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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】抗微生物粒子およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A01N 55/10 20060101AFI20220808BHJP
   A01N 55/02 20060101ALI20220808BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20220808BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20220808BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20220808BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20220808BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20220808BHJP
   A61K 47/52 20170101ALI20220808BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20220808BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20220808BHJP
   A61K 6/80 20200101ALI20220808BHJP
   A61K 6/52 20200101ALI20220808BHJP
   A61K 6/69 20200101ALI20220808BHJP
   A61K 6/76 20200101ALI20220808BHJP
   A61K 6/30 20200101ALI20220808BHJP
   A61K 31/132 20060101ALI20220808BHJP
   A61K 31/14 20060101ALI20220808BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20220808BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20220808BHJP
   A61L 15/26 20060101ALI20220808BHJP
   A61L 15/44 20060101ALI20220808BHJP
   A61L 24/00 20060101ALI20220808BHJP
   A61L 24/04 20060101ALI20220808BHJP
   A61L 27/02 20060101ALI20220808BHJP
   A61L 27/04 20060101ALI20220808BHJP
   A61K 8/898 20060101ALI20220808BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20220808BHJP
   G02C 7/04 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
A01N55/10 500
A01N55/02
A01P3/00
A61K47/10
A61K47/32
A61K47/34
A61K47/36
A61K47/52
A61K9/06
A61K9/08
A61K6/80
A61K6/52
A61K6/69
A61K6/76
A61K6/30
A61K31/132
A61K31/14
A61P31/04
A61P1/02
A61L15/26 100
A61L15/44 100
A61L24/00 300
A61L24/00 240
A61L24/00 210
A61L24/04 200
A61L27/02
A61L27/04
A61K8/898
A61Q11/00
G02C7/04
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020512364
(86)(22)【出願日】2018-08-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-12
(86)【国際出願番号】 IL2018050970
(87)【国際公開番号】W WO2019043714
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-04-05
(31)【優先権主張番号】62/551,806
(32)【優先日】2017-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/551,813
(32)【優先日】2017-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/644,604
(32)【優先日】2018-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518301279
【氏名又は名称】ノビオ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ザルツマン,ネイサン
(72)【発明者】
【氏名】ワイス,エルビン・アイ
【審査官】鳥居 福代
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0004202(US,A1)
【文献】国際公開第2016/073634(WO,A1)
【文献】Yuji Pu et al,Synthesis and Antibacterial Study of Sulfobetaine/Quaternary Ammonium-Modified Star-Shaped Poly[2-(dimethylamino)ethyl methacrylate]-Based Copolymers with an Inorganic Core,Biomacromolecules,2016年,18,1,44-55
【文献】Farah S, et al,Antimicrobial silica particles loaded with quaternary ammonium polyethyleneimine network,Polymers for Advanced Technologies,2014年,26,6,689-692
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)無機コアと;
(ii)前記コアに直接的または間接的に(第3のリンカーを介して)前記コアに化学的に結合したポリマーまたはオリゴマー抗微生物活性単位と
を含む粒子であって、
前記ポリマーまたはオリゴマー抗微生物活性単位は、抗微生物活性基を含む2つ以上のモノマー単位を含み、
各抗微生物活性単位当たりの前記抗微生物活性基の数は2~200であり、
以下の構造(1)によって表される、粒子:
【化1】

(式中、
コアは無機材料であり;
は結合または第1のリンカーであり;
は第2のリンカーであり;
は結合または第3のリンカーであり;
およびR’はそれぞれ独立に、アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;
およびR’はそれぞれ独立に、アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;
およびR’はそれぞれ独立に、何もないか、水素、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニルまたはアルキニルであり;RまたはR’が何もない場合、窒素は帯電しておらず;
およびXはそれぞれ独立に、結合、アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンであり;
pはコア表面の1平方nm(nm)当たりの抗微生物活性単位の表面密度を定義し、前記密度は、粒子のコア表面の1平方nm(nm)当たり0.01~30の抗微生物活性基であり;
はそれぞれ独立に、0~200の整数であり;
はそれぞれ独立に、0~200の整数であり;
+n≧2であり;
mは1~200の整数であり、繰り返し単位は同じであるか、または異なり、
前記第1、第2または第3のリンカー(L 、L またはL )が独立に、C ~C 18 アルキレン、アルケニレン、アルキネレン、アリーレンまたは共役アルキレンであり、任意に、ホスフェート、ホスホネート、シロキサン、シラン、エーテルアセタール、アミド、アミン、無水物、エステルまたは芳香環を含む1つまたは複数の官能基で置換されており、
前記アルキル基が、非置換であるか、または、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、シアノ、ニトロ、CO H、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシル、チオおよび/またはチオアルキルによって置換されている。)。
【請求項2】
以下の構造(2)によって表される、請求項1に記載の粒子。
【化2】
【請求項3】
以下の構造(3)によって表される、請求項1に記載の粒子。
【化3】
【請求項4】
およびR’がテルペノイドまたはC~Cアルキルである、請求項1~3のいずれか1項に記載の粒子。
【請求項5】
およびR’がC~Cアルキルである、請求項1~4のいずれか1項に記載の粒子。
【請求項6】
およびR’が何もなく、RおよびR’がテルペノイドまたはC~Cアルキルである、請求項1に記載の粒子。
【請求項7】
およびR’がアルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニルまたはアルキニルから独立に選択され、RおよびR’がテルペノイドまたはC~Cアルキルである、請求項1に記載の粒子。
【請求項8】
前記無機コアが、シリカ、ケイ酸塩(SiO -4)のガラスまたはセラミック、表面活性化金属、金属、ゼオライトおよび金属酸化物から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項9】
前記無機コアが、
(a)非晶質シリカ、高密度シリカ、エアロゲルシリカ、多孔質シリカ、メソポーラスシリカおよびヒュームドシリカからなる群から選択される形態のシリカ(SiO);
(b)アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、ケイ酸バリウム、ホウケイ酸バリウムおよびホウケイ酸ストロンチウムからなる群から選択されるケイ酸塩(SiO -4)のガラスまたはセラミック;
(c)銀、金、白金、パラジウム、銅、亜鉛および鉄からなる群から選択される表面活性化金属;
(d)二酸化ジルコニウム、二酸化チタン、二酸化バナジウム、酸化亜鉛、酸化銅および磁鉄鉱からなる群から選択される金属酸化物;または
(e)人工または天然ゼオライト
を含む、請求項8に記載の粒子。
【請求項10】
前記モノマー単位が式(IA)または(IB)の構造によって表される、請求項1に記載の粒子:
【化4】

【化5】

(式中、
qおよびqは独立に、0~16の整数であり;
およびRは独立に、直鎖もしくは分岐アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;
は存在しない、直鎖もしくは分岐アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、共役アルキル、アルケニルまたはアルキニルである)。
【請求項11】
下記構造:

(式中、n=2~200である。)
によって表される、請求項1~10のいずれか一項に記載の粒子。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の複数の粒子を埋め込む液体または固体マトリックスを含む組成物であって、前記粒子が共有結合または非共有結合相互作用によって前記マトリックスに埋め込まれる組成物。
【請求項13】
前記マトリックスが、ヒドロゲル、熱可塑性ポリマーまたはこれらの任意の組み合わせを含むポリマーマトリックスである、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記熱可塑性ポリマーが、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコーン、エポキシ樹脂、複合材料およびアクリルポリマーからなる群から選択される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記ヒドロゲルがアルギン酸塩またはポロキサマーである、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
前記粒子が、1平方μm当たり約0.1~約100個の粒子の表面濃度で、前記マトリックスの外表面上に均一に分布している、請求項1215のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
クリーム、軟膏、ペースト、ドレッシングおよびゲルである、請求項1216のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
歯科における使用のための、請求項12~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
バイオフィルム形成の抑制または防止における使用のための請求項1218のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
内部のバイオフィルムまたは細菌の処理、分解または殺傷における使用のための請求項1219のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
口内でバイオフィルムまたは細菌が、抑制、防止、処理、分解または殺傷され、前記組成物が、練り歯磨き、うがい薬、つまようじ、デンタルフロス、衛生的処置後のドレッシングまたはゲル、粘膜接着剤ペースト、歯ブラシとして配合され、口腔硬組織および軟組織ならびに人工表面に適用される、請求項19または20に記載の使用のための組成物。
【請求項22】
口腔内でバイオフィルムまたは細菌が、抑制、防止、処理、分解または殺傷され、前記組成物が歯科用接着剤、歯、虫歯空洞を充填するための歯科修復コンポジット系材料、根管治療で根管空間を充填するための歯科修復歯内充填材料、暫定的および最終的な歯の修復または歯置換に使用される歯科修復材料、歯科インレー、歯科アンレー、クラウン、部分床義歯、完全床義歯、歯科インプラント、歯科インプラントアバットメント、ならびにクラウンブリッジ、アンレー、部分床義歯および歯科矯正器具を歯エナメルおよび象牙質に恒久的にセメントで固めるために使用されるセメントとして配合される、請求項1921のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
請求項12~17のいずれか1項に記載の組成物を含む、抗菌製品であって、
つまようじ、練り歯磨き、デンタルフロス、組織の医学的人工置換、外科用メッシュ、乳房インプラント、レンズ、ステント、人工皮膚、インプラント、神経外科シャント、尿道ステント、皮下インプラント用コーティング、避妊用具、静脈内注入に使用されるチューブおよびカニューレ、透析に使用されるチューブおよびカニューレ、外科的ドレナージチューブ、気管内チューブ、創傷被覆材、縫合糸、脳用途に使用するためのシャント、手術用手袋、耳の検査用チップ、歯間ブラシおよび舌ブラシ、医療および研究室用のプラスチックウェア、チューブ、容器およびコネクタ、ホスト生物学的汚染物質を伝達し得るブラシ、トレイ、カバー、コネクタ、塗料、キャビネットおよびバッグ、ワイヤー、ネジ、マイクロステープル、ならびに、ブラケットおよびアタッチメント用のセメントから選択される、抗菌製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗微生物活性粒子、組成物、および表面または装置上の細菌増殖を抑制するためのその使用に関する。本発明はさらに、このような抗微生物活性粒子を作製する方法を開示する。
【背景技術】
【0002】
ある個体の皮膚、消化管および口腔内の細菌の圧倒的な多様性は十分に記載されており、このことによって、多微生物バイオフィルムが標準的な複雑な生態系が、解剖学的かつ動的に実証されている。
【0003】
生物の外側と内側の組織に形成されたバイオフィルムは、感染性疾患の主因である。例えば、口腔では、歯の硬組織または軟組織に形成されたバイオフィルムが虫歯および歯周病の主因である(Sbordone L.,Bortolaia C.,Clin Oral Investig 2003;7:181-8)。細菌バイオフィルムは、自然表面と人工表面の両方に形成する。
【0004】
生物に接触する人工表面は、バイオフィルムと戦うための主要な自然機構である上皮脱落がなく、よって、バイオフィルム蓄積が、生命を脅かす合併症を引き起こす可能性のある医学的問題の主因になっているため、近年、これらの表面には特別な注意が払われている。細菌を蓄積する表面の感受性に影響を及ぼす2つの主要な因子:表面粗さと使用される材料の特性である表面自由エネルギー。表面の粗さは、表面自由エネルギーよりも細菌の付着に大きな影響を及ぼす。これに関連して、人工修復材料は、典型的には自然表面よりも表面粗さが大きいので、細菌蓄積を生じやすい。したがって、バイオフィルム形成を減少させる新たな材料の開発は重要なトピックである。
【0005】
抗バイオフィルム特性を有する材料の開発の究極目標は、健康を改善し、疾患発生を減少させることである。既存の医療機器のいずれも、バイオフィルムの即時かつ包括的な除去も二次感染の予防も保証できない。
【0006】
例えば、口腔防御を維持するために、以下の抗バイオフィルム特性を有する歯科材料が求められている:(1)微生物の初期結合の阻害、(2)バイオフィルム成長の防止、(3)バイオフィルムの微生物代謝への影響、(4)バイオフィルム細菌の殺傷、および(5)バイオフィルムの脱離(Busscher HJ,Rinastiti M,Siswomihardjo W,van der Mei HC.,J Dent Res,2010;89:657-65;Marsh PD.J Dent,2010;38)。
【0007】
レジン歯科用コンポジットは、疎水性樹脂マトリックスおよび疎水性の低いフィラー粒子からなる複雑な歯科材料であり、これはレジン歯科用コンポジット表面が決して均質な界面でなく、マトリックスが豊富で、フィラーが乏しい領域、ならびにマトリックスが乏しく、フィラーが豊富な領域を生じるものであることを意味している(Ionescu A,Wutscher E,Brambilla E,Schneider-Feyrer S,Giessibl FJ,Hahnel S.;Eur J Oral Sci 2012;120:458-65)。
【0008】
コンポジット上のバイオフィルムは、表面劣化を引き起こし得る。研磨、ならびにレジンコンポジットの組成の違いが、レジンコンポジット表面上のバイオフィルム形成に影響を及ぼし得る(Ono M.et al.,Dent Mater J,2007;26:613-22)。研磨によって駆動されるレジンコンポジットの表面劣化が、粗さの増加、微小硬さの変化、およびインビトロでのバイオフィルムへの曝露時のフィラー粒子曝露につながる。さらに、コンポジット上のバイオフィルムは、表面劣化を引き起こし得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【文献】Sbordone L.,Bortolaia C.,Clin Oral Investig 2003;7:181-8
【文献】Busscher HJ,Rinastiti M,Siswomihardjo W,van der Mei HC.,J Dent Res,2010;89:657-65
【文献】Marsh PD.J Dent,2010;38
【文献】Ionescu A,Wutscher E,Brambilla E,Schneider-Feyrer S,Giessibl FJ,Hahnel S.;Eur J Oral Sci 2012;120:458-65
【文献】Ono M.et al.,Dent Mater J,2007;26:613-22
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
抗微生物活性材料は依然として必要とされており、費用対効果が高く、非毒性であり、特に歯科製品の汚染された表面および装置に適用しやすい広範な抗微生物活性材料を有することが有利となるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、表面上にコーティングする、マトリックスに埋め込む、または原材料に埋め込んで、広範囲の抗微生物活性を示す組成物を形成することができる抗微生物活性官能化粒子を提供する。本発明の組成物は、好ましくは、局所、粘膜表面、皮膚表面、歯表面および/または創傷(慢性および急性)投与用に製剤化される。抗微生物粒子は、表面および装置上でのバイオフィルムの形成を防ぎ、内部のバイオフィルムまたは細菌を処理、分解または殺傷する。さらに、本発明は、抗微生物活性粒子を調製するための多用途で費用対効果の高い方法論を提供する。
本発明は、無機または有機不活性コアと、10平方nm当たり少なくとも1つの抗微生物活性基の表面密度でコアに直接またはリンカーを介して化学的に結合したオリゴマーまたはポリマー抗微生物活性基とを含む粒子が、そうでなければ微生物の増殖が自然に起こる表面および装置に適用するまたは組み込むと、広範囲の抗微生物活性を示すという驚くべき発見に基づく。したがって、このような抗微生物活性は、バイオフィルム形成を防ぎ、内部のバイオフィルムまたは細菌を処理、分解および/または殺傷することができる。いくつかの実施形態では、粒子が、一般に、本明細書に記載される有機ポリマー材料または無機材料と、抗微生物活性基とから作製することができる不活性コアを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、本発明は、
(i)無機または有機コアと;
(ii)コアに直接的または間接的に(第3のリンカーを介して)コアに化学的に結合したポリマーまたはオリゴマー抗微生物活性単位と
を含む抗微生物活性粒子であって、
ポリマーまたはオリゴマー抗微生物活性単位は、抗微生物活性基を含む2つ以上のモノマー単位を含み;
各抗微生物活性単位当たりの抗微生物活性基の数は2~200である抗微生物活性粒子を提供する。
【0013】
別の実施形態では、粒子は、構造(1)~(3)によって表される:
【化1】
【化2】
【化3】
(式中、
コアは有機ポリマーまたは無機材料であり;
は結合または第1のリンカーであり;
は第2のリンカーであり;
は結合または第3のリンカーであり;
およびR’はそれぞれ独立に、アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;
およびR’はそれぞれ独立に、アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;
およびR’はそれぞれ独立に、存在しない、水素、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;RまたはR’が存在しない場合、窒素は帯電しておらず;
およびXはそれぞれ独立に、結合、アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンであり;
pはコア表面の1平方nm(nm)当たりの抗微生物活性単位の表面密度を定義し、前記密度は、粒子のコア表面の1平方nm(nm)当たり0.01~30の抗微生物活性基であり;
はそれぞれ独立に、0~200の整数であり;
はそれぞれ独立に、0~200の整数であり;
+n≧2であり;
mは1~200の整数であり、繰り返し単位は同じであるか、または異なる)。
【0014】
一実施形態では、本発明は、本発明の複数の粒子を埋め込む液体または固体マトリックスを含む組成物であって、粒子が共有結合または非共有結合相互作用によってマトリックスに埋め込まれる組成物を提供する。
【0015】
一実施形態では、本発明は、ステントまたはカテーテル、特にポリマー材料でできたカテーテルなどの医療機器を調製するための本発明の粒子を含む原材料であって、粒子が共有結合または非共有結合相互作用によって原材料に埋め込まれる原材料を提供する。
【0016】
一実施形態では、本発明は、本発明の粒子を含む医薬組成物を提供する。
【0017】
一実施形態では、本発明は、本発明の粒子が埋め込まれた熱可塑性ポリマーおよび/またはヒドロゲルを含む包装組成物に関する。別の実施形態では、熱可塑性ポリマーおよび/またはヒドロゲルが、本発明の2つ以上の異なる粒子の混合物が埋め込まれている。別の実施形態では、包装組成物が、食品、飲料、医薬品成分、医療機器、手術前の外科用器具、手術前器具、化粧品、および滅菌器具/材料の包装に使用される。
【0018】
一実施形態では、本発明は、バイオフィルム形成または成長を抑制または防止する方法であって、抗微生物粒子、粒子の組み合わせ、またはそれを含む組成物を、感受性または感染した表面または医療機器に適用するステップを含む方法を提供する。
【0019】
別の実施形態では、本発明は、バイオフィルム形成または成長を抑制または防止するのに使用するための本発明の医療機器を提供する。
【0020】
一実施形態では、本発明は、内部のバイオフィルムまたは細菌を処理、分解または殺傷する方法であって、抗微生物粒子、粒子の組み合わせ、またはそれを含む組成物を、感受性または感染した表面または医療機器に適用するステップを含む方法を提供する。
【0021】
いくつかの実施形態では、本発明の抗菌組成物が、接触した細菌の少なくとも約99%、好ましくは接触した細菌の少なくとも約99.99%の消滅を及ぼす。
【0022】
さらに驚くべきことに、本発明の粒子が、浸出することなく、ホスティングマトリックスの特性を変化させることなく、長期にわたって高い抗微生物特性を維持することが発見された。
【0023】
本発明の粒子は、所与の粒子の表面上に密集した抗菌基の存在に起因する抗菌活性増強を示す。
【0024】
一実施形態では、本発明は、熱可塑性ポリマーと、その中に埋め込まれた本発明の粒子とを含む包装組成物を提供する。別の実施形態では、包装組成物が、本発明の2つ以上の異なる粒子の混合物を含む。別の実施形態では、包装が、食品、飲料、医薬品成分、医療機器、手術前の外科用器具、手術前器具、化粧品、および滅菌器具/材料の包装に使用するためのものである。
【0025】
一実施形態では、本発明は、本発明の粒子が中に埋め込まれた医療機器を提供する。別の実施形態では、医療機器が、本発明の2つ以上の異なる粒子の混合物を含む。別の実施形態では、医療機器がステントまたはカテーテルを含む。
【0026】
さらに驚くべきことに、本発明の粒子が、浸出することなく、ホスティングマトリックスの特性を変化させることなく、長期にわたって高い抗微生物特性を維持することが発見された。
【0027】
本発明と見なされる主題は、本明細書の結論部分で特に指摘され、明確に請求される。しかしながら、本発明は、その目的、特徴および利点と共に、構成と動作方法の両方に関して、添付の図面と共に読むと、以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1A】本発明の抗微生物活性粒子の概略図を示している。図1Aは、粒子の全体的スキームを示す図である。図1Bは、モノマー単位の詳細なスキームを示す図である。
図1B】本発明の抗微生物活性粒子の概略図を示している。図1Aは、粒子の全体的スキームを示す図である。図1Bは、モノマー単位の詳細なスキームを示す図である。
図2A図2Aを介したトリアルコキシシランリンカー分子の自己重合を示す。図2Aは、コアに結合した自己重合リンカーを示す図である。図2Bは、コアへの結合前の自己重合リンカーを示す図である。図2Cは、シラン基の重合(モードB)と単純なシラン化(モードA)の比較を示す図である。円はコアを示す。
図2B図2Aを介したトリアルコキシシランリンカー分子の自己重合を示す。図2Aは、コアに結合した自己重合リンカーを示す図である。図2Bは、コアへの結合前の自己重合リンカーを示す図である。図2Cは、シラン基の重合(モードB)と単純なシラン化(モードA)の比較を示す図である。円はコアを示す。
図2C図2Aを介したトリアルコキシシランリンカー分子の自己重合を示す。図2Aは、コアに結合した自己重合リンカーを示す図である。図2Bは、コアへの結合前の自己重合リンカーを示す図である。図2Cは、シラン基の重合(モードB)と単純なシラン化(モードA)の比較を示す図である。円はコアを示す。
図3】抗微生物活性基が少なくとも1つのテルペノイド部分を含む第三級アミンまたは第四級アンモニウム基であり、抗微生物単位が1つのモノマー単位(図1Bに示されるモノマー骨格)を有する本発明による粒子を調製するための代表的なスキームを示す図である。円は有機または無機コアを表し、R-Y・・・RはC~Cアルキルであり、Yはハロゲンまたはスルホネートなどの脱離基である。
図4】抗微生物単位が1つのモノマー単位(図1Bに示されるモノマー骨格)を有する、アミノ官能性リンカーを介してコア(円によって表される)を有するシンナミル基を有する本発明の粒子を調製するための代表的なスキームを示す図である。第三級アミンの第四級アンモニウム基への変換は任意であり、第三級アミンと基R-Y(式中、RはC~Cアルキルであり、Yはハロゲンまたはスルホネートなどの脱離基である)の反応を伴う。
図5】抗微生物単位が1つのモノマー単位(図1Bに示されるモノマー骨格)を有する、第四級アンモニウム塩(QAS)官能化粒子を調製するための3つの経路の代表的なスキームを示す。円は有機または無機コアを表す。図5Aは、第三級アミンを得るための還元的アミノ化、引き続いてアルキル化反応によるものを示す図である。図5Bは、段階的アルキル化反応によるものを示す図である。図5Cは、脱離基(例えば、Clまたは他のハロゲン)で官能化されたリンカーを第三級アミンと反応させることによるものを示す図である。RおよびRはメチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルなどのC~Cアルキルを表す。RおよびRは異なる基であっても同じ基であってもよい。Yは任意の脱離基、例えばCl、BrもしくはI、またはスルホネート(例えばメシル、トシル)を表す。
図6】抗微生物単位が1つのモノマー単位(図1Bに示されるモノマー骨格)を有する、本発明の粒子を調製するための固体支持体法および溶液法のスキームを示す図である。円は有機または無機コアを表す。Q、QおよびQはエトキシ、メトキシ、メチル、エチル、水素、スルホネートおよびハロゲン化物からなる群から独立に選択され、Q、QおよびQの少なくとも1つはエトキシ、メトキシ、スルホネート(例えば、メシル、トシル)およびハロゲン化物から選択される脱離基である。明快にするために、スキームは、Q、QおよびQが脱離基を表し;Qが抗微生物基を表し;WがNH、ハロゲン化物、スルホネートおよびヒドロキシルからなる群から選択され;nが1~16の整数である場合を示している。
図7】抗微生物部分が1つのモノマー単位(図1Bに示されるモノマー骨格)を有する、固体支持体法と溶液法の両方による12-(トリエトキシシリル)-ドデカン-1-アミンリンカーを利用して官能化されたコア粒子(円として表される)を有するジシンナミル基を調製するための代表的なスキームを示す図である。nは1~16の整数である。
図8】抗微生物単位がオリゴマーまたはポリマー骨格(2つ以上のモノマー単位)を有する、固体支持体法による本発明による粒子を調製するための代表的なスキームを示す図である。円はコアを表す。出発材料は表面がヒドロキシル基で終結したコアであり;Q101、Q102およびQ103ならびに独立にアルコキシ、アルキルまたはアリール;LGはCl、Br、I、メシレート、トシレートまたはトリフレートであり;HalはCl、BrまたはIであり;q、q、qおよびqは独立に、0~16の整数であり;RおよびRはそれぞれ独立に、アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;Rは何もない、水素、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせである。
図9】抗微生物単位が2つ以上のモノマー単位を有する(すなわち、オリゴマーまたはポリマー骨格を有する)、溶液法における本発明による粒子を調製するための代表的なスキームを示す図である。円はコアを表す。出発材料は表面がヒドロキシル基で終結したコアであり;Q101、Q102およびQ103ならびに独立にアルコキシ、アルキルまたはアリール;LGはCl、Br、I、メシレート、トシレートまたはトリフレートであり;HalはCl、BrまたはIであり;q、q、qおよびqは独立に、0~16の整数であり;RおよびRはそれぞれ独立に、アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;Rは何もない、水素、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせである。
図10】抗微生物単位が2つ以上のモノマー単位を有する(すなわち、オリゴマーまたはポリマー骨格を有する)、固体支持体法における、抗微生物活性基としてジメチルエチルアンモニウムを含む本発明によるシリカ系抗微生物粒子を調製するためのスキームを示す図である。
図11】抗微生物単位が2つ以上のモノマー単位を有する(すなわち、オリゴマーまたはポリマー骨格を有する)、溶液法における、抗微生物活性基としてジメチルエチルアンモニウムを含む本発明によるシリカ系抗微生物粒子を調製するためのスキームを示す図である。
図12】(円によって表される)コアへの抗微生物基の負荷濃度を決定する方法を示すスキームを示す図である。
図13】抗菌ナノ粒子を含むフェカリス菌(E.faecalis)抑制パラフィン含有パッドを示す図である。
図14】市販の練り歯磨き(対照);SiO粒子を含む練り歯磨き(対照);および2つのシンナミル基を有する第三級アミンを有するSiO粒子を含む練り歯磨きを使用したスライドガラス上の粒子保持を示す図である。
図15】0、0.25、0.5、1および2重量%の2つのシンナミル基を有する第三級アミンを有するSiO粒子を含有する練り歯磨きの存在下での黄色ブドウ球菌(S.Aureus)増殖を示す図である。
図16】単独(対照)、ポリメチルメタクリレート(PMMA、対照)上、2%の2つのシンナミル基を有する第三級アミンを有するSiO粒子を組み込んだポリメチルメタクリレート(Si-Cial)上および2%の第四級アンモニウムを有するSiO粒子を組み込んだポリメチルメタクリレート(QSi)上のフェカリス菌(E.faecalis)増殖を示す図である。(QSi:1nm当たり170個のジメチルオクチルアンモニウム基で官能化されたシリカ粒子(構造1;(n+n)×m×p=170)
図17】単独(対照)、骨セメント上(対照)、2%の2つのシンナミル基を有する第三級アミンを有するSiO粒子を組み込んだ骨セメント(Si-Cial)上および2%の第四級アンモニウムを有するSiO粒子を組み込んだ骨セメント(QSi:1nm当たり170個のジメチルオクチルアンモニウム基で官能化されたシリカ粒子(構造1;(n+n)×m×p=170)上の黄色ブドウ球菌(S.aureus)増殖を示す図である。
図18】単独(対照)ならびに2つのシトラール基を有する第三級アミンを有する1%SiO、2%SiOおよび5%SiO粒子で装飾した樹脂ビーズ上の(SiO-シトラール)黄色ブドウ球菌(S.aureus)増殖を示す図である。
図19】第四級アンモニウム官能化粒子の抗菌活性に対する活性基の鎖長の効果を示す図である。「SNP」はジメチルオクチルアンモニウム第四級アンモニウム基で官能化されたシリカ系コアを指し、抗微生物活性単位当たりのモノマー単位の数は1~3(図ではn=1~3として言及される)であり、抗微生物活性基の数は、コア表面の1平方nm(nm)当たり174(構造1;(n+n)×m×p=174)である。
【0029】
説明を簡単かつ明確にするために、図に示される要素は必ずしも縮尺通りに描かれていないことが理解されるだろう。例えば、要素のいくつかの寸法は、明確にするために他の要素に比べて誇張されている場合がある。さらに、適切であると考えられる場合、対応する要素または類似の要素を示すために、参照番号を図の間で繰り返すことがある。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多数の具体的詳細を示す。しかしながら、これらの具体的な詳細なしで本発明を実施できることが当業者によって理解されるだろう。他の例では、本発明を不明瞭にしないために、周知の方法、手順および構成要素を詳細に記載しなかった。
【0031】
粒子
本発明は、広範囲の抗微生物活性を示す、抗微生物活性官能化粒子およびそれを含む組成物を提供する。
【0032】
いくつかの実施形態では、本発明は、
(i)無機または有機コアと;
(ii)コアに直接的または間接的に(第3のリンカーを介して)コアに化学的に結合したポリマーまたはオリゴマー抗微生物活性単位と
を含む抗微生物活性粒子であって、
ポリマーまたはオリゴマー抗微生物活性単位は、抗微生物活性基を含む2つ以上のモノマー単位を含み;
各抗微生物活性単位当たりの抗微生物活性基の数は2~200である抗微生物活性粒子を提供する。
【0033】
別の実施形態では、モノマー単位が、第2のリンカーまたは第1のリンカーまたはこれらの組み合わせを介して互いに接続されている。別の実施形態では、各モノマー単位が抗微生物活性基を含む。別の実施形態では、オリゴマー/ポリマー抗微生物活性単位が、少なくとも2つの抗微生物活性基を含む。別の実施形態では、図1が本発明の抗微生物活性粒子を概略的に示す。
【0034】
別の実施形態では、本発明は、構造(1):
【化4】
【0035】
(式中、
コアは有機ポリマーまたは無機材料であり;
は結合または第1のリンカーであり;
は第2のリンカーであり;
は結合または第3のリンカーであり;
およびR’はそれぞれ独立に、アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;
およびR’はそれぞれ独立に、アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;
およびR’はそれぞれ独立に、存在しない、水素、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;RまたはR’が存在しない場合、窒素は帯電しておらず;
およびXはそれぞれ独立に、結合、アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンであり;
pはコア表面の1平方nm(nm)当たりの抗微生物活性単位の表面密度を定義し、前記密度は、粒子のコア表面の1平方nm(nm)当たり0.01~30の抗微生物活性基であり;
はそれぞれ独立に、0~200の整数であり;
はそれぞれ独立に、0~200の整数であり;
+n≧2であり;
mは1~200の整数であり、繰り返し単位は同じであるか、または異なる)
によって表される粒子を提供する。
【0036】
別の実施形態では、R、R、Rの少なくとも1つおよび/またはR’、R’、R’の少なくとも1つが、構造1で疎水性である。
【0037】
別の実施形態では、本発明は、構造(2):
【化5】
【0038】
(式中、
コアは有機ポリマーまたは無機材料であり;
は結合または第1のリンカーであり;
は第2のリンカーであり;
は結合または第3のリンカーであり;
およびR’はそれぞれ独立に、アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;
およびR’はそれぞれ独立に、アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;
およびXはそれぞれ独立に、結合、アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンであり;
pはコア表面の1平方nm(nm)当たりの抗微生物活性単位の表面密度を定義し、前記密度は、粒子のコア表面の1平方nm(nm)当たり0.01~30の抗微生物活性基であり;
はそれぞれ独立に、0~200の整数であり;
はそれぞれ独立に、0~200の整数であり;
+n≧2であり;
mは1~200の整数であり、繰り返し単位は同じであるか、または異なる)
によって表される粒子を提供する。
【0039】
別の実施形態では、R、Rの少なくとも1つおよび/またはR’、R’の少なくとも1つが、構造2で疎水性である。
【0040】
別の実施形態では、本発明は、構造(3):
【化6】
【0041】
(式中、
コアは有機ポリマーまたは無機材料であり;
は結合または第1のリンカーであり;
は第2のリンカーであり;
は結合または第3のリンカーであり;
およびR’はそれぞれ独立に、アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;
およびR’はそれぞれ独立に、アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;
およびXはそれぞれ独立に、結合、アルキレン、アルケニレンまたはアルキニレンであり;
pはコア表面の1平方nm(nm)当たりの抗微生物活性単位の表面密度を定義し、前記密度は、粒子のコア表面の1平方nm(nm)当たり0.01~30の抗微生物活性基であり;
はそれぞれ独立に、0~200の整数であり;
はそれぞれ独立に、0~200の整数であり;
+n≧2であり;
mは1~200の整数であり、繰り返し単位は同じであるか、または異なる)
によって表される粒子を提供する。
【0042】
別の実施形態では、R、Rの少なくとも1つおよび/またはR’、R’の少なくとも1つが、構造3で疎水性である。
【0043】
別の実施形態では、水素が、ポリマーまたはオリゴマー抗微生物活性単位の端部側で構造1~3に存在してもしなくてもよい。
【0044】
別の実施形態では、抗微生物粒子が以下の構造によって表される:
【化7】
【0045】
(式中、n=2~200であり;pはコア表面の1平方nm(nm)当たりのオリゴマー/ポリマー抗微生物活性単位の表面密度を定義し、密度は、粒子のコア表面の1平方nm(nm)当たり0.01~30の抗微生物活性単位である)。別の実施形態では、n=2~3である。別の実施形態では、n=3~20である。別の実施形態では、n=20~50である。別の実施形態では、n=50~100である。別の実施形態では、n=100~200である。
【0046】
別の実施形態では、「抗微生物活性基」という用語および「モノマー抗微生物活性基」という用語は同じものを指し、以下の式によって表されるプロトン化第三級アミン、第三級アミンまたは第四級アンモニウムを含む:
【化8】
【化9】
【化10】
【0047】
(式中、
はアルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;
はアルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;
は何もない、水素、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;Rが何もない場合、窒素は帯電していない)。
【0048】
別の実施形態では、R、RまたはRの少なくとも1つが疎水性である。
【0049】
本発明の抗微生物活性基は、コア表面の10平方nm当たり少なくとも1つの抗微生物活性基の表面密度でコアに化学的に結合している。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり少なくとも1つの抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり0.001~400の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり0.001~300の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり0.01~300の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり0.001~250の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり0.001~200の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり0.001~150の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり0.001~100の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり0.001~50の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり0.001~20の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり0.001~17の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり0.001~15の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり0.001~10の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり0.001~4の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり0.001~1の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり50~400の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり100~400の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり50~100の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり100~150の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり150~200の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり200~250の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり250~300の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり1~4の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり1~6の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり1~20の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり1~10の抗微生物基である。別の実施形態では、コア表面の1平方nm当たり1~15の抗微生物基である。
【0050】
いくつかの実施形態では、各オリゴマーまたはポリマー抗微生物活性単位当たりの抗微生物活性基の数が2~200である。別の実施形態では、各オリゴマーまたはポリマー抗微生物活性単位当たりの抗微生物活性基の数が2~150である。別の実施形態では、各オリゴマーまたはポリマー抗微生物活性単位当たりの抗微生物活性基の数が2~100である。別の実施形態では、各オリゴマーまたはポリマー抗微生物活性単位当たりの抗微生物活性基の数が2~50である。別の実施形態では、各オリゴマーまたはポリマー抗微生物活性単位当たりの抗微生物活性基の数が2~30である。別の実施形態では、各オリゴマーまたはポリマー抗微生物活性単位当たりの抗微生物活性基の数が2~20である。別の実施形態では、各オリゴマーまたはポリマー抗微生物活性単位当たりの抗微生物活性基の数が2~10である。別の実施形態では、各オリゴマーまたはポリマー抗微生物活性単位当たりの抗微生物活性基の数が50~100である。別の実施形態では、各オリゴマーまたはポリマー抗微生物活性単位当たりの抗微生物活性基の数が100~150である。別の実施形態では、各オリゴマーまたはポリマー抗微生物活性単位当たりの抗微生物活性基の数が150~200である。
【0051】
いくつかの実施形態では、各オリゴマーまたはポリマー抗微生物活性単位当たりのモノマー単位の数が2~200である。別の実施形態では、各オリゴマーまたはポリマー抗微生物活性単位当たりのモノマー単位の数が2~150である。別の実施形態では、各オリゴマーまたはポリマー抗微生物活性単位当たりのモノマー単位の数が2~100である。別の実施形態では、各オリゴマーまたはポリマー抗微生物活性単位当たりのモノマー単位の数が2~50である。別の実施形態では、各オリゴマーまたはポリマー抗微生物活性単位当たりのモノマー単位の数が2~30である。別の実施形態では、各オリゴマーまたはポリマー抗微生物活性単位当たりのモノマー単位の数が2~20である。別の実施形態では、各オリゴマーまたはポリマー抗微生物活性単位当たりのモノマー単位の数が2~10である。別の実施形態では、各オリゴマーまたはポリマー抗微生物活性単位当たりのモノマー単位の数が50~100である。別の実施形態では、各オリゴマーまたはポリマー抗微生物活性単位当たりのモノマー単位の数が100~150である。別の実施形態では、各オリゴマーまたはポリマー抗微生物活性単位当たりのモノマー単位の数が150~200である。
【0052】
別の実施形態では、構造(1)~(3)の粒子が無機コアを有する。別の実施形態では、構造(1)~(3)の粒子が有機コアを有する。別の実施形態では、有機コアがポリマー有機コアである。別の実施形態では、コアが不活性である。一実施形態では、構造(1)~(3)によって表される本発明の粒子が、-N(R)(R)(R)、-NH(R)(R)、-N(R)(R)-N(R’)(R’)(R’)、-NH(R’)(R’)または-N(R’)(R’)の抗微生物活性基を含む。一実施形態では、Rおよび/またはR’、Rおよび/またはR’ならびにRおよび/またはR’が同じであるか、または異なり、独立に、アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせである。別の実施形態では、R、RおよびRが独立に、アルキルである。別の実施形態では、Rおよび/またはR’、Rおよび/またはR’ならびにRおよび/またはR’が独立に、テルペノイドである。別の実施形態では、Rおよび/またはR’、Rおよび/またはR’ならびにRおよび/またはR’が独立に、シクロアルキルである。別の実施形態では、Rおよび/またはR’、Rおよび/またはR’ならびにRおよび/またはR’が独立に、アリールである。別の実施形態では、Rおよび/またはR’、Rおよび/またはR’ならびにRおよび/またはR’が独立に、複素環である。別の実施形態では、Rおよび/またはR’、Rおよび/またはR’ならびにRおよび/またはR’が独立に、共役アルキルである。別の実施形態では、Rおよび/またはR’、Rおよび/またはR’ならびにRおよび/またはR’が独立に、アルケニルである。別の実施形態では、Rおよび/またはR’、Rおよび/またはR’ならびにRおよび/またはR’が独立に、アルキニルである。別の実施形態では、Rが何もない。別の実施形態では、Rおよび/またはR’が水素である。別の実施形態では、Rおよび/またはR’、Rおよび/またはR’ならびにRおよび/またはR’の少なくとも1つが疎水性アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせである。各々が本発明の別個の実施形態を表す。
【0053】
別の実施形態では、RおよびR’が同じである。別の実施形態では、RおよびR’が同じである。別の実施形態では、RおよびR’が同じである。別の実施形態では、RおよびR’が異なる。別の実施形態では、RおよびR’が異なる。別の実施形態では、RおよびR’が異なる。
【0054】
本明細書で使用される場合、「アルキル」または「アルキレン」という用語は、特に明記しない限り、最大約24個の炭素を含む直鎖または分岐鎖アルキル基を指す。一実施形態では、アルキルがC~C炭素を含む。一実施形態では、アルキルがC~C炭素を含む。一実施形態では、アルキルがC~C炭素を含む。別の実施形態では、アルキルがC~C炭素を含む。別の実施形態では、アルキルがC~C炭素を含む。別の実施形態では、アルキルがC~C10炭素を含む。別の実施形態では、アルキルがC~C12炭素を含む。別の実施形態では、アルキルがC~C炭素を含む。別の実施形態では、アルキルがC~C10炭素を含む。別の実施形態では、アルキルがC~C18炭素を含む。別の実施形態では、アルキルがC~C24炭素を含む。別の実施形態では、アルキルがC~C18炭素を含む。別の実施形態では、アルキルがC~C18炭素を含む。別の実施形態では、分岐アルキルが1~5個の炭素のアルキル側鎖によって置換されたアルキルである。一実施形態では、アルキル基が非置換であってもよい。別の実施形態では、アルキル基が、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、シアノ、ニトロ、COH、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシル、チオおよび/またはチオアルキルによって置換されていてもよい。別の実施形態では、疎水性アルキルが、少なくとも4個の炭素を有するアルキルを指す。別の実施形態では、疎水性アルキルがC~C24アルキルを指す。別の実施形態では、疎水性アルキルがC~Cアルキルを指す。別の実施形態では、疎水性アルキルがCアルキルを指す。別の実施形態では、疎水性アルキルがCアルキルを指す。別の実施形態では、疎水性アルキルがCアルキルを指す。別の実施形態では、疎水性アルキルがCアルキルを指す。別の実施形態では、疎水性アルキルがCアルキルを指す。
【0055】
「共役アルキル」は、選択的単結合および二重結合または三重結合を有する上に定義されるアルキルを指す。別の実施形態では、疎水性共役アルキルが、少なくとも4個の炭素を有する共役アルキルを指す。別の実施形態では、疎水性共役アルキルが、C~Cアルキルを有する共役アルキルを指す。
【0056】
本明細書で使用される場合、「アリール」という用語は、別の基に直接結合しており、置換されていても非置換でもよい任意の芳香環を指す。アリール基は単独の置換基であってもよいし、またはアリール基はアリールアルキル、アリールアミノ、アリールアミド等などより大きな置換基の成分であってもよい。例示的なアリール基には、限定されないが、フェニル、トリル、キシリル、フラニル、ナフチル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チオフェン-イル、ピロリル、フェニルメチル、フェニルエチル、フェニルアミノ、フェニルアミド等が含まれる。置換には、それだけに限らないが、F、Cl、Br、I、C~C直鎖もしくは分岐アルキル、C~C直鎖もしくは分岐ハロアルキル、C~C直鎖もしくは分岐アルコキシ、C~C直鎖もしくは分岐ハロアルコキシ、CF、CN、NO、-CHCN、NH、NH-アルキル、N(アルキル)、ヒドロキシル、-OC(O)CF、-OCHPh、-NHCO-アルキル、COOH、-C(O)Ph、C(O)O-アルキル、C(O)H、または-C(O)NHが含まれる。別の実施形態では、疎水性アリールが、少なくとも6個の炭素を有するアリールを指す。
【0057】
「アルケニル」または「アルケニレン」という用語は、少なくとも2個の炭素原子と少なくとも1つの二重結合を含む物質を指す。一実施形態では、アルケニルが2~7個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルケニルが2~12個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルケニルが2~10個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルケニルが3~6個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルケニルが2~4個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルケニルが4~8個の炭素原子を有する。別の実施形態では、疎水性アルケニルが、少なくとも4個の炭素を有するアルケニルを指す。別の実施形態では、疎水性アルケニルがC~Cアルケニルを指す。
【0058】
「アルキニル」または「アルキニレン」という用語は、少なくとも2個の炭素原子と少なくとも1つの三重結合を含む物質を指す。一実施形態では、アルキニルが2~7個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルキニルが2~12個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルキニルが2~10個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルキニルが3~6個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルキニルが2~4個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルキニルが3~6個の炭素原子を有する。別の実施形態では、アルキニルが4~8個の炭素原子を有する。別の実施形態では、疎水性アルキニルが、少なくとも4個の炭素を有するアルキニルを指す。別の実施形態では、疎水性アルキニルがC~Cアルケニルを指す。
【0059】
「アルコキシ」という用語は、一実施形態では、酸素に結合した上に定義されるアルキルを指す。アルコキシ基の非限定的な例としては、メトキシ、エトキシおよびイソプロポキシが挙げられる。
【0060】
「シクロアルキル」基は、一実施形態では、飽和であっても不飽和であってもよく、置換されていても非置換であってもよい、環原子として炭素原子を含む環構造を指す。別の実施形態では、シクロアルキルが3~12員環である。別の実施形態では、シクロアルキルが6員環である。別の実施形態では、シクロアルキルが5~7員環である。別の実施形態では、シクロアルキルが3~8員環である。別の実施形態では、シクロアルキル基が、非置換であっても、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、シアノ、ニトロ、COH、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシル、チオおよび/またはチオアルキルによって置換されていてもよい。別の実施形態では、シクロアルキル環が、別の飽和または不飽和のシクロアルキルまたは複素環式3~8員環に縮合していてもよい。別の実施形態では、シクロアルキル環が飽和環である。別の実施形態では、シクロアルキル環が不飽和環である。シクロアルキル基の非限定的な例としては、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロプロピル、シクロプロペニル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロブチル、シクロブテニル、シクロクチル、シクロオクタジエニル(COD)、シクロオクタエン(COE)等が挙げられる。別の実施形態では、疎水性シクロアルキルが、少なくとも6個の炭素を有するシクロアルキルを指す。
【0061】
「複素環」基は、一実施形態では、環の一部として、炭素原子に加えて、硫黄、酸素、窒素またはこれらの任意の組み合わせを含む環構造を指す。別の実施形態では、複素環が3~12員環である。別の実施形態では、複素環が6員環である。別の実施形態では、複素環が5~7員環である。別の実施形態では、複素環が3~8員環である。別の実施形態では、複素環基が、非置換であっても、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、カルボニル、アミド、アルキルアミド、ジアルキルアミド、シアノ、ニトロ、COH、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、カルボキシル、チオおよび/またはチオアルキルによって置換されていてもよい。別の実施形態では、複素環が、別の飽和または不飽和のシクロアルキルまたは複素環式3~8員環に縮合していてもよい。別の実施形態では、複素環式環が飽和環である。別の実施形態では、複素環式環が不飽和環である。複素環式環の非限定的な例としては、ピリジン、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、チオフェン、ピロール、ベンゾジオキソールまたはインドールが挙げられる。別の実施形態では、疎水性複素環式基が、少なくとも6個の炭素を有する複素環を指す。
【0062】
一実施形態では、構造(1)のR、RおよびRの少なくとも1つならびに/あるいはR’、R’およびR’の少なくとも1つが疎水性である。一実施形態では、構造(2)および(3)のRおよびRの少なくとも1つならびに/あるいはR’およびR’の少なくとも1つが疎水性である。
【0063】
「疎水性」という用語は、少なくとも4個の炭素を有するアルキル、アルケニルもしくはアルキニルを指す、または疎水性という用語は、テルペノイド、少なくとも6個の炭素を有するシクロアルキル、アリールもしくは複素環を指す。各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0064】
一実施形態では、構造(1)のR、RおよびRの少なくとも1つならびに/あるいはR’、R’およびR’の少なくとも1つがC~C24アルキル、C~C24アルケニル、C~C24アルキニルまたはテルペノイドである。一実施形態では、構造(2)および(3)のRおよびRの少なくとも1つならびに/あるいはR’およびR’の少なくとも1つがC~C24アルキル、C~C24アルケニル、C~C24アルキニルまたはテルペノイドである。各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0065】
一実施形態では、構造(1)のR、RおよびRの少なくとも1つならびに/あるいはR’、R’およびR’の少なくとも1つがC~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニルまたはテルペノイドである。一実施形態では、構造(2)および(3)のRおよびRの少なくとも1つならびに/あるいはR’およびR’の少なくとも1つがC~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニルまたはテルペノイドである。各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0066】
一実施形態では、構造(1)~(3)のRおよび/またはR’がテルペノイドである。別の実施形態では、Rおよび/またはR’がテルペノイドであり、Rおよび/またはR’がC~Cアルキルである。別の実施形態では、コアが有機ポリマーコアであり、Rおよび/またはR’が何もなく、Rおよび/またはR’がテルペノイドである。別の実施形態では、コアが有機ポリマーコアであり、Rおよび/またはR’が水素であり、Rおよび/またはR’がテルペノイドである。別の実施形態では、コアが無機コアであり、Rおよび/またはR’が何もなく、Rおよび/またはR’がテルペノイドである。別の実施形態では、コアが無機コアであり、Rおよび/またはR’が水素であり、Rおよび/またはR’がテルペノイドである。別の実施形態では、コアが無機コアであり、Rおよび/またはR’がC~C24アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、共役C~C24アルキル、C~C24アルケニル、C~C24アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり、Rおよび/またはR’がテルペノイドである。
【0067】
一実施形態では、構造(1)~(3)の「p」がコア表面の1平方nm当たりの抗微生物活性単位の表面密度を定義する。別の実施形態では、「p」がコア表面の1平方nm当たり0.01~30の抗微生物活性単位である。別の実施形態では、「p」がコア表面の1平方nm当たり0.01~20の抗微生物活性単位である。別の実施形態では、「p」がコア表面の1平方nm当たり0.01~10の抗微生物活性単位である。別の実施形態では、「p」がコア表面の1平方nm当たり0.01~15の抗微生物活性単位である。別の実施形態では、「p」がコア表面の1平方nm当たり0.01~5の抗微生物活性単位である。
【0068】
一実施形態では、構造(1)~(3)のnが0~200である。別の実施形態では、nが0~10である。別の実施形態では、nが10~20である。別の実施形態では、nが20~30である。別の実施形態では、nが30~40である。別の実施形態では、nが40~50である。別の実施形態では、nが50~60である。別の実施形態では、nが60~70である。別の実施形態では、nが70~80である。別の実施形態では、nが80~90である。別の実施形態では、nが90~100である。別の実施形態では、nが100~110である。別の実施形態では、nが110~120である。別の実施形態では、nが120~130である。別の実施形態では、nが130~140である。別の実施形態では、nが140~150である。別の実施形態では、nが150~160である。別の実施形態では、nが160~170である。別の実施形態では、nが170~180である。別の実施形態では、nが180~190である。別の実施形態では、nが190~200である。
【0069】
一実施形態では、構造(1)~(3)のnが0~200である。別の実施形態では、nが0~10である。別の実施形態では、nが10~20である。別の実施形態では、nが20~30である。別の実施形態では、nが30~40である。別の実施形態では、nが40~50である。別の実施形態では、nが50~60である。別の実施形態では、nが60~70である。別の実施形態では、nが70~80である。別の実施形態では、nが80~90である。別の実施形態では、nが90~100である。別の実施形態では、nが100~110である。別の実施形態では、nが110~120である。別の実施形態では、nが120~130である。別の実施形態では、nが130~140である。別の実施形態では、nが140~150である。別の実施形態では、nが150~160である。別の実施形態では、nが160~170である。別の実施形態では、nが170~180である。別の実施形態では、nが180~190である。別の実施形態では、nが190~200である。
【0070】
一実施形態では、構造(1)~(3)のmが1~200である。別の実施形態では、mが1~10である。別の実施形態では、mが10~20である。別の実施形態では、mが20~30である。別の実施形態では、mが30~40である。別の実施形態では、mが40~50である。別の実施形態では、mが50~60である。別の実施形態では、mが60~70である。別の実施形態では、mが70~80である。別の実施形態では、mが80~90である。別の実施形態では、mが90~100である。別の実施形態では、mが100~110である。別の実施形態では、mが110~120である。別の実施形態では、mが120~130である。別の実施形態では、mが130~140である。別の実施形態では、mが140~150である。別の実施形態では、mが150~160である。別の実施形態では、mが160~170である。別の実施形態では、mが170~180である。別の実施形態では、mが180~190である。別の実施形態では、mが190~200である。
【0071】
一実施形態では、本発明の抗微生物活性基が以下から選択され得る:(a)少なくとも1つのテルペノイド部分を含む第三級アミン(すなわち、Rおよび/またはR’が何もない)または第三級アンモニウム(すなわち、Rおよび/またはR’が水素である)(b)少なくとも1つのテルペノイド部分を含む第四級アンモニウム基(c)4~24個の炭素原子を有する少なくとも1つのアルキル基を含む第四級アンモニウム基;および(d)4~24個の炭素原子を有する少なくとも1つのアルキル基を含む第三級アミン(すなわち、Rおよび/またはR’は何もない)または第三級アンモニウム(すなわち、Rおよび/またはR’は水素である)。各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0072】
一実施形態では、構造(1)~(3)によって表される本発明の粒子が、ポリマーまたはオリゴマー抗微生物活性基と、不活性コアとを含み、ポリマーまたはオリゴマー抗微生物活性基およびコアは間接的に結合している。
【0073】
いくつかの実施形態では、L、LまたはLがそれぞれ独立に、同じまたは異なるリンカーである。いくつかの実施形態では、L、LおよびLが任意の可能な方法で互いに接続されている。いくつかの実施形態では、Lが何もなく、LまたはLがコアに共有結合的に接続されている。別の実施形態では、Lがコアに共有結合的に接続されており、LまたはLがLに接続されている。別の実施形態では、「リンカー」が、このようなリンカーに隣接している少なくとも2つの他の化学部分を接続することができる任意の可能な化学部分を含む。別の実施形態では、ポリマーまたはオリゴマー抗微生物活性基およびコアが、第3のリンカー(L)を介してコアに結合している。別の実施形態では、ポリマーまたはオリゴマー基のモノマー単位が、第1のリンカー(L)および抗微生物基を含む。別の実施形態では、第1のリンカー(L)および/または第2のリンカー(L)が、ポリマー/オリゴマー基の骨格である。いくつかの実施形態では、リンカーが官能基を含む。別の実施形態では、リンカーが2つの(同じまたは異なる)官能基を含む。別の実施形態では、官能基が、ホスフェート、ホスホネート、カルボキシル、シロキサン、シラン、エーテルアセタール、アミド、アミン、無水物、エステル、ケトン、または前記部分のいずれかで官能化された1または複数の芳香環を含む。各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0074】
いくつかの実施形態では、第1、第2または第3のリンカー(L、LまたはL)が独立に、C1~C18アルキレン、アルケニレン、アルキネレン、アリーレンまたは共役アルキレンである。他の実施形態では、リンカーが、ホスフェート、ホスホネート、カルボキシル、シロキサン、シラン、エーテルアセタール、アミド、アミン、無水物、エステル、ケトンまたは芳香環を含む1つまたは複数の官能基で置換されている。
【0075】
他の実施形態では、リンカー(L、LまたはL)が、少なくとも1つのカルボキシル部分で置換されたC~C18アルキレン、アルケニレン、アルキネレン、アリーレンまたは共役アルキレンであり、カルボキシル末端がコアに結合している。このリンカーは、少なくとも1つのカルボキシル部分で置換され、抗菌活性基[-N(R)(R)(R)、-NH(R)(R)、-N(R)(R)-N(R’)(R’)(R’)、-NH(R’)(R’)または-N(R’)(R’)(構造(1)~(3)に定義される)]に修飾されたアミノ末端を有するC1~C18アルキレン、アルケニレン、アルキネレン、アリーレンまたは共役アルキレンから誘導され得る。このリンカーは、2~18個の炭素原子の鎖長を有する天然もしくは合成起源のアミノ酸(ポリペプチド)、または前記アミノ酸のハロゲン化アシルから誘導され得る。このようなアミノ酸の非限定的な例は、18-アミノオクタデカン酸および18-アミノステアリン酸である。別の実施形態では、リンカー(L、LまたはL)が、少なくとも1つのアミンまたはアミド部分で置換されたC1~C18アルキレンである。
【0076】
他の実施形態では、リンカー(L、LまたはL)が、ハロゲン部分をコアに結合する官能基に置き換えること、およびハロゲン部分を置き換えて[-N(R)(R)(R)、-NH(R)(R)、-N(R)(R)-N(R’)(R’)(R’)、-NH(R’)(R’)または-N(R’)(R’)(構造(1)~(3)に定義される)]を得ることによって、それぞれ、コアおよび抗微生物活性基で各末端が官能化された、ジハロアルキレン、アルケニレン、アルキネレン、アリーレンまたは共役アルキレンから誘導されるアルキレン、アルケニレン、アルキネレン、アリーレンまたは共役アルキレンである。
【0077】
他の実施形態では、リンカー(L、LまたはL)が、4,4-ビフェノール、ジ安息香酸、ジ安息香酸ハロゲン化物、ジ安息香酸スルホネート、テレフタル酸、テトラフタル酸ハロゲン化物、およびテレフタル酸スルホネートという非限定的な例から誘導されるアリーレンである。このリンカーは、その官能基(すなわち、ヒドロキシル、カルボキシまたはスルホネート)を通して、それぞれコアおよび抗微生物活性基で官能化される。別の実施形態では、このリンカーが、一端でコアに直接的にまたは第3のリンカー(L3)を介して間接的に結合しており、他端で抗微生物活性基[-N(R)(R)(R)、-NH(R)(R)、-N(R)(R)-N(R’)(R’)(R’)、-NH(R’)(R’)または-N(R’)(R’)(構造(1)~(3)に定義される)]に修飾されている。
【0078】
別の実施形態では、L、L、Lまたはこれらの任意の組み合わせが、トリアルコキシアルキルシラン、トリアルコキシアリールシラン、トリハロアルキルシラン、トリハロアリールシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)およびN-2アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランという非限定的な例から誘導および/または選択されるシロキサンまたはシラン基である。
【0079】
別の実施形態では、第3のリンカー(L)が、その官能基(すなわち、ヒドロキシル、シロキサン、カルボキシ、アミドまたはスルホネート)を介して、それぞれ、コアおよび抗微生物活性基に結合している。別の実施形態では、第1のリンカー(L)および/または第2のリンカー(L)が、一端でコアに直接的にまたは第3のリンカー(L3)を介して間接的に結合しており、他端で抗微生物活性基[-N(R)(R)(R)、-NH(R)(R)、-N(R)(R)-N(R’)(R’)(R’)、-NH(R’)(R’)または-N(R’)(R’)(構造(1)~(3)に定義される)]に修飾されている。
【0080】
別の実施形態では、ポリマー/オリゴマー抗微生物活性単位内のモノマー単位が、式IAの構造:
【化11】
【0081】
(式中、
およびRは独立に、直鎖もしくは分岐アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;
は何もない、直鎖もしくは分岐アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;Rが何もない場合、窒素は帯電しておらず;
qは0~16の整数である)
によって表され、
前記モノマー単位が、直接または第3のリンカー(L)を介して無機コアの表面に化学的に結合している。
【0082】
別の実施形態では、ポリマー/オリゴマー抗微生物活性単位内のモノマー単位が、式IBの構造:
【化12】
【0083】
(式中、
およびRは独立に、直鎖もしくは分岐アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;
は存在しない、直鎖もしくは分岐アルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;Rが存在しない場合、窒素は帯電しておらず;
qおよびqは独立に、0~16の整数である)
によって表され、
前記モノマー単位が、直接または第3のリンカー(L)を介して無機コアの表面に化学的に結合している。
【0084】
本発明の粒子は、強化された抗菌活性を示す。いかなる理論にも機構にも拘束されることはないが、このような活性は、所与のコアの表面上に密集した抗菌基の存在、ならびにホストマトリックスの表面上に詰まっている高密度の粒子に起因すると仮定できる。この密度は、本発明の粒子中の各ポリマーまたはオリゴマー抗微生物活性単位が増加する数の抗微生物活性基を含むにつれて増加し、活性官能基の高い局所濃度をもたらし、抗菌活性基の高い有効濃度をもたらし、比較的少量の粒子を使用して、有効な細菌消滅を達成することを可能にする。抗菌基の密集は、本発明の少なくとも2つの主な特徴によるものである:
-各粒子表面から突出する多数のオリゴマーまたはポリマー抗微生物活性単位;および
-各このようなオリゴマーまたはポリマー単位当たり少なくとも2つの抗微生物基。
【0085】
したがって、抗菌基は粒子の利用可能な表面積の大部分(表面を覆う幅寸法)をカバーし、さらに各粒子はその表面上に抗菌基の2つ以上の層(表面の上の高さ寸法)を有する。抗微生物基の表面密度は、抗菌抑制効果を促進する高い有効濃度をもたらす。本発明の原理によると、高い表面密度は高い抗微生物効率を規定する。
【0086】
本明細書で使用される「ナノ粒子」という用語は、約1000nm未満の直径を有する粒子を指す。本明細書で使用される「微粒子」という用語は、約1000nm以上の直径を有する粒子を指す。
【0087】
本発明の粒子は、約5~約100000nmの直径を有することを特徴とし、したがって、ナノ粒子組成物と微粒子組成物の両方を包含する。約10~約50000nmの粒子が好ましい。他の実施形態では、粒子の直径が1000nm超である。他の実施形態では、粒子の直径が10000nm超である。他の実施形態では、粒子の直径が1000~50000nmである。他の実施形態では、粒子の直径が5~250nmである。他の実施形態では、粒子の直径が5~500nmである。別の実施形態では、粒子の直径が5~1000nmである。他の粒径範囲が適用可能であり、本発明の範囲内に包含されることは、当業者には明らかである。
【0088】
テルペノイド基を含む抗微生物活性基
一実施形態では、本発明の抗微生物活性基が、少なくとも1つのテルペノイド基を含み、(a)少なくとも1つのテルペノイド部分を含む第三級アミン(Rおよび/またはR’は何もない)または第三級アンモニウム(Rおよび/またはR’はHである);および(b)少なくとも1つのテルペノイド部分を含む第四級アンモニウム基から選択される。
【0089】
いくつかの実施形態では、式(1)~(3)の抗微生物活性基が、(a)各第三級アミン/アンモニウムの窒素原子がXまたはXへの少なくとも1つの結合およびテルペノイド部分への1つの結合を有する、第三級アミン(Rおよび/またはR’は何もない)または第三級アンモニウム(Rおよび/またはR’はHである);(b)各第三級アミン/アンモニウムの窒素原子がXまたはXへの1つの結合、および互いに同じであっても異なっていてもよいテルペノイド部分への2つの結合を有する第三級アミン(Rおよび/またはR’は何もない)または第三級アンモニウム(Rおよび/またはR’はHである)、または前記第三級アミンの塩;(c)各第四級アンモニウム基の窒素原子がXまたはXへの少なくとも1つの結合および互いに同じであっても異なっていてもよいテルペノイド部分への1つまたは2つの結合を有する、第四級アンモニウム基から選択される;各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0090】
「イソプレノイド」としても知られる「テルペノイド」という用語は、5炭素イソプレン単位から誘導される天然に存在する化合物の大きなクラスを指す。
【0091】
一実施形態では、少なくとも1つのテルペノイド部分が、シンナムアルデヒド、ケイヒ酸、クルクミン、ビスシドンまたはシンナミルアルコールから誘導されるシナミル(cinammyl)基である。別の実施形態では、少なくとも1つのテルペノイド部分が、樟脳、ハロゲン化ボルニルまたはボルニルアルコールから誘導されるボルニル基である。別の実施形態では、少なくとも1つのテルペノイド部分がシトラールから誘導される。別の実施形態では、少なくとも1つのテルペノイド部分がペリルアルデヒドから誘導される。各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0092】
シンナムアルデヒドは、ニッケイ属(Cinnamomum)から抽出される天然アルデヒドである。これは、低い毒性ならびに種々の細菌および真菌に対する有効性で知られている。
【0093】
樟脳はクスノキ(クスノキ(Cinnamomum camphora))およびカプールの木の木材中に見られる。樟脳はまた、クスノキ科のいくつかの他の関連樹木、例えばオコテア・ウサンバレンシス(Ocotea usambarensis)、ならびに他の天然資源にも生じる。樟脳は、テレビン油から合成的に製造することもできる。樟脳は、RまたはSエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、およびラセミ混合物として見い出すことができる。各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0094】
シトラール、または3,7-ジメチル-2,6-オクタジエナールまたはレモナールは、2つのジアステレオマーテルペノイドの混合物である。2つの化合物は二重結合異性体である。E異性体はゲラニアールまたはシトラールAとして知られている。Z異性体はネラールまたはシトラールBとして知られている。シトラールは抗菌活性を有することが知られている。
【0095】
ペリラアルデヒドとしても知られるペリルアルデヒドは、一年草シソで最も、ならびに多種多様な他の植物および精油でも見られる天然テルペノイドである。
【0096】
テルペノイドの他の例としては、それだけに限らないが、ウコンおよびカラシの種子に見られるクルクミノイド、ならびにオガルカヤ属(Cymbopogon)(レモングラス)に見られるシトロネラール、ならびにオリガヌム・ヴルガレ(Origanum vulgare)(オレガノ)、タイム、コショウソウ、ワイルドベルガモットおよびリピア・グラベオレンス(Lippia graveolens)に見られるカルバクロールが挙げられる。各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0097】
上記実施形態によると、抗微生物活性テルペノイド部分が、以下からなる群から選択される。
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【0098】
またはこれらの任意の組み合わせ;
【化17】
【化18】
【化19】
【0099】
各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0100】
本発明の原理による官能性抗微生物活性第三級アミン基またはそのプロトン化形態の非限定的な例は以下である:
【化20】
【化21】
【0101】
(式中、Rはアルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせである)。
【0102】
本発明の原理による抗微生物活性第四級アンモニウム基の非限定的な例は以下である:
【化22】
【化23】
【0103】
(式中、Rはアルキル、テルペノイド、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;
は何もない、アルキル、テルペノイド部分、シクロアルキル、アリール、複素環、共役アルキル、アルケニル、アルキニルまたはこれらの任意の組み合わせであり;Rが何もない場合、窒素は帯電していない)。
【0104】
本発明の抗微生物活性基は、上記のように、第三級アミンの形態、またはプロトン化された前記第三級アミンの形態、または第四級アンモニウム塩の形態であり得る。アンモニウム基は正に帯電しているので、その電荷はアニオンと釣り合う。好ましくは、本発明による粒子では、このアニオンがハロゲン化物、例えばフッ化物、塩化物、臭化物またはヨウ化物であり、およびフッ化物が最も好ましい。他の可能なアニオンには、それだけに限らないが、重炭酸、硝酸、リン酸、酢酸、フマル酸、コハク酸および硫酸が含まれる。各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0105】
1つの長いアルキル基を含む抗微生物活性基。
【0106】
別の実施形態によると、本発明の抗微生物活性基[-N(R)(R)(R)、-NH(R)(R)、-N(R)(R)-N(R’)(R’)(R’)、-NH(R’)(R’)または-N(R’)(R’)(構造(1)~(3)に定義される)]が、各アミン/アンモニウム基の窒素原子がXまたはXへの少なくとも1つの結合、4~24個の炭素原子を有するアルキル基(Rおよび/またはR’)への少なくとも1つの結合を有する第四級アンモニウム基、第三級アミンまたは第三級アンモニウムである。別の実施形態では、各アミン/アンモニウム基の窒素原子が、コアへの1つの結合、4~24個の炭素原子を有するアルキル基(Rおよび/またはR’)への1つの結合を有する。
【0107】
アンモニウム基は正に帯電しているので、その電荷はアニオンと釣り合うはずである。上記の対イオンのいずれかを使用して、第四級アンモニウム基を釣り合わせることができる。
【0108】
いくつかの実施形態では、各第四級アンモニウムまたは第三級アンモニウム基の窒素原子が、(i)XまたはXへの少なくとも1つの結合、および(ii)4~24個の炭素原子を有するアルキル基への少なくとも1つの結合を有する。
【0109】
いくつかの実施形態では、式(1)~(3)の抗微生物活性基が、(a)各第三級アミン/アンモニウムの窒素原子がXまたはXへの少なくとも1つの結合および4~24個の炭素原子を有するアルキル基への1つの結合を有する、第三級アミン(Rおよび/またはR’は何もない)または第三級アンモニウム(Rおよび/またはR’はHである);(b)各第三級アミン/アンモニウムの窒素原子がXまたはXへの1つの結合、および互いに同じであっても異なっていてもよい4~24個の炭素原子を有するアルキル基への2つの結合を有する第三級アミン(Rおよび/またはR’は何もない)または第三級アンモニウム(Rおよび/またはR’はHである)、または前記第三級アミンの塩;(c)各第四級アンモニウム基の窒素原子がXまたはXへの少なくとも1つの結合および互いに同じであっても異なっていてもよい4~24個の炭素原子を有するアルキル基への1つまたは2つの結合を有する、第四級アンモニウム基から選択される。各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0110】
「第四級アンモニウム基」という用語は、窒素原子とそこに結合した4つの置換基(水素とは異なる)からなる原子群を指す。別の実施形態では、「第四級アンモニウム基」が、窒素原子と各基が炭素原子を通して窒素に結合している4つの基からなる原子群を指す。「長いアルキル基」または鎖という用語は、第四級アンモニウム基の窒素原子上で置換され、4~24個の炭素原子を有するこのようなアルキル基または鎖を指す。いくつかの現在好ましい実施形態では、アルキル基が4~18個の炭素原子を有するアルキル基である。いくつかの現在好ましい実施形態では、アルキル基が4~8個の炭素原子を有するアルキル基である。いくつかの現在好ましい実施形態では、アルキル基が4~10個の炭素原子を有するアルキル基である。他の現在好ましい実施形態では、アルキル基が6、7または8個の炭素原子を有するアルキル基であり、各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0111】
有機ポリマーコア
いくつかの実施形態では、粒子のコアが有機ポリマーコアである。一実施形態では、有機コアが少なくとも1つの脂肪族ポリマーを含む。本発明の範囲内で使用される「脂肪族ポリマー」は、芳香族側基を含む(がこれに限定されない)種々の側基で置換され得る脂肪族モノマーでできたポリマーを指す。本発明による粒子に含まれ得る脂肪族ポリマーは、ポリマー骨格の一部として窒素原子(ならびに他のヘテロ原子)を含む。一実施形態では、粒子のコアが、式1の構造について定義されるR、Rおよび/またはRで置換され得るアミンを含む;あるいはアミンに化学的に修飾され、次いで、式1の構造について定義されるR、Rおよび/またはRで置換されるイミンを含む有機ポリマーコアである。脂肪族ポリマーの非限定的な例は、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリビニルアミン(PVA)、ポリ(アリルアミン)(PAA)、ポリ(アミノエチルアクリレート)、ぶら下がったアルキル-アミノ基を有するポリペプチド、およびキトサンである。各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。1つの現在好ましい実施形態では、ポリマーがポリエチレンイミン(PEI)である。
【0112】
別の実施形態では、有機コアが、以下の群:ポリスチレン、アミノメチル化スチレンポリマー、芳香族ポリエステル、好ましくはポリエチレンテレフタレート、およびポリビニルピリジンから選択される少なくとも1つの芳香族ポリマーを含む。
【0113】
ポリマーコアは、直接(すなわち、式(1)~(3)中:Lは結合である)またはリンカーを介してオリゴマーまたはポリマー抗微生物活性基に結合し得る。各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0114】
一実施形態では、有機ポリマーコアが、2つ以上の異なる有機ポリマーの組み合わせを含む。別の実施形態では、有機ポリマーコアがコポリマーを含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、ポリマー/オリゴマー基が、直接(Lは結合である)またはリンカー(L)を介して有機ポリマーコアに結合している。これらの実施形態では、リンカーが以下から選択され得る:
(a)少なくとも1つのカルボキシル部分で置換されたC1~C18アルキレン。このリンカーは、カルボキシル末端がコアに結合しており、アミノ末端が抗菌活性基[-N(R)(R)(R)、-NH(R)(R)、-N(R)(R)-N(R’)(R’)(R’)、-NH(R’)(R’)または-N(R’)(R’)(構造(1)~(3)に定義される)]に修飾された、少なくとも1つのカルボキシル部分および少なくとも1つのアミノ部分で置換されたアルキレンから誘導され得る。このリンカーは、2~18個の炭素原子の鎖長を有する天然もしくは合成起源のアミノ酸、または前記アミノ酸のハロゲン化アシルから誘導され得る。このようなアミノ酸の非限定的な例は、18-アミノオクタデカン酸および18-アミノステアリン酸である;
(b)C1~C18アルキレン。このリンカーは、ハロゲン部分をコアに結合する官能基に置き換えること、およびハロゲン部分を置き換えて[-N(R)(R)(R)、-NH(R)(R)、-N(R)(R)-N(R’)(R’)(R’)、-NH(R’)(R’)または-N(R’)(R’)(構造(1)~(3)に定義される)]を得ることによって、それぞれ、コアおよび抗微生物活性基で各末端が官能化されたジハロアルキレンから誘導され得る;および
(c)アリーレン。このリンカーは、4,4-ビフェノール、ジ安息香酸、ジ安息香酸ハロゲン化物、ジ安息香酸スルホネート、テレフタル酸、テトラフタル酸ハロゲン化物、およびテレフタル酸スルホネートから誘導され得る。このリンカーは、その官能基(すなわち、ヒドロキシル、カルボキシまたはスルホネート)を通して、それぞれコアおよび抗微生物活性基で官能化される。別の実施形態では、このリンカーが、一端でコアに結合しており、他端で抗微生物活性基[-N(R)(R)(R)、-NH(R)(R)、-N(R)(R)-N(R’)(R’)(R’)、-NH(R’)(R’)または-N(R’)(R’)(構造(1)~(3)に定義される)]に修飾されている。別の実施形態では、リンカーが、アルキル、アルケニル、リン酸アルキル、アルキルシロキサン、カルボキシレート、エポキシ、ハロゲン化アシル、無水物またはこれらの組み合わせなどの官能基を含み、官能基がコアに結合している。各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0116】
種々のポリマー鎖が、それ自体が種々のポリマー特性の蓄積となり得る一定範囲の特性を提供し、予想外の相乗特性を提供さえし得る。このような混合ポリアミン粒子の例としては、ジハロアルカンを介したポリエチレンイミンおよびポリ(4-ビニルピリジン)などの脂肪族および芳香族ポリアミンの架橋;直鎖短鎖ポリエチレンイミンと分岐高分子量ポリエチレンイミンの混合物;架橋ポリビニルピリジン粒子内に埋め込まれたポリエチレンイミンなどのポリアミン足場内のポリアミンの相互貫入組成物、またはポリスチレン粒子などの低密度非アミン足場へのポリアミンの相互貫入が挙げられる。換言すれば、化学的架橋または物理的架橋(相互貫入ネットワーク)によって、粒子を形成する目的でポリアミン組み合わせを使用すると、様々な特性の構造を得ることができる(ある細菌を別の種類の細菌と比較してよく殺傷することができるなど)。このような特性は、本質的に相加的または相乗的であり得る。
【0117】
1つの具体的な実施形態では、有機ポリマーコアが架橋剤で架橋されている。好ましい架橋度は1%~20%であり、約2%~約5%の架橋である場合が好ましい。架橋は、ポリマーのアンフォールディングおよび粒子を形成する種々のポリマー鎖の分離を防止し得る。
【0118】
架橋は、有機合成およびポリマー科学の当業者に知られ得るように、それ自体が当技術分野で知られている種々の薬剤および反応によって及ぼされ得る。例えば、架橋は、ジブロモエタン、ジブロモシクロヘキサン、またはビスブロモメチルベンゼンなどのジハロアルカンでポリマー鎖をアルキル化することによって及ぼされ得る。あるいは、還元的アミノ化による架橋を使用してもよい。この方法では、第一級アミンを含むポリアミンをジケトンまたはアルカンジアルデヒドと反応させてイミン架橋剤を形成し、次いで、これを対応するアミンにさらに水素化する。このアミンをさらに反応させて、抗微生物有効性第四級アンモニウム基を形成することができる。このような方法では、ジハロアルカンまたはジアルデヒドの代わりに、トリもしくはポリハロアルカンまたはポリアルデヒドまたはポリケトンを使用してもよい。
【0119】
本発明による粒子を調製するのに有用な好ましいポリマーは、10%未満の架橋剤を使用して架橋され得る30モノマー単位、好ましくは100モノマー単位でできた鎖を有するものである。ポリマーが長いほど、不溶性粒子を得るために必要な架橋結合が少なくなる。不溶性粒子を形成するのに必要な架橋が少量であるので、分岐ポリマーが架橋に好ましい。
【0120】
いくつかの実施形態では、有機ポリマーコア中のアミン基の少なくとも約10%が、本明細書に記載される抗微生物活性第三級アミン/アンモニウムまたは第四級アンモニウム基またはその塩に誘導体化される。
【0121】
好ましい実施形態では、本発明による粒子が、ホストポリマーまたはそのモノマーと反応することができる官能基を有する。このような官能基は、粒子がホスティングマトリックスに化学的に結合できるように設計される。
【0122】
無機コア
いくつかの実施形態では、本発明の粒子のコアが、1つまたは複数の無機材料を含む無機コアである。無機コアは、有機ポリマーコアに対するいくつかの利点を有する:1)高温での安定性が高い;2)種々の溶媒および試薬に対する化学的安定性が高い;3)機械的強度の改善;4)両親媒性のために、マトリックスの取り扱い品質が良い;および5)低コスト。
【0123】
無機コアの追加の利点は、ポリマーマトリックスへの官能化粒子の挿入に関連している。マトリックス重合がラジカル重合を伴う場合(例えば、アクリレート樹脂)、重合反応を妨害する傾向がある有機ポリマーコアと対照的に、無機コアは重合プロセスを妨害しないので、最終基質の機械的特性を危険にさらさない。
【0124】
一実施形態では、無機コアが、シリカ、金属、金属酸化物またはゼオライトを含む。各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0125】
一実施形態では、本発明の粒子のコアがシリカ(SiO)を含む。シリカは当技術分野で既知の任意の形態であってよく、その非限定的な例としては、多面体オリゴマーシルセスキオキサン(POSS)、非晶質シリカ、高密度シリカ、エアロゲルシリカ、多孔質シリカ、メソポーラスシリカおよびヒュームドシリカが挙げられる。
【0126】
粒子表面上の活性基の表面密度は、抗菌活性に対して比例した影響を及ぼす。これは、有機粒子と無機粒子の両方に同様に当てはまる。別の実施形態では、本発明の粒子のコアが、ケイ酸塩(SiO -4)のガラスまたはセラミックを含む。ケイ酸塩の非限定的な例としては、アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、ケイ酸バリウム、ホウケイ酸バリウムおよびホウケイ酸ストロンチウムが挙げられる。
【0127】
別の実施形態では、本発明の粒子のコアが、銀、金、白金、パラジウム、銅、亜鉛および鉄の群から選択される表面活性化金属を含む。
【0128】
別の実施形態では、本発明の粒子のコアが、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン、二酸化バナジウム、酸化亜鉛、酸化銅および磁鉄鉱の群から選択される金属酸化物を含む。
【0129】
無機コアは、典型的には、低空隙率の固体均一形態、または約1~約30nmの孔径直径を有する多孔質形態を有する。
【0130】
別の実施形態では、本発明の粒子のコアが、天然または人工ゼオライトを含む。
【0131】
一実施形態では、コアが、直接(すなわち、式(1)~(3)中:Lは結合である)またはリンカー(L)を介してポリマー/オリゴマー基に結合し得る。好ましくは、シリカ(SiO)系無機コアは、リンカー(L3)を通してポリマー/オリゴマー基に結合し得るが、ケイ酸塩(SiO -4)のガラスもしくはセラミック、金属または金属酸化物は、直接(すなわち、式(1)~(3)中:Lは結合である)ポリマー/オリゴマー基に結合し得る。
【0132】
いくつかの実施形態では、無機コアが、オリゴマー/ポリマー基に直接(すなわち、式(1)~(3)中:Lは結合である)結合している。他の実施形態では、無機コアが、リンカーを介してオリゴマー/ポリマー基に結合している。いくつかの実施形態では、リンカーが以下の群から選択される:C1~C18アルキレン;少なくとも1つのシランまたはアルコキシシラン部分で置換されたC1~C18アルキレン;少なくとも1つのホスフェート部分で置換されたC1~C18アルキレン;少なくとも1つの無水物部分で置換されたC1~C18アルキレン;少なくとも1つのカルボキシレート部分で置換されたC1~C18アルキレン;および少なくとも1つのグリシジル部分で置換されたC1~C18アルキレン。各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0133】
上記の粒子の無機コアは、一般に、球、不定形多角形、浅いフレーク状、およびロッドから選択される形態であり得る。いくつかの代表的な実施形態では、無機コアが球状であり、約5~約100000nmの直径を有する。いくつかの代表的な実施形態では、無機コアが球状であり、約1000~100000nmの直径を有する。いくつかの代表的な実施形態では、無機コアが球状であり、約1~約100nmの孔径で約100~1000nmの直径を有する。別の実施形態では、無機球状コアが、約1~約50nmの孔径を有する。別の実施形態では、無機球状コアが、約1~約30nmの孔径を有する。別の実施形態では、無機粒子が、約5~約1000nmの直径および約10~約1000000nmの長さを有するロッドの形態である。別の実施形態では、長さが50~100000nmである。別の実施形態では、長さが100~250000nmである。別の実施形態では、長さが200~500000nmであり、孔径が約1~約50nmである。各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0134】
粒子の調製
いくつかの実施形態では、本発明の粒子が、コアの性質、抗微生物活性基/部分、およびリンカーの存在または非存在に応じて、種々の方法に従って調製される。調製方法のいくつかの非限定的な例を以下に提供する。
【0135】
粒子のコアの調製
いくつかの実施形態では、多孔質シリカ材料が、SiClとアルコールまたは水の反応、引き続いて遠心分離を使用した乾燥および/または気流を利用したもしくは真空条件下での加熱によって調製される。高密度ヒュームドシリカ粒子(発熱性)は、SiClの熱分解によって調製される。
【0136】
別の実施形態では、シリカコア材料が、アルコールまたは水溶液の存在下、および塩基性(ストーバー)または酸性触媒条件下で、テトラエチルオルトシリケート(TEOS)またはテトラメチルオルトシリケート(TMS)の加水分解によって調製される。
【0137】
別の実施形態では、メソポーラスシリカ粒子が、低温、好ましくは60℃を超えない温度でTEOSまたはTMSを加水分解し、引き続いて遠心分離により脱水および/または気流もしくは真空条件下で蒸発させることによって調製される。
【0138】
別の実施形態では、高密度粒子が、焼成と呼ばれる方法での強い加熱を利用して調製される。通常、このような方法は約250℃の高温で行われる。
【0139】
コア粒子の官能化
(i)シランリンカーの自己重合を使用した抗微生物粒子の調製方法
一実施形態では、シランリンカーが高濃度(10%以上)で使用され、これが塩基性触媒作用下で最初に自己重合する(図2)。(通常はアミン、NH部分を通した)リンカーの官能化は、以下に記載されるように進行する。
【0140】
抗微生物活性基が少なくとも1つのテルペノイド部分を含む第三級アミンまたは第四級アンモニウム基である、本発明による重合シロキサンリンカーを有する粒子を調製する代表的な方法が図3に表されている。図3によると、本明細書で定義されるコアは、第一級アミンで官能化されている。第一級アミンはアルデヒドと反応して最初に式(A’)のイミン(シッフ塩基)中間体を生成し、次いで、還元的アミノ化条件下で第2のアルデヒドと反応して式(B’)の第三級アミンを生成する。RC(=O)HおよびR’C(=O)Hはそれぞれ、テルペノイドであるまたはテルペノイドから誘導されるアルデヒドを表す。RC(=O)HとR’C(=O)Hは同じであっても互いに異なっていてもよい。第三級アミンの第四級アンモニウム基への変換は任意であり、第三級アミンと基R-Y(式中、RはC~Cアルキルであり、Yはハロゲンまたはスルホネートなどの脱離基である)の反応を伴う。
【0141】
この群
【化24】
【0142】
は、以下の1つまたは複数を表し得ることが理解される:
1.NHに直接結合した有機コア。
【0143】
2.本明細書に記載されるリンカーを介してNHに結合した有機コア。
【0144】
3.NHに直接結合した無機コア。
【0145】
4.本明細書に記載されるリンカーを介してNHに結合した無機コア。
【0146】
5.2つ以上のNHが上記のように結合しており、2つ以上がスキームに提示されるように反応する(図3図4)上記のうちのいずれか1つ。
【0147】
例示される反応は、「ワンポット合成」であってもよく、または第1のステップで形成された中間体の単離を伴う2つの連続した反応を含んでもよい。第1のステップは、アミン官能化コアを、還元剤の存在下でテルペノイド部分、この場合はNaBHの存在下でシンナミルと反応させることによる、イミン(シッフ塩基)である中間体(A’)の形成である。所望であれば、この段階でイミン官能化コアを単離することができる。あるいは、還元剤の存在下で中間体(A’)をテルペノイド部分とさらに反応させると、2つのテルペノイド部分を含む第三級アミン(B’)が得られる。第四級アンモニウムを得るために、図3に記載されるように追加のアルキル化ステップが実施される。
【0148】
この方法は、シンナムアルデヒドについて図4に例示されているが、他のアルデヒドにも適用可能である。
【0149】
抗微生物活性粒子を調製する方法の中間体であるイミン粒子は新規であり、本発明の別の実施形態を表す。よって、いくつかの実施形態では、本発明は、(i)無機コアまたは有機ポリマーコアと、(ii)好ましくは10平方nm当たり少なくとも1つのイミン基の表面密度で、コアに化学的に結合したイミン部分とを含む粒子であって、イミン基はテルペノイド部分を含む粒子を提供する。イミン部分は一般に、図3の式(B’)の構造によって表される。より具体的な実施形態は、図4の式(B)の構造である。本明細書に記載される他のテルペノイド基を含む他のイミン中間体化合物も本発明によって包含されることが当業者によって理解される。
【0150】
一実施形態では、抗微生物活性基が4~18個の炭素原子を有する1つのアルキル基を含む第四級アンモニウム基である、本発明による粒子を調製する代表的な方法が、図5に提示される。この方法は、第四級アンモニウム塩(QAS)官能化粒子を調製する3つの経路を含む。A)最初に第三級アミンを得るための還元的アミノ化の利用、引き続いてアルキル化反応、B)段階的アルキル化反応;およびC)脱離基(例えば、Clまたは他のハロゲン)で官能化されたリンカーを第三級アミンと反応させること。RおよびRはメチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルなどのC~Cアルキルを表す。RおよびRは異なる基であっても同じ基であってもよい。Yは任意の脱離基、例えばCl、BrもしくはI、またはスルホネート(例えばメシル、トシル)を表す。
【0151】
この群
【化25】
【0152】
は、図3および図4について上に記載される意味のいずれか1つを有することが理解される。
【0153】
この群
【化26】
【0154】
は、以下の1つまたは複数を表し得ることが理解される:
1.Yに直接結合した有機コア。
【0155】
2.本明細書に記載されるリンカーを介してYに結合した有機コア。
【0156】
3.Yに直接結合した無機コア。
【0157】
4.本明細書に記載されるリンカーを介してYに結合した無機コア。
【0158】
いくつかの実施形態では、自己重合トリアルコキシシランリンカーのコア官能化が、固体支持体法または溶液法によって実施される(図3図7)。
【0159】
自己重合シランリンカーを使用した抗微生物粒子を調製するための固体支持体法
【0160】
官能化粒子の調製は、2つの一般的なステップで行われる。最初に、脱離基の加水分解を介してリンカー分子を粒子表面上で縮合させて(表面官能化)、式(図6、D’)の中間体を生成する。第2に、リンカー分子の官能性部位が、(図3図5)のいずれか1つに言及されるさらなる官能化(リンカー官能化)を受けて、式(E’)の官能化粒子を生成する。
【0161】
自己重合シランリンカーを使用した抗微生物粒子を調製するための溶液法
【0162】
自己重合シランリンカーを含む抗微生物粒子を調製するための溶液法では、最初にリンカーを抗微生物活性基で官能化して、式(図6、F’)の中間体を生成する。第2のステップでは、中間体(F’)を粒子の固体表面上に沈降させて(表面官能化)、式(図6、E’)の官能化粒子を生成する。
【0163】
この方法は、シンナムアルデヒドについて図7に例示されているが、他のアルデヒドにも適用可能である。
【0164】
この群
【化27】
【0165】
図6図7)は、自己重合した固体支持トリアルコキシシランリンカー分子を表していることが理解される。
【0166】
この群
【化28】
【0167】
図6図7)は、コアに結合していない自己重合したトリアルコキシシランリンカー分子を表していることが理解される。
【0168】
ii)非自己重合シランリンカーを使用した抗微生物粒子を調製するための固体支持体法
いくつかの実施形態では、固体支持体法がいくつかの段階を含む。最初に、脱離基の(酸触媒)加水分解を介してリンカー分子(数パーセントの希釈溶液)を粒子表面上で縮合させると(表面官能化)、結果としてリンカーがコアに結合する(図8、ステップ1)。第2に、結合したリンカーを伸長する。別の実施形態では、この段階が、1つ以上のステップを介して合成的に達成される。別の実施形態では、伸長が、二官能化アルカンおよびジアミノアルカンの連続添加によって達成され、(結合したリンカーおよびジアミノアルカンの)アミンが二官能化アルカンの求電子中心を攻撃する(図8、ステップ2および3)。別の実施形態では、このような連続添加を1~10回繰り返してもよい。最後に、抗微生物活性基(通常はアルキレン鎖に結合している)を、結果として結合および伸長したリンカーにグラフトする。別の実施形態では、結合および伸長したリンカー上のアミンが、グラフトされる抗微生物活性基の分子のハロゲン化アシル部分を攻撃すると、グラフトが達成される(図8、ステップ4)。
【0169】
iii)非自己重合シランリンカーを使用した抗微生物粒子を調製するための溶液法
非自己重合シランリンカーを使用して抗微生物粒子を調製するための溶液法は、いくつかのステップを含む。第1のステップは、リンカー分子の伸長を伴う。別の実施形態では、このステップが、1つ以上のステップを介して合成的に達成される。別の実施形態では、伸長が、二官能化アルカンおよびジアミノアルカンの連続添加によって達成され、(リンカーおよびジアミノアルカンの)アミンが二官能化アルカンの求電子中心を攻撃する(図9、ステップ1および2)。別の実施形態では、このような連続添加を1~10回繰り返してもよい。第2のステップでは、抗微生物活性基(通常はアルキレン鎖に結合している)を、結果として伸長したリンカーにグラフトする。別の実施形態では、伸長したリンカー上のアミンが、グラフトされる抗微生物活性基の分子のハロゲン化アシル部分を攻撃すると、グラフトが達成される(図9、ステップ3)。最後に、伸長した抗微生物活性リンカーを、その官能化を介してコアに結合する。この段階では、脱離基の加水分解を介してリンカー分子を粒子表面上で縮合させると(表面官能化)、結果としてリンカーがコアに結合する(図9、ステップ4)。
【0170】
非自己重合シランを使用した抗菌粒子を調製する方法は、ジメチルエチルアンモニウムで官能化されたシリカについて図10図11にも例示されているが、他のヒドロキシル末端コア、シランおよび抗微生物活性基にも適用可能である。
【0171】
組成物
ホスティングマトリックスまたは原材料に埋め込まれた粒子
別の態様によると、本発明は、上記の複数の粒子を埋め込む液体または固体マトリックスを有する組成物であって、粒子が共有結合または非共有結合相互作用によってマトリックスに埋め込まれる組成物を提供する。
【0172】
マトリックスは、好ましくは、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコーン、エポキシ樹脂、複合材料、およびポリメチルメタクリレートなどのアクリルポリマー、またはこれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるヒドロゲルおよび/または熱可塑性ポリマーを含むポリマーマトリックスである。別の実施形態では、ヒドロゲルがポロキサマーまたはアルギン酸塩である。別の実施形態では、市販のポロキサマーが使用される、またはこれがポリマーと他の試薬との間の反応によって形成される。別の実施形態では、ポリマーが、反応性末端基(PEG-ジグリシジルエーテル中のエポキシドなど)を有するポリ(エチレングリコール)(PEG)であり、試薬が、複数の反応部位(例えば、ジエチレントリアミン)を有する。
【0173】
ホストとして役立ち得る他の種類の物質には、セラミック、ポリマー材料と無機固体の複合材料、植物粉末および固体物品に圧縮された粒子、ならびに有機および無機接着剤がある。他の物質が、金属コーティングおよび他の固体、半固体またはゲル状材料から選択されてもよい。
【0174】
別の実施形態では、組成物が、クリーム、軟膏、ペースト、ドレッシングおよびゲルからなる群から選択される形態である。
【0175】
本発明で使用される別のポリマーマトリックスは、歯科用、外科用、外科用(chirurgical)または整形外科用の複合材料に使用される樹脂である。このような用途では、抗菌粒子を最初に樹脂部品内に分散させる、またはフィラーもしくは他の固体成分(もしあれば)と同時に添加する。他の実施形態では、樹脂が、インビボで重合を受けるアクリルまたはエポキシ型モノマーである。
【0176】
いくつかの実施形態では、官能化粒子をポリマーマトリックスに埋め込むことが、種々の方法論によって達成され得る。例えば、官能化微粒子をポリプロピレンホストマトリックスに埋め込むことは、2つの方法論によってなされた:A)押出技術:粒子を溶融ポリマーに、好ましくは二軸押出機で添加する。B)ポリプロピレンを、還流条件下、キシレン、トルエンまたはその誘導体中で加熱して、ポリマーの完全な溶解を達成する。次いで、抗菌粒子をポリマーに使用されるのと同じ溶媒に分散させ、混合物を、オーバーヘッドスターラーまたはホモジナイザーを使用して溶解したポリマーに添加する。ポリマー内に粒子が完全に分散した後、従来の蒸留または蒸発法を使用して溶媒を蒸発させる。
【0177】
よって、いくつかの実施形態によると、本発明は、粒子がマトリックスまたは原材料に埋め込まれる、上記のマトリックスまたは原材料に複数の粒子を埋め込むことを含む組成物を調製する方法であって、上記の粒子を、押出を利用して溶融ポリマーマトリックスに、または溶媒中のポリマー溶液に添加するステップを含む方法を提供する。
【0178】
いくつかの実施形態では、粒子が、例えば医療機器(例えば、ステントおよびカテーテル)の製造中に原材料に添加される。よって、医療機器は抗微生物活性を有する。
【0179】
抗菌粒子の埋め込みは、主に機械的な力によるものである。これらの粒子は、複雑なネットワーク外への移動を防ぐ三次元マトリックス内のポリマー鎖間に「ロック」される。これらの粒子の強い疎水性も、歯科、整形外科、または他の医学および歯科用途の場合などに、粒子が親水性周囲に移動するのを防ぐ役割を果たす。
【0180】
いくつかの実施形態では、本発明による粒子が、1平方マイクロメートル当たり約0.1~約100個の粒子の表面濃度で、マトリックスの外表面上に均一に分布している。別の実施形態では、本発明による粒子が、1平方マイクロメートル当たり約1~約100個の粒子の表面濃度で、マトリックスの外表面上に均一に分布している。「均一な分布」という用語は、1平方μm当たりの粒子数の標準偏差が、1平方マイクロメートル当たりの粒子の平均数以下であることを特徴とする分布を示すために使用される。再現性および製品仕様のために、均一な分布が好ましい。分布が均一でない場合、製品は異なる領域で異なる特性を示す場合がある。外表面から離れた粒子の分布、すなわち、それらのバルク濃度は、外表面上の分布と同様であり得る。原則として、粒子の全表面は、好ましくは、マトリックスの表面の最大で約20%、好ましくはマトリックスの表面の1%~15%、より好ましくは1%~5%、最も好ましくは約1%~3%を占める。
【0181】
いくつかの実施形態によると、平均して、マトリックスの外表面のあらゆる平方マイクロメートルが、本発明の少なくとも1つの粒子を有する。
【0182】
ポリマー粒子は、マトリックス内に物理的に捕捉されても、化学的に結合されても、またはその両方であってもよい。粒子がホストに化学的に結合される場合、粒子は、ホストマトリックス(例えば、ホストポリマー、またはそのモノマーと反応することができる官能基を有する。よって、いくつかの実施形態では、本発明の粒子が、ホストポリマーまたはマトリックスと反応することができる官能基を有する。このような官能基は、粒子がホスティングマトリックスに化学的に結合できるように設計される。
【0183】
本発明のポリマー粒子はまた、抗微生物活性ではない第三級アミン、第三級アンモニウムまたは第四級アンモニウム基を含んでもよい。しかしながら、抗微生物活性基が多いほど、ポリマーがより好ましく、本発明による有機コアを含む粒子は、10平方nm当たり少なくとも1つの抗微生物活性基を有することを特徴とする。
【0184】
組成物-その使用
一実施形態では、本発明は、本発明の粒子が埋め込まれた熱可塑性ポリマーおよび/またはヒドロゲルを含む包装組成物に関する。別の実施形態では、熱可塑性ポリマーが、本発明の2つ以上の異なる粒子の混合物が埋め込まれている。別の実施形態では、包装組成物が、食品、飲料、医薬品成分、医療機器、手術前の外科用器具、手術前器具、化粧品、および滅菌器具/材料の包装に使用される。
【0185】
一実施形態では、包装組成物が、本発明の粒子が埋め込まれた熱可塑性ポリマーおよび/またはヒドロゲルを含む。別の実施形態では、熱可塑性ポリマーが、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコーン、エポキシ樹脂またはアクリルポリマーである。別の実施形態では、熱可塑性ポリマーがポリメチルメタクリレートまたはポリウレタンである。
【0186】
別の実施形態では、包装組成物が、結合剤、コーティング、潤滑剤および崩壊剤をさらに含む。別の実施形態では、結合剤の非限定的な例として、糖類、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(PVP)およびポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。別の実施形態では、コーティングの非限定的な例として、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、多糖類およびゼラチンが挙げられる。別の実施形態では、潤滑剤の非限定的な例として、タルク、ステアリン、シリカおよびステアリン酸マグネシウムが挙げられる。別の実施形態では、崩壊剤の非限定的な例として、架橋ポリビニルピロリドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロースナトリウム)および加工デンプンデンプングリコール酸ナトリウムが挙げられる。
【0187】
一実施形態では、包装組成物が、医薬成分を包装するために使用される。別の実施形態では、医薬成分の非限定的な例として、鎮痛剤、抗生物質、抗凝固剤、抗鬱薬、抗がん剤、抗てんかん薬、統合失調症治療薬、抗ウイルス剤、鎮静剤および抗糖尿病薬が挙げられる。別の実施形態では、鎮痛剤の非限定的な例として、パラセタモール、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、モルヒネおよびオキシコドンが挙げられる。別の実施形態では、抗生物質の非限定的な例として、ペニシリン、セファロスポリン、シプロフロキサシンおよびエリスロマイシンが挙げられる。別の実施形態では、抗凝固剤の非限定的な例として、ワルファリン、ダビガトラン、アピキサバンおよびリバロキサバンが挙げられる。別の実施形態では、抗鬱薬の非限定的な例として、セルトラリン、フルオキセチン、シタロプラムおよびパロキセチンが挙げられる。別の実施形態では、抗がん剤の非限定的な例として、カペシタビン、マイトマイシン、エトポシドおよびペンブロリズマブが挙げられる。別の実施形態では、抗てんかん薬の非限定的な例として、アセタゾラミド、クロバザム、エトスクシミドおよびラコサミドが挙げられる。別の実施形態では、統合失調症治療薬の非限定的な例として、リスペリドン、ジプラシドン、パリペリドンおよびルラシドンが挙げられる。別の実施形態では、抗ウイルス剤の非限定的な例として、アマンタジン、リマンタジン、オセルタミビルおよびザナミビルが挙げられる。別の実施形態では、鎮静剤の非限定的な例として、アルプラゾラム、クロラゼペート、ジアゼパムおよびエスタゾラムが挙げられる。別の実施形態では、抗糖尿病薬の非限定的な例として、グリメピリド、グリクラジド、グリブリドおよびグリピジドが挙げられる。
【0188】
一実施形態では、包装組成物が、食品成分の包装に使用される。別の実施形態では、本発明の包装材料で包装される食品成分の非限定的な例として、生鮮食品、防腐剤、甘味料、着色添加物、香味料および香辛料、栄養素、乳化剤、結合剤および増粘剤が挙げられる。別の実施形態では、生鮮食品の非限定的な例として、肉、家禽、魚、乳製品、果物および野菜が挙げられる。別の実施形態では、防腐剤の非限定的な例として、アスコルビン酸、クエン酸、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸カルシウム、およびエリソルビン酸ナトリウムおよび亜硝酸ナトリウムが挙げられる。別の実施形態では、甘味料の非限定的な例として、スクロース(糖)、グルコース、フルクトース、ソルビトール、マンニトールおよびコーンシロップが挙げられる。別の実施形態では、着色添加物の非限定的な例として、オレンジB、シトラスレッド2号、アナトー抽出物、ベータカロテン、ブドウ皮抽出物、コチニール抽出物またはカルミンおよびパプリカオレオレジンが挙げられる。別の実施形態では、香味料および香辛料の非限定的な例として、グルタミン酸ナトリウム、グリシンスラット(glycine slats)、イノシン酸、酢酸イソアミル、およびリモネン、およびヘキサン酸アリルが挙げられる。別の実施形態では、栄養素の非限定的な例として、チアミン塩酸塩、リボフラビン(ビタミンB)、ナイアシン、ナイアシンアミド、葉酸塩または葉酸が挙げられる。別の実施形態では、乳化剤の非限定的な例として、大豆レシチン、モノおよびジグリセリド、卵黄、ポリソルベート、ならびにモノステアリン酸ソルビタンが挙げられる。別の実施形態では、結合剤および増粘剤の非限定的な例として、ゼラチン、ペクチン、グアーガム、カラギーナン、キサンタンガムおよび乳清が挙げられる。
【0189】
一実施形態では、本発明は、本発明の抗微生物粒子と、医薬成分、賦形剤、およびこのような抗微生物粒子を埋め込む液体または固体マトリックスの少なくとも1つとを含む医薬組成物に関する。別の実施形態では、組成物が、クリーム、軟膏、ペースト、ドレッシングおよびゲルからなる群から選択される形態であり、より好ましくは、組成物が局所施用または投与用に製剤化される。
【0190】
一実施形態では、抗微生物粒子を含む本発明の組成物が、バイオフィルムの成長を防止する、または内部のバイオフィルムもしくは細菌を処理、分解および/または殺傷する船舶用塗料、浴室用塗料、病院およびクリーンルーム用塗料;水濾過媒体などに使用される。各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0191】
医療機器
したがって、本発明による組成物は、細菌の汚染除去または増殖防止が必要とされる広範囲の用途で有用性を見出すことができる。いくつかの実施形態では、本発明は、以下の非限定的な群から選択される上記の組成物または医薬組成物を含む医療機器を提供する:組織の医学的人工置換、例えば骨、骨セメントおよび関節(整形外科)、外科用メッシュ、乳房インプラント、レンズ(眼科)、血管およびステント、人工心臓弁(心臓学)、人工皮膚、インプラント(形成外科)、子宮内器具(婦人科)、神経外科シャント、カテーテル、ステント、皮下インプラント用尿道ステントコーティング:インスリンポンプ、避妊用具、ペースメーカー、静脈内注入に使用されるチューブおよびカニューレ、透析に使用されるチューブおよびカニューレ、外科的ドレナージチューブ、尿道カテーテル、気管内チューブ、創傷被覆材(ドレッシングおよび絆創膏)および治療(例えば、バイオフィルムおよび細菌を減少させて創傷治癒を助ける創傷ケア用のゲル、軟膏、ペーストおよびクリーム)材料、縫合糸、血管および尿路系に一時的または恒久的に挿入されるあらゆる種類のカテーテル、脳用途に使用するためのシャント、手術用手袋、耳の検査用チップ、スタトスコープの端および医療関係者が使用するその他の要素;練り歯磨き、歯ブラシ、つまようじ、デンタルフロス、および歯間ブラシ、および舌ブラシ、ローション、手指消毒剤、皮膚科または化粧品産業で使用される軟膏およびクリーム、医療および研究室用のプラスチックウェア。
【0192】
いくつかの実施形態では、粒子またはそれを含む組成物が、歯科および整形外科用樹脂ベースセメント、シーラー、複合材料、接着剤、およびセメント;歯科および整形外科用金属製インプラントおよびワイヤー;外科縫合;カテーテル、金属製手術器具、非外科医療機器に使用される。各可能性が本発明の別個の実施形態を表す。
【0193】
一実施形態では、本発明は、それだけに限らないが、結腸鏡、胃内視鏡、十二指腸内視鏡、気管支鏡、膀胱鏡、ENTスコープ、腹腔鏡、喉頭鏡、および患者の体の任意の部分を含む患者の体の内側を検査または治療するための同様の器具および付属品を含む内視鏡(剛性および可撓性)、ならびに体組織または体液と接触する処置に使用される他の装置;それを通して流体、空気またはガスが患者に送り込まれるまたは吸い出され、患者によって汚染され得るまたは他の患者からの汚染物質を運び得るチューブ、ポンプ、容器およびコネクタ(体の内側または外側で使用される);このような機器の再処理、洗浄、輸送および保管に使用され、ホスト生物学的汚染物質を伝達し得るブラシ、トレイ、カバー、チューブ、コネクタキャビネットおよびバッグなどのアイテムを含む医療機器をさらに提供する。
【0194】
歯科
本発明の組成物の1つの好ましい使用は、歯科におけるものである:歯科用接着剤、歯科修復材料、例えば虫歯空洞を充填するためのあらゆる種類のコンポジット系材料、根管治療で根管空間を充填するための歯内充填材料(セメントおよびフィラー)、暫定的および最終的な歯の修復または歯の置換に使用される材料(それだけに限らないが、インレー、アンレー、クラウン、部分床義歯(固定または取り外し可能)歯科インプラントを含む)、ならびに種々の既知の目的で歯科で使用される永久および一時セメント、歯科および整形外科用樹脂ベースセメント、シーラー、複合材料、接着剤およびセメント、歯科修復コンポジット、骨セメント、練り歯磨き。
【0195】
一実施形態では、本発明は、歯科用器具を含む医療機器をさらに提供する。一実施形態では、本発明は、歯科矯正用器具を含む医療機器をさらに提供する。歯科用器具および歯科矯正用器具は、本発明の粒子およびコンポジットを含む。いくつかの実施形態では、歯科矯正用器具が、歯の整列を加速するためのアライナー、ブラケット、歯科用アタッチメント、ブラケット補助具、リガチャータイ、ピン、ブラケットスロットキャップ、ワイヤー、ネジ、マイクロステープル、ブラケットおよびアタッチメントおよびその他の歯科矯正器具用のセメント、義歯、部分義歯、歯科インプラント、歯周探針、歯周チップ、フィルム、または歯の間のスペースを含む。いくつかの実施形態では、歯科用器具が、歯研削(ブラキサー(bruxer)、歯ぎしり)を防止するために使用されるマウスガード、ナイトガード、睡眠時無呼吸の治療/予防に使用される口腔装置、スポーツ活動で使用されるティースガードを含む。
【0196】
一実施形態では、本発明の組成物が、本発明の粒子を含む、歯の表面、歯の修復物またはクラウンに適用されるワニスまたはグレーズである。別の実施形態では、ワニスまたはグレーズが、歯の表面、歯の修復物またはクラウンに保護コーティング、ラッカー;表面上光沢のある外観を提供する。別の実施形態では、ワニスが、局所用フッ化物療法の一種として、歯の表面に適用されるフッ化物の高濃度形態であるフッ化物ワニスである。別の実施形態では、グレージングの目的が、焼成磁器の表面の開いた孔を密閉することである。歯科用グレーズは、光沢のある表面を生成するために、焼成クラウン表面に適用される無色のガラス粉末で構成される。素焼きのまたはトリミングされた磁器も、接触する軟部組織の炎症を引き起こす可能性がある。
【0197】
1つの特定の実施形態では、本発明の組成物が、口腔への投与を意図している。組成物は練り歯磨きとして配合されてもよい、および/または以下からなる群から選択される表面もしくは医療機器に適用されてもよい:義歯クリーナー、衛生的処置後のドレッシングまたはゲル、粘膜接着剤ペースト、歯科用接着剤、歯、虫歯空洞を充填するための歯科修復コンポジット系材料、根管治療で根管空間を充填するための歯科修復歯内充填材料、暫定的および最終的な歯の修復または歯置換に使用される歯科修復材料、歯科インレー、歯科アンレー、クラウン、部分床義歯、完全床義歯、歯科インプラント、および歯科インプラントアバットメント。
【0198】
抗微生物特性は、患者から患者へ、または患者から検査員への相互汚染から患者および医療スタッフを保護することができる。手術室に入る医薬品およびアイテムのための自己滅菌包装も有益である。医療分野以外の用途としては、例えば衣類(例えば、スポーツまたは屋外活動用;細菌によって誘発される汗臭を防ぐため)、細菌が集まる傾向のあるアスリートシューズまたは靴の内側、歯ブラシおよびヒトの体と接触するいずれかのブラシ、ペットケージ、ならびにその他の獣医用品等があるだろう。
【0199】
一実施形態では、本発明は、ステントまたはカテーテル、特にポリマー材料でできたステントなどの医療機器を調製するための本発明の粒子を含む原材料であって、粒子が共有結合または非共有結合相互作用によって原材料に埋め込まれる原材料を提供する。
【0200】
細菌の抑制方法
本発明の別の態様によると、細菌を本発明の粒子、または本発明の(1または複数の)粒子を含む組成物と接触させることによって、細菌を抑制する方法が提供される。「抑制」という用語は、細菌の少なくとも99%、好ましくは細菌の99.9%、最も好ましくは99.99%の破壊、すなわち消滅;細菌の増殖速度の低下;細菌の集団のサイズの減少;細菌の増殖の防止;細菌に回復不能な損傷を引き起こすこと;このような細菌のバイオフィルムの破壊;既存のバイオフィルムの一部または全体に、短期的または長期的に損傷を誘導すること;このようなバイオフィルムの形成を防止すること;バイオフィルム管理の誘導;あるいはこのような集団またはバイオフィルムに影響を及ぼし、それに即時または長期の損傷(部分的または完全な)を与え得る他の種類の結果をもたらすことを示すために使用される。
【0201】
「バイオフィルム」という用語は、固体表面に付着した生物種(細菌)の集団を指す。
【0202】
「抗微生物」および「抗菌」という用語は、本明細書で互換的に使用される。本発明の第四級アンモニウムおよび第三級アミン基[-N(R)(R)(R)、-NH(R)(R)、-N(R)(R)-N(R’)(R’)(R’)、-NH(R’)(R’)または-N(R’)(R’)(構造(1)~(3)に定義される)]は、抗微生物活性を提供する。第四級アンモニウムの活性は、どのpHでも強いままである。第三級アミンは高いpKa値を有するため、ほとんど全てのpHレベル(最大10であるがそれより高くはない)で活性である。皮膚もしくは粘膜と接触して使用される場合、または医薬組成物として使用される場合、第三級アミンならびに第三級アンモニウム官能基は、軟部組織の刺激などの望ましくない副作用を引き起こす可能性が低い。
【0203】
好ましい実施形態では、抑制が、細菌を、最大5%w/w、より好ましくは最大1%の本発明による粒子、またはそれらを含む組成物を含有するマトリックスと接触させることによって達成される。
【0204】
一実施形態では、本発明は、バイオフィルム形成または成長を抑制または防止する方法であって、抗微生物粒子、粒子の組み合わせ、またはそれを含む組成物を、感受性または感染した表面または医療機器に適用するステップを含む方法を提供する。
【0205】
別の実施形態では、本発明は、バイオフィルム形成または成長を抑制または防止するのに使用するための本発明の医療機器を提供する。
【0206】
一実施形態では、本発明は、細菌増殖を抑制する方法であって、細菌を本発明の抗微生物粒子または粒子の組み合わせ、またはこのような粒子を含む組成物と接触させるステップを含む方法を提供する。
【0207】
一実施形態では、本発明は、内部のバイオフィルムまたは細菌を処理、分解または殺傷する方法であって、本発明の抗微生物粒子、または粒子の組み合わせ、またはこのような粒子を含む組成物を、感受性または感染した表面または医療機器に適用するステップを含む方法を提供する。
【0208】
いくつかの実施形態では、本発明の抗菌組成物が、接触した細菌の少なくとも約99%、好ましくは接触した細菌の少なくとも約99.99%の消滅を及ぼす。
【0209】
さらに驚くべきことに、本発明の粒子が、浸出することなく、ホスティングマトリックスの特性を変化させることなく、長期にわたって高い抗微生物特性を維持することが発見された。
【0210】
本発明の粒子は、所与の粒子の表面上に密集した抗菌基の存在に起因する抗菌活性増強を示す。
【0211】
以下の非限定的な実施例は、本発明の一定の実施形態をさらに十分に説明するために提示される。しかしながら、これらは決して本発明の広い範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に開示される原理の多くの変形および修正を容易に考案することができる。
【0212】
[実施例]
[実施例1]
非晶質SiO(シリカ)のコア粒子の調製
二酸化ケイ素コア粒子を、アルカリ条件下でのテトラアルコキシシリケートの加水分解によって調製した。9重量部のエタノール、0.4部の脱イオン水および0.1部のアンモニアを混合し、pHを10~14の範囲内に維持することによって、反応溶液を調製した。粒径および反応速度の制御を、反応溶液中の水およびアンモニアの濃度を調整することによって達成する。0.5部のテトラエチルオルトシリケート(TEOS)を、1000RPMで1時間撹拌しながら、溶液に一度に添加した。反応混合物は最初不透明になり、引き続いて白色固体沈殿が生じて、反応の終点を示し、一次粒子の凝集体が形成した。粒子を遠心濾過によって回収し、20部の脱イオン水ですすぎ、凍結乾燥または加熱を使用して乾燥した。「ピラニア溶液」として一般的に知られている硫酸/過酸化水素溶液で粒子を短時間すすぐことによって、さらなる表面活性化を行ってもよい。この最後のステップが、粒子の表面のほとんどをヒドロキシル形態に変換し、効率的な表面官能化を促進する。
【0213】
[実施例2]
シリカ粒子の形態学的特性評価
窒素吸着法を使用して、Barrett-Joyner_Halenda(BJH)モデルを利用することにより、多孔質二酸化ケイ素粒子の形態を決定した。非官能化メソポーラス二酸化ケイ素粒子をMilli-Q水ですすぎ、乾燥させ、次いで、脱気した。BJHモデルを適用することにより、吸着/脱着等温線から孔径を得た。動的光散乱法を使用して平均粒径を測定した。したがって、前記粒子は直径186nmであり、5.0nmの孔径を有する。
【0214】
[実施例3]
磁鉄鉱コア粒子の調製
磁鉄鉱(Fe)粒子を、NHOH(pH約12)を利用した塩基性条件で、水溶液中のFeCl(1mol当量)およびFeCl(0.5mol当量)からのFe2+およびFe3+イオンの共沈によって調製した。沈殿後、粒子を一定の磁場の下で回収した。官能化の前に、粒子をMili-Q水ですすぎ、引き続いて真空乾燥した。得られた磁鉄鉱粒子の表面活性化を、粒子を硝酸または硫酸および過酸化水素溶液で短時間すすぐことによって行った。最後のステップで、粒子の表面のほとんどがヒドロキシル形態に変換され、コアのさらなる官能化が可能になった。
【0215】
[実施例4]
無機コア粒子の表面官能化
固体支持体法
固体支持体法では、いくつかのステップを使用した。最初に、メトキシ基の加水分解を介してリンカー3-アミノプロピルトリメトキシシランを粒子表面上で縮合させると(表面官能化)、結果としてリンカーがシリカコアに結合した(図10、ステップ1)。第2に、1,2-ジクロロエタンおよび1,2-ジアミノエタンの連続添加によって、結合したリンカーを伸長した(図10、ステップ2および3)。場合によっては、抗微生物基の所望の数に応じて、このような連続添加を数回繰り返した。最後に、抗微生物活性基を、臭化アシル部分を介して、結果として結合および伸長したリンカーにグラフトした(図10、ステップ4)。
【0216】
溶液法
溶液法では、いくつかのステップを使用した。最初のステップで、1,2-ジクロロエタンおよび1,2-ジアミノエタンの連続添加によって、リンカー分子を伸長した(図11、ステップ1および2)。場合によっては、抗微生物基の所望の数に応じて、このような連続添加を数回繰り返した。第2のステップで、抗微生物活性基を、臭化アシル部分を介して、結果として結合および伸長したリンカーにグラフトした(図11、ステップ3)。最後に、伸長した抗微生物活性リンカーを、その官能化を介してシリカコアに結合した。このステップでは、メトキシ基の加水分解を介してリンカー分子を粒子表面上で縮合させると(表面官能化)、結果としてリンカーがコアに結合した(図11、ステップ4)。
【0217】
シリカ粒子の官能化を2段階で実施した。最初に、第一級アミン官能化シリカ粒子を調製した。第一級アミンを、還元的アミノ化によって官能化して、テルペノイド基を含む第三級アミン、あるいは1つの8炭素の伸長アルキル鎖を含む第四級アンモニウム基を生成した。
【0218】
シリカ粒子を、図2Cに提示されるモードAまたはモードBに従って官能化した。官能化シリカ粒子の好ましい表面密度は、図2C(モードB)によると、1平方nm当たり2~100の活性基の範囲にある。
【0219】
無機コア(例えば、SiO、Fe)の前処理は、溶媒または他のリガンドなどの残留有機材料のいずれかを除去するために不可欠であり、表面を、官能化(シラン化)を受ける準備ができた活性ヒドロキシル基に変換する。前処理は、周囲条件または高温で少なくとも5分間、好ましくは60℃で少なくとも30分間、粒子を過酸化水素の硫酸中20~40%溶液あるいは20~40%の硫酸中NH溶液ですすぐことを含んでいた。
【0220】
シラン基の重合(図2C、モードB)と単純なシラン化(図2C、モードA)を、乾燥粒子を無水トルエンに浸漬する(粒子1~10g;トルエン50ml)ことによって行った。触媒酸(好ましくは酢酸または塩酸)の存在下、粒子1g当たり少なくとも10mmolの比で過剰のシランカップリング剤(例えば、APTES)を添加した。カップリング/重合を60℃で1時間行い、次いで、120℃に加熱し、還流下で少なくとも3時間撹拌した。反応中のシランカップリング剤の濃度、酸、温度、および時間によって、官能化のモード(モードAとモードB)および表面密度の全体的な程度が決まる。
【0221】
[実施例5]
官能化シリカ粒子を含むマトリックスの抗微生物活性
抗微生物試験条件-直接接触試験
8ウェルのセットで各試験材料試料に10μlの細菌懸濁液を適用することによって、細菌と試験材料との間の直接接触を達成した。プレートを垂直位置で、37℃で1時間インキュベートした。このインキュベーション期間中に、懸濁液の液体が蒸発し、細菌の薄層が得られ、細菌と試験材料との間の直接接触が保証された。次いで、プレートを水平に置き、材料を含有する各ウェルに220μlのブレインハートインフュージョンブロスを添加した。全ての試験を、黄色ブドウ球菌(Stapilococcus aureus)(S.aureus)およびフェカリス菌(Enterococcus faecalis)(E.faecalis)をグラハム陽性菌の代表として、また緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(P.aeruginosa)をグラハム陰性菌の代表として使用して行った。
【0222】
温度制御されたマイクロプレート分光光度計(VERSAmax、Molecular Devices Corporation、Menlo Oaks Corporate CentreおよびMenlo Park、CA、米国)を使用して、細菌増殖の反応速度測定を行った。マイクロタイタープレートを37℃の分光光度計に入れ、全ての読み取り前に5秒間ボルテックスした。細菌増殖を、24時間、20分毎に650nmで、各ウェルのOD変化によって推定した。
【0223】
試料調製
ポリプロピレンと抗微生物粒子の熱成形によって、ポリプロピレンマトリックス内の粒子の調製を達成した。
【0224】
ポリメチルメタクリレートマトリックス中の粒子の調製を、歯科用重合性メチルメタクリレート(Unifast Trad、GC America inc)に粒子を数%wt/wtの濃度で埋め込むことによって達成した。次いで、製造業者の指示に従って、メチルメタクリレートをシリコーンるつぼ中でそれぞれ数g/mlの液体/粉末比で混合し、次いで、37℃で24時間マイクロタイターウェルの側壁で重合させた後、微生物試験をした。
【0225】
[実施例6]
コアへの抗菌活性基の負荷度の決定。
【0226】
図12は、コアへの抗微生物基の負荷濃度を決定する様々な方法のスキームを提示している。
【0227】
方法1-粒子の表面へのアミン負荷の程度。
【0228】
一例では、直径180nmのオリゴマーまたはポリマー抗微生物活性基1つ当たり1つの抗微生物活性基を含む乾燥アミン官能化シリカ粒子の粉末1.0gを無水トルエン20mlに浸漬した。次いで、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)クロリド0.1g(1.9mmol)を添加した。混合物を60℃で連続撹拌しながら12時間反応させた。得られた粒子を濾過し、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)5mlで3回すすぎ、次いで、ジエチルエーテル5mlで3回すすぎ、次いで、真空中で乾燥させた。Fmocの剥離を、Fmoc標識粒子0.01gを、ピペリジンのNMP中20体積%溶液2mlに浸漬することによって行い、30分間振盪し、引き続いて溶媒を濾過した。この手順をもう一度繰り返して、両溶液を合わせた(合計4mlの溶液に)。溶液中のFmocの濃度を、301nmの分光光度計の吸光度を使用して決定し、ベールの法則A=EbC(式中、Aは吸光度であり、Eはモル吸収定数(6300cm-1-1)であり、bは経路長(1cm)であり、Cはモル濃度である)に従って計算した。分光測定読み取り前に、溶液をNMPに1
【0229】
結果:A=1.1、したがってC=100×(1.7×10-4)M=0.017M。したがって、N(モル)=0.017M×0.004L=6.98X10-5モル。したがって、総負荷は6.98×10-5mol/0.01g=0.007モル/grである。粒子の完全な球幾何学を仮定すると、単一粒子のシェル表面積は102000nmであり、粒子平均体積は3050000nmである。アルキメデス法を使用して計算される粒子密度は2.5g/(1×1021nm)であり、単一粒子の質量は7.6×10-16gとなる。したがって、官能基の負荷は、((7.6×10-16g)×(0.007モル/g))/102000nm=5.2×10-23モル/nmであり、これは1nm当たりおよそ31アミン/アンモニウムである。
【0230】
方法2-2つのシンナミル基で置換された官能性第三級アミンの程度。ジシンナミルアミンで官能化された186nmシリカ粒子0.001gを無水エタノール100mlに浸漬した。分光光度法読み取りは、327nmの波長で行った。E(シンナムアルデヒド)=25118cm-1-1。全ての計算は、方法1に記載されるように実施した。
【0231】
結果:A=1.5、したがって、総第三級アミン数は6.0×10-6モルであり、これは3.0×10-3モル/gである。
【0232】
したがって、官能基負荷は1nm当たりおよそ13アミン/アンモニウムである。
【0233】
2つの方法を用いた同様の計算を、オリゴマーまたはポリマー抗微生物活性基1つ当たり2つ以上の抗微生物活性基を含む粒子についても達成した。結果として得られる、1平方nm当たりの抗微生物基の計算数の例を表1に提示する。
【0234】
両方法は、あらゆる種類の無機および有機コア粒子に適用可能であるが、有機粒子(ポリマー粒子)の場合、Fmoc官能化を架橋ステップの後に実施する。
【0235】
【表1】
【0236】
上記の表に示されるように、本発明のポリメチルメタクリレート修飾粒子は、無機コアと有機コアの両方に対して抗菌活性を示した。より高密度の官能基が粒子表面に詰め込まれるほど、有機コアと無機コアの両方について、および第四級アンモニウム塩と第三級アミン(テルペノイド)の両方について、両試験生物に対する抗菌活性が強くなる。このようなより高密度の詰め込みは、オリゴマーまたはポリマー抗微生物活性基1つ当たりの抗微生物活性基の数が増加するにつれて見られる;例えば、各無機コアの最初の(上部)項目は、オリゴマーまたはポリマー抗微生物活性基1つ当たりわずか1つの抗微生物活性基の比を有するが、無機コアの他の項目はより高い比を含み、これらの最初の項目が最も低い抗菌活性を示した。
【0237】
[実施例10]
本発明のシリカ系粒子の活性。
【0238】
4種類のSiO系粒子を2重量%の濃度で軟質パラフィンに添加し、セラミック製の乳棒およびるつぼを使用して、均一なペーストが形成されるまで分散させた。試料を実施例4に従って調製し、2つのシンナミル置換基を有する第三級アミン官能基を有する粒子については2%二酸化ケイ素-ジ-シンナミルアミン、第四級窒素に結合した1つのオクチルおよび2つのメチルを有する粒子については2%二酸化ケイ素-第四級アンモニウム、第四級アンモニウムポリエチレンイミンについては2%QPEI、窒素上に2つのメチレンの第三級アミンを含む試料については2%二酸化ケイ素ジメチルアミノ、およびパラフィン単独群の対照については「フェカリス菌(E.faecalis)」としてマークした。パラフィン試料のそれぞれで処理したガーゼパッドについて、直接接触試験(DCT)を実施した。結果(図13)は、ジメチルアミノ変形を除く全ての試験試料について、細菌増殖の強い抑制を示した。特に、遊離テルペノイドの既知の抗微生物活性とは異なり、その固定化のために、第三級アミン官能基上でのテルペノイド置換基の活性は驚くべきものである。
【0239】
[実施例11]
このシリカ系粒子を含む抗菌練り歯磨き
抗菌練り歯磨きの組成:グリセロール、水、ソルビトール、ラウリルサルコシンナトリウム、水和シリカ、二酸化チタンおよび抗菌粒子。抗菌粒子は、市販の練り歯磨きで一般的に使用されるSiO粒子を含み、粒子のいくらかは抗菌基を共有結合することによって修飾されている。抗菌基は、2つのシンナミル基を有する、または2つのシトラール基を有する第三級アミンを有する第四級アンモニウムおよび第三級アミンであり得る。5重量%の2つのシンナミル基を有する第三級アミンを有する抗菌SiO粒子を含有する練り歯磨きの結果を以下に示す。
【0240】
表面保持実験:A:市販の練り歯磨き(対照);B:抗菌粒子を含まない上に提示される練り歯磨き組成物(対照)およびC:スライドガラス上に抗菌粒子が保持される提案される練り歯磨きの3つの練り歯磨き組成物による1分間の歯磨き手順のシミュレーションによって調べたガラス表面上の粒子保持の結果を本明細書で提示する。ブラッシング後、スライドを同様に同量の水ですすいだ。保持を視覚的に調べた(図14)。市販の練り歯磨き(Colgate(登録商標)合計)および非官能化SiO粒子を含む練り歯磨き配合物(上記の組成を有する)は、ガラス表面への目に見える保持を示さない。5重量%の本発明の抗菌粒子(2つのシンナミル基を有する第三級アミンを有するSiO)を含む練り歯磨き配合物は、ガラス表面への有意かつ目に見える保持を示す。
【0241】
抗菌活性実験:提案された練り歯磨きの抗菌活性を、総体積220μlのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)および提案された練り歯磨きに10μlのミュータンス菌(S.mutars)(約10個の生細胞)を分散させることによって調べた。この実験では、抗菌粒子を含む練り歯磨き配合物を、以下の最終濃度(重量%):0、0.25、0.5、1および2で試験した。各試料を、96ウェルプレートで8連で実施した。37℃でインキュベートしながら、650nmで光学濃度を読み取ることによって、細菌増殖を監視した(図15)。抗菌活性は粒子濃度に比例する(用量依存的効果)。2重量%の濃度では、10個のインキュベート生菌細胞から生き残った細菌細胞は1つもなかった。
【0242】
[実施例12]
本発明のシリカ系粒子を含むコンタクトレンズ。
【0243】
2重量%の最終濃度でポリメチルメタクリレートに組み込まれた2つのシンナミル基を有する第三級アミンを有する抗菌SiO粒子を含むコンタクトレンズ組成物を調製した。ポリメチルメタクリレートの重合を、以下の方法で行った:過酸化物が完全に溶解するまで、500rpmのオーバーヘッドスターラーを使用して、ガラスビーカー中でメチルメタクリレートモノマー48gを過酸化ベンゾイル1gと混合した。並行して、完全に溶解するまで、メチルメタクリレート50gをジヒドロキシエチルp-トルイジン1gと混合した。メチルメタクリレート/ジヒドロキシエチルおよびp-トルイジン溶液に、2つのシンナミル基を有する第三級アミンを有するSiO粒子2gを添加し、均一な溶液が得られるまで、3000rpmで高せん断ホモジナイザーを使用して分散させた。次いで、両溶液を混合し、96ウェルプレートの側壁で重合させた。
【0244】
抗菌活性実験:試験細菌としてフェカリス菌(E.faecalis)を使用して、37°Cで24時間、直接接触試験(DCT)を実施した。図16は、本実験では、同じ濃度でポリメチルメタクリレートに埋め込んだ場合、第三級アミンが第四級アンモニウムよりも抗菌活性が高いことを示している。
【0245】
[実施例13]
本発明のシリカ系粒子を含む骨セメント
骨セメントは、外科手術中にインプラントを固定するために整形外科で使用される。骨セメント組成物:このセメント組成物は、コンタクトレンズについて上に示されるように、開始剤を含む液体モノマーメチルメタクリレート溶液および活性剤としての開始剤を含む固体予備重合ポリメチルメタクリレートに基づく。
【0246】
抗菌活性実験:本発明のシリカ系抗菌粒子を、市販の骨セメントの固体部分に添加した。3つの試料を抗菌活性について試験した:(I):2つのシンナミル基を有する第三級アミンを有するSiO粒子、(II):骨セメントの液体部分と混合した後の各試料中の粒子の全体濃度が2重量%であった第四級アンモニウムを有するSiO粒子、および(III)この実験の対照としての非修飾骨セメント。非修飾および抗菌粒子で修飾したボンドセメントの試料を、96ウェルプレートの側壁に適用し、試験細菌として黄色ブドウ球菌(S.aureus)を使用してDCTプロトコルを実施した。図17は、10個の細菌細胞のうち、2重量%の本発明のシリカ系抗菌粒子を含有する骨セメントの表面で増殖した細菌細胞は1つもなかったことを示している。
【0247】
[実施例14]
水濾過媒体における本発明のシリカ系抗菌粒子の抗菌活性。
【0248】
クロロメチル-ポリスチレンビーズ(Merrifield樹脂)1gをジクロロメタン50mlに分散させた。均一な懸濁液が得られるまで、2つのシトラール基を有する第三級アミンを有するSiO粒子1gを、3000rpmで高せん断ホモジナイザーを使用してジクロロメタン10mlに分散させた。両溶液を合わせ、室温で72時間撹拌した。その後、抗菌粒子を含む修飾ビーズをDCM 20mlで5回、次いで、ジエチルエーテル20mlで2回すすぎ、最終的に真空下で一晩乾燥させた。
【0249】
抗菌活性実験:黄色ブドウ球菌(S.aureus)細菌に対する効果を試験するために、修飾ビーズのブレインハートインフュージョン(BHI)懸濁液で抗菌試験を実施した。220μlの様々な濃度の修飾ビーズを含むBHI懸濁液を、各濃度について8ウェルで、96ウェルプレートのウェルに注ぎ入れた。その後、10μlの細菌(10個の生細胞)を各試験ウェルに添加し、吸光度を24時間、20分毎に650nmで測定した。実験中、試料を含む各プレートを37℃に維持し、各読み取り前に5秒間振盪した。図18に示されるように、1重量%の試料で部分的な抗菌活性が得られ、続いて2重量%の試料でより強い効果が得られ、5重量%で完全な細菌抑制が得られる。
【0250】
[実施例15]
2つのシンナミル基を有する第三級アミンまたは第四級アンモニウムを有する本発明のシリカ系抗菌粒子の抗菌活性
【表2】
【0251】
表2は、シリカ粒子上の官能基の数と2つの選択された細菌に対する抗菌活性との間の関係を示している。項目1および3は、オリゴマーまたはポリマー抗微生物活性基1つ当たりわずか1つの抗菌活性基のみの比を有するが、他はより高い比を含む。さらに、第四級アンモニウム官能性と2つのシンナミル基を有する第三級アミンの差を示している。(i)官能基の数は粒子が細菌増殖を阻害する能力に比例し、(ii)第四級アンモニウム官能性が、2つのシンナミル基を有する第三級アミンよりも細菌増殖を阻害する最も強い効力を示すと結論付けられる。
【0252】
[実施例18]
様々な数のモノマー単位を有する粒子の抗菌活性
n=1~3の図19に見られるように官能化されたシリカコア系ナノ粒子(SNP)を、市販の歯科用重合性メチルメタクリレート(Unifast Trad、GC America inc)に0~2%wt/wtの濃度で埋め込んだ。製造業者の指示に従って、メチルメタクリレートをシリコーンるつぼ中でそれぞれ2g/mlの液体/粉末比で混合し、次いで、37℃で24時間マイクロタイターウェルの側壁で重合させた後、微生物試験をした。抗菌試験(直接接触試験、実施例5参照)結果(図20)は、「n」の増加が抗菌活性の増加(フェカリス菌(E.faecalis)のODの減少)につながり、n=3のときに最も強力な抗菌効果が達成されることを示した。
【0253】
[実施例19]
本発明のシリカ系ナノ粒子を含むポロキサマーヒドロゲル組成物
ポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテルをジエチレントリアミンと反応させることによって、ヒドロゲルを調製した。両反応物質を混合した直後に、2QSi粒子(図19、n=2)を導入し、均一な懸濁液が得られるまで混合した。このブレンドを平らな型に注ぎ入れ、37℃で48時間乾燥させて重合を完了させた。その後、ポリマーの薄膜を脱イオン水に浸漬し、水分を吸収させた。
【0254】
表3に提示されるように、DCTプロトコル(実施例5)を使用して、2QSiを含む修飾ヒドロゲルの抗菌活性を評価した。
【表3】
【0255】
表に示されるように、ポロキサマーコンポジット内の2QSi粒子濃度が増加すると、抗菌活性(フェカリス菌(E.faecalis)に対する)が増加した。
【0256】
[実施例20]
本発明のシリカナノ粒子を含むアルギン酸塩ヒドロゲル組成物
2QSi粒子(図19、n=2)を、乾燥アルギン酸塩粉末を2QSi粒子と予混合することによって、アルギン酸塩ヒドロゲルに組み込んだ。その後、十分な量の水を添加し、均一なペーストが形成されるまで化合物を混合した。
【0257】
ヒドロゲルをDCTプレートの側壁上で乾燥させ、表4に提示されるように、DCTプロトコル(実施例5)に従って抗菌活性を評価した。
【表4】
【0258】
表に示されるように、アルギン酸塩コンポジット内の2QSi粒子濃度が増加すると、抗菌活性(フェカリス菌(E.faecalis)に対する)が増加した。
【0259】
[実施例21]
インビボでの皮下インプラントにおける活性
設計:皮下埋め込みで、2%w/wでシリコーンインプラントに組み込まれた2QSi-POSS粒子[=メチルオクチルアンモニウム第四級アンモニウム基で官能化されたPOSSコア、抗微生物活性単位当たりのモノマー単位の数は2である(m=2;構造1)]の抗菌活性を試験した。n=2の第四級アンモニウム官能性を有するPOSS粒子を、脊椎の片側(右側)のマウスの背中に埋め込まれたシリコーンロッドに組み込み、脊椎の反対側(左側)に粒子を含まない同一のロッドを対照として埋め込んだ。インプラントに、10μlの10個/mlフェカリス菌(E faecalis)をエキソビボ(移植前)で1回(A群、n=10)またはインサイツで2日間隔で8回(回復を可能にするため移植1週間後に開始、B群、n=4)接種した。説明後、インプラントをボルテックスし、すすいで遊離(浮遊)細菌を除去し、次いで、寒天プレート上で転がしてCFU数(スタンプ試験)によってインプラント上のバイオフィルムの存在を評価した。
【0260】
結果:A群(エキソビボ接種)では、外植および分析に利用可能な9/10匹の動物のうち、有意な増殖を有した6対照(無粒子)インプラント、わずかな増殖を有した2および増殖なしの1と比較して、スタンプ試験でバイオフィルムを有した粒子含有インプラントはなかった(ゼロCFU)。同様に、対照インプラントから回収された1.5×10に対して、試験インプラントからのボルテックス懸濁液では緩く結合した細菌は検出されなかった。B群(インサイツ接種)では、スタンプ試験は、試験インプラントと対照インプラントの両方で、2匹の動物でバイオフィルムを示さなかったが、他の2匹の動物では、対照インプラントで大きく増殖したのに対し、試験インプラントでは増殖がなかった。結果を以下の表5に要約する。
【0261】
これらの結果は、抗菌粒子がバイオフィルムの成長を防止し、シリコーン皮下インプラント上の細菌の総数を有意に減少させることができることを示している。
【0262】
具体的な実施形態の前記の例は、本発明の一般的な性質を完全に明らかにするので、他の人は、現在の知識を適用することによって、過度の実験なしに、一般的な概念から逸脱することなく、このような具体的な実施形態を種々の用途に容易に修正および/または適合させることができ、したがって、このような適合および修正は、開示される実施形態の等価物の意味および範囲内に包含されるべきであり、これを意図している。本明細書で使用される語法または用語は説明のためのものであり、限定のためではないことを理解すべきである。種々の開示される機能を実行するための手段、材料およびステップは、本発明から逸脱することなく種々の代替形態をとることができる。
【0263】
本発明の範囲および概念は、以下の添付の特許請求の範囲を参照することによってより容易に理解されるだろう。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7-1】
図7-2】
図8-1】
図8-2】
図9-1】
図9-2】
図10-1】
図10-2】
図11-1】
図11-2】
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19