(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】マルチビーム画像形成システムを用いて基板表面の画像を形成する方法、及び、多数の電子ビームレットを用いて基板表面の画像を形成するためのシステム
(51)【国際特許分類】
H01J 37/28 20060101AFI20220808BHJP
H01J 37/09 20060101ALI20220808BHJP
H01J 37/153 20060101ALI20220808BHJP
H01J 37/244 20060101ALI20220808BHJP
H01J 37/29 20060101ALI20220808BHJP
H01J 37/05 20060101ALI20220808BHJP
H01J 37/147 20060101ALI20220808BHJP
H01J 37/145 20060101ALI20220808BHJP
H01J 37/141 20060101ALI20220808BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
H01J37/28 B
H01J37/09 A
H01J37/153 B
H01J37/244
H01J37/29
H01J37/05
H01J37/147 B
H01J37/145
H01J37/141 A
H01L21/66 J
(21)【出願番号】P 2019568586
(86)(22)【出願日】2018-02-28
(86)【国際出願番号】 US2018020217
(87)【国際公開番号】W WO2018160688
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2021-01-21
(32)【優先日】2017-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519316276
【氏名又は名称】ドンファン ジンギュアン エレクトロン リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】特許業務法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】ザオ、ヤン
(72)【発明者】
【氏名】サン、ウェイチィアン
(72)【発明者】
【氏名】フェン、タオ
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-016967(JP,A)
【文献】特開2000-133567(JP,A)
【文献】特表2006-521668(JP,A)
【文献】特開2008-078058(JP,A)
【文献】特開2012-230902(JP,A)
【文献】特開2014-013759(JP,A)
【文献】特開2014-229481(JP,A)
【文献】特表2014-526794(JP,A)
【文献】特開2016-197503(JP,A)
【文献】国際公開第2010/082451(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/28
H01J 37/09
H01J 37/153
H01J 37/244
H01J 37/29
H01J 37/05
H01J 37/147
H01J 37/145
H01J 37/141
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチビーム画像形成システムを用いて基板表面の画像を形成する方法であって、
前記マルチビーム画像形成システムは、基板を検査する際の動作モードとして、少なくとも連続スキャンモード及びステップ・アンド・スキャンモードを備え、
前記方法は、
多重極場デバイスを用いて電子ビームを修正し、
複数のアパーチャを有するビームスプリッティングデバイスを用いて前記電子ビームからビームレットを生成し、
表面への前記ビームレットの投影焦点に応じて、デフレクタセットを用いて前記ビームレットを駆動して、前記表面の領域をスキャンし、前記領域から散乱した電子に基づいた信号を受信し、
前記信号に基づいた検査のために、領域の画像を求める
ことを含
み、
前記電子ビームを修正するステップは、さらに、
前記ステップ・アンド・スキャンモードの間は断面が丸形の前記電子ビームを電子源から受信することと、
ビーム成形及びビーム収差補正のために前記多重極場デバイスを用いて、前記ステップ・アンド・スキャンモードの間は丸形である前記電子ビームの断面が、前記連続スキャンモードの間は楕円形になるように、前記電子ビームを修正することと、を含む
マルチビーム画像形成システムを用いて
基板表面の画像を形成する方法。
【請求項2】
前記ステップ・アンド・スキャンモード及び
前記連続スキャンモードの少なくとも1つでスキャニングするために、前記基板を動かす制御の可能な基板ステージに前記基板を配置し、
前記基板ステージを制御して前記ステップ・アンド・スキャンモードで動かすとき、前記基板ステージが静定したら、前記ビームレットを駆動して、前記領域をスキャンし、
前記基板ステージを制御して前記連続スキャンモードで動かすとき、前記基板ステージがステージ移動方向に一定の速度で動いたら、前記ビームレットを駆動して、前記領域をスキャンする、請求項1に記載の
マルチビーム画像形成システムを用いて基板表面の画像を形成する方法。
【請求項3】
前記一定の速度は、前記領域のサブ領域の寸法と、前記サブ領域のラインスキャンを実施する期間との比率に基づいて決定され、前記画像のピクセルは、前記サブ領域から散乱した電子に基づいて受信された信号から生成される、請求項2に記載の
マルチビーム画像形成システムを用いて基板表面の画像を形成する方法。
【請求項4】
前記画像の前記ピクセルは、複数のラインスキャンのうち1回のラインスキャンを実施するとき、前記サブ領域から散乱した電子に基づいて受信された信号の数を平均することにより生成された平均信号データから生成される、請求項3に記載の
マルチビーム画像形成システムを用いて基板表面の画像を形成する方法。
【請求項5】
前記基板ステージを制御して、前記連続スキャンモードで動かすとき、前記ビームレットを駆動して、前記ステージ移動方向に平行な方向と前記ステージ移動方向に垂直な方向のうち1つの方向に、ラインスキャンを実施する、請求項2に記載の
マルチビーム画像形成システムを用いて基板表面の画像を形成する方法。
【請求項6】
前記ビームレットを前記電子ビームから生成する前に、前記電子ビームを静電レンズを用いてコリメートすることをさらに含む、請求項1に記載の
マルチビーム画像形成システムを用いて基板表面の画像を形成する方法。
【請求項7】
前記ビームスプリッティングデバイスは、マルチアパーチャプレートを含み、前記マルチアパーチャプレートは、前記マルチアパーチャプレートの領域に配置された所定のセットのアパーチャを含み、前記マルチアパーチャプレートは、
シングルビーム・モードのための単一ビームレット、前記連続スキャンモードのための1次元ビームレット、前記ステップ・アンド・スキャンモードのための2次元ビームレットのうち1つを生成するための前記所定のセットのアパーチャ間で切り替え可能に構成されている、請求項1に記載の
マルチビーム画像形成システムを用いて基板表面の画像を形成する方法。
【請求項8】
基板を検査する際の動作モードとして、少なくとも連続スキャンモード及びステップ・アンド・スキャンモードを備える、多数の電子ビームレットを用いて基板表面の画像を形成するためのシステムであって、
電子ビームを生成するよう構成された電子源と、
第1の
プロファイルから第2の
プロファイルへの電子ビーム
を修正するよう構成され
、前記ステップ・アンド・スキャンモードの間は円形である前記電子ビームの断面が前記連続スキャンモードの間は楕円形になるように前記電子ビームを修正するように構成された、ビーム成形及びビーム収差補正のための第1の多重極場デバイスと、
電子ビームからビームレットを生成し、焦点を集めるよう構成された、複数のアパーチャを有するビームスプリッティングデバイスと、
ビームレットの投影焦点を、表面の領域に投影するよう構成された、少なくとも1つの投影レンズを含む、投影レンズセットと、
ビームレットを駆動して、領域をスキャンするよう構成された、少なくとも1つのデフレクタを含む、デフレクタセットと、
ビームレットを表面のビームスポットに焦点を集めるよう構成された、少なくとも1つの対物レンズを含む、対物レンズセットと、
領域から散乱された電子を受信して、信号を生成するよう構成された、少なくとも1つの検出器を含む、検出器アレイと、
領域から散乱した電子を、ビームレットの中心軸から外して、検出器セットに向けて偏向するよう構成された、電磁デフレクタを含む、第2の多重極場デバイスと、
プロセッサと、
プロセッサにより実行されると、プロセッサにより操作可能となる命令をストアして、信号に基づいた命令の領域の画像を求めるよう構成された、プロセッサに結合されたメモリとを含む、多数の電子ビームレットを用いて
基板表面の画像を形成するためのシステム。
【請求項9】
前記電子ビームをコリメートするよう構成された少なくとも1つの電極プレートを含む、前記ビームスプリッティングデバイスの上流の静電レンズと、
前記領域から散乱した前記電子をブロックするよう構成された、前記投影レンズ下流のアパーチャプレートと、
前記ステップ・アンド・スキャンモード及び
前記連続スキャンモードの少なくとも1つでスキャニングするために、前記基板を動かす制御の可能な、前記基板を配置するための基板ステージであって、
前記基板ステージを制御して前記ステップ・アンド・スキャンモードで動かすとき、前記基板ステージが静定したら、前記ビームレットを駆動して、前記領域をスキャンし、
前記基板ステージを制御して前記連続スキャンモードで動かすとき、前記基板ステージがステージ移動方向に一定の速度で動いたら、前記ビームレットを駆動して、前記領域をスキャンする、基板ステージと
前記電子源、前記静電レンズ、前記第2の多重極場デバイス、前記基板ステージ、前記検出器アレイ、前記プロセッサおよび前記メモリの少なくとも1つのパラメータを制御するための電子制御システムとをさらに含む、請求項
8に記載の
多数の電子ビームレットを用いて基板表面の画像を形成するためのシステム。
【請求項10】
前記ビームスプリッティングデバイスは、
マルチアパーチャプレートを含み、
前記マルチアパーチャプレートは、第1の層と、当該第1の層の下流の第2の層とを含み、
前記第1の層は、複数の第1のアパーチャを含
み、
前記複数の第1のアパーチャは、第1のサイズを有し、
前記第2の層は、複数の第2のアパーチャを含み、前記複数の第2のアパーチャは、各々が、前記第1のサイズより大きな第2のサイズ
群を有
し、前記複数の第1のアパーチャの1つの下流に並び、
前記複数の第2のアパーチャに含まれる第3のアパーチャと第4のアパーチャがあり、前記第3のアパーチャが第4のアパーチャより前記電子ビームの中心軸に近いとき
は、前記第3のアパーチャの
サイズは、前記第4のアパーチャのサイズより大きい、
請求項
8に記載の
多数の電子ビームレットを用いて基板表面の画像を形成するためのシステム。
【請求項11】
前記マルチアパーチャプレートは、当該マルチアパーチャプレートの
第1の領域に第1のアパーチャ列を
、当該マルチアパーチャプレートの第2の領域に第2のアパーチャ列を有し、
前記第1のアパーチャ列は、少なくとも、
前記連続スキャンモードのための1次元アパーチャ列と、
前記ステップ・アンド・スキャンモードのための2次元アパーチャ列と、
シングルビーム・モードのための単一アパーチャと、
を含み、
前記第2のアパーチャ列は、前記第1のアパーチャ列と異なり、
前記第1のアパーチャ列と前記第2のアパーチャ列は、前記電子ビームから前記ビームレットを生成するため交互に使用される、請求項
10に記載の
多数の電子ビームレットを用いて基板表面の画像を形成するためのシステム。
【請求項12】
前記マルチアパーチャプレートは、-20kV~20kVの電圧にバイアスをかける請求項
10に記載の
多数の電子ビームレットを用いて基板表面の画像を形成するためのシステム。
【請求項13】
前記マルチアパーチャプレートは、前記マルチアパーチャプレートの第1の領域に第1のアパーチャアレイを含み、前記第1のアパーチャアレイは、連続スキャンモードのアパーチャの一次元アレイ、ステップ・アンド・スキャンモードのアパーチャの二次元アレイ、及び単一ビームスキャンモードの単一アパーチャのうち少なくとも1つを含む、請求項
10に記載の
多数の電子ビームレットを用いて基板表面の画像を形成するためのシステム。
【請求項14】
前記マルチアパーチャプレートは、前記マルチアパーチャプレートの第2の領域に第2のアパーチャアレイをさらに含み、
前記第2のアパーチャアレイは、前記第1のアパーチャアレイとは異なり、
前記第1のアパーチャアレイと前記第2のアパーチャアレイは、前記電子ビームから前記ビームレットを生成するのに用いるのに切り替え可能である、請求項
13に記載の
多数の電子ビームレットを用いて基板表面の画像を形成するためのシステム。
【請求項15】
前記基板の表面と、前記対物レンズの電極間に電圧を印加して、前記領域から散乱した前記電子を抽出するための表面抽出場を生成し、前記表面抽出場の場の強さは、400V/mm~6000V/mmである、請求項
8に記載の
多数の電子ビームレットを用いて基板表面の画像を形成するためのシステム。
【請求項16】
前記対物レンズセットは、静電レンズ及び磁気レンズを含み、前記対物レンズセットの少なくとも1つの電極は、前記表面抽出場を制御するために、電圧にバイアスをかける、請求項
15に記載の
多数の電子ビームレットを用いて基板表面の画像を形成するためのシステム。
【請求項17】
前記第1の多重極場デバイスは、多極電場を生成可能なデバイス、多極磁場を生成可能なデバイス、及び多極電磁場を生成可能なデバイスのうち少なくとも1つを含み、前記第1の多重極場デバイスは、四重極レンズ、八重極レンズ及び六重極レンズのうち少なくとも1つの構成を有する、請求項
8に記載の
多数の電子ビームレットを用いて基板表面の画像を形成するためのシステム。
【請求項18】
前記デフレクタセットはウィーンフィルタを含み、前記第2の多重極場デバイスはウィーンフィルタを含む、請求項
8に記載の
多数の電子ビームレットを用いて基板表面の画像を形成するためのシステム。
【請求項19】
前記基板は、接地された磁気レンズ磁極片に対して、負の電圧にバイアスをかける、請求項
8に記載の
多数の電子ビームレットを用いて基板表面の画像を形成するためのシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2017年3月1日出願の米国仮出願第62/465,303号の優先権を主張する2018年1月16日出願の米国出願第15/872,570号の優先権を主張するものであり、内容を参照することにより組み込まれる。
【0002】
本開示は、半導体製造における電子ビーム画像形成の分野、特に、欠陥検査のためのマルチ電子ビーム画像形成に関する。
【背景技術】
【0003】
集積回路(IC)の製造は、一般的に基板と呼ばれるウェハ又はマスクで実施される多段階プロセスである。典型的に、複数のICが各ウェハに製造され、各ICの欠陥が検査される。欠陥検査は、ICを製造するプロセスの一工程である。検査システムが、製造プロセス中に生じる欠陥を検出する。これまで、ウェハ/マスク検査には、光学ウェハ/マスク検査システムが使われてきた。基板検査のための高解像度検査システムもある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
開示されているのは、マルチ電子ビーム(「マルチビーム」)画像形成のための方法、装置及びシステムの態様、特徴、要素及び実施形態である。
【0005】
一態様において、マルチビーム画像形成システムを用いて、基板の表面に画像形成する方法が開示されている。本方法は、多重極場デバイスを用いて、電子ビームを修正し、表面へのビームレットの投影焦点に応じて、複数のアパーチャを有するビームスプリッティングデバイスを用いて、電子ビームからビームレットを生成し、デフレクタセットを用いてビームレットを駆動して、表面の領域をスキャンし、領域から散乱した電子に基づいた信号を受信し、信号に基づいた検査のために、領域の画像を求めることを含む。
【0006】
他の態様において、多数の電子ビームレットを用いて、基板の表面に画像形成するシステムが開示されている。システムは、電子ビームを生成するよう構成された電子源と、
第1のプロフィールから第2のプロフィールへの電子ビームの断面を修正するよう構成された、ビーム成形及びビーム収差補正のための第1の多重極場デバイスと、
電子ビームからビームレットを生成し、焦点を集めるよう構成された、複数のアパーチャを有するビームスプリッティングデバイスと、
ビームレットの投影焦点を、表面の領域に投影するよう構成された、少なくとも1つの投影レンズを含む、投影レンズセットと、
ビームレットを駆動して、領域をスキャンするよう構成された、少なくとも1つのデフレクタを含む、デフレクタセットと、
ビームレットを表面のビームスポットに焦点を集めるよう構成された、少なくとも1つの対物レンズを含む、対物レンズセットと、
領域から散乱された電子を受信して、信号を生成するよう構成された、少なくとも1つの検出器を含む、検出器アレイと、
領域から散乱した電子を、ビームレットの中心軸から外して、検出器セットに向けて偏向するよう構成された、電磁デフレクタを含む、第2の多重極場デバイスと、
プロセッサと、
プロセッサにより実行されると、プロセッサにより操作可能となる命令をストアして、信号に基づいた命令の領域の画像を求めるよう構成された、プロセッサに結合されたメモリとを含む。
【0007】
添付の図面に関連した以下の詳細な説明から、開示内容をより良く理解できるであろう。一般的に、図面の様々な特徴は縮尺が合っていない。むしろ、様々な特徴の寸法は、明瞭にするために、任意に拡大又は縮小されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施形態による、例示のマルチビーム画像形成システムのブロック図である。
【
図2】本開示の実施形態による、例示のマルチビーム画像形成システムの図である。
【
図3】本開示の実施形態による、多重極場デバイスにより修正された形状の例示のビームスポットの図である。
【
図4A】本開示の実施形態による、第1の例の構成のアパーチャのマルチアパーチャプレートの図である。
【
図4B】本開示の実施形態による、異なるサイズの円形ビームスポットによりカバーされた一例のマルチアパーチャプレートの図である。
【
図4C】本開示の実施形態による、円形ビームスポットと楕円形ビームスポットによりカバーされた一例のマルチアパーチャプレートの図である。
【
図4D】本開示の実施形態による、第2の例の構成のアパーチャのマルチアパーチャプレートの図である。
【
図4E】本開示の実施形態による、第3の例の構成のアパーチャのマルチアパーチャプレートの図である。
【
図4F】本開示の実施形態による、第4の例の構成のアパーチャのマルチアパーチャプレートの図である。
【
図5A】本開示の実施形態による、一例のマルチアパーチャプレートの断面図である。
【
図5B】本開示の実施形態による、他の例のマルチアパーチャプレートの断面図である。
【
図6】本開示の実施形態による、マルチビームモードとシングルビームモードの切り替え可能な一例のマルチアパーチャプレートの図である。
【
図7A】本開示の実施形態による、一例のマルチアパーチャプレートと対応するビームレットの視野(FOV)の図である。
【
図7B】本開示の実施形態による、ステップ・アンド・スキャンモードでの画像形成のために分割された一例のケアエリアの図である。
【
図8A】本開示の実施形態による、一例のマルチアパーチャプレートと対応するビームレットのFOVの図である。
【
図8B】本開示の実施形態による、ステップ・アンド・スキャンモードでの画像形成のために分割された一例のケアエリアの図である。
【
図9A】本開示の実施形態による、連続スキャンモードにおけるラスタスキャニングによる一例のスキャニング領域の図である。
【
図9B】本開示の実施形態による、連続スキャンモードにおける一例のスキャン信号の図である。
【
図10A】本開示の実施形態による、連続スキャンモードにおけるラスタスキャニングによる他の例のスキャニング領域の図である。
【
図10B】本開示の実施形態による、連続スキャンモードにおける一例のスキャン信号の図である。
【
図10C】本開示の実施形態による、連続スキャンモードにおいて生成された一例のストリップ形の画像の図である。
【
図11A】本開示の実施形態による、検査のために分割されたストリップを含む一例のケアエリアの図である。
【
図11B】本開示の実施形態による、ケアエリアの一例のストリップの一部の図である。
【
図12】本開示の実施形態による、マルチビーム画像形成システムを用いた、基板の表面に画像形成するための一例のプロセスのフローチャートである。
【
図13】本開示の実施形態による、マルチビーム画像形成システムを用いた、基板の表面に画像形成するための他の例のプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
半導体製造において、マイクロチップや集積回路(IC)がウェハに作製される。ICを製造するプロセスには、例えば、設計段階、製造段階、検査段階、といったいくつかの段階が含まれる。設計段階には、IC用回路素子構造及び構成を設計することが含まれる。製造段階には、例えば、リソグラフィー、エッチング、成膜、化学-機械的平坦化(CMP)等、多数の操作が含まれる。製造段階においては、「パターニング」プロセス中で、フォトマスク(又は「マスク」)又はレチクル上の幾何学的特徴(例えば、パターン)が、ウェハ表面に転写されることがある。転写された幾何学的特徴を備えたウェハは、「パターン化ウェハ」と呼ぶ。検査段階において、製造されたICを品質管理のために検査することができる。
【0010】
製造段階中、欠陥が発生し得る。例えば、ウェハ表面に欠陥ができる場合もあるし、ウェハに転写されるような欠陥がマスクにできる場合もある。従って、検査段階において、潜在的な欠陥について、ウェハ及び/又はマスクを検査する(例えば、適切な処理操作で)ので有利である。検査結果を用いて、設計、製造、検査段階又はこれらの組み合わせを改善又は調整することができる。一般性を失うことなく、「パターン化基板」(又は、混同しないようであれば、単に「基板」)を、パターンを有するウェハ、マスク、レチクル又はその他構造を意味するのに用いることができる。
【0011】
ICの高性能化と高密度化を達成するために、ICの製造者は素子のさらなる小サイズ化を求めている。そのため、サイズの小さい欠陥を検出することが、半導体製造において難題となっている。一般的に、画像形成技術を用いて、パターン化基板上の欠陥を検査している。高生産性検査システム(例えば、光学検査システム)は、設計ルールが収縮するにつれ(例えば、20nm未満)、欠陥(例えば、物理的欠陥)を見つけるには、感度が不十分になるという課題に直面している。また、光学検査システムは、表面下に埋まった電気的欠陥を検出するには能力が不十分である。電子ビーム検査(EBI)システムは帯電粒子ビーム画像形成システム等の高解像度検査システムは、特に、電気的欠陥や微小な物理的欠陥といった欠陥検査についてはより重要になっている。しかしながら、EBIシステムは処理量が不十分であり、半導体プロセスにおけるインラインプロセスモニタリングや大量生産で使用するには需要が限られている。
【0012】
EBIシステムの処理量を上げるために、多数の電子ビーム(又は以降、「マルチビーム」と称す)画像形成技術を用いる。マルチビーム画像形成システムは、多数の電子ビーム(「電子ビームレット」又は単に「ビームレット」と称す)を用いて、パターン化基板を検査する。例えば、ビームレットは、スプリッティング装置を用いて、単一電子ビーム(「e-ビーム」と称す)をスプリッティングすることにより生成することができる。ビームレットは、対象面のスポットへ焦点を集めることができる。ビームレットはまた、中間レンズの、対物レンズへの投影により移すこともできる。対物レンズはビームレットに焦点を集めることができる。焦点を集められたビームレットを、基板表面のプローブとして用いることができる。ビームレットは、基板表面でラスタスキャン(例えば、二次元ラスタスキャン)を行うための偏向装置により偏向することができる。基板表面でのラスタスキャンは、二次電子ビームレットを励起して、これを用いて画像を構築することができる。本実施形態において、複数のビームレットが画像形成プロセスを実施できる範囲を、主視野(FOV)と称し、シングルビームレットが画像形成プロセスを実施できる範囲を副視野(FOV)と称す。
【0013】
本開示において、マルチビーム画像形成のための多数ビーム画像形成システム及びスキャン方法の実施形態について説明する。説明するマルチビーム画像形成システムは、半導体製造において、高処理量の基板(例えば、ウェハ又はマスク)検査に用いることができる。説明するマルチビーム画像形成システムは、連続スキャンモードの検査で動作し得る。説明するマルチビーム画像形成システムはまた、ステップ・アンド・スキャンモードの検査でも動作し得る。連続スキャンモードにおいて、マルチビーム画像形成システムは、基板段階の静定時間を減じることにより、検査処理量を増やすことができる。ある実施形態において、連続スキャンモードは、マルチビーム画像形成システムの処理量を、ステップ・アンド・スキャンモードに比べて2倍増やすことができる。ある実施形態において、直線状に配列された列のビームレット(「直線ビームレット」と称す)を、説明するマルチビーム画像形成システムに用いると、連続スキャンモードにおける基板のラインスキャンを実施することができる。直線ビームレットは、ビームスプリッティングデバイスにより、修正単一電子ビームをスプリッティングすることにより生成することができる。例えば、ビームスプリッティングデバイスは、多数のアパーチャ又は孔を有する(「マルチアパーチャデバイス」と称す)。マルチアパーチャデバイスは、電子ビームを通すことのできる多数のアパーチャ又は孔を有する。例えば、マルチアパーチャデバイスは、多数の直線状に配列したアパーチャを有する。マルチビーム画像形成システム及びそれを用いた検査方法を以下の説明により詳細に説明する。
【0014】
図1は、本開示の実施形態によるマルチビーム画像形成システム100のブロック図である。システム100は、コンピューティングデバイスのような装置を含んでおり、これは、マイクロコンピュータ、メインフレームコンピュータ、スーパーコンピュータ、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、総合コンピュータ、データベースコンピュータ、リモートサーバーコンピュータ、パーソナルコンピュータ又はコンピューティングサービスプロバイダー、例えば、ウェブホスト又はクラウドサービスプロバイダーにより提供されるコンピューティングサービス等の1台以上のコンピュータの任意の構成により実行される。ある実施形態において、コンピューティングデバイスは、異なる幾何学的場所にある多数のグループのコンピュータの形態で実行でき、例えば、ネットワークによって互いに通信することができる。特定の操作は、多数のコンピュータによりシェアすることができるが、ある実施形態においては、異なるコンピュータを、異なる操作に割り当てることができる。ある実施形態において、システム100は、汎用コンピュータ/プロセッサを用いて、コンピュータプログラムにより実行でき、実行時、本明細書に記載した、各方法、アルゴリズム及び/又は命令を実行する。さらに、例えば、本明細書に記載した、各方法、アルゴリズム及び/又は命令を実行ための専用ハードウェアを含むことができる専用コンピュータ/プロセッサを利用することができる。
【0015】
システム100は、プロセッサ102とメモリ104とを含むハードウェアの内部構成を有する。プロセッサ102は、情報を操作又は処理可能な任意の種類のデバイスとすることができる。ある実施形態において、プロセッサ102は、中央処理装置(CPU)を含む。ある実施形態において、プロセッサ102は、グラフィックプロセッサ(例えば、グラフィック処理装置GPU)を含む。本明細書に記載した実施例は、図示した通り、単一プロセッサについてであるが、多数のプロセッサを用いるとスピードや効率の面で有利になり得る。例えば、プロセッサ102は、直接結合又はネットワークに接続された多数のマシン又はデバイス(場合によっては、各マシン又はデバイスが多数のプロセッサを有する)を越えて分散することができる。メモリ104は、プロセッサにより(例えば、バスを介して)アクセス可能なコード及びデータをストアすることのできる一時的又は固定デバイスとすることができる。例えば、メモリ104は、バス112を介して、プロセッサ102によりアクセス可能である。単一バスを、システム100に示しているが、多数のバスを用いることもできる。メモリ104は、ランダムアクセスメモリデバイス (RAM)、リードオンリーメモリデバイス(ROM)、光学/磁気ディスク、ハードドライブ、ソリッドステートドライブ、フラッシュドライブ、セキュアデジタル(SD)カード、メモリスティック、コンパクトフラッシュ(CF)カードまたは好適な種類のストレージデバイスの組み合わせとすることができる。ある実施形態において、メモリ104(例えば、ネットワークベース又はクラウドベースのメモリ)を、多数のマシン又はデバイスを越えて分散することができる。メモリ104は、データ1042、オペレーティングシステム1046及びアプリケーション1044をストアすることができる。データ1042は、プロセッシングのための任意のデータ(例えば、コンピュータ化されたデータファイル又はデータベースレコード)とすることができる。アプリケーション1044は、プロセッサ102に、命令を実行させて、本開示に記載された機能を実行するプログラムを含むことができる。
【0016】
ある実施形態において、プロセッサ102及びメモリ104に加えて、システム100は、二次(例えば、追加又は外部)ストレージデバイス106を含むことができる。二次ストレージデバイス106は、高処理ニーズのための追加のストレージ容量を与えることができる。二次ストレージデバイス106は、メモリカード、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、フラッシュドライブ又は光学ドライブ等の好適な一時的又は固定のコンピュータ読み取り可能な媒体の形態にあるストレージデバイスとすることができる。さらに、二次ストレージデバイス106は、システム100のコンポーネントとしたり、ネットワークを介してアクセスすることのできる共有デバイスとすることができる。ある実施形態において、アプリケーション1044は、二次ストレージデバイス106に全て又は一部ストアして、メモリ104にロードすることができる。例えば、二次ストレージデバイス106は、データベースに用いることができる。
【0017】
ある実施形態において、プロセッサ102及びメモリ104に加えて、システム100は、出力デバイス108を含むことができる。出力デバイス108は、例えば、グラフィックデータを表示するための、システム100に結合されたディスプレイとすることができる。出力デバイス108が、例えば、ディスプレイである場合は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、ブラン管(CRT)又は人に目視可能な出力を提供可能なその他出力デバイスとすることができる。出力デバイス108はまた、ユーザーに視覚、聴覚又は触覚信号を伝達するデバイス、例えば、タッチセンサデバイス(例えば、タッチスクリーン)、スピーカー、イヤホン、発光ダイオード(LED)インジケータ又は振動モータとすることもできる。場合によっては、出力デバイスはまた、入力デバイス、例えば、タッチ式入力を受けるよう構成されたタッチスクリーンディスプレイとしても機能し得る。
【0018】
ある実施形態において、出力デバイス108は、信号及び/又はデータを伝達する通信デバイスとしても機能し得る。例えば、出力デバイス108は、システム100から他のデバイスへ信号又はデータを伝達する有線手段を含む。他の例を挙げると、出力デバイス108は、システム100から他のデバイスへ信号又はデータを伝達する無線レシーバと互換性のあるプロトコルを用いる無線トランスミッターを含む。
【0019】
ある実施形態において、プロセッサ102及びメモリ104に加えて、システム100は、入力デバイス110を含むことができる。入力デバイス110は、例えば、キーボード、数字キーバッド、マウス、トラックボール、マイクロホン、タッチ式デバイス(例えば、タッチスクリーン)、センサ又はジェスチャー式入力デバイスとすることができる。ユーザーの介入を必要としない任意の種類の入力デバイスも可能である。例えば、入力デバイス110は、信号を受信するための無線プロトコルに従って操作される無線レシーバのような通信デバイスとすることができる。入力デバイス110は、入力を示す信号又はデータを、例えば、バス112を介して、システム100に出力することができる。
【0020】
ある実施形態において、プロセッサ102及びメモリ104に加えて、システム100は、任意で、通信デバイス114を含み、他のデバイスと通信することができる。任意で、通信は、ネットワーク116を介してなされる。ネットワーク116は、これらに限られるものではないが、Bluetooth(登録商標)ネットワーク、赤外線接続、近視野接続(NFC)、無線ネットワーク、有線ネットワーク、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、バーチャルプライベートネットワーク(VPN)、セルラーデータネットワーク又はインターネットをはじめとし、任意の好適な種類の任意の組み合わせの1つ以上の通信ネットワークを含むことができる。通信デバイス114は、トランスポンダ/トランシーバデバイス、モデム、ルーター、ゲートウェイ、カイロ、チップ、有線ネットワークアダプタ、無線ネットワークアダプタ、Bluetoothアダプタ、赤外線アダプタ、NFCアダプタ、セルラーネットワークチップ又はネットワーク116と通信可能な任意の好適な種類の任意の組み合わせ等、様々なやり方で実施できる。
【0021】
システム100は、ウェハ又はレチクル高解像度検査装置と通信可能である。例えば、システム100は、ウェハ又はレチクル検査結果を生成するよう構成された、電子ビームシステム又は光学システム等の1つ以上のウェハ又はレチクル検査装置と結合させることができる。
【0022】
システム100(及びそこにストアされ、及び/又はそれにより実行されるアルゴリズム、方法、命令等)は、例えば、知的財産(IP)コア、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックアレイ、光学プロセッサ、プログラマブルロジックコントローラ、マイクロコード、ファームウェア、マイクロコントローラ、サーバ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ又はロジックコントローラ、マイクロコード、ファームウェア、マイクロコントローラ、サーバ、マイクロプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ又はそのその他好適な回路等のハードウェアモジュールとして実行することができる。さらに、システム100の一部は、必ずしも同じ方式で実施されなくてよい。
【0023】
本開示の実施形態によれば、一例のマルチビーム画像形成システムは、ステージの基板にマルチビーム画像形成を実施するためのデバイス、コンピュータ又はサブシステムを含む。マルチビーム画像形成システムは、電子工学システム、基板ステージ、又は相対コントロールシステム又はユニットを含むことができる。
【0024】
図2は、本開示の実施形態による一例のマルチビーム画像形成システム200の図である。例えば、システム200は、
図1のシステム100に含まれる、又は接続される。 システム200はまた、
図1のシステム100を含むこともできる。システム200のコンポーネント又はサブシステムは後述する通りである。
【0025】
電子源202を用いて、電子ビーム(「一次ビーム」)を生成することができる。例えば、電子ビームは、
図2に示すように、一次ビーム2021である。電子源202は、例えば、熱放出エミッタ、冷電界エミッタ又は熱電界放出エミッタ(例えば、ショットキータイプエミッタ)とすることができる。電子源202は、単一エミッタ又は複数のエミッタを含むことができる。一実施形態において、電子源202は、熱電界放出エミッタであり、電界エミッタから放出された電子は、電極セット204により抽出することができる。電極セット204は、電圧を印加された1つ以上の電極又はプレートを含む。電極セット204に含まれる抽出電極は、放出された電子が通過するアパーチャを有する。一実施形態において、電極セット204は、サプレッサー電極プレート2041と、エキストラクター電極プレート2042とを含む。サプレッサー電極プレート2041は、電極源202から放出された電子の一部(例えば、望ましくない散乱電子)を抑制するために、抑制電圧を印加して、一次ビーム2021を形成することができる。エキストラクター電極プレート2042は、一次ビーム2021において電子を抽出するための促進電圧を印加し、特定の速度まで電子を加速することができる。
【0026】
ある実施形態において、電極セット204はまた、一次ビーム2021を修正(例えば、コリメート又は焦点を集める)ことができる静電レンズ(例えば、多くの電極を用いることにより)も含むことができる。他の実施形態において、電極セット204は、電子源202の下流に位置するアパーチャを備えた単一アノードプレートを含むことができる。例えば、単一アノードプレートのアパーチャの径は500ミクロン(μm)とすることができる。
【0027】
電子源202及び電極セット204の下流に、多重極場デバイス206が位置している。本開示において、「下流」とは、電子源202から離れる電子ビームの放出方向に沿った方向を指し、「上流」とは、放出された電子ビームと反対の方向を指す。多重極場デバイス206は、1つ以上の多極電気及び/又は磁場を生成して、一次ビーム2021の形を修正する電気及び/又は磁気デバイスを含むことができる。例えば、多極電場及び/又は磁場を通して、多重極場デバイス206は、特定の方向に沿って一次ビーム2021を伸長し、他の方向(例えば、特定の方向に垂直又は直角)には抑制することができる。
【0028】
ある実施形態において、電気及び/又は磁気デバイスは、4、6、8、10、12又は任意の数の極を含むことができる。各多極電気及び/又は磁気デバイスは、「励起強度」と呼ばれるパラメータを制御するために、異なる電圧又は電流でそれぞれ「励起」させることができる。励起強度は、電子ビームの断面(「ビームスポット」と呼ばれる)を伸長又は抑制する能力を表す。本開示において、「励起」は、電圧又は電流をそれぞれ用いて、電場又は磁場を発生するプロセスのことを指す。ステップ・アンド・スキャンモードを用いたマルチビーム画像形成システムにおいて、一次ビーム2021のビームスポットは、典型的に、ビームレットにスプリットされる前に、実施的に円形 に修正される。円形一次ビーム(又は実質的に円形一次ビーム)を、多くのマルチビーム画像形成システムにおいて、複数のビームレットを生成するのに用いることができる。
【0029】
連続スキャンモードでマルチビーム画像形成システムを最適化するために、一次ビーム2021のビームスポットを楕円形に修正することができる。例えば、
図3に示すように、形状302は、一次ビーム2021のビームスポットのプロファイルを表し、形状304は、修正後の一次ビーム2021のビームスポットのプロファイルを表している。多重極場デバイス206を用いると、一次ビームを長及び抑制して、一方向にほぼ制限することにより、円形一次ビーム(例えば、形状302)から楕円形(例えば、形状304)にビームスポットの形状を変えることができる。
【0030】
一実施形態において、円形一次ビームを用いて、複数のビームレットを生成させることができる。例えば、二次元(「2D」)マルチアパーチャデバイスを用いて、円形一次ビームの複数のビームレットを生成することができる。他の例を挙げると、2Dマルチアパーチャデバイスの各アパーチャを用いて、生成されたビームレットのうちの1つのビームレットを生成することができる。他の実施形態において、楕円形一次ビームを用いて、複数のビームレットを生成することができる。
【0031】
多重極場デバイス206は、単一ステージ(例えば、単一電気又は磁気多極ユニット)又はマルチステージデバイス(例えば、一連の電気及び/又は磁気多極ユニット)とすることができる。一実施形態において、多重極場デバイス206は、2ステージデバイスとすることができる。第1のステージを用いて、一方向(「x方向」と呼ぶ)に沿って一次ビーム2021を伸長し、第2ステージを用いて、x方向に垂直な他の方向(「y方向」と呼ぶ)に沿って一次ビーム2021を抑制することができる。例えば、多重極場デバイス206は、八重極静電アセンブリ及び/又は四重極静電アセンブリを含むことができる。一次ビーム2021のビームスポットの形状及びサイズもまた、励起強度、多重極場デバイス206とビームスプリッティングデバイス2082の相対距離を調節する、又は焦点調節装置(図示せず)を用いることにより制御することができる。例えば、電極セット204は、焦点調節装置として機能し得る。
【0032】
静電レンズセット208は、多重極場デバイス206の下流に配置することができる。. 静電レンズセット208は、ビームスプリッティングデバイス2082及び一組のシングルアパーチャ電極プレートを含む。ビームスプリッティングデバイス2082を用いて、そこに投影された一次ビーム2021(例えば、修正及び補正後)ををスプリッティングすることにより、複数のビームレット2022を生成することができる。
【0033】
ある実施形態において、ビームスプリッティングデバイス2082は、1つ以上のマルチアパーチャプレートを有する。マルチアパーチャプレートは、異なる実施形態及び/又はパラメータを有し得る。本開示において、マルチアパーチャプレートの1つのアパーチャが直線プロファイルを有していない場合は、マルチアパーチャプレートのアパーチャの最小直径又は寸法を、「ビーム制限サイズ」と呼ぶ。異なるマルチアパーチャプレートについて、マルチアパーチャプレートの各アパーチャのビーム制限サイズや、マルチアパーチャプレートの各アパーチャ間のピッチについて構成は異なるものとすることができる。
【0034】
一実施形態において、ビームスプリッティングデバイス2082は、複数のマルチアパーチャプレートを含むことができる。マルチアパーチャプレートは、そのアパーチャに対して配列することができる。例えば、奇数の直線状に配列されたアパーチャを含むマルチアパーチャプレートについては、中心アパーチャ(例えば、直線状に配列されたアパーチャの中央のアパーチャ)を、参照位置として用いることができる。他の実施形態について、偶数の直線状に配列されたアパーチャを含むマルチアパーチャプレートについては、マルチアパーチャプレートの中心軸(例えば、マルチアパーチャプレートの中心を貫く軸)を、参照位置として用いることができる。中心アパーチャ又は中心軸に加え、マルチアパーチャプレートのそれぞれにおける他のアパーチャも参照位置として用いることができる。マルチアパーチャプレートを配列するとき、参照位置を、各マルチアパーチャプレートについて選択し、マルチアパーチャプレートを、選択した参照位置に対して配列することができる。さらに、マルチアパーチャプレートは、異なる配向で互いに配列することができる。例えば、マルチアパーチャプレートのそれぞれにおける直線状に配列されたアパーチャは、異なる配向(例えばx及び/又はy配向)で配列することができる。また、複数のマルチアパーチャプレートは、異なる配列のアパーチャを有することもできる(例えば、あるマルチアパーチャプレートは直線状に配列されたアパーチャを有し、またあるマルチアパーチャプレートは直線状に配列されていないアパーチャを有する)。
【0035】
一実施形態において、ビームスプリッティングデバイス2082は、切り替え可能なマルチアパーチャプレートを有する。例えば、切り替え可能なマルチアパーチャプレートは、第1の領域において、2D配列(例えば、直線でない配列)の第1のマルチアパーチャプレートと、第2の領域において、一次元(「1D」)配列(例えば、直線配列)の第2のマルチアパーチャプレートと、第3の領域において、単一のアパーチャの第3のマルチアパーチャプレートとを含む。複数のマルチアパーチャプレートのその他の配列及び組み合わせもまた可能である。切り替え可能なマルチアパーチャプレート間を切り替えることにより、マルチビーム画像形成システムは、異なる画像形成モードで動作し得る。例えば、マルチビーム画像形成システムを切り替えると、第1のマルチアパーチャプレート、第2のマルチアパーチャプレート、及び第3のマルチアパーチャプレートをそれぞれ用いることにより、ステップ・アンド・スキャンモード、連続スキャンモード、及びシングルビームモードにおいて、動作し得る。
【0036】
一実施形態において、第1のマルチアパーチャプレートにより生成された(例えば、スプリットされた)ビームレットは、収束し、下流の第2のマルチアパーチャプレートは、第1のマルチアパーチャプレートより小さいピッチを有するよう構成することができる。他の実施形態において、第1のマルチアパーチャプレートにより生成されたビームレット は、収束し、下流の第2のマルチアパーチャプレートは、第1のマルチアパーチャプレートより大きいピッチを有するよう構成することができる。他の実施形態において、第1のマルチアパーチャプレートにより生成されたビームレットは、平行で、下流の第2のマルチアパーチャプレートは、第1のマルチアパーチャプレートと同じピッチを有するよう構成することができる。
【0037】
一実施形態において、ビームスプリッティングデバイス2082は、複数のアパーチャをさらに含む少なくとも1つのマルチアパーチャプレートを含むことができる。例えば、マルチアパーチャプレートにおける複数のアパーチャは、
図4Aに示すように、直線に沿って直線状に配列することができる。他の例を挙げると、マルチアパーチャプレートの複数のアパーチャを、
図4Dに示すように、複数の平行な直線に沿って配列することができる。他の例を挙げると、
図4Eに示すように、マルチアパーチャプレートの複数のアパーチャは、第1の2Dアレイで配列することができる。他の例を挙げると、
図4Fに示すように、マルチアパーチャプレートの複数のアパーチャを、第2の2Dアレイで配列することができる。
図4Fの第2の2Dアレイは、48のアパーチャアレイのマルチアパーチャプレート412を示している。
図4Fにおける第2の2Dアレイは、アパーチャに関して、他の数又は構成を有している。例えば、マルチアパーチャプレート412のアパーチャの数は12・n
2(nは正の整数)とすることができる。
【0038】
図4Fにおいて、アパーチャの第2の2Dアレイは、2Dアレイのビームレットを生成するのに用いることのできる、断面プロファイル又はレイアウトを示している。ビームレットの2Dアレイは、マルチビーム画像形成システムのステップ・アンド・スキャンモードにおける二重又は冗長スキャニング及び/又はステッピングインを招くことなく、タイル様に結合(又は「ステッチ」)されるスキャニングセクションをカバーする主FOVを有する。マルチアパーチャプレート412を用いて生成されたビームレットの2Dアレイにカバーされるスキャニングセクションの結合は、
図7A~7Bに示し、説明する。
【0039】
一実施形態において、例えば、
図4Aに示すように、マルチアパーチャプレート402は、複数の直線状に配列されたアパーチャ404を有する。マルチアパーチャプレート402を通過した後、一次ビーム2021は、直線状に配列された複数のビームレット(例えば、ビームレット2022)の配列を形成することができる。一実施形態において、ビームスプリッティングデバイス2082は、それぞれ直径25μm、間の間隔が25μmの直線状に配列された12個のアパーチャを有するマルチアパーチャプレートである。ビームスプリッティングデバイス2082において、他の数及び寸法のアパーチャも可能である。ビームレットの数は、フォーカスデバイス(例えば、静電液浸レンズ)を用いて制御することができ、一次ビーム2021のビームスポットのサイズを変えることができる。例えば、静電液浸レンズは、サプレッサー電極プレート2041の下流又は上流に配置することができる。
【0040】
一実施形態において、多重極場デバイス206はまた、ビームレットを生成する前に、円形一次ビームの収差を補正する収差補正器として用いることもできる。多重極場デバイス206により適用される収差補正の範囲又はレベルを制御することができる。例えば、多重極場デバイス206を制御して、収差を最小にすることができる。他の例を挙げると、多重極場デバイス206を制御して、ある範囲の収差を保ち、下流デバイス(例えば、ビームスプリッティングデバイス2082)を用いる/制御して、残りの収差を補正し(例えば、残りの収差の反対のサイン又は反対の方向の反対収差を生成し)、実質的に完全に収差を取り消す。
【0041】
一実施形態において、一次ビーム2021のビームスポットを、多重極場デバイス206により修正して、略円形のプロファイルまたは形状を得ることができる。通常、ビームスポットのサイズを制御することにより、異なる数のビームレットが生成される。例えば、
図4Bに示すように、マルチアパーチャプレート402のアパーチャ404は、一次ビーム2021の円形ビームスポットによりカバーされる。円形ビームスポットを制御して異なるサイズとすることができ、例えば、第1の円形ビームスポット406は大きなサイズ、第2の円形ビームスポット408は小さなサイズとすることができる。
図4Bにおいて、第1の円形ビームスポット406は、第2の円形ビームスポット408よりも多くのビームレットを生成することができる。ビームスポットのサイズは調節可能である。アパーチャ404は、直線状に配列されて示されているが、任意の形態で配列することができる。例えば、アパーチャ404は、
図4D~4Fに示すように配列することができる。
【0042】
他の実施形態において、一次ビーム2021のビームスポットは、楕円形プロファイルを持つ多重極場デバイス206により修正することができる。楕円形プロファイルの一次ビームを用いて、マルチビーム画像形成システムの連続スキャンモードの性能を最適化することができる。例えば、
図4Cに示すように、マルチアパーチャプレート402のアパーチャ404は、一次ビーム2021の楕円形ビームスポット410によりカバーすることができる。第2の円形ビームスポット408もまた、比較のために、
図4Cに示す。一実施形態において、楕円形ビームスポット410のサイズを調節して、マルチアパーチャプレート402のアパーチャ404をカバーするのに十分な大きさとすることができる。
【0043】
ある実施形態において、一次ビーム2021を楕円形に修正することにより、直線状に配列されたアパーチャのあるマルチアパーチャプレート402は、ビーム密度の高いビームレットを生成することができ、さらに、ビームを有効利用することができる。他の実施形態において、一次ビーム2021は、楕円形に加えて、他の形状へ修正することができる。
【0044】
あるマルチビーム画像形成システムにおいて、マルチアパーチャプレートの複数のアパーチャは二次元で配列される。例えば、複数のアパーチャは、一次ビーム2021の中心軸に対称に2Dアレイで配列することができる。2Dアレイの設計としては、これらに限られるものではないが、四角形配列、六角形配列又は円形配列が挙げられる。マルチアパーチャプレート構成で、2Dビームレットアレイを生成することができる。本開示において、一例として、マルチアパーチャプレート(例えば、マルチアパーチャプレート402)は、直線状に配列されたアパーチャ(例えば、アパーチャ404)により設計される。プレートの直線状に配列されたアパーチャは、単一ライン又は複数の平行ラインに沿ってアパーチャアレイを形成することができる。アパーチャアレイの長手側はまた、楕円形ビームスポットの長軸(例えば、楕円形ビームスポット410)と並べることもできる。このように、直線状に配列されたアパーチャは全て、マルチアパーチャプレートに投影された楕円形ビームスポットによりカバーすることができる。このようなマルチアパーチャプレート構成で、1Dビームレットアレイを生成することができる。例えば、1Dビームレットアレイを、マルチビーム画像形成システムの連続スキャンモードにおいて、ラインスキャンに用いることができる。1つのラインスキャンによりカバーされた基板表面の領域は、本明細書において、「ライン」と呼ぶ。
【0045】
ビームレット2022の画像形成特性を最適化するために、静電レンズ又は同様のデバイスを用いて、一次ビーム2021及び/又はビームレット2022を制御することができる。例えば、静電レンズセット208は、ビームスプリッティングデバイス2082の上流に配置された第1のシングルアパーチャ電極プレート2081と、ビームスプリッティングデバイス2082の下流に配置された第2のシングルアパーチャ電極プレート2083とを含む。第1のシングルアパーチャ電極プレート2081及び第2のシングルアパーチャ電極プレート2083は、一次ビーム2021の中心軸の中央にある。一実施形態において、第1のシングルアパーチャ電極プレート2081及び第2のシングルアパーチャ電極プレート2083のアパーチャは、600μmより大きい。他の寸法のシングルアパーチャ電極プレート2081及び2083も可能である。第1のシングルアパーチャ電極プレート2081及び第2のシングルアパーチャ電極プレート2083を用いて、一次ビーム2021の入射角を求める局所電場を生成することができる。生成されたビームレット2022はそれぞれ、例えば、収束する、コリメートする、分岐する、焦点を集める、焦点をぼかすことにより、シングルアパーチャ電極プレート2081及び2083により生成された局所電場によって、さらに修正することができる。
【0046】
一実施形態において、ビームスプリッティングデバイス2082により、第1のシングルアパーチャ電極プレート2081及び第2のシングルアパーチャ電極プレート2083に異なる電圧を印加して、静電レンズを形成する。例えば、静電レンズは、ビームレット2022をコリメートし、各ビームレットに焦点を集めるのに用いることができる。性能を上げるために、一次ビーム2021を、ビームスプリッティングデバイス2082に通過させる前にコリメートすることができる。他の例を挙げると、一次ビーム2021の入射角は、第1のシングルアパーチャ電極プレート2081及び第2のシングルアパーチャ電極プレート2083に印加される電圧を変えることにより調節することができる。最適化のために、入射角を調節して、ビームレット2022の輝度を求め、収差を減じることができる。
【0047】
上記実施形態において、第1のシングルアパーチャ電極プレート2081、第2のシングルアパーチャ電極プレート2083及びビームスプリッティングデバイス2082の電圧を設定して、ビームレット2022の各ビームレットが、静電レンズセット208の下流の面に個々に焦点を合わせるようにすることができる。各ビームレットのプロファイルは、第1のシングルアパーチャ電極プレート2081、第2のシングルアパーチャ電極プレート2083及びビームスプリッティングデバイス2082間の局所電場により決められる。マルチビームEBIの画像形成条件を最適化するために、ビームレット2022もまた、僅かに収束又はコリメートさせることができる。例えば、一実施形態において、ビームスプリッティングデバイス2082の上流に配置されたアノードプレート(例えば、電極セット204におけるエキストラクター電極プレート2042又は単一アノードプレート)により、電圧G、V0、V1及びV2(G<V1<V0<V2)を、アノードプレート、ビームスプリッティングデバイス2082、第1のシングルアパーチャ電極プレート4081及び第2のシングルアパーチャ電極プレート2083にそれぞれ印加することができる。これらの電圧の値を求めて、ビームスプリッティングデバイス2082を通過する前に、一次ビーム2021をコリメートし、各ビームレットをできる限り互いに平行にしたまま、焦点を集めることができる。電圧G、V0、V1及びV2は、他の値に変えることができる。ビームスプリッティングデバイス2082の一次ビーム2021のビームスポットのサイズもまた、上述した電圧を調整することにより調節可能である。一実施形態において、ビームスプリッティングデバイスの電圧に-20kV~20kVのバイアスをかけることにより、ビームスプリッティングデバイス2082は、マルチアパーチャレンズとして構成することができる。
【0048】
様々な因子(例えば、ビームレット2022の場所、ビームスポットの変形及び/又は電場の不均一性)により、静電レンズセット208の下流のビームレット2022は、収差を有する。マルチビーム画像形成システムで生じる収差としては、球面収差、色収差、 非点収差及び像面湾曲が挙げられる。球面収差及び色収差は、主に、電子ビームの軸上又は軸外焦点条件(例えば、静電レンズの局所電場又は磁場)の不均一性のために生じる。非点収差及び像面湾曲は、主に、軸上又は軸外焦点条件及び軸外電子ビームの異方性非対称性により生じる。例えば、異方性非対称性及び軸外電子ビームの原因の一つは、多重極場デバイス206により修正された一次ビーム2021の楕円変形である。収差は、マルチビーム画像形成システムの画像形成解像度の劣化につながる。
【0049】
ある実施形態において、1つ以上の収差補正器(図示せず)を含む任意の収差補正器セットを、システム200で用いて、ビームレット2022の収差を排除又は減少させることができる。任意の収差補正器は、ビームレット2022の焦点面の上流又は下流に配置することができる。ある実施形態において、システム200は、球面収差補正器、非点収差補正器及び/又は像面湾曲補正器を含む。
【0050】
一実施形態において、球面収差補正器は、ビームレット2022の焦点面の上流又は下流の1つ以上の 多重極場デバイスである。例えば、多重極場デバイス206は、球面収差補正器として機能し得る。他の例を挙げると、球面収差補正器は、マルチアパーチャプレートの上流のマルチ(例えば、八重極又は四重極)磁場デバイスとすることができる。
【0051】
一実施形態において、非点収差及び像面湾曲は、特別に設計されたマルチアパーチャプレートにより減じることができる。例えば、ビームスプリッティングデバイス2082に含まれるマルチアパーチャプレートは、特別に設計されたマルチアパーチャプレートとして機能し得る。
【0052】
一実施形態において、ビームスプリッティングデバイス2082は、
図5Aに断面図に示すように、2層のマルチアパーチャプレート500Aを含む。マルチアパーチャプレート500Aは、厚さT
0の一次ビーム2021(上流)に対向する第1の層502と、厚さT
Lの第1の層502の下流の第2の層504とを含む。マルチアパーチャプレート500Aは、微細加工技術により製造することができる。第1の層502は、第1のビーム2021を分離する均一なサイズD
0のアパーチャを含む。D
0は、各出射ビームレットの電流を制限するのに用いるビーム制限サイズとして機能し得る。第2の層504は、第1の層502のアパーチャに対応して並んだ、異なるサイズのアパーチャを含む。第2の層504のアパーチャのサイズは、マルチアパーチャプレート500Aの中心軸520への距離が増えるにつれて、減じる。例えば、
図5Aにおいて、サイズD
L0のアパーチャ506は、マルチアパーチャプレート500Aの中心軸520に対して第1の距離(例えば、ゼロの距離、すなわち、アパーチャ506は中心軸520の中央)を有する。サイズD
L1のアパーチャ508及びサイズD
L1のアパーチャ510は、マルチアパーチャプレート500Aの中心軸520に対して第2の距離を有する。第1の距離は、第2の距離より短かく、D
L0は、D
L1より大きい。散乱電子を防ぐために、第2の層504のアパーチャのサイズは全て、第1の層502の対応のアパーチャより大きい。例えば、
図5Aに示すように、D
L0>D
0及び>D
L1>D
0である。このような構成で、異なるアパーチャ(例えば、アパーチャ506、508及び510)から出射するビームレットは、異なる焦点を有するため、減少した収差(例えば、減少した非点収差及び像面湾曲)で同じ面に焦点が集まる。
【0053】
他の実施形態において、
図5Bに示すように、
図5Aの第1の層502及び第2の層504に加えて、マルチアパーチャプレート500Bは、第1の層502の上流に厚さT
Uの第3の層512をさらに含む。例えば、マルチアパーチャプレート500Bは、第3の層512を使って、第1の層502に入射するビームレットを収束するために、ビームレットの焦点面の上流に配置される。第3の層512は、第1の層502の対応のアパーチャと並んだ、異なるサイズのアパーチャを含む。第2の層504と同様に、第3の層512のアパーチャのサイズは、マルチアパーチャプレート500Bの中心軸520への距離が増えるにつれて、減じる。例えば、
図5Bにおいて、サイズD
U0のアパーチャ514は、マルチアパーチャプレート500Bの中心軸520に対して第3の距離(例えば、ゼロの距離、すなわち、アパーチャ514は中心軸520の中央)を有する。サイズD
U1のアパーチャ516及びサイズD
U1のアパーチャ518は、マルチアパーチャプレート500Bの中心軸520に対して第4の距離を有する。第3の距離は、第4の距離より短かく、D
U0は、D
U1より大きい。ある実施形態において、第3及び第4の距離は、それぞれ、第1及び第2の距離と等しくすることができる。第1の層502に入射したビームレットを収束するために、第3の層512のアパーチャのサイズは全て、第1の層502の対応のアパーチャより大きく、第2の層504の対応のアパーチャより小さい。例えば、
図5Bに示すように、アパーチャ514、516及び518は、D
L0>D
u0>D
0及び>D
L1>D
u1>D
0で、それぞれ、アパーチャ506、508及び510に対応する。
【0054】
図2を再び参照すると、静電レンズセット208の下流で、投影レンズセット(又は「中間レンズセット」と呼ぶ)210を用いて、ビームレット2022を投影(例えば、収束又は集結)することができる。投影レンズセット210は、1つ以上の電気/磁気投影レンズを含むことができる。一実施形態において、投影レンズセット210は磁気集光レンズを含むことができる。対物レンズセット216と共に、投影レンズセットは、検査中の基板220の表面に投影されたビームレット2022のプロファイルを拡大又は縮小することができる。例えば、投影レンズセット210(例えば、磁気集光レンズ)及び対物レンズセット216の励起強度を求めて、ビームレット2022の各ビームレット間の間隔が基板220表面で略25μmとなるように、かつ、各ビームレットの副FOVが25μmの間隔より大きくなるようにする。基板220表面のビームレット2022間の間隔及び各ビームレットの副FOVは調節可能である。
【0055】
一実施形態において、任意のアパーチャプレート212は、散乱電子をブロックするために、投影レンズセット210の下流に配置することができる。投影レンズセット210の下流で、デフレクタセット214を用いて、ビームレット2022を駆動し、基板220Aの少なくとも一部(例えば、ケアエリアのセクション/ストリップ)をスキャンすることができる。「ケアエリア」は、検査されるウェハのエリアである。デフレクタセット214は、1つ以上のスキャニングデフレクタを含むことができる。スキャニングデフレクタのスキャニング方向は調節可能である。例えば、スキャニング方向は、垂直又はスキュー交差とすることができる。一実施形態において、デフレクタセット214は、対物レンズセット216の中央に同心円状に配置することができる。
【0056】
対物レンズセット216は、基板220表面で、ビームレット2022に焦点を集めることができる。一実施形態において、対物レンズセット216は、磁気集光レンズを含むことができる。例えば、対物レンズセット216は、ケアエリアのセクション/ストリップのビームレット2022に焦点を集めることができる。各ビームレットは、セクション/ストリップのサブセクションをカバーする副FOVを有する。一実施形態において、対物レンズセット216は、ビームレット2022を短い焦点で収束する、ブースター218を備えた液浸対物レンズとすることができる。液浸対物レンズを用いて、ブースター218及び基板220により生成された電磁場において、ビームレット2022を「液浸する」ことができる。例えば、基板220及びブースター218に電圧を印加することにより電磁場を生成することができ、ブースター218の電圧を、液浸対物レンズの電圧より高くセットすることができる。
【0057】
基板ステージ222を用いて、基板220を搬送することができる。基板ステージ222を制御して動かし、検査のために、ビームレット2022下の基板220の異なる部分を露光する。上述した通り、ステップ・アンド・スキャンモードと連続スキャンモードの2つの画像スキャンモードに対応して、基板ステージ222には2種類のモーションコントロールモードがある。連続スキャンモードにおいては、基板ステージ222を一定の速度で第1の方向(例えば、水平方向又は「x方向」)に動かし続け、一方、直線状に配列されたビームレットは、第2の方向(例えば、垂直方向又は「y方向」にラインスキャンを行う。例えば、第2の方向は、第1の方向に略垂直である。
【0058】
ビームレット2022が、基板220の表面に当たると、入射ビームレット2022に対する方向に、電子が散乱する。通常、散乱電子は、弾性衝突のために散乱した後方散乱電子(BSE)と、非弾性衝突(例えば、イオン化)のために散乱した二次電子(SE)の2つのグループに分類される。ビームレットから生成されたBSEとSEは、それぞれ、BSEビームレットとSEビームレットを形成する。本開示において、BSEビームレット及びSEビームレットは、「散乱ビームレット」と総称される。
【0059】
少なくとも1つのウィーンフィルタを含むウィーンフィルタセット224を用いて、入射ビームレット2022の中心軸から離れるように、散乱ビームレット226を偏向又は湾曲し、一方で、入射ビームレット2022は湾曲させないようにしておく。散乱ビームレット226は、捕捉される軸外(例えば、一次ビーム2021の中心軸から離れる)検出器228に向けることができる。ある実施形態において、検出器228は、複数の検出器を含む検出器アレイとすることができる。ウィーンフィルタセット224の励起強度は、散乱ビームレット226が、検出器228の表面に届くようなものとする。一実施形態において、ウィーンフィルタセット224は、対物レンズセット216の中心に同心円状に配置される。
【0060】
一実施形態において、ウィーンフィルタセット224は、E×Bデフレクタ(Eは電場を表し、Bは磁場を表す)等の他の種類の多重極場デバイスと置き換えることができる。
【0061】
異なるデフレクタセットアップに対応して、ウィーンフィルタを適用するには少なくとも2つの方法がある。第1の適用法は、ウィーンフィルタセット224の弱い励起強度を介して、散乱ビームレット226を僅かに偏向し(例えば、ウィーンフィルタセット224の弱い電場及び/又は磁場をセットすることにより)、デフレクタ228をビームレット2022の中心軸近傍に配置するものである。第2の適用法は、ウィーンフィルタセット224の強い励起強度を介して、散乱ビームレット226を大きな角度で偏向し(例えば、ウィーンフィルタセット224の強い電場及び/又は磁場をセットすることにより)、デフレクタ228をビームレット2022から遠くに配置するものである。第1の適用法は、空間を節約し、システム200の全体のサイズを減じる。第2の適用法は、入射ビームレット2022と散乱ビームレット226の相互作用を減じ、散乱ビームレットのための任意の投影システム(図示せず)に、より空間を与える。一実施形態において、第1の適用法をシステム200に用いる。他の実施形態において、第2の適用法をシステム200に用いる。
【0062】
一実施形態において、対物レンズセット210は、基板220の表面の電場を制御するために、少なくとも1つの電極を含む。例えば、高電圧を印加して、電場(「表面抽出場」と呼ぶ)を提供して、散乱電子(例えば、 BSE又はSE)を抽出して、散乱ビームレット226を効率的に形成する。他の例を挙げると、接地された磁気レンズ磁極片に対して、基板220に負の電圧でバイアスをかけ、表面抽出場を与える。他の例を挙げると、表面抽出場の場の強さは、400V/mm~6000V/mmとすることができる。
【0063】
検出器228を用いて、散乱ビームレット226を捕捉し、信号230を生成することができる。信号230は、アナログ及び/又はデジタル信号とすることができ、画像処理システム(図示せず)によりさらに処理することができる。画像処理システムは、信号230を受信し処理して、検査のために、スキャンされた基板表面の1つ以上の画像を生成する。一実施形態において、画像処理システムは、高速で(例えば、400MHz以上の画像捕捉レートで)画像を生成及び処理することができる。例えば、画像処理システムは、並列計算を用いて、画像を処理することができる。他の例を挙げると、画像処理システムは、システム100において、処理のために、CPU及び/又はGPU(例えば、プロセッサ102)及びメモリ(例えば、メモリ104)を用いることができる。画像捕捉レートは調節可能である。システム200が連続スキャンモードで動作しているときは、画像処理システムにより用いられるデータ処理方法に応じて、全ストリップの生成画像は、検査のためにモザイク処理される、又は各ストリップの画像は前処理することができる。
【0064】
検出器228は、これらに限られるものではないが、マイクロチャンネルプレート(MCP)、シリコンダイオード検出器(SDD)、エバーハート-ソーンリー(ET)検出器又は電荷結合素子(CCD)検出器が挙げられる。一実施形態において、検出器228は、複数の検出器ユニット又は領域を含む検出器アレイとし、各検出器ユニットは、単一散乱ビームレットを検出することができる。例えば、検出器アレイの検出器ユニットは、散乱ビームレット226の配列を適合して、各散乱ビームレットが、1つの検出器ユニットにより捕捉されるようにすることができる。一実施形態において、12のアパーチャプレートをビームスプリッティングデバイス2082として用い、これに対応して、12のストリップ形検出領域を備えたSDD検出器を用いることができる。SSD検出器は、連続スキャンモードで動作しているシステム200について、対物レンズの上に軸外で配置することができる。検出器ユニットの形状及び寸法は、散乱ビームレット226と各散乱ビームレットとの間にクロストークが検出されない限りは、変えることができる。
【0065】
ある実施形態において、任意で、検出器表面の画像形成条件を最低化するために、検出器228の上流に投影システム(図示せず)を与えることができる。例えば、投影システムは、検出器228の各検出器ユニット(例えば、個別のユニット又は分離されたユニット)に対して大きさを調節したり、散乱ビームレット226を投影したりすることができる。投影システムはまた、散乱ビームレット226の収束、偏向/変位エラー、及び/又は回転エラーを排除又は減少させることもできる。例えば、投影システムは、投影レンズ、デフレクタ及び/又は回転補正器を含むことができる。
【0066】
システム200の可動コンポーネントについては、電子制御システム(図示せず)を用いて、機能するよう駆動及び制御することができる。例えば、電子制御システムは、検出器228の上流の投影レンズセット210、任意のアパーチャプレート212、デフレクタセット214、対物レンズセット216、ブースター218、基板ステージ222、ウィーンフィルタセット224及び/又は任意の投影システム(図示せず)のうち少なくとも1つを制御することができる。基板ステージ222のモーションモードに基づいて、システム200の電子制御システム及びその他コンポーネントのパラメータを調節して、画像形成条件および合計処理量を最適化することができる。例えば、ステップ・アンド・スキャンモードで、2Dビームアレイを用い、電子制御システムのパラメータを調節して、性能を最適化することができる。制御方針を調節するとまた、ステップ・アンド・スキャン法と適合させることもできる。他の例を挙げると、連続スキャンモードにおいて、1Dビームアレイを用い、1Dビームレット構成に対応する異なる設計及び制御方針を用いることができる。連続スキャンモードの電子制御システムのパラメータは、ステップ・アンド・スキャンモードのパラメータとは異なるものとすることができる。他の例を挙げると、連続スキャンモードにおいて、基板ステージ222の移動速度は、画像処理システム(図示せず)の画像捕捉レートと適合するようにセットして、ケアエリアの全ピクセルがスキャンされるようにすることができる。例えば、移動速度は、学習技術(例えば、機械学習技術及び/又は統計に基づく学習技術)を用いて、判断又は最適化することができる。他の例を挙げると、移動速度は、異なる種類の基板、検査条件、欠陥及び/又は収差に適用して決められる。一実施形態において、電気制御システムは、高速スキャンのために、ビームレット2022を偏向することができる(例えば、400MHz以上のスキャニングレートで)。スキャニングレートは調節可能である。
【0067】
本明細書に記載したシステム200のコンポーネント又はサブシステムは、上述した実施形態又は実施例に限定されないものとする。様々な設計及び/又は機能を備えたより多くの部品やコンポーネントを、機能拡張や性能最適化のために追加することができる。
【0068】
例えば、一実施形態において、システム200は、電子源、少なくとも1つの多重極場デバイス、少なくとも1つのマルチアパーチャプレート、少なくとも1つのシングルアパーチャ電極プレート、少なくとも1つの任意の収差補正器、少なくとも1つの投影レンズ、対物レンズ、少なくとも1つのデフレクタ、少なくとも1つのウィーンフィルタ、基板ステージ、検出器又は検出器アレイ、画像形成システム及び少なくとも1つの電子制御システムを含む。
【0069】
他の例を挙げると、他の実施形態において、システム200は、電子源として単一電子エミッタ、多重極場デバイスとして一組の八重極/四重極静電アセンブリ及び/又は静電アセンブリ、マルチアパーチャプレートとして12-アパーチャプレート、2つの単一アパーチャ電極プレート、投影レンズとしての磁気集光レンズ、2つの静電デフレクタ、四重極ウィーンフィルタ、ブースターを備えた液浸対物レンズ、基板ステージ、ストリップアレイSDD検出器、散乱電子(例えば、BSE又はSE)投影システム、画像形成システム及び可動モジュール/コンポーネントの制御システムを含むことができる。
【0070】
他の例を挙げると、他の実施形態において、システム200は、一次電子ビームを生成する電子源、一次電子ビームを成形する多重極場デバイス、スプリッティングデバイスに入る前に一次電子ビームをコリメートするための電子レンズ、一次電子ビームを複数のビームレットに分離し、下流領域の面で各ビームレットの焦点を合わせるための少なくとも1つのマルチアパーチャプレート、分離後、画像面に複数のビームレットの焦点を集めるための電子レンズ、多数のビームレットの焦点を基板に投影するための投影レンズ、基板表面に多数のビームレットの微細スポットで焦点を集めるための投影レンズ、散乱電子(例えば、BSE又はSE)を励起するために、多数のビームレットの全てを操作する少なくとも1つのデフレクタを含むデフレクタセットと、基板を保持し、特定のモードで動かして、基板を一次ビームレット操作のために配置するステージ、散乱ビームレットを軸外に偏向するための多重極場デバイス、散乱ビームレットを検出器アレイに投影及びガイドする散乱電子(例えば、BSE又はSE)光学系、散乱ビームレットを電子信号に変換する信号処理回路に結合された検出器アレイ、電子信号に基づいて、検出器アレイから得られた画像を構築、ストア又は分散するプロセッサ、及び予め決めたアプリケーションで画像を処理するコンピュータシステムを含むことができる。
【0071】
ある実施形態において、ステップ・アンド・スキャンモードと連続スキャンモードの両方が利用でき、システム200で切り替え可能である。性能最適化のために、様々なスキャンパラメータ(例えば、画像捕捉レート、スキャニングレート、ビームレットの形状及びサイズ、ビームレットの近接するFOVの重なり、又はマルチビーム画像形成システムのその他操作パラメータ)を、ステップ・アンド・スキャンモードと連続スキャンモードにそれぞれ適用することができる。
【0072】
ある実施形態において、マルチビーム画像形成システム(例えば、システム200)はまた、マルチビーム画像形成モードに加えて、単一ビーム画像形成モードでも動作し得る。例えば、マルチビーム画像形成システムのマルチアパーチャプレートは、マルチビームモードと、単一ビームモードで切り替えることができる。一実施形態において、マルチビーム画像形成システムのマルチアパーチャプレートは、可動機構(例えば、回転)を用いて可動する。
【0073】
図6に示すように、マルチアパーチャプレート600は、第1の領域に複数のアパーチャ602と第2の領域に単一のアパーチャ604とを含む。例えば、複数のアパーチャ602及び単一のアパーチャ604は、距離606離れている。マルチアパーチャプレート600は、一次ビームのビームスポット下で第1と第2の領域を切り替えることができる。マルチアパーチャプレート600が第1の位置にあるときは、複数のアパーチャ602がビーム下にあり、マルチアパーチャプレート600が第2の位置にあるときは、単一アパーチャ604がビーム下にある。例えば、第1の位置から第2の位置への切り替えは、マルチアパーチャプレート600を回転することにより行うことができる。単一ビームモードのときは、円形ビームスポット608を用い、マルチビーム画像形成システムのコンポーネントの操作パラメータを調節して、単一ビームモードの画像形成条件を最適化することができる。マルチビームモードのときは、楕円形ビームスポット610(例えば、多重極場デバイス206により修正)を用い、マルチビーム画像形成システムのコンポーネントの操作パラメータを調節して、マルチビームモードの画像形成条件を最適化することができる。
【0074】
一実施形態において、マルチアパーチャプレート600には、2つ以上の単一アパーチャがある。例えば、マルチアパーチャプレート600には、異なる直径の2つ以上の単一アパーチャがある。他の実施形態において、マルチビーム画像形成システムのマルチアパーチャプレートは交換可能である。例えば、マルチアパーチャプレート402は、マルチアパーチャプレート600と交換することができる。
【0075】
本開示において、上述した実施形態によるマルチビーム画像形成システムのスキャン方法も含まれる。方法の詳細について説明する。
【0076】
あるマルチビーム画像形成システムにおいて、該当領域(ROI)又はケアエリアの画像は、ビームレットのFOVに捕捉される。例えば、ROIのある領域の画像は、ビームレットの主FOVをスキャニング(例えば、ラスタスキャニング)することにより捕捉することができる。一実施形態において、FOVのスキャニング中、基板ステージ(例えば、
図2の基板ステージ222)は、第1の位置に固定したままとし、少なくとも1つの偏向ユニット(例えば、
図2のデフレクタセット214)は、ビームレットを偏向して、基板ステージに配置された基板(例えば、
図2の基板220)をスキャンすることができる。例えば、偏向ユニットは、ラスタスキャン信号により、動作及び/又は駆動することができる。一実施形態において、全てのビームレット(例えば、
図2のビームレット2022の全てのビームレット)は、基板をスキャン(例えば、同時にスキャン)して、基板及び主FOV画像を生成する。主FOV画像は、複数の副FOV画像を含み、各副FOV画像は、複数のビームレットの1つにより形成されたものである。主FOVのスキャニング完了後、基板ステージを第2の位置に動かして、次のスキャンを行う(「ステッピング」と呼ぶ)。基板の全てのケアエリアがスキャンされ、検査プロセスが完了するまで、ステッピングとスキャニングを繰り返す。この検査モードは、通常、ステップ・アンド・スキャン(又は「ステップ・アンド・リピート」)モードと呼ばれる。ある実施形態において、複数のビームレットを用いて、ステップ・アンド・スキャンモードで基板を検査する。
【0077】
ある実施形態において、2Dビームレットを用いて、ステップ・アンド・スキャンモードで基板を検査する。例えば、
図7Aに示すように、マルチアパーチャプレート702 は、マトリックス配列の2Dアパーチャアレイを有する。2Dアパーチャアレイは、アパーチャ704を含む複数のアパーチャを含む。複数の2Dビームレット(例えば、マトリックス配列の)は、マルチアパーチャプレート702を用いて生成することができる。2Dビームレットは、主FOV706を基板表面に有し、副FOV706をはじめとする複数の副FOVを有する。副FOVは、2Dビームレットの個々のビームレットに対応する。例えば、副FOV708は、アパーチャ704により生成された個々のビームレットに対応する。ある実施形態において、副FOV708及びその生成された画像は、四角形又は矩形である。基板表面の実際のサイズの副FOV708は、隣接する副FOV708と僅かに重なる、接続(又は「ステッチ」)される、又は分離されている。一実施形態において、副FOV708は四角形で、その物理的なサイズを制御して、基板表面の主FOV706の全ての副FOVが、隣接する副FOVにステッチされて、主FOV706が、副FOVの合計と等しくなるように、実際のサイズをカバーするようにする。
【0078】
ある実施形態において、パターン基板のケアエリアは、矩形又は四角形とすることができる。ステップ・アンド・スキャンモードにおいて、2Dビームレットの主FOVは、スキャンのためのケアエリアの第1の部分をカバーし、基板ステージは、ステッピング後にケアエリアの第1の部分をステッチするケアエリアの第2の部分を主FOVがカバーするようなやり方でステップ又は動く。全てのケアエリアがカバーされるまで、このステッピング及びスキャニングプロセスを繰り返す。
【0079】
例えば、
図7Bに示すように、ケアエリア710は、矩形である。ケアエリア710の検査には、セクション712を含む複数のセクションを用いる。複数のセクションは、ケアエリア710より大きい、又は等しい領域をカバーする。各セクションは、2Dビームレットの主FOV(例えば、主FOV706)によりカバーされる。ある実施形態において、主FOV706の形状及びサイズに基づいて、
図7Aのマルチアパーチャプレート702を用いて生成する。主FOV706はセクション712をカバーしている。他のある実施形態において、マルチアパーチャプレートの他の形状及び構成を用いて、2Dビームレットを生成し、ケアエリアの検査のため、セクションをカバーする。一実施形態において、
図7Bに示すように、基板ステージは、主FOV706を、ステッピングパス(又はシーケンス)714に従って動くように、動かす。
図7Bに示すように、出発点から終点までステッピングパス714の矢印に従って、主FOV706は、セクション712と同様の各セクションを続けてカバーし、ケアエリア710の全てがカバーされるまで、ケアエリア710を検査する。ある実施形態において、実際に検査された領域がケアエリアより大きい場合(例えば、
図7Bに示すシナリオ)、生成された画像にフィルタをかけて(又は「クロップ」して)、ケアエリア外の画像部分を破棄し、ケアエリアに対応する画像部分のみを、欠陥検査又は画像測定のために処理する。
【0080】
ある実施形態において、直線状に配列された(1D)ビームレットを用いて、ステップ・アンド・スキャンモードで検査をする。例えば、
図8Aに示すように、マルチアパーチャプレート802は、直線状に配列された直線配列アパーチャアレイを含む。直線配列アパーチャアレイは、アパーチャ804を含む複数のアパーチャを含む。複数の直線状に配列されたビームレット(例えば、直線配列の)は、マルチアパーチャプレート802を用いて生成される。直線状に配列されたビームレットは、基板表面に主FOV806を有し、副FOV808を含む複数の副FOVを含む。副FOVは、直線状に配列されたビームレットの個々のビームレットに対応する。例えば、副FOV808は、アパーチャ804により生成された個々のビームレットに対応する。ある実施形態において、主FOV806は矩形であり、副FOV(例えば、副FOV808)は四角形又は矩形である。基板表面の実際のサイズの副FOV808は、隣接する副FOVと僅かに重なる、接続(又は「ステッチ」)される、又は分離されている。ある実施形態において、直線状に配列されたビームレットの量は2より大きい、または等しい。ある実施形態において、直線状に配列されたビームレットの量は2~200である。他の実施形態において、直線状に配列されたビームレットの量は200を超える。
【0081】
ある実施形態において、直線状に配列されたビームレットの主FOV(例えば、主FOV806)の形状及びサイズに基づいて、パターン化基板の矩形ケアエリアを、ステップ・アンド・スキャンモードでの検査のために、セクションに分割する。例えば、
図8Bに示すように、ケアエリア810は矩形で、検査のために複数のセクションへ分割される。
図8Bにおいて、ケアエリア810は、セクション812を含む10の矩形セクションに分離される。例えば、
図8Bに示すように、ケアエリア810は矩形で、検査のために、複数のセクションに分離される。
図8Bにおいて、ケアエリア810は、セクション812を含む10の矩形セクションに分離される。セクション812は、ケアエリア810において、他の9の分離セクションと同様である。各矩形セクションは、直線状に配列されたビームレットの主FOV(例えば、主FOV806)によりカバーされる。一実施形態において、直線状に配列されたビームレットは、
図8Aのマルチアパーチャプレート802を用いて生成され、主FOV806は、セクション812をカバーする。
【0082】
ある実施形態において、セクション812の形状及びサイズは、ビームレットの量及び配列、各ビームレットの副FOVサイズに基づいて決まる。例えば、
図8Bに示すケアエリア分割構成に基づいて、セクション812を画像形成するビームレットは、ビームレット814を含む6の直線状に配列された個々のビームレットを含む。各ビームレットの副FOV(例えば、
図8Aの副FOV808)は、対応のサブセクション(例えば、
図8Bのサブセクション816)よりも大きい、これに適合する、又はこれより小さい。
図8Bにおいて、重複や曖昧さをなくすために、四角副FOVの6の個々のビームレットを含む直線状に配列されたビームレットの配列を実施形態を説明するのに取り上げる。典型的に、サブセクション816に対応する副FOV(例えば、
図8Aの副FOV808)は、矩形又は四角形である。
【0083】
ステップ・アンド・スキャンモード中、一実施形態において、
図8Aの主FOV806により、セクション812を全てのビームレットでスキャンする。セクション812のスキャンが終了したら、基板ステージは、次のセクション(例えば、近接するセクション、又は近接しないセクション)へ進み、次のスキャニングを続ける。一実施形態において、
図8Bに示すように、ステージステッピングのパス又はシーケンスは、例えば、ステッピングパス818又はその他のパス等、所定の順番に従って、セットされる。
図8Bに示すように、ステッピングパス818の矢印に従って、画像スキャンは、まず、ステッピングパス818の出発点から始まり、終点まで、スキャニングのために、ケアエリア810の各10のセクションへ進む。
図8Bの基板ステージは、ステッピングパス818に従って進むが、各10のセクションのスキャニングは、任意の空間的順番又は方向(例えば、
図8Bに示す「x方向」又は「y方向」)の組み合わせで、行うことができる。ある実施形態において、ケアエリアの各セクションは、検査中、1回スキャンされる。他の実施形態において、ケアエリアの各セクションは、検査中、複数回スキャンされる。
【0084】
典型的に、マルチビーム画像形成システムの処理量は、単一ビームシステムに比べ増大する(場合によっては、大幅に増大する)。しかしながら、ステップ・アンド・スキャンモードを用いるマルチビーム画像形成システムの中には、インラインアプリケーションについては、処理量が不十分なものがある。ステップ・アンド・スキャンモードについての制限因子は、ステージ静定の時間である。基板ステージは、ステッピング後、典型的に振動する。次のスキャニングが始まる前に、ある程度振動を停止又は減衰させるには時間がかかる。振動は、スキャンしたセクションの画像形成品質を劣化させる。ステップ・アンド・スキャンモードで動作するあるマルチビーム画像形成システムにおいて、ステッピング間を静定させるのに基板ステージが要する時間(「静定時間」)は長い。典型的に、このようなシステムにおいては、ケアエリアのセクションをスキャニングする時間(「スキャニング時間」)より静定時間は長い(場合によっては一桁大きい)。例えば、100Mzのピクセルレートについて、1024×1024画像のスキャニング時間は、10ミリ秒(ms)を僅かに超えるが、ステージステッピング及び静定時間は、150ミリ秒(ms)を超える。基板ステージの長い静定時間が、マルチビーム画像形成システムの検査処理量の潜在的なボトルネックとなり得る。
【0085】
本明細書に記載したマルチビーム画像形成システムは、連続スキャンモード(例えば、ステップ・アンド・スキャンモードに加えて)で動作して、検査処理量をさらに増大することができる。連続スキャンモードにおいて、基板ステージは、一定の速度で一方向に動き続け、デフレクタにより駆動される電子ビーム又はビームレットは、ステージのモーションを妨げることなく、ケアエリアをスキャンすることができる。例えば、電子ビーム又はビームレットを駆動すると、ケアエリアのラインスキャンを実施することができる。ラインスキャンのトレースを、本明細書では、「ラインスキャン」と呼ぶ。典型的に、ラスタスキャニングのために、デフレクタを駆動するには、2つのやり方がある。(i)スキャンラインを、ステージモーション方向に対して垂直にする、(ii)スキャンラインを、ステージモーション方向に対して平行にする。
【0086】
ある実施形態において、スキャンラインは、マルチビーム画像形成システムの連続モードにおいてステージモーション方向に対して垂直である。例えば、
図9Aに示すように、基板ステージをx軸に沿って一定の速度V
sで動かしながら、電子ビーム又はビームレットは、パターン化基板のスキャニング領域902にラスタスキャンを行う。電子ビーム又はビームレットは、例えば、
図8Bの個々のビームレット814とすることができる。スキャニング領域902は、基板のケアエリアのセクション(例えば、
図8Bのセクション812)又はサブセクション(例えば、
図8Bのサブセクション816)とすることができる。
【0087】
図9Aは、スキャニング領域902の表面の2つのラインスキャンパスを示す。ビームレットにより実施される2つのラインスキャンに対応する、第1のラインスキャンパス904と第2のラインスキャンパス906である。ラインスキャンパスは、y軸に沿った上下の垂直方向を有する。1つのラインスキャン終了後、リセットパス908に示されるように、ビームレットをラスタースキャニング方式で動かして、次のラインスキャンを始める。このプロセスを複数回繰り返す(例えば、2回)。複数のラインスキャンを行ったら、リセットパス912に示されるように、ビームレットを1回目のラインスキャンパスの出発点に戻して、次のセットの複数ラインスキャンを始める。各セットの複数ラインスキャンによりカバーされる領域を「フレーム」と呼び、フレームをカバーする複数のラインスキャンを「フレームスキャン」と呼ぶ。フレームスキャンの方向は、ラインスキャンに垂直である。
【0088】
例えば、
図9Aに示すように、フレームスキャンは、2つのラインスキャンを含む。すなわち、ビームレットは動いて、ラインスキャンパス904、リセットパス908及びラインスキャンパス906に沿った第1のフレームスキャンを行ってから、さらに動いて、リセットパス912に沿って次のフレームスキャンを開始する。
図9Aのフレームスキャンは、2つのラインスキャンしか含まない(又は、
図9Aに示すフレームは2つのラインしか含まない)が、任意の数のラインスキャンがフレームスキャンに含まれていてよい。
【0089】
ビームレットは、ラインスキャンを行うデフレクタセットにより駆動される。デフレクタセットは、任意の方向に沿って、複数のデフレクタを含む。各デフレクタには、ビームレットを駆動するために、スキャン信号(例えば、電圧)が印可される。例えば、
図9Bに示すように、ラインスキャンパス904及び906に対応するラインスキャンは、のこぎり波信号V
yを用いて制御又は駆動される。ある実施形態において、V
yは時間変数電圧信号である。例えば、
図9Bに示すように、V
yは期間T
Lの周期電圧信号である。V
yの各期間は、ビームレットを制御して、第1の方向にラインスキャンを行う第1の部分(又は「スキャニング部分」)と、ビームレットを第2の方向(例えば、第1の方向の反対)にリセットして、次のラインスキャンを行う第2の部分(又は「リセット部分」)とを含む。本明細書において「第1」及び「第2」は、表示のためのみであり、電圧信号の部分の順番を指すものではない。例えば、
図9Bに示すように、V
yの期間は、第1の部分914と第2の部分916とを含む。一実施形態において、第1の部分914を用いて、ビームレットを駆動してラインスキャンパス904に沿って動かし、第2の部分916を用いて、ビームレットを下応して、リセットパス908に沿って動かし、ラインスキャンパス906の出発点にビームレットを配置する。第1の部分914は、第2の部分916より急勾配であり、ビームレットが、スキャニング時は(例えば、ラインスキャンパス904に沿って)遅い速度で、次のラインスキャンを行うために、リセット時は早い速度で動くようになっている。V
yの方向の変更は(例えば、波の山又は波の谷で)、駆動ビームレットの方向の変更を意味する。V
yが周期的に偏向されると、ビームレットは、スキャニング領域902を、ラスタスキャニング方式でスキャンする。V
yの期間T
Lは、2つの連続ラインスキャンの開始又は終了の間の期間に等しくなるようにセットされる。
【0090】
図9Bに示すフレームスキャンを行うために、追加ののこぎり波信号V
xを用いて、ビームレットをさらに制御する。ある実施形態において、V
xは、時間変数電圧である。例えば、
図9Bに示すように、V
xは、期間T
Fの周期電圧である。V
yと同様に、V
xの各期間はまた、スキャニング部分とリセット部分とを含む。V
xが周期的に変更されると、ビームレットは、フレームの第1のラインの出発点に戻るように動いて、次のフレームスキャンを開始する。
【0091】
ある実施形態において、T
Fは、各フレームスキャンが1つのラインスキャンを含むT
Lに等しくセットされる。ある実施形態において、T
Fは、各フレームスキャンが、2つ以上のラインスキャンを含むT
Lより大きい。T
FがT
L,より大きいと、V
xのスキャニング部分は、V
yのスキャニング部分より勾配が緩い。例えば、
図9Bに示すように、T
F =2T
L、V
xのスキャニング部分の傾斜は、V
yのスキャニング部分の傾斜の半分である。V
xのT
Fは、2つの連続ラインスキャンの開始又は終了の間の期間に等しくなるようにセットされる。V
x及びV
yの値及び変更パターンを制御することにより、含まれるフレームスキャン及びラインスキャンは、異なるサイズのカバー領域で、任意の速度で、又は任意のパスに沿う等、任意のやり方で行うことができる。例えば、
図9Aにおいて、V
x≠0及びV
y=0の場合、ビームレットは点910にある。
【0092】
連続スキャンモードで、Vsは、Vx及びVy に基づいてセットされる。ある実施形態において、画像歪みを排除又は減じるために、Vsは、生成された画像の部分(例えば、ピクセル)に対応する物理的サイズ及び1つのフレームに含まれるラインの数に基づいて決められる。生成された画像のピクセルは、基板表面に実施されたフレームスキャンの物理的部分(「物理的ピクセル」と呼ぶ)に対応する。物理的ピクセルのサイズは、「物理的ピクセルサイズ」又は単に「ピクセルサイズ」と呼ぶ。ピクセルサイズは、物理的ピクセル及び画像のピクセル寸法に応じて異なる。ピクセルサイズはまた、水平方向と垂直方向で異なり得る。例えば、画像の物理的サイズがA×B(例えば、3mm×2mm)で画像のピクセル寸法がm×n(例えば、300ピクセル×400ピクセル)の場合、水平方向のピクセルサイズ(Ph)は、Ph=A/m(例えば、Ph=3mm/300=0.01mm)、垂直方向のピクセルサイズ(Pv)は、Pv=B/n(例えば、Pv=2mm/400=0.005mm)である。ある実施形態において、生成した画像のピクセルサイズは、水平と垂直方向で同じである。すなわち、Ph=Pv=P。
【0093】
ラインスキャンは、生成した画像にピクセルのライン(例えば、m画像ピクセル)を生成する。各ピクセルは、ピクセルサイズPの物理的ピクセルに対応する。すなわち、ピクセルのラインに対応するラインスキャンによりカバーされる物理的サイズ(又は長さ)は、A=m×Pである。物理的ピクセルをスキャニングするのに必要な時間がTPの場合、TL=m×TPである。四角フレームスキャンについては、フレームスキャンはmラインを含む。すなわち、フレームスキャンによりカバーされる物理的サイズ(又は領域)はA×Aであり、フレームスキャンの生成された画像のピクセル寸法はm×mである。ある実施形態において、ピクセル寸法m×mは、フレームスキャンの教会の画像解像度により制限される。ピクセルサイズP(又は対応の物理サイズA)は、システムの物理的制限又は条件(例えば、光学収差)により制限される。
【0094】
例えば、ラインスキャンが垂直方向と仮定すると、ある実施形態において、フレームスキャンは、基板表面を水平幅として、垂直物理的ラインをカバーする。これにより、スキャン画像の画像ピクセルの垂直ラインが生成される。一実施形態において、フレームスキャンは、物理的ピクセル(「物理的ライン」と呼ぶ)の垂直ラインの水平幅をカバーする。各物理的ピクセルはピクセルサイズPである。フレームにNラインがあって、ラインスキャン期間がT
Lのとき、V
Sは水平方向であり、式(1)で求められる。
【数1】
式(1)
【0095】
式(1)において、フレームスキャン期間TF=TL×Nである。TFの期間において、 Nラインスキャンを含むフレームスキャンを行って、物理的ラインをカバーする。その結果を用いて、生成された画像のピクセルのラインを生成する。すなわち、物理的ラインは、スキャン画像のピクセルのラインを生成するために、N回スキャンされる。
【0096】
一実施形態において、フレームは、1ラインを含む(例えば、各フレームスキャンは物理的ラインをカバーする)又はN=1。すなわち、ラインスキャンは、フレームスキャンと等しい。本実施形態において、VS=P/TLのとき、連続スキャンは、ストリップ形の画像を生成し、ストリップ形の画像を生成するために、物理表面の物理的ラインは、2回以上スキャンされない(すなわち、フレームスキャンは、連続フレーム間の重なった物理的ラインはカバーしない)。
【0097】
他の実施形態において、フレームは、複数のラインを含む(例えば、各フレームスキャンは、複数の物理的ラインをカバーする)、又はN>1。本実施形態において、V
S<P/T
Lのとき、各物理的ラインは、フレームスキャンにおいて複数回スキャンされる。例えば、V
Sは、
【数2】
と設定される。各物理的ラインは、フレームスキャンにおいてN回ラインスキャンされ、連続スキャンの各フレーム(連続スキャンの最初と最後のフレームは除く)は、N回フレームスキャンされる。物理的ラインの各ラインスキャンについて、ラインスキャン信号が生成され(例えば、2進値、整数値又はRGB値)、Nラインスキャン信号を合計し平均して、物理的ラインについて平均信号を生成する。ラインスキャンの平均信号を用いて、平均スキャン画像を生成する。
【0098】
他の例を挙げると、N=2
k(k=0、1、2、3、...)かつV
S=P/(T
L×N)のとき、各フレームは、Nラインを含む(又は各フレームスキャンは、Nラインスキャンを含む)。各ラインは、P/Nの水平物理サイズを有する。フレームのNラインスキャンは、ラインスキャン1、ラインスキャン2、...ラインスキャンNとラベル付けされる。フレームスキャンは、連続フレーム間で重なった
【数3】
の水平幅の領域をカバーする。本例において、連続スキャンの最初と最後のフレームは除き、各フレームの2
kラインをそれぞれN回スキャンする。例えば、ラインスキャン1を用いて、第1のストリップ形画像を生成し、ラインスキャン2を用いて、第2のストリップ形画像を生成する、等。合計のNストリップ形画像が得られる。Nストリップ形画像のそれぞれは、近接又は隣接するストリップ形画像からP/Nずれるため、Nストリップ形画像は、単一のストリップ形画像のストリップ領域よりも大きい、全体のストリップ領域をカバーする。例えば、Nストリップ形画像の重なり部分を用いて、最終画像を生成する。他の例を挙げると、Nストリップ形画像の画像ピクセルを、基板表面の位置(例えば、物理的ピクセル)とマッチさせる。マッチングは、精密でも、無視できるシフトエラーがあってもよい。基板表面の同じ位置に対応する画像ピクセルの画像データを合計し、平均して、その場所の平均画像データを生成する。平均画像データを用いて、最終画像を生成し、それによって、ノイズキャンセル及び信号対ノイズ比を改善することができる。
【0099】
他の例を挙げると、N=2及びVS=0.5P/TLのとき、フレームスキャンは、スキャンライン1とスキャンライン2の2つのラインスキャンを含む。例えば、フレームスキャンk番目とフレームスキャン(k+1)番目のような2つの連続するフレームスキャンの間、フレームスキャン基板のラインスキャン2とフレームスキャン(k+1)番目のラインスキャン1は、同じ物理的ラインをスキャンする。ラインスキャン1から生成された画像の第1のピクセルとラインスキャン2から生成された画像の第2のピクセルは、物理的ラインの同じ又は略同じ(すなわち、無視できるシフトエラーあり)物理的位置に対応する。第1及び第2のピクセルのピクセルデータを平均することにより、平均画像が生成される。
【0100】
ある実施形態において、スキャンラインは、マルチビーム画像形成システムの連続モードにおいて、ステージモーション方向に平行である。これらの実施形態において、2つ以上のラインスキャンを含むフレームスキャンを用いて、2Dスキャンがなされる。例えば、
図10Aに示すように、基板ステージをx軸に沿って一定の速度V
Sで動かしながら、単一電子ビームレットが、パターン化基板のスキャニング領域1002についてラスタスキャンを行う。電子ビーム又はビームレットは、例えば、
図8Bの個々のビームレット814である。スキャニング領域1002は、例えば、
図8Bのサブセクション816のような基板のケアエリアのセクション又はサブセクションである。
図10Aに、ラインスキャン1004をはじめとする、ビームレットにより行われる複数のラインスキャンを示す。ある実施形態において、例えば、スキャニング領域1002は、
図10Aに示すように、10のラインスキャンを含むフレームスキャンによりカバーされる。10のラインスキャンをフレームスキャンにおいて例として示すが、512、1024、2048又はその他の数の任意の数のラインスキャンを含めることができる。
【0101】
図10Bに示すように、ラインスキャン1004を含むラインスキャンを、のこぎり歯スキャン信号V'
X及び追加ののこぎり歯スキャン信号V'
yを用いて、実施及び制御する。ある実施形態において、V'
X及びV'
y は、それぞれ、x方向とy方向に沿った時間変数電圧である。V'
Xは、期間T
L(ラインスキャンに必要な時間を表す)のx方向に沿った周期電圧であり、V'
yは、期間T
F(ラインスキャンに必要な時間を表す)のy方向に沿った周期電圧である。ある実施形態において、T
Fは、T
Lより大きい、または等しい。
図9BのV
x及びV
yと同様に、V'
X及びV'
yは、スキャニング部分とリセット部分とを含む。ある実施形態において、V'
yのスキャニング部分は、V'
Xのスキャニング部分より勾配が緩い。V'
yは、ビームレットを駆動して、y軸に沿って動く。例えば、
図10Aに示すように、V'
X≠0及びV'
y=0のとき、ビームレットは、点1008を中心に集まる
【0102】
V'Xの各期間内に、第1の(スキャニング)部分と第2の(リセット)部分がある。例えば、V'Xのスキャニング部分は、ビームレットを駆動して、ラインスキャン1004を行い、V'Xのリセット部分は、ビームレットを駆動して、リセットパス1006に沿って動かして、次のラインスキャンのために、ビームレットを出発点に配置する。V'Xが時間の経過により周期的に変化するときは、ビームレットは、スキャニング領域1002を左から右へスキャンすることができる。V'Xの期間TLは、ラインスキャン(例えば、ラインスキャン1004)を行い、次のラインスキャンのためにビームレットを(例えば、リセットパス1006に沿って)リセットする合計時間に等しい。V'yが時間の経過により周期的に変化するときは、ビームレットは、スキャニング領域1002を上から下に交差する。
【0103】
基板ステージが動くため、画像形成領域を矩形に保つために、
図10Bに示すようなジャンプ△V'
XをV'
Xに適用して、次のラインスキャンの出発点をシフトする。一実施形態において、ラインスキャン能力の半分は、ラインスキャン出発点をシフトする目的で残しておく。例えば、四角の物理的ピクセルについては、ラインスキャンは、mの物理的ピクセルをカバーでき、フレームスキャンは2mのラインスキャンを含むことができる。
図10Bに示すように、V'
yは、V'
Xより長い期間を有する。これは、比較的遅いスキャンレートであることを表している。各フレームスキャンは、例えば、1つの物理的ピクセルによる等、ある寸法によって、連続フレームスキャンからシフトする。
【0104】
一実施形態において、ピクセルサイズをPとし、物理的ピクセルをスキャンする時間をT
pとし、mの物理的ピクセルをカバーするラインスキャン、2mのラインスキャンを含むフレームスキャン、及びフレームスキャン後、mの物理的ピクセルを動かすステージ、
理想的には、ステージモーション方向に沿って連続したフレームスキャンから生成された画像をステッチするために、ステージ速度は、
【数4】
(式中、T
L=m×T
p)で設定される。
【0105】
例えば、
図10Cに示すように、連続スキャンモードでV
s=0.5P/T
L、各フレームスキャンは、セグメント画像1010~1016を含む矩形セグメント画像を生成する。ストリップ形画像1000は、複数の連続セグメント画像をステッチすることにより生成される。ある実施形態において、連続セグメント画像は、重なり部分を有する(例えば、V
sにより決まるいくつかの物理的ピクセルにより重なる)。ある実施形態において、 ストリップ形画像1000は、非ステッチ方法により生成される。
【0106】
直線状に配列されたビームレットを用いるマルチビーム画像形成システムについては、基板ステージを一定の速度で、直線状に並んだビームレットの方向(例えば、y方向)に垂直な方向に(例えば、x方向)動かすことにより、画像形成及び検査について連続スキャンモードが可能である。ある実施形態において、全てのビームレットは、平行に動作して、ストリップ形画像を生成する。例えば、ストリップ形画像の幅は、ビームレットの量と各ビームに関連するラインスキャン幅により決まる。他の例を挙げると、ストリップ形画像の長さは、ケアエリア又はステージ制御ユニットにより決まる。ステージ静定時間を最小にすることにより、検査処理量を大幅に改善することができる。
【0107】
一実施形態において、直線状に配列されたアパーチャアレイを備えたマルチビーム画像形成システムは、連続スキャンモードで動作する。他の実施形態において、マルチビーム画像形成システムは、連続スキャンモード又はステップ・アンド・スキャンモードで動作するのを選択することができる。例えば、マルチビーム画像形成システムは、連続スキャンモードとステップ・アンド・スキャンモードを切り替えることができる。他の実施形態において、マルチビーム画像形成システムは、単一ビームを用いるように切り替えることができる。例えば、マルチビーム画像形成システムは、異なるビームスプリッティングデバイスを用いて単一ビーム又は複数のビームレットを生成するように切り替えることができる。
【0108】
図11Aは、連続スキャンモードで複数のビームレットを用いるストリップ形セクション(「ストリップ」)によりスキャンされる例示のケアエリア1100を示す。
図11Aに示すように、ケアエリア1100を、ストリップ1102を含む5の平行なストリップに分割する。ストリップ1102は、ケアエリア1100の他の4のストリップと同様であり、重複や曖昧さをなくして、説明を容易にするために一例として取り上げる。ケアエリア1100は、1つのストリップをスキャニングするビームレットの数及び各ビームレットのスキャン幅に基づいて任意の数のストリップへ分割できるものとする。一実施形態において、
図11Aに示すように、ストリップ1102は、11の直線状に配列されたビームレットによりスキャンされ、各ビームレットのスキャニング領域は、対応のサブストリップを形成する。ビームレット又はサブストリップは、マルチアパーチャプレートのアパーチャの数及び構成に応じて、任意の構成の任意の数とすることができる。一実施形態において、ストリップ1102は、11のストリップ形画像を生成する11のビームレットによりスキャンされる。11のストリップ形画像をステッチして、ストリップ1102の結合ストリップ画像が生成される。
【0109】
一実施形態において、ビームレット(例えば、11のビームレット)の結合スキャニング領域は、フルサンプリング(すなわち、スキャニング領域の100%適用範囲)を行うストリップ(例えば、ストリップ1102)の領域に等しい。他の実施形態において、パーセンテージサンプリング(すなわち、スキャニング領域の100%未満の適用範囲)を行うビームレットの結合スキャニング領域より小さいストリップを選択する。他の実施形態において、オーバーサンプリング(すなわち、スキャニング領域の100%より大きい適用範囲)を行うビームレットの結合スキャニング領域より大きいストリップを選択する。オーバーサンプリングは、例えば、いくつかの欠陥がスキャン画像の境界にあって、アラインメントシフトのためにフルサンプリングを用いる場合に、検出できないときに、用いられる。
【0110】
図11Bは、ストリップ1102の部分1104を拡大して示す。部分1104は、サブストリップ1106を含む、スキャンする5つのビームレットの5のサブストリップを含む。サブストリップ1106は、部分1104の他の4のサブストリップと同様であり、重複や曖昧さをなくして、説明を容易にするために一例として取り上げる。一実施形態において、サブストリップ1106は、ストリップ形画像を生成するビームレット1108によりスキャンされる。サブストリップ1106のストリップ形画像は、近接するスキャニングビームレットにより生成された近接ストリップ形画像によりステッチされる。
【0111】
一実施形態において、ビームレット1108のスキャニング領域は、フルサンプリングを行うサブストリップ1106の領域に等しい。他の実施形態において、サブストリップ1106は、パーセンテージサンプリングを行うビームレット1108のスキャニング領域よりも小さく選択される。他の実施形態において、サブストリップ1106は、オーバーサンプリングを行うビームレット1108のスキャニング領域よりも大きく選択される。
【0112】
マルチビーム画像形成システムの連続スキャンモードの一実施形態において、基板ステージは、方向1110に一定の速度で動く基板を搬送する。基板が動く間、ビームレットを制御して、スキャニングパス1112に沿って(例えば、ストリップ1102の左端から始めて、頭-尾方式で)ストリップ1102をスキャンする。ケアエリア1100の各ストリップ(例えば、ストリップ1102)の電子ビームスキャンにより、結合ストリップ形画像が生成される。ラインスキャンをスキャニングパス1112に垂直に行う(すなわち、
図11Aに示すy方向に)
図9A~9Bに示し説明したやり方で、又はラインスキャンをスキャニングパス1112に平行に行う(すなわち、
図11Aに示すx方向に)
図10A~10Cに示し説明したやり方でスキャンを行うことにより、結合ストリップ形画像が得られる。ビームレットが、ストリップ1102の末端一に達したら(例えば、ビームレットが、ストリップ1102の右端に達したら)、基板ステージを他のストリップの端部(例えば、近接又は近接しないストリップの右又は左端部)に動かして、スキャニング手順を繰り返す。例えば、スキャニングパス1112に従って、ケアエリア1100は連続的に、ストリップ毎にスキャンすると、ステージを停止及び静定する必要性が減じる。
【0113】
本開示において、マルチビーム画像形成システムを用いて、基板表面に画像形成する方法も提供される。
図12は、ステップ・アンド・スキャンモード及び連続スキャンモードで動作可能なマルチビーム画像形成システムを用いてマルチビーム画像形成する例示のプロセス1200である。プロセス1200は、
図1のシステム100又は
図2のシステム200のソフトウェア及び/又はハードウェアモジュールとして、1つ以上の装置により、実施される。例えば、プロセス1200は、以下に示す操作1202~1208を含む。
【0114】
操作1202で、多重極場デバイスを用いて、電子ビームを修正する。例えば、電子ビームは、
図2の一次ビーム2021とし、多重極場デバイスは、
図2の多重極場デバイス206とする。
【0115】
一実施形態において、電子ビームは、電子源から生成される。電子ビームは、実質的に円形のビームスポットを有する。例えば、電子源は、
図2の電子源202とする。ある実施形態において、電極セット(例えば、
図2の電極セット204)を用いて、電子ビームを抽出、コリメート及び/又は焦点を集める。実質的に円形のビームスポットは、
図3の形状302のビームスポットと同様である。
【0116】
一実施形態において、多重極場デバイスは、直線状に配列されたアパーチャと並んだ第1の方向に沿って、実質的に円形のビームスポットを伸長し、第1の方向に垂直な第2の方向に沿って実質的に円形のビームスポットを抑制する。例えば、多重極場デバイス(例えば、多重極場デバイス206)を用いて、ビームスポットの形状を変える、例えば、円形一次ビーム(例えば、
図3の形状302)から楕円形(例えば、
図3の形状304)に変えることができる。ある実施形態において、複数の多重場デバイスは、電子ビームの収差をさらに補正することができる。
【0117】
一実施形態において、多重極場デバイスは、1つ以上のステージを含み、各ステージは、多極電場及び/又は多極磁場を含む。多極電場/磁場の多極の数は、4、6、8、10、12又はその他数とすることができる。
【0118】
操作1204で、ビームレットは、ビームスプリッティングデバイスを用いて、修正された電子ビームから生成される。例えば、ビームスプリッティングデバイスは、
図2のビームスプリッティングデバイス2082とする。ある実施形態において、ビームスプリッティングデバイスは、
図4A~4Fに示すような任意の構成の任意の数のアパーチャとすることができる。例えば、ビームスプリッティングデバイスは、直線状に配列されたアパーチャ(例えば、
図4A~4Cのマルチアパーチャプレート402)を有し、修正(場合によっては、未修正)電子ビームは、アパーチャの少なくとも一部をカバーする。
【0119】
ある実施形態において、ビームスプリッティングデバイスの構造は、
図5Aのマルチアパーチャプレート500A又は
図5Bのマルチアパーチャプレート500Bのような異なる層を含む。ビームスプリッティングデバイスの層は異なる機能を有する。例えば、第1の層502は、ビームレットサイズを限定する。他の例を挙げると、層504は、異なる焦点を有し、収差の減じた同じ面の異なるプレート位置で生成されたビームレットに焦点を集める。他の例を挙げると、第3の層512は、第1の層502に入射するビームレットを収束する。同じ又は同様の機能を実施するには、ビームスプリッティングデバイスの構造は、任意の構成、プロファイル又は寸法の任意の数の層設計を用いることができるものとする。
【0120】
ある実施形態において、ビームスプリッティングデバイスは、異なる動作モードについて、ビームスプリッティングデバイスの異なる領域に配列された所定のセット(例えば、2、3、4又は任意の数の)アパーチャを有する。例えば、ビームスプリッティングデバイスは、マルチアパーチャプレートとする。所定のセットのアパーチャは、単一のアパーチャ、一次元アパーチャアレイ(すなわち、直線状に配列されたアパーチャ)又は二次元アパーチャアレイのうち、少なくとも1つを含む。セットのアパーチャは、例えば、可動機構を介して、用いる所定セットのアパーチャを切り替える等により、切り替え可能である。可動機構は、ビームスプリッティングデバイスを回転する回転方法である。可動機構はまた、ビームスプリッティングデバイスと置き換えることもできる。
【0121】
例えば、
図6のマルチアパーチャプレート600は、セットのアパーチャ(すなわち、複数のアパーチャ602と単一アパーチャ604)を有する。複数のアパーチャ602は、マルチビーム画像形成モードで用いられ、単一アパーチャ604は、単一ビーム画像形成モードで用いられる。マルチアパーチャプレート600は、セットのアパーチャを切り替えることができる(例えば、マルチアパーチャプレート600を回転させて、電子ビームの適用範囲下で、異なるセットのアパーチャを露出させることにより)。
【0122】
操作1206で、ビームレットを駆動して、基板表面の領域をスキャンする。ビームレットの焦点が、基板に投影される。ビームレットは、デフレクタセットを用いて駆動される。領域から散乱した電子は、散乱ビームレットを形成し、信号を生成するために、検出器により偏向及び受信される。信号は、スキャン画像を生成するために、画像形成システムにより処理される。
【0123】
一実施形態において、ビームレットは、
図2の投影レンズセット210及び対物レンズセット216を用いて、基板に投影される。ある実施形態において、追加のコンポーネントを用いて、ビームレットの収差を減じ、画像形成条件を改善する。追加のコンポーネントとしては、前述の収差補正器、任意のアパーチャプレート212、追加の静電レンズ(例えば、第1のシングルアパーチャ電極プレート2081及び第2のシングルアパーチャ電極プレート2083)又はその他好適な投影デバイスが挙げられる。
【0124】
一実施形態において、デフレクタセットは、1つ以上のデフレクタ(例えば、
図2のデフレクタセット214)を含む。ビームレットは、デフレクタセットにより制御され、基板にラスタスキャンを実施する。一実施形態において、基板は、モーションモードで動くように制御可能に、基板ステージに配置される。モーションモードは、ステップ・アンド・スキャンモードと連続スキャンモードの組み合わせである。ある実施形態において、 基板ステージを、少なくとも2つのモーションモード(例えば、ステップ・アンド・スキャンモードと連続スキャンモード)で動かすとき、異なるモーションモードが選択可能で、かつ、切り替え可能である。例えば、基板ステージを制御して、ステップ・アンド・スキャンモードで動かすとき、基板ステージが静定したら、ビームレットを駆動して領域をスキャンする。基板ステージを制御して、連続スキャンモードで動かすとき、基板ステージを一定の速度で動かして、ビームレットを駆動して領域をスキャンする。
【0125】
一実施形態において、基板ステージのモーションモードに基づいて、モーションモードに関連する操作パラメータ(例えば、基板ステージの移動速度)を求める。例えば、モーションモードを、ステップ・アンド・スキャンモード又は連続スキャニングモードとして選択するとき、操作パラメータを調節して、対応のモーションモードを最適化することができる。
【0126】
例えば、連続スキャンモードで動かすために、基板ステージが制御可能なとき、操作パラメータは、基板ステージの可動速度(例えば、一定速度)を含む。移動速度は、基板のスキャン領域(例えば、物理的ピクセルのピクセルサイズ)のサブ領域(例えば、物理的ピクセル)の寸法と、サブ領域でラインスキャンを行う期間との比に少なくとも基づいて決まる。スキャン画像の画像ピクセルは、サブ領域から散乱した電子に基づいて受信された信号から生成される。ある実施形態において、移動速度は、フレームスキャンに含まれるラインスキャンの数にさらに基づいて求められる。例えば、移動速度は、式(1)を用いて求められる。
【0127】
ある実施形態において、連続モードで、フレームスキャンが行われる。フレームスキャンが複数の(例えば、N)のラインスキャンを含むときは、フレームの各物理的ラインは、N回スキャンされる。物理的ラインの物理的ピクセルについて、Nの信号が生成される。画像ピクセルは、物理的ピクセルの平均信号データから生成される。
【0128】
ある実施形態において、連続モードで、基板ステージは一定の速度で、ステージモーション方向に動く。ラインスキャン(例えば、フレームスキャンに含まれる)は、ステージモーション方向に対して異なる方向で行われる。例えば、ラインスキャンは、ステージモーション方向に平行に行われる。他の例を挙げると、ラインスキャンは、ステージモーション方向に垂直に行われる。
【0129】
ある実施形態において、基板ステージの異なるモーションモードについて、異なるアパーチャアレイを用いることができる。例えば、一方向アパーチャアレイは、連続スキャンモードに用い、二次元アパーチャアレイは、ステップ・アンド・スキャンモードに用い、単一アパーチャは、単一ビームスキャンモードに用いる。
【0130】
ある実施形態において、散乱ビームレットは、偏向デバイス(例えば、
図2のウィーンフィルタセット224)により偏向又は変位される。偏向散乱ビームレットは、軸外である(例えば、
図2の散乱ビームレット226)。
【0131】
一実施形態において、電子信号(例えば、
図2の信号230)は、受信した偏向散乱ビームレットを用いて、検出器(例えば、
図2の検出器228)により生成される。ある実施形態において、 検出器228は、複数の検出器を含む検出器アレイである。
【0132】
操作1208において、基板表面の領域のスキャン画像は、信号に基づいて、検査により求められる。例えば、画像は、上述した画像形成システムを用いて求められる。
【0133】
本開示において、マルチビームシステムを用いて、基板に画像形成する方法が提供される。
図13は、マルチビームシステムを用いて、基板に画像形成するための例示のプロセス1300である。プロセス1300は、
図1のシステム100又は
図2のシステム200のソフトウェア及び/又はハードウェアモジュールとして、実施される。例えば、プロセス1300は、システム100又はシステム200に含まれるモジュールとして、1つ以上の装置により実施される。プロセス1300は、以下に示す操作1302~1306を含む。
【0134】
操作1302で、一次電子ビームが電子源から生成される。
【0135】
操作1304で、一次電子ビームが、ビーム成形及び収差補正のために、多重極場デバイスを用いて修正される。
【0136】
操作1306で、電子ビームは、ビームスプリッティングデバイスに照射するために、静電レンズによりコリメートされる。ある実施形態において、操作1306は、プロセス1200において、操作1204の前のステップとして実施される。
【0137】
本明細書に記載した実施形態は、機能ブロックコンポーネント及び様々な処理工程に関して記載したものである。開示されたプロセス及びシーケンスは、単独又は任意の組み合わせで実施される。機能ブロックは、指定の機能を実施する任意の数のハードウェア及び/又はソフトウェアコンポーネントにより実現される。例えば、記載した実施形態は、様々な集積回路コンポーネント、例えば、記憶素子、処理素子、論理素子、ルックアップテーブル等を用いることができる。これは、1つ以上のマイクロプロセッサ又はその他コントロールデバイスの制御下で、様々な機能を実行するものである。同様に、記載した実施形態の要素を、ソフトウェアプログラミング又はソフトウェア要素を用いて実施する場合は、開示したものは、C、C++、Java(登録商標)、アセンブラ等といったプログラミング又はスクリプト言語により実施でき、様々なアルゴリズムは、データ構造、オブジェクト、プロセス、ルーチン又はその他プログラミング要素により実施される。機能的態様は、1つ以上のプロセスで実行されるアルゴリズムにおいて実施できる。さらに、本開示の実施形態は、静電構成、信号処理及び/又は制御、データプロセッシング等のための任意の数の技術を用いることができる。本明細書に記載した全ての方法の工程は、特に断りや矛盾がない限り、任意の好適な順番で行うことができる。
【0138】
上記の開示の態様又は態様の一部は、例えば、コンピュータ使用可能又はコンピュータ読取り可能な媒体からアクセス可能なコンピュータプログラム製品の形態を採る。コンピュータ使用可能又はコンピュータ読取り可能な媒体は、例えば、プロセッサにより、又はプロセッサに関連して用いられるプログラム又はデータ構造を明白に、含む、ストア、通信又はトランスポートする任意のデバイスとすることができる。媒体は、例えば、静電、磁気、光学、電磁又は半導体デバイスとすることができる。その他の好適な媒体も利用可能である。かかるコンピュータ使用可能又はコンピュータ読取り可能な媒体は、固定メモリ又は媒体と呼ばれ、経時により変化するRAM又はその他揮発性メモリ又はストレージデバイスが含まれる。本明細書に記載したシステムのメモリは、特に指定のない限り、システムに物理的に含まれなければならないものではなく、システムによりリモートアクセス可能なものであり、システムに物理的に含まれるその他のメモリと隣接していなければならないものではない。
【0139】
本開示において、「信号」、「データ」及び「情報」という用語は区別なく用いられる。「含む」又は「有する」及びこの変化形は、以下に上げた項目及びその等価物並びに追加の項目を包含することを意味する。特に断りや限定のない限り、「マウントされた」、「接続された」、「サポートされた」、「結合された」及びこの変化形は、広く用いられ、マウンティング、接続、サポート及び結合の直接的なものと間接的なものの両方を包含する。さらに、「接続」及び「結合」は、物理的又は機械的接続や結合に限定されない。
【0140】
「例」という用語は、一例、事例又は例証を意味する。本明細書に「例」として記載された任意の態様又は設計は、他の態様や設計よりも好ましい、又は有利であると必ずしも解釈されない。むしろ、「例」という用語を用いるのは、具体的なやり方で、概念を示すことを意図している。
【0141】
さらに、本開示及び添付の請求項で用いる冠詞「1つの」は、特に指定のない限り、又は、単数を意図した内容でない限り、「1つ以上」を意味するものと解釈される。さらに、「態様」又は「一態様」という用語を用いるのは、特に記載のない限り、同一実施又は態様を意味するものとする。さらに、値の範囲の列挙は、特に断りのない限り、その範囲に入る個々の値を個別に表す簡潔な方法としてのものであり、個々の値は、別個に表されているものとして、明細書に組み込まれている。
【0142】
本開示において用いる、「又は」という用語は、結合する2つ以上の要素についての排他的「又は」よりむしろ、包括的「又は」を意味するものである。すなわち、特に断りがなく、内容から明らかな限り、「Xは、A又はBを含む」は、自然な包含的置換のいずれかを意味するものとする。つまり、XがAを含む、XがBを含む、又はXがAとBの両方を含む場合は、「Xは、A又はBを含む」は、前述の例のいずれも満足する。本開示で用いる「及び/又は」という用語は、「及び」又は包含的「又は」を意味するものとする。すなわち、特に断りがなく、内容から明らかな限り、「Xは、A、B及び/又はCを含む」は、Xが、A、B及びCの任意の組み合わせを含むことを意味するものとする。つまり、XがAを含む、XがBを含む、XがCを含む、XがAとBの両方を含む、XがBとCの両方を含む、又はXがAとBとCの全てを含む場合、「Xは、A、B及び/又はCを含む」は、前述の例のいずれも満足する。同様に、「Xは、A、B及びCの少なくとも1つを含む」は、「Xは、A、B及び/又はCを含む」と等価に用いられるものとする。
【0143】
本明細書に示し記載した態様は、本開示の例示であり、開示の範囲を決して限定するおのではない。簡潔にするために、システムのエレクトロニクス、制御システム、ソフトウェア開発及びその他機能的態様(及び、システムの個々のオペレーティングコンポーネント)は、詳細に記載していない。さらに、図示した様々な接続ラインやコネクタは、様々な要素間の例示の機能的な関係及び/又は物理的又は論理的結合を表すためのものである。多くの変形又は追加の機能的関係、物理的接続又は論理的接続が、実際のデバイスでは示される。
【0144】
本開示を、特定の実施形態により記載してきたが、本開示は、開示された実施形態に限定されるものでなく、むしろ、添付の請求の範囲に含まれる様々な変形及び等価の構成が包含されるものであり、その範囲は、法律により認められるかかる変形及び等価の構成は全て包含されるべく、広く解釈されるものとする。