(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】液化ガスを容器内に貯蔵し蒸発ガスを容器から引き出す方法及び装置
(51)【国際特許分類】
F17C 13/00 20060101AFI20220808BHJP
F17C 13/02 20060101ALI20220808BHJP
B63B 25/16 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
F17C13/00 302D
F17C13/00 302A
F17C13/02 302
B63B25/16 D
(21)【出願番号】P 2020503821
(86)(22)【出願日】2018-07-26
(86)【国際出願番号】 EP2018070280
(87)【国際公開番号】W WO2019020742
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】599067318
【氏名又は名称】クライオスター・ソシエテ・パール・アクシオンス・サンプリフィエ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラゴ、マティアス
(72)【発明者】
【氏名】マリクリッリ、フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】ファブル、ファビアン
【審査官】蓮井 雅之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0000334(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02372221(EP,A1)
【文献】特開2002-195497(JP,A)
【文献】特開平05-106793(JP,A)
【文献】特開平08-159395(JP,A)
【文献】特開2017-172603(JP,A)
【文献】特開昭62-142980(JP,A)
【文献】特開2007-292181(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 13/00
F17C 13/02
B63B 25/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの断熱容器(1、1a~1c)内に液化ガスを貯蔵し、一方で、前記少なくとも1つの容器のうちの1つ以上から蒸発ガスを引き出すための方法であって、
前記蒸発ガスの少なくとも一部は再凝縮器(11)に供給され、前記少なくとも1つの容器のうちの1つ以上から液化ガスが引き出され、少なくとも一部が前記再凝縮器に供給されて、前記再凝縮器に供給された前記蒸発ガスを再凝縮させ、それにより再凝縮ガスが再凝縮器の出口にて得られ、
前記液化ガスを前記再凝縮器に供給する前に、前記液化ガスは冷凍ユニット(8、9)を通過させることにより過冷却され、過冷却された前記液化ガスの少なくとも一部が前記再凝縮器に供給され、
前記再凝縮器の前記出口で得られた前記再凝縮ガスの少なくとも一部が、前記少なくとも1つの容器のうちの1つ以上の中に再導入され
、
前記過冷却された液化ガスの一部は前記再凝縮器をバイパスし、前記少なくとも1つの容器のうちの1つ以上の中に再導入される前記再凝縮ガスと再結合される、方法。
【請求項2】
前記容器から引き出される前記蒸発ガスは、前記容器内で発生したボイルオフガスである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記液化ガスは、液化天然ガスである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記蒸発ガスの別の部分が、消費機器に供給される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
対応する前記容器の中に再導入される前記再凝縮ガスは、前記容器のアレージ空間及び/又は液体空間の中に供給される、請求項1~
4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記
再凝縮ガスは、前記容器の頂部から、及び/又は側部から、及び/又は底部から前記容器の中に供給される、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記容器の中に再導入される前記
再凝縮ガスは、
前記再凝縮器内の液位を液圧により制御することを可能にするグースネック配管構成(17)によって前記容器の前記液体空間の中に供給され
る、請求項
5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの容器のうちの前記1つ以上から引き出された前記蒸発ガスは、少なくとも1つの熱交換器(26)を介して、前記再凝縮器に供給される前記蒸発ガスと熱交換する、請求項1~
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記再凝縮器(11)は、前記少なくとも1つの容器のうちの1つの容器の頂部の中に組み込まれ、それにより、前記再凝縮器から得られた再凝縮ガスが前記容器の中に直接再導入される、請求項1~
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
液化ガスを貯蔵するための装置であって、前記装置は、
液化ガスを収容する少なくとも1つの断熱容器(1、1a~1c)と、
液化ガスを過冷却するための冷凍ユニット(8、9)と、
蒸発ガス用の第1の入口、液化ガス用の第2の入口、及び再凝縮ガス用の出口を有する再凝縮器(11)と、を備え、
前記装置は、
前記少なくとも1つの容器のうちの1つ以上から蒸発ガスを引き出し、前記蒸発ガスの少なくとも一部を、前記再凝縮器の前記第1の入口に供給するための手段(2、2a~2c、3、4、18、14)と、
前記少なくとも1つの容器(1、1a~1c)のうちの1つ以上から液化ガスを引き出し、前記液化ガスの少なくとも一部を、前記液化ガスを過冷却するための前記冷凍ユニット(8、9)に供給するための手段(6、7)と、
前記過冷却された液化ガスの少なくとも一部を、前記冷凍ユニット(8、9)から前記再凝縮器(11)の前記第2の入口に供給するための手段(10、12)と、
前記再凝縮ガスの少なくとも一部を、前記再凝縮器(11)の前記出口から再導入して前記少なくとも1つの容器(1、1a~1c)のうちの1つ以上に戻すための手段(15、16、16a
~16c)と、
前記過冷却された液化ガスの一部が前記再凝縮器(11)をバイパスするようにさせ、かつ前記再凝縮ガスを再導入するための手段(15、16、16a~16c)に供給するための、手段(22、24)と、を更に備える、装置。
【請求項11】
前記蒸発ガスの別の部分を消費機器(13)に供給するための手段(3、4、5)を更に備える、請求項
10に記載の装置。
【請求項12】
再凝縮ガスを再導入するための前記手段(16、17、30、31、32)は、再凝縮ガスを前記容器(1)のアレージ空間及び/又は液体空間の中に供給するための少なくとも1つのライン(17、32)を備える、請求項
10又は11に記載の装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つのライン(17、32)は、前記容器(1)の頂部から、及び/又は側部から、及び/又は底部から前記容器の中に入る、請求項
12に記載の装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つのライン(16、17)は、再凝縮ガスを前記容器の前記液体空間の中に再導入するための、及び前記再凝縮器(11)内の液位を液圧
により制御するための、
グースネック配管構成(17)を備える、請求項
12又は13に記載の装置。
【請求項15】
前記再凝縮器(11)、及び再凝縮ガス用の前記再凝縮器の前記出口、並びに前記再凝縮ガスを前記容器(1)の中に再導入するための手段は、前記容器(1)の頂部の中に組み込まれ、それにより、再凝縮ガスが前記容器(1)の中に直接再導入される、請求項
10~
14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの容器のうちの前記1つ以上から引き出された前記蒸発ガスと、前記再凝縮器に供給される前記蒸発ガスとの間で熱交換するための手段を更に備える、請求項
10~
15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
更に、前記再凝縮器(11)の前記第1の入口と、蒸発ガスを前記容器(1)から引き出し、前記再凝縮器(11)の前記第1の入口に供給するための前記手段とが同一の容器(1)の中に組み込まれ、それにより、前記容器(1)からの蒸発ガスが前記再凝縮器(11)の前記第1の入口に直接供給される、請求項
15に記載の装置。
【請求項18】
液化ガスを貯蔵するための装置であって、前記装置は、
液化ガスを収容する少なくとも1つの断熱容器(1)と、
液化ガスを過冷却するための冷凍ユニット(8、9)と、
蒸発ガス用の第1の入口、液化ガス用の第2の入口、及び再凝縮ガス用の出口を有する再凝縮器(11)と、を備え、
前記装置は、
前記少なくとも1つの容器(1)のうちの1つ以上から蒸発ガスを引き出し、前記蒸発ガスの少なくとも一部を、前記再凝縮器(11)の前記第1の入口に供給するための手段と、
前記少なくとも1つの容器(1)のうちの1つ以上から液化ガスを引き出し、前記液化ガスの少なくとも一部を、前記液化ガスを過冷却するための冷凍ユニット(8、9)に供給するための手段(6、7)と、
過冷却された前記液化ガスの少なくとも一部を前記冷凍ユニット(8、9)から前記再凝縮器(11)の前記第2の入口に供給するための手段(10、12)と、
前記再凝縮ガスの少なくとも一部を、前記再凝縮器(11)の前記出口から再導入して前記少なくとも1つの容器(1)のうちの1つに戻すための手段と、を更に備え、
前記再凝縮器(11)、及び再凝縮ガス用の前記再凝縮器の前記出口、並びに前記再凝縮ガスを前記容器(1)の中に再導入するための手段は、前記容器(1)の頂部の中に組み込まれ、それにより、再凝縮ガスが前記容器(1)の中に直接再導入される、装置。
【請求項19】
前記少なくとも1つの容器のうちの1つ以上から引き出された前記蒸発ガスと、前記再凝縮器に供給される前記蒸発ガスとの間で熱交換するための手段を更に備える、請求項
18に記載の装置。
【請求項20】
更に、前記再凝縮器(11)の前記第1の入口と、蒸発ガスを前記容器(1)から引き出し、前記再凝縮器(11)の前記第1の入口に供給するための前記手段とが同一の容器(1)の中に組み込まれ、それにより、前記容器(1)からの蒸発ガスが前記再凝縮器(11)の前記第1の入口に直接供給される、請求項
16に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの断熱容器内に液化ガスを貯蔵するための、及び少なくとも1つの容器のうちの1つ以上から蒸発ガスを引き出すための方法及び装置に関する。本発明は、特に外洋航行タンカーへの液化天然ガス(LNG)の貯蔵に関連して有益である。
【0002】
本発明は、外洋航行タンカーにおけるLNGの貯蔵に特に関連し、主として、その用途に関連して本明細書に記載される。しかし、他の極低温液体混合物、例えば液体空気、又は一般的には極低温液体、例えば、液体アルゴン、液体水素、液体ヘリウム、液体窒素及び液体酸素の貯蔵に、並びに断熱タンク車、断熱鉄道タンク車、及び断熱固定タンクを含む他の形態の容器にも適用可能であることも理解されたい。
【0003】
天然ガス及び大気ガスなどのガスを液体形態で貯蔵及び輸送することにより、所与のサイズの容器内で貯蔵又は輸送され得る量が大きくなるという顕著な効果がもたらされる。しかし、このような極低温液体の低い温度は、容器の設計及び操作に多くの厳しい要件を課す。容器は、機械的に強くなければならず、かつ、低い貯蔵温度と、貯蔵温度と周囲温度との間の加熱及び冷却における膨張及び収縮応力とに耐えることができなければならない。熱の漏れ込み(heat inleak)、及び結果として生じる液体の蒸発を最小限に抑えるように、容器は、完全ではないにしても、実質的に取り囲まれ、かつ高レベルの断熱を提供しなければならない。
【背景技術】
【0004】
天然ガスは液体状態で貯蔵され輸送されることが好都合であるが、通常は、例えばタンカーの推進のために、ガス状態で使用される。この目的のために、臨界圧未満の天然ガス又は臨界圧を超える圧力の流体を消費機器に供給するために、下流での気化及び過熱のための、加圧下のLNGの流れが供給される。また、ボイルオフガス、すなわち蒸発したLNGを、この目的で使用できる。
【0005】
国際公開第2010/007535(A1)号は、LNGを、このような過熱ガス又は過熱流体に変換するための対応する方法及び装置を開示している。この文献では、ボイルオフガスの再凝縮器について記載されている。熱の漏れ込みに起因して、液化天然ガスが蒸発し、容器のアレージ空間を充填する。容器圧力を制御するために、このボイルオフガス(BOG)の一部がアレージ空間から引き出される。BOGの一部はタンカーのエンジンに供給され得る一方で、別の部分は、余剰BOGをベント又は燃焼することを最小限に抑えるために再凝縮される。再凝縮のために、BOGは第1の入口を通して凝縮器の中に供給され、容器の液体空間から取られたLNGが凝縮器の第2の入口に供給される。凝縮器の中へのLNGの流れは、凝縮器に入る全てのボイルオフ天然ガスが、凝縮器の内部に位置するパッキング又は別の液体蒸気接触媒体の表面上のLNGとの接触によって、凝縮器の内部で確実に再凝縮されるように予め定められている。得られた再凝縮されたLNGは、凝縮器から出口を通って分配ラインへ送られる。分配ラインは複数のブースタポンプと連通して、下流での気化及び過熱のために必要な加圧下のLNGの流れが供給される。
【0006】
国際公開第2010/007535(A1)号によるBOG再凝縮器は、通常、別個のドラムとして実装され、余剰BOGと低圧LNGとの間の直接接触によりBOG再凝縮が実現される。得られる凝縮物はむしろ温かく、典型的には-140℃~-130℃であり、したがってLNG貯蔵タンクに戻すことができない場合がある。
【0007】
国際公開第2005/022027(A1)号は、取り囲まれ断熱された容器内の液化ガス、例えば液化天然ガスの制御された貯蔵のための方法及び装置について開示している。容器圧力は、典型的には可変周波数駆動部によって駆動されるポンプによって液体の一部を引き出し、LNGの引き出された部分を外部冷凍ユニットによって過冷却し、過冷却されたLNGを容器の中に再注入することによって制御される。タンク/容器圧力の安定化は、タンク圧力が増加した場合に冷熱生成もまた増加するように、外部冷凍ユニットの冷熱生成を制御することによって得られる。過冷却された液体は、タンクガスドーム/アレージ空間内に、及び/又は容器の液体空間内に配置された噴霧ノズルを使用して、貯蔵タンクの中に再注入される(これらノズルランプ(nozzle ramp)の異なる高さが可能である)。
【0008】
タンク/容器の内部に配置されたこのようなノズルランプ又は噴霧器は、タンクを冷却するために使用される。噴霧された液体は、ある時点で気化し、したがって冷熱を作り、所望の冷却効果が実現されるので、噴霧効率は主要な注目点ではない。しかし、過冷却液体をBOGと直接接触させることにより、タンクのアレージ空間内で発生したBOGを再凝縮させるためには、噴霧器の設計は重要な要因となる。過冷却された液体とBOGとの間の交換面が大きいほど、BOG再凝縮は、より効率的である。噴霧された液滴が小さいほど、交換面は大きくなる。しかし、これを既存のノズルランプ/噴霧器で実現することは困難であり、又は煩雑な改造が必要となるであろう。
【0009】
したがって、本発明の目的は、上述の欠点を回避する効率的なBOG再凝縮器を提供することである。
【0010】
BOG再凝縮プロセスの別の問題は、一方では蒸気の組成に、他方では再凝縮されたBOGの組成に関連する。一般に、BOGは、LNGよりも高い割合の窒素を有する。BOGの窒素含有量が大きいほど、冷媒が膨張して到達する圧力及び温度は低い必要があるので、熱交換器によるその再凝縮はより困難である。典型的な冷媒は、窒素又は炭化水素混合物であり得る。BOGの窒素含有量が高いことに起因して、再液化されたBOGは、貯蔵された液化ガスよりも高い密度を有する。これにより、重い再循環物質が容器の底部に向かって沈下するにつれて層形成の可能性が増加する。しかし、層形成は急激な自己攪拌を起こして層が混合し、これが沸騰動作を引き起こしかねない。最後に、BOGの窒素含有量が高いほど、BOGバブルポイントはLNGのバブルポイントを下回る温度まで低下し、その結果、タンク底部での圧力においてBOGのフラッシングにつながるので、凝縮は多くの場合、全凝縮ではない。
【0011】
したがって、本発明の別の目的は、上記の欠点、特に層形成及び不完全な再凝縮の欠点を回避する、効率的なBOG再凝縮プロセスを提供することである。
【発明の概要】
【0012】
本発明によると、独立請求項により、少なくとも1つの断熱容器内に液化ガスを貯蔵する一方で、少なくとも1つの容器のうちの1つ以上から蒸発ガスを引き出す方法、及び対応する装置が提供される。好ましい実施形態が、対応する従属請求項、及び以下の記載で与えられる。
【0013】
本発明によると、少なくとも1つの断熱容器内に液化ガスを貯蔵するための、及び少なくとも1つの容器のうちの1つ以上から蒸発ガスを引き出すための方法が提供され、蒸発ガスの少なくとも一部は再凝縮器に供給され、少なくとも1つの容器のうちの1つ以上から液化ガスが引き出され、少なくとも一部が再凝縮器に供給されて、再凝縮器に供給された蒸発ガスを再凝縮させ、それにより再凝縮ガスが再凝縮器の出口で得られ、液化ガスを再凝縮器に供給する前に、液化ガスは冷凍ユニットを通過させることにより過冷却され、過冷却液化ガスの少なくとも一部が再凝縮器に供給され、再凝縮器の出口にて得られた再凝縮ガスの少なくとも一部が、少なくとも1つの容器のうちの1つ以上の中に再導入される。
【0014】
用語「蒸発ガスを容器から引き出す」は、主に、貯蔵された液化ガスが液体から蒸気へとその状態を変化させる、容器のアレージ空間から、蒸発ガスを引き出すと理解されるべきである。本発明は、好ましくは、貯蔵タンク/容器から分離され、再凝縮作業用に最適化された、ドラムの形態の再凝縮器を提供する。後述するように、本発明は、1つの単一の外部再凝縮器と一緒に、単一の容器だけでなく複数の容器と共にも機能する。本発明の別の態様によると、再凝縮器を容器の中に組み込むことも可能である。本発明によると、蒸発ガスは、過冷却液化ガスと共に凝縮され、これは、液化ガスとしてLNGを使用し、蒸発ガスとしてBOGを使用する場合に特に有利である。過冷却されたLNGでBOGを凝縮することにより、容器に戻される再凝縮された液体の組成及び温度は、貯蔵されたLNGの組成及び温度と同等になり、それにより、タンク内フラッシングの危険性を伴う層形成の可能性が大幅に低減される。
【0015】
好ましくは、容器から引き出される蒸発ガスは、不可避の熱の漏れ込みに起因して容器内で発生したボイルオフガスである。ボイルオフガスの一部をガス消費機器に供給できる一方で、それとは別の部分又はそれ以外の部分を本発明による再凝縮器に供給できる。これにより、特にBOGの場合に、ベント又は燃焼される余剰ガスの量が最小化される。
【0016】
既に上述したように、本発明は、液化天然ガスを貯蔵する場合に特に有用である。しかし、液体空気のような極低温液体混合物、又は液体アルゴン、液体水素、液体ヘリウム、液体窒素若しくは液体酸素のような極低温液体、及び/又はそのような極低温液体混合物の貯蔵にも適用可能である。
【0017】
好ましい実施形態では、過冷却液化ガスの一部は再凝縮器をバイパスし、少なくとも1つの容器のうちの1つ以上に再導入される再凝縮ガスと再結合する。これにより、再凝縮された液体を、タンクからの過冷却された液体と直接混合することが可能になる。この実施形態により、容器の中に再導入される液体の、より広い組成及び温度範囲を実現できる。
【0018】
原則として、再凝縮ガスを容器のアレージ空間及び/又は液体空間の中に供給することによって、再凝縮ガスを容器の中に再導入することが可能である。しかし、再凝縮ガスを、又は一般的には液体を、容器の液体空間の中に直接供給することが好ましい。
【0019】
本発明の方法によると、第1の容器から引き出された蒸発ガスもまた、その再凝縮された形態で第2の容器の中に再導入できることに留意すべきである。一般的に、再凝縮ガスは、少なくとも1つの容器のうちのいずれかの容器に、又は2つ以上の容器の場合には2つ以上の容器に戻すことができる。
【0020】
原則として、凝縮ガスは、容器の頂部から、及び/又は側部から、及び/又は底部から、容器の中に供給され得る。添付の図面による実施形態に関連して記載するように、再凝縮ガスを、容器の頂部から容器の中に供給して、容器の液体空間の中に戻すことが有利であり得る。これは、再凝縮器内の液位を液圧制御することを可能にするグースネック(goose neck)配管構成によって実現できる。
【0021】
再凝縮器を少なくとも1つの容器のうちの1つに組み込むことが可能である。
【0022】
また、再凝縮器に供給される蒸発ガスを、貯蔵タンクから引き出されたガスとの熱交換で事前冷却することも可能である。少なくとも1つの容器のうちの1つ以上から引き出された蒸発ガスは、少なくとも1つの熱交換器を介して、再凝縮器に供給される蒸発ガスと熱交換する。
【0023】
次に、この再凝縮器から得られた再凝縮ガスが、この容器の内部に直接再導入される。この実施形態の更なる詳細が、対応する装置に関する本発明の第3の態様に関連して与えられる。
【0024】
第2の態様によると、本発明は、液化ガスの貯蔵用の装置に関し、装置は、液化ガスを収容する少なくとも1つの断熱容器と、液化ガスを過冷却するための冷凍ユニットと、蒸発ガス用の第1の入口、液化ガス用の第2の入口、及び再凝縮ガス用の出口を有する再凝縮器とを備え、装置は、少なくとも1つの容器のうちの1つ以上から蒸発ガスを引き出し、その少なくとも一部を再凝縮器の第1の入口に供給するための手段と、少なくとも1つの容器のうちの1つ以上から液化ガスを引き出し、その少なくとも一部を、液化ガスを過冷却するための冷凍ユニットに供給するための手段と、過冷却液化ガスの少なくとも一部を冷凍ユニットから再凝縮器の第2の入口に供給するための手段と、再凝縮ガスの少なくとも一部を再凝縮器の出口から少なくとも1つの容器のうちの1つ以上に再導入して戻すための手段と、を更に備える。
【0025】
本発明による装置の有利な実施形態は、本発明による方法に関連して上述されており、同様の形態で装置に移転させることができる。
【0026】
蒸発ガスを引き出すための手段は、典型的には、蒸発ガスを輸送するためのライン又は導管又はヘッダと、その第1の入口を通って再凝縮器に入る蒸発ガスの量を制御するための制御弁とを備えることができる。好ましくは、この手段はまた、適切な圧力及び温度を有するガスをガス消費機器及び/又は再凝縮器に供給するための圧縮機及び冷却ユニットを備える。ガス消費機器によって必要とされない余剰ガスは分岐され、再凝縮器に供給され得る。
【0027】
液化ガスを容器から引き出すための手段は、典型的には、液化ガスを輸送するためのライン又は導管又はヘッダと、可変周波数駆動部を有するポンプ、好ましくは水中(LNG)ポンプを含む。
【0028】
過冷却液化ガスを再凝縮器に供給するための手段は、典型的には、再凝縮器の第2の入口の手前に、制御弁を有する対応するラインを備える。再凝縮器の第1の入口及び第2の入口における制御弁によって、過冷却液化ガスの量に対する蒸発ガスの量を制御でき、これらガスは両方が再凝縮器に入る。
【0029】
再凝縮ガスを容器の中に再導入するための手段は、典型的には、再凝縮ガス又は液体を輸送するための対応するラインと、再凝縮器の出口にある制御弁とを備える。この弁は、再凝縮器内の液位を制御することを可能にする。
【0030】
上述したように、本発明による装置は、好ましくは、蒸発ガスの別の部分をガス消費機器に供給するための手段を更に備える。
【0031】
好ましい実施形態では、装置は、過冷却液化ガスの一部が再凝縮器をバイパスするようにさせ、かつ再凝縮ガスを再導入するための手段に供給するための、手段を更に備える。バイパスさせるための手段は、典型的には、過冷却液化ガスを輸送するための対応するライン又は導管又はヘッダと、このライン内の制御弁とを含む。バイパスラインは、好ましくは、再凝縮器の第2の入口へのラインにおいて、第2の入口における制御弁の手前で分岐する。次いで、バイパスラインは、好ましくは再凝縮器の出口にある制御弁の後ろで、再凝縮器からの出口ラインに接続される。
【0032】
別の好ましい実施形態では、再凝縮ガスを再導入するための手段は、再凝縮ガスを容器のアレージ空間及び/又は液体空間の中に供給するための少なくとも1つのラインを備える。このような手段は、典型的には、再凝縮ガスを輸送するためのラインを含む。再導入のために必要な圧力は、液圧的に、特に重力によるか、又は1つ以上のポンプによるかの、いずれかで生成され得る。2つ以上のライン、例えば、頂部から容器に入るライン、及び底部から容器に入る別のラインが存在する場合、対応するラインは、好ましくは、対応するライン内で輸送される再凝縮ガスの圧力及び量を制御するための(制御)弁を含む。
【0033】
少なくとも1つのラインは、既に上述したように、容器の頂部から、及び/又は側部から、及び/又は底部から、容器に入ることができる。
【0034】
好ましい実施形態では、少なくとも1つのラインは、再凝縮ガスを容器の液体空間の中に再導入するための、及び再凝縮器内の液位を液圧制御するための、配管構成を備える。この実施形態は、本発明の方法に関連して既に上述されている。
【0035】
別の好ましい実施形態では、装置は、少なくとも1つの容器のうちの1つ以上から引き出された蒸発ガスと、再凝縮器に供給される蒸発ガスとの間で熱交換するための手段を更に備える。
【0036】
独立した保護が求められる第3の態様は、容器の頂部の中に組み込まれた再凝縮器を有する容器に関するが、第3の態様は第1及び第2の態様による本発明の実施形態をも表す。対応する装置は、以下のように説明することができる。液化ガスを収容する少なくとも1つの断熱容器と、液化ガスを過冷却するための冷凍ユニットと、蒸発ガス用の第1の入口、液化ガス用の第2の入口、及び再凝縮ガス用の出口を有する再凝縮器と、を備える液化ガスの貯蔵用の装置であって、装置は、少なくとも1つの容器のうちの1つ以上から蒸発ガスを引き出し、その少なくとも一部を再凝縮器の第1の入口に供給するための手段と、少なくとも1つの容器のうちの1つ以上から液化ガスを引き出し、その少なくとも一部を、液化ガスを過冷却するための冷凍ユニットに供給するための手段と、過冷却液化ガスの少なくとも一部を冷凍ユニットから再凝縮器の第2の入口に供給するための手段と、再凝縮ガスの少なくとも一部を再凝縮器の出口から再導入して少なくとも1つの容器のうちの1つに戻すための手段と、を更に備え、再凝縮器、及び再凝縮ガス用の再凝縮器の出口、並びに再凝縮ガスを容器の中に再導入するための手段は、容器の頂部の中に組み込まれ、それにより、再凝縮ガスがこの容器の中に直接再導入される。
【0037】
この装置では、蒸発ガスは依然として同一の又は別の容器から引き出され、再凝縮器の第1の入口に供給される場合があり、一方で過冷却液化ガスが再凝縮器の第2の入口に供給される。この場合、第1の入口及び第2の入口は、再凝縮器を、対応する外部ラインと接続する。
【0038】
別の好ましい実施形態では、装置は、少なくとも1つの容器のうちの1つ以上から引き出された蒸発ガスと、再凝縮器に供給される蒸発ガスとの間で熱交換するための手段を更に備える。
【0039】
しかし、更なる好ましい実施形態では、再凝縮器の第1の入口と、この容器から蒸発ガスを引き出し、再凝縮器の第1の入口に供給するための手段もまた、同一の容器の中に組み込まれる。この実施形態では、容器からの蒸発ガスは、外部ラインを必要とせずに、再凝縮器の第1の入口に直接供給される。
【0040】
本発明の第3の態様の各実施形態では、再凝縮ガスは、外部ラインを必要とせずに、容器の中に直接再導入される。本発明のこの第3の態様の更なる詳細が、添付の図面による実施形態に関連して与えられる。
【0041】
本発明の更なる利点及び好ましい実施形態は、以下の記載及び図面に開示されている。
【0042】
前述の特徴及び以下の特徴は、詳細な組み合わせで開示されているだけでなく、本発明の範囲を超えない範囲で、他の組み合わせで、又は特徴を単独で使用できることも当業者には理解される。
【0043】
ここで、好ましい実施形態を示す添付図面を参照して本発明を更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1a】本発明による装置の第1の実施形態を概略的に示す。
【
図1b】本発明による装置の別の実施形態を概略的に示す。
【
図1c】本発明による装置の別の実施形態を概略的に示す。
【
図2】本発明による装置の別の実施形態を概略的に示す。
【
図2a】本発明による装置の別の実施形態を概略的に示す。
【
図2b】本発明による装置の別の実施形態を概略的に示す。
【
図3】本発明による装置の別の実施形態を概略的に示す。
【
図3a】本発明による装置の別の実施形態を概略的に示す。
【
図3b】本発明による装置の別の実施形態を概略的に示す。
【
図4】本発明の第3の態様による実施形態を概略的に示す。
【
図5】本発明による、複数の容器を含む装置の別の実施形態を概略的に示す。
【
図6】LNG消費機器及び供給機器並びにガス消費機器を含む環境における、本発明による装置の別の実施形態を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下では、図に従う異なる実施形態は包括的に論じられ、同一の参照符号は、同一又は基本的に同一のユニットを示す。当業者であれば、図に示される実施形態の特定の構成要素(圧縮機、弁、冷却器、ポンプ、特定のラインなど)を、この特定の構成要素を超えて、あるいは前述の図に示される本実施形態の構成要素の他の全てを含める必要なく、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の特徴と組み合わせてもよいと理解される。示される実施形態は全て、LNGを貯蔵する用途に関するものであるが、当業者は、実施形態を、他の極低温ガス又はガス混合物が関与する用途に容易に移転できると理解される。
【0046】
図1aは、本発明による装置の実施形態を概略的に示す。装置は、液化ガスを収容する低圧貯蔵タンクの形態の1つの断熱容器1、液化ガスを過冷却するための冷凍ユニット8、9、及び再凝縮器11を備える。装置は、蒸発ガスを容器1から引き出し、その少なくとも一部を、ライン18及び制御弁14を通して再凝縮器11の第1の入口に供給するための手段2、3、4、18を更に備える。蒸発ガスを容器1から引き出すための手段は、ライン2、多段圧縮機3、及び冷却ユニット4を備える。冷凍ユニット8、9からの過冷却液化ガスは、制御弁12を有するライン10を通して再凝縮器11の第2の入口に供給される。装置は、再凝縮ガスの少なくとも一部を再凝縮器11の出口から容器1に再導入して戻すための手段15、16を更に備える。これらの手段は、制御弁15を含むライン16を含む。
【0047】
図1aの実施形態は、LNG運搬装置上の典型的な構成である。貯蔵タンク1のアレージ空間内にボイルオフガス(BOG)が形成され、ライン2を介してBOG多段圧縮機3に送られる。典型的なBOG圧力範囲は、典型的な温度範囲-140℃~0℃に対して、1.03~1.2baraである。加圧されたBOGは、ガス冷却器又は冷却ユニット4によって約40℃まで冷却され、次に、ライン5を通して1つ以上のガス消費機器13に送られる。典型的なガス消費機器は、燃料ガスヘッダ又はライン5に接続されたエンジン又は発電機である。LNGタンク1で発生したBOG(自然BOGとも呼ばれる)が消費機器の必要量を超えた場合、タンク圧力が上昇してゆく。LNG運搬装置は、典型的には大気圧タンクを装備しているので、過剰加圧を回避するために、自然BOG(NBOG)は引き出され及び/又は凝縮されるべきである。
【0048】
図1aに示す実施形態では、LNGは、タンク内ポンプ6によって貯蔵タンク1の液体空間から引き出され、冷媒サイクル9に接続された熱交換器8又は過冷却器を備える外部冷凍ユニット8、9に供給される。過冷却器(典型的にはPFHE)において、タンク1からのLNG(-160℃の典型的な温度レベル)が、冷媒サイクル9によって冷却される。多くの異なる冷凍サイクルが採用されてもよいが、好ましい選択肢は、例えば国際公開第2005/022027(A1)号(上記参照)で論じられているような、ブレイトンサイクルである。LNG冷却の場合、好ましい冷媒は窒素である。このような冷凍ユニットの設計及び機能に関する更なる詳細については、前述の文書が明示的に参照される。LNGは、-170℃~-190℃の範囲の温度で過冷却器8を出る。過冷却されたLNGは、制御弁12を装備する液体ライン又はヘッダ10を介して再凝縮器ドラム11に導かれる。BOG側では、燃料ガスヘッダ5から余剰BOGが取られ、制御弁14を装備するライン18を介してBOG再凝縮器11に搬送される。BOG再凝縮器11では、過冷却LNGは、凝縮が起こるように温かいBOGと直接接触する。典型的な再凝縮器の動作圧力は、2~8baraの範囲である。再凝縮器11に供給される過冷却LNGの量は、BOG再凝縮を実現し、更に再凝縮器11の出口における再凝縮器の液体底部における正確な凝縮温度を実現するように調整される。再凝縮器11を出る液体が到達する典型的な温度レベルは、約-160℃である。BOG再凝縮器11内の液位は、制御弁15によって制御される。次いで、凝縮物は、ヘッダ又はライン16を介して貯蔵タンク又は容器1の中に再導入される。
【0049】
図1bは、過冷却液化ガスの一部が再凝縮器11をバイパスするようにさせ、かつ再凝縮ガスを過冷却液化ガスと共に容器1に戻すために、この部分をライン16の中に供給するための追加手段22、24を有する
図1aの実施形態を示す。ライン24は、ライン10から分岐される過冷却液化ガスの量を調整するための制御弁22を装備する。この実施形態は、容器1に戻される液体が、より低い温度レベルに到達することを特に可能にする。
【0050】
図1cは、ライン2から冷熱を回収するための追加手段26を有する、
図1aの実施形態を示す。ライン18からの温かいガスは、弁14を通して熱交換器26へと伝達され、そこで、ライン2から来る低温ガスによって冷却される。冷却されたガスは熱交換器26を出て、次に、ライン27を介してBOG再凝縮器に送られる。
【0051】
図2は、容器1として横型円筒タンクを用いる、
図1bと類似の実施形態を示す。そのサイズに応じて、横型円筒タンクは、5~36baraの範囲の圧力に加圧され得る。
図2に示す構成は、外部LNGポンプを有する典型的な構成であり、タンクが大気圧又は加圧のいずれかであり得る陸上ターミナルにて多くの場合に見出すことができる。外部ポンプ6は、タンク又は容器1から液化ガスを引き出し、液化ガスをライン7を介して冷凍ユニット8、9に供給する。
【0052】
図2は、図示されたグースネック配管構成17によって再凝縮器の液位を液圧制御することを可能にする実施形態を示す。弁31が閉じていると、液体がライン32を通って容器1の底部に戻されることはない。この場合、弁30が開いていると、再凝縮器11内の液位は、再凝縮器11とタンク1の液位の差によって制御され得る。
【0053】
ライン32は、再凝縮された液体の少なくとも一部を、ライン16から容器1の底部の中に供給することを可能にする。
図2の実施形態における他の全ての構成要素は、
図1a及び
図1bに関連して既に論じた対応する構成要素と類似又は同等である。
【0054】
図2aは、過冷却液化ガスを、ライン16からの再凝縮ガスの流れの中に直接導入するための制御弁22を装備するバイパスライン24を用いる、
図2の実施形態と類似の実施形態を示す。再凝縮器11が地表面に設置された場合に、得られた液体を容器1に戻すために、凝縮物の戻しポンプ20が設置される。制御弁23は、必要とされる圧力に達した場合にのみ開く。他の全ての構成要素は、
図2に示す実施形態に対応し、繰り返しを避けるために再び説明されない。
【0055】
図2bに示すように、再凝縮ガスの流れが再凝縮器11と貯蔵タンク1との間で重力で駆動され得る場合は、
図2aの実施形態におけるポンプ20は必要ではない。
【0056】
図3、
図3a及び
図3bは、BOG圧縮機3が必要とされない実施形態の3つの他の代替例を示す。容器1からBOGを引き出し、引き出されたBOGを再凝縮器11の第1の入口に供給するための手段は概ね、ガスヘッダ2を備える。このような構成は、好ましくは、加圧LNGタンク1の場合に適用され得る。BOG再凝縮器11は、ガスヘッダ2を介してタンク1のアレージ空間に直接接続されている。液体側の構成は、
図2に示す実施形態と同様である。過冷却されたLNGと低温BOGとの間の直接接触により、再凝縮器11内でBOGの再凝縮が生じるので、再凝縮器11内で圧力が自然に低下し、その結果、タンク1から再凝縮器11へのライン2を通るBOGの流れが作られる。
【0057】
既に上述した実施形態と同様に、再凝縮された液体は、
図3及び
図3aに示すように(
図3aは、過冷却されたLNGを再凝縮ガスの流れに混合する選択肢を示す)、重力によって駆動されるか、又は
図3bに示すように(及び
図2aに関連して前述したように)、専用ポンプ20を介して貯蔵タンク1に戻される。再凝縮器11内の液位は、液体出口ライン16、17を手動弁22によってタンク底部に直接接続することにより、貯蔵タンクの液位に基づいて自然に確立され得る。弁22は、ライン24を通って再凝縮器をバイパスする過冷却されたLNGの流れを調節するために使用される。弁23を使用して、ポンプ20の出口における圧力を調節して、グースネック17内の静圧ヘッドを補う。
【0058】
図4は、本発明の第3の態様による実施形態を概略的に示す。ここでも、容器1は、タンク1からLNGを引き出すための外部ポンプ6を有する横型円筒タンクである。タンク1から引き出されたLNGは、LNGを過冷却するための冷凍ユニット8、9に供給される。過冷却されたLNGは、ライン10を通して再凝縮器11の第2の入口に供給される。ポンプ6、冷凍ユニット8、9、及び再凝縮器11の構成は、前述の実施形態に関連して、既に詳細に説明されている。
図4の実施形態は、容器1の頂部の中に組み込まれた再凝縮器11を示す。詳細には、再凝縮ガス用の再凝縮器11とその出口、及び再凝縮ガスを容器1の中に再導入するための手段は、容器1の頂部の中に組み込まれ、この頂部は、
図4に概略的に示すように、この目的に合わせて設計される。再凝縮ガスは、対応する弁を有する外部ライン16、17及び/又は32がもはや必要ないように、容器1の中に直接再導入される。
【0059】
原則として、
図4の実施形態では、外部ライン2(
図3bを参照)を通してBOGを引き出し、それを再凝縮器11の第1の入口に供給することが依然として可能であるが、また、
図4に示すように、再凝縮器11の第1の入口と、蒸発ガスを容器1から引き出し再凝縮器11の第1の入口に供給するための任意の手段とが、同一の容器1の中に組み込まれる。この構成により、容器1のアレージ空間内で発生したBOGを、この容器1の中に組み込まれた再凝縮器11の第1の入口に直接供給することができる。
【0060】
図5は、2つ以上の容器を含む、本発明の別の実施形態による構成を示す。一例として、3つの容器1a、1b、1cが示される。1つの再凝縮器11が容器1a~1cに接続されているので、各容器からの自然BOGは、単一の再凝縮器11によって処理され得る。
図5に示すように、BOGを容器1a~1cからライン2a~2cを通して引き出すことができる。BOGは、ライン2で収集され、再凝縮器11の第1の入口に供給される。一方、LNGは、容器1a~1cの液体空間から外部ポンプ6によって引き出される。再び、LNGは冷凍ユニット8、9によって過冷却され、過冷却されたLNGは、再凝縮器11の制御弁12を装備する第2の入口に供給される。更なる詳細については、
図3aの実施形態を参照する。次に、オプションとして過冷却されたLNGと混合される凝縮ガスは、制御弁22を装備するライン24を介して、ライン16a、16b、16cを通して容器1a、1b、1cのうちの1つ以上に戻される。
【0061】
図6は、LNG供給元及び消費機器が存在する典型的な環境における
図5の配置を概略的に示す。
図3b及び
図2aに関連して既に説明したように、
図5の構成は、容器1a~1cの中に液体を再導入するためのポンプ20を更に装備し、燃料ガス消費機器13にBOGを供給するための圧縮機3及び冷却ユニット4を有するライン50を更に示す。余剰BOGは、ベント又はフレア25に供給される。
図6から分かるように、バイパスライン42は消費機器ライン50をバイパスし、弁41を装備する。BOGが消費機器13で消費されない場合は、ライン2及び42にある低温BOGが再凝縮器11の第1の入口に供給される。フレキシブルなBOG再凝縮器は、BOG圧縮機3からの(ライン42中の)低温BOG、並びに温かいBOG(ライン50)を処理することができる。BOG消費機器が動作しておらず、燃料積込み作業が行われない場合は、容器1a~1cからの自然BOGは、BOG圧縮機3を動作させることなく、又は貯蔵タンクにいかなる過剰加圧も行われることなく、再凝縮器11によって処理される。
【0062】
図6は、加圧されたタンク1a~1cが実装された典型的な陸上燃料積込みターミナルの簡略化した略図を示す。タンクは、荷揚げ桟橋70にて、荷揚げ船舶のタンク内ポンプ(図示せず)を通して、LNG運搬装置から来るLNGで充填される。荷揚げ船舶のタンクにおけるピストン効果ゆえに、主低圧BOGヘッダ又はライン50から来るBOGは、荷揚げ船舶内に導入されることになる。
【0063】
桟橋60において燃料積込み動作下の船舶は、陸上ターミナルのポンプ61からのLNGで充填され、追い出されたBOGは主低圧BOGヘッダ50に送られる。
【0064】
陸上貯蔵タンク1a~1cからのBOGは、弁41を開き、かつ弁40及び14を閉じることにより、ライン2を介して再凝縮器11に直接送ることができる。あるいは、弁41を閉じ、かつ弁40を開くことにより、セクションにおける及びBOG圧縮機3の主BOGヘッダ50に送ることができる。加圧されたBOGは冷却ユニット又はアフタクーラ4内で冷却され、燃料ガスヘッダ過圧弁14を介して燃料ガス消費機器13又はBOG再凝縮器11に送られる。
図6に示す実施形態の大きな利点は、BOG再凝縮器の設計がフレキシブルであり、LNG貯蔵タンク1a~1cからの低温BOG、並びにBOG圧縮機3から来る温かいBOGガスを処理できる点である。
【符号の説明】
【0065】
1、1a~1c 容器
2、2a~2c 蒸発ガス引き出しライン
3 圧縮機
4 冷却ユニット、冷却器
5、50 消費機器へのガス供給ライン
6 液化ガス引き出し用ポンプ
7 液化ガス輸送用ライン
8 過冷却器、熱交換器
9 冷媒サイクルユニット
10 再凝縮器へのライン
11 再凝縮器
12 制御弁
13 消費機器
14 制御弁
15 制御弁
16、16a~16c 液体を容器の中に再導入するライン
17 配管構成
18 再凝縮器への蒸発ガス供給ライン
20 ポンプ
22 弁
23 弁
24 バイパスライン
25 ベント、フレア
26 冷熱回収熱交換器
27 冷却されたガスを再凝縮器に供給するライン
30 弁
31 弁
32 液体を容器の底部に再導入するライン
40 弁
41 弁
42 バイパスライン
50 消費機器ライン
60 桟橋
61 ポンプ
62 供給ライン
70 桟橋