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特許7119078部分的にコーティングされたフィルムおよびそれから形成されたパッケージ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】部分的にコーティングされたフィルムおよびそれから形成されたパッケージ
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20220808BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20220808BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20220808BHJP
   C08J 7/04 20200101ALI20220808BHJP
【FI】
B32B27/32 C
B32B27/40
B65D65/40 D
C08J7/04 Z CES
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020517310
(86)(22)【出願日】2018-08-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 US2018048896
(87)【国際公開番号】W WO2019067155
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-08-20
(31)【優先権主張番号】62/565,351
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】バルボサ、ブルーノ セサル デ モラエス
(72)【発明者】
【氏名】ガルガラカ、ジョアン ジュニオール
(72)【発明者】
【氏名】メッツォーラ、ニコラス カルドソ
【審査官】芦原 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特公昭47-43238(JP,B1)
【文献】特開2003-54580(JP,A)
【文献】特開2001-270043(JP,A)
【文献】特開昭60-123368(JP,A)
【文献】実開平2-97259(JP,U)
【文献】国際公開第2016/196168(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B
C08J 7/04-7/06
B65D 65/00-65/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部分的にコーティングされたフィルムであって、
(a)2つの外面を有するフィルムであって、第1の外面が、0.860~0.965g/cmの密度を有する70~100重量パーセントのポリオレフィンを含むフィルム層によって提供される、2つの外面を有するフィルムと、
(b)ポリウレタンを含む前記フィルムの前記第1の外面のコーティングであって、
前記コーティングが、前記フィルムの前記第1の外面の表面積の25%未満を覆い、前記フィルムの前記コーティング部分が、機械方向または横断方向のうちの少なくとも1つにおいて、同じ方向における非コーティング部分のエルメンドルフ引き裂き強度よりも少なくとも20%低い前記エルメンドルフ引き裂き強度を呈し、前記エルメンドルフ引き裂き強度がASTM D1922に従って測定される、第1の外面のコーティングと、を備える、部分的にコーティングされたフィルム。
【請求項2】
前記コーティングされたフィルムが、単層フィルムである、請求項1に記載の部分的にコーティングされたフィルム。
【請求項3】
前記コーティングされたフィルムが、多層フィルムである、または前記フィルムが、バリア層を備える多層フィルムである、請求項1に記載の部分的にコーティングされたフィルム。
【請求項4】
前記フィルムの非コーティング部分の前記エルメンドルフ引き裂き強度が、ASTM D1922に従って測定したときに、少なくとも50グラムである、請求項1~3のいずれかに記載の部分的にコーティングされたフィルム。
【請求項5】
前記ポリウレタンが、(a)ヒドロキシル末端ポリオールまたはウレタン、および(b)イソシアネート官能性プレポリマー、から形成される、請求項1~4のいずれかに記載の部分的にコーティングされたフィルム。
【請求項6】
前記イソシアネート官能性プレポリマーが、芳香族イソシアネートを含むか、または前記ヒドロキシル末端ウレタンが、ヒドロキシル末端ポリエーテル系ウレタン、ヒドロキシル末端ポリエステル系ウレタン、およびヒドロキシル末端ポリエステル-ポリエーテル系ウレタン、のうちの少なくとも1つを含むか、または前記イソシアネート官能性プレポリマーが、芳香族イソシアネートを含み、かつ前記ヒドロキシル末端ウレタンが、ヒドロキシル末端ポリエーテル系ウレタン、ヒドロキシル末端ポリエステル系ウレタン、およびヒドロキシル末端ポリエステル-ポリエーテル系ウレタン、のうちの少なくとも1つを含む、請求項5に記載の部分的にコーティングされたフィルム。
【請求項7】
第2のフィルムに積層された請求項1~6のいずれかに記載の部分的にコーティングされたフィルムを備える積層体。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の部分的にコーティングされたフィルムを備えるパッケージ。
【請求項9】
前記パッケージが、起立パウチであり、前記コーティング部分が、前記パウチを開口するのを容易にするために、前記パウチの上縁部に近接しているか、または前記パッケージが、起立パウチであり、前記コーティング部分が、前記パウチを開口するのを容易にするために、前記パウチの上縁部に近接しており、かつ前記パウチが、ノッチを有する少なくとも1つの側縁部を備え、かつ前記ノッチが、前記コーティング部分内に、もしくは前記コーティング部分に隣接して形成される、請求項8に記載のパッケージ。
【請求項10】
前記パッケージが、飲料容器であり、前記コーティング部分が、ストローの挿入を可能にするように前記容器上の場所に位置決めされる、請求項8に記載のパッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージに使用することができる、部分的にコーティングされたフィルムに関する。そのようなコーティングされたフィルムは、特に食品パッケージにおいて有用であり得る。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィンフィルムは、一般的に、起立パウチ、サッシェ、ピローパウチ、および他の種類のパッケージに使用される。ポリエチレンなどのポリオレフィンは、そのようなパッケージに使用されたときに、良好な機械的特性を提供することができる。いくつかのパッケージデザインに対して、いくつかの機械的特性が望ましくなり得るが、他の機械的特性はあまり望ましくなり得ない。例えば、ポリエチレンから形成されたパッケージは、いくつかのパッケージデザインに望ましくなり得る、高い引き裂き強度を提供する。しかしながら、引き裂きによって開口されるように設計されているパッケージデザインの場合、高い引き裂き強度は、あまり望ましくなり得ない。
【0003】
したがって、機械的特性の望ましい混合物を提供し、一方で、引き裂きによって容易に開口することも可能にするパッケージに使用するための、新しいフィルムおよび関連する材料を有することが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、ポリオレフィン系フィルムを好都合に組み合わせた(積層有りおよびなしの、単層および多層フィルムを含む)部分的にコーティングされたフィルムを提供し、このフィルムは、好都合に望ましい機械的特性(例えば、剛性)を提供し、一方で、コーティング領域における引き裂き抵抗も低減する、フィルムの外面の一部分のみのポリウレタンコーティングを伴う。ポリウレタンコーティングでコーティングされた領域は、フィルムの引き裂き易い、かつ穿刺し易い領域を促進する能力を有する、より低い引き裂き抵抗の領域を、またはそのフィルムから形成されたパッケージを好都合に提供する。
【0005】
一態様において、本発明は、部分的にコーティングされたフィルムを提供し、このフィルムは、(a)2つの外面を有するフィルムであって、第1の外面が、0.860~0.965g/cmの密度を有する70~100重量パーセントのポリオレフィンを含むフィルム層によって提供される、2つの外面を有するフィルムと、(b)ポリウレタンを含むフィルムの第1の外面上のコーティングであって、コーティングが、フィルムの第1の外面の表面積の25%未満を覆い、フィルムのコーティング部分が、機械方向または横断方向のうちの少なくとも1つにおいて、同じ方向における非コーティング部分のエルメンドルフ引き裂き強度よりも少なくとも20%低いエルメンドルフ引き裂き強度を呈し、エルメンドルフ引き裂きがASTM D1922に従って測定される、第1の外面のコーティングと、を備える。いくつかの実施形態において、フィルムは、単層フィルムである。いくつかの実施形態において、フィルムは、多層フィルムである。
【0006】
本発明の実施形態はまた、本明細書に開示される部分的にコーティングされたフィルムから形成されたパッケージ(例えば、可撓性パッケージ、パウチ、起立パウチ、バッグなど)も提供する。
【0007】
これらおよび他の実施形態は、発明を実施するための形態においてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の1つの実施形態による部分的にコーティングされたフィルムから形成されたパッケージの開口を例示する。
図2】本発明の1つの実施形態による部分的にコーティングされたフィルムから形成された飲料容器の穿刺を例示する。
図3】本発明の1つの実施形態による部分的にコーティングされたフィルムから形成された別のパッケージの開口を例示する。
図4】本発明の1つの実施形態による部分的にコーティングされたフィルムから形成されたパッケージの別の実施形態を例示する。
図5】フィルムへのコーティングの適用を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書で別途指定されない限り、パーセンテージは、重量パーセンテージ(重量%)であり、温度は、℃である。
【0010】
本明細書で使用される「組成物」という用語は、組成物を含む材料(複数可)、ならびに組成物の材料から形成された反応物、および分解物を含む。
【0011】
「~を含む(comprising)」という用語、およびそれらの派生語は、同じものが本明細書に開示されているか否かにかかわらず、任意の追加の成分、ステップ、または手順の存在を除外することを意図するものではない。いかなる疑いも避けるために、「~を含む(comprising)」という用語を使用して特許請求される全ての組成物は、矛盾する記述がない限り、ポリマー性かまたは別様かにかかわらず、いずれの追加の添加剤、補助剤、または化合物を含み得る。対照的に、「本質的に~からなる(consisting essentially of)」という用語は、操作性に必須ではないものを除いて、あらゆる後続の記載の範囲から、任意の他の成分、ステップ、または手順を除外する。「~からなる」という用語は、具体的に描写または列挙されていない任意の構成成分、ステップ、または手順を除外する。
【0012】
本明細書で使用される、「ポリマー」という用語は、同じかまたは異なる種類のモノマーを重合することによって調製されたポリマー化合物を指す。したがって、ポリマーという一般的な用語は、ホモポリマーという用語(微量の不純物がポリマー構造に組み込まれ得るという理解の下に、唯一の種類のモノマーから調製されるポリマーを指すために用いられる)、および本明細書において以下に定義されるようなインターポリマーという用語を包含する。微量の不純物は、ポリマーにおよび/またはポリマー内に組み込まれる場合がある。
【0013】
本明細書で使用される、「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合によって調製されるポリマーを指す。このため、総称のインターポリマーは、コポリマー(2種類の異なるモノマーから調製されるポリマーを表すのに使用される)、および2種類を超える異なるモノマーから調製されるポリマーを含む。「ポリマー」という用語は、同じかまたは異なる種類のモノマーを重合することによって調製されたポリマー化合物を指す。したがって、ポリマーという総称は、1種類のみのモノマーから調製されるポリマーを指すために通常用いられる「ホモポリマー」という用語、ならびに2つ以上の異なるモノマーから調製されるポリマーを指す「コポリマー」を包含する。
【0014】
「ポリエチレン」は、エチレンモノマーから誘導された、50重量%を超える単位を含むポリマーを意味するものとする。これは、ポリエチレンホモポリマーまたはコポリマー(2つ以上のコモノマーから誘導される単位を意味する)を含む。当業者で既知の一般的なポリエチレンの形態は、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、線状および実質的に線状の低密度樹脂の両方を含む単一部位触媒線状低密度ポリエチレン(m-LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、および高密度ポリエチレン(HDPE)を含む。これらのポリエチレン材料は、概して当該技術分野において既知であるが、以下の説明は、これらの異なるポリエチレン樹脂の違いを理解するのに役立ち得る。
【0015】
「LDPE」という用語はまた、「高圧エチレンポリマー」、または「高分岐ポリエチレン」とも称され、ポリマーが、過酸化物(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、US4,599,392を参照)などの、フリーラジカル開始剤を使用して、14,500psi(100MPa)を上回る圧力で、オートクレーブまたは管状反応器中で、部分的または完全に、ホモ重合もしくは共重合することを意味するように定義される。LDPE樹脂は、0.916~0.940g/cmの範囲の密度を典型的に有する。
【0016】
「LLDPE」という用語は、従来のチーグラーナッタ触媒系、ならびに限定されないがビス-メタロセン触媒(「m-LLDPE」と称されることもある)および拘束幾何触媒が挙げられるシングルサイト触媒、の両方を使用して作製される樹脂を含み、また、直鎖状、実質的に直鎖状、または不均質なポリエチレンコポリマーまたはホモポリマーを含む。LLDPEは、LDPEほど長くない鎖分岐を含有し、米国特許第5,272,236号、米国特許第5,278,272号、米国特許第5,582,923号、および米国特許第5,733,155号でさらに定義される実質的に直鎖状のエチレンポリマー、米国特許第3,645,992号にあるものなどの均一に分岐した直鎖状エチレンポリマー組成物、米国特許第4,076,698号に開示されているプロセスに従って調製されたものなどの不均一に分岐したエチレンポリマー、ならびに/または(米国特許第3,914,342号または同第5,854,045号に開示されるものなどの)それらの配合物を含む。LLDPEは、当該技術分野において知られている任意の種類の反応器または反応器構成を使用して、気相、溶液相、もしくはスラリー重合、またはそれらの任意の組み合わせを介して作製することができ、気相およびスラリー層反応器が最も好ましい。LLDPEは、典型的には、最高で0.940g/cmの密度を有することができ、また、その範囲の下端の密度を有するLLDPEであるULDPEおよびVLDPEを含むことができる。
【0017】
「MDPE」という用語は、0.926~0.940g/cmの密度を有するポリエチレンを指す。「MDPE」は、クロムまたはチーグラーナッタ触媒を使用して、またはメタロセン、拘束幾何形状、もしくは単一部位触媒を用いて典型的に作成され、2.5を超える分子量分布(「MWD」)を典型的に有する。
【0018】
「HDPE」という用語は、一般に、チーグラーナッタ触媒、クロム触媒、またはさらにはメタロセン触媒を用いて調製される、約0.940g/cm以上の密度を有するポリエチレンを指す。
【0019】
「ポリプロピレン」は、プロピレンモノマーから誘導された50重量%を超える単位を含むポリマーを意味するものとする。これは、ポリプロピレンホモポリマーまたはコポリマー(2つ以上のコモノマーから誘導された単位を意味する)を含む。当技術分野で知られているポリプロピレンの一般的な形態としては、ホモポリマーポリプロピレン(hPP)、ランダムコポリマーポリプロピレン(rcPP)、インパクトコポリマーポリプロピレン(hPP+、少なくとも1つのエラストメリック耐衝撃性改良剤)(ICPP)または高耐衝撃性ポリプロピレン(HIPP)、高溶融強度ポリプロピレン(HMS-PP)、イソタクチックポリプロピレン(iPP)、シンジオタクチックポリプロピレン(sPP)、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0020】
「マルチモーダル」は、分子量分布を示すGPCクロマトグラム中に少なくとも2つの別個のピークを有することによって、特徴付けることができる樹脂組成物を意味する。マルチモーダルは、2つのピークを有する樹脂、ならびに3つ以上のピークを有する樹脂を含む。
【0021】
本明細書で別途指示されない限り、本発明の態様を説明する際に、以下の分析法を使用する:
メルトインデックス:メルトインデックスI(またはI2)およびI10(またはI10)は、それぞれ、ASTM D-1238に従って、190℃で、2.16kgおよび10kgの荷重で測定する。それらの値は、g/10分で報告される。「メルトフローレート」が、ポリプロピレン系樹脂および他の樹脂に使用され、ASTM D1238(230℃で2.16kg)に従って決定する。
【0022】
密度:密度測定のための試料は、ASTM D4703に従って調製する。測定は、ASTM D792、方法Bに従って、試料加圧の1時間以内に測定を行う。
【0023】
エルメンドルフ引き裂き強度は、ASTM D1922に従って測定する。
【0024】
ピーク融点は、フィルムを、10℃/分の速度で-40℃の温度まで冷却する前に、230℃で3分間調整する、示差走査熱量計(DSC)によって決定する。フィルムを-40℃で3分間保持した後に、フィルムを10℃/分の速度で200℃まで加熱する。
【0025】
ASTM D882-12に従って、Instron Universal試験機によって、1%歪みおよび2%歪みでの割線係数を、機械方向(MD)および横断方向(CD)において測定する。
【0026】
追加の特性および試験方法は、本明細書でさらに説明する。
【0027】
特定のポリウレタンコーティングをポリオレフィンフィルムの選択領域に適用することによって、部分的にコーティングされたフィルムが、コーティングされた領域内の引き裂き抵抗が低減されることが分かった。したがって、そのようなフィルムを選択的にコーティングすることによって、部分的にコーティングされた領域を使用して、そのようなフィルムから形成されたパッケージの開口部に特に有用であり得る、引き裂き易いおよび/または穿刺し易い領域を促進することができる。
【0028】
一態様において、本発明は、部分的にコーティングされたフィルムを提供し、このフィルムは、(a)2つの外面を有するフィルムであって、第1の外面が、0.860~0.965g/cmの密度を有する70~100重量パーセントのポリオレフィンを含むフィルム層によって提供される、2つの外面を有するフィルムと、(b)ポリウレタンを含む、フィルムの第1の外面のコーティングであって、コーティングが、フィルムの第1の外面の表面積の25%未満を覆い、フィルムのコーティング部分は、機械方向または横断方向のうちの少なくとも1つにおいてエルメンドルフ引き裂き強度を呈し、この強度は、同じ方向において、非コーティング部分のエルメンドルフ引き裂き強度の少なくとも20%未満であり、エルメンドルフ引き裂き強度は、ASTM D1922に従って測定される、コーティングと、を含む。いくつかの実施形態において、ASTM D1922に従って測定したときに、フィルムの非コーティング部分のエルメンドルフ引き裂き強度は、少なくとも50グラムである。いくつかの実施形態において、フィルムは、二軸延伸ポリプロピレンフィルムである。いくつかの実施形態において、フィルムは、キャストポリプロピレンフィルムである。いくつかの実施形態において、フィルムは、ポリエチレンまたはポリエチレンの配合物から形成され、ポリエチレンの密度は、0.915g/cm~0.962g/cmである。
【0029】
いくつかの実施形態において、フィルムは、単層フィルムである。他の実施形態において、フィルムは、多層フィルムである。フィルムが2つ以上の層を備える多層フィルムであるいくつかの実施形態において、フィルムは、ポリプロピレン、プロピレン系コポリマー、環状オレフィンコポリマー、またはこれらの混合物を含む、1つ以上の層を備えることができる。フィルムが2つ以上の層を備える多層フィルムであるいくつかの実施形態において、フィルムは、バリア層をさらに備えることができる。そのような実施形態では、バリア層は、例えば、ポリアミドまたはエチレンビニルアルコールを含むことができる。
【0030】
いくつかの実施形態において、コーティングされるフィルムは、インフレーションフィルムである。いくつかの実施形態において、コーティングされるフィルムは、キャストフィルムである。
【0031】
いくつかの実施形態において、ポリウレタンは、(a)ヒドロキシル末端ウレタン、(b)イソシアネート官能性プレポリマー、から形成される。いくつかの実施形態において、イソシアネート官能性プレポリマーは、芳香族イソシアネートを含む。いくつかの実施形態において、ヒドロキシル末端ウレタンは、ヒドロキシル末端ポリエーテル系ウレタン、ヒドロキシル末端ポリエステル系ウレタン、およびヒドロキシル末端ポリエステル-ポリエーテル系ウレタン、のうちの少なくとも1つを含む。本発明の様々な実施形態においてコーティングに使用することができるポリウレタンに関する追加の詳細を本明細書で提供する。
【0032】
いくつかの実施形態において、コーティングされるフィルムの外面(または多層フィルムの層の外面)の一部分のコーティングの量は、1~7g/mである。
【0033】
いくつかの実施形態において、部分的にコーティングされたフィルムは、20~250ミクロンの厚さを有する。いくつかの実施形態において、部分的にコーティングされたフィルムは、25~100ミクロンの厚さを有する。
【0034】
いくつかの実施形態において、本発明は、積層体を提供する。いくつかのそのような実施形態において、積層体は、第2のフィルムに積層された、本明細書に開示される実施形態のいずれかによる部分的にコーティングされたフィルムを備える。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態は、パッケージに関する。いくつかのそのような実施形態において、パッケージは、本明細書に開示される実施形態のいずれかによる部分的にコーティングされたフィルムを備える。いくつかの実施形態において、パッケージは、起立パウチであり、コーティング部分は、パウチを開口するのを容易にするために、パウチの上縁部に近接している。さらなる実施形態において、パウチは、ノッチを有する少なくとも1つの側縁部を備え、ノッチは、コーティング部分内に、またはコーティングされたポーチに隣接して形成される。いくつかの実施形態において、パッケージは、飲料容器であり、コーティング部分は、ストローの挿入を可能にするように容器上の場所に位置決めされる。
【0036】
フィルム
様々なフィルムを少なくとも部分的にコーティングして、本発明の実施形態による部分的にコーティングされたフィルムを提供することができる。
【0037】
そのようなフィルムは、2つの外面を有し、第1の外面は、ポリウレタンで部分的にコーティングされたものである。第1の外面は、0.860~0.965g/cmの密度を有する70~100重量パーセントのポリオレフィンを含むフィルム層によって提供される。フィルム層は、フィルムが単層フィルムである実施形態においてフィルム層のみであり得るか、またはフィルムが多層フィルムである実施形態において複数の層のうちの1つであり得る。
【0038】
上で述べたように、いくつかの実施形態において、フィルムは、多層フィルムである。そのような実施形態において、第1の層は、0.860~0.965g/cmの密度を有する70~100重量パーセントのポリオレフィンを含む。第1の層は、部分的にコーティングされた第1の外面を提供するいくつかの実施形態の表面層である。70~100重量パーセント(重量%)の全ての個々の値および部分範囲は、本明細書において含まれ、本明細書において開示され、例えば、ポリオレフィンの量は、70、80、または90重量%の下限から80、90、または100重量%の上限までであり得る。例えば、ポリオレフィンの量は、80~100重量%とすることができ、または代替的に70~90重量%、または代替的に75~95重量%、または代替的に80~100重量%であり得る。
【0039】
様々な実施形態において、ポリオレフィンは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンの配合物、またはポリエチレンおよびポリプロピレンの配合物であり得る。いくつかの実施形態において、フィルムは、ポリエチレンまたはポリエチレンの配合物から形成され、ポリエチレンの密度は、0.915g/cm~0.962g/cmである。
【0040】
いくつかの実施形態において、ポリオレフィンは、直鎖状低密度ポリエチレンを含む。いくつかの実施形態において、直鎖状低密度ポリエチレンは、0.930g/cc(cm)以下の密度を有する。0.930g/cc以下の全ての個々の値および部分範囲は、本明細書において含まれ、本明細書において開示され、例えば、直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、0.915、0.920、0.925、または0.930g/ccの上限からであり得る。本発明のいくつかの態様において、第1の直鎖状低密度ポリエチレンは、0.870g/cc以上の密度を有する。0.915~0.930の全ての個々の値および部分範囲は、本明細書において含まれ、本明細書において開示される。
【0041】
いくつかの実施形態において、直鎖状低密度ポリエチレンは、127℃以下、好ましくは70~126℃、より好ましくは80~125℃のピーク融点を有する。
【0042】
第1の層の直鎖状低密度ポリエチレンのメルトインデックスは、フィルムがインフレーションフィルムであるかキャストフィルムであるかを含む、いくつかの要因に依存し得る。フィルムがインフレーションフィルムである実施形態において、直鎖状低密度ポリエチレンは、2.0g/10分以下のIを有する。2.0g/10分からの全ての個々の値および部分範囲は、本明細書において含まれ、本明細書において開示される。例えば、第1の直鎖状低密度ポリエチレンは、2.0、1.7、1.4、1.1、または0.9g/10分の上限からのメルトインデックスを有することができる。本発明の特定の態様において、直鎖状低密度ポリエチレンは、下限が0.1g/10分であるIを有する。0.1g/10分からの全ての個々の値および部分範囲は、本明細書において含まれ、本明細書において開示される。例えば、第1の直鎖状低密度ポリエチレンは、0.1、0.2、0.3、または0.4g/10分以上のI有することができる。
【0043】
他の実施形態において、フィルムは、キャストフィルムであり得る。そのような実施形態において、直鎖状低密度ポリエチレンは、2.0g/10分以上のIを有する。2.0g/10分を超える全ての個々の値および部分範囲は、本明細書において含まれ、本明細書において開示される。例えば、第1の直鎖状低密度ポリエチレンは、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、または10g/10分の下限からのメルトインデックスを有することができる。いくつかの実施形態において、キャストフィルム用途のための第1の直鎖状低密度ポリエチレンは、15g/10分のメルトインデックス上限を有することができる。いくつかの実施形態において、第1の層または他の層の他の構成要素に応じて、キャストフィルム用途のための第1の層の第1の直鎖状低密度ポリエチレンは、2.0g/10分未満のIの上限を有することができる。いくつかの実施形態において、キャストフィルム用途のための第1の層の直鎖状低密度ポリエチレンは、0.1~2.0g/10分または0.5~2.0g/10分のメルトインデックス(I)を有することができる。0.1~2.0g/10分の全ての個々の値および部分範囲は、本明細書において含まれ、本明細書において開示される。
【0044】
第1の層に使用することができる直鎖状低密度ポリエチレンの例としては、例えば、AFFINITY(商標)PL 1146G、AFFINITY(商標)1881G、DOWLEX(商標)2045G、DOWLEX(商標)2645G、ELITE(商標)AT 6401、およびELITE(商標)5401Gを含む、AFFINITY(商標)、DOWLEX(商標)、およびELITE(商標)ATの名称でThe Dow Chemical Companyから市販されているものが挙げられる。第1の層に使用することができる超低密度ポリエチレンの例としては、例えば、ATTANE(商標)4203を含む、ATTANE(商標)の名称でThe Dow Chemical Companyから市販されているものが挙げられる。
【0045】
第1の層が100%未満の第1の直鎖状低密度ポリエチレンを含む実施形態において、第1の層は、例えば、0.1~5g/10分のメルトインデックスを有する1つ以上の低密度ポリエチレン、0.915g/cc以上の密度および0.1~5g/10分のメルトインデックスを有する1つ以上の追加の直鎖状低密度ポリエチレンなどの、1つ以上の追加のポリエチレン樹脂をさらに含む。
【0046】
フィルムが多層フィルムを備える実施形態において、第2の層は、いくつかの実施形態において、60~100重量パーセントのポリエチレンを含む。いくつかの実施形態において、第2の層は、別の表面層である。60~100重量パーセント(重量%)の全ての個々の値および部分範囲は、本明細書において含まれ、本明細書において開示され、例えば、ポリエチレンの量は、60、70、80、または90重量%の下限から70、80、90、または100重量%の上限までであり得る。例えば、ポリエチレンの量は、70~100重量%、または代替的に60~90重量%、または代替的に65~95重量%、または代替的に70~100重量%であり得る。
【0047】
第2の層のポリエチレンは、0.905~0.970g/cc(cm)の密度を有する。0.910~0.970g/ccの全ての個々の値および部分範囲は、本明細書において含まれ、本明細書において開示され、例えば、ポリエチレンの密度は、0.905、0.910、0.920、0.930、0.940、または0.950g/ccの下限から0.930、0.940、0.950、0.960、0.970g/ccの上限までであり得る。いくつかの実施形態において、ポリエチレンは、0.910~0.970g/cc、好ましくは0.920~0.960g/cc、より好ましくは0.940~0.960g/ccの密度を有する。
【0048】
いくつかの実施形態において、第2の層のポリエチレンは、100℃~135℃、好ましくは102~132℃、より好ましくは105~132℃のピーク融点を有する。
【0049】
第2の層のポリエチレンのメルトインデックスは、フィルムがインフレーションフィルムであるかキャストフィルムであるかを含む、いくつかの要因に依存し得る。フィルムがインフレーションフィルムである実施形態において、ポリエチレンは、2.0g/10分以下のIを有する。2.0g/10分からの全ての個々の値および部分範囲は、本明細書において含まれ、本明細書において開示される。例えば、ポリエチレンは、2.0、1.7、1.4、1.1、または0.9g/10分の上限からの密度を有することができる。本発明の特定の態様において、ポリエチレンは、下限が0.1g/10分であるIを有する。0.1g/10分からの全ての個々の値および部分範囲は、本明細書において含まれ、本明細書において開示される。例えば、ポリエチレンは、0.1、0.2、0.3、または0.5g/10分以上のIを有することができる。
【0050】
他の実施形態において、フィルムは、キャストフィルムであり得る。そのような実施形態において、第2の層のポリエチレンは、2.0g/10分以上のIを有する。2.0g/10分を超える全ての個々の値および部分範囲は、本明細書において含まれ、本明細書において開示される。例えば、第1の直鎖状低密度ポリエチレンは、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、または10g/10分の下限からのメルトインデックスを有することができる。いくつかの実施形態において、キャストフィルム用途のための第2の層中のポリエチレンは、最大15g/10分のIを有することができる。いくつかの実施形態において、第2の層または他の層中の他の構成成分に応じて、キャストフィルム用途のための第2の層中のポリエチレンは、上限の2.0g/10分未満のIを有することができる。いくつかの実施形態において、キャストフィルム用途のための第2の層中のポリエチレンは、0.1~2.0g/10分、または0.5~2.0g/10分のメルトインデックス(I)を有することができる。0.1~2.0g/10分の全ての個々の値および部分範囲は、本明細書において含まれ、本明細書において開示される。
【0051】
第2の層に使用することができるポリエチレンの例としては、DOWLEX(商標)2045G、DOWLEX(商標)NG2038B、ELITE(商標)5111G、ELITE(商標)5400G、ELITE(商標)5960G、およびATTANE4203などの、DOWLEX(商標)およびELITE(商標)およびATTANE(商標)の名称でThe Dow Chemical Companyから市販されているものが挙げられる。
【0052】
第2の層が100%未満の上で説明したポリエチレンを含む実施形態において、第2の層は、例えば、0.1~5g/10分のメルトインデックスを有する1つ以上の低密度ポリエチレン、0.950g/cc以下の密度および0.1~5g/10分のメルトインデックスを有する1つ以上の追加の直鎖状低密度ポリエチレンなどの、1つ以上の追加のポリエチレン樹脂をさらに含む。
【0053】
フィルムが多層フィルムを備える実施形態において、第2の層は、60~100重量パーセントのポリプロピレンを含む。いくつかの実施形態において、第2の層は、別の表面層である。60~100重量パーセント(重量%)の全ての個々の値および部分範囲は、本明細書において含まれ、本明細書において開示され、例えば、ポリプロピレンの量は、60、70、80、または90重量%の下限から70、80、90、または100重量%の上限までであり得る。例えば、ポリプロピレンの量は、70~100重量%、または代替的に60~90重量%、または代替的に65~95重量%、または代替的に70~100重量%であり得る。
【0054】
第2の層に使用することができるポリプロピレンは、ホモポリマーポリプロピレン(hPP)、ランダムコポリマーポリプロピレン(rcPP)、インパクトコポリマーポリプロピレン(hPP+、少なくとも1つのエラストメリック耐衝撃性改良剤)(ICPP)または高耐衝撃性ポリプロピレン(HIPP)、高溶融強度ポリプロピレン(HMS-PP)、イソタクチックポリプロピレン(iPP)、シンジオタクチックポリプロピレン(sPP)、およびこれらの組み合わせであり得る。本発明のいくつかの実施形態に使用することができるホモポリマープロピレンの例としては、LyondellBasell Industries(例えば、Pro-fax PD702)から、Braskem(例えば、D115A)から、およびBorealis(例えば、WF 420HMS)から市販されているホモポリマープロピレンが挙げられる。第2の層に使用することができるポリプロピレンはまた、プロピレン-アルファ-オレフィンインターポリマーでもあり得る。そのようなプロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、VERSIFY(商標)の商品名でThe Dow Chemical Companyから、またはVISTAMAXXの商品名でExxonMobil Chemical Companyから市販されている。
【0055】
第2の層が100%未満の上で説明したポリプロピレンを含む実施形態において、第2の層は、例えば、0.1~5g/10分のメルトインデックスを有する1つ以上の低密度ポリエチレン、0.930g/cc以下の密度および0.1~5g/10分のメルトインデックスを有する1つ以上の追加の直鎖状低密度ポリエチレンなどの、1つ以上のポリエチレン樹脂をさらに含む。
【0056】
上で説明したようにフィルムが第1および第2の層を有する多層フィルムである実施形態において、フィルムは、第1の層と第2の層との間に1つ以上の内層をさらに備えることができる。そのような実施形態において、内層の少なくとも1つは、40~100重量%の高密度ポリエチレンを含むことができる。40~100重量パーセント(重量%)の全ての個々の値および部分範囲は、本明細書において含まれ、本明細書において開示され、例えば、高密度ポリエチレンの量は、40、50、60、70、80、または90重量%の下限から50、60、70、80、90、または100重量%の上限までであり得る。例えば、高密度ポリエチレンの量は、50~100重量%、または代替的に60~90重量%、または代替的に65~95重量%、または代替的に70~100重量%であり得る。
【0057】
高密度ポリエチレンは、0.930g/cc(cm)~0.970g/ccの密度を有する。0.930~0.970g/ccの全ての個々の値および部分範囲は、本明細書において含まれ、本明細書において開示され、例えば、ポリエチレンの密度は、0.930、0.940、0.950、または0.960g/ccの下限から0.950、0.960、または0.970g/ccの上限までであり得る。いくつかの実施形態において、高密度ポリエチレンは、0.940g/cc以上の密度を有する。
【0058】
いくつかの実施形態において、高密度ポリエチレンは、126℃~135℃、好ましくは126~132℃、より好ましくは127~132℃のピーク融点を有する。
【0059】
少なくとも1つの内層の高密度ポリエチレンのメルトインデックスは、フィルムがインフレーションフィルムであるかキャストフィルムであるかを含む、いくつかの要因に依存し得る。フィルムがインフレーションフィルムである実施形態において、高密度ポリエチレンは、2.0g/10分以下のIを有する。2.0g/10分からの全ての個々の値および部分範囲は、本明細書において含まれ、本明細書において開示される。例えば、高密度ポリエチレンは、2.0、1.7、1.4、1.1、または0.9g/10分の上限からの密度を有することができる。本発明の特定の態様において、高密度ポリエチレンは、0.1g/10分の下限を伴うIを有する。0.1g/10分からの全ての個々の値および部分範囲は、本明細書において含まれ、本明細書において開示される。例えば、高密度ポリエチレンは、0.1、0.2、0.3、または0.4g/10分以上のIを有することができる。
【0060】
他の実施形態において、フィルムは、キャストフィルムであり得る。そのような実施形態において、高密度ポリエチレンは、2.0g/10分以上のIを有する。2.0g/10分を超える全ての個々の値および部分範囲は、本明細書において含まれ、本明細書において開示される。例えば、少なくとも1つの内層の高密度ポリエチレンは、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、または10g/10分の下限からのメルトインデックスを有することができる。いくつかの実施形態において、キャストフィルム用途のための少なくとも1つの内層の高密度ポリエチレンは、最高15g/10分のIを有することができる。いくつかの実施形態において、内層(複数可)または他の層の他の構成要素に応じて、キャストフィルム用途のための少なくとも1つの内層の高密度ポリエチレンは、2.0g/10分未満のIの上限を有することができる。いくつかの実施形態において、キャストフィルム用途のための少なくとも1つの内層の高密度ポリエチレンは、0.1~2.0g/10分または0.5~2.0g/10分のメルトインデックス(I)を有することができる。0.1~2.0g/10分の全ての個々の値および部分範囲は、本明細書において含まれ、本明細書において開示される。
【0061】
少なくとも1つの内層に使用することができる高密度ポリエチレンの例としては、ELITE(商標)5940gおよびELITE(商標)5960gなどの、DOWLEX(商標)およびELITE(商標)の名称でThe Dow Chemical Companyから市販されているものが挙げられる。いくつかの実施形態において、中密度ポリエチレンを、高密度ポリエチレンの代わりに、またはそれに加えて、内層に使用することができる。そのような中密度ポリエチレンの例は、The Dow Chemical CompanyからのDOWLEX(商標)2038.68Gである。
【0062】
上で説明した内層が100%未満のポリエチレンを含む実施形態において、内層は、例えば、0.1~5g/10分のメルトインデックスを有する1つ以上の低密度ポリエチレン、0.930g/cc以下の密度および0.1~5g/10分のメルトインデックスを有する1つ以上の追加の直鎖状低密度ポリエチレンなどの、1つ以上の追加のポリエチレン樹脂をさらに備える。
【0063】
40~100重量パーセントの高密度ポリエチレンを含む内層に加えて、いくつかの実施形態において、フィルムは、1つ以上の低密度ポリエチレン、1つ以上の直鎖状低密度ポリエチレン、またはこれらの組み合わせなどの、他のポリエチレンまたはポリエチレンの組み合わせを含む、1つ以上の追加の内層を備えることができる。例えば、一実施形態において、フィルムは、少なくとも1つの追加の内層を備え、追加の内層は、0.920g/cc(cm)以下の密度を有する50~100重量パーセントのポリエチレンを含む。0.920g/ccからのポリエチレンの密度について全ての個々の値および部分範囲は、本明細書において含まれ、本明細書において開示され、例えば、ポリエチレンの密度は、0.900、0.905、0.910、0915、または0.920g/ccの上限までであり得る。そのような内層は、フィルムの強度を高めるために提供することができる。
【0064】
少なくとも1つの追加の内層のポリエチレンのメルトインデックスは、フィルムがインフレーションフィルムであるかキャストフィルムであるかを含む、いくつかの要因に依存し得る。フィルムがインフレーションフィルムである実施形態において、少なくとも1つの追加層中のポリエチレンは、2.0g/10分以下のIを有する。2.0g/10分からの全ての個々の値および部分範囲は、本明細書において含まれ、本明細書において開示される。例えば、ポリエチレンは、2.0、1.7、1.4、1.1、または0.9g/10分の上限からの密度を有することができる。本発明の特定の態様において、ポリエチレンは、下限が0.01g/10分であるIを有する。0.1g/10分からの全ての個々の値および部分範囲は、本明細書において含まれ、本明細書において開示される。例えば、ポリエチレンは、0.1、0.2、0.3、または0.4g/10分以上のIを有することができる。
【0065】
他の実施形態において、フィルムは、キャストフィルムであり得る。そのような実施形態において、少なくとも1つの追加の内層のポリエチレンは、2.0g/10分以上のIを有する。2.0g/10分を超える全ての個々の値および部分範囲は、本明細書において含まれ、本明細書において開示される。例えば、ポリエチレンは、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、または10g/10分の下限からのメルトインデックスを有することができる。いくつかの実施形態において、キャストフィルム用途のための少なくとも1つの追加の内層のポリエチレンは、最大15g/10分のIを有することができる。いくつかの実施形態において、内層(複数可)または他の層の他の構成要素に応じて、キャストフィルム用途のための少なくとも1つの追加の内層のポリエチレンは、2.0g/10分未満のIの上限を有することができる。いくつかの実施形態において、キャストフィルム用途のための少なくとも1つの追加の内層のポリエチレンは、0.1~2.0g/10分、または0.5~2.0g/10分のメルトインデックス(I)を有することができる。0.1~2.0g/10分の全ての個々の値および部分範囲は、本明細書において含まれ、本明細書において開示される。
【0066】
少なくとも1つの追加の内層に使用することができる0.920g/cc以下の密度を有するポリエチレンの例としては、DOWLEX(商標)2045G、ELITE(商標)5401G、およびATTANE(商標)4203gなどの、DOWLEX(商標)、ELITE(商標)、およびATTANE(商標)の名称でThe Dow Chemical Companyから市販されているものが挙げられる。
【0067】
多層フィルムの上記の層のいずれかには(しかし、好ましくは内層には)、様々な理由から、ポリエチレンに加えて、他のポリオレフィン樹脂を含むことができる。例えば、多層フィルムの層は、材料の間の適合性および潜在的な再利用性を著しく損なうことなく、高められた剛性を提供するために、ポリプロピレンおよび/または環状オレフィンコポリマー(例えば、TOPAS 6013などの、TOPAS Advance polymersから市販されている環状オレフィンコポリマー)などの、他のポリオレフィン系樹脂を含むことができる。そのような実施形態において、追加のポリオレフィン樹脂は、50重量パーセント未満の量で提供することができる。
【0068】
いくつかの実施形態において、本発明の部分的にコーティングされたフィルムに使用することができる多層フィルムは、3つ以上の層を備えることができる。いくつかの実施形態において、本発明の部分的にコーティングされたフィルムに使用することができる多層フィルムは、最高で7つの層を備えることができる。フィルムの層の数は、例えば、多層フィルムの所望の厚さ、多層フィルムの所望の特性、多層フィルムの意図する用途、および他の要因を含む、いくつかの要因に依存し得る。
【0069】
いくつかの実施形態において、フィルムの所望の用途または要件に応じて、フィルムは、バリア層などの他の層を備えることができる。例えば、いくつかの用途について、フィルムは、水分、光、芳香/臭気、および/または酸素の透過に対するバリアを提供することが望ましい場合がある。そのようなバリア層としては、例えば、ポリアミドフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、および当業者に知られている他の層を挙げることができる。そのような実施形態において、バリア層をポリエチレン系層に付着させるために、1つ以上のタイ層をフィルムに含むことができる。
【0070】
いくつかの実施形態において、多層フィルムの1つ以上の層は、1つ以上の添加剤を含むことができる。添加剤としては、特定の用途の要件に応じて、帯電防止剤、カラーエンハンサ、染料、潤滑剤、充填剤(例えば、TiO2またはCaCO3)、乳白剤、成核剤、加工助剤、顔料、一次酸化防止剤、二次酸化防止剤、UV安定剤、抗ブロック剤、スリップ剤、粘着付与剤、難燃剤、抗菌剤、臭気低減剤、抗真菌剤、酸素捕捉剤、水分捕捉剤、およびこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0071】
いくつかの実施形態において、ポリウレタンコーティングによって部分的にコーティングされるフィルムは、単層フィルムを備える。そのようなフィルムは、2つの外面を有し、第1の外面は、ポリウレタンで部分的にコーティングされたものである。第1の外面は、0.860~0.965g/cmの密度を有する70~100重量パーセントのポリオレフィンを含むフィルム層によって提供される。
【0072】
単層フィルムは、0.860~0.965g/cmの密度を有する70~100重量パーセントのポリオレフィンを含む。70~100重量パーセント(重量%)の全ての個々の値および部分範囲が本明細書に含まれ、かつ本明細書に開示され、例えば、ポリオレフィンの量は、70、80、または90重量%の下限から80、90、または100重量%の上限までであり得る。例えば、ポリオレフィンの量は、80~100重量%とすることができ、または代替的に70~90重量%、または代替的に75~95重量%、または代替的に80~100重量%であり得る。
【0073】
いくつかの実施形態において、単層フィルムは、二軸延伸ポリプロピレンフィルムである。
【0074】
いくつかの実施形態において、単層フィルムは、キャストポリプロピレンフィルムである。
【0075】
いくつかの実施形態において、単層フィルムは、0.860~0.965g/cmの密度を有する70~100重量パーセントのポリエチレンを含む。いくつかの実施形態において、単層フィルムは、0.915~0.962g/cmの密度を有する70~100重量パーセントのポリエチレンを含む。
【0076】
いくつかの実施形態において、単層フィルムは、0.930g/cm未満の密度、および2.0g/10分未満のメルトインデックス(I)、および126℃未満のピーク融点を有する70~100重量パーセントのポリエチレンを含む。70~100重量パーセント(重量%)の全ての個々の値および部分範囲は、本明細書において含まれ、本明細書において開示され、例えば、ポリエチレンの量は、70、80、または90重量%の下限から80、90、または100重量%の上限までであり得る。例えば、ポリエチレンの量は、80~100重量%とすることができ、または代替的に70~90重量%、または代替的に75~95重量%、または代替的に80~100重量%であり得る。
【0077】
いくつかの実施形態において、単層に使用されるポリエチレンは、0.965g/cc(cm)以下の密度を有する。0.965g/cc以下の全ての個々の値および部分範囲は、本明細書において含まれ、本明細書において開示され、例えば、ポリエチレンの密度は、0.950、0.940、0.930、または0.910g/ccの上限からであり得る。本発明のいくつかの態様において、ポリエチレンは、0.870g/cc以上の密度を有する。0.870~0.930g/ccの全ての個々の値および部分範囲は、本明細書において含まれ、本明細書において開示される。
【0078】
いくつかの実施形態において、単層に使用されるポリエチレンは、135℃以下、好ましくは100~132℃、より好ましくは105~131℃のピーク融点を有する。
【0079】
いくつかの実施形態において、単層(I)に使用されるポリエチレンのメルトインデックスは、2.0g/10分以下である。2.0g/10分からの全ての個々の値および部分範囲は、本明細書において含まれ、本明細書において開示される。例えば、ポリエチレンは、2.0、1.7、1.4、1.1、または0.9g/10分の上限からの密度を有することができる。本発明の特定の態様において、ポリエチレンは、下限が0.1g/10分であるIを有する。0.1g/10分からの全ての個々の値および部分範囲は、本明細書において含まれ、本明細書において開示される。例えば、ポリエチレンは、0.1、0.2、0.3、または0.4g/10分以上のIを有することができる。
【0080】
0.930g/cc以下の密度、2.0g/10分以下のメルトインデックス(I)、および126℃以下のピーク融点を有するポリエチレンの例としては、AFFINITY(商標)PL1146G、AFFINITY(商標)1888、ELITE(商標)AT 6401、ELITE(商標)5401G、およびATTANE(商標)4203などの、AFFINITY(商標)、ELITE(商標)AT、およびATTANE(商標)の名称でThe Dow Chemical Companyから市販されているものが挙げられる。
【0081】
単層フィルムの場合、様々な理由から、ポリエチレンに加えて、他のポリオレフィン樹脂を単層に含むことができる。例えば、単層は、高められた剛性を提供するために、ポリプロピレンおよび/または環状オレフィンコポリマー(例えば、TOPAS 6013などの、TOPAS Advance polymersから市販されている環状オレフィンコポリマー)などの、ポリオレフィン樹脂を含むことができる。そのような実施形態において、追加のポリオレフィン樹脂は、50重量パーセント未満の量で提供することができる。
【0082】
単層が上で説明した100%未満のポリエチレンを含む実施形態において、単層は、例えば、0.1~5g/10分のメルトインデックスを有する1つ以上の低密度ポリエチレン、0.930g/cc以下の密度および0.1~5g/10分までメルトインデックスを有する1つ以上の追加の直鎖状低密度ポリエチレンなどの、1つ以上の追加のポリエチレン樹脂をさらに備える。
【0083】
いくつかの実施形態において、単層フィルムの1つ以上の層は、1つ以上の添加剤を含むことができる。添加剤としては、特定の用途の要件に応じて、帯電防止剤、カラーエンハンサ、染料、潤滑剤、充填剤(例えば、TiO2またはCaCO3)、乳白剤、成核剤、加工助剤、顔料、一次酸化防止剤、二次酸化防止剤、UV安定剤、抗ブロック剤、スリップ剤、粘着付与剤、難燃剤、抗菌剤、臭気低減剤、抗真菌剤、酸素捕捉剤、水分捕捉剤、およびこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0084】
いくつかの実施形態において、本発明の部分的にコーティングされたフィルムに使用することができる単層フィルムまたは多層フィルムは、コーティングする前のそれらのエルメンドルフ引き裂き強度を特徴とする。いくつかの実施形態において、ASTM D1922に従って測定したときに、フィルムの非コーティング部分のエルメンドルフ引き裂き強度は、少なくとも50グラムである。
【0085】
本発明の実施形態で使用されるフィルムは、当技術分野で一般に知られているインフレーションフィルムまたはキャストフィルムプロセスで形成されることが好ましいが、積層などの他の方法を使用することができる。
【0086】
ポリウレタンコーティング
本発明は、フィルムの外面の一部分のみにポリウレタン系コーティングを提供する。フィルムの一部分のみをコーティングすることによって、部分的にコーティングされたフィルムは、引き裂き易いおよび/または穿刺し易い領域をコーティング部分内に提供する。これは、そのようなフィルムから形成されたパッケージを開口する際に特に有用であり得る。したがって、フィルムの選択領域のみがポリウレタンでコーティングされる。したがって、フィルムの非コーティング部分は、好都合に、より高い引き裂き抵抗および/または穿刺抵抗を有することができ、このことは、フィルムから形成されたパッケージに有益であり得、一方で、コーティング部分の簡単な開口機能を提供する。
【0087】
いくつかの実施形態において、コーティングは、フィルムの第1の外面の表面積の25%未満を覆う。いくつかの実施形態において、コーティングは、フィルムの第1の外面の表面積の20%未満を覆う。いくつかの実施形態において、コーティングは、フィルムの第1の外面の表面積の15%未満を覆う。他の実施形態において、コーティングは、フィルムの第1の外面の表面積の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%未満を覆う。
【0088】
多層フィルムの場合、外面は、0.860~0.965g/cmの密度を有する70~100重量パーセントのポリオレフィンを含む、フィルム層の外面である。単層フィルムの場合、ポリウレタン系コーティングは、フィルムの外面の1つに部分的にコーティングされる。
【0089】
「ポリウレタン系コーティング」という用語は、硬化に応じて、コーティングが主にポリウレタンを含むが、いくつかの実施形態において、コーティングはまた、未反応の反応物(例えば、ポリオール、イソシアネートなど)ならびに他の添加剤も含むことができることを示すために使用される。
【0090】
いくつかの実施形態において、ポリウレタンは、(a)ヒドロキシル末端ポリオールまたはウレタン、および(b)イソシアネート官能性プレポリマー、から形成される。いくつかの実施形態において、イソシアネート官能性プレポリマーは、芳香族イソシアネートを含む。本発明のいくつかの実施形態において使用され得る芳香族イソシアネートの例としては、トルエンジイソシアネート(TDI)のいずれかもしくは全ての異性体および/またはメチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)のいずれかもしくは全ての異性体が挙げられる。いくつかの実施形態において、イソシアネート官能性プレポリマーは、脂肪族イソシアネートを含む。本発明のいくつかの実施形態において使用され得る脂肪族イソシアネートの例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)のいずれかもしくは全ての異性体、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のいずれかもしくは全ての異性体、キシリレンジイソシアネート(XDI)のいずれかもしくは全ての異性体、水素化キシリレンジイソシアネート(H6XDI)のいずれかもしくは全ての異性体、およびメタ-テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)のいずれかもしくは全ての異性体が挙げられる。いくつかの実施形態において、ヒドロキシル末端ウレタンは、ヒドロキシル末端ポリエーテル系ウレタン、ヒドロキシル末端ポリエステル系ウレタン、およびヒドロキシル末端ポリエステル-ポリエーテル系ウレタン、のうちの少なくとも1つを含む。
【0091】
ポリウレタンは、2つの別々の成分を所定の混合比で一緒に混合し、次いで、2つの成分間の反応時に硬化させることによって形成することができる。いくつかの実施形態において、2つの反応成分は、測定および混合を容易にするために、1:1の混合比(ヒドロキシル末端ポリオールまたはウレタン対イソシアネート官能性プレポリマーの比)を提供するように調製され得る。いくつかの実施形態において、そのような混合比は、1:0.2~1:2の範囲にあり得る。いくつかの実施形態において、そのような混合比では、イソシアネートインデックスは、約1:1~約3:3の範囲内である。いくつかの実施形態において、ポリウレタンは、周囲の水分または湿気と反応してその硬化を完了する、1成分のイソシアネート末端プレポリマーであり得る。
【0092】
ポリウレタン成分は、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、または両方の組み合わせで構成することができる。いくつかの実施形態において、そのようなポリオールは、線状または分岐状であり得る。いくつかの実施形態において、芳香族成分を有するポリエステルを使用して、目的の用途のための耐薬品性または耐熱性などの代替性能特性を付与することができる。いくつかの実施形態において、コーティングは、100~4700ダルトンの分子量を有するポリオールからから、トリイソプロパノールアミンおよびトリメチロールプロパンなどの分岐を付与する多官能性試薬を使用して形成される。そのような選択された材料は、一緒に反応させて、特定の非反応性添加剤と組み合わせたときに、好都合に、本発明のいくつかの実施形態による部分的にコーティングされたフィルムのコーティング部分(複数可)の引き裂き抵抗の望ましい低減を提供することができる。
【0093】
例えば、限定されないが、グラビアコーティング、フレキソ印刷コーティング、およびオフセット印刷が挙げられる、コーティングが典型的にフィルムに適用される様々な技術を使用して、フィルムの外面の一部分のみ(例えば、表面積の25%未満)にコーティングを適用することができる。また、他の薄いコーティング技術も使用することができる。溶媒系および/または水系コーティング、ならびに接着剤を適用するための機器を有する当業者は、フィルムにポリウレタンコーティングを適用するために、それらのプロセスを容易に適合させて、本発明の部分的にコーティングされたフィルムを得ることができ、コーティングは、フィルムの外面の表面積の25%以下まで適用される。十分な動的粘度を達成するために、適用時の標的固体は、特定のコーティングに依存するが、いくつかの実施形態において、15%~80%の範囲であり得る。
【0094】
いくつかの実施形態において、部分的にコーティングされるフィルムの表面は、本明細書の教示に基づいて、当業者に知られている技術を使用して、コーティングを適用する前にコロナ処理することができる。
【0095】
いくつかの実施形態において、フィルムに適用されるコーティングの量は、1平方メートル当たり少なくとも1グラムであり得る。本明細書で使用される場合、コーティングの量は、コーティング前と、コーティングの適用後および乾燥後とのフィルムの重量の差を測定することによって決定される。いくつかの実施形態において、フィルムに適用されるコーティングの量は、1平方メートル当たり最大7グラムである。いくつかの実施形態において、フィルムに適用されるコーティングの量は、1平方メートル当たり1~7グラムである。1平方メートル当たり1~7グラムの全ての個々の値および部分範囲は、本明細書において含まれ、本明細書において開示され、例えば、コーティングの量は、1平方メートル当たり1、2、3、4、5、または6グラムの下限から1平方メートル当たり2、3、4、5、6、または7グラムの上限までであり得る。いくつかの実施形態において、コーティングの量は、いくつかの実施形態において、1平方メートル当たり2~4グラムの量である。
【0096】
先に考察したように、本発明の部分的にコーティングされたフィルムの様々な実施形態は、例えば、部分的にコーティングされたフィルムの一部分の低い引き裂き抵抗、部分的にコーティングされたフィルムの一部分の低い穿刺抵抗、および/または他の特性を含む、1つ以上の望ましい特性を有することができる。
【0097】
本発明のいくつかの実施形態によれば、部分的にコーティングされたフィルムは、機械方向または横断方向のうちの少なくとも1つにおいてエルメンドルフ引き裂き強度値を有し、この強度は、同じ方向において、非コーティング部分のエルメンドルフ引き裂き強度の少なくとも20%未満であり、エルメンドルフ引き裂き強度は、ASTM D1922に従って測定される。いくつかの実施形態において、機械方向および横断方向の両方におけるエルメンドルフ引き裂き強度は、それぞれ、対応する方向における非コーティング部分のエルメンドルフ引き裂き強度少なくとも20%未満であり、エルメンドルフ引き裂き強度は、ASTM D1922に従って測定される。いくつかの実施形態において、ASTM D1922に従って測定したときに、フィルムの非コーティング部分のエルメンドルフ引き裂き強度は、少なくとも50グラムである。
【0098】
本発明の実施形態はまた、積層体にも関し、積層体は、本発明の実施形態のいずれかによる、本明細書に記載される部分的にコーティングされたフィルムを備える。部分的にコーティングされたフィルムは、コーティングがその外面の一部分に適用される前または後のいずれかに、別のフィルムにも積層することができる。当業者に知られている様々な方法を使用して、本発明の部分的にコーティングされたフィルムを別のフィルムに積層することができる。例えば、限定されないが、無溶媒接着剤を乾燥積層プロセスの一部として利用することができる。適切な市販の無溶媒接着剤としては、例えば、限定されないが、The Dow Chemical CompanyからのMOR-FREE(商標)が挙げられる。
【0099】
例えばフィルムの使用目的に依存して、様々な異なる積層体を形成することができる。例えば、積層体を使用してパッケージを形成しようとした場合、パッケージのサイズ、パッケージの種類、パッケージの所望の外観、パッケージの内容物、および他の要因が、本発明の部分的にコーティングされたフィルムを形成するために使用されるフィルム、積層されるフィルムを選択する際に重要になり得る。他のフィルムは、同じく上で提示したような様々な要因に応じて、単層フィルムまたは多層フィルムとすることができる。いくつかの実施形態において、本発明の部分的にコーティングされたフィルムは、ポリエチレンフィルムであり、また、別のポリエチレンフィルムに積層される。いくつかの実施形態において、本発明の部分的にコーティングされたフィルムは、ポリプロピレンフィルムであり、また、ポリエチレンフィルムに積層される。いくつかの実施形態において、本発明の部分的にコーティングされたフィルムは、ポリエチレンフィルムであり、また、ポリプロピレンフィルムに積層される。いくつかの実施形態において、本発明の部分的にコーティングされたフィルムは、ポリプロピレンフィルムであり、また、別のポリプロピレンフィルムに積層される。いくつかの実施形態では、互いに積層されるフィルムのどちらも配向されない。
【0100】
本発明の実施形態はまた、本明細書に開示される部分的にコーティングされたフィルムのいずれかから形成される物品にも関する。いくつかの実施形態において、物品は、パッケージである。いくつかの実施形態において、パッケージは、本発明による第1の部分的にコーティングされたフィルムと、本発明による第2の部分的にコーティングされたフィルムと、を備える。いくつかの実施形態において、パッケージは、本発明による部分的にコーティングされたフィルムと、第2のフィルムと、を備える。いくつかの実施形態において、本発明による部分的にコーティングされたフィルムは、任意の適切な構造のフィルムであるか、シートであるか、形成容器であるかにかかわらず、熱封止可能な側または表面(例えば、部分的にコーティングされていない表面)を使用して、別の熱封止可能な表面に熱封止される。代替的に、パッケージは、折り畳まれ、形成され、そして熱封止される本発明の単一の部分的にコーティングされたフィルムから形成することができる。
【0101】
いくつかの実施形態において、パッケージは、パウチ、サッシェ、直立パウチ、部分的にコーティングされたフィルムから形成される蓋を有するトレイ、設計された引き裂き領域を有するピローパウチ、その他、のうちの1つ以上の形態である。そのようなパッケージは、本明細書の開示に基づいて、当業者に知られている技術を使用して形成することができる。
【0102】
いくつかの実施形態において、パッケージは、消費者またはユーザによるパッケージの開口を容易にするように、部分的にコーティングされたフィルムのコーティング部分が位置決めされるように設計することができる。
【0103】
図1は、起立パウチ5の形態におけるパッケージの開口を例示する。パウチ5は、本発明の一実施形態による部分的にコーティングされたフィルムから形成される。パウチ5は、ポリウレタンコーティングでコーティングされたコーティング部分10と、非コーティング一部分15と、を含む。コーティング部分10は、パウチを開口するのを容易にするために、パウチ5の上縁部に近接している。コーティング部分10は、ユーザがパウチ5を開口するための案内を提供するために、コーティング部分10に沿ってミシン目20が入れられる。コーティング部分10のより低い引き裂き強度のため、ユーザは、パウチ5をより容易に開口することができる。パウチの頂部分25は、ユーザがパウチ5の内容物にアクセスするために取り除かれる。図1に示されていないが、頂部分25を取り除くための引き裂きの開始を容易にするために、パウチ5の側縁部にノッチを形成することができる。
【0104】
図2は、ストロー55の飲料容器50への挿入を例示する。飲料容器50は、本発明の一実施形態による部分的にコーティングされたフィルムから形成されたパウチ型容器である。示される実施形態において、ポリウレタンコーティングでコーティングされたコーティング部分60は、ストロー55が挿入される場所の小さい円形領域のみである。コーティング部分60のより低い穿刺または引き裂き強度のため、ユーザは、ストロー55を容易に挿入して容器60の飲料にアクセスすることができる。
【0105】
図3は、蓋85を有するトレイ80の形態におけるパッケージの開口を例示する。トレイ80は、示される実施形態においては熱形成されたフィルムであるが、他の材料から構築することもできる。蓋85は、本発明の一実施形態による部分的にコーティングされたフィルムから形成される。蓋85は、ポリウレタンコーティングでコーティングされたコーティング部分90を含む。コーティング部分90は、トレイ80からの蓋85の取り外しを容易にするように蓋85の外周の周囲に延在する。コーティング部分90のより低い引き裂き強度のため、ユーザは、蓋85をトレイ80からより容易に取り除くことができる。
【0106】
図4は、蓋105を有するトレイ100の形態におけるパッケージの別の実施形態を例示する。この実施形態において、パッケージは、パッケージの頂部分110を取り除くことによって開口するように設計される。したがって、ポリウレタンコーティングを有するコーティング部分115が、パッケージの頂部分110全体にわたって延在する。頂部分110を取り除くための引き裂きの開始を容易にするために、ノッチ120がトレイ100の側縁部125に提供される。
【0107】
パッケージを形成するために使用される、部分的にコーティングされたフィルムの厚さは、例えば、パッケージのサイズ、パッケージの容量、パッケージの内容物、パッケージの所望の特性、および他の要因を含む、いくつかの要因に応じて選択することができる。いくつかのそのような実施形態において、部分的にコーティングされたフィルムは、本発明のパッケージに使用される厚さが、20~200ミクロンの厚さを有する。20~200ミクロンの全ての個々の値および部分範囲は、本明細書において含まれ、本明細書において開示され、例えば、部分的にコーティングされたフィルムの厚さは、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、または190ミクロンの下限から、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、または200ミクロンの上限までであり得る。いくつかの実施形態において、部分的にコーティングされたフィルムは、25~100ミクロンの厚さを有する。
【0108】
本発明のパッケージによる収納するのに適切な内容物の非限定的な例としては、可食物(飲料、スープ、チーズ、穀類)、液体、シャンプー、油、ワックス、緩和剤、ローション剤、保湿剤、薬剤、ペースト、界面活性剤、ゲル、接着剤、懸濁液、溶液、酵素、石鹸、化粧品、リニメント剤、流動性微粒子、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0109】
以下、本発明のいくつかの実施形態を以下の実施例において説明する。
【実施例
【0110】
実施例1
ポリウレタンコーティングのための反応体組成物の調製
以下の実施例のうちのいくつかは、本発明の一実施形態によるポリウレタンコーティングでコーティングされた単層フィルムを含む。これらの実施例で使用されるポリウレタンコーティング(PUコーティング1)は、以下のように2つの反応体組成物から調製することができる。
【0111】
反応体組成物Aは、ヒドロキシル末端ウレタンを含み、以下の成分から調製される:
【表1】
【0112】
反応組成物Aを調製するために、TIPAを溶融させる。ポリエーテルジオール(425の公称分子量)を反応器内に真空装填する。溶融したTIPAを反応器内に真空装填し、続いてポリエーテルポリオール(VORANOL220-110N)を装填する。真空ラインを酢酸エチルですすぎ、反応器の内容物を75RPMで撹拌する。酢酸エチルを反応器内に真空装填する。冷却ジャケットを介して、反応器の内容物を冷却する。冷却後、TDIを反応器に装填し、真空ラインを酢酸エチルですすぐ。反応の発熱性のために、反応器の内容物を75℃の温度に冷却する。4時間撹拌しながら反応器内の温度を75℃に保つ。次いで、反応器の内容物を60℃に冷却し、粘度を測定する。粘度が<2500cPである場合、反応器の内容物を40℃に冷却し、0.393重量パーセント(元のTDI仕込み量に基づいて)のTDIを添加し、混合タンク内容物を75℃に加熱し、1時間75℃に保つ。粘度が>2500cPである場合、消泡剤と残りの酢酸エチルとの混合物を反応器に真空装填する。次いで、内容物を30分間撹拌する。次いで、反応器を50℃に冷却し、反応組成物Aを使用のために包装する。
【0113】
反応組成物Bは、イソシアネート官能性プレポリマーを含み、以下の成分から調製される:
【表2】
【0114】
反応組成物Bを調製するために、添加剤および潤滑剤を予備混合して、50℃に保持する。トリメチロールプロパンを反応器に装填し、続いて酢酸エチルを装填する。TDI、続いてすすぎ液として残りの酢酸エチルを反応器に真空装填する。バッチを70℃で3時間保つ。次いで、バッチを55℃に冷却する。バッチの粘度を測定する。粘度が<380cPである場合、トリメチロールプロパンを添加することによって、バッチの粘度を>380cPに調整する。粘度が>380cPである場合、または追加のトリメチロールプロパンを添加した後、反応器を55℃に冷却する。予備混合した添加剤/潤滑剤を反応器に真空装填する。次いで、シクロヘキサンを反応器に添加し、内容物を45℃に保ち、内容物が透明になるまで45分間撹拌する(例えば、添加剤は溶解されていなければならない)。次いで、塩化ベンゾイルを反応器に真空装填し、内容物を15分間撹拌する。次いで、反応組成物Bを、使用のためにパッケージする。
【0115】
上述の考察は、コーティング供給業者によって提供され得る、また、本発明のいくつかの実施形態のためのポリウレタンコーティングを形成するために使用することができる、2つの成分(反応組成物Aおよび反応組成物B)の合成を説明している。後で考察されるように、反応体組成物Aおよび反応体組成物Bをフィルムに適用し、(例えば、フィルムコンバーターによって)反応させて、フィルム上にポリウレタンコーティングを形成することができる。一般に、一部の反応体組成物Aを一部の反応体組成物Bと混合する。これらの組成物を確実に均質にするために一緒に混合し、目標コーティング重量で目標フィルム上に適用する。これらの試料の十分な動的粘度を達成するために、適用時の目標固形分は、約30%でなければならない。好適なコーティング技術は、コーティング技法は、均しナイフの有無にかかわらず、ロールで適用され、直接グラビアまたはリバースグラビアのいずれかである。次いで、溶媒を強制乾燥または空気乾燥加熱オーブンによって除去する。反応体組成物Aと反応体組成物Bとのウレタン反応は、溶媒除去時に始まる。1:1の混合比で、理論的なイソシアネート指数は、約1.4:1である。これらの実施例の目的で、反応体組成物Aおよび反応体組成物Bから形成されるポリウレタンコーティングは、PUコーティング1と称するものとする。
【0116】
これらの実施例において使用する比較コーティングは、Siegwerk 11V143FGである。このコーティングは、フレキソ印刷、輪転グラビア、またはオフセット印刷プロセスのいずれかを使用して、さらにはコータを使用して一般に適用される、ベンチマークの高光沢オーバープリントワニス(OPV)である。基準OPVは、ポリウレタンを含まない単成分溶剤系材料である。以下の実施例では、比較コーティングと称する。
【0117】
2つの単層フィルムは、5層コリン共押出インフレーションフィルムラインで、2.0のブローアップ比および320mmの折り径を有する、80mmのダイを使用して形成される。各単層フィルムは、50ミクロンの公称厚さを有した。フィルム1は、DOWLEX(商標)TG 2085Bから形成され、0.919g/cmの密度および0.95g/10分のメルトフローインデックス(I)を有する直鎖状低密度ポリエチレンであり、The Dow Chemical Companyから市販されている。フィルム2は、DOWLEX(商標)2050Bから形成され、0.950g/cmの密度および0.95g/10分のメルトフローインデックス(I)を有する高密度ポリエチレンであり、The Dow Chemical Companyから市販されている。
【0118】
フィルム1およびフィルム2の試料は、それぞれ、PUコーティング1および比較コーティングの量を変動させてコーティングする。図5に示されるように、マイヤーバー125を使用して、コーティング混合物をフィルムに頂部から底部へ適用する。様々な試料を表1に要約する:
【表3】
【0119】
厚さ、機械方向および横断方向のエルメンドルフ引き裂き強度、ならびに機械方向および横断方向の2%割線係数を各フィルムについて測定する。エルメンドルフ引き裂き強度は、ASTM D1922に従って測定する。各試料について、エルメンドルフ引き裂き強度の測定を15回行って、平均する。ASTM D882-12に従って、Instron Universal試験機によって、2%の歪みでの割線係数を、機械方向(MD)および横断方向(CD)において測定する。各試料について、2%割線係数の5回の異なる測定を行って、平均する。結果を表2に示す。
【表4】
【0120】
表2に示されるように、本発明のフィルムは、それぞれが、対応する比較例よりも高い2%割線係数を示す。1.5g/mのコーティング量で、本発明のフィルムは、同じコーティング量の比較のフィルムよりも低い引き裂き抵抗を示す。引き裂き抵抗の低減は、4g/mのコーティング量においてより実質的である。本発明のフィルムの引き裂き抵抗の低減はまた、非コーティングフィルムに対しても示される。このデータは、PUコーティング1でフィルムを部分的にコーティングすることを使用して、パッケージの非コーティング部分に対して引き裂き抵抗を低減させた領域(または複数の領域)を提供して、パッケージを開口すること、または内容物にアクセスすることを容易にすることができることを証明する。
図1
図2
図3
図4
図5