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特許7118953鞍乗型車両用外装樹脂部品及びそれを備えた鞍乗型車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】鞍乗型車両用外装樹脂部品及びそれを備えた鞍乗型車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 15/00 20060101AFI20220808BHJP
   B32B 5/28 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
B62J15/00 C
B32B5/28 101
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019515382
(86)(22)【出願日】2018-09-28
(86)【国際出願番号】 JP2018036554
(87)【国際公開番号】W WO2019097858
(87)【国際公開日】2019-05-23
【審査請求日】2021-01-18
(31)【優先権主張番号】P 2017221393
(32)【優先日】2017-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(74)【代理人】
【識別番号】100085213
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 洋
(72)【発明者】
【氏名】金原 周平
(72)【発明者】
【氏名】平野 拓実
(72)【発明者】
【氏名】河合 秀成
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-172725(JP,A)
【文献】特開2010-047164(JP,A)
【文献】特開平08-034378(JP,A)
【文献】特開2013-226927(JP,A)
【文献】特開2000-168777(JP,A)
【文献】特開平11-034140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 15/00
B32B 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鞍乗型車両の車体に取り付けられる鞍乗型車両用外装樹脂部品であって、
厚みが相対的に大きい部分と小さい部分とを含む樹脂発泡層と、
前記樹脂発泡層の表面に接触し、樹脂が繊維によって強化された繊維強化樹脂を含む第1の繊維強化樹脂層と、
前記樹脂発泡層の裏面に接触し、樹脂が繊維によって強化された繊維強化樹脂を含む第2の繊維強化樹脂層と、を備え、
前記第1の繊維強化樹脂層及び前記第2の繊維強化樹脂層の少なくとも一つは、前記樹脂発泡層の厚みが大きい部分と前記樹脂発泡層の厚みが小さい部分との間に、前記樹脂発泡層と接触する段差部を有し、
前記車体に対して固定される基端部と、
前記基端部から前記車体の外方に向かって延びる本体部と、
前記本体部の先端に位置し且つ自由端である先端部と、
を有する、鞍乗型車両用外装樹脂部品。
【請求項2】
請求項1に記載の鞍乗型車両用外装樹脂部品において、
外周部に、厚さ方向に屈曲する屈曲部を有する、
鞍乗型車両用外装樹脂部品。
【請求項3】
請求項1または2に記載の鞍乗型車両用外装樹脂部品において、
前記繊維強化樹脂は、樹脂が炭素繊維によって強化された炭素繊維強化樹脂である、鞍乗型車両用外装樹脂部品
【請求項4】
請求項1からのいずれか一つに記載の鞍乗型車両用外装樹脂部品において、
他の部品を取り付ける支持部を有する、鞍乗型車両用外装樹脂部品。
【請求項5】
請求項1からのいずれか一つに記載の鞍乗型車両用外装樹脂部品を備えた、鞍乗型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用外装樹脂部品及びそれを備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、樹脂製の外装部品が数多く用いられている。例えば、特許文献1には、鞍乗型車両の車体の後部に、樹脂材料によって一体形成されたリアフェンダーが設けられた鞍乗型車両の電装部品の取付構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-41529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記特許文献1のように車両の車体に取り付けられる樹脂外装部品は、該車両の車体から振動を受ける。また、その樹脂外装部品に支持される他の部品も振動を受ける。耐振動性を高めるために、車体に取り付けられる前記樹脂外装部品は、耐振動性を確保するために、部品全体として高い強度が要求される。また、振動を受ける前記樹脂外装部品は、振動による振れ量を小さくするために、部品全体として高い剛性が要求される。その結果、振動を受ける前記車両用樹脂外装部品は、重量が増加する傾向にあった。
【0005】
近年、車両の軽量化の要求に伴い、車両に用いられる車両用外装樹脂部品の軽量化が望まれている。
【0006】
本発明は、車体から振動を受ける車両用樹脂外装部品において、強度と剛性を確保しつつ軽量化可能な構成を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、車体から振動を受ける車両用樹脂外装部品において、強度と剛性を確保しつつ軽量化可能な構成について検討した。前記車両用樹脂外装部品を設計する際の従来の技術的思想は、使用する樹脂材料の量をできるだけ少なくして軽量化しつつ、強度と剛性を確保することである。上述したように、振動を受ける前記車両用樹脂外装部品は、部品全体として高い強度と高い剛性が要求される。その結果、使用する樹脂材料の量は多くなり、前記車両用樹脂外装部品の重量は増加する。
【0008】
本発明者らは、前記車両用樹脂外装部品が車体から受ける振動をできるだけ減衰させつつ、前記車両用樹脂外装部品に求められる強度と剛性をできるだけ小さくすることで、前記車両用樹脂外装部品の軽量化を図ることを考えた。
【0009】
本発明者らは、検討を進める中で、前記車両用樹脂外装部品において厚さが違う樹脂発泡層を用いることにより、前記車両用樹脂外装部品が車体から受ける振動を減衰できることが分かった。これにより、前記車両用樹脂外装部品全体に要求される強度と剛性を下げることができる。
【0010】
本発明者らは、厚さが違う樹脂発泡層の表面及び裏面に、それぞれ、樹脂が繊維によって強化された繊維強化樹脂材料を含む繊維強化樹脂層を設けることで、前記車両用樹脂外装部品の強度が得られる点に気付いた。そして、本発明者らは、厚さが違う樹脂発泡層を用いることで、車両用樹脂外装部品全体に要求される強度と剛性を確保でき、これにより、樹脂発泡層の表面及び裏面にそれぞれ繊維強化樹脂層の厚みを大きくする必要がないため、車両用樹脂外装部品の強度を確保して軽量化を図ることができることを見出した。また、厚さが違う樹脂発泡層の表面及び裏面にそれぞれ繊維強化樹脂層を設けることで、繊維強化樹脂層は、厚さが変化する部位で段差部が形成されることになる。段差部が形成されることで、剛性を大きくすることができ、車両用樹脂外装部品の剛性も確保できることを見出した。
【0011】
以上より、本発明者らは、以下のような構成に想到した。
【0012】
本発明の一実施形態に係る車両用外装樹脂部品は、厚みが相対的に大きい部分と小さい部分とを含む樹脂発泡層と、
前記樹脂発泡層の表面に接触し、樹脂が繊維によって強化された繊維強化樹脂を含む第1の繊維強化樹脂層と、
前記樹脂発泡層の裏面に接触し、樹脂が繊維によって強化された繊維強化樹脂を含む第2の繊維強化樹脂層と、を備え、
前記第1の繊維強化樹脂層及び前記第2の繊維強化樹脂層の少なくとも一つは、前記樹脂発泡層の厚みが大きい部分に接触する部分と前記発泡層の厚みが小さい部分に接触する部分との間に、前記樹脂発泡層と接触する段差部を有する。
【0013】
このように、車両用外装樹脂部品が、厚みが相対的に大きい部分と小さい部分とを含む樹脂発泡層を備えることにより、車体から受ける振動を減衰させることができる。このように振動を減衰させることができるので、車両用外装部品に要求される強度、剛性を下げることができる。
【0014】
前記樹脂発泡層の表面に接触し、樹脂が繊維によって強化された繊維強化樹脂を含む第1の繊維強化樹脂層と、前記樹脂発泡層の裏面に接触し、樹脂が繊維によって強化された繊維強化樹脂を含む第2の繊維強化樹脂層とにより、繊維強化樹脂層の厚みを大きくすることなく、要求される強度が得られる。その結果、車両用外装樹脂部品は、軽量化を図ることができる。
【0015】
また、前記第1の繊維強化樹脂層及び前記第2の繊維強化樹脂層の少なくとも一つにおいて、前記樹脂発泡層の厚みが大きい部分に接触する部分と前記樹脂発泡層の厚みが小さい部分に接触する部分との間に、前記樹脂発泡層と接触する段差部が形成されることで、必要な剛性を確保することができる。
【0016】
従って、上述の構成により、車体から振動を受ける車両用樹脂外装部品において、強度と剛性を確保しつつ軽量化できる。
【0017】
他の観点によれば、本発明の車両用外装樹脂部品は、以下の構成を含むことが好ましい。外周部に、厚さ方向に屈曲する屈曲部を有する。
【0018】
このように、車両用外装樹脂部品の外周部に、厚さ方向に屈曲する屈曲部が形成されることで、車両用外装樹脂部品の剛性をさらに大きくすることができる。
【0019】
他の観点によれば、本発明の車両用外装樹脂部品は、以下の構成を含むことが好ましい。前記繊維強化樹脂は、樹脂が炭素繊維によって強化された炭素繊維強化樹脂である。
【0020】
このように、繊維強化樹脂として、樹脂が炭素繊維によって強化された炭素繊維強化樹脂を用いることにより、車両用外装樹脂部品の軽量化を図りつつ強度と剛性の向上も図れる。
【0021】
他の観点によれば、本発明の車両用外装樹脂部品は、以下の構成を含むことが好ましい。車両用外装樹脂部品は、前記車体に対して固定される基端部と、前記基端部から前記車体の外方に向かって延びる本体部と、前記本体部の先端に位置し且つ自由端である先端部と、を有する。
【0022】
このように、車体に対して基端部が固定され、先端部が自由端である車両用外装樹脂部品は、車体で発生する振動の影響を受けやすい。これに対し、車両用外装樹脂部品は、上述のように構成することにより、車体から受ける振動を減衰させることができる。よって、上述の各構成は、車両用外装樹脂部品が車体に対して基端部が固定され、先端部が自由端である構成に、特に有用である。
【0023】
他の観点によれば、本発明の車両用外装樹脂部品は、以下の構成を含むことが好ましい。車両用外装樹脂部品は、他の部品を支持する支持部が設けられている。
【0024】
車体に対して他の部品を支持する支持部は、前記部品の慣性力によって前記車体で生じる振動の影響を受けやすい。これに対し、上述の各構成の車両用樹脂外装部品は、車体から受ける振動を減衰させることができる。よって、上述の各構成は、車両用外装樹脂部品が車体に対して部品を支持する支持部を設ける場合に、特に有用である。
【0025】
本発明の一実施形態に係る車両は、上述の各構成の車両用外装樹脂部品を備えた、車両である。これにより、強度と剛性を確保しつつ軽量化するとともに、振動減衰効果も得られる車両用外装樹脂部品を備えた車両が得られる。
【0026】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施例のみを定義する目的で使用されるのであって、前記専門用語によって発明を制限する意図はない。
【0027】
本明細書で使用される「及び/または」は、一つまたは複数の関連して列挙された構成物のすべての組み合わせを含む。
【0028】
本明細書において、「含む、備える(including)」「含む、備える(comprising)」または「有する(having)」及びそれらの変形の使用は、記載された特徴、工程、要素、成分、及び/または、それらの等価物の存在を特定するが、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び/または、それらのグループのうちの一つまたは複数を含むことができる。
【0029】
本明細書において、「取り付けられた」、「接続された」、「結合された」、及び/または、それらの等価物は、広義の意味で使用され、“直接的及び間接的な”取り付け、接続及び結合の両方を包含する。さらに、「接続された」及び「結合された」は、物理的または機械的な接続または結合に限定されず、直接的または間接的な接続または結合を含むことができる。
【0030】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
【0031】
一般的に使用される辞書に定義された用語は、関連する技術及び本開示の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されることはない。
【0032】
本発明の説明においては、いくつもの技術及び工程が開示されていると理解される。これらの各々は、個別の利益を有し、他に開示された技術の一つ以上、または、場合によっては全てとともに使用することもできる。
【0033】
従って、明確にするために、本発明の説明では、不要に個々のステップの可能な組み合わせをすべて繰り返すことを控える。しかしながら、本明細書及び特許請求の範囲は、そのような組み合わせがすべて本発明の範囲内であることを理解して読まれるべきである。
【0034】
本明細書では、本発明に係る車両用外装樹脂部品及びそれを備えた車両の実施形態について説明する。
【0035】
以下の説明では、本発明の完全な理解を提供するために多数の具体的な例を述べる。しかしながら、当業者は、これらの具体的な例がなくても本発明を実施できることが明らかである。
【0036】
よって、以下の開示は、本発明の例示として考慮されるべきであり、本発明を以下の図面または説明によって示される特定の実施形態に限定することを意図するものではない。
【0037】
[鞍乗型車両]
本明細書において、鞍乗型車両とは、乗員が跨いだ状態で乗車する車両を意味する。鞍乗型車両は、例えば、自動2輪車、3輪車、4輪車などを含む。
【0038】
[繊維強化樹脂層]
本明細書において、繊維強化樹脂層とは、樹脂が繊維によって強化された繊維強化樹脂を含む層を意味する。すなわち、繊維強化樹脂層は、前記繊維強化樹脂を含んでいれば、樹脂のみの部分を含んでいてもよい。
【0039】
[樹脂発泡層]
本明細書において、樹脂発泡層とは、樹脂材料からなる発泡体を含む層を意味する。すなわち、樹脂発泡層は、樹脂材料からなる発泡体を含んでいれば、樹脂のみの部分を含んでいてもよい。
【0040】
[車両用外装樹脂部品]
本明細書において、車両用外装樹脂部品とは、車両を上、下、右、左の少なくとも1つの方向に見て、少なくとも一部が露出する樹脂部品を意味する。すなわち、前記車両用外装樹脂部品は、車両を上から見て少なくとも一部が露出する樹脂部品、車両を下から見て少なくとも一部が露出する樹脂部品、車両を上及び下から見てそれぞれ少なくとも一部が露出する樹脂部品、車両を右から見て少なくとも一部が露出する樹脂部品、車両を左から見て少なくとも一部が露出する樹脂部品、車両を右及び左から見て少なくとも一部が露出する樹脂部品を含む。
【0041】
[接触]
本明細書において、接触とは、面接触または部分接触を意味する。
【0042】
[片持ち状態]
本明細書において、片持ちとは、一端が固定された状態で、且つ、他端が自由端である状態を意味する。
【発明の効果】
【0043】
本発明の一実施形態に係る車両用外装樹脂部品によれば、強度と剛性を確保しつつ軽量化可能な車両用外装樹脂部品が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1図1は、本発明の実施形態に係る車両の全体構成を示す側面図である。
図2図2は、メインフレームの概略構成を示す斜視図である。
図3図3は、リアフレームの概略構成を示す斜視図である。
図4図4は、ステアリング機構の概略構成を示す斜視図である。
図5図5は、マッドガードの概略構成を示す斜視図である。
図6図6は、マッドガードの概略構成を示す斜視図である。
図7図7は、図5におけるVII-VII線断面図である。
図8図8は、図7におけるマッドガードのX-X部分の拡大断面図である。
図9図9は、車両の全体構成と、マッドガードの概略構成とを示す図である。
図10図10は、本発明の他の実施形態に係る車両の全体構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下で、各実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図において、同一部分には同一の符号を付して、その同一部分の説明は繰り返さない。なお、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0046】
以下、図中の矢印Fは、車両の前方向を示す。図中の矢印Uは、車両の上方向を示す。図中の矢印Rは、車両の右方向を示す。図中の矢印Lは、車両の左方向を示す。なお、前後左右の方向は、それぞれ、車両1を運転する乗員から見た場合の前後左右の方向を意味する。
【0047】
図1は、実施形態1に係る車両1(鞍乗型車両)の全体構成の概略を示す側面図である。車両1は、例えば、自動2輪車であり、車体2と、前輪3と、後輪4とを備える。本実施形態では、車両1は、乗員が跨いだ状態で乗車する鞍乗型車両である。
【0048】
車体2は、前輪3、後輪4、車体カバー5、ハンドル6、シート7及びパワーユニット8等の各構成部品を支持する。本実施形態では、車体2は、フレーム10と、リアアーム14とを含み、且つ、車両1の各構成部品を支持する構造体である。
【0049】
リアアーム14は、フレーム10に対して後輪4を支持する。リアアーム14の前部は、フレーム10の後述するメインフレーム12に上下方向に回転可能に接続されている。
【0050】
なお、前輪3は、車体2に支持された一対のフロントフォーク9によって回転可能に支持されている。
【0051】
フレーム10は、ヘッドパイプ11と、メインフレーム12と、リアフレーム13とを有する。
【0052】
図1及び図2に示すように、ヘッドパイプ11は、車両1の前部に位置し、ハンドル6に接続されたステアリングシャフト6aを回転可能に支持する。ヘッドパイプ11は、メインフレーム12の前部に接続されている。
【0053】
図2に示すように、メインフレーム12は、ヘッドパイプ11から車両後方に向かって延びるように、ヘッドパイプ11に接続されている。メインフレーム12には、パワーユニット8等が支持されている。なお、フレーム10の少なくとも一部は、車体カバー5によって覆われている。
【0054】
メインフレーム12は、左メインフレーム20と、右メインフレーム30とを有する。左メインフレーム20及び右メインフレーム30は、それぞれ、車両前後方向に延びる板状に形成されている。
【0055】
詳しくは、本実施形態では、左メインフレーム20は、ヘッドパイプ11から後方且つ下方に向かって延びる左メインフレーム前部21と、左メインフレーム前部21の後端部から下方に向かって延びる左メインフレーム後部22とを有する。また、右メインフレーム30は、ヘッドパイプ11から後方且つ下方に向かって延びる右メインフレーム前部31と、右メインフレーム前部31の後端部から下方に向かって延びる右メインフレーム後部32とを有する。
【0056】
左メインフレーム20及び右メインフレーム30の前端部は、それぞれ、ヘッドパイプ11に接続されている。すなわち、左メインフレーム20の左メインフレーム前部21の前端部と右メインフレーム30の右メインフレーム前部31の前端部とは、接続されている。
【0057】
また、左メインフレーム20の左メインフレーム後部22の後端部と右メインフレーム30の右メインフレーム後部32の後端部とは、左右方向に延びるクロス部材17によって接続されている。
【0058】
メインフレーム12は、前後方向において、前端部と後端部との間に、左メインフレーム20及び右メインフレーム30からそれぞれ後方且つ上方に向かって延びる左サスペンション支持部25及び右サスペンション支持部35を有する。
【0059】
左メインフレーム後部22及び右メインフレーム後部32には、リアアーム14が回転可能に支持されている。すなわち、リアアーム14の前部は、左メインフレーム20及び右メインフレーム30の後部に、回転可能に接続されている。
【0060】
また、左メインフレーム後部22及び右メインフレーム後部32には、それぞれ、フットレストブラケット41が取り付けられている(図1参照)。フットレストブラケット41には、運転者が足を載せるためのフットレスト42が折り畳み可能に設けられている。また、フットレストブラケット41には、板状のヒールガード43が接続されている。ヒールガード43は、運転者の足が直接、エンジン等に接触することを防止する。
【0061】
なお、図2に示すように、左メインフレーム20に、リアフレーム13を取り付けるリアフレーム取付部20a、リアアーム14を取り付けるリアアーム取付部20b、パワーユニット8を取り付けるパワーユニット取付部20cが設けられている。そして、右メインフレーム30に、リアフレーム13を取り付けるリアフレーム取付部30a、リアアーム14を取り付けるリアアーム取付部30b、パワーユニット8を取り付けるパワーユニット取付部30cが設けられている。
【0062】
本実施形態では、メインフレーム12は、金属材料によって構成されていてもよいし、樹脂がカーボンなどの繊維によって強化された繊維強化樹脂によって構成されていてもよい。また、メインフレーム12は、一部が前記繊維強化樹脂によって構成されていてもよい。図1に示すように、メインフレーム12の一部は、車両1を左右方向に見てそれぞれ一部が露出している。従って、メインフレーム12は、繊維強化樹脂で構成した場合、本発明における車両用外装樹脂部品となる。
【0063】
リアフレーム13は、メインフレーム12の後部に接続されている。詳しくは、リアフレーム13は、左メインフレーム後部22及び右メインフレーム後部32に接続されている。
【0064】
図3は、リアフレーム13の概略構成を示す斜視図である。リアフレーム13は、車両1の前後方向に延びる形状を有する。リアフレーム13は、左リアフレーム51と、右リアフレーム52と、第1クロス部53と、第2クロス部54とを有する。左リアフレーム51及び右リアフレーム52は、それぞれ、上下方向且つ前後方向に延びる壁状に形成されている。左リアフレーム51及び右リアフレーム52は、左右方向に平行に並んで配置されている。左リアフレーム51及び右リアフレーム52は、それらの後部で接続されている。
【0065】
第1クロス部53は、左リアフレーム51と右リアフレーム52とを、それらの前部且つ下部で接続する。第2クロス部54は、左リアフレーム51と右リアフレーム52とを、それらの前後方向における中央部分且つ下部で接続する。すなわち、第1クロス部53及び第2クロス部54は、それぞれ左右方向に延びている。
【0066】
左リアフレーム51の前部は、左メインフレーム後部22にボルトなどの締結部材(図示省略)によって接続されている。右リアフレーム52の前部は、右メインフレーム後部32にボルトなどの締結部材(図示省略)によって接続されている。リアフレーム13は、メインフレーム12に片持ち状態で取り付けられる。左リアフレーム51と左メインフレーム後部22との接続構造、及び、右リアフレーム52と右メインフレーム後部32との接続構造については、説明を省略する。
【0067】
なお、左リアフレーム51、右リアフレーム52、第1クロス部53及び第2クロス部54は、一体で形成されていてもよいし、それぞれ別体で形成され且つ互いに締結部材または接着剤等によって接続されていてもよい。
【0068】
本実施形態では、リアフレーム13は、金属材料によって構成されていてもよいし、樹脂がカーボンなどの繊維によって強化された繊維強化樹脂によって構成されていてもよい。また、リアフレーム13は、一部が前記繊維強化樹脂によって構成されていてもよい。
【0069】
図1に示すように、リアフレーム13の下部には、図示しないリアフェンダーを介してマッドガード101が取り付けられている。すなわち、マッドガード101は、左リアフレーム51及び右リアフレーム52の下部に固定されている。
【0070】
マッドガード101は、リアフレーム13から車両後方に向かって延びている。マッドガード101は、後輪4の上方に位置する。なお、マッドガード101の下部には、フェンダブラケット71が取り付けられている。
【0071】
マッドガード101の後部には、車両1のナンバープレート111が取り付けられている。すなわち、マッドガード101は、ナンバープレート111を支持する支持部材である。
【0072】
マッドガード101の詳しい構成については後述する。
【0073】
図4に、ハンドル6を含むステアリング機構60の概略構成を示す。なお、図4では、説明のために、アンダーブラケット61、トップブリッジ62及びステアリングシャフト6a以外の構成は破線で示す。
【0074】
ステアリング機構60は、ハンドル6と、一対のフロントフォーク9と、アンダーブラケット61と、トップブリッジ62と、ステアリングシャフト6aとを有する。アンダーブラケット61及びトップブリッジ62は、それぞれ平板状の部材であり、一対のフロントフォーク9が延びる方向に平行に並んで配置されている。ステアリングシャフト6aは、アンダーブラケット61に、アンダーブラケット61の一方の面に対して法線方向に延びるように設けられている。
【0075】
ハンドル6は、前輪3(図4では図示省略)を回転可能に支持する一対のフロントフォーク9の上部に取り付けられている。一対のフロントフォーク9は、アンダーブラケット61及びトップブリッジ62を貫通している。すなわち、一対のフロントフォーク9は、左右方向に並んだ状態で、アンダーブラケット61及びトップブリッジ62によって、連結されている。トップブリッジ62に設けられたステアリングシャフト6aは、ヘッドパイプ11を貫通するとともに、トップブリッジ62も貫通している。
【0076】
車体2のヘッドパイプ11に対してステアリングシャフト6aが軸中心Pを中心として回転することにより、ステアリング機構60の一対のフロントフォーク9、アンダーブラケット61及びトップブリッジ62が、ステアリングシャフト6aの軸中心Pを中心として一体で回転する。
【0077】
詳細な構成は図示しないが、車体2の前部には、図示しないメータ、ミラー91、ヘッドライト92、車体カバー5の一部等を支持するための支持部材であるメータステー81が取り付けられている(図1参照)。このメータステー81は、前方に延びるように、車体2のヘッドパイプ11にボルト等の締結部材によって締結されている。すなわち、メータステー81は、車体2から前方に延びる片持ち状態で、車体2に固定されている。なお、ミラー91は、車両1の左右に設けられている。
【0078】
(マッドガード)
次に、マッドガード101(鞍乗型車両用樹脂部品)の詳しい構成を、図5から図9を用いて説明する。図5及び図6は、マッドガード101の概略構成を示す斜視図である。図7は、図5におけるVII-VII線断面図である。図8は、図7におけるX-X部分の拡大断面図である。図9は、車両1及びマッドガード101の構成を示す図である。なお、図9における車両1は、図1の車両1と同じであり、図9におけるマッドガード101は、図5から図8におけるマッドガード101と同じである。
【0079】
図1に示すように、マッドガード101は、後輪4の上方に位置するようにリアフレーム13の下部に取り付けられて、車両1のナンバープレート111を支持する。
【0080】
詳しくは、図5から図7に示すように、マッドガード101は、板状の部材であり、取付部102と、連結部103と、支持部104とを有する。マッドガード101の外周部は、厚さ方向に屈曲している。すなわち、マッドガード101は、外周部に屈曲部105を有する。これにより、マッドガード101の剛性を向上することができる。
【0081】
取付部102は、リアフレーム13の下部に取り付けられたフェンダブラケット71にボルト等の締結部材によって固定される。取付部102は、上面視で矩形状である。
【0082】
連結部103は、取付部102と支持部104とを連結する。連結部103は、取付部102から後方且つ下方に向かって延びる。
【0083】
支持部104は、連結部103から下方に向かって延びる。支持部104は、ナンバープレート取付部104aと、照明装置取付部104bとを有する。ナンバープレート取付部104aには、車両1のナンバープレート111(図1参照)が取り付けられる。照明装置取付部104bには、ナンバープレート用照明及び方向指示器などの照明装置112(図1参照)が取り付けられる。なお、ナンバープレート111及び照明装置112は、マッドガード101に対してボルトなどの締結部材によって固定されている。
【0084】
図5から図7に示すように、取付部102、連結部103及び支持部104は、それぞれ板状であるとともに、一体形成されている。取付部102が車体(リアフレーム13)に固定される基端部である、連結部103は、取付部102から車体の外方に向かって延びている支持部104と連結する。支持部104の先端部104cは、自由端である。
【0085】
上述の構成により、マッドガード101は、リアフレーム13に対し、取付部(基端部)102が固定され、車体の外方(後方)に向かって、連結部103と支持部104が延びる。連結部103と支持部104とが本体部を構成する。そして、支持部104の先端部104cが自由端となる。また、マッドガード101は、ナンバープレート111及び照明装置112などの部品が支持部104に取り付けられている。
【0086】
図7に示すように、マッドガード101は、厚みが大きい部分と、厚みが小さい部分とを有する。すなわち、マッドガード101において、取付部102の厚みt1は、連結部103及びナンバープレート取付部104aの厚みt2,t3よりも大きい。また、支持部104において、照明装置112が取り付けられる照明装置取付部104bの厚みt4は、ナンバープレート111が取り付けられるナンバープレート取付部104aの厚みt3よりも大きい。
【0087】
後述するように、マッドガード101の樹脂発泡層101bの厚みが部位によって違うことにより、マッドガード101の厚みも部位によって違っている。これにより、車両1で発生した振動がマッドガード101に入力された場合に、マッドガード101で振動を効果的に減衰させることができる。
【0088】
図8に、図7におけるマッドガード101のX-X部分の拡大断面図を示す。図8に示すように、本実施形態では、マッドガード101は、部位によって厚みが相対的に大きい部分と小さい部分とを含む樹脂発泡層101bと、樹脂発泡層101bの表面101b1に接触し、樹脂が炭素繊維によって強化された炭素繊維強化樹脂を含む第1の炭素繊維強化樹脂層(第1の繊維強化樹脂層)101a1と、樹脂発泡層101bの裏面101b2に接触し、樹脂が炭素繊維によって強化された炭素繊維強化樹脂を含む第2の炭素繊維強化樹脂層(第2の繊維強化樹脂)101a2とを有する。第1の炭素繊維強化樹脂層101a1と第2の炭素繊維強化樹脂層101a2と樹脂発泡層101bとは一体化されている。すなわち、樹脂発泡層101bの表面101b1に第1の炭素繊維強化樹脂層101a1が接触して配置され、樹脂発泡層101bの裏面101b2に第2の炭素繊維強化樹脂層101a2が接触して配置される。
【0089】
前記樹脂発泡層101bは、厚みが大きい部分と小さい部分とを有する。この厚みが大きい部分と小さい部分に連なり、樹脂発泡層101bに接触して設けられている第2の炭素繊維強化樹脂層101a2は、段差部106が形成される。すなわち、第2の炭素繊維強化樹脂層101a2は、樹脂発泡層101bの厚みが大きい部分と樹脂発泡層101bの厚みが小さい部分との間に、樹脂発泡層101bと接触する段差部106が形成されることになる。この段差部106を有することにより、第1の炭素繊維強化樹脂層101a1と第2の炭素繊維強化樹脂層101a2と樹脂発泡層101bとが一体化された部材は、剛性を向上させることができる。なお、本実施形態では、段差部106は、第2の炭素繊維強化樹脂層101a2に形成されているが、第1の炭素繊維強化樹脂層101a1に形成されてもよいし、または、第1の炭素繊維強化樹脂層101a1及び第2の炭素繊維強化樹脂層101a2の両方に形成してもよい。
【0090】
なお、前記樹脂は、例えば、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイドなどの熱可塑型樹脂、または、エポキシ樹脂、ビニルエステル、フェノール樹脂などの熱硬化型樹脂が好ましい。
【0091】
また、前記炭素繊維は、繊維同士が編まれていてもよいし、編まれていない状態であってもよい。また、前記炭素繊維は、所定長さ(例えば1mm)以上、連続した繊維であってもよいし、不連続繊維であってもよい。前記炭素繊維として、連続した繊維及び不連続繊維を用いてもよい。
【0092】
樹脂発泡層101bを構成する樹脂は、例えば、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの樹脂が好ましい。なお、炭素繊維強化樹脂層101a1、101a2が熱硬化型樹脂を含んでいる場合には、樹脂発泡層101bも熱硬化型樹脂によって構成されることが好ましい。
【0093】
マッドガード101は、第1の炭素繊維強化樹脂層101a1と第2の炭素繊維強化樹脂層101a2及びそれらの間に位置する樹脂発泡層101bを含む平板を、成形型によって加熱しながら成形することにより、得られる。すなわち、マッドガード101は、前記成形型によって前記平板を厚み方向に曲げることにより成形される。そして、マッドガード101の外周部は、表面から裏面に向かって厚さ方向に略直角に屈曲しているので、第1の炭素繊維強化樹脂層101a1と第2の炭素繊維強化樹脂層101a2の少なくとも一方は屈曲部105が形成されることになる。このため、マッドガード101の剛性をさらに向上することができる。
【0094】
また、マッドガード101において、厚みが小さい部分は、厚みが大きい部分に比べて厚み方向により圧縮されることにより、形成される。マッドガード101における厚みの違いは、樹脂発泡層101bの厚みを変化させることによって実現される。よって、上述のように部位によって厚みが異なるマッドガード101を容易に形成することができる。
【0095】
マッドガード101を上述の平板から形成することにより、マッドガード101において振動抑制効果が得られる。すなわち、マッドガード101が上述のように一対の炭素繊維強化樹脂層101a及び樹脂発泡層101bを有することにより、振動を抑制する効果が得られる。
【0096】
以上のように、本実施形態では、マッドガード101は、第1の炭素繊維強化樹脂層101a1と第2の炭素繊維強化樹脂層101a2と、それらの間に位置する樹脂発泡層101bとを含んで一体形成されることにより、軽量化を図れるとともに、強度と剛性を確保することができる。特に、マッドガード101の表面に繊維強化樹脂層が位置することにより、マッドガード101に曲げ方向の力が加わった場合でも、マッドガード101の強度を確保することができる。
【0097】
しかも、樹脂発泡層101bが、車両1で発生する振動を低減するように、厚みが相対的に大きい部分と小さい部分とを含むことにより、車両1で発生する振動を低減できる。
【0098】
従って、上述の構成により、軽量化しつつ強度と剛性を確保するとともに、振動低減効果も得られるマッドガード101が得られる。
【0099】
本実施形態のマッドガード101は、面状の構造体である。これにより、第1の炭素繊維強化樹脂層101a1と第2の炭素繊維強化樹脂層101a2とそれらの間に位置する樹脂発泡層101bとを含む平板を成形することにより、マッドガード101が得られる。よって、軽量化しつつ剛性を確保するとともに、振動低減効果も得られるマッドガード101を、容易に得ることができる。
【0100】
また、本実施形態では、炭素繊維強化樹脂層101aに含まれる繊維強化樹脂は、樹脂が炭素繊維によって強化された炭素繊維強化樹脂である。これにより、マッドガード101の軽量化を図りつつ剛性を向上することができる。
【0101】
さらに、本実施形態では、マッドガード101は、車両1の車体2に片持ち状態で取り付けられる。このように、片持ち状態で取り付けられる部品は、車両1で生じる振動の影響を受けやすい。これに対し、マッドガード101を上述のような構成にすることで、振動を効果的に抑制することができる。
【0102】
また、本実施形態では、マッドガード101は、車両1の車体2に対してナンバープレート111及び照明装置112などの部品を支持する支持部104を有する。このように、部品を支持する支持部104は、車両1で生じる振動の影響を受けやすい。これに対し、マッドガード101を上述のような構成にすることで、振動を効果的に抑制することができる。
【0103】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0104】
前記実施形態では、マッドガード101は、炭素繊維によって樹脂が強化された炭素繊維強化樹脂を含む第1の炭素繊維強化樹脂層101a1と第2の炭素繊維強化樹脂層101a2を有する。しかしながら、マッドガードは、炭素繊維以外の繊維(例えば、アラミド繊維、ポリエチレン繊維、ガラス繊維など)によって樹脂が強化された繊維強化樹脂を含む繊維強化樹脂層を有してもよい。また、前記実施形態では、マッドガード101は、エポキシ樹脂、ビニルエステル、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイドなどの樹脂によって構成されている。樹脂は、繊維によって強化可能な樹脂であれば、他の種類の樹脂であってもよい。
【0105】
前記実施形態では、マッドガード101が、第1の炭素繊維強化樹脂層101a1と第2の炭素繊維強化樹脂層101a2と、それらの間に位置する樹脂発泡層101bとを有する。しかしながら、ハンドル6、フットレストブラケット41、ヒールガード43、トップブリッジ62、アンダーブラケット61、メインフレーム12、リアアーム14、メータステー81及びミラー91の少なくとも一つが、第1の炭素繊維強化樹脂層と第2の炭素繊維強化樹脂層と、それらの間に位置する樹脂発泡層とを有する車両用外装樹脂部品としてもよい。
【0106】
すなわち、車両1において、面状の構造体である部品を、一対の炭素繊維強化樹脂層と、それらの間に位置する樹脂発泡層とを有する材料を用いて形成してもよい。また、車両の車体に対して部品を支持する支持部品に、上述の構成を適用してもよい。さらに、車両の車体に対して片持ち状態で支持される部品に、上述の構成を適用してもよい。
【0107】
前記実施形態では、リアフレーム13は、車体カバー5によって覆われている。しかしながら、リアフレームは、車体カバー5から露出していてもよい。例えば、図10に示すように、リアフレーム113は、車両1aを左右方向に見て一部が露出していてもよい。リアフレーム113が繊維強化樹脂で構成されている場合、リアフレーム113は本発明における車両用外装樹脂部品である。車体2aは、メインフレーム120とリアフレーム113を有する。リアフレーム113は、メインフレーム120にリアフレーム113の前部(基端部)がボルトなどの締結部材によって接続されている。リアフレーム113は、基端部から車体2の後方に向かって後部(先端部)が自由端となっている。
【0108】
前記実施形態では、車両1の例として自動2輪車を説明したが、車両1は3輪車または4輪車など、乗員が跨いだ状態で乗車する車両(鞍乗型車両)であれば、どのような構成の車両であってもよい。
【0109】
さらに、本発明の構成は、鞍乗型車両以外の車両の外装樹脂部品にも適用できる。例えば、ゴルフカートなどの天井部分の外装部品、小型車両の天井及びドアなどの車両用外装樹脂部品等にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、車両の外装樹脂部品に適用可能である。
【符号の説明】
【0111】
1、1a 車両
2、2a 車体
3 前輪
4 後輪
5 車体カバー
6 ハンドル
7 シート
8 パワーユニット
9 フロントフォーク
10 フレーム
11 ヘッドパイプ
12、120 メインフレーム
13、113 リアフレーム
14 リアアーム
41 フットレストブラケット
42 フットレスト
43 ヒールガード
61 アンダーブラケット
62 トップブリッジ
71 フェンダブラケット
81 メータステー
91 ミラー
101 マッドガード
101a1 第1の炭素繊維強化樹脂層(第1の繊維強化樹脂層)
101a2 第2の炭素繊維強化樹脂層(第2の繊維強化樹脂層)
101b 樹脂発泡層
102 取付部
103 連結部
104 支持部
104a ナンバープレート取付部
104b 照明装置取付部
105 屈曲部
106 段差部
111 ナンバープレート(部品)
112 照明装置(部品)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10