(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】無人走行車両の巡回方法、無人走行車両及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20220808BHJP
【FI】
G05D1/02 H
G05D1/02 K
(21)【出願番号】P 2020096258
(22)【出願日】2020-06-02
【審査請求日】2020-06-02
(31)【優先権主張番号】201910586476.0
(32)【優先日】2019-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】321009845
【氏名又は名称】アポロ インテリジェント ドライビング テクノロジー(ペキン)カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ファン
(72)【発明者】
【氏名】ソン シユ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン シュアン
【審査官】杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/018695(WO,A1)
【文献】特開昭61-165107(JP,A)
【文献】国際公開第2019/093193(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人走行車両に適用される、無人走行車両の巡回方法であって、
低速巡回機能が開始された場合、予め設定された巡回モードに従って巡回を行い、走行中に車両が収集した車両が位置する環境のデータである走行データを感知機器によって収集することと、
前記走行データに基づいて地図を生成することと、を含み、
前記方法は、前記走行データに基づいて前記無人走行車両の運行モードを決定し、前記運行モードが、作動モードと対応する位置情報とを含むことを更に含
み、
前記方法は、前記走行データに基づいて前記無人走行車両の運行モードを決定した後に、対応する位置で前記無人走行車両を巡回モードから前記作動モードに切り替えることを更に含む、無人走行車両の巡回方法。
【請求項2】
前記方法は、
遠隔制御機器から送信される低速巡回開始命令に応じて、低速巡回機能を開始すること、
又は、
前記無人走行車両のアイドル状態にある期間が予め設定された期間を超える場合、前記低速巡回機能を開始すること、
又は、
予め設定された時間に応じて、前記低速巡回機能を開始すること、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記巡回モードが、少なくともS字型巡回モードとサークル型巡回モードとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記感知機器が、赤外線センサ、双眼カメラ、単眼カメラ、超音波センサ、温度センサ、湿度センサ、及びガスセンサのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記走行データは、走行中に収集した画像、障害物までの距離、温度、湿度、及び空気質のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記走行データに基づいて地図を生成すること及び前記走行データに基づいて前記無人走行車両の運行モードを決定することの前に、前記方法は、さらに、
前記走行データが地図の生成又は運行モードの決定に使用可能であるか否かを予め設定された品質基準に従って決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、他の無人走行車両がダウンロードして使用するように前記地図をクラウドにアップロードすることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
無人走行車両であって、
低速巡回機能が開始された場合、予め設定された巡回モードに従って巡回するための処理モジュールと、
走行中に車両が収集した車両が位置する環境のデータである走行データを感知機器によって収集するための収集モジュールと、
を含み、
前記処理モジュールは、前記走行データから地図を生成するようにさらに構成され、
前記処理モジュールは、前記走行データに基づいて前記無人走行車両の運行モードを決定するようにさらに構成され、前記運行モードが、作動モードと対応する位置情報とを含
み、
前記処理モジュールは、前記走行データに基づいて前記無人走行車両の運行モードを決定した後に、対応する位置で前記無人走行車両を巡回モードから前記作動モードに切り替えるようにさらに構成される、無人走行車両。
【請求項9】
前記処理モジュールは、
遠隔制御機器から送信される低速巡回開始命令に応じて、低速巡回機能を開始する、
又は、
前記無人走行車両のアイドル状態にある期間が予め設定された期間を超える場合、前記低速巡回機能を開始する、
又は、
予め設定された時間に応じて、前記低速巡回機能を開始する、
ようにさらに構成される、請求項
8に記載の車両。
【請求項10】
前記巡回モードは、少なくともS字型巡回モードとサークル型巡回モードとを含む、請求項
8に記載の車両。
【請求項11】
前記感知機器は、赤外線センサ、双眼カメラ、単眼カメラ、超音波センサ、温度センサ、湿度センサ、及びガスセンサのうちの少なくとも1つを含む、請求項
8に記載の車両。
【請求項12】
前記処理モジュールは、さらに、前記走行データが地図の生成又は運行モードの決定に使用可能であるか否かを予め設定された品質基準に従って決定するように構成される、請求項
8に記載の車両。
【請求項13】
無人走行車両であって、少なくとも1つのプロセッサ、メモリ及びコンピュータプログラムを含み、
前記メモリは、コンピュータ実行命令を記憶するように構成され、
前記プロセッサは、請求項1から
7のいずれか1項に記載の無人走行車両の巡回方法を前記少なくとも1つのプロセッサによって実施させるように、前記メモリに記憶された前記コンピュータ実行命令を実行するように構成される、無人走行車両。
【請求項14】
コンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ可読記憶媒体にはコンピュータ実行命令を記憶し、前記コンピュータ実行命令がプロセッサによって実行されるときに請求項1から
7のいずれか1項に記載の無人走行車両の巡回方法を実行する、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、無人走行車両の分野に関し、特に無人走行車両の巡回方法、無人走行車両及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
無人走行車両は、無人走行分野の発展に伴い、ますます多くの役割を果たして機能を発揮するようになってきている。例えば、無人走行車両は、販売車、清掃ロボット、タクシー、及び長距離自動車等に適用される。
【0003】
従来技術において、無人走行車両の運行モードには、無地図モードと、地図強依存モードとの2つがある。無地図モードの無人走行車両は、リアルタイムで収集される周囲環境に応じて走行する。地図強依存モードの無人走行車両は車両端末に記憶されるか又はクラウドサーバで取得した地図及びルートに従って走行可能である。
【0004】
しかしながら、無地図モードの無人走行車両の走行経路は完全に制御することが困難であり、地図強依存モードの無人走行車両は、道路や人の流れなどの情報の変化に鈍感であり、周囲の複雑な環境に対応することができない。また、従来の無人走行車両は、作動時間だけ走行し、非作動時間には停止しており、無人走行車両の資源の浪費を招いていた。以上のように、従来の無人走行車両では、地図の更新をタイムリーに行うことができず、特に、周囲環境の違いに応じてより適した地図を作成することができないという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、従来技術には無地図モードでの無人走行車両の走行安定性が悪くて地図強依存モードでの無人走行車両が道路や人の流れなどの情報変化に鈍感である問題を解決するための無人走行車両の巡回方法、機器及び記憶媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様では、本発明の実施形態は、無人走行車両に適用される、無人走行車両の巡回方法を提供し、
低速巡回機能が開始された場合、予め設定された巡回モードに従って巡回を行い、走行中に車両が収集した車両が位置する環境のデータである走行データを感知機器によって収集することと、
前記走行データに基づいて地図を生成することと、を含む。
【0007】
1つの具体的な実現形態において、前記方法は、更に、
前記走行データに基づいて前記無人走行車両の運行モードを決定し、前記運行モードが作動モードと対応する位置情報とを含むことを含む。
【0008】
1つの具体的な実現形態において、前記方法は、更に、
遠隔制御機器から送信される低速巡回開始命令に応じて、低速巡回機能を開始すること、
又は、
前記無人走行車両のアイドル状態にある期間が予め設定された期間を超える場合、前記低速巡回機能を開始すること、
又は、
予め設定された時間に応じて、前記低速巡回機能を開始することを含む。
【0009】
さらに、前記巡回モードは、少なくともS字型巡回モードとサークル型巡回モードとを含む。
【0010】
さらに、前記感知機器は、赤外線センサ、双眼カメラ、単眼カメラ、超音波センサ、温度センサ、湿度センサ、ガスセンサのうちの少なくとも1つを含む。
【0011】
さらに、前記走行データは、走行中に収集した画像、障害物までの距離、温度、湿度、空気質のうちの少なくとも1つを含む。
【0012】
さらに、前記走行データに基づいて地図を生成すること及び前記走行データに基づいて前記無人走行車両の運行モードを決定することの前に、前記方法は、さらに、
前記走行データが地図の生成又は運行モードの決定に使用可能であるか否かを予め設定された品質基準に従って決定することを含む。
【0013】
第2の態様では、本発明の実施形態は、無人走行車両を提供し、
低速巡回機能が開始された場合、予め設定された巡回モードに従って巡回するための処理モジュールと、
走行中に車両が収集した車両が位置する環境のデータである走行データを感知機器によって収集するための収集モジュールと、を含み、
前記処理モジュールは、前記走行データから地図を生成するようにさらに構成される。
【0014】
さらに、前記処理モジュールは、前記走行データから前記無人走行車両の運行モードを決定するようにさらに構成され、前記運行モードは、作動モードと対応する位置情報とを含む。
【0015】
さらに、前記処理モジュールは、遠隔制御機器によって送信される低速巡回開始命令に応じて、低速巡回機能を開始する、
又は、
前記無人走行車両のアイドル状態にある期間が予め設定された期間を超える場合、前記低速巡回機能を開始する、
又は、
予め設定された時間に応じて、低速巡回機能を開始するようにさらに構成される。
【0016】
さらに、前記巡回モードは、少なくともS字型巡回モードとサークル型巡回モードとを含む。
【0017】
さらに、前記感知機器は、赤外線センサ、双眼カメラ、単眼カメラ、超音波センサ、温度センサ、湿度センサ、ガスセンサのうちの少なくとも1つを含む。
【0018】
さらに、前記処理モジュールは、前記走行データが地図の生成又は運行モードの決定に使用可能であるか否かを予め設定された品質基準に従って決定するためにも使用される。
【0019】
第3の態様では、本発明の実施形態は無人走行車両を提供し、少なくとも1つのプロセッサ、メモリ及びコンピュータプログラムを含み、
前記メモリは、コンピュータ実行命令を記憶するように構成され、
前記少なくとも1つのプロセッサは、第1の態様に記載の無人走行車両の巡回方法を実施させるように、前記メモリに記憶されたコンピュータ実行命令を実行するように構成される。
【0020】
第4の態様では、コンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ可読記憶媒体にコンピュータ実行命令が記憶され、プロセッサが前記コンピュータ実行命令を実行すると、第1の態様に記載の無人走行車両の巡回方法を実現する、コンピュータ可読記憶媒体である。
【発明の効果】
【0021】
本実施形態に係る無人走行車両の巡回方法、機器及び記憶媒体は、低速巡回することにより地図を収集し、既存地図情報を修正する。従来技術には無地図モードでの無人走行車両の走行安定性が悪くて地図強依存モードでの無人走行車両が道路や人の流れなどの情報変化に鈍感である問題を解決した。無人走行車両の利用率及び運転信頼性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の実施形態と従来技術の技術的解決手段をより明確に説明するため、以下に実施形態と従来技術の記述において必要な図面を用いて簡単に説明を行うが、当然ながら、以下に記載する図面は本発明のいくつかの実施形態であって、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて他の図面に想到しうる。
【
図1】本発明の実施形態による無人走行車両の巡回方法の実施形態1の概略的なフローチャートである。
【
図2】本発明の実施形態による無人走行車両の巡回方法の実施形態2の概略的なフローチャートである。
【
図3】本発明の実施形態による無人走行車両の構造模式図である。
【
図4】本発明の実施形態による無人走行車両のハードウェア構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態の目的、技術的解決手段、利点をより明瞭にするために、以下、本発明の実施形態に係る図面を参照しながら、その技術的解決手段について明瞭、かつ完全に説明し、当然のことながら、記載される実施形態は本発明の実施形態の一部に過ぎず、その全てではない。当業者は、本発明の実施形態に基づいて創造的な労働をすることなく、想到するその他の実施形態は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0024】
従来技術において、無人走行車両の運行モードには、無地図モードと、地図強依存モードとの2つがある。無地図モードの運転が不安定となり、指定経路の走行を完了することができない。また、地図強依存モードの無人走行車両は、道路や人の流れなどの情報の変化に鈍感であり、周囲の複雑な環境に対応することができない。また、従来の無人走行車両は、作動時間だけ走行し、非作動時間には停止しており、無人走行車両の資源の浪費を招いていた。
【0025】
上記存在する問題に対して、本発明は、無人走行車両の巡回方法、機器及び記憶媒体を提供する。無地図モードと地図強依存モードとを組み合わせて動作させ、且つ無人走行車両が低速巡回して地図を収集し、既存地図を修正することができる。従来技術において無地図モードの無人走行車両の動作が不安定で、地図強依存モードの無人走行車両が道路や人の流れなどの情報の変化に鈍感であるという問題を解決する。無人走行車両の利用率及び運転信頼性を向上させる。以下、いくつかの具体的な実施形態を挙げて、この提案を詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施形態による無人走行車両の巡回方法の実施形態1の概略的なフローチャートであり、
図1に示すように、該無人走行車両の巡回方法は、具体的には、以下のステップを含む。
【0027】
S101、低速巡回機能を開始し、感知機器によって走行データを収集する。
【0028】
本ステップでは、低速巡回機能を開始した場合には、予め設定された巡回モードに従って巡回を行い、走行データを感知機器で収集する。走行データは、走行中に車両が収集した車両が位置する環境のデータである。
【0029】
無人走行車両は、S字型巡回モード又はサークル型巡回モード、又は他の任意の巡回ルートの巡回モードで低速で巡回してもよい。異なる作動環境及び作動時間に対して、異なる巡回モードが事前設定され得る。本発明はこれを限定しない。
【0030】
無人走行車には、例えば赤外線センサ、双眼カメラ、単眼カメラ、超音波センサ、温度センサ、湿度センサ、ガスセンサなどの各種の感知機器が搭載されている。これらの感知機器によって、無人走行車両は、低速巡回中に、走行中の周囲環境の画像、障害物までの距離、温度、湿度、空気質などを収集することができる。
【0031】
S102、走行データから地図データを生成する。
【0032】
本ステップでは、S101のステップで収集した走行データを記録し、障害物、交通標識線、信号機、人員密集度、路面の清浄状況、通信品質などを含む地図データを生成する。
【0033】
地図データを生成する前に、予め設定された品質基準に従って、収集された走行データをチェックし、例えば、画像の鮮明度が品質基準の要求を満たすかどうかを判断する。予め設定された品質基準に適合するデータが地図データの生成に用いられ、適合しないデータが破棄される。新規に生成された地図データは、地図情報を更新し、更新後の地図情報を他の無人走行車両がダウンロードして使用するためにクラウド上にアップロードする。
【0034】
1つの具体的な実現形態において、無人走行車両は、巡回過程で、新設の道路情報を収集し、予め設定された品質基準でチェックして地図データを生成してクラウド地図情報を更新し、残りの無人走行車両は、更新後の地図情報をクラウドによって取得すると、新設の道路情報を取得して、全新地図情報を用いて走行経路計画を行うことができる。無人走行車両は、巡回する過程で、道路の渋滞情報を収集し、地図データを生成してクラウドにアップロードし、残りの無人走行車両は、クラウドによって道路の渋滞情報を取得した後、作動経路を再計画して渋滞道路を回避する。
【0035】
本実施形態による無人走行車両の巡回方法は、感知機器によって走行データを収集し、走行データから地図を生成する。無人走行車両の正常な作動に影響を与えることなく、地図の修正をタイムリーに行うことができ、これにより、無人走行車両は、作動モードにおいて常に最新の地図に従って作動することができる。
【0036】
上記実施形態のうえで、
図2は、本発明の実施形態による無人走行車両の巡回方法の実施形態2の概略的なフローチャートであり、
図2に示すように、該無人走行車両の巡回方法は、更に、以下のステップを含む。
【0037】
S103、走行データから運行モードを決定する。
【0038】
本ステップでは、ステップS101で収集された走行データに基づいて、無人走行車両の運行モードが決定され、運行モードは、作動モードと、対応する位置情報、すなわち、無人走行車両の作動ルート、作動内容、及び作動内容が実行される位置又は開始及び終了位置とを含む。運行モードを決定する前に、収集された走行データを、予め設定された品質基準に従ってチェックし、例えば、画像の鮮明度が品質基準を満たすかどうかを決定するための要求など、予め設定された品質基準に適合するデータのみを、運行モードを決定するために使用することができる。
【0039】
具体的には、運行モードは、走行ルート、走行タスク(例えば、開始点、停止点、停止時間)、ビジネス行動を含む。
【0040】
具体的な実現には、以下のとおり、いくつかの可能な実現形態がある。無人走行販売車が、巡回する過程で人の流れが密集する場所を発見したら、通常作動モードに切り替えて、販売作業を実行し、且つ他の無人走行車両がダウンロードして使用するようにクラウドの地図情報に位置座標を付ける。他の同じタスクの無人走行販売車が低速で巡回している場合、計画経路は、自動的に、売買タスクが実行されている場所を回避する。無人運転タクシーは、クラウド地図情報から人の流れが密集している場所を取得し、人の流れが密集している場所に巡回して行くことで、運賃の作業を開始することができる。
【0041】
上記実施形態のうえで、該無人走行車両の低速走行を開始する態様としては、特に限定されず、以下の態様を少なくとも含む。
【0042】
第1の態様には、遠隔制御機器から実際の要求に応じて低速走行開始命令を送信し、無人走行車両が低速走行開始命令を受信した後に低速走行機能を開始する。
【0043】
第2の態様には、無人走行車両のアイドル状態にある期間が予め設定された期間を超える場合に、前記低速巡回機能を開始する。
【0044】
第3の態様には、予め設定された時間に応じて、低速巡回機能を開始し、例えば、8:00~20:00の期間が販売車の作動時間と設定され、20:01~翌日の7:59までの任意の時間帯が低速巡回時間に設定される場合、無人走行車両は、20:01で低速巡回モードに切り替わる。又は、22:00から翌日の7:59までの任意の時間帯を低速巡回時間に設定すると、無人走行車両は20:00に販売を停止して待機状態となり、22:00に低速巡回モードを起動する。
【0045】
1つの具体的な実現形態では、クラウドは、遠隔制御機器によるタスクの発行によって、無人走行車両の低速巡回機能を開始することができる。無人走行清掃車は、路面清掃作業が完了した後、アイドル時間が所定期間を超えると、低速巡回機能を自動的に開始して、道路情報を収集する。無人走行販売車の夜間の非作動時間は、低速巡回時間として予め設定されておくことができる。昼間には無人販売車は通常作動を行い、夜間には作動終了後に低速巡回機能を開始して道路情報を収集し、地図情報を更新する。
【0046】
上記の実施形態に基づき、該無人走行車両の巡回方法は、具体的な実現過程において、以下の実現形態を有する。
1)無人走行車両が低速巡回モードで走行している場合、低速巡回形態により、安全なモードで地図を探索し、後続の通常作動時の地図と運行モードを形成する。
2)無人走行車両は、毎日の通常作動時間帯において、通常作動モードで運転され、予め設定された作動コースに従って走行する。
3)無人走行車両は、モード切替命令を受信することができ、モード切替命令は、切替対象モードを含む。無人走行車両は、モード切替命令に応じて目標モードに切り替えて走行する。
【0047】
本発明による低速巡回方法は、無人走行車両の通常の運転に影響を与えることなくデータの収集を完了し、地図データ及び運行モードを形成することができる。地図データは、クラウドによってネットワーク内の他の無人走行車両と共有されてもよい。無人走行車両が正常に作動しているときでもクラウドの地図データを取得し、リアルタイムで最新の地図データを用いて経路を計画し、作動を実行することができ、作動効率を向上させる。無人走行車両がアイドルであるときにはプリセットに応じて巡回モードを開始し地図を探索して走行データを収集し、クラウド地図データをリアルタイムで更新し、収集した走行データを用いて自身の作動モードを修正し、無人走行車両の利用率を向上させる。
【0048】
巡回モードと作動モードは、命令、プリセット時間、アイドル時間の方式で切り替えられることができ、切り替え方式は柔軟で効率的である。
【0049】
図3は本発明の実施形態に係る無人走行車両の構造模式図である。
図3に示すように、無人走行車両10は、
低速巡回機能を開始した場合には、予め設定された巡回モードに従って巡回を行うための処理モジュール11と、
走行中に車両が収集した車両が位置する環境のデータである走行データを、感知機器によって収集するための収集モジュール12と、を含み、
前記処理モジュール11は、前記走行データから地図を生成するためにも使用される。
【0050】
本実施形態は、原理及び技術的効果が類似している上記の方法の実施形態のいずれかの技術的解決策を実現するために、感知機器によって走行データを収集し、走行データから地図を生成するように構成された無人走行車両を提供する。無人走行車両が作動モードにおいて常に最新の地図に従って作動することができるように、地図のタイムリーな修正が実現される。
【0051】
1つの具体的な実現形態において、前記処理モジュール11は、前記走行データから無人走行車両の運行モードを決定するように更に構成され、前記運行モードは、作動モード及び対応する位置情報を含む。
【0052】
1つの具体的な実現形態において、前記処理モジュール11は、具体的に、遠隔制御機器から送信される低速巡回開始命令に応じて、低速巡回機能を開始する、
又は、前記無人走行車両のアイドル状態にある期間が予め設定された期間を超える場合に、前記低速巡回機能を開始する、
又は、予め設定された時間に応じて前記低速巡回機能を開始する。
【0053】
具体的には、前記巡回モードは少なくともS字型巡回モードとサークル型巡回モードとを含む。
【0054】
具体的には、前記感知機器は、赤外線センサ、双眼カメラ、単眼カメラ、超音波センサ、温度センサ、湿度センサ、ガスセンサのうちの少なくとも1つを含む。
【0055】
1つの具体的な実現形態において、前記処理モジュール11は、具体的に、前記走行データが地図の生成又は運行モードの決定に使用可能であるか否かを予め設定された品質基準に従って決定するために使用される。
【0056】
本実施形態で提供される機器は、原理及び技術的効果が同様に実現される上記方法の実施形態の技術的解決策を実行するために使用されてもよく、本実施形態では、その詳細な説明は省略する。
【0057】
図4は本発明の実施形態に係る無人走行車両のハードウェア構造模式図である。
図4に示すように、本実施形態の無人走行車両20は、
コンピュータ実行命令を記憶するためのメモリ202と、
上記実施形態における端末機器で実行される各ステップを実現するように、メモリに記憶されたコンピュータ実行命令を実行するためのプロセッサ201とを備えている。具体的には、前述の方法の実施形態における関連の説明を参照されたい。
【0058】
一実施形態において、メモリ202は、独立していてもよく、プロセッサ201と一体に集積されていてもよい。
【0059】
メモリ202が独立して設けられている場合には、該端末機器は更に前記メモリ202とプロセッサ201とを接続するバス203を備える。
【0060】
本発明の実施形態は、プロセッサが前記コンピュータ実行命令を実行すると、上述した無人走行車両の巡回方法を実現するコンピュータ実行命令を記憶したコンピュータ可読記憶媒体をさらに提供する。
【0061】
本発明によって提供されるいくつかの実施形態において、開示される機器及び方法は、他の方法で実現されてもよいことが理解されるべきである。例えば、上記の実施形態は、単に例示的なものであり、例えば、前記モジュールの分割は、1つの論理的機能の分割にすぎず、実際の実装では、複数のモジュールが組み合わされてもよいし、別のシステムに統合されてもよいし、又はいくつかの特徴が省略されてもよいし、又は実行されなくてもよいなど、別の分割がなされてもよい。別の点では、表示又は議論される相互間の結合又は直接的な結合又は通信接続は、何らかのインターフェース、装置又はモジュールを介した間接的な結合又は通信接続であってもよく、電気的、機械的、又は他の形態であってもよい。
【0062】
上記分離手段として説明したモジュールは、物理的に分離していてもいなくてもよく、モジュールとして表示する手段は、物理的なユニットであってもなくてもよく、1箇所にあってもよく、又は複数のネットワークユニットに分散していてもよい。また、本実施形態の目的は、必要に応じて、モジュールの一部又は全部を選択して実現することも可能である。
【0063】
また、本発明の各実施形態における各機能モジュールは、1つの処理ユニットに集積されてもよいし、各モジュールが物理的に単独で存在してもよいし、2つ又は2つ以上のモジュールが1つのユニットに集積されてもよい。上記モジュールからなるユニットは、ハードウェアで実現されてもよいし、ハードウェアとソフトウェアの機能手段の両方で実現されてもよい。
【0064】
また、上記ソフトウェア機能モジュールとして実現される集積されたモジュールは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納されてもよい。上記ソフトウェア機能モジュールは、コンピュータ機器(パーソナルコンピュータ、サーバ、又はネットワーク機器等であってもよい)又はプロセッサ(英文:Processor)に本発明の各実施形態による方法のステップの一部を実行させるためのいくつかの命令を含む記憶媒体に格納されている。
【0065】
なお、上記プロセッサは、中央処理ユニット(英文:Central Processing Unit、略称:CPU)であってもよいし、その他の汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(英文:Digital Signal Processor、略称:DSP)、特定用途向け集積回路(英文:Application Specific Integrated Circuit、略称:ASIC)等であってもよい。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであってもよく、又は該プロセッサは任意の従来のプロセッサなどであってもよい。本明細書に関連して開示された方法のステップは、ハードウェアプロセッサ実行として直接具現化され得るか、又はプロセッサ内のハードウェア及びソフトウェアモジュールの組み合わせで実行され得る。
【0066】
メモリは、高速RAMメモリを含んでもよく、少なくとも1つの磁気ディスクメモリのような不揮発性記憶NVMを含んでもよく、Uディスク、モバイルハードディスク、リードオンリーメモリ、磁気ディスク、又は光ディスクなどであってもよい。
【0067】
バスは、産業標準アーキテクチャ(Industry Standard Architecture、ISA)バス、外部デバイスインターコネクト(Peripheral Component、PCI)バス、又は拡張産業標準アーキテクチャ(Extended Industry Standard Architecture、EISA)バスなどであり得る。バスは、アドレスバス、データバス、制御バスなどに分けられる。なお、本願の図面におけるバスは、説明の便宜上、1本のバスのみを示す場合と、1種類のバスのみを示す場合とに限定されるものではない。
【0068】
上記記憶媒体は、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、プログラマブル読み出し専用メモリ(PROM)、読み出し専用メモリ(ROM)、磁気メモリ、フラッシュメモリ、磁気ディスク、又は光ディスクなどの任意のタイプの揮発性又は不揮発性記憶デバイス、又はそれらの組み合わせによって実装され得る。記憶媒体は、汎用又は専用コンピュータによってアクセスされ得る任意の利用可能な媒体であり得る。
【0069】
例示的な記憶媒体は、プロセッサが記憶媒体から情報を読み取り、該記憶媒体に情報を書き込むことを可能にするように、プロセッサに結合される。もちろん、記憶媒体はプロセッサの一部であってもよい。プロセッサ及び記憶媒体は、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuits、略称:ASIC)内に配置されてもよい。当然ながら、プロセッサ及び記憶媒体は、電子デバイス又はマスタデバイス内の個別構成要素として存在してもよい。
【0070】
当業者であれば、上述の各方法の実施形態を実現するステップの全部又は一部を、プログラムの命令に基づき関連するハードウェアにより実現してもよいことを理解するである。また、上記プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納されてもよい。このプログラムは、実行されると、上述の各方法の実施形態を含むステップを実行する。また、前記記憶媒体としては、プログラムコードを記憶できる媒体、例えば、ROM、RAM、磁気ディスク、光ディスク等が挙げられる。
【0071】
最後に説明すべきものとして、以上の各実施形態は、本発明の技術的解決手段を説明するためのものであって、これを制限するものではなく、前述の各実施形態を参照しながら本発明について詳細に説明したが、当業者であれば、依然として前述の各実施形態に記載の技術的解決手段を修正するか、又はそのうちの一部又は全ての技術的特徴に対して同等置換を行うことができ、これらの修正又は置換は、対応する技術的解決手段の本質を本発明の各実施形態の技術的解決手段の範囲から逸脱しないと理解すべきである。