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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】センサ配置およびセンサ測定の方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/12 20060101AFI20220808BHJP
   H03M 1/50 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
G01N27/12 D
H03M1/50
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020562635
(86)(22)【出願日】2019-05-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 EP2019062676
(87)【国際公開番号】W WO2019219842
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2020-12-25
(31)【優先権主張番号】18172903.9
(32)【優先日】2018-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520364750
【氏名又は名称】アムス インターナショナル エージー
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ランガナタン、ロヒット
(72)【発明者】
【氏名】アデュスマリ、ラヴィ・クマール
【審査官】小澤 理
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-069543(JP,A)
【文献】特開昭52-131447(JP,A)
【文献】NAGARAJAN, P. R. et al.,An Improved Direct Digital Converter for Bridge-Connected Resistive Sensors, IEEE SENSORS JOURNAL,2016年,Vol.16, No. 10,p.3679-3688
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00 - 27/24
H03M 1/50
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1と第2の印加電圧(V1,V2)を交互に提供するためのソース出力(15)を有する切替可能な電圧ソース(12)と、
積分器入力(16)と積分器出力(21)を有する積分器(13)と、
前記ソース出力(15)に結合された第1の端子(41)を有するセンサ抵抗器(11)と、
前記センサ抵抗器(11)の第2の端子(42)に結合された第1の端子と、前記積分器入力(16)に結合された第2の端子とを有する基準抵抗器(17)と、
前記積分器出力(21)に結合された第1の比較器入力(25)を有する比較器(14)と、
を備え
前記積分器(13)は、
前記積分器入力(16)に結合された第1の増幅器入力と、前記積分器出力(21)に結合された増幅器出力とを有する増幅器(20)と、
前記第1の増幅器入力を前記増幅器出力に結合する積分コンデンサ(22)と、
を備え、
共通モード電圧(VCM)が前記増幅器(20)の第2の増幅器入力に提供され、
前記共通モード電圧(VCM)は、前記第1の印加電圧(V1)と前記第2の印加電圧(V2)との間にある、
センサ配置。
【請求項2】
前記センサ抵抗器(11)の前記第1の端子(41)を前記センサ抵抗器(11)の前記第2の端子(42)に結合するスイッチ(19)を備えた、請求項1に記載のセンサ配置。
【請求項3】
前記比較器(14)は、第1と第2の比較器基準電圧(VH,VL)が交互に提供される第2の比較器入力(26)を備えている、請求項1又は2に記載のセンサ配置。
【請求項4】
前記比較器(14)の比較器出力(28)に結合された第1のラッチ入力(30)と、第1のラッチ出力(32)と、を有するラッチ(29)を備えた、請求項1からのうちいずれか一項に記載のセンサ配置。
【請求項5】
出力(136)を有するとともに、前記ラッチ(29)の前記第1のラッチ出力(32)又は前記比較器(14)の前記比較器出力(28)に結合された入力を有する論理回路(135)を備えた、請求項に記載のセンサ配置。
【請求項6】
前記ラッチ(29)の前記第1のラッチ出力(32)又は前記論理回路(135)の前記出力(136)に結合された演算回路(36)を備えた、請求項に記載のセンサ配置。
【請求項7】
前記ラッチ(29)の出力側または前記論理回路(135)の出力側に結合された第1のカウンタ入力(34)と、
前記演算回路(36)に結合された出力と、
を有する同期カウンタ (33)を備えた、
請求項に記載のセンサ配置。
【請求項8】
その入力側で前記ラッチ(29)の出力側又は前記論理回路(135)の出力側に結合されつつ、その出力側で前記切替可能な電圧ソース(12)に結合された制御ロジック(37)を備えた、請求項からのうちいずれか一項に記載のセンサ配置。
【請求項9】
前記切替可能な電圧ソース(12)は、
前記ソース出力(15)に結合された出力を有するバッファ(92)を備えた、
請求項1からのうちいずれか一項に記載のセンサ配置。
【請求項10】
前記切替可能な電圧ソース(12)は、
分圧器(93)と、
前記分圧器(93)の第1のタップ(96)を前記バッファ(92)の入力に結合する第1のスイッチ(94)と、
前記分圧器(93)の第2のタップ(97)を前記バッファ(92)の入力に結合する第2のスイッチ(95)と、を備えた、請求項に記載のセンサ配置。
【請求項11】
前記センサ配置は、バンドギャップ回路(90)を備え、
前記切替可能な電圧ソース(12)は、
前記バンドギャップ回路(90)の出力に結合された入力と、前記分圧器(93)を介して基準電位端子(100)に結合された出力とを有する増幅器回路(104)を備える、請求項10に記載のセンサ配置。
【請求項12】
第1と第2の印加電圧(V1,V2)を交互にセンサ抵抗器(11)に提供するステップと、
積分器入力(16)と積分器出力(21)を有する積分器(13)によって積分器入力電流(IN)を積分するステップと、ここで、前記積分器入力電流(IN)は、前記センサ抵抗器(11)と基準抵抗器(17)を通って前記積分器入力(16)へと流れ、
前記積分器(13)によって積分器出力電圧(OPOUT)を提供するステップと、
比較器(14)によって前記積分器出力電圧(OPOUT)を比較するステップと、
含んだセンサ測定の方法であって、
前記積分器(13)は、
前記積分器入力(16)に結合された第1の増幅器入力と、前記積分器出力(21)に結合された増幅器出力とを有する増幅器(20)と、
前記第1の増幅器入力を前記増幅器出力に結合する積分コンデンサ(22)と、
を備え、
前記方法は、
共通モード電圧(VCM)を前記増幅器(20)の第2の増幅器入力に提供するステップをさらに含み、
前記共通モード電圧(VCM)は、前記第1の印加電圧(V1)と前記第2の印加電圧(V2)との間にある、
センサ測定の方法。
【請求項13】
前記第1の印加電圧(V1)は、第1の位相(A)で前記センサ抵抗器(11)に提供され、
前記第2の印加電圧(V2)は、第2の位相(B)で前記センサ抵抗器(11)に提供され、
前記積分器入力電流(IN)は、前記第1の位相(A)では前記第2の位相(B)と比べて異なる方向を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
基準動作モードにおいて、スイッチ(19)は、前記センサ抵抗器(11)の第1の端子(41)を前記センサ抵抗器(11)の第2の端子(41)に接続する通電状態に設定され、
前記第1と第2の印加電圧(V1,V2)は、前記スイッチ(19)に交互に提供され、
前記積分器入力電流(IN)は、前記スイッチ(19)と前記基準抵抗器(17)を通って前記積分器入力(16)へと流れる、請求項12または13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、センサ配置およびセンサ測定の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
センサはセンサ抵抗器を備えることが多く、その一方でセンサ抵抗器の抵抗値は測定するパラメータに依存する。温度センサは温度に応じた抵抗値を有するセンサ抵抗器を含み得る。そのようなセンサ抵抗器は、例えば感温材料としてプラチナを含む。さらに、ガスセンサもセンサ抵抗器を含み得るが、センサ抵抗器の抵抗値はガスの濃度に応じたものである。そのようなセンサ抵抗器の一例は、SnOまたはZnOをガス感応材料として含む金属酸化物半導体抵抗器である。センサ抵抗器の抵抗値は、測定するガスの濃度に応じて高い値を得る可能性がある。センサ抵抗器の端子からの、または同端子への漏洩電流があり得、ガスセンサ測定の誤差を招き得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
漏洩電流の影響を低減するセンサ配置およびセンサ測定の方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
これらの目的は、独立請求項の発明主題によって達成される。さらなる展開および実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0005】
上記の定義は、特に明記しない限り以下の説明にも適用される。
【0006】
一実施形態において、センサ配置は、第1の印加電圧と第2の印加電圧を交互に提供するためのソース出力を有する切替可能な電圧ソースと、積分器入力を有する積分器と、前記ソース出力に結合された第1の端子を有するセンサ抵抗器と、前記センサ抵抗器の第2の端子に結合された第1の端子と前記積分器入力に結合された第2の端子とを有する基準抵抗器と、前記積分器の積分器出力に結合された第1の比較器入力を有する比較器を備えている。
【0007】
有利には、切替可能な電圧ソースのソース出力はセンサ抵抗器の第1の端子に直接接続されている。したがって、第1と第2の印加電圧はセンサ抵抗器の第1の端子に直接印加される。切替可能な電圧ソースは、第1と第2の印加電圧を、随意で低出力抵抗でセンサ抵抗器の第1の端子に提供するように構成される。したがって、センサ抵抗器の第1の端子からセンサ配置の任意のノードに流れる漏洩電流は、切替可能な電圧ソースによって直接提供され、第1と第2の印加電圧の値に影響せず、したがってセンサ抵抗器の抵抗値の測定に影響しない。
【0008】
一実施形態において、前記センサ配置は、前記センサ抵抗器の前記第1の端子を前記センサ抵抗器の前記第2の端子に結合するスイッチを備えている。
【0009】
一実施形態において、前記積分器は、前記積分器入力に結合された第1の増幅器入力と、前記積分器出力に結合された増幅器出力を有する増幅器を備えている。前記積分器は、前記第1の増幅器入力を前記増幅器出力に結合する積分コンデンサを備えている。
【0010】
一実施形態において、切替可能な電圧ソースは、第1の位相での第1の印加電圧と、第2の位相での第2の印加電圧を提供する。積分器入力電流は積分器入力へと流れる。積分器入力電流は、第1の位相では第2の位相と比べて異なる方向を有する。積分器入力電流は、第1の位相から第2の位相への遷移で、および第2の位相からさらなる第1の位相への遷移でその方向を変える。積分器入力電流は第1と第2の位相のうち一方の位相で正であり、第1と第2の位相のうち他方の位相で負である。
【0011】
一実施形態において、前記比較器は、第1の比較器基準電圧と第2の比較器基準電圧が交互に提供される第2の比較器入力を備えている。第2の比較器入力は切替可能な電圧ソースのさらなるソース出力に結合されてよい。
【0012】
一実施形態において、センサ配置は、前記比較器の比較器出力に結合された第1のラッチ入力を有するラッチを備えている。ラッチは第1のラッチ出力を備えている。
【0013】
一実施形態において、前記センサ配置は、出力を有する論理回路を備えている。前記論理回路の入力は、前記ラッチの前記第1のラッチ出力に結合されている。別の方法として、前記論理回路の入力は、前記比較器の前記比較器出力に結合されている。
【0014】
一実施形態において、センサ配置は、前記ラッチの前記第1のラッチ出力に結合された、および/または前記論理回路の前記出力に結合された演算回路を備えている。演算回路は、第1のラッチ出力で提供されるパルスをカウントするカウンタを備えてよい。演算回路は、結果信号、例えば、カウンタの値の関数としての第1のデジタル信号および/または第2のデジタル信号を提供するための出力を備えてよい。カウンタの値はカウンタ値と名付けられてよい。
【0015】
一実施形態において、前記センサ配置は、前記ラッチの出力側に、および/または前記論理回路の出力側に結合された第1のカウンタ入力を有する同期カウンタを備えている。第1のカウンタ入力はラッチの第1のラッチ出力に、および/または論理回路の出力に結合されてよい。同期カウンタは、第1のラッチ出力で提供されたパルスから開始する第2のクロック信号のパルスをカウントするように構成されてよい。同期カウンタの出力は演算回路に結合されてよい。したがって、演算回路は、結果信号、例えば、演算回路のカウンタの値の関数としての、および同期カウンタの値の関数としての第1のデジタル信号および/または第2のデジタル信号を提供するための出力を備えてよい。
【0016】
一実施形態において、前記センサ配置は、その入力側で前記ラッチの出力側に、または前記論理回路の出力側に結合され、その出力側で前記切替可能な電圧ソースに結合された制御ロジックを備えている。制御ロジックの入力側は第1のラッチ出力に接続されてよい。制御ロジックは切替可能な電圧ソースを制御または駆動してよい。
【0017】
一実施形態において、前記切替可能な電圧ソースは、前記ソース出力に結合された出力を有するバッファを備えている。バッファの出力はソース出力に直接接続されてよい。
【0018】
一実施形態において、前記切替可能な電圧ソースは、分圧器と、前記分圧器の第1のタップを前記バッファの入力に結合する第1のスイッチと、前記分圧器の第2のタップを前記バッファの前記入力に結合する第2のスイッチを備えている。第1の印加電圧は第1のタップで提供され、第2の印加電圧は第2のタップで提供される。第1のスイッチが通電状態に設定されると、第1の印加電圧が、バッファおよびソース出力を介してセンサ抵抗器の第1の端子に提供される。第2のスイッチが通電状態に設定されると、第2の印加電圧が、バッファおよびソース出力を介してセンサ抵抗器の第1の端子に提供される。
【0019】
一実施形態において、前記センサ配置はバンドギャップ回路を備えている。前記切替可能な電圧ソースは、前記バンドギャップ回路の出力に結合された入力と、前記分圧器を介して基準電位端子に結合された出力を有する増幅器回路を備えている。
【0020】
一実施形態において、センサ測定の方法は、
第1の印加電圧と第2の印加電圧をセンサ抵抗器に交互に提供するステップと、
積分器によって積分器入力電流を積分するステップと、ここで、前記積分器入力電流は、前記センサ抵抗器と基準抵抗器を通って前記積分器の積分器入力へと流れ、
前記積分器によって積分器出力電圧を提供するステップと、
比較器によって前記積分器出力電圧を比較ステップと、を含む。
【0021】
一実施形態において、この方法は測定動作モードで実行される。測定動作モードにあるセンサ配置によって第1のデジタル信号が生成される。第1のデジタル信号は、センサ抵抗器の抵抗値と基準抵抗器の抵抗値に応じたものである。第1のデジタル信号は、ガス濃度等の測定すべきパラメータに応じたものである。
【0022】
一実施形態において、第1と第2の印加電圧が切替可能な電圧ソースによってセンサ抵抗器の第1の端子に提供される。基準抵抗器は、センサ抵抗器の第2の端子に結合された第1の端子と、積分器入力に結合された第2の端子を有する。比較器の第1の比較器入力は積分器の積分器出力に結合されている。
【0023】
一実施形態において、前記第1の印加電圧は前記センサ抵抗器に第1の位相で提供され、前記第2の印加電圧は前記センサ抵抗器に第2の位相で提供される。前記積分器入力電流は、前記第1の位相では、前記第2の位相と比べて異なる方向を有する。
【0024】
一実施形態において、基準動作モードにおいて、スイッチは、前記センサ抵抗器の第1の端子を前記センサ抵抗器の第2の端子に接続する通電状態に設定される。前記第1と第2の印加電圧は、前記スイッチを介して前記基準抵抗器へと交互に提供される。前記積分器入力電流は、前記スイッチと前記基準抵抗器を通って前記積分器入力に流れる。
【0025】
一実施形態において、基準動作モードにあるセンサ配置によって第2のデジタル信号が生成される。第2のデジタル信号は基準抵抗器の抵抗値に応じたものである。第2のデジタル信号はセンサ抵抗器の抵抗値とは無関係である。センサ抵抗器の抵抗値は、第1と第2のデジタル値の関数として決定され得る。
【0026】
センサ測定の方法は、例えば、上記に規定した実施形態のうち1つによるセンサ配置によって実施され得る。センサ測定の方法は、センサ配置の動作方法として実現され得る。
【0027】
一実施形態において、センサ配置は漏洩補償ガスセンサを実現する。センサ配置は、略称ESDである静電放電事象(electrostatic discharge event)と、各測定でのパッド漏洩の影響を解消する回路として実装される。パッド漏洩とは、例えば、ボンドパッド、ボンドワイヤ、フリップチップ接続等で流れる漏洩電流である。この技法は、漏洩電流が例えば信号電流に相当する程度になる(信号電流未満であるが)広範なガスセンサフロントエンドを可能にする。漏洩解消は測定毎に実行される。方法は、漏洩のプロセス変動および漏洩の温度ドリフトに関して漏洩を解消する。センサ配置は例えばガスセンサ向けのソリューションである。広範なセンサ抵抗(>100MΩ)が要件である場合、センサ電流はより一層小さくなる。パッド漏洩およびESD漏洩は、例えば信号電流に相当するものになり得る。この場合も、センサ配置は、漏洩電流が必要とする広範なガスセンサ抵抗のための高測定精度を得る。
【0028】
以下の、実施形態の図の説明は、センサ配置およびセンサ測定の方法の態様をさらに示し説明し得る。同一の構造および同一の効果を有するデバイスおよび回路部品はそれぞれ同等の参照記号で出現する。デバイスまたは回路部品が異なる図においてそれらの機能に関して互いに対応する限り、以下の図それぞれにおいてその説明は繰り返されない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1A】センサ配置の一実施形態の一例の図である。
図1B】センサ配置の一実施形態の一例の図である。
図1C】センサ配置の一実施形態の一例の図である。
図2A】センサ配置の一実施形態の一例の詳細図である。
図2B】センサ配置の一実施形態の一例の詳細図である。
図3】センサ配置で達成されるシミュレーション結果の一例の図である。
図4A】センサ配置の一実施形態のさらなる一例の図である。
図4B】センサ配置の一実施形態のさらなる一例の図である。
図4C】センサ配置の一実施形態のさらなる一例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1Aは、センサ抵抗器11、切替可能な電圧ソース12、積分器13および比較器14を備えたセンサ配置10の一実施形態の一例を示す。センサ抵抗器11は、切替可能な電圧ソース12のソース出力15と積分器13の積分器入力16との間に配置されている。さらに、センサ配置10は基準抵抗器17を備えている。センサ抵抗器11は、第1と第2の端子41,42を備えている。センサ抵抗器11の第1の端子41はソース出力15に直接、恒久的に接続されている。センサ抵抗器11の第2の端子42は基準抵抗器17の第1の端子に直接、恒久的に接続されている。基準抵抗器17の第2の端子は積分器入力16に直接、恒久的に接続されている。センサ抵抗器11の第2の端子42の、基準抵抗器17の第1の端子への接続は、接続線、ボンドワイヤ、ボンドパッド、バンプ、フリップチップ接続からなる群のうち少なくとも1つを含んでよい。センサ抵抗器11の第1の端子41の、ソース出力15への接続は、接続線、ボンドワイヤ、ボンドパッド、バンプ、フリップチップ接続からなる群のうち少なくとも1つを含んでよい。
【0031】
センサ抵抗器11と基準抵抗器17は直列回路18を形成してよい。センサ抵抗器11と基準抵抗器17の直列回路18はソース出力15と積分器入力16の間に配置されている。
【0032】
さらに、センサ配置10は、センサ抵抗器11の第1の端子41をセンサ抵抗器11の第2の端子42に接続するスイッチ19を備えている。したがって、直列回路18は基準抵抗器17と、センサ抵抗器11とスイッチ19の並列回路を備えている。
【0033】
積分器13は、積分器入力16に結合された第1の増幅器入力を有する増幅器20を備えている。第1の増幅器入力は、積分器入力16に、したがって、基準抵抗器17の第2の端子に、直接、恒久的に接続されている。さらに、増幅器20の増幅器出力は積分器出力21に結合されている。積分器13は、積分器入力16を積分器出力21に結合する積分コンデンサ22を備えている。増幅器20は制御入力23を備えている。さらに、センサ配置10は、その出力側で増幅器20の制御入力23に接続されたデジタル-アナログコンバータ24を備えている。積分器13の積分器出力21は比較器14の第1の比較器入力25に結合されている。比較器14の第2の比較器入力26は、切替可能な電圧ソース12のさらなるソース出力27に結合されてもよい。
【0034】
センサ配置10は、比較器14の比較器出力28に結合された第1のラッチ入力30を有するラッチ29を備えている。第1のラッチ入力30は、D-入力として実現され得る。さらに、ラッチ29は、図示していないクロックジェネレータに接続された第2のラッチ入力31を備えてよい。第2のラッチ入力31はクロック入力であってよい。ラッチ29は第1のラッチ出力32を備えている。第1のラッチ出力32はQ出力であってよい。ラッチ29はD-ラッチとして、D-フリップフロップとして、および/またはトランスペアレントD-フリップフロップとして実現されてよい。
【0035】
センサ配置10は、第1のラッチ出力32に接続された第1のカウンタ入力34を有する同期カウンタ33を備えている。第1のカウンタ入力34はリセット入力として実現されてよい。同期カウンタ33は、図示していないさらなるクロック発振器に接続された第2のカウンタ入力35を有する。同期カウンタ33は、同期化されたカウンタまたは同期カウンタとして実現されても、または、別法としてカウンタと置き換えられてもよい。
【0036】
さらに、センサ配置10は演算回路36を備えている。演算回路36は、その入力側で第1のラッチ出力32に接続されている。さらに、演算回路36は、その入力側で、同期カウンタ33の出力に接続されている。演算回路36は、第1のラッチ出力32に結合され得るカウンタ38を備えている。
【0037】
付加的に、センサ配置10は制御ロジック37を備えている。制御ロジック37は、その入力側で第1のラッチ出力32に接続されている。制御ロジック37のさらなる入力は、図示していないクロックジェネレータに接続されている。制御ロジック37はクロックジェネレータを備えてよい。制御ロジック37は、その出力側で、スイッチ19の制御端子に接続されている。制御ロジック37は、その出力側で、デジタル-アナログコンバータ24の制御端子に接続されている。さらに、制御ロジック37は、その出力側で切替可能な電圧ソース12に接続されている。
【0038】
切替可能な電圧ソース12はソース出力15で第1と第2の印加電圧V1,V2を交互に提供する。第1の位相Aでは、切替可能な電圧ソース12は第1の印加電圧V1を提供する。第2の位相Bでは、切替可能な電圧ソース12は第2の印加電圧V2を提供する。第1と第2の印加電圧V1,V2はセンサ抵抗器11の第1の端子41に印加される。第1と第2の印加電圧V1,V2は、センサ抵抗器11と基準抵抗器17の直列回路18に提供される。
【0039】
測定動作モードにおいて、スイッチ19はスイッチ制御信号Φ3によって非通電状態に設定される。制御ロジック37はスイッチ制御信号Φ3を生成する。したがって、積分器入力電流INは、センサ抵抗器11および基準抵抗器17を介してソース出力15から積分器入力16に流れる。積分器入力16で、積分器入力電圧VINはタップされ得る。積分器入力電圧VINは増幅器20の第1の入力に印加される。
【0040】
基準動作モード中に、スイッチ19はスイッチ制御信号Φ3によって通電状態に設定される。したがって、積分器入力電流INはスイッチ19および基準抵抗器17を介してソース出力15から積分器入力16へと流れる。
【0041】
共通モード電圧VCMが増幅器20の第2の入力に提供される。増幅器20は、積分器出力21で積分器出力電圧OPOUTを生成する。積分器出力電圧OPOUTは基準抵抗器17を介して積分器入力16へと流れる積分器入力電流INの関数である。増幅器20の動作により、積分器入力電圧VINは共通モード電圧VCMにほぼ等しい。制御ロジック37はトリム信号OSTRIMをデジタル-アナログコンバータ24の入力に提供する。デジタル-アナログコンバータ25は制御信号SCを生成し、それを増幅器20の制御入力23に提供するが、それはトリム信号OSTRIMの関数である。増幅器20の閾値が制御信号SCの関数として設定される。
【0042】
積分器13は、積分器出力信号OPOUTを比較器14の第1の比較器入力25に提供する。第1と第2の比較器基準電圧VH,VLは第2の比較器入力26に交互に提供される。第1と第2の比較器基準電圧VH,VLは切替可能な電圧ソース12によって生成される。第1の比較器基準電圧VHは第2の位相B中に提供され、第2の比較器基準電圧VLは第1の位相A中に提供される。
【0043】
比較器14の出力信号SCOはラッチ29の第1のラッチ入力30に提供される。第1のクロック信号CLK1がラッチ29の第2のラッチ入力31に印加される。ラッチ29は、第1のラッチ信号QLを、比較器出力信号SCOおよび第1のクロック信号CLK1の関数として生成する。第1のラッチ信号QLは出力信号C1と等しくてよい。
【0044】
出力信号C1は、同期カウンタ33、制御ロジック37および演算回路36に提供される。出力信号C1は、同期カウンタ33の第1のカウンタ入力34に提供される。第2のクロック信号CLK2が同期カウンタ33の第2のカウンタ入力35に印加される。同期カウンタ33は、カウンタ出力信号C2を、第2のクロック信号CLK2と出力信号C1の関数として生成する。出力信号C1は同期カウンタ33のリセットを実行する。カウンタ出力信号C2は演算回路36に提供される。同期カウンタ33は変換時間Atimeの終了を示す信号SATを受け取った後にカウントを停止する。したがって、カウンタ出力信号C2は変換時間Atimeの終了時に生成される。カウンタ出力信号C2は、出力信号C1のパルスと、変換時間Atimeの終了の間の第2のクロック信号CLK2のパルス数の関数であるか、またはそれに等しい。
【0045】
演算回路36は、第1および/または第2のデジタル信号SD1,SD2を演算する。第1および/または第2のデジタル信号SD1,SD2は、アナログ-デジタルコンバータカウンタ結果とも呼ばれ、略称でADC_Countである。
【0046】
出力信号C1および第1のクロック信号CLK1は制御ロジック37に提供される。制御ロジック37は、制御信号Φ1からΦ3を生成する。制御信号Φ1からΦ3はクロック信号とも呼ばれ得る。第1と第2の制御信号Φ1,Φ2は切替可能な電圧ソース12に提供される。スイッチ制御信号Φ3は、スイッチ19の制御端子に提供される。信号についてはさらに、図1Bから図1Dで説明する。
【0047】
センサ配置10は広範なガスセンサ抵抗測定のためのパッド/ESD漏洩補償回路として製造される。センサ配置10は、漏洩が信号電流ISIG未満である限り、またはESD/パッド漏洩が信号電流ISIGに相当する程度になる場合に高精度で動作し得る。センサ抵抗測定は、(漏洩が信号電流ISIGの百分率である限り)漏洩電流により有意な誤差を有さない。
【0048】
基準抵抗器17、積分器13および比較器24等のセンサ配置10の部品は、厳密に1以上の半導体本体上で製造される。センサ抵抗器11は、半導体本体とは別個に実現されてもよい。センサ配置10は、センサデバイスまたはセンサ装置とも名付けられ得る。センサ抵抗器11は半導体本体に対してオフチップで実現されてもよい。
【0049】
図示していない別の実施形態では、センサ配置10はラッチ29の第1のラッチ出力32に直接接続された、または例えば図4Aおよび図4Cに示すように例えばさらなるラッチまたはもう1つの回路によってラッチ29の第1のラッチ出力32に結合された論理回路を備えている。論理回路は出力信号C1を生成する。論理回路は、比較器出力信号SCOの立ち上がりエッジの後で、また付加的に立下りエッジの後で、第1のクロック信号CLK1の単一のパルスを変換することによって出力信号C1を提供する。出力信号C1は比較器出力信号SCOの立ち上がりエッジの後および立下りエッジの後の第1のクロック信号CLK1の単一パルスに等しい。
【0050】
別の方法として、論理回路の入力は比較器14の比較器出力28に結合または直接接続されていてよい。この場合ラッチ29は省略されてもよい。
【0051】
別の方法として、スイッチ19が省略されてもよい。したがって、センサ抵抗器11は基準抵抗器17との直列接続で連続的に測定される。
【0052】
別の実施形態では、図示していないセンサ配置10はさらなる比較器を備えている。積分器13の積分器出力21はさらなる比較器の第1の比較器入力に結合されている。比較器14とさらなる比較器はウィンドウ比較器を形成する。ラッチ29または論理回路は、その入力側でさらなる比較器の比較器出力に結合されている。さらなる比較器の第2の比較器入力は、切替可能な電圧ソース12の付加的なソース出力に結合されてよい。
第2の比較器基準電圧VLはさらなる比較器の第2の比較器入力に連続的に提供される。第1の比較器基準電圧VHは比較器14の第2の比較器入力26に連続的に提供される。したがって、積分器出力電圧OPOUTは、比較器14とさらなる比較器によって、または比較器14のみによって(図1Aに示すように)のいずれかで、第1の比較器基準電圧と第2の比較器基準電圧VH,VLと比較される。したがって、センサ配置10は比較器14の第2の比較器入力26を異なる基準電圧に切り替えることなく実現され得る。第2の比較器入力26は非ゼロ電圧を受け取る。
【0053】
図1Bは、図1Aに示したセンサ配置10の第1の位相Aでの実施形態の一例を示す。第1の位相Aで第1の印加電圧V1がセンサ抵抗器11に提供される。第1の印加電圧V1は以下式によって計算され得る。

V1=VCM+VF

式中、VCMは共通モード電圧であり、VFは距離電圧である。第1の位相Aにおいて、積分器入力電流INは電流Ifallに等しい。積分器出力電圧OPOUTは第1の位相A中に降下する。センサ抵抗器11の第1の端子41に第1の漏洩電流IL1が、また、センサ抵抗器11の第2の端子42に第2の漏洩電流IL2があり得る。図1Bにおいて、第1の漏洩電流と第2の漏洩電流IL1,IL2は矢印として図示されている。センサ抵抗器11は空気等のガスと接触しているため、また、空気は通常湿気含有量を有するため、漏洩電流IL1,IL2は端子41,42からセンサ配置10の他の部分へと流れ得る。センサ抵抗器11の封止は不感なガスセンサをもたらし得るため、これらの漏洩電流IL1,IL2は完全には回避され得ない。
【0054】
積分器入力電圧VINは共通モード電圧VCMにほぼ等しい。漏洩がない場合、信号電流ISIGはセンサ抵抗器11および基準抵抗器17を介して流れるが、それは以下によって与えられる。
【数1】
式中、RSはセンサ抵抗器11の抵抗値であり、RREFは基準抵抗器17の抵抗値である。上記の式は測定動作モードで有効である。基準動作モードでは、スイッチ19の抵抗値はゼロと想定され得る。したがって、信号電流ISIGは以下の式に従う。
【数2】
式中、ISIG’は基準動作モードでの信号電流の値である。
【0055】
図1Cは、第2の位相Bでのセンサ配置10の実施形態の一例を示す。第2の位相Bにおいて、積分器入力電流INは、積分器出力電圧OPOUTが上昇するように負の値を有する。第2の印加電圧V2は以下の式に従って計算され得る。

V2=VCM-VF

第1と第2の印加電圧V1,V2は異なっている。第1の印加電圧V1は第2の印加電圧V2より高い。共通モード電圧VCMは第1の印加電圧V1と第2の印加電圧V2の間である。第1と第2の印加電圧V1,V2は、図2Bに示したバッファ92によって第1の端子41上にフォースされ、それは、第1の漏洩電流IL1を駆動し印加電圧をフォースされた状態に維持することができる。センサ抵抗器11の他方の側は、第2の漏洩電流IL2を有する中間ノードである。バッファ92は電圧-基準演算増幅器として実現される。電流IfallとIrise(方向が図1Bおよび1Cに矢印で示されている)は、以下の式に従って計算され得る。

Ifall=ISIG-IL2、Irise=ISIG+IL2

式中、ISIGはセンサ抵抗器11を通って流れる信号電流である。信号電流ISIGの方向は第1の位相Aから第2の位相Bに変化する。
【0056】
図1Dは、図1Aから図1Cのセンサ配置10の信号の例を示す。第1のクロック信号CLK1は第2のクロック信号CLK2よりも小さい周波数値を有する。第1のクロック信号CLK1は第1の周期T1を有する。第2のクロック信号CLK2は第2の周期T2を有する。第2の周期T2は第1の周期T1よりも小さい。第1のクロック信号CLK1は例えば1MHzの値を有し得る一方で、第2のクロック信号CLK2は4MHzの値を有し得る。センサ抵抗器11の抵抗値の測定は、積分時間とも呼ばれる所定の変換時間Atimeで実行されてよい。
【0057】
測定は第2の位相Bで開始してよい。第1の位相Aと第2の位相Bは交番する。一周期は、1つの第1の位相Aと1つの第2の位相Bで構成される。第2の位相Bでは、積分器出力電圧OPOUTは、第1の時点t1での第2の基準電圧VLの値で開始する。第2の位相B中に、第1の比較器基準電圧VHが第2の比較器入力26に提供される。比較器出力信号SCOは第1の論理値、例えば値0を有してよい。積分器出力電圧OPOUTは第2の比較器基準電圧VLから第1の比較器電圧VHに上昇する。第2の時点t2(またはその寸前に)で、上昇する積分器出力電圧OPOUTは第1の比較器基準電圧VHの値を得る。したがって比較器出力信号SCOはその値を変える。比較器出力信号SCOは、第2の時点t2において第2の論理値、例えば値1を有し得る。ラッチ29は、比較器出力信号SCOの値の変化から生じる、また、第1のクロック信号CLK1のパルスから生じる第1のラッチ信号QL(図示していない)のパルスを生成する。出力信号C1のパルスは第1のラッチ信号QLのパルスに等しいか、またはそれに応じたものである。
【0058】
同期カウンタ33は出力信号C1のパルスによってリセットされてよい。同期カウンタ33は第2のクロック信号CLK2のパルスのカウントを開始してよい。同期カウンタ33は、例えば第1、第2、第3および第4の時点t1,t2,t3,t4にリセットされる。別の方法として、同期カウンタ33は随意でこれらの時点のうちいくつかでリセットされてよく、例えば、第1と第3の時点t1,t3でリセットされてよい。一実施形態において、同期カウンタ33は例えば、第2の時点t2でカウンタ出力信号C2のパルスを生成してよい。
【0059】
第2の時点t2で、制御ロジック37は第1の位相Aを開始して位相信号Φ1,Φ2を設定し、その結果、第1の印加電圧V1が直列回路18に提供されて、積分器出力電圧OPOUTの降下をもたらす。第1の位相Aで、第2の比較器基準電圧VLが第2の比較器入力26に提供される。積分器出力電圧OPOUTは、第3の時点t3までは第2の比較器基準電圧VLより高い。比較器出力信号SCOは、第1の位相Aでは第2の論理値、例えば値1を、第3の時点t3まで(または第3の時点t3の寸前まで)有し得る。第3の時点t3(またはその寸前)で、積分器出力電圧OPOUTは第2の比較器基準電圧VLより下まで降下し、その結果、比較器出力信号SCOがその値を変更し、例えば第1の論理値、例えば値0を得ることができる。ラッチ29は、比較器出力信号SCOの値の変化から、また、第1のクロック信号CLK1のパルスから生じる第1のラッチ信号QLのパルスを生成する。第1のラッチ信号QLのパルスは出力信号C1のパルスを誘発する。出力信号C1のパルスは第1のクロック信号CLK1のパルスの立ち上がりエッジとともに上昇し得る。出力信号C1のパルスは第1のクロック信号CLK1のパルスの立ち上がりエッジとともに上昇し得る。
【0060】
同期カウンタ33は出力信号C1のパルスによってリセットされ得る。同期カウンタ33は、リセット後に第2のクロック信号CLK2のパルスのカウントを開始してよい。一実施形態において、例えば、同期カウンタ33はカウンタ出力信号C2のパルスを生成してよい。第1の比較器基準電圧と第2の比較器基準電圧VH,VLは異なっている。第1の比較器基準電圧VHは第2の比較器基準電圧VLより高い。第2の比較器基準電圧VLは、第1の印加電圧V1より高い。第1と第2の比較器基準電圧VH,VLは第1と第2の印加電圧V1,V2とは異なっている。
【0061】
さらなる第2の位相B’は第1の位相Aに続き、第4の時点t4で終了する。さらなる第2の位相B’中の動作は前述の第2の位相B中の動作と等しい。さらなる第1の位相A’はさらなる第2の位相B’に続き、第4の時点t4と第5の時点t5の間である。積分器出力電圧OPOUTは、センサ抵抗器11の抵抗値に応じた周波数を有して、三角形状を有する。
【0062】
図1Dに示した例において、変換時間Atimeはさらなる第1の位相A’中に終了する。変換時間Atimeの終了時に、積分器出力電圧OPOUTは第1の比較器基準電圧VHと第2の比較器基準電圧VLの間である。第1の位相A,A’の数と第2の位相B,B’の数はセンサ抵抗器11の抵抗値に応じたものである。図1Dは、変換時間Atimeの終了時での、2つの完了した第2の位相B,B’と、1つの完了した第1の位相Aと、1つの停止した第1の位相A’での一例を示している。
【0063】
カウンタ38は、コースカウンタ信号と名付けられ得るカウンタ値C3を生成する。一実施形態において、演算回路36のカウンタ38は完了した位相の数をカウントする。演算回路36のカウンタ38は、完了した第1の位相Aの数と、完了した第2の位相B,B’の数を、随意で別個にまたは総計でカウントしてよい。別法として、演算回路36のカウンタ38は完了した周期の数のみをカウントしてもよい。
【0064】
同期カウンタ33は、最後の位相の開始時から変換時間Atimeの終了時までの第2のクロック信号CLK2のパルスをカウントしてもよい。変換時間が第2の位相Bで開始する場合、同期カウンタ33は、最後の第2の位相B,B’の開始時から変換時間Atimeの終了時までの第2のクロック信号CLK2のパルスをカウントしてもよい。同期カウンタ33は、最後の完了した周期の終了時から変換時間Atimeの終了時までの第2のクロック信号CLK2のパルスをカウントしてよい。第2のクロック信号CLK2は、未完了周期中の第2のクロック信号CLK2のパルスの数の関数であるか、またはそれに等しくてよい。未完了周期は変換時間Atimeの終了とともに終了する。
【0065】
測定動作モードにおいて、スイッチ19は非通電状態に設定され、第1のデジタル信号SD1は演算回路36のカウンタ38の1つまたは複数のカウンタ値C3と、同期カウンタ33のカウンタ出力信号C2を用いて計算される。演算回路36のカウンタ38のカウンタ値C3は、コースの結果を表す。同期カウンタ33のカウンタ出力信号C2は、微小カウント、残留カウントまたは積分器出力電圧OPOUTの残留値を表す。第1のデジタル信号SD1は完了した第1の位相A,A’の数、完了した第2の位相B,B’の数、および変換時間Atimeの終了時で停止した最後の位相内のパルスの数を用いて計算されてよい。第1のデジタル信号SD1は、センサ抵抗器11と基準抵抗器17の直列回路18の抵抗値を表す。したがって、第1のデジタル信号SD1は測定動作モードで決定されたカウンタ値C3とカウンタ出力信号C2の関数である:SD1=f(C3;C2)。
【0066】
基準動作モードにおいて、スイッチ19は通電状態に設定され、第2のデジタル信号SD2は、第1のデジタル信号SD1のように決定される。したがって、第2のデジタル信号SD2は、基準動作モードで決定されたカウンタ値C3とカウンタ出力信号C2の関数である:SD2=f(C3;C2)。関数fは両モードとも同じである。
【0067】
図1Dでは、図1Aのシステムまたはアーキテクチャの信号が示されている。以下では、第1の位相A,A’のみを考慮し、第2の位相B,B’は無視する(例えば、各第1の位相A,A’の終了時に、積分器出力電圧OPOUTが、積分器入力16に提供された電荷パッケージQPを用いて第2の比較器基準電圧VLから第1の比較器基準電圧VHに設定される別のセンサ配置の場合)。電荷パッケージQPは以下の値を有してもよい。

QP=Cref・Vref=Cref・(VH-VL)

式中、Crefは積分コンデンサ22の容量値であり、Vrefは第1の比較器基準電圧VHと第2の比較器基準電圧VLの差である。図1Bに示した電流を考慮すると、変換時間Atime中の積分器入力16での電荷保存は以下の式となる。

(ISIG-1L2)・Atime=Ctfall・QP

式中、Atimeは変換時間の値であり、ISIGは信号電流の値であり、IL2は第2の漏洩電流の値であり、Ctfallはシステムカウント(SD1またはSD2等)の値であり、QPは電荷パッケージの値である。上記の式を用いて、電流Iriseのみに基づくシステムカウントCtfallは以下の式によって計算することができる。
【数3】
式中ISIGは信号電流の値であり、IL2は第2の漏洩電流の値であり、Atimeは変換時間の値である。ここでは第1の位相Aのみが使用される。
【0068】
別の方法として、 第2の位相Bのみを使用し、第1の位相A,A’を無視してもよい(例えば、各第2の位相B,B’の終了時に、積分器出力電圧OPOUTが、上記の電荷パッケージQPを用いて第1の比較器基準電圧VHから第2の比較器基準電圧VLに設定される別のセンサ配置の場合)。図1Cに示した電流を考慮すると、電荷保存は以下の式となる。

(ISIG+1L2)・Atime=Ctrise・QP

式中、Ctriseはシステムカウントの値であり(SD1またはSD2)、Atime、ISIG、IL2およびQPは上記の通りである。したがって、電流Ifallのみを使用したシステムカウントCtriseは以下の式に従って計算され得る。
【数4】
【0069】
システムカウントCtperiodが一周期(rise+fall)に基づく場合、漏洩の影響は解消される。システムカウントは第1のデジタル信号SD1に対応する。第1の位相A,A’はそれぞれ継続時間TAを有してよく、第2の位相B,B’はそれぞれ継続時間TBを有してよい。変換時間Atimeは、それぞれ1つの第1の位相Aと1つの第2の位相Bから構成される完全周期に関して計算され得る。

Atime= Ctperiod・(TA+TB)
【0070】
1つの継続時間TA中に流れる積分器入力電流INは電荷パッケージQPをもたらす。1つの継続時間TB中に流れる積分器入力電流INも電荷パッケージQP(または-QPで)をもたらす。

QP=TA(ISIG-1L2)、QP=TB(ISIG+IL2)
【0071】
上記の式にTAとTBを挿入すると以下となる。
【数5】
【0072】
したがって、システムカウントCtperiodは以下の式に従って概算され得る。
【数6】
【0073】
IL2はISIGに対して無視され得るため、システムカウントCtperiodおよびデジタル信号SD1,SD2は漏洩電流IL2とはほぼ無関係である。変換時間Atimeおよび電荷パッケージQPは既定値を有するため、システムカウントCtperiodとデジタル信号SD1,SD2は信号電流ISIGのみに応じたものである。
【0074】
さらに、センサ配置10は、以下の場合にレシオメトリックな測定を実現するように構成され得る。

・測定動作モードで、センサ抵抗器11と基準抵抗器17が使用される場合
・基準動作モード、基準抵抗器17のみが使用される場合
【0075】
第1のデジタル信号SD1は、測定動作モードでの演算回路36によって生成される。第2のデジタル信号SD2は、基準動作モードでの演算回路36によって生成される。センサ抵抗器11の抵抗値は、第1と第2のデジタル信号SD1,SD2の関数として計算され得る。レシオメトリックな測定は、例えば切替可能な電圧ソース12、積分コンデンサ22および第1と第2のクロック信号CLK1,CLK2等のプロセス誤差およびドリフトから生じる他の誤差の源を解消する。
【0076】
センサ抵抗器11および基準抵抗器17の測定について、パッド/ESD漏洩の影響は、カウント測定Ctperiod,RS+RREFに関して上述の方式で解消される。第1と第2の印加電圧V1,V2はVCM+/-VFとして実現され得る。基準抵抗器17の測定に関して、第1と第2の印加電圧V1,V2は、漏洩を提供し第1と第2の印加電圧V1,V2を維持することができるバッファ92によって第2の端子42に直接フォースされる。したがって、カウント測定Ctperiod,RREFに対するESD/パッド漏洩の影響はない。
【0077】
測定動作モードと基準動作モードに関して、別々の変換時間値AtimeSおよびAtimeRが設定された場合には、演算回路36によって、以下を用いてセンサ抵抗器11の抵抗値RSが計算されてよい。
【数7】
式中、RREFは基準抵抗器17の抵抗値であり、Ctperiod,RREFは基準動作モードの変換時間AtimeRの終了時の第2のデジタル信号SD2の値であり、Ctperiod,RS+RREFは測定動作モードの変換時間AtimeSの終了時の第1のデジタル信号SD1の値であり、AtimeSは測定動作モードの変換時間の継続時間であり、AtimeRは基準動作モードの変換時間の継続時間である。別々の変換時間AtimeR,AtimeSの影響を除去するために、Ctperiod,RREFはAtimeRで重み付けされなければならず、Ctperiod,RS+RREFはAtimeSで重み付けされなければならない。
【0078】
AtimeRとAtimeSが等しい場合、システムカウントCtperiod,RREFはシステムカウントCtperiod,RS+RREFよりも格段に高くなり得る。したがって、基準動作モードでの変換時間AtimeRは、測定動作モードでの変換時間AtimeSと比較して低い値に設定され得る。したがって、両システムカウント値Ctperiod,RREFおよびCtperiod,RS+RREFの決定に関して同じ精度を得ることができる。上述の式を以下のように得ることができ、漏洩電流IL2はゼロに設定されている。
【0079】
測定動作モードでは、システムカウントCtperiod,RS+RREFは、Ctperiodに関して上記に説明した式と、式ISIG=VF/(RS+REF)を用いて以下のように計算され得る:
【数8】
【0080】
基準動作モードでは、システムカウントCtperiod,RREFは、Ctperiodに関して上記に説明した式と、式ISIG’=VF/REFを用いて以下のように計算され得る。
【数9】
【0081】
第2の式を第1の式で割ると、以下の結果となる(QPとVFは、測定モードと基準動作モードにおいて同じ値を有する)。
【数10】
【0082】
これによって上記のセンサ抵抗器11の抵抗値RSの式を得る。
【0083】
測定動作モードと基準動作モードについて、同じ変換時間値Atimeが設定された場合、センサ抵抗器11の抵抗値RSは、例えば演算回路36によって以下を用いて計算される。
【数11】
式中、RREFは基準抵抗器17の抵抗値であり、Ctperiod,RREFは基準動作モードから生じた第2のデジタル信号SD2の値であり、Ctperiod,RS+RREFは測定動作モードから生じた第1のデジタル信号SD1の値である。上記の式において、変換時間Atimeは測定動作モードと基準動作モードに関して固定または既定または同じである。同じ変換時間値Atimeが測定動作モード向けと基準動作モード向けに設定される。
【0084】
センサ配置10は、1kΩ~300MΩのガスセンサで動作できる広範なダイナミックレンジのガスセンサアーキテクチャを有利に実現する。ESD/パッド漏洩はセンサ抵抗器11の高抵抗値に関して有意な測定誤差をもたらし得ない。センサ配置10はESD/パッド漏洩の影響を解消することができ(漏洩が信号電流未満である限り)、また、漏洩電流におけるプロセス変動または信号/漏洩電流のドリフトの影響を解消することができる。
【0085】
図2Aは、図1Aから図1Dに示したセンサ配置10の詳細の一例を示す。ラッチ29と制御ロジック37が詳細に示されている。ラッチ29は第2のラッチ出力59を有する。第2のラッチ出力59は反転Q出力である。制御ロジック37はいくつかの論理ゲートを備えている。制御ロジック37は、2つのラッチ出力32,59に接続された2つの入力60,61を備えている。制御ロジック37はフリップフロップ66を備えている。フリップフロップ66の第1のNANDゲート63は、制御ロジック37の第1の入力60と第1の端子62の間に配置されている。同様に、フリップフロップ66の第2のNANDゲート65は第2の入力61と第2の端子64の間に配置されている。制御ロジック37の第1のANDゲート67は、第1の入力60を第1のNANDゲート63の第1の入力に結合する。相応に、第2のANDゲート68は、第2の入力61を第2のNANDゲート65の第1の入力に結合する。第1のANDゲート67の第2の入力に第1の信号S1が印加される。第2のANDゲート68の第2の入力に第2の信号S2が提供される。第1のANDゲート67の第2の入力と、第2のANDゲート68の第2の入力は、センサ配置10の適切なノードに接続される。第1と第2の信号S1,S2は、ブロックを有効化または無効化するための、例えば、フリップフロップ66を有効化または無効化するための信号である。
【0086】
第1のNANDゲート63の出力は、インバータ69~71の直列回路によって、制御ロジック37の第1の端子62に結合されている。インバータの直列回路は3つのインバータ69~71を備えている。第2のNANDゲート65の出力は、さらなるインバータ72乃至74の直列回路によって、制御ロジック37の第2の端子64に結合されている。さらなるインバータの直列回路は3つのインバータ72乃至74を備えている。第1のNANDゲート63の出力は、2つのインバータ69,70を介して第1のノード75に結合されている。第1のノード75は第3のインバータ71を介して制御ロジック37の第1の端子62に結合されている。第2のNANDゲート65の出力は2つのさらなるインバータ72,73を介して第2のノード76に結合されている。第2のノード76はさらなる第3のインバータ74を介して制御ロジック37の第2の端子64に結合されている。
【0087】
第1のノード75は第2のNANDゲート65の第2の入力に接続されている。第2のノード76は第1のNANDゲート63の第2の入力に接続されている。制御ロジック37の第1の端子62で第3の信号S3が提供される。制御ロジック37の第2の端子64で第4の信号S4が提供される。フリップフロップ66は、第1と第2のNANDゲート63,65と、2つのインバータ69,70と、2つのさらなるインバータ72,73と、第1と第2のノード75,76を接続と共に備えている。第3と第4の信号S3,S4は第1と第2の制御Φ1,Φ2を生成するために使用される。第1と第2の制御Φ1,Φ2は第3と第4の信号S3,S4の関数である。第3と第4の信号S3,S4はセンサ配置10の重複しない時間を実現する。
【0088】
図2Bは、図1Aから図1Dおよび図2Aに示したセンサ配置10の詳細の一例を示す。センサ配置10はバンドギャップ回路90を備えている。バンドギャップ回路90の出力は切替可能な電圧ソース12の入力に結合されている。さらに、センサ配置10はバンドギャップ回路90に接続されバイアス電流IBを供給するための出力を有する電流ソース91を備えている。
【0089】
切替可能な電圧ソース12はバッファ92を備えている。バッファ92は、ソース出力15に直接接続された出力を有する。したがって、バッファ92の出力は、センサ抵抗器11の第1の端子41に直接、恒久的に接続されている。バッファ92は増幅器として実現される。増幅器の出力はバッファ92の出力を形成し、増幅器の反転入力に直接接続されている。バッファ92は1の増幅係数を提供してよい。
【0090】
さらに、切替可能な電圧ソース12は、分圧器93と、第1のスイッチ94と第2のスイッチ95を備えている。第1のスイッチ94は、分圧器93の第1のタップ96を、バッファ92の増幅器の非反転入力に接続されたバッファ92の入力に結合する。第2のスイッチ95は、分圧器93の第2のタップ97を、バッファ92の入力に結合する。分圧器93は抵抗分圧器として実現される。分圧器93は、第1と第2の抵抗器98,99を備えている。第1の抵抗器98は第2のタップ97を基準電位端子100に結合する。第2の抵抗器99は第1のタップ96を第2のタップ97に結合する。
【0091】
分圧器93は第3の抵抗器101を備えてもよく、その結果、第2と第3の抵抗器99,101の直列回路が第1のタップ96を第2のタップ97に結合する。第2と第3の抵抗器99,101の間に第3のタップ102がある。第3のタップ102は積分器13の増幅器20の第2の入力に接続されている。分圧器93は少なくとも、第1のタップ96とバンドギャップ回路90の出力の間に配置された第4の抵抗器103を備えている。
【0092】
さらに、切替可能な電圧ソース12は増幅器回路104を備えている。増幅器回路104はその入力側でバンドギャップ回路90の出力に接続されている。増幅器回路104の出力は分圧器93を介して基準電位端子100に結合されている。増幅器回路104の出力は、少なくとも第4の抵抗器103を介して第1のタップ96に結合されている。分圧器93は第5~第7の抵抗器105~107を備えていてよい。第4~第7の抵抗器103、105~107は、第1のタップ96を増幅器回路104の出力に結合する。分圧器93は第4乃至第6のタップ108~110を備えている。第4のタップ108は第4の抵抗器103と第5の抵抗器105の間にある。同様に、第5のタップ109は第5の抵抗器105と第6の抵抗器106の間にある。第6のタップ110は第6の抵抗器106と第7の抵抗器107の間にある。第4のタップ108は第3のスイッチ111を介して第2の比較器入力26に結合されている。第6のタップ110は第4のスイッチ112を介して第2の比較器入力26に結合されている。
【0093】
増幅器回路104は、バンドギャップ回路90の出力に接続された非反転入力を有する演算増幅器115を備えている。演算増幅器115の出力は、増幅器回路104の出力に接続されている。増幅器回路104はさらなる分圧器116を備えている。さらなる分圧器116のタップ117は演算増幅器回路115の反転入力に接続されている。さらなる分圧器116は1つの第1の抵抗器118と、少なくとも1つの第2の抵抗器119を備えている。第1の抵抗器118は演算増幅器115の出力をタップ117に結合する。第2の抵抗器119はタップ117を基準電位端子100に結合する。さらなる分圧器116は、第2乃至第4の抵抗器117~121の直列回路がタップ117を基準電位端子100に結合するように、第3と第4の抵抗器120,121を備えてよい。別法として、さらなる分圧器116の第3と第4の抵抗器120,121は接続線で置き換えられてもよい。
【0094】
バンドギャップ回路90はバンドギャップ電圧VBGを提供し、バンドギャップ電圧VBGは増幅器回路104の入力に印加され、それは演算増幅器115の入力に印加される。増幅器回路104は出力電圧VOUTを生成する。出力電圧VOUTはバンドギャップ電圧VBGの関数であり、また、さらなる分圧器116の抵抗器の抵抗値の関数である。したがって、出力電圧VOUTはバンドギャップ電圧VBGよりも高い電圧値を有する。増幅器回路104の増幅係数は1より高い。さらなる分圧器116の第1の抵抗器118および/または第2の抵抗器119はトリマブル抵抗器として実現され得る。基準電位VSSは基準電位端子100でタップされる。
【0095】
出力電圧VOUTは分圧器93にわたって降下する。したがって、分圧器93の第1のタップ96で、第1の印加電圧V1が生成される。第1の印加電圧V1は、第1のスイッチ94およびバッファ92を介して第1の位相Aでソース出力15に提供される。相応に、第2のタップ97で第2の印加電圧V2が生成される。第2の印加電圧V2は、第2のスイッチ95およびバッファ92を介して第2の位相Bでソース出力15に提供される。有利には、バッファ92は第1の漏洩電流IL1をセンサ抵抗器11の第1の端子41で供給する。共通モード電圧VCMは第3のタップ102でタップされて、積分器13の増幅器20の第2の入力に提供される。
【0096】
分圧器93の第4のタップ108で、第2の比較器基準電圧VLがタップされ、第3のスイッチ111を介して第1の位相Aで第2の比較器入力26に提供される。同様に、第1の比較器基準電圧VHが分圧器93の第6のタップ110でタップされて第4のスイッチ112を介して第2の比較器入力26に提供される。分圧器93の第5のタップ109で、基準電圧VREFがタップされる。
【0097】
第1の比較器基準電圧と第2の比較器基準電圧VH,VLの値は、直列回路18の抵抗値のデジタル値への変換の利得が設定されるように構成されている。第1の比較器基準電圧と第2の比較器基準電圧VH,VLの少しの差から高い利得が生じる。同じ分圧器93から異なる電圧値がタップされ得ると有利である。分圧器93は抵抗分割回路として製造される。
【0098】
図3は、上記で示したセンサ配置10のシミュレーション結果を示す表の一例を示す。第1のカラムは、センサ抵抗器11に対して選択された抵抗値をMΩで示す。第2~第4のカラムは、センサ抵抗器11の計算された抵抗値をMΩで示す。第2のカラムの値を計算するためのシミュレーションでは、第1の位相Aと第2の位相Bが交互に使用される。第3のカラムと第4のカラムでは、第1の位相Aまたは第2の位相Bは省略される。第2の漏洩電流IL2の高い影響により、第3のカラムと第4のカラムの抵抗値は、第1のカラムに示された入力抵抗値から外れており、また、第2のカラムの抵抗値からも外れている。上記で示した測定方法を用いることで、入力抵抗値に対するセンサ抵抗器11の抵抗測定値からの外れは小さく保たれ得る。
【0099】
上述のセンサ配置10は測定動作モードおよび基準動作モードに関してシミュレートされた。Trise、TfallおよびTperiodの値が、センサ抵抗器11の様々な抵抗値(10MΩ,50MΩ,100MΩ,200MΩおよび500MΩ)に関して測定された。漏洩電流IL2の選択値は信号電流ISIGの20%であった(漏洩は、センサ抵抗器11の抵抗値の5倍である抵抗器Rleakを用いてモデル化される)。センサ抵抗器11の抵抗値RSは以下によって計算された。
【数12】
【0100】
式は、選択された積分時間AtimeS(RS+RREF )とAtimeR(RS )に関して同じである。
【数13】
式中、RSはセンサ抵抗器11の抵抗値、RREFは基準抵抗器17の抵抗値、SD1は第1のデジタル信号の値、SD2は第2のデジタル信号の値、AtimeSは測定動作モードでの変換時間、AtimeRは基準動作モードでの変換時間である。
【0101】
センサ抵抗器11の様々な抵抗値のシミュレーション結果が図3に示されている。シミュレーションによれば、センサ抵抗器11の計算された抵抗値は、演算にTperiodを用いた場合に1%未満の誤差を有する。TriseまたはTfallを使用すると、IL2/ISIGの分率に相当する誤差をもたらす。上記の結果では、誤差は、IL2/ISIGの同じ分率である~20%である。
【0102】
測定すべきパラメータ(例えば、ガス濃度)の変更は、センサ抵抗器11の抵抗値RSの変化に変換され、それは、積分器出力電圧OPOUTの三角の周波数の変化に変換され、それは第1のデジタル信号SD1の変化に変換される。
【0103】
したがって、センサ配置10は動作の広範なダイナミックレンジ(1kΩ~300MΩ以上)にわたり高精度ガスセンサを実現する。パッド/ESD漏洩はセンサ配置10に関して/センサ配置10で補償される(ISIG>IL2)。温度および他の要因(供給、プロセス)での漏洩ドリフトもセンサ配置10内で補償され得る。
【0104】
図4Aは、上記の実施形態、特に図1Aで示した実施形態のさらなる展開である、センサ配置10の一実施形態のさらなる例を示す。センサ配置10は論理回路135を備えている。論理回路135の入力は、ラッチ29の第1のラッチ出力32に結合されている。論理回路135の出力136は、演算回路36と、同期カウンタ33の第1のカウンタ入力34と、制御ロジック37とに接続されている。第1のクロック信号CLK1は論理回路135に提供され得る。論理回路135は論理回路135の出力136で出力信号C1を提供する。
【0105】
センサ配置10はさらなるラッチ130を備えている。さらなるラッチ130の第1のラッチ入力131は、ラッチ29の第1のラッチ出力32に結合されている。さらなるラッチ130の第1のラッチ入力131は、第1のラッチ信号QLを受け取る。さらなるラッチ130の第2のラッチ入力132は、第1のクロック信号CLK1を受け取る。さらなるラッチ130のラッチ出力133は、論理回路135のさらなる入力に接続されている。さらなるラッチ130は、さらなるラッチ130のラッチ出力133でさらなるラッチ信号QRを生成する。さらなるラッチ130は、D-ラッチ、D-フリップフロップ、および/またはトランスペアレントD-フリップフロップとして実装され得る。
さらなるラッチ130はラッチ29等として実現され得る。2つのラッチ29,130はマスター・スレーブDフリップフロップを形成してよい。
【0106】
図示していない別の実施形態では、さらなるラッチ130は省略される。論理回路135の入力側はラッチ29に接続される。
【0107】
図示していない別の実施形態では、ラッチ29とさらなるラッチ130は省略される。論理回路135の入力側は比較器14に接続されてよく、また、随意で、さらなる比較器にも接続されてもよい。
【0108】
図4Bは、図1Dに示した信号のさらなる展開である、図4Aのセンサ配置10の信号の一例を示す。さらなるラッチ信号QRは第1のラッチ信号QLの関数であり、また、第1のクロック信号CLK1の関数である。論理回路135はさらなるラッチ130のさらなるラッチ信号QRを受け取って出力信号C1を生成する。論理回路135はラッチ29の第1のラッチ信号QLを受け取ってよい。したがって、論理回路135は第1のラッチ信号QLとさらなるラッチ信号QRを使用して出力信号C1を生成してもよい。
【0109】
出力信号C1は論理回路135による第1のラッチ信号QLの立ち上がりエッジ後と立下りエッジ後に生成される。したがって、出力信号C1は、論理回路135によるさらなるラッチ信号QRの立ち上がりエッジと立下りエッジに生成される。出力信号C1のパルスは、例えば、さらなるラッチ信号QRを反転させ、反転されたさらなるラッチ信号QRと第1のラッチ信号QLの論理AND関数を実行することによって生成され得る。例えば、第2と第4の時点t2,t4での出力信号C1のパルスがこうして生成され得る。随意で、さらなる出力信号C1のパルスが、例えば、第1のラッチ信号QLを反転させ、反転された第1のラッチ信号QLとさらなるラッチ信号QRの論理AND関数を実行することによって生成され得る。例えば、第3の時点t3での出力信号C1のパルスがこうして生成され得る。論理回路135は2つのAND関数によって提供された情報を用いて、第1のクロック信号CLK1に従って出力信号を成形する。
【0110】
出力信号C1は0.5T1のパルス継続時間を有し得る。出力信号C1のパルスは図4Bに示すように第1のクロック信号CLK1の2つのパルス間であり得る。出力信号C1のパルスは第1のクロック信号CLK1のパルスの立下りエッジとともに上昇し得る。論理回路135は、図示していないNORゲート、NANDゲート、インバータ、遅延回路およびAND関数を実行し出力信号C1のパルスを成形するための他のゲートを備えてよい。
【0111】
別の方法として、修正されたラッチ出力信号C1のパルスは第1のクロック信号CLK1のパルスと同時であってもよい。したがって、出力信号C1のパルスは第1のクロック信号CLK1のパルスの立ち上がりエッジとともに上昇してよい。
【0112】
図4Cは、図2Aおよび図4Aに特に示したような、上記で示した実施形態のさらなる展開であるセンサ配置10の詳細の一例を示す。論理回路135は、制御ロジック37に結合されたさらなる出力137を備えている。制御ロジック37の第1の入力60は論理回路135の出力136に接続されている。制御ロジック37の第2の入力61は論理回路135のさらなる出力137に接続されている。さらなる出力137は反転出力として実現され、信号C1Iを提供する。信号C1Iは、出力信号C1の反転信号である。
【0113】
記載された図1Aから図4Cで示した実施形態は、改良されたセンサ配置の例示的実施形態を表し、したがって、改良されたセンサ配置による全実施形態の完全なリストを構成するものではない。実際のセンサ配置の構成は、提示した実施形態とは、例えば回路部品、デバイス、構造および信号に関して異なり得る。
【符号の説明】
【0114】
10 センサ配置
11 センサ抵抗器
12 切替可能な電圧ソース
13 積分器
14 比較器
15 ソース出力
16 積分器入力
17 基準抵抗器
18 直列回路
19 スイッチ
20 増幅器
21 積分器出力
22 積分コンデンサ
23 制御入力
24 デジタル-アナログコンバータ
25 第1の比較器入力
26 第2の比較器入力
27 さらなるソース出力
28 比較器出力
29 ラッチ
30 第1のラッチ入力
31 第2のラッチ入力
32 第1のラッチ出力
33 同期カウンタ
34 第1のカウンタ入力
35 第2のカウンタ入力
36 演算回路
37 制御ロジック
38 カウンタ
41 第1の端子
42 第2の端子
59 第2のラッチ出力
60 第1の入力
61 第2の入力
62 第1の端子
63 第1のNANDゲート
64 第2の端子
65 第2のNANDゲート
66 フリップフロップ
67 第1のANDゲート
68 第2のANDゲート
69~74 インバータ
75 第1のノード
76 第2のノード
90 バンドギャップ回路
91 電流ソース
92 バッファ
93 分圧器
94 第1のスイッチ
95 第2のスイッチ
96 第1のタップ
97 第2のタップ
98 第1の抵抗器
99 第2の抵抗器
100 基準電位端子
101 第3の抵抗器
102 第3のタップ
103 第4の抵抗器
104 増幅器回路
105~107 抵抗器
108~110 タップ
111 第3のスイッチ
112 第4のスイッチ
116 さらなる分圧器
117 タップ
118~121 抵抗器
130 さらなるラッチ
131 第1のラッチ入力
132 第2のラッチ入力
133 ラッチ出力
135 論理回路
136 出力
137 さらなる出力
A,A’ 第1の位相
Atime 変換時間
B,B’ 第2の位相
CLK1,CLK2 クロック信号
C1 出力信号
C2 カウンタ出力信号
C3 カウンタ値
IB バイアス電流
Ifall,Irise 電流
IL1,IL2 漏洩電流
IN 積分器入力電流
ISIG 信号電流
OPOUT 積分器出力電圧
OSTRIM トリム信号
QL 第1のラッチ信号
QR さらなるラッチ信号
SC 制御信号
SCO 比較器出力信号
SD1,SD2 デジタル信号
SAT,S1~S4 信号
t1~t5 時点
T1,T2 周期
VBG バンドギャップ電圧
VCM 共通モード電圧
VH,VL 比較器基準電圧
V1N 積分器入力電圧
VOUT 出力電圧
VREF 基準電圧
VSS 基準電位
V1 第1の印加電圧
V2 第2の印加電圧
Φ1~Φ3 制御信号
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C