(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】モレキュラーシーブSSZ-109の合成
(51)【国際特許分類】
C01B 39/48 20060101AFI20220808BHJP
B01J 29/74 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
C01B39/48
B01J29/74 Z
(21)【出願番号】P 2020567823
(86)(22)【出願日】2019-04-26
(86)【国際出願番号】 IB2019053433
(87)【国際公開番号】W WO2019234517
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-10-26
(32)【優先日】2018-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503148834
【氏名又は名称】シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シエ、ダン
(72)【発明者】
【氏名】オホ、アデオラ フローレンス
【審査官】▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-517558(JP,A)
【文献】特開2001-089132(JP,A)
【文献】特表2010-538964(JP,A)
【文献】特表2009-505940(JP,A)
【文献】特表2020-523266(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/20-39/54
B01J 29/74
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
SSZ-109の構造を有するモレキュラーシーブを合成する方法であって、
(a)
(1)酸化ケイ素の供給源と、
(2)3価元素(X)の酸化物の供給源と、
(3)任意に、第1族又は第2族金属(M)の供給源と、
(4)N
1,N
6-ジイソプロピル-N
1,N
1,N
6,N
6-テトラメチルヘキサン-1,6-ジアミニウムカチオンを含む構造指向剤(Q)と、
(5)水酸化物イオンの供給源と、
(6)水と
を含む、反応混合物を用意することと、
(b)前記モレキュラーシーブの結晶の形成に十分な結晶化条件に前記反応混合物を供することとを含
み、
前記3価元素Xが、ホウ素及びアルミニウムのうち1つ以上を含む、上記方法。
【請求項2】
前記反応混合物が、モル比で以下の組成を有する、請求項1に記載の方法。
【表1】
【請求項3】
前記反応混合物が、モル比で以下の組成を有する、請求項1に記載の方法。
【表2】
【請求項4】
前記結晶化条件が125℃~200℃の温度を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
SSZ-109の構造を有し、その合成されたままの形態において、N
1,N
6-ジイソプロピル-N
1,N
1,N
6,N
6-テトラメチルヘキサン-1,6-ジアミニウムカチオンをその細孔内に含
み、
少なくとも10のSiO
2
/X
2
O
3
のモル比を有し、Xが3価元素であり、前記3価元素Xが、ホウ素及びアルミニウムのうち1つ以上を含む、モレキュラーシーブ。
【請求項6】
前記SiO
2/X
2O
3のモル比が20~500の範囲内である、請求項
5に記載のモレキュラーシーブ
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年6月7日に出願された米国仮出願Ser.No.62/681,759の優先権及び利益を主張する。
【0002】
本開示は、モレキュラーシーブSSZ-109の合成に関する。
【背景技術】
【0003】
ゼオライト材料は、吸着剤材料としての有用性を有し、様々な種類の炭化水素転化反応のための触媒特性を有することが既知である。あるゼオライト材料は、X線回折によって決定されるような明確な結晶構造を有する、規則正しい多孔性結晶性メタロシリケートである。ゼオライト材料内には、多数の小さい空洞が存在し、これらの空洞はいくつかのなおより小さいチャネル又は細孔によって相互連結され得る。これらの空洞及び細孔は、特定のゼオライト材料内で大きさが均一である。これらの細孔の寸法は、ある寸法の収着分子を受け入れ、より大きい寸法の分子を拒絶するような寸法であるため、これらの材料は「モレキュラーシーブ」として知られるようになり、これらの特性を利用する多様な方法で利用されている。
【0004】
モレキュラーシーブSSZ-109の組成及び特徴的なX線回折パターンは、米国特許出願第2018/0312408に開示され、これにはN,N’,N’-テトラメチル-N,N’-ジイソブチルヘキサン-1,6-ジアンモニウムカチオン、N,N,N’,N’-テトラメチル-N,N’-ジネオペンチルヘキサン-1,6-ジアンモニウムカチオン及びN,N,N’,N’-テトラメチル-N-イソブチル-N’-ネオペンチルヘキサン-1,6-ジアンモニウムカチオンの1つ以上を含む構造指向剤を使用したモレキュラーシーブの調製についても記載されている。
【0005】
本開示によれば、本明細書に記載される有機カチオンは、SSZ-109の合成における構造指向剤として有効であり得ることが今や見出されている。
【発明の概要】
【0006】
一態様において、SSZ-109の構造を有するモレキュラーシーブを合成する方法であって、(a)(1)酸化ケイ素の供給源と、(2)3価元素(X)の酸化物の供給源と、(3)任意に、第1族又は第2族金属(M)の供給源と、(4)N1,N6-ジイソプロピル-N1,N1,N6,N6-テトラメチルヘキサン-1,6-ジアミニウムカチオンを含む構造指向剤(Q)と、(5)水酸化物イオンの供給源と、(6)水とを含む、反応混合物を用意することと、(b)モレキュラーシーブの結晶の形成に十分な結晶化条件に反応混合物を供することとを含む方法が提供される。
【0007】
別の態様において、SSZ-109の構造を有し、その合成されたままの形態において、N1,N6-ジイソプロピル-N1,N1,N6,N6-テトラメチルヘキサン-1,6-ジアミニウムカチオンをその細孔中に含む、モレキュラーシーブが提供される。
【0008】
モレキュラーシーブは、その合成されたままの形態及び無水形態において、以下のモル関係を含む化学組成を有する:
【表1】
ここで、Xは3価元素(例えばホウ素、アルミニウム、ガリウム及び鉄の1つ以上)であり、Qは、N
1,N
6-ジイソプロピル-N
1,N
1,N
6,N
6-テトラメチルヘキサン-1,6-ジアミニウムカチオンを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】例1で調製した、合成したままのモレキュラーシーブの粉末X線回折(XRD)パターンを示す。
【0010】
【
図2】例1で調製した、合成したままのモレキュラーシーブの走査型電子顕微鏡写真(SEM)画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
序説
「合成されたまま」という用語は、結晶化後、構造指向剤の除去前の形態のモレキュラーシーブを示すために本明細書で用いる。
【0012】
「無水」という用語は、物理的吸着水及び化学的吸着水の両方を実質的に含まないモレキュラーシーブを示すために本明細書で用いる。
【0013】
本明細書で使用する場合、周期表の族の番号付け方式は、Chem.Eng.News,63(5),26-27(1985)に記載されている通りである。
【0014】
反応混合物
一般に、SSZ-109の骨格構造を有するモレキュラーシーブは、(a)(1)酸化ケイ素の供給源と、(2)3価元素(X)の酸化物の供給源と、(3)任意に、第1族又は第2族金属(M)の供給源と、(4)N1,N6-ジイソプロピル-N1,N1,N6,N6-テトラメチルヘキサン-1,6-ジアミニウムカチオンを含む構造指向剤(Q)と、(5)水酸化物イオンの供給源と、(6)水とを含む、反応混合物を用意することと、(b)モレキュラーシーブの結晶の形成に十分な結晶化条件に反応混合物を供することとによって合成され得る。
【0015】
反応混合物は、モル比に関して、表1に記載した範囲内の組成を有し得る。
【表2】
ここで、組成変数X、M及びQは、本明細書において上に記載されている通りである。
【0016】
酸化ケイ素の好適な供給源としては、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、沈降シリカ、アルカリ金属シリケート、及びテトラアルキルオルトシリケートが挙げられる。
【0017】
3価元素Xの好適な供給源は、選択される元素X(例えばホウ素、アルミニウム、ガリウム及び鉄)によって変わる。Xがホウ素を含む又はホウ素である実施形態において、好適なホウ素の供給源としては、ホウ酸、ナトリウムテトラボレート及びカリウムテトラボレートが挙げられる。ケイ素及びホウ素の複合源を追加的又は代替的に使用することができ、ゼオライトボロシリケート(例えばベータゼオライトボロシリケート)を含むことが可能である。Xがアルミニウムを含む又はアルミニウムである実施形態において、好適なアルミニウムの供給源としては、水和アルミナ、アルミニウムヒドロキシド、アルカリ金属アルミネート、アルミニウムアルコキシド及び水溶性アルミニウム塩(例えばアルミニウムニトレート)が挙げられる。ケイ素及びアルミニウムの複合源を追加的又は代替的に使用することが可能であり、アルミノシリケートゼオライト(例えばゼオライトY)及び粘土又は処理粘土(例えばメタカオリン)を含むことが可能である。
【0018】
好適な第1族又は第2族金属(M)の例としては、ナトリウム、カリウム及びカルシウムが挙げられる。金属は一般に、水酸化物として反応混合物中に存在する。
【0019】
構造指向剤(Q)は、以下の構造(1)によって表されるN
1,N
6-ジイソプロピル-N
1,N
1,N
6,N
6-テトラメチルヘキサン-1,6-ジアミニウムカチオンを含む。
【化1】
【0020】
Qの好適な供給源は、ジ四級アンモニウム化合物の水酸化物及び/又は他の塩である。
【0021】
反応混合物は、先の合成からの結晶性モレキュラーシーブ材料、例えばSSZ-109のシードも、望ましくは反応混合物の0.01~15,000重量ppm(例えば100~10,000重量ppm)の量で含有し得る。播種は、完全な結晶化が起きるのに必要な時間を短縮するのに有利であり得る。さらに播種は、いずれの望ましくない相よりもSSZ-109の核生成及び/又は形成を促進することにより、生成物の純度を高めることができる。
【0022】
本明細書に記載の各実施形態について、1種を超える供給源によって、モレキュラーシーブ反応混合物を供給することができる。また2種以上の反応成分を1種の供給源によって提供することができる。
【0023】
反応混合物は、バッチ式又は連続式のどちらかによって調製できる。本明細書に記載のモレキュラーシーブの結晶サイズ、形態及び結晶化時間は、反応混合物の性質及び結晶化条件によって変化させることができる。
【0024】
結晶化及び合成後処理
上の反応混合物からのモレキュラーシーブの結晶化は、適当な反応容器、例えばポリプロピレン瓶又はテフロン(登録商標)ライニングオートクレーブもしくはステンレススチール製オートクレーブ内にて、静的条件、タンブル条件又は撹拌条件下で、125℃~200℃の温度にて、使用される温度において生じる結晶化に対して十分な時間、例えば約50~500時間にわたって行うことができる。結晶化は通常、オートクレーブ内で行われるため、反応混合物は自己圧力を受ける。
【0025】
モレキュラーシーブ結晶が形成されたら、固体生成物を遠心分離又は濾過などの標準的な機械分離技法によって反応混合物から分離する。結晶を水洗し、次いで乾燥させて、合成したままのモレキュラーシーブ結晶を得る。乾燥工程は、通例200℃未満の温度にて行う。
【0026】
結晶化工程の結果として、回収された結晶性モレキュラーシーブ生成物は、その細孔内に合成に使用した構造指向剤の少なくとも一部を含有する。
【0027】
本明細書に記載したモレキュラーシーブを、その合成に使用した構造指向剤(Q)の一部又は全部を除去する処理に供してもよい。この処理は、合成されたままの材料が少なくとも約370℃の温度で少なくとも1分間及び一般に20時間以下加熱される熱処理によって好都合に行うことができる。熱処理は925℃までの温度で行うことができる。亜大気圧を熱処理に用いることができるが、大気圧が便宜上望ましい。追加的に又は代替的に、構造指向剤は、オゾンを用いた処理によって除去することができる(例えばA.N.Parikh et al.,Micropor.Mesopor.Mater.2004,76,17-22を参照のこと)。
【0028】
合成されたままのモレキュラーシーブ中の任意の第1族又は第2族金属カチオンは、所望の程度まで、他のカチオンとのイオン交換によって、当分野で周知の技法に従って置換できる。好ましい置換カチオンは、金属イオン(例えば希土類金属及び周期表の第2族から第15族の金属)、水素イオン、水素前駆体イオン(例えばアンモニウムイオン)及びその組合せを含む。
【0029】
SSZ-109は、完成した触媒にさらなる硬度又は触媒活性を付与するバインダ及び/又はマトリックス材料などの他の材料との組合せによって、触媒組成物中に配合することができる。このような成分とブレンドした場合、SSZ-109とマトリックスの相対比率は広範に変化し得て、SSZ-109含有量が全触媒の1~90重量%(例えば2~80重量%)の範囲に及ぶ。
モレキュラーシーブのキャラクタリゼーション
【0030】
本モレキュラーシーブは、その合成されたままの形態及び無水形態において、表2に示すモル関係を含む化学組成を有することができる。
【表3】
【0031】
いくつかの実施形態において、本モレキュラーシーブは、アルミノシリケート又はボロシリケートであり得る。
【0032】
本モレキュラーシーブの合成されたままの形態は、合成されたままの形態を調製するために使用される反応混合物の反応物のモル比とは異なるモル比を有し得ることに留意されたい。この結果は、(反応混合物から)形成された結晶への反応混合物の反応物の100%が完全に包含されないことに起因し得る。
【0033】
米国特許出願第2018/0312408号で教示されるように、モレキュラーシーブSSZ-109は、合成されたままの形態では少なくとも以下の表3に示すピークを含み、その焼成形態では少なくとも表4に記載されているピークを含む、X線回折パターンを有する。
【表4】
【表5】
【0034】
本明細書で示す粉末X線回折パターンは、標準的な技法によって収集した。放射線はCuKα放射線であった。ピーク高さ及び位置は、θがブラッグ角である2θの関数として、ピークの相対強度(バックグラウンドに対して調整)から読み取り、記録されたラインに対応する面間間隔dを算出できる。
【0035】
回折パターンのわずかな変動は、格子定数の変化による特定の試料の骨格種のモル比の変動から生じる可能性がある。さらに、十分に小さな結晶がピークの形状及び強度に影響を与え、有意なピークの広がりにつながる。回折パターンのわずかな変動は、調製物に使用した有機化合物の変動からも生じる可能性がある。焼成もXRDパターンのわずかなシフトを生じる可能性がある。これらのわずかな摂動にもかかわらず、基本的な結晶格子構造は不変のままである。
【0036】
例
以下の例示的な例は、非限定的であるものとする。
【0037】
例1
脱イオン水2.88g、50% NaOH溶液0.06g、14.21% N1,N6-ジイソプロピル-N1,N1,N6,N6-テトラメチルヘキサン-1,6-ジアミニウムヒドロキシド溶液0.83g及びCBV780 Y-ゼオライト(ゼオリスト・インターナショナル、SiO2/Al2O3モル比=80)0.50gをテフロンライナー中で共に混合した。生じたゲルを均一になるまで撹拌した。ライナーに蓋をして、パー鋼製オートクレーブ反応装置内に入れた。次いでオートクレーブを、160℃にて加熱したオーブンに静的条件下で6日間配置した。冷却した反応装置から固体生成物を遠心分離によって回収し、脱イオン水で洗浄して、95℃にて乾燥させた。
【0038】
生じた生成物を粉末XRD及びSEMで分析した。生成物の粉末XRDパターンを
図1に示すが、SSZ-109である生成物と一致している。生成物のSEM画像を
図2に示すが、均一な結晶フィールドを示している。
【0039】
生成物は、誘導結合プラズマ(ICP)元素分析によって決定した場合、90.4のSiO2/Al2O3のモル比を有していた。
【0040】
例2
脱イオン水6.87g、45% KOH溶液0.24g、14.21% N1,N6-ジイソプロピル-N1,N1,N6,N6-テトラメチルヘキサン-1,6-ジアミニウムヒドロキシド溶液1.99g及びCBV780 Y-ゼオライト(ゼオリスト・インターナショナルSiO2/Al2O3モル比=80)1.20gをテフロンライナー中で共に混合した。生じたゲルを均一になるまで撹拌した。ライナーに蓋をして、パー鋼製オートクレーブ反応装置内に入れた。次いでオートクレーブを、160℃にて加熱したオーブンに静的条件下で6日間配置した。冷却した反応装置から固体生成物を遠心分離によって回収し、脱イオン水で洗浄して、95℃にて乾燥させた。
【0041】
生じた生成物を粉末XRD及びSEMによって分析し、SSZ-109であることが示された。
【0042】
該生成物は、ICP元素分析によって決定した場合、86.9のSiO2/Al2O3モル比を有していた。
【0043】
例3
脱イオン水5.16g、45% KOH溶液0.09g、14.21% N1,N6-ジイソプロピル-N1,N1,N6,N6-テトラメチルヘキサン-1,6-ジアミニウムヒドロキシド溶液2.47g、50% Reheis F-2000アルミニウムヒドロキシド乾燥ゲル0.03g及びLUDOX(登録商標)AS-30コロイダルシリカ3.00gをテフロンライナー中で共に混合した。ゲルを均一になるまで撹拌した。ライナーに蓋をして、パー鋼製オートクレーブ反応装置内に入れた。次いで、オートクレーブをオーブンに入れ、43rpmで回転させながら160℃にて10日間加熱した。冷却した反応装置から固体生成物を遠心分離によって回収し、脱イオン水で洗浄して、95℃にて乾燥させた。
【0044】
生じた生成物を粉末XRD及びSEMによって分析し、SSZ-109であることが示された。
【0045】
該生成物は、ICP元素分析によって決定した場合、82.4のSiO2/Al2O3モル比を有していた。
【0046】
例4
脱イオン水5.22g、14.21% N1,N6-ジイソプロピル-N1,N1,N6,N6-テトラメチルヘキサン-1,6-ジアミニウムヒドロキシド溶液2.47g、50%Reheis F-2000アルミニウムヒドロキシド乾燥ゲル0.02g及びLUDOX(登録商標)AS-30コロイダルシリカ3.00gをテフロンライナー中で共に混合した。生じたゲルを均一になるまで撹拌した。ライナーに蓋をして、パー鋼製オートクレーブ反応装置内に入れた。次いで、オートクレーブをオーブンに入れ、43rpmで回転させながら160℃にて10日間加熱した。冷却した反応装置から固体生成物を遠心分離によって回収し、脱イオン水で洗浄して、95℃にて乾燥させた。
【0047】
生じた生成物を粉末XRD及びSEMによって分析し、SSZ-109であることが示された。
【0048】
該生成物は、ICP元素分析によって決定した場合、152.9のSiO2/Al2O3モル比を有していた。
【0049】
例5
脱イオン水8.61g、45% KOH溶液0.16g、14.21% N1,N6-ジイソプロピル-N1,N1,N6,N6-テトラメチルヘキサン-1,6-ジアミニウムヒドロキシド溶液4.11g、50% Reheis F-2000アルミニウムヒドロキシド乾燥ゲル0.03g及びLUDOX(登録商標)AS-30コロイダルシリカ5.00gをテフロンライナー中で共に混合した。ゲルを均一になるまで撹拌した。ライナーに蓋をして、パー鋼製オートクレーブ反応装置内に入れた。次いで、オートクレーブをオーブンに入れ、43rpmで回転させながら160℃にて10日間加熱した。冷却した反応装置から固体生成物を遠心分離によって回収し、脱イオン水で洗浄して、95℃にて乾燥させた。
【0050】
生じた生成物を粉末XRD及びSEMによって分析し、SSZ-109であることが示された。
【0051】
該生成物は、ICP元素分析によって決定した場合、230.6のSiO2/Al2O3モル比を有していた。
【0052】
例6
脱イオン水5.17g、45% KOH溶液0.09g、14.21% N1,N6-ジイソプロピル-N1,N1,N6,N6-テトラメチルヘキサン-1,6-ジアミニウムヒドロキシド溶液2.47g、50% Reheis F-2000アルミニウムヒドロキシド乾燥ゲル0.01g及びLUDOX(登録商標)AS-30コロイダルシリカ3.00gをテフロンライナー中で共に混合した。ゲルを均一になるまで撹拌した。ライナーに蓋をして、パー鋼製オートクレーブ反応装置内に入れた。次いで、オートクレーブをオーブンに入れ、43rpmで回転させながら160℃にて10日間加熱した。冷却した反応装置から固体生成物を遠心分離によって回収し、脱イオン水で洗浄して、95℃にて乾燥させた。
【0053】
生じた生成物を粉末XRD及びSEMによって分析し、SSZ-109であることが示された。
【0054】
該生成物は、ICP元素分析によって決定した場合、498.9のSiO2/Al2O3モル比を有していた。
【0055】
例7
脱イオン水4.71g、50% NaOH溶液0.04g、14.21% N1,N6-ジイソプロピル-N1,N1,N6,N6-テトラメチルヘキサン-1,6-ジアミニウムヒドロキシド溶液1.59g及びホウ素ベータゼオライト(SiO2/B2O3モル比約100)0.60gをテフロンライナー中で共に混合した。ゲルを均一になるまで撹拌した。ライナーに蓋をして、パー鋼製オートクレーブ反応装置内に入れた。次いでオートクレーブを、150℃にて加熱したオーブンに静的条件下で8日間配置した。冷却した反応装置から固体生成物を遠心分離によって回収し、脱イオン水で洗浄して、95℃にて乾燥させた。
【0056】
生じた生成物は、粉末XRD及びSEMによってSSZ-109として同定した。
【0057】
該生成物は、ICP元素分析によって決定した場合、140.2のSiO2/B2O3モル比を有していた。
【0058】
例8
脱イオン水7.82g、45% KOH溶液0.10g、14.21% N1,N6-ジイソプロピル-N1,N1,N6,N6-テトラメチルヘキサン-1,6-ジアミニウムヒドロキシド溶液2.65g及びホウ素ベータゼオライト(SiO2/B2O3モル比約100)1.00gをテフロンライナー中で共に混合した。ゲルを均一になるまで撹拌した。ライナーに蓋をして、パー鋼製オートクレーブ反応装置内に入れた。次いでオートクレーブを、150℃にて加熱したオーブンに静的条件下で8日間配置した。冷却した反応装置から固体生成物を遠心分離によって回収し、脱イオン水で洗浄して、95℃にて乾燥させた。
【0059】
生じた生成物は、粉末XRD及びSEMによってSSZ-109として同定した。
【0060】
該生成物は、ICP元素分析によって決定した場合、145.6のSiO2/B2O3モル比を有していた。
【0061】
例9
例1による合成されたままのSSZ-109生成物を、マッフル炉内で1℃/分の速度にて540℃まで加熱した窒素及び空気の混合流下で焼成し、540℃にて5時間保持し、冷却して、次いで粉末XRDにより分析した。粉末XRDデータは、有機物を除去するための焼成後に材料が安定したままであることを示した。
【0062】
例10
細孔容積分析
例9の焼成材料は、マイクロメリティックスのASAP 2010装置で記録した87.50K(-186℃)におけるアルゴン吸着等温線に基づいて、0.08cm3/gの細孔容積を有していた。アルゴン吸着の前に、サンプルを最初に400℃にて16時間脱気する。低圧用量は2.00cm3/g(STP)ある。用量あたり最大の1時間平衡時間が使用され、総実行時間は37時間である。アルゴン吸着等温線は、ホルバス-カワゾエ(Horvarth-Kawazoe)形式のSaito Foley改変(Saito Foley adaptation)(Micropor.Mater.1995,3,531-542)及び従来のtプロット法(J.Catal.1965,4,319-323)を使用してJ.P.Olivier(J.Porous Mater.1995,2,9-17)により活性炭スリット向けに開発された、密度汎関数理論(DFT)形式及びパラメーターを使用して分析する。
【0063】
例11
アンモニウムイオン交換
(例9による)交換されるサンプルの質量に等しい量のアンモニウムニトレートを、サンプルの質量の10倍量の脱イオン水に完全に溶解させた。次いでサンプルをアンモニウムニトレート溶液に添加して、懸濁液をフラスコ内に密封し、95℃のオーブンで一晩加熱した。フラスコをオーブンから取り出し、サンプルを濾過によって直ちに回収した。このアンモニウム交換手順を回収したサンプルに対して繰り返し、大量の脱イオン水で導電率が50μS/cm未満になるまで洗浄し、最後に95℃のオーブンで3時間乾燥させた。
【0064】
例12
ヘキサデカン転化率
パラジウムイオン交換を、テトラアンミンパラジウム(II)ニトレート(0.5重量%Pd)を使用して、例11のアンモニウム交換サンプルに対して行った。イオン交換後、サンプルを95℃にて乾燥させ、482℃にて3時間空気中で焼成して、テトラアンミンパラジウム(II)ニトレートを酸化パラジウムに変換した。
【0065】
供給物を予熱するために触媒の上流にアランダムを装填した、長さ23インチ、外径0.25インチのステンレス鋼反応管に、各パラジウム交換サンプル0.5gを投入した(全圧1200psig、1気圧及び25℃での測定時の下降流水素速度160mL/分、下降流液体供給速度1mL/時)。サンプルは最初に約315℃で1時間、水素流中還元した。生成物を30分毎に1回オンラインキャピラリーガスクロマトグラフィ(GC)により分析した。GCからの生データは自動データ収集/処理システムによって収集し、炭化水素転化率は生データから計算した。
【0066】
触媒を最初に約450°Fにて試験して、次の測定セットの温度範囲を決定した。全体の温度範囲は、ヘキサデカンの広範な転化率を与え、最大転化率は96%直前から96%超となる。各温度において、少なくとも5回のオンラインGC注入を収集した。転化率は、反応して(イソ-C
16異性体を含む)他の生成物を生成したヘキサデカンの量として定義した。収率は、n-C
16以外の生成物の重量パーセントとして表し、収率生成物としてiso-C
16を含めた。結果を表5に示す。
【表6】
【0067】
望ましくない接触分解が最小限に抑えられるとともに、良好な触媒性能は96%転化率における異性化選択性と温度との相乗効果に依存していた。この触媒は、転化率96%にて望ましい異性化選択性を示した。触媒はきわめて良好な異性化選択性も維持しながら、転化率96%にて非常に望ましい温度を示した。また、望ましくない接触分解は、付随する高いガス発生量と共に、許容できるレベルのC
4-分解によって、表5にて低く反映された。
なお、下記[1]から[10]は、いずれも本発明の一形態又は一態様である。
[1]
SSZ-109の構造を有するモレキュラーシーブを合成する方法であって、
(a)
(1)酸化ケイ素の供給源と、
(2)3価元素(X)の酸化物の供給源と、
(3)任意に、第1族又は第2族金属(M)の供給源と、
(4)N
1
,N
6
-ジイソプロピル-N
1
,N
1
,N
6
,N
6
-テトラメチルヘキサン-1,6-ジアミニウムカチオンを含む構造指向剤(Q)と、
(5)水酸化物イオンの供給源と、
(6)水と
を含む、反応混合物を用意することと、
(b)前記モレキュラーシーブの結晶の形成に十分な結晶化条件に前記反応混合物を供することとを含む、上記方法。
[2]
前記反応混合物が、モル比で以下の組成を有する、[1]に記載の方法。
【表7】
[3]
前記反応混合物が、モル比で以下の組成を有する、[1]に記載の方法。
【表8】
[4]
前記3価元素Xが、ホウ素及びアルミニウムのうち1つ以上を含む、[1]に記載の方法。
[5]
前記結晶化条件が125℃~200℃の温度を含む、[1]に記載の方法。
[6]
SSZ-109の構造を有し、その合成されたままの形態において、N
1
,N
6
-ジイソプロピル-N
1
,N
1
,N
6
,N
6
-テトラメチルヘキサン-1,6-ジアミニウムカチオンをその細孔内に含む、モレキュラーシーブ。
[7]
少なくとも10のSiO
2
/X
2
O
3
のモル比を有し、Xが3価元素である、[6]に記載のモレキュラーシーブ。
[8]
前記SiO
2
/X
2
O
3
のモル比が20~500の範囲内である、[7]に記載のモレキュラーシーブ。
[9]
前記3価元素Xが、ホウ素及びアルミニウムのうち1つ以上を含む、[7]に記載のモレキュラーシーブ。
[10]
その合成されたままの形態で、以下のピークを含むX線回折を有する[6]に記載のモレキュラーシーブ。
【表9】