(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】撮像システムに電力を供給するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H05G 1/54 20060101AFI20220808BHJP
A61B 6/03 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
H05G1/54 M
A61B6/03 321A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020154620
(22)【出願日】2020-09-15
【審査請求日】2021-02-05
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】319011672
【氏名又は名称】ジーイー・プレシジョン・ヘルスケア・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】サイード・ミルザイー
(72)【発明者】
【氏名】エリック・アーゼン
(72)【発明者】
【氏名】トッド・フリッツ
【審査官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-124022(JP,A)
【文献】特開2012-156013(JP,A)
【文献】特表2019-507841(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109381202(CN,A)
【文献】特開2020-119657(JP,A)
【文献】国際公開第2016/047437(WO,A1)
【文献】特表2012-505512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05G 1/00-1/70
A61B 6/00-6/14
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流(DC)バス(310)と、
前記DCバス(310)に結合されたX線源(104)と、
入力が三相交流(AC)源(302)に結合され、出力が前記DCバス(310)に結合された配電ユニット(PDU)(305)と、
スーパーコンデンサ(410、540、541、542)を備えるエネルギー蓄積装置(350)であって、前記DCバス(310)に結合され、前記PDU(305)によって出力された電気エネルギーを前記スーパーコンデンサ(410、540、541、542)に蓄積し、前記蓄積された電気エネルギーを前記X線源(104)に電力を供給するために前記DCバス(310)に直接出力するように構成されるエネルギー蓄積装置(350)と
を備え
、
前記エネルギー蓄積装置(350)が、前記スーパーコンデンサ(410、540、541、542)を徐々に充電するためのソフトスタートコンデンサで構成された電力回路(420、500)をさらに備える、システム(300)。
【請求項2】
前記エネルギー蓄積装置(350)は、少なくとも前記X線源(104)の露出の初期期間中に前記蓄積された電気エネルギーを前記DCバス(310)に出力し、前記PDU(305)が前記X線源(104)に電力を供給するのを支援する、請求項1に記載のシステム(300)。
【請求項3】
前記エネルギー蓄積装置(350)は、前記スーパーコンデンサ(410、540、541、542)を含む少なくとも2つのスーパーコンデンサ(410、540、541、542)を備える、請求項1に記載のシステム(300)。
【請求項4】
前記スーパーコンデンサ(410、540、541、542)は、前記エネルギー蓄積装置(350)の正極コンタクタが接続されると前記電気エネルギーを蓄積し、前記少なくとも2つのスーパーコンデンサ(410、540、541、542)の第2のスーパーコンデンサ(410、540、541、542)は、前記エネルギー蓄積装置(350)の負極コンタクタが接続されると前記電気エネルギーを蓄積する、請求項
3に記載のシステム(300)。
【請求項5】
前記エネルギー蓄積装置(350)は、前記蓄積された電気エネルギーを前記DCバス(310)に提供することなく、スーパーコンデンサ(410、540、541、542)から前記蓄積された電気エネルギーを放電するように構成された放電回路を備える、請求項1に記載のシステム(300)。
【請求項6】
前記エネルギー蓄積装置(350)は、充電位置、オフ位置、および放電位置で構成された制御スイッチ(450)をさらに備え、前記エネルギー蓄積装置(350)は、前記充電位置に位置決めされた前記制御スイッチ(450)に応じて前記電気エネルギーを前記スーパーコンデンサ(410、540、541、542)に蓄積し、前記放電位置に位置決めされた前記制御スイッチ(450)に応じて前記放電回路を作動させ、前記オフ位置に位置決めされた前記制御スイッチ(450)に応じて前記エネルギー蓄積装置(350)内の電流の流れを無効にするように構成される、請求項
5に記載のシステム(300)。
【請求項7】
前記エネルギー蓄積装置(350)は、前記スーパーコンデンサ(410、540、541、542)の充電および放電中に前記エネルギー蓄積装置(350)の1つまたは複数の抵抗器(531、532)を選択的に冷却するように構成された少なくとも1つのファン(440、552)をさらに備える、請求項1に記載のシステム(300)。
【請求項8】
前記エネルギー蓄積装置(350)は、DC電力を伝送するためのコンバータを含まない、請求項1に記載のシステム(300)。
【請求項9】
前記エネルギー蓄積装置(350)は、前記X線源(104)の所望の入力電力が前記PDU(305)の出力限界(705)を超えると、前記蓄積された電気エネルギーを前記DCバス(310)に出力する、請求項1に記載のシステム(300)。
【請求項10】
前記X線源(104)を制御するために前記X線源(104)および前記DCバス(310)に結合されたX線発生器(320)をさらに備え、前記X線源(104)は、前記X線発生器(320)を介して前記DCバス(310)に結合される、請求項1に記載のシステム(300)。
【請求項11】
撮像システム(200)のための装置(350)であって、
電気エネルギーを受信および出力するために前記撮像システム(200)の直流(DC)バス(310)に結合された少なくとも正極端子および負極端子を含む電気端子(510)と、
少なくとも1つのスーパーコンデンサ(410、540、541、542)であって、前記少なくとも1つのスーパーコンデンサ(410、540、541、542)は、前記DCバス(310)から前記電気端子(510)によって受信された電気エネルギーを蓄積するように構成され、前記蓄積された電気エネルギーを前記DCバス(310)に直接出力し、DC源が前記撮像システム(200)のX線源(104)に電力を供給するのを支援するように構成される少なくとも1つのスーパーコンデンサ(410、540、541、542)と
、
前記少なくとも1つのスーパーコンデンサ(410、540、541、542)を制御および電力を供給するように構成された回路(420、430)であって、前記少なくとも1つのスーパーコンデンサ(410、540、541、542)を徐々に充電するためのソフトスタートコンデンサを含む回路(420、430)と
を備える、装置(350)。
【請求項12】
前記回路(420、430)は、前記X線源(104)に電力を供給することなく、前記少なくとも1つのスーパーコンデンサ(410、540、541、542)を選択的に放電するようにさらに構成される、請求項
11に記載の装置(350)。
【請求項13】
前記少なくとも1つのスーパーコンデンサ(410、540、541、542)の充電および放電中に前記回路(420、430)の1つまたは複数の構成要素を選択的に冷却するように構成されたファン(440、552)をさらに備える、請求項
11に記載の装置(350)。
【請求項14】
前記少なくとも1つのスーパーコンデンサ(410、540、541、542)は、前記X線源(104)の所望の電力が前記DC源の最大出力電力を超えると、前記蓄積された電気エネルギーを前記DCバス(310)に直接出力するように構成される、請求項
11に記載の装置(350)。
【請求項15】
少なくとも
2つのスーパーコンデンサ(410、540、541、542)を保護するように構成された回路をさらに備え、前記回路は、電流トランスデューサセンサと、電圧センサ(594)と、前記少なくとも
2つのスーパーコンデンサ(410、540、541、542)の温度および電圧バランスを測定するように構成された少なくとも1つのセンサ(596)と、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)(590)とを含む、請求項
11に記載の装置(350)。
【請求項16】
撮像システム(200)のための方法(1000)であって、
直流(DC)バス(310)に結合されたエネルギー蓄積装置(350)の少なくとも1つのスーパーコンデンサ(410、540、541、542)を、前記DCバス(310)に結合された配電ユニット(PDU)(305)によって交流(AC)から変換された電気エネルギーで充電することと、
前記少なくとも1つのスーパーコンデンサ(410、540、541、542)に蓄積された前記電気エネルギーを前記DCバス(310)に直接出力し、前記PDU(305)の最大電力出力を超える
X線源(104)の所望の電力入力に応じて前記DCバス(310)に結合された前記撮像システム(200)の
前記X線源(104)に電力を供給することと
を含
み、
フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)(590)が、少なくとも2つのスーパーコンデンサ(410、540、541、542)の温度、前記少なくとも2つのスーパーコンデンサ(410、540、541、542)の電圧バランス、前記少なくとも2つのスーパーコンデンサ(410、540、541、542)の入力電圧、および前記少なくとも2つのスーパーコンデンサ(410、540、541、542)の電流を監視し、前記温度、前記電圧バランス、前記入力電圧、および前記電流の1つまたは複数がそれぞれの閾値設定に関して所定の条件を満たさない場合、前記FPGA(590)は、前記少なくとも2つのスーパーコンデンサ(410、540、541、542)の充電を防ぐように構成される、方法(1000)。
【請求項17】
前記X線源(104)の前記所望の電力入力が前記PDU(305)の前記最大電力出力を下回ると、前記PDU(305)のみで前記X線源(104)に電力を供給することをさらに含む、請求項
16に記載の方法(1000)。
【請求項18】
前記少なくとも1つのスーパーコンデンサ(410、540、541、542)を充電することは、ソフトスタート回路を用いて、前記少なくとも1つのスーパーコンデンサ(410、540、541、542)を徐々に充電することを含む、請求項
16に記載の方法(1000)。
【請求項19】
放電位置に位置決めされた前記エネルギー蓄積装置(350)の制御スイッチ(450)に応じて前記少なくとも1つのスーパーコンデンサ(410、540、541、542)を放電することをさらに含む、請求項
16に記載の方法(1000)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される主題の実施形態は、医療撮像システムに関し、より詳細には、コンピュータ断層撮影(CT)撮像システムの電力要件に対処することに関する。
【背景技術】
【0002】
非侵襲的撮像技術は、侵襲的処置を患者または物体に実施することなく患者または物体の内部構造の画像を得ることを可能にする。特に、コンピュータ断層撮影(CT)などの技術は、ターゲットボリュームを通るX線の差動透過などの様々な物理的原理を使用して画像データを取得し、断層画像(例えば、人体または他の撮像された構造の内部の三次元表現)を構成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
一実施形態では、システムは、直流(DC)バスと、DCバスに結合されたX線源と、入力が三相交流(AC)源に結合され、出力がDCバスに結合された配電ユニット(PDU)と、スーパーコンデンサを備えるエネルギー蓄積装置であって、DCバスに結合され、PDUによって出力された電気エネルギーをスーパーコンデンサに蓄積し、蓄積された電気エネルギーをX線源に電力を供給するためにDCバスに直接出力するように構成されるエネルギー蓄積装置とを備える。このようにして、撮像システムのX線源には、病院の電気ユーティリティをアップグレードすることなく、またPDUをアップグレードすることなく、PDUの制限を超えて十分に電力を供給することができる。
【0005】
上記の簡単な説明は、詳細な説明でさらに説明される概念の選択を簡略化した形で紹介するために提供されていることを理解されたい。特許請求される主題の重要なまたは本質的な特徴を特定することは意図されておらず、その主題の範囲は詳細な説明に添付される特許請求の範囲によって一義的に定義される。さらに、特許請求される主題は、上記のまたは本開示の任意の部分に記載の欠点を解決する実施態様に限定されない。
【0006】
本発明は、非限定的な実施形態の以下の説明を、添付の図面を参照して読むことにより、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態による、撮像システムの絵図である。
【
図2】一実施形態による、例示的な撮像システムのブロック概略図である。
【
図3】一実施形態による、エネルギー蓄積装置を有する撮像システムの構成要素に電力を供給するための例示的なシステムのブロック概略図である。
【
図4】一実施形態による、例示的なエネルギー蓄積装置を示すブロック図である。
【
図5】一実施形態による、エネルギー蓄積装置の例示的な制御回路の概略図である。
【
図6】一実施形態による、エネルギー蓄積装置の例示的な電力回路の概略図である。
【
図7】一実施形態による、撮像システムのX線管の例示的な電力消費を示すグラフである。
【
図8】一実施形態による、エネルギー蓄積装置なしで構成された配電ユニットとは対照的に、エネルギー蓄積装置で構成された配電ユニットの例示的な電力性能を示す一連のグラフである。
【
図9】一実施形態による、エネルギー蓄積装置がある場合とない場合の露出の例示的な電気測定値を示す一連のグラフである。
【
図10】一実施形態による、エネルギー蓄積装置を制御するための例示的な方法を示す高レベルのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明は、医療撮像システムの様々な実施形態に関する。特に、コンピュータ断層撮影(CT)撮像システムに電力を供給するためのシステムおよび方法が提供される。本技法に従って画像を取得するために使用され得るCT撮像システムの例が、
図1および
図2に提示されている。CT撮像システムは、ある特定の撮像モードで動作されたときに大量のエネルギーを消費する少なくとも1つのX線管を含み得る。場合によっては、このようなX線管を含むCT撮像システムの電力要件は、CT撮像システムおよび/またはCT撮像システムに電力を供給するために電気ユーティリティの交流(AC)を直流(DC)に伝送する配電ユニット(PDU)を収容する建物の電気ユーティリティの電力容量を超えることがある。CT撮像システムの電力要件に対処する1つの手法は、ケーブル、ヒューズ、回路ブレーカ、および/または配電用変圧器のサイズを大きくすることによってなど、ユーティリティをアップグレードすることを含み得る。別の手法は、より大きなPDUにアップグレードすること、または第2のPDUを設置することを含み得る。しかし、そのような解決策は、CT撮像システムへのアップグレードを思いとどまらせるほどのコストと時間を要する場合がある。別の手法は、
図3に示すように、PDUと並列に構成されたスーパーコンデンサモジュールなどのエネルギー蓄積デバイスを提供し、入力電力線のピーク負荷要件を低減することを含む。スーパーコンデンサモジュールは、
図4~
図6に示すように、1つまたは複数のスーパーコンデンサ、ならびにスーパーコンデンサモジュールを制御するための制御回路と、スーパーコンデンサモジュールの構成要素に電力を供給するための電力回路と、スーパーコンデンサモジュールの構成要素を冷却するための1つまたは複数のファンと、スーパーコンデンサモジュールを充電または放電するための制御スイッチとを含むことができる。したがって、本明細書で説明されるスーパーコンデンサモジュールは、
図7に図示するように、露出の少なくとも一部の間に電力をCT撮像システムの1つまたは複数の構成要素に提供し、
図8および
図9に図示するように、PDUの出力限界を超える電力消費を可能にすることができる。
図10に図示する方法などのスーパーコンデンサモジュールを制御するための方法は、スーパーコンデンサモジュールの制御スイッチの位置に基づいて、スーパーコンデンサモジュールのスーパーコンデンサを選択的に充電または放電することを含む。
【0009】
エネルギー蓄積装置という用語は、撮像システムへの電力供給を支援するための1つまたは複数のスーパーコンデンサを備える装置を指すために本明細書で広く使用されるが、本明細書で説明されるエネルギー蓄積装置は、スーパーコンデンサモジュールを備え、したがって「エネルギー蓄積装置」および「スーパーコンデンサモジュール」という用語は、本明細書では互換的に使用され得ることを認識されたい。
【0010】
CTシステムが例として説明されているが、本技法は、MRI、Cアーム血管造影法などのような他の撮像モダリティに適用されるときにも有用であり得ることを理解されたい。CT撮像モダリティに関する本説明は、1つの適切な撮像モダリティの例としてのみ提供される。
【0011】
図1は、CT撮像用に構成された例示的なCTシステム100を示している。特に、CTシステム100は、患者、無生物物体、1つまたは複数の製造部品、ならびに/または体内に存在する歯科用インプラント、ステント、および/もしくは造影剤などの異物などの対象112を撮像するように構成される。一実施形態では、CTシステム100は、ガントリ102を含み、ガントリ102は、対象112の撮像に使用するためにX線放射線106のビームを投影するように構成された少なくとも1つのX線源104をさらに含むことができる。具体的には、X線源104は、X線106をガントリ102の反対側に位置決めされた検出器アレイ108に向けて投影するように構成される。
図1は単一のX線源104のみを図示しているが、ある特定の実施形態では、異なるエネルギーレベルで患者に対応する投影データを取得するために、複数のX線放射線源および検出器を用いて複数のX線106を投影することができる。いくつかの実施形態では、X線源104は、高速kVpスイッチングによってデュアルエネルギージェムストーンスペクトル撮像(gemstone spectral imaging:GSI)を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、用いられるX線検出器は、異なるエネルギーのX線光子を区別することが可能な光子計数検出器である。他の実施形態では、二組のX線管-検出器がデュアルエネルギー投影を生成するために使用され、一方の組は低kVpにあり、他方の組は高kVpにある。したがって、本明細書で説明される方法は、単一のエネルギー取得技法ならびにデュアルエネルギー取得技法で実装され得ることを認識されたい。
【0012】
ある特定の実施形態では、CTシステム100は、逐次近似または分析的画像再構成方法を使用して、対象112のターゲットボリュームの画像を再構成するように構成された画像プロセッサユニット110をさらに含む。例えば、画像プロセッサユニット110は、フィルタ補正逆投影(FBP)などの分析的画像再構成手法を使用して、患者のターゲットボリュームの画像を再構成することができる。別の例として、画像プロセッサユニット110は、対象112のターゲットボリュームの画像を再構成するために、高度統計的逐次近似再構成(ASIR)、共役勾配(CG)、最尤期待値最大化(MLEM)、モデルベース逐次近似再構成(MBIR)などの逐次近似画像再構成手法を使用することができる。本明細書でさらに説明されるように、いくつかの例では、画像プロセッサユニット110は、逐次近似画像再構成手法に加えて、FBPなどの分析的画像再構成手法の両方を使用してもよい。
【0013】
いくつかの既知のCT撮像システム構成では、放射線源は、デカルト座標系のX-Y-Z平面内にあるようにコリメートされ、一般に「撮像平面」と呼ばれる円錐形のビームを投影する。放射線ビームは、患者または対象112などの撮像される物体を通過する。ビームは、物体によって減衰された後、放射線検出器のアレイに衝突する。検出器アレイで受け取られる減衰された放射線ビームの強度は、物体による放射線ビームの減衰に依存する。アレイの各検出器素子は、検出器の場所におけるビーム減衰の測定値である別個の電気信号を作り出す。すべての検出器からの減衰測定値を別個に取得し、透過率プロファイルを作成する。
【0014】
いくつかのCTシステムでは、放射線源および検出器アレイは、放射線ビームが物体と交差する角度が絶えず変化するように、撮像平面内および撮像される物体の周りでガントリと共に回転する。1つのガントリ角度での検出器アレイからの放射線減衰測定値のグループ、すなわち、投影データは、「ビュー」と呼ばれる。物体の「スキャン」は、放射線源および検出器の1回転の間に異なるガントリ角度またはビュー角度で行われた一組のビューを含む。本明細書で使用される用語であるビューは、1つのガントリ角度からの投影データに関して上述の使用に限定されないため、本明細書で説明される方法の利点はCT以外の医療撮像モダリティにも生じると考えられる。「ビュー」という用語は、CT、PET、もしくはSPECT取得、および/または開発中のモダリティならびに融合された実施形態におけるそれらの組み合わせを含む任意の他のモダリティのいずれかからの、異なる角度からの複数のデータ取得がある場合は常に1つのデータを取得することを意味するために使用される。
【0015】
投影データは処理され、物体を通して撮られた二次元スライスに対応する画像を再構成する。一組の投影データから画像を再構成するための1つの方法は、当技術分野においてフィルタ補正逆投影技法と呼ばれる。透過型および放出型断層撮影再構成技法はまた、最尤期待値最大化(MLEM)および順序付きサブセット期待値再構成技法、ならびに逐次近似再構成技法などの統計的逐次近似方法を含む。このプロセスは、スキャンからの減衰測定値を「CT数」または「ハウンズフィールド単位」と呼ばれる整数に変換し、これはディスプレイデバイス上の対応するピクセルの輝度を制御するために使用される。
【0016】
総スキャン時間を短縮するには、「ヘリカル」スキャンを実施することができる。「ヘリカル」スキャンを実施するには、所定の数のスライスについてのデータを取得しながら患者を移動させる。そのようなシステムは、コーンビームのヘリカルスキャンから単一の螺旋を生成する。コーンビームによってマッピングされた螺旋は投影データをもたらし、そこから各所定のスライスの画像を再構成することができる。
【0017】
本明細書で使用する場合、「画像を再構成する」という語句は、画像を表すデータが生成されるが可視画像は生成されない本発明の実施形態を除外することを意図しない。したがって、本明細書で使用する場合、「画像」という用語は、可視画像と可視画像を表すデータの両方を広く指す。しかし、多くの実施形態は、少なくとも1つの可視画像を生成する(または生成するように構成される)。
【0018】
図2は、
図1のCTシステム100と同様の例示的な撮像システム200を示している。本開示の態様によれば、撮像システム200は、対象204を撮像するように構成される。一実施形態では、撮像システム200は、検出器アレイ108(
図1参照)を含む。検出器アレイ108は、対応する投影データを取得するために患者などの対象204を通過するX線ビーム106(
図1参照)を共に検知する複数の検出器素子202をさらに含む。したがって、一実施形態では、検出器アレイ108は、セルまたは検出器素子202の複数の行を含むマルチスライス構成で製作される。そのような構成では、検出器素子202の1つまたは複数の追加の行が、投影データを取得するための並列構成に配置される。
【0019】
ある特定の実施形態では、撮像システム200は、所望の投影データを取得するために、対象204の周りの異なる角度位置を横切るように構成される。したがって、ガントリ102およびそれに取り付けられた構成要素は、例えば、異なるエネルギーレベルで投影データを取得するために、回転中心206を中心に回転するように構成されてもよい。代替的に、対象204に対する投影角度が時間の関数として変化する実施形態では、取り付けられている構成要素は、円弧に沿ってではなく、一般的な曲線に沿って移動するように構成されてもよい。
【0020】
X線源104および検出器アレイ108が回転すると、検出器アレイ108は、減衰されたX線ビームのデータを収集する。検出器アレイ108によって収集されたデータは、前処理および較正を受けてデータを調整し、スキャンされた対象204の減衰係数の線積分を表す。処理されたデータは、投影と一般的に呼ばれる。
【0021】
いくつかの例では、検出器アレイ108の個々の検出器または検出器素子202は、個々の光子の相互作用を1つまたは複数のエネルギービンに記録する光子計数検出器を備えることができる。本明細書で説明される方法は、エネルギー積分検出器を用いて実装することもできることを認識されたい。
【0022】
取得された組の投影データは、基底物質分解(BMD)に使用することができる。BMD中、測定された投影は、一組の物質-密度投影に変換される。物質-密度投影を再構成し、骨、軟組織、および/または造影剤マップなどの各それぞれの基底物質の一対または一組の物質-密度マップまたは画像を形成することができる。次に、密度マップまたは画像を関連付け、基底物質、例えば、骨、軟組織、および/または造影剤のボリュームレンダリングを撮像されたボリューム内に形成することができる。
【0023】
再構成されると、撮像システム200によって作成された基底物質画像は、2つの基底物質の密度で表された、対象204の内部特徴を明らかにする。密度画像は、これらの特徴を示すために表示され得る。病状などの医学的状態、より一般的には医学的事象の診断のための従来の手法では、放射線技師または医師は、密度画像のハードコピーまたは表示を検討し、特徴的な関心特徴を識別する。そのような特徴は、特定の解剖学的構造または器官の病変、サイズおよび形状、ならびに個々の開業医のスキルおよび知識に基づいて画像で識別可能な他の特徴を含み得る。
【0024】
一実施形態では、撮像システム200は、ガントリ102の回転およびX線源104の動作などの構成要素の移動を制御する制御機構208を含む。ある特定の実施形態では、制御機構208は、電力およびタイミング信号をX線源104に提供するように構成されたX線コントローラ210をさらに含む。加えて、制御機構208は、撮像要件に基づいてガントリ102の回転速度および/または位置を制御するように構成されたガントリモータコントローラ212を含む。
【0025】
ある特定の実施形態では、制御機構208は、検出器素子202から受信されたアナログデータをサンプリングし、その後の処理のためにアナログデータをデジタル信号に変換するように構成されたデータ取得システム(DAS)214をさらに含む。DAS214は、本明細書でさらに説明されるように、検出器素子202のサブセットからのアナログデータをいわゆるマクロ検出器に選択的に集約するようにさらに構成され得る。DAS214によってサンプリングされデジタル化されたデータは、コンピュータまたはコンピューティングデバイス216に送信される。一例では、コンピューティングデバイス216は、データを記憶デバイス218に記憶する。記憶デバイス218は、例えば、ハードディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、コンパクトディスク読み出し/書き込み(CD-R/W)ドライブ、デジタル多用途ディスク(DVD)ドライブ、フラッシュドライブ、および/またはソリッドステート記憶ドライブを含んでもよい。
【0026】
加えて、コンピューティングデバイス216は、データ取得および/または処理などのシステム動作を制御するために、コマンドおよびパラメータをDAS214、X線コントローラ210、およびガントリモータコントローラ212の1つまたは複数に提供する。ある特定の実施形態では、コンピューティングデバイス216は、オペレータ入力に基づいてシステム動作を制御する。コンピューティングデバイス216は、コンピューティングデバイス216に動作可能に結合されたオペレータコンソール220を介して、例えば、コマンドおよび/またはスキャンパラメータを含むオペレータ入力を受信する。オペレータコンソール220は、オペレータがコマンドおよび/またはスキャンパラメータを指定することを可能にするキーボード(図示せず)またはタッチスクリーンを含むことができる。
【0027】
図2は、1つのオペレータコンソール220のみを示しているが、2つ以上のオペレータコンソールを撮像システム200に結合し、例えば、システムパラメータを入力もしくは出力すること、試験を要求すること、および/または画像を閲覧することができる。さらに、ある特定の実施形態では、撮像システム200は、例えば、施設もしくは病院内で、またはインターネットおよび/もしくは仮想プライベートネットワークなどの1つまたは複数の構成可能な有線および/もしくは無線ネットワークを介して完全に異なる場所において、ローカルにまたは遠隔に位置する複数のディスプレイ、プリンタ、ワークステーション、および/もしくは同様のデバイスに結合されてもよい。
【0028】
一実施形態では、例えば、撮像システム200は、画像保管通信システム(PACS)224を含むか、またはそれに結合される。例示的な実施態様では、PACS224は、放射線科情報システム、病院情報システム、および/または内部もしくは外部ネットワーク(図示せず)などの遠隔システムにさらに結合され、異なる場所にいるオペレータがコマンドおよびパラメータを供給すること、および/または画像データへのアクセスを得ることを可能にする。
【0029】
コンピューティングデバイス216は、オペレータ供給のおよび/またはシステム定義のコマンドおよびパラメータを使用してテーブルモータコントローラ226を動作させ、テーブルモータコントローラ226は、電動テーブルを備え得るテーブル228を制御することができる。特に、テーブルモータコントローラ226は、対象204のターゲットボリュームに対応する投影データを取得するために、ガントリ102内で対象204を適切に位置決めするためにテーブル228を移動させる。
【0030】
前述のように、DAS214は、検出器素子202によって取得された投影データをサンプリングしてデジタル化する。その後、画像再構成器230が、サンプリングされデジタル化されたX線データ使用して高速再構成を実施する。
図2は別個のエンティティとして画像再構成器230を示しているが、ある特定の実施形態では、画像再構成器230は、コンピューティングデバイス216の一部を形成してもよい。代替的に、画像再構成器230は、撮像システム200に存在しなくてもよく、代わりに、コンピューティングデバイス216が、画像再構成器230の1つまたは複数の機能を実施してもよい。さらに、画像再構成器230は、ローカルにまたは遠隔に位置してもよく、有線または無線ネットワークを使用して撮像システム200に動作可能に接続されてもよい。特に、1つの例示的な実施形態は、画像再構成器230のための「クラウド」ネットワーククラスタ内の算出資源を使用することができる。
【0031】
一実施形態では、画像再構成器230は、再構成された画像を記憶デバイス218に記憶する。代替的に、画像再構成器230は、診断および評価のために有用な患者情報を生成するために、再構成された画像をコンピューティングデバイス216に送信する。ある特定の実施形態では、コンピューティングデバイス216は、再構成された画像および/または患者情報を、コンピューティングデバイス216および/または画像再構成器230に通信可能に結合されたディスプレイ232に送信する。
【0032】
本明細書でさらに説明される様々な方法およびプロセスは、撮像システム200内のコンピューティングデバイス上の非一時的メモリに実行可能命令として記憶することができる。一実施形態では、画像再構成器230は、そのような実行可能命令を非一時的メモリに含むことができ、スキャンデータから画像を再構成するために本明細書で説明される方法を適用することができる。別の実施形態では、コンピューティングデバイス216は、命令を非一時的メモリに含むことができ、画像再構成器230から再構成された画像を受信した後、少なくとも部分的に、本明細書で説明される方法を再構成された画像に適用することができる。さらに別の実施形態では、本明細書で説明される方法およびプロセスは、画像再構成器230およびコンピューティングデバイス216にわたって分散されてもよい。
【0033】
一実施形態では、ディスプレイ232は、オペレータが撮像された解剖学的構造を評価することを可能にする。ディスプレイ232はまた、オペレータがその後のスキャンまたは処理のために、例えば、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を介して関心ボリューム(VOI)を選択すること、および/または患者情報を要求することを可能にすることができる。
【0034】
図3は、一実施形態による、エネルギー蓄積装置を有する撮像システムの構成要素に電力を供給するための例示的なシステム300のブロック概略図を示す。システム300は、
図1のCTシステム100または
図2の撮像システム200に組み込むことができる撮像システム電気回路を備える。システム300は、配電ユニット(PDU)305のDC出力に接続されたDCバス310を含む。PDU305のAC入力は、三相AC幹線またはAC電源302に結合される。
【0035】
図1および
図2のガントリ102を備え得る回転CTガントリ332は、
図2のガントリモータコントローラ212を備えるかまたはそれに一体化され得るガントリ電力モジュール330に機械的に結合される。DCバス310は、ガントリ電力モジュール330に、したがって回転CTガントリ332に電力を供給するためにガントリ電力モジュール330に結合される。いくつかの例では、ガントリを回転させる際の回転エネルギーは、ガントリのブレーキ中にガントリ電力モジュール330でDC電気エネルギーに回生変換され、DC電気エネルギーはDCバス310に提供され得る。
【0036】
図1および
図2のX線源104を備え得るX線管322は、
図2のX線コントローラ210を備え得るX線発生器320に結合される。DCバス310は、X線発生器320に、したがってX線管322に電力を供給するためにX線発生器320に結合される。
【0037】
システム300は、DCバス310を介してPDU305に並列に構成されたエネルギー蓄積装置350をさらに備える。エネルギー蓄積装置350は、本明細書でさらに説明されるようなスーパーコンデンサモジュールを備える。エネルギー蓄積装置350は、PDU305によって出力されたエネルギーを1つまたは複数のスーパーコンデンサに蓄積し、X線管322の露出の少なくとも一部の間に蓄積されたエネルギーを少なくともX線発生器320に出力するように構成される。このようにして、X線管322などのCTシステム100または撮像システム200の構成要素の所望の電力消費がPDU305の出力電力を超えると、エネルギー蓄積装置350は、PDU305が所望の電力消費に対して十分な電力を提供するのを支援する。
【0038】
本明細書でさらに説明されるように、エネルギー蓄積装置350は、DCバス310に直接接続されるため、高速充電ならびに高速応答用に構成される。典型的には、エネルギー蓄積装置はスーパーコンデンサの電圧および電流を制御するためのコンバータを含むが、エネルギー蓄積装置350は、そのようなコンバータを含まない。エネルギー蓄積装置350はDC電力を伝送するためのコンバータを含まないので、スイッチング電力損失がなく、エネルギー蓄積装置350の効率は、コンバータを含むエネルギー蓄積装置と比較して改善される。さらに、エネルギー蓄積装置350をDCバス310に直接接続することによって、X線発生器320はエネルギー蓄積装置350のないシステムと比較してより低いDC電圧降下を示すので、X線発生器320の出力電力はより高い。またさらに、X線発生器320は、入力DC電圧が低降下電圧で安定しているとき、より良好でより安定した性能を有する。
【0039】
図4は、一実施形態による、例示的なエネルギー蓄積装置またはスーパーコンデンサモジュール400を示すブロック図を示す。スーパーコンデンサモジュール400は、例えば、エネルギー蓄積装置350として
図1~
図3のシステムに実装されてもよい。スーパーコンデンサモジュール400は、1つまたは複数のスーパーコンデンサ410と、スーパーコンデンサモジュール400の構成要素に電力を供給するための電力回路420と、スーパーコンデンサモジュール400の構成要素を制御するための制御回路430と、スーパーコンデンサモジュール400の1つまたは複数の構成要素を冷却するための少なくとも1つのファン440と、スーパーコンデンサモジュール400の動作を制御するための制御スイッチ450とを備える。
【0040】
スーパーコンデンサ410は、3ファラド(F)未満から3,000Fを超える範囲の容量値を有するスーパーコンデンサまたはウルトラコンデンサを備える。スーパーコンデンサ410の数およびスーパーコンデンサ410の容量値は、撮像システム200の電力要件ならびにPDU305の出力容量に従って選択され得る。スーパーコンデンサモジュール400は、例示的な例として、PDU305をアップグレードすることなくX線管322などのアップグレードされたX線管の使用を可能にするために、2.4F、700Vdcの容量値を有する2つのスーパーコンデンサ400を含んでもよい。電力回路420および制御回路430の例示的な回路を含む、2つのスーパーコンデンサを有するスーパーコンデンサモジュール400の例示的な回路は、
図5および
図6に関して本明細書でさらに説明される。
【0041】
スーパーコンデンサモジュール400の1つまたは複数のファン440は、スーパーコンデンサ410の充電および/または放電中に加熱されるスーパーコンデンサモジュール400の1つまたは複数の構成要素を選択的に冷却するように構成される。例えば、1つまたは複数のファン440は、電力回路420および/または制御回路430の1つまたは複数の抵抗器に向けて配向することができ、スーパーコンデンサ410の充電および/または放電中、抵抗器におよび抵抗器から空気を循環させるように構成することができる。
【0042】
制御スイッチ450は、撮像技術者などのユーザによって操作可能な手動スイッチを備えてもよく、または例えば、撮像システム200のコンピューティングデバイス216によって自動的に操作可能なリレーを備えてもよい。制御スイッチ450は、スーパーコンデンサモジュール400へのおよびスーパーコンデンサモジュール400からの電流の流れが無効にされるオフ位置、スーパーコンデンサ410が容量まで充電される充電位置、およびスーパーコンデンサ410が放電され、それにより例えば、スーパーコンデンサモジュール400が保守され得る放電位置を含む、少なくとも3つの位置を含むことができる。電力回路420および/または制御回路430は、本明細書でさらに説明されるように、スーパーコンデンサ410を選択的に充電および放電するように構成され、したがって制御スイッチ450は、電力回路420および/または制御回路430の手動制御を可能にする。
【0043】
さらに、スーパーコンデンサモジュール400の構成要素は、ハウジング480に収容することができ、これはPDU305などのPDUを有するスーパーコンデンサモジュール400の単純な設置に特に適合され得る。例えば、ハウジング480は、いくつかの例では、スーパーコンデンサモジュール400がPDU305の上に設置され得るように構成されてもよい。
【0044】
図5は、一実施形態による、スーパーコンデンサモジュールの例示的な電力回路500の概略図を示す。電力回路500は、例えば、スーパーコンデンサモジュール400の、またはエネルギー蓄積装置350の電力回路420として実装されてもよい。
【0045】
電力回路500は、一次電力回路502を含む。図示するように、正極端子、負極端子、および接地端子を含む端子510を介して、電気が一次電力回路502に提供される。例えば、DCバス310からのDC電力は、端子510を介して一次電力回路502に提供される。
【0046】
一次電力回路502は、正極端子に結合された第1のヒューズ(F1)512と、負極端子に接続された第2のヒューズ(F2)514とをさらに含む。電流は、端子510の正極(POS)および負極(NEG)端子から第1のヒューズ(F1)512および第2のヒューズ(F2)514にそれぞれ流れる。一次電力回路502は、第1のソフトスタートコンタクタ(KSS1)用のDCコンタクタ521、第2のソフトスタートコンタクタ(KSS2)用のDCコンタクタ522、放電コンタクタ(KDIS)用のDCコンタクタ524、正極コンタクタ(KPOS)用のDCコンタクタ526、および負極コンタクタ(KNEG)用のDCコンタクタ528を含む、複数のコンデンサをさらに含む。ソフトスタートコンタクタ用のDCコンタクタ521および522は、スーパーコンデンサ540の充電のソフトスタートを可能にする。
【0047】
一次電力回路502は、図示するように、端子548を介して一次電力回路502の残りの部分に結合する、第1のスーパーコンデンサ541および第2のスーパーコンデンサ542を含むスーパーコンデンサ540をさらに含む。電流は、対応するコンタクタが閉じられるとコンデンサを通過することによって、端子510からスーパーコンデンサ540に流れる。スーパーコンデンサ541および542の各々は、例えば、高DC電圧下で作動するように直列に結合された少なくとも164個の400F、2.7Vスーパーコンデンサを備えることができ、それにより各スーパーコンデンサ541および542の全体の容量は、450Vdcで2.4Fになる。
【0048】
一次電力回路502は、DCコンタクタ526と並列に位置決めされた抵抗器(Rp)531と、DCコンタクタ528と並列に位置決めされた抵抗器(Rn)532とをさらに含む。抵抗器(Rp)531と並んで、一次電力回路502は、インダクタ(Lps)562と直列に位置決めされた抵抗器(Rps)561をさらに含み、これらは両方ともDCコンタクタ(KSSP)563と並列である。同様に、抵抗器(Rn)532と並んで、一次電力回路502は、インダクタ(Lns)572と直列の抵抗器(Rns)571をさらに含み、これらは両方ともDCコンタクタ(KSSN)573と並列である。正極および負極側の抵抗器561および571、インダクタ562および572、ならびにコンタクタ563および573の構成は、スーパーコンデンサ541および542の予期しない開回路の場合に、追加の保護をスーパーコンデンサ540に提供する。例示的な例として、抵抗器561および571は、1000Ωの抵抗器を備えてもよく、一方でインダクタ562および572は、1mHのインダクタを備え、遅延時間を提供する。例えば、ソフトスタートコンタクタKSS1およびKSS2が閉じてスーパーコンデンサ540を充電しているが、スーパーコンデンサの脚が壊れているため開回路が生じているとき、DC電圧が高いと、スーパーコンデンサ541および542の電圧バランス回路が損傷する可能性がある。
【0049】
したがって、抵抗器561および571、ならびにインダクタ562および572は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)590がスーパーコンデンサ540を評価し、例えば、ジャンプ電圧が存在するかを決定することによって開回路があるかを決定する間、遅延時間を提供する。回路が適切に閉じている場合、ソフトスタートコンタクタは、最大2秒の遅延時間の後、抵抗器561および571、ならびにインダクタ562および572をバイパスする。場合によっては、
図6に関して本明細書でさらに説明されるように、FPGAリレーが回路内の電流の流れを防ぐために開く。電力回路502およびスーパーコンデンサ540の状態を監視および評価するために、FPGA590は、回路の電流を測定するために変流器(CT)592に結合される。FPGA590は、回路の電圧を測定するための電圧センサ594をさらに含む。CT592および電圧センサ594は、FPGA590がスーパーコンデンサ540の入力電流および端子電圧を監視することができるように、スーパーコンデンサ540の端子548に設けられる。FPGA590は、スーパーコンデンサ540に設けられたセンサ596にさらに結合され、スーパーコンデンサ540の温度および電圧バランスを測定する。スーパーコンデンサ541および542のいずれかのコンデンサの電圧が2.6Vなどの閾値を超えた場合、またはスーパーコンデンサ541および542のいずれかの温度が摂氏65度などの温度閾値を超えた場合、次に本明細書でさらに説明されるFPGAリレーは、回路を保護するために直ちに開かれる。
【0050】
電力回路500は、ファン回路550をさらに含む。ファン回路550は、電気をファン回路550に提供するための端子554、ならびにファンコンデンサ556と、少なくとも1つのファン552とを含む。図示の少なくとも1つのファン552は、抵抗器531の方に向けられ、空気を循環させ、したがってスーパーコンデンサ540の充電および放電中に抵抗器531を冷却するように構成される。充電および放電中に抵抗器532を冷却するために、少なくとも1つのファン552と同様に構成された第2のファンが設けられてもよいことを認識されたい。
【0051】
図6は、一実施形態による、スーパーコンデンサモジュールの例示的な制御回路600の概略図を示す。制御回路600は、例えば、スーパーコンデンサモジュール400の、またはエネルギー蓄積装置350の制御回路430として実装されてもよい。
【0052】
制御回路600は、例えば、DCバス310に結合されるDC電圧源602を含む。制御回路600は、スイッチ608、スイッチ610、スイッチ611、スイッチ612、スイッチ614、スイッチ615、スイッチ617、スイッチ619、スイッチ671、スイッチ672、スイッチ673、スイッチ674、およびFPGAリレー690を含む、複数のスイッチをさらに含む。スイッチ608は、充電、オフ、および放電に対応する3つの位置を有する双極双投(DPDT)スイッチを備える。したがって、スイッチ608の位置は、例えば、スーパーコンデンサモジュール400のスーパーコンデンサ410が充電している(充電)または放電している(放電)か、ならびに電流がスーパーコンデンサモジュール400全体で停止されている(オフ)かを決定する。スイッチ610は、常閉(n/c)であるKXG Auxスイッチを備え、スイッチ611は、常開(n/o)であるKXG Auxスイッチを備える。
【0053】
スイッチ612は、放電コンタクタ(KDIS)に対応する常閉(n/c)スイッチを備える。スイッチ614は、2秒構成の常開(n/o)タイマスイッチ(T0)を備える。スイッチ615は、6分構成の常開(n/o)タイマスイッチ(T1)を備え、スイッチ619は、6分構成の常閉タイマスイッチを備える。スイッチ617は、15分構成の常閉タイマスイッチ(T2)を備え、15分間でスーパーコンデンサを放電するための放電ACリレー638と一列に配置される。スイッチ671は、第1のソフトスタートコンタクタ(KSS1)用の常閉スイッチを備え、スイッチ672は、第2のソフトスタートコンタクタ(KSS2)用の常閉スイッチを備え、スイッチ673は、正極コンタクタ(KPOS)用の常閉スイッチを備え、スイッチ674は、負極コンタクタ(KNEG)用の常閉スイッチを備える。
【0054】
上述のように、スーパーコンデンサモジュールのフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)は、スーパーコンデンサの電流および電圧を測定し、開回路を示すジャンプ電圧があるかどうかを決定する。FPGAがスーパーコンデンサ上で開回路を見つけた場合、次にFPGAスイッチまたはリレー690は、回路を通る電流の流れを防ぐために開いたままになるように構成される。場合によっては、FPGAスイッチ690が閉じ、電流が流れることを可能にする。
【0055】
制御回路600は、第1のソフトスタートコンタクタ(KSS1)用のACリレー631、第2のソフトスタートコンタクタ(KSS2)用のACリレー632、第0のタイマスイッチ(T0)用のACリレー633、正極ソフトスタートコンタクタ(KSSP)用のACリレー634、負極ソフトスタートコンタクタ(KSSN)用のACリレー635、第1のタイマスイッチ(T1)用のACリレー636、ファンコンタクタ(KFAN)用のACリレー637、正極コンタクタ(KPOS)用のACリレー638、負極コンタクタ(KNEG)用のACリレー639、第2のタイマスイッチ(T2)用のACリレー640、および放電コンタクタ(KDIS)用のACリレー641を含む、複数のACリレーをさらに含む。制御回路600は、第1の抵抗器(R1)621、第2の抵抗器(R2)622、第3の抵抗器(R3)623、および第4の抵抗器(R4)624を含む、複数の抵抗器をさらに含む。
【0056】
制御回路600は、制御回路600がオンであることを示すために制御回路600に位置決めされた緑色LED661、スーパーコンデンサ410が充電していることを示すために制御回路600に位置決めされた黄色LED662、スーパーコンデンサ410が充電されたことを示すために制御回路600に位置決めされた緑色LED663、およびスーパーコンデンサ410が放電していることを示すために制御回路600に位置決めされた赤色LED664を含む、複数の発光ダイオード(LED)をさらに含む。
【0057】
制御回路600は、電流の流れを放電回路および充電回路からACリレー634に向けるための第1の対のダイオード681、ならびに電流を放電回路および充電回路からACリレー635に向けるための第2の対のダイオード682を含むダイオードをさらに含む。制御回路600は、電流を放電回路からファンのACリレー637に向けるためのダイオード683、ならびに電流を充電回路からACリレー637に向けるためのダイオード684をさらに含み、それにより1つまたは複数のファン440は、例えば、スーパーコンデンサ410が充電または放電しているとき、作動されてスーパーコンデンサモジュール400の構成要素を冷却することができる。
【0058】
エネルギー蓄積装置350またはスーパーコンデンサモジュール400など、本明細書で説明されるエネルギー蓄積装置またはスーパーコンデンサモジュールが、撮像システムのエネルギー要件の達成をどのように支援するかを例示するために、
図7は、一実施形態による、撮像システム200などの撮像システムの、X線管322またはX線源104などのX線管の例示的な電力消費702を示すグラフ700を示す。グラフ700は、秒(s)で測定されたX線管の露出期間の関数として、キロワット(kW)で測定された電力を図示する。例えば、PDU305などのPDUの出力電力限界705は、例示的かつ非限定的な例として、90kWに制限され得る。グラフ700の影付きの領域は、経時的なX線管の電力消費702を図示する。
【0059】
図示するように、X線管の電力消費702は、露出の期間が増加するにつれて減少する。PDUは出力電力限界705まで電力を提供することが可能であるので、電力消費702の領域707は、PDUによって提供される。しかし、露出中の最初に、電力消費702は、PDUの出力電力限界705を超える可能性がある。例えば、図示するように、電力消費702は、露出の最初の2秒間、出力電力限界705を超える。したがって、領域707に対応する電力は、上述のようにスーパーコンデンサモジュールのスーパーコンデンサによって提供される。電力消費702が最初に出力電力限界705を超える可能性があることを考えると、スーパーコンデンサモジュールの応答速度は、必要なときに追加の電力710を提供することができるように高速でなければならない。本明細書で説明されるスーパーコンデンサモジュールは、そのような追加の電力を提供するために必要な高速応答を達成する。
【0060】
図8は、一実施形態による、スーパーコンデンサモジュール400またはエネルギー蓄積装置350などのスーパーコンデンサモジュールがある場合とない場合の、PDU305などのPDUの例示的な電力性能を示す一連のグラフ800を示す。一連のグラフ800は、アンペア(A)で測定されたDC出力電流の関数として、ボルト(V)で測定されたDC出力電圧の第1のグラフ810、ならびにDC出力電流の関数としてのDC出力電力の第2のグラフ820と、DC出力電流の関数としてのDC入力電力の第3のグラフ830とを含む。
【0061】
第1のグラフ810は、スーパーコンデンサモジュールを有するPDUの出力電圧812のプロットと、スーパーコンデンサモジュールを有さないPDUの出力電圧814のプロットとを含む。特に、第1のグラフ810は、スーパーコンデンサモジュールを有するPDUのDC降下電圧が、同じDC出力電流でスーパーコンデンサモジュールを有さないPDUよりも低いことを示す。第2のグラフ820は、スーパーコンデンサモジュールを有するPDUの出力電力822のプロットと、スーパーコンデンサモジュールを有さないPDUの出力電力824のプロットとを含む。したがって、第2のグラフ820は、スーパーコンデンサモジュールを有するPDUの出力電力822が、同じDC出力電流でスーパーコンデンサモジュールを有さないPDUの出力電力824よりも大きいことを示す。第3のグラフ830は、スーパーコンデンサモジュールを有するPDUの入力電力832のプロットと、スーパーコンデンサモジュールを有さないPDUの入力電力834のプロットとを含む。第3のグラフ830は、スーパーコンデンサモジュールを有するPDUが、同じDC出力電流でスーパーコンデンサモジュールを有さないPDUよりも低い入力電力を必要とすることを示す。
【0062】
図示するように、スーパーコンデンサモジュールを有するPDUの出力電圧812は、すべての出力電流にわたってスーパーコンデンサモジュールを有さないPDUの出力電圧814よりも高い。同様に、スーパーコンデンサモジュールを有するPDUの出力電力822は、すべての出力電流にわたってスーパーコンデンサモジュールを有さないPDUの出力電力824よりも大きいが、スーパーコンデンサモジュールによる出力電力の相対的な増加は、出力電流が高いほど大きくなる。特に、スーパーコンデンサモジュールを有するPDUの入力電力832は、すべての出力電流にわたってスーパーコンデンサモジュールを有さないPDUの入力電力834よりも大幅に低くなっている。したがって、本明細書で説明されるスーパーコンデンサモジュールを有するPDUの使用は、高電力X線発生システムを備えた撮像システムの場合、病院または他の撮像場所の電気ユーティリティをアップグレードする必要性を排除する。
【0063】
図9は、一実施形態による、一連のグラフ900の左側に示す、スーパーコンデンサモジュールがない第1の露出902、および一連のグラフ900の右側に示す、スーパーコンデンサモジュールがある第2の露出904の例示的な電気測定値を示す一連のグラフ900を示す。図示するように、スーパーコンデンサモジュールがない第1の露出902は、時間t1から時間t2まで発生し、スーパーコンデンサモジュールがある第2の露出904は、時間t3から時間t4まで発生する。露出902と904の両方の期間は同じであり、したがって露出902と904の両方について、Δt=t2-t1=t4-t3となる。一連のグラフ900は、経時的なDC電圧912のプロットを図示する第1のグラフ910と、経時的なDC出力電流922のプロットを図示する第2のグラフ920と、経時的な出力電力932のプロットを図示する第3のグラフ930と、経時的なスーパーコンデンサ電圧942のプロット、スーパーコンデンサ充電状態パーセンテージ(SOC%)944のプロット、およびスーパーコンデンサ電流946のプロットを図示する第4のグラフ940とを含む。
【0064】
図示するように、DC出力電流922および出力電力932は、第1の露出902と第2の露出904の両方について同じである。しかし、電圧912によって図示される電圧降下は、スーパーコンデンサのために、第1の露出902よりも第2の露出904の方が低い。第2の露出904のより低い電圧降下は、本明細書で説明されるスーパーコンデンサモジュールがない場合と比較して、スーパーコンデンサモジュールの使用からのより高い効率を示す。また、スーパーコンデンサモジュールによる第2の露出904の低い電圧降下は、X線管用のX線発生器に対してより良好でより安定した性能を提供する。
【0065】
図10は、一実施形態による、スーパーコンデンサモジュールを制御するための例示的な方法1000を示す高レベルのフローチャートを示す。特に、方法1000は、上述のように構成された、エネルギー蓄積装置350またはスーパーコンデンサモジュール400などのスーパーコンデンサモジュールを制御することに関する。方法1000は、1005で開始する。1005において、方法1000は、スーパーコンデンサモジュール400の制御スイッチ450などの制御スイッチの位置を評価する。上述したように、制御スイッチ450は、スーパーコンデンサ410を充電するように構成された第1のオン位置、スーパーコンデンサモジュール400の回路への電気の流れを切断するように構成されたオフ位置、およびスーパーコンデンサ410を放電するように構成された第2のオン位置などの3つの位置を含むことができる。
【0066】
1010において、方法1000は、制御スイッチが充電に設定されているかどうかを決定する。制御スイッチが充電に設定されている場合(「YES」)、方法1000は、1015に続く。1015において、方法1000は、電流をスーパーコンデンサ410に提供してスーパーコンデンサ410を充電する。1020において、方法1000は、閾値時間が経過したかを決定する。方法1000は、制御回路600のタイマスイッチ615などの制御回路430のタイマスイッチに基づいて、閾値時間が経過したかどうかを決定することができる。閾値時間は、入力電流に基づいてスーパーコンデンサを全容量まで充電するための時間量に基づいて、事前に決定され得る。いくつかの例では、閾値時間は、例示的かつ非限定的な例として、6分または7分であり得る。閾値時間が経過していない場合(「NO」)、方法1000は、1015で電流をスーパーコンデンサに提供し続ける。閾値時間が経過すると(「YES」)、スーパーコンデンサが充電され、方法1000は、1025に続く。1025において、方法1000は、スーパーコンデンサへの電流を停止する。その後、方法1000は戻る。
【0067】
1010を再び参照すると、制御スイッチが充電に設定されていない場合(「NO」)、方法1000は、1030に続く。1030において、方法1000は、制御スイッチが放電に設定されているかどうかを決定する。制御スイッチが放電に設定されている場合(「YES」)、方法1000は、1035に続く。1035において、方法1000は、放電回路を作動させてスーパーコンデンサを放電する。放電回路は、例えば、スーパーコンデンサの放電に関する制御回路600の構成要素を備えることができる。そのために、例えば、放電コンタクタ用のスイッチ612を開いて、スーパーコンデンサの放電を作動させることができる。スイッチ617などのタイマスイッチは、15分などの閾値放電時間後に開き、スーパーコンデンサが放電されると、スーパーコンデンサの放電を自動的に停止することができる。制御回路600のLEDは、放電が行われていること、ならびに放電が完了したことをユーザに示すように構成され得る。その後、方法1000は戻る。
【0068】
しかし、制御スイッチが放電に設定されていない場合(「NO」)、制御スイッチがオフに設定されておりアクションが取られないため、方法1000は、1040に続く。その後、方法1000は戻る。
【0069】
したがって、エネルギー蓄積装置350は、制御スイッチ450を介して手動で制御され得る。制御スイッチ450が充電に設定されると、エネルギー蓄積装置350は、エネルギー蓄積装置350のスーパーコンデンサ410を充電し、さらに、X線発生器320およびX線管322の所望の電力がPDU305の最大電力出力を超えると、スーパーコンデンサ410の蓄積された電気エネルギーをDCバス310に直接出力する。制御スイッチ450が放電に設定されると、エネルギー蓄積装置350は、DCバス310に結合されたDC負荷に電力を供給することなくスーパーコンデンサ410を放電する。制御スイッチ450がオフに設定されると、エネルギー蓄積装置350は、エネルギー蓄積装置の回路への、および回路からの電流の流れを可能にしない。
【0070】
したがって、撮像システムに電力を供給するための装置、システム、および方法が提供される。一実施形態では、システムは、直流(DC)バスと、DCバスに結合されたX線源と、入力が三相交流(AC)源に結合され、出力がDCバスに結合された配電ユニット(PDU)と、スーパーコンデンサを備えるエネルギー蓄積装置であって、DCバスに結合され、PDUによって出力された電気エネルギーをスーパーコンデンサに蓄積し、蓄積された電気エネルギーをX線源に電力を供給するためにDCバスに直接出力するように構成されるエネルギー蓄積装置とを備える。
【0071】
システムの一例では、エネルギー蓄積装置は、少なくともX線源の露出の初期期間中に蓄積された電気エネルギーをDCバスに出力し、PDUがX線源に電力を供給するのを支援する。第1の例を任意選択で含むシステムの第2の例では、エネルギー蓄積装置は、スーパーコンデンサを徐々に充電するためのソフトスタートコンデンサで構成された電力回路をさらに備える。第1および第2の例の1つまたは複数を任意選択で含むシステムの第3の例では、エネルギー蓄積装置は、スーパーコンデンサを含む少なくとも2つのスーパーコンデンサを備える。第1~第3の例の1つまたは複数を任意選択で含むシステムの第4の例では、スーパーコンデンサは、エネルギー蓄積装置の正極コンタクタが接続されると電気エネルギーを蓄積し、少なくとも2つのスーパーコンデンサの第2のスーパーコンデンサは、エネルギー蓄積装置の負極コンタクタが接続されると電気エネルギーを蓄積する。第1~第4の例の1つまたは複数を任意選択で含むシステムの第5の例では、エネルギー蓄積装置は、蓄積された電気エネルギーをDCバスに提供することなく、スーパーコンデンサから蓄積された電気エネルギーを放電するように構成された放電回路を備える。第1~第5の例の1つまたは複数を任意選択で含むシステムの第6の例では、エネルギー蓄積装置は、充電位置、オフ位置、および放電位置で構成された制御スイッチをさらに備え、エネルギー蓄積装置は、充電位置に位置決めされた制御スイッチに応じて電気エネルギーをスーパーコンデンサに蓄積し、放電位置に位置決めされた制御スイッチに応じて放電回路を作動させ、オフ位置に位置決めされた制御スイッチに応じてエネルギー蓄積装置内の電流の流れを無効にするように構成される。第1~第6の例の1つまたは複数を任意選択で含むシステムの第7の例では、エネルギー蓄積装置は、スーパーコンデンサの充電および放電中にエネルギー蓄積装置の1つまたは複数の抵抗器を選択的に冷却するように構成された少なくとも1つのファンをさらに備える。第1~第7の例の1つまたは複数を任意選択で含むシステムの第8の例では、エネルギー蓄積装置は、DC電力を伝送するためのコンバータを含まない。第1~第8の例の1つまたは複数を任意選択で含むシステムの第9の例では、エネルギー蓄積装置は、X線源の所望の入力電力がPDUの出力限界を超えると、蓄積された電気エネルギーをDCバスに出力する。第1~第9の例の1つまたは複数を任意選択で含むシステムの第10の例では、システムは、X線源を制御するためにX線源およびDCバスに結合されたX線発生器をさらに備え、X線源は、X線発生器を介してDCバスに結合される。
【0072】
別の実施形態では、撮像システムのための装置は、電気エネルギーを受信および出力するために撮像システムの直流(DC)バスに結合された少なくとも正極端子および負極端子を含む電気端子と、少なくとも1つのスーパーコンデンサであって、少なくとも1つのスーパーコンデンサは、DCバスから電気端子によって受信された電気エネルギーを蓄積するように構成され、蓄積された電気エネルギーをDCバスに直接出力し、DC源が撮像システムのX線源に電力を供給するのを支援するように構成される少なくとも1つのスーパーコンデンサとを備える。
【0073】
装置の第1の例では、装置は、少なくとも1つのスーパーコンデンサを制御および電力を供給するように構成された回路をさらに備え、回路は、少なくとも1つのスーパーコンデンサを徐々に充電するためのソフトスタートコンデンサを含む。第1の例を任意選択で含む装置の第2の例では、回路は、X線源に電力を供給することなく、少なくとも1つのスーパーコンデンサを選択的に放電するようにさらに構成される。第1および第2の例の1つまたは複数を任意選択で含む装置の第3の例では、装置は、少なくとも1つのスーパーコンデンサの充電および放電中に回路の1つまたは複数の構成要素を選択的に冷却するように構成されたファンをさらに備える。第1~第3の例の1つまたは複数を任意選択で含む装置の第4の例では、少なくとも1つのスーパーコンデンサは、X線源の所望の電力がDC源の最大出力電力を超えると、蓄積された電気エネルギーをDCバスに直接出力するように構成される。第1~第4の例の1つまたは複数を任意選択で含む装置の第5の例では、装置は、少なくとも1つのスーパーコンデンサを保護するように構成された回路をさらに含み、回路は、電流トランスデューサセンサと、電圧センサと、少なくとも1つのスーパーコンデンサの温度および電圧バランスを測定するように構成された少なくとも1つのセンサと、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)とを含む。第1~第5の例の1つまたは複数を任意選択で含む装置の第6の例では、FPGAは、少なくとも1つのスーパーコンデンサの温度、少なくとも1つのスーパーコンデンサの電圧バランス、少なくとも1つのスーパーコンデンサの入力電圧、および少なくとも1つのスーパーコンデンサの電流を監視するように構成され、温度、電圧バランス、入力電圧、および電流の1つまたは複数がそれぞれの閾値設定に関して所定の条件を満たさない場合、FPGAは、少なくとも1つのスーパーコンデンサの充電を防ぐように構成される。
【0074】
さらに別の実施形態では、撮像システムのための方法は、直流(DC)バスに結合されたエネルギー蓄積装置の少なくとも1つのスーパーコンデンサを、DCバスに結合された配電ユニット(PDU)によって交流(AC)から変換された電気エネルギーで充電することと、少なくとも1つのスーパーコンデンサに蓄積された電気エネルギーをDCバスに直接出力し、PDUの最大電力出力を超えるX線源の所望の電力入力に応じてDCバスに結合された撮像システムのX線源に電力を供給することとを含む。
【0075】
方法の第1の例では、方法は、X線源の所望の電力入力がPDUの最大電力出力を下回ると、PDUのみでX線源に電力を供給することをさらに含む。第1の例を任意選択で含む方法の第2の例では、少なくとも1つのスーパーコンデンサを充電することは、ソフトスタート回路を用いて、少なくとも1つのスーパーコンデンサを徐々に充電することを含む。第1および第2の例の1つまたは複数を任意選択で含む方法の第3の例では、方法は、放電位置に位置決めされたエネルギー蓄積装置の制御スイッチに応じて少なくとも1つのスーパーコンデンサを放電することをさらに含む。第1~第3の例の1つまたは複数を任意選択で含む方法の第4の例では、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)は、少なくとも1つのスーパーコンデンサの温度、少なくとも1つのスーパーコンデンサの電圧バランス、少なくとも1つのスーパーコンデンサの入力電圧、および少なくとも1つのスーパーコンデンサの電流を監視し、温度、電圧バランス、入力電圧、および電流の1つまたは複数がそれぞれの閾値設定に関して所定の条件を満たさない場合、FPGAは、少なくとも1つのスーパーコンデンサの充電を防ぐように構成される。
【0076】
本明細書で使用する場合、単数形で列挙され、「1つの(a)」または「1つの(an)」という単語に続けられる要素またはステップは、除外することが明示的に述べられない限り、複数の前記要素またはステップを除外しないと理解されたい。さらに、本発明の「一実施形態」への言及は、列挙された特徴をも組み込む追加の実施形態の存在を除外するものとして解釈されることを意図しない。さらに、明示的に反対の記載がない限り、特定の性質を有する要素または複数の要素を「備える(comprising)」、「含む(including)」、または「有する(having)」実施形態は、その性質を有さない追加のそのような要素を含むことができる。「含む(including)」および「そこにある(in which)」という用語は、それぞれの用語「備える(comprising)」および「その(wherein)」の明示的な均等物として使用される。さらに、「第1の」、「第2の」、および「第3の」などの用語は、単にラベルとして使用され、それらの物体に数値的要件または特定の位置的順序を課すことを意図しない。
【0077】
本明細書は、最良の態様を含めて本発明を開示すると共に、いかなる当業者も、任意のデバイスまたはシステムの作製および使用ならびに任意の組み込まれた方法の実施を含め、本発明を実施することを可能にするために実施例を使用する。本明細書で提供される実施例は医療用途に関連しているが、本開示の範囲は、産業、生物医学、および他の分野での非破壊試験をカバーする。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義されると共に、当業者に想起される他の実施例を含んでもよい。そのような他の実施例は、特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言と実質的な差のない等価の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることが意図されている。
【符号の説明】
【0078】
100 コンピュータ断層撮影(CT)システム
102 ガントリ
104 X線源
106 X線放射線、X線、X線ビーム
108 検出器アレイ
110 画像プロセッサユニット
112 対象
200 撮像システム
202 検出器素子
204 対象
206 回転中心
208 制御機構
210 X線コントローラ
212 ガントリモータコントローラ
214 データ取得システム(DAS)
216 コンピューティングデバイス
218 記憶デバイス
220 オペレータコンソール
224 画像保管通信システム(PACS)
226 テーブルモータコントローラ
228 テーブル
230 画像再構成器
232 ディスプレイ
300 システム
302 三相AC幹線またはAC電源
305 配電ユニット(PDU)
310 DCバス
320 X線発生器
322 X線管
330 ガントリ電力モジュール
332 回転CTガントリ
350 エネルギー蓄積装置
400 スーパーコンデンサモジュール、スーパーコンデンサ
410 スーパーコンデンサ
420 電力回路
430 制御回路
440 ファン
450 制御スイッチ
480 ハウジング
500 電力回路
502 一次電力回路
510 端子
512 第1のヒューズ(F1)
514 第2のヒューズ(F2)
521 DCコンタクタ
522 DCコンタクタ
524 DCコンタクタ
526 DCコンタクタ
528 DCコンタクタ
531 抵抗器(Rp)
532 抵抗器(Rn)
540 スーパーコンデンサ
541 第1のスーパーコンデンサ
542 第2のスーパーコンデンサ
548 端子
550 ファン回路
552 ファン
554 端子
556 ファンコンデンサ
561 抵抗器(Rps)
562 インダクタ(Lps)
563 DCコンタクタ(KSSP)
571 抵抗器(Rns)
572 インダクタ(Lns)
573 DCコンタクタ(KSSN)
590 フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)
592 変流器(CT)
594 電圧センサ
596 センサ
600 制御回路
602 DC電圧源
608 スイッチ
610 スイッチ
611 スイッチ
612 スイッチ
614 スイッチ
615 スイッチ、タイマスイッチ
617 スイッチ
619 スイッチ
621 第1の抵抗器(R1)
622 第2の抵抗器(R2)
623 第3の抵抗器(R3)
624 第4の抵抗器(R4)
631 ACリレー
632 ACリレー
633 ACリレー
634 ACリレー
635 ACリレー
636 ACリレー
637 ACリレー
638 放電ACリレー
639 ACリレー
640 ACリレー
641 ACリレー
661 緑色LED
662 黄色LED
663 緑色LED
664 赤色LED
671 スイッチ
672 スイッチ
673 スイッチ
674 スイッチ
681 第1の対のダイオード
682 第2の対のダイオード
683 ダイオード
684 ダイオード
690 FPGAリレー、FPGAスイッチ
700 グラフ
702 電力消費
705 出力電力限界
707 電力消費の領域
710 追加の電力
800 一連のグラフ
810 第1のグラフ
812 出力電圧
814 出力電圧
820 第2のグラフ
822 出力電力
824 出力電力
830 第3のグラフ
832 入力電力
834 入力電力
900 一連のグラフ
902 第1の露出
904 第2の露出
910 第1のグラフ
912 DC電圧
920 第2のグラフ
922 DC出力電流
930 第3のグラフ
932 出力電力
940 第4のグラフ
942 スーパーコンデンサ電圧
944 スーパーコンデンサ充電状態パーセンテージ(SOC%)
946 スーパーコンデンサ電流
1000 方法
1005 フローチャート
1010 フローチャート
1015 フローチャート
1020 フローチャート
1025 フローチャート
1030 フローチャート
1035 フローチャート
1040 フローチャート