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特許7119012不整脈に関係する心拍を分類するためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】不整脈に関係する心拍を分類するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/346 20210101AFI20220808BHJP
【FI】
A61B5/346
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019571260
(86)(22)【出願日】2018-06-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-09-24
(86)【国際出願番号】 EP2018066611
(87)【国際公開番号】W WO2018234468
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-06-18
(31)【優先権主張番号】P201730826
(32)【優先日】2017-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(31)【優先権主張番号】15/638,263
(32)【優先日】2017-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515000317
【氏名又は名称】スマート ソルーションズ テクノロジーズ,エス.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】イバニェズ カタラ,ザビエル
(72)【発明者】
【氏名】オーティン ゴンザレス,シルビア
(72)【発明者】
【氏名】コーネリス ソリアーノ,ミゲル
(72)【発明者】
【氏名】ミラッソ サントス,クラウディオ ルーベン
【審査官】▲瀬▼戸井 綾菜
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/048592(WO,A1)
【文献】特表2016-500022(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/24-5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのECG記録の少なくとも1つの誘導により取り込まれる場合のユーザの心臓活動に関連する少なくとも1つの生体信号に基づいてユーザの不整脈に関係する心拍を解析及び分類するための不整脈検出システムであって、
前記不整脈検出システムは、常駐するユーザアプリケーションを実装したメモリを有する、少なくとも1つのコンピューティングデバイスを備え、以下の処理:
前記少なくとも1つのコンピューティングデバイスが、複数の心拍を表す少なくとも1つのECG記録を格納する少なくとも1つの比較データベースと選択的に通信し、各前記ECG記録は、各表される心拍に関連する時間位置及び拍動クラスを備えるステップa;
ユーザの心臓活動に関連する少なくとも1つの誘導に対応するリアルタイム行列を構築するステップbであって、前記リアルタイム行列の少なくとも1つの行のそれぞれは、前記少なくとも1つの誘導の連続する少なくとも1つの心拍を表し、前記リアルタイム行列の少なくとも1つの列のそれぞれは、前記少なくとも1つの心拍の特徴を表す、ステップb;
前記少なくとも1つの誘導を所定の時間的長さの複数のセグメントへ分割する、ステップc;
前記複数のセグメント中の各々のセグメントに関して:
拍動行列を定義するステップdであって、前記拍動行列の少なくとも1つの行のそれぞれは、前記セグメントの連続する少なくとも1つの心拍を表し、前記拍動行列の少なくとも1つの列のそれぞれは、前記少なくとも1つの心拍の時間位置の付近でとった前記ECG記録の少なくとも1つのサンプルを表す、ステップd;
拍動行列を前記拍動行列のすべての行が平均値0及び標準偏差1を有するように正規化するステップe;
前記セグメント内の少なくとも1つの心拍のそれぞれに関して:
前記心拍に関する行を前記リアルタイム行列に追加するステップf;
リアルタイム行列の第1の列に、前記心拍と直前に先行する心拍との間の拍動間隔をポピュレートするステップg;
リアルタイム行列の第2の列に、前記心拍と直後に後続する心拍との間の拍動間隔をポピュレートするステップh;
リアルタイム行列の第3の列に、前記心拍に対する所定数の先行及び後続する心拍にわたって計算した間隔平均値をポピュレートするステップi;
リアルタイム行列の第4の列に、前記心拍に対応する正規化された拍動行列の行の二乗の平均をポピュレートするステップj;
リアルタイム行列の第5の列に、前記心拍に対応する正規化された拍動行列の行の導関数の二乗の平均をポピュレートするステップk;
第4の列の値と第5の列の値との相対的に最も低い比を有する正規化された拍動行列の行間の平均を計算することにより基準拍動を決定するステップl;
リアルタイム行列の第6の列に、基準拍動の二乗の平均をポピュレートするステップm;
リアルタイム行列の第7の列に、基準拍動の導関数の二乗の平均をポピュレートするステップn;
リアルタイム行列の第8の列に、基準拍動と前記心拍に対応する拍動行列の行との相関係数をポピュレートするステップo;
リアルタイム行列の第9の列に、基準拍動の導関数と前記心拍に対応する拍動行列の行の導関数との相関係数をポピュレートするステップp;
リアルタイム行列の第10の列に、基準拍動の二乗と前記心拍に対応する拍動行列の行の二乗との相関係数をポピュレートするステップq;
リアルタイム行列の第11の列に、基準拍動の導関数の二乗と前記心拍に対応する拍動行列の行の導関数の二乗との相関係数をポピュレートするステップr;
リアルタイム行列を、前記少なくとも1つのコンピューティングデバイスと選択的に通信する少なくとも1つの分類器に送信するステップs;
前記セグメントが不整脈に関係する心拍を含むかどうかを判定するステップt;
を実行するように構成される、不整脈検出システム。
【請求項2】
前記誘導を複数のセグメントへ分割するステップcが、前記誘導を所定の時間的長さの複数の重複しないセグメントへ分割するステップであ、請求項1に記載の不整脈検出システム。
【請求項3】
前記誘導を複数のセグメントへ分割するステップcが、前記誘導を所定の時間的長さの複数の重複するセグメントへ分割するステップであり、各セグメントは所定の頻度で取り込まれる、請求項1に記載の不整脈検出システム。
【請求項4】
前記誘導を複数のセグメントへ分割するステップcが、前記複数のセグメント中の各々のセグメントに関して:
所与のセグメントの少なくとも1つの拍動間隔値の平均値を計算するステップc1;
直後に後続するセグメントの長さを、前記処理で計算した前記所与のセグメントの少なくとも1つの拍動間隔値の平均値に対する所定のパーセンテージと等しくなるように調節するステップc2;
を実行するように構成される、請求項1に記載の不整脈検出システム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの分類器はトレーニングによる処理が施される、請求項1に記載の不整脈検出システム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの比較データベースのそれぞれに関して:
前記比較データベースに格納された少なくとも1つのECG記録のそれぞれに関して:
前記ECG記録の少なくとも1つの誘導のそれぞれに関して:
誘導行列を定義するステップであって、前記誘導行列の少なくとも1つの行のそれぞれは、前記ECG記録の連続する少なくとも1つの心拍を表し、前記誘導行列の少なくとも1つの列のそれぞれは、前記少なくとも1つの心拍の特徴を表す、ステップ;
前記誘導を所定の時間的長さの複数のセグメントへ分割するステップ;
前記複数のセグメント中の各々のセグメントに関して:
拍動行列を定義するステップであって、前記拍動行列の少なくとも1つの行のそれぞれは、前記セグメントの連続する少なくとも1つの心拍を表し、前記拍動行列の少なくとも1つの列のそれぞれは、前記少なくとも1つの心拍の時間位置の付近でとった前記ECG記録の少なくとも1つのサンプルを表す、ステップ;
拍動行列を前記拍動行列のすべての行が平均値0及び標準偏差1を有するように正規化するステップ;
前記セグメント内の少なくとも1つの心拍のそれぞれに関して:
前記心拍に関する行を前記誘導行列に追加するステップ;
誘導行列の第1の列に、前記心拍と直前に先行する心拍との間の拍動間隔をポピュレートするステップ;
誘導行列の第2の列に、前記心拍と直後に後続する心拍との間の拍動間隔をポピュレートするステップ;
誘導行列の第3の列に、前記心拍に対する所定数の先行及び後続する心拍にわたって計算した間隔平均値をポピュレートするステップ;
誘導行列の第4の列に、前記心拍に対応する正規化された拍動行列の行の二乗の平均をポピュレートするステップ;
誘導行列の第5の列に、前記心拍に対応する正規化された拍動行列の行の導関数の二乗の平均をポピュレートするステップ;
第4の列の値と第5の列の値との相対的に最も低い比を有する正規化された拍動行列の行間の平均を計算することにより基準拍動を決定するステップ;
誘導行列の第6の列に、基準拍動の二乗の平均をポピュレートするステップ;
誘導行列の第7の列に、基準拍動の導関数の二乗の平均をポピュレートするステップ;
誘導行列の第8の列に、基準拍動と前記心拍に対応する拍動行列の行との相関係数をポピュレートするステップ;
誘導行列の第9の列に、基準拍動の導関数と前記心拍に対応する拍動行列の行の導関数との相関係数をポピュレートするステップ;
誘導行列の第10の列に、基準拍動の二乗と前記心拍に対応する拍動行列の行の二乗との相関係数をポピュレートするステップ;
誘導行列の第11の列に、基準拍動の導関数の二乗と前記心拍に対応する拍動行列の行の導関数の二乗との相関係数をポピュレートするステップ;
少なくとも1つの誘導行列のそれぞれを、前記比較データベースに格納された少なくとも1つのECG記録に関連した単一のECG行列へマージするステップ;
を実行するように構成される、請求項5に記載の不整脈検出システム。
【請求項7】
前記比較データベースに格納された少なくとも1つのECG記録のそれぞれに関して:
前記ECG記録を適切な共通のサンプリングレートにリサンプリングするステップ;
前記ECG記録の各表される心拍に関連する時間位置を時間単位に変換するステップ;
前記ECG記録の各表される心拍に関連する拍動クラスをバイナリ値に変換するステップ;
を実行するように構成される、請求項6に記載の不整脈検出システム。
【請求項8】
前記ECG記録の各表される心拍に関連する拍動クラスをバイナリ値に変換するステップが:
所与の心拍が上室性を有すると判定すると、前記心拍に関する拍動クラスに0のバイナリ値を割り当てるステップ;
所与の心拍が心室性を有すると判定すると、前記心拍に関する拍動クラスに1のバイナリ値を割り当てるステップ;
を実行するように構成される、請求項7に記載の不整脈検出システム。
【請求項9】
前記リアルタイム行列の第3の列にポピュレートするステップが、前記心拍に対する先行する10心拍及び後続する10心拍にわたって計算した間隔平均値を第3の列にポピュレートするステップである、請求項1に記載の不整脈検出システム。
【請求項10】
前記誘導行列の第3の列にポピュレートするステップが、前記心拍に対する先行する10心拍及び後続する10心拍にわたって計算した間隔平均値を第3の列にポピュレートするステップである、請求項6に記載の不整脈検出システム。
【請求項11】
前記拍動行列を定義するステップが、前記少なくとも1つの心拍の時間位置の付近の520ミリ秒のウィンドウ内でとった前記ECG記録の少なくとも1つのサンプルを拍動行列の列にポピュレートするステップである、請求項1に記載の不整脈検出システム。
【請求項12】
前記拍動行列を定義するステップが、前記少なくとも1つの心拍の時間位置の前にとった前記ECG記録の30サンプル及び前記少なくとも1つの心拍の時間位置の後にとった前記ECG記録の60サンプルを拍動行列の列にポピュレートするステップである、請求項11に記載の不整脈検出システム。
【請求項13】
前記拍動行列を定義するステップが、前記少なくとも1つの心拍の時間位置の付近の520ミリ秒のウィンドウ内でとった前記ECG記録の少なくとも1つのサンプルを拍動行列の列にポピュレートするステップである、請求項6に記載の不整脈検出システム。
【請求項14】
前記拍動行列を定義するステップが、前記少なくとも1つの心拍の時間位置の前にとった前記ECG記録の30サンプル及び前記少なくとも1つの心拍の時間位置の後にとった前記ECG記録の60サンプルを拍動行列の列にポピュレートするステップである、請求項13に記載の不整脈検出システム。
【請求項15】
前記リアルタイム行列の第6の列にポピュレートするステップが、520ミリ秒のウィンドウにわたる基準拍動の二乗の平均を第6の列にポピュレートするステップである、請求項1に記載の不整脈検出システム。
【請求項16】
前記誘導行列の第6の列にポピュレートするステップが、520ミリ秒のウィンドウにわたる基準拍動の二乗の平均を第6の列にポピュレートするステップである、請求項6に記載の不整脈検出システム。
【請求項17】
前記リアルタイム行列の第7の列にポピュレートするステップが、520ミリ秒のウィンドウにわたる基準拍動の導関数の二乗の平均を第7の列にポピュレートするステップである、請求項1に記載の不整脈検出システム。
【請求項18】
前記誘導行列の第7の列にポピュレートするステップが、520ミリ秒のウィンドウにわたる基準拍動の導関数の二乗の平均を第7の列にポピュレートするステップである、請求項6に記載の不整脈検出システム。
【請求項19】
少なくとも1つのECG記録の少なくとも1つの誘導により取り込まれる場合のユーザの心臓活動に関連する少なくとも1つの生体信号に基づいてユーザの不整脈に関係する心拍を解析及び分類するための不整脈検出システムであって、
前記不整脈検出システムは、常駐するユーザアプリケーションを実装したメモリを有する、少なくとも1つのコンピューティングデバイスを備え、以下の処理:
前記少なくとも1つのコンピューティングデバイスが、複数の心拍を表す少なくとも1つのECG記録を格納する少なくとも1つの比較データベースと選択的に通信し、各前記ECG記録は、各表される心拍に関連する時間位置及び拍動クラスを備える、ステップ;
ユーザの心臓活動に関連する少なくとも1つの誘導に対応するリアルタイム行列を構築するステップであって、前記リアルタイム行列の少なくとも1つの行のそれぞれは、前記少なくとも1つの誘導の連続する少なくとも1つの心拍を表し、前記リアルタイム行列の少なくとも1つの列のそれぞれは、前記少なくとも1つの心拍の特徴を表す、ステップ;
前記少なくとも1つの誘導を所定の時間的長さの複数のセグメントへ分割するステップ;
前記複数のセグメント中の各々のセグメントに関して:
拍動行列を定義するステップであって、前記拍動行列の少なくとも1つの行のそれぞれは、前記セグメントの連続する少なくとも1つの心拍を表し、前記拍動行列の少なくとも1つの列のそれぞれは、前記少なくとも1つの心拍の時間位置の付近でとった前記ECG記録の少なくとも1つのサンプルを表す、ステップ;
拍動行列を前記拍動行列のすべての行が平均値0及び標準偏差1を有するように正規化するステップ;
前記セグメント内の少なくとも1つの心拍のそれぞれに関して:
前記心拍に関する行をリアルタイム行列に追加するステップ;
リアルタイム行列の第1の列に、前記心拍と直前に先行する心拍との間の拍動間隔をポピュレートするステップ;
リアルタイム行列の第2の列に、前記心拍と直後に後続する心拍との間の拍動間隔をポピュレートするステップ;
リアルタイム行列の第3の列に、前記心拍に対する所定数の先行及び後続する心拍にわたって計算した間隔平均値をポピュレートするステップ;
リアルタイム行列の第4の列に、前記心拍に対応する正規化された拍動行列の行の二乗の平均をポピュレートするステップ;
リアルタイム行列の第5の列に、前記心拍に対応する正規化された拍動行列の行の導関数の二乗の平均をポピュレートするステップ;
第4の列の値と第5の列の値との相対的に最も低い比を有する正規化された拍動行列の行間の平均を計算することにより基準拍動を決定するステップ;
リアルタイム行列の第6の列に、基準拍動の二乗の平均をポピュレートするステップ;
リアルタイム行列の第7の列に、基準拍動の導関数の二乗の平均をポピュレートするステップ;
リアルタイム行列の第8の列に、基準拍動と前記心拍に対応する拍動行列の行との相関係数をポピュレートするステップ;
リアルタイム行列の第9の列に、基準拍動の導関数と前記心拍に対応する拍動行列の行の導関数との相関係数をポピュレートするステップ;
リアルタイム行列の第10の列に、基準拍動の二乗と前記心拍に対応する拍動行列の行の二乗との相関係数をポピュレートするステップ;
リアルタイム行列の第11の列に、基準拍動の導関数の二乗と前記心拍に対応する拍動行列の行の導関数の二乗との相関係数をポピュレートするステップ;
リアルタイム行列を、前記少なくとも1つのコンピューティングデバイスと選択的に通信する少なくとも1つの分類器に送信するステップ;
前記セグメントが不整脈に関係する心拍を含むかどうかを判定するステップ;
前記セグメントの少なくとも1つの拍動間隔値の平均値を計算するステップ;
前記セグメントの計算した拍動間隔の平均値の所定のパーセンテージに等しくなるように直後に後続するセグメントの長さを調節するするステップ;
を実行するように構成される、不整脈検出システム。
【請求項20】
少なくとも1つのECG記録の少なくとも1つの誘導により取り込まれる場合のユーザの心臓活動に関連する少なくとも1つの生体信号に基づいてユーザの上室性異所性心拍及び心室性異所性心拍を解析及び分類するための不整脈検出システムであって、
少なくとも1つのコンピューティングデバイスを備え、前記少なくとも1つのコンピューティングデバイスは、複数の心拍を表す少なくとも1つのECG記録を格納する少なくとも1つの比較データベースと選択的に通信し、各前記ECG記録は、各表される心拍に関連する時間位置及び拍動クラスを備え、
前記少なくとも1つのコンピューティングデバイスがさらに、
ユーザの心臓活動に関連する少なくとも1つの誘導に対応するリアルタイム行列を構築し、前記リアルタイム行列の少なくとも1つの行のそれぞれは、前記少なくとも1つの誘導の連続する少なくとも1つの心拍を表し、前記リアルタイム行列の少なくとも1つの列のそれぞれは、前記少なくとも1つの心拍の特徴を表し、
前記少なくとも1つの誘導を所定の時間的長さの複数のセグメントへ分割し、
前記複数のセグメント中の各々のセグメントに関して:
拍動行列を定義し、前記拍動行列の少なくとも1つの行のそれぞれは、前記セグメントの連続する少なくとも1つの心拍を表し、前記拍動行列の少なくとも1つの列のそれぞれは、前記少なくとも1つの心拍の時間位置の付近でとった前記ECG記録の少なくとも1つのサンプルを表し、
拍動行列を前記拍動行列のすべての行が平均値0及び標準偏差1を有するように正規化し、
前記セグメント内の少なくとも1つの心拍のそれぞれに関して:
前記心拍に関する行をリアルタイム行列に追加し、
リアルタイム行列の第1の列に、前記心拍と直前に先行する心拍との間の拍動間隔をポピュレートし、
リアルタイム行列の第2の列に、前記心拍と直後に後続する心拍との間の拍動間隔をポピュレートし、
リアルタイム行列の第3の列に、前記心拍に対する所定数の先行及び後続する心拍にわたって計算した間隔平均値をポピュレートし、
リアルタイム行列の第4の列に、前記心拍に対応する正規化された拍動行列の行の二乗の平均をポピュレートし、
リアルタイム行列の第5の列に、前記心拍に対応する正規化された拍動行列の行の導関数の二乗の平均をポピュレートし、
第4の列の値と第5の列の値との相対的に最も低い比を有する正規化された拍動行列の行間の平均を計算することにより基準拍動を決定し、
リアルタイム行列の第6の列に、基準拍動の二乗の平均をポピュレートし、
リアルタイム行列の第7の列に、基準拍動の導関数の二乗の平均をポピュレートし、
リアルタイム行列の第8の列に、基準拍動と前記心拍に対応する拍動行列の行との相関係数をポピュレートし、
リアルタイム行列の第9の列に、基準拍動の導関数と前記心拍に対応する拍動行列の行の導関数との相関係数をポピュレートし、
リアルタイム行列の第10の列に、基準拍動の二乗と前記心拍に対応する拍動行列の行の二乗との相関係数をポピュレートし、
リアルタイム行列の第11の列に、基準拍動の導関数の二乗と前記心拍に対応する拍動行列の行の導関数の二乗との相関係数をポピュレートし、
リアルタイム行列を、前記少なくとも1つのコンピューティングデバイスと選択的に通信する少なくとも1つの分類器に送信し、
前記セグメントが不整脈に関係する心拍を含むかどうかを判定する、
ように構成される、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2017年6月22日に出願されたES出願第201730826号に基づく優先権を主張するものである2017年6月29日に出願されたUS出願第15/638,263号の最先の有効出願日への優先権を主張する及びその権利を有するものである。上記の出願の内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
この特許出願の主題は、一般に、心電図検査法に関し、より具体的には、心電図記録の少なくとも1つの誘導から抽出したデータに基づいて不整脈に関係する心拍を分類するためのシステム及び関連する方法に関する。
【0003】
出願人は、本出願で挙げられる又は言及されるいずれかの及びすべての特許及び公開された特許出願を参照により本明細書に組み込む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
背景として、心電図検査法は、患者の皮膚上に配置された電極を用いて患者の心臓の電気的活動を或る時間にわたって記録するプロセスである。身体の異なる部分上の電極が、心臓内の異なる方向から来る電気インパルスを検出する。標準12誘導心電図(「ECG」)では、心臓の電気的活動が、身体における12の異なる角度(通常、「誘導」と呼ばれる)から測定され、記録される。この非侵襲的医療手技により得られる電圧対時間のグラフは、心電図(「ECG」又は「EKG」)と呼ばれる。ECGは、心臓疾患を診断するのに最も一般的に用いられる非侵襲的なツールである。これはまた、心臓の異常な電気的活動によって生じる心臓の症状である不整脈を検出及び診断するのに用いられる標準的な方法である。不整脈の発生源領域に応じて、それらは上室又は心室のいずれかとして大まかに分類される。一過性の、短時間の、又は稀な不整脈の存在は、心臓の電気的活動を長時間にわたってモニタリングすることによってのみ検出することができる。心臓病専門医によるこれらの長時間のECG記録の視覚解析は、非常に退屈で時間がかかる傾向がある。したがって、主な課題は、可能性のある治療選択肢に関する意思決定を支援し、患者にできる限り迅速に知らせるために、記録された大容量のECGデータを速く且つ効率的に解析することができる、効率的な意思決定支援システムの開発である。
【0005】
本発明の態様は、これらの必要性を満たし、以下の課題を解決するための手段で説明されるさらなる関連した利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様は、以下で説明される例示的な利点を生み出す、構成及び使用における或る利点を教示する。
【0007】
本発明は、少なくとも1つのECG記録の少なくとも1つの誘導により取り込まれる場合のユーザの心臓活動に関連する少なくとも1つの生体信号に基づいて心室性異所性心拍などの様々なタイプのユーザの不整脈に関係する心拍を解析及び分類するための不整脈検出システム及び関連する方法を提供することによって前述の問題を解決する。少なくとも1つの実施形態において、システムは、複数の心拍を表す少なくとも1つのECG記録を格納する少なくとも1つの比較データベースと選択的に通信する少なくとも1つのコンピューティングデバイスを含み、各前記ECG記録は、各表される心拍に関連する時間位置及び拍動クラスを備える。ユーザの心臓活動に関連する少なくとも1つの誘導に対応するリアルタイム行列、すなわち、リアルタイムで更新することができる行列が構築され、前記リアルタイム行列の少なくとも1つの行のそれぞれは、前記少なくとも1つの誘導の連続する少なくとも1つの心拍を表し、前記リアルタイム行列の少なくとも1つの列のそれぞれは、前記少なくとも1つの心拍の特徴を表す。少なくとも1つの誘導が、所定の時間的長さの複数のセグメントへ分割される。少なくとも1つのセグメントのそれぞれに関して、拍動行列が定義され、前記拍動行列の少なくとも1つの行のそれぞれは、前記セグメントの連続する少なくとも1つの心拍を表し、前記拍動行列の少なくとも1つの列のそれぞれは、前記少なくとも1つの心拍の時間位置の付近でとった前記ECG記録の少なくとも1つのサンプルを表す。少なくとも1つの実施形態において、拍動行列は、前記拍動行列のすべての行が平均値0及び標準偏差1を有するように正規化される。前記セグメント内の少なくとも1つの心拍のそれぞれに関して、前記心拍に関する行がリアルタイム行列に追加される。リアルタイム行列の第1の列に、前記心拍と直前に先行する心拍との間の拍動間隔がポピュレートされる。リアルタイム行列の第2の列に、前記心拍と直後に後続する心拍との間の拍動間隔がポピュレートされる。リアルタイム行列の第3の列に、前記心拍に対する所定数の先行する心拍にわたって計算した間隔の平均値がポピュレートされる。リアルタイム行列の第4の列に、前記心拍に対応する正規化された拍動行列の行の二乗の平均がポピュレートされる。リアルタイム行列の第5の列に、前記心拍に対応する正規化された拍動行列の行の導関数の二乗の平均がポピュレートされる。第4の列の値と第5の列の値との相対的に最も低い比を有する正規化された拍動行列の行間の平均を計算することにより基準拍動が決定される。リアルタイム行列の第6の列に、基準拍動の二乗の平均がポピュレートされる。リアルタイム行列の第7の列に、基準拍動の導関数の二乗の平均がポピュレートされる。リアルタイム行列の第8の列に、基準拍動と前記心拍に対応する拍動行列の行との相関係数がポピュレートされる。リアルタイム行列の第9の列に、基準拍動の導関数と前記心拍に対応する拍動行列の行の導関数との相関係数がポピュレートされる。リアルタイム行列の第10の列に、基準拍動の二乗と前記心拍に対応する拍動行列の行の二乗との相関係数がポピュレートされる。リアルタイム行列の第11の列に、基準拍動の導関数の二乗と前記心拍に対応する拍動行列の行の導関数の二乗との相関係数がポピュレートされる。リアルタイム行列が、少なくとも1つのコンピューティングデバイスと選択的に通信する少なくとも1つの分類器に送信され、これにより、分類器は、ユーザの心臓活動に関連する少なくとも1つのECG記録の所与のセグメントが不整脈に関係する心拍を含むかどうかを判定することが可能となる。
【0008】
本発明の態様の他の特徴及び利点は、本発明の態様の原理を単なる例として示す添付図と併せて行われる以下のより詳細な説明から明らかとなるであろう。
【0009】
添付図は本発明の態様を例示する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】少なくとも1つの実施形態に係る例示的な不整脈検出システムの簡単な概略図である。
図2】少なくとも1つの実施形態に係る例示的なECG記録データ構造のアーキテクチャ図である。
図3】少なくとも1つの実施形態に係る少なくとも1つの分類器をトレーニングするための例示的な方法の流れ図である。
図4】少なくとも1つの実施形態に係る少なくとも1つのECG記録を表す例示的な誘導行列を構築するための例示的な方法の流れ図である。
図5】少なくとも1つの実施形態に係る例示的な誘導行列又は例示的なリアルタイム行列のいずれかを構築するための例示的な方法の流れ図である。
図6】少なくとも1つの実施形態に係るユーザの不整脈に関係する心拍を解析及び分類するための例示的な方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
前述の図面は、以下の説明でさらに詳細に定義されるその例示的な実施形態のうちの少なくとも1つにおける本発明の態様を例示する。異なる図面において同じ符号で参照される本発明の特徴、要素、及び態様は、1つ以上の実施形態に係る同じ、等しい、又は同様の特徴、要素、又は態様を表す。
【0012】
ここで図1に移ると、例示的な不整脈検出システム20の簡単な概略図が示されている。システム20は、少なくとも1つの実施形態において、ユーザの心臓の活動(すなわち、ユーザの心臓の電気的活動)に関係した生体信号データを得るように配置及び構成される、例えば心電図(「ECG」)デバイス(しかし、本明細書で説明される機能を実質的に果たすことができる、現在公知の又は後で開発される、任意の他のタイプのデバイス、センサ、又はその組み合わせで代替されてよい)などの、少なくとも1つの拍動検出器24により得られた選択データを受信及び処理するように構成された少なくとも1つのコンピューティングデバイス22を提供する。したがって、少なくとも1つの実施形態において、コンピューティングデバイス22は、拍動検出器24と選択的に通信する。少なくとも1つの実施形態では、コンピューティングデバイス22と拍動検出器24は全く同一のものであり、したがって、本明細書で用いられる場合のこれらの用語は、相互に交換可能となることが意図される。加えて、少なくとも1つの実施形態において、例えば人工ニューラルネットワーク(「ANN」)(しかし、本明細書で説明される機能を実質的に果たすことができる、現在公知の又は後で開発される、任意の他のタイプのデバイス、システム、又はその組み合わせで代替されてよい)などの少なくとも1つの分類器26が、コンピューティングデバイス22と選択的に通信し、詳細に後述するように、少なくとも1つの拍動検出器24により得られコンピューティングデバイス22により処理された前記データを解析するように構成される。少なくとも1つの実施形態では、コンピューティングデバイス22と分類器26も全く同一のものであり、したがって、本明細書で用いられる場合のこれらの用語は、相互に交換可能となることが意図される。加えて、少なくとも1つの実施形態において、少なくとも1つのデータ記憶装置28が、コンピューティングデバイス22と選択的に通信し、さらに後述するように、拍動検出器24により得られ、コンピューティングデバイス22により処理され、分類器26により解析された前記データを、或る他のデータと共に記憶するように構成される。少なくとも1つの実施形態では、コンピューティングデバイス22とデータ記憶装置28も全く同一のものであり、したがって、本明細書で用いられる場合のこれらの用語は、相互に交換可能となることが意図される。
【0013】
少なくとも1つの実施形態において、コンピューティングデバイス22(又は代替的に、少なくとも1つの分類器26)はまた、さらに後述する目的で、以前に得られた生体信号データを格納している少なくとも1つの比較データベース30と選択的に通信する。少なくとも1つのこのような実施形態において、少なくとも1つの比較データベース30は、MIT-BIH不整脈データベース(「MIT-AR」)、米国心臓協会データベース(「AHA」)、及びMIT-BIH上室不整脈データベース(「MIT-SV」)のうちの少なくとも1つである。しかしながら、さらなる実施形態では、現在公知の又は後で開発される、任意の他の適切なパブリック又はプライベートの比較データベース30で代替されてよい。少なくとも1つのこのような実施形態において、さらに後述するように、少なくとも1つの比較データベース30に格納される生体信号データは、複数の心拍34を表す複数のECG記録32(すなわち、特定のサンプリングレートでの誘導の電圧対時間)を含み、この場合、各ECG記録32は、各心拍34の拍動クラス38を示す注釈ラベルと共に、ECG記録32での各心拍34の時間位置36を備える。したがって、少なくとも1つの実施形態において、各ECG記録32は、2つの誘導(すなわち、異なる方向に沿って同時に測定された2つの時間的な時系列の電圧)を含み、1つのファイルは、電圧時系列での検出された拍動の時間位置36を示し、別のファイルは、検出された拍動34の対応する拍動クラス38を示す。少なくとも1つの実施形態において、所与の心拍34の位置は、例えばリアルタイムQRS検出アルゴリズムなどの自動心拍検出アルゴリズムを用いて決定される。しかしながら、さらなる実施形態では、現在公知の又は後で開発される、心拍34を検出するための任意の他の手段で代替されてよい。さらに後述するように、少なくとも1つの実施形態において、少なくとも1つの比較データベース30は、ECG記録32の離散セットkを格納し、k=(1,2,...,nbECG)であり、ここで、nbECGは、比較データベース30におけるECG記録32の数である。
【0014】
最初に、少なくとも1つのコンピューティングデバイス22と、少なくとも1つの拍動検出器24と、少なくとも1つの分類器26と、少なくとも1つのデータ記憶装置28と、少なくとも1つの比較データベース30とのそれぞれの間の通信は、現在公知の又は後で開発されるどのような有線又は無線ベースの通信プロトコル(又はプロトコルの組み合わせ)を用いて達成されてもよいことに留意されたい。したがって、特定の例示的なプロトコルが例示のために本明細書で述べられる場合があるにもかかわらず、本発明は、どの1つの特定のタイプの通信プロトコルにも限定されるものとして読まれるべきではない。「コンピューティングデバイス」という用語は、デスクトップコンピュータ、移動電話、スマートフォン、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、パーソナルデータアシスタント、ゲーミングデバイス、装着可能デバイスなどの、本明細書で説明される機能を実質的に果たすことができる、現在公知の又は後で開発される、あらゆるタイプのコンピューティングデバイス又は電子デバイスを含むことを意図していることにも留意されたい。したがって、特定の例示的なデバイスが例示のために本明細書で述べられる又は示される場合があるにもかかわらず、システム20は、どの1つの特定のタイプのコンピューティングデバイス又は電子デバイスとの使用にも限定されるものとして読まれるべきではない。
【0015】
図1を引き続き参照すると、少なくとも1つの実施形態において、少なくとも1つの拍動検出器24が、その内容が参照により本明細書に組み込まれる少なくとも米国特許出願公開番号2013/0338472で説明されるように、ユーザによって装着されている衣類又は他の装身具などの装着可能デバイス上に配置される。またさらなる実施形態において、少なくとも1つの拍動検出器24は、現在公知の又は後で開発される任意の他の手段を用いてユーザと接触している状態で(又はその近位に)適切に配置されてよい。また、さらなる実施形態において、少なくとも1つの拍動検出器24は、本明細書で説明される機能を実質的に果たすことができる、現在公知の又は後で開発される、任意の他のタイプのデバイス、センサ、又はその組み合わせであってよい。少なくとも1つの実施形態において、コンピューティングデバイス22も、ユーザと、例えば、ユーザの体と直接、又はユーザによって装着されている衣類又は他の装身具などの装着可能デバイスと、取り外し可能に係合することができる。少なくとも1つのこのような実施形態において、拍動検出器24は、コンピューティングデバイス22内に配置される。代替的な実施形態において、コンピューティングデバイス22は、どこか別の場所に、例えば、依然としてユーザの近くに、又は遠隔に配置されるか、或いはさらに、機能ユニットの一部がユーザの近くのコンピューティングデバイス22において実装され、他のユニットがリモートコンピュータワークステーションにおいて実装される状態で、分割して配置される。
【0016】
少なくとも1つの実施形態において、コンピューティングデバイス22は、本明細書で説明される不整脈に関係する心拍34を分類するための例示的な方法を実施するのに必要なハードウェア及びソフトウェアを含む。さらに、少なくとも1つの実施形態において、コンピューティングデバイス22は、本明細書で説明される不整脈に関係する心拍34を分類するための例示的な方法を実施するように互いに協調して選択的に動作する複数のコンピューティングデバイスを備える。少なくとも1つの実施形態において、コンピューティングデバイス22は、コンピューティングデバイス22上のメモリ42にローカルに常駐するユーザアプリケーション40を提供し、ユーザアプリケーション40は、さらに後述するように、少なくとも1つの拍動検出器24、分類器26、及び比較データベース30のそれぞれと選択的に通信するように構成される。「メモリ」という用語は、ローカルハードドライブ、RAM、フラッシュメモリ、セキュアデジタル(「SD」)カード、外部記憶装置、ネットワーク又はクラウド記憶装置、集積回路などの現在公知の又は後で開発されるあらゆるタイプの電子記憶媒体(又は記憶媒体の組み合わせ)を含むように意図されることに留意されたい。少なくとも1つの実施形態において、コンピューティングデバイス22は、詳細に後述するように、分類データを表示するように構成された少なくとも1つのディスプレイ画面44を提供する。
【0017】
使用中に、少なくとも1つの実施形態において、システム20は、ECG記録32の少なくとも1つの誘導から抽出したデータに基づいて不整脈に関係する心拍34を分類することができる。少なくとも1つの実施形態において、図3の流れ図で例示されるように、少なくとも1つの分類器26が最初に適切にトレーニングされる。少なくとも1つのこのような実施形態において、コンピューティングデバイス22のユーザアプリケーション40が、少なくとも1つの比較データベース30のうちの第1の比較データベースにアクセスし(302)、少なくとも1つの比較データベース30におけるセットkの第1のECG記録32に移行し(304)、ECG記録32を適切な共通のサンプリングレートにリサンプリングする(306)。少なくとも1つの実施形態において、共通のサンプリングレートは250Hzである。しかしながら、さらなる実施形態では、共通のサンプリングレートは、現在公知の又は後で決定される任意の他のサンプリングレートであってよい。少なくとも1つの実施形態において、ECG記録32は、ECG記録32を共通のサンプリングレートに補間することによってリサンプリングされる。ECG記録32のオリジナルのサンプリングレートが既に共通のサンプリングレートである場合、この特定のステップはスキップされてよいことに留意されたい。少なくとも1つの実施形態において、ECG記録32に関連する心拍34の時間位置36がサンプリングされた単位の場合、時間位置36が時間単位に変換される(308)。加えて、少なくとも1つの実施形態において、関連する拍動クラス38のそれぞれがバイナリ値に変換される(310)。少なくとも1つのこのような実施形態において、上室性のすべての心拍34(ANSI/AAMI EC57:1998規格の非異所性及び上室性異所性拍動のタイプに対応する「SVE」)は、「0」のバイナリ値を割り当てられ、心室性のすべての心拍34(ANSI/AAMI EC57:1998規格の心室性及び融合異所性拍動のタイプに対応する「VE」)は、「1」のバイナリ値を割り当てられる。システム20は、例示する目的で、心室性異所性心拍34を解析及び分類するように構成されるものとして本明細書で説明されるが、さらなる実施形態では、システム20は、本明細書で説明される方法を用いてECG記録32の少なくとも1つの誘導から抽出したデータに基づいて任意の他のタイプの不整脈に関係する心拍34を解析及び分類するように構成されてよいことに留意されたい。したがって、本発明は、心室性異所性心拍34のみに限定されるものとして読まれるべきではない。
【0018】
図3を引き続き参照すると、少なくとも1つの実施形態において、どの望ましくない高周波ノイズも除去し、且つベースラインを補正するべく、ECG記録32がフィルタされる(312)。少なくとも1つのこのような実施形態において、ユーザアプリケーション40は、0.5Hzのカットオフ周波数を有する2次バターワースハイパスフィルタ及び3デシベルで35Hzの12次有限インパルス応答フィルタを使用する。しかしながら、さらなる実施形態では、望ましくない高周波ノイズを除去し、且つECG記録32のベースラインを補正するための、現在公知の又は後で開発される、任意の他の手段及び/又は方法で代替されてよい。少なくとも1つの実施形態において、各心拍34の時間位置36が、前記心拍34のQRS複合における最大極値にあるよう調節される。調節された心拍34は、オリジナル位置の付近の小ウィンドウ内の矩形時間波形の最大ピークの位置に対応する(しかし、さらなる実施形態では、任意の他のポイントを選ぶことができる)。
【0019】
図3を引き続き参照すると、少なくとも1つの実施形態において、ユーザアプリケーション40は、次に、ECG記録32の少なくとも1つの誘導のそれぞれに関する誘導行列を構築する(400)。少なくとも1つの実施形態において、少なくとも1つのECG記録32のそれぞれは、誘導の離散セットj、すなわち、j=(1,2,...,nblead)を含み、ここで、nbleadは、関連するECG記録32における誘導の数である。もう少し詳細には、少なくとも1つのこのような実施形態において、誘導行列は、式
【数1】
を用いて構築され、各列(すなわち、特徴)は、SVE心拍又はVE心拍34をより良好に区別するためにユーザアプリケーション40が用いることもできる特徴を表す。少なくとも1つの実施形態において、誘導行列は一連のステップで構築される。もう少し詳細には、図4の流れ図で例示されるように、少なくとも1つのこのような実施形態において、コンピューティングデバイス22のユーザアプリケーション40は、現在のECG記録32における第1の誘導jに移行し(402)、誘導は、例えば10分又は500心拍などの所定の時間的長さ又は持続時間の複数の重複しないセグメントpへ分割される(404)(しかし、さらなる実施形態では、任意の他の所定の時間的長さが代替され得る)。少なくとも1つの代替的な実施形態において、誘導は、例えば10分又は500心拍などの所定の時間的長さ又は持続時間の複数の重複するセグメントpへ分割され、この場合、各セグメントpは、T秒(例えばT=10)又はH心拍(例えばH=10)毎などの所定の頻度で取り込まれる。言い換えれば、このような実施形態では、セグメントpは、所定の時間的長さ又は持続時間のスライディングウィンドウである。次いで、詳細に後述するように、各誘導の心拍34の特徴が連続して計算される、すなわち、
【数2】
。したがって、p=1,...,Mである、Dは、ECG誘導が分割される所定の時間的長さのp個のセグメント内の新しい心拍34の特徴のみを含み、そのサイズは、[p個のセグメントでの誘導の新しい心拍34の数×特徴]である。したがって、例えば、pが重複しないセグメントである場合、D=[p個のセグメントでの誘導の心拍34の数×特徴]である。p個の重複するセグメントを用いる少なくとも1つの代替的な実施形態では、D=[p個のセグメントでの最後のH心拍34×特徴]である、すなわち、このときp個のセグメントがスライディングウィンドウで定義されるので、最後のH心拍に関する特徴のみが計算される。少なくとも1つの実施形態において、重複しないセグメントを用いるときに、誘導行列の各行は、関連する誘導の連続する心拍34iに対応する。言い換えれば、このような実施形態では、誘導行列の各行は、関連する誘導の1つの心拍34を表す。したがって、図4の流れ図で例示されるように、少なくとも1つの実施形態において、ユーザアプリケーション40は、現在の誘導の第1のセグメントpに移行し(406)、関連するセグメントの各心拍34に関して、ユーザアプリケーション40は、前記心拍34に対応する新しい行を誘導行列に追加する(408)。図5の流れ図で例示されるように、セグメントの少なくとも1つの心拍34のそれぞれに関して、誘導行列の第1の列に、現在の心拍34と直前に先行する心拍34との間の拍動間隔(「RR」)がポピュレートされる(502)。拍動間隔は、誘導内の連続する心拍34間の時間間隔であり、この場合、RR(i)は、所与の心拍34iと直前に先行する心拍34(i-1)との時間差に対応する。少なくとも1つの実施形態において、拍動間隔が心拍34の相対的な時間位置36から計算されると仮定すると、誘導の第1の心拍34のRRがゼロに設定される。少なくとも1つのさらなる実施形態において、特徴に関係した拍動間隔が、前RR、後RR、RR過去平均、すなわち、mean(RR(1:-1:セグメント))、又は、隣接するRR値間の連続する差、すなわち、前RR-後RRの標準偏差のうちの1つ又は複数に基づいて計算される。誘導行列の第2の列に、現在の心拍34と直後に後続する心拍34との間の拍動間隔がポピュレートされる(504)。少なくとも1つのこのような実施形態において、誘導の最後の心拍34に関する第2の列の値がゼロに設定される。誘導行列の第3の列に、例えば500の先行する心拍34などの、現在の心拍34に対する誘導の所定数の先行する心拍34にわたって計算した間隔の平均値がポピュレートされる(506)(しかし、さらなる実施形態では、任意の他の所定数の先行及び後続する心拍34で代替されてよい)。少なくとも1つのこのような実施形態において、誘導の最初の500の心拍34に関して、間隔の平均値は、利用可能な拍動間隔のみを考慮に入れる。
【0020】
図5を引き続き参照すると、少なくとも1つの実施形態において、ユーザアプリケーション40は、拍動行列を定義(508)し、この場合、拍動行列の各行は、各心拍34の時間位置36の付近の所定の時間的長さ(例えば520ミリ秒などの)のウィンドウ内の関連するセグメントpでの連続する心拍34に対応する。より少し詳細には、少なくとも1つのこのような実施形態において、拍動行列は、式Beat=[nbBeats(p)×nbsamples]を用いて定義され、式中、nbBeats(p)は、セグメントpでの検出される心拍34の数であり、nbsamplesは、所与の心拍34の位置の付近でユーザアプリケーション40によりとられるサンプルの数である。少なくとも1つの実施形態において、とられるサンプルの数は、心拍34の基準点の直前に先行する50サンプルと、心拍34の基準点の直後の80サンプルとの、130である。しかしながら、さらなる実施形態では、任意の他のサンプルの数で代替されてよい。拍動行列が定義されると、拍動行列が正規化され(「Beatnorm」)、したがって、拍動行列のすべての行が、平均値ゼロ及び標準偏差1を有するように正規化される(510)。そこから、少なくとも1つの実施形態において、誘導行列の第4の列に、式mean(Beatnorm(i,:))を用いて、正規化された拍動行列の対応する行の二乗の平均、すなわち、520ミリ秒ウィンドウ内の心拍34の領域の推定がポピュレートされる(512)。加えて、誘導行列の第5の列に、式mean((Beat’norm(i,:)))を用いて、正規化された拍動行列の対応する行の導関数の二乗の平均、すなわち、変化率の粗推定がポピュレートされる(514)。
【0021】
図5を引き続き参照すると、少なくとも1つの実施形態において、ユーザアプリケーション40は、第4の列の値と第5の列の値との相対的に最も低い比を有する正規化された拍動行列の行間の平均を計算することにより基準拍動を生成する(516)。次いで、誘導行列の第6の列に、式mean(Ref)を用いて、例えば520ミリ秒などの所定の時間的長さのウィンドウにわたる基準拍動の二乗の平均がポピュレートされる(518)。加えて、誘導行列の第7の列に、式mean((Ref’))を用いて、例えば520ミリ秒などの所定の時間的長さのウィンドウにわたる基準拍動の導関数の二乗の平均がポピュレートされる(520)。
【0022】
図5を引き続き参照すると、少なくとも1つの実施形態において、ユーザアプリケーション40は、以下の相関係数の式を用いて、誘導行列の第8の列、第9の列、第10の列、及び第11の列のそれぞれにポピュレートする:
【数3】
式中、総和Σは、520ミリ秒のウィンドウ(すなわち、所与の心拍34の前の50サンプルと後の80サンプルとの、130サンプル)にわたって実行される。少なくとも1つの実施形態において、第8の列に、基準拍動と対応する拍動行列の行との相関係数、すなわち、C(Ref,Beat(i))がポピュレートされる(522)。第9の列に、基準拍動の導関数と対応する拍動行列の行の導関数との相関係数、すなわち、C(Ref’,Beat(i)’)がポピュレートされる(524)。第10の列に、基準拍動の二乗と対応する拍動行列の行の二乗との相関係数、すなわち、C(Ref,Beat(i))がポピュレートされる(526)。第11の列に、基準拍動の導関数の二乗と対応する拍動行列の行の導関数の二乗との相関係数、すなわち、C((Ref’),(Beat(i)’))がポピュレートされる(528)。少なくとも1つの実施形態において、前述の列は、現在公知の又は後で考案される任意の他の順序で配列されてよいことに留意されたい。加えて、少なくとも1つの実施形態において、前述の列のうちの1つ又は複数は、誘導行列又は列から省略されてよく、他のインジケータを追加することができる。したがって、誘導行列の前述の構造は単なる例示である。
【0023】
図4を再び参照すると、少なくとも1つの実施形態において、ユーザアプリケーション40は、現在の誘導の次のセグメントpに移行し(412)、ステップ408及び500を繰り返す。このプロセスは、現在の誘導のすべてのセグメントpが処理される(410)まで繰り返され、すべてのセグメントpが処理された時点で、ユーザアプリケーション40は、ECG記録32の次の誘導jに移行し(416)、ステップ404~412を繰り返す。このプロセスは、現在のECG記録32のすべての誘導jが処理される(414)まで繰り返される。
【0024】
図3を再び参照すると、少なくとも1つの実施形態において、ユーザアプリケーション40は、少なくとも1つの比較データベース30におけるセットkのうちの次のECG記録32に移行し(316)、ステップ306~400を繰り返す。このプロセスは、少なくとも1つの比較データベース30におけるすべてのECG記録32が処理される(314)まで繰り返す。少なくとも1つの実施形態において、ユーザアプリケーション40は、このとき、各ECG記録32k及び対応する少なくとも1つの誘導jにつき1つの、[nbECG×nblead]誘導行列を生成している。少なくとも1つの実施形態において、ユーザアプリケーション40は、所与のECG記録32に関連する少なくとも1つの誘導行列、すなわち、
【数4】
を、誘導ごとに単一のECG行列へマージし(318)、したがって、各ECG記録32は、誘導ごとに対応する単一のECG行列、すなわち、
【数5】
によって表され、式中、j=1,…,nbleadであり、nbleadは、関連するECG記録32における誘導の数である。
【0025】
図3を引き続き参照すると、少なくとも1つの実施形態において、ユーザアプリケーション40は、次の比較データベース30に移行し(322)、ステップ304~318を繰り返す。このプロセスは、すべての比較データベース30が処理される(320)まで繰り返す。少なくとも1つの実施形態において、各心拍34は、関連する比較データベース30及び心拍34の誘導に従ってECG行列に編成される、d次元ベクトル、すなわち、d個の予測子又は特徴/列)として表される。少なくとも1つの実施形態において、各ECG行列のサイズは、[比較データベースの拍動の数×11]である。次いで、少なくとも1つのECG行列が、各拍動に関する適切なラベル(すなわち、それぞれSVEクラス及びVEクラスに関して0及び1)と共に、少なくとも1つの分類器26に送信され(324)、次に、分類器26は、ECG記録32の単一の誘導の未来の心拍34が上室性異所性(「SVE」)又は心室性異所性(「VE」)心拍34を含むかどうかを判定することができるように自身をトレーニングするのに少なくとも1つのベクトル行列を用いる(600)。少なくとも1つの実施形態において、このトレーニング手順(すなわち、ステップ302~322)は、所与の分類器26の寿命の中で一度だけ行われ、少なくとも1つの比較データベース30の使用は、トレーニング手順のためにのみ必要とされる。
【0026】
少なくとも1つの実施形態において、図6に例示されるように、ユーザアプリケーション40は、前述の誘導行列を構築するために用いられる方法と類似した方法を用いて、ECG記録32の単一の誘導の所与のセグメントを解析する。もう少し詳細には、少なくとも1つの実施形態において、ECG記録32の所与の誘導に関して、ECG誘導が分割される所定の時間的長さのp個のセグメント内の心拍34の特徴のみを含む、p=1,...,Mである、リアルタイム行列Dが構築され、そのサイズは、[p個のセグメントでの誘導の心拍34の数×特徴]である。ユーザアプリケーション40は、第1のセグメントを取り込み(602)、関連するセグメントの各心拍34に関して、ユーザアプリケーション40は、前記心拍34に対応する新しい行をリアルタイム行列に追加する(604)。セグメントでの少なくとも1つの心拍34のそれぞれに関して、ステップ502~528において前述したようにリアルタイム行列の列がポピュレートされる(500)。次いで、リアルタイム行列が、トレーニングされた少なくとも1つの分類器26に送信され、次に分類器26は、上室性異所性(「SVE」)又は心室性異所性(「VE」)心拍34を含むかどうかを判定するべくリアルタイム行列を解析する(606)。少なくとも1つの実施形態において、ECG記録32のさらなるセグメントを取り込む前に、ユーザアプリケーション40は、先行するセグメントの拍動間隔値の平均を計算し(610)、次いで、さらなるセグメントの長さ(すなわち、心拍ウィンドウ)を、計算した先行する拍動間隔の平均値の所定のパーセンテージとなるように調節し(612)、これにより、ユーザアプリケーション40は、この一般的方法に基づいて各セグメントのサイズ/長さを動的に調節することができる。次いで、さらなるセグメントが取り込まれ(614)、ステップ604~606が繰り返される。このプロセスは、誘導におけるすべてのセグメントpが処理される(608)まで繰り返される。
【0027】
少なくとも1つの実施形態において、少なくとも1つの分類器26は、リザーバーコンピューティング技術、具体的には、エコーステートネットワーク(「ESN」)を用いる。もう少し詳細には、ESNは、普通は「ニューロン」と呼ばれる内部ノード間の入力ウェイト及び接続ウェイトがランダムに生成され、固定された状態に保たれる、リカレントニューラルネットワークのアーキテクチャである。出力ウェイトだけが、(普通は)線形単回帰を用いて最適化される。ESNは、dの入力ノードを有するリカレント離散時間ニューラルネットワークであり、この場合、dは、入力スペース、N個の内部(リザーバ)ノード、及びl個の出力ノードの次元数である。入力ノードと内部ノードとの接続は、N×dの入力ウェイト行列Winにより与えられる。内部ノード間の接続は、N×Nの行列Wにより定義され、内部ノードから出力ノードへの接続は、N×lのウェイト出力行列Woutで与えられる。行列Win及びWは、ランダムであり、普通は[-1,1]にわたる一様分布から描かれる。この手法でトレーニングされる唯一のウェイトは、リザーバと出力との接続Woutに対応するものである。すべての内部ノードの状態r(n)が、式r(n)=F(γWinx(n)+βWr(n-1))に従って各時間ステップ(n)(これは各拍動を意味する)で更新され、式中、Fは、ESN活性化関数であり、x(n)は、入力(すなわち、リアルタイム行列又は誘導行列の行)であり、γは、入力スケーリングパラメータであり、βは、接続スケーリングファクタである。少なくとも1つの実施形態において、活性化関数としてシグモイド関数が用いられる。少なくとも1つのさらなる実施形態において、整流器などの他の活性化関数を用いることができる。
【0028】
少なくとも1つの実施形態において、式o(n)=Woutr(n)に従って期待される出力o(n)を計算するのに入力へのESNの応答r(n)が用いられ、式中、Woutは、ESNの出力ウェイトである。少なくとも1つの実施形態において、出力ウェイトは、トレーニング手順中に線形回帰法により計算される。少なくとも1つのこのような実施形態において、リングトポロジーを有する、すなわち、内部ノードが円形に編成されるESNが用いられる。このような実施形態において、接続行列は、もはやランダム行列ではなく、下副対角Wi+1,i=1及び右上隅W1,N=1でのみ非ゼロ要素を有し、式中、Nは、ネットワークにおけるノードの数である。入力次元数、したがって、入力ノードの数は、d=11である(特徴の数)。出力はバイナリスカラー(この実施形態では0又は1)であるため、出力ノードの数はl=1である。少なくとも1つの実施形態において、分類器26は、それぞれSVE’クラス及びVEクラスに関するバイナリ出力、すなわち、0及び1を必要とする分類タスクを取り扱う。したがって、期待される出力の式により与えられる連続する出力は、判定閾値によってバイナリ1に変換されなければならない。標準分類アルゴリズムは、一般に、0.5のデフォルトの判定閾値を用いる。
【0029】
少なくとも1つの実施形態において、リングESNでの通常のモデル構造の決定は、ネットワークサイズ(N)、入力接続行列Win、及びスケーリングパラメータγ及びβの設定を含む。これらのパラメータは、出力ウェイトと共に、少なくとも1つの分類器26をトレーニングする間に変化する。もう少し詳細には、少なくとも1つの実施形態において、システムは、ESNをトレーニングするのに少なくとも1つの比較データベース30からの心拍34を用いる。同じECG記録32からであるが異なる誘導からの心拍34は、トレーニングサンプルの数を増やすために独立した心拍34として取り扱われる。入力は、順次に、すなわち、一度に行列
【数6】
の1つの行がESNへ送られる。少なくとも1つの実施形態において、ネットワークサイズ(N)及びスケーリングパラメータγ及びβを設定するために、少なくとも1つの比較データベース30の心拍34がトレーニングのために用いられる。N、γ、及びβの同時の最適化は、非常に時間がかかり、非能率的であり得る。したがって、少なくとも1つの実施形態において、分類器は、最初に、内部ユニットの数Nを典型的な値(例えば400など)に固定し、ESNをγ=a/√dの少なくとも1つの比較データベース30の心拍34でトレーニングし、この場合、aは、0.25ずつ0.1~2で変化し、βは、0.1ずつ0.1~1で変化する。少なくとも1つの実施形態において、入力接続の疎性(sparsity)への望ましくない依存を回避するために、分類器は、10個の異なる入力ランダム行列Winの平均をとる。したがって、トレーニングは、異なるWinで10回繰り返される。次いで、分類器は、少なくとも1つの比較データベース30の検証セットでの10個の実現の最良の平均結果を与える組み合わせ(β&γ)をとる。その後、これらのβ及びγ値に関する最適なリザーバサイズNを見つけ出すのに同じ手順が用いられる。少なくとも1つの実施形態において、SVE’心拍34とVE心拍34との分類に関して、パラメータ値はN=200(ノードの数)であり、γ=1/√dであり、β=0.6である。dは、入力の次元、すなわち、例えば11などの、心拍34につき用いられる特徴の数であることに留意されたい。少なくとも1つの実施形態において、次いで、最適な出力接続が決定される。ESNは、線形単回帰によりウェイトWoutを得るべくこれらのパラメータでトレーニングされる。このプロセスは10回繰り返され、各繰り返しは、新しいランダムに生成された入力行列Winを有する。したがって、少なくとも1つの実施形態において、少なくとも1つの分類器26は、ECG記録32の単一の誘導の少なくとも1つのセグメントに含まれる情報を用いて、SVE’心拍34とVE心拍34を区別することができる。
【0030】
本明細書の態様は、以下のようにも説明され得る:
【0031】
1.少なくとも1つのECG記録の少なくとも1つの誘導により取り込まれる場合のユーザの心臓活動に関連する少なくとも1つの生体信号に基づいてユーザの不整脈に関係する心拍を解析及び分類するための方法であって、少なくとも1つのコンピューティングデバイス上のメモリに常駐するユーザアプリケーションを実装するステップと、少なくとも1つのコンピューティングデバイスは、複数の心拍を表す少なくとも1つのECG記録を格納する少なくとも1つの比較データベースと選択的に通信し、各前記ECG記録は、各表される心拍に関連する時間位置及び拍動クラスを備え;ユーザの心臓活動に関連する少なくとも1つの誘導に対応するリアルタイム行列を構築するステップと、前記リアルタイム行列の少なくとも1つの行のそれぞれは、前記少なくとも1つの誘導の連続する少なくとも1つの心拍を表し、前記リアルタイム行列の少なくとも1つの列のそれぞれは、前記少なくとも1つの心拍の特徴を表し;前記少なくとも1つの誘導を所定の時間的長さの複数のセグメントへ分割するステップと;少なくとも1つのセグメントのそれぞれに関して:拍動行列を定義するステップと、前記拍動行列の少なくとも1つの行のそれぞれは、前記セグメントの連続する少なくとも1つの心拍を表し、前記拍動行列の少なくとも1つの列のそれぞれは、前記少なくとも1つの心拍の時間位置の付近でとった前記ECG記録の少なくとも1つのサンプルを表し;拍動行列を前記拍動行列のすべての行が平均値0及び標準偏差1を有するように正規化するステップと;前記セグメント内の少なくとも1つの心拍のそれぞれに関して:前記心拍に関する行をリアルタイム行列に追加するステップと;リアルタイム行列の第1の列に、前記心拍と直前に先行する心拍との間の拍動間隔をポピュレートするステップと;リアルタイム行列の第2の列に、前記心拍と直後に後続する心拍との間の拍動間隔をポピュレートするステップと;リアルタイム行列の第3の列に、前記心拍に対する所定数の先行及び後続する心拍にわたって計算した間隔平均値をポピュレートするステップと;リアルタイム行列の第4の列に、前記心拍に対応する正規化された拍動行列の行の二乗の平均をポピュレートするステップと;リアルタイム行列の第5の列に、前記心拍に対応する正規化された拍動行列の行の導関数の二乗の平均をポピュレートするステップと;第4の列の値と第5の列の値との相対的に最も低い比を有する拍動行列の行間の平均を計算することにより基準拍動を決定するステップと;リアルタイム行列の第6の列に、基準拍動の二乗の平均をポピュレートするステップと;リアルタイム行列の第7の列に、基準拍動の導関数の二乗の平均をポピュレートするステップと;リアルタイム行列の第8の列に、基準拍動と前記心拍に対応する拍動行列の行との相関係数をポピュレートするステップと;リアルタイム行列の第9の列に、基準拍動の導関数と前記心拍に対応する拍動行列の行の導関数との相関係数をポピュレートするステップと;リアルタイム行列の第10の列に、基準拍動の二乗と前記心拍に対応する拍動行列の行の二乗との相関係数をポピュレートするステップと;リアルタイム行列の第11の列に、基準拍動の導関数の二乗と前記心拍に対応する拍動行列の行の導関数の二乗との相関係数をポピュレートするステップと;リアルタイム行列を、少なくとも1つのコンピューティングデバイスと選択的に通信する少なくとも1つの分類器に送信するステップと;前記セグメントが不整脈に関係する心拍を含むかどうかを判定するステップとを含む、方法。
【0032】
2.前記誘導を複数のセグメントへ分割するステップが、前記誘導を所定の時間的長さの複数の重複しないセグメントへ分割するステップをさらに含む、実施形態1に記載の方法。
【0033】
3.前記誘導を所定の時間的長さの複数の重複しないセグメントへ分割するステップが、前記誘導をそれぞれ10分の時間的長さを有する複数の重複しないセグメントへ分割するステップをさらに含む、実施形態1~実施形態2に記載の方法。
【0034】
4.前記誘導を複数のセグメントへ分割するステップが、前記誘導を所定の時間的長さの複数の重複するセグメントへ分割するステップをさらに含み、各セグメントは所定の頻度で取り込まれる、実施形態1~実施形態3に記載の方法。
【0035】
5.前記誘導を所定の時間的長さの複数の重複するセグメントへ分割するステップが、前記誘導をそれぞれ10分の時間的長さを有する複数の重複するセグメントへ分割するステップをさらに含む、実施形態1~実施形態4に記載の方法。
【0036】
6.前記誘導を複数のセグメントへ分割するステップが、少なくとも1つのセグメントのそれぞれに関して:所与のセグメントの少なくとも1つの拍動間隔値の平均値を計算するステップと、前記所与のセグメントの計算した拍動間隔の平均値の所定のパーセンテージに等しくなるように直後に後続するセグメントの長さを調節するステップとをさらに含む、実施形態1~実施形態5に記載の方法。
【0037】
7.少なくとも1つの分類器をトレーニングするステップをさらに含む、実施形態1~実施形態6に記載の方法。
【0038】
8.少なくとも1つの比較データベースのそれぞれに関して:前記比較データベースに格納された少なくとも1つのECG記録のそれぞれに関して:前記ECG記録の少なくとも1つの誘導のそれぞれに関して:誘導行列を定義するステップと、前記誘導行列の少なくとも1つの行のそれぞれは、前記ECG記録の連続する少なくとも1つの心拍を表し、前記誘導行列の少なくとも1つの列のそれぞれは、前記少なくとも1つの心拍の特徴を表し;前記誘導を所定の時間的長さの複数のセグメントへ分割するステップと;少なくとも1つのセグメントのそれぞれに関して:拍動行列を定義ステップと、前記拍動行列の少なくとも1つの行のそれぞれは、前記セグメントの連続する少なくとも1つの心拍を表し、前記拍動行列の少なくとも1つの列のそれぞれは、前記少なくとも1つの心拍の時間位置の付近でとった前記ECG記録の少なくとも1つのサンプルを表し;拍動行列を前記拍動行列のすべての行が平均値0及び標準偏差1を有するように正規化するステップと;前記セグメント内の少なくとも1つの心拍のそれぞれに関して:前記心拍に関する行を誘導行列に追加するステップと;誘導行列の第1の列に、前記心拍と直前に先行する心拍との間の拍動間隔をポピュレートするステップと;誘導行列の第2の列に、前記心拍と直後に後続する心拍との間の拍動間隔をポピュレートするステップと;誘導行列の第3の列に、前記心拍に対する所定数の先行及び後続する心拍にわたって計算した間隔平均値をポピュレートするステップと;誘導行列の第4の列に、前記心拍に対応する正規化された拍動行列の行の二乗の平均をポピュレートするステップと;誘導行列の第5の列に、前記心拍に対応する正規化された拍動行列の行の導関数の二乗の平均をポピュレートするステップと;第4の列の値と第5の列の値との相対的に最も低い比を有する拍動行列の行間の平均を計算することにより基準拍動を決定するステップと;誘導行列の第6の列に、基準拍動の二乗の平均をポピュレートするステップと;誘導行列の第7の列に、基準拍動の導関数の二乗の平均をポピュレートするステップと;誘導行列の第8の列に、基準拍動と前記心拍に対応する拍動行列の行との相関係数をポピュレートするステップと;誘導行列の第9の列に、基準拍動の導関数と前記心拍に対応する拍動行列の行の導関数との相関係数をポピュレートするステップと;誘導行列の第10の列に、基準拍動の二乗と前記心拍に対応する拍動行列の行の二乗との相関係数をポピュレートするステップと;誘導行列の第11の列に、基準拍動の導関数の二乗と前記心拍に対応する拍動行列の行の導関数の二乗との相関係数をポピュレーするステップと;少なくとも1つの誘導行列のそれぞれを、前記比較データベースに格納された少なくとも1つのECG記録に関連した単一のECG行列へマージするステップとをさらに含む、実施形態1~実施形態7に記載の方法。
【0039】
9.前記比較データベースに格納された少なくとも1つのECG記録のそれぞれに関して、前記ECG記録を適切な共通のサンプリングレートにリサンプリングするステップと、前記ECG記録の各表される心拍に関連する時間位置を時間単位に変換するステップと、前記ECG記録の各表される心拍に関連する拍動クラスをバイナリ値に変換するステップとをさらに含む、実施形態1~実施形態8に記載の方法。
【0040】
10.前記ECG記録を適切な共通のサンプリングレートにリサンプリングするステップが、前記ECG記録を250Hzにリサンプリングするステップをさらに含む、実施形態1~実施形態9に記載の方法。
【0041】
11.前記ECG記録の各表される心拍に関連する拍動クラスをバイナリ値に変換するステップが、所与の心拍が上室性を有すると判定すると、前記心拍に関する拍動クラスに0のバイナリ値を割り当てるステップと、所与の心拍が心室性を有すると判定すると、前記心拍に関する拍動クラスに1のバイナリ値を割り当てるステップとをさらに含む、実施形態1~実施形態10に記載の方法。
【0042】
12.前記比較データベースに格納された少なくとも1つのECG記録のそれぞれに関して、どの望ましくない高周波ノイズも除去し、且つ前記ECG記録のベースラインを補正するべく、前記ECG記録をフィルタリングするステップをさらに含む、実施形態1~実施形態11に記載の方法。
【0043】
13.前記ECG記録をフィルタリングするステップが、0.5Hzのカットオフ周波数を有する2次バターワースハイパスフィルタ及び3デシベルで35Hzの12次有限インパルス応答フィルタを用いて前記ECG記録をフィルタリングするステップをさらに含む、実施形態1~実施形態12に記載の方法。
【0044】
14.前記比較データベースに格納された少なくとも1つのECG記録のそれぞれに関して、前記ECG記録の各表される心拍に関連する時間位置を、前記心拍のQRS複合における最大極値にあるよう調節するステップをさらに含む、実施形態1~実施形態13に記載の方法。
【0045】
15.リアルタイム行列の第3の列にポピュレートするステップが、前記心拍に対する先行する10心拍及び後続する10心拍にわたって計算した間隔平均値を第3の列にポピュレートするステップをさらに含む、実施形態1~実施形態14に記載の方法。
【0046】
16.誘導行列の第3の列にポピュレートするステップが、前記心拍に対する先行する10心拍及び後続する10心拍にわたって計算した間隔平均値を第3の列にポピュレートするステップをさらに含む、実施形態1~実施形態15に記載の方法。
【0047】
17.拍動行列を定義するステップが、前記少なくとも1つの心拍の時間位置の付近の520ミリ秒のウィンドウ内でとった前記ECG記録の少なくとも1つのサンプルを拍動行列の列にポピュレートするステップをさらに含む、実施形態1~実施形態16に記載の方法。
【0048】
18.拍動行列を定義するステップが、前記少なくとも1つの心拍の時間位置の前にとった前記ECG記録の30サンプル及び前記少なくとも1つの心拍の時間位置の後にとった前記ECG記録の60サンプルを拍動行列の列にポピュレートするステップをさらに含む、実施形態1~実施形態17に記載の方法。
【0049】
19.リアルタイム行列の第6の列にポピュレートするステップが、520ミリ秒のウィンドウにわたる基準拍動の二乗の平均を第6の列にポピュレートするステップをさらに含む、実施形態1~実施形態18に記載の方法。
【0050】
20.誘導行列の第6の列にポピュレートするステップが、520ミリ秒のウィンドウにわたる基準拍動の二乗の平均を第6の列にポピュレートするステップをさらに含む、実施形態1~実施形態19に記載の方法。
【0051】
21.リアルタイム行列の第7の列にポピュレートするステップが、520ミリ秒のウィンドウにわたる基準拍動の導関数の二乗の平均を第7の列にポピュレートするステップをさらに含む、実施形態1~実施形態20に記載の方法。
【0052】
22.誘導行列の第7の列にポピュレートするステップが、520ミリ秒のウィンドウにわたる基準拍動の導関数の二乗の平均を第7の列にポピュレートするステップをさらに含む、実施形態1~実施形態21に記載の方法。
【0053】
23.少なくとも1つのECG記録の少なくとも1つの誘導により取り込まれる場合のユーザの心臓活動に関連する少なくとも1つの生体信号に基づいてユーザの不整脈に関係する心拍を解析及び分類するための方法であって、少なくとも1つのコンピューティングデバイス上のメモリに常駐するユーザアプリケーションを実装するステップと、少なくとも1つのコンピューティングデバイスは、複数の心拍を表す少なくとも1つのECG記録を格納する少なくとも1つの比較データベースと選択的に通信し、各前記ECG記録は、各表される心拍に関連する時間位置及び拍動クラスを備え;ユーザの心臓活動に関連する少なくとも1つの誘導に対応するリアルタイム行列を構築するステップと、前記リアルタイム行列の少なくとも1つの行のそれぞれは、前記少なくとも1つの誘導の連続する少なくとも1つの心拍を表し、前記リアルタイム行列の少なくとも1つの列のそれぞれは、前記少なくとも1つの心拍の特徴を表し;前記少なくとも1つの誘導を所定の時間的長さの複数のセグメントへ分割するステップと;少なくとも1つのセグメントのそれぞれに関して:拍動行列を定義するステップと、前記拍動行列の少なくとも1つの行のそれぞれは、前記セグメントの連続する少なくとも1つの心拍を表し、前記拍動行列の少なくとも1つの列のそれぞれは、前記少なくとも1つの心拍の時間位置の付近でとった前記ECG記録の少なくとも1つのサンプルを表し;拍動行列を前記拍動行列のすべての行が平均値0及び標準偏差1を有するように正規化するステップと;前記セグメント内の少なくとも1つの心拍のそれぞれに関して:前記心拍に関する行をリアルタイム行列に追加するステップと;リアルタイム行列の第1の列に、前記心拍と直前に先行する心拍との間の拍動間隔をポピュレートするステップと;リアルタイム行列の第2の列に、前記心拍と直後に後続する心拍との間の拍動間隔をポピュレートするステップと;リアルタイム行列の第3の列に、前記心拍に対する所定数の先行及び後続する心拍にわたって計算した間隔平均値をポピュレートするステップと;リアルタイム行列の第4の列に、前記心拍に対応する正規化された拍動行列の行の二乗の平均をポピュレートするステップと;リアルタイム行列の第5の列に、前記心拍に対応する正規化された拍動行列の行の導関数の二乗の平均をポピュレートするステップと;第4の列の値と第5の列の値との相対的に最も低い比を有する拍動行列の行間の平均を計算することにより基準拍動を決定するステップと;リアルタイム行列の第6の列に、基準拍動の二乗の平均をポピュレートするステップと;リアルタイム行列の第7の列に、基準拍動の導関数の二乗の平均をポピュレートするステップと;リアルタイム行列の第8の列に、基準拍動と前記心拍に対応する拍動行列の行との相関係数をポピュレートするステップと;リアルタイム行列の第9の列に、基準拍動の導関数と前記心拍に対応する拍動行列の行の導関数との相関係数をポピュレートするステップと;リアルタイム行列の第10の列に、基準拍動の二乗と前記心拍に対応する拍動行列の行の二乗との相関係数をポピュレートするステップと;リアルタイム行列の第11の列に、基準拍動の導関数の二乗と前記心拍に対応する拍動行列の行の導関数の二乗との相関係数をポピュレートするステップと;リアルタイム行列を、少なくとも1つのコンピューティングデバイスと選択的に通信する少なくとも1つの分類器に送信するステップと;前記セグメントが不整脈に関係する心拍を含むかどうかを判定するステップと;前記セグメントの少なくとも1つの拍動間隔値の平均値を計算するステップと;前記セグメントの計算した拍動間隔の平均値の所定のパーセンテージに等しくなるように直後に後続するセグメントの長さを調節するステップとを含む、方法。
【0054】
24.少なくとも1つのECG記録の少なくとも1つの誘導により取り込まれる場合のユーザの心臓活動に関連する少なくとも1つの生体信号に基づいてユーザの上室性異所性心拍及び心室性異所性心拍を解析及び分類するための不整脈検出システムであって、少なくとも1つのコンピューティングデバイスを備え、少なくとも1つのコンピューティングデバイスは、複数の心拍を表す少なくとも1つのECG記録を格納する少なくとも1つの比較データベースと選択的に通信し、各前記ECG記録は、各表される心拍に関連する時間位置及び拍動クラスを備え;少なくとも1つのコンピューティングデバイスがさらに、ユーザの心臓活動に関連する少なくとも1つの誘導に対応するリアルタイム行列を構築し、前記リアルタイム行列の少なくとも1つの行のそれぞれは、前記少なくとも1つの誘導の連続する少なくとも1つの心拍を表し、前記リアルタイム行列の少なくとも1つの列のそれぞれは、前記少なくとも1つの心拍の特徴を表し;前記少なくとも1つの誘導を所定の時間的長さの複数のセグメントへ分割し;少なくとも1つのセグメントのそれぞれに関して:拍動行列を定義し、前記拍動行列の少なくとも1つの行のそれぞれは、前記セグメントの連続する少なくとも1つの心拍を表し、前記拍動行列の少なくとも1つの列のそれぞれは、前記少なくとも1つの心拍の時間位置の付近でとった前記ECG記録の少なくとも1つのサンプルを表し;拍動行列を前記拍動行列のすべての行が平均値0及び標準偏差1を有するように正規化し;前記セグメント内の少なくとも1つの心拍のそれぞれに関して:前記心拍に関する行をリアルタイム行列に追加し;リアルタイム行列の第1の列に、前記心拍と直前に先行する心拍との間の拍動間隔をポピュレートし;リアルタイム行列の第2の列に、前記心拍と直後に後続する心拍との間の拍動間隔をポピュレートし;リアルタイム行列の第3の列に、前記心拍に対する所定数の先行及び後続する心拍にわたって計算した間隔平均値をポピュレートし;リアルタイム行列の第4の列に、前記心拍に対応する正規化された拍動行列の行の二乗の平均をポピュレートし;リアルタイム行列の第5の列に、前記心拍に対応する正規化された拍動行列の行の導関数の二乗の平均をポピュレートし;第4の列の値と第5の列の値との相対的に最も低い比を有する拍動行列の行間の平均を計算することにより基準拍動を決定し;リアルタイム行列の第6の列に、基準拍動の二乗の平均をポピュレートし;リアルタイム行列の第7の列に、基準拍動の導関数の二乗の平均をポピュレートし;リアルタイム行列の第8の列に、基準拍動と前記心拍に対応する拍動行列の行との相関係数をポピュレートし;リアルタイム行列の第9の列に、基準拍動の導関数と前記心拍に対応する拍動行列の行の導関数との相関係数をポピュレートし;リアルタイム行列の第10の列に、基準拍動の二乗と前記心拍に対応する拍動行列の行の二乗との相関係数をポピュレートし;リアルタイム行列の第11の列に、基準拍動の導関数の二乗と前記心拍に対応する拍動行列の行の導関数の二乗との相関係数をポピュレートし;リアルタイム行列を、少なくとも1つのコンピューティングデバイスと選択的に通信する少なくとも1つの分類器に送信し;前記セグメントが不整脈に関係する心拍を含むかどうかを判定するように構成される、システム。
【0055】
25.複数のセグメントが、所定の時間的長さの重複しないセグメントである、実施形態24に記載の不整脈検出システム。
【0056】
26.重複しないセグメントのそれぞれが10分の時間的長さを有する、実施形態24~実施形態25に記載の不整脈検出システム。
【0057】
27.複数のセグメントが、所定の時間的長さの重複するセグメントであり、各セグメントは所定の頻度で取り込まれる、実施形態24~実施形態26に記載の不整脈検出システム。
【0058】
28.重複するセグメントのそれぞれが10分の時間的長さを有する、実施形態24~実施形態27に記載の不整脈検出システム。
【0059】
29.前記誘導を複数のセグメントへ分割する際に、少なくとも1つのコンピューティングデバイスがさらに、少なくとも1つのセグメントのそれぞれに関して:所与のセグメントの少なくとも1つの拍動間隔の平均値を計算し、前記所与のセグメントの計算した拍動間隔の平均値の所定のパーセンテージに等しくなるように直後に後続するセグメントの長さを調節するように構成される、実施形態24~実施形態28に記載の不整脈検出システム。
【0060】
30.少なくとも1つのコンピューティングデバイスがさらに、少なくとも1つの分類器をトレーニングするように構成される、実施形態24~実施形態29に記載の不整脈検出システム。
【0061】
31.少なくとも1つのコンピューティングデバイスがさらに、少なくとも1つの比較データベースのそれぞれに関して:前記比較データベースに格納された少なくとも1つのECG記録のそれぞれに関して:前記ECG記録の少なくとも1つの誘導のそれぞれに関して:誘導行列を定義し、前記誘導行列の少なくとも1つの行のそれぞれは、前記ECG記録の連続する少なくとも1つの心拍を表し、前記誘導行列の少なくとも1つの列のそれぞれは、前記少なくとも1つの心拍の特徴を表し;前記誘導を所定の時間的長さの複数のセグメントへ分割し;少なくとも1つのセグメントのそれぞれに関して:拍動行列を定義し、前記拍動行列の少なくとも1つの行のそれぞれは、前記セグメントの連続する少なくとも1つの心拍を表し、前記拍動行列の少なくとも1つの列のそれぞれは、前記少なくとも1つの心拍の時間位置の付近でとった前記ECG記録の少なくとも1つのサンプルを表し;拍動行列を前記拍動行列のすべての行が平均値0及び標準偏差1を有するように正規化し;前記セグメント内の少なくとも1つの心拍のそれぞれに関して:前記心拍に関する行を誘導行列に追加し;誘導行列の第1の列に、前記心拍と直前に先行する心拍との間の拍動間隔をポピュレートし;誘導行列の第2の列に、前記心拍と直後に後続する心拍との間の拍動間隔をポピュレートし;誘導行列の第3の列に、前記心拍に対する所定数の先行及び後続する心拍にわたって計算した間隔平均値をポピュレートし;誘導行列の第4の列に、前記心拍に対応する正規化された拍動行列の行の二乗の平均をポピュレートし;誘導行列の第5の列に、前記心拍に対応する正規化された拍動行列の行の導関数の二乗の平均をポピュレートし;第4の列の値と第5の列の値との相対的に最も低い比を有する拍動行列の行間の平均を計算することにより基準拍動を決定し;誘導行列の第6の列に、基準拍動の二乗の平均をポピュレートし;誘導行列の第7の列に、基準拍動の導関数の二乗の平均をポピュレートし;誘導行列の第8の列に、基準拍動と前記心拍に対応する拍動行列の行との相関係数をポピュレートし;誘導行列の第9の列に、基準拍動の導関数と前記心拍に対応する拍動行列の行の導関数との相関係数をポピュレートし;誘導行列の第10の列に、基準拍動の二乗と前記心拍に対応する拍動行列の行の二乗との相関係数をポピュレートし;誘導行列の第11の列に、基準拍動の導関数の二乗と前記心拍に対応する拍動行列の行の導関数の二乗との相関係数をポピュレートし;少なくとも1つの誘導行列のそれぞれを、前記比較データベースに格納された少なくとも1つのECG記録に関連した単一のECG行列へマージするように構成される、実施形態24~実施形態30に記載の不整脈検出システム。
【0062】
32.少なくとも1つのコンピューティングデバイスがさらに、前記比較データベースに格納された少なくとも1つのECG記録のそれぞれに関して、前記ECG記録を適切な共通のサンプリングレートにリサンプリングし、前記ECG記録の各表される心拍に関連する時間位置を時間単位に変換し、前記ECG記録の各表される心拍に関連する拍動クラスをバイナリ値に変換するように構成される、実施形態24~実施形態31に記載の不整脈検出システム。
【0063】
33.前記ECG記録を適切な共通のサンプリングレートにリサンプリングする際に、少なくとも1つのコンピューティングデバイスがさらに、前記ECG記録を250Hzにリサンプリングするように構成される、実施形態24~実施形態32に記載の不整脈検出システム。
【0064】
34.前記ECG記録の各表される心拍に関連する拍動クラスをバイナリ値に変換する際に、少なくとも1つのコンピューティングデバイスがさらに、所与の心拍が上室性を有すると判定すると、前記心拍に関する拍動クラスに0のバイナリ値を割り当て、所与の心拍が心室性を有すると判定すると、前記心拍に関する拍動クラスに1のバイナリ値を割り当てるように構成される、実施形態24~実施形態33に記載の不整脈検出システム。
【0065】
35.少なくとも1つのコンピューティングデバイスがさらに、前記比較データベースに格納された少なくとも1つのECG記録のそれぞれに関して、どの望ましくない高周波ノイズも除去し、且つ前記ECG記録のベースラインを補正するべく、前記ECG記録をフィルタリングするように構成される、実施形態24~実施形態34に記載の不整脈検出システム。
【0066】
36.前記ECG記録をフィルタリングする際に、少なくとも1つのコンピューティングデバイスがさらに、0.5Hzのカットオフ周波数を有する2次バターワースハイパスフィルタ及び3デシベルで35Hzの12次有限インパルス応答フィルタを用いて前記ECG記録をフィルタリングするように構成される、実施形態24~実施形態35に記載の不整脈検出システム。
【0067】
37.少なくとも1つのコンピューティングデバイスがさらに、前記比較データベースに格納された少なくとも1つのECG記録のそれぞれに関して、前記ECG記録の各表される心拍に関連する時間位置を、前記心拍のQRS複合における最大極値にあるよう調節するように構成される、実施形態24~実施形態36に記載の不整脈検出システム。
【0068】
38.リアルタイム行列の第3の列にポピュレートする際に、少なくとも1つのコンピューティングデバイスがさらに、前記心拍に対する先行する10心拍及び後続する10心拍にわたって計算した間隔平均値を第3の列にポピュレートするように構成される、実施形態24~実施形態37に記載の不整脈検出システム。
【0069】
39.誘導行列の第3の列にポピュレートする際に、少なくとも1つのコンピューティングデバイスがさらに、前記心拍に対する先行する10心拍及び後続する10心拍にわたって計算した間隔平均値を第3の列にポピュレートするように構成される、実施形態24~実施形態38に記載の不整脈検出システム。
【0070】
40.拍動行列を定義する際に、少なくとも1つのコンピューティングデバイスがさらに、前記少なくとも1つの心拍の時間位置の付近の520ミリ秒のウィンドウ内でとった前記ECG記録の少なくとも1つのサンプルを拍動行列の列にポピュレートするように構成される、実施形態24~実施形態39に記載の不整脈検出システム。
【0071】
41.拍動行列を定義する際に、少なくとも1つのコンピューティングデバイスがさらに、前記少なくとも1つの心拍の時間位置の前にとった前記ECG記録の30サンプル及び前記少なくとも1つの心拍の時間位置の後にとった前記ECG記録の60サンプルを拍動行列の列にポピュレートするように構成される、実施形態24~実施形態40に記載の不整脈検出システム。
【0072】
42.リアルタイム行列の第6の列にポピュレートする際に、少なくとも1つのコンピューティングデバイスがさらに、520ミリ秒のウィンドウにわたる基準拍動の二乗の平均を第6の列にポピュレートするように構成される、実施形態24~実施形態41に記載の不整脈検出システム。
【0073】
43.誘導行列の第6の列にポピュレートする際に、少なくとも1つのコンピューティングデバイスがさらに、520ミリ秒のウィンドウにわたる基準拍動の二乗の平均を第6の列にポピュレートするように構成される、実施形態24~実施形態42に記載の不整脈検出システム。
【0074】
44.リアルタイム行列の第7の列にポピュレートする際に、少なくとも1つのコンピューティングデバイスがさらに、520ミリ秒のウィンドウにわたる基準拍動の導関数の二乗の平均を第7の列にポピュレートするように構成される、実施形態24~実施形態43に記載の不整脈検出システム。
【0075】
45.誘導行列の第7の列にポピュレートする際に、少なくとも1つのコンピューティングデバイスがさらに、520ミリ秒のウィンドウにわたる基準拍動の導関数の二乗の平均を第7の列にポピュレートするように構成される、実施形態24~実施形態44に記載の不整脈検出システム。
【0076】
最後に、本明細書で図示及び説明された本発明の例示的な実施形態に関して、ECG記録の少なくとも1つの誘導から抽出したデータに基づいて上室性異所性心拍及び心室性異所性心拍を分類するように構成された不整脈検出システム及び関連する使用方法が開示されることが理解されるであろう。本発明の原理は図示及び説明された構成以外のいくつかの構成で実施され得るので、本発明は、例示的な実施形態によって多少なりとも制限されないが不整脈検出システムに概して向けられており、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、そうするために多くの形態をとることができることが理解される。本発明は、開示された構成の特定の幾何学的形状及び材料に限定されず、代わりに、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、現在公知の又は後で開発される他の機能的に同等の構造又は材料を伴う場合があることも当業者には分かるであろう。
【0077】
本発明を実施するための発明者に既知のベストモードを含む本発明の特定の実施形態が本明細書で説明される。もちろん、上記の説明を読めば、これらの説明した実施形態の変形が当該技術分野の当業者には明らかとなるであろう。発明者は、当業者がこのような変形を適宜採用することを想定しており、発明者は、本発明が本明細書で具体的に説明した以外に実施されることを意図している。したがって、本発明は、準拠法により許されるような本明細書に付属の請求項に列挙された主題のすべての修正及び均等物を含む。さらに、本明細書で他に指定のない限り又は文脈により他に明らかに矛盾しない限り、そのすべての可能な変形の上での前述の実施形態の任意の組み合わせが本発明により包含される。
【0078】
本発明の代替的な実施形態、要素、又はステップのグループ化は、限定するものとして解釈されるべきではない。各グループメンバーは、個々に又は本明細書で開示されるグループの他のメンバーとの任意の組み合わせで言及及び特許請求することができる。便宜及び/又は特許性の理由で、1つ以上のグループメンバーが含められる又は削除される場合があることが予想される。任意のこうした包含又は削除が行われるときに、本明細書は、付属の請求項において用いられるすべてのマーカッシュグループの記載要件を満たすものとして修正されたグループを含むとみなされる。
【0079】
特に指定のない限り、本明細書及び請求項で用いられる特徴、アイテム、量、パラメータ、特性、項などを表わすすべての数は、すべての事例において「約」という用語によって修飾されると理解される。本明細書で用いられる場合の「約」という用語は、そのように修飾された特徴、アイテム、量、パラメータ、特性、又は項が、表記された特徴、アイテム、量、パラメータ、特性、又は項の値よりも上又は下の+又は-10パーセントの範囲を包含することを意味する。したがって、それと反対の記載のない限り、本明細書及び付属の請求項に記載の数値パラメータは、変化し得る近似値である。最低限でも、特許請求の範囲への均等論の適用を制限する試みとしてではなく、各数値表示は、少なくとも、報告された有効数字の数を考慮して、通常の丸め技術を適用することによって解釈されるべきである。本発明の広い範囲を記載する数値範囲及び値は近似値であるにもかかわらず、具体例に記載の数値範囲および値は可能な限り正確に報告されている。しかしながら、いずれの数値範囲又は値も、必然的に、それらのそれぞれの試験測定において見出される標準偏差に起因するある程度の誤差を本質的に含む。本明細書での数値範囲の値の列挙は、該範囲内に入る各々の別個の数値を個々に参照する簡潔な方法として役立つことを単に意図している。本明細書で特に指定のない限り、各々の個々の数値は、個々に本明細書に列挙されたかのように本明細書に組み入れられる。
【0080】
実施形態又は実施形態の態様に関連しての「~であり得る(may)」又は「~することがある(can)」という用語の使用はまた、「~でなくてもよい(may not)」又は「~することはない(cannot)」の代替的な意味が付随する。したがって、実施形態又は実施形態の態様が発明的な主題の一部として含まれ得る又は含まれることがあることを本明細書が開示する場合、実施形態又は実施形態の態様が発明的な主題の一部として含まれ得ない又は含まれることはないことを意味する否定的な限定又は排他的な条件も明示的に意味する。同様の様態で、実施形態又は実施形態の態様に関連しての「随意的に」という用語の使用は、このような実施形態又は実施形態の態様が発明的な主題の一部として含まれ得る又は発明的な主題の一部として含まれ得ないことを意味する。このような否定的な限定又は排他的な条件が適用されるかどうかは、否定的な限定又は排他的な条件が特許請求される主題において列挙されたかどうかに基づくことになる。
【0081】
本発明を説明する文脈において(特に以下の請求項の文脈において)用いられる「1つの(a、an)」、「その(the)」という用語及びそれに類似の言及は、本明細書で特に指定のない限り又は文脈により明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方を包含すると解釈される。さらに、識別された要素に関する「第1の」、「第2の」、「第3の」などの順序表示は、要素を区別するのに用いられ、このような要素の必要とされる又は限定される数を示す又は示唆するものではなく、他に特に明記されない限りこのような要素の特定の位置又は順序を示すものではない。本明細書に記載のすべての方法は、本明細書で特に指定のない限り又は特に文脈により明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書で提供されたあらゆるすべての実施例、又は例示的な言葉(例えば「などの」)の使用は、単に本発明をより良く解明することを意図しており、別途特許請求される本発明の範囲に制限を課すものではない。本明細書にない言葉は、本発明の実施に必須のあらゆる特許請求されない要素を示すと解釈されるべきである。
【0082】
請求項で用いられるときの、出願時の又は補正により追加された、オープンエンドの移行語「備える(comprising)」(「含む(including)」、「格納する(containing)」、及び「有する(having)」などのその均等なオープンエンドの移行句と共に)は、単独で、又は列挙されていない主題と組み合わせて、すべての明確に列挙された要素、制限、ステップ、及び/又は特徴を包含し、記載した要素、制限、及び/又は特徴は必須であるが、他の記載していない要素、制限、及び/又は特徴が追加され、さらには請求項の範囲内で構造をなし得る。本明細書で開示された具体的な実施形態は、「備える」の代わりに又は補正として、クローズドエンドの移行句「~からなる」又は「本質的に~からなる」を用いて請求項においてさらに制限され得る。請求項で用いられるときの、出願時の又は補正により追加された、クローズドエンドの移行句「~からなる」は、請求項に明確に列挙されないどの要素、制限、ステップ、又は特徴も除外する。クローズドエンドの移行句「本質的に~からなる」は、明確に列挙された要素、制限、ステップ、及び/又は特徴、並びに、特許請求される主題の基本的な及び新規な特徴に本質的に影響を及ぼさない任意の他の要素、制限、ステップ、及び/又は特徴に請求項の範囲を制限する。したがって、オープンエンドの移行句「備える」の意味は、すべての具体的に列挙された要素、制限、ステップ、及び/又は特徴、並びに任意の随意的なさらなる未指定のものを包含するものとして定義される。クローズドエンドの移行句「~からなる」の意味は、請求項に具体的に列挙されたこれらの要素、制限、ステップ、及び/又は特徴のみを含むものとして定義され、一方、クローズドエンドの移行句「本質的に~からなる」の意味は、請求項に具体的に列挙されたこれらの要素、制限、ステップ、及び/又は特徴、並びに特許請求される主題の基本的な及び新規な特徴に本質的に影響を及ぼさないこれらの要素、制限、ステップ、及び/又は特徴のみを含むものとして定義される。したがって、オープンエンドの移行句「備える」(その均等なオープンエンドの移行句と共に)は、その意味の中に、限定する場合として、クローズドエンドの移行句「~からなる」又は「本質的に~からなる」により指定される特許請求される主題を含む。したがって、文言「備える」で本明細書で説明される又はそのように特許請求される実施形態は、文言「本質的に~からなる」及び「~からなる」で、本明細書で明確に又は本質的に明らかに説明され、可能にされ、サポートされる。
【0083】
本明細書で参照及び特定されるすべての特許、特許公開、及び他の刊行物、例えば、本発明と組み合わせて用いられ得るこのような刊行物で説明される組成物及び方法論は、説明及び開示する目的でそれらの全体が参照により本明細書に個々に明確に組み込まれる。これらの刊行物は、本出願の出願日よりも前のそれらの開示のためだけに提供される。これに関して、先行発明のおかげで又はあらゆる他の理由で発明者がこのような開示に先行する権利を持たないことの自認として解釈されるべきものは何もない。日付についてのすべての文又はこれらの文書の内容についての表現は、出願人が入手可能な情報に基づいており、これらの文書の日付又は内容の正確性についてのどのような自認もなさない。
【0084】
各方法のそれぞれの要素が行われる論理コード、プログラム、モジュール、プロセス、方法、及び順序は、単なる例示であることを理解されたい。実装に応じて、それらは、本開示で他に示されない限り、どのような順序で又は並行して行われてもよい。さらに、論理コードは、どの特定のプログラミング言語にも関係しておらず又は限定されず、分散環境、非分散環境、又は多重処理環境において1つ又は複数のプロセッサ上で実行する1つ又は複数のモジュールを含む場合がある。
【0085】
前述の方法は、集積回路チップの製作に用いられてよい。結果的に得られる集積回路チップは、生のウェーハの形態で(すなわち、複数のパッケージされていないチップを有する単一のウェーハとして)、裸のダイとして、又はパッケージされた形態で、製作者が流通させることができる。後者の場合、チップは、単一のチップパッケージ(マザーボード又は他のより高レベルのキャリアに取り付けられる導線と共に、プラスチックキャリアなど)に又はマルチチップパッケージ(表面相互接続又は埋込相互接続のいずれか又はこの両方を有するセラミックキャリアなど)にマウントされる。いずれにしても、チップは、次いで、(a)マザーボードなどの中間製品、又は(b)最終製品、のいずれかの一部として、他のチップ、個別の回路素子、及び/又は他の信号処理デバイスと一体化される。最終製品は、玩具及び他の下位用途から、ディスプレイ、キーボード、又は他の入力デバイス、及び中央プロセッサを有する高度なコンピュータ製品に至るまでの、集積回路チップを含むどの製品とすることもできる。
【0086】
本発明の態様が少なくとも1つの例示的な実施形態を参照して説明されているが、本発明はそれに限定されないことが当業者にははっきりと理解されるであろう。むしろ、本発明の範囲は付属の請求項と併せてのみ解釈されるべきであり、特許請求される主題が本発明であると発明者が信じていることがここで明らかにされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6