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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】患者治療装置固有構成出力
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/168 20060101AFI20220808BHJP
   A61M 5/142 20060101ALI20220808BHJP
   A61M 5/172 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
A61M5/168 500
A61M5/168 550
A61M5/142 500
A61M5/172
【請求項の数】 4
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018248490
(22)【出願日】2018-12-28
(62)【分割の表示】P 2015553710の分割
【原出願日】2013-03-15
(65)【公開番号】P2019048232
(43)【公開日】2019-03-28
【審査請求日】2019-01-25
【審判番号】
【審判請求日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】61/755,873
(32)【優先日】2013-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514000967
【氏名又は名称】バクスター・コーポレーション・イングルウッド
【氏名又は名称原語表記】BAXTER CORPORATION ENGLEWOOD
【住所又は居所原語表記】9540 S.Maroon Circle,Suite 400,Englewood,CO 80112 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】デニス・アイ・シュナイダー
(72)【発明者】
【氏名】デニス・エイ・トゥリブル
【合議体】
【審判長】佐々木 一浩
【審判官】井上 哲男
【審判官】松田 長親
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-506103(JP,A)
【文献】米国特許第5153827(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の種類の患者治療装置と、構成出力生成器とを含んだシステムの、プロセッサを有するコンピュータを用いた作動方法であって、
患者に施与される療法に対応する療法説明の少なくとも一部を含む指示を、前記プロセッサが実行する前記構成出力生成器により受け取るステップ(302)と、ただし、施与される前記療法は、輸液装置(200)を使用した患者への静脈注射用流体(252)の施与を含む、
前記患者に前記療法を施与するために使用する、療法施与のための少なくとも1つの所定の構成手順を有する患者治療装置を、前記複数の種類の患者治療装置のうちから、前記プロセッサが実行する前記構成出力生成器によって識別するステップ(304)と、ただし前記所定の構成手順が、識別された患者治療装置を療法施与のために構成するためのものであって、かつ、前記所定の構成手順が、複数の患者治療装置構成データを入力するための所定のデータ入力シーケンスを備え、
前記療法を施与する前記識別された患者治療装置を手動で構成するのに使用する、患者治療装置構成データを含む前記指示のための構成出力を、前記患者に施与される療法に対応する療法説明および前記所定の構成手順のそれぞれの少なくとも一部に少なくとも部分的に基づいて、前記コンピュータで自動化された態様で、前記プロセッサが実行する前記構成出力生成器によって少なくとも部分的に生成するステップ(316)と、
前記患者に前記療法を施与する前記患者治療装置にて患者治療装置構成データを手動で入れるために、患者治療装置構成データを転写するときにケア提供者が使用するために前記構成出力を含むラベル(262、262’)を印刷する命令を、前記プロセッサが実行する前記構成出力生成器によって生成するステップと、ただし前記構成出力を、前記所定のデータ入力シーケンスに基づいて、前記ラベル(262)上に表示することで、前記識別された患者治療装置を使用して前記患者に施与される前記療法と関連する容器(250)に、前記ラベル(262、262’)が前記ケア提供者によって貼付されるように前記ラベル(262、262’)を構成し、
前記ラベル(262)に表示された前記構成出力から、前記所定のデータ入力シーケンスに従って前記ケア提供者が行う、対応する複数の患者治療装置構成データを含む入力を、前記プロセッサが実行する前記構成出力生成器によって、前記識別された患者治療装置(140)に対して提供するステップと
を含み、
前記識別された患者治療装置(140)の動作が、受け付けられた前記入力に少なくとも部分的に基づき、
前記複数の患者治療装置構成データが、
患者治療施設内における患者の位置を示すデータ、
所定の複数の投与類型のいずれかを示すデータ、
少なくとも1つの治療効果のある薬を示すデータ、
投与濃度を示すデータ、
投与速度を示すデータ、および
投与量を示すデータ
の少なくとも1つの種類のデータを含む、方法。
【請求項2】
前記識別するステップ(304)が、
前記患者に前記療法を施与するために使用する、それぞれに異なる所定の構成手順を有する前記複数の種類の患者治療装置のいずれかを識別するステップ、
前記療法説明を前記所定の構成手順の少なくとも一部との関連で分析して、前記療法説明が前記構成手順の前記一部に適合するか否かを判断するステップ、
前記療法説明が前記構成手順の前記一部に不適合であるときにユーザーインターフェイス装置で出力警告を提供するステップ、及び
前記出力警告に応答して、前記構成手順の前記一部に適合する、前記指示に対応した療法情報を受け取るステップ、
を含み、
前記療法情報が前記生成するステップ(316)で使用される
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記生成するステップ(316)を完了する前に、前記構成手順の前記一部に適合する前記療法情報の受け取りを要求するステップ
をさらに含み、
前記構成手順の前記一部が、少なくとも1つの構成パラメータを含み、
前記療法説明の前記不適合が構成パラメータの欠如、又は、前記少なくとも1つの構成パラメータに関する矛盾した情報の少なくとも一方を含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記療法説明の少なくとも一部を、用量説明の少なくとも1つの部分の測定単位変換を実行することにより、前記構成手順の前記一部に適合しない第1形式から、前記構成手順の前記一部に適合する第2形式に変換するステップ(312)
をさらに含む請求項2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2013年1月23日に提出された米国仮特許出願第61/755,873号「PATIENT CARE DEVICE-SPECIFIC CONFIGURATION OUTPUT」の優先権を主張するものであり、当該米国仮特許出願の全体を本明細書にて引用により援用する。
【背景技術】
【0002】
情報伝達の誤りは、患者への医学的療法の施与において、依然として多様且つ広範な課題となっている。特に、ケア提供者が患者に施与される療法に関連する命令に基づいて患者治療装置を構成する必要があるとき(たとえば、ケア提供者が構成入力をある位置から患者治療装置に転写しなければならないとき)に、誤りが生じ得る。上記文脈において、誤りは、データの転写の誤り、非効率的なコミュニケーション様式、及び/又は、不正確なデータ変換など、複数の様式を通じて入り込む可能性がある。
【0003】
そのような誤りが入り込み得るシナリオの1つは、患者治療装置の構成に、医師等のケア提供者により生成された投与指示に対応する静脈注射用流体の施与に関する構成可能な輸液装置の構成が含まれる場合である。静脈注射用流体の施与に関わる療法の性質を考えると、上記文脈での誤りは、長期的な傷害を引き起こしたり、場合によっては患者の生命を脅かしたりする可能性がある。したがって、患者治療装置、なかでも構成可能な輸液装置の構成に関連する誤りを減らすことが、依然としてきわめて重要である。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、一般的には、薬剤を静脈内施与するケア提供者により患者治療装置(たとえば、構成可能な輸液ポンプまたは同様の装置)の構成に関連して使用される患者治療装置固有構成出力の生成および/または使用に関する。詳細には、構成出力は、療法施与指示と、療法を施与するために使用される識別された患者治療装置とに基づき得る。これに関し、療法を施与するために使用される患者治療装置が識別されると、識別された患者治療装置に関連する特定の構成手順が把握され得る。そのため、構成出力を生成するときに、構成出力は、患者治療装置を構成するために必要な構成データの識別、構成データを提示する順序、構成データを提示する形式等に関して、構成手順に対応することができる。
【0005】
従って、そのような構成出力は、患者治療装置を構成するときに、いくつかの点で有益であろうことが理解されよう。たとえば、構成出力を、指示と、療法を施与するために使用される識別された患者治療装置とに基づいて生成することで、構成出力は、施与ケア提供者が(たとえば、構成出力の情報を患者治療装置に転写するときに)患者治療装置を正しく構成することを支援し得る。第1の点で、構成出力の生成は、指示を分析して、患者治療装置の構成に対応する情報が提供されているか否かを判断することを含み得る。提供されていない場合、構成出力を生成する前に、そのような情報を取得する機構を利用し得る。これは、施与を行うケア提供者が患者治療装置の構成を試みるときに、患者治療装置の構成に必要な構成が見当たらなかったり、データが矛盾していたりするのに気付くという状況を防ぐのに役立つ。有利なことに、この方法は、改善されたマンマシン対話を実現する。なぜなら、患者治療装置の構成のために必要なデータの取得が、たとえば中央集中型の態様で、促進され得るからである。したがって、構成のミスおよび/または不一致を減らし、さらには回避することができる。つまり、正しい構成データが提供され得り、よって施与を行うケア提供者が指示に存在しないデータを誤って入力する(たとえば、施与を行うケア提供者が推測したデータを使用する、記憶しているデータを使用する、または情報の欠如を克服しようと一方的に試みる)ことにより患者治療装置の構成時に誤りを犯すという状況が防止される。言い換えると、このアプリケーションにより、施与を行うケア提供者等のユーザーは、必要な構成データを記憶するという精神的作業から解放され、または1つもしくは複数の所定の構成手順を学習、記憶、もしくは理解するという精神的作業から解放され得る。
【0006】
また、本明細書に記載された構成出力は、指示の情報を分析して、指示に現れる情報が識別された患者治療装置の構成手順に適合するよう促進することで、施与を行うケア提供者を支援し得る。これには、療法指示の情報に対応するデータを、それらのデータが構成手順のデータ入力シーケンスに適合して配置される態様で、構成出力に提供することが含まれ得る。これに関し、データの配置は、データ入力シーケンスの各後続ステップに対応するデータが構成出力で連続的に表されるように、データ入力シーケンスに適合し得る。これに関し、機械により作成された構成出力、すなわち特定の患者治療装置のデータ入力シーケンスに適合した構成出力が提供され得る。したがって、本願によると、機械に基づく方法の信頼性が向上する。さらに、情報が分析されて、指示情報が構成プロトコルの形式に対応することが判断され得る。たとえば、指示に含まれる値の測定単位が、構成手順で使用される値の測定単位と異なる場合、構成出力を生成する前に、指示の情報が適切な形式(たとえば、適切な測定単位)に変換され得る。これに関し、本明細書に記載された構成出力は、療法を施与するケア提供者が患者治療装置を構成するのを支援できることが理解されよう。有利なことに、ケア提供者は、異なる形式を相互に一致するように変換する精神的作業、特に1つまたは複数の構成手順に変換する精神的作業から解放され得る。したがって、患者治療装置の不適切または誤った使用が回避され得る。
【0007】
よって、第1の態様は、患者に施与される療法に対応する療法指示のための患者治療装置固有構成出力を生成する方法を含む。この方法は、患者に施与される療法に対応する療法説明を含む指示を受け取るステップと、患者に療法を施与するために使用する患者治療装置を識別するステップとを含む。患者治療装置は、療法施与のための少なくとも1つの所定の構成手順を備える。方法は、療法を施与する患者治療装置を構成するのに使用する、指示のための構成出力を、対応する療法説明および所定の構成手順のそれぞれの少なくとも一部に少なくとも部分的に基づいて生成するステップをさらに含む。
【0008】
複数の特徴的改良および追加的特徴が第1の態様に当てはまる。これらの特徴的改良および追加的特徴は、個別に、または後述する第2の態様の特徴との任意の組み合わせでも使用され得る。そのため、以下に説明する各特徴は、必須ではないが、第1の態様の他の任意の特徴または特徴の組み合わせと共に使用され得る。
【0009】
たとえば、実施形態では、療法は、輸液装置(たとえば、構成可能な輸液ポンプ)を使用した患者への静脈内注射用流体の施与を含み得る。さらに、指示は、施与される静脈注射用流体に対応する用量説明を含む投与指示を含み得る。これに関し、構成出力は、輸液装置を使用して患者に静脈注射用流体を施与するために(たとえば、施与を行うケア提供者が構成出力のデータを輸液装置に転写することにより)輸液装置を構成するために使用され得る。通常、本明細書で使用される「構成可能な」とは、療法を施与するための患者治療装置の動作の制御に関連する1つまたは複数の動作パラメータの入力(たとえば、人間のユーザーにより手動で入力された入力)を、人間のユーザーから受け取る能力を含み得る。したがって、本願の主題によれば、例示的には、輸液装置等の患者治療装置の改善された信頼性の高い構成が提供される。静脈注射用流体は、
調合された静脈注射用混合剤、
予混合された静脈注射用溶液(たとえば、5%のブドウ糖液とドーパミンの予混合された溶液)、
客先で用意する(Customer-prepared)患者非固有の流体(たとえば、標準的なオキシトシン点滴)、または
限定なしの任意の他の種類の静脈注射用流体
の少なくとも1つを含み得る。
【0010】
実施形態では、方法は、構成出力を含むラベルを生成するステップと、ラベルを療法に関連する容器に貼付するステップとをさらに含み得る。所定の構成手順は、複数の患者治療装置構成データを入力するための所定のデータ入力シーケンスを備え得る。これに関し、構成出力は、所定のデータ入力シーケンスの少なくとも一部に基づいて、ラベルに表され得る。つまり、構成データは、識別された患者治療装置の所定のデータ入力シーケンスと同じ順序で表された複数の患者治療装置構成データを含み得る。したがって、この実施形態によると、患者治療装置構成データと所定のデータ入力シーケンスとの間の不一致のリスクを軽減するラベルを提供することにより、マンマシン対話が改善される。
【0011】
そのため、実施形態では、方法は、ラベルに表示された構成出力から、対応する複数の患者治療装置構成データを、所定のデータ入力シーケンスに従って患者治療装置に入力するステップをさらに含み得る。入力するステップは、対応する複数の患者治療装置構成データをユーザーが患者治療装置にて手動で入れるステップを含み得る。たとえば、入力するステップは、ラベルの患者治療装置構成データを(たとえば、患者治療装置のユーザーインターフェイスを使用して)患者治療装置に転写するステップを含み得る。さらに、方法は、入力するステップに少なくとも部分的に基づいて、患者治療装置により療法を施与するステップを含み得る。これには、患者治療装置に転写された患者治療装置構成データに基づいて患者治療装置を操作するステップが含まれ得る。さまざまな実施形態において、複数の患者治療装置構成データは、
患者治療施設内における患者の位置を示すデータ、
所定の複数の投与類型のいずれかを示すデータ、
少なくとも1つの治療効果のある薬を示すデータ、
投与濃度を示すデータ、
投与速度を示すデータ、
投与量を示すデータ、および
患者治療装置の構成に使用され得る任意の他の適切なデータ
の少なくとも1つの種類のデータを含み得る。
【0012】
実施形態では、識別するステップは、患者に療法を施与するために使用する、それぞれに異なる所定の構成手順を有する複数の種類の患者治療装置のいずれかを識別するステップを含み得る。識別するステップおよび/または生成するステップは、患者治療施設内における患者の位置に少なくとも部分的に基づいて完了され得る。
【0013】
実施形態では、方法は、療法説明を所定の構成手順の少なくとも一部との関連で分析して、療法説明が構成手順の一部に適合するか否かを判断するステップを含み得る。方法は、療法説明が構成手順の一部に不適合であるときにユーザーインターフェイス装置で出力警告を提供するステップと、出力警告に応答して、構成手順の一部に適合する、指示に対応した療法情報を受け取るステップとを含むことができ、よって患者治療装置のユーザーインターフェイスと、患者治療装置のケア提供者等のユーザーとの間のマンマシン対話が改善される。療法情報は、生成するステップで使用され得る。たとえば、方法は、生成するステップを完了する前に、構成手順の一部に適合する療法情報の受け取りを要求するステップをさらに含み得る。
【0014】
実施形態では、構成手順の一部は、少なくとも1つの構成パラメータを含み得る。これに関し、療法説明の不適合は、少なくとも1つの構成パラメータの欠如を含み得る。代替または追加で、療法説明の不適合は、少なくとも1つの構成パラメータに関する矛盾した情報を含み得る。実施形態では、方法は、療法説明の少なくとも一部を、構成手順の一部に適合しない第1形式から、構成手順の一部に適合する第2形式に変換するステップを含み得る。これに関し、変換するステップは、用量説明の少なくとも1つの部分の測定単位の変換を実行するステップを含み得る。実施形態では、構成手順の一部は、識別された患者治療装置の全構成手順を含み得る。よって、本願によると、自動的な態様で、治療提供者等のユーザーによる介入を理想的には必要とせずに、不適合または矛盾するデータを修正して、患者治療装置の構成手順に適合させることができる。したがって、ユーザーは、不適合または矛盾するデータを識別するという精神的作業から解放される。また利用者は、そのような不適合または矛盾するデータの修正方法を記憶するという作業から解放され得る。
【0015】
実施形態では、識別するステップは、指示の少なくとも一部に基づいて、少なくとも部分的に実行され得る。つまり、方法は、指示の一部に少なくとも部分的に基づいて、指示を患者治療装置に割り当てるステップを含み得る。たとえば、識別するステップが少なくとも部分的に基づく投与指示の一部は、
療法の識別情報、および/または
患者の位置
の少なくとも一方を含み得る。
【0016】
つまり、患者治療装置(たとえば、構成可能な輸液装置)の識別は、患者治療施設内における患者の位置を示すデータと、施与される少なくとも1つの薬を示すデータとに基づくことができる。この実施形態では、これらのデータの値が取得されると、患者治療装置が識別することができ、対応する構成出力を生成するために正確な構成手順が把握され得る。これに関し、構成出力は、患者に療法を施与するために使用される患者治療装置の識別情報を含み得る(たとえば、患者治療装置の識別情報は、ラベルに印刷され得る)。
【0017】
実施形態では、識別するステップおよび生成するステップの少なくとも一方は、コンピュータで自動化された態様で少なくとも部分的に完了され得る。これに関し、方法は、方法の1つまたは複数のステップをコンピューティング装置により自動的に実行するために、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせとして実行され得る。言い換えると、方法は、コンピュータで実装された方法であり得る。たとえば、上述したように、識別するステップは、療法を施与するために使用される患者治療装置に療法指示を自動的に割り当てるステップを含み得る。そのため、患者治療装置の識別は、コンピューティング装置により自動的に実行されることができ、構成出力の生成も、患者治療装置が識別された後に自動的に実行され得る。したがって、治療提供者等のユーザーは、患者治療装置を手動で識別する必要はない。よって、誤った識別のリスクが軽減される。方法の他の部分は、限定なしで(たとえば、1つまたは複数のコンピューティング装置により)自動的に実行され得る。
【0018】
実施形態では、方法は、構成情報を患者治療装置に伝達するステップを含み得る。さらに、方法は、構成出力を患者治療装置で表示するステップを含み得る。そのため、構成出力は、コンピューティング装置により操作、伝達、および/または表示され得る機械可読データを含み得る。
【0019】
さらに別の態様によると、コンピュータ可読媒体に格納でき、および/またはコンピュータで処理可能なデータストリームとして実装できる、コンピュータプログラム製品が提供される。このコンピュータプログラム製品は、コンピュータで処理可能な命令を含み、これらの命令は、コンピュータのメモリで読み取られ、コンピュータによって実行されたときに、上記で一般的に、および下記でより詳細な例により説明する方法を、コンピュータに実行させる。
【0020】
第2の態様は、患者に療法を施与する患者治療装置を構成するのに使用する患者治療装置固有構成出力を生成するシステムを含む。このシステムは、患者に施与される療法に対応する療法説明の少なくとも一部を含む療法指示を受け取るように動作可能な指示入力インターフェイスと、構成出力生成器とを含み得る。構成出力生成器は、指示入力インターフェイスと動作的に連通し得る。さらに、構成出力生成器は、患者に療法を施与するために使用される患者治療装置を識別するように動作可能であり、患者治療装置は、療法施与のための少なくとも1つの所定の構成手順を備える。システムは、構成出力生成器により生成され、対応する療法説明および所定の構成手順のそれぞれの少なくとも一部に少なくとも部分的に基づく構成出力をさらに含み得る。
【0021】
複数の特徴的改良および追加的特徴が第2の態様に当てはまる。これらの特徴的改良および追加的特徴は、個別に、または上述した第1の態様の特徴との任意の組み合わせでも使用され得る。そのため、以下に説明する各特徴は、必須ではないが、第2の態様の他の任意の特徴または特徴の組み合わせと共に使用され得る。
【0022】
たとえば、実施形態では、療法は、輸液装置を使用した患者への静脈内注射用流体の施与を含み得る。これに関し、療法指示は、施与される静脈注射用流体に対応する用量説明を含む投与指示を含み得る。さまざまな実施形態において、静脈注射用流体は、上述した静脈注射用流体の任意の1つまたは複数を含み得る。
【0023】
実施形態において、指示入力インターフェイスおよび/または構成出力生成器は、1つまたは複数のメモリと動作的に連通するプロセッサにより実行され得る。これに関し、1つまたは複数のメモリは、指示入力インターフェイスおよび/または構成出力生成器の実行に対応する非一時的なコンピュータ可読データを格納し得る。理解され得るように、指示入力インターフェイスは、構成出力生成器と同じプロセッサまたは異なるプロセッサにより実行され得る。実施形態では、指示入力インターフェイスは、構成出力生成器から完全に独立した装置で実行され得る。さらに、単一のメモリで、指示入力インターフェイスおよび構成出力生成器の両方の実行に対応する非一時的なコンピュータ可読データを格納し得る。これに関し、代替で、独立したメモリを使用することもできる。いずれの場合も、1または複数のメモリを、対応するプロセッサから(たとえば、ネットワークを介して)リモートに設けるか、または対応するプロセッサに対してローカルに設けることができる。
【0024】
実施形態では、構成出力はラベルを含み得る。つまり、構成出力はラベルに印刷され得る。ラベルは、療法の施与で使用する容器に適用され得る。さらに、システムは、構成出力生成器により識別される対応する種類の患者治療装置を含み得る。患者治療装置は、その患者治療装置を構成するためのユーザーインターフェイスを備え得る。ユーザーインターフェイスは、患者治療装置の構成手順に対応し得る。そのため、ラベルは、構成手順の少なくとも一部に対応する構成データの1つまたは複数の部分を含み得る。さまざまな実施形態において、構成データの1つまたは複数の部分は、
患者治療施設内における前記患者の位置を示すデータ、
所定の複数の投与類型のいずれかを示すデータ、
少なくとも1つの薬を示すデータ、
投与濃度を示すデータ、
投与速度を示すデータ、
投与量を示すデータ、または
患者治療装置の構成に使用され得る任意の他の適切なデータ
の少なくとも1つの種類のデータを含み得る。
【0025】
実施形態では、患者治療装置の構成手順は、所定のデータ入力シーケンスを含み得る。これに関し、構成出力を含むラベルは、所定のデータ入力シーケンスに基づいて、ラベルに表示される対応する複数の構成データを含み得る。患者治療装置のユーザーインターフェイスは、対応する複数の構成データを所定のデータ入力シーケンスで受け取るように動作し得る。たとえば、対応する複数の構成データは、(たとえば、人間のユーザーによってラベルから転写されることで)ユーザーによって患者治療装置に手動で入れることが可能である。
【0026】
実施形態では、患者治療装置は、構成可能な輸液ポンプであり得る。よって、容器は静脈注射用流体を含むことができ、また容器は施与セットと動作的に連通し得る。施与セットは、静脈注射用流体を制御された態様で患者に送達するために、構成可能な輸液ポンプと動作可能に連動し得る。そのため、静脈注射用流体は、構成可能な輸液ポンプでの対応する複数の構成データ入力に少なくとも部分的に基づいて患者に施与され得る。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】指示された療法を患者治療装置を使用して患者に施与するためのワークフローの実施形態を示す概略図である。
図2】患者への施与のために容器に含まれた静脈注射用溶液と動作的に連動する構成可能な輸液装置を含む構成可能な患者治療装置の実施形態を示す図である。
図3】指示に対する患者治療装置固有構成出力を生成する方法の実施形態に対応するフローチャートである。
図4】患者に施与される静脈注射用流体に対応する投与指示の実施形態を表す図である。
図5図4の投与指示に対応する構成出力の実施形態を表す図である。
図6】患者に施与される静脈注射用流体の容器に適用されるラベルを含む構成出力の実施形態を示す図である。
図7A】構成可能な輸液装置を構成するための構成手順に対応する複数の異なる状態にある、その構成可能な輸液装置のユーザーインターフェイスの実施形態を示す図である。
図7B】構成可能な輸液装置を構成するための構成手順に対応する複数の異なる状態にある、その構成可能な輸液装置のユーザーインターフェイスの実施形態を示す図である。
図7C】構成可能な輸液装置を構成するための構成手順に対応する複数の異なる状態にある、その構成可能な輸液装置のユーザーインターフェイスの実施形態を示す図である。
図7D】構成可能な輸液装置を構成するための構成手順に対応する複数の異なる状態にある、その構成可能な輸液装置のユーザーインターフェイスの実施形態を示す図である。
図7E】構成可能な輸液装置を構成するための構成手順に対応する複数の異なる状態にある、その構成可能な輸液装置のユーザーインターフェイスの実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の説明は、本発明を本明細書で開示された形式に限定することを意図したものではない。結果として、関連技術についての以下に示す教示、技能、および知識に相当する変形および改良は、本発明の範囲に含まれる。さらに、本明細書に記載された実施形態は、本発明を実践するための把握されている様式について説明し、他の当業者が本発明をそうした実施形態で、または本発明の特定の用途もしくは使用で求められる態様な変更を加えた他の実施形態で利用できるようにすることを意図している。
【0029】
図1は、患者治療装置140を構成する際に使用するための装置固有構成出力の生成を簡素化するワークフロー100の実施形態を示す概略図である。一般に、ワークフロー100は、構成可能な患者治療装置140を使用して患者に施与される療法の指示を受け付ける指示入力システム110の使用を含み得る。指示入力システム110は、指示に対応するデータを出力することができ、このデータが構成出力生成器120により受信される。構成出力生成器120は、指示および識別された患者治療装置に基づく患者治療装置固有構成出力を生成し得る。患者治療装置固有構成出力は、施与を行うケア提供者130に提供され得る。施与を行うケア提供者130は、構成出力生成器120から受け取った構成出力を使用して、指示された治療を患者に施与する患者治療装置140(たとえば、識別された患者治療装置に対応するもの)を構成し得る。追加または代替で、構成出力生成器120は、(たとえば、患者治療装置140での構成出力の表示または他の使用のために)構成出力を患者治療装置140に直接提供することができる。さらに、図示されているように、また詳細に後述するように、ワークフロー100は、構成出力生成器120と指示入力インターフェイス110との間のフィードバックループを含み得る。このフィードバックループは、(たとえば、指示を構成出力生成器120によって分析した後に)指示に関する追加情報を求めるために使用され得る。
【0030】
実施形態では、指示入力インターフェイス110は、コンピュータベースの指示入力システムであり得る。つまり、指示入力インターフェイス110は、コンピューティング装置により実現され、ケア提供者が患者への施与の指示に対応する情報を入れることができる、グラフィカルユーザーインターフェイス(GUI)を含み得る。たとえば、コンピューティング装置は、パソコン、ネットワーク端末、モバイル装置、またはその他のコンピューティング装置等のネットワーク型コンピューティング装置であり得る。これに関し、指示入力インターフェイス110は、命令を格納するメモリにアクセスするように動作できる少なくとも1つのプロセッサを備えることができ、これらの命令によってプロセッサの実行を制御して指示を受信および出力することができる。
【0031】
いずれにせよ、指示入力インターフェイス110は、患者に施与される療法に関する情報をケア提供者から受け取り得る。実施形態では、療法は、構成可能な患者治療装置140を使用した患者への静脈注射用流体の投与を含み得る。たとえば、図2に示すように、構成可能な患者治療装置140は、輸液装置200(たとえば、構成可能な輸液ポンプ)を含み得る。これに関し、指示入力インターフェイス110で受け取られる指示は、患者に施与される静脈注射用流体252に対応する投与情報を含む投与指示であり得る。患者に施与される静脈注射用流体252は、容器250に含まれ得る。容器250は、容器250への施与セット256の接続を簡素化する施与ポート254を備え得る。施与セット256は、容器250と施与セット256の遠位端258の患者(図示せず)との間の流体連通を簡素化するために使用され得る。
【0032】
加えて、施与セット256の部分260は、輸液装置200のポンプ部210の内部に設けられ得る。これに関し、ポンプ部210は、患者に静脈注射用流体252を投与するための施与セット256を通じた静脈注射用流体252の流れを制御するための適切な機構(たとえば、蠕動ポンプ装置)を備え得る。患者への静脈注射用流体252の投与を制御することを可能にする他の適切な種類の輸液装置200が限定なして提供され得る。
【0033】
これに関し、輸液装置200は、患者に静脈注射用流体252を制御された態様で投与するために、ポンプ部210を制御するように構成可能であり得る。たとえば、輸液装置200は、施与を行うケア提供者130から構成命令を受け取るために使用されるグラフィカルユーザーインターフェイス(GUI)220を含み得る。GUI220は、ディスプレイ222と、入力装置224(たとえば、図2に示すように、複数のボタンまたはキーを含む)を含み得る。タッチスクリーン入力装置、キーボード、その他のマンマシンインターフェイスなどの他の入力装置224も提供され得る。これに関し、施与を行うケア提供者130は、入力装置224を使用して、患者への静脈注射用流体252の施与の指示に関する情報を入力することができる。この情報は、ディスプレイ222に反映される。
【0034】
輸液装置200の形式をした患者治療装置140の一例を上述すると共に図2に示しているが、本明細書に含まれる開示は、患者への療法の施与で使用され得る任意の構成可能な患者治療装置140に幅広く拡張され得ることが理解される。たとえば、システム100は、患者監視装置(たとえば、心臓監視装置、血行動態監視装置、呼吸監視装置、神経学的監視装置、血糖監視装置、分娩監視装置、体温監視装置等)、吸入療法装置、経腸栄養ポンプ、呼吸換気装置、透析装置、その他の適切な構成可能患者治療装置140等の他の構成可能な患者治療装置140を制限なく含み得る。
【0035】
患者治療装置140の構成を簡素化する従来のアプローチでは、患者治療装置140の構成時に誤りが生じるというリスクが伴い得る。本明細書でその全体を引用により援用する、Huschらの研究(Insights from the sharp end of intravenous medication errors:implications for infusion pump technology,Qual.Saf.Health Care 2005;14;80~86)では、ここでの文脈における誤り防止の継続的な必要性について、詳しく説明している。たとえば、上述した例の場合、静脈注射用流体252の施与に関する投与指示は、静脈注射用流体252自体の準備および識別に関する情報とは別に維持されている。つまり、容器250は、静脈注射用流体252に関するデータを示すラベル262を備えている可能性がある。しかし、静脈注射用流体252の投与に関する指示は、静脈注射用流体252とは別に(たとえば、独立した指示または医療記録システムで)維持されている可能性がある。そのため、施与を行うケア提供者130は、患者治療装置130の構成時に、複数のデータソースを調べなければならないことになりかねない。これにより、誤ったデータソースの参照、転写の誤り、その他の種類の誤りなど、潜在的な誤りが生じる可能性がある。
【0036】
さらに、仮に指示データが容器250のラベル262に含まれていたとしても、データの誤り、欠落、または識別ミスが生じる可能性が依然としてある。たとえば、ラベル262に表示されるデータは、患者治療装置140を構成するために必要な入力を得るために、施与を行うケア提供者130が変換を行ったり、補助的なデータを提供したりすることが必要な場合がある。よって、上述した誤りに加えて、施与を行うケア提供者130の側での潜在的な誤りとして、数学上の誤り、測定単位変換の誤り、または施与を行うケア提供者130が指示に従って患者治療装置140を構成するときに生じるその他の誤りが起こり得る。
【0037】
よって、本明細書で記載される構成出力生成器120の実施形態は、患者に施与される療法と、その療法を施与するために使用される患者治療装置140との両方に関連し且つ対応する患者治療装置固有構成出力を生成するように動作し得る。たとえば、構成出力生成器120は、全体的には、図3に示す方法300を実行し得る。これに関し、構成出力生成器120は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせを含み得る。たとえば、実施形態において、構成出力生成器120は、汎用プロセッサと、メモリとを少なくとも含み得る。そのため、後述する方法300に対応する命令は、プロセッサがその動作を制御して後述する方法300を実行するためにアクセスできる、非一時的な機械可読データの形式で提供され得る。そのため、構成出力生成器120は、ネットワーク型コンピューティング装置、ネットワーク端末、モバイル装置、その他の適切なコンピューティング装置等のコンピューティング装置を含むか、またはそれらのコンピューティング装置で実行され得る。追加または代替で、方法300の少なくとも一部は、特定用途向け集積回路(ASIC;Application Specific Integrated Circuits)、フィールドゲートアレイ(FGA;Field Gate Array)、または当業者により理解される他の適切な機能実行用装置により実行され得る。よって、方法300の任意またはすべてのステップは、コンピュータで自動化された態様で実行され得る。
【0038】
方法300は、療法の指示を受け取るステップ302を含み得る。たとえば、指示は、図1に示すように、指示入力インターフェイス110を介して受け取られ得る。指示を受け取るステップ302が完了した後、方法300は、指示された療法を患者に施与するために使用される患者治療装置を識別するステップ304を含み得る。これに関し、識別するステップ304は、患者への療法の施与で使用され得る複数の種類の装置のいずれかを識別するステップを含み得る。それぞれの種類の装置は、異なる所定の構成手順を備え得る。たとえば、図2に示される構成可能な輸液装置200の場合、施設には複数の種類の輸液装置がある可能性がある。それぞれの種類の輸液装置200は、他の種類の輸液装置200とは異なる所定の構成手順を備えている可能性がある。これに関し、識別するステップで療法の施与に使用する施設の特定の1つの患者治療装置140を識別するのではなく、指示された療法の施与で使用する装置の所定の構成手順を判断するかたちで、患者治療装置140の種類を判断することができる。
【0039】
以下に詳述する別の実施形態では、識別するステップ304は、指示に少なくとも部分的に基づいて患者治療装置を選択または指定するステップを含み得る。たとえば、投与指示の文脈において、適切な輸液装置200の指定は、輸液の種類、輸液される薬の識別情報、静脈注射用流体が施与される患者、患者の現在の位置、またはその他の任意の要因に基づき得る。実施形態では、識別するステップ304は、患者の現在の位置と、輸液される薬の識別情報とに基づく。この情報が把握されると、適切な輸液装置200が、その構成手順が把握されるように選択され得る。いずれにせよ、療法を施与するために使用される患者治療装置140の所定の構成手順がステップ304で識別されると、指示に対応する情報が分析および/または処理されて、療法指示および患者治療装置の識別情報に関する情報の少なくとも一部に基づいて構成出力が出力され得る。
【0040】
たとえば、図3に示すように、方法300の実施形態は、識別された患者治療装置140の構成手順に対応する情報が療法指示に存在することを判断するステップ306を含み得る。具体的なシナリオでは、患者治療装置140の構成で必要な情報の一部が、療法指示で提供されていないと判断されることがある。さらに、療法指示に、療法の施与に関する矛盾した情報が含まれていることもあり得る。さらに、指示で提供された情報に何らかの欠陥があることも考えられる。いずれにせよ、方法300は、担当のケア提供者に情報を求めるステップ308を含み得る。これは、担当のケア提供者に(たとえば、指示入力インターフェイス110を介して)問題を警告するステップを含むことができ、また指示された療法に関する追加情報を担当のケア提供者に求めるステップを含むことができる。別の実施形態では、薬剤管理システム、電子医療記録システム、その他の適切なインターフェイスなど、指示入力インターフェイス110以外の機構を介して、担当のケア提供者(たとえば、薬剤師、看護師等)に情報を求めることができる。
【0041】
いずれにせよ、情報を求めるステップ308は、療法指示に関する追加情報を求めるステップ、矛盾する情報の明瞭化を求めるステップ、または療法指示に対応して構成出力を準備するために必要な情報を要求するステップを含み得る。よって、方法300は、担当のケア提供者から情報を受け取るステップ310を含み得る。実施形態では、情報を受け取るステップ310は、構成出力を生成するステップ316よりも前に実行する必要があり得る。
【0042】
加えて、方法300は、構成手順に適合する形式にデータを変換するステップ312をさらに含み得る。変換するステップ312は、療法指示の情報を、識別された患者治療装置140の構成手順に直接対応する形式に変更することを含み得る。たとえば、療法情報の一部は、構成手順で使用される測定単位と異なる測定単位で記載された情報を含んでいる可能性がある。伝統的に、施与を行うケア提供者130は、そのような変換を手動で実行して、指示の単位と患者治療装置140の構成手順で使用されている測定単位との間の不一致を修正することを求められ得る。しかし、構成出力生成器120は、変換するステップ312を自動的に実行して、生成される構成出力に含まれるデータを構成手順の形式に適合させるように動作し得る。
【0043】
方法300は、構成出力の情報を構成手順のデータ入力シーケンスに対応するように配置するステップ314をさらに含み得る。つまり、構成手順は、特定の指示で提供されるデータ入力のシーケンスを備え得る。指示の少なくとも一部の情報は、構成手順のデータ入力シーケンスに対応して配置されていない可能性がある。よって、従来のアプローチでは、施与を行うケア提供者130が複数の潜在的な指示の位置から指示を検索して、適切な療法情報を見つけなければならないことがあり得る。理解され得るように、これによって施与を行うケア提供者130は、誤読したり、構成手順のデータ入力シーケンスに対応しないシーケンスで情報を入れたり、記憶に頼って療法情報を入れたり、その他の誤りを犯したりして、誤った値を入力する可能性がある。しかし、方法300では、構成出力の情報が構成手順のデータ入力シーケンスに対応して配置され得るため、施与を行うケア提供者130は、構成出力のデータ入力シーケンスに単純に従う態様で、構成手順の情報を順次入れることができる。これにより、施与を行うケア提供者130が構成出力の値を患者治療装置140に対して正確且つ明確に転写することが支援され得る。
【0044】
加えて、方法300は、構成出力を生成するステップ316を含み得る。生成するステップ316は、構成出力を任意の適切な形式で用意するステップを含み得る。これに関し、生成するステップ316は、構成出力をディスプレイで生成するステップ(すなわち、構成指示のソフトコピーを用意するステップ)、構成出力のハードコピーを生成するステップ、および/または構成出力を機械可読データとして用意するステップを含み得る。上述したように、構成出力は、患者治療装置140に伝えられ得る。これに関し、構成出力のソフトコピー出力が患者治療装置140のディスプレイに表示され得る。
【0045】
実施形態では、生成するステップ316は、指示された療法の施与で使用される対象に関連付けられ得るラベルを印刷するステップを含み得る。たとえば、以下で詳述するように、輸液装置200を使用して施与される静脈注射用流体252の文脈で、ラベル262’は、静脈注射用流体252の容器200に貼付され得る。さらに、生成するステップ316は、患者治療装置140への配布および/または患者治療装置140による直接使用のために、機械可読データを適切な形式で用意するステップを含み得る。これに関し、生成するステップ316は、患者治療装置140を構成するために患者治療装置140に直接提供され得るコンピュータ可読データを生成するステップを含み得る。
【0046】
既に参照したように、図3の方法300は、輸液装置200を使用した患者への静脈注射用流体252の施与のための構成出力を用意する際に利用され得る。図4乃至図7Eを参照しながら、そのような例の1つを以下に説明する。たとえば、図4では、患者に施与される指示された投与に対応する投与指示400が受け取られ得る。理解され得るように、投与指示400は、メモリに格納されたデータの形式であり得る。よって、図4で投与指示400が人間の読み取れる形式で表示されているのは、説明を目的としたものである。
【0047】
図4に示されているように、投与指示400は、投与情報の複数の部分を含み得る。図4に示す投与情報の部分には、指示番号402、指示日404、患者名406、薬名410、患者位置412、指示元の医師414、および投与量416が含まれるが、理解され得るように、投与指示400で提供される情報の部分はこれより多いかまたは少なくてもよく、また図4に示す具体的な部分は説明を目的としたものであり、限定を意図したものではない。
【0048】
構成出力生成器120は、(たとえば、方法300に応じて)投与指示400を受け取り、構成出力500を生成し得る。これに関し、投与指示400に対応する静脈注射用流体252が、図7A乃至図7Eに示す種類の輸液装置200によって施与されることが判断され得る。これに関し、図7A乃至図7Eは、輸液装置200の所定の構成手順の実施形態を示し得る。理解され得るように、輸液装置200の所定の構成手順は、特定のデータ入力シーケンスをさらに備え得る。このデータ入力シーケンスで、輸液装置200を構成するためのさまざまなパラメータがユーザーに要求される。そのため、図7A乃至図7Eでは、連続する図面のそれぞれが、輸液装置200を構成するための所定の構成手順で構成データを受け取るためのデータ入力シーケンスにおけるGUI220の後続の状態を表し得る。これに関し、図5に示す構成出力500は、投与指示400と、投与指示400により記載される静脈注射用流体252の施与に使用される患者治療装置としての輸液装置200の識別情報とに基づいて生成され得る。
【0049】
さらに、図6に示すように、構成出力500は、施与される静脈注射用流体252の容器250に適用されるラベル262’を含み得る。これに関し、静脈注射用流体252は、薬剤部により用意される調合された静脈注射用流体混合剤であり得る。薬剤部は、静脈注射用流体252の用意と実質的に同時に構成出力500が生成されるように、構成出力生成器120をさらに含み得る。したがって、静脈注射用流体252が用意され、容器250に入れられると、構成出力500がラベル262’の形式で静脈注射用流体252の容器250に適用され得る。これに関し、ラベル262’は、容器250が薬剤部から分配される前に容器250に適用される、接着剤付きラベルであり得る。そのため、静脈注射用流体252および構成出力500を含む容器250が、後続する患者への投与のために施与を行うケア提供者130に一体で届けられ得る。
【0050】
よって、図7Aに示す構成手順の開始時に、構成手順は、静脈注射用流体252が投与される治療区域(治療施設における患者位置に対応し得る)の選択を含み得る。投与指示400は、患者位置412を含んでいることが理解されよう。これに関し、さらに図5を参照すると、患者位置412に関連する情報は、構成出力500の対応する治療区域データフィールド512に含めるために変更され得る。たとえば、投与指示400のように「位置」として表示するのではなく、構成出力500は、患者位置情報412の一覧を修正して、図7Aに示すように、要求される入力に対応する治療区域データフィールド512に「治療区域」として表示することができる。さらに、患者位置412は、投与指示400では「ACC」と略記され得る。構成出力500の治療区域データフィールド512では、図7Aに示すGUI220のディスプレイ222に表示される特定の入力に対応するように、値が「大人救命救急」に変換され得る。これに関し、施与を行うケア提供者130は、輸液装置200のGUI220を使用して「大人救命救急(Adult Critical Care)」を選択し得る。治療区域を選択すると、GUI220が図7Bに示す状態に変更され得る(たとえば、構成手順のデータ入力シーケンスが進む)。
【0051】
図7Bで、GUI220は、施与する薬の名前の入力を施与を行うケア提供者130に求め得る。投与指示400の薬名412は、構成出力500に含まれ得る。図5で理解され得るように、薬名情報512は、治療区域512と薬名510との配置が輸液装置200の構成手順のデータ入力シーケンスに対応するように、患者位置情報512の直後に続けて表示され得る。これに関し、施与を行うケア提供者130は、入力装置224を使用して、構成出力500で提供される薬名510に基づいて、図7Cに示すように薬名を入れることができる。施与する薬を選択すると、GUI220は図7Dに示す状態に変更され得る(たとえば、構成手順のデータ入力シーケンスが進む)。
【0052】
図7Dで、輸液装置200で施与される薬の濃度が選択される。ただし、図4で理解され得るように、施与される薬の濃度情報は、投与指示400に含まれていない可能性がある。これに関し、図3で方法300に関連して説明したように、構成出力生成器120に基づいて構成出力を生成してパラメータが投与指示400に存在しないが輸液装置200の構成手順に含まれていると判断する前に、担当のケア提供者に濃度情報に対応する情報の入力を求めることができる。これに関し、構成出力500が生成される前に、担当のケア提供者が情報を提供することが必要な場合がある。この場合、担当のケア提供者は、指示元の医者、薬剤師、薬剤部の専門家、または情報を提供できるその他の担当ケア提供者であり得る。たとえば、そのような情報は、指示元のケア提供者がそのような情報を提供することを要求されないか、または特定の薬の利用可能な濃度の選択肢に気づいていないために、欠落している可能性がある。たとえば、この具体例では、薬の濃度は、静脈注射用流体252を調剤する薬剤部の利用可能な在庫、静脈注射用流体252を調剤するために使用される方法、静脈注射用流体252を投与するために使用される輸液装置200の種類などの他の要因により決定され得る。別の実施形態では、構成出力の投与濃度518に対応する情報は、静脈注射用流体252の調合時に自動的に代入され得る(たとえば、薬剤部のワークフロー管理システムが構成出力生成器120と動作的に連通して情報を構成出力生成器120に自動的に提供し得る)。いずれにせよ、薬濃度情報518が構成出力500で提供することができ、それによって施与を行うケア提供者130は図7Dに示すGUI220で対応する適切な選択肢を選ぶことができる。
【0053】
これに関し、GUI220は、図7Eに示す状態に変更され(たとえば、構成手順のデータ入力シーケンスが進み)、施与を行うケア提供者130が患者体重608、投与量616、投与速度620、および輸液量(VTBI;Volume to be Infused)622に対応するフィールドへの情報の入力を求められ得る。理解され得るように、対応するデータ部分の少なくとも一部(投与量616、投与速度620、およびVTBI622)は、構成出力500で対応する順序にて提供されている。ただし、患者体重508に対応する情報が投与指示400で提供されていないため、患者体重508は担当のケア提供者(たとえば、医師、看護師、またはその他のケア提供者)から上述した態様で受け取られている可能性があることが理解され得る。代替で、情報は、その情報を含む電子医療記録(EMR;Electronic Medical Record)サーバーによって提供され得る。そのため、構成出力生成器120は、EMRサーバーと動作的に連通することができ、構成出力500に含まれるデータの少なくとも一部を自動的に受け取るように動作し得る。
【0054】
いずれにせよ、投与指示400および構成出力500をまとめて再確認することで理解され得るように、図7Eで入れられる値に対応する構成出力500の各部分の配置は、投与指示400の配置から、構成出力500の配置に変更され得る。さらに、投与指示400に含まれる投与量情報412は、1キログラムにつき1時間あたりのマイクログラム単位で表示される。ただし、図7Eで理解され得るように、輸液装置200の構成手順では、この情報を1キログラムにつき1分あたりのマイクログラム単位で施与を行うケア提供者130に求めることができる。つまり、投与指示400で使用される測定単位と、輸液装置200を構成するために必要な測定単位とが、一致しない場合がある。よって、投与量情報416に対して測定単位の変換を実行して、構成出力の投与量情報516を生成することができる。
【0055】
さらに理解され得るように、率情報520およびVTBI522は投与指示400に存在しない可能性がある。これらの値は、投与指示400および/または構成出力500に存在する他の値を利用した計算に基づいて提供されることができ、構成出力500で適切な適合形式で提供されることができる。たとえば、図示された実施形態では、これらの値は、薬の濃度518が構成出力生成器120により提供または取得された後に導き出され得る。率情報520およびVTBI522が、輸液装置200の構成手順のデータ入力シーケンスに対応する適切な順序および測定単位で提示されていることに注目されたい。
【0056】
本発明について図面および上述した説明で詳細に図示および説明してきたが、これらの図示および説明は例示と捉えられるものであって、限定的な性質のものではない。たとえば、本明細書で上述した特定の実施形態は、記載された他の実施形態と組み合わせることが可能であり得り、および/または他の方法で編成され得る(たとえば、処理要素を他の順序で実行し得る)。よって、好ましい実施形態およびその変形のみが示されており、本発明の主旨に含まれるすべての変更および修正の保護が意図されていることを理解する必要がある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E