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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】除草作業機
(51)【国際特許分類】
   A01B 39/18 20060101AFI20220808BHJP
   A01M 21/04 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
A01B39/18 Z
A01M21/04 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018220410
(22)【出願日】2018-11-26
(65)【公開番号】P2020080732
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2020-12-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100120341
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】志摩 秀和
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-056739(JP,A)
【文献】実開昭57-115830(JP,U)
【文献】特開平04-197125(JP,A)
【文献】特開平05-103576(JP,A)
【文献】米国特許第06237278(US,B1)
【文献】特開2013-099320(JP,A)
【文献】特開平03-083534(JP,A)
【文献】特開平06-022673(JP,A)
【文献】特開2017-158533(JP,A)
【文献】特開2009-254343(JP,A)
【文献】特開平08-056548(JP,A)
【文献】特開2003-250421(JP,A)
【文献】特開平05-056741(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 39/18
A01M 21/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、
前記車体に搭載された運転席と、
前記車体を走行可能に支持する走行装置と、
前記車体の下方に設けられ、地面に植生した除去対象となる植物に向けて放電可能な放電装置と、
を備え
前記走行装置は、前記車体の前部に設けられた前輪と、前記車体の後部に設けられた後輪と、を有し、
前記放電装置は、絶縁性の外殻体と、前記外殻体により覆われ且つ前記地面に向けて放電を行う放電部と、を有しているとともに、前記運転席の下方であって且つ前記前輪と前記後輪の間に設けられており、
前記放電装置の周囲には、絶縁性のカバーが設けられており、
前記車体は、前記運転席の側方に前記前輪及び前記後輪よりも車体幅方向の外方に拡がる拡張部を有し、
前記拡張部は、前記絶縁性のカバーの上方において、前記絶縁性のカバーよりも車体幅方向の外方まで拡がっている除草作業機。
【請求項2】
前記放電装置は、上方から見たときに前記車体により覆われている請求項に記載の除草作業機。
【請求項3】
前記放電装置を昇降させる昇降装置を備えている請求項1又は2に記載の除草作業機。
【請求項4】
前記外殻体は、前記車体の走行に伴って地面に当接しながら回転する円筒形である請求項1~3のいずれか1項に記載の除草作業機。
【請求項5】
前記放電装置の周囲に導電性の接地部が設けられている請求項1~のいずれか1項に記載の除草作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電を利用して除草を行う除草作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示された除草作業機が知られている。
特許文献1に開示の除草作業機は、高電圧発生装置と、植物に対して放電を行うための電極と、植物を切断する切削刃とを備えている。高電圧発生装置及び電極は、切断刃の上方に配置されており、放電を利用して草を枯死させる除草と植物の切断による除草とを行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-186324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記除草作業機においては、作業者が歩いて移動しながら除草作業を行わなければならないために作業性が悪い。加えて、作業者の足元前方で放電が生じるため、作業者が除草作業中に放電に対して十分に注意を払う必要がある。
本発明は、上記したような実情に鑑みて、除草作業の作業性及び安全性に優れた除草作業機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る除草作業機は、車体と、前記車体に搭載された運転席と、前記車体を走行可能に支持する走行装置と、前記車体の下方に設けられ、地面に植生した除去対象となる植物に向けて放電可能な放電装置と、を備え、前記走行装置は、前記車体の前部に設けられた前輪と、前記車体の後部に設けられた後輪と、を有し、前記放電装置は、絶縁性の外殻体と、前記外殻体により覆われ且つ前記地面に向けて放電を行う放電部と、を有しているとともに、前記運転席の下方であって且つ前記前輪と前記後輪の間に設けられており、前記放電装置の周囲には、絶縁性のカバーが設けられており、前記車体は、前記運転席の側方に前記前輪及び前記後輪よりも車体幅方向の外方に拡がる拡張部を有し、前記拡張部は、前記絶縁性のカバーの上方において、前記絶縁性のカバーよりも車体幅方向の外方まで拡がっている
【0006】
また、前記放電装置は、上方から見たときに前記車体により覆われている。
また、除草作業機は、前記放電装置を昇降させる昇降装置を備えている。
【0007】
また、前記外殻体は、前記走行車両の走行に伴って地面に当接しながら回転する円筒形である。
また、前記放電装置の周囲に導電性の接地部が設けられている。
【発明の効果】
【0008】
上記除草作業機によれば、走行しながら放電装置で放電を行って除草を行うことができるため、除草作業の作業性に優れている。また、放電装置は、車体の下方に設けられているため、作業者が放電を受ける危険性がなく、安全性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る除草作業機の側面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る除草作業機の平面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る除草作業機の正面図である。
図4】除草作業機のフレーム構造(車体フレーム)を示す側面図である。
図5】除草作業機のフレーム構造(車体フレーム)を示す平面図である。
図6】放電装置を示す斜視図である。
図7】放電装置を示す正面図である。
図8】外殻体の内部構造を示す斜視図である。
図9】外殻体の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1図3は、本発明の一実施形態に係る除草作業機1の全体図を示している。
本発明の実施形態において、運転席6に着座した作業者(運転者)の前側(図1図2の矢印A1方向)を前方、作業者の後側(図1図2の矢印A2方向)を後方、作業者の左側(図2の矢印B1方向)を左方、作業者の右側(図2の矢印B2方向)を右方として説明する。また、前後方向K1に直交する水平方向(図2の矢印K2方向)を車両幅方向として説明する。
【0011】
除草作業機1は、走行車両2と放電装置3とを備えている。
走行車両2は、自走可能な車両であって、車体4と走行装置5とを備えている。
車体4には、運転席6が搭載されている。運転席6は、座部6aと背もたれ部6bとを有している。走行装置5は、車体4を走行可能に支持している。走行装置5は、前輪5FL,5FRと後輪5RL,5RRとを有している。前輪5FL,5FRは、車体4の前部に設けられている。後輪5RL,5RRは、車体4の後部に設けられている。
【0012】
走行車両2には、原動機7が設けられている。本実施形態の場合、原動機7は、エンジンであるが、モータであってもよい。原動機7は、車体4の後部に搭載されている。原動機7の前方に運転席6が設けられている。図1に示すように、運転席6の座部6aは、走行車両2の高さ方向(上下方向)において、原動機7とオーバラップしている。運転席6の座部6aの上面(座面)は、原動機7の上端部よりも下方に位置している。
【0013】
また、車体4には、バッテリ8が搭載されている。バッテリ8は、図示例では車体4の前部に搭載されているが、車体4の後部に搭載してもよい。原動機7がエンジンである場合、車体4にはオルタネータ9が搭載される。オルタネータ9は、エンジンの回転駆動力を受けて発電する。オルタネータ9の発電により生じた電気は、バッテリ8に蓄えられる。原動機7がモータである場合、モータはバッテリ8から供給される電力により駆動する。原動機7の上方及び側方は、原動機カバー10により覆われている。
【0014】
走行車両2の運転席6の前方には、操縦台11、操舵装置(ステアリングハンドル)12、アクセルペダル(走行ペダル)13、ブレーキペダル14が設けられている。
操舵装置12は、操縦台11に支持されている。図1等に示すように、操舵装置12は、前後方向において、前輪5FL,5FRとオーバラップしている。アクセルペダル13は、操縦台11の側方(右方)に設けられている。アクセルペダル13は、前進用ペダル13Fと後進用ペダル13Rとを含む。前進用ペダル13Fは、後進用ペダル13Rの前方に配置されている。ブレーキペダル14は、操縦台11の側方(左方)に設けられている。
【0015】
アクセルペダル13の前方及びブレーキペダル14の前方は、カバー等により遮られておらず、開放されている。言い換えれば、走行車両2の前方からアクセルペダル13及びブレーキペダル14を視認することができる(図3参照)。操縦台11の前方は、前カバー18により覆われている。図2に示すように、前カバー18の幅W1は、運転席6の幅よりも狭い。図1に示すように、前カバー18の上面は、側面視において、前方に向かうにつれて下方に移行するように傾斜している。
【0016】
図1図3に示すように、車体3は、運転席6の側方に拡張部21L,21Rを有している。拡張部21Lは、運転席6の左方において、前輪5FL及び後輪5RLよりも左方まで拡がっている。拡張部21Rは、運転席6の右方において、前輪5FR及び後輪5RRよりも右方まで拡がっている。
図4図5に示すように、車体4は、車体フレーム15を備えている。車体フレーム15は、ベースフレーム15A、前フレーム15B、後フレーム15C、連結部材15D、支持板15Eを有している。連結部材15Dは、第1連結部材15D1、第2連結部材15D2、第3連結部材15D3、第4連結部材15D4を含む。
【0017】
ベースフレーム15Aは、第1ベースフレーム15ALと第2ベースフレーム15ARとを含む。第1ベースフレーム15ALは、走行車両2の左下部に配置されており、前後方向に延びている。第2ベースフレーム15ARは、走行車両2の右下部に配置されており、前後方向に延びている。前フレーム15Bは、平面視にてC字状に形成されている。前フレーム15Bの一端部は、第1ベースフレーム15ALの左側面の前部に接続されている。前フレーム15Bの他端部は、第2ベースフレーム15ARの右側面の前部に接続されている。前フレーム15Bは、ベースフレーム15Aから前上方に向けて立ち上がった後、ベースフレーム15Aの前端部よりも前方まで延びている。第1ベースフレーム15ALの前端部と前フレーム15Bの前部とは、第1連結部材15D1により連結されている。第2ベースフレーム15ARの前端部と前フレーム15Bの前部とは、第2連結部材15D2により連結されている。第1連結部材15D1は、第1ベースフレーム15ALの前端部から前方に延びた後、屈曲して上方に延びている。第2連結部材15D2は、第2ベースフレーム15ARの前端部から前方に延びた後、屈曲して上方に延びている。
【0018】
後フレーム15Cは、後部位15CBと、左部位15CLと、右部位15CRと、を有している。後部位15CBは、走行車両2の後部に配置されており、車両幅方向に延びている。左部位15CLは、後部位15CBの左端部から前方に向けて屈曲している。右部位15CRは、後部位15CBの右端部から前方に向けて屈曲している。後フレーム15Cは、平面視にてU字状を呈している。左部位15CLの前端部は、第3連結部材15D3により第1ベースフレーム15ALの前後方向の中途部と連結されている。右部位15CRの前端部は、第4連結部材15Dにより第2ベースフレーム15ARの前後方向の中途部と連結されている。左部位15CLの後部寄りの部分と右部位15CRの後部寄りの部分とは、支持板15Eにより接続されている。支持板15Eは、原動機7の下部を支持している。
【0019】
図1図3に示すように、除草作業機1は、ステップ16,17を備えている。ステップ16,17は、運転席6の下側に設けられている。ステップは、第1足置き部16と第2足置き部17とを有している。第1足置き部16は、操縦台11の両側(左側と右側)に位置する。また、第1足置き部16は、前カバー18の両側(左側と右側)に位置する。第1足置き部16は、操舵装置12よりも前方まで延びている。第1足置き部16は、前輪5FL,5FRの上方に配置されている。前輪5FLの左端は、左側の第1足置き部16の左端よりも左方に位置している。前輪5FRの右端は、右側の第1足置き部16の右端よりも右方に位置している。
【0020】
第1足置き部16の前方は開放されている。言い換えれば、走行車両2の前方から第1足置き部16を視認することができる(図3参照)。第2足置き部17は、第1足置き部16の後方に設けられている。第2足置き部17は、操縦台11と運転席6との間に配置されている。
以上走行車両2の構成について説明したが、除草作業機1の走行車両2の構成は、牽引を必要とせずに自力走行が可能な車両であればよく、上述した構成には限定されない。また、走行車両2は、運転者(作業者)が乗って走行する車両には限定されず、遠隔操作や自動走行によって無人で走行する車両であってもよい。
【0021】
放電装置3は、地面に植生した除去対象となる植物に向けて放電可能である。図1図3に示すように、放電装置3は、車体4の下方に設けられている。また、放電装置3は、前輪5FL,5FRと後輪5RL,5RRとの間に設けられている。また、放電装置3は、運転席6の下方に設けられている。より詳しくは、放電装置3は、運転席6の座部6aの下方に設けられている。また、放電装置3は、前後方向において、操舵装置12の後方に設けられている。
【0022】
尚、図示例では車体4の下方に設けられた放電装置3は1つであるが、複数の放電装置3を車体4の下方にて前後方向又は車両幅方向に並べて配置してもよい。
以下、図6図9に基づいて放電装置3の構成を説明する。但し、図6図9は、放電装置3の一例を示す図であって、放電装置3の構成は図6図9に示す構成には限定されない。
【0023】
放電装置3は、本体30と取付部材31とを有している。
本体30は、外殻体32、放電部33等を有している。外殻体32は、放電部33の周囲を覆っている。本実施形態の場合、外殻体32は円筒形である。但し、外殻体32の形状は円筒形には限定されない。例えば、外殻体32は、放電部33の周囲(前方、後方、左方、右方)及び上方を覆い、下方のみが開口した直方体の箱形であってもよい。
【0024】
外殻体32は、絶縁性の素材から構成されている。外殻体32は、長さ方向(円筒中心軸方向)が車両幅方向を向いて配置されている。
図3に示すように、放電装置3の車両幅方向の長さW2は、走行車両2の幅(車両幅方向の長さ)W3よりも短い。図2に示すように、上方から見たとき、放電装置3は、走行車両2により覆われている。また、図3に示すように、放電装置3の車両幅方向の長さW2は、走行車両2の左の前輪5FLと右の前輪5FRとの内幅W4よりも短い。また、放電装置3の車両幅方向の長さW2は、左の後輪5RLと右の後輪5RRとの内幅よりも短い。但し、放電装置3の車両幅方向の長さW2は、図2図3に示す長さよりも長くてもよい。
【0025】
例えば、放電装置3の車両幅方向の長さW2は、走行車両2の左の車輪5FL,5RLと右の車輪5FR,5RRとの内幅W4よりも長く、走行車両2の左の車輪5FL,5RLと右の車輪5FR,5RRとの外幅W5よりも短くてもよい。或いは、図2の仮想線L1に示すように、放電装置3の車両幅方向の長さW2は、拡張部21L,21Rの下方に至るまで延びる長さとしてもよい。
【0026】
外殻体32は、取付部材31の下部に、車両幅方向の軸回りに回転可能に取り付けられている。図1の矢印C1に示すように、外殻体32は、車体4の下方に配置され、走行車両2の走行に伴って地面に当接しながら回転する。但し、外殻体32は、地面との間に距離をあけて配置してもよい。
図7図8に示すように、導電軸34は、外殻体32の内部に配置され、外殻体32の長さ方向の一端部から他端部にわたって延びている。外殻体32は、導電軸34に対して回転自在に連結されている。導電軸34には、印加電極35が設けられている。印加電極35は、導電軸34と電気的に接続されている。印加電極35には、高電圧ケーブル36及び導電軸34を介して高電圧が印加される。印加電極35は、導電軸34の長さ方向に間隔をあけて複数設けられている。本実施形態の場合、印加電極35の数は5つであるが、印加電極35の数は限定されない。印加電極35は、先端部が尖っている。印加電極35は、導電軸34に対して軸受を介して回転自在に取り付けられており、導電軸34が回転しても自重で先端部が下向きとなる。
【0027】
図7図9に示すように、外殻体32の内側面には、複数の板状の受電部37が取り付けられている。複数の受電部37は、互いに間隔をあけて配置されており、互いに絶縁されている。尚、図7では、1つの受電部37のみを図示している。印加電極35の先端部と、当該先端部の下方にある受電部37との間には隙間が設けられている。印加電極35に高電圧が印加されると、印加電極35の先端部と受電部37との間の隙間で放電(プラズマ放電)が起こる。つまり、印加電極35と受電部37とにより放電部が構成されている。
【0028】
図6図9に示すように、外殻体32は、受電部37同士の間に貫通孔38を有している。貫通孔38の形状は、外殻体32の長さ方向に長く延びた長円形状である。但し、貫通孔48の形状は、長円形状には限定されない。印加電極35と受電部37との間の隙間で起こった放電に起因する放電生成物(空気イオン等)は、貫通孔38を通って外殻体32の外部に出てくる。また、帯電した受電部37から地面に対して二次放電による放電が生じる。
【0029】
取付部材31は、本体30を他の部分(走行車両2の車体4)に取り付けるための部材である。取付部材31は、絶縁性の素材から構成されている。取付部材31には、本体30が取り付けられている。本実施形態の場合、取付部材31の下部に外殻体32が回転可能に取り付けられている。
取付部材31は、外殻体32の長さ方向(円筒の中心軸方向)の一端側と他端側にそれぞれ配置されている。以下、外殻体32の長さ方向の一端側に配置された取付部材を31Lと表記し、外殻体32の長さ方向の一端側に配置された取付部材を31Rと表記する場合がある。取付部材31Lと取付部材31Rとは、接続部材39により接続されている。
【0030】
図7図8に示すように、取付部材31及び接続部材39は内部に空間を有しており、当該空間に高電圧ケーブル36が挿通されている。高電圧ケーブル36の基端側は、取付部材31から取り出されてトラクタ2に配置された高電圧発生部(図示略)と接続されている。高電圧発生部は、オルタネータ9により発電された電気(バッテリ8に蓄えられた電気を含む)を昇圧してパルス状の高電圧にて高電圧ケーブル36へと送ることができる。高電圧ケーブル36は、中途部で二股に分岐されており、他端側は導電軸34の一端側と他端側とにそれぞれ接続されている。これにより、高電圧ケーブル36から導電軸34の両端部に高電圧を印加することができる。
【0031】
図1図4に示すように、取付部材31の上部は、走行車両2の車体4の下部に取り付けられる。詳しくは、取付部材31の上部は、運転席6の下方であって前輪5FL,5FRと後輪5RL,5RRの間において、車体4の下部に取り付けられる。図4図5に示すように、車体フレーム15の下部には取付部15aが設けられており、取付部材31の上部31aはボルトやナット等の取付具を介して取付部15aに取り付けられる。
【0032】
取付部材31は、長さ調整が可能な構成(伸縮可能な構成)としてもよい。取付部材31の長さを調整可能とすることにより、外殻体32(本体30)の地面からの高さを調整することが可能となる。例えば、外殻体32を接地して配置することもできるし、地面との間に隙間をあけて配置することもできる。
また、取付部材31の長さを一定として放電装置3を昇降させる昇降装置(図示略)を設けてもよい。昇降機構は、例えばシリンダ装置から構成され、当該シリンダ装置のロッドに取付部材31を取り付けることにより放電装置3を昇降させることができる。これにより、外殻体32の地面からの高さを調整することが可能となる。
【0033】
図1図3図5に示すように、放電装置3の周囲には、カバー19が設けられている。カバー19は、放電装置3の周囲を覆うように設けられている。具体的には、カバー1は、放電装置3の側方(左方、右方)、前方、後方を覆うように設けられており、下方は開放されている。また、カバー1は、放電装置3の上方も覆うことが好ましい。この場合、拡張部21L,21Rの全体又は一部(少なくとも下面)を絶縁性素材から構成してカバー19の一部(左上部及び右上部)とすることができる。カバー19の下端部の高さは、放電装置3の下端部の高さ以下であることが好ましい。
【0034】
カバー19は、前輪5FL,5FRと後輪5RL,5RRとの間に設けられている。カバー19は、底面視において運転席6を覆う範囲に設けられている。具体的には、カバー19の前端部は運転席6の前端部よりも前方に位置し、カバー19の後端部は運転席6の後端部よりも後方に位置している。カバー19の左端部は運転席6の左端部よりも左方に位置し、カバー19の右端部は運転席6の右端部よりも右方に位置している。
【0035】
カバー31は、少なくとも内面(放電装置3側を向く面)が絶縁性の素材から構成されていることが好ましく、全体が絶縁性の素材から構成されていることがより好ましい。これにより、放電装置3からカバー31への放電を防止することができる。
また、放電装置3の周囲には、導電性の接地部20が設けられている。接地部20は、放電装置3からの漏電等が生じた場合に、電流を地面(アース)に逃がすことができる。これにより、作業者の感電を防止することができる。図示例では、接地部20はカバー19に取り付けられて下方に延びているが、接地部20は放電装置3の周囲におけるカバー19以外の部位(例えば、車体フレーム15等)に取り付けてもよい。
【0036】
放電装置3を作動させた状態で、走行車両2の走行により外殻体32を除去対象となる植物(雑草等)の上方を通過させると、放電装置3の放電部(印加電極35、受電部37)から除去対象となる植物に向けて放電される。これにより、除去対象となる植物に対して電撃が与えられるため、当該植物を枯死させることができる。また、当該植物の周辺の土壌を殺菌したり、センチュウ等の害虫を死滅させたりすることもできる。
【0037】
放電装置3による放電は、走行車両2の下方にて地面に向けて行われる。そのため、運転席6に着座した作業者が放電を受ける危険性がなく、安全性に優れている。
<効果>
上記除草作業機によれば、以下の効果を奏する。
除草作業機1は、車体4と、車体4を走行可能に支持する走行装置5と、車体4の下方に設けられ、地面に植生した除去対象となる植物に向けて放電可能な放電装置3と、を備えている。
【0038】
この構成によれば、走行しながら放電装置3で放電を行って除草を行うことができるため、除草作業の作業性に優れている。また、放電装置3が車体4の下方に設けられているため、作業者が放電を受ける危険性がなく、安全性に優れている。
また、走行装置5は、車体4の前部に設けられた前輪5FL,5FRと、車体4の後部に設けられた後輪5RL,5RRと、を有し、放電装置3は、前輪5FL,5FRと後輪5RL,5RRの間に設けられている。
【0039】
この構成によれば、放電装置3が前輪5FL,5FRと後輪5RL,5RRの間に設けられているため、放電装置3からの放電が放電対象となる植物以外に向かうことを効果的に防止でき、安全性に優れている。
また、除草作業機1は車体4に搭載された運転席6を備え、放電装置3は運転席6の下方に設けられている。
【0040】
この構成によれば、放電装置3が運転席6の下方に設けられているため、作業者が放電を受ける危険性がなく、安全性に優れている。
また、放電装置3は、上方から見たときに車体4により覆われている。
この構成によれば、放電装置3の上方が車体4により覆われているため、放電装置3からの上方に向かう放電が生じたとしても、当該放電は車体4により遮られて車体4上に乗った作業者に到達しない。そのため、作業者が放電を受ける危険性がなく、安全性に優れている。
【0041】
また、除草作業機1は、放電装置3を昇降させる昇降装置を備えている。
この構成によれば、放電装置3を昇降させることによって、放電装置3を除去対象となる植物(雑草等)に接近させたり、除去対象外の植物(農作物等)から離反させたりすることができる。そのため、除去対象となる植物に対して確実に放電することができると共に、除去対象外の植物に対する放電を回避することができる。
【0042】
また、放電装置3は、絶縁性の外殻体32と、外殻体32により覆われ且つ地面に向けて放電を行う放電部33と、を有している。
この構成によれば、放電部33が絶縁性の外殻体32に覆われることにより、放電部33への接触を防止することができる。また、放電部33から地面に向けて放電が行われるため、除草を効率的に行うことができる。
【0043】
また、外殻体32は、車体4の走行に伴って地面に当接しながら回転する円筒形である。
この構成によれば、外殻体32が地面に当接しながら回転することで、地面に植生した除去対象の植物に対して放電部33を接近させることができるため、当該植物に対する放電を確実に行うことが可能となる。
【0044】
また、放電装置3の周囲に絶縁性のカバー31が設けられている。
この構成によれば、放電装置3からの放電による作業者の感電を防止することができる。
また、放電装置3の周囲に導電性の接地部32が設けられている。
この構成によれば、接地部32がアース電極として機能するため、放電装置3からの漏電等に起因する作業者の感電を防止することができる。
【0045】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0046】
1 除草作業機
4 車体
5 走行装置
3 放電装置
5FL,5FR 前輪
5RL,5RR 後輪
6 運転席
32 外殻体
33 放電部
19 カバー
20 接地部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9