IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニーの特許一覧

特許7119133エチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EO/PO/EO)トリブロックコポリマー及びリパーゼを含む洗濯洗剤組成物
<>
  • 特許-エチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EO/PO/EO)トリブロックコポリマー及びリパーゼを含む洗濯洗剤組成物 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】エチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EO/PO/EO)トリブロックコポリマー及びリパーゼを含む洗濯洗剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 1/722 20060101AFI20220808BHJP
   C11D 3/386 20060101ALI20220808BHJP
   C11D 1/02 20060101ALI20220808BHJP
   C11D 1/22 20060101ALI20220808BHJP
   C11D 1/72 20060101ALI20220808BHJP
   C11D 1/29 20060101ALI20220808BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20220808BHJP
   D06F 35/00 20060101ALI20220808BHJP
   C12N 9/20 20060101ALN20220808BHJP
【FI】
C11D1/722
C11D3/386
C11D1/02
C11D1/22
C11D1/72
C11D1/29
C11D3/20
D06F35/00 Z
C12N9/20
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020570781
(86)(22)【出願日】2019-06-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 US2019039205
(87)【国際公開番号】W WO2020006056
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2020-12-18
(31)【優先権主張番号】18180982.3
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】19179684.6
(32)【優先日】2019-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】パターソン、スティーヴン・ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ブティーク、ジャン-ポル
(72)【発明者】
【氏名】ドプールテール、ヨハン・モーリス・テオ
(72)【発明者】
【氏名】モミン、ナザルモハマド・グラムフセイン
【審査官】黒川 美陶
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-507611(JP,A)
【文献】特表2008-531758(JP,A)
【文献】国際公開第2017/036901(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リパーゼ及びエチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EO/PO/EO)トリブロックコポリマーを含む洗濯洗剤組成物であって、前記コポリマーが、第1のEOブロック、第2のEOブロック、及びPOブロックを含み、前記第1のEOブロック及び前記第2のEOブロックが、前記POブロックに連結されており、
前記洗濯洗剤組成物が、活性タンパク質に基づいて、前記洗濯洗剤組成物の0.0001重量%~0.75重量%の前記リパーゼを含む、洗濯洗剤組成物。
【請求項2】
前記リパーゼが、
(a)フミコーラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)株DSM 4109由来の野生型リパーゼと少なくとも90%の同一性を有する、若しくは
(b)前記野生型リパーゼと比較して、E1又はQ249の15A以内の三次元構造の表面における電気的に中性又は負に帯電したアミノ酸の、正に帯電したアミノ酸による置換を含む、
又は(a)及び(b)の混合物
である、アミノ酸配列を有するポリペプチドであるリパーゼから選択される、請求項1に記載の洗濯洗剤組成物。
【請求項3】
活性タンパク質に基づいて、前記洗濯洗剤組成物の0.0005重量%~0.5重量%の前記リパーゼを含む、請求項1又は2に記載の洗濯洗剤組成物。
【請求項4】
前記組成物の1重量%~10重量%の前記エチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EO/PO/EO)トリブロックコポリマーを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の洗濯洗剤組成物。
【請求項5】
前記エチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EO/PO/EO)トリブロックコポリマーが、15~70のプロピレンオキシド単位の平均プロピレンオキシド鎖長を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の洗濯洗剤組成物。
【請求項6】
前記エチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EO/PO/EO)トリブロックコポリマーが、1000~10,000の平均分子量を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の洗濯洗剤組成物。
【請求項7】
各エチレンオキシド鎖が、独立して、2~90のエチレンオキシド単位の平均鎖長を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の洗濯洗剤組成物。
【請求項8】
前記コポリマーが、平均して前記コポリマーの10重量%~90重量%の複合エチレンオキシドブロックを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の洗濯洗剤組成物。
【請求項9】
前記コポリマーが、2500~3000の平均分子量、25~35プロピレンオキシド単位の平均プロピレンオキシド含量、及びエチレンオキシドブロック当たり10~15エチレンオキシド単位の平均エチレンオキシド含量を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の洗濯洗剤組成物。
【請求項10】
前記洗濯洗剤組成物の10重量%~60重量%の、前記エチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EO/PO/EO)トリブロックコポリマーを除く界面活性剤を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の洗濯洗剤組成物。
【請求項11】
前記洗濯洗剤組成物が、非石鹸アニオン性界面活性剤を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の洗濯洗剤組成物。
【請求項12】
前記洗濯洗剤組成物が、液体洗濯洗剤組成物であり、前記液体洗濯洗剤組成物が、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセロール、ソルビトール、又はこれらの混合物から選択される非水性溶媒を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の洗濯洗剤組成物。
【請求項13】
前記洗濯洗剤組成物が、液体洗濯洗剤組成物であり、前記液体洗濯洗剤組成物が、前記液体洗濯洗剤組成物の0.5重量%~15重量%の水を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の洗濯洗剤組成物。
【請求項14】
前記洗濯洗剤組成物が、水溶液フィルムに封入されて水溶性単位用量物品を形成する、請求項1~13のいずれか一項に記載の洗濯洗剤組成物。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の洗濯洗剤組成物の脂洗浄性能を改善するための、エチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EO/PO/EO)トリブロックコポリマー及びリパーゼの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
エチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EO/PO/EO)トリブロックコポリマー及びリパーゼ酵素を含む洗濯洗剤組成物、並びに当該洗濯洗剤組成物におけるエチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EO/PO/EO)トリブロックコポリマー及びリパーゼ酵素の使用。
【背景技術】
【0002】
消費者は、洗濯プロセス中に洗濯洗剤組成物を使用する。このような洗濯洗剤組成物は、洗濯作業中に布地に洗浄効果、洗いたて(freshness)効果、及び/又はケア効果を提供する。洗濯洗剤製剤は、脂染みを含む布地から染みを洗浄するために既に最適化されているが、更なる改善が継続して必要とされている。
【0003】
また、洗濯洗剤に配合される化学物質の環境フットプリントを最小限に抑えるため、更には、消費者が無理なく購入できる価格を維持するために製剤化コストを制御するために、当該化学物質の量及び濃度を制限する傾向が増大している。
【0004】
洗濯洗剤は、粉末、液体、及び近年では、水溶性単位用量物品としても、消費者が入手可能である。液体及び/又は粉末の洗濯洗剤組成物を含む水溶性単位用量物品は、使用するのが便利かつ効率的であるため、消費者に好まれている。しかしながら、これらの単位用量物品は、配合者に更なる空間的制限を強いるので、高度に有効な製剤化アプローチの必要性が高まっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、使用される製剤活性物質の量又は濃度を最小限に抑えながら、洗濯洗剤の染み除去性能、特に脂染み除去性能を更に改善する製剤化アプローチを特定する必要がある。
【0006】
驚くべきことに、エチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EO/PO/EO)トリブロックコポリマーをリパーゼ酵素と共に洗濯洗剤製剤に共配合すると、相乗的な脂洗浄性能が得られることが見出された。加えて、洗浄プロセスにリパーゼを適用するときに典型的に観察される悪臭も低減されることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、リパーゼと、エチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EO/PO/EO)トリブロックコポリマーとを含む洗濯洗剤組成物であって、当該コポリマーが、第1のEOブロック、第2のEOブロック、及びPOブロックを含み、当該第1のEOブロック及び当該第2のEOブロックが、当該POブロックに連結されており、当該洗濯洗剤組成物が、活性タンパク質に基づいて、当該洗濯洗剤組成物の0.0001重量%~0.75重量%の当該リパーゼを含む、洗濯洗剤組成物である。
【0008】
本発明の第2の態様は、本発明による洗濯洗剤組成物の脂洗浄性能を改善するための、エチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EO/PO/EO)トリブロックコポリマー及びリパーゼの使用である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明による水溶性単位用量物品である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
洗濯洗剤組成物
本発明は、エチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EO/PO/EO)トリブロックコポリマー及びリパーゼを含む洗濯洗剤製剤に関する。エチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EO/PO/EO)トリブロックコポリマー及びリパーゼについては、本明細書で更により詳細に説明される。
【0011】
洗濯洗剤組成物は、粉末、液体、又はこれらの混合物であってよい。
【0012】
固体洗濯洗剤組成物は、固体粒子を含んでいてもよく、又は単一の均質な固体であってもよい。好ましくは、固体洗濯洗剤組成物は粒子を含む。これは、単一の均質な固体である固体とは対照的に、固体洗濯洗剤組成物が、個々の固体粒子を含むことを意味する。粒子は、自由流動性であってもよく、又は圧縮されていてもよく、好ましくは自由流動性である。
【0013】
用語「液体洗濯洗剤組成物」は、布地を濡らし、処理することが可能な液体を含む、任意の洗濯洗剤組成物を指し、限定するものではないが、液体、ゲル、ペースト、分散液などが挙げられる。液体組成物は、好適に細分された形態の固体又は気体を含み得るが、液体組成物は、粉末、錠剤、又は顆粒などの、全体として非流動性である形態を除外する。
【0014】
洗濯洗剤組成物は、水溶性単位用量物品中に存在していてもよく、当該水溶性単位用量物品は水溶性フィルムを含む。
【0015】
水溶性単位用量物品は、水溶性フィルムと洗濯洗剤組成物とを含む。洗濯洗剤組成物及び水溶性フィルムについては、以下により詳細に説明する。
【0016】
水溶性単位用量物品は、単位用量物品が水溶性フィルムによって取り囲まれた少なくとも1つの内部区画を含むような形状の水溶性フィルムを含み、洗濯洗剤組成物が当該区画内に存在する。単位用量物品は、内部区画を画定するように互いに封止された、第1の水溶性フィルムと、第2の水溶性フィルムとを含んでよい。水溶性単位用量物品は、保管中に洗濯洗剤組成物が区画から漏れ出さないように構成される。しかし、水溶性単位用量物品を水に加えると、水溶性フィルムが溶解して、内部区画の内容物が洗浄液中に放出される。
【0017】
区画は、洗剤組成物を保持する、単位用量物品内の密閉された内部空間を意味すると理解されたい。製造中、第1の水溶性フィルムは、洗剤組成物が添加される開口区画を含むような形状であってよい。次に、区画の開口部を閉じる向きで、第1のフィルムを第2の水溶性フィルムで覆う。次いで、第1及び第2のフィルムは、封止領域に沿って共に封止される。
【0018】
単位用量物品は、2つ以上の区画、更には少なくとも2つの区画、又は更には少なくとも3つの区画を含んでもよい。区画は、重ね合わせる配置で、すなわち、一方が他方の上に位置するように配置されてよい。このような配向では、単位用量物品は、上部、中央部及び下部の3つのフィルムを含む。代替的に、区画は、隣り合った配置で、すなわち、一方が他方に隣接する配向で位置してよい。区画は、更には「タイヤ及びリム」構成での配置であってもよく、すなわち、第1の区画は、第2の区画に隣接して位置するが、第1の区画は、第2の区画を少なくとも部分的に囲み、ただし、第2の区画を完全には封じ込まない。あるいは、1つの区画が、別の区画内に完全に封じ込められてもよい。
【0019】
単位用量物品が少なくとも2つの区画を含む場合、区画の一方が他方の区画より小さくてもよい。単位用量物品が少なくとも3つの区画を含む場合、区画のうちの2つが第3の区画より小さくてもよく、好ましくは、小さい方の区画が大きい方の区画上に重ね合わせられている。重ね合わせられた区画は、好ましくは、隣り合って配置される。
【0020】
複数区画の向きにおいて、本発明による洗濯洗剤組成物が、区画のうちの少なくとも1つに含まれてもよい。例えば、洗濯洗剤組成物は1つの区画のみに含まれてもよく、又は2つの区画、又は更には3つの区画に含まれてもよい。
【0021】
各区画は、同一の組成物又は異なる組成物を含んでもよい。異なる組成物は全て同一形態であってもよく、又は異なる形態であってもよい。
【0022】
水溶性単位用量物品は少なくとも2つの内部区画を含んでよく、液体洗濯洗剤組成物が本区画の少なくとも1つ内に含まれ、好ましくは、単位用量物品が少なくとも3つの区画を含み、洗剤組成物が本区画の少なくとも1つ内に含まれる。
【0023】
図1は、本発明による水溶性単位用量物品(1)を開示する。水溶性単位用量物品(1)は、第1の水溶性フィルム(2)と第2の水溶性フィルム(3)とを含み、これらは密封領域(4)で共に封止されている。洗濯洗剤組成物(5)は、水溶性可溶性単位用量物品(1)内に含まれる。
【0024】
本発明のフィルムは、水溶性又は水分散性である。水溶性フィルムは、好ましくは、20~150マイクロメートル、好ましくは35~125マイクロメートル、更により好ましくは50~110マイクロメートル、最も好ましくは約76マイクロメートルの厚さを有する。
【0025】
好ましくは、最大孔径が20マイクロメートルのガラスフィルタの使用後に、本明細書に記載の方法によって測定したとき、フィルムの水溶性は、少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、又は更には少なくとも95%である。
予め秤量した3Lのビーカーに、5グラム±0.1グラムのフィルム材料を添加し、2L±5mLの蒸留水を添加する。これを、600rpmに設定した磁気撹拌器(Lablineモデル番号1250又は等価物及び5cmの磁気撹拌器)で、30℃で30分間にわたり激しく撹拌する。次いで、混合物を、上記で定義した孔径(最大20マイクロメートル)の折り畳まれた定性焼結ガラスフィルタにより濾過する。任意の従来の方法によって、回収した濾液から水を乾燥させ、残った材料の重量を求める(これが溶解画分又は分散画分である)。次いで、溶解度又は分散性の百分率を計算することができる。
【0026】
好ましいフィルム材料は、好ましくはポリマー材料である。フィルム材料は、例えば、当該技術分野において公知のとおり、ポリマー材料の溶液流延、吹込成形、押出成形又は吹込押出成形によって得ることができる。
【0027】
パウチ材料として使用するのに好適な好ましいポリマー、コポリマー又はこれらの誘導体は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、アクリルアミド、アクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリビニルアセテート、ポリカルボン酸及び塩、ポリアミノ酸又はペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸/アクリル酸のコポリマー、デンプン及びゼラチンを含む多糖類、キサンタン及びカラゴムなどの天然ゴムから選択される。より好ましいポリマーは、ポリアクリレート及び水溶性アクリレートコポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレートから選択され、最も好ましくは、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、並びにこれらの組み合わせから選択される。好ましくは、パウチ材料中のポリマー、例えば、PVAポリマーの濃度は、少なくとも60%である。ポリマーは、任意の重量平均分子量を有してもよく、好ましくは、約1000~1,000,000、より好ましくは、約10,000~300,000、更により好ましくは、約20,000~150,000である。
【0028】
また、ポリマー及び/又はコポリマーの混合物、特にポリビニルアルコールポリマー及び/又はコポリマーの混合物、特に、ポリビニルアルコールホモポリマー及び/又は、好ましくはスルホン化及びカルボキシル化アニオン性ポリビニルアルコールコポリマー、特にカルボキシル化アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーから選択されるアニオン性ポリビニルアルコールコポリマーの混合物をパウチ材料として使用することもできる。最も好ましくは、水溶性フィルムは、ポリビニルアルコールホモポリマーとカルボキシル化アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーとのブレンドを含む。
【0029】
好ましいフィルムは、冷水、すなわち、加熱されていない蒸留水中で良好な溶解を示すものである。好ましくは、そのようなフィルムは、24℃の温度にて、更により好ましくは10℃にて良好な溶解度を示す。良好な溶解とは、上述の最大孔径が20マイクロメートルのガラスフィルタの使用後に、本明細書に記載の方法によって測定したとき、フィルムが、少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、又は更には少なくとも95%の水溶性を示すことを意味する。
【0030】
好ましいフィルムには、Monosolによって商品参照番号M8630、M8900、M8779、M8310として供給されているものがある。
【0031】
フィルムは、不透明、透明又は半透明であってもよい。フィルムは、印刷された領域を含んでもよい。
【0032】
印刷領域は、フレキソ印刷又はインクジェット印刷などの標準的な技術を使用して得ることができる。
【0033】
フィルムは、嫌悪剤、例えば苦味剤を含んでもよい。好適な苦味剤としては、ナリンギン、スクロースオクタアセテート、塩酸キニーネ、デナトニウムベンゾエート、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。任意の好適な濃度の嫌悪剤をフィルムに使用してもよい。好適な濃度としては、1~5000ppm、又は更には100~2500ppm、又は更には250~2000rpmが挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
驚くべきことに、水溶性単位用量物品に製剤化されたとき、エチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EO/PO/EO)トリブロックコポリマーは、水溶性フィルムの構造的一体性を改善する、すなわち、フィルムの脆さを最小限に抑えると同時にフィルムの膨張も最小限に抑えられることが更に見出された。液体形態、特に低水又は非水性液体形態に製剤化されたときに洗剤組成物の全体的な物理相安定性が改善されることも見出された。本発明の更なる利点は、単位用量物品の強度を確保し、フィルムの脆さを最小限に抑え、かつ液体洗濯洗剤組成物の不安定性を最小限に抑えながら、非水性溶媒のレベルを全体的に低下させることができる点である。したがって、コンパクト水溶性単位用量物品内において、エチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EO/PO/EO)トリブロックコポリマーは、水溶性単位用量物品の強度を改善し、脂肪浄効果を提供するという二重の利点を提供する。これは、単位用量物品の強度、フィルムの脆さ、又は洗浄性能を損なうことなく、水溶性単位用量物品中の非水性溶媒及び/又は脂肪族アルコールエトキシレートの濃度を低減できることを意味する。
【0035】
洗濯洗剤組成物は、布地の手洗い作業に使用されてもよく、自動洗濯機での布地洗浄作業に使用されてもよい。
【0036】
洗濯洗剤組成物、好ましくは液体洗濯洗剤組成物は、エチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EO/PO/EO)トリブロックコポリマーを含み、当該コポリマーは、第1のEOブロック、第2のEOブロック、及びPOブロックを含み、当該第1のEOブロック及び当該第2のEOブロックは、POブロックに連結されている。換言すれば、POブロックが、2つのEOブロック間に位置する。
【0037】
「POブロックに連結されている」とは、本明細書ではEO-PO-EOブロックが以下の構造を有することを意味する;
【0038】
【化1】
(式中、Xは、好ましくは、平均して2~90、好ましくは3~50、より好ましくは4~20、更により好ましくは5~15、最も好ましくは10~15であり、
は、好ましくは、平均して2~90、好ましくは3~50、より好ましくは4~20、更により好ましくは5~15、最も好ましくは10~15であり、
Yは、好ましくは、平均して15~70、好ましくは20~60、より好ましくは25~50、更により好ましくは25~40、最も好ましくは25~35である)。
【0039】
好ましくは、洗濯洗剤組成物は、当該洗濯洗剤組成物の1重量%~10重量%、好ましくは2重量%~8重量%のエチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EO/PO/EO)トリブロックコポリマーを含む。
【0040】
好ましくは、エチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EO/PO/EO)トリブロックコポリマーは、15~70、好ましくは20~60、より好ましくは25~50、更により好ましくは25~40、最も好ましくは25~35のプロピレンオキシド単位の平均プロピレンオキシド鎖長を有する。
【0041】
好ましくは、エチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EO/PO/EO)トリブロックコポリマーは、1000~10,000、好ましくは1500~5000、より好ましくは2000~4500、更により好ましくは2500~4000、最も好ましくは2500~3000の平均分子量を有する。
【0042】
好ましくは、各エチレンオキシド鎖は、独立して、2~90、好ましくは3~50、より好ましくは4~20、更により好ましくは5~15、最も好ましくは10~15のエチレンオキシド単位の平均鎖長を有する。
【0043】
好ましくは、コポリマーは、当該コポリマーの10重量%~90重量%、好ましくは20重量%~70重量%、最も好ましくは30重量%~50重量%の複合(combined)エチレン-オキシドブロックを含む。最も好ましくは、総エチレンオキシド含量は、各エチレンオキシドブロックが平均して、エチレンオキシド単位の総数の40%~60%、好ましくは45%~55%、更により好ましくは48%~52%、最も好ましくは50%を構成するように2つのエチレンオキシドブロックに分割され、両エチレンオキシドブロックの割合が、合計して、存在するエチレンオキシド単位の100%を占める。
【0044】
最も好ましくは、コポリマーは、約2500~3000の平均分子量、25~35のプロピレンオキシド単位の平均プロピレンオキシド含量、及びエチレンオキシドブロック当たり10~15エチレンオキシド単位の平均エチレンオキシド含量を有する。理論に束縛されるものではないが、エチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EO/PO/EO)トリブロックコポリマーの更なる利点は、良好な安全性プロファイルを呈することである。特に皮膚又は眼と偶発的に接触した場合に皮膚及び目の刺激を最小限に抑えるという、このクラスのコポリマーの最高の安全性プロファイルを有するので、2500~3000の平均分子量、25~35プロピレンオキシド単位の平均プロピレンオキシド含有量、及びエチレンオキシドブロック当たり10~15エチレンオキシド単位の平均エチレンオキシド含量を有するコポリマーが最も好ましい。
【0045】
好適なエチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシドトリブロックコポリマーは、BASF社からPluronic PEシリーズとして又はDow Chemical社からTergitol Lシリーズとして市販されている。特に好適な材料は、Pluronic PE 6400又はTergitol L64である。
【0046】
理論に束縛されるものではないが、エチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EO/PO/EO)トリブロックコポリマーの更なる利点は、特に皮膚又は眼と偶発的に接触した場合に皮膚及び目の刺激を最小限に抑えるという、良好な安全性プロファイルを呈することである。
【0047】
洗濯洗剤組成物、好ましくは液体洗濯洗剤組成物は、リパーゼ酵素を含む。洗濯洗剤組成物は、活性タンパク質に基づいて、当該洗濯洗剤組成物の0.0001重量%~0.75重量%、好ましくは0.0005重量%~0.5重量%、より好ましくは0.001重量%~0.5重量%のリパーゼを含む。
【0048】
好適なリパーゼとしては、細菌又は真菌起源のものが挙げられる。化学修飾された又はタンパク質が遺伝子操作を受けた突然変異体が含まれる。有用なリパーゼの例としては、フミコーラ属(異名サーモマイセス属)由来、例えば、H.ラヌギノサス(H. lanuginosa)(T.ラヌギノサス)由来、又はH.インソレンス(H. insolens)由来のリパーゼ、シュードモナス属リパーゼ、例えば、P.アルカリゲネス(P. alcaligenes)又はP.シュードアルカリゲネス(P. pseudoalcaligenes)、P.セパシア(P. cepacia)、P.スタットゼリ(P. stutzeri)、P.フルオレセンス(P. fluorescens)、シュードモナス属種SD705株、P.ウィスコンシネンシス(P. wisconsinensis)由来のリパーゼ、バチルス属リパーゼ、例えば、枯草菌(B. subtilis)、B.ステアロサーモフィルス(B. stearothermophilus)、又はB.プミルス(B. pumilus)由来のリパーゼが挙げられる。
【0049】
好ましいリパーゼは、第1の洗浄リパーゼである。本発明の一実施形態では、組成物は、第1の洗浄リパーゼを含む。
【0050】
第1の洗浄リパーゼは、
(a)フミコーラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)株DSM 4109由来の野生型リパーゼと少なくとも90%の同一性を有する、若しくは
(b)当該野生型リパーゼと比較して、E1又はQ249の15A以内の三次元構造の表面における電気的に中性又は負に帯電したアミノ酸の、正に帯電したアミノ酸による置換を含む、
又は(a)及び(b)の混合物である、アミノ酸配列を有するポリペプチドであるリパーゼを含み、
好ましくは、(a)又は(b)又はこれらの混合物は、
(c)C末端におけるペプチド付加、若しくは
(d)N末端におけるペプチド付加、
(e):i)当該野生型リパーゼのE210位の負のアミノ酸、ii)当該野生型リパーゼの90~101位に対応する領域内の負に帯電したアミノ酸、並びにiii)当該野生型リパーゼのN94(N94 or said wild-type lipase)に対応する位置における中性若しくは負のアミノ酸を含む、及び/又は当該野生型リパーゼの90~101位に対応する領域内の負若しくは中性の正味電荷を有する、
(f)又はこれらの混合物、を含む。
【0051】
より好ましくは、リパーゼは、
(a)フミコーラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)株DSM 4109由来の野生型リパーゼと少なくとも90%の同一性を有する、かつ
(b)当該野生型リパーゼと比較して、E1又はQ249の15A以内の三次元構造の表面における電気的に中性又は負に帯電したアミノ酸の、正に帯電したアミノ酸による置換を含む、
アミノ酸配列を有するポリペプチドであり、好ましくは、(a)及び(b)の組み合わせは、
(c)C末端におけるペプチド付加、若しくは
(d)N末端におけるペプチド付加、
(e):i)当該野生型リパーゼのE210位の負のアミノ酸、ii)当該野生型リパーゼの90~101位に対応する領域内の負に帯電したアミノ酸、並びにiii)当該野生型リパーゼのN94に対応する位置における中性若しくは負のアミノ酸を含む、及び/又は当該野生型リパーゼの90~101位に対応する領域内の負若しくは中性の正味電荷を有する、
(f)又はこれらの混合物、を含む。
【0052】
T231R及びN233R変異のうちの1つ以上を含む、サーモマイセス・ラヌギノサス由来の野生型リパーゼの変異体が好ましい。野生型配列は、Swissprotアクセッション番号Swiss-Prot O59952(サーモミセス・ラヌギノサ(フミコーラ・ラヌギノサ)由来)の269アミノ酸(アミノ酸23~291)である。好ましいリパーゼとしては、商標名Lipex(登録商標)、Lipex Evity(登録商標)、Lipolex(登録商標)、及びLipoclean(登録商標)で販売されているものが挙げられる。
【0053】
リパーゼ酵素は、封入リパーゼとして、又は非封入、すなわち遊離リパーゼとして存在してよい。封入とは、本明細書では、酵素が粒子などの中に固定化され、液体洗剤組成物内で「遊離」していないことを意味する。
【0054】
封入酵素は、コアシェル型であってもよく、マトリックスの上若しくは中に吸収されていてもよく、又はこれらの混合物であってもよく、好ましくは、封入酵素はコアシェル型である。コアシェル粒子は、コアを取り囲む外側シェルを含むものであり、酵素はコア内に含まれている。
【0055】
封入形態では、酵素は、典型的にはポリマー材料に封入される。酵素の封入方法は、例えば、酵素及びポリマーを含有する液体組成物を噴霧乾燥することによる、又は酵素及びポリマーを含有する液体組成物を乾燥させることによる、又は任意選択で酵素の存在下で、エマルション重合、コアセルベーション、沈殿、若しくは界面重合を行い、任意選択で、続いて、乾燥及び/又はサイズ低減プロセスを行うことによる。酵素を封入するのに好適なポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、グアーガム、ポリカルボン酸、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、タンパク質、ポリエチレンイミン(PEI)などの多分岐ポリアミン、(疎水変性)多糖修飾セルロース系ポリマー、これらの誘導体又はコポリマー、並びにこれらの混合物が挙げられる。修飾セルロース系ポリマーの例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸フタル酸セルロースが挙げられる。修飾ガムの例としては、変性グアーガム、ベンゾインガム、トラガカントガム、アラビアガム、及びアカシアガムが挙げられる。修飾タンパク質の例は、修飾カゼイン、ゼラチン、及びアルブミンである。修飾ポリマーの例は、少なくとも1つの親水性ビニルモノマーと少なくとも1つの親水性ビニルモノマーとのコポリマーから選択され得る。好適な親水性ビニルモノマーは、ビニルピロリドンである。好適な疎水性ビニルモノマーは、C1~C18アルキルアクリレート、C1~C18アルキルメタクリレート、C3~C18シクロアルキルアクリレート、C3~C18シクロアルキルメタクリレート、及びビニルC1~C18アルカノエート、並びにこれらの混合物である。ポリマーは、C-C-主鎖を有するホモポリマー及びコポリマーから選択されるポリマーを含んでいてよく、当該C-C-主鎖は、酸性形態又は中和形態で存在し得るカルボキシル基を担持し、当該C-C-主鎖は、ポリマーの総重量に基づいて(すなわち、ポリマーP中の反復単位の総重量に基づいて)少なくとも20%重量%、例えば20~98%重量%の疎水性反復単位を含む。ポリマーは、分岐、例えば、ビニルピロリドン及び酢酸ビニルから形成される分岐鎖コポリマーマトリックス粒子を含んでいてよい。ポリマーは、例えば、マレイン酸又は(メタ)アクリル酸に基づいて、例えば国際公開第2010/003934号に記載されているようなコポリマーを含んでいてよい。ポリマーは架橋されていてもよい。
【0056】
好ましいポリマーは、1000~500,000又は2000~200000ダルトンの重量平均の分子量を有する。典型的には、酵素のポリマーに対する重量比は、1:50~10:1である。
【0057】
ポリマーは、0mol/kgのイオン強度を有する水溶液に実質的に可溶性であり、1mol/kg超のイオン強度を有する水溶液に不溶性であるように選択してよく、例えば、ポリマーは、ポリマーの総重量に基づいて、35~95%w/wの親水性モノマー単位を含む。
【0058】
場合により、60%超、又は更には80若しくは90%超の高レベルの加水分解が行われた、疎水変性ポリビニルアルコール又は疎水変性ポリビニルピロリドンが好ましい場合がある。好適な疎水性修飾基としては、ケトエステル及び/又はブチリル基並びにこれらの混合物が挙げられ、好ましくは、全置換度(DS)は約3%~20%である。
【0059】
添加剤粒子中に存在する場合、リパーゼ酵素は、添加剤粒子中の唯一の酵素であってもよく、又は1つ以上の追加の酵素と組み合わせて添加剤粒子中に存在していてもよい。
【0060】
好ましくは、シェル材料は、好ましくは、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、グアーガム、ポリカルボン酸、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、タンパク質、ポリエチレンイミン(PEI)などの多分岐ポリアミン、(疎水変性)多糖修飾セルロース系ポリマー、これらの誘導体又はコポリマー、並びにこれらの混合物から選択されるポリマー材料を含む。
【0061】
好ましくは、洗濯洗剤組成物、好ましくは液体洗濯洗剤組成物は、当該洗濯洗剤、好ましくは液体洗濯洗剤組成物の0.0001重量%~0.75重量%、好ましくは0.0005重量%~0.5重量%、より好ましくは0.001重量%~0.5重量%の遊離又は封入リパーゼ酵素を含む。本明細書では、封入酵素について、酵素タンパク質のみの重量パーセントは、封入体中に存在し得るシェルなどの任意の他の材料の重量パーセントを除いたものを意味し、「封入酵素」とは、洗濯洗剤組成物中に存在し得る任意の他の酵素とは対照的に、封入体内に存在する酵素を指す。
【0062】
好ましくは、洗濯、好ましくは液体洗濯洗剤組成物は、非石鹸アニオン性界面活性剤を含み、好ましくは、当該非石鹸アニオン性界面活性剤は、直鎖アルキルベンゼンスルホネート、アルコキシル化アルキルサルフェート、又はこれらの混合物、より好ましくは、これらの混合物を含み、直鎖アルキルベンゼンスルホネートのアルコキシル化アルキルサルフェートに対する比、好ましくは、直鎖アルキルベンゼンスルホネートのエトキシル化アルキルサルフェートに対する比は、1:2~20:1、好ましくは1.1:1~15:1、より好ましくは1.2:1~10:1、更により好ましくは1.3:1~5:1、更により好ましくは1.4:1~3:1、最も好ましくは1.4:1~2.5:1である。好ましくは、エトキシル化アルキルサルフェートは、アルキル鎖当たり1~5、好ましくは2~4、最も好ましくは3のエチレンオキシド単位のモル平均を含むアルキルエトキシサルフェートである。
【0063】
洗濯、好ましくは液体洗濯洗剤組成物は、当該洗濯、好ましくは液体洗濯洗剤組成物の10重量%~60重量%、好ましくは15重量%~50重量%の界面活性剤を含み得る。本発明の観点から、本発明のエチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EO/PO/EO)トリブロックコポリマーは、界面活性剤とはカウントされないので、界面活性剤の総濃度に寄与しない。より好ましくは、洗濯、好ましくは液体洗濯洗剤組成物は、洗剤組成物の5重量%~50重量%、好ましくは15重量%~45重量%、より好ましくは25重量%~40重量%、最も好ましくは30重量%~40重量%の非石鹸アニオン性界面活性剤を含む。
【0064】
好ましくは、洗濯、好ましくは液体洗濯洗剤組成物は、当該洗濯洗剤組成物の10重量%未満、好ましくは5重量%未満、好ましくは3重量%未満、より好ましくは2.5重量%未満の脂肪族アルコールエトキシレート非イオン性界面活性剤を含む。
【0065】
好ましくは、洗濯、好ましくは液体洗濯洗剤組成物は、当該洗濯洗剤組成物の1.5重量%~20重量%、より好ましくは2重量%~15重量%、更により好ましくは3重量%~10重量%、最も好ましくは4重量%~8重量%の石鹸、好ましくは脂肪酸塩、より好ましくはアミン中和脂肪酸塩を含み、好ましくは、アミンは、より好ましくはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、又はこれらの混合物から選択されるアルカノールアミンであり、より好ましくはモノエタノールアミンである。
【0066】
洗濯、好ましくは液体洗濯洗剤組成物は、好ましくは、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセロール、ソルビトール、又はこれらの混合物から選択される非水性溶媒を含む。より好ましくは、液体洗濯洗剤組成物は、当該液体洗濯洗剤組成物の10重量%~40重量%、好ましくは15重量%~30重量%の非水性溶媒を含む。好ましくは、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセロール、ソルビトール、又はこれらの混合物から選択される非水性溶媒の、エチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシドトリブロックコポリマーに対する重量比は、1:1~10:1、より好ましくは2:1~5:1である。
【0067】
洗濯、好ましくは液体洗濯洗剤組成物は、好ましくは、好ましくはモノエタノールアミン、トリエタノールアミン、及びこれらの混合物から選択されるアルカノールアミン、好ましくはモノエタノールアミンを含む。アルカノールアミンは、好ましくは、液体洗濯洗剤組成物の5重量%~15重量%で存在する。
【0068】
好ましくは、洗濯、好ましくは液体洗濯洗剤組成物は、当該液体洗濯洗剤組成物の0.5重量%~15重量%、好ましくは5重量%~13重量%の水を含む。最も好ましくは、液体洗濯洗剤組成物は、水溶性フィルムに封入される。
【0069】
洗濯、好ましくは液体洗濯洗剤組成物は、更なる酵素を含み得る。好ましくは、酵素は、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ケラタナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β-グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、及びアミラーゼ、又はこれらの混合物、好ましくは、プロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、及びこれらの混合物を含む群から選択される。
【0070】
洗濯、好ましくは液体洗濯洗剤組成物は、アルコキシル化ポリエチレンイミン、好ましくはエトキシル化ポリエチレンイミン、カチオン変性多糖類、好ましくはカチオン変性ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、好ましくは疎水変性カルボキシメチルセルロース、ポリエステルテレフタレート汚れ放出ポリマー、好ましくはアニオン性ポリエステルテレフタレート汚れ放出ポリマー、及び両親媒性グラフト汚れ放出ポリマー、好ましくはポリエチレングリコール主鎖と疎水性酢酸ビニル側鎖とを含むポリエチレングリコールグラフトポリマー、又はこれらの混合物を含む群から選択される更なるポリマーを含んでいてもよい。好ましくは、液体洗濯洗剤組成物は、独立して、当該液体洗濯洗剤組成物の0.1重量%~10重量%、好ましくは0.25重量%~7重量%、より好ましくは0.5重量%~5重量%のこれら各ポリマーを含む。
【0071】
洗濯、好ましくは液体洗濯洗剤組成物は、ビルダー、移染防止剤、分散剤、酵素安定剤、触媒材料、漂白剤、漂白活性化剤、ポリマー分散剤、再付着防止剤、抑泡剤、審美染料、乳白剤、香料、香料送達系、構造化剤、ヒドロトロープ、加工助剤、顔料、及びこれらの混合物から選択される補助成分を更に含み得る。
【0072】
好ましくは、洗濯、好ましくは液体洗濯洗剤組成物は、6~10、より好ましくは6.5~8.9、最も好ましくは7~8のpHを有する。液体洗濯洗剤組成物のpHは、20℃における脱塩水中の10%希釈液として測定してもよい。
【0073】
液体であるとき、液体洗剤組成物は、好ましくは、40mmのプレート形状及び500マイクロメートルのギャップサイズを使用し、TA instruments AR-G2又はAR2000において、20℃、剪断速度20/sで測定される、100~1000cPa・sの粘度を有する。
【0074】
理論に束縛されるものではないが、粘度が低いと、製品製造ライン速度をより高速にすることができるが、液体洗剤が封止領域を偶発的に汚染し、その結果、封止欠陥が生じる、「飛び散り(splashing)」及び「糸曳き(stringing)」のリスクが増加する。このような封止欠陥は、単位用量物品の構造的一体性に影響を及ぼす。粘度を増加させると、封止汚染の問題は回避されるが、製品製造ライン速度が低下する。本発明の好ましい粘度は、封止汚染を最小限に抑えながら、効率的な製品製造ライン速度を可能にする。
【0075】
洗浄方法
本発明の更なる態様は、洗濯組成物、好ましくは液体洗濯組成物、より好ましくは本発明による水溶性単位用量物品に封入された洗濯組成物を十分な水に添加して、洗濯洗剤組成物を少なくとも300倍希釈して洗浄液を作り、洗浄される布地を当該洗浄液と接触させる工程を含む、洗浄方法である。
【0076】
理論に束縛されるものではないが、洗濯組成物を水に添加すると、洗濯洗剤組成物は水中に分散して洗浄液を生成する。
【0077】
好ましくは、洗浄液は、1L~64L、好ましくは2L~32L、より好ましくは3L~20Lの水を含み得る。
【0078】
好ましくは、洗浄液は、5℃~90℃、好ましくは10℃~60℃、より好ましくは12℃~45℃、最も好ましくは15℃~40℃の温度である。
【0079】
好ましくは、洗浄液中での布地の洗浄は、完了までに5分~50分、好ましくは5分~40分、より好ましくは5分~30分、更により好ましくは5分~20分、最も好ましくは6分~18分かかる。
【0080】
好ましくは、洗浄液は、1kg~20kg、好ましくは3kg~15kg、最も好ましくは5~10kgの布地を含む。
【0081】
洗浄液は、好ましくは0gpg~40gpgで変化する任意の硬度の水を含んでもよい。
【0082】
使用
本発明の更なる態様は、本発明による洗濯洗剤組成物の脂洗浄性能を改善するための、洗濯洗剤組成物におけるエチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EO/PO/EO)トリブロックコポリマー及びリパーゼの使用である。最も好ましくは、コポリマーは、2500~3000の分子量、25~35プロピレンオキシド単位のプロピレンオキシド含量、及びエチレンオキシドブロック当たり10~15エチレンオキシド単位のエチレンオキシド含量を有する。
【0083】
本明細書にて開示された寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、このような寸法はそれぞれ、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図されている。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【実施例
【0084】
(実施例1)
本発明によるエチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EO/PO/EO)トリブロックコポリマー及びリパーゼを含む洗濯洗剤組成物(本発明の組成物A)の脂洗浄性能を、リパーゼ(比較組成物A)、エチレンオキシドプロピレンオキシド-エチレンオキシド(EO/PO/EO)トリブロックコポリマー(比較組成物B)、又はこれらの両方(比較組成物C)の1つを可変的に欠く本発明の範囲外の組成物の脂洗浄性能と比較した。
【0085】
【表1】
EO鎖当たり20の平均エトキシル化度及び約600のMWを有するポリエチレンイミン主鎖を有するエトキシル化ポリエチレンイミン
**ポリエチレングリコール骨格(Pluriol E6000)と、疎水性酢酸ビニル側鎖とを含み、ポリマー系の40重量%のポリエチレングリコール骨格ポリマーと、ポリマー系の60重量%のグラフト化酢酸ビニル側鎖とを含む、ポリエチレングリコールグラフトポリマー
【0086】
【表2】
【0087】
試験方法:
洗浄試験:異なる試験サンプルの脂洗浄性能を、ターゴトメーターを用いて評価した。Copley Tergotometer Detergent Tester又は類似のものが好適である。200uLのラードを5×5cmのニット綿布見本(全てWarwick Equest(Consett,County Durham,UK)から供給される)を均質に分布させることによって、1セットの汚れた布地を調製した。試験した各製品処理について、ラード汚れの2つの内部反復及び4つの外部反復を含む洗浄実験を行うために十分なラード汚れを調製した。洗浄前に、汚れていない布地バックグラウンド及び各汚れた布地のL色値を測定した(D65光源、計器モデル:DigiEye、供給元:VeriVide)。次に、1Lの水道水(水硬度~8USgpg及び27℃)を、0.74gの比較C組成物と共に各ターゴトメーターポット(内部体積約1L)に添加し、更に、上の表に示した投入量で、試験処理のそれぞれについて(EO-PO-EO)トリブロックコポリマー及びリパーゼを添加した。各製品処理を、8つのターゴトメーターポットで並行して実施した。ターゴトメーターを1分間208rpmに設定して、処理のそれぞれを溶解させ、溶解段階の後、2枚のラードで汚れた試験布地並びに清潔なニット綿バラスト(5×5cm)を加えて、ターゴトメーターポット/処理あたり60gの総負荷重量を与えた。次いで、167rpmの撹拌速度で1μLの清浄な水道水(水硬度~8USgpg及び15℃)中において5分間すすぐ前に、ターゴトメーターを208rpmで20分間撹拌するように設定した。この手順を更に3回繰り返して、各処理について各ラード汚れの合計8つの複製(2つの内部及び4つの外部)を得た。次いで、布地を実験室で24時間吊り干しした。布地が乾燥したら、L色値を再測定し、以下の式を使用して染み除去率(染み除去指数-SRI)を計算し、報告するデータは、試験した8つの複製の平均染み除去指数である:
SRI=100×(AB-AC)/AB
(式中、
A=初期の洗浄されておらず、汚れていない布地バックグラウンド
B=初期の洗浄されていない布地の汚れた領域
C=洗浄された布地の汚れた領域)
【0088】
上記SRIの計算における文字対は、布地の2つの異なる領域の色間のΔEを指す。
例えば、
【0089】
【数1】
【0090】
試験結果:
脂洗浄:
本発明によるエチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EO/PO/EO)トリブロックコポリマー及びリパーゼの両方を含む組成物(本発明の組成物A)について、組み合わされたリパーゼ-エチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EO/PO/EO)トリブロックコポリマーを含まない比較組成物A、B、及びCと比較して、相乗的脂洗浄性能を観察する。本発明によるエチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EO/PO/EO)トリブロックコポリマーの範囲について、相乗効果が観察される。
【0091】
【表3】
【0092】
(実施例2)
図1は、本発明による水溶性単位用量物品(1)を開示する。水溶性単位用量物品(1)は、第1の水溶性フィルム(2)と第2の水溶性フィルム(3)とを含み、これらは密封領域(4)で共に封止されている。本発明による洗濯洗剤組成物(5)は、水溶性可溶性単位用量物品(1)内に含まれる。
図1