(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】吸引器用カートリッジ
(51)【国際特許分類】
A24F 40/42 20200101AFI20220808BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20220808BHJP
A61M 15/06 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
A24F40/42
A24F40/46
A61M15/06 A
(21)【出願番号】P 2020571944
(86)(22)【出願日】2019-02-12
(86)【国際出願番号】 JP2019004868
(87)【国際公開番号】W WO2020165948
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【氏名又は名称】鳥居 健一
(72)【発明者】
【氏名】山田 学
(72)【発明者】
【氏名】改發 豊
(72)【発明者】
【氏名】松田 健太郎
【審査官】比嘉 貴大
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0208864(US,A1)
【文献】特表2018-534908(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/42
A24F 40/46
A61M 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引器用のカートリッジであって、
エアロゾルを生成するために液体を霧化するように構成されたヒータユニットを備え、前記ヒータユニットは、
第1面と、前記第1面と対向する第2面とを有する液保持部材と、
前記液保持部材の前記第1面に接触するヒータと、
前記液保持部材の前記第2面を支持し、前記液保持部材よりも柔らかい、支持部材と
を備える、カートリッジ。
【請求項2】
前記液保持部材の前記第1面は凸状の形状を有し、前記支持部材は、前記液保持部材の前記第2面を支持する第1凸状面を有する、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記支持部材は、前記第1凸状面に対向する第2凸状面と、第1側部と、前記第1側部に対向する第2側部とをさらに有し、前記第2凸状面、前記第1側部の内面及び前記第2側部の内面により空間が形成される、請求項2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記支持部材の少なくとも一部を保持し、前記支持部材よりも硬い、ベース部材をさらに備える、請求項
3に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記ベース部材は、基部を有し、前記基部と前記支持部材との間に空間が存在するように前記支持部材を保持する、請求項4に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記ベース部材は第1の少なくとも2つの突起部を有し、前記第1の少なくとも2つの突起部が前記第2凸状面の頂部に当接する、請求項4又は5に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記第1の少なくとも2つの突起部の各々が、前記第1側部の内面又は前記第2側部の内面にも当接する、請求項6に記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記ヒータ及び前記第1の少なくとも2つの突起部は、前記ヒータユニットを前記ベース部材側から見たときに互いに重ならないように配置される、請求項6又は7に記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記ベース部材は第2の少なくとも2つの突起部を有し、前記第2の少なくとも2つの突起部が前記第2凸状面の頂部より下の部分に当接する、請求項6から8のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項10】
前記ヒータは線状ヒータである、請求項1から9のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項11】
前記ヒータユニットと係合されるタンクユニットをさらに備え、前記タンクユニットは、
前記液体を貯留するタンクと、
前記タンクと区画され、前記エアロゾルが通過するエアロゾル流路と、
前記エアロゾル流路と連通するチャンバと
を有するタンク本体部を備え、
前記液保持部材の一部及び前記ヒータが前記チャンバ内に露出し、前記液保持部材の別の一部が前記タンク内に露出する、請求項1から10のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吸引器用カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、材料の燃焼をすることなく香味を吸引するための香味吸引器が知られている。このような香味吸引器として、例えば電子たばこが知られている。電子たばこは、ニコチン等の香味を含むエアロゾル形成材料を霧化して生成されたエアロゾルを使用者の口に供給したり、ニコチン等の香味を含まないエアロゾル形成材料を霧化して生成されたエアロゾルを、香味源(例えばたばこ源)を通過させたうえで使用者の口にエアロゾルを供給したりする。
【0003】
電子たばこには、エアロゾルを生成するための液体を収容するタンク又はリザーバと、この液体を霧化するヒータとを備えるものがある。このような電子たばこには、タンクと流体接続されたウィックの周囲にコイル状のヒータを巻き付けたアトマイザアセンブリを有するものもある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、新たな構造を有する吸引器用カートリッジ及び吸引器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の実施形態によれば、吸引器用のカートリッジであって、エアロゾルを生成するために液体を霧化するように構成されたヒータユニットを備え、前記ヒータユニットは、第1面と、前記第1面と対向する第2面とを有する液保持部材と、前記液保持部材の前記第1面に接触するヒータと、前記液保持部材の前記第2面を支持し、前記液保持部材よりも柔らかい、支持部材とを備える、カートリッジが提供される。
【0007】
一実施形態において、前記液保持部材の前記第1面は凸状の形状を有する。前記支持部材は、前記液保持部材の前記第2面を支持する第1凸状面を有する。
【0008】
一実施形態において、前記支持部材は、前記第1凸状面に対向する第2凸状面と、第1側部と、前記第1側部に対向する第2側部とをさらに有する。前記第2凸状面、前記第1側部の内面及び前記第2側部の内面により空間が形成される。
【0009】
一実施形態において、カートリッジは、前記支持部材の少なくとも一部を保持し、前記支持部材よりも硬い、ベース部材をさらに備える。
【0010】
一実施形態において、前記ベース部材は、基部を有し、前記基部と前記支持部材との間に空間が存在するように前記支持部材を保持する。
【0011】
一実施形態において、前記ベース部材は第1の少なくとも2つの突起部を有し、前記第1の少なくとも2つの突起部が前記第2凸状面の頂部に当接する。
【0012】
一実施形態において、前記第1の少なくとも2つの突起部の各々が、前記第1側部の内面又は前記第2側部の内面にも当接する。
【0013】
一実施形態において、前記ヒータ及び前記第1の少なくとも2つの突起部は、前記ヒータユニットを前記ベース部材側から見たときに互いに重ならないように配置される。
【0014】
一実施形態において、前記ベース部材は第2の少なくとも2つの突起部を有し、前記第2の少なくとも2つの突起部が前記第2凸状面の頂部より下の部分に当接する。
【0015】
一実施形態において、前記ヒータは線状ヒータである。
【0016】
一実施形態において、カートリッジは、前記ヒータユニットと係合されるタンクユニットをさらに備える。前記タンクユニットは、前記液体を貯留するタンクと、前記タンクと区画され、前記エアロゾルが通過するエアロゾル流路と、前記エアロゾル流路と連通するチャンバとを有するタンク本体部を備える。前記液保持部材の一部及び前記ヒータが前記チャンバ内に露出し、前記液保持部材の別の一部が前記タンク内に露出する。
【0017】
本開示の第2の実施形態によれば、吸引器用のカートリッジであって、エアロゾルを生成するために液体を霧化するように構成されたヒータユニットを備え、前記カートリッジは、使用者が吸引器を使用するときに前記使用者の口に近い近位端と、前記近位端と反対側の遠位端とを有し、前記ヒータユニットは、第1端部及び第2端部を有するヒータと、前記第1端部が接続される第1電極と、前記第2端部が接続される第2電極とを備え、前記第1電極及び前記第2電極のうちの少なくとも1つの電極は、前記第1端部及び前記第2端部のうちの1つが接続される第1部分と、該第1部分の前記近位端側の端部から前記近位端の方向へ延在する第2部分とを有する、カートリッジが提供される。
【0018】
一実施形態において、前記第1電極及び前記第2電極は略同一の形状を有する。
【0019】
一実施形態において、前記第1部分と前記第2部分との境界において、前記第1部分の幅は前記第2部分の幅より広い。
【0020】
一実施形態において、前記ヒータの端部は、前記第1部分の前記近位端側の端部のうち、前記第2部分と接しない部分に接続される。
【0021】
一実施形態において、前記第1部分及び前記第2部分がL字形状を形成する。
【0022】
一実施形態において、前記ヒータは凸形状を有し、前記第1電極及び前記第2電極の前記第2部分の少なくとも一部は前記凸形状の最頂部よりも前記近位端側に位置する。
【0023】
一実施形態において、前記ヒータは線状ヒータである。
【0024】
一実施形態において、カートリッジは、前記ヒータユニットと係合されるタンクユニットをさらに備える。前記タンクユニットは、前記液体を貯留するタンクと、前記エアロゾルが通過するエアロゾル流路と、前記エアロゾル流路と連通するチャンバと、前記チャンバと連通する第1空気入口及び第2空気入口とを有するタンク本体部を備える。
【0025】
一実施形態において、前記第1空気入口及び前記第2空気入口のうちの少なくとも1つの空気入口の少なくとも一部は、該空気入口に最も近い電極の前記第2部分の最頂部よりも前記遠位端側に位置する。
【0026】
一実施形態において、前記第1空気入口及び前記第2空気入口のうちの少なくとも1つの空気入口の少なくとも一部は、該空気入口に最も近い電極の前記第1部分の前記近位端側の端部のうち前記第2部分と接しない部分の端よりも前記第2部分側に位置する。
【0027】
一実施形態において、前記第1空気入口及び前記第2空気入口のうちの少なくとも1つの空気入口は略円形の形状を有する。
【0028】
一実施形態において、前記第1空気入口及び前記第2空気入口のうちの少なくとも1つの空気入口の前記略円形の中心が、該空気入口に最も近い電極の前記第2部分の最頂部よりも前記遠位端側に位置する。
【0029】
一実施形態において、前記第1空気入口及び前記第2空気入口のうちの少なくとも1つの空気入口の前記略円形の中心が、該空気入口に最も近い電極の前記第1部分の前記近位端側の端部のうち前記第2部分と接しない部分の端よりも前記第2部分側に位置する。
【0030】
一実施形態において、前記第1電極及び前記第2電極のうちの少なくとも1つの電極の前記第1部分及び前記第2部分がL字形状を形成する場合、前記第1空気入口及び前記第2空気入口のうち該電極に最も近い空気入口の面積の所定の割合以上が、該電極の前記L字形状が有する切欠き内に位置する。
【0031】
一実施形態において、前記第1空気入口及び前記第2空気入口のうちの少なくとも1つの空気入口と、該空気入口に最も近い電極の前記第1部分及び前記第2部分とが、重ならないように配置される。
【0032】
本開示の第3の実施形態によれば、吸引器用のカートリッジであって、使用者が前記吸引器を使用するときに前記使用者の口に近い近位端と、前記近位端と反対側の遠位端とを有し、互いに嵌合されて、液体を貯留するタンクと、前記近位端と前記遠位端とをつなぐ方向に延在するエアロゾル流路とを画定する、タンク本体部及びカバー部材と、前記タンク本体部と前記カバー部材との間に配置され、前記エアロゾル流路と連通する孔を有する、可撓性のキャップ部材とを備える、カートリッジが提供される。
【0033】
一実施形態において、前記タンク本体部は、前記エアロゾル流路を形成する内側壁を含む。前記タンクは、前記キャップ部材及び前記内側壁によって前記エアロゾル流路と区画される。
【0034】
一実施形態において、前記キャップ部材は、前記孔を有する平板部分と、前記平板部分の縁から前記遠位端方向に延在し、前記内側壁の前記近位端側の端部を囲む、側壁部分とを備える。
【0035】
一実施形態において、前記平板部分の形状は、互いに略平行な第1辺及び第2辺と、前記第1辺の一端及び前記第2辺の一端をつなぐ第3辺と、前記第1辺の他端及び前記第2辺の他端をつなぐ第4辺とを含む。前記第1辺と前記第2辺との間の距離は、前記第3辺と前記第4辺との間の最長距離よりも短い。
【0036】
一実施形態において、前記第1辺及び前記第2辺は略直線状であり、前記第3辺及び前記第4辺は略円弧状である。
【0037】
一実施形態において、前記近位端側から見たときに前記タンク本体部の側壁の内側がなす形状は、前記第1辺に略平行な第5辺と、前記第2辺に略平行な第6辺と、前記第5辺の一端及び前記第6辺の一端をつなぐ第7辺と、前記第5辺の他端及び前記第6辺の他端をつなぐ第8辺とを含む。前記第5辺と前記第6辺との間の距離は、前記第7辺と前記第8辺との間の最長距離よりも短い。
【0038】
一実施形態において、前記孔は略円形である。
【0039】
一実施形態において、カートリッジは、前記タンク本体部、前記カバー部材及び前記キャップ部材を含むタンクユニットと、前記タンクユニットと係合され、前記エアロゾルを生成するために前記液体を霧化するように構成された、ヒータユニットとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る吸引器の全体斜視図である。
【
図2】
図2は、本開示の一実施形態に係るカートリッジ20の分解斜視図である。
【
図3A】
図3Aは、本開示の一実施形態に係る、カバー部材及び電極保持部材を除いたカートリッジの透過図である。
【
図4】
図4は、本開示の一実施形態に係る、電極及びヒータを除いたカートリッジの断面図である。
【
図5】
図5は、本開示の一実施形態に係る、電極保持部材を除いたヒータユニットの斜視図である。
【
図6】
図6は、本開示の一実施形態に係る支持部材の斜視図である。
【
図7】
図7は、本開示の一実施形態に係る、支持部材及び液保持部材を除いたヒータユニットの斜視図である。
【
図8A】
図8Aは、電極の第1部分及び第2部分と空気入口との配置関係の例を示す。
【
図8B】
図8Bは、電極の第1部分及び第2部分と空気入口との配置関係の例を示す。
【
図8C】
図8Cは、電極の第1部分及び第2部分と空気入口との配置関係の例を示す。
【
図8D】
図8Dは、電極の第1部分及び第2部分と空気入口との配置関係の例を示す。
【
図8E】
図8Eは、電極の第1部分及び第2部分と空気入口との配置関係の例を示す。
【
図9】
図9は、本開示の一実施形態に係るキャップ部材を近位端から見たときの断面図を示す。
【
図10】
図10は、近位端から見たときにタンク本体部の側壁の内側がなす形状の例を示す。
【
図11】
図11は、本開示の一実施形態に係るカートリッジにおいて近位端から見たときの、タンク本体部とキャップ部材との配置関係の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。図面においては、同一の又は相当する構成要素には、同一の符号が付されており、重複した説明は省略される。
【0042】
図1は、本開示の実施形態に係る吸引器の全体斜視図である。
図1に示すように、吸引器10は、カートリッジ20(吸引器用カートリッジの一例に相当する)と、バッテリユニット12とを有する。カートリッジ20は、グリセリン又はプロピレングリコール等のエアロゾル形成材料を含む液体を霧化してエアロゾルを生成する。エアロゾル形成材料は、例えばニコチン等の香味源を含んでもよい。バッテリユニット12は、カートリッジ20に電力を供給する。カートリッジ20は、タンクユニット16とヒータユニット17とを係合することによって形成される。タンクユニット16に含まれる後述するカバー部材は、マウスピースとしての機能を有してもよく、ヒータユニット17で生成されたエアロゾルを使用者の口へ導くように構成されてもよい。吸引器10が所定期間使用された後、カートリッジ20は交換することができる。
【0043】
図1に示すように、吸引器10は、バッテリユニット12の端部に充電ユニット18を結合することができるように構成されてもよい。充電ユニット18は、例えば、USBチャージャーであってもよい。この場合、バッテリユニット12は、充電ユニット18を介して様々なデバイスのUSBポートに接続することができ、バッテリユニット12内の電源(図示せず)は、当該USBポートからの給電によって充電することができる。
【0044】
以下、
図1に示したカートリッジ20について詳細に説明する。
図2は、本開示の一実施形態に係るカートリッジ20の分解斜視図である。
【0045】
カートリッジ20は、タンクユニット16とヒータユニット17とが係合されてなる。タンクユニット16は、カバー部材14と、タンク本体部34と、キャップ部材36とを含み得る。タンク本体部34は、後述するチャンバ及びエアロゾル流路と連通する第1空気入口35Aを含む、複数の空気入口(以下、まとめて「空気入口35」とも呼ぶ)を有する。ヒータユニット17は、ベース部材22と、支持部材24と、液保持部材26と、電極保持部材28と、電極30と、ヒータ32とを含み得る。電極30は、後述するように一対の電極30A及び30Bを含んでもよい。
【0046】
ここで、カートリッジ20の製造工程の概略を説明する。まず、第1工程において、電極30A及び30Bと電極保持部材28とが一体成型される。第2工程において、電極30Aと電極30Bとの間にヒータ32が半田付けされる。一方、第3工程において、ベース部材22、支持部材24及び液保持部材26が組み合わされる。次いで、第4工程において、ベース部材22、支持部材24及び液保持部材26からなる構造が、電極保持部材28、電極30A及び30B並びにヒータ32からなる構造に圧入されて、ヒータユニット17が形成される。第1乃至第4工程とは別に、第5工程において、タンク本体部34にキャップ部材36が圧入される。次いで、第6工程において、キャップ部材36が圧入されたタンク本体部34と、カバー部材14とが、溶接によって係合される。次いで、第7工程において、タンク本体部34内のタンクに液体(エアロゾル形成材料を含む)が注入されて、タンクユニット16が形成される。最後に、第8工程において、ヒータユニット17とタンクユニット16とが溶接によって係合される。
【0047】
図3Aは、本開示の実施形態に係る、カバー部材14及び電極保持部材28を除いたカートリッジ20の透過図である。
図3Bは、
図3Aに示すカートリッジ20を、近位端21と遠位端23とをつなぐ方向を軸として回転させたときの斜視図である。
図4は、電極30及びヒータ32を除いたカートリッジ20の断面図である。
【0048】
図3A、
図3B及び
図4に示すように、カートリッジ20は、近位端21と遠位端23とを有する。近位端21は、使用者が吸引器10を使用するときに使用者の口に近い端部である。遠位端23は、近位端21とは反対側の端部であり、バッテリユニット12に近く、使用者が吸引器10を使用するときに使用者の口から遠い端部である。本実施形態では、便宜上、近位端21と遠位端23とをつなぐ方向(
図3Aにおいて上下方向)を第1方向といい、これと直交する方向を第2方向という。第1方向は、長手方向ということもできるし、第2方向は短手方向ということもできる。なお、後述する
図5、
図7、
図9、
図10及び
図11においては、X、Y、Z軸が付記されている。これらの図において、Z軸方向は第1方向と一致し、X軸方向及びY軸方向は第2方向と一致する。
【0049】
カートリッジ20(あるいは、カートリッジ20に含まれるタンク本体部34)は、上壁38と、略筒状の側壁40と、側壁40の内側に位置する略筒状の内側壁42とを有する。側壁40と内側壁42との隙間には空間が画定される。この空間は、エアロゾル形成材料を含む液体を貯留するためのタンク37として機能する。遠位端23側に、タンク37とチャンバ46とを区画するチャンバ形成部材44が設けられる。内側壁42の内部空間は、第1方向に延びるエアロゾル流路48を構成する。チャンバ46はエアロゾル流路48と連通する。キャップ部材36が近位端21側に配置される。キャップ部材36は、タンク37とエアロゾル流路48とを区画する。キャップ部材36は、カバー部材14とタンク本体部34とを嵌合してタンクユニット16を形成する際の緩衝材としても機能し得る。
【0050】
タンク本体部34は、液体を貯留するタンク37と、タンク37と区画され、エアロゾルが通過するエアロゾル流路48と、エアロゾル流路48と連通するチャンバ46とを有するように構成され得る。
【0051】
ヒータユニット17は、カートリッジ20の遠位端23側に取り付けられる。ヒータユニット17は、液体を霧化してエアロゾルを生成するように構成されるほか、カートリッジ20の遠位端23側を閉止する底壁の機能を有する。
【0052】
上壁38の略中央部には、キャップ部材36を介してエアロゾル流路48と連通するエアロゾル排出口50が形成される。ヒータ32はその全長に渡ってチャンバ46内に露出される。空気入口35を通じてチャンバ46内に流入した空気は、エアロゾル流路48及びエアロゾル排出口50を通じて使用者の口内に到達する。チャンバ46で生成されたエアロゾルは、この空気と混ざり合いながら、エアロゾル流路48を通過し、エアロゾル排出口50から使用者の口内に到達する。このようにして、ヒータ32の全長において生成されたエアロゾルを効率よくエアロゾル排出口50に輸送することができる。言い換えれば、チャンバ46内にエアロゾルが滞留することを防止し、チャンバ46壁面にエアロゾルが付着することを抑制することができる。
【0053】
図5は、電極保持部材28を除いたヒータユニット17の斜視図である。ヒータユニット17は、エアロゾルを生成するために液体を霧化するように構成される。ヒータユニット17は、少なくとも、支持部材24と、液保持部材26と、ヒータ32とを有する。液保持部材26は、エアロゾル形成材料を含む液体をタンク37からヒータ32に向けて輸送するように構成された任意の多孔質部材で形成され得る。液保持部材26は、ヒータ32と密に接触するために、コットン又はガラス繊維等の可撓性を有する繊維状部材で形成されることが好ましい。一例として、液保持部材26は、2枚以上のコットンを重ねて構成されてもよい。液保持部材26は、第1面27と、当該第1面と対向する第2面29とを有する。第1面27は凸状の形状を有してもよい。図示される例において、第1面27は、Z軸方向に突出する畝状面27である。図示される畝状面27の凸状形状は、Z軸方向(すなわち、カートリッジ20に組み込まれたときに近位端に向かう方向)において、単一の頂部を有してもよい。当該頂部は、Y軸方向から見たとき、X軸方向に延びる直線を形成する。しかし、第1面27の凸状形状は、このような形状に限定されず、Z軸方向において様々な複数の頂部を有してもよい。第1面27と対向する第2面29は、支持部材24によって支持される。畝状面27は、Z軸方向に直交するX軸方向に沿って延在する。また、一対の電極30A及び電極30B(まとめて「電極30」とも呼ぶ)は、畝状面27の突出方向であるZ軸方向と、畝状面27の延在方向であるX軸方向との両方に直交するY軸方向に離間して配置される。カートリッジ20がバッテリユニット12と結合されると、電極30は、ヒータ32をバッテリユニット12内のバッテリと接続する。
【0054】
液保持部材26の第1面27(ここでは、畝状面27)のY軸方向における中央部は、Y軸方向の他の部分と比べてZ軸方向において異なる位置に存在する。具体的には、液保持部材26のY軸方向における中央部は、畝状面27の頂部を構成する。また、液保持部材26は、ディスク状又は平板状の多孔質部材を畝状に変形させることで構成される。この平板状の多孔質部材においては、ヒータ32が接触する面(畝状面27)が、一対の長辺と一対の短辺を有する。この平板状の多孔質部材を畝状に形成すると、
図5に示すように、液保持部材26は、X軸方向から見たときに略U字形状に変形される。
【0055】
ヒータ32は、電極30と接続されて、畝状面27の突出方向(Z軸方向)と交差する方向に延びる要素を有し、畝状面27の頂部と交差するように配置される。ヒータ32は、その少なくとも一部が液保持部材26の畝状面27と接触するように構成される。具体的には、ヒータ32は、その所定長さ部分が液保持部材26の畝状面27に沿って配置される。ヒータ32は、ヒータ32のほぼ全長に渡って液保持部材26の畝状面27と接触することが好ましい。この場合、電極30とヒータ32との接続部分(例えば溶接部分)は、液保持部材26の畝状面27と接触し得る。これにより、ヒータ32の全長に渡ってヒータ32を畝状面27に接触させることができる。また、電極30とヒータ32との接続部分間のY軸方向における距離は、この接続部分間のヒータ32の長さよりも短い。即ち、ヒータ32は、電極30間に撓むように配置される。
【0056】
一実施形態において、第1電極30Aに接続されるヒータ32の一方の端部の位置と、第2電極30Bに接続されるヒータ32の他方の端部の位置とが、X軸方向においてずれてもよい。すなわち、ヒータ32は、Y軸方向に対して平行ではなく斜めに延びるように形成されてもよい。
【0057】
また、本実施形態のカートリッジ20では、畝状面27がエアロゾル排出口50側に突出している。これにより、ヒータ32に通電したときのエアロゾルの蒸発方向と吸引時の気流の流れとが一致するので、生成されたエアロゾルが流路を構成する壁面に接触する頻度を低減して、チャンバ46の壁面にエアロゾルが凝縮することを抑制することができる。
【0058】
図5に示すように、ヒータ32は液保持部材26の畝状面27に押し付けられるように配置されることが好ましい。液保持部材26は、ヒータ32を液保持部材26に押し付けることによって変形可能な材料(可撓性を有する材料)で構成されることが好ましい。ヒータ32は、例えば、1本又は複数本の線状のヒータであってもよいし、メッシュ状又は板状等、任意の形状のヒータであってもよい。本実施形態のようにヒータ32が1本の線状ヒータである場合は、例えばメッシュ状又は板状のヒータに比べて熱容量を小さくすることができ、効率よく液体を霧化することができる。
【0059】
図5に示すように、支持部材24は、液保持部材26の畝状面27と対向する、第2面29を支持する。より具体的には、支持部材24は、畝状面27のヒータ32が接触している位置と対向する、第2面29の位置を支持するように構成されてもよい。これにより、ヒータ32が液保持部材26の畝状面27に押し付けられるように配置されて液保持部材26がヒータ32から所定の力を受けても、液保持部材26の畝状の形態を維持することができる。また、液保持部材26の第2面29は支持部材24と接触し、第2面29と支持部材24との間には何も設けられない。つまり、ヒータ32が畝状面27にのみ設けられている。したがって、ヒータ32が液保持部材26に保持された液体を霧化したときに、エアロゾルは、第2面29から発生し難くなり、畝状面27から優先的に発生する。支持部材24は、ベース部材22とは別体の部材として構成される。支持部材24のY軸方向の長さ(幅)とX軸方向の長さは任意であり、所望の畝状面27を形成するように設計される。
【0060】
ヒータ32と液保持部材26との当接が薄すぎると、ヒータ32が発熱時に変形して液保持部材26から浮いてしまい、エアロゾルを効率的に生成することが困難になる場合がある。他方、ヒータ32と液保持部材26との当接が厚すぎると、ヒータ32が液保持部材26に過度に埋め込まれてしまい、液保持部材26に保持されている液体の突沸が生じる虞がある。本実施形態において、支持部材24は、液保持部材26よりも柔らかくなるように構成される。ここでいう柔らかさは、ヒータ32が液保持部材26に当接させられたときの各部材の変形のし易さを意味する。すなわち、支持部材24及び液保持部材26が重ねられた状態でヒータ32が液保持部材26に当接させられると、液保持部材26よりも先に支持部材24が変形する。一例として、液保持部材26がコットンからなる場合、支持部材24はシリコンゴムを含んでもよい。ヒータ32が液保持部材26に押し付けられたとき、液保持部材26が変形する前に支持部材24が変形するので、液保持部材26へのヒータ32の埋め込みを低減することができ、且つ、使用時においてヒータ32が液保持部材26から脱離することがないようにヒータ32を固定することができる。
【0061】
ベース部材22は、支持部材24よりも硬くなるように構成され得る。尚、ベース部材22は、PETやPP等の樹脂材料であることが好ましい。ベース部材22はまた、液保持部材26よりも硬くなるように構成されてもよい。この場合、ベース部材22、支持部材24及び液保持部材26のうち、支持部材24が最も柔らかく、次いで液保持部材26が柔らかく、ベース部材22が最も硬い。
【0062】
例えば、柔らかさ(硬さ)として、デューロメータ等で測定した硬度を用いることができる。例えば、支持部材24の硬度は10~30であることが好ましく、ベース部材22の硬度は80以上であることが好ましい。
【0063】
タンクユニット16とヒータユニット17とが係合されてカートリッジ20が形成されると、液保持部材26は、ベース部材22、電極保持部材28、チャンバ形成部材44等によって圧縮される。液保持部材26は、チャンバ形成部材44と支持部材24との間に挟まれる。そして、液保持部材26の一部及びヒータ32がチャンバ46内に露出し、液保持部材26の別の一部がタンク37内に露出する。タンク37内の液体は、タンク37内に露出している液保持部材26の部分から、チャンバ46内に露出している液保持部材26の部分へと、毛管力を利用して供給される。
【0064】
タンク37内に露出した液保持部材26の部分は、タンク37に貯留された液体に浸されて広がり得る。チャンバ46内に露出した液保持部材26の部分は、タンク37から供給される液体を吸って膨張し得る。したがって、完成したカートリッジ20内の液保持部材26は、上述した基本的な形状よりも変形した形状をとり得ることに留意されたい。
【0065】
図6は、例示的な支持部材24の斜視図である。
図6においては、支持部材24の内部構造を説明するために、支持部材24は、
図5の場合と比較して上下が逆さまになっていることに留意されたい。支持部材24は、液保持部材26の第2面29を支持する第1凸状面58を有する。支持部材24はまた、第1凸状面58に対向する第2凸状面60と、第1側部62と、第1側部62に対向する第2側部64とをさらに有する。
図6から理解されるように、第2凸状面60、第1側部62の内面及び第2側部64の内面により空間が形成される。
【0066】
支持部材24の第1凸状面58は、カートリッジ20に組み込まれたときに近位端に向かう方向(Z軸方向)において、単一の頂部を有し得る。しかし、第1凸状面58の形状は、このような形状に限定されず、Z軸方向において様々な複数の頂部を有してもよい。第2凸状面60は、第1凸状面58と同様の形状を有してもよいし、異なる形状を有してもよい。
【0067】
図6に示されるように、第1側部62及び第2側部64は、X軸方向において第1凸状面58の端部に結合するように配置されてもよく、第1凸状面58の端部の形状に合う形状(
図6の例では、略半円)の平板であってもよい。
【0068】
ベース部材22は、支持部材24の少なくとも一部を保持する。ベース部材22は、基部51を有し、基部51と支持部材24との間に空間が存在するように支持部材24を保持してもよい。ベース部材22は、1つ又は複数の突起部を有してもよい。例えば、
図4に示すように、ベース部材22は第1の少なくとも2つの突起部52を有してもよい。第1の少なくとも2つの突起部52は、第2凸状面60の頂部に当接してもよい。この場合、ベース部材22のうち主に突起部52が支持部材24の内側面に当接し、ベース部材22と支持部材24との間に空間が生じる。このような構成により、ヒータ32が液保持部材26に押し付けられたとき、支持部材24の変形の自由度が大きくなる。
【0069】
さらに、ベース部材22の第1の少なくとも2つの突起部52の各々は、支持部材24の第1側部62の内面又は支持部材24の第2側部64の内面に当接してもよい。この場合、チャンバ46から遠位端23に向かう方向に、ヒータ32、液保持部材26、支持部材24、突起部52の存在により生じる空間、及びベース部材22が位置することになる。
【0070】
ベース部材22は、第2の少なくとも2つの突起部53を有してもよい。第2の少なくとも2つの突起部53は、支持部材24の第2凸状面60の頂部より下の部分に当接してもよい。第1の少なくとも2つの突起部52のうちの2つの突起部は、特定の方向(例えば、X軸方向)に沿って互いに対向するように配置されてもよい。第2の少なくとも2つの突起部53のうちの2つの突起部は、上記とは異なる方向(例えば、Y軸方向)に沿って互いに対向するように配置されてもよい。
【0071】
図7は、支持部材24及び液保持部材26を除いたヒータユニット17の斜視図である。ヒータ32は、第1電極30A及び第2電極30Bを含む電極30にそれぞれ接続される、第1端部33A及び第2端部33Bを含む端部33を有する。ヒータ32は、線状ヒータであってもよく、1本又は複数本の線状ヒータ部分を含むように構成されてもよい。ヒータ32と、ベース部材22の第1の少なくとも2つの突起部52とは、ヒータユニット17をベース部材22側から見たときに互いに重ならないように配置されてもよい。あるいは、ヒータ32は、第1の少なくとも2つの突起部52を結ぶ線と交差するように配置されてもよい。
【0072】
図7の例において、ヒータ32の第1端部33Aは第1電極30Aに接続され、第2端部33Bは第2電極30Bに接続される。第1電極30A及び第2電極30Bは、略同一の形状を有してもよい。第1電極30A及び第2電極30Bは、X軸方向に関して互いに略対称となるように配置されてもよい。第1電極30A及び第2電極30Bは、さらに、Y軸方向に関しても互いに略対称となるように配置されてもよい。したがって、一例において、
図7に示すように、ヒータ32は、Y軸方向に平行ではなく斜めに配置され得る。この構成によれば、一対の端部33がX軸方向において同一の位置で一対の電極30に接続される場合に比べて、ヒータ32の長さが長くなる。したがって、ヒータ32と液保持部材26の畝状面27との接触面積を大きくすることができる。なお、別の例において、一対の電極30は、X軸方向において同一の位置に配置されてもよい。この場合、一対の端部33もまた、X軸方向において同一の位置において、一対の電極30に接続され得る。このほか、電極30及び端部33Aを様々な位置に配置し得ることが理解されよう。
【0073】
端部33は、液保持部材26の畝状面27の頂部よりも遠位端23側に位置する。即ち、ヒータ32は、液保持部材26の畝状面27に沿うように湾曲して、畝状面27と接触する。これにより、ヒータ32と液保持部材26の畝状面27との接触面積を十分に確保することができる。
【0074】
図4及び
図7に示すように、電極保持部材28は、ベース部材22とともに、カートリッジ20の遠位端23を構成する底壁を形成する。
図1に示すようにカートリッジ20とバッテリユニット12とが結合するとき、電極30のうち底壁の外部に延在する部分は、バッテリユニット12のバッテリ端子(図示せず)と接続するように構成される。これにより、バッテリユニット12は、電極30を介してヒータ32に電力を供給することができる。
【0075】
一実施形態において、第1電極30A及び第2電極30Bのうちの少なくとも1つの電極は、第1端部33A及び第2端部33Bのうちの1つが接続される第1部分と、該第1部分の近位端21側の端部から近位端21の方向へ延在する第2部分とを有する。例えば、
図7に示すように、第1電極30Aが、第1端部33Aが接続される第1部分31A-1と、当該第1部分31A-1の近位端21側の端部から近位端21の方向へ延在する第2部分31A-2とを有してもよい。上記の構成に代えて、又は、上記の構成に加えて、第2電極30Bが、第2端部33Bが接続される第1部分31B-1と、当該第1部分31B-1の近位端21側の端部から近位端21の方向へ延在する第2部分31B-2とを有してもよい。
【0076】
図7において、第1電極30Aの第1部分31A-1及び第2部分31A-2の間に描かれた点線は、これらの間の境界を示す。第2電極30Bの第1部分31B-1及び第2部分31B-2の間に描かれた点線は、これらの間の境界を示す。一例において、図示されるように、第1部分と第2部分との境界において、第1部分の幅は第2部分の幅より広い。
図7の例では、第1部分及び第2部分は矩形の形状を有している。しかし、第1部分及び第2部分の形状が矩形に限定されず、近位端21に向かって先細になる形状など、様々な形状をとり得ることが理解されよう。
【0077】
図7に示すように、ヒータ32の第1端部33Aは、第1部分31A-1の近位端21側の端部のうち、第2部分31A-2と接しない部分に接続されてもよい。ヒータ32の第2端部33Bは、第1部分31B-1の近位端21側の端部のうち、第2部分31B-2と接しない部分に接続されてもよい。
【0078】
図7に斜線で示すように、第1電極30Aの第1部分31A-1及び第2部分31A-2は、L字形状を形成してもよい。同様に、第2電極30Bの第1部分31B-1及び第2部分31B-2は、L字形状を形成してもよい。
【0079】
図示されるように、第2電極30Bは、第1部分31B-1及び第2部分31B-2に加えて、第1部分31B-1から遠位端23方向に延在する第3部分31B-3を含み得る。一例において、第3部分31B-3は、第1部分31B-1の下端から、電極保持部材28の内側側面及び内側底面に沿うように延在する。第3部分31B-3は、さらに、バッテリユニット12との電気的接点39Bを備える。同様に、第1電極30Aもまた、第1部分31A-1及び第2部分31A-2に加えて、第1部分31A-1から遠位端23方向に延在する第3部分31A-3を含み得る。一例において、第3部分31A-3は、第1部分31A-1の下端から、電極保持部材28の内側側面及び内側底面に沿うように延在する。図示されていないが、第3部分31A-3は、さらに、バッテリユニット12との電気的接点39Aを備える。
【0080】
図7には、
図2に示した第1空気入口35A、及びカートリッジ20の反対側に設けられた第2空気入口35Bが模式的に示されている。第1空気入口35A及び第2空気入口35Bのうちの少なくとも1つの空気入口は、略円形の形状を有してもよいし、他の様々な形状を有してもよい。使用者が吸引器10を用いて吸引を行うとき、吸引器10の外部の空気は、第1空気入口35A及び第2空気入口35Bからチャンバ46に流入し、ヒータ32の発熱により生成されたエアロゾルと混じり、エアロゾル流路48及びエアロゾル排出口50を通じて使用者の口内に到達する。本実施形態によれば、電極30は、空気入口35から流入した空気が電極30の第2部分に触れるような位置に配置される。例えば、電極30は、第2部分が空気流路沿いに配置されるように構成されてもよい。この場合、空気入口35から流入した空気が第2部分に触れつつ通過するので、電極30の冷却効果を高めることができ、効率のよい放熱機能をもたらすことが可能になる。すなわち、本実施形態により、第2部分は、電極30の一部であるだけでなく、熱を効果的に放出する放熱部としても機能することができる。
【0081】
図8Aから
図8Eは、電極の第1部分及び第2部分と空気入口との配置関係を示す。
図8Aから
図8Eにおいては、第1電極30Aと、第1電極30Aに最も近い空気入口である第1空気入口35Aとの間の配置関係が説明される。しかし、第2電極30Bと、第2電極30Bに最も近い空気入口である第2空気入口35Bとが、同様に配置され得ることが、当業者に理解されよう。
【0082】
一例において、第1空気入口35A及び第2空気入口35Bのうちの少なくとも1つの空気入口の少なくとも一部は、当該空気入口に最も近い電極の第2部分の最頂部よりも遠位端側に位置してもよい。
図8Aはこのような構造の例を示す。
図8Aにおいて、第1空気入口35Aの一部(斜線で示される)は、第1空気入口35Aに最も近い電極(第1電極30A)の第2部分31A-2の最頂部(点線82で示される)よりも遠位端23側に位置している。
【0083】
一例において、第1空気入口35A及び第2空気入口35Bのうちの少なくとも1つの空気入口の少なくとも一部は、当該空気入口に最も近い電極の第1部分の近位端側の端部のうち第2部分と接しない部分の端よりも、第2部分側に位置してもよい。
図8Bはこのような構造の例を示す。
図8Bにおいて、第1空気入口35Aの一部(斜線で示される)は、第1空気入口35Aに最も近い電極(第1電極30A)の第1部分31A-1の近位端21側の端部のうち第2部分と接しない部分84の端(点線86で示される)よりも、第2部分側に位置している。
【0084】
一例において、第1空気入口35A及び第2空気入口35Bのうちの少なくとも1つの空気入口の略円形の中心が、当該空気入口に最も近い電極の第2部分の最頂部よりも、遠位端側に位置してもよい。
図8Cはこのような構造の例を示す。
図8Cにおいて、第1空気入口35Aの中心88は、第1空気入口35Aに最も近い電極(第1電極30A)の第2部分31A-2の最頂部(点線82で示される)よりも遠位端23側に位置している。
【0085】
一例において、第1空気入口35A及び第2空気入口35Bのうちの少なくとも1つの空気入口の略円形の中心が、当該空気入口に最も近い電極の第1部分の近位端側の端部のうち第2部分と接しない部分の端よりも、第2部分側に位置してもよい。
図8Dはこのような構造の例を示す。
図8Dにおいて、第1空気入口35Aの中心88は、第1空気入口35Aに最も近い電極(第1電極30A)の第1部分31A-1の近位端21側の端部のうち第2部分と接しない部分84の端(点線86で示される)よりも、第2部分側に位置している。
【0086】
一例において、第1電極30A及び第2電極30Bのうちの少なくとも1つの電極の第1部分及び第2部分がL字形状を形成する場合、第1空気入口35A及び第2空気入口35Bのうち当該電極に最も近い空気入口の面積の所定の割合以上が、当該電極のL字形状が有する切欠き内に位置してもよい。
図8Eはこのような構造の例を示す。
図8Eにおいて、第1電極30Aの第1部分31A-1及び31A-2は、L字形状を形成している。そして、第1電極30Aに最も近い空気入口(第1空気入口35A)の面積の所定の割合以上の部分(斜線で示される)が、第1電極30AのL字形状が有する切欠き90内に位置している。上記所定の割合は、例えば、50%であってもよいし、他の様々な割合であってもよい。
【0087】
第1空気入口35A及び第2空気入口35Bのうちの少なくとも1つの空気入口と、当該空気入口に最も近い電極の第1部分及び第2部分とは、Y軸方向から見たときに重ならないように配置されてもよい。
【0088】
図7に示すように、ヒータ32は凸形状を有してもよい。第1電極30Aの第2部分31A-2の少なくとも一部は、ヒータ32の凸形状の最頂部よりも近位端側に位置してもよい。また、第2電極30Bの第2部分31B-2の少なくとも一部は、ヒータ32の凸形状の最頂部よりも近位端側に位置してもよい。
【0089】
なお、電極30の第2部分は、ヒータユニット17を他の部材と組み合わせてカートリッジ20を組み立てる際のガイドとして機能することも可能である。第1電極30A及び第2電極30Bがそれぞれ第2部分31A-2及び第2部分31B-2を有し、これらの第2部分がZ軸方向においてヒータ32より上に位置することにより、カートリッジ20の組み立て時において、ヒータ32が別の部材に意図せず接触して損傷するような事態を防ぐことができる。
【0090】
キャップ部材36の側面の形状は、
図3A、
図3B及び
図4に示した例などから理解されよう。タンク本体部34及びカバー部材14は、互いに嵌合されて、液体を貯留するタンク37と、近位端21と遠位端23とをつなぐ方向に延在するエアロゾル流路48とを画定する。キャップ部材36は、タンク本体部34とカバー部材14との間に配置されており、エアロゾル流路48と連通する孔を有する。当該孔は略円形であってもよい。キャップ部材36は、可撓性の材料から形成されてもよい。
図4から理解されるように、キャップ部材36は、当該孔を有する平板部分と、当該平板部分の縁から遠位端23方向に延在し、内側壁42の近位端21側の端部を囲む、側壁部分とを備える。タンク本体部34は、エアロゾル流路48を形成する内側壁42を含む。
図4に示すように、キャップ部材36は、エアロゾル流路48を構成する内側壁42からなる管構造の先端に、コの字の形状で係合してもよい。タンク37は、キャップ部材36及び内側壁42によって、エアロゾル流路48と区画される。このようなキャップ部材36を用いることにより、タンク37とエアロゾル流路48とをより確実に区画することができる。
【0091】
図9は、例示的なキャップ部材36を近位端21から見たときの断面図を示す。すなわち、
図9は、キャップ部材36の平板部分の形状を示している。
図9には、
図5及び
図7に示されたX、Y、Z軸に対応するX、Y、Z軸が付記されている。Z軸方向は第1方向と一致し、X軸方向及びY軸方向は第2方向と一致する。
【0092】
キャップ部材36の平板部分は、エアロゾル流路48とエアロゾル排出口50とを連通する孔49を有する。キャップ部材36の平板部分の形状は、互いに略平行な第1辺54A及び第2辺54Bと、第1辺54Aの一端及び第2辺54Bの一端をつなぐ第3辺54Cと、第1辺54Aの他端及び第2辺54Bの他端をつなぐ第4辺54Dとを含む。第1辺54Aと第2辺54Bとの間の距離L1は、第3辺54Cと第4辺54Dとの間の最長距離L2よりも短い。第1辺54A及び第2辺54Bは略直線状であってもよい。第3辺54C及び第4辺54Dは略円弧状であってもよい。この形状は、平板部分の形状の一例にすぎない。平板部分は、L1<L2の関係を満たす、多角形などの様々な形状をとり得る。
【0093】
L1とL2との比をL2/L1=Xとすると、好ましくは、1.0<X<2.0であってもよい。
【0094】
図10は、近位端21から見たときにタンク本体部34の側壁の内側がなす形状を示す。
図10には、
図9に示されたX、Y、Z軸に対応するX、Y、Z軸が付記されている。また、エアロゾル流路48の断面が示されている。エアロゾル流路48は、キャップ部材36の平板部分に設けられた孔49を介して、カバー部材14に設けられたエアロゾル排出口50と連通する。
【0095】
近位端21から見たときにタンク本体部34の側壁の内側がなす形状は、
図9に示した第1辺54Aに略平行な第5辺56Aと、
図9に示した第2辺54Bに略平行な第6辺56Bと、第5辺56Aの一端及び第6辺56Bの一端をつなぐ第7辺56Cと、第5辺56Aの他端及び第6辺56Bの他端をつなぐ第8辺56Dとを含む。第5辺56Aと第6辺56Bとの間の距離L3は、第7辺56Cと第8辺56Dとの間の最長距離L4よりも短い。
図10に示す形状は一例にすぎず、L3<L4の関係を満たす様々な形状であってもよい。
【0096】
L3とL4との比をL4/L3=Yとすると、好ましくは、1.5<Y<3.5であってもよい。
【0097】
図11は、完成したカートリッジ20において、近位端21から見たときの、タンク本体部34とキャップ部材36との配置関係の例を示す。キャップ部材36の孔49の断面積は、エアロゾル流路48の断面積よりも小さい。キャップ部材36は、
図9に示した第1辺54A及び第2辺54Bが、それぞれ、
図10に示した第5辺56A及び第6辺56Bと対向するように配置される。
図9に示した第3辺54C及び第4辺54Dは、それぞれ、
図10に示した第7辺56C及び第8辺56Dと対向する。
【0098】
上述のように、本実施形態に係るキャップ部材36は、
図9に例示されるような特徴的な形状を有する。本実施形態と異なり、キャップ部材36の平板部分が単純な円形の形状を有する場合には、カバー部材14とタンク本体部34との嵌合によって生じるキャップ部材36の変形により、キャップ部材36の孔の形状が変形してエアロゾル流路48とエアロゾル排出口50との気流連通が阻害されたり、タンク37からエアロゾル流路48へと液体が漏れ出たりする場合がある。これに対して、本実施形態に係るキャップ部材36を用いると、カバー部材14とタンク本体部34とが嵌合されてもキャップ部材36の形状が変形しにくくなり、上記の問題を防止することができる。
【0099】
以下、本開示のカートリッジ20を備えた吸引器10の動作について説明する。タンク37に収容された液体は、タンク37内に露出した液保持部材26の端部と接触して液保持部材26に吸収される。吸収された液体は、毛管力により、チャンバ46内に露出した液保持部材26の部分へ輸送され、ヒータ32近傍まで輸送される。使用者がエアロゾル排出口50を介して空気を吸引すると、例えば、バッテリユニット12内に設けられた空気圧センサ(図示せず)が吸引を検知する。当該検知に応答して、バッテリユニット12からヒータ32に電力が供給される。これにより、液保持部材26内に保持された液体がヒータ32によって加熱され、液体が霧化されてエアロゾルが生成される。使用者の吸引に伴って空気入口35からカートリッジ20に流入した空気は、チャンバ46内で生成されたエアロゾルを伴ってエアロゾル流路48及びエアロゾル排出口50を通過して、使用者の口内に到達する。
【0100】
本開示の実施形態によるカートリッジ20では、ヒータ32が液保持部材26の第1面27のみに載置される。これにより、ヒータ32に通電したとき、エアロゾル排出口50側で優先してエアロゾルが生成される。したがって、ヒータ32に通電したときのエアロゾルの発生の方向と吸引による空気の流れの方向とが一致するので、生成されたエアロゾルが流路を構成する壁面に接触する頻度を低減して、チャンバ46の壁面にエアロゾルが凝縮することを抑制することができる。
【0101】
液保持部材26が可撓性の繊維材料である場合、液保持部材26は、液体を保持したときに膨張する。本実施形態のカートリッジ20では、液保持部材26の第1面27は畝状であり得る。液保持部材26が畝状面27を有する場合、液保持部材26が平坦である場合に比べて、畝状面27の突出方向(Z軸方向)における膨張量が小さくなる。言い換えれば、液保持部材26が平坦である場合、液保持部材26が液体を保持したときのZ軸方向の膨張量によって、ヒータ32との接触が不安定になる虞がある。この場合、液体の霧化効率が低下する場合がある。これに対して、液保持部材26が畝状面27を有する本実施形態のカートリッジ20では、液体を保持する前の状態と液体を保持した後の状態とにおいて、液保持部材26とヒータ32との間の位置関係が変化しにくい。したがって、本実施形態のカートリッジ20によれば、液保持部材26が平坦である場合に比べて、液保持部材26とヒータ32との間の位置関係を所望の程度に維持することができる。その結果、液保持部材26に保持された液体を適切に霧化することができる。
【0102】
ヒータ32は、通電すると温度上昇により熱膨張する。本実施形態のカートリッジ20では、ヒータ32が液保持部材26の畝状面27に沿うように湾曲して、畝状面27と接触する。ヒータ32が湾曲している場合、ヒータ32が略直線状である場合に比べて、ヒータ32が熱膨張したときに、畝状面27の突出方向におけるヒータ32の位置が変化しにくい。本実施形態のヒータ32は湾曲しているので、ヒータ32が熱膨張しても、畝状面27の突出方向におけるヒータ32の位置が変化しにくく、液保持部材26とヒータ32との接触を維持することができる。
【0103】
以上に本開示の実施形態を説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、明細書及び図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお、明細書及び図面に直接的に記載されていない何れの形状や材質であっても、本開示の作用及び効果を奏する場合、それらは本開示の技術的思想の範囲内にある。例えば、実施形態のカートリッジ20において、各構成要素は交換することもでき、そのような実施形態もまた、本開示の技術的思想の範囲内にある。
【符号の説明】
【0104】
10…吸引器、12…バッテリユニット、14…カバー部材、16…タンクユニット、17…ヒータユニット、18…充電ユニット、20…カートリッジ、21…近位端、22…ベース部材、23…遠位端、24…支持部材、26…液保持部材、27…第1面、28…電極保持部材、29…第2面、30…電極、30A…第1電極、30B…第2電極、31A-1、31B-1…第1部分、31A-2、31B-2…第2部分、31A-3、31B-3…第3部分、32…ヒータ、33A…第1端部、33B…第2端部、34…タンク本体部、35A…第1空気入口、35B…第2空気入口、36…キャップ部材、37…タンク、38…上壁、39B…電気的接点、40…側壁、42…内側壁、44…チャンバ形成部材、46…チャンバ、48…エアロゾル流路、49…孔、50…エアロゾル排出口、51…基部、52、53…突起部、54A…第1辺、54B…第2辺、54C…第3辺、54D…第4辺、56A…第5辺、56B…第6辺、56C…第7辺、56D…第8辺、58…第1凸状面、60…第2凸状面、62…第1側部、64…第2側部、88…中心