(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】吸収性アセンブリを含む使い捨て吸収性衛生製品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/535 20060101AFI20220808BHJP
A61F 13/534 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
A61F13/535 200
A61F13/534 100
(21)【出願番号】P 2020551980
(86)(22)【出願日】2018-03-26
(86)【国際出願番号】 EP2018057656
(87)【国際公開番号】W WO2019185111
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2020-11-12
(73)【特許権者】
【識別番号】506215320
【氏名又は名称】エシティ・ハイジーン・アンド・ヘルス・アクチエボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】エドワード・ガイドッティ
(72)【発明者】
【氏名】リカルド・マイヤー・ノーレン
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-285513(JP,A)
【文献】特表2015-519186(JP,A)
【文献】特表平10-502550(JP,A)
【文献】特開2016-013209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/535
A61F 13/534
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの身体に対向するように意図された身体対向表面およびユーザの身体から離れた方を向くように意図された衣類対向表面を有する主要部分(10)を含む使い捨て吸収性衛生製品(1)であって、
前記主要部分は、前記身体対向表面に液体透過性トップシート(11)、前記衣類対向表面に液体不透過性バックシート(12)、および前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収性アセンブリ(13)を含み、
前記主要部分は、前端(14)および後端(15)を有し、前記前端から前記後端に向かう長手方向(L)を画定するとともに、前記長手方向に垂直な横方向(T)を画定し、
前記吸収性アセンブリは、500から1000mmの長手方向長さ(L
abs)および200から450mmの横幅(W
abs)を有し、横方向に延在する2本の仮想線(T1、T2)によって、前記吸収性アセンブリの長手方向長さの10から40%の長手方向長さを有する、前記前端の方の前部領域(Rf)と、前記吸収性アセンブリの長手方向長さの10から40%の長手方向長さを有する、前記後端の方の後部領域(Rb)と、前記前部領域と前記後部領域との間の中央領域(Rc)と、に分割され、
前記吸収性アセンブリは、任意選択で超吸収性ポリマーと混合された、0から30重量%の超吸収性ポリマー濃度であり、50から200g/m
2
のセルロース系繊維の秤量を有するセルロース系繊維を含む第1の吸収性コア(131)であって、前記吸収性アセンブリの長手方向の全長にわたって延在する第1の吸収性コア(131)と、前記中央領域に前記第1の吸収性コアと積層関係で配置されている第2の吸収性コア(132)とを含み、
前記第2の吸収性コア(132)は、20から70%の超吸収性ポリマー濃度であり、250から500g/m
2
のセルロース系繊維の秤量を有する、セルロース系繊維と超吸収性ポリマーとの混合物を含み、
前記前部領域および後部領域において、前記吸収性アセンブリは、任意選択で超吸収性ポリマーと混合されたセルロース系繊維を含み、超吸収性ポリマー濃度は、セルロース系繊維および超吸収性ポリマーの総重量に対して0から30重量%、セルロース系繊維の秤量は50から200g/m
2であり、
前記中央領域は、前記吸収性アセンブリの総保持容量の70%から100%を提供する、使い捨て吸収性衛生製品(1)。
【請求項2】
前記前部領域および後部領域において、前記吸収性アセンブリは粉砕セルロース系繊維を含む、請求項1に記載の製品。
【請求項3】
前記前部領域および後部領域における前記セルロース系繊維と任意選択で超吸収性粒子との混合物は、本開示において提供された秤量均一性を測定するための方法に従って測定して、多くとも20%の秤量変動係数を有する、請求項1または2に記載の製品。
【請求項4】
前記前部領域および後部領域において、前記超吸収性ポリマー濃度は少なくとも5重量%である、請求項1から3のいずれか一項に記載の製品。
【請求項5】
前記セルロース系繊維と超吸収性ポリマーとの混合物は、本開示において提供された保持容量の均一性を測定するための方法に従って測定して、g/g吸収性として計算される、多くとも20%の変動係数の保持容量、および/またはg/10cm
2として計算される、多くとも30%の変動係数の保持容量を有する、請求項4に記載の製品。
【請求項6】
前記中央領域は、前記吸収性アセンブリの総保持容量の75から95%を提供する、請求項1から5のいずれか一項に記載の製品。
【請求項7】
前記中央領域(Rc)の平面表面積は、前記吸収性アセンブリ(13)の平面表面積の多くとも75%である、請求項1から6のいずれか一項に記載の製品。
【請求項8】
前記中央領域(Rc)の保持容量/平面表面積は、前記前部領域(Rf)および後部領域(Rb)の保持容量/平面表面積の少なくとも2倍である、請求項1から7のいずれか一項に記載の製品。
【請求項9】
前記第1の吸収性コアは前記第2の吸収性コアと直接接触している、請求項
1から8のいずれか一項に記載の製品。
【請求項10】
前記中央領域の縦方向延在部は、前記第2の吸収性コアの縦方向延在部によって画定される、請求項
1から9のいずれか一項に記載の製品。
【請求項11】
前記前部領域の長手方向長さは、前記後部領域の長手方向長さの70から130%である、請求項1から
10のいずれか一項に記載の製品。
【請求項12】
ロスウェル法に従って測定した、少なくとも1000mlの総吸収容量を有する、請求項1から
11のいずれか一項に記載の製品。
【請求項13】
前記第2の吸収性コアは、前記第1の吸収性コアと前記バックシートとの間に配置され、または、前記第2の吸収性コアは、前記第1の吸収性コアと前記トップシートとの間に配置されている、請求項
1から12のいずれか一項に記載の製品。
【請求項14】
前記トップシート(11)と前記吸収性アセンブリ(13)との間に挟まれた捕捉層材料(16)を含む、請求項1から
13のいずれか一項に記載の製品。
【請求項15】
前記捕捉層材料は全体が前記中央領域のエリア内に配置されている、請求項
14に記載の製品。
【請求項16】
オープン型おむつ、パンツ型おむつ、ベルト型おむつ、失禁用パッドおよび吸収性インサートを含むリストから選択される、請求項1から
15のいずれか一項に記載の製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吸収性アセンブリを含む使い捨て吸収性衛生製品、ならびにこのような吸収性アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえばおむつ、失禁用衣類、パッド、インサートなどの形態の使い捨て吸収性衛生製品がよく知られている。このような物品は、使用中、着用者に高レベルの快適性および乾燥感を提供しながら、さまざまなタイプの身体滲出物、たとえば尿を吸収、分散および保存するために用いられている。従来の使い捨て吸収性製品は通常、トップシートとバックシートとの間に挟まれた吸収性コアで設計されている。
【0003】
失禁用製品の分野における使い捨て吸収性衛生製品のための一般的な要件は、液体処理および漏出対策である。液体処理については、たとえば製品が液体を吸収および保存することができる一方、製品によってカバーされた皮膚を乾燥させることが重要であり、漏出対策については、たとえば製品の外側へ身体滲出物が漏出すれば着用者は不快になり、下着、ベッドなどの汚れにつながり、結果としてたとえば介護者にかかる作業負荷が増加するため、このような漏出に対するリスクを減少させることが重要である。
【0004】
失禁用製品のためのコストおよび材料使用を削減したいという要望もある。それにもかかわらず、たとえば高齢者介護において大人が用いる失禁用製品は、着用者の泌尿生殖器領域を十分にカバーして着用者に適切に装着することができる比較的大きな物理的寸法を有する必要がある。
【0005】
先行技術において採られたアプローチは、液体処理および材料使用に関するいくつかの要件を満たしているが、依然としてさらなる改善の必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献】
【0007】
【文献】「Polyacrylate Superabsorbent Powders - Determination of the Fluid Retention Capacity in Saline Solution by Gravimetric Measurement Following Centrifugation」Standard Procedure、NWSP 241.0.R2(15)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示によれば、添付の特許請求の範囲に記載の使い捨て吸収性衛生製品が提供される。
【0009】
本開示による使い捨て吸収性衛生製品は、ユーザの身体に対向するように意図された身体対向表面およびユーザの身体から離れた方を向くように意図された衣類対向表面を有する主要部分を含み、主要部分は、身体対向表面に液体透過性トップシート、衣類対向表面に液体不透過性バックシート、およびトップシートとバックシートとの間に配置された吸収性アセンブリを含み、上記主要部分は、前端および後端を有し、上記前端から上記後端に向かう長手方向を画定するとともに、長手方向に垂直な横方向を画定する。
【0010】
このような製品において、吸収性アセンブリは、500から1000mmの長手方向長さおよび200から450mmの横幅を有する。
【0011】
このアセンブリは、横方向に延在する2本の仮想線によって、吸収性アセンブリの長手方向長さの10から40%の長手方向長さを有する、上記前端の方の前部領域と、吸収性アセンブリの長手方向長さの10から40%の長手方向長さを有する、上記後端の方の後部領域と、上記前部領域と上記後部領域との間の中央領域と、にさらに分割されている。
【0012】
前部領域および後部領域において、吸収性アセンブリは、任意選択で超吸収性ポリマーと混合された、超吸収性ポリマー濃度が0から30wt%、セルロース系繊維の秤量が50から200g/m2であるセルロース系繊維を含む。
さらに、中央領域は、吸収性アセンブリの総保持容量の70から100%を提供する。
【0013】
本開示による製品は、保持容量に関して、吸収容量の大部分を吸収性アセンブリの中央部分に集中させており、吸収容量が最も必要とされる領域にこれを集中させていることを意味する。本発明者らは、前部および後部領域には総保持容量の30%未満、たとえば5から20%を提供することで十分であり得ることを見出した。
【0014】
吸収性コアの前部領域および後部領域は、吸収性アセンブリの長手方向全長を延長し、これによって中央領域の前および後方においても液体を処理する余剰能力を提供しながら、この製品により所望の吸収力および漏出対策が提供されることになるという信頼もユーザに提供する。吸収性アセンブリの前部領域および後部領域はまた、この乾燥した製品の着用をより快適にする吸湿のような、製品に対する他の有益な効果、処理特性を有し、かつ製品の着用者への適切な装着を可能にする。同時に、セルロース系繊維の秤量は比較的低く保たれ、これは材料コストの観点から有益である。
【0015】
本開示のさらなる態様、利点および有利な特徴が、以下の説明および従属請求項に開示されている。
添付の図面に示す図を参照して、本開示を以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】オープン型おむつの形態の使い捨て吸収性衛生製品の上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1における使い捨て衛生製品はオープンおむつとして示しているが、本開示は、吸収性パッド、ベルト付きおむつ、パンツ状おむつおよび取り外し可能インサートのような、他のタイプの使い捨て吸収性衛生用品にも関するということが留意されるべきである。
【0018】
添付の図面を参照して、本開示の異なる態様を以下でより完全に説明する。しかしながら、本明細書に開示された実施形態は、多くの異なる形態で実現することができ、本明細書に記載の態様に限定されるとして解釈されるべきではない。
【0019】
使い捨て吸収性衛生製品1は、ユーザの身体に対向するように意図された身体対向表面およびユーザの身体から離れた方を向くように意図された衣類対向表面を有する主要部分10を含み、主要部分は、身体対向表面に液体透過性トップシート11、衣類対向表面に液体不透過性バックシート12、およびトップシートとバックシートとの間に配置された吸収性アセンブリ13を含む。
【0020】
本開示の文脈において「使い捨て」は、その通常の意味において用いられ、さまざまな長さの時間にわたる限られた数の使用事象後、たとえば、約10回未満、約5回未満、または1回後に処分または廃棄される物品を意味する。
【0021】
図1に示す使い捨て吸収性衛生製品において、トップシート11およびバックシート12は、吸収性アセンブリ13の外側輪郭の外側に延在し、熱または超音波による接着または溶接のような、当該技術において一般に知られている方法を用いて吸収性アセンブリ輪郭の外側で一緒に結合されている。
【0022】
主要部分10は、ユーザの前部(腹部)ウエスト領域にくるように意図された前端14と、製品が着用されたときにユーザの後部ウエスト領域にくるように意図された後端15と、を有する。主要部分は、前縁から後縁に向かう長手方向L、ならびに長手方向に垂直な横方向Tを画定する。
【0023】
長手方向側縁は、仮想長手方向中心線Cの両側で主要部分の前縁と後縁とを接続している。
【0024】
一対の前面側パネル21、22をそれぞれ、主要部分10にその前端またはその近くの長手方向側縁で取り付けることができる。一対の背面側パネル23、24もまた、主要部分10にその後端に近い長手方向側縁で取り付けることができる。
【0025】
背面側パネル23、24には、着用者の腰周りに使い捨て吸収性衛生製品を装着するため、対応する前面側パネル21、22の衣類対向表面に、または主要部分10の衣類対向表面に固定されるように意図された固定手段を設けることができる。固定手段25はたとえば、フックのような機械的固定具、または感圧接着剤とすることができる。
【0026】
当該技術において一般に知られているように、レッグカフを提供するために長手方向側縁の近くでトップシートとバックシートとの間に挟まれるように、概ね長手方向に延在する弾性手段17を主要部分10に取り付けることができる。このような弾性手段は、1つまたは複数の弾性糸、弾性フィルムストリップまたは弾性発泡体ストリップを含むことができ、使い捨て吸収性衛生製品1に長手方向の収縮力を加えるため、伸張状態で主要部分10に取り付けることができる。
【0027】
使い捨て吸収性衛生製品の身体対向側には液体透過性トップシート11が配置されている。トップシートに適切な材料は、使い捨て吸収性衛生製品の技術において一般に知られており、本開示の目的のため、不織材料および有孔ポリマーフィルムを含むが、これらに限定されない、トップシート材料として用いるために一般に知られている任意の材料を用いることができる。
【0028】
トップシート11は、尿のような排出体液がトップシート11の厚さを貫通することを可能にするのに適切に十分に流体透過性である。また、トップシート11は、柔軟で着用者の皮膚にとってソフトな感触の材料から適切に製造される。
【0029】
トップシート11は、織物および不織ウェブ、有孔フィルム、オープンセル発泡体、または上記の材料の組み合わせまたはラミネートのようなさまざまなウェブ材料から製造することができる。
【0030】
本開示の文脈において、「不織布」は、摩擦、および/または凝集および/または接着によって結合された、方向性を持って、または無作為に配向された繊維の製造されたシート、ウェブまたはバットであり、紙、および、織られ、編まれ、束ねられ、紡績糸またはフィラメントを結合することを含むステッチボンドされ、または追加で針を入れたか否かにかかわらず、湿式縮絨によってフェルト化された製品を除く。繊維は、天然または人工起源のものとすることができ、ステープルまたは連続フィラメントであり、またはその場で形成することができる。市販の繊維は、約0.001mm未満から約0.2mmを超える範囲の直径を有し、いくつかの異なる形態、すなわち短繊維(ステープル、またはチョップドとして知られている)、連続単繊維(フィラメントまたはモノフィラメント)、連続フィラメントの無撚束(粗麻)、および連続フィラメントの撚束(紡績糸)がある。不織布は、メルトブローイング、スパンボンディング、溶剤紡糸、エレクトロスピニング、およびカーディングのような多くのプロセスによって形成することができる。
【0031】
トップシート11に用いられるべき不織材料はたとえば、スパンボンド、スパンボンド/スパンボンド複合体、またはSMS(スパンボンド/メルトブローン/スパンボンド)、SSMS、SSMMS、SMMSのようなスパンボンド/メルトブローン複合体、ポリプロピレンまたはポリプロピレンおよびポリエチレンの二成分繊維の、またはこのような材料の組み合わせの不織材料で作製することができる。トップシート11は弾性特性を有することもできる。
【0032】
トップシート11は、尿がトップシートを貫通して下にある構造内へ達する傾向を改善するために親水化、親水性処理することができる。不織布を親水化するための方法は当業者に知られており、たとえば界面活性剤コーティングを塗布することによって、親水性モノマー組成物およびラジカル重合開始剤を不織布に塗布してから不織布で重合反応を開始させることによって、親水性ナノ粒子のコーティングを塗布することによって、または不織布表面を高エネルギー処理(コロナ、プラズマ)で処理することによって、不織材料を親水性コーティングでコーティングすることを含む。
【0033】
界面活性剤コーティングはたとえば、噴霧、スロットコーティング、キスロールコーティングおよび/または界面活性剤を含む浴に材料を浸漬することを含む任意の適切な手段によって不織材料に界面活性剤組成物を塗布することによって得ることができる。親水化処理は、吸収性用品の組み立て中にインラインで実行することができ、または別個に実行することができ、トップシートはこのとき使用準備済ロールとして使い捨て吸収性衛生製品製造工場に配送することができる。
【0034】
界面活性剤コーティングは、トップシート材料の全幅に塗布することができ、または中央に位置するゾーンに限定して、たとえば体液排出に直接さらされることが予想されるエリアに所望の親水性をトップシート材料に提供することができる一方、親水化ゾーンの横方向外側のエリアは疎水性にしておくこともできる。
【0035】
不織布の親水化に用いられる界面活性剤は、当該技術において一般に知られているように、衛生用途における使用に適した任意の既知の界面活性剤とすることができる。適切な表面活性剤は、任意のカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、アミンオキシドタイプの界面活性剤、および衛生用途における使用に適したシリコーンベースの界面活性剤を含むことができ、トップシートと尿との間の接触角を低下させるはずである。適切な界面活性剤はまた、比較的長く続く親水化効果を不織布に提供し、すなわち不織布から容易に洗い流されず、尿のような水性液体との接触後も大部分は留まる。
【0036】
適切な表面活性剤の例は、Silastol PHP26、Silastol PHP 28、Silastol 163、Silastol PHP 207 (Schill & Seilacher GmbH)、Stantex S 6327 (Cognis)、Duron OS 1547、Duron OF 4012 (CHT/BEZEMA)、Nuwet 237およびNuwet 550 (Momentive Performance Chemicals)である。
【0037】
トップシート材料は、8から20g/m2、たとえば12から17g/m2の秤量を有し得る。しかしながら、本開示は、この秤量を有するトップシート材料のみに限定されない。
【0038】
トップシート材料は、NWSP(Nonwoven Standard Procedure:不織布標準手順)070.3.R0(15)の方法に従って測定して、多くとも7、たとえば1から7、たとえば2から6秒の裏抜け時間を有することができる。
【0039】
例示的なトップシートは、8から20g/m2の秤量を有する親水性処理されたポリプロピレンスパンボンドまたはスパンボンド-メルトブローン-スパンボンド不織布である。
【0040】
本開示による製品に用いるのに適したトップシート材料は、たとえばFitesa(ブラジル、グラヴァタイー)およびBerry Global(米国、インディアナ)から市販されている。
【0041】
使い捨て吸収性衛生製品の衣類対向側にはバックシート12が配置されている。バックシートとして適切な材料は、使い捨て吸収性衛生製品の技術において一般に知られている。バックシート12は、吸収性アセンブリによって吸収された滲出物が、ベッドシーツおよび下着のような、使い捨て吸収性衛生製品に接触する可能性のある他の外部用品を汚すことを防止する。バックシート12は好ましくは、尿のような液体に対して実質的に不透過性とすることができる。
【0042】
バックシートは、実質的に液体不透過性であるが、通気性、すなわち気体透過性とすることができ、空気および他の気体がバックシート12を通過することができる一方、液体に対しては実質的に不透過性であることを示す。
【0043】
本開示の目的のため、高分子フィルム、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリエチレンまたはポリプロピレンの共重合体のフィルム、疎水化不織材料、流体不透過性発泡体および流体不透過性ラミネートを含むが、これらに限定されない、バックシート材料として用いるために一般に知られている任意の材料をバックシートに含めることができる。
【0044】
バックシートは、1つまたは複数の材料の層を含むことができる。たとえば、バックシートは、吸収性アセンブリの方の液体不透過性高分子フィルムおよび衣類側の方の不織布のラミネートとし、使い捨て吸収性衛生製品の外表面に織物のソフトな感触を提供することができる。
【0045】
トップシート11とバックシート12との間には吸収性アセンブリ13が配置されている。使い捨て吸収性衛生製品における使用に適した吸収性アセンブリ13自体が、本開示の別個の態様を構成することがここで留意されるべきである。
【0046】
吸収性アセンブリ13は、前端から後端までの長手方向、および長手方向に垂直な横方向を画定する。使い捨て吸収性衛生製品において、吸収性アセンブリは、アセンブリの長手方向が使い捨て吸収性衛生製品の長手方向に平行となるように位置が合わせられ、吸収性アセンブリの前端は使い捨て吸収性衛生製品の前端の方にあり、アセンブリの後端は使い捨て吸収性衛生製品の後端の方にある。
【0047】
吸収性アセンブリ13は、500から1000mm、たとえば550から750mm、たとえば570から700mmの長手方向長さLabs、および200から450mm、たとえば220から350mm、たとえば230から300mmの横幅Wabsを有する。
【0048】
本開示の文脈において、長手方向長さは、指定された部分またはサブ部分の長手方向における最も長い長さとして理解されるべきである。同様に、横幅は、指定された部分またはサブ部分の横方向における最も広い幅として理解されるべきである。
【0049】
本開示の目的のため、特に明記しない限り、使い捨て吸収性衛生製品の長さ、幅および他の寸法は、使い捨て吸収性衛生製品が平坦な表面上で弛緩した平らな状態で、いかなる収縮弾性体も非作用な状態で測定される。
【0050】
吸収性アセンブリは、横方向に延在し、長手方向に離間した2本の仮想線T1、T2によって、(i)吸収性アセンブリの長手方向長さの10から40、たとえば15から30、たとえば17から25%の長手方向長さを有する前縁の方に配置された前部領域Rf、(ii)吸収性アセンブリの長手方向長さの10から40、たとえば15から30、たとえば17から25%の長手方向長さを有する後縁の方に配置された後部領域Rb、および(iii)上記前部領域と上記後部領域との間の中央領域Rc、に分割されている。誤解を避けるため、前部、中央および後部領域Rf、Rc、Rbは重なり合わず、一緒に吸収性アセンブリ13全体を構成する。
【0051】
中央領域Rcの平面表面積は、全吸収性アセンブリの平面表面積より著しく小さい。たとえば、中央領域Rcの平面表面積は、全吸収性アセンブリの平面表面積の75、多くとも60、多くとも40、または多くとも30%とすることができる。
【0052】
本明細書で用いられるとき、吸収性アセンブリまたはその一部の「平面表面積」という用語は、製品がいかなる弾性体も除去または非作用化された状態で平らにされた状態で平坦な表面上に配置されたときに吸収性アセンブリまたはその一部によってカバーされる(背後に隠される)平坦な表面の表面積に対応する。
【0053】
前部領域Rfおよび後部領域Rbにおいて、吸収性アセンブリは、セルロース系繊維と任意選択で超吸収性ポリマーとの混合物を含み、超吸収性ポリマー濃度は、セルロース系繊維および超吸収性物品の総重量に対して、0から30、たとえば5から20、たとえば8から15重量%、セルロース系繊維の秤量は、50から200、たとえば70から170、たとえば100から150g/m2である。
【0054】
前部および後部領域において、良好な液体処理と材料使用との間の有利なバランスを有する吸収性アセンブリおよび使い捨て吸収性衛生製品を提供するため、吸収性アセンブリが、たとえば少なくとも5%、たとえば5から20、たとえば8から15重量%の濃度で超吸収性ポリマーを含むことが有利であり得る。
【0055】
セルロース系繊維と超吸収性ポリマーとの混合物は、吸収性アセンブリの前部および後部領域において均一に分布させることができ、すなわちセルロース系繊維の秤量および超吸収性ポリマー濃度は、それぞれ前部および後部領域全体にわたって本質的に一貫している。前部および後部領域において均一に分布したセルロース系繊維と超吸収性ポリマーとの混合物により、これらの領域は、いかなる意図しない開口/材料の不連続なしで本質的に連続した材料の層を提供することが可能になる。意図しない開口または材料の不連続により、液体処理特性が損なわれる可能性があり、製品の性能におけるユーザの信頼を低下させるおそれもある。
【0056】
吸収性アセンブリの前部および後部領域において、超吸収性ポリマーと任意選択で混合されたセルロース系繊維は、本開示において提供される秤量の均一性を測定するための方法に従って測定して、多くとも20、好ましくは多くとも15、より好ましくは多くとも10%、さらにより好ましくは多くとも5%の秤量変動係数を有することができる。
【0057】
吸収性アセンブリの前部および後部領域において、これらの領域における超吸収性ポリマー濃度が5%を超えるとき、セルロース系繊維と超吸収性ポリマーとの混合物は、本開示において提供される保持容量の均一性を測定するための方法に従って測定して、多くとも20、好ましくは多くとも15、より好ましくは多くとも10、さらにより好ましくは多くとも5%の変動係数で、g/g吸収性として計算される保持容量を有することができる。
【0058】
吸収性アセンブリの前部および後部領域において、これらの領域における超吸収性ポリマー濃度が5%を超えるとき、セルロース系繊維と超吸収性ポリマーとの混合物は、本開示において提供される保持容量の均一性を測定するための方法に従って測定して、多くとも30、好ましくは多くとも25、より好ましくは多くとも20、さらにより好ましくは多くとも15、最も好ましくは多くとも10%の変動係数で、g/10cm2吸収性として計算される保持容量を有することができる。
【0059】
さらに、中央領域Rcは、本開示において提供されるような吸収保持容量を測定するための方法に従って、吸収性アセンブリの全吸収保持容量の70から100、たとえば75から95、たとえば80から90%を提供する。
【0060】
中央領域Rcの保持容量/平面表面積、すなわち中央領域の保持容量を中央領域の平面表面積で割ったものは、前部領域Rfおよび後部領域Rb、それぞれの保持容量/平面表面積の少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍または少なくとも5倍など、著しく高くすることができる。前部領域Rfおよび後部領域Rbの保持容量/平面表面積は、本質的に等しくてもよく、または20%未満だけ異なってもよい。
【0061】
ロスウェル法、ISO 11948に従って測定して、製品の総吸収容量は、少なくとも1000ml、たとえば1000から3000mlとすることができる。
【0062】
前部領域Rfおよび後部領域Rbの長手方向長さは、等しくても異なってもよい。たとえば、前部領域Rfの長手方向長さは、後部領域Rbの長手方向長さの70から130、たとえば80から120、または90から110%とし、意図されたユーザに応じて、保持容量の大部分が存在する中央領域の調整された位置決めを可能にすることができる。
【0063】
本開示による吸収性アセンブリにおいて、仮想線T1、T2は、前部、中央および後部領域、Rf、Rc、Rb、それぞれの設定要件を満たしながら、前部および後部領域Rf、Rbの長手方向長さが、それぞれ最大になるように配置されている。換言すれば、前部および後部領域において、吸収性アセンブリが、超吸水性ポリマーと任意選択で混合されたセルロース系繊維を含み、超吸水性ポリマー濃度が、セルロース系繊維および超吸収性ポリマーの総重量に対して0から30重量%であり、セルロース系繊維の秤量が50から200g/m2であるという、RfおよびRbの要件は、Rcのいかなるサブ部分、2本の長手方向に分離された横線によって画定されたこのようなサブ部分においても満たされない。
【0064】
図1および
図2に示すように、吸収性アセンブリ13は、2つの吸収性コア、積層関係にある第1の吸収性コア131および第2の吸収性コア132を含むことができ、すなわち第2の吸収性コアの両方の長手方向端部が、第1の吸収性コアの長手方向端部の間に、長手方向内側にあるように、互いの上に配置されている。積層関係にある2つの吸収性コアに基づく吸収性アセンブリが、本開示による使い捨て吸収性衛生製品のための有利な設計を提供する。
【0065】
第1の吸収性コア131は、任意選択で超吸収性ポリマーと混合されたセルロース系繊維を含むことができ、超吸収性ポリマー濃度は、セルロース系繊維および超吸収性ポリマーの総重量に対して、0から30、たとえば5から20、たとえば8から15重量%であり、セルロース系繊維の秤量は、50から200、たとえば70から170、たとえば100から150g/m2である。第1の吸収性コアは、吸収性アセンブリの長手方向の全長にわたって延在する。
【0066】
上記の標準偏差および/または秤量の変動係数および/または吸収性アセンブリの前部および後部領域の超吸収性ポリマー分布は、吸収性アセンブリが第1および第2の吸収性コアを含む本開示の一実施形態における完全な第1の吸収性コアに適用することもできる。
【0067】
第2の吸収性コア132は、上記中央領域に配置され、第2の吸収性コア132の長手方向延在部は、中央領域Rcの長手方向延在部と一致し、横線T1、T2は、第2の吸収性コア132の長手方向最外端と一致するようになっている。
【0068】
第2の吸収性コア132は、使い捨て吸収性衛生製品における使用に適しているとして一般に知られている任意のタイプのものとすることができ、たとえば、吸収性コアは、セルロース系繊維と超吸収性ポリマーとの混合物、または100重量%までの超吸収性材料を含むような、本質的にセルロースのない吸収性構造とすることができる。
【0069】
第2の吸収性コア132はたとえば、20から70、たとえば25から50、たとえば30から40wt%の超吸収性ポリマー濃度で、250から500、たとえば300から450g/m2のセルロース系繊維の秤量を有する、セルロース系繊維と超吸収性粒子との混合物を含むことができる。
【0070】
第2の吸収性コア132の平面表面積は、第1の吸収性コアのそれより小さく、たとえば、第1の吸収性コア131のそれの75%未満、たとえば60%未満または50%未満、たとえば40から75%とすることができる。
【0071】
図1に示す実施形態において、第2の吸収性コア132は、第1の吸収性コア131とバックシート12との間に配置され、第1の吸収性コア131の衣類対向側にある。代替実施形態において、第2の吸収性コア132は、第1の吸収性コア131とトップシート11との間に配置され、吸収性コア131の身体対向側にあり得る。
【0072】
第2の吸収性コアが第1の吸収性コアとバックシートとの間に配置された本開示による使い捨て吸収性衛生製品において、第1の吸収性コアは、流体をトップシートから、液体保持容量の大部分が集中している第2の吸収性コア内へ向けるための移送層として部分的に作用することができ、これによって製品における良好な液体処理に貢献している。
【0073】
第1の吸収性コア131および第2の吸収性コア132は互いに直接接触することができ、2つのコアの間には、組織または不織コアラップ層のような、追加の材料層がないことを意味する。
【0074】
セルロース系繊維および超吸収性ポリマーからなるコアは一般に、たとえばセルロース系材料をセルロース系繊維に縮絨、粉砕し、この繊維を超吸収性ポリマーと混合し、混合物をコア形成ドラム上に堆積させ、コアを減量してから、ドラムを、使い捨て吸収性衛生製品のウェブ材料、たとえばトップシート材料ウェブまたはバックシート材料ウェブのような基材に移すことによって、当業者に知られている異なる方法によって製造することができる。このようなコアは一般にエアフェルトベースコアとして知られている。本開示の吸収性アセンブリにおいて、少なくとも前部領域Rfおよび後部領域Rb、たとえば第1の吸収性コア131および任意選択で第2の吸収性コア132は、任意選択で超吸収性ポリマーと混合された、エアフェルトベース、すなわち粉砕セルロース系繊維に基づくことができる。
【0075】
セルロース系繊維の秤量が低いコアにおいて、過度の凝集により、製品性能および外観および製品を信頼するユーザの傾向に、したがって製品を用いる意欲に有害な、望ましくない穴/開口がコア層に生じる可能性がある。
【0076】
ミルをコア形成ドラムの非常に近くに配置して、たとえばミルからコア形成ドラムへの経路における縮絨繊維の凝集を防止することによって、高い秤量の均一性、すなわち低い秤量の変動係数を達成することができる。超吸収性ポリマーの良好な分布のため、コア形成ドラム上への堆積の前に縮絨繊維との良好な混合を達成するため、ミルの近くでSAPを加えることが有利であり得る。
【0077】
縮絨、粉砕され、次いで本開示による吸収性コアにおいて用いられ得るセルロース系材料は、当該技術においてよく知られており、木材パルプ、綿、亜麻およびピートモスを含む。木材パルプが好ましい。パルプは、機械的または化学機械的、亜硫酸塩、クラフト、パルプ化拒絶材料、有機溶剤パルプなどから得ることができる。軟木および硬木の両方の種が有用である。軟木パルプが好ましい。本材料において用いるためにセルロース系繊維を化学剥離剤、架橋剤などで処理する必要はない。製品の柔軟性を向上させるためにパルプの一部を化学的に処理することができる。材料の柔軟性は、材料を機械的に加工または材料を柔らかくすることによっても向上させることができる。
【0078】
吸収性アセンブリは、主要部分内で長手方向に集中させることができ、すなわち吸収性アセンブリ13の前縁から主要部分10の前縁までの長手方向距離Dfは、吸収性アセンブリ13の後縁から主要部分10の後縁までの長手方向距離Dbに等しく、またはDbは、製品内の吸収保持容量の位置を調整するためにDfとは異なってもよい。たとえば、距離DfおよびDbは独立して100から300mmとすることができる。
【0079】
図1に示すように、吸収性アセンブリの外側輪郭は砂時計形状とすることができ、中央領域Rcの幅が前部領域Rfおよび後部領域Rbそれぞれの幅より狭くなるようになっており、後部領域および前部領域の幅は同じでも異なってもよい。たとえば、後部領域を前部領域より広くすることができる。
【0080】
代替実施形態において、吸収性アセンブリの外側輪郭は、長方形または楕円形のような、異なる形状をとることができる。
【0081】
超吸収性ポリマーは、吸収性製品の分野においてよく知られており、このような製品の吸収特性を向上させるのを助けるために用いられる。超吸収性ポリマーは、ヒドロゲルの形成時に大量の流体を吸収することができる、たとえばNWSP241.0.R2(15)の方法に従って測定して、その重量の少なくとも5倍の0.9%食塩水を吸収することができる、水膨潤性および水不溶性ポリマーによって構成されている。本開示に従って用いるための超吸収性ポリマーは、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、架橋デンプン、グアーガム、キサンタンガム、架橋ポリアクリレートなどのような、無機または有機架橋親水性ポリマーとすることができる。ポリマーは、たとえば、粉末、顆粒、微粒子、フィルム、発泡体および繊維の形態とすることができる。流体と接触すると、このような超吸収性ポリマーは、流体をその構造内へ吸収することによって膨潤する。一般に、超吸収性ポリマーは、このような物品内へ侵襲した流体を迅速に吸収することができ、このような液体を保持して漏出を防止し、流体侵襲後でも乾燥感を提供するのに役立つことができる。
【0082】
本発明の吸収性アセンブリにおいて用いられる超吸収性ポリマーのタイプは、同じであっても、またはアセンブリ内で異なってもよい。たとえば、第1のセットの特性を備えた超吸収性ポリマーを、吸収性アセンブリの前部および後部領域において、または第1の吸収性コアにおいて用いることができ、第2のセットの特性を備えた超吸収性ポリマーを、吸収性アセンブリの中央領域において、または第2の吸収性コアにおいて用いることができる。このセクションにおいて言及した特性とはたとえば、遠心分離保持容量(CRC)、荷重下吸収力(AUL)、および/またはゲル層透過性(GLP)である。
【0083】
上で議論したような第1および/または第2の吸収性コアは、吸収性コアの厚さに沿って、すなわち吸収性コアの身体対向側から衣類対向側への方向に沿って、超吸収性ポリマーの均一なまたはプロファイルされた分布を有することができる。たとえば、超吸収性ポリマーの大部分、たとえば少なくとも50、たとえば70から95wt%は、吸収性コアの厚さ方向の中間領域に配置することができる。中間部分はたとえば、コアの全厚の50%以下、たとえば30から50%を構成することができ、この中間領域は、身体対向領域と衣類対向領域との間に挟まれて配置され、それぞれが吸収性コアの厚さ方向の残りの半分を構成し、衣類対向領域および身体対向領域は一緒に超吸収性ポリマー量の残りを含む。厚さ方向の3つの領域は、明確に区別可能であり、互いに容易に分離可能であっても、または互いに一体であってもよい。
【0084】
本開示によれば、使い捨て吸収性衛生製品は、トップシート11と吸収性アセンブリ13との間に配置された捕捉層16を含み得る。
【0085】
図1に示すように、このような捕捉層16は、吸収性アセンブリの中央領域R
cの上に、トップシート11と吸収性アセンブリ13との間に挟んで配置することができる。捕捉層は、少なくとも部分的に、たとえば完全に中央領域R
c内にあり得る。たとえば、捕捉層16の輪郭は、平坦な表面上で製品が平らにされた状態で上から見たとき、完全に第2の吸収性コア132の輪郭内にあり得る。
【0086】
本開示の吸収性アセンブリは、尿のような、大量の滲出物を受容および保持するように意図されているが、トップシートと吸収性アセンブリとの間に捕捉層を含めて、大量の液体の中間捕捉を提供すると同時に、衝撃の直接の場所から離れて液体を分配するための層を提供することは有利であり得る。
【0087】
当該技術において移送層、またはADL(捕捉および分配層)とも呼ばれる、捕捉層として適切な材料は、使い捨て吸収性衛生製品の技術において一般に知られており、本開示の目的のため、捕捉層として有用であるとして当業者に知られている任意の材料を用いることができる。捕捉層はたとえば、エアレイド層、スパンレース層、ハイロフト、発泡体、または吸収性用品に用いられて液体捕捉および吸収層として作用することができる任意の他のタイプの材料層の形態とすることができる。捕捉層は、排出された液体が吸収性コアによって吸収される前にこれを迅速に受容および一時的に保存するように適切に適合されている。このような捕捉層はたとえば、エアレイド不織布、スパンレース不織布、ハイロフト不織布または発泡体材料で構成することができる。エアレイド不織布は、フラッフ、木材パルプで製造することができ、ここでフラッフ繊維は、高速移動気流内へ分散され、圧力および真空によって移動スクリーン上へ凝縮される。捕捉層は好ましくは、ポリエステル繊維のスルーエアボンド不織布のものとすることができる。
【0088】
捕捉層は、20から100、たとえば30から80、たとえば40から60g/m2の秤量を有することができる。
【0089】
捕捉層は、物品が用いられる前に十分に高いキャリパを有するが、物品が外圧にさらされるときの使用条件においても高いキャリパを維持することができる。捕捉層は、NWSP 120.6.R0(15)、方法オプションAの方法に従って測定して0.5kPaの圧力で、0.5~3mm、たとえば0.9から2mm、たとえば1から1.5mmのキャリパを有することができる。
【0090】
1つの例示的な捕捉材料は、商品名B5でBerry Italyから市販されており、約50重量%のポリエステル繊維とポリエステルの二成分繊維である残りの繊維との混合物を含む、40から60g/m2の秤量および約1mmのキャリパを有するスルーエアボンド不織布である。
【0091】
捕捉材料は、2つ以上のタイプの繊維のブレンドのような、異なる繊維のブレンドを含むことができる。このようなブレンドは、第1のタイプの少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、または90重量%、および他のタイプの繊維タイプの繊維および任意選択でラテックスのようなバインダのようなさらなる構成要素の残りの重量%部分を含むことができる。捕捉層の繊維は、ポリエステルを含む、またはこれからなることができる。たとえば、ブレンドは、第1のタイプの繊維の40から60重量%、および第2のタイプの繊維の30から60重量%を含むことができる。捕捉層は任意選択で、30まで、好ましくは20まで、より好ましくは20重量%までの追加の成分を含むことができる。
【0092】
第1のタイプの繊維は、好ましくはポリエステルからのスパイラル捲縮を示す繊維とすることができる。本明細書で用いられるとき、スパイラル捲縮は、任意の三次元捲縮であり、たとえば繊維が実質的にらせん形状をとるものである。スパイラル捲縮繊維は、中空繊維、すなわち断面積が中空、たとえば断面積の10から30%、たとえば15から20%が中空である繊維からなる、またはこれを含むことができる。
【0093】
第2の繊維は、シースにおいて溶融温度が低い材料およびコアにおいて溶融温度が高い材料を備えたコア-シース繊維のような、ポリエステル二成分繊維を含む、またはこれからなることができる。
【0094】
ブレンドにおいて、第2のタイプの繊維は第1のタイプの繊維より細くすることができる。第2のタイプの繊維は、3~9、たとえば5~8、たとえば6~7dtexを有することができる。第1のタイプの繊維は、8~12、たとえば9~10dtexを有することができる。第1のタイプの繊維および第2のタイプの繊維は、異なる長さであっても、同じ長さであってもよい。これらの繊維は、20から70mm、たとえば30から50mmの平均長さを有することができる。
【0095】
ポリエステルのスパイラル捲縮繊維およびポリエステル二成分繊維を含むスルーエアボンド不織布の捕捉材料が、SCA Hygiene Products ABのWO99/00098に概して開示されており、この内容を参照により本明細書に含む。
【0096】
理論に拘束されることを望まないが、繊維のスパイラル捲縮は、その液体捕捉および分配作用のため非常に有益であるとさらに考えられている。スパイラル捲縮により、このような繊維によって形成された捕捉部材における空隙スペースが増加すると想定される。しばしば、吸収性物品は、着用されると、着用者によって加えられる特定の圧力にさらされ、これは捕捉部材における空隙スペースを減少させる可能性がある。良好な透過性および利用可能な十分な空隙スペースを有することは、良好な液体の分配および移送にとって重要である。さらに、上述のようなスパイラル捲縮繊維は、捕捉部材が圧力にさらされたときでも十分な空隙ボリュームを維持するのに非常に適していると考えられている。加えて、スパイラル捲縮繊維は、所与の繊維dtex値について良好な透過性を提供すると考えられており、中空の繊維断面により、コンパクトな断面と比較して繊維の外径を大きくすることが可能になる。繊維の外径は、このような繊維によって形成された捕捉部材の透過性作用を決定するように思われる。
【0097】
本開示の図には示していないが、使い捨て吸収性衛生製品に一般に使用されるさらなる構成要素を、本開示による使い捨て吸収性衛生製品に使用することができる。
【0098】
たとえば、スタンディングギャザーとして一般に知られている隆起した弾性部材をトップシートに取り付けることができる。
【0099】
湿り度インジケータ、たとえば尿と接触するとその色が変化する材料を使い捨て吸収性衛生製品に含め、たとえば吸収性アセンブリとバックシートとの間に配置してバックシートを通して見えるようにし、たとえば濡れる事象が起こったかどうかを示すことができる。
【0100】
また、使い捨て吸収性衛生製品が失禁パッドであるとき、感圧接着剤のストリップのような固定手段をバックシートの衣類対向側に配置して、パッドを下着に確実に配置することができる。
【0101】
方法
秤量の均一性を測定するための方法
評価のため、1つの同じ消費者パッケージから5つの隣接するおむつを取り出す、または5つの連続して製造されたおむつを製造から取り出す。
【0102】
折り畳まれていればおむつを広げ、23℃および50%の相対湿度に設定された安定した実験室環境において48時間露出させる。この同じ環境においてテストを実行する。
【0103】
おむつにおけるすべての弾性要素を除去または中和し、おむつを滑らかかつ平らに配置する。次いで均一性評価用のサンプルをおむつから打ち抜く。パンチングツールは50×120mmの外形寸法を有し、20mmごとにクロスバーを切断する。ツールはしたがって6つの隣接するサンプルを切断し、各サンプルは50×20mm(10cm
2)である。各おむつから6つの個別サンプルの2セット(全部で12サンプル)を切り取る。
図3を参照して、6つのサンプルの一方のセットを前部領域(Rf)から、他方を後部領域(Rb)から取得する。パンチングツールは、中央領域(Rc)のすぐ外側に配置されるべきである。ツールの長さ寸法は、おむつの横方向と一致する。パンチングツールは、おむつの長手方向中心線(C)に置かれるべきである。
【0104】
各50×20mmコアサンプルの重量(ミリグラム付近まで)を判定する。この目的のため、まずあらゆる追加の層(トップシートまたはバックシートのような)を差し引かなければならない。コアを露出させるとき、超吸収性または大量の繊維が失われないように注意する。あるいは、打ち抜いたサンプルをそのまま計量することもできる。追加の層の秤量をこのとき事前に(材料仕様または別個の判定から)知らなければならず、サンプルからこれらの重量を差し引くことができるようにする。
【0105】
大きなコアからの各サンプルについての秤量(g/m2)を計算する。
(サンプル重量(g))/(サンプル面積(0.001m2))
【0106】
一連の60サンプルについての(算術)平均秤量(g/m2)を計算し、次いで一連のサンプルに関する標準偏差を計算する。
【0107】
【0108】
ここで、xは個別のサンプルの秤量、
【0109】
【0110】
は算術平均、Nはサンプルの数(カウント60)である。
【0111】
最後に標準偏差を平均で割ることによって変動係数(CV)を計算する。比率をパーセント(%)で表す。
【0112】
保持容量の均一性を測定するための方法
このテストは、吸収性アセンブリの前部および後部領域における保持容量の均一性を評価し、超吸収性ポリマーの分布を示す。この目的のため、秤量均一性テスト(上述)において用いられたのと同じ60サンプルを用いる。
【0113】
従来の超吸水性ポリマーはセルロース系繊維よりはるかに多くを吸収するため、適切なテスト方法がCRCテスト(遠心分離保持容量)において見出された。この方法は業界においてよく知られており、「Polyacrylate Superabsorbent Powders - Determination of the Fluid Retention Capacity in Saline Solution by Gravimetric Measurement Following Centrifugation」という名称の、フルネームのStandard Procedure、NWSP 241.0.R2(15)の下でEDANAまたはINDAから入手可能である。
【0114】
サンプルを封止可能な不織バッグに入れ、サンプルを次いで0.9%のNaCl溶液に30分間浸漬する。サンプルをその後250gの力で遠心分離して隙間の液を除去し、その後g/g吸収性およびg/サンプル吸収性、すなわちg/10cm2吸収性を判定する。
g/g吸収性=(最終サンプル重量-初期サンプル重量)/初期サンプル重量
g/10cm2吸収性=最終サンプル重量-初期サンプル重量
【0115】
当業者は、コアからの20×50mmの切除物にこのテストを容易に採用することができる。しかしながら、より大きなコアサンプルを収容するためにはより大きな不織バッグを用いなければならないことに留意されたい。コア成分(通常はセルロースパルプおよび超吸収剤)のみがg/g吸収性計算に含まれる。任意の追加の層(トップシートまたはバックシートのような)は、実質的に非吸収性(ポリオレフィンまたはポリエステルフィルムまたは繊維のような)の場合にのみコアサンプルに含めることができ、これらの乾燥重量はこのときすべてのサンプル重量判定において差し引かれるべきである。吸収性材料(ビスコースまたは綿繊維のような)を含む追加の層は、テストの前に除去しなければならない。
【0116】
コアからの一連の60サンプルにおけるg/g吸収性およびg/10cm2についての変動係数(CV)を計算する。計算原理は、秤量均一性テストと同じである。
【0117】
吸収性アセンブリの総保持容量
吸収性アセンブリの保持容量は、CRCテスト(遠心分離保持容量)の原理に沿って容易に評価することができる。この方法は業界においてよく知られており、フルネームのStandard Procedure、NWSP 241.0.R2(15)、Polyacrylate Superabsorbent Powders - Determination of the Fluid Retention Capacity in Saline Solution by Gravimetric Measurement Following Centrifugationの下でEDANAまたはINDAから入手可能である。しかしながら、このテストは小さなサンプル用に設計されており、以下に説明するように、吸収性アセンブリ全体を評価するにはいくつかの変更が必要である。
【0118】
テスト用のおむつをそのパッケージから取り出し、広げて、23℃および50%の相対湿度に設定された安定した実験室環境において48時間露出させる。この同じ環境でテストを実行する。
【0119】
はさみまたはメスを用いて、吸収性アセンブリを分離する。超吸収性粒子が逃げないように注意する。アセンブリの重量を量り、次いでこれを不織または織られたウェブで作製されたポーチに入れる(適切なウェブ特性が標準NWSP 241.0.R2に記載されている)。次いでヒートシーラを用いてポーチを封止する。(吸収性アセンブリが非実用的に大きい場合、もちろんこれを小さな部分に分割して、それぞれの吸収性を次いで合計することができる)。ポーチを3リットルの0.9%NaCl溶液(個別のサンプルごとに溶液を交換)に沈め、30分間吸収させる。次いでアセンブリを250gの力で3分間遠心分離する。最後に乾燥アセンブリおよびポーチの重量を差し引く。このように保持された食塩水の量は、吸収性アセンブリの総保持容量を表す。
【0120】
このテストは、中央領域(Rc)のみ、または他の関連領域で実行することもできる。この場合、はさみまたはメスを用いてこの領域を慎重に切り取る。中央領域(Rc)の容量を吸収性アセンブリ全体の容量と比較するため、保持判定ごとに10個の代表のおむつを用い、それぞれの算術平均間の比率(パーセントで)を計算する。
【符号の説明】
【0121】
1 使い捨て吸収性衛生製品
10 主要部分
11 トップシート
12 バックシート
13 吸収性アセンブリ
14 前端
15 後端
16 捕捉層
17 弾性手段
21 前面側パネル
22 前面側パネル
23 背面側パネル
24 背面側パネル
25 固定手段
131 第1の吸収性コア
132 第2の吸収性コア