(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】画像データを取得する際の電磁干渉を軽減するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G01T 1/17 20060101AFI20220808BHJP
A61B 6/00 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
G01T1/17 C
A61B6/00 300S
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020040757
(22)【出願日】2020-03-10
【審査請求日】2020-12-22
(32)【優先日】2019-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】319011672
【氏名又は名称】ジーイー・プレシジョン・ヘルスケア・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】マヘシュ・ラマン・ナラヤナサミー
(72)【発明者】
【氏名】キャサリン・ノエル・ベイリー
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・ジョン・クラーク
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・アラン・カウツァー
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス・アルバグリ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・ランゲ
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0275569(US,A1)
【文献】特開2012-119770(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/17
A61B 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁干渉(EMI)信号のEMI周波数を得て、
スキャンを開始するための信号を受信し、
EMIノイズがオフセット画像および読み取り画像の取得中に同じ位相にあることを確認して前記EMIノイズの減算を可能にし、
前記スキャンを開始する
ように構成された制御回路(36)
を備え、
前記制御回路(36)は、複数のEMI信号のそれぞれのEMI周波数を得て、前記スキャンの開始時間が前記複数のEMI信号の各それぞれの周期の倍数になるように前記それぞれのEMI周波数に基づいて前記スキャンを同期させるように構成され
、
前記制御回路(36)は、前記デジタルX線検出器(22)によって取得された1つまたは複数のオフセットスキャンからデータを抽出することによって前記EMI周波数を計算し、前記データを表す信号に対して高速フーリエ変換を実施し、前記信号の前記離散フーリエ変換(DFT)の周波数が特定のEMI周波数に等しいかどうかを決定するように構成される、デジタルX線検出器(22)。
【請求項2】
前記スキャンは、検出器回路をリセットするためのスクラブ(92、95)、またはX線画像データを取得するための読み取り(94、98)を含む、請求項1に記載のデジタルX線検出器(22)。
【請求項3】
前記制御回路(36)は、前記EMI周波数のユーザ入力を受信することを介して前記EMI周波数を得るように構成される、請求項1に記載のデジタルX線検出器(22)。
【請求項4】
前記制御回路(36)は、前記1つまたは複数のオフセットスキャンからデータを抽出することによって前記EMI周波数を計算し、前記データを表す信号に対して高速フーリエ変換を実施し、所定の周波数範囲内の前記信号の離散フーリエ変換(DFT)の周波数が定義された周波数閾値よりも大きいかどうかを決定するように構成される、請求項
1に記載のデジタルX線検出器(22)。
【請求項5】
前記制御回路(36)は、前記DFTの前記周波数が前記定義された周波数閾値よりも大きいときに前記EMI周波数を前記DFTの前記周波数として設定し、前記DFTの前記周波数が前記定義された周波数閾値よりも大きくないときに前記EMI周波数をゼロとして設定するように構成される、請求項
4に記載のデジタルX線検出器(22)。
【請求項6】
前記制御回路(36)は、前記DFTの前記周波数が前記特定のEMI周波数に等しいときに前記EMI周波数を前記DFTの前記周波数として設定し、前記DFTの前記周波数が前記特定のEMI周波数に等しくないときに前記EMI周波数をゼロとして設定するように構成される、請求項
1に記載のデジタルX線検出器(22)。
【請求項7】
デジタルX線検出器(22)を利用して、
電磁干渉(EMI)信号のEMI周波数を得て(134)、
スキャンを開始するための信号を受信し(138)、
EMIノイズがオフセット画像および読み取り画像の取得中に同じ位相にあることを確認して前記EMIノイズの減算を可能にし、
前記スキャンを開始する(142)
ことを含み、
前記EMI信号の前記EMI周波数を得ることは、前記EMI周波数のユーザ入力を受信すること(136)を含み、
前記EMI信号の前記EMI周波数を得ることは、更に、前記デジタルX線検出器(22)によって取得された1つまたは複数のオフセットスキャンからデータを抽出することによって前記EMI周波数を計算し、前記データを表す信号に対して高速フーリエ変換を実施し、前記信号の前記離散フーリエ変換(DFT)の周波数が特定のEMI周波数に等しいかどうかを決定すること(132)を含む、X線撮像方法(118、130、144)。
【請求項8】
前記スキャンは、検出器回路をリセットするためのスクラブ(92、95)、またはX線画像データを取得するための読み取り(94、98)を含む、請求項
7に記載の方法(118、130、144)。
【請求項9】
前記EMIノイズが前記オフセット画像および前記読み取り画像の取得中に前記同じ位相にあることを確認することは、前記スキャンの開始時間が前記EMI信号の周期の倍数になるように前記EMI周波数に基づいて前記スキャンを同期させること(122)を含む、請求項
7に記載の方法(118、130、144)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題は、一般に、デジタルX線撮像システムに関し、より具体的には、そのようなシステムでの画像取得中の電磁干渉(EMI)の影響を軽減するための技法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な設計の多数の放射線および蛍光透視撮像システムが知られており、現在使用されている。そのようなシステムは、一般に、関心のある対象に向けられるX線の生成に基づいている。X線は、対象を横断し、デジタル検出器またはイメージインテンシファイアに衝突する。例えば、医療の場面では、そのようなシステムを使用して内部の骨、組織、および臓器を視覚化し、患者の病気を診断および治療することができる。他の場面では、部品、手荷物、小包、および他の対象を撮像し、その内容を評価することができる。加えて、放射線および蛍光透視撮像システムを使用して、オブジェクトの構造的完全性を識別したり、他の目的に使用することができる。
【0003】
このようなX線システムは、対象の介在構造によって減衰、散乱、または吸収されるX線を検出するために、ソリッドステート検出器などのデジタル回路を使用することが増えている。そのようなX線システムを介して取得された生の画像データは、未補正のままにすると生の画像データに基づく再構成画像に視覚的アーチファクトをもたらす可能性がある、多数のアーチファクトまたは他の望ましくない要素を含み得ることが理解されよう。次に、これらの視覚的アーチファクトは、ユーザまたはコンピュータが画像の細部を認識する能力に悪影響を与える可能性がある。一部のアーチファクトは、撮像環境に電磁干渉(EMI)が存在することが原因であり得る。EMI源は、例えば、X線撮像システムの近傍で利用され得る様々な電気および電子構成要素を含む場合がある。したがって、画像取得中のEMIの影響を軽減するための改善されたアプローチが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2009/0290686号明細書
【発明の概要】
【0005】
最初に特許請求する主題の範囲に相応するある特定の実施形態を、以下に要約する。これらの実施形態は特許請求する主題の範囲を限定しようとするものではなく、むしろ、これらの実施形態は主題の可能性がある形式の概要を提供しようとするものにすぎない。実際、本主題は、以下に記載する実施形態に類似してもよく、または異なってもよい様々な形式を包含することができる。
【0006】
一実施形態によれば、デジタルX線検出器が提供される。デジタルX線検出器は、制御回路を含む。制御回路は、電磁干渉(EMI)信号のEMI周波数を得て、スキャンを開始するための信号を受信し、EMIノイズがオフセット画像および読み取り画像の取得中に同じ位相にあることを確認してEMIノイズの減算を可能にし、スキャンを開始するように構成される。
【0007】
別の実施形態によれば、X線撮像方法が提供される。方法は、デジタルX線検出器を利用して、電磁干渉(EMI)信号のEMI周波数を得て、スキャンを開始するための信号を受信し、EMIノイズがオフセット画像および読み取り画像の取得中に同じ位相にあることを確認してEMIノイズの減算を可能にし、スキャンを開始することを含む。
【0008】
さらなる実施形態によれば、撮像システムが提供される。撮像システムは、X線源と、デジタルX線検出器とを含む。撮像システムはまた、デジタルX線検出器を介して、電磁干渉(EMI)信号のEMI周波数を得て、スキャンを開始するための信号を受信し、EMIノイズがオフセット画像および読み取り画像の取得中に同じ位相にあることを確認してEMIノイズの減算を可能にし、スキャンを開始するように構成された制御回路を含む。
【0009】
開示される主題のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読解すればより良好に理解され、添付の図面においては、図面全体を通して同一の符号は同一の部分を表している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本技法が利用され得るデジタルX線撮像システムの概要である。
【
図2】再構成のための画像データを生成する、
図1のシステムの検出器における機能回路の概要図である。
【
図3】一実施形態による、本明細書で説明される機能性を実装するように構成され得るプロセッサベースのデバイスまたはシステムのブロック図である。
【
図4】画像データとオフセットデータの両方が電磁干渉(EMI)アーチファクトの補正のために取得される取得シーケンスの一部の概要図である。
【
図5】検出器信号に重ね合わされた低周波磁場のグラフ図である。
【
図6】画像データのEMIアーチファクトを補正するための方法の一実施形態のフローチャートである。
【
図7】画像取得シーケンスを同期させるための方法の一実施形態のフローチャートである。
【
図8】EMI信号の周波数を決定するための方法の一実施形態のフローチャートである。
【
図9】行相関ノイズに対するEMI信号への画像取得の同期の影響を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1つまたは複数の具体的な実施形態を、以下に記載する。これらの実施形態の簡潔な説明を提供しようと努力しても、実際の実施態様におけるすべての特徴を本明細書に記載できるわけではない。エンジニアリングまたは設計プロジェクトなどの実際の実施態様の開発においては、開発者の特定の目的を達成するために、例えばシステム関連および事業関連の制約条件への対応など実施態様に特有の決定を数多くしなければならないし、また、これらの制約条件は実施態様ごとに異なる可能性があることを理解されたい。さらに、このような開発努力は、複雑で時間がかかるが、それでもなお本開示の利益を有する当業者にとっては、設計、製作、および製造の日常的な仕事であることを理解されたい。
【0012】
本主題の様々な実施形態の要素を紹介するとき、「1つの(a、an)」、「この(the)」、および「前記(said)」という冠詞は、それらの要素が1つまたは複数存在することを意味するものである。「備える(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」という用語は、包括的であることを意図し、列挙された要素以外にもさらなる要素が存在してもよいことを意味する。さらに、以下の説明におけるあらゆる数値例は非限定的なものであることを意図し、したがって追加の数値、範囲、および百分率は開示される実施形態の範囲内にあるものとする。
【0013】
本開示は、時間依存ノイズ(例えば、サンプリングの方向に生じる行相関ノイズ)が低周波EMI(例えば、60ヘルツ(Hz)以下)などの電磁干渉(EMI)のために存在する放射線検出器のX線画像取得シーケンスを同期させる方法およびシステムを提供する。以下で説明される技法は、EMI信号の周期の倍数である特定の期間に行われるように検出器のスキャンを同期させることができる。スキャンは、読み取りもしくは読み出し(検出器パネルをスキャンし、X線画像データなどの検出器データを取得する)またはスクラブ(検出器パネルをスキャンして検出器回路をリセットするが、データを読み取らない)を含み得る。ある特定の実施形態では、EMI周波数は、オフセットデータまたは暗画像(すなわち、放射線がない状態で収集された検出器データ)から決定され得る。オフセットデータを利用してX線画像データを補正し、時間依存ノイズのキャンセルによりEMIアーチファクトが最小化された補正X線画像を生成することができる。EMI軽減技法は、すべての配向(X、Y、およびZ軸)で利用されてもよい。以下で説明する技法は、コンピュータ断層撮影(CT)システム、蛍光透視撮像システム、マンモグラフィシステム、トモシンセシス撮像システム、従来の放射線撮像システムなど、様々な放射線撮像システムで利用することができる。しかしながら、説明される技法は、医療以外の場面(セキュリティおよびスクリーニングシステム、ならびに非破壊検出システムなど)でも使用することができることを理解されたい。
【0014】
ここで図面を参照すると、
図1は、個別のピクセル画像データを取得および処理するための撮像システム10を概要的に示している。図示する実施形態では、システム10は、本技法に従って元の画像データを取得するため、および表示のために画像データを処理するための両方に設計されたデジタルX線システムである。撮像システム10は、固定X線撮像室に配置された静止システムまたは移動式X線システムとすることができる。
図1に示される実施形態では、撮像システム10は、コリメータ14に隣接して位置決めされたX線放射線源12を含む。コリメータ14は、放射線の流れ16が、人間の患者18などの対象が位置決めされる領域に通過することを可能にする。放射線の一部20は、対象を通過するかまたはその周囲を通過し、参照番号22で一般的に表されるデジタルX線検出器に衝突する。検出器22は、可搬式であってもよいし、またはシステム10に恒久的に装着されてもよい。ある特定の実施形態では、検出器22は、その表面に入射するX線光子を低エネルギー光子に変換し、続いて電気信号に変換することができ、信号は取得および処理されて対象内の特徴の画像を再構成する。直接変換の実装など、他の実施形態では、入射放射線自体は、中間変換プロセスなしで測定されてもよい。
【0015】
線源12は、電源/制御回路24によって制御され、電源/制御回路24は、検査シーケンスのための電力と制御信号の両方を供給する。さらに、検出器22は、検出器22で生成された信号の取得を命令する検出器コントローラ26に結合される。検出器コントローラ26はまた、ダイナミックレンジの初期調整、デジタル画像データのインターリーブなどのための、様々な信号処理およびフィルタリング機能を実行することができる。電源/制御回路24と検出器コントローラ26の両方は、システムコントローラ28からの信号に応答する。一般に、システムコントローラ28は、検査プロトコルを実行し、取得された画像データを処理するように撮像システムの動作を命令する。本文脈において、システムコントローラ28はまた、典型的には汎用または特定用途向けデジタルコンピュータに基づく信号処理回路と、様々な機能性(例えば、EMI生成アーチファクトを除去するためのオフセット補正)を実行するためにコンピュータのプロセッサによって実行されるプログラムおよびルーチンを記憶し、構成パラメータおよび画像データ、インターフェースプロトコルなどを記憶するための光学メモリデバイス、磁気メモリデバイス、またはソリッドステートメモリデバイスなどの関連製品とを含む。一実施形態では、汎用または特定用途のコンピュータシステムには、本明細書で説明される電源/制御回路24、検出器コントローラ26、および/またはシステムコントローラ28の1つまたは複数に属する機能を実施するためのハードウェア、回路、ファームウェア、および/またはソフトウェアを設けることができる。
【0016】
図1に示される実施形態では、システムコントローラ28は、参照番号30で示すディスプレイまたはプリンタなどの少なくとも1つの出力デバイスにリンクされている。出力デバイスは、標準または特定用途のコンピュータモニタおよび関連する処理回路を含むことができる。1つまたは複数のオペレータワークステーション32は、システムパラメータを出力すること、検査を要求すること、画像を閲覧することなどのために、システムにさらにリンクすることができる。一般に、ディスプレイ、プリンタ、ワークステーション、およびシステム内で供給される同様のデバイスは、データ取得構成要素の場所にあってもよいし、あるいは、施設もしくは病院内の他の場所、またはまったく異なる場所など、これらの構成要素から離れた、1つまたは複数の構成可能なネットワーク、例えばインターネット、バーチャルプライベートネットワークなどを介して画像取得システムにリンクされた場所にあってもよい。
【0017】
図2は、デジタル検出器22の機能構成要素の概要図である。
図2はまた、典型的には検出器コントローラ26内に構成される撮像検出器コントローラまたはIDC34を表す。IDC34は、CPUまたはデジタル信号プロセッサ、ならびに検出器からの検知信号の取得を命令するためのメモリ回路を含む。一実施態様では、IDC34は、双方向光ファイバ導体を介して検出器22内の検出器制御回路36に結合される。ある特定の現在企図されている実施形態では、イーサネット通信プロトコル、ならびに無線通信デバイスおよびプロトコルなど、他の通信システムおよび技術を使用することができる。それにより、IDC34は、動作中に検出器内の画像データのコマンド信号を交換する。
【0018】
検出器制御回路36は、参照番号38で一般的に表される電力源からDC電力を受信する。検出器制御回路36は、システムの動作のデータ取得段階中に画像データを取得するために使用される行および列の電子回路のタイミングおよび制御コマンドを発信するように構成される。したがって、回路36は、電力および制御信号を基準/調整器回路40に送信し、回路40からデジタル画像ピクセルデータを受信する。
【0019】
本実施形態では、検出器22は、検査中に検出器表面で受け取られたX線光子をより低いエネルギー(光)光子に変換するシンチレータからなる。次に、光検出器のアレイは、光の光子を、光子の数または検出器表面の個々のピクセル領域に衝突する放射線の強度を表す電気信号に変換する。ある特定の現在企図されている実施形態では、X線光子は、電気信号に直接変換されてもよい。読み出し電子回路は、得られたアナログ信号を、画像の再構成後にディスプレイ30またはワークステーション32などで処理、記憶、および表示することができるデジタル値に変換する。現在の形式では、光検出器のアレイは、アモルファスケイ素で形成されている。アレイ要素は、行と列で構成され、各要素は、フォトダイオードと薄膜トランジスタからなる。各ダイオードのカソードは、トランジスタのソースに接続され、すべてのダイオードのアノードは、負のバイアス電圧に接続される。以下で説明するように、各行のトランジスタのゲートは、互いに接続され、行電極は、スキャン電子回路に接続される。列のトランジスタのドレインは、互いに接続され、各列の電極は、読み出し電子回路の個々のデータチャネルに接続される。
【0020】
一例として、
図2に示される特定の実施形態では、行バス42は、検出器22の様々な行からの読み出しを可能にし、かつ行を無効にし、必要に応じて選択された行に電荷補償電圧を適用するための複数の導体を含む。列バス44は、行が順次有効にされている間に列からの読み出しを命令するための追加の導体を含む。行バス42は、一連の行ドライバ46に結合され、行ドライバ46の各々は、検出器内の一連の行の有効化を命令する。同様に、読み出し電子回路48は、検出器のすべての列の読み出しを命令するために列バス44に結合される。
【0021】
図示する実施形態では、行ドライバ46および読み出し電子回路48は、複数のセクション52に細分され得る、検出器パネル50に結合される。各セクション52は、行ドライバ46の1つに結合され、多数の行を含む。同様に、各列ドライバ48は、一連の列に結合される。上述のフォトダイオードとトランジスタの配置により、行56および列58に配置された一連のピクセルまたは個別の絵素54を定義する。行および列は、高さ62および幅64を有する、画像マトリックス60を定義する。
【0022】
また
図2に示されるように、各ピクセル54は、一般に、行と列の交差部で定義され、ここでは列電極(またはデータライン)68は、行電極(またはスキャンライン)70と交差する。上述のように、薄膜トランジスタ72は、フォトダイオード74と同様に、各ピクセルの各交差場所に設けられる。各行が行ドライバ46によって有効にされると、各フォトダイオード74からの信号は、読み出し電子回路48を介してアクセスされ、その後の処理および画像再構成のためにデジタル信号に変換され得る。したがって、アレイ内のピクセルの行全体は、その行のピクセルのすべてのトランジスタのゲートに取り付けられたスキャンライン70がアクティブ化されるときに同時に制御される。その結果、その特定の行のピクセルの各々は、スイッチを通してデータライン68に接続され、これはフォトダイオード74に電荷を回復し、照射に起因する電荷枯渇の量を測定するために読み出し電子回路によって使用される。
【0023】
ある特定のシステムでは、電荷が関連する専用読み出しチャネルの各々によって同時に行のすべてのピクセルに回復されるため、読み出し電子回路は、前の行の測定値をアナログ電圧からデジタル値に変換していることに留意されたい。さらに、読み出し電子回路は、取得サブシステムの前の行からデジタル値を転送する場合があり、診断画像をモニタに表示したり、またはフィルムに書き込む前にいくつかの処理を実施する。少なくともいくつかの実施形態では、デジタル検出器22は、デジタル検出器自体内の検出器パネル50を介して取得されたデータのいくつかのローカル処理を実施するように構成されたデータ処理回路66を含むことができる。例えば、以下でより詳細に説明されるように、デジタル検出器22は、EMI信号の周期の倍数としてスキャン(例えば、スクラブおよび/または読み取り)の同期を実施し、システムコントローラ28などのホスト処理システムとは無関係に取得されたデータへのオフセット補正(例えば、行相関ノイズなどのEMI生成ノイズを低減する)を実施するように構成され得る。加えて、一実施形態では、デジタル検出器22は、システム10の他の構成要素にデータを出力する前に、取得されたデータにそのような補正を適用する。
【0024】
行を有効にするために使用される回路は、本文脈では、そのような有効化(行の駆動)のための電界効果トランジスタ(FET)の使用に基づく行有効または電界効果トランジスタ回路と呼ばれ得る。上述の行有効回路に関連付けられたFETは、行を有効にするために「オン」または導通状態になり、行の読み出しが有効ではないときに「オフ」にされるかまたは非導通状態になる。それにもかかわらず、行ドライバおよび列読み出し電子回路に使用される特定の回路構成要素は変化する場合があり、本発明は、FETまたは任意の特定の回路構成要素の使用に限定されないことに留意されたい。
【0025】
本明細書で説明される画像データ補正を含む様々な機能性は、一実施形態に従って
図3に一般的に図示されるプロセッサベースのシステム76によって、またはそれと組み合わせて実施され得る。例えば、本明細書で説明される様々なコントローラおよび回路は、現在示されているようなプロセッサベースのシステムを含むか、またはそこに部分的もしくは全体的に具体化されてもよい。プロセッサベースのシステム76は、本明細書で説明される機能性の全部または一部を実装するソフトウェアを含む様々なソフトウェアを実行するように構成された、パーソナルコンピュータなどの汎用コンピュータであり得る。あるいは、他の実施形態では、プロセッサベースのシステム76は、とりわけ、分散コンピューティングシステム、またはシステムの一部として提供される専用のソフトウェアおよび/もしくはハードウェアに基づいて現在説明されている機能性の全部または一部を実装するように構成された特定用途向けコンピュータもしくはワークステーションを含み得る。さらに、プロセッサベースのシステム76は、現在開示されている機能性の実装を容易にするために、単一のプロセッサまたは複数のプロセッサのいずれかを含むことができる。
【0026】
一実施形態では、例示的なプロセッサベースのシステム76は、システム76の様々なルーチンおよび処理機能を実行する中央処理装置(CPU)などのマイクロコントローラまたはマイクロプロセッサ78を含む。例えば、マイクロプロセッサ78は、様々なオペレーティングシステム命令、ならびにメモリ80(例えば、パーソナルコンピュータのランダムアクセスメモリ(RAM))または1つまたは複数の大容量記憶デバイス82(例えば、内部もしくは外部ハードドライブ、ソリッドステート記憶デバイス、または別の記憶デバイス)など、1つまたは複数のコンピュータ可読媒体(ソフトウェアルーチンを少なくとも集合的に記憶する)を含む製品に記憶されたまたは製品によって提供されるある特定のプロセスをもたらすように構成されたソフトウェアルーチンを実行することができる。加えて、マイクロプロセッサ78は、コンピュータベースの実装において本明細書で説明される本主題の一部として提供されるデータなど、様々なルーチンまたはソフトウェアプログラムの入力として提供されるデータを処理する。
【0027】
そのようなデータは、メモリ80または大容量記憶デバイス82に記憶されるか、またはそれらによって提供されてもよい。あるいは、そのようなデータは、1つまたは複数の入力デバイス84を介してマイクロプロセッサ78に提供されてもよい。入力デバイス84は、キーボード、マウスなどの手動入力デバイスを含むことができる。加えて、入力デバイス84は、有線もしくは無線イーサネットカード、無線ネットワークアダプタなどのネットワークデバイス、またはローカルエリアネットワークもしくはインターネットなど、任意の適切な通信ネットワークを介した他のデバイスとの通信を促進するように構成された様々なポートもしくはデバイスのいずれかを含んでもよい。そのようなネットワークデバイスを介して、システム76は、システム76に近接しているかまたは遠隔であるかにかかわらず、他のネットワーク化された電子システムとデータを交換し、通信することができる。
【0028】
1つまたは複数の記憶されたルーチンに従ってデータを処理することによって得られた結果など、マイクロプロセッサ78によって生成された結果は、ディスプレイ86および/またはプリンタ88などの1つまたは複数の出力デバイスを介してオペレータに提供され得る。表示またはプリントされた出力に基づいて、オペレータは、追加もしくは代替の処理を要求したり、または入力デバイス84などを介して追加もしくは代替のデータを提供することができる。プロセッサベースのシステム76の様々な構成要素間の通信は、典型的には、チップセット、およびシステム76の構成要素を電気的に接続する1つまたは複数のバスまたは相互接続を介して達成することができる。一実施形態では、例示的なプロセッサベースのシステム76は、とりわけ、画像データを受信し、オフセットデータを受信し、オフセットデータを介して画像データにオフセット補正を適用し、補正画像データを出力するように構成され得る。
【0029】
図4は、以下で説明される技法によるEMIアーチファクトの画像データの補正を可能にするように設計された画像データ取得プロトコルのタイムラインを表す。参照番号90によって一般的に指定されるタイムラインは、スクラブおよびデータ読み出し動作のための様々なスキャンを実施する検出器の周期を含み得る。当業者には理解されるように、検出器のフォトダイオードの必然的な電荷損失を考慮して、X線源のアクティブ化の前のフレーム94およびX線源のアクティブ化の後のフレーム95によって示すように、スクラブ動作によって周期的にフォトダイオードを再充電することが有用であり得る。基本的に、このような動作は、FET閾値電圧を安定化するが、データの読み出しは行わない。X線源がアクティブ化される前に、検出器の読み出し(フレーム94によって示すように)により、オフセット画像または暗画像(すなわち、検出器が線源からの放射線に曝されていないときに取得された画像)の取得が可能になる。図示されているように、X線源のアクティブ化の前の単一の読み出しのみが図示されている。ある特定の実施形態では、複数のオフセット画像(例えば、2、3、4つなど)は、X線源のアクティブ化の前に取得され得る。このようなEMIが存在するとき、読み出されるオフセットデータもEMIによる影響を同様に受ける場合がある。以下でより詳細に説明するように、1つまたは複数のEMI信号のそれぞれの周波数(例えば、50Hz、60Hzなど)は、1つまたは複数のオフセット画像から決定され得る。データ取得プロトコルのある時点で、X線源がアクティブ化され(例えば、矢印96によって示すように)、それにより受容周期中にX線放射線が検出器に衝突する。X線放射線は、シンチレータ上の場所で受け取られたX線放射線の量に対応する各ピクセル場所における光検出器の電荷を枯渇させる。X線受容周期の後、フレーム98によって示すように1つまたは複数のデータ読み出しが行われる。これらの読み出し98は、EMIがシステムに存在するとき、EMIによる影響を受けるX線画像データの読み出しも含み得る。以下でより詳細に説明するように、EMIの周波数は、X線源のアクティブ化に続いて行われるスキャン(例えば、X線画像スキャン98、スクラブ92)を同期させる際に利用され得る。特に、これらのスキャンは、検出器ハードウェア(例えば、FPGA)のマスタクロックに同期して、各スキャンがEMI信号の周期(すなわち、単一のサイクルを完了する時間の量)の倍数で開始されるようにすることができる。ある特定の実施形態では、複数の低周波(例えば、60Hz以下)EMI信号が存在するとき、スキャンは、各スキャンが複数のEMI信号の各それぞれの周期の倍数で開始されるように同期され得る。1つのスキャンまたはフレームの終了から次のスキャンまたはフレーム時間の終了までの合計時間100がEMIの周波数と同期されると、(例えば、EMIによる)行相関ノイズが最小化される。合計時間100は、フレーム時間102(例えば、スキャンの持続時間)およびフレーム間の時間(TBF)またはスキャン104に等しい。上記で取得された1つまたは複数のオフセット画像を同期スキャン中にX線画像データを補正する際に利用して、EMIアーチファクトを除去することができる。
【0030】
図5は、検出器信号に重ね合わされた低周波磁場のグラフ
図106(例えば、オシロスコープから)である。グラフ106は、時間を表すX軸108と、電圧を表すY軸110とを含む。図示されているように、低周波磁場(例えば、60Hz)の信号112は、検出器信号114に重ね合わされている。検出器信号114は、スクラブ(S)および読み出し(R)周期を含む。図示されているように、磁場シグネチャは、スクラブまたは読み出し周期である多数の周期116を通過する。以下でより詳細に説明するように、生成されたX線画像におけるEMIアーチファクトを最小化するために、信号112の周期の倍数に対するスクラブ(すなわち、スクラブおよび/または読み出し)の同期が利用され得る。
【0031】
図6は、画像データのEMIアーチファクトを補正するための方法118の一実施形態のフローチャートである。ステップの1つまたは複数は、デジタルX線検出器22、撮像システム10の別の構成要素(例えば、システムコントローラ28)、または遠隔処理デバイスの制御/処理回路によって実施され得る。方法118は、オフセットまたは暗画像を取得する前に、オフセットスキャンを1つまたは複数の低周波EMI信号と同期させることを含む(ブロック119)。方法118は、1つまたは複数のオフセットまたは暗画像(すなわち、放射線がない状態で収集された検出器データ)を取得することを含む(ブロック120)。以下でより詳細に説明するように、オフセット画像は、1つまたは複数の低周波EMI信号のそれぞれの周波数を決定する際に利用され得る。方法118はまた、X線画像取得が始まると、スキャン(例えば、スクラブおよび/または読み出し)を1つまたは複数のEMI信号と同期させることを含む(ブロック122)。方法118は、X線露光を開始することをさらに含む(ブロック124)。X線露光の始まりに続いて、方法118は、同期画像取得シーケンス中、検出器22を介してX線画像データを取得することを含む(ブロック126)。方法118は、X線画像データを1つまたは複数の取得されたオフセット画像で補正し、EMIアーチファクトが補正された再構成画像を生成することをさらに含む(ブロック128)。例えば、画像データの各ピクセルは、そのピクセルから減算されたピクセルのそれぞれのオフセットデータを有し得る。ある特定の実施形態では、補正に利用されるオフセットデータは、単一のスキャンまたは複数のスキャンの平均(例えば、4つのオフセットスキャン)からのものであり得る。画像取得シーケンスの同期により、時間依存ノイズをキャンセルすることができるため、行相関ノイズを最小化することが可能である。
【0032】
図7は、画像取得シーケンスを同期させるための方法130の一実施形態のフローチャートである(例えば、方法118のブロック122)。方法130は、デジタルX線検出器22の制御/処理回路によって実施され得る。ある特定の実施形態では、方法130は、X線露光の前に取得されたオフセットデータからEMI周波数を計算することを含む(ブロック132)。ある特定の実施形態では、2つ以上のEMI周波数を複数の低周波EMI信号の存在下で計算することができる。EMI周波数を計算することにより、検出器22は自動検出を実施して低周波EMI信号(例えば、60Hz以下)の存在を決定することが可能になる。スキャンの典型的な読み取り時間は100~300ミリ秒(ms)の範囲であるため、低周波EMI信号は、画像分析技法(以下で説明する高速フーリエ変換(FFT)など)を介して抽出することができる。ある特定の実施形態では、自動検出がない場合、同期に利用される周波数は、電力ラインにリンクされていない他の低周波EMI源を無視しながら、デフォルトで典型的な電力ライン周波数(例えば、50Hz、60Hz、またはその組み合わせ)になり得る(ブロック134)。ある特定の実施形態では、方法130は、EMI周波数の入力(例えば、ユーザ入力)を受信することを含む(ブロック136)。
【0033】
方法130は、スキャン(例えば、読み出しまたはスクラブ)を開始するための信号(例えば、制御回路24またはシステムコントローラ28から)を受信することを含む(ブロック138)。方法130はまた、EMI信号の周期の倍数であるスキャン時間(例えば、TBFまたは同期周期)の開始に遅延を追加することを含む(ブロック140)。例えば、50Hz EMIフィールドは、20msの周期を有し、60Hz EMIフィールドは、16.666msの周期を有する。TBFまたは同期周期は、2、3、4、5の倍数、またはEMI信号の周期の他の倍数であり得る。例えば、TBFまたは同期周期は、40ms、60ms、80ms、100ms、または50Hz EMIフィールドに関連付けられている別の周期であってもよい。TBFまたは同期周期は、33.333ms、49.999ms、66.666ms、83.333ms、または60Hz EMIフィールドに関連付けられている別の周期であってもよい。ある特定の実施形態では、スキャンは、同時に複数のEMI周波数(例えば、50Hzと60Hzの両方)に同期されてもよい。例えば、50Hzおよび60HzのフィールドをキャンセルするTBFまたは同期周期は、100ms周期などの両方の周波数の周期の倍数であり得る(これは、50Hzのフィールドの周期の5の倍数であり、60Hzのフィールドの6の倍数である)。方法130は、同期周期の後にスキャン(例えば、読み出し)を開始することをさらに含む(ブロック142)。
【0034】
図8は、EMI信号またはフィールドの周波数を決定するための方法144の一実施形態のフローチャートである(例えば、方法130のブロック132)。方法144は、デジタルX線検出器22の制御/処理回路によって実施され得る。方法144は、オフセット画像データから低周波フィールドを抽出するために利用され得る画像分析技法の単一の例であることに留意されたい。加えて、方法144を利用して、存在する複数のEMI信号またはフィールドの周波数を決定することができる。方法144は、1つまたは複数のオフセットまたは暗画像(すなわち、放射線がない状態で収集された検出器データ)を取得することを含む(ブロック146)。方法144はまた、単一のオフセットスキャンまたは複数のオフセットスキャンの平均からすべてのスキャンライン(すなわち、行)について1つまたは複数のデータラインを(1つまたは複数の列から)抽出することを含む(ブロック148)。方法144は、抽出されたデータを表す信号に対してFFTを実施し、異なる周波数で離散フーリエ変換(DFT)を生成することをさらに含む(ブロック150)。方法144は、DFTの周波数が低周波数(f1)と高周波数(f2)との間にあるように、DFTの周波数をf1およびf2によって定義される低周波数範囲内に制限することを含む(ブロック152)。ある特定の実施形態では、低周波数範囲は、電力ラインの周波数(例えば、50Hz、60Hzなど)によって定義されてもよい。低周波数範囲は、プラスまたはマイナスの電力ライン周波数の割合(例えば、±2パーセント、±3パーセントなど)であり得る。例えば、50Hzのプラスまたはマイナス3パーセントは、f1を48.5Hz、f2を51.5Hzとして設定し、60Hzのプラスまたはマイナス3パーセントは、f1を58.2Hz、f2を61.8Hzとして設定する。
【0035】
ある特定の実施形態では、方法144は、DFT周波数と比較するための閾値限界を定義することを含む(ブロック154)。ある特定の実施形態では、閾値限界は、実験的に決定され得る。方法144は、DFT周波数を閾値限界と比較し(ブロック156)、DFT周波数が閾値限界よりも大きいかどうかを決定することを含むことができる(ブロック158)。DFT周波数が閾値限界よりも大きい場合、次に方法144は、DFT周波数をEMI周波数として設定することを含む(ブロック160)。DFT周波数が閾値限界よりも大きくない場合、次に方法144は、EMI周波数をゼロまたはヌルとして設定し(ブロック162)、したがって、EMIフィールドがないと決定することを含む。
【0036】
ある特定の実施形態では、DFTの周波数範囲を制限した後(ブロック152)、方法144は、DFT周波数を1つまたは複数の特定のEMI周波数(例えば、50Hz、60Hzなど)と比較し(ブロック164)、DFT周波数が特定のEMI周波数の1つに等しいかどうかを決定することを含む(ブロック166)。DFT周波数が特定のEMI周波数に等しい場合、方法144は、DFT周波数をEMI周波数として設定することを含む(ブロック160)。DFT周波数が特定のEMI周波数に等しくない場合、方法は、EMI周波数をゼロまたはヌルとして設定し(ブロック162)、したがって、EMIフィールドがないと決定することを含む。
【0037】
図9は、行相関ノイズに対するEMI信号への画像取得の同期の影響を示す概略図である。
図9は、2つのグラフ168、170を図示する。各グラフ168、170は、マイクロ秒単位のTBFを表すX軸172と、ノイズ振幅を表すY軸174とを含む。EMI信号は、60Hzである。60Hz EMI信号に応答する2つの異なる撮像モードの行相関ノイズ信号プロットは、それぞれプロット176(実線)、178(破線)によって表される。グラフ168は、スキャン(例えば、読み出しまたはスクラブ)がEMI信号の周期に同期していない場合のTBFに対する行相関ノイズを示している。グラフ168に図示されているように、行相関ノイズは、TBFによって異なる。加えて、グラフ168に図示されているように、行相関ノイズの最小値は、周期的である。グラフ170は、スキャンをEMI信号の周期に同期させた後のTBFに対する行相関ノイズを示している。グラフ170に図示されているように、行相関ノイズは、常に最小である。
【0038】
開示された実施形態の技術的効果は、低周波EMI(例えば、60Hz以下)による時間依存ノイズ(例えば、行相関ノイズ)を最小化するために、放射線検出器のX線画像取得シーケンスを同期させる方法およびシステムを提供することを含む。以下で説明される技法は、EMI信号の周期の倍数である特定の期間に行われるように検出器のスキャン(例えば、読み出しまたはスクラブ)を同期させることができる。ある特定の実施形態では、EMI周波数は、オフセットデータまたは暗画像から決定され得る。オフセットデータを利用してX線画像データを補正し、時間依存ノイズのキャンセルによりEMIアーチファクトが最小化された補正X線画像を生成することができる。EMI軽減技法は、すべての配向(X、Y、およびZ軸)で利用されてもよい。開示された技法は、低周波EMI耐性を提供するだけでなく、EMIフィールドの存在下で画質を改善することができる。
【0039】
本明細書は、最良の形態を含む本主題を開示するため、また、いかなる当業者も本アプローチを実施することができるように実施例を用いており、任意のデバイスまたはシステムを製作し使用し、任意の組み込まれた方法を実施することを含んでいる。特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の実施例を含むことができる。そのような他の実施例は、特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言と実質的な差のない等価の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることが意図されている。
[実施態様1]
電磁干渉(EMI)信号のEMI周波数を得て、
スキャンを開始するための信号を受信し、
EMIノイズがオフセット画像および読み取り画像の取得中に同じ位相にあることを確認して前記EMIノイズの減算を可能にし、
前記スキャンを開始する
ように構成された制御回路(36)
を備える、デジタルX線検出器(22)。
[実施態様2]
前記スキャンは、検出器回路をリセットするためのスクラブ(92、95)、またはX線画像データを取得するための読み取り(94、98)を含む、実施態様1に記載のデジタルX線検出器(22)。
[実施態様3]
前記制御回路(36)は、前記スキャンの開始時間が前記EMI信号の周期の倍数になるように前記EMI周波数に基づいて前記スキャンを同期させることによって、前記EMIノイズが前記オフセット画像および前記読み取り画像の取得中に前記同じ位相にあることを確認するように構成される、実施態様1に記載のデジタルX線検出器(22)。
[実施態様4]
前記制御回路(36)は、前記EMI周波数のユーザ入力を受信することを介して前記EMI周波数を得るように構成される、実施態様1に記載のデジタルX線検出器(22)。
[実施態様5]
前記制御回路(36)は、前記デジタルX線検出器(22)によって取得された1つまたは複数のオフセットスキャンから前記EMI周波数を計算することによって前記EMI周波数を得るように構成される、実施態様1に記載のデジタルX線検出器(22)。
[実施態様6]
前記制御回路(36)は、前記1つまたは複数のオフセットスキャンからデータを抽出することによって前記EMI周波数を計算し、前記データを表す信号に対して高速フーリエ変換を実施し、所定の周波数範囲内の前記信号の離散フーリエ変換(DFT)の周波数が定義された周波数閾値よりも大きいかどうかを決定するように構成される、実施態様5に記載のデジタルX線検出器(22)。
[実施態様7]
前記制御回路(36)は、前記DFTの前記周波数が前記定義された周波数閾値よりも大きいときに前記EMI周波数を前記DFTの前記周波数として設定し、前記DFTの前記周波数が前記定義された周波数閾値よりも大きくないときに前記EMI周波数をゼロとして設定するように構成される、実施態様6に記載のデジタルX線検出器(22)。
[実施態様8]
前記制御回路(36)は、前記1つまたは複数のオフセットスキャンからデータを抽出することによって前記EMI周波数を計算し、前記データを表す信号に対して高速フーリエ変換を実施し、前記信号の前記離散フーリエ変換(DFT)の周波数が特定のEMI周波数に等しいかどうかを決定するように構成される、実施態様5に記載のデジタルX線検出器(22)。
[実施態様9]
前記制御回路(36)は、前記DFTの前記周波数が前記特定のEMI周波数に等しいときに前記EMI周波数を前記DFTの前記周波数として設定し、前記DFTの前記周波数が前記特定のEMI周波数に等しくないときに前記EMI周波数をゼロとして設定するように構成される、実施態様8に記載のデジタルX線検出器(22)。
[実施態様10]
前記制御回路(36)は、複数のEMI信号のそれぞれのEMI周波数を得て、前記スキャンの開始時間が前記複数のEMI信号の各それぞれの周期の倍数になるように前記それぞれのEMI周波数に基づいて前記スキャンを同期させるように構成される、実施態様1に記載のデジタルX線検出器(22)。
[実施態様11]
デジタルX線検出器(22)を利用して、
電磁干渉(EMI)信号のEMI周波数を得て(134)、
スキャンを開始するための信号を受信し(138)、
EMIノイズがオフセット画像および読み取り画像の取得中に同じ位相にあることを確認して前記EMIノイズの減算を可能にし、
前記スキャンを開始する(142)
ことを含む、X線撮像方法(118、130、144)。
[実施態様12]
前記スキャンは、検出器回路をリセットするためのスクラブ(92、95)、またはX線画像データを取得するための読み取り(94、98)を含む、実施態様11に記載の方法(118、130、144)。
[実施態様13]
前記EMIノイズが前記オフセット画像および前記読み取り画像の取得中に前記同じ位相にあることを確認することは、前記スキャンの開始時間が前記EMI信号の周期の倍数になるように前記EMI周波数に基づいて前記スキャンを同期させること(122)を含む、実施態様11に記載の方法(118、130、144)。
[実施態様14]
前記EMI信号の前記EMI周波数を得ることは、前記EMI周波数のユーザ入力を受信すること(136)を含む、実施態様11に記載の方法(118、130、144)。
[実施態様15]
前記EMI信号の前記EMI周波数を得ることは、前記デジタルX線検出器(22)によって取得された1つまたは複数のオフセットスキャンから前記EMI周波数を計算すること(132)を含む、実施態様11に記載の方法(118、130、144)。
[実施態様16]
前記デジタルX線検出器(22)を介して、前記スキャンでX線画像データを取得すること(126)と、
前記1つまたは複数のオフセットスキャンで前記取得されたX線画像データに対してオフセット補正を実施し、あらゆるEMI関連のアーチファクトを除去して補正X線画像を生成すること(128)と
を含む、実施態様15に記載の方法(118、130、144)。
[実施態様17]
X線源(12)と、
デジタルX線検出器(22)と、
前記デジタルX線検出器(22)を介して、電磁干渉(EMI)信号のEMI周波数を得て、スキャンを開始するための信号を受信し、EMIノイズがオフセット画像および読み取り画像の取得中に同じ位相にあることを確認して前記EMIノイズの減算を可能にし、前記スキャンを開始するように構成された制御回路(36)と
を備える、撮像システム(10)。
[実施態様18]
前記制御回路(36)は、前記デジタルX線検出器(22)を介して、前記デジタルX線検出器(22)によって取得された1つまたは複数のオフセットスキャンから前記EMI周波数を計算することによって前記EMI周波数を得るように構成される、実施態様17に記載の撮像システム(10)。
[実施態様19]
前記撮像システム(10)は、処理回路(66)を備え、前記処理回路(66)は、前記1つまたは複数のオフセットスキャンで取得されたX線画像データに対してオフセット補正を実施し、あらゆるEMI関連のアーチファクトを除去して補正X線画像を生成するように構成される、実施態様17に記載の撮像システム(10)。
[実施態様20]
前記制御回路(36)は、前記デジタルX線検出器(22)を介して、複数のEMI信号のそれぞれのEMI周波数を得て、前記スキャンの開始時間が前記複数のEMI信号の各それぞれの周期の倍数になるように前記それぞれのEMI周波数に基づいて前記スキャンを同期させるように構成される、実施態様17に記載の撮像システム(10)。
【符号の説明】
【0040】
10 撮像システム
12 X線放射線源
14 コリメータ
16 放射線の流れ
18 患者
20 放射線の一部
22 デジタルX線検出器
24 電源/制御回路
26 検出器コントローラ
28 システムコントローラ
30 ディスプレイ/プリンタ
32 オペレータワークステーション
34 IDC
36 検出器制御回路
38 電力源
40 基準/調整器回路
42 行バス
44 列バス
46 行ドライバ
48 読み出し電子回路/列ドライバ
50 検出器パネル
52 セクション
54 絵素/ピクセル
56 行
58 列
60 画像マトリックス
62 高さ
64 幅
66 データ処理回路
68 列電極/データライン
70 行電極/スキャンライン
72 薄膜トランジスタ
74 フォトダイオード
76 プロセッサベースのシステム
78 マイクロプロセッサ
80 メモリ
82 大容量記憶デバイス
84 入力デバイス
86 ディスプレイ
88 プリンタ
90 タイムライン
92 スクラブ
94 読み出し
95 スクラブ
96 X線源
98 読み出し/X線画像スキャン
100 合計時間
102 フレーム時間
104 スキャン
106 グラフ
108 X軸
110 Y軸
112 信号
114 検出器信号
116 期間
118 方法
119 ブロック
120 ブロック
122 ブロック
124 ブロック
126 ブロック
128 ブロック
130 方法
132 ブロック
134 ブロック
136 ブロック
138 ブロック
140 ブロック
142 ブロック
144 方法
146 ブロック
148 ブロック
150 ブロック
152 ブロック
154 ブロック
156 ブロック
158 ブロック
160 ブロック
162 ブロック
164 ブロック
166 ブロック
168 グラフ
170 グラフ
172 X軸
174 Y軸
176 プロット
178 プロット