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  • 特許-回収ボイラーの熱回収表面の配置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】回収ボイラーの熱回収表面の配置
(51)【国際特許分類】
   F22B 21/00 20060101AFI20220808BHJP
   F22D 1/02 20060101ALI20220808BHJP
   F22G 7/12 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
F22B21/00
F22D1/02
F22G7/12
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018511253
(86)(22)【出願日】2016-09-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-10-18
(86)【国際出願番号】 FI2016050631
(87)【国際公開番号】W WO2017046450
(87)【国際公開日】2017-03-23
【審査請求日】2019-06-07
【審判番号】
【審判請求日】2021-06-21
(31)【優先権主張番号】20155658
(32)【優先日】2015-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】500403468
【氏名又は名称】アンドリツ オサケユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロシュキン、ミロ
(72)【発明者】
【氏名】ロッペネン、ユッカ
【合議体】
【審判長】間中 耕治
【審判官】松下 聡
【審判官】槙原 進
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第1188986(EP,A2)
【文献】米国特許第7587994(US,B2)
【文献】特開平8-82405(JP,A)
【文献】国際公開第2015/083253(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22B21/00
F22D1/02
F22G7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃液を燃焼させるための炉と、鉛直方向の煙道ガス・チャネルを含む煙道ガス・ダクトとを有するケミカル回収ボイラーであって、前記煙道ガス・チャネルの少なくとも一部には、煙道ガスから熱を回収するための熱回収ユニットが設けられており、前記熱回収ユニットは、前記煙道ガス・ダクトの幅と同じ幅を有し、ここで、前記幅は、前記ケミカル回収ボイラーの前方壁部の水平方向への長さを表しており、前記炉の後の第1の煙道ガス・チャネルには、第1の熱回収ユニットである過熱器が設けられている、ケミカル回収ボイラーにおいて、
前記過熱器に加えて、前記第1の煙道ガス・チャネルには、第2の熱回収ユニット、すなわち、節炭器、ボイラー・バンク、または再熱器のうちの1つが設けられており、前記過熱器および前記第2の熱回収ユニットが、前記煙道ガスの水平方向の入って来る方向に順々に位置決めされており、前記第1の煙道ガス・チャネルの中で、前記煙道ガスが、鉛直方向に上から下向きに流れ、前記過熱器および前記第2の熱回収ユニットを同時に加熱するようになっており、
記過熱器および前記第2の熱回収ユニットは、前記煙道ガスの前記入って来る方向に順々に位置決めされており、前記過熱器がそれらのうちの第1番目になるようになっており、
前記第2の熱回収ユニットが、完全に前記第1の煙道ガス・チャネルの中に配設されていることを特徴とする、ケミカル回収ボイラー。
【請求項2】
過熱器およびボイラー・バンクが、前記第1の煙道ガス・チャネルの中に位置決めされており、前記過熱器およびボイラー・バンクは、前記煙道ガスの前記入って来る方向に順々に位置決めされており、前記過熱器がそれらのうちの第1番目になるようになっていることを特徴とする、請求項1に記載のケミカル回収ボイラー。
【請求項3】
前記第1の煙道ガス・チャネルを冷却するための壁部チューブは、前記ケミカル回収ボイラーのドラムに接続されており、蒸気/水混合物フローが前記壁部チューブの中を流れるようになっていることを特徴とする、請求項1または2に記載のケミカル回収ボイラー。
【請求項4】
前記第1の煙道ガス・チャネルを冷却するための壁部チューブは、前記過熱器に接続されており、蒸気フローが前記壁部チューブの中を流れるようになっていることを特徴とする、請求項1または2に記載のケミカル回収ボイラー。
【請求項5】
廃液を燃焼させるための炉と、鉛直方向の煙道ガス・チャネルを含む煙道ガス・ダクトとを有するケミカル回収ボイラーであって、前記煙道ガス・チャネルの少なくとも一部には、煙道ガスから熱を回収するための熱回収ユニットが設けられており、前記熱回収ユニットは、加熱表面エレメントを含み、前記炉の後の第1の煙道ガス・チャネルには、第1の熱回収ユニットである過熱器が設けられている、ケミカル回収ボイラーにおいて、
前記過熱器に加えて、前記第1の煙道ガス・チャネルには、第2の熱回収ユニット、すなわち、節炭器、ボイラー・バンク、または再熱器のうちの1つが設けられており、前記過熱器および前記第2の熱回収ユニットの前記加熱表面エレメントは、前記煙道ガスの水平方向の入って来る方向に対して横断する方向に、横に並んで位置決めされており、前記過熱器および前記第2の熱回収ユニットの加熱表面エレメントは、前記第1の煙道ガス・チャネルの中を上から下向きに流れる前記煙道ガスに平行に位置決めされており、前記煙道ガスは、前記過熱器および前記第2の熱回収ユニットを同時に加熱し、
前記第2の熱回収ユニットが、完全に前記第1の煙道ガス・チャネルの中に配設されていることを特徴とする、ケミカル回収ボイラー。
【請求項6】
前記第1の煙道ガス・チャネルには、過熱器および節炭器が設けられていることを特徴とする、請求項に記載のケミカル回収ボイラー。
【請求項7】
前記第1の煙道ガス・チャネルには、過熱器およびボイラー・バンクが設けられていることを特徴とする、請求項に記載のケミカル回収ボイラー。
【請求項8】
前記第1の煙道ガス・チャネルには、過熱器および再熱器が設けられていることを特徴とする、請求項に記載のケミカル回収ボイラー。
【請求項9】
前記煙道ガス・チャネルの壁部表面を冷却するために壁部内に設けられている壁部チューブは、前記ケミカル回収ボイラーのドラムに接続されており、蒸気/水混合物フローが前記壁部チューブの中を流れるようになっていることを特徴とする、請求項からのいずれか一項に記載のケミカル回収ボイラー。
【請求項10】
前記煙道ガス・チャネルの壁部表面を冷却するために壁部内に設けられている壁部チューブは、前記過熱器に接続されており、蒸気フローが前記壁部チューブの中を流れるようになっていることを特徴とする、請求項からのいずれか一項に記載のケミカル回収ボイラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回収ボイラーに関し、特に、化学パルプ産業の廃液の燃焼、たとえば、黒液などの燃焼において発生させられる煙道ガスの熱を回収するための配置に関する。
【背景技術】
【0002】
化学パルプの製造において、リグニンおよび他の有機の非セルロースの材料が、蒸解ケミカルを使用する蒸解によって、化学パルプの原材料から分離される。化学的消化において使用された蒸解液、すなわち、廃液は、回収される。廃液(それは、化学パルプから機械的に分離される)は、その中に含有されており化学パルプから分離される、炭素質材料および他の有機の可燃性材料に起因して、高い燃焼値を有する。また、廃液は、無機ケミカルを含有しており、それは、化学的消化において反応しない。いくつかの異なる方法が、廃液から熱およびケミカルを回収するために開発されてきた。
【0003】
硫酸塩パルプ生成において得られる黒液は、回収ボイラーの中で燃焼される。黒液の中に含有される有機材料および炭素質材料が燃焼するときに、廃液の中の無機成分が、ケミカルに変換され、それは、リサイクルされ、蒸解プロセスにおいてさらに利用され得る。
【0004】
高温の煙道ガスが、黒液燃焼において発生させられ、それは、回収ボイラーのさまざまな熱伝達デバイスに接触するように導かれる。煙道ガスは、水もしくは蒸気、または、水および蒸気の混合物へ熱を伝え、熱交換器の内側を流れ、同時にそれを冷却する。通常、煙道ガスは、多量のアッシュを含有する。アッシュの主要部分は、硫酸ナトリウムであり、次に大きい部分は、通常、炭酸ナトリウムである。アッシュは、他の成分も含有する。煙道ガスの中に同伴されるアッシュは、主に蒸発させられた形態で炉の中にあり、主に、炉の下流のボイラーのパーツの中で、細かいダストまたはスメルト液滴に変換し始める。アッシュの中に含有されている塩が溶融し、または、それらは、比較的に低い温度においても粘着性の粒子である。溶融された粒子および粘着性の粒子は、熱伝達表面の上に容易に粘着し、さらには、それらを腐食させる。粘着性のアッシュの堆積は、煙道ガス・ダクトの閉塞リスクを引き起こし、また、ボイラーの中の加熱表面の腐食および摩耗も引き起こす。
【0005】
廃液回収ボイラーは、従来から、以下の主要パーツから形成されており、それらは、図1に概略的に図示されている。
【0006】
回収ボイラーの炉は、前方壁部および側方壁部を含む。炉の幅は、前方壁部の水平方向の長さを表し、深さは、炉の側方壁部の長さを表す。図1は、炉を有する回収ボイラーの構造を図示しており、炉は、水管壁部、すなわち、前方壁部11、側方壁部16、および後方壁部10によって、ならびに、また、水管から形成された底部15によって画定されている。燃焼空気が、複数の異なるレベルから炉の中へ供給される。黒液などのような廃液が、ノズル12から供給される。燃焼の間に、スメルト・ベッド(smelt bed)が、炉の底部の上に形成される。
- 炉の下側部1、ここでは、廃液の燃焼が主に起こる。
- 炉の中間部2、ここでは、ガス状可燃性物質の最終的な燃焼が主に起こる。
- 炉の上側部3。
- 過熱器ゾーン4、ここでは、蒸気ドラム7から出ていく飽和蒸気が、より高い温度を有する(過熱)蒸気へと変換される。過熱器ゾーンの中に、または、過熱器ゾーンの前に、いわゆるスクリーン・チューブ表面またはスクリーン・チューブが存在していることが多く、それは、通常、ウォーター・リボイラーとしての役割を果たす。
- 過熱器の下流の熱交換器すなわち、ボイラー・バンクおよび節炭器が、炉の後に続く煙道ガス・ダクトの中にあり、ここでは、炉の中で発生させられた煙道ガスの熱が回収される。ボイラー・バンク5、すなわち、ウォーター・バポライザーが、煙道ガス・ダクトの第1の煙道ガス・パスの中に位置付けされ、すなわち、いわゆる第2のパスの中に位置付けされている。ボイラー・バンクの中で、飽和温度の水が、部分的に沸騰させられて蒸気になる。
- 給水予熱器、すなわち、いわゆる節炭器6a、6b、ここでは、ドラム7の中へ、ならびに、蒸気発生部(ボイラー・バンク5、炉の壁部、および、場合によっては、スクリーン・チューブ)の中へ、ならびに、ボイラーの過熱部4の中へ給水を導く前に、熱伝達エレメントの中を流れる給水が、煙道ガスによって予熱される。
- 下側部に水を有し、上側部に飽和蒸気を有するドラム(または、蒸気ドラム)7。いくつかのボイラーは、2つのドラム、すなわち、蒸気ドラム(上側ドラム)および水ドラム(下側ドラム)を有しており、ここで、熱伝達デバイスの間に、水を沸騰させるためのいわゆるボイラー・バンク・チューブが設けられている。
- ボイラーに関連する他のパーツおよびデバイス、たとえば、燃焼空気システム、煙道ガス・システム、液体供給システム、スメルトおよび液体に関する処理システム、給水ポンプなど。いわゆるノーズは、参照番号13のマークを付されている。
【0007】
ボイラーの水/蒸気循環は、自然循環を介して配置されており、それによって、炉の壁部および底部の水管の中で形成される水/蒸気混合物は、収集管を介して蒸気ドラム7の中へ上向きに上昇し、蒸気ドラム7は、ボイラーに対して交差するように、すなわち、前方壁部11に対して平行に位置付けされている。高温水が、蒸気ドラムから降水管14を介して底部15のマニホールドの中へ流れ、マニホールドから、底部水管の中へ、および、さらに水管壁部の中へ、水が分配される。
【0008】
予熱器、すなわち、節炭器は、典型的に、熱伝達エレメントを含む熱交換器を表しており、その内側に、加熱されることとなるボイラー給水が流れる。煙道ガス・フローのための自由空間が、節炭器の中に熱伝達エレメント同士の間に残っている。煙道ガスが熱伝達エレメントのそばを通るときに、エレメントの内側を流れる給水の中へ熱が伝達される。また、ボイラー・バンクも、熱伝達エレメントから形成されており、その内側に、沸騰させられることとなる水、または、水および蒸気の混合物が流れ、エレメントを通過して流れる煙道ガスからその中へ熱が伝達される。
【0009】
熱交換器、すなわち、ボイラー・バンクおよび節炭器は、通常、その中で、煙道ガスが、下から上向きにではなく、通常は、上から下向きにだけ流れるように構築されている。節炭器の中では、より経済的な熱回収を提供するために、水のフロー方向は、通常、煙道ガスのフロー方向と反対側になっている。
【0010】
いくつかの廃液回収ボイラーの中では、ボイラー・バンクは、煙道ガスが実質的に水平方向に流れるように構築されている。そのような水平方向のボイラー・バンクを有する単一ドラム式のボイラーの中では、ボイラー・バンクの熱伝達エレメントは、沸騰させられることとなる水が実質的に下から上向きに流れるように位置決めされている。ここで、ボイラー・バンクは、煙道ガスが実質的に水平方向に流れるので、水平方向のボイラー・バンクと称される。2ドラム式のボイラーには、通常、典型的な上側ドラムおよび下側ドラムが設けられており、それらの間に、ボイラー・バンク・チューブが位置付けされており、沸騰させられることとなる水がチューブの中を実質的に下から上向きに流れ、煙道ガスが実質的に水平方向に流れるようになっている。これらのケースでは、クロスフローという一般的な用語が、煙道ガスおよび水ストリームに関して使用され得り、または、クロスフロー・ボイラー・バンクという用語が、ボイラー・バンクに関して使用され得る。
【0011】
いわゆる垂直流ボイラー・バンク5を有する、図1に概略的に図示されている従来の廃液回収ボイラーでは、煙道ガスが、垂直方向に上から下向きに流れる。煙道ガスのためのフロー・チャネル8が、ボイラー・バンクに隣接して配置されており、そのチャネルの中では、ボイラー・バンク5を通って流れた煙道ガスが下から上向きに流れる。チャネル8は、従来のように、熱伝達デバイスがない。チャネル8の次に、第1の節炭器(いわゆる、高温側の節炭器)6aが存在しており、そこでは、煙道ガスが上から下向きに流れ、節炭器の熱伝達エレメントの中を流れる給水の中へ熱を伝達する。対応する方式で、第2の煙道ガス・チャネル9が、節炭器の次に配置されており、そのチャネルの中では、節炭器6aの下側端部から来る煙道ガスが上向きに流れる。また、この煙道ガス・チャネルは、従来のように、熱回収または水予熱器のための熱伝達エレメントのない実質的に空のチャネルである。煙道ガス・チャネル9の次に、第2の節炭器、いわゆる、低温側の節炭器6bがあり、その中では、煙道ガスが上から下向きに流れ、熱伝達エレメントの中を流れる給水を加熱する。
【0012】
ボイラー・バンク5、2つの節炭器6aおよび6b、ならびに、それらの間のチャネル8、9に加えて、ボイラーは、いくつかの対応する煙道ガス・チャネルおよび節炭器を有することが可能である。
【0013】
公知であるように、ボイラー・バンクおよび節炭器の上の煙道ガスは、上から下向きに流れるように配置されている。煙道ガスの中に同伴されるアッシュが、熱伝達表面を汚す。アッシュ粒子が熱伝達表面の上に粘着するにつれて、アッシュ層が徐々に厚くなり、それは、熱伝達を悪くする。アッシュが表面の上に多量に蓄積する場合には、煙道ガスの流れ抵抗が、かく乱レベルに成長する可能性がある。熱伝達表面は、蒸気ブロワーによってクリーニングされ、蒸気ブロワーを介して、蒸気が、ときどき熱伝達表面の上にブローされ、それによって、表面の上に蓄積されたアッシュが緩ませられ、熱伝達表面の下側部に位置付けされているアッシュ収集ホッパーの中へ煙道ガスとともに通される。
【0014】
すべての回収ボイラーにボイラー・バンクが設けられているわけではない。欧州特許出願第1188986号は、解決策を提示しており、その中では、回収ボイラーの下流の第1の煙道ガス・ダクト部、いわゆる第2のパスには、少なくとも1つの過熱器、特に、一次過熱器が設けられている。次いで、煙道ガス・ダクトのこの部分の表面の温度の過度の上昇が問題となり得る。特許出願WO2014044911号は、煙道ガス・ダクトの前記一部が、スクリーン・チューブから来る冷却媒体によって冷却されるように配置されているということを提示している。
【0015】
欧州特許第1728919号は、ある配置を提示しており、そこでは、煙道ガス・ダクトの一部、いわゆる第2のパスには、煙道ガスの入って来る方向に順々に、ボイラー・バンクおよび節炭器の両方が設けられているが、過熱器表面は、先行技術に対応して、ボイラーの炉の上側部の中に位置付けされている。第2のパスにボイラー・バンクおよび節炭器が設けられているときに、それは、過熱器表面などのような他の加熱表面を煙道ガス・フローの中に位置決めすることを制限する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
ボイラーの過熱器表面を増加させることが目標である場合には、ボイラー建屋の高さが、それに対応して増加させられることとなる。したがって、煙道ガス・ダクトのいわゆる第2のパスの中に追加的な過熱表面を配置させることが有利である。その理由は、これが、ボイラー建屋を拡大する必要性を減少させるからである。本発明の目的は、プロセスの必要性にしたがって、回収ボイラーのさまざまな熱回収表面のサイズおよび位置決めを修正するために、以前よりもフレキシブルな解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明による配置は、独立請求項の特徴部に提示されているものを特徴とする。本発明の他の実施形態は、他の請求項の中に提示されているものを特徴とする。
【0018】
本発明は、廃液を燃焼させるための炉と、垂直方向の煙道ガス・チャネルを含む煙道ガス・ダクトとを有するケミカル回収ボイラーの中の配置に関し、煙道ガス・チャネルの少なくとも一部には、煙道ガスから熱を回収するための熱回収ユニットが設けられている。熱回収ユニットは、煙道ガス・ダクトの幅と実質的に同じ幅を有しており、それによって、炉の下流において、第1の煙道ガス・チャネルには、過熱器が設けられている。配置は、過熱器に加えて、第1の煙道ガス・チャネル、いわゆる第2のパスに、以下の熱回収ユニット、すなわち、節炭器、ボイラー・バンク、または再熱器のうちの1つが設けられていることを特徴とする。過熱器および第2の熱回収ユニットは、平行に位置付けされており、煙道ガス・チャネルの中で、煙道ガスが、垂直方向に上から下向きに流れ、過熱器および第2の熱回収ユニットを同時に加熱するようになっている。煙道ガスの水平方向のフロー方向に対して、過熱器および第2の熱回収ユニットは、順々に位置付けされている。過熱器および第2の熱回収ユニット、すなわち、節炭器、ボイラー・バンク、または再熱器は、典型的に、煙道ガス・ダクトの幅(すなわち、炉の前方壁部および後方壁部の長さ)に等しい幅を有している。それぞれの熱回収ユニット、すなわち、過熱器、再熱器、節炭器、およびボイラー・バンクは、複数の熱回収エレメントから形成されている。
【0019】
過熱器、再熱器、ボイラー・バンク、および節炭器は、熱回収ユニットを表しており、それらは、熱交換エレメント、典型的には、チューブから形成されており、その内側に、加熱されることとなる水、蒸気、または、それらの混合物が流れる。煙道ガス・フローのための自由空間が、熱伝達エレメント同士の間に残っている。煙道ガスが熱伝達エレメントのそばを通るとき、エレメントの内側を流れる水または蒸気フローの中へ熱が伝達される。
【0020】
煙道ガス・チャネルの中を下向きに流れる煙道ガスは、過熱器および第2の熱伝達ユニットを同時に加熱し、それによって、特定の温度の煙道ガスが、過熱器および第2の熱伝達ユニットの両方を同時に加熱する。
【0021】
再熱器および過熱器が、原理的には、および、実際には、同様の熱伝達表面になっているということは注目に値する。相違点は、「実際の」過熱器(それは、本特許出願では、過熱器と呼ばれる)の中で、ボイラー・ドラムから出ていく飽和蒸気が、それが最終段階の後に生蒸気と呼ばれるまで、より高い温度へ(たとえば、おおよそ515℃の温度へ)段階的に過熱されるということである。次いで、生蒸気は、電気エネルギーの生成のために、蒸気タービンの中へ導かれる。再熱器の中では、その順番になって、タービンから得られた蒸気が加熱され、その後に、タービンの中へ戻される。抽気蒸気が、所定の圧力レベルでタービンから取り出され、抽気蒸気は、たとえば、給水または燃焼空気を加熱するために使用される。再熱器を使用するとき、タービンの最終端部に残っている蒸気は、ボイラーの中へ、再熱器の中へ導かれて戻され、そこで、蒸気は加熱され、加熱された蒸気は、電気の生成を改善するためにタービンの中へ戻される。また、本発明は、廃液を燃焼させるための炉と、垂直方向の煙道ガス・チャネルを含む煙道ガス・ダクトとを有する回収ボイラーの中の配置に関し、煙道ガス・チャネルの少なくとも一部には、煙道ガスから熱を回収するための熱回収ユニットが設けられている。熱回収ユニットは、熱交換エレメントから形成されており、それによって、炉の下流において、第1の煙道ガス・チャネルには、過熱器が設けられている。過熱器に加えて、以下の熱回収ユニット、すなわち、節炭器、ボイラー・バンク、または再熱器のうちの1つが、煙道ガス・チャネルの中に位置付けされており、過熱器および第2の熱回収ユニットの加熱表面エレメントは、煙道ガスの水平方向の入って来る方向に対して横断する方向に、横に並んで位置決めされており、煙道ガス・チャネルの中において、煙道ガスが、垂直方向に上から下向きに流れ、煙道ガスに対して平行に位置付けされている過熱器および第2の熱回収ユニットを同時に加熱するようになっている。換言すれば、過熱器エレメントおよび第2の熱回収ユニットのエレメントは、1列になって互い違いに位置付けされており、その列は、煙道ガスの水平方向の入って来る方向に対して横断方向になっており、また、ボイラーの前方壁部/後方壁部に平行になっている。たとえば、1つ置きの加熱表面エレメントが、過熱器エレメントであることが可能であり、1つ置きの加熱表面エレメントが、節炭器エレメント、ボイラー・バンク・エレメント、または再熱器エレメントであることが可能である。しかし、過熱器エレメントおよび第2の熱回収ユニットのエレメントの数は、常に等しい必要はなく、その比率は、必要に応じて決定される。
【0022】
煙道ガスは、第2のパスの中において、特定の最大速度を有しており、それは、実際に、その中の加熱表面のサイズ、たとえば、加熱表面を形成するチューブの数など、および、煙道ガス・チャネルの深さを決定する。さまざまな加熱表面が、垂直方向の煙道ガス・フローに対して平行に、第2のパスの中に位置付けされているときに、それらのサイズ、たとえば、チューブの数などは、より自由に選ばれ得る。その理由は、煙道ガスが、それらのすべてにおいて流れるからである。これは、回収ボイラーにおいて、投資コストおよび電気の生成に関する利点を提供する。回収ボイラーでは、互いに対してさまざまな加熱表面の相互のサイズを変更することによって、可能な限り最良の性能が探し求められ、その目標は、ボイラー建屋を可能な限り小さく維持することである。
【0023】
さらに、第2のパスのスート・ブロワーは、その中のすべての平行な加熱表面をスート・ブローし、それによって、これらが異なる煙道ガス・チャネルの中に位置付けされたシーケンシャルな表面であるボイラーと比較して、スート・ブロワーの合計数、および、スート・ブロー蒸気の消費において、節約が得られる。
【0024】
さらなる利点は、建屋を拡大することなく、より多くの過熱表面がボイラーの内側に位置付けされ得り、それによって、より高い値および量の過熱蒸気が、より少ない支出で得られるということである。そのケースでは、より多くの過熱表面が、ボイラーのノーズの後ろに、および、第2のパスの中に位置付けされ得り、放射に対して保護され得り、それによって、腐食率がより小さくなる。第2のパスの上流のボイラーの上側部の中の過熱器は、より短くされることができ、それは、その中の煙道ガス・フローおよび熱伝達の効率を改善する。対流熱伝達は、より高い煙道ガス速度によって、第2のパスの中で、より効率的にされ、それによって、過熱器の投資コストの節約が得られる。
【0025】
本発明の実施形態によれば、過熱器およびボイラー・バンクは、第1の煙道ガス・チャネルの中に位置付けされている。典型的に、それらは、煙道ガスの入って来る方向に、すなわち、水平方向のフロー方向に、順々に位置決めされており、過熱器がそれらのうちの第1番目になるようになっている。煙道ガスは、ボイラー・バンクの中で特定の最大速度を有しており、それは、実際に、ボイラー・バンクの熱伝達チューブの数、および、煙道ガス・チャネルの深さを決定する。ボイラー・バンクが過熱器の次に位置付けされているときに、ボイラー・バンクの中のチューブの数は、より自由に選ばれ得る。その理由は、煙道ガスが、また、過熱器においても流れるからである。これは、ボイラー・バンクに対する必要性がより小さい回収ボイラーにおいて、投資コストおよび電気生成の利点を提供する。現在の回収ボイラーでは、燃焼させられる黒液の乾燥固体は高く(たとえば、85%)、また、生蒸気の圧力も、たとえば、110barと高く、その温度510~520℃も高く、それによって、過熱表面に対する要求されるボイラー・バンクの比率が、より小さくなる。
【0026】
本発明の実施形態によれば、過熱器および節炭器が、第1の煙道ガス・チャネルの中に位置付けされており、典型的に、それらは、煙道ガスの入って来る方向に順々に位置決めされており、過熱器がそれらのうちの第1番目になるようになっている。次いで、利点は、建屋を拡大することなく、より多くの節炭器表面がボイラーの内側に位置付けされ得り、それによって、給水の温度が、より少ない支出によって、より高く上昇させられ得るということである。そのように、第2のパスのスペースは、ボイラー・バンクの必要のないボイラーにおいて、効果的に利用され得る。
【0027】
第2のパスの冷却は、有利には、その壁部チューブが、専用のチューブ循環によってボイラー・ドラムに連結されるように配置され得る。次いで、蒸気/水混合物が、第2のパスの壁部の中を流れる。また、壁部の冷却が蒸気によって実施されることも可能であり、それによって、壁部チューブは、第1の過熱器に連結されている。蒸気冷却において、チューブの熱膨張の制御は、挑戦的である可能性がある。
【0028】
本発明の実施形態によれば、過熱器および再熱器は、第1の煙道ガス・チャネルの中に位置付けされている。それらは、煙道ガスの入って来る方向にシーケンシャルに位置決めされ得り、再熱器または過熱器が、それらのうちの第1番目になるようになっている。再熱器は、蒸気タービンに連結されており、その抽気蒸気は、再熱器を加熱する。蒸気は、より高い温度で蒸気タービンの中へ戻され、それによって、電気生成が増加させられる。その理由は、蒸気が、より低い圧力までタービンの中でフラッシュさせられ得るからである。また、ボイラーの再熱器は、2段式であることが可能である。次いで、第1段の再熱器は、過熱器とともに、第1の煙道ガス・チャネルの中に(いわゆる第2のパスの中に)位置付けされている。第2段の再熱器は、第2のパスの上流のボイラーの上側部の中に位置付けされている。第1段の再熱器から、蒸気は、第2段の再熱器の中へ、さらにタービンの中へ流れる。ボイラー自身の実際のサイズを変化させることなく、ボイラーの蒸気生成を最適化するために、ボイラーのドラムに連結されている再熱器および過熱器を同じ煙道ガス・チャネルの中に位置付けすることは、これらの加熱表面の相互のサイズ(チューブの数)のより幅広い選択肢を提供する。
【0029】
本発明の実施形態によれば、過熱器エレメントおよび節炭器エレメントは、第1の煙道ガス・チャネルの中に互い違いに位置付けされている。したがって、それらは、煙道ガスの水平方向の入って来る方向に対して交差する列になって、横に並んで位置決めされている。加熱表面エレメントは、たとえば、1つ置きのエレメントが過熱器エレメントとなり、1つ置きのエレメントが節炭器エレメントとなるように位置決めされ得る。位置決めは、対称的である必要はない。また、過熱器エレメントの数が、節炭器エレメントの数よりも大きくなっていることも可能であり、または、その逆も同様である。エレメントの数およびサイズは、それぞれのボイラーの構造およびプロセス条件にしたがって要求される加熱表面に依存する。
【0030】
本発明の実施形態によれば、過熱器エレメントおよびボイラー・バンク・エレメントは、第1の煙道ガス・チャネルの中に位置付けされている。したがって、それらは、煙道ガスの水平方向の入って来る方向に対して交差する列になって、横に並んで位置決めされている。加熱表面エレメントは、たとえば、1つ置きのエレメントが過熱器エレメントとなり、1つ置きのエレメントがボイラー・バンク・エレメントとなるように位置決めされ得る。位置決めは、対称的である必要はない。また、過熱器エレメントの数が、ボイラー・バンク・エレメントの数よりも大きくなっていることも可能であり、または、その逆も同様である。エレメントの数およびサイズは、それぞれのボイラーの構造およびプロセス条件にしたがって要求される加熱表面に依存する。
【0031】
本発明の実施形態によれば、過熱器エレメントおよび再熱器エレメントは、第1の煙道ガス・チャネルの中に位置付けされている。したがって、それらは、煙道ガスの水平方向の入って来る方向に対して交差する列になって、横に並んで位置決めされている。加熱表面エレメントは、たとえば、1つ置きのエレメントが過熱器エレメントとなり、1つ置きのエレメントが再熱器エレメントとなるように位置決めされ得る。位置決めは、対称的である必要はない。また、過熱器エレメントの数が、再熱器エレメントの数よりも大きくなっていることも可能であり、または、その逆も同様である。エレメントの数およびサイズは、それぞれのボイラーの構造およびプロセス条件にしたがって要求される加熱表面に依存する。
【0032】
ボイラー・バンクは、生蒸気の高い圧力レベルにおいて、および、燃焼液の高い乾燥固体レベルにおいて、不必要になる可能性がある。また、次いで、相分離能力に対する要件がより小さくなるので、高価なドラムは、より小さくされ得る。セルロース・パルプ・ミルの電気生成およびその効率を最大化することが目的である場合には、特に有利な実施形態は、回収ボイラーの一部としての再熱器である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】従来のケミカル回収ボイラーを概略的に図示する図である。
図2】本発明の好適な実施形態を図示しており、ケミカル回収ボイラーの煙道ガス・ダクトのいわゆる第2のパスには、過熱器に加えて、第2の熱回収ユニットが設けられていることを図示する図である。
図3】本発明の第2の好適な実施形態を図示しており、ケミカル回収ボイラーの煙道ガス・ダクトのいわゆる第2のパスには、過熱器に加えて、第2の熱回収ユニットが設けられていることを図示する図である。
図4】本発明の第3の好適な実施形態を図示しており、ケミカル回収ボイラーの煙道ガス・ダクトのいわゆる第2のパスには、過熱器に加えて、第2の熱回収ユニットが設けられていることを図示する図である。
図5】本発明の第4の好適な実施形態を図示しており、ケミカル回収ボイラーの煙道ガス・ダクトのいわゆる第2のパスには、過熱器に加えて、第2の熱回収ユニットが設けられていることを図示する図である。
図6】本発明の第5の好適な実施形態を図示しており、ケミカル回収ボイラーの煙道ガス・ダクトのいわゆる第2のパスには、過熱器に加えて、第2の熱回収ユニットが設けられていることを図示する図である。
図7】本発明の第6の好適な実施形態を図示しており、ケミカル回収ボイラーの煙道ガス・ダクトのいわゆる第2のパスには、過熱器に加えて、第2の熱回収ユニットが設けられていることを図示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図2図7は、適用可能な場合には、図1と同じ参照番号を使用している。
【0035】
図2の実施形態において、ソーダ回収ボイラーの過熱器(T)20は、炉の上側部の中に位置付けされており、過熱器21は、いわゆる第2のパス22の中に位置付けされている。煙道ガスは、主に水平方向に過熱器20を通過して流れるが、一方、煙道ガス・ダクトの中では、煙道ガスは、矢印23によって示されているように、上から下向きに、および、下から上向きに、順番に垂直方向の煙道ガス・チャネルを通って流れる。アッシュ・ホッパー24は、煙道ガス・ダクトの下側部の中に設けられている。
【0036】
過熱器に加えて、煙道ガス・ダクトのいわゆる第2のパスには、節炭器(E)25が設けられている。煙道ガス・チャネルの中では、煙道ガスが、垂直方向に上から下向きに流れ、過熱器21および節炭器25を同時に加熱する。煙道ガスの水平方向のフロー方向に関して、過熱器21および節炭器25は、シーケンシャルに位置付けされている。過熱器21および節炭器25は、典型的に、煙道ガス・ダクトの全幅まで延在している。煙道ガスは、シーケンシャルな煙道ガス・チャネルを通ってさらに流れ、吐出開口部26を介して出ていく。節炭器25に加えて、煙道ガス・ダクトには、節炭器27および28が設けられている。ボイラー水は、ライン29を介して節炭器に供給され、それは、煙道ガスに対して向流的に流れた後に、いわゆる第2のパスの節炭器25からボイラーのドラム7の中へ導かれる。
【0037】
過熱器および節炭器が、下向きに流れる煙道ガスに対して隣同士に第2のパスの中に位置決めされているときに、それらのチューブの数は、より自由に選ばれ得る。その理由は、煙道ガスが、すべてのチューブを通過して流れるからである。互いに対して異なる加熱表面の相互のサイズを変化させ、ボイラー建屋を可能な限り小さく維持する必要性があるときに、これは、利点を与える。
【0038】
図3に示されている実施形態は、ボイラー・バンクが必要とされるケミカル回収ボイラーに関する。過熱器(T)20は、炉の上側部の中に位置付けされており、過熱器21は、いわゆる第2のパス22の中に位置付けされている。煙道ガスは、主に水平方向に過熱器20を通過して流れるが、一方、煙道ガス・ダクトの中では、煙道ガスは、矢印23によって示されているように、上から下向きに、および、下から上向きに、順番に垂直方向のチャネルを通って流れる。アッシュ・ホッパー24は、煙道ガス・ダクトの下側部の中に設けられている。
【0039】
過熱器に加えて、煙道ガス・ダクトのいわゆる第2のパスには、ボイラー・バンク30が設けられている。煙道ガス・パス22の中では、煙道ガスが、垂直方向に上から下向きに流れ、過熱器21およびボイラー・バンク30を同時に加熱する。煙道ガスの水平方向のフロー方向に関して、過熱器21およびボイラー・バンク30は、シーケンシャルに位置付けされている。過熱器21およびボイラー・バンク30は、典型的に、煙道ガス・ダクトの全幅まで延在している。ボイラー・バンク30の中では、ボイラーのドラム7から来る飽和温度の水33が沸騰させられ、部分的に蒸気34になり、蒸気34は、ドラム7の中へ導かれる。
【0040】
煙道ガスは、第2のパスの後に、シーケンシャルな煙道ガス・チャネルを通ってさらに流れ、吐出開口部26を介して出ていく。煙道ガス・ダクトには、追加的に、節炭器31および32が設けられている。ボイラー水は、ライン29を介して節炭器に供給され、それは、煙道ガスに対して向流的に流れた後に、いわゆる第2のパスの下流の節炭器31からボイラーのドラム7の中へ導かれる。
【0041】
下向きに流れる煙道ガスに対して隣同士に第2のパスの中に過熱器およびボイラー・バンクを位置決めすることは、利点を提供する。煙道ガスは、ボイラー・バンクの中で特定の最大速度を有しており、それは、実際に、ボイラー・バンクのチューブの数、および、煙道ガス・チャネルの深さを決定する。ボイラー・バンクが過熱器の隣に位置付けされているときには、ボイラー・バンクの中のチューブの数は、より自由に選ばれ得る。その理由は、煙道ガスが、また、過熱器においても流れるからである。これは、ボイラー・バンクに対する必要性がより小さい回収ボイラーにおいて、投資コストおよび電気生成の利点を提供する。生蒸気の高い圧力レベルにおいて、および、燃焼液の高い乾燥固体レベルにおいて、ボイラー・バンクに対する必要性は減少する。沸騰のために必要とされる熱効率は、蒸気の圧力が上昇するにつれて減少し、煙道ガス量は、より乾燥した燃焼液とともに減少する。他方では、給水は、より高い温度まで加熱される必要がある。その理由は、より高い圧力は、同時に飽和温度を増加させ、それによって、節炭器のサイズが増加させられる必要があるからである。
【0042】
図4に示されている実施形態は、再熱器を備えたケミカル回収ボイラーに関する。過熱器(T)20および1つの再熱器(V)40が、炉の上側部の中に位置付けされている。追加的に、1つの過熱器21が、いわゆる第2のパス22の中に位置付けされている。煙道ガスは、主に水平方向に過熱器20を通過して流れるが、一方、煙道ガス・ダクトの中では、煙道ガスは、矢印42によって示されているように、上から下向きに、および、下から上向きに、順番に垂直方向のチャネルを通って流れる。アッシュ・ホッパー24は、煙道ガス・ダクトの下側部の中に設けられている。
【0043】
過熱器21に加えて、煙道ガス・チャネル、いわゆる第2のパスには、再熱器41が設けられている。煙道ガス・チャネル22の中では、煙道ガスが、垂直方向に上から下向きに流れ、過熱器21および再熱器41を同時に加熱する。煙道ガスの水平方向のフロー方向に関して、再熱器41および過熱器21は、シーケンシャルに位置付けされている。過熱器21および節炭器41は、典型的に、煙道ガス・ダクトの全幅まで延在している。
【0044】
蒸気が、蒸気タービン(図示せず)から再熱器41に進入し、再熱器が、その抽気蒸気を加熱する。抽気蒸気は、ライン46を介して再熱器の中へ導かれる。再熱器41から、蒸気は、再熱器40の中へ導かれ、その後に、それは、ライン45を介して蒸気タービンの中へ戻される。
【0045】
煙道ガスは、第2のパスの後に、シーケンシャルな煙道ガス・チャネルを通ってさらに流れ、吐出開口部26を介して出ていく。煙道ガス・ダクトには、追加的に、節炭器43および44が設けられている。ボイラー水は、ライン29を介して節炭器に供給され、それは、煙道ガスに対して向流的に流れた後に、いわゆる第2のパスの下流の節炭器43からボイラーのドラム7の中へ導かれる。
【0046】
図5の実施形態において、ソーダ回収ボイラーの過熱器(T)20は、炉の上側部の中に位置付けされており、過熱器51は、いわゆる第2のパス22の中に位置付けされている。煙道ガスは、主に水平方向に過熱器20を通過して流れるが、一方、煙道ガス・ダクトの中では、煙道ガスは、矢印53によって示されているように、上から下向きに、および、下から上向きに、順番に垂直方向の煙道ガス・チャネルを通って流れる。アッシュ・ホッパー24は、煙道ガス・ダクトの下側部の中に設けられている。
【0047】
過熱器に加えて、いわゆる第2のパス22には、節炭器52が設けられており、第1の煙道ガス・チャネルには、過熱器エレメント51および節炭器エレメント52が互い違いに設けられるようになっている。したがって、それらは、煙道ガスの水平方向の入って来る方向に対して交差する列になって、横に並んで位置決めされている。また、エレメントは、ボイラーの前方壁部11/後方壁部10の方向に1列になって位置決めされていると言うことも可能である。過熱器および節炭器は、下向きに流れる煙道ガスに対して平行に、第2のパスの中に位置決めされている。図5では、加熱表面エレメント51および52は、1つ置きのエレメントが過熱器エレメント51となり、1つ置きのエレメントが節炭器エレメント52となるように位置決めされている。位置決めは、対称的である必要はない。また、過熱器エレメントの数が、節炭器エレメントの数よりも大きくなっていることも可能であり、または、その逆も同様である。エレメントの数およびサイズは、それぞれのボイラーの構造およびプロセス条件にしたがって要求される加熱表面に依存する。
【0048】
煙道ガス・チャネルの中では、煙道ガスが、垂直方向に上から下向きに流れ、過熱器エレメント51および節炭器エレメント52を同時に加熱する。煙道ガスは、シーケンシャルな煙道ガス・チャネルを通ってさらに流れ、吐出開口部26を介して出ていく。節炭器52に加えて、煙道ガス・ダクトには、節炭器27および28が設けられている。ボイラー水は、ライン29を介して節炭器Eに供給され、それは、煙道ガスに対して向流的に流れた後に、いわゆる第2のパスの節炭器エレメント52からボイラーのドラム7の中へ導かれる。
【0049】
過熱器および節炭器が、下向きに流れる煙道ガスに対して平行に第2のパスの中に位置決めされているときに、それらのチューブの数は、より自由に選ばれ得る。その理由は、煙道ガスが、すべてのチューブを通過して流れるからである。互いに対して異なる加熱表面の相互のサイズを変化させ、ボイラー建屋を可能な限り小さく維持する必要性があるときに、これは、利点を与える。
【0050】
図6に示されている実施形態は、ボイラー・バンクが必要とされるケミカル回収ボイラーに関する。過熱器(T)20は、炉の上側部の中に位置付けされており、過熱器61は、いわゆる第2のパス22の中に位置付けされている。煙道ガスは、主に水平方向に過熱器20を通過して流れるが、一方、煙道ガス・ダクトの中では、煙道ガスは、矢印63によって示されているように、上から下向きに、および、下から上向きに、順番に垂直方向のチャネルを通って流れる。アッシュ・ホッパー24は、煙道ガス・ダクトの下側部の中に設けられている。
【0051】
過熱器に加えて、いわゆる第2のパス22には、ボイラー・バンク62が設けられており、第1の煙道ガス・チャネルには、過熱器エレメント61および節炭器エレメント62が互い違いに設けられるようになっている。したがって、過熱器エレメントおよびボイラー・バンク・エレメントは、煙道ガスの水平方向の入って来る方向に対して交差する列になって、横に並んで位置決めされている。また、エレメントは、ボイラーの前方壁部/後方壁部の方向に1列になって位置決めされていると言うことも可能である。図6では、加熱表面エレメント61および62は、1つ置きのエレメントが過熱器エレメント61となり、1つ置きのエレメントがボイラー・バンク・エレメント62となるように位置決めされている。位置決めは、対称的である必要はない。また、過熱器エレメントの数が、ボイラー・バンク・エレメントの数よりも大きくなっていることも可能であり、または、その逆も同様である。エレメントの数およびサイズは、それぞれのボイラーの構造およびプロセス条件にしたがって要求される加熱表面に依存する。
【0052】
煙道ガス・チャネル22の中では、煙道ガスが、垂直方向に上から下向きに流れ、過熱器エレメント61およびボイラー・バンク・エレメント62を同時に加熱する。ボイラー・バンク・エレメント62では、ボイラーのドラム7から来る飽和温度の水33が沸騰させられ、部分的に蒸気34になり、蒸気34は、ドラム7の中へ導かれる。
【0053】
煙道ガスは、第2のパスの後に、シーケンシャルな煙道ガス・チャネルを通ってさらに流れ、吐出開口部26を介して出ていく。煙道ガス・ダクトには、追加的に、節炭器31および32が設けられている。ボイラー水は、ライン29を介して節炭器に供給され、それは、煙道ガスに対して向流的に流れた後に、いわゆる第2のパスの下流の節炭器31からボイラーのドラム7の中へ導かれる。
【0054】
下向きに流れる煙道ガスに対して平行に第2のパスの中に過熱器エレメントおよびボイラー・バンク・エレメントを位置決めすることは、利点を提供する。煙道ガスは、ボイラー・バンクの中で特定の最大速度を有しており、それは、実際に、ボイラー・バンクのチューブの数、および、煙道ガス・チャネルの深さを決定する。ボイラー・バンクが過熱器の隣に位置付けされているときには、ボイラー・バンクの中のチューブの数は、より自由に選ばれ得る。その理由は、煙道ガスが、また、過熱器においても流れるからである。これは、ボイラー・バンクに対する必要性がより小さい回収ボイラーにおいて、投資コストおよび電気生成の利点を提供する。生蒸気の高い圧力レベルにおいて、および、燃焼液の高い乾燥固体レベルにおいて、ボイラー・バンクに対する必要性は減少する。蒸発のために必要とされる熱効率は、蒸気の圧力が上昇するにつれて減少し、煙道ガス量は、より乾燥した燃焼液とともに減少する。他方では、給水は、より高い温度まで加熱される必要がある。その理由は、より高い圧力は、同時に飽和温度を増加させ、それによって、節炭器のサイズが増加させられる必要があるからである。
【0055】
図7に示されている実施形態は、再熱器を備えたケミカル回収ボイラーに関する。過熱器(T)20および1つの再熱器(V)40が、炉の上側部の中に位置付けされている。追加的に、過熱器71が、いわゆる第2のパス22の中に位置付けされている。煙道ガスは、主に水平方向に過熱器20を通過して流れるが、一方、煙道ガス・ダクトの中では、煙道ガスは、矢印73によって示されているように、上から下向きに、および、下から上向きに、順番に垂直方向のチャネルを通って流れる。アッシュ・ホッパー24は、煙道ガス・ダクトの下側部の中に設けられている。
【0056】
過熱器に加えて、いわゆる第2のパス22には、再熱器72が設けられており、第1の煙道ガス・チャネルには、過熱器エレメント71および節炭器エレメント72が互い違いに設けられるようになっている。したがって、過熱器エレメントおよび再熱器エレメントは、煙道ガスの水平方向の入って来る方向に対して交差する列になって、横に並んで位置決めされている。また、エレメントは、ボイラーの前方壁部/後方壁部の方向に1列になって位置決めされていると言うことも可能である。図7では、加熱表面エレメント71および72は、1つ置きのエレメントが過熱器エレメント71となり、1つ置きのエレメントが再熱器エレメント72となるように位置決めされている。位置決めは、対称的である必要はない。また、過熱器エレメントの数が、再熱器エレメントの数よりも大きくなっていることも可能であり、または、その逆も同様である。エレメントの数およびサイズは、それぞれのボイラーの構造およびプロセス条件にしたがって要求される加熱表面に依存する。
【0057】
煙道ガス・チャネル22の中では、煙道ガスが、垂直方向に上から下向きに流れ、過熱器エレメント71および再熱器エレメント72を同時に加熱する。蒸気が、蒸気タービン(図示せず)から再熱器72に進入し、再熱器が、その抽気蒸気を加熱する。抽気蒸気は、ライン42を介して再熱器エレメントの中へ導かれる。再熱器エレメント72から、蒸気は、再熱器40の中へ導かれ、その後に、それは、ライン45を介して蒸気タービンの中へ戻される。
【0058】
煙道ガスは、第2のパスの後に、シーケンシャルな煙道ガス・チャネルを通ってさらに流れ、吐出開口部26を介して出ていく。煙道ガス・ダクトには、追加的に、節炭器43および44が設けられている。ボイラー水は、ライン29を介して節炭器に供給され、それは、煙道ガスに対して向流的に流れた後に、いわゆる第2のパスの下流の節炭器43からボイラーのドラム7の中へ導かれる。
【0059】
上記の説明は、現在の知識に照らして最も好ましいと考えられる本発明の実施形態に関するが、本発明は、添付の特許請求の範囲によって単独で定義される可能な限り広い範囲の中で、多くの異なる方式で修正され得るということが当業者に明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7