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特許7118967熱交換器およびそれを使用する熱交換方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】熱交換器およびそれを使用する熱交換方法
(51)【国際特許分類】
   F28D 20/00 20060101AFI20220808BHJP
【FI】
F28D20/00 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019531437
(86)(22)【出願日】2017-12-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-06
(86)【国際出願番号】 EP2017083616
(87)【国際公開番号】W WO2018114993
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-12-14
(31)【優先権主張番号】16306762.2
(32)【優先日】2016-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591036572
【氏名又は名称】レール・リキード-ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ブノワ・グランド
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・レクート
(72)【発明者】
【氏名】レミ・ツィーアヴァ
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-077680(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2010/0081103(US,A1)
【文献】特開昭59-145490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の熱交換器(100)、第2の熱交換器(200)、第1のガス制御システム(300)、及び第2のガス制御システム(400)を備えた熱交換器システムであって、
前記第1の熱交換器(100)は、
・第1のガス入口(111)、第1のガス出口(112)、および前記第1のガス入口(111)から前記第1のガス出口(112)まで延びる第1のガス流路(110)、
・第2のガス入口(121)、第2のガス出口(122)、および前記第2のガス入口(121)から前記第2のガス出口(122)まで延びる第2のガス流路(120)を提供し、
前記第1のガス流路(110)はガス不透過性熱伝導障壁(130)によって前記第2のガス流路(120)と熱的に接触するが物理的に分離され、
・前記第1のガス流路(110)が、前記ガス不透過性熱伝導障壁(130)と物理的かつ熱伝導式に接触する第1の蓄熱充填物(115)を含み、
・前記第2のガス流路(120)が、前記ガス不透過性熱伝導障壁(130)と物理的かつ熱伝導式に接触する第2の熱伝導性充填物(125)を含むものであり、
前記第2の熱交換器(200)は、
・第1のガス入口(211)、第1のガス出口(212)、および前記第1のガス入口(211)から前記第1のガス出口(212)まで延びる第1のガス流路(210)、
・第2のガス入口(221)、第2のガス出口(222)、および前記第2のガス入口(221)から前記第2のガス出口(222)まで延びる第2のガス流路(220)を提供し、
前記第1のガス流路(210)はガス不透過性熱伝導障壁(230)によって前記第2のガス流路(220)と熱的に接触するが物理的に分離され、
・前記第1のガス流路(210)が、前記ガス不透過性熱伝導障壁(230)と物理的かつ熱伝導式に接触する第1の蓄熱充填物(215)を含み、
・前記第2のガス流路(220)が、前記ガス不透過性熱伝導障壁(230)と物理的かつ熱伝導式に接触する第2の熱伝導性充填物(225)を含むものであり、
前記第1のガス制御システム(300)は、前記第1の熱交換器(100)の前記第1のガス入口(111)および前記第2の熱交換器(200)の前記第1のガス入口(211)へのガスの供給を制御するとともに、前記第1の熱交換器(100)の前記第2のガス入口(121)及び前記第2の熱交換器(200)の前記第2のガス入口(221)へのガスの供給を制御するか、または、前記第1の熱交換器(100)の前記第2のガス出口(122)および前記第2の熱交換器(200)の前記第2のガス出口(222)からのガスの排出を制御し、
前記第2のガス制御システム(400)は、前記第1の熱交換器(100)の前記第1のガス出口(112)および前記第2の熱交換器(200)の前記第1のガス出口(212)からのガスの排出を制御するとともに、前記第1の熱交換器(100)の前記第2のガス出口(122)および前記第2の熱交換器(200)の前記第2のガス出口(222)からのガスの排出を制御するか、または、前記第1の熱交換器(100)の前記第2のガス入口(121)および前記第2の熱交換器(200)の前記第2のガス入口(221)へのガスの供給を制御すること、を特徴とする熱交換器システム。
【請求項2】
前記第1の蓄熱充填物が少なくとも400J/(Kkg)、好ましくは少なくとも600J/(Kkg)の比熱容量を示す、請求項1に記載の熱交換器システム
【請求項3】
前記第2の熱伝導性充填物が1.0W/(mK)超、好ましくは少なくとも4.0W/(mK)、より好ましくは少なくとも10.0W/(mK)の熱伝導率を示す、請求項1または2に記載の熱交換器システム
【請求項4】
前記第1のガス流路が前記第2のガス流路を取り囲むか、前記第2のガス流路が前記第1のガス流路を取り囲むか、または前記第1および第2のガス流路がサンドイッチ構造で配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の熱交換器システム
【請求項5】
前記第1のガス入口(111、211)が燃焼室(10)の排気ガス出口に接続されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の熱交換器システム
【請求項6】
前記第2のガス入口(121、221)が気体燃料の供給源に接続され、前記第2のガス出口(122、222)が前記燃焼室(10)の燃料入口に接続される、請求項5に記載の熱交換器システム
【請求項7】
前記第2のガス入口(121、221)が気体燃焼酸化剤の供給源に接続され、前記第2のガス出口(122、222)が前記燃焼室(10)の酸化剤入口に接続されている、請求項5に記載の熱交換器システム
【請求項8】
前記気体燃焼酸化剤の供給源が、少なくとも80体積%、好ましくは少なくとも90体積%、より好ましくは少なくとも95体積%の酸素含有量を有する燃焼酸化剤の供給源である、請求項7に記載の熱交換器システム
【請求項9】
交換器(100、200)の運転方法であって、前記熱交換器(100、200)が、
・第1のガス入口(111、211)、第1のガス出口(112、212)、および前記第1のガス入口(111、211)から前記第1のガス出口(112、212)まで延びる第1のガス流路(110、210)、
・第2のガス入口(121、221)、第2のガス出口(122、222)、および前記第2のガス入口(121、221)から前記第2のガス出口(122、222)まで延びる第2のガス流路(120、220)を提供し、
前記第1のガス流路(110、210)はガス不透過性熱伝導障壁(130、230)によって前記第2のガス流路(120、220)と熱的に接触するが物理的に分離され、
前記第1のガス流路(110、210)は、前記障壁(130、230)と物理的かつ熱伝導式に接触する第1の蓄熱充填物(115、215)を含み、
前記第2のガス流路(120、220)は、前記障壁(130、230)と物理的かつ熱伝導式に接触する第2の熱伝導性充填物(125、225)を含む、方法において、前記熱交換器(100、200)が、
・高温ガス(11)が前記第1のガス入口(111、211)から前記第1のガス出口(112、212)まで前記第1のガス流路(110、210)に沿って流れ、それによって前記第1の蓄熱充填物(115、215)と接触してそれを加熱し、その間、ガスは前記第2のガス流路(120、220)に沿って流れない第1の運転段階と、
・加熱されるべきガス(31)が、前記第2のガス入口(121、221)から前記第2のガス出口(122、222)まで前記第2のガス流路(120、220)に沿って流れ、それによって前記第2の熱伝導性充填物(125、225)と接触してそれによって加熱され、その間、ガスは前記第1のガス流路(110、210)に沿って流れない第2の運転段階と、
の間で交互になる、運転方法。
【請求項10】
1および第2の熱交換器(100、200)によって、加熱されるべきガスを加熱する方法であって、各熱交換器(100、200)が、
・第1のガス入口(111、211)、第1のガス出口(112、212)、および前記第1のガス入口(111、211)から前記第1のガス出口(112、212)まで延びる第1のガス流路(110、210)、
・第2のガス入口(121、221)、第2のガス出口(122、222)、および前記第2のガス入口(121、221)から前記第2のガス出口(122、222)まで延びる第2のガス流路(120、220)を提供し、
前記第1のガス流路(110、210)はガス不透過性熱伝導障壁(130、230)によって前記第2のガス流路(120、220)と熱的に接触するが物理的に分離され、
前記第1のガス流路(110、210)は、前記障壁(130、230)と物理的かつ熱伝導式に接触する第1の蓄熱充填物(115、215)を含み、
前記第2のガス流路(120、220)は、前記障壁(130、230)と物理的かつ熱伝導式に接触する第2の熱伝導性充填物(125、225)を含む、方法において、
前記方法が第1および第2の運転段階の間で交互になり、ここで
・前記第1の運転段階の間:
i.高温ガス(11)が前記第1の熱交換器(100)の前記第1のガス流路(110)に沿って前記第1のガス入口(111)から前記第1のガス出口(112)に流れ、それによって前記第1の熱交換器(100)の前記第1の蓄熱充填物(115)と接触してそれを加熱し、その間、ガスは前記第1の熱交換器(100)の前記第2のガス流路(120)に沿って流れず、
ii.加熱されるべきガス(31)が、前記第2の熱交換器(200)の前記第2のガス流路(220)に沿って前記第2のガス入口(221)から前記第2のガス出口(222)へ流れ、それによって前記第2の熱交換器(200)の前記第2の熱伝導性充填物(225)と接触してそれによって加熱され、その間、ガスは前記第2の熱交換器(200)の前記第1のガス流路(210)に沿って流れず、
・前記第2の運転段階の間:
i.前記高温ガス(11)は、前記第2の熱交換器(200)の前記第1のガス流路(210)に沿って前記第1のガス入口(211)から前記第1のガス出口(212)に流れ、それによって前記第2の熱交換器(200)の前記第1の蓄熱充填物(215)と接触してそれを加熱し、その間、ガスは前記第2の熱交換器(200)の前記第2のガス流路(220)に沿って流れず、
ii.前記加熱されるべきガス(31)は、前記第1の熱交換器(100)の前記第2のガス流路(120)に沿って前記第2のガス入口(121)から前記第2のガス出口(122)に流れ、それによって前記第1の熱交換器(100)の前記第2の熱伝導性充填物(125)と接触しそれによって加熱され、その間、ガスは前記第1の熱交換器(100)の前記第1のガス流路(110)に沿って流れない、方法。
【請求項11】
前記第1および第2の熱交換器(100、200)が並流式熱交換器である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1および第2の熱交換器(100、200)が向流式熱交換器である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記高温ガス(11)が燃焼室(10)からの排気ガスである、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記加熱されるべきガス(31)が燃料または燃焼酸化剤であり、それらの第2のガス出口(122、222)を介して前記第1および第2の熱交換器(100、200)を出る前記加熱されたガスは前記燃焼室(10)に供給される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記燃焼室(10)が炉の燃焼室であり、前記炉は溶融炉、精製炉、複合溶融/精製炉、ボイラおよび焼却炉を含む群から好ましくは選択される、請求項13または14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は2つの流体間の熱交換に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に工業用燃焼プロセスの分野において、そして特に燃焼により加熱されるガラス溶融炉の分野において、燃焼排気ガス(ヒューム)から熱を回収することによってエネルギーを節約し、そして前記回収された熱を燃焼プロセスで使用される燃料および/または酸化剤ガスに移すことが知られている。
【0003】
第1の既知のエネルギー節約方法は、2段階式サイクル運転モードに従って直列に機能する一対の再生器の使用を意味する。各再生器は再生器チャンバを画定する。サイクルの第1段階の間、高温の排気ガスが再生器チャンバを通って流れ、その際に再生器チャンバを加熱する。サイクルの第2段階では、加熱されるべきガスが先に加熱された再生器チャンバを通って流れ、そのプロセスで加熱される。燃焼プロセスを通して、常に一方の再生器がサイクルの第2段階にありそして加熱されるべきガスを加熱し、そして他方が第1段階にありそして加熱されるように、一対の再生器の各再生器は交互になる。
【0004】
十分な熱回収能力を達成するために、再生器チャンバは再生器チャンバ内でガス通路または煙道を形成するように配置された充填物(例えば、レンガまたは小石の充填物)を含み、(a)第1段階では充填物とガス通路に沿って流れる高温排気ガスとの間の熱交換に、および(b)第2段階では充填物とガス通路に沿って流れる加熱されるべきガスとの間の熱交換に、最大限の充填物表面を利用できるようにする。
【0005】
再生器の重要な利点は、それらが燃焼ガスを非常に高い温度に加熱できることである。
【0006】
再生器の主な欠点は、排気ガスとも排気ガス中に存在しかつ充填物上に堆積する汚染物質とも接触してはならないガスの加熱にそれらが適していないことである。これは例えば、排気ガスが可燃性物質を含み、そして加熱されるべきガスが酸素に富む酸化剤である場合である。
【0007】
この問題は、一対の再生器の代わりにレキュペレータを使用することによって克服することができる。レキュペレータでは、高温の排気ガスは第1の流路に沿って連続的に流れ、加熱されるべきガスは第2の流路に沿って連続的に流れる。
【0008】
第1および第2の流路は、熱が高温排気ガスから加熱されるべきガスに伝達されるガス不透過性障壁によって物理的に分離されている。
【0009】
レキュペレータによる連続熱交換プロセスは一般に定常状態動作であり、それによって(a)第1の経路に沿って流れる高温排気ガスから抽出された熱と、(b)第2の流路に沿って流れる加熱されるべきガスによって吸収された熱と、の間で平衡が確立される。
【0010】
結果として、工業設備におけるレキュペレータによる熱回収の1つの大きな不都合は、ガスを加熱できる温度が、再生熱交換の場合よりも著しく低いことである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、再生および回復熱回収の上述の利点を組み合わせた熱交換システムを提供することである。
【0012】
本発明の特定の目的は、高温排気ガスともそれに由来する堆積物とも接触してはならない燃焼ガス(すなわち燃料および/または酸化剤)を、前記高温排気ガスおよびこれから回収された熱によって、これまで工業レベルで可能であった温度よりも高い温度まで加熱することを可能にすることである。
【0013】
それに対して、本発明は、第1の流路と別個の第2の流路とを提供する熱交換器を提案する。熱交換器は、熱交換器への第1のガス入口と、熱交換器からの第1のガス出口とを提供し、第1のガス流路は、第1のガス入口から第1のガス出口まで延びる。熱交換器は、同様に、熱交換器への第2のガス入口と、熱交換器からの第2のガス出口とを提供し、第2のガス流路は、第2のガス入口から第2のガス出口まで延びる。第1の流路は、ガス不透過性の熱伝導性障壁によって第2の流路から物理的に分離されている。前記ガス不透過性熱伝導性障壁は、熱が第1の流路から第2の流路に伝達されることを可能にしながら、第1の流路に沿って流れるガスが第2の流路に浸透できないことを保証し、およびその逆もまた同様である。
【0014】
上述のように、第2の流路は第2の流路から分離している。したがって、熱交換器の第1のガス入口、第2のガス入口、第1のガス出口および第2のガス出口もまた互いに異なる。
【0015】
本発明によれば、第1の流路は、障壁と物理的に接触する第1の充填物を含み、前記第1の充填物は、熱貯め充填物または熱溜め充填物としても知られる蓄熱充填物である。
【0016】
第2の流路は、障壁と物理的に接触する第2の充填物を含み、前記第2の充填物は熱伝導性充填物である。
【0017】
熱を効果的に吸収して蓄えるために、第1の熱回復充填物は十分な熱容量を示さなければならない。第1の充填物は、より特に有利には少なくとも400J/(Kkg)、好ましくは少なくとも600J/(Kkg)、より好ましくは少なくとも800J/(Kkg)、通常は1250J/(Kkg)以下の比熱容量を示す。第1の充填物のための適切な材料は、以下の材料:アルミナ(AL)、炭化ケイ素(SiC)およびコーディエライトのうちの1つまたは複数を含む電鋳セラミックおよびセラミックを含む。
【0018】
加熱されるべきガスを効果的に加熱するために、第2の熱伝導性充填物は十分な熱伝導率を有さなければならない。第2の充填物は、より特に有利には20℃で1.0W/(mK)超、好ましくは少なくとも4.0W/(mK)、より好ましくは少なくとも10.0W/(mK)、さらにより好ましくは少なくとも15.0W/(mK)の熱伝導率を示す。第2の充填物の材料の20℃での熱伝導率は、例えば30W/(mK)以下であり得る。第2の充填物のための適切な材料は、炭化ケイ素、アルミナ、コーディエライトおよび前記材料の組み合わせを含むセラミックを含む。
【0019】
第1および第2の充填物に使用される材料はさらに、第1および第2の流路に沿って流れるガスの性質(特に化学組成および汚染物質)、使用中に材料がさらされる温度および温度変動、材料の熱膨張等に応じて選択される。
【0020】
高い熱容量を有する材料はしばしば限られた熱伝導率を有することがあり、その逆もまた同様であることが理解されるであろう。しかしながら、高い熱容量は高い熱伝導率を排除するものではない。結果、第1の充填物の材料は第2の充填物の材料と異なり得るが、高熱容量で高熱伝導率の材料を選択することによって、同じ材料を第1の充填物および第2の充填物に使用することができる。
【0021】
一実施形態によれば、第1の充填物はルーズな充填物、すなわち第1の流路を画定する熱交換器の1つまたは複数の壁に取り付けられていない充填物である。あるいは、第1の充填物の全部または一部を、第1の流路を第2の流路から分離する熱伝導性障壁に取り付けることができる。
【0022】
第1の充填物の一部のみが障壁に取り付けられている場合、第1の充填物の残りの部分はルーズな充填物の形態である。
【0023】
同様に、第2の充填物はルーズな充填物、すなわち第2の流路を画定する熱交換器の1つまたは複数の壁に取り付けられていない充填物であり得る。あるいは、第2の充填物の全部または一部を、第2の流路を第1の流路から分離する熱伝導性障壁に取り付けることができる。第2の充填物の一部のみが障壁に取り付けられているとき、第2の充填物の残りの部分はルーズな充填物の形態である。
【0024】
充填物は、例えば、充填物を障壁にセメントで接合することによって障壁に取り付けることができる。しかしながら、本文脈において、「障壁に取り付けられた充填物」は、例えば鋳造または三次元印刷によって、「障壁と一体的に形成された充填物」を含む。
【0025】
非常に広範囲の充填物形状および充填物要素の互いに対する位置決め(例えば積み重ね)が当該技術分野において知られている。
【0026】
実際には、充填物の形状およびサイズ、互いに対するおよび流路の境界に対する流路内の充填物要素の位置などは、要求されるガス/充填物の熱交換面、材料の熱膨張、最大圧力降下、充填物のガス連行を回避する必要性、充填物の詰まりを回避する必要性などに基づいて選択される。
【0027】
第1の流路から第2の流路への効率的な熱伝達を提供するために、特に第2の流路の流れ断面と比較して、および好ましくは第1の流路の流れ断面に対しても、比較的大きな表面積を有する2つの流路間の熱伝導障壁を有することが有利である。いくつかの構成が可能である。第1の流路は、第2の流路を有利に囲むことができる。あるいは、第2の流路が第1の流路を囲んでもよい。別の可能性は、第1および第2の流路をサンドイッチ構造に配置することである。その場合、第1の流路が第2の流路の2つの分岐路の間に挟まれてもよく、第1の流路はガス不透過性熱伝導障壁によって第2の流路の2つの分岐路のそれぞれから分離される。あるいは、第2の流路が第1の流路の2つの分岐路の間に挟まれてもよく、第2の流路はガス不透過性熱伝導障壁によって第1の流路の2つの分岐路のそれぞれから分離される。そのようなサンドイッチ構造は、熱交換器内で繰り返されてもよく、その場合、熱交換器は、典型的には、交互になった第1の流路の分岐路と第2の流路の分岐路の連続を含み、ガス不透過性熱伝導膜が2つの連続する分岐路を分離する。
【0028】
本発明による熱交換器は、燃焼室からの排気ガスから熱を回収するために特に興味深い。その場合、第1のガス入口は燃焼室の排気ガス出口に接続されているので、燃焼室からの排気ガスは第1のガス入口を介して熱交換器に入り、第1の充填物を加熱しながら第1の流路に沿って流れ、その後、第1のガス出口を介して熱交換器を出ることができる。次に第1のガス出口は直接または間接的に煙道ガス煙突または排気筒に接続することができる。
【0029】
上述のように熱交換器が燃焼室からの排気ガスから熱を回収するために使用される場合、第2のガス入口は有利には気体燃料の供給源に接続され、第2のガス出口は燃焼室の燃料入口に接続され、その結果、燃料供給源からの気体燃料は、第2のガス入口を介して熱交換器に入り、第2の充填物と熱接触しながら第2の流路に沿って流れ、その後、第2のガス出口を介して熱交換器を出て、第2のガス出口から燃焼室の燃料入口へ流れ、燃焼室に噴射されるようにすることができる。燃料入口は、燃焼室の燃料ランスまたはバーナの燃料入口であり得る。燃焼室が複数の燃料入口を有する場合、第2のガス出口は燃焼室のいくつかの燃料入口に接続されてもよい。
【0030】
第2のガス入口は有利には気体燃焼酸化剤の供給源に接続され、第2のガス出口は燃焼室の酸化剤入口に接続され、その結果、酸化剤供給源からの気体酸化剤は第2のガス入口を介して熱交換器に入り、第2の充填物と熱接触しながら第2の流路に沿って流れ、その後、第2のガス出口を介して熱交換器を出て、第2のガス出口から燃焼室の酸化剤入口に流れ、燃焼室に噴射されるようにすることができる。酸化剤入口は、燃焼室の酸化剤ランスまたはバーナの酸化剤入口であり得る。
【0031】
燃焼室が複数の酸化剤入口を有する場合、第2のガス出口は燃焼室のいくつかの酸化剤入口に接続されてもよい。
【0032】
燃料供給源は、天然ガス、合成ガス、バイオガス、石油ガス、メタンまたは別の可燃性ガスの供給源とすることができる。本発明は、気体燃料が高炉ガスなどの低発熱量気体燃料であるときに特に有用である。本文脈において、「低発熱量気体燃料」は、15MJ/m未満、典型的には10MJ/m未満の発熱量を有する気体燃料である。
【0033】
酸化剤供給源は、送風機または空気圧縮機などの空気供給源とすることができる。好ましくは、酸化剤供給源は、80体積%~100体積%、好ましくは少なくとも90体積%、より好ましくは少なくとも95体積%の酸素含有量を有する燃焼酸化剤の供給源である。そのような酸化剤供給源の例は、空気分離装置(ASU)および液体酸素貯蔵器またはパイプラインである。
【0034】
有利な実施形態によれば、熱交換器は、2つの第2のガス入口と2つの第2のガス出口と、それぞれが第2の熱伝導性充填物を含む2つの第2のガス流路とを有する。2つの第2のガス流路のうちの一方は、2つの第2のガス入口のうちの一方から第2のガス出口のうちの一方に延び、2つの第2のガス流路のうちの他方は、2つの第2のガス入口のうちの他方から2つの第2のガス出口のうちの他方まで延びる。2つの第2のガス流路は互いに物理的に気密式に分離されている。両方の第2のガス流路はまた、ガス不透過性熱伝導障壁によって第1の流路から分離されている。次に、2つの第2の流路のうちの第1の流路に通じる第2のガス入口を気体燃料の供給源に接続できる一方で、前記第2の流路の端部の第2のガス出口が燃焼室の燃料入口に接続され、次に、他方の第2の流路に通じる第2のガス入口を気体酸化剤の供給源に接続できる一方で、前記「他方の第2の流路」の端部の第2のガス出口が燃焼室の酸化剤入口に接続される。
【0035】
運転中、本発明の熱交換器は第1および第2の運転段階の間で交互になる。第1の運転段階の間、高温ガスが第1のガス入口から第1のガス出口まで第1のガス流路に沿って流れ、それによって第1の蓄熱充填物と接触してこれを加熱し、この間、ガスは第2のガス流路に沿って流れない。第2の運転段階の間、加熱されるべきガスが第2のガス入口から第2のガス流路に沿って流れ、それによって第2の熱伝導性充填物と接触しそれによって加熱され、その後、加熱されたガスとして熱交換器の第2のガス出口を介して熱交換器を出て、この間、ガスは第1のガス流路に沿って流れない。
【0036】
本発明の熱交換器は、並流式熱交換器または向流式熱交換器であり得る。
【0037】
本発明の熱交換器は典型的には対になって運転される。
【0038】
したがって、本発明は、上述した本発明の実施形態のうちのいずれか1つによる第1および第2の熱交換器によって加熱されるべきガスを加熱する方法を含む。前記方法は、第1および第2の運転段階の間で交互になる。
【0039】
第1の運転段階の間:
・高温ガスが第1の熱交換器の第1のガス流路に沿って第1のガス入口から第1のガス出口に流れ、それによって第1の熱交換器の第1の蓄熱充填物と接触してそれを加熱し、その間、ガスは第1の熱交換器の第2のガス流路に沿って流れず、
・加熱されるべきガスが、第2の熱交換器の第2のガス流路に沿って第2のガス入口から流れ、それによって第2の熱交換器の第2の熱伝導性充填物と接触してそれによって加熱され、その後、加熱されたガスとして第2の熱交換器の第2の出口を介して第2の熱交換器を出て、その間、ガスは第2の熱交換器の第1のガス流路に沿って流れない。
【0040】
第2の運転段階の間:
・高温ガスは、第2の熱交換器の第1のガス流路に沿って第1のガス入口から第1のガス出口に流れ、それによって第2の熱交換器の第1の蓄熱充填物と接触してそれを加熱し、その間、ガスは第2の熱交換器の第2のガス流路に沿って流れず、
・加熱されるべきガスは、第1の熱交換器の第2のガス流路に沿って第2のガス入口から第2のガス出口に流れ、それによって第1の熱交換器の第2の熱伝導性充填物と接触しそれによって加熱され、その後、加熱されたガスとして第1の熱交換器の第2のガス出口を介して第1の熱交換器を出て、その間、ガスは第1の熱交換器の第1のガス流路に沿って流れない。
【0041】
既に上で説明したように、加熱されるべきガスは気体燃料または気体燃焼酸化剤であり得、加熱されたガスは燃焼室のガス入口を介して燃焼室に供給される。
【0042】
このような場合、高温ガスは燃焼室からの高温排気ガスであることが有利であるが、燃焼室からの排気ガスを用いて燃焼室内で使用される酸化剤の燃料以外のガスを加熱することもできる。
【0043】
燃焼室は、炉、特に溶融炉、精製炉、複合溶融/精製炉、ボイラおよび廃棄物焼却炉などの焼却炉の中から選択される炉の燃焼室であり得る。溶融、精製または溶融/精製炉は金属またはガラス炉であり得る。
【0044】
先に示したように、加熱されるべきガスは気体燃料、好ましくは天然ガス、合成ガス、バイオガス、石油ガス、メタン、低発熱量気体燃料または別の可燃性ガスを含む群から選択される気体燃料であり得る。
【0045】
同じく先に示したように、加熱されるべきガスは、80体積%~100体積%、好ましくは少なくとも90体積%、より好ましくは少なくとも95体積%の酸素含有量を有する気体燃焼酸化剤でもあり得る。
【0046】
本発明およびその利点は、図1~4を参照して以下の実施例においてさらに詳細に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】本発明による並流式熱交換器の対の2つの運転段階を概略的に示す。
図2】本発明による並流式熱交換器の対の2つの運転段階を概略的に示す。
図3】本発明による向流式熱交換器の対の2つの運転段階を概略的に示す。
図4】本発明による向流式熱交換器の対の2つの運転段階を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
対は、第1の熱交換器100と第2の熱交換器200とを含む。
【0049】
各熱交換器100、200は、それぞれ、第1のガス入口111と第1のガス出口112との間の延びる第1のガス流路110、および第1のガス入口211と第1のガス出口212との間に延びる第1のガス流路210を提供する。
【0050】
各熱交換器100、200はまた、それぞれ、第2のガス入口121と第2のガス出口122との間に延びる第2の流路120、および第2のガス入口221と第2のガス出口222との間に延びる第2の流路220を提供する。
【0051】
第1の流路110、210はそれぞれ第2の流路120、220を囲み、2つの流路はそれぞれガス不透過性の熱伝導壁または障壁130、230によって物理的に分離されている。
【0052】
第1の流路110、210はそれぞれ第1の蓄熱充填物115、215を含み、これらはそれぞれ障壁130、230と物理的かつ熱伝導的に接触している。
【0053】
第2の流路120、220はそれぞれ第2の熱伝導性充填物125、225を含む。それらはそれぞれ障壁130、230と物理的かつ熱伝導的に接触している。
【0054】
2つのガス制御システム300、400は、ガス入口111、121、211、221へのガスの供給、および第1および第2の熱交換器100、200のガス出口112、122、212、222からのガスの排出を制御する。
【0055】
前述のように、図1および2は、本発明の一対の並流式熱交換器の機能を示す。
【0056】
図1に示す第1の運転段階中、ガス弁311aおよび412aは開放されているので、高温ガス11、例えば燃焼室10からの高温排気ガスの流れが、第1のガス入口111を経由して第1の熱交換器100に入り、第1のガス入口111から、第1のガス流路110に沿って第1の熱交換器100の第1のガス出口112まで(図1の下から上へ)流れることができる。第1の流路110に沿って、高温排気ガス11は、アルミナなどの蓄熱材料から作られる第1の充填物115と物理的かつ熱的に接触する。高温排気ガス11中に存在する熱の一部は、第1の充填物115によって吸収され、保持され、そして蓄積される。したがって、第1の充填物115は、排気ガス11が第1のガス流路110に沿って流れるときに排気ガス11によって加熱される。弁412aの下流で、冷却された排気ガスは煙道ガス排気筒20に送られる。第1の充填物115と障壁130との間および障壁130と第2の充填物125との間の物理的および熱的接触のために、障壁130および第2の充填物125の温度もまた上昇する。第1の運転段階の間、弁321aおよび422aは閉鎖されているので、この段階では第2のガス流路120に沿ってガスは流れず、したがって第2の充填物125の冷却は行われない。
【0057】
同時に、前記第1の運転段階の間、ガス弁311bおよび412bは閉鎖されているので、第2の熱交換器200の第1のガス流路210に沿ってガスは流れない。しかしながら、弁321bおよび422bは開放されているので、燃焼酸化剤の供給源30、例えば液体酸素の貯蔵部によって供給される加熱されるべきガス31、例えば燃焼酸化剤は、その第2のガス入口221を介して第2の熱交換器200に入り、第2の流路220に沿って第2のガス出口222へと流れる(図1の下から上へ)。第2の運転段階の間の第1の熱交換器100に関して以下に説明されるように、加熱されるべきガス31が第2の流路220に沿って流れるにつれて、それは第2の充填物225と接触し、それによって加熱される。加熱されたガスは、その第2のガス出口222を介して第2の熱交換器200を出る。
【0058】
図示の実施形態では、加熱された酸化剤は、次いで、高温排気ガスを発生させる燃焼室10の燃焼酸化剤入口、例えば前記燃焼室10のバーナ(図示せず)の酸化剤入口に供給される。
【0059】
図2に示される第2の運転段階の間、ガス弁311aおよび412aは閉鎖されているので、第1の熱交換器100の第1のガス流路110に沿ってガスは流れない。したがって、前記第2の段階の間、燃焼室10からの高温排気ガス11は第1の熱交換器100の第1のガス入口111には送られず、代わりに開放弁311bを介して第2の熱交換器200の第1のガス入口211に送られ、そこから第1のガス流路210に沿って(図2の下から上へ)流れ、第1のガス出口212を経由して第2の熱交換器200を出る。その間、高温排気ガス11は、第2の熱交換器200の第1の充填物215を加熱する。開放弁412bの下流で、冷却された排気ガスが煙道ガス排気筒20に送られる。同時に、第1の段階の間に第2の熱交換器200の第2の流路220に送られた加熱されるべきガス31は、第1の熱交換器100の第2のガス入口121に送られる。それに対し、弁321bおよび422bは閉鎖され、弁321aおよび422aは開放される。このようにして、加熱されるべきガスは、第2のガス入口121から第2のガス流路120に沿って第1の熱交換器100の第2のガス出口122に流れる(図2の下から上へ)。第2のガス流路120に沿って、加熱されるべきガスは、障壁130と物理的および熱的に接触し、かつアルミナでもあり得る熱伝導性材料からなる第2の充填物125と接触する。このプロセス中、第1の段階の間に第1の充填物115によって吸収された熱は、第1の充填物115から障壁130を横切って第2の充填物125へ、そして第2の充填物125および障壁130から、第2の充填物125および障壁130と接触する加熱されるべきガス31へと移動する。このように加熱された後、ガスは、その第2のガス出口122を通って第1の熱交換器100を離れた後、燃焼酸化剤として燃焼室10に送られる。その間、第1の充填物115は徐々に冷却される。
【0060】
したがって、第2の段階の間、第1の熱交換器100は第2の熱交換器が第1の段階の間に運転するように運転し、第2の熱交換器200は第1の熱交換器100が第1の段階の間に運転するように第2の段階で運転する。
【0061】
第2の段階の終了時に、設備は第1の段階の運転に戻る。
【0062】
図3および4は、第1および第2の熱交換器100、200が向流式熱交換器である本発明の代替実施形態を示す。
【0063】
図3に示す第1の運転段階の間、ガス弁311aおよび412aは開放されているので、高温ガス11、例えば燃焼室10からの高温排気ガスの流れは、第1のガス入口111を介して第1の熱交換器100に入り、次いで第1のガス流路110に沿って第1の熱交換器100の第1のガス出口112へ、図1に関して既に記載したように流れることができる。弁421aおよび322aは閉鎖されているので、この段階でガスは第1の熱交換器100の第2のガス流路120に沿って流れない。ガス弁311bおよび412bは閉鎖されているので、ガスは第2の熱交換器200の第1のガス流路210に沿って流れない。しかしながら弁421bおよび322bは開放されているので、加熱されるべきガス31、この場合供給源30によって供給される燃焼酸化剤は、その第2のガス入口221を介して第2の熱交換器200に入り、第2の流路220に沿って第2のガス出口222へと流れる(図3の上から下へ)。
【0064】
図4に示す第2の運転段階の間、ガス弁311aおよび412aは閉鎖されているので、第1の熱交換器100の第1のガス流路110に沿ってガスは流れず、弁421aおよび322aは開放されているので、加熱されるべきガスは第1の熱交換器100の第2の流路120に沿って(図4の上から下へ)流れる間に加熱される。その間、弁311bおよび412bは開放され、弁421bおよび322bは閉鎖されるので、高温排気ガス11は第2の熱交換器200の第1の流路210に沿って流れ、一方でガスは前記第2の熱交換器200の第2の流路220に沿って流れない。
【0065】
図1および2に示す実施形態と図3および4に示す実施形態との間の本質的な違いは、第1の実施形態によれば、高温ガス11および加熱されるべきガス31は、第1および第2の熱交換器100、200を、同じ流れ方向において、それぞれ第1の流路110、210および第2の流路120、220に沿って横切る一方、第2の実施形態によれば、高温ガス11および加熱されるべきガス31は、第1および第2の熱交換器100、200を、対向する流れ方向において、それぞれ第1の流路110、210および第2の流路120、220に沿って横切ることである。
【0066】
したがって、本発明は、再生および回復熱交換の前述の利点、すなわち、高温ガスからの高レベルの熱エネルギーの回収と、回収された熱エネルギーによる加熱されるべきガスの高温への加熱とを組み合わせ、この間、高温ガスと加熱されるべきガスとの間のすべての接触を回避することを可能にする。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] ・第1のガス入口(111、211)、第1のガス出口(121、221)、および前記第1のガス入口(111、211)から前記第1のガス出口(112、212)まで延びる第1のガス流路(110、210)、
・第2のガス入口(121、221)、第2のガス出口(122、222)、および前記第2のガス入口(121、221)から前記第2のガス出口(122、222)まで延びる第2のガス流路(120、220)を提供し、
前記第1の流路(110、210)はガス不透過性熱伝導障壁(130、230)によって前記第2のガス流路(120、220)と熱的に接触するが物理的に分離される、熱交換器(100、200)において、
・前記第1の流路(110、210)が、前記障壁(130、230)と物理的かつ熱伝導式に接触する第1の蓄熱充填物(115、215)を含むこと、および
・前記第2のガス流路(120、220)が、前記障壁(130、230)と物理的かつ熱伝導式に接触する第2の熱伝導性充填物(125、225)を含むこと
を特徴とする熱交換器(100、200)。
[2] 前記第1の充填物が少なくとも400J/(K kg)、好ましくは少なくとも600J/(K kg)の比熱容量を示す、[1]に記載の熱交換器(100、200)。
[3] 前記第2の充填物が1.0W/(m K)超、好ましくは少なくとも4.0W/(m K)、より好ましくは少なくとも10.0W/(m K)の熱伝導率を示す、[1]または[2]に記載の熱交換器(100、200)。
[4] 前記第1の流路が前記第2の流路を取り囲む、前記第2の流路が前記第1の流路を取り囲む、または前記第1および第2の流路がサンドイッチ構造で配置される、[1]~[3]のいずれか一項に記載の熱交換器(100、200)。
[5] 前記第1のガス入口(111、211)が燃焼室(10)の排気ガス出口に接続される、[1]~[4]のいずれか一項に記載の熱交換器(100、200)。
[6] 前記第2のガス入口(121、221)が気体燃料の供給源に接続され、前記第2のガス出口(122、222)が前記燃焼室(10)の燃料入口に接続される、[5]に記載の熱交換器(100、200)。
[7] 前記第2のガス入口(121、221)が気体燃焼酸化剤の供給源に接続され、前記第2のガス出口(122、222)が前記燃焼室(10)の酸化剤入口に接続される、[5]に記載の熱交換器(100、200)。
[8] 前記気体燃焼酸化剤の供給源が、少なくとも80体積%、好ましくは少なくとも90体積%、より好ましくは少なくとも95体積%の酸素含有量を有する燃焼酸化剤の供給源である、[7]に記載の熱交換器(100、200)。
[9] [1]~[4]のいずれか一項に記載の熱交換器(100、200)の運転方法であって、前記熱交換器(100、200)が、
・高温ガス(11)が前記第1のガス入口(111、211)から前記第1のガス出口(112、212)まで前記第1のガス流路(110、210)に沿って流れ、それによって前記第1の蓄熱充填物(115、215)と接触してそれを加熱し、その間、ガスは前記第2のガス流路(120、220)に沿って流れない第1の運転段階と、
・加熱されるべきガス(31)が、前記第2のガス入口(121、221)から前記第2の出口(122、222)まで前記第2のガス流路(120、220)に沿って流れ、それによって前記第2の熱伝導性充填物(125、225)と接触してそれによって加熱され、その間、ガスは前記第1のガス流路(110、210)に沿って流れない第2の運転段階と
の間で交互になる、方法。
[10] [1]~[4]のいずれか一項に記載の第1および第2の熱交換器(100、200)によって、加熱されるべきガスを加熱する方法であって、前記方法は、第1および第2の運転段階の間で交互になり、それによって、
・前記第1の運転段階の間:
i.高温ガス(11)が前記第1の熱交換器(100)の前記第1のガス流路(110)に沿って前記第1のガス入口(111)から前記第1のガス出口(112)に流れ、それによって前記第1の熱交換器(100)の前記第1の蓄熱充填物(115)と接触してそれを加熱し、その間、ガスは前記第1の熱交換器(100)の前記第2のガス流路(120)に沿って流れず、
ii.加熱されるべきガス(31)が、前記第2の熱交換器(200)の前記第2のガス流路(220)に沿って前記第2のガス入口(221)から前記第2のガス出口(222)へ流れ、それによって前記第2の熱交換器(200)の前記第2の熱伝導性充填物(225)と接触してそれによって加熱され、その間、ガスは前記第2の熱交換器(200)の前記第1のガス流路(210)に沿って流れず、
・前記第2の運転段階の間:
i.前記高温ガス(11)は、前記第2の熱交換器(200)の前記第1のガス流路(210)に沿って前記第1のガス入口(211)から前記第1のガス出口(212)に流れ、それによって前記第2の熱交換器(200)の前記第1の蓄熱充填物(215)と接触してそれを加熱し、その間、ガスは前記第2の熱交換器(200)の前記第2のガス流路(220)に沿って流れず、
ii.前記加熱されるべきガス(31)は、前記第1の熱交換器(100)の前記第2のガス流路(120)に沿って前記第2のガス入口(121)から前記第2のガス出口(122)に流れ、それによって前記第1の熱交換器(100)の前記第2の熱伝導性充填物(125)と接触しそれによって加熱され、その間、ガスは前記第1の熱交換器(100)の前記第1のガス流路(110)に沿って流れない、方法。
[11] 前記第1および第2の熱交換器(100、200)が並流式熱交換器である、[10]に記載の方法。
[12] 前記第1および第2の熱交換器(100、200)が向流式熱交換器である、[10]に記載の方法。
[13] 前記高温ガス(11)が燃焼室(10)からの排気ガスである、[10]~[12]のいずれか一項に記載の方法。
[14] 前記加熱されるべきガス(31)が燃料または燃焼酸化剤であり、それらの第2のガス出口(122、222)を介して前記第1および第2の熱交換器(100、200)を出る前記加熱されたガスは前記燃焼室(10)に供給される、[13]に記載の方法。
[15] 前記燃焼室(10)が炉の燃焼室であり、前記炉は溶融炉、精製炉、複合溶融/精製炉、ボイラおよび焼却炉を含む群から好ましくは選択される、[13]または[14]に記載の方法。
図1
図2
図3
図4