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特許7118950改善されたペレット流動性を有するエチレン/C3-C6αーオレフィンインターポリマー
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  • 特許-改善されたペレット流動性を有するエチレン/C3-C6αーオレフィンインターポリマー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】改善されたペレット流動性を有するエチレン/C3-C6αーオレフィンインターポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08F 210/16 20060101AFI20220808BHJP
   C08L 23/08 20060101ALI20220808BHJP
   C08L 23/16 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
C08F210/16
C08L23/08
C08L23/16
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019511398
(86)(22)【出願日】2017-08-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-24
(86)【国際出願番号】 US2017048586
(87)【国際公開番号】W WO2018044707
(87)【国際公開日】2018-03-08
【審査請求日】2020-08-12
(31)【優先権主張番号】PCT/US2016/049458
(32)【優先日】2016-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼフ・ヴァン・ダン
(72)【発明者】
【氏名】イー・ジン
【審査官】佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-026888(JP,A)
【文献】特表2016-524031(JP,A)
【文献】特表2000-515190(JP,A)
【文献】特表2000-507283(JP,A)
【文献】特表2007-504350(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 6/00-246/00
C08L 1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーを含む組成物であって、前記インターポリマーが以下の特性:
a)以下の式を満たすHCC値:
HCC(重量%)≧-648.6[(重量%)(cc)/(g)]×(密度)+569.4(重量%);
b)時効流動性≧130g/秒
を含み、
前記エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーが、6.0重量%より大きいHCC値を有する、組成物。
【請求項2】
前記エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーが、以下の式:
HCC(重量%)≧-648.6[(重量%)(cc)/(g)]×(密度)+570.9(重量%)
を満たすHCC値を有する、請求項に記載の組成物。
【請求項3】
前記インターポリマーが、以下の式:
HCC(重量%)<-463.4[(重量%)(cc)/(g)]×(密度)+413.8(量%)
を満たすHCC値をさらに含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーが350°F(177℃)で2,000cP~50,000cPの溶融粘度を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、0.910g/ccよりも小さい、またはそれに等しい密度を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、80.0℃より低い、またはそれに等しい最高ピーク融解温度を有する、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記α-オレフィンはC6α-オレフィンまたはC3αオレフィンである、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
少なくとも一つの粘着剤および少なくとも一つの油をさらに含む、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
請求項1~のいずれか一項に記載の組成物から形成された少なくとも一つの成分を含む物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は2016年8月30日に出願された国際公開PCT/US16/049458の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
低分子量エチレン/α-オレフィンインターポリマーは、そのようなインターポリマーから形成されるペレットの流動中に粘着性を示すことが多い。ブロッキング(粘着)特性が低下しており、そして接着製剤に使用することができるエチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーが必要とされている。このような必要性は、以下の発明によって満たされてきた。
【発明の概要】
【0003】
エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーを含み、インターポリマーが以下の特性を含む組成物が提供される:
a)以下の式を満たすHCC値:
HCC(重量%)≧-648.6[(重量%)(cc)/(g)]×(密度)+569.4(重量%)
b)時効流動性≧130g/秒。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1図1は、いくつかの本発明のエチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーについての「HCC対密度」プロットを示す。
図2図2は、いくつかの本発明のエチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーについての「HCC対密度」プロットを示す。
図3図3はペレット流動性試験のための試験漏斗を示す。
図4図4は、比較コポリマーについてのHCC値の決定のためのクロマトグラムの例である。
図5図5は、TGIC温度較正のための溶出温度の外挿を示す。
図6図6は、ポリマーEH-2およびEH-7のHT-TGICクロマトグラムを示す(HCC方法#2)。
【発明を実施するための形態】
【0005】
上述したように、組成物は、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーを含むことが提供され、そしてインターポリマーは以下の特性を含む:
a)以下の式を満たすHCC値:
HCC(重量%)≧-648.6[(重量%)(cc)/(g)]×(密度)+569.4(重量%)。
b)時効流動性≧130g/秒。
【0006】
提供された組成物は、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0007】
一実施形態において、組成物は、ペレット状である。
【0008】
一実施形態において、HCC方法2は、HCC値の測定のために使用される。
【0009】
一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、以下の式を満たすHCC値を有する:HCC(重量%)≧-648.6[(重量%)(cc)/(g)]×(密度)+570.9(重量%)。さらなる実施形態では、α-オレフィンは、C3またはC6のα-オレフィンである。一実施形態では、HCC方法2は、HCC値の測定に使用される。
【0010】
一実施形態において、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、さらに以下の式を満たすHCC値を含む:HCC(重量%)<-463.4[(重量%)(cc)/(g)]×(密度)+413.8(重量%)。さらなる実施形態では、α-オレフィンは、C3またはC6のα-オレフィンである。一実施形態では、HCC方法2は、HCC値の測定に使用される。
【0011】
一実施形態において、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、≧0重量%、または≧1.0重量%、または≧4.0重量%、または≧4.2重量%、または≧4.5重量%、または≧5.0重量%、または≧5.5重量%、または≧6.0重量%のHCC値を有する。さらなる実施形態では、α-オレフィンは、C3またはC6のα-オレフィンである。一実施形態では、HCC方法2は、HCC値の測定に使用される。
【0012】
一実施形態において、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、≦12.0重量%、または≦11.5重量%、または≦11.0重量%、または≦10.5重量%、または≦10.0重量%、または≦9.5重量%、または≦9.0重量%のHCC値を有する。さらなる実施形態では、α-オレフィンは、C3またはC6のα-オレフィンである。一実施形態では、HCC方法2は、HCC値の測定に使用される。
【0013】
一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、≧4.0重量%、または≧4.2重量%、または≧4.5重量%、または≧5.0重量%、または≧5.5重量%、または≧6.0重量%のHCC値を有する。さらなる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/C6α-オレフィンコポリマーである。一実施形態では、HCC方法2は、HCC値の測定に使用される。一実施形態では、エチレン/α-オレフィンインターポリマーは、≦11.0重量%、または≦10.5重量%、または≦10.0重量%、または≦9.5重量%、または≦9.0重量%のHCC値を有する。さらなる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/C6α-オレフィンコポリマーである。一実施形態では、HCC方法2は、HCC値の測定に使用される。
【0014】
一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、≧0重量%、または≧0.5重量%、または≧1.0重量%のHCC値を有する。さらなる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/C3α-オレフィンインターポリマーまたはコポリマーである。一実施形態では、HCC方法2は、HCC値の測定に使用される。一実施形態では、エチレン/α-オレフィンインターポリマーは、≦5.0重量%、または≦4.5重量%、または≦4.0重量%、または≦3.5重量%、または≦3.0重量%のHCC値を有する。さらなる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/C3α-オレフィンインターポリマーまたはコポリマーである。一実施形態では、HCC方法2は、HCC値の測定に使用される。
【0015】
HCC(または「高コモノマー含有量」)値は、重合中に形成されるポリマーの組成的特徴であり、残留不純物ではない。HCC値は、ポリマー試料中の低密度、低分子量のオリゴマー画分の量を示す。HCC値は、ポリマー試料全体中の平均コモノマー含有量を表していない。下記の試験方法を参照してHCC値を測定する。溶媒抽出部分ではなく、ポリマー試料全体をHCC値について分析する。クロマトグラフィー試験法は、ポリマー試料中のコモノマー分布を測定するために使用され、ポリマー試料中の不純物を測定するためには使用されない。「コモノマー分布」は、ポリマーの微細構造パラメータであり、不純物ではない。一実施形態では、HCC方法2は、HCC値の測定に使用される。
【0016】
一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、≧135.0g/秒、または≧140.0g/秒、または≧145.0g/秒、または≧150.0g/秒、または≧155.0g/秒の時効流動性を有する。さらなる実施形態では、α-オレフィンは、C3またはC6のα-オレフィンである。時効流動性は、本明細書に記載の方法によって測定される。一実施形態では、組成物はペレット状である。
【0017】
一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、≦400.0g/秒、または≦350.0g/秒、または≦300.0g/秒の時効流動性を有する。さらなる実施形態では、α-オレフィンは、C3またはC6のα-オレフィンである。時効流動性は、本明細書に記載の方法によって測定される。一実施形態では、組成物はペレット状である。
【0018】
一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、≧135.0g/秒、または≧140.0g/秒、または≧145.0g/秒の時効流動性を有する。さらなる実施形態では、インターポリマーはエチレン/C6α-オレフィンコポリマーである。一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、≦500.0g/秒、または≦400.0g/秒、または≦300.0g/秒の時効流動性を有する。さらなる実施形態では、インターポリマーはエチレン/C6α-オレフィンコポリマーである。時効流動性は、本明細書に記載の方法によって測定される。一実施形態では、組成物はペレット状である。
【0019】
一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、≧140.0g/秒、または≧150.0g/秒、または≧160.0g/秒の時効流動性を有する。さらなる実施形態では、インターポリマーはエチレン/C3α-オレフィンインターポリマー、またはコポリマーである。一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、≦450.0g/秒、または≦400.0g/秒、または≦350.0g/秒の時効流動性を有する。さらなる実施形態では、インターポリマーはエチレン/C3α-オレフィンインターポリマー、またはコポリマーである。時効流動性は、本明細書に記載の方法によって測定される。一実施形態では、組成物はペレット状である。
【0020】
一実施形態では、エチレン/C3-C6は、α-オレフィンインターポリマーは、350°F(177℃)で、≦50,000cP、または≦45,000cP、または≦40,000cP、または≦35,000cP、または≦30,000cP、または≦25,000cP、または≦20,000cPの溶融粘度を有する。さらなる実施形態では、α-オレフィンは、C3またはC6のα-オレフィンである。さらなる実施形態では、α-オレフィンは、C3またはC6のα-オレフィンである。さらなる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/C6α-オレフィンコポリマーである。別の実施形態では、インターポリマーはエチレン/C3α-オレフィンインターポリマー、またはコポリマーである。
【0021】
一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、350°F(177℃)で、≧2,000cP、または≧2,500cP、または≧3,000cP、または≧3,500cP、または≧4,000cP、または≧4,500cP、または≧5000cP、または≧5,500cP、または≧6,000cPの溶融粘度を有する。さらなる実施形態では、α-オレフィンは、C3またはC6のα-オレフィンである。さらなる実施形態では、α-オレフィンは、C3またはC6のα-オレフィンである。さらなる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/C6α-オレフィンコポリマーである。別の実施形態では、インターポリマーはエチレン/C3α-オレフィンインターポリマー、またはコポリマーである。
【0022】
一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、350°F(177℃)で、2,000cP~50,000cP、または2,500cP~45,000、または3,000cP~40,000、または3,500cP~35,000、または4,000cP~30,000、または4,500cP~25,000、または5,000cP~20,000の溶融粘度を有する。さらなる実施形態では、α-オレフィンは、C3またはC6のα-オレフィンである。さらなる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/C6α-オレフィンコポリマーである。別の実施形態では、インターポリマーはエチレン/C3α-オレフィンインターポリマー、またはコポリマーである。
【0023】
一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、≧0.855g/cc、または≧0.860g/cc、または≧0.865g/cc、または≧0.870g/cc(1cc=1cm)の密度を有する。さらなる実施形態では、α-オレフィンは、C3またはC6のα-オレフィンである。
【0024】
一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、≦0.910g/cc、または≦0.905、または≦0.900g/cc、または≦0.895g/ccの密度を有する。さらなる実施形態では、α-オレフィンは、C3またはC6のα-オレフィンである。
【0025】
一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、0.855~0.900g/cc、または0.860~0.895g/cc、または0.865~0.890g/cc、または0.870~0.885g/ccの密度を有する。さらなる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/C6α-オレフィンコポリマーである。
【0026】
一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、0.875~0.910g/cc、または0.880~0.905g/cc、または0.885~0.900g/cc、または0.890~0.895g/ccの密度を有する。さらなる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/C3α-オレフィンインターポリマーまたはコポリマーである。
【0027】
一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、≦85.0℃、または≦82.0℃、または≦80.0℃の最高ピーク溶融温度を有する。さらなる実施形態では、α-オレフィンは、C3またはC6のα-オレフィンである。さらなる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/C6α-オレフィンコポリマーである。別の実施形態では、インターポリマーはエチレン/C3α-オレフィンインターポリマー、またはコポリマーである。
【0028】
一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、≧60.0℃、または≧62.0℃、または≧64.0℃の最高ピーク融解温度を有する。さらなる実施形態では、α-オレフィンは、C3またはC6のα-オレフィンである。さらなる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/C6α-オレフィンコポリマーである。別の実施形態では、インターポリマーはエチレン/C3α-オレフィンインターポリマー、またはコポリマーである。
【0029】
一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、≦80.0℃、または≦78.0℃、または≦76.0℃の最高ピーク溶融温度を有する。さらなる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/C6α-オレフィンコポリマーである。一実施形態では、エチレン/α-オレフィンインターポリマーは、≧60.0℃、または≧62.0℃、または≧64.0℃の最高ピーク融解温度を有する。さらなる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/C6α-オレフィンコポリマーである。
【0030】
一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、≦84.0℃、または≦82.0℃、または≦80.0℃の融解温度を有する。さらなる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/C3α-オレフィンインターポリマーである。一実施形態では、エチレン/α-オレフィンインターポリマーは、≧72.0℃、または≧74.0℃、または≧76.0℃の融解温度を有する。さらなる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/C3α-オレフィンインターポリマーまたはコポリマーである。
【0031】
一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、≦72.0℃または≦70.0℃、または≦68.0℃の結晶化温度(T)を有する。さらなる実施形態では、α-オレフィンは、C3またはC6のα-オレフィンである。さらなる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/C6α-オレフィンコポリマーである。別の実施形態では、インターポリマーはエチレン/C3α-オレフィンインターポリマー、またはコポリマーである。
【0032】
一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、≧48.0℃、または≧50.0℃、または≧52.0℃の結晶化温度(T)を有する。さらなる実施形態では、α-オレフィンは、C3またはC6のα-オレフィンである。さらなる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/C6α-オレフィンコポリマーである。別の実施形態では、インターポリマーはエチレン/C3α-オレフィンインターポリマー、またはコポリマーである。
【0033】
一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、≦70.0℃、または≦68.0℃、または≦66.0℃の結晶化温度(T)を有する。さらなる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/C6α-オレフィンコポリマーである。一実施形態では、エチレン/α-オレフィンインターポリマーは、≧48.0℃、または≧50.0℃、または≧52.0℃の結晶化温度(T)を有する。さらなる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/C6α-オレフィンコポリマーである。
【0034】
一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、≦72.0℃または≦70.0℃、または≦68.0℃の結晶化温度(T)を有する。さらなる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/C3α-オレフィンインターポリマーまたはコポリマーである。一実施形態では、エチレン/α-オレフィンインターポリマーは、≧58.0℃、または≧60.0℃、または≧62.0℃の結晶化温度(T)を有する。さらなる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/C3α-オレフィンインターポリマーまたはコポリマーである。
【0035】
一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは次の関係を満たす、TおよびTを有する:(T-T)が5℃~25℃、さらに8℃~20℃、さらに10℃~15℃である。さらなる実施形態では、α-オレフィンは、C3またはC6のα-オレフィンである。さらなる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/C6α-オレフィンコポリマーである。
【0036】
別の実施形態では、インターポリマーはエチレン/C3α-オレフィンインターポリマー、またはコポリマーである。
【0037】
一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、DSCによって測定されるように、≦50パーセント、または≦45パーセント、または≦40パーセント、または≦35パーセント、または≦30パーセントの結晶度パーセントを有する。さらなる実施形態では、α-オレフィンは、C3またはC6のα-オレフィンである。さらなる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/C6α-オレフィンコポリマーである。別の実施形態では、インターポリマーはエチレン/C3α-オレフィンインターポリマー、またはコポリマーである。
【0038】
一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、DSCによって測定されるように、≧8パーセント、または≧10パーセント、または≧12パーセント、または≧15パーセント、または≧17パーセントの結晶度パーセントを有する。さらなる実施形態では、α-オレフィンは、C3またはC6のα-オレフィンである。さらなる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/C6α-オレフィンコポリマーである。別の実施形態では、インターポリマーはエチレン/C3α-オレフィンインターポリマー、またはコポリマーである。
【0039】
一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、≦35パーセント、または≦30パーセント、または≦25パーセントの結晶度パーセントを有する。さらなる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/C6α-オレフィンコポリマーである。一実施形態では、エチレン/α-オレフィンインターポリマーは、≧12パーセント、または≧14パーセント、または≧16パーセントの結晶度パーセントを有する。さらなる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/C6α-オレフィンコポリマーである。
【0040】
一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、≦40パーセント、または≦35パーセント、または≦30パーセントの結晶度パーセントを有する。さらなる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/C3α-オレフィンインターポリマーである。一実施形態では、エチレン/α-オレフィンインターポリマーは、≧20パーセント、または≧22パーセント、または≧24パーセントの結晶度パーセントを有する。さらなる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/C3α-オレフィンインターポリマーまたはコポリマーである。
【0041】
一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、≧1.8、または≧2.0、または≧2.1、または≧2.2の分子量分布(Mw/Mn)を有する。さらなる実施形態では、α-オレフィンは、C3またはC6のα-オレフィンである。さらなる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/C6α-オレフィンコポリマーである。別の実施形態では、インターポリマーはエチレン/C3α-オレフィンインターポリマー、またはコポリマーである。
【0042】
一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、≦3.5、または≦3.2、または≦3.0、または≦2.9、または≦2.8、または≦2.7、または≦2.6の分子量分布(Mw/Mn)を有する。さらなる実施形態では、α-オレフィンは、C3またはC6のα-オレフィンである。さらなる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/C6α-オレフィンコポリマーである。別の実施形態では、インターポリマーはエチレン/C3α-オレフィンインターポリマー、またはコポリマーである。
【0043】
一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、≧2.0、または≧2.1、または≧2.2の分子量分布(Mw/Mn)を有する。さらなる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/C6α-オレフィンコポリマーである。一実施形態では、エチレン/α-オレフィンインターポリマーは、≦3.0、または≦2.8、または≦2.6の分子量分布(Mw/Mn)を有する。さらなる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/C6α-オレフィンコポリマーである。
【0044】
一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、≧2.0、または≧2.1、または≧2.2の分子量分布(Mw/Mn)を有する。さらなる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/C3α-オレフィンインターポリマーまたはコポリマーである。一実施形態では、エチレン/α-オレフィンインターポリマーは、≦3.0、または≦2.8、または≦2.5の分子量分布(Mw/Mn)を有する。さらなる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/C3α-オレフィンインターポリマーまたはコポリマーである。
【0045】
一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、≦40,000g/モル、または≦35,000g/モル、または≦30,000g/モル、または≦25,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有する。さらなる実施形態では、α-オレフィンは、C3またはC6のα-オレフィンである。さらなる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/C6α-オレフィンコポリマーである。別の実施形態では、インターポリマーはエチレン/C3α-オレフィンインターポリマー、またはコポリマーである。
【0046】
一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、≧10,000g/モル、または≧12,000g/モル、または≧15,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有する。さらなる実施形態では、α-オレフィンは、C3またはC6のα-オレフィンである。さらなる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/C6α-オレフィンコポリマーである。別の実施形態では、インターポリマーはエチレン/C3α-オレフィンインターポリマー、またはコポリマーである。
【0047】
一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、≦20,000g/モル、または≦18,000g/モル、または≦16,000g/モル、または≦14,000g/モル、または≦12,000g/モル、または≦10,000g/モルの数平均分子量(Mn)を有する。さらなる実施形態では、α-オレフィンは、C3またはC6のα-オレフィンである。さらなる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/C6α-オレフィンコポリマーである。別の実施形態では、インターポリマーはエチレン/C3α-オレフィンインターポリマー、またはコポリマーである。
【0048】
一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、≧4,500g/モル、または≧5,000g/モル、または≧5,500g/モル、または≧6,000g/モル、または≧6,500g/モル、または≧7,000g/モルの数平均分子量(Mn)を有する。さらなる実施形態では、α-オレフィンは、C3またはC6のα-オレフィンである。さらなる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/C6α-オレフィンコポリマーである。別の実施形態では、インターポリマーはエチレン/C3α-オレフィンインターポリマー、またはコポリマーである。
【0049】
エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーに関して、好ましいαーオレフィンには、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、および1-ヘキセン、ならびにさらなるプロピレン、1-ブテン、および1-ヘキセン、ならびにさらなるプロピレン、およびヘキセンが含まれる。
【0050】
一実施形態では、α-オレフィンは、C6α-オレフィンまたはC3α-オレフィンである。
【0051】
一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、インターポリマーの重量に基づいて、C3-C6α-オレフィンの12~40重量%、または14~38重量%、または16~36重量%、または18~34重量%を重合形態で含む。さらなる実施形態では、α-オレフィンは、C3またはC6のα-オレフィンである。さらなる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/C6α-オレフィンコポリマーである。別の実施形態では、インターポリマーはエチレン/C3α-オレフィンインターポリマー、またはコポリマーである。
【0052】
一実施形態では、エチレン/C3-C6αーオレフィンインターポリマーは、エチレン/C3-C6αーオレフィンコポリマーである。好ましいα-オレフィンは上記の通りである。
【0053】
一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、400g/10分以上、さらには600g/10分以上、さらには800g/10分以上のメルトインデックス(I2もしくはMI)、または計算メルトインデックス(I2もしくはMI)を有する。さらなる実施形態において、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーはエチレン/C3-C6α-オレフィンコポリマーである。好ましいα-オレフィンは上記の通りである。さらなる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/C6α-オレフィンコポリマーである。別の実施形態では、インターポリマーはエチレン/C3α-オレフィンインターポリマー、またはコポリマーである。
【0054】
一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、2,000g/10分以下、さらには1,500g/10分以下、さらには1,200g/10分以下のメルトインデックス(I2もしくはMI)、または計算メルトインデックス(I2もしくはMI)を有する。さらなる実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーはエチレン/C3-C6α-オレフィンコポリマーである。好ましいα-オレフィンは上記の通りである。さらなる実施形態では、インターポリマーは、エチレン/C6α-オレフィンコポリマーである。別の実施形態では、インターポリマーはエチレン/C3α-オレフィンインターポリマー、またはコポリマーである。
【0055】
一実施形態では、組成物は少なくとも1種の粘着付与剤および少なくとも1種の油をさらに含む。
【0056】
一実施形態では、組成物は、組成物の重量に基づいて、10~50重量%、または15~45重量%、または20~40重量%の粘着付与剤を含む。
【0057】
一実施形態では、組成物は、組成物の重量に基づいて、10~45重量%、または15~40重量%、または20~30重量%の油を含む。
【0058】
エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含んでもよい。エチレン/C3-C6α-オレフィンコポリマーは、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含んでもよい。組成物は、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含んでもよい。
【0059】
また、本発明の組成物から形成された少なくとも1つの成分を含む物品も提供する。
【0060】
一実施形態では、物品はさらに、基材を含む。さらなる実施形態では、基材は、以下からなる群から選択される:被覆基材、再生紙から製造された基材、およびそれらの組み合わせ。物品は、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含んでもよい。
【0061】
一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、以下から選択される少なくとも1つの反応器で重合される:再循環ループ型反応器、連続攪拌槽反応器、プラグフロー反応器、またはそれらの組み合わせ。
【0062】
一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、多価アリールオキシエーテルの金属(例えば、ハフニウム、ジルコニウム、またはチタン)錯体から選択される触媒の存在下で重合される。
【0063】
エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマー
一実施形態では、エチレン/C3-C6α-オレフィンインターポリマーは、均一に分岐した線状インターポリマー、さらにはコポリマー、または均一に分岐した実質的に線状のインターポリマー、さらにはコポリマーである。
【0064】
一実施形態では、エチレン/C3-C6のα-オレフィンインターポリマーは、均一に分岐した線状インターポリマー、さらにはコポリマーである。
【0065】
一実施形態では、エチレン/C3-C6のα-オレフィンインターポリマーは、均一に分岐した実質的に線状のインターポリマー、さらにはコポリマーである。
【0066】
「均一」および「均一に分岐した」という用語は、α-オレフィンコモノマーが所与のポリマー分子内にランダムに分布しており、すべてのポリマー分子が同一または実質的に同一のコモノマー対エチレン比を有する、エチレン/α-オレフィンインターポリマーに関連して使用される。
【0067】
均一に分岐した線状エチレンインターポリマーは、長鎖分岐を欠くが、短鎖分岐を有するエチレンポリマーであり、インターポリマーに重合したコモノマーに由来し、同じポリマー鎖内および異なるポリマー鎖間の両方で、均一に分布されている。これらのエチレン/α-オレフィンインターポリマーは、線状ポリマー主鎖を有し、測定可能な長鎖分岐はなく、そして狭い分子量分布を有する。この種のポリマーは、例えば、米国特許第3,645,992号にElstonによって開示されており、ビスメタロセン触媒を使用してこのようなポリマーを製造するその後の方法は、例えば欧州特許第0129368号、欧州特許第0260999号、米国特許第4,701,432号、米国特許第4,937,301号、米国特許第4,935,397号、米国特許第5,055,438号、およびWO90/07526に示されているように開発され、それぞれは参照により本明細書に組み込まれる。論じたように、均一に分岐した線状エチレンインターポリマーは、線状低密度ポリエチレンポリマーまたは線状高密度ポリエチレンポリマーの場合と同様に、長鎖分岐を欠く。均一に分岐した線状エチレン/α-オレフィンインターポリマーの市販の例には、三井化学社製のTAFMERポリマー、ならびにエクソンモービルケミカル社製のEXACTおよびEXCEEDポリマーが含まれる。
【0068】
均一に分岐した実質的に線状のエチレン/α-オレフィンインターポリマーは、米国特許第5,272,236号、5,278,272号、6,054,544号、6,335,410号、および6,723,810号に記載され、それぞれは参照により本明細書に組み込まれる。実質的に線状のエチレン/αーオレフィンインターポリマーは長鎖分岐を有する。長鎖分岐はポリマー主鎖と同じコモノマー分布を有し、そしてポリマー主鎖の長さとほぼ同じ長さを有することができる。「実質的に線状」は、典型的には、平均して、「総炭素1,000個当たり0.01個の長鎖分岐」~「総炭素1,000個当たり3個の長鎖分岐」で置換されているポリマーを指す。長鎖分岐の長さは、ポリマー主鎖への1つのコモノマーの組み込みから形成される短鎖分岐の炭素長よりも長い。
【0069】
いくつかのポリマーは、「総炭素1,000個当たり0.01長鎖分岐~総炭素1,000個当たり3長鎖分岐」、さらに「総炭素1,000個当たり0.01長鎖分岐~総炭素1000個当たり2長鎖分岐」、およびさらに「総炭素1,000個あたり0.01個の長鎖分岐~総炭素1,000個あたり1個の長鎖分岐」で置換されてもよい。
【0070】
実質的に線状のエチレン/α-オレフィンインターポリマーは、均一に分岐されたエチレンポリマーの独特の種を形成する。それらは、上記のように、よく知られている種類の従来の、均一に分岐した線状エチレン/α-オレフィンインターポリマーとは実質的に異なり、さらに、それらは、従来の不均一「チーグラーナッタ触媒重合」線状エチレンポリマーと同じ種類ではない(例えば、Andersonらによって米国特許第4,076,698号に開示されている技術を使用して製造された超低密度ポリエチレン(ULDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)または高密度ポリエチレン(HDPE)。また、それらは、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレン-アクリル酸(EAA)コポリマー、およびエチレンビニルアセテート(EVA)コポリマーのような、高圧、フリーラジカル開始、高分岐ポリエチレンと同じ種類ではない。
【0071】
本明細書で有用な均一に分岐した、実質的に線状のエチレン/α-オレフィンインターポリマーは、比較的狭い分子量分布を有するにもかかわらず、優れた加工性を有する。驚くべきことに、実質的に線状のエチレンインターポリマーのメルトフロー比(I10/I2)は、ASTM D 1238によれば広く、そして本質的に分子量分布(Mw/MnまたはMWD)とは無関係に変えることができる。この驚くべき挙動は、例えばElstonによって米国特許第3,645,992号に記載されているもののような、従来の均一に分岐した線状エチレンインターポリマー、および例えば、Andersonらによって米国特許第4,076,698号に記載されているもののような、不均一に分岐した従来の「チーグラー - ナッタ重合」線状ポリエチレンインターポリマーとは反対である。 実質的に線状のエチレンインターポリマーとは異なり、線状エチレンインターポリマー(均一に分岐しているか不均一に分岐しているかにかかわらず)はレオロジー特性を有し、分子量分布が増大するにつれてI10/I2値も増大する。
【0072】
長鎖分岐は、13 C核磁気共鳴(NMR)分光法を用いて測定することができ、Randall(Rev.Macromol.Chem.Phys.、C29(2&3)、1989、p.285~297)の方法を用いて定量化することができ、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。他の2つの方法は、低角度レーザー光散乱検出器(GPCLALLS)と組み合わせたゲル浸透クロマトグラフィー、および示差粘度計検出器(GPC-V)と組み合わせたゲル浸透クロマトグラフィーである。長鎖分岐検出のためのこれらの技術の使用、およびその基礎となる理論は、文献に詳しく記載されている。例えば、Zimm、BHおよびStockmayer、WH、J.Chem.Phys.、17、1301(1949)、およびRudin、A.、Modern Methods of Polymer Characterization、John Wiley&Sons、New York (1991)pp.103~112を参照のこと。
【0073】
「実質的に線状のエチレンポリマー」とは対照的に、「線状エチレンポリマー」は、ポリマーが測定可能または実証可能な長鎖分岐を欠くことを意味し、すなわち、ポリマーは炭素1,000個当たり平均0.01未満の長鎖分岐で置換される。
【0074】
エチレン/C3-C6αーオレフィンインターポリマーは、本明細書に記載される2つ以上の実施形態の組み合わせを含んでもよい。エチレン/C3-C6αーオレフィンコポリマーは、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含んでもよい。
【0075】
添加剤および用途
典型的には、ポリマーおよび樹脂は、1つまたは複数の安定剤、例えば現在BASFによって供給されているIRGANOX 1010、IRGANOX 1076、およびIRGAFOS 168などの酸化防止剤で処理される。一般に、ポリマーは、押出または他の溶融プロセスの前に1つまたは複数の安定剤で処理される。他の重合体の添加剤には、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、染料、核形成剤、充填剤、スリップ剤、難燃剤、可塑剤、加工助剤、潤滑剤、安定剤、煙抑制剤、粘度調整剤、および粘着防止剤が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の組成物は1つまたは複数の熱可塑性ポリマーをも含み得る。
【0076】
本発明の組成物はまた、接着剤、自動車用途、グラフィックアート、不織布、パネルアセンブリ、高性能テープ、接触熱溶融型接着剤、板紙コーティング、インク、パーソナルケア、および化粧品、シーラント、着色剤および添加剤濃縮物、カーペットテープ接着剤、木工用接着剤、ならびにプロファイルラップ接着剤を含むが、これらに限定されない様々な用途で使用され得る。
【0077】
本発明の組成物は粘着付与剤をさらに含んでもよい。例示的な粘着付与樹脂は、脂肪族、脂環式、および芳香族炭化水素、ならびに修飾炭化水素および水素化版;テルペンおよび変性テルペンおよび水素化版;ならびにロジンおよびロジン誘導体および水素化版;ならびにこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。適切な粘着付与剤としては、Eastman Chemicalからそれぞれ入手可能なEASTOTAC H100およびEASTOTAC H115が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、組成物は、組成物の重量に基づいて、10~60重量パーセント、さらに20~50重量パーセント、さらに30~40重量パーセントの粘着付与剤を含む。さらなる実施形態では、粘着付与剤は炭化水素であり、さらに水素化炭化水素である。
【0078】
本発明の組成物はさらにワックスを含み得る。ワックスは、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、高密度低分子量ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、熱分解ワックス、副産物ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、酸化フィッシャートロプシュワックス、ならびにヒドロキシステアラミドワックスおよび脂肪アミドワックスなどの官能化ワックスが挙げられるが、これらに限定されない。当技術分野では、用語「合成高融点ワックス」を使用して、高密度の低分子量ポリエチレンワックス、副産物ポリエチレンワックスおよびフィッシャートロプシュワックスを含むことは一般的である。他のワックスにはまた、米国特許第6,335,410号、6,054,544号、および6,723,810号に記載されているものも含まれ、これらは全て参照により本明細書に組み込まれる。好ましいワックスとしては、SASOLワックス(例えば、Sasol Wax CompanyからのSASOLWAX H1)、およびフィッシャートロプシュワックスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
一実施形態では、組成物は、組成物の重量に基づいて、10~60重量パーセント、さらに15~50重量パーセント、さらに20~40重量パーセント、さらに25~30重量パーセントのワックスを含む。
【0080】
本発明の組成物は油をさらに含み得る。接着剤の粘度を下げるために油が一般的に使用される。使用する場合、油は典型的には組成物の重量に基づいて50未満、好ましくは40未満、より好ましくは35重量パーセント未満の量で存在するであろう。油は、組成物の重量に基づいて、2重量%以上、さらに5重量%以上、さらに10重量%以上の量で存在してもよい。例示的な種類の油は、白色鉱油(例えば、Witcoから入手可能なKAYDOL油)、SHELLFLEX 371ナフテン油(Shell Oil Companyから入手可能)、およびCALSOL 5550(Calumet Lubricantsから入手可能なナフテン油)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
定義
別段の記載がない限り、すべての試験方法は本開示の出願日現在のものである。
【0082】
本明細書で使用する用語「組成物」は、組成物、ならびに組成物の材料から形成される反応生成物および分解生成物を含む材料の混合物を含む。
【0083】
本明細書で使用する用語「ポリマー」は、同じまたは異なる種類に限らずモノマーを重合することによって調製されたポリマー化合物を指す。したがって、本明細書において以下に定義されるように、ポリマーという一般的な用語は、ホモポリマーという用語(微量の不純物がポリマー構造に組み込まれ得るという理解の下に、唯一の種類のモノマーから調製されるポリマーを指すために用いられる)およびインターポリマーという用語を包含する。例えば、触媒残渣などの微量の不純物が、ポリマー中および/またはポリマー内に組み込まれ得る。
【0084】
本明細書で使用される用語「インターポリマー」は、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合によって調製されるポリマーを指す。したがって、インターポリマーという総称は、(2つの異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを指すために用いられる)コポリマー、および2つ以上の異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを含む。
【0085】
本明細書で使用される用語「オレフィン系ポリマー」は、例えば、エチレンまたはプロピレン(ポリマーの重量に基づいて)などのオレフィンモノマーを、重合形態で50重量%または過半量含むポリマーを指し、任意に1つまたは複数のコモノマーを含んでもよい。
【0086】
本明細書で使用される用語「プロピレン系ポリマー」は、過半量のプロピレンモノマー(ポリマーの重量に基づく)を重合形態で含むポリマーを指し、任意に1つまたは複数のコモノマーを含んでもよい。
【0087】
本明細書で使用される用語「エチレン系ポリマー」は、エチレンモノマー(ポリマーの重量に基づく)を重合形態で≧50重量%および好ましくは過半量含むポリマーを指し、任意に1つまたは複数のコモノマーを含んでもよい。
【0088】
本明細書で使用される用語「エチレン/αーオレフィンインターポリマー」は、エチレンモノマー(インターポリマーの重量に基づいて)を重合形態で≧50重量%および好ましくは過半量、ならびに少なくとも1つのαーオレフィンを含むインターポリマーを指す。
【0089】
本明細書で使用される用語「エチレン/αーオレフィンコポリマー」は、2種類のみのモノマーとして、エチレンモノマー(コポリマーの重量に基づいて)を重合形態で≧50重量%および好ましくは過半量、ならびにαーオレフィンを含むコポリマーを指す。
【0090】
本明細書で使用する用語「ペレット状」は、典型的にはペレット化工程から形成されるポリマーの小粒子であるポリマーに関し、意味する。この用語はまた、ポリマー粉末を顆粒状ペレットに圧縮または付着させることによって形成されたポリマー粒子も含む。一実施形態では、ポリマー粒子はペレット化工程から形成される。
【0091】
用語「~を含む(comprising)」、「~を含む(including)」、「~を有する(having)」、およびそれらの派生語は、それらが具体的に開示されているか否かにかかわらず、任意の追加の成分、ステップ、または手順の存在を除外することを意図するものではない。曖昧さを避けるために、「含む」という用語の使用を通じて主張される全ての組成物は、別段の記載がない限り、ポリマーであるかどうかに関わらず、任意の追加の添加剤、アジュバント、または化合物を含み得る。対照的に、「~から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、操作性に必須ではないものを除いて、あらゆる後続の記載の範囲から、いかなる他の成分、ステップ、または手順も除外する。「からなる」という用語は、あらゆる成分、ステップ、または手順を除外する。
【0092】
試験方法
溶融粘度
溶融粘度は、Brookfieldデジタル粘度計(モデルDV-III、バージョン3)および使い捨てアルミニウム試料チャンバを用いて、ASTM D 3236(177℃、350°F)に従って測定した。スピンドルはSC-31熱溶融型スピンドルであり、10~100,000センチポアズの範囲の粘度を測定するのに適していた。試料をチャンバに注入し、次にこれをBrookfield Thermoselに挿入し、所定の位置に固定した。試料チャンバは、Brookfield Thermoselの底部に適合するノッチを底部に有し、スピンドルが挿入され、回転しているときに、チャンバが回転不可であることを確実にする。試料(約8-10グラムの樹脂)を、溶融した試料が試料チャンバ上部の1インチ下になるまで必要な温度に加熱した。粘度計装置を下降させ、スピンドルを試料チャンバに浸した。粘度計上のブラケットがThermosel上に整列するまで、下降を続けた。粘度計の電源を入れ、粘度計のrpm出力に基づいて、全トルク容量の40~60パーセントの範囲内のトルク読み取りをもたらす剪断速度で作動するように設定した。約15分毎に読み取りを取得するか、または値が安定するまで読み取りを取得し、その時点で最終読み取りを記録した。
【0093】
メルトインデックス
エチレン系ポリマーのメルトインデックス(I2またはMI)は、ASTM D-1238、条件190℃/2.16kgに従って測定した。高I2ポリマー(200g/モル以上のI2ポリマー)については、メルトインデックスは、好ましくは、米国特許第6,335,410号、第6,054,544号、第6,723,810号に記載されるように、ブルックフィールド粘度から計算された。I2(190℃/2.16kg)=3.6126[10(log(η)-6.6928)/1.1363]-9.3185l、ここで、η=350°Fにおける溶融粘度(cP)。
【0094】
示差走査熱量測定(DSC)
示差走査熱量測定(DSC)を使用して、広範囲の温度にわたるポリマーの溶融、結晶化、およびガラス転移挙動を測定することができる。例えば、RCS(冷蔵冷却システム)およびオートサンプラーを備えたTA Instruments Q1000DSCを使用して、この分析を実行した。試験中、50ml/分の窒素パージガス流を使用した。約5mg~8mgのポリマー試料を計量し、DSCパンに配置し、パンは圧着シャットされる。次いで、その熱的特性を測定するために分析を行った。
【0095】
試料の熱挙動は、試料温度に上下の勾配を付けて熱流量対温度プロファイルを作成することによって測定した。その熱履歴を除去するために、まず、試料を180℃まで急速に加熱し、3分間等温保持した。次に、試料を10℃/分の冷却速度で-80℃まで冷却し、-80℃で3分間等温保持した。次いで、試料を10℃/分の加熱速度で180℃まで加熱した(これは「第2の加熱」勾配である)。冷却曲線および第2の加熱曲線を記録した。測定された値はピーク融解温度Tmおよびピーク結晶化温度Tcである。(グラム当たりのジュールで)融解(H)熱、および結晶度%は、以下の式(ポリエチレン試料について)使用を用いて測定した:
結晶度%=((H)/292J/g)×100。
【0096】
融解熱(H)およびピーク融解温度は、第2の熱曲線から報告した。ピーク結晶化温度は、冷却曲線から測定した。
【0097】
密度-密度は、ASTM D-792に従って測定された。測定された密度は「急速密度」であり、これは密度が成形時から1時間後に測定されたことを意味する。
【0098】
高コモノマー含有量(HCC)方法1
市販の結晶化溶出分別装置(CEF)(Polymer Char、Spain)を使用して、高温熱勾配相互作用クロマトグラフィー(TGIC)測定を行った(Congら、Macromolecules、2011、44(8)、3062-3072)。HYPERCARBカラム(100×4.6mm、Part#35005-104646、Thermo Scientific)を分離に使用した。27ミクロンのガラスビーズ(カタログ番号GL01918/20-27μm、MO-SCI Specialty Products、LLC、Rolla、MO、USA)を充填した「8cm×0.48cm(内径3/16インチ)」のステンレス鋼カラムは、IR検出器の前、CEF装置のトップオーブンに取り付けられた。実験パラメータは以下の通りであった:トップオーブン/移送ライン/針温度150℃、溶解温度160℃、溶解撹拌設定2、試料充填容量0.400mL、ポンプ安定化時間15秒、洗浄カラムのポンプ流量0.500mL/m、カラム充填のポンプ流量0.300ml/分、安定化温度150℃、安定化時間(カラムへの充填前)3.0分、安定化時間(カラム充填後)1.0分、SF(可溶性画分)時間3.0分、150℃~30℃の冷却速度3.00℃/分、冷却プロセスの間の流量0.00ml/分、30℃~160℃の加熱速度2.00℃/分、等温時間160℃で10分間、溶出流量0.500mL/分、および注入ループサイズ140マイクロリットル。
【0099】
試料は、オルトジクロロベンゼン(ortho-dichlorobenze)(ODCB、99%無水グレード、Sigma-Aldrich)中、4.0mg/mlの濃度で、160℃で60分間、PolymerCharオートサンプラーによって調製した。シリカゲル40(粒径0.2~0.5mm、カタログ番号10181-3、EMD)を使用前に約2時間、160℃の真空オーブン中で乾燥した。2,5-ジ-ter-ブチル-4-メチルフェノール(1.6グラム、BHT、カタログ番号B1378-500G、Sigma-Aldrich)およびシリカゲル(5.0グラム)を2リットルのODCBに加えた。ここで、この「BHTおよびシリカゲルを含有するODCB」を、「ODCB」と呼ぶことにする。このODCBを使用前に1時間、乾燥窒素(N)でスパージした。
【0100】
TGICデータは、PolymerChar(Spain)の「GPC One」ソフトウェアプラットフォームで処理した。温度較正は、7.0mLのODCBで充填した10mLバイアル中で、約4~6mgのEICOSANE、14.0mgのアイソタクチックホモポリマーポリプロピレンiPP(分子量Mwはポリエチレン当量150,000~190,000g/モル、および多分散性(Mw/Mn)3.6~4.0として報告された)、および14.0mgのホモポリマーポリエチレンHDPE(ゼロコモノマー含有量、Mwはポリエチレン当量115,000~125,000g/モル、多分散性2.5~2.8として報告された)の混合物を用いて行われた。溶解時間は160℃で2時間であった。
【0101】
較正プロセス(30℃~150℃でEICOSANE溶出およびHDPE溶出)は、次のステップで構成されている。
【0102】
加熱速度に従って溶出中の等温工程のそれぞれについて溶出温度を外挿した。
【0103】
遅延量を計算した。EICOSANEピーク(y軸)が30.0℃の溶出温度と一致するように、IR測定チャンネルクロマトグラム(y軸)に対応する温度(x軸)をシフトした。遅延量は、温度差(30℃-EICOSANEピークの実際の溶出温度)を、方法の加熱速度で割り、その後溶出流量を掛けたものから計算した。
【0104】
記録した各溶出温度を、これと同じ遅延量調整で調整した。
【0105】
加熱速度を直線的に増減し、それによってHDPE参照が150.0℃の溶出ピーク温度を有する一方で、30.0℃のEICOSANE溶出ピーク温度を維持した。
【0106】
ポリプロピレンのピーク温度は119.3-120.2℃であることが観察された。これは較正方法の検証である。
【0107】
TGICのポリマー試料についてのデータ処理を以下に記載する。
【0108】
溶媒ブランク(純粋溶媒注入)をポリマー試料と同じ実験条件で実施した。ポリマー試料のデータ処理は以下のものを含んでいた:a)各検出器チャンネルについての溶媒ブランクの減算、b)較正プロセスにおいて記載されたような温度外挿、c)較正プロセスから測定された遅延体積による温度の補償、d)較正の加熱速度から計算して、溶出温度軸を30℃~160℃の範囲に調整。
【0109】
クロマトグラムをPolymerChar「GPC One」ソフトウェアと統合した。ピークが、高溶出温度で平らなベースライン(ブランク減算クロマトグラムではおおよそゼロの値)に、および可溶性画分(SF)の高温側の検出器シグナルの最小または平らな領域に落ちるとき、可視的差異から直線のベースラインを引いた。
【0110】
ピークが平らなベースライン領域(ブランク減算クロマトグラムではおおよそゼロの値)に落ちるとき、可視的差異に基づいて温度積分上限値を設定した。可溶性画分を含むクロマトグラムとベースラインとの交点に基づいて、温度積分下限値を設定した。
【0111】
「高コモノマー含有量(HCC)」は、≦65.0℃の温度で溶離する材料の重量パーセントとして定義される。HCCは、65.0℃以下の温度でIR測定チャネル(IRクロマトグラム)を積分し、この値をIR測定チャネルの総積分で除算することによって計算した。図4は、比較コポリマーのHCC値を測定するためのクロマトグラムの例である。
【0112】
高コモノマー含有量(HCC)方法2
HT-TGIC(またはTGIC)測定は、市販の結晶化溶出分別装置(CEF)(Polymer Char、Spain)を使用して、高温熱勾配相互作用クロマトグラフィー(HT-TGICまたはTGIC)測定を行う(Congら、Macromolecules、2011年、44 (8)、3062-3072)。方法#2は、(PolymerChar、Spainから市販されているような)IR-4検出器を備えたCEF器具、および基材または固定相として低多孔性グラファイトを用いた。低多孔性グラファイトを、寸法0.46(ID)×25(長さ)cmのカラムに充填した。「27ミクロンの直径」ガラスビーズ(カタログ#GL01918/20-27μm、MO-SCI特別商品、LLC、Rolla、MO、米国)を充填した「8cm×0.48cm(3/16インチID)」のステンレス鋼カラムは、IR検出器の前、CEF機器のトップオーブン内に設置された。PolymerChar機器制御ソフトウェアを使用した。PolymerChar機器制御ソフトウェアの実験パラメータは、トップオーブン/移送ライン/針温度150℃、溶解温度160℃、溶解攪拌設定2、ポンプ安定化時間15秒、ポンプ流量洗浄カラム0.500mL/m、カラム充填のポンプ流量0.300ml/分、安定化温度150℃、安定化時間(カラム充填前)3.0分、安定化時間(カラム充填後)1.0分、SF(可溶性画分)時間5.0分、150℃~30℃の冷却速度3.00℃/分。冷却中の流量は0.04mL/分であり、加熱速度は30℃~150℃で2.00℃/分であり、そして150℃の等温時間は10分間であった。溶出流量は0.500mL/分であり、注入ループサイズは200マイクロリットルであった。冷却工程の間の流量はグラファイトカラムの長さに従って調節され、ここで全てのポリマー画分は冷却サイクルの終わりにカラム上に残留しなければならない。
【0113】
試料は、PolymerCharオートサンプラーにより160℃で60分間、ODCB中4.0mg/mlの濃度で調製した(以下に定義)。シリカゲル40(粒径0.2~0.5mm、カタログ番号10181-3、EMD)を使用前に約2時間、160℃の真空オーブン中で乾燥した。2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(1.6グラム、BHT、カタログ番号B1378-500G、Sigma-Aldrich社)およびシリカゲル40(5.0グラム)をオルト-ジクロロベンゼン(dichlorobenze)(ODCB、99%無水グレード、Sigma-Aldrich社)2リットルに添加した。この「BHTとシリカゲルを含有するODCB」を「ODCB」とした。このODCBを使用前に1時間、乾燥窒素(N)でスパージした。
【0114】
TGICデータは、PolymerChar(Spain)の「GPC One」ソフトウェアプラットフォームで処理した。温度較正は、7.0mLのODCBで充填した10mLバイアル中で、約4~6mgのEICOSANE、14.0mgのアイソタクチックホモポリマーポリプロピレンiPP(以下の特定の方法を用いて、多分散性3.6~4.0、および分子量Mwはポリエチレン当量150,000~190,000g/モル、および多分散性(Mw/Mn)3.6~4.0、DSC溶融温度158-159℃として報告された)、および14.0mgのホモポリマーポリエチレンHDPE(ゼロコモノマー含有量、Mwはポリエチレン当量115,000~125,000、および多分散性2.5~2.8として報告された)の混合物を用いて行われた。溶解時間は160℃で2時間であった。
【0115】
較正プロセス(30℃~150℃でEICOSANE溶出およびHDPE溶出)は、次の手順で構成される。
【0116】
加熱速度に応じて溶出中の各等温ステップの溶出温度を外挿する(図5(TGIC温度較正のための溶出温度の外挿)に示されている)。
【0117】
遅延量を計算する。EICOSANEピークの最大値(y軸)が30.0℃の溶出温度と一致するように、IR測定チャンネルクロマトグラム(y軸)に対応する温度(x軸)をシフトする。遅延量は、温度差(30℃-EICOSANEピーク最大値の実際の溶出温度)を方法の加熱速度で割ってから溶出流量を掛けて算出する。
【0118】
これと同じ遅延量調整で、記録した各溶出温度を調整する。
【0119】
観察されたHDPE参照が150.0℃の溶出ピーク最高温度を有する一方、EICOSANE溶出ピーク最高温度が30.0℃に維持されるように、加熱速度を直線的に増減する。
【0120】
ポリプロピレンのピーク温度は119.3~120.2℃の範囲内で観察され、これは較正方法の検証である。
【0121】
TGICのポリマー試料についてのデータ処理を以下に記載する。
【0122】
溶媒ブランク(純粋溶媒注入)をポリマー試料と同じ実験条件で実施した。ポリマー試料のデータ処理には、較正の加熱速度から計算された、各検出器チャンネルの溶媒ブランクの減算、較正プロセスで説明されている温度外挿、較正プロセスで測定された遅延量による温度の補正、および溶出温度軸の30℃~150℃の範囲への調整が含まれる。
【0123】
クロマトグラム(IR-4検出器の測定チャンネル)は、PolymerChar「GPC One」ソフトウェアと統合した。ピークが、高溶出温度で平らなベースライン(ブランク減算クロマトグラムではおおよそゼロの値)に、および可溶性画分(SF)の高温側の検出器シグナルの最小または平らな領域に落ちるとき、可視的差異から直線のベースラインを引いた。
【0124】
ピークが平らなベースライン領域(ブランク減算クロマトグラムではおおよそゼロの値)に落ちるとき、可視的差異に基づいて温度積分上限値を設定した。可溶性画分を含むクロマトグラムとベースラインとの交点に基づいて、温度積分下限値を設定する。
【0125】
方法2のHCCは、温度積分下限値~59.0℃の間に溶出するポリマー画分として定義される。
【0126】
-以下の式H2を参照のこと。
【0127】
【数1】
【0128】
方法2では、HCC値は総面積(28.2℃から160℃)で除算し、この商に100を掛けた28.2℃~59.0℃の面積から求められる。それぞれHCC方法#2で得られた、ポリマーEH-2とEH-7のHT-TGICクロマトグラムを示す、図6も参照のこと。本明細書に記載の方法(1および2)を用いて得られたHCC値は、標準偏差±0.1またはそれ未満の範囲内で同じ値を提供する。
【0129】
カラムの準備-低多孔性固定相-HCC方法2
20-24ミクロンのD50、12ミクロンより大きいD10、そして42ミクロンより小さいD90を有する、低多孔性グラファイトの球状粒子。多孔性特性を表Aに列挙する。低多孔性グラファイトを0.46(ID)×25(長さ)cmのカラムに充填した。
【0130】
【表A】
【0131】
方法2の充填カラム用ハードウェア-HT-TGIC
ステンレス鋼製カラム、フリット、カラムの端部取り付け具は、Agilent Technologies(以前はPolymerLab Inc.)から入手した。スラリー充填方法には、Agilent Model 1100液体クロマトグラフィーポンプを使用した。TCB(1,2,4-トリクロロベンゼン)はスラリー媒体であった。スラリー充填リザーバーは、Valco端部取り付け具を有する「0.46cm」内径のステンレス鋼管から構成された。リザーバーは長さ150mmであった。標準的な外径1/4インチのチューブユニオンを使用して、充填リザーバーを空の分析カラムに接続した。
【0132】
充填カラムの方法論
充填カラムは、流動および温度の標準操作条件における低い背圧、急激に変化する条件からの衝撃に対する低い感受性、ならびにチャネルおよび空隙の欠如を含む、良好な物質移動特性を示す。
【0133】
成分の分解に対する動的冷却の影響を研究するのに十分な内部液体容量を持つ充填カラム。動的冷却は、CEFおよびHT-TGICの冷却プロセス中に遅い流動を使用するプロセスである(Monrabalら、Macromol.Symp.257、71~79(2007)、およびCongら、Macromolecules、11、44(8)、3062))。
【0134】
低多孔性カラムを調製する方法論は、最初に、(1)添加された材料をカラムを軽くたたくことによって、または電気振動工具を用いて沈降させる、タップアンドフィル法を用いることによる乾式充填、続いて(2)以下の条件下で、スラリーをカラムにポンプで注入した、基材の懸濁液またはスラリーを使用する、スラリー充填方法(Striegel、Yauら、Modern Size Exclusion Liquid Chromatography、Wiley、第2版、第6章)を用いる。
【0135】
単純なタップアンドフィル方法では、カラムは垂直に吊り下げられる。漏斗を通して基材を少しずつ加えながら、カラムを軽くたたくかまたは振動させて基材を沈降させる。基材がカラムの端と同じ高さになると、端部取り付け具が追加され、カラムが締め付けられる。使用前にカラムを調整し、沈降や空隙についてベッドを検査するのが標準的な方法である。空隙が見つかった場合は、カラムの端を平らにするためにさらに充填が追加される。
【0136】
スラリー充填方法では、基材材料を空のカラムに乾式添加した。端部取り付け具付きのリザーバーとカラムを組み立て、Agilentポンプに接続する。空気がカラムから置換されるまで、TCBを1mL/分の流動でリザーバーを通して上方に汲み上げる。流動は一時的に停止され、次にカラムとリザーバーは下降流位置に反転される。TCBは、少なくとも20分間、またはシステム圧力が2,500PSIGに達するまで、カラムを通して3-5mL/分でポンプ輸送される。カラムを充填リザーバーから外し、カラムの端にある余分な充填を平らなブレードスクレーパーで取り除き、チューブの端と同じ高さになるようにする。端部取り付け具が所定の位置に固定され、カラムはコンディショニングの準備が整う。
【0137】
カラムコンディショニング
新しく充填したカラムをHT-TGIC装置に取り付け、室温で0.1mL/minで流動を確立する。材料およびそれがいかに効率的に充填されるかによるが、この時点での背圧は通常2-10バールである。流動は0.1mL/分のステップで増加し、各増加の間で圧力は0.7または1.0mL/分までの安定が可能になる。カラム温度を60℃に上昇させ、次に線形温度勾配を使用して、流動下で10℃/分で140℃にカラムを加熱する。この最終温度を20分間保持し、次いでカラムを10℃/分で100℃に冷却し、そして試験の準備が整ったことを明白に示す。
【0138】
細孔径分布と多孔性のための水銀圧入法
細孔径分布は水銀圧入法により得た。水銀圧入法分析は、Micromeriticsより入手可能なMicromeriticsAutopore IV 9520で行った。試料を110℃で2時間乾燥し、次いで分析前に真空下で機械的にガス抜きして、試料の表面から物理的に吸着された種(すなわち水分)を除去した。
【0139】
試験条件は、Hg充填圧力0.50psia、Hg接触角130°、Hg表面張力485dyn/cm、Hg密度13.53g/mL、30分間の排気時間、5ccバルブを有する大口径ペネトロメータ(粉末タイプ:1.131ステム体積)、30秒の平衡時間、92ポイントの圧力テーブル(侵入75回+押出し圧力ポイント17回)、機械的排気<50-μmHgを含む。低圧から高圧へのクロスオーバーポイントは約39psia(4.6μm)で収集された。使用された圧力テーブルは、対数尺度で0.5~60,000psiaの圧力の均一な増分分布を可能にするように生成され、直径0.003-400μmの細孔径を検出するために使用された。水銀は、真空から最大約60,000psiaまで徐々に圧力が増加するにつれて、より小さい細孔に押し込まれる。装置が適切に機能していることを検証するために、シリカ-アルミナ基準材料(Micromeritics ロットA-501-46)を分析した。基準試料の報告された中央細孔直径(体積)は0.0072±0.0005μmであった。Autoporeは、参照材料のメジアン細孔径(体積)を0.0071μmと報告した。多孔性は、Micromeritics Autopore IV 9520を備えたデータ処理ソフトウェアを使用して粒子間侵入を排除することによって計算した。骨格密度は、約0.003μmよりも大きい全ての細孔の体積が材料によって占められていると推定される体積から除外された後に計算された。
【0140】
窒素吸着/脱着(BET)
窒素吸着/脱着分析は、Micromeriticsで行った。加速表面積および圧入法機器(ASAP 2405)。分析前に、試料を真空下で200℃で約24時間ガス抜きした。約0.5グラムの「受領したままの」試料を分析に用いた。通常、BET表面積は<3%RSD(相対標準偏差)の精度で達成される。この機器は、試料の静的(容量)測定法を採用しており、液体窒素温度で固体に物理的に吸着することができるガス(窒素)の量を測定する。多点BET測定のために、窒素吸収量を、予め選択された相対圧力点で、一定温度で測定した。相対圧力は、77Kの分析温度での窒素の蒸気圧に対して加えられた窒素の圧力比であった。この方法により、直径約17~3,000オングストロームの細孔径が検出される。
【0141】
窒素吸着/脱着等温線の試験条件には、15秒の平衡化間隔、97点の圧力テーブル(40点の吸着点、40点の脱着点、多点BET表面積、20個の微小孔点、および1点の全細孔容積)、5%/5mmHgのP/Po許容誤差、および120分のPo間隔が含まれる。Micromeritics Accelerated Surface Area&Porosimetry instrument(ASAP 2405)から装備されたデータ処理ソフトウェアを使用してBET計算を行った。
【0142】
粒径分布(D 50、D 10、D 90)
レーザー回折粒径分析器はフラウンホーファー光散乱理論を利用する。レーザー回折に基づく粒径分析は、レーザー光線を通過する粒子が、散乱光強度が粒径に直接関連する角度で光を散乱させるという事実に依拠している。
【0143】
Universal Liquid Moduleを備えたBeckman Coulter LS 13 320レーザー回折装置を使用して、ベース粒子の粒径分布を測定した。「0.25グラム」の試料を40mlのきれいな、気泡のない脱イオン水(DI)に分散させた。装置は、実際の運転の前に日常的なバックグラウンドチェックを行い、測定されるべき粒子の負荷の前に存在していたかもしれないあらゆる粒子を差し引いた。混合物をマグネチックスターラーで攪拌し、室温で粒子を均一に分散させた。このベースとなる粒子の混合物に1滴の「Micro 90界面活性剤(製造)」を加えた。8%の不明瞭化が達成されるまで、希釈分散液の滴を分析器の液体モジュールポートに添加した。その後機器を運転モードに設定した。各実行は60秒だった。不明瞭化が一定に保たれ、粒子が溶解または凝集していないことを確実にするために、1分間隔で3回連続して実験を行った。粒子の粒径分布を特徴付けるために球相当径を使用した。粒径測定は、0.4~2,000ミクロンのサイズ範囲にわたって行われた。測定範囲外の粒子は、ソフトウェアによって報告された統計に含まれなかった。データ取得および平均粒径の計算は、Beckman Coulter LS 13 320機器によって提供されるソフトウェアを用いて行われた。D10、D50およびD90は、それぞれ10%点、50%点および90%点における累積分布曲線の直径(体積基準)として定義される。機器は、Beckman Coulterの対照試料を用いた通常の操作についてラテックス標準でチェックした。
【0144】
従来のGPC
高温ゲル浸透クロマトグラフィー(HT GPC)システムは、AgilentからのPL-220モデル、またはPolymerCharからのGPC IRモデルのいずれかから成る。カラムおよびカルーセル区画を140℃で操作した。3つのPolymer Laboratories「10μm混合Bカラム」を1,2,4-トリクロロベンゼンの溶媒と共に使用した。「50mLの溶媒中の0.1gのポリマー」の濃度で試料を調製した。試料を調製するために使用した溶媒は、「200ppmの酸化防止剤BHT」を含有した。試料を160℃で4時間軽く攪拌/振盪することにより調製した。注入量は200マイクロリットルであり、流量は1.0mL/分であった。GPCカラムセットの較正は、Agilentから購入した21個の分子量分布の狭いポリスチレン標準を用いて行った。ポリスチレン標準ピーク分子量を、以下の式1を用いてポリエチレン分子量に変換した。
【0145】
Mポリエチレン=A(Mポリスチレン)(式1)、
式中、Mは分子量であり、Aは0.4316の値を有し、Bは1.0に等しい(T.WilliamsおよびI.M.Ward、J.Polym.Sci.,Polym.Let.,6,621(1968)に記載の通り)。三次多項式を、溶出容量の関数として対数分子量較正を構築するために決定した。ポリエチレン当量分子量の計算は、「GPC One」ソフトウェア(PolymerChar)を使用して実施された。数平均分子量および重量平均分子量を、以下の式2および式3に従って計算した。
【0146】
【数2】
【0147】
式2および3において、Wfはi番目の成分の重量分率であり、Miはi番目の成分の分子量である。重量平均分子量(Mw)の精度は<2.6%である。この精度を達成するために反復分析を行うことができる。
【0148】
時効流動性試験方法
ペレットからペレットへの粘着性を定量化するために、漏斗試験を開発した。この試験は、粒子間の相互作用(粘着性)が増えると急勾配の漏斗からの排出量が減少するという基本概念に基づいている。排出速度の変化は、ポリマーペレットの表面特性(すなわち粘着性)の変化に関連し得る。
【0149】
試験装置(図3参照)は円筒(直径4.15インチ)に取り付けられた急勾配のガラス漏斗からなる。円筒形部分は必要な容量を提供し、その結果かなりの量のペレットを試験することができ、そして小さな値の排出時間を区別する問題を回避することができる。統計的な目的で試験を5回繰り返した。
【0150】
ペレットの排出速度は、「受領したままの」試料について、所定の期間、ペレットを所定の保存温度に調整した後に測定した。ペレットを42℃で3週間「熱処理」または「時効化」した。コンディショニングしたペレットを21℃で一晩冷却して一定の温度を達成した。
【0151】
上記のように、ポリマー(約2,500g;ペレット状;1グラム当たり30±10ペレット)をオーブン中、42℃で3週間熱処理した。ポリマーをオーブンから除去し、21℃で12時間冷却した。漏斗にポリマーペレット(2,500g)を充填し、漏斗からペレットが完全に排出されるまでの時間を測定し、排出速度を以下の式を用いて計算した。
排出速度または流動性(g/s)=漏斗内のペレットの量(g)/排出するのに要した時間(s)
【0152】
流動性はペレットの粘着性の指標である。120g/sの流動性がポリマーペレットの許容しうる取扱い特性を達成するのに必要とされる最小流量であることが決定された。しかしながら、ポリマーペレットのより良好な取扱いのためにはさらに高い速度が好ましい。より高いペレット流動性値は、より易流動性で粘着性の低いペレットに対応する。ポリマーは、≦5000ppmの、または1つもしくは複数の安定剤(例えば、IRGONOX 1010、IRGANOX 1076、およびIRGAFOS 168)で安定化し得るが、そのような少量の安定剤はポリマーの流動性の結果に影響を及ぼさないであろう。
【0153】
熱応力
Institute of Packaging Professions(IoPP)によって作成された、方法T-3006、「熱溶融型接着剤の熱応力抵抗を測定するための提案された試験方法(Suggested Test Method for Determining the Heat Stress Resistance of Hot Melt Adhesives)」に従って熱応力抵抗(熱応力)を測定した。1つの試料を準備するために、2インチ(50.8mm)×3-3/16インチ(81mm)、および2インチ(50.8mm)×5-1/2インチ(139.7mm)の寸法を有する2つの厚紙クーポン(縦方向に走る溝でカット)を、より短いクーポンの中央に0.00014ポンド/インチの組成物(0.00028ポンド)をOlinger Bond Testerで適用することによって結合した。組成物を短い方のクーポンの中心の縦溝に対して垂直に塗布し、組成物が長い方のクーポンの一端から3/4インチ(19mm)となるようにクーポンを結合した。各接着製剤について6回繰り返した。短いクーポン端部を試料ホルダーの端部と整列させて試料を試料ホルダーに装填した。ワイドプレートを蝶ナットで固定して試料を所定の位置に保持した。「200gのおもり」を結合から3.94インチ(100mm)に置いた。おもりは、長いクーポンに作られた穴の中におもりの上のペグを置くことによって固定された。次に試料ホルダーを試験温度の対流式オーブンに24時間入れた。6つの結合のうちの少なくとも4つが破損しない場合、試料は試験温度で耐熱性試験に合格したと見なされる。最大通過熱応力抵抗が決定されるまでオーブン温度を変えた。すべての新しい結合クーポン試料を各試験温度に使用した。結果は熱応力温度(℃)として報告されている。
【0154】
剥離接着破壊温度(PAFT)およびせん断接着破壊温度(SAFT)
各々6×12インチ(152mm×305mm)寸法の2枚の「40ポンド」Kraft紙を使用して、試験のための試料を調製した。底部シート上、縦方向および中央に、1インチ(25mm)の間隙を形成し、2層のKraft紙の間の1インチの中央間隙の両側にパーチメント紙を挟む。接着製剤を177℃(350°F)に加熱し、約7グラムの溶融接着剤を底部基材の上部中央に施した。それから、接着剤が過度に厚くなる前に、2本のガラス棒(それぞれ0.25インチの直径)、1本を2インチの間隔をあけてマスキングテープのような4.5インチの感圧テープで巻いて下部基材の真上に載せ、続いて第2の棒を上部基材の上に載せ、(2本の棒の間の)第2の紙のシートおよび棒を、シートの長さ方向にスライドさせた。これは、第1の棒が間隙に接着剤を均一に広げ、第2の棒が間隙の上部にわたって第2のシートを均一に圧縮するように行った。このようにして、2枚の紙シートの間に「1インチ(25.4mm)幅」の接着剤の条片が作られた。そのように結合させたシートを、横に切断して幅1インチ(25.4mm)および長さ3インチ(76.2mm)の条片にし、各条片は中央に1インチ×1インチ(25mm×25mm)の接着試料結合を有した。すべての試験片は、試験前に24時間、室温23℃、および相対湿度50%でコンディショニングした。その後、条片をPAFTおよびSAFT試験に使用した。
【0155】
剥離接着破壊温度(PAFT)および剪断接着破壊温度(SAFT)は、ASTM標準試験D-4498に従って測定した。プログラム可能なオーブンを使用した。オーブンの温度は30℃で開始し、そして接着剤結合が失敗し、結合が失敗しなかった最高温度が記録されるまで0.5℃/分ずつ増加させた。
【0156】
PAFT試験のために、「100グラム重量」を一方のKraft紙基材の一方の端部に取り付けた。他のKraft紙の同じ端部を据え付けの試料ホルダーに固定した。この設定は180度の剥離作用に似ている。3つの試験片を試験し、平均温度を報告した。
【0157】
SAFT試験のために、「500グラム重量」をKraft紙基材の一端に取り付けた。他方のKraft紙の反対側の端部を据え付けの試料ホルダーに固定した。この設定は180度のせん断作用に似ている。3つの試験片を試験し、平均温度を報告した。
【0158】
繊維引裂率(FT)
Inlandの段ボールを使用した各接着製剤の繊維引裂率(FT)を標準化された方法に従って測定した。接着剤のビーズを、テストボンドを形成し引き裂くために使用される機械的試験装置であるOlinger Bond Tester(0.00014ポンド/インチで約0.75インチのストランドのビーズ位置)を使用して、厚紙クーポン(5cm×6cm)の中心に塗布した。第2の厚紙クーポン(2.5cm×6.5cm)を素早く接着剤の上に置いた。約3秒間、軽い指圧を適用して、結合を所定の位置に保持した。試験試料を室温および50%の相対湿度で少なくとも4時間コンディショニングした。次に、試料を試験温度で5時間~24時間コンディショニングした。各試験温度について、5つの試験試料をそれぞれ手で引き離し、各結合領域内の繊維引裂量(%)を測定した。繊維引裂率の平均を記録した。
【0159】
開放時間と硬化時間
試験結合を形成し、それを引き裂くのに使用される機械的試験装置であるOlinger Bond Testerを使用して、硬化時間特性および開放時間特性を決定した。Olinger Bond Testerを350℃(177℃)に加熱し、接着製剤を溶解した。2.5インチ(63.5mm)×2インチ(50.8mm)の段ボールである下部基材を、接着剤ポット下のトラック上で移動させ、これにより、幅約1/16インチ(1.6mm)~1/8インチ(3.2mm)および長さ1インチ(25.4mm)の接着剤ビーズが送達された(結合テスターは0.00014ポンド接着/インチで操作した)。一貫したビーズサイズを維持するために、接着剤ポットの圧力を増加または低下させた。2.5インチ(63.5mm)×2インチ(50.8mm)の上部基材を、2バールの圧力で、接着剤のストランドを含む下部基材に貼り付けた。Olingerには2つのタイマーが装備されており、硬化時間と開放時間のポテンシャルを秒単位で測定するために使用された。
【0160】
開放時間は、一方の基材への接着剤の適用と第2の基材の結合との間の最長期間であり、それは室温で3つの試料について少なくとも50%の繊維引裂をもたらす。開放時間の測定のために、圧縮時間を、室温で3つの試料について100%の繊維引裂を達成するのに必要な時間に設定した。「1つの基材への接着剤塗布と第2の基材の結合との間の時間(t)」は、最初に10秒に設定され、室温で1つの試料について50%未満の繊維引裂が達成されるまで10秒間隔で増加させた。時間tを5秒短縮し、繊維引裂%を求めた。最後に、室温で3つの試料について50%以上の繊維引裂を達成するための最大許容時間を測定するために、時間tを1秒の間隔で変えた。
【0161】
硬化時間は、室温で3つの試料について少なくとも50%の繊維引裂の繊維引裂結合を達成するのに必要とされる最小圧縮時間である。この試験では、開放時間は2秒に設定された。2バールの圧力で、上部基材が下部基材上に圧縮されるにつれて、結合が形成された。事前設定した圧縮時間の後、室温で、上部基材が下部基材から引き離すことにより、引裂試験を実行した。その後、事前設定した圧縮時間で達成された繊維引裂率を測定するために視覚的評価を行った。室温で3つの試料について50%の繊維引裂を達成するのに必要な圧縮時間、および室温で75%未満の繊維引裂(試験した5つの試料の平均)を達成するのに必要な圧縮時間を測定するために硬化時間を1秒間隔で変えた。硬化時間を最も近い秒による最短時間として記録し、この時点で、室温で3つの試料について最低50%の繊維引裂が得られた。
【0162】
13C NMR
試料を、クロムアセチルアセトネート(緩和剤)中0.025Mである、約2.6gのテトラクロロエタン-d2を、10mmNMR管中の0.2gの試料に添加することによって調製した。管およびその内容物を150℃に加熱することによって、試料を溶解し、均質化した。データは、JEOL Eclipse 400MHz分光計を使用して収集した。データは、データファイル当たり4,000スキャン、6秒のパルス繰り返し遅延、25,200Hzのスペクトル幅および32Kデータポイントのファイルサイズを用いて130℃で取得した。
【0163】
本開示のいくつかの実施形態を、以下の実施例においてここに詳細に記載する。
【0164】
実験
A.典型的な重合-概要
各ポリマーは連続溶液重合反応器中で作成された。すべての試薬(モノマー、コモノマー、および水素)を溶媒キャリア供給流に溶解し、米国特許第5,977,251号に記載されているものと等価の循環式シングルループ反応器に注入した。溶媒希釈剤は、5~9個の炭素(ISOPAR E)を含む飽和脂肪族炭化水素分子であった。
【0165】
触媒は、(チタン、[N-(1,1-ジメチルエチル)-1,1-ジメチル-1-[(1,2,3,4,5-η)-]であった。
【0166】
2,3,4,5-テトラメチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル]シラナミナト(2-)-κN][(1,2,3,4-η)-1,3-ペンタジエン]-)2つの助触媒、トリス-(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボラン(助触媒1)および変性メチルアルミノキサン(助触媒2)を使用した。2つの助触媒を注入前に混合し、この混合物を触媒とは別に反応器に供給した。
【0167】
反応器内の触媒濃度を調整して、反応器内のエチレン濃度を目標値に制御した。2つの助触媒種のそれぞれの濃度は、触媒錯体の完全な活性化のための目標値にそれぞれの触媒種に対するそれぞれのモル比を制御するために調整された。反応器への供給物中のα-オレフィンコモノマー(1-ヘキセンまたはプロピレン)濃度を調節してポリマーの密度を制御し、水素濃度を調節してポリマーの溶融粘度(または分子量)を制御した。各重合は、135℃の反応温度および35bargを超える反応圧力で行われた。触媒殺菌剤(脱イオン水)および酸化防止剤(IRGANOX 1010)を溶媒で希釈し、反応器を出る重合流に注入して反応を停止させ、ポリマーを酸化から保護した。反応器流出物を、溶媒、未反応モノマー、未反応コモノマー、および水素からポリマー生成物を除去するシステムを通して処理した。水中溶融造粒機を用いてポリマー溶融物を固体顆粒に転換した。ポリマーを1,000ppmのIRGANOX 1010で安定化した。
【0168】
重合条件の概要を以下の表1aおよび1bに示す。ポリマー特性は、下記の表2a~2dおよび表3に記載される。
【0169】
【表1a】
【0170】
【表1b】
【0171】
【表2a】
【0172】
【表2b】
【0173】
【表2c】
【0174】
表2aおよび3に見られるように、たとえ一部のポリマーがより高いHCC値(例えば6重量%を超える)を有していたとしても、各ポリマーは130g/sを超える時効流動性を有することが見出された。図1および2も参照のこと。
【0175】
【表2d】
【0176】
【表3】
【0177】
接着剤調製
各熱溶融型接着製剤層は、缶ミキサー法(can mixer method)を介して調製された。合計50グラムの接着剤成分を秤量し、エポキシで裏打ちされた16オンスのアルミニウム缶に入れた。次に缶を350°Fに予め設定したオーブンに30分間入れて成分を溶融させた。次いで、缶を350°Fに維持された加熱ブロックに移して成分を混合した。混合装置は、ホットプレート(Thermolyne社製モデルSPA1025Bタイプ1000)、デジタル温度コントローラー(Cole-Parmer社製モデル89000-10)、機械式撹拌機(Lightin社製モデルL1U08F LabMaster SI Mixer)、及び熱電対を備えた上記加熱ブロックを備えていた。アルミニウム缶の内容物を撹拌する前に約5分間平衡化させた。混合速度を0~100rpmまでゆっくりと傾斜させ、そして窒素パッドを使用してアルミニウム缶のヘッドスペースを満たした。混合を約5分間続けた。次に缶の内容物(接着剤)を周囲温度でTEFLON(登録商標)シート上に注ぎ、冷却した。接着剤が室温になったら、使用するまでZiplocバッグに保存した。各接着製剤を次の試験条件下:PAFT、SAFT、熱応力温度、開放時間、硬化時間、および種々の温度での繊維引裂き、で実施した。結果を表4に示す。表4に見られるように、各熱溶融型接着剤は、PAFT、SAFT、熱応力、および繊維引裂きにおいて良好な接着性能を示し、そしてそれぞれ適切な開放時間および硬化時間を有した。
【0178】
【表4】

本願は以下の態様にも関する。
(1) エチレン/C3~C6α-オレフィンインターポリマーを含む組成物であって、前記インターポリマーが以下の特性:
a)以下の式を満たすHCC値:
HCC(重量%)≧-648.6[(重量%)(cc)/(g)]×(密度)+569.4(重量%);
b)時効流動性≧130g/秒
を含む、組成物。
(2) 前記エチレン/C3~C6α-オレフィンインターポリマーが、6.0重量%より大きい、またはそれと等しいHCC値を有する、前記(1)に記載の組成物。
(3) 前記エチレン/C3~C6α-オレフィンインターポリマーが、以下の式:
HCC(重量%)≧-648.6[(重量%)(cc)/(g)]×(密度)+570.9(重量%)
を満たすHCC値を有する、前記(2)または(3)のいずれか一項に記載の組成物。
(4) 前記インターポリマーが、以下の式:
HCC(重量%)<-463.4[(重量%)(cc)/(g)]×(密度)+413.8(量%)
を満たすHCC値をさらに含む、前記(1)~(3)のいずれか一項に記載の組成物。
(5) 前記エチレン/C3~C6α-オレフィンインターポリマーが350°F(177℃)で2,000cP~50,000cPの溶融粘度を有する、前記(1)~(4)のいずれか一項に記載の組成物。
(6) 前記エチレン/C3~C6α-オレフィンインターポリマーは、0.910g/ccよりも小さい、またはそれに等しい密度を有する、前記(1)~(5)のいずれか一項に記載の組成物。
(7) 前記エチレン/C3~C6α-オレフィンインターポリマーは、80.0°Cより低い、またはそれに等しい最高ピーク融解温度を有する、前記(1)~(6)のいずれか一項に記載の組成物。
(8) 前記α-オレフィンはC6α-オレフィンまたはC3α-オレフィンである、前記(1)~(7)のいずれか一項に記載の組成物。
(9) 少なくとも一つの粘着剤および少なくとも一つの油をさらに含む、前記(1)~(8)のいずれか一項に記載の組成物。
(10) 前記(1)~(9)のいずれか一項に記載の組成物から形成された少なくとも一つの成分を含む物品。
図1
図2
図3
図4
図5
図6