(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】セラミックフィルタ
(51)【国際特許分類】
B01D 39/20 20060101AFI20220808BHJP
B01D 29/01 20060101ALI20220808BHJP
B28B 1/30 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
B01D39/20 D
B01D29/04 510A
B01D29/04 510D
B01D29/04 510F
B01D29/04 530A
B28B1/30
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020128922
(22)【出願日】2020-07-30
(62)【分割の表示】P 2018021914の分割
【原出願日】2014-03-11
【審査請求日】2020-08-28
(32)【優先日】2013-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515257689
【氏名又は名称】パイロテック インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ギブソン,ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】レイ,スティーブン
【審査官】松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】特許第3656756(JP,B2)
【文献】特開2010-036204(JP,A)
【文献】特開2013-000998(JP,A)
【文献】特開平07-124181(JP,A)
【文献】特開2002-115004(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0002287(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 39/00- 39/20
B29C 67/00
B33Y 10/00- 99/00
B28B 1/00- 1/54
C04B 38/00- 38/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層造形工程を使用して、溶融金属濾過のためのセラミックフィルタを形成する方法であって、
前記積層造形工程において、
前記セラミックフィルタの3次元(3D)デジタルモデルを複数のセクションにスライスし、
前記セラミックフィルタの前記3Dデジタルモデルの前記複数のセクションの各セクションを、その前のセクションの上部に連続して形成し、
前記セラミックフィルタの3Dデジタルモデルは、
複数の孔部を含み、前記複数の孔部の各孔部は、流体から微粒子を濾過するように構成された形状を有し、
前記複数の孔部は
、流入面か
ら排出面に向けてサイズにおいて変化するように3Dセラミックフィルタの前記流入面と3Dセラミックフィルタの前記排出面との間に配置され
、
前記形成する工程は、前記セラミックフィルタの前記3Dデジタルモデルの前記複数のセクションの各セクションを形成し、消耗材料で犠牲基板を積層的に造形し、次いで前記セラミックフィルタを作成することを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記積層造形工程は、押し出し、粒状化、ラミネート加工又は光重合の積層造形工程を含むことを特徴とする、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記積層造形工程は、熱溶解積層法(FDM)、直接金属レーザ焼結法(DMLS)、電子ビーム溶解法(EBM)、選択的加熱焼結法(SHS)、選択的レーザ焼結法(SLS)、紛体を主成分とする3次元プリント法(PP)、薄膜積層法(LOM)、光造形法(SLA)、又はデジタルライトプロセッシング(DLP)を含むことを特徴とする、請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
セラミックフィルタの3次元(3D)デジタルモデルを複数のセクションにスライスする工程と、
前記セラミックフィルタの犠牲基板を形成するように、前のセクションの上部に連続する前記セラミックフィルタの前記3Dデジタルモデルの前記複数のセクションの各セクションをポリマー材料でレーザプリントする工程と、を含み、
前記セラミックフィルタの3Dデジタルモデルは、複数の孔部を備え、
前記複数の孔部の各孔部は、流体から微粒子を濾過するように構成された形状を有し、
前記複数の孔部は、前記複数の孔部
が流入面か
ら排出面に向けてサイズにおいて変化するように3Dセラミックフィルタの前記流入面と3Dセラミックフィルタの前記排出面の間に配置される、セラミックフィルタを形成する方法。
【請求項5】
セラミックスリップに前記犠牲基板を含浸することをさらに含む、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記犠牲基板を除去して、前記セラミックフィルタを作成することをさらに含む、請求項
5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は2013年3月15日に出願された「セラミックフィルタ(Ceramic Filters)」と題される米国仮出願第61/800,065号の優先権を主張するものであり、参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
網状ポリウレタン発泡体によって形成されるセラミックフォームフィルタ(CFF)が存在する。このCFFは、セラミックスリップ(泥漿)に網状ポリウレタン発泡体を含浸し、発泡体に圧力をかけて過剰なスリップを除去し、本体を乾燥及び焼成し、CFFに成形することによって形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、これらCFFは、CFF製造時及び応用時に多くの問題を抱える。CFFの製造時、CFFは網状ポリウレタン発泡体を用いて形成されるため、網状ポリウレタン発泡体の正確な孔部のサイズや形状を管理するのは困難である。1つの困難性は、網状ポリウレタン発泡体の一のバッチと別のバッチの孔部のサイズ及び形状を管理することである。さらに、網状ポリウレタン発泡体は、CFFの断面上で1つの孔部のサイズ及び形状しか提供しない。例えば、網状ポリウレタン発泡体はCFFの深度に関して1つの孔部のサイズ及び形状しか提供しない。換言すると、網状ポリウレタン発泡体はCFFを通って流れる流体の流れる方向に沿って、1つの孔部のサイズ及び形状しか提供しない。
【0004】
CFF製造時の困難性に関する別の例では、下層の網状ポリウレタン発泡体は除去されるか、あるいは焼成されるため、CFFはもろく、脆弱となり、ポリウレタン発泡体は有害な状態で周囲に失われる。例えば、取り除かれた網状ポリウレタン発泡体は、下層のセラミックの望ましくないウィスカを生成する網状ポリウレタン発泡体を包み込むセラミックから排気される。望ましくないウィスカはCFFから離脱し、デブリを発生する。別の例では、除去された網状ポリウレタン発泡体はセラミックに中空を残す。例えば、除去された網状ポリウレタン発泡体はセラミックに空洞を残す。セラミックの中空は結果として生成されるCFFを脆弱にする。
【0005】
CFF製造における困難の別の例では、ポリウレタン発泡体はセラミックスリップで含侵されるため、ポリウレタン発泡体は最大高さ又は厚みに限定される(例えば、約50mmの最大高さ)。例えば、セラミックスリップは、ポリウレタン発泡体の全体に分散され、続いて、ポリウレタン発泡体に圧力をかけることにより、ポリウレタン発泡体全体から除去されることが可能でなければならないため、ポリウレタン発泡体は最大高さに限定される。
【0006】
ポリウレタン発泡体の複数の層で形成されるCFFが可能であるが、各層の間に異なる界面を有する。例えば、第1の孔部のサイズ及び形状を有する第1の層は第2の孔部のサイズ及び形状を有する第2の層に固定及び接触されうる。しかし、2つの異なる層の間の界面は、複数層のCFFの性能を低下させる不規則性を発生する。界面の不規則性に加え、複数層のCFFは製造が難しく、高価である。
【0007】
CFFの応用において、CFFはもろく、又は脆弱であるため、CFFは交換が難しい。例えば、CFFを使用した溶融アルミニウム鋳物において、新しい、又は未使用のCFFがフィルタボックスに据え付けられ、1滴(one-drop)又は1用量(one-dose)がCFFを介して濾過され、溶融アルミニウムの1滴の後で、使用済みのCFFは取り除かれる。CFFはもろく、又は脆弱であるため、ユーザが溶融アルミニウムの1滴の後でCFFを取り除くのは困難である。例えば、ユーザは使用済みCFFを取り除くために、用具(例えば、トング、プライヤ、串など)でCFFを掴もうと試みるだろう。しかし、CFFはもろいため、用具によってCFFにかかる力によって、複数の破片に粉々に壊れ、CFFの除去を困難にすることがある。
【0008】
CFF応用の困難性の別の例では、CFFは単一の孔部のサイズを有しているため、CFFを使用した溶融アルミニウムの鋳造工程は、濾過の効率性を最適化するために、厳格に管理される。例えば、溶融アルミニウム鋳造業界で要求される、微細孔部濾過(例えば、80以下の等級(grade))及び、高い金属流量(19mm/秒以下)のため、濾過システムのパラメータ(濾過システムの予熱、濾過システムの凹み設計、濾過システムの凹みサイズなど)の操作は、最適な濾過効率を確実に実現するために厳格に管理される。さらに、正しいCFFのサイズと等級は、最適な濾過効率を確実に実現するために厳格に管理される。
【0009】
CFFに加えて、別のセラミック濾過器が存在する。しかし、別のセラミックフィルタには不利な点がある。例えば、中程度から高度な効率性を備える、深層フィルタ、又は充填層型フィルタが存在するが、CFFと比較して、維持するには極めて大型で高価である。別の例では、極めて高い濾過効率を提示する結合粒子チューブフィルタ(bonded particle tube filters)が存在する。しかし、このフィルタは極めて大型で、極めて高価な濾過媒体を有し、長い予熱時間を要する。それに比べて、CFFシステムは高い濾過効率の媒体を提供し、コンパクトであり、低価格の濾過媒体(例えば低価格CFF)を使用し、短時間の予熱時間でよい。その後、半仕上げの鍛造アルミニウム製品の向上する品質に対する需要に応えるために、鋳床でのCFFによるアルミニウムの濾過が、溶融アルミニウム鋳造の分野全体における標準となっている。
【0010】
このように、網状ポリウレタン発泡体で形成されない、新しいセラミックフィルタの開発がいまだ必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この概要は、溶融金属フィルタのような最適化された孔部を備えるセラミックフィルタを製造する技術に関する簡略化された概念を導入するために提供され、詳細は、以下の発明の詳細な説明に記載される。この概要は、特許請求の範囲の本質的な特徴を特定することを目的としていない。また、この概要は、特許請求の範囲の決定に使用することを目的としていない。
【0012】
本開示は、積層造形フィルタ(積層的に造形されたフィルタ、additively manufactured fillter)、及びこのようなフィルタ製造の技術に関する。ある実施形態では、このような積層造形フィルタはセラミックで形成され、溶融金属(例えば、溶融アルミニウム)を濾過するように構成されうる。
【0013】
ある実施形態では、積層造形セラミックフィルタは、セラミックの単一ユニットの流入面と排出面との間に配置される複数の孔部又は開口部を含む。例えば、孔部のサイズが均一であるように、流入面から排出面に向かって、複数の孔部が流入面と排出面との間に配置されうる。さらに、既定の流体及び汚染物の効果的な深層濾過を提供するために、孔部のサイズ、形状、及び/又は方向が選択される。例えば、孔部のサイズ、形状及び/又は方向は、既定の流体及び汚染物の効果的な深層濾過をもたらす流体力学的特徴(例えば、層流、乱流、渦、渦巻き)を提供するために選択されうる。より大きなサイズの含有物(内包物)の概して高い含有物負荷(inclusion loads)がフィルタの表面で除去される脱水濾過と比較した場合、深層濾過では、フィルタ内のより低い含有物負荷でより小さな含有物を除去するのに、補足された動力学(captured kinetics)が、より適している。
【0014】
ある実施形態では、複数の孔部が相互接続している。例えば、流入面と排出面の間に配置された複数の孔部はそれぞれ相互接続している。さらに、孔部の相互接続は、既定の流体及び汚染物の効果的な深層濾過を提供するために選択されうる。
【0015】
ある実施形態では、流入面と排出面の間に配置された複数の孔部は、孔部のサイズの順に配置されうる。例えば、流入面と排出面との間に配置された複数の孔部は、流入口(例えば、前面又は入口)から排出口(例えば、背面又は出口)への孔部の直径のサイズ順に配置されうる。さらに、孔部のサイズの順番は、既定の流体及び汚染物の効果的な深層濾過を提供するために選択されうる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
詳細な説明は、関連する図面を参照して示される。図面では、参照番号の一番左の数字は、参照番号が最初に現れる図面を特定する。異なる図面で同じ参照番号が使用されている場合、同様又は同一の対象を示す。
【0017】
【
図1】
図1は、例えば、濾過システムのフィルタボックスで、既定の流体(例えば溶融アルミニウム)を濾過するために使用される、積層造形セラミックフィルタの側面図である。
【0018】
【
図2】
図2は、
図1の積層造形セラミックフィルタの正面斜視図を図示している。
【0019】
【
図3】
図3は、
図1の例示的な積層造形セラミックフィルタの、切断線A-Aに沿って取られた詳細な断面図を図示している。
【0020】
【
図4】
図4は、複数の孔部の配置の実施形態を図示している。
【0021】
【
図5】
図5は、既定の流体及び汚染物に所望の渦巻き及び/又は渦を生成するために選択され、及びデジタル処理でモデル化された孔部の実施形態を図示している。
【0022】
【
図6】
図6は、
図1に示された例示的な積層造形セラミックフィルタを製造する工程の一例を図示したフロー図である。
【0023】
【
図7】
図7は、
図1に示された例示的な積層造形セラミックフィルタを製造する工程の一例を図示したフロー図である。
【0024】
【
図8】
図8は、
図1に示された例示的な積層造形セラミックフィルタを製造する工程の一例を図示したフロー図である。
【0025】
【
図9】
図9は、既定の流体及び汚染物に所望の渦巻き及び/又は渦を生成するために選択され、及びデジタル処理でモデル化された孔部の実施形態を図示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(概説)
上記のとおり、網状ポリウレタン発泡体から形成される既存のセラミック発泡体フィルタ(CFF)は存在するものの、CFFは孔部のサイズ及び/又は形状において十分な精度を有しておらず、CFF製造時及び応用時に問題を発生させる。さらに、既存のCFFは下層の網状ポリウレタン発泡体を除去又は焼成することにより形成されるため、CFFはもろく、及び/又は脆弱である。さらに、既存のCFFは下層の網状ポリウレタン発泡体を焼成することによって形成されるため、CFFの製造はコストがかかり、環境に対して有害である。本応用は、最適化された孔部のサイズ、形状、方向、及び、様々な孔部のサイズの精度の高さを呈する相互接続を有し、セラミックで形成された積層造形フィルタについて記述している。さらに、本応用で記述される積層造形フィルタは、CFFよりも効果的な濾過効率及びより高い強度を呈する。また、本応用は、このようなセラミックフィルタを製造施設で積層造形するための様々な技術についても記載している。本応用は、限定としてではなく例示として、鋳造分野で使用される積層造形セラミックフィルタについて記述する。例えば、本応用は、半仕上げの鍛造されたアルミニウム製品の鋳造分野で使用される、積層造形セラミックフィルタについて記述する。ただし、積層造形セラミックフィルタは別の分野で使用されてもよい。例えば、積層造形セラミックフィルタは水濾過、オイル濾過、燃料濾過などの分野で使用されてもよい。
【0027】
一般に、本応用で記述されるように、積層造形セラミックフィルタは、流入面及び排出面を有するセラミックの単一ユニットと、複数の孔部が流入面から排出面へと均一にサイズが変化するように流入面と排出面の間に配置された複数の孔部とを含む。層及び干渉面(interfering surfaces)上に複数の孔部が存在しないように、複数の孔部は流入面から排出面へと連続している。例えば、深層濾過の性能を低下させる不規則性を発生させる層及び干渉面に複数の孔部が存在しないように、複数の孔部は流入面と排出面の間に配置されうる。孔部は、既定の流体及び汚染物に効果的な深層濾過を提供するために選択されうる。ある例では、孔部は多面体形状から成る均一な形状を含みうる。特定の応用によっては(例えば、積層造形セラミックフィルタの所望の浸透性)、均一な形状は、12面体、立方体、球体、シェブロン型(山形紋)、錐体、曲線管状などであってもよい。例えば、積層造形セラミックフィルタの深層濾過断面により良い深層濾過を提供する、流体力学的特徴(例えば、層流、乱流、渦、渦巻き)を生成するために、均一な形状が選択されうる。深層濾過については、Pyrotek(登録商標)がwww.Pyrotec.infoで公開する「濾過処理における性能の改善(Improving Performance In The Filtration Process)」と題された文書に記載されており、参照によりその全体が組み込まれる。
【0028】
均一な形状の所望の場所(例えば捕捉(キャプチャ)部位)で、流れの中に渦、渦巻き及び/又は静止点を生成する層流及び/又は乱流に境界層を生成するために、均一な形状が選択されうる。既定の流体及び汚染物に効果的な濾過を行うために選択された渦及び/又は所望の場所は、積層造形セラミックフィルタを通過する、選択された速度を有する。例えば、孔部の流体入口(例えば、窓、穴、開口部など)に近接した場所で渦、渦巻き及び/又は静止点を生成するように選択された、均一な形状を有しうる。つまり、流体入口に近接する孔部内部で所望の渦又は渦巻きを生成する流体入口に対する角度及び/又は半径を有する構造(例えば、障害物、壁、障壁)を有するように、均一な形状が選択されうる。既定の流体及び汚染物において、孔部が、所望の場所で、所望の渦、渦巻き及び/又は静止点を生成するため、孔部はより多くの汚染物を捕捉し、それによって、網状ポリウレタン発泡体で形成されたCFFの孔部と比較して、積層造形セラミックフィルタの深層濾過の効率性が向上する。さらに、孔部はデジタル処理でモデル化され、3次元で積層的に造形された、選択された均一な形状を有しているため、孔部は、網状ポリウレタン発泡体で形成されたCFFの孔部のサイズ変化の精度と比較して、より高度な孔部のサイズ変化の精度を提供する。これは、網状ポリウレタン発泡体を除去して形成する、計測と仕様書による厳格な管理の実行と比較して、3次元(3D)でモデル化された孔部は、選択された特徴を正確にモデル化した3Dであるためである。例えば、選択された均一な形状は、CFFを生産するための厳格な品質管理により網状ポリウレタン発泡体を形成することと比較して、正確な仕様書どおりに、デジタル処理により3次元でモデル化され、次いで積層的に造形されうる。
【0029】
均一な形状が12面体である例では、孔部は、隣接領域に配置するために選択される、中空で、実質的に12面体の形状のセラミックユニットを備える。均一な形状及び/又は孔部の配置は、「蛇行性経路(tortuous path)」を生成するのに選択されうる。例えば、孔部の均一な形状及びその孔部は、複数回、流体の流れる方向を変更させるように選択及び配置されうる。孔部はセラミックで形成された支柱(strut)及び面を含みうる。例えば、孔部は、孔部の均一な形状を形成する、選択されたサイズ、形状及び方向の支柱及び面を含みうる。均一な形状を形成する、選択された支柱及び面は、均一な形状における選択された速度を有する、既定の流体及び汚染物での所望の渦、渦巻き及び/又は静止点を生成するものである。
【0030】
ここで使用されるように、実質的に12面体形状のユニットは、3次元空間に、実質的に12面体形状のユニットを含む。例えば、連続する中空のセラミック12面体は、互いに接触して配置され、孔部の領域を形成しうる。ある例では、12面体形状のセラミックユニットは、約500μmの直径を有するように積層的に造形されうる。別の例では、12面体形状のセラミックユニットは、少なくとも約200μmから最大約5,000μmの直径を有するように積層的に造形されうる。直径は、特定の応用に応じて変化してもよい。
【0031】
ある例では、12面体形状のセラミックユニットは、少なくとも約20μmから最大約50μmの直径の支柱を有するように積層的に造形されうる。支柱の直径は、特定の応用に応じて変化してもよい。ある例では、12面体形状のセラミックユニットは、少なくとも約10μmから最大約50μmの厚みの面を持つように、積層的に造形されうる。面の厚みは特定の応用に応じて変化してもよい。
【0032】
ある例では、12面体形状のセラミックユニットは、少なくとも約100μmから最大約2,000μmの流体入口を有するように積層的に造形されてもよい。流体入口は特定の応用に応じて変化してもよい。ある例では、12面体形状のセラミックユニットは、少なくとも約100μmから最大約2,000μmの流体出口を有するように積層的に造形されてもよい。流体出口は特定の応用に応じて変化してもよい。流体入口及び流体出口は特定の応用に応じて互いに変化してもよい。さらに、12面体形状のセラミックユニットは、複数の流体入口及び流体出口を有するように積層的に造形されうる。例えば、12面体形状ユニットの各面は流体入口又は流体出口を有しうる。さらに、1つ以上の12面体形状ユニットは中央12面体形状ユニットに積層的に造形されうる。例えば、各積層的な12面体形状ユニットは、流体入口及び/又は流体出口の各々で中央12面体形状ユニットに結合しうる。
【0033】
実質的に12面体形状のユニットは、実質的に12面体形状のユニットの一部に、ディンプル(窪み)、パンプ(膨らみ)及び/又は最上部を含むように積層的に造形されうる。例えば、実質的に12面体形状のユニットは、実質的に12面体形状のユニットの20%以下の表面上に、ディンプル、パンプ及び/又は最上部を含むように積層的に造形されうる。ある実施形態では、1つ以上の孔部の領域が、重複した形で積層的に造形されうる。例えば、連続する孔部の間の隙間空間を最小化するように、孔部の最上部領域は孔部の底部領域上に配置されうる。例えば、最上部領域に配置された孔部は、最上部領域の孔部の下に配置された底部領域の2つの孔部の間の隙間空間を覆いうる。さらに、孔部の領域は直径サイズの順に配置されうる。例えば、最上部領域に配置された孔部は、底部領域に配置された孔部の直径よりも大きい。さらに、最上部領域に配置された孔部は底部領域に配置された孔部と相互接続されうる。例えば、最上部領域に配置された孔部は、最上部領域の孔部の下に配置された底部領域の2つの孔部のうちの1つ及び/又は両方と相互接続されうる。
【0034】
積層造形セラミックフィルタは、CFFにおける孔部のサイズ変化と比較して、高度な精度を有するため、積層造形セラミックフィルタはCFFよりも高い品質及び整合性を有する。さらに、積層造形セラミックフィルタは、CFFにおける孔部のサイズ変化と比較して、高度な精度を有するため、積層造形セラミックフィルタはCFFよりも高度に効果的な濾過効率性を有する。
【0035】
さらに、積層造形セラミックフィルタは、孔部を形成する、中空でない(solid)構成部品(例えば支柱及び/又は面)を有するように積層的に造形されたため、CFFにおいて下部の網状ポリウレタン発泡体を除去又は焼成して、外殻で覆われた構成要素(例えば、中空コア)を残すことと比較して、積層造形セラミックフィルタの強度が増す。さらに、積層造形セラミックフィルタは積層的に造形されるため、下部の高価な網状ポリウレタンを除去又は焼成することと比較して、積層造形セラミックフィルタは、CFFの製造よりも低価格であり、環境への悪影響も少ない。
【0036】
積層造形セラミックフィルタの、上記及びその他の特徴は、いくつかの例示的実施形態を参照することにより、以下でさらに詳述されよう。
【0037】
(例示的な積層造形セラミックフィルタ)
この項はセラミック材料から積層造形された典型的なフィルタについて記述する。
【0038】
ある実施において、積層造形セラミックフィルタは、複数の孔部のサイズが、流入面から排出面へと変化するように、セラミック単一ユニットにおいて、流入面と排出面の間に配置された複数の孔部を含む。ある実施において、既定の流体及び汚染物のための効果的な深層濾過を提供するために、孔部が選択されうる。ある実施において、セラミック発泡体フィルタ(CFF)と比較して、孔部のサイズ変化において高度な精度を提供するよう、孔部が積層的に造形されうる。これらの、及びその他多数の積層造形セラミックフィルタが本項で記述される。
【0039】
図1は、例えば、濾過システム106のフィルタボックス104内の規定の流体(例えば、溶融アルミニウム)を濾過するのに使用される、積層造形セラミックフィルタ102の側面図である。濾過システム106は、連続鋳造、又はバッチ鋳造を提供しうる。濾過システム106は、積層造形セラミックフィルタ102が、確実に、その表面全体を効果的かつ効率的に予熱されるように、予熱システムを提供しうる。濾過システム106は、あらゆる形状の積層造形セラミックフィルタ102を収納するように構成されうる。例えば、濾過システム106は特定の応用に応じたサイズの範囲で構成されうる。ある例では、濾過システム106は約228mmのフィルタボックスを有し、単一のセラミックフィルタを収納するように構成されうる。別の例では、濾過システム106は約228mmのフィルタボックスを有し、2つのセラミックフィルタを収納するように構成されうる。さらに、濾過システム106は約584mmのフィルタボックスを有してもよく、単一のセラミックフィルタを収納するように構成されうる。さらに、濾過システム106は約584mmのフィルタボックスを有してもよく、2つのセラミックフィルタを収納するように構成されうる。加えて、濾過システム106は、実質的に長方形、球体、凹状及び/又は凸状、筒状、円錐状、及び/又は錐体の形状の、積層造形セラミックフィルタ102を収納するように構成されうる。例えば、濾過システム106は長さ約178mm、幅約178mm、高さ約50mmの積層造形セラミックフィルタ102を収納するように構成されうる。別の例では、濾過システム106は長さ約660mm、及び幅約660mm、高さ約50mmの積層造形セラミックフィルタ102を収納するように構成されうる。
【0040】
図1に示されるように、積層造形セラミックフィルタ102は複数の孔部108(例えば、開口部、空隙、くぼみ、空洞、ポート、経路など)を含む。
図1は、セラミック単一ユニット112に配置された第1の孔部110(A)、第1の孔部110(A)の下部の第2の孔部110(B)、第2の孔部110(B)の下部の第3の孔部110(C)を表す。セラミック単一ユニット112に配置された孔部108は、既定の流体及び汚染物に効果的な深層濾過を提供するように選択される。側面図に見られるように、セラミック単一ユニット112は、流入面114と排出面116を有しうる。本実施形態では、流入面114は排出面116に対して実質的に平行である。しかし、別の実施形態では、流入面114と排出面116は平行である必要はなく、互いに傾斜したり、湾曲していてもよい。
【0041】
ある例では、上面
図118は、各孔部108が5角形の外周を有する流体入口120を有しうることを図示している。ただし、別の例では、流体入口120はどのような種類の形状を有する外周でもよい。例えば、流体入口120の外周は3つ以上の数の辺を有してもよく、流体入口120の外周は曲線状の辺であってもよく、また、流体入口120の外周は円形であってもよい。流体入口120は実質的に平面であってもよく、孔部108の上面122を画定しうる。孔部108の上面122はセラミック単一ユニット112の流入面114を画定しうる。
【0042】
図1は各孔部108が、各孔部108の別の表面に配置された流体入口120を有しうることを図示している。例えば、孔部108は、12面体の孔部の各面に配置された、流体流入口及び/又は流体排出口を有する、12面体形状ユニットであってもよい。さらに、
図1には示されていないが、積層的な孔部は各孔部108の他の面に配置された流体入口120のそれぞれに結合されてもよい。例えば、各孔部108は中央孔部(central pore)であってもよく、各積層的な孔部は、他の面にある流体入口102のそれぞれにおいて、中央孔部と結合されてもよい。
【0043】
同様に、底面
図124は、各孔部108が5角形の外周を有する流体出口126を有しうることを図示している。ただし、別の例では、流体出口126はどのような種類の形状を有する外周でもよい。例えば、流体出口126の外周は3つ以上のいかなる数の辺を有してもよく、流体出口126の外周は曲線状の辺であってもよく、また、流体出口126の外周は円形であってもよい。流体出口126は実質的に平面であってもよく、孔部108の排出面128を画定しうる。孔部108の排出面128はセラミック単一ユニット112の排出面116を画定しうる。
【0044】
規定の流体(例えば溶融アルミニウム)は方向130に向かって、流入面114から入り、排出面116から外に流れうる。例えば、既定の流体は方向130に向かって孔部108の流体入口120に流れ、下部に配置された孔部108を通り、孔部108の流体出口126から外に流れる。既定の流体は方向130に向かって、積層造形セラミックフィルタ102を通り、少なくとも約9mm/秒、最大約19mm/秒の速度で流れうる。複数の孔部又は開口部は、積層造形セラミックユニットの全体積の少なくとも約60%から少なくとも約90%から成る。
図2は、
図1の積層造形セラミックフィルタ102の正面斜視図を図示している。
図2は実質的に長方形の形状をした積層造形セラミックフィルタ102を図示しているが、積層造形セラミックフィルタ102はどのような形状であってもよい。例えば、積層造形セラミックフィルタ102は実質的に球体、凹状及び/又は凸状、筒状、円錐状、及び/又は錐体の形状などであってもよい。さらに、積層造形セラミックフィルタ102は特定の応用に応じてどのようなサイズ範囲であってもよい。ある例では、長さ202が約178mm、幅204が約178mm、高さ206が約50mmであってもよい。別の例では、長さ202が約660mm、幅204が約660mm、高さ206が約50mmであってもよい。さらに、積層造形セラミックフィルタ102は積層造形されたため、積層造形セラミックフィルタ102の高さ206は、除去される網状ポリウレタン発泡体で形成されたCFFと比較すると、最大高さに拘束又は限定されない。例えば、積層造形セラミックフィルタ102の高さ206は、約50mmのCFFの最大高さよりも大きくてもよい。ある例では、積層造形セラミックフィルタ102の高さ206は、約76mmである。別の例では、積層造形セラミックフィルタ102の高さ206は、約100mmである。
【0045】
図2は積層造形セラミックフィルタ102が、セラミック単一ユニット112の1つ以上の側面208(A)、208(B)、208(C)及び/又は208(D)を含みうることを図示している。ある例では、側面208(A)、208(B)、208(C)及び/又は208(D)は、フィルタボックス104の積層造形セラミックフィルタ102に設置するために配置された機械的密封機能(mechanical sealing feature)210を有しうる。例えば、側面208(A)、208(B)、208(C)及び/又は208(D)は、フィルタボックス104の積層造形セラミックフィルタ102に設置するために、側面208(A)、208(B)、208(C)及び/又は208(D)に固定されたガスケット(例えば、ファイバーガスケット、発泡性ガスケット(expandable gasket)を有しうる。側面
図212は、フィルタボックス104の積層造形セラミックフィルタ102を設置するために、側面208(A)、208(B)、208(C)及び/又は208(D)が面取りされ、角度214を有しうることを図示している。例えば、角度214は、側面208(A)、208(B)、208(C)及び/又は208(D)と、フィルタボックス104の間にガスケットをねじ込む又は変形させるためのものである。
【0046】
図2はガスケットタイプの密封機能を含む機械的密封機能210を図示しているが、機械的密封機能210は、Oリングタイプの密封機能を含んでもよい。例えば、セラミック単一ユニット112はフィルタボックス104の表面に対して圧搾、又は変形されるOリングを有するOリング溝を含みうる。
【0047】
さらに、積層造形セラミックフィルタ102はCFFよりも高い強度を有するため、積層造形セラミックフィルタ102は、積層造形セラミックフィルタ102をフィルタボックス104に取り外し可能に締結するために備わる締結機構(fastening mechanism)を含みうる。例えば、セラミック単一ユニット112は、フィルタボックス104の表面に沿って配置された、協調する差し込み締結機構(図示されず)と結合するように構成された、側面208(A)、208(B)、208(C)及び/又は208(D)に沿って配置された、差し込み締結機構216を含みうる。しかし、
図2には示されていないが、積層造形セラミックフィルタ102をフィルタボックス104に取り外し可能に締結するために、他の締結機構が使用されてもよい。差し込み締結機構216はセラミック単一ユニット112に一体的に形成されてもよい。例えば、差し込み締結機構216はセラミック単一ユニット112に一体的に形成されたセラミック機能(ceramic feature)であってもよい。
【0048】
積層造形セラミックフィルタ102は、使用された積層造形セラミックフィルタ102をフィルタボックス104から取り除くための取り外し機構218を含みうる。例えば、取り外し機構218は、積層造形セラミックフィルタ102をフィルタボックス104から取り除くための用具(例えば、トング、プライヤ、串など)のための、セラミック単一ユニット112に一体化して形成された機構(例えば、トラス、アイプレート、フック、ループ、へこみ、突起、リング)であってもよい。それとは別に、取り外し機構218は、積層造形セラミックフィルタ102をフィルタボックス104から取り除くための用具のための、セラミック単一ユニット112に積層的に造形されたセラミック機能(例えば、フック、へこみ、突起、リング)であってもよい。さらに、積層造形セラミックフィルタ102は、積層造形セラミックフィルタ102が、取り外し中及び/又は据え付け中に、破損又は粉砕するのを防ぐためにセラミック単一ユニット112を強化する目的で、取り外し機構218に配置された補強構造を含んでもよい。
【0049】
ある例では、取り外し機構218は、積層造形セラミックフィルタ102をフィルタボックス104から引っかけて取り出すための、セラミック単一ユニット112と一体化したトラス構造を含みうる。別の例では、取り外し機構218は積層造形セラミックフィルタ102をフィルタボックス104から、及び/又はフィルタボックス104に、緩め、及び/又は締めるためのレンチを備える、1つ以上のピン付きレンチ(例えば、2つのピン付きレンチ)を含みうる。例えば、積層造形セラミックフィルタ102は実質的に円盤形状であり、積層造形セラミックフィルタ102の側部に沿って配置された差し込み締結機構216を有し、積層造形セラミックフィルタ102をフィルタボックス104から、及び/又はフィルタボックス104に、緩め、及び/又は締めるために、1つ以上のへこみはピン付きレンチが、積層造形セラミックフィルタ102にトルクを与えうる。
【0050】
詳細
図220は、孔部108の各流体入口120は応用に応じて、少なくとも約100μmから最大約2,000μmの直径222を有しうることを図示している。同様に、孔部108の各流体出口126は応用に応じて、少なくとも約100μmから最大約2,000μmの直径222を有しうる。また、詳細
図220は、各孔部108は応用に応じて、少なくとも約500μmから最大5100μmまでの外径224を有しうることを図示している。例えば、積層造形セラミックフィルタ102は流体アルミニウムの含有を捕捉するために80等級のフィルタを要する応用に対応するよう構成されうる。孔部サイズ(例えば、孔部の直径)は濾過の等級に関連し、Pyrotek(登録商標)がwww.Pyrotec.infoで公開する、「Recent Improvements In The Measurement And Control of Ceramic Foam Filter Quality」と題された文書に記載されており、参照によりその全体が組み込まれる。
【0051】
80等級のフィルタを有する積層造形セラミックフィルタ102は、孔部108を有し、それぞれが少なくとも約600μmの外径224を有しうる。さらに、孔部108は積層的に造形されたため、均一な各孔部108の外径224は、CFFの孔部の直径の精度を管理することに比べて、より高度な精度で管理できる。これは、ある範囲の外径(例えば、許容範囲の最小及び最大外径)の網状ポリウレタン発泡体を形成することと比較して、外径224が、選択された外径224に正確にデジタル処理でモデル化され、次いで厳しい品質管理のもと、高度な精度により積層的に造形されたことによる。例えば、80等級のフィルタタイプを要する応用において、CFFの最小外径約600μm、及び最大外径約700μmと比較して、積層造形セラミックフィルタ102の各孔部108の平均外径224は約640μmであり、最大外径224は約660μmである。
【0052】
また、
図2は切断線A-Aを図示している。切断線A-Aは、積層造形セラミックフィルタ102のほぼ中央の位置である。
【0053】
図3は、切断線A-Aに沿った、
図1に図示される積層造形セラミックフィルタ102の詳細断面
図302を図示している。
図3は複数の孔部が、流入面から排出面へと均一にサイズを変えるように、流入面114から排出面116に向かって連続するセラミック単一ユニット112の孔部108を図示している。さらに、
図3は孔部108が干渉する面のない領域に配置されうることを図示している。孔部108は積層的に造形されたため、孔部は流入面114から排出面116に向かって連続している。孔部108は、互いに一体的に形成されるよう、積層的に造形されたため、連続している。別の言い方をすれば、孔部は、その領域に互いに分離した面が存在しないように積層的に造形されたため、該領域は連続している。セラミック単一ユニット112の孔部108は、該領域に干渉する面がないように、流入面114から排出面116まで連続しているため、積層造形セラミックフィルタ102は、CFFと比較して、さらに高い深層フィルタ性能を有する。これは、各層の間に干渉する面を有する複数層のCFFと比較して、該領域には干渉する面が存在しないことによる。
【0054】
図3は、孔部108は、複数の孔部108の外径224のサイズの順に配置されうることを図示している。さらに、孔部108は、流入面114から排出面116に向かう複数の孔部108の外径224のサイズの順に配置されうる。例えば、孔部108は、流入面114に近接する複数の孔部108の最大外径224から、排出面116に近接する複数の孔部108の最小外径224の順で配置されうる。このように、孔部108は、流入面114に近接する複数の孔部108の最大外径224から、排出面116に近接する複数の孔部108の最小外径224の順で配置されるため、及び、孔部108は連続しているため、孔部108は流入面114から排出面116に連続的に可変である。孔部108は流入面114から排出面116に連続的に可変であるため、積層造形セラミックフィルタ102はCFFと比較してより効果的な深層濾過を提供する。
【0055】
図3は、孔部108が、流入面114に近接する複数の孔部108の最大外径224から、排出面116に近接する複数の孔部108の最小外径224の順で配置されうることを図示しているが、孔部108は、既定の流体及び汚染物の効果的な深層濾過を備える流体力学的特徴(例えば、層流、乱流、渦、渦巻きなど)を提供するために、どのようなサイズの順序で配置されてもよい。例えば、孔部108は、流入面114に近接する複数の孔部108の最大外径224から、セラミック単一ユニット112の中間に近接する領域の複数の孔部108の最小外径224、及び、排出面116に近接する複数の孔部108の最大外径224の順で配置されうる。さらに、孔部108は、流入面114から排出面116までの複数の孔部108の外径224のサイズに従って、ランダムな順番で配置されてもよい。
【0056】
図3は、複数の孔部108の上面122は実質的に同一平面上にあることを図示しているが、上面122は互いにいかなる角度であってもよい。例えば、複数の孔部108の各上面122は、流入面114に対していかなる鈍角であってもよい。さらに、複数の孔部108の各上面122は、各孔部108の中央軸に対していかなる角度で回転してもよい。例えば、各孔部108は、各孔部108の中央軸に対して角度をつけて回転されてもよい。
【0057】
同様に、
図3は複数の孔部108の上面122は実質的に同一平面上にあることを図示しているが、複数の孔部108の排出面128は互いにいかなる角度であってもよい。例えば、複数の孔部108の各排出面128はセラミック単一ユニット112の排出面116に対していかなる鈍角であってもよい。さらに、複数の孔部108の各排出面128は、各孔部108の中央軸に対していかなる角度で回転されてもよい。
【0058】
詳細
図304で示されるように、各XXXの孔部108は実質的に同一の均一な形状306を有する。詳細
図304は、孔部108は実質的に12面体の形状であることを図示しているが、複数の孔部108はいかなる形状であってもよい。例えば、複数の孔部108は、多面体形状、球体形状、管状、ワーム形状(worm shape)、シェブロン型(V字形状)などであってもよい。さらに、12面体形状は縦長であってもよい。例えば、12面体形状の孔部は、長さがその幅よりも大きくてもよい。
【0059】
また、詳細
図304は、各孔部108が支柱308と面310を含むことを表している。孔部108の内面は実質的に球体である。支柱308は孔部108の、実質的に棒状の構造部材である。棒状の支柱308は断面形状を有しうる。例えば、支柱308は実質的に長方形、3角形、円形及び/又は楕円形などの棒状断面を有しうる。支柱308は少なくとも約20μmから最大約50μmの断面直径を有しうる。支柱308のサイズ及び形状は選択でき、デジタル処理により、正確な仕様に3次元でモデル化されうる。例えば、支柱308の幾何学的図形(例えば、形状及び/又はサイズ)は既定の流体及び汚染物に、所望の渦及び/又は渦巻きを生成するために選択され、及びデジタル処理でモデル化されうる。支柱308のデジタル処理でモデル化された幾何学的図形は、CFFと比較して、サイズ及び形状の精度を保ちながら積層的に造形されうる。
【0060】
面310は孔部108の構造部材であってもよく、少なくとも約10μmから最大約50μmの厚みを有する、いかなる形状の表面であってもよい。例えば、各面310は、少なくとも約10μmから最大約50μmの厚みを有する、実質的に平面の多角形(例えば、5角形)であってもよい。面310は正確な仕様のために選択され、及びデジタル処理により3次元でモデル化されうる。例えば、面310の幾何学的図形(例えば、形状及び/又はサイズ)は既定の流体及び汚染物に、所望の渦及び/又は渦巻きを生成するために選択され、及びデジタル処理でモデル化されうる。面310のデジタル処理でモデル化された幾何学的図形は、CFFと比較して、サイズ及び形状の精度を保ちながら積層的に造形されうる。
【0061】
詳細
図304に示されるように、流体入口120及び/又は流体出口126は、孔部108の1つ以上の面310に配置されうる。例えば、流体入口120及び/又は流体出口126は、既定の流体及び汚染物に、所望の渦、渦巻き及び/又は流体速度を生成するために、面310にいくつでも配置されてもよい。選択された数の流体入口120及び/又は流体出口126は、デジタル処理により、正確な仕様に3次元でモデル化されうる。さらに、流体入口120及び/又は流体出口126のサイズ及び形状は正確な仕様のために選択され、デジタル処理により、3次元でモデル化されうる。例えば、流体入口120及び/又は流体出口126は、既定の流体及び汚染物に、所望の渦、渦巻き及び/又は流体速度を生成するために、実質的に5角形の外周を有して、デジタル処理により3次元でモデル化されうる。別の例では、既定の流体及び汚染物に、所望の渦、渦巻き及び/又は流体速度を生成するために、実質的に円状の外周を有して、デジタル処理により3次元でモデル化されうる。流体入口120及び/又は流体出口126のデジタル処理でモデル化された幾何学的図形は、CFFと比較して、サイズ及び形状の精度を保ちながら積層的に造形されうる。
【0062】
面310の表面が均一又は滑らかな表面であるように図示されているが、面310の表面は不均一であってもよい。例えば、面310は、リブ、ねじ山、溝、側溝、フィン(fin)、クイル(quill)、角錐、網(mesh)、小塊(nub)、くぼみなどの1つ以上の凹凸形状であってもよい。この形状は各面310に対して垂直、又は、各面310に対して傾いて凹凸がついていてもよい。面310の不均一な表面は、既定の流体及び汚染物に、所望の渦、渦巻き及び/又は流体速度を生成するために、各孔部108を強化しうる。さらに、面310の不均一な表面は、各孔部108の捕捉部位を強化しうる。
【0063】
図3は、複数の孔部108はそれぞれ相互連結されうることを図示している。詳細
図312に示されるように、第1の孔部110(A)を有する領域に配置された孔部108は、第2の孔部110(B)を有する領域に配置された孔部108に相互連結される。孔部108は、孔部108の結合部分316に配置された空隙部314を介して相互連結されうる。孔部108の結合部分316に配置された空隙部314は、既定の流体及び汚染物が、第1の孔部110(A)を有する領域に配置された孔部108から、第2の孔部110(B)を有する領域に配置された孔部108へと通るように備わっていてもよい。
【0064】
第1の孔部110(A)を有する領域に配置された孔部108は、結合部分316が干渉する面に存在しないように、第2の孔部110(B)を有する領域に配置された孔部108を含むセラミック単一ユニットとして、積層的に造形されうる。さらに、空隙部314及び/又は結合部分316のサイズ、形状及び/又は位置は、既定の流体及び汚染物に効果的な深層濾過を提供するよう、選択されうる。例えば、空隙部314及び/又は結合部分316のサイズ、形状及び/又は位置は、既定の流体及び汚染物に効果的な深層濾過を提供する流体力学的特徴(例えば、層流、乱流、渦、渦巻き)を備えるよう、選択されうる。詳細
図312は、実質的に平面の空隙部314を示しているが、空隙部314の形状は、空隙部314を通過して1つ以上の渦巻きを生成するノズルの特徴を備えるように選択されうる。ある例では、空隙部314及び/又は結合部分316の形状は、先細ノズルの特徴を備えるように選択されうる。別の例では、空隙部314及び/又は結合部分316の形状は、末広ノズルの特徴を備えるように選択されうる。
【0065】
空隙部314及び/又は結合部分316のサイズ、形状及び/又は位置は、空隙部314を通過して、距離318の位置で渦を生成するノズルの特徴を備えるように選択されうる。例えば、既定の流体は空隙部314を通過して汚染物を運び、孔部108の捕捉部位322に近接した規定の流体に空間320を形成する。既定の流体及び汚染粒の空間320は、空隙部314を通過して流れる規定の流体及び汚染物の速度よりも遅い速度となる。既定の流体及び汚染物は、空隙部314を通過した距離318の位置で、空間320において遅い速度であることから、汚染物は孔部108の捕捉部位322に付着し、孔部108に残る。このように、選択された空隙部314及び/又は結合部分316のサイズ、形状及び/又は位置は、既定の流体の汚染物の効果的な深層濾過を提供する。
【0066】
孔部108の空隙部314及び/又は結合部分316のサイズ、形状及び/又は位置の選択に加え、既定の流体及び汚染物の速度もまた、既定の流体及び汚染物の効果的な深層濾過を提供するように選択される。ある例では、既定の流体の選択された速度は、積層造形セラミックフィルタ102を約10mm/秒で流れ、空隙部314を通過した距離318の位置で渦を生成する。別の例では、既定の流体の選択された速度は、積層造形セラミックフィルタ102を少なくとも約9mm/秒から最大約19mm/秒で流れ、空隙部314を通過した距離320の位置で渦を生成する。別の例では、孔部108の空隙部314及び/又は結合部分316のサイズ、形状及び/又は位置の選択に加え、積層造形セラミックフィルタ102の多孔率が選択されうる。例えば、少なくとも約60%から少なくとも90%の多孔性が選択されうる。例えば、複数の孔部又は開口部の空間は、積層造形セラミックユニットの全体積の、少なくとも約60%から少なくとも約90%から成る。
【0067】
図4は、複数の孔部108の配置の別の実施形態を図示している。
図4は、孔部108は実質的に同一の形状であるように、流入面114から排出面116へと連続するセラミック単一ユニット112の孔部108を図示している。
図4は、複数の孔部108が一列に配置されうることを図示している。例えば、第1の孔部110(A)の領域の複数の孔部108のうち、1つの孔部108は、第2の孔部110(B)の領域の複数の孔部108のうち、1つの孔部108の真上に配置され、かつ中心に置かれる。さらに、第1の孔部110(A)の領域の複数の孔部108のうち、1つの孔部108の幾何学的中心は、第2の孔部110(B)の領域の複数の孔部108のうち、1つの孔部108の幾何学的中心の真上に配置され、かつ中心に置かれる。
【0068】
図4は、複数の孔部108は実質的に同一のサイズの外径224を有しうることを図示している。
図4は、実質的に同一のサイズの外径224を有する複数の孔部108を図示しているが、複数の孔部108はいかなるサイズの外径224を有してもよい。
【0069】
詳細
図402に示されるように、孔部108は相互連結されている。孔部108は、孔部108の結合部分316に配置された空隙部314を介して相互連結されうる。
図3に関して先に記述したように、空隙部314及び/又は結合部分316のサイズ、形状及び/又は位置は、空隙部314を通過して、距離318の位置で渦を生成するように選択されうる。
【0070】
詳細
図402は孔部108の結合部分316で配置された空隙部314を介して相互連結された孔部108を示しているが、別の相互連結も考えられる。例えば、詳細
図404は、孔部108がチューブ406で相互連結されうることを示している。
【0071】
チューブ406は孔部108と一体的に形成されてもよく、どのようなサイズ及び/又は形状であってもよい。例えば、チューブ406は、実質的に5角形、長方形、3角形、円形及び/又は楕円形などの断面を有してもよい。チューブ406は流体入口120及び/又は流体出口126の直径と実質的に同一の内部断面直径を有しうる。例えば、チューブ406は応用に応じて、少なくとも約100μmから最大2,000μmの内部断面直径を有しうる。さらに、チューブ406は、1つの孔部108から別の孔部108へと、実質的に直線形状であってもよく、及び/又は、チューブ406は実質的に曲線形状(例えば、ループ型、シェブロン型(V字形状)、らせん型など)であってもよい。
【0072】
チューブ406のサイズ及び形状は正確な仕様のために選択され、デジタル処理により、3次元でモデル化されうる。例えば、チューブ406の幾何学的図形(例えば、形状及び/又はサイズ)は、既定の流体及び汚染物に所望の渦及び/又は渦巻きを生成するよう、選択され、及びデジタル処理でモデル化されうる。チューブ406のデジタル処理でモデル化された幾何学的図形は、正確なサイズ及び形状で積層的に造形されうる。
【0073】
図5は、既定の流体及び汚染物に所望の渦及び/又は渦巻きを生成するよう、選択され、及びデジタル処理でモデル化されうる、実施形態502、504及び506の孔部108を図示している。実施形態502~506はそれぞれ、孔部108の異なる均等な形状を図示している。実施形態502は、流体入口120と流体出口126を有する球体508として、均一な形状306を図示している。実施形態504は、流体入口120と流体出口126を有する円錐体510として、均一な形状306を図示している。実施形態506は流体入口120と流体出口126を有する、逆さまのシェブロン型512として、均一な形状306を図示している。
【0074】
具体的な応用に応じて、1つ以上の孔部の実施形態502~506は、既定の流体及び汚染物に所望の渦及び/又は渦巻きを生成するよう、選択され、及びデジタル処理でモデル化されうる。例えば、逆さまのシェブロン型512は、複数のシェブロン型が、既定の流体及び汚染物の効果的な深層濾過を提供するために、流入面から排出面へとサイズを均一に変化させるように、流入面と排出面の間に配置されうる。
【0075】
(積層造形セラミックフィルタの方法事例)
図6、7及び8は積層的に造形する工程を利用して、製造施設においてセラミックフィルタ(例えば、積層造形セラミックフィルタ102)を形成するための工程事例600、700及び800を図示している。これらの工程はセラミックフィルタの形成を述べているが、他の物品も考えられる。例えば、該工程は医薬品、電子部品、生体材料などの応用による物品の形成に使用されうる。例えば、これらの工程は医療機器又は構成部品(例えば、心臓弁、関節、四肢など)、又は電子機器又は構成部品(例えば、プリント基板、プリント基板ユニット、トランジスタなど)に使用されうる。
【0076】
工程事例600、700及び800で、積層造形工程は、押し出し、粒状化、ラミネート加工、又は光重合などの積層造形工程を含む。
【0077】
さらに、積層造形工程は、熱溶解積層法(FDM)、直接金属レーザ焼結法(DMLS)、電子ビーム溶解法(EBM)、選択的加熱焼結法(SHS)、選択的レーザ焼結法(SLS)、紛体を主成分とする3次元プリント法(PP)、薄膜積層法(LOM)、光造形法(SLA)、又はデジタルライトプロセッシング(DLP)などを含みうる。
【0078】
工程600は、その後焼成されるセラミック紛体(例えば、アルミナ質セラミック紛体)のレーザ焼結を含みうる。工程700は、その後焼成されるセラミックスリップ(例えば、リン酸塩結合アルミナ質材料)でコーティングされた、ポリマー基板のレーザプリントを含みうる。工程800は、その後レプリカのセラミックフィルタの鋳造に使用される型(例えばマスターシェイプ)を積層的に造形することを含みうる。
【0079】
工程事例600、700及び800において、3Dセラミックフィルタは複数の孔部(例えば孔部108)を含み、複数の孔部のそれぞれは流体から微粒子を濾過するよう構成された形状(例えば均一な形状306)を有する。さらに、工程事例600では、複数の孔部が3Dセラミックフィルタの流入面(例えば流入面114)と、3Dセラミックフィルタの排出面(例えば排出面116)の間に配置される。孔部は、複数の孔部が流入面から排出面に向かって均一にサイズを変化するように、流入面と排出面の間に配置される。
【0080】
さらに、工程事例600、700及び800で、複数の孔部のそれぞれは相互連結している。限定ではなく例として、これらの工程は製造施設、工場、鋳造工場、製造所などで実施されうる。
【0081】
図6は、工程事例600がセラミックフィルタの3次元(3D)デジタルモデルを作成する作業602を含むことを図示している。例えば、均一な形状(例えば均一な形状306)は既定の流体及び汚染物に基づき選択され、続いてデジタル処理でモデル化される。ある例では、支柱(例えば支柱308)、面(例えば面310)、流体入口(例えば流体入口120)、流体出口(例えば流体出口126)及び/又は空隙部(例えば空隙部314)のサイズ及び形状が、既定の流体及び汚染物に基づき選択され、続いてデジタル処理でモデル化される。
【0082】
工程600はセラミックフィルタの3Dデジタルモデルを複数のセクション(横断面)にスライスする(薄く切る)作業604を含む。例えば、積層造形工程は、セラミックフィルタの3Dデジタルモデルのデジタルスライス(digital slice)を、連続するデジタルセクション又はデジタル層に生成しうる。各デジタル層は少なくとも約10μmから最大約50μmの厚さを有し、セラミック(例えば、アルミナ質セラミック紛体)からセラミックフィルタを積層的に形成するために、積層的に造形する工程を提供する。例えば、少なくとも約10μmから最大約50μmの厚さの第1のデジタル層は、底部均一配列(例えば均一配列110(C))に配置された孔部の排出面(例えば排出面128)を形成する面を含みうる。積層された連続するデジタル層のそれぞれは、少なくとも約10μmから最大約50μmの厚さを有し、セラミックフィルタの3Dデジタルモデルの積層的な連続性の特徴を含む。
【0083】
作業604に次いで、その前のセクションの最上部に、セラミックフィルタの3Dデジタルモデルの複数のセクションのうち、それぞれのセクションを形成する作業606が連続して行われうる。形成のステップは、セラミックフィルタを積層造形するために、セラミックフィルタの3Dデジタルモデルの複数のセクションのうち、それぞれのセクションをセラミック材料で形成することを含みうる。例えば、底部領域に配置された孔部の排出面を形成する面を含む第1のデジタル層が形成されうる。例えば、第1のデジタル層はセラミック紛体をレーザ焼結されうる。積層的に連続するデジタル層のそれぞれは、「グリーン(未焼結、green)」セラミックフィルタを形成するために、その前にレーザ焼結された層の最上部に、セラミック紛体を連続的にレーザ焼結されうる。
【0084】
工程600は「未焼結の」セラミックを焼成する作業608で完了しうる。
【0085】
図7は、工程事例700がセラミックフィルタの3次元(3D)デジタルモデルを製造する作業602を含むことを図示している。工程700は、セラミックフィルタの3Dデジタルモデルを複数のセクション(断片、断面)にスライスする作業702を含む。例えば、積層造形工程はセラミックフィルタの3Dデジタルモデルのデジタルスライスを、連続するデジタルセクション又はデジタル層へと生成しうる。各デジタル層は少なくとも10μmから最大約50μmの厚さを有し、消耗材料(例えばポリマー)でできた犠牲基板(sacrificial substrate)を積層的に形成するために、積層造形工程を提供する。例えば、少なくとも約10μmから最大約50μmの厚さの第1のデジタル層は、底部均一配列(例えば均一配列110(C))に配置された孔部の排出面(例えば排出面128)を形成する面を含みうる。積層された連続するデジタル層のそれぞれは、少なくとも約10μmから最大約50μmの厚さを有し、セラミックフィルタの3Dデジタルモデルの積層的な連続性の特徴を含む。
【0086】
作業702の次に、その前のセクションの最上部に、連続して、セラミックフィルタの3Dデジタルモデルの複数のセクションのうち、それぞれのセクションを形成する作業704が行われうる。形成のステップは、犠牲基板を積層造形し、続いてセラミックフィルタを製造するために、ポリマーで、セラミックフィルタの3Dデジタルモデルの複数のセクションのうち、それぞれのセクションを形成することを含みうる。例えば、底部領域に配置された孔部の排出面を形成する面を含む第1のデジタル層が形成されうる。例えば、第1のデジタル層はポリマーがレーザプリントされうる。積層的に連続するデジタル層のそれぞれは、セラミックフィルタの犠牲基板を形成するために、その前にレーザプリントされた層の最上部にポリマーが連続的にレーザプリントされうる。
【0087】
工程700は犠牲基板をセラミックスリップに含浸する作業706を含みうる。例えば、犠牲基板はリン酸塩結合アルミナ質材料から成るセラミックスリップに含浸されうる。余剰なセラミックスリップは除去され、含浸された基盤は乾燥されうる。
【0088】
工程700は、セラミックフィルタを製造するために、犠牲基板を除去する、又は焼却する作業708で完了されうる。
【0089】
図8は、工程事例800はセラミックフィルタの3次元(3D)デジタルモデルを製造する作業602を含むことを図示している。工程800はセラミックフィルタの3Dデジタルモデルを複数のセクションにスライスする作業802を含む。例えば、積層造形工程はセラミックフィルタの3Dデジタルモデルのデジタルスライスを、連続するデジタルセクション又はデジタル層に生成しうる。各デジタル層は少なくとも10μmから最大約50μmの厚さを有し、ベース材料(例えば石膏)から型を積層的に形成するために、積層造形工程を提供する。例えば、少なくとも約10μmから最大約50μmの厚さの第1のデジタル層は、底部均一配列(例えば均一配列110(C))に配置された孔部の排出面(例えば排出面128)を形成する面の画像を含みうる。積層的な連続するデジタル層のそれぞれは、少なくとも約10μmから最大約50μmの厚さを有し、セラミックフィルタの3Dデジタルモデルの積層的な連続性の画像の特徴を含む。
【0090】
作業802の次に、その前のセクションの最上部に連続して、セラミックフィルタの3Dデジタルモデルの複数のセクションのうち、それぞれのセクションを形成する作業804が行われうる。形成のステップは、セラミックフィルタの型を積層造形し、続いてセラミックフィルタを鋳造するために、石膏で、セラミックフィルタの3Dデジタルモデルの複数のセクションのうち、それぞれのセクションを形成することを含みうる。例えば、底部均一配列に配置された孔部の排出面を形成する面の画像を含む第1のデジタル層が形成されうる。例えば、第1のデジタル層は石膏でレーザ焼結されうる。積層的に連続するデジタル層のそれぞれはセラミックフィルタの型を形成するために、その前にレーザ焼結された層の最上部に、連続的に石膏をレーザ焼結されうる。
【0091】
工程800はセラミックフィルタを鋳造する作業806で完了されうる。
(孔部の配置例)
【0092】
図9は既定の流体及び汚染物で所望の渦及び/又は渦巻きを生成するために選択され、デジタル処理でモデル化されうる孔部108の実施形態902を図示している。例えば、孔部108の実施形態902は、各孔部108の流体入口(例えば、窓、穴、開口部、など)を通る、蛇行経路を生成するために選択され、デジタル処理でモデル化されうる。実施形態902は中央穴の空隙部314に配置された複数の孔部108を有する孔部108(例えば中央穴)を図示している。例えば、中央穴周囲に配置される各孔部108は空隙部314で連結しうる。孔部108の空隙部314は実質的に同一の直径を有しうる。
【0093】
特定の応用に応じて、実施形態902は、既定の流体及び汚染物で所望の渦及び/又は渦巻きを生成するために選択され、デジタル処理でモデル化されうる。例えば、複数の実施形態902は、既定の流体及び汚染物に、効果的な深層濾過を提供するために、流入面から排出面に流れる流体の蛇行経路を、複数の孔部108が生成するように、流入面と排出面の間に配置されうる。
(結び)
【0094】
本開示は、構造的特徴及び/又は方法論的行為に特有の用語を使用しているが、請求項は記載された特定の特徴又は行為に限定されるものではない。むしろ、特定の特徴及び行為は、本発明を実行する例示的な形式として開示される。例えば、ここに記される様々な実施形態は、再編成、修正、及び/又は合体されてもよい。別の例として、1つ以上の方法行為は、積層造形セラミックフィルタのタイプに応じて、全体が異なる順序で実施され、組み合わされ、及び/又は省略されてもよい。さらに、本発明の特徴は以下のように記載され得る。
[形態1]
流入面及び排出面を有する単一材料ユニットと、
前記流入面と前記排出面との間に配置された複数の孔部とを備え、前記複数の孔部は、前記流入面から前記排出面にサイズにおいて均一に変化するように前記流入面から前記排出面に連続していることを特徴とする積層造形フィルタ。
[形態2]
前記流入面と前記排出面の間に配置された前記複数の孔部は、それぞれ相互連結されていることを特徴とする、形態1に記載の積層造形フィルタ。
[形態3]
前記複数の孔部の各々は、流体から粒子を濾過するように構成された形状を有することを特徴とする、形態1に記載の積層造形フィルタ。
[形態4]
前記複数の孔部のそれぞれは、気体から粒子を濾過するように構成された形状を有することを特徴とする、形態1に記載の積層造形フィルタ。
[形態5]
前記材料はセラミックを含むことを特徴とする、形態1に記載の積層造形フィルタ。
[形態6]
液体金属から含有物を濾過するためのフィルタであって、
積層造形セラミックユニットを含み、
前記積層造形セラミックユニットは、
流入面及び排出面と、
前記流入面と前記排出面との間に積層的に造形された複数の開口部と、を含み、前記複数の開口部の各開口部は、前記液体金属から含有物を濾過するように構成された形状であることを特徴とするフィルタ。
[形態7]
前記複数の開口部は、前記流入面と前記排出面との間に連続して積層的に造形され、前記複数の開口部は、前記流入面から前記排出面に向けてサイズにおいて変化することを特徴とする、形態6に記載のフィルタ。
[形態8]
前記複数の開口部の累積体積は、前記積層造形セラミックユニットの全体積の少なくとも約60%から少なくとも約90%であることを特徴とする、形態7に記載のフィルタ。
[形態9]
前記複数の開口部の少なくとも1つは、前記複数の開口部の少なくとも別の1つの開口部と相互連結されていることを特徴とする、形態7に記載のフィルタ。
[形態10]
前記相互連結部は、前記複数の開口部の少なくとも1つと、前記複数の開口部の少なくとも別の1つとの交点に配置される直径を有する開口部を含み、前記開口部の直径のサイズは、少なくとも部分的に、前記積層造形セラミックユニットの深さに対する交点の位置に基づくことを特徴とする、形態9に記載のフィルタ。
[形態11]
前記相互連結部は、前記複数の開口部の少なくとも1つと、前記複数の開口部の少なくとも別の1つとの間に配置された導管を含むことを特徴とする、形態9に記載のフィルタ。
[形態12]
前記複数の開口部は、前記複数の開口部の直径のサイズの順に配置され、前記複数の開口部は、前記流入面から前記排出面に向かう前記複数の開口部の直径サイズの順に配置されることを特徴とする、形態7に記載のフィルタ。
[形態13]
前記複数の開口部の各々は、実質的に同一の形状であることを特徴とする、形態7に記載のフィルタ。
[形態14]
前記形状は実質的に球体であることを特徴とする、形態13に記載のフィルタ。
[形態15]
前記形状は実質的に多面体であることを特徴とする、形態13に記載のフィルタ。
[形態16]
前記形状は実質的にV字型であることを特徴とする、形態13に記載のフィルタ。
[形態17]
前記形状は実質的に管状であることを特徴とする、形態13に記載のフィルタ。
[形態18]
前記積層造形セラミックユニットは、濾過システムに取り外し可能に収納されるときにおける該積層造形セラミックユニットの交換のための、前記積層造形セラミックユニットに一体的に形成された機構をさらに備えることを特徴とする、形態6に記載のフィルタ。
[形態19]
液体金属の深層濾過のための濾過システムに取り外し可能に収納される、積層造形セラミックフィルタであって、
積層造形で形成されたセラミック単一ユニットを含み、前記積層造形セラミックユニットは、
流入面及び排出面と、
前記流入面と前記排出面の間に積層的に造形された複数の孔部であって、前記複数の孔部の各孔部は、前記液体金属から含有物を濾過するように構成された形状を有する、複数の孔部と、
前記濾過システムに取り外し可能に収容された前記積層造形セラミックフィルタを交換するための、前記積層造形セラミックユニットに一体的に積層造形された機構とを含むことを特徴とするフィルタ。
[形態20]
前記濾過システムは、液体アルミニウムを濾過するためのフィルタボックスシステムを含むことを特徴とする、形態19に記載のフィルタ。
[形態21]
前記複数の孔部は、前記流入面から前記排出面に向かってサイズにおいて変化するように、前記流入面と前記排出面との間で連続的して積層的に造形されることを特徴とする、形態19に記載のフィルタ。
[形態22]
前記複数の穴はそれぞれ相互連結されることを特徴とする、形態19に記載のフィルタ。
[形態23]
積層造形工程を使用して、溶融金属濾過のためのセラミックフィルタを形成する方法であって、
前記積層造形工程において、
前記セラミックフィルタの3次元(3D)デジタルモデルを複数のセクションにスライスし、
前記セラミックフィルタの前記3Dデジタルモデルの前記複数のセクションの各セクションを、その前のセクションの上部に連続して形成し、
前記セラミックフィルタの3Dデジタルモデルは、
複数の孔部を含み、前記複数の孔部の各孔部は、流体から微粒子を濾過するように構成された形状を有し、
前記複数の孔部は、前記流入面から前記排出面に向けてサイズにおいて変化するように3Dセラミックフィルタの前記流入面と3Dセラミックフィルタの前記排出面との間に配置されることを特徴とする方法。
[形態24]
前記積層造形工程は、押し出し、粒状化、ラミネート加工又は光重合の積層造形工程を含むことを特徴とする、形態23に記載の方法。
[形態25]
前記積層造形工程は、熱溶解積層法(FDM)、直接金属レーザ焼結法(DMLS)、電子ビーム溶解法(EBM)、選択的加熱焼結法(SHS)、選択的レーザ焼結法(SLS)、紛体を主成分とする3次元プリント法(PP)、薄膜積層法(LOM)、光造形法(SLA)、又はデジタルライトプロセッシング(DLP)を含むことを特徴とする、形態23に記載の方法。
[形態26]
前記形成する工程は、前記セラミックフィルタの前記3Dデジタルモデルの前記複数のセクションの各セクションを形成して、前記セラミックフィルタをセラミック材料で積層的に造形することを含む、形態23に記載の方法。
[形態27]
前記形成する工程は、前記セラミックフィルタの前記3Dデジタルモデルの前記複数のセクションの各セクションを形成し、基材で型を積層的に造形し、次いで前記セラミックフィルタを鋳造することを含む、形態23に記載の方法。
[形態28]
前記形成する工程は、前記セラミックフィルタの前記3Dデジタルモデルの前記複数のセクションの各セクションを形成し、消耗材料で犠牲基板を積層的に造形し、次いで前記セラミックフィルタを作成することを含む、形態23に記載の方法。
[形態29]
セラミックフィルタの3次元(3D)デジタルモデルを複数のセクションにスライスする工程と、
グリーンセラミックフィルタを形成するように、前のセクションの上部に連続する前記セラミックフィルタの前記3Dデジタルモデルの前記複数のセクションの各セクションをセラミック材料でレーザ焼結する工程と、を含み、
前記セラミックフィルタの3Dデジタルモデルは、複数の孔部を備え、
前記複数の孔部の各孔部は、流体から微粒子を濾過するように構成された形状を有し、
前記複数の孔部は、前記流入面から前記排出面に向けてサイズにおいて変化するように3Dセラミックフィルタの前記流入面と3Dセラミックフィルタの前記排出面の間に配置される、セラミックフィルタを形成する方法。
[形態30]
前記セラミックフィルタを作成するために、前記未焼結のセラミックフィルタを焼成することをさらに含む、形態29に記載の方法。
[形態31]
セラミックフィルタの3次元(3D)デジタルモデルを複数のセクションにスライスする工程と、
前記セラミックフィルタの犠牲基板を形成するように、前のセクションの上部に連続する前記セラミックフィルタの前記3Dデジタルモデルの前記複数のセクションの各セクションをポリマー材料でレーザプリントする工程と、を含み、
前記セラミックフィルタの3Dデジタルモデルは、複数の孔部を備え、
前記複数の孔部の各孔部は、流体から微粒子を濾過するように構成された形状を有し、
前記複数の孔部は、前記複数の孔部が前記流入面から前記排出面に向けてサイズにおいて変化するように3Dセラミックフィルタの前記流入面と3Dセラミックフィルタの前記排出面の間に配置される、セラミックフィルタを形成する方法。
[形態32]
セラミックスリップに前記犠牲基板を含浸することをさらに含む、形態31に記載の方法。
[形態33]
前記犠牲基板を除去して、前記セラミックフィルタを作成することをさらに含む、形態32に記載の方法。
[形態34]
前記セラミックフィルタの3次元(3D)デジタルモデルを複数のセクションにスライスする工程と、
前記セラミックフィルタの型を形成するように、前のセクションの上部に連続する前記セラミックフィルタの前記3Dデジタルモデルの前記複数のセクションの各セクションを石膏材料でレーザプリントする工程と、を含み、
前記セラミックフィルタの3Dデジタルモデルは、複数の孔部を備え、
前記複数の孔部の各孔部は、流体から微粒子を濾過するように構成された形状を有し、
前記複数の孔部は、前記複数の孔部が前記流入面から前記排出面に向けてサイズにおいて変化するように3Dセラミックフィルタの前記流入面と3Dセラミックフィルタの前記排出面の間に配置される、セラミックフィルタを形成する方法。
[形態35]
前記セラミックフィルタの前記型を使用して前記セラミックフィルタを鋳造することをさらに含む、形態34に記載の方法。