経路に挿入する。光混合素子は、励起光源組と波長変換素子との間に配置され、且つ少なくとも1つの第一分色部、少なくとも1つの第一反射部、及び第一発光素子に面する第一光混合面を含み、そのうち、第一分色部は、第一光混合面の第一象限に対応し、第一反射部は、第一光混合面の第三象限に対応し、そのうち、第一光束は、第一分色部を通過して波長変換素子に伝播し、そのうち、反射領域は、第一光束を第一反射部へ反射し、そのうち、波長変換領域は、第一光束を励起光束に変換し、且つ励起光束を光混合素子へ反射し、そのうち、光混合素子の第一分色部及び第一反射部は、励起光束を反射し、光混合素子の第一反射部は、反射領域からの第一光束を反射し、励起光束及び第一光束が照明光束を構成するようにさせる。
【0010】
本発明の実施例による照明システムでは、励起光源組と波長変換素子との間に光混合素子が配置され、且つ光混合素子の少なくとも1つの第一分色部及び少なくとも1つの第一反射部がそれぞれ第一光混合面の第一象限及び第三象限に対応し、このような構造設計により、光路を有効に簡略化し得る効果を達成することができるので、照明システムの光学素子の数量を大幅に減らし、コストを削減し、体積を小さくすることができるとともに、補充用光源を増設しやすい。また、本発明の実施例による投影機は、このような照明システムを用いるので、コストが低く、且つ体積が小さい利点を有する。
【0011】
本発明の上述の特徴及び利点をより明らかにするために、以下、実施例を挙げて添付した図面を参照することにより、詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施例における投影機の機能ブロック図である。
図2A図1に示す照明システムの構造図である。
図2B図2Aに示す第一光束が励起光束に変換される光経路を示す図である。
図3図2A及び図2Bに示す光混合素子の他の視角を示す図である。
図4】本発明の他の実施例における照明システムの構造図である。
図5】本発明の他の実施例における照明システムの構造図である。
図6】本発明の他の実施例における照明システムの構造図である。
図7】本発明の他の実施例における照明システムの構造図である。
図8A】本発明の他の実施例における照明システムの構造図である。
図8B図8Aに示す第一光束乃至第四光束が励起光束に変換される光経路を示す図である。
図8C図8A及び図8Bに示す光混合素子の他の視角を示す図である。
図8D】本発明の一実施例における光混合素子を示す図である。
図8E】本発明の他の実施例における光混合素子を示す図である。
図8F】本発明の他の実施例における光混合素子を示す図である。
図8G】本発明の他の実施例における光混合素子を示す図である。
図9A】本発明の他の実施例における照明システムの構造図である。
図9B図9Aに示す第一光束が励起光束に変換される光経路を示す図である。
図10】本発明の他の実施例における照明システムの構造図である。
図11】本発明の他の実施例における照明システムの構造図である。
図12】本発明の他の実施例における照明システムの構造図である。
図13】本発明の他の実施例における照明システムの構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の上述した及び他の技術的内容、特徴、機能及び効果は、添付した図面に基づく次のような好ましい実施例における詳細な説明により明確になる。なお、以下の実施例に言及されている方向についての用語、例えば、上、下、左、右、前又は後などは、添付した図面の方向に過ぎない。よって、使用されている方向の用語は、本発明を説明するためだけのものであり、本発明を限定するためのものではない。
【0014】
図1は、本発明の一実施例による投影機の機能ブロック図である。図1に示すように、本実施例の投影機2は、照明システム20、オプトメカニカルモジュール22及びレンズ24を含む。照明システムは、照明光束IL1を提供する。オプトメカニカルモジュール22は、照明光束IL1の伝播経路に位置し、オプトメカニカルモジュール22は、ライトバルブ220を含み、且つライトバルブ220は、照明光束IL1を映像光束IL2に変換し、本実施例では、ライトバルブ220は、デジタルマイクロ反射鏡素子(Digital Micromirror Device、DMD)、LCoS(Liquid Crystal on Silicon、LCoS)又は液晶表示パネル(Liquid Crystal Display、LCD)であっても良いが、本発明は、これに限定されない。レンズ24は、映像光束IL2の伝播経路に位置し、映像光束IL2は、レンズ24を通過した後に、投影光束IL3になる(become)。
【0015】
以下、本実施例の照明システム20の詳細な構造についてさらに説明する。
【0016】
図2Aは、図1に示す照明システムの構造図である。図2Bは、図2Aに示す第一光束が励起光束に変換される光経路を示す図である。便宜のため、図2A及び図2Bにおける光束は、線分で示す。図3は、図2A及び図2Bに示す光混合素子の他の視角を示す図である。そのうち、図2A及び図2Bに示す光混合素子203は、図3に示すAA線分に沿った断面構造であり、図3におけるG1、G2、G3、G4は、それぞれ、第一象限(quadrant I)、第二象限(quadrant II)、第三象限(quadrant III)、第四象限(quadrant IV)を表す。図2A図2B及び図3に示すように、本実施例の照明システム20は、励起光源組201、波長変換素子202及び光混合素子203を含む。励起光源組201は、少なくとも1つの第一発光素子E1(図示では、1つを例とする)を含み、第一発光素子E1は、第一光束L1を提供する。波長変換素子202は、反射領域R1及び波長変換領域R2を有し、且つ波長変換素子202の反射領域R1及び波長変換領域R2は、順番に第一光束L1の伝播経路に挿入する。本実施例では、波長変換素子202は、例えば、蛍光体(蛍光粉)ホイールであり、反射領域R1は、例えば、高反射率を有する反射メッキ膜、反射鏡又は金属素子であり、且つ光混合素子203に面する反射領域R1の表面は、滑らかな表面であっても良く、又は、滑らかな表面でなくても良く、波長変換領域R2は、例えば、黄色蛍光体塗層又は緑色蛍光体塗層であるが、本発明は、これに限定されない。光混合素子203は、励起光源組201と波長変換素子202との間に配置され、且つ光混合素子203は、少なくとも1つの第一分色部D1、少なくとも1つの第一反射部P1、及び第一発光素子E1に面する第一光混合面SAを含み、第一分色部D1は、第一光混合面SAの第一象限G1に対応し、第一反射部P1は、第一光混合面SAの第三象限G3に対応する。本実施例では、図2に示すように、第一分色部D1は、第一光混合面SAの第一象限G1に位置し、第一反射部P1は、第一光混合面SAの第三象限G3に位置する。また、本実施例では、光混合素子203は、例えば、ガラス素子であるが、本発明は、これに限定されない。図2A図2B及び図3に示す光混合素子203の方向を説明しやすくするために、図2A図2B及び図3における直角座標系を参照することができ、そのうち、x-y平面は、例えば、第一光混合面SAに平行である。本実施例では、励起光源組201は、例えば、レーザー光源組又は発光ダイオード光源組であるが、本発明は、これに限定されない。本実施例では、光混合素子203の第一分色部D1は、例えば、二色(dichroic)メッキ膜又は二色鏡であるが、本発明は、これに限定されない。本実施例では、光混合素子203の第一反射部P1は、例えば、反射メッキ膜、反射鏡又は金属素子であるが、本発明は、これに限定されない。
【0017】
図2Aに示すように、本実施例では、波長変換素子202の反射領域R1が第一光束L1の伝播経路に挿入した時に、第一光束L1は、光混合素子203の第一分色部D1を通過して波長変換素子202の反射領域R1に伝播する。波長変換素子202の反射領域R1は、第一光束L1を光混合素子203の第一反射部P1へ反射し、光混合素子203の第一反射部P1は、波長変換素子202の反射領域R1からの第一光束L1を反射する。他方では、図2Bに示すように、本実施例では、波長変換素子202の波長変換領域R2が第一光束L1の伝播経路に挿入した時に、第一光束L1は、光混合素子203の第一分色部D1を通過して波長変換素子202の波長変換領域R2に伝播する。波長変換素子202の波長変換領域R2は、第一光束L1を励起光束L0に変換し、且つ波長変換領域R2は、励起光束L0を光混合素子203へ反射する。光混合素子203の第一分色部D1及び第一反射部P1は、励起光束L0を反射する。上述の説明及び図2A図2Bから分かるように、本実施例では、光混合素子203の第一分色部D1及び第一反射部P1により励起光束L0を反射し、及び光混合素子203の第一反射部P1により波長変換素子202の反射領域R1からの第一光束L1を反射することで、第一光束L1及び励起光束L0が図1に示すような照明光束IL1を構成するようにさせることができる。本実施例では、第一発光素子E1が発する第一光束L1は、例えば、青色光束であり、波長変換領域R2からの励起光束L0は、例えば、黄色光束又は緑色光束であるが、本発明は、これに限定されない。
【0018】
図2A及び図2Bに示すように、本実施例の照明システム20は、さらにレンズ組204を含む。便宜のため、本実施例のレンズ組204は、1つのレンズを例とするが、本発明は、これに限定されない。本実施例では、レンズ組204は、光混合素子203と波長変換素子202との間に位置し、且つレンズ組204は、光混合素子203からの第一光束L1の伝播経路に位置し、このようにして、レンズ組204は、第一光束L1を長変換素子202の反射領域R1又は波長変換領域R2に伝播させることができ、また、レンズ組204は、励起光束L0の伝播経路、及び、波長変換素子202の反射領域R1からの第一光束L1の伝播経路にも位置し、このようにして、レンズ組204は、励起光束L0及び第一光束L1を光混合素子203の第一分色部D1又は第一反射部P1に伝播させることができる。
【0019】
上述から分かるように、本実施例の照明システム20では、励起光源組201と波長変換素子202との間に光混合素子203が配置され、且つ光混合素子203の少なくとも1つの第一分色部D1及び少なくとも1つの第一反射部P1がそれぞれ第一光混合面SAの第一象限G1及び第三象限G3に位置(又は、対応)し、このような構造設計により、光路を簡略化し得る効果を有効に達成することができるので、照明システム20の光学素子の数量を大幅に減らし、コストを削減し、体積を小さくすることができるとともに、補充用光源を増設しやすい。なお、第一分色部D1が第一光混合面SAの第一象限G1に位置(又は、対応)し、及び第一反射部P1が第一光混合面SAの第三象限G3に位置(又は、対応)するのは、本発明の一実施例の観点である。もう1つの観点は、他の実施例では、第一分色部D1は、第一光混合面SAの第二象限G2に位置(又は、対応)しても良く、第一反射部P1は、第一光混合面SAの第四象限G4に位置(又は、対応)しても良く、また、他の観点は、これに基づいて類推することができる。
【0020】
図4は、本発明の他の実施例における照明システムの構造図である。図4に示すように、本実施例の照明システム20aは、図2A及び図2Bに示す照明システム20に類似したが、相違点は、主に、本実施例の波長変換素子202aの反射領域R1は、例えば、ガラス素子及び反射膜層205を含み、且つガラス素子は、第一表面S1及び第二表面S2を有し、ガラス素子の第一表面S1は、光混合素子203に面し、第二表面S2は、第一表面S1に相対し、反射膜層205は、第一表面S1に配置されることにある。本実施例では、反射膜層205は、光混合素子203の第一分色部D1からの第一光束L1を反射し、これにより、第一光束L1を光混合素子203の第一反射部P1へ反射する。また、本実施例は、反射膜層205の配置位置について限定せず、反射膜層205は、ガラス素子の第一表面S1に配置され得る他に、図示されない他の実施例では、反射膜層205は、ガラス素子の第二表面S2に配置されても良い。
【0021】
図5は、本発明の他の実施例における照明システムの構造図である。図5に示すように、本実施例の照明システム20bは、図4に示す照明システム20aに類似したが、相違点は、主に、本実施例の照明システム20bの波長変換素子202bの反射領域R1は、さらに拡散構造206を有し、ガラス素子は、光混合素子203に面する第一表面S1、及び第一表面S1に相対する第二表面S2を有し、拡散構造206は、第一表面S1に配置され、反射膜層205は、第二表面S2に配置されることにある。本実施例では、拡散構造206は、光混合素子203の第一分色部D1からの第一光束L1を乱反射し、その後、この第一光束L1は、反射膜層205により光混合素子203の第一反射部P1へ反射される。
【0022】
図6は、本発明の他の実施例における照明システムの構造図である。図6に示すように、本実施例の照明システム20cは、図2A及び図2Bに示す照明システム20に類似したが、相違点は、主に、本実施例の照明システム20cの波長変換素子202cの反射領域R1は、反射面S3及び複数の波長変換物質207を有することにある。本実施例では、これらの波長変換物質207は、例えば、蛍光体(蛍光粉)であり、且つこれらの蛍光体は、反射面S3に分布しており反射面S3で蛍光体層を形成する。本実施例では、反射面S3に分布しているこれらの波長変換物質207の効果は、光混合素子203の第一分色部D1からの第一光束L1の色の呈色(色彩を表すこと)効果を調整し、また、第一光束L1の斑点(speckle)を有効に抑制することで、投影機の映像品質を向上させることにある。
【0023】
図7は、本発明の他の実施例における照明システムの構造図である。図7に示すように、本実施例の照明システム20dは、図2A及び図2Bに示す照明システム20に類似したが、相違点は、主に、本実施例の照明システム20dの光混合素子203dは、さらに拡散構造208を含むことにある。本実施例では、拡散構造208は、第一分色部D1に配置され、且つ励起光源組201に近い第一分色部D1の表面(即ち、一部の第一光混合面SA)に位置する。なお、本発明は、拡散構造208の配置位置について限定しない。図示されない実施例では、拡散構造208は、例えば、励起光源組201を離れる第一分色部D1の表面(即ち、第一光混合面SAに相対する第二光混合面SB)に位置しも良い。また、図示されない他の実施例では、拡散構造208は、例えば、第一反射部P1に配置され、且つ励起光源組201を離れる第一反射部P1の表面(即ち、一部の第二光混合面SB)に位置しても良い。
【0024】
図8Aは、本発明の他の実施例における照明システムの構造図である。図8Bは、図8Aに示す第一光束L1乃至第四光束が励起光束に変換される光経路を示す図である。図8Cは、図8A及び図8Bに示す光混合素子の他の視角を示す図であり、そのうち、図8A及び図8Bに示す光混合素子203eは、図8Cに示すBB線分に沿った断面構造である。図8A乃至図8Cに示すように、本実施例の照明システム20eは、図2A及び図2Bに示す照明システム20に類似したが、相違点は、主に、本実施例の照明システム20eの励起光源組201eは、さらに第二発光素子E2、第三発光素子E3及び第四発光素子E4を含み、光混合素子203eは、さらに第二分色部D2、第三分色部D3、第四分色部D4、第二反射部P2、第三反射部P3及び第四反射部P4を含むことにある。本実施例では、第二発光素子E2は、第二光束L2を発し、第三発光素子E3は、第三光束L3を発し、第四発光素子E4は、第四光束L4を発し、第二分色部D2は、第一光混合面SAの第三象限G3に位置(又は、対応)し、第三分色部D3は、第一光混合面SAの第一象限G1に位置(又は、対応)し、第四分色部D4は、第一光混合面SAの第三象限G3に位置(又は、対応)し、第二反射部P2は、第一光混合面SAの第一象限G1に位置(又は、対応)し、第三反射部P3は、第一光混合面SAの第三象限G3に位置(又は、対応)し、第四反射部P4は、第一光混合面SAの第一象限G1に位置(又は、対応)する。本実施例では、第一反射部P1、第二分色部D2、第三反射部P3及び第四分色部D4は、第一光混合面SAの第三象限G3に配列され、そのうち、第二分色部D2及び第三反射部P3は、第一反射部P1と第四分色部D4との間に位置し、第二分色部D2は、第一反射部P1と第三反射部P3との間に隣接し、第三反射部P3は、第二分色部D2と第四分色部D4との間に隣接する。本実施例では、第一分色部D1、第二反射部P2、第三分色部D3及び第四反射部P4は、第一光混合面SAの第一象限G1に配列され、そのうち、第三分色部D3及び第二反射部P2は、第四反射部P4と第一分色部D1との間に位置し、第二反射部P2は、第一分色部D1と第三分色部D3との間に隣接し、第三分色部D3は、第二反射部P2と第四反射部P4との間に隣接する。
【0025】
図8Aに示すように、本実施例では、波長変換素子202の反射領域R1が第二光束L2及び第四光束L4の伝播経路に挿入した時に、第二光束L2及び第四光束L4は、それぞれ、光混合素子203eの第二分色部D2及び第四分色部D4を通過して波長変換素子202の反射領域R1に伝播する。本実施例では、波長変換素子202の反射領域R1は、第二光束L2及び第四光束L4をそれぞれ光混合素子203eの第二反射部P2及び第四反射部P4へ反射し、光混合素子203eの第二反射部P2は、波長変換素子202の反射領域R1からの第二光束L2を反射し、光混合素子203eの第四反射部P4は、波長変換素子202の反射領域R1からの第四光束L4を反射する。図8Bに示すように、本実施例では、波長変換素子202の波長変換領域R2が第二光束L2及び第四光束L4の伝播経路に挿入した時に、第二光束L2及び第四光束L4は、それぞれ、光混合素子203eの第二分色部D2及び第四分色部D4を通過して波長変換素子202の波長変換領域R2に伝播する。本実施例では、波長変換素子202の波長変換領域R2は、第二光束L2及び第四光束L4を励起光束L0に変換し、且つ波長変換領域R2は、励起光束L0を光混合素子203eへ反射する。本実施例では、光混合素子203eの第二分色部D2、第二反射部P2、第四分色部D4及び第四反射部P4は、励起光束L0を反射する。また、本実施例では、第一光束L1の伝播経路は、図2A及び図2Bに示す第一光束L1と同じであり、第三光束L3の伝播経路は、第一光束L1の伝播経路に類似したので、ここでは、その詳細な説明を省略する。上述から分かるように、本実施例の光混合素子203eは、第一光束L1、第二光束L2、第三光束L3、第四光束L4及び励起光束L0が図1に示すような照明光束IL1を構成するようにさせることができる。本実施例では、第一発光素子E1、第二発光素子E2、第三発光素子E3及び第四発光素子E4が発する第一光束L1、第二光束L2、第三光束L3及び第四光束L4は、例えば、青色光束であり、波長変換領域R2からの励起光束L0は、例えば、黄色光束又は緑色光束であるが、本発明は、これに限定されない。また、本実施例では、第一光束L1の伝播経路は、図2A及び図2Bに示す第一光束L1と同じであり、第三光束L3の伝播経路は、第一光束L1の伝播経路に類似したので、ここでは、その詳しい説明を省略する。また、本発明は、発光素子の数量について限定せず、図2A及び図2Bに示す1つの発光素子、及び図8A及び図8Bに示す4つの発光素子の他に、発光素子の数量は、3つ又は4つ以上であっても良く、また、光混合素子の分色部及び反射部の数量は、発光素子の数量に対応して増加又は減少し得る。なお、本発明は、第一反射部、第二反射部、第三反射部、第四反射部、第一分色部、第二分色部、第三分色部及び第四分色部の配列方式について限定せず、例えば、第一反射部P1、第二反射部P2、第三反射部P3、第四反射部P4、第一分色部D1、第二分色部D2、第三分色部D3及び第四分色部D4が第一光混合面SAに配置される模様は、さらに、図8C及び図8Dに示す光混合素子203e、203fのようであっても良いが、本発明は、これに限定されない。他の実施例では、第一反射部PA、第二反射部PB、第三反射部PC、第四反射部PD、第一分色部DA、第二分色部DB、第三分色部DC及び第四分色部DDが第一光混合面SAに配置される模様は、さらに、図8E及び図8Fに示す光混合素子203g、203hのようであっても良いが、本発明は、これに限定されない。他の実施例では、複数の反射部PA、PB、PC、PD、PE、PF、PG、PH及び複数の分色部DA、DB、DC、DD、DE、EF、DG、DHが第一光混合面SAに配置される模様は、さらに、図8Gに示す光混合素子203iのようであっても良いが、本発明は、依然としてこれに限定されない。
【0026】
図9Aは、本発明の他の実施例における照明システムの構造図である。図9Bは、図9Aに示す第一光束が励起光束に変換される光経路を示す図である。図9A及び図9Bに示すように、本実施例の照明システム20fは、図2A及び図2Bに示す照明システムに類似したが、相違点は、主に、本実施例の照明システム20fの励起光源組201は、波長変換素子202と光混合素子203jとの間に位置することにある。図9Aに示すように、本実施例では、波長変換素子202の反射領域R1が第一光束L1の伝播経路に挿入した時に、光混合素子203jの第一分色部D5は、第一光束L1を波長変換素子202の反射領域R1へ反射し、波長変換素子202の反射領域R1は、第一光束L1を光混合素子203jの第一通過部T1へ反射し、光混合素子203jの第一通過部T1は、波長変換素子202の反射領域R1からの第一光束L1を通過させる。図9Bに示すように、本実施例では、波長変換素子202の波長変換領域R2が第一光束L1の伝播経路に挿入した時に、光混合素子203jの第一分色部D5は、第一光束L1を波長変換素子202の波長変換領域R2へ反射し、波長変換素子202の波長変換領域R2は、第一光束L1を励起光束L0に変換し、且つ波長変換領域R2は、励起光束L0を光混合素子203jの第一分色部D5及び第一通過部T1へ反射、第一分色部D5及び第一通過部T1は、励起光束L0を通過させる。
【0027】
しかし、他の実施例では、2つの発光素子(例えば、第一発光素子及び第二発光素子)の間に少なくとも1つの補充用発光素子を配置しても良く、これにより、補充用光束を提供して光束の色の調整の効果を達成することができ、また、光混合素子は、少なくとも1つの第三分色部及び少なくとも1つの第三反射部を有し、且つ少なくとも1つの第三分色部及び少なくとも1つの第三反射部は、対応して補充用光束の伝播経路(例えば、補充用光束が第三分色部を通過し、又は、例えば、第三反射部が補充用光束を反射する)に位置し、以下、例を挙げて説明する。図10は、本発明の他の実施例における照明システムの構造図である。図10に示すように、本実施例の照明システム20gは、図8A及び図8Bに示す照明システム20eに類似したが、相違点は、主に、図8A及び図8Bに示す照明システム20eにおける第一発光素子E1及び第四発光素子E4は、それぞれ、第一補充用発光素子AE1及び第二補充用発光素子AE2に置換され、言い換えると、本実施例の照明システム20gの励起光源組201gは、第一補充用発光素子AE1、第二補充用発光素子AE2、第二発光素子E2及び第三発光素子E3を含むことにある。本実施例では、第三発光素子E3は、第一補充用発光素子AE1と第二補充用発光素子AE2との間に配置され、第二補充用発光素子AE2は、第二発光素子E2と第三発光素子E3との間に配置され、且つ第一補充用発光素子AE1は、第一補充用光束La1を発し、第二補充用発光素子AE2は、第二補充用光束La2を発する。本実施例では、第一補充用光束La1は、光混合素子203eの第一分色部D1を通過して波長変換素子202の反射領域R1に伝播する。本実施例では、波長変換素子202の反射領域R1は、第一補充用光束La1を光混合素子203eの第一反射部P1へ反射し、光混合素子203eの第一反射部P1は、波長変換素子202の反射領域R1からの第一補充用光束La1を反射する。本実施例では、第二補充用光束La2は、光混合素子203の第四分色部D4を通過して波長変換素子202の反射領域R1に伝播し、波長変換素子202の反射領域R1は、第二補充用光束La2を光混合素子203eの第四反射部P4へ反射し、光混合素子203eの第四反射部P4は、波長変換素子202の反射領域R1からの第二補充用光束La2を反射する。このようにして、本実施例の光混合素子203eは、第一補充用光束La1、第二補充用光束La2、第二光束L2、第三光束L3及び励起光束L0が図1に示すような照明光束IL1を構成するようにさせることができる。本実施例では、第一補充用発光素子AE1及び第二補充用発光素子AE2の設置により、光混合素子203eが提供した光束(第二光束L2、第三光束L3、第一補充用光束La1及び第二補充用光束La2、或いは、励起光束L0、第一補充用光束La1及び第二補充用光束La2)の呈色効果を調整/改善することで、投影機の映像品質を向上させることができる。本実施例では、第一補充用発光素子AE1及び第二補充用発光素子AE2が提供する第一補充用光束La1及び第二補充用光束La2は、例えば、赤色光束又は青色光束であるが、本発明は、これに限定されない。なお、本実施例における第一補充用発光素子AE1、第二補充用発光素子AE2、第二発光素子E2及び第三発光素子E3が配列される構造は、図9A及び図9Bの照明システム20f構造に適用することもできる。
【0028】
図11は、本発明の他の実施例における照明システムの構造図である。図11に示すように、本実施例の照明システム20hは、図2A及び図2Bに示す照明システム20に類似したが、相違点は、主に、本実施例の照明システム20hは、さらに補充用光源組209を含むことにある。本実施例では、補充用光源組209は、励起光源組201の一方側に配置され、且つ補充用光源組209は、補充用光束Laを提供し、補充用光源組209が提供した補充用光束Laは、光混合素子203の第一分色部P1を通過する。本実施例では、補充用光源組209の設置により、光混合素子203が提供した光束(第一光束L1及び補充用光束La、或いは、励起光束L0及び補充用光束La)の呈色効果を調整/改善することで、投影機の映像品質を向上させることができる。本実施例では、補充用光源組209が提供する補充用光束Laは、例えば、赤色光束又は青色光束であるが、本発明は、これに限定されない。
【0029】
図12は、本発明の他の実施例における照明システムの構造図である。図12に示すように,本実施例の照明システム20iは、図8A及び図8Bに示す照明システム20eの部分に類似している。本実施例の照明システム20iは、第一発光素子E1、第二発光素子E2、第三発光素子E3、第四発光素子E4、及び光混合素子203eを含む。光混合素子203eは、第一分色部D1、第二分色部D2、第三分色部D3、第四分色部D4、第一反射部P1、第二反射部P2、第三反射部P33、及第四反射部P4を含む。一実施例では,第一発光素子E1は、第一光束L1を提供し、第二発光素子E2は、第二光束L2を提供し、第三発光素子E3は、第三光束L3を提供し、第四発光素子E4は、第四光束L4を提供する。
【0030】
また、本実施例の照明システム20iは、さらに、第一補助発光素子AE1、第二補助発光素子AE2、第三補助発光素子AE3、及第四補助発光素子AE4を含む。第一補助発光素子AE1は、第一補助光束La1を発し、第二補助発光素子AE2は、第二補助光束La2を発し、第三補助発光素子AE3は、第三補助光束La3を発し、第四補助発光素子AE4は、第四補助光束La4を発する。本実施例では、第一補助光束La1は、光混合素子203eの第二分色部D2を通過し、第二補助光束La2は、光混合素子203eの第四分色部D4を通過し、第三補助光束La3は、光混合素子203eの第三分色部D3を通過し、第四補助光束La4は、光混合素子203eの第一分色部D1を通過する。
【0031】
本実施例では、波長変換素子202の反射領域R1が第一光束L1、第二光束L2、第三光束L3及び第四光束L4の伝播経路に挿入した時に、第一光束L1、第二光束L2、第三光束L3及び第四光束L4は、それぞれ、第一分色部D1、第二分色部D2、第三分色部D3及び第四分色部D4を通過し、且つ波長変換素子202の反射領域R1に伝播する。波長変換素子202の反射領域R1は、第一光束L1、第二光束L2、第三光束L3及び第四光束L4を光混合素子203の第一反射部P1、第二反射部P2、第三反射部P3及び第四反射部P4へ反射するために用いられる。また、光混合素子203の第一反射部P1は、第一光束L1を反射し、光混合素子203の第二反射部P2は、第二光束L2を反射し、光混合素子203の第三反射部P3は、第三光束L3を反射し、光混合素子203の第四反射部P4は、第四光束L4を反射するために用いられる。
【0032】
上述の実施例では、波長変換素子202の反射領域R1が第一光束L1、第二光束L2、第三光束L3及び第四光束L4の伝播経路に挿入した時に、第一発光素子E1、第二発光素子E2、第三発光素子E3及び第四発光素子E4は、それぞれ、第一光束L1、第二光束L2、第三光束L3及び第四光束L4を発する。同時に、第一補助発光素子AE1、第二補助発光素子AE2、第三補助発光素子AE3及び第四補助発光素子AE4は、それぞれ、第一補助光束La1、第二補助光束La2、第三補助光束La3及び第四補助光束La4を発する。
【0033】
図12に示すように、第一発光素子E1、第二発光素子E2、第三発光素子E3及び第四発光素子E4は、光混合素子203eの一側辺に設置され、第一補助発光素子AE1、第二補助発光素子AE2、第三補助発光素子AE3及び第四補助発光素子AE4は、光混合素子203eの同一側辺に設置される。
【0034】
図13は、本発明の他の実施例における照明システムの構造図である。図13に示すように、本実施例の照明システム20jは、図8A図8B及び図12に示す照明システムの部分に類似している。本実施例の照明システム20jは、第一発光素子E1、第二発光素子E2、第三発光素子E3、第四発光素子E4、及び光混合素子203eを含む。光混合素子203eは、第一分色部D1、第二分色部D2、第三分色部D3、第四分色部D4、第一反射部P1、第二反射部P2、第三反射部P33及び第四反射部P4を含む。一実施例では、第一発光素子E1は、第一光束L1を提供し、第二発光素子E2は、第二光束L2を提供し、第三発光素子E3は、第三光束L3を提供し、第四発光素子E4は、第四光束L4を提供する。
【0035】
また、本実施例の照明システム20jは、さらに、第一補助発光素子AE1、第二補助発光素子AE2、第三補助発光素子AE3及び第四補助発光素子AE4を含む。第一補助発光素子AE1は、第一補助光束La1を発し、第二補助発光素子AE2は、第二補助光束La2を発し、第三補助発光素子AE3は、第三補助光束La3を発し、第四補助発光素子AE4は、第四補助光束La4を発する。本実施例では、第一補助光束La1は、光混合素子203eの第一反射部P1により反射され、第二補助光束La2は、光混合素子203eの第二反射部P2により反射され、第三補助光束La3は、光混合素子203eの第三反射部P3により反射され、第四補助光束La4は、光混合素子203eの第四反射部P4により反射される。
【0036】
本実施例では、波長変換素子202の反射領域R1が第一光束L1、第二光束L2、第三光束L3及び第四光束L4の伝播経路に挿入した時に、第一光束L1、第二光束L2、第三光束L3及び第四光束L4は、それぞれ、光混合素子203の第一反射部P1、第二反射部P2、第三反射部P3及び第四反射部P4により、波長変換素子202の反射領域R1へ反射される。波長変換素子202による反射領域R1は、第一光束L1、第二光束L2、第三光束L3及び第四光束L4を反射するために用いられる。第一光束L1、第二光束L2、第三光束L3及び第四光束L4は、それぞれ、第一分色部D1、第二分色部D2、第三分色部D3及び第四分色部D4を通過する。
【0037】
上述の実施例では、波長変換素子202の反射領域R1が第一光束L1、第二光束L2、第三光束L3及び第四光束L4の伝播経路に挿入した時に、第一発光素子E1、第二発光素子E2、第三発光素子E3及び第四発光素子E4は、それぞれ、第一光束L1、第二光束L2、第三光束L3及び第四光束L4を発する。同時に、第一補助発光素子AE1、第二補助発光素子AE2、第三補助発光素子AE3及び第四補助発光素子AE4は、それぞれ、第一補助光束La1、第二補助光束La2、第三補助光束La3及び第四補助光束La4を発する。
【0038】
図13に示すように、第一発光素子E1、第二発光素子E2、第三発光素子E3及び第四発光素子E4は、光混合素子203eの一側辺に設置され、第一補助発光素子AE1、第二補助発光素子AE2、第三補助発光素子AE3及び第四補助発光素子AE4は、光混合素子203eの相対する他の側辺に設置される。
【0039】
以上を纏めると、本発明の実施例による照明システムでは、励起光源組と波長変換素子との間に光混合素子が配置され、且つ光混合素子の少なくとも1つの第一分色部及び少なくとも1つの第一反射部がそれぞれ第一光混合面の第一象限及び第三象限に対応し、このような構造設計により、光路を簡略化し得る効果を有効に達成することができるので、照明システムの光学素子の数量を大幅に減らし、コストを低減し、体積を小さくすることができるとともに、補充用光源を増設しやすい。また、本発明の実施例の投影機は、このような照明システムを採用するので、コストが低く、且つ体積が小さい利点を有する。
【0040】
本発明は、前述した好適な実施例に基づいて以上のように開示されたが、前述した好適な実施例は、本発明を限定するためのものでなく、当業者は、本発明の思想と範囲を離脱しない限り、本発明に対して些細な変更と潤色を行うことができるので、本発明の保護範囲は、添付した特許請求の範囲に定まったものを基準とする。また、本発明の何れの実施例又は特許請求の範囲は、本発明に開示された全ての目的又は利点又は特徴を達成する必要がない。また、要約の一部と発明の名称は、文献の検索を助けるためのみのものであり、本発明の権利範囲を限定するものでない。また、本明細書又は特許請求の範囲に言及されている「第一」、「第二」などの用語は、要素(element)に名前を付け、または、異なる実施例又は範囲を区別するためのものみであり、要素の数量上での上限又は下限を限定するためのものでない。
【符号の説明】
【0041】
2:投影機
20、20a、20b、20c、20d、20e、20f、20g、20h、20i、20j:照明システム
22:オプトメカニカルモジュール
24:レンズ
201、201e、201g:励起光源組
202、202a、202b、202c:波長変換素子
203、203d、203e:光混合素子
204:レンズ組
205:反射膜層
206:拡散構造
207:波長変換物質
208:拡散構造
209:補充用光源
220:ライトバルブ
AA、BB:線分
AE1:第一補充用発光素子
AE2:第二補充用発光素子
D1:第一分色部
D2:第二分色部
D3:第三分色部
D4:第四分色部
E1:第一発光素子
E2:第二発光素子
E3:第三発光素子
E4:第四発光素子
G1:第一象限
G2:第二象限
G3:第三象限
G4:第四象限
IL1:照明光束
IL2:映像光束
IL3:投影光束
L1:第一光束
L2:第二光束
L3:第三光束
L4:第四光束
L0:励起光束
La:補充用光束
La1:第一補充用光束
La2:第二補充用光束
SA:第一光混合面
P1:第一反射部
P2:第二反射部
P3:第三反射部
P4:第四反射部
R1:反射領域
R2:波長変換領域
S1:第一表面
S2:第二表面
S3:反射面
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13