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特許7118929舗装用材料の押圧貼着装置並びに押圧貼着方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】舗装用材料の押圧貼着装置並びに押圧貼着方法
(51)【国際特許分類】
   E01C 23/02 20060101AFI20220808BHJP
【FI】
E01C23/02
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019145818
(22)【出願日】2019-08-07
(65)【公開番号】P2021025359
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2021-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000233653
【氏名又は名称】ニチレキ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501294445
【氏名又は名称】汎高圧工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003074
【氏名又は名称】特許業務法人須磨特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 とおる
(72)【発明者】
【氏名】中村 強
(72)【発明者】
【氏名】馬場 弘毅
(72)【発明者】
【氏名】外山 昌幸
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-224481(JP,A)
【文献】特開2016-211353(JP,A)
【文献】特開2019-035263(JP,A)
【文献】実開昭48-109605(JP,U)
【文献】特開2002-087692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ状の舗装用材料を巻回した舗装用材料ロールの片側側面を当接させる当接面と、前記当接面から略垂直に突出し前記舗装用材料ロールの中心間隙に挿入されるロール支持軸とを有するロール支持体と、前記当接面及び前記ロール支持軸が斜め上方を向く位置に前記ロール支持体を支持する第1支持機構と、軸芯の回りに回転自在に支持される側部押圧ローラと、前記側部押圧ローラを、前記側部押圧ローラの軸芯が前記ロール支持軸の軸芯を含む鉛直面と平行な鉛直面上に位置し、かつ、水平から傾斜する向きに支持する第2支持機構であって、前記側部押圧ローラの軸芯が、前記当接面と平行で前記当接面から前記舗装用材料ロールの幅に相当する距離だけ離れたロール端部平面と交差し、その交差位置が前記ロール支持軸の軸芯が前記ロール端部平面と交差する位置よりも下方であり、かつ、前記側部押圧ローラの押圧ローラ面が前記ロール端部平面を挟んだ両側に延在する位置に、前記側部押圧ローラを支持する第2支持機構と、前記第1支持機構と前記第2支持機構とが結合された第1フレームと、前記第1フレームを、前記第1支持機構及び前記第2支持機構とともに、段差部に存在する断面L字型の施工面の上部角部に前記側部押圧ローラを当接させながら、前記段差の上側面上及び/又は下側面上を移動できるように支持する移動機構と、前記第1フレームに取り付けられたガイド部材であって、断面L字型の前記施工面の下側面から立ち上がる立ち上がり面と当接することにより、前記第1フレームが前記立ち上がり面に所定距離以上接近するのを防止するガイド部材と、を備えるテープ状舗装用材料の側部押圧装置。
【請求項2】
前記第1支持機構が、前記ロール支持体の前記当接面の水平からの傾斜角度を調整する手段を備えている請求項1記載のテープ状舗装用材料の側部押圧装置。
【請求項3】
前記第2支持機構が、前記側部押圧ローラを下方に向けて付勢する付勢手段を備えている請求項1又は2記載のテープ状舗装用材料の側部押圧装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舗装用材料の押圧貼着装置並びに押圧貼着方法に関し、詳細には、ロール状に巻回されたテープ状の舗装用材料を断面L字型の施工面に押圧貼着する舗装用材料の押圧貼着装置並びに押圧貼着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、アスファルト舗装のジョイント部や舗装端部からの雨水の浸入を防止するために、テープ状に成型された成型目地材が用いられており、斯かる成型目地材を舗装端部などの垂直面に貼り付ける装置も、例えば特許文献1、2にみられるとおり、種々提案されている。
【0003】
しかし、これら従来の貼付機が対象とする成型目地材は、断面形状がほぼ一定のテープ状の目地材であり、これを雨水の浸入防止のために例えばアスファルト舗装のジョイント部や、舗装端部と縁石との継ぎ目部などにおける垂直面に貼り付けようとしても、ジョイント部の垂直断面には通常凹凸やダストがあるため、一旦は貼り付くものの、すぐに上端部からよれてしまい、ジョイント部に確実に密着させるのが難しいという欠点があった。
【0004】
このような欠点を解決するために、本出願人は、想定される折り曲げ線に沿った折り曲げ用の凹みを片面又は両面に有するテープ状に成型された成型目地材を開発し、特許文献3に開示した。この成型目地材は、折り曲げ用の凹みを有しているので、容易にL字型に折り曲げて、例えば切削オーバーレイ工法などによる補修工事に際して生じる断面L字型の切削端面における水平面と立ち上がり面の双方に貼り付け密着させることができ、ジョイント部からの雨水の浸透を効果的に防止することができる非常に優れた成型目地材である。
【0005】
しかし、上記のL字型に折り曲げることができる成型目地材は、断面L字型の切削端面における水平面と立ち上がり面の双方に貼り付けるものであるので、特許文献1、2に開示されたような専ら垂直面だけに貼り付けることを想定した貼付装置を用いて貼り付けることができない。
【0006】
この不都合を解消すべく、本出願人は、舗装用材料のロールを回転可能に保持する舗装用材料保持部と、水平から傾いた押圧貼着輪とを備えた舗装用材料押圧貼着装置を開発し、特許文献4に開示した。この特許文献4に開示した装置によれば、ロールからの舗装用材料の繰り出しと、断面L字型の切削端面の水平面と垂直な立ち上がり面の双方に、テープ状の舗装用材料を押し当てて、押圧、貼着することができる。これにより、作業者は立ったままの姿勢で成型目地材等の舗装用材料の貼着作業を行うことが可能となり、作業者への負担の大いなる軽減が実現された。
【0007】
しかしながら、本出願人が独自に得たその後の知見によれば、上記特許文献4に開示された装置においては、施工区間が長くなると、ややもすると、テープ状の舗装用材料が、当初のセッティング位置から、断面L字型の切削端面の上方又は下方にずれてくることがあり、その都度、テープ状の舗装用材料のセッティング位置を修正しなければならないという問題点があることが判明した。この点で、特許文献4に開示された装置は、未だ改良の余地を残している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平5-17907号公報
【文献】実用新案登録第3062202号公報
【文献】実用新案登録第3189337号公報
【文献】特開2016-211353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来技術の状況に鑑みて為されたもので、成型目地材などのテープ状の舗装用材料を、位置ずれ少なく、切削端面などの断面L字型の施工面の水平面及び垂直な立ち上がり面の双方に押圧、貼着することを可能にする舗装用材料押圧貼着装置並びに押圧貼着方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決すべく、鋭意研究と試行錯誤を重ねた結果、本発明者らは、ロールから繰り出したテープ状の舗装用材料を、直ちに断面L字型の施工面の水平面と立ち上がり面の双方に押圧するのではなく、まずは、テープ状の舗装用材料の長手方向に沿った上方側部のみを断面L字型の施工面の上部角部に押圧、貼着することによって舗装用材料を位置決めし、その後、舗装用材料の略中央部を断面L字型の施工面の入隅に押し込むとともに、入隅の両側に延在する舗装用材料を、先端部が入隅に適合する角度を有する押圧輪で施工面の水平面及び立ち上がり面の双方に押圧、貼着することにより、位置ずれ少なく、断面L字型の施工面の水平面及び垂直な立ち上がり面の双方にテープ状の舗装用材料を連続的に押圧、貼着することができることを見出した。
【0011】
すなわち、本発明は、以下に述べるテープ状舗装用材料の側部押圧装置と、以下に述べるテープ状舗装用材料のテープ面押圧装置とを組合せてなるテープ状舗装用材料の押圧貼着装置を提供することによって上記課題を解決するものである。
【0012】
本発明の好適な一態様において、上記テープ状舗装用材料の側部押圧装置とは、テープ状の舗装用材料を巻回した舗装用材料ロールの片側側面を当接させる当接面と、前記当接面から略垂直に突出し前記舗装用材料ロールの中心間隙に挿入されるロール支持軸とを有するロール支持体と、前記当接面及び前記ロール支持軸が斜め上方を向く位置に前記ロール支持体を支持する第1支持機構と、軸芯の回りに回転自在に支持される側部押圧ローラと、前記側部押圧ローラを、前記側部押圧ローラの軸芯が前記ロール支持軸の軸芯を含む鉛直面と平行な鉛直面上に位置し、かつ、水平から傾斜する向きに支持する第2支持機構であって、前記側部押圧ローラの軸芯が、前記当接面と平行で前記当接面から前記舗装用材料ロールの幅に相当する距離だけ離れたロール端部平面と交差し、その交差位置が前記ロール支持軸の軸芯が前記ロール端部平面と交差する位置よりも下方であり、かつ、前記側部押圧ローラの押圧ローラ面が前記ロール端部平面を挟んだ両側に延在する位置に、前記側部押圧ローラを支持する第2支持機構と、前記第1支持機構と前記第2支持機構とを連結する第1フレームと、前記第1フレームを、前記第1支持機構及び前記第2支持機構とともに、段差部に存在する断面L字型の施工面の上部角部に前記側部押圧ローラを当接させながら、前記段差の上側面上及び/又は下側面上を移動できるように支持する移動機構と、前記第1フレームに取り付けられたガイド部材であって、断面L字型の前記施工面の下側面から立ち上がる立ち上がり面と当接することにより、前記第1フレームが前記立ち上がり面に所定距離以上接近するのを防止するガイド部材と、を備えるテープ状舗装用材料の側部押圧装置である。
【0013】
好適な一態様において、前記第1支持機構は、前記ロール支持体の前記当接面の水平からの傾斜角度を調整する手段を備えており、これにより、例えば施工現場によって舗装表層の切削深さが異なり、断面L字型の施工面における垂直な立ち上がり面の高さが種々異なる場合にも、前記傾斜角度を調整して、適宜対応することが可能となる。
【0014】
また、好適な他の一態様において、前記第2支持機構は、前記側部押圧ローラを下方に向けて付勢する付勢手段を備えており、これにより、側部押圧ローラによるテープ状舗装用材料の押圧をより確実に行うことが可能となる。
【0015】
また、本発明の好適な一態様において、上記テープ状舗装用材料のテープ面押圧装置とは、支持軸の回りに回転自在に支持される第一押圧輪であって、その外周端面が全周にわたって半径方向に鋭角に突出している第一押圧輪と、支持軸の回りに回転自在に支持される第二押圧輪であって、その外周端面が全周にわたって半径方向に略直角に突出している第二押圧輪と、前記第一押圧輪の鋭角に突出した外周端面の頂点を含む平面と、前記第二押圧輪の略直角に突出した外周端面の頂点を含む平面とが同一平面上にあり、かつ、前記第二押圧輪の略直角に突出する外周端面が、段差部に存在する断面L字型の施工面における下側面及び前記下側面から立ち上がる立ち上がり面の双方と当接する角度に、前記第一押圧輪及び前記第二押圧輪を支持する第2フレームと、前記第2フレームを、前記段差の上側面上及び/又は下側面上を移動できるように支持する移動機構とを備えるテープ状舗装用材料のテープ面押圧装置である。
【0016】
好適な一態様において、前記第二押圧輪は、底面半径が同じ円錐台形状の上部半輪と下部半輪とを含み、前記上部半輪及び前記下部半輪とが、底面同士を対向させた向きに組み合わされ、両底面の中心をとおり、両底面に対して垂直な前記支持軸の回りに、それぞれ独立して回転自在に支持されている。これにより、断面L字型の施工面の水平な下面への舗装用材料の押圧貼着と、垂直な立ち上がり面への舗装用材料の押圧貼着とを、独立して回転する押圧輪によってそれぞれ独立して行うことが可能となり、テープ状の舗装用材料の位置ずれをより少なくすることができる。
【0017】
前記上部半輪と前記下部半輪の円錐台底面と円錐台側面との為す角度はそれぞれ略45度であるのが好ましく、これにより第二押圧輪の先端面の突出角度は略90度となり、断面L字型の施工面の入隅の角度と一致することになる。
【0018】
前記第一及び第二押圧輪、並びに第二押圧輪を構成する上部半輪及び下部半輪は、テープ状の舗装用材料を施工面の入隅に押し込んだり、施工面の水平な下面及び立ち上がり面の双方に押圧、貼着することができる限り、どのような材料から構成されていても良く、ゴム、合成樹脂、金属など適宜の材料を用いて構成することが可能である。ただし、断面L字型の施工面が通常若干の凹凸を有していることを考慮すると、少なくとも第二押圧輪及び第二押圧輪を構成する上部半輪及び下部半輪の表面は、弾性を有する天然又は人工のゴムで構成されているのが望ましい。
【0019】
また、本発明は、段差部に存在する断面L字型の施工面にテープ状の舗装用材料を押圧貼着する押圧貼着方法であって、テープ状の舗装用材料を舗装用材料ロールから繰り出して、その上側側部を前記施工面の上部角部に押圧することにより、テープ状の舗装材料の上側側部を、順次、断面L字型の前記施工面の上部角部若しくはその近傍に押圧貼着していくテープ側部押圧工程、上側側部が断面L字型の施工面の上部角部若しくはその近傍に貼着されているテープ状の舗装用材料を、その上下両側部間の位置で、外周端面が全周にわたって半径方向に鋭角に突出する第一押圧輪によって、順次、断面L字時の前記施工面の入隅に向かって押圧する、第一押圧工程、及び、上下両側部間の位置で前記施工面の入隅に向かって押圧された前記テープ状の舗装用材料を、外周端面が全周にわたって半径方向に略直角に突出している第二押圧輪によって、順次、断面L字型の前記段差の下面及び立ち上がり面に向かって押圧する、第二押圧工程、を含む押圧貼着方法を含む押圧貼着方法を提供することによって上記課題を解決するものである。
【0020】
前記押圧貼着方法において、前記テープ側部押圧工程は、上述した本発明に係るテープ状舗装用材料の側部押圧装置を用いて行われるのが好ましく、前記第一押圧工程及び前記第二押圧工程は、上述した本発明に係るテープ状舗装用材料のテープ面押圧装置を用いて行われるのが好ましい。
【0021】
本発明が対象とするテープ状の舗装用材料は、好ましくは、特許文献3に開示される折り曲げ用の凹み部を有する成型目地材であるが、それに限られるものではなく、ロール状に巻回されたテープ状の成型目地材等の舗装用材料であって、断面L字型の施工面の水平な下面と立ち上がり面の双方に押圧、貼着される舗装用材料であれば、どのような舗装用材料であっても良い。また、本発明が対象とする断面L字型の施工面にも特段の制限はなく、舗装のジョイント部や、縁石、舗装止め、橋梁端部構造物などの立ち上がり部などはもとより、既設舗装体を一部切削除去して創出される断面略L字型の施工面も当然に含まれる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るテープ状舗装用材料の押圧貼着装置並びに押圧貼着方法によれば、作業者に腰を屈める作業を強いることなく、テープ状の舗装用材料を、断面L字型の施工面に、位置ずれ少なく、連続して押圧、貼着することができるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明のテープ状舗装用材料の側部押圧装置の一例を示す正面図である。
図2図1に示すテープ状舗装用材料の側部押圧装置の平面図である。
図3図2のX-X’垂直断面図である。
図4図1のY-Y’水平断面図である。
図5】第1支持機構の詳細を説明する参考正面図である。
図6】第1支持機構の詳細を説明する参考正面図である。
図7図2のZーZ’垂直断面図である。
図8図7の左側面図である。
図9】ロール支持軸と側部押圧ローラとの位置関係を説明するための参考平面図である。
図10】ロール支持軸と側部押圧ローラとの位置関係を説明するための参考正面図である。
図11】本発明のテープ状舗装用材料のテープ面押圧装置の一例を示す平面図である。
図12図11のXX-XX’断面図である。
図13図12の第一押圧輪の部分だけを取り出して示す図である。
図14図11の正面図である。
図15図11の第二押圧輪の部分だけを取り出して示す図である。
図16】側部押圧装置に舗装用材料ロールをセットした状態を示す図である。
図17】舗装装材料ロールから舗装用材料と取り出して初期位置にセットした状態を示す図である。
図18】テープ側部押圧工程を示す図である。
図19】第一押圧工程を示す図である。
図20】第二押圧工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明が図示されるものに限られないことは勿論である。
【0025】
A.テープ状舗装用材料の側部押圧装置
まず、本発明のテープ状舗装用材料の押圧貼着装置を構成するテープ状舗装用材料の側部押圧装置について説明する。
【0026】
図1は本発明に係るテープ状舗装用材料の側部押圧装置の正面図、図2はその平面図である。図1及び図2において、1はテープ状舗装用材料の側部押圧装置であり、2は第1フレーム、3a、3bは第1フレーム2に立設された本体支柱、4a、4bは側方支柱である。5a、5bは、本体支柱3a、3bと側方支柱4a、4bとをそれぞれ連結する連結フレーム、6は側方支柱4aと側方支柱4bとを連結する補助フレームである。側方支柱4aは、補助フレーム6よりも若干下方の位置にネジ部4cと挿入部4dとから構成される伸縮部を備えており、後述する施工面Sにおける立ち上がり面Sの高さに応じて側方支柱4aの長さを調節することができるようになっている。これは、側方支柱4bについても同様である。なお、本体支柱3a、3b、側方支柱4a、4bの長さは、一部省略して示してある。
【0027】
7はロール支持体であり、ロール支持体7は、ロール支持板7bと、ロール支持板7bの上面に相当する当接面7sと、当接面7sから略垂直に突出するロール支持軸7rを有している。テープ状の舗装用材料を巻回した舗装用材料ロール(図示せず)は、ロールの中心間隙内にロール支持軸7rを挿入し、ロールの片側側面を当接面7sに当接させて、ロール支持体7上にロール支持軸7rの軸芯の回りに回転可能に支持される。
【0028】
本例において、ロール支持軸7rは、ロール支持板7bに対してロール支持軸7rの軸芯の回りに回転自在に軸支されており、舗装用ロールがロール支持軸7rの軸芯の回りに回転するとき、ロール支持軸7rも舗装用ロールとともに回転する。なお、ロール支持軸7rは、支持板7bに固定されていて、舗装用材料ロールだけがロール支持軸7rの軸芯の回りに回転するようにしても良い。8は、ロール支持板7bに取り付けられているテープガイドローラである。テープガイドローラ8は、ロール支持板7bに対して回転自在に軸支されていても良いし、支持板7bに固定されていても良い。
【0029】
9a、9bは、その一端がロール支持板7bの両側部に取り付けられ、他端が支持支柱10a、10bを介して第1フレーム2に取り付けられている第1支持機構である。第1支持機構9a、9bによって、ロール支持体7は、図示のとおり、第1フレーム2に対し、当接面7s及びロール支持軸7rが斜め上方を向く位置に支持、固定されている。第1支持機構9a、9bの詳細は後述する。
【0030】
11は側部押圧ローラであり、第2支持機構12を介して、第1フレーム2に取り付けられている。図1及び図2に示されるとおり、側部押圧ローラ11は、その先端が斜め下方を向くように第2支持機構12によって支持されている。なお、側部押圧ローラ11及び第2支持機構12の詳細は後述する。hは第1フレーム2に設けられた大長孔、hは同じく第1フレーム2に設けられた小長孔である。
【0031】
13a、13bはガイドローラ、13ar、13brはその垂直支持軸(但し、13brは図示されていない)である。14a、14aは、第1フレーム2の下面に取り付けられた移動用車輪、15aは側方支柱4aの下面に取り付けられた移動用車輪である。なお、本体支柱3bの下方には、図示しない移動用車輪14b、14bが、本体支柱3aの下方に位置する移動用車輪14a、14aと同様に、第1フレーム2の下面に取り付けられており、側方支柱4bの下面には、同じく図示しない移動用車輪15bが取り付けられている。Sは断面L字型(図1においては逆L字型)の施工面であり、施工面Sは、図1の右下に一部取り出して示すとおり、下面S、上面S、立ち上がり面S、入隅S、及び上部角部Sから構成されている。
【0032】
テープ状舗装用材料の側部押圧装置1を図1に示す位置に設置し、連結フレーム5a、5bを把持するなどして、側部押圧装置1を紙面に対して垂直方向に移動させると、側部押圧装置1は、側部押圧ローラ11を施工面Sの上部角部Sと当接させながら、移動用車輪14a、14b、15a、15bによって、施工面Sの上面S及び下面S上を移動することになる。このとき、ガイドローラ13a、13bが立ち上がり面Sと当接するので、側部押圧装置1が立ち上がり面Sに所定距離以上接近するのが防止される。
【0033】
なお、本例において、ガイドローラ13a、13bは、垂直支持軸13ar、13brによって垂直な軸の回りに回転自在に支持された回転ローラとして構成されているが、必ずしも回転ローラである必要はなく、立ち上がり面Sと当接しながら、大きな抵抗なしに立ち上がり面S上を移動することができるガイド部材であれば良く、水平断面形状が円又は楕円等の表面が滑らかな棒状又は板状部材であっても良い。
【0034】
図3は、図2のX-X’垂直断面図であり、便宜上、側方フレーム4b、連結フレーム5b、及び本体支柱3bの一部は省略してある。図4は、図1のY-Y’水平断面図であり、便宜上、側方フレーム4a、4bは省略してある。
【0035】
図3及び図4に見られるとおり、第1支持機構9a、9bは、その一方端が連結部材16aj、16bjを介して、ロール支持板7bの両側部に取り付けられている。16a、16bは連結補助部材、17a、17bは回転ブロック、18a、18bは接続ブロック、19a、19bは支持腕であり、支持腕19a、19bの根元部は、支持支柱10a、10bの上端に取り付けられた連結ブロック20a、20bに取り付けられている。7cは、ロール支持軸7rの軸芯である。
【0036】
連結部材16aj、16bjと連結補助部材16a、16bとは結合されており、連結補助部材16a、16bは、その先端部に設けられた連結棒16ap、16bp(連結棒16apは図には示されていない)の一部を回転ブロック17a、17b内に差し込んだ状態で回転ブロック17a、17bに対して固定され、回転ブロック17a、17bと連結されている。また、接続ブロック18a、18bは、それぞれの球状の先端部18ah、18bhの一部を回転ブロック17a、17b内に挿入した状態で、回転ブロック17a、17bに対して一時固定され、回転ブロック17a、17bと連結されている。
【0037】
第1支持機構9a、9bが上記のように構成されているので、例えば、図5に示すとおり、回転ブロック17a、17b内にある図示しない固定ネジを緩めることによって、接続ブロック18a、18bの球状の先端部18ah、18bhと回転ブロック17a、17bとの連結状態を緩め、回転ブロック17a、17bの接続ブロック18a、18bに対する連結角度を変化させ、ロール支持体7の当接面7sの水平からの傾斜角度を調整することができる。
【0038】
また、図6に示すとおり、回転ブロック17a、17b内にある図示しない他の固定ネジを緩めることによって、連結補助部材16a、16bの連結棒16ap、16bpと回転ブロック17a、17bとの連結状態を緩め、連結棒16ap、16bpの回転ブロック17a、17b内への差し込み深さを変えることによって、回転ブロック17a、17bと連結補助部材16a、16b間の距離を変え、当接面7sの中心、すなわち、当接面7sとロール支持軸7rの軸芯7cとの交点の高さ位置を調整することができる。
【0039】
第1支持機構9a、9bが、上述したような当接面7sの水平からの傾斜角度の調整手段及び/又は当接面7sとロール支持軸7rの軸芯7cとの交点の高さ位置の調整手段を備えている場合には、当接面7s上に支持される舗装用材料ロールと断面L字状の施工面Sとの位置関係を適宜調節することにより、舗装用材料ロールから繰り出したテープ状の舗装用材料の側部を、位置ズレをより少なく、断面L字状の施工面Sの上部角部Sに押圧、貼着することができる。
【0040】
図7は、図3における側部押圧ローラ11と、側部押圧ローラ11を支持する第2支持機構12の部分だけを取り出して示す正面図であり、図2におけるZ-Z’垂直断面図に相当する。図7にみられるとおり、第2支持機構12は、側部押圧ローラ11を軸芯11cの回りに回転自在に支持する支持部21、支持部21とネジ部22pを介して連結された支持腕22、ナット23nによって第1フレーム2の小長孔hの一つに取り付けられた支持柱23、支持柱23と支持腕22とを回動自在に連結する連結ピン24とから構成されている。このような第2支持機構12によって、側部押圧ローラ11は、その先端部を下方に向けて、水平から傾斜する向きに回転自在に支持されている。なお、側部押圧ローラ11は、少なくともその外周部が軟質の樹脂やゴムなどの弾性を有する素材で構成されているのが好ましい。
【0041】
本例において、第2支持機構12は、さらにナット25nによって第1フレーム2の他の小長孔hに取り付けられた係合柱25と、係合柱25と支持腕22のネジ部22pとの間に張架されたコイルバネ等の弾性部材26とを有しており、これにより、側部押圧ローラ11は、常に係合柱25の方向に引っ張られており、向きでいえば、下方に向けて付勢されている。つまり、係合柱25と支持腕22のネジ部22pとの間に張架されたコイルバネ等の弾性部材26が、側部押圧ローラ11を下方に向けて付勢する付勢手段ということになる。
【0042】
第2支持機構12が、上記のような付勢手段を備えていることによって、側部押圧ローラ11は、使用時、常に施工面Sの上部角部Sに対して付勢、押圧されることになるので、テープ状の舗装用材料の側部を施工面Sの上部角部S若しくはその近傍により良く押圧、貼着することができる。
【0043】
なお、付勢手段はコイルバネに限られない。コイルバネに代えて板バネやゴム等の弾性手段を用いたりしても良いことは勿論であり、それら弾性手段の配置形態も図示のものに限られない。
【0044】
また、本例において、支持腕22と支持部21とは、支持腕22の下端部に形成されているネジ部22pを、支持部21の上端内側に形成されている雌ねじ部と螺合させることによって連結されているので、支持部21と支持腕22とを相対的に回転させることによって、支持部21を支持腕22に対して、その軸方向に移動させ、側部押圧ローラ11の高さ方向位置を調整することができる。これにより、施工面Sの立ち上がり面Sの高さが種々異なる施工現場においても、側部押圧ローラ11の高さ方向位置を常に最適の位置に調整することが可能となる。
【0045】
さらに、ナット23n及び25nを緩めることにより、支持柱23及び係合柱25と第1フレーム2との連結を一時的に解除し、支持柱23及び/又は係合柱25を小長孔hの長手方向に沿った適宜の位置に移動させることも随時行うことが可能である。これにより、側部押圧ローラ11のテープ状舗装用材料の側部押圧装置1の進行方向に沿った位置を変え、側部押圧ローラ11とロール支持体7、特にそのロール支持軸7rとの距離を適宜変更、調整することができる。支持柱23及び係合柱25を第1フレーム2に対して固定するには、ナット23n及び25nを再び締めれば良い。
【0046】
図8は、図7の左側面図である。図8に示すとおり、第1フレーム2の側面の一部には切り欠きHが設けられており、側部押圧ローラ11は、この切り欠き部Hを通過して、施工面Sの上部角部Sに当接することができる。
【0047】
図9は、ロール支持体7におけるロール支持軸7rと側部押圧ローラ11との位置関係を説明するための参考平面図である。図9において、Pは、ロール支持軸7rの軸芯7cを含む鉛直面、P11は、側部押圧ローラ11の軸芯11cを含む鉛直面であり、鉛直面P11と鉛直面Pとは平行である。つまり、側部押圧ローラ11は、その軸芯11cを含む鉛直面P11が、ロール支持体7を構成するロール支持軸7rの軸芯7cを含む鉛直面Pと平行になるように第2支持機構12によって支持されている。このように、ロール支持軸7rの軸芯7cと、側部押圧ローラ11の軸芯11cとが、互いに平行な鉛直面上に位置しているので、ロール支持軸7rから繰り出されるテープ状の舗装用材料は、繰り出されたままの状態で、何らねじれたりすることなく、側部押圧ローラ11と当接し、施工面Sの上部角部S若しくはその近傍に押圧、貼着されることになる。
【0048】
図10は、図9と同様に、ロール支持体7におけるロール支持軸7rと側部押圧ローラ11との位置関係を説明するための参考正面図であり、便宜上、説明に必要な部分のみを示してある。図10において、Rは舗装用材料ロールであり、舗装用材料ロールRは、その中心間隙内にロール支持軸7rを貫通させ、下側側面を当接面7sに当接させた状態で、ロール支持体7に支持されている。Wは、舗装用材料ロールRを構成するテープ状の舗装用材料の幅、Pは、上記状態にある舗装用材料ロールRの上側端部側面を含む平面である。換言すれば、平面Pは、当接面7sと平行で当接面7sから舗装用材料ロールRの幅Wに相当する距離だけ離れたロール端部平面ということになる。
【0049】
7Cは、ロール支持軸7rの軸芯7cがロール端部平面Pと交差する位置から水平に引いた水平線、C11Cは、側部押圧ローラ11の軸芯11cがロール端部平面Pと交差する位置から水平に引いた水平線である。h7Cは水平線C7Cの基準面(図示の場合は施工面Sの下面S)からの高さ、h11Cは水平線C11Cの基準面(図示の場合は施工面Sの下面S)からの高さである。図から明らかなとおり、h7C>h11Cの関係にあり、側部押圧ローラ11は、その軸芯11cがロール端部平面Pと交差し、その交差する位置が、ロール支持軸7rの軸芯7cがロール端部平面Pと交差する位置よりも下方となるように第2支持機構12によって支持されている。また、図から明らかなとおり、側部押圧ローラ11の押圧ローラ面は、ロール端部平面Pを挟んだ両側に延在している。
【0050】
このように、側部押圧ローラ11は、その軸芯11cがロール端部平面Pと交差し、その交差位置がロール支持軸7rの軸芯7cがロール端部平面Pと交差する位置よりも下方であり、かつ、側部押圧ローラ11の押圧ローラ面がロール端部平面Pを挟んだ両側に延在する位置に、第2支持機構12によって支持されている。これにより、舗装用材料ロールRから繰り出されたテープ状の舗装用材料は、スムースに施工面Sの上部角部Sに押圧、貼着されることになる。
【0051】
B.テープ状舗装用材料のテープ面押圧装置
次に、本発明の舗装用材料押圧貼着装置を構成するテープ状舗装用材料のテープ面押圧装置について説明する。
【0052】
図11は、本発明に係るテープ状舗装用材料のテープ面押圧装置の一例を示す平面図である。図11において、30は本発明に係るテープ面押圧装置であり、31は第一押圧輪、32は第二押圧輪である。第一押圧輪31と第二押圧輪32とは、それぞれ傾斜支柱33a、33bの下端部に回転自在に支持されている。34a、34bは直立支柱、35は連結フレームであり、傾斜支柱33a、33bは連結フレーム35と連結されている。傾斜支柱33a、33b、直立支柱34a、34b、及び連結フレーム35によって第2フレームが構成されている。36は、傾斜支柱33a、33bの上端部に取り付けられた取手である。
【0053】
図12は、図11のXX-XX’垂直断面図であり、図13は、図12における第一押圧輪31の部分だけを取り出した図である。
【0054】
図12及び図13に見られるとおり、第一押圧輪31は、同形の薄い二枚の円錐台形状の下部半輪31aと上部半輪31bをその底面同士を底面の中心を一致させて貼り合わせて一体化した形状を有しており、両底面の中心をとおり、両底面に対して垂直な支持軸31rの回りに回転自在に支持されている。
【0055】
貼り合わされた2枚の円錐台形状の下部半輪31aの側面31asと、上部半輪31bの側面31bsとが、第一押圧輪31の外周端面を構成している。31tは外周端面の頂点である。図に示すとおり、側面31as及び31bsで構成される第一押圧輪31の外周端面は、第一押圧輪31の全周にわたって半径方向に突出しており、その突出角度αは90度未満、すなわち鋭角である。
【0056】
また、外周端面の頂点31tを含む平面Pが水平面と為す角度βは45度である。角度βは必ずしも45度に限られるものではないが、断面L字型の施工面Sにおける入隅Sの角度が通常90度であることに鑑みると、テープ状の舗装用材料を第一押圧輪31によって入隅Sにも確実に押圧するためには、角度βは45度若しくは略45度であるのが最も好ましく、多少ずれたとしても40度~50度の範囲内にあるのが好ましい。
【0057】
第一押圧輪31は、テープ状の舗装用材料を施工面Sの入隅Sに押し込んで押圧、貼着することができる限り、どのような材料から構成されていても良く、例えば、ゴム、合成樹脂、金属など適宜の材料を用いて構成することが可能である。
【0058】
図14図11の正面図であり、図15は、図14に示した第二押圧輪32の部分だけを取り出した図である。図14において、第一押圧輪31は、便宜上、描かれていない。
【0059】
図14及び図15に見られるとおり、第二押圧輪32は、底面半径が同じで高さの異なる2つの円錐台形状の下部半輪32aと上部半輪32bとから構成されており、下部半輪32aと上部半輪32bとは、その底面の中心を一致させて底面同士が当接する向きに組合わされている。下部半輪32aと上部半輪32bは、それぞれの底面の中心をとおり底面に対して垂直な支持軸32rに回転自在に支持されている。下部半輪32aと上部半輪32bとは結合されていないので、支持軸32rの回りに、それぞれ独立して回転可能である。
【0060】
下部半輪32aの円錐台形状の側面32asと、上部半輪32bの円錐台形状の側面32bsとが第二押圧輪32の外周端面を構成している。32tは外周端面の頂点である。図に示すとおり、本例においては、下部半輪32aの円錐台形状の底面と側面32asとの為す角度α、及び上部半輪32bの円錐台形状の底面と側面32bsとの為す角度αは、いずれも45度であり、αとαを加算した角度、すなわち、第二押圧輪32の外周端面が第二押圧輪32の外周の全周にわたって半径方向に突出する角度は90度となっている。
【0061】
断面L字型の施工面Sにおける入隅Sの角度は、上述したとおり、通常90度であるので、第二押圧輪32の外周端面が半径方向に突出する角度が90度であることによって、第二押圧輪32は、下部半輪32aの側面32bs及び上部半輪32bの側面32bsの双方を、それぞれ施工面Sの下面S及び立ち上がり面Sと確実に当接させながら、施工面Sの入隅Sに沿って移動することができる。
【0062】
また、外周端面の頂点32tを含む平面Pが水平面と為す角度βは、下部半輪32aの底面と側面32asとの為す角度αと同じであり、本例においては45度である。角度βは必ずしも45度に限られるものではないが、第二押圧輪32の外周端面の頂点32tを含む平面Pと、先に図13に示した第一押圧輪31の外周端面の頂点31tを含む平面Pとは、同じ平面上にあるのが好ましく、β=βであるのが好ましい。
【0063】
第二押圧輪32は、テープ状の舗装用材料を断面L字型の施工面Sにおける下面S及び立ち上がり面Sの双方に押圧、貼着することができる限り、どのような材料から構成されていても良く、例えば、ゴム、合成樹脂、金属など適宜の材料を用いて構成することが可能である。ただし、施工面Sが、通常、多少の凹凸を有していることを考慮すると、第二押圧輪32は、少なくともその表面が弾性を有する天然又は人工のゴム、例えばウレタンゴムなどで構成されているのが望ましい。
【0064】
本発明に係る舗装用材料押圧貼着装置は、上述したテープ状舗装用材料の側部押圧装置1と、テープ状舗装用材料のテープ面押圧装置30とを組合せてなるものであり、側部押圧装置1を構成する第1フレーム2と、テープ面押圧装置30を構成する傾斜支柱33a、33b、直立支柱34a、34b、及び連結フレーム35からなる第2フレームとは、それぞれが別々に存在していても良いし、互いに連結されていても良い。
【0065】
C.舗装用材料の押圧貼着方法
以下、上述した側部押圧装置1とテープ面押圧装置30とを用いて実行されるテープ状の舗装用材料の押圧貼着方法について、図16図20を用いて説明する。なお、図16図20においては、説明に直接関与しない部材は省略してある。
【0066】
まず、図16に示すように、側部押圧装置1のロール支持体7上の所定位置に舗装用材料ロールRをセットする。舗装用材料ロールRは、その中心間隙内にロール支持軸7rを貫通させ、下側側面を当接面7sに当接させた状態でロール支持体7上に支持される。このとき、ロール支持体7上に支持される舗装用材料ロールRの上側側面上に、中心部にロール支持軸7rの貫通を許す空隙部を備えた円盤状の安定板を載置して、ロール支持体7による舗装用材料ロールRの支持の安定化を図っても良い。また、図16に示す状態では、側部押圧装置1は、図16には示されていないガイドローラ13a、13bの側面が施工面Sの立ち上がり面Sと当接する所定の押圧位置にあり、側部押圧ローラ11の側面の押圧面は、コイルバネ等の弾性部材26によって下方に付勢されており、施工面Sの上部角部Sと当接した状態にある。
【0067】
次に、舗装用材料ロールRの最外層に顔を出しているテープ状の舗装用材料Tの先端を把持して、図17に示すとおり、舗装用材料TをロールRから繰り出し、側部押圧ローラ11の下側に差し込んで、舗装用材料Tの上側側部Tsが施工面Sの上部角部Sと側部押圧ローラ11との間に挟持される位置にテープ状の舗装用材料Tをセットする。後は、この状態で、側部押圧装置1を紙面奥方向に向かって移動させれば良い。
【0068】
図18は、側部押圧装置1を図17に示す状態から図17における紙面奥方向に移動させた状態を示す平面図である。図18に示すとおり、側部押圧装置1を図中矢印方向に移動させると、それに伴い、テープ状の舗装用材料Tの上部側部Tsは側部押圧ローラ11と施工面Sの上部角部Sとの間に次々と挟み込まれ、押圧されていくので、舗装用材料ロールRはロール支持軸7rのまわりに図中矢印で示す方向に回転する。このとき、舗装用材料ロールRを支持するロール支持軸7rの軸芯7cを含む鉛直面と、側部押圧ローラ11の軸芯11cを含む鉛直面とが互いに平行な位置関係にあるので、テープ状の舗装用材料Tは、ねじれることなく、ロールRから次々と繰り出されていくことになる。これにより、テープ状の舗装用材料Tの上部側部Tsは、施工面Sの上部角部S若しくはその近傍に押圧貼着されていく。これが、本発明の押圧貼着方法におけるテープ側部押圧工程に相当する。
【0069】
テープ側部押圧工程が終了すると、次に、舗装用材料Tの上部側部Tsが上部角部S若しくはその近傍に押圧、貼着されている施工面S上に、テープ面押圧装置30を第一押圧輪31の方が先となる向きで進行させる。図19は、この状態を示している。すなわち、図19に示すように、舗装用材料Tの上部側部Tsが施工面Sの上部角部Sに押圧貼着されている施工面上に第一押圧輪31を進行させると、舗装用材料Tは、その上下両側部間の位置で、外周端面が鋭角に突出している第一押圧輪31に押されて、順次、施工面Sの入隅Sに向かって押圧され、入り隅Sと密着することになる。これが、本発明の押圧貼着方法における第一押圧工程に相当する。
【0070】
続いて、舗装用材料Tが、その上下両側部間の位置で施工面Sの入隅Sに向かって押圧されている施工面S上に、テープ面押圧装置30の第二押圧輪32が進行させる。図20は、この状態を示している。すなわち、図20に示すように、テープ状の舗装用材料Tが、その上部側部Tsで施工面Sの上部角部Sに押圧貼着され、かつ、その上下両側部間の位置で入隅Sに向かって押圧されている施工面S上に第二押圧輪32を進行させると、舗装用材料Tの施工面Sの立ち上がり面Sに面した部分は、第二押圧輪32の上部半輪32bによって立ち上がり面Sに押圧、貼着され、舗装用材料Tの施工面Sの下面Sに面した面は、第二押圧輪32の下部半輪32aによって下面Sに押圧、貼着されることになる。これが、本発明の押圧貼着方法における第二押圧工程に相当する。
【0071】
なお、このとき、上部半輪32bと下部半輪32aとが、支持軸の回りにそれぞれ独立して回転することができるので、施工面Sに多少の凹凸や不陸が存在する場合でも、テープ状の舗装用材料Tを、ズレ少なく、断面L字型の施工面Sに押圧貼着することができる。
【0072】
このように、本発明の押圧貼着方法によれば、テープ状の舗装用材料Tの上部側部が、まずは、施工面Sの上部角部S若しくはその近傍に押圧貼着され、次に、舗装用材料Tの施工面Sの入隅Sに面した部分が入隅Sに向かって押圧され、その後、舗装用材料Tの施工面Sの立ち上がり面S及び下面Sに面した部分が、それぞれ立ち上がり面S及び下面Sに押圧、貼着されるので、テープ状の舗装用材料Tを、ずれることなく、断面L字型の施工面Sに押圧、貼着することができるものである。
【0073】
なお、上述した例においては、テープ状舗装用材料のテープ面押圧装置30が、第一押圧輪31と第二押圧輪32とが、共通する第2フレームに接続され、第2フレームを介して一体化されている場合について説明したが、第一押圧輪31と第二押圧輪32とは、必ずしも一体化されている必要はない。すなわち、テープ状舗装用材料のテープ面押圧装置30は、別々に存在する第一押圧輪31と第二押圧輪32とから構成されていても良い。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明に係る押圧貼着装置並びに押圧貼着方法によれば、テープ状の舗装用材料を効率良く、かつ、作業者が腰を屈めることなく断面L字型の施工面に押圧、貼着することができるので、作業の効率化並びに労力の軽減化に資すること多大であり、その産業上の利用可能性は大きい。
【符号の説明】
【0075】
1 テープ状舗装用材料の側部押圧装置
2 第1フレーム
7 ロール支持体
7r ロール支持軸
7c、11c 軸芯
8 テープガイドローラ
9a、9b 第1支持機構
11 側部押圧ローラ
12 第2支持機構
13a、13b ガイドローラ
16a、16b 連結補助部材
17a、17b 回転ブロック
18a、18b 接続ブロック
19a、19b 支持腕
30 テープ状舗装用材料のテープ面押圧装置
31 第一押圧輪
32 第二押圧輪
ロール端部平面
S 断面L字型の施工面
下面
入隅
立ち上がり面
上部角部
上面
T 舗装用材料
R 舗装用材料ロール
W 舗装用材料の幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20