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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】エネルギー貯蔵システム
(51)【国際特許分類】
   F24H 7/02 20220101AFI20220808BHJP
   F22B 33/18 20060101ALI20220808BHJP
   F28D 20/02 20060101ALI20220808BHJP
   F24H 1/00 20220101ALI20220808BHJP
【FI】
F24H7/02 601C
F22B33/18
F28D20/02 Z
F24H1/00 631Z
【請求項の数】 7
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021033630
(22)【出願日】2021-03-03
(62)【分割の表示】P 2019108867の分割
【原出願日】2014-06-18
(65)【公開番号】P2021103077
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2021-03-29
(31)【優先権主張番号】1310821.2
(32)【優先日】2013-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】510302788
【氏名又は名称】サンアンプ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SUNAMP LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー ジョン ビゼル
(72)【発明者】
【氏名】サントク シン ガタオラ
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-521192(JP,A)
【文献】実開昭54-123449(JP,U)
【文献】特開2009-052765(JP,A)
【文献】特開2009-074750(JP,A)
【文献】特開2012-057936(JP,A)
【文献】特表2012-519829(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102011007626(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102008033527(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 7/02
F22B 33/18
F28D 20/02
F24H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー貯蔵システムと、ボイラーと、を備えるコンビネーションボイラーであって、
前記エネルギー貯蔵システムは、
前記エネルギー貯蔵システム内へ冷水を流入させる水道水の冷水供給と、
前記水道水の冷水供給と流体連結する複数の熱エネルギー貯蔵バンクであって、各々が所定の相変態温度を有する相変化物質を備える複数の熱エネルギー貯蔵バンクと、
前記ボイラーの動作中に生成された燃焼排ガスから廃熱を回収するように構成された、ヒートポンプを備えた抽出装置であって、前記ボイラーから廃エネルギーを回収するように構成され、前記ボイラーから廃エネルギーを抽出して当該エネルギーを前記熱エネルギー貯蔵バンクのうちの少なくとも1つに供給するよう動作可能な抽出装置と、
前記複数の熱エネルギー貯蔵バンクの下流に配置されて、前記エネルギー貯蔵システムから温水を排出するための温水出口と、
使用中、前記ボイラーの動作に応じて前記抽出装置を作動させてオーバーラン期間中のエネルギーを回収するように構成されるコントローラと、
前記燃焼排ガスを受け取り、得られた熱エネルギーを、前記抽出装置を介して前記エネルギー貯蔵システムの少なくとも1つの前記熱エネルギー貯蔵バンクへ送出するように構成される熱交換器とを備え、
前記熱エネルギー貯蔵バンクの各々が、1つ以上の隣接する前記熱エネルギー貯蔵バンクと流体連通し
少なくとも1つの前記熱エネルギー貯蔵バンクは、残りの前記熱エネルギー貯蔵バンクの相変態温度よりも低い相変態温度で動作し、
前記エネルギー貯蔵システムは、需要時に即座に加熱可能である飲用水を最大で10リットル貯蔵し、そのため殺菌が不要である、コンビネーションボイラー。
【請求項2】
前記ポンプは、飲用水ミニポンプまたはマイクロヒートポンプを備える、請求項1に記載のコンビネーションボイラー。
【請求項3】
飲用温水の出口温度を制御するために、入口冷水を前記エネルギー貯蔵システムによって加熱された飲用水と混合するよう動作可能な温度調整混合弁をさらに備え、
前記温度調整混合弁は、出口水温度を調節するよう構成可能であり、
前記出口水温度は、約47℃である、請求項1に記載のコンビネーションボイラー。
【請求項4】
前記エネルギー貯蔵システムを流れる温水の流量は、1分当たり少なくとも15.5リットルである、請求項1から3のいずれか一項に記載のコンビネーションボイラー。
【請求項5】
前記相変化物質は、約58℃の相変態温度を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のコンビネーションボイラー。
【請求項6】
前記相変化物質は、50~55℃の範囲の相変態温度を含み、
前記熱エネルギー貯蔵バンクのうちの少なくとも1つは、約28℃の相変態温度を含む相変化物質を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載のコンビネーションボイラー。
【請求項7】
前記エネルギー貯蔵システムは、前記ボイラーの外部に前記ボイラーと流体連結して位置する、請求項1から6のいずれか一項に記載のコンビネーションボイラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー貯蔵システムに関する。特に、本発明は、家庭用ボイラー等のボ
イラー用の蓄熱システムに関する。
【背景技術】
【0002】
貯蔵コンビネーションまたはコンビボイラーは、セントラルヒーティングと家庭用温水
(domestic hot water(DHW))とを1つの装置にまとめたもので
ある。
【0003】
貯蔵型装置は、典型的に42~54リットル程度の貯蔵容量を持つ内部水貯蔵を含む。
これは、装置の充電1回あたり約2.70kWhの平均エネルギー貯蔵容量に相当する。
このような貯蔵コンビネーションボイラーの例を、主な特徴と共に以下の表に示す:
【表1】
【0004】
上の表で定義した温水流量は、35ケルビンの温度上昇、すなわち、45℃の正常温水
流れ温度に基づく。
【0005】
このような装置からの流量は、1分当たり14.0~17.5リットルの範囲である。
【0006】
これらコンビネーションボイラー装置における温水貯蔵は、主に、使用中の装置の効率
を高めると共に、コンビネーションボイラーを利用する際の顧客満足度を向上するために
用いる。小さいドローオフ(draw off)でも高出力でスイッチオンするため、ボ
イラーサイクリングを減らすことによってエネルギー浪費を軽減し、上記の効果が得られ
る。40℃を超える有効温度で水を生成するために、従来のコンビネーションボイラーの
約15秒の遅延に比べて、温水貯蔵から温水を即座に供給することから、水やエネルギー
浪費が軽減される。従来のコンビネーションボイラーは、貯水設備を含んでおらず、代わ
りに、ボイラーを流れる水を加熱する。即座に温水を提供するために従来のコンビネーシ
ョンボイラーが保温設備を含む場合もあるが、この特徴は、年間900kWhまで熱エネ
ルギーを浪費することが知られている。
【0007】
コンビネーションボイラーは、故障の可能性がある多くの可動部品を有することから、
一般に貯蔵タンクと関連するシステムボイラーや加熱専用ボイラー等のボイラーよりも信
頼性が低いと考えられる。
【0008】
改良ボイラーベース加熱システムを提供することが望ましい。
【0009】
さらに、ボイラー用の従来の貯蔵手段の改良代替手段を提供する改良エネルギー貯蔵シ
ステムを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0010】
本発明の第1の態様は、ボイラー用のエネルギー貯蔵システムであって、複数の熱エネ
ルギー貯蔵バンクであって、それぞれ所定の相変態温度を有する相変化物質を備える熱エ
ネルギー貯蔵バンクと、ボイラーから廃エネルギーを回収するよう構成される抽出装置で
あって、ボイラーから廃エネルギーを抽出して当該エネルギーを前記熱エネルギー貯蔵バ
ンクのうちの少なくとも1つに供給するよう動作可能な抽出装置と、使用中、ボイラーの
動作に応じて抽出装置を作動するよう配されるコントローラとを備える、エネルギー貯蔵
システムを提供する。
【0011】
本発明の実施形態にかかるシステムは、適切な相変態温度を有する相変化物質を用いて
、比較的少量の水を加熱するためのエネルギーを貯蔵することができる。
【0012】
前記相変態温度は、全てのバンクで同じであってもよい。あるいは、少なくとも1つの
バンクは、残りのバンクの相変態温度よりも低い相変態温度で動作してもよい。
【0013】
各熱エネルギー貯蔵バンクは、熱エネルギー伝達接続によって1つ以上の隣接する熱エ
ネルギー貯蔵バンクに接続されてもよい。
【0014】
前記抽出装置は、ポンプを備えてもよい。前記ポンプは、飲用水ミニポンプを備えても
よい。あるいは、前記ポンプは、マイクロヒートポンプを備えてもよい。
【0015】
前記ポンプは、ボイラー動作中に生成された燃焼排ガスから廃熱を回収するよう構成さ
れてもよい。前記コントローラは、温水需要時等、ボイラーの燃焼に応じてポンプを作動
してもよい。
【0016】
エネルギー貯蔵システムは、ボイラーから熱を回収してもよい。特に、燃焼サイクル終
了時のボイラーポンプオーバーラン期間中にボイラー熱交換器アセンブリからおよび燃焼
排ガスからの廃熱等、ボイラーの非効率点から熱を回収してもよい。本発明は、温水貯蔵
と一体化可能な、効率的な燃焼排ガス回収および燃焼サイクル終了時回収のための手段を
提供する。よって、本発明の実施形態にかかる装置は、現在利用可能な技術と比べて、エ
ネルギー回収を高める。
【0017】
前記システムは、冷水入口を備えてもよい。冷水は、水道水であってもよい。
【0018】
前記システムは、飲用温水の出口温度を制御するために、水道水の冷水をエネルギー貯蔵システムによって加熱された水と混合する温度調整混合弁を備えてもよい。前記温度調整弁は、出口水温度を約47℃に調節するよう構成可能であってもよい。
【0019】
本発明の実施形態にかかるエネルギー貯蔵システムの流量は、1分当たり少なくとも1
5.5リットルであってもよい。
【0020】
前記相変化物質は、約58℃の相変態温度を含んでもよい。前記相変化物質は、50~
55℃の範囲の相変態温度を含んでもよい。
【0021】
前記バンクのうちの少なくとも1つは、約28℃の相変態温度を含む相変化物質を備え
てもよい。28℃の低温PCMを使うメリットは、熱回収回路をより長い期間低温に維持
して回収エネルギー量を増やすことができることにある。
【0022】
本発明の実施形態にかかるエネルギー貯蔵システムは、ボイラーサイクリングを減らし
てもよい。当然のことながら、家庭の環境では、手洗い等温水ドローオフの多くは短時間
であり、非常に非効率なエネルギー使用になり得る。
【0023】
本発明の第2の態様は、第1の態様にかかるエネルギー貯蔵システムと組み合わせたボ
イラーを提供する。
【0024】
本発明にかかるエネルギー貯蔵システムでの使用に好適なボイラーは、システムボイラ
ーであってもよい。あるいは、エネルギー貯蔵システムでの使用に好適なボイラーは、コ
ンビネーションボイラーであってもよく、第1の態様にかかるエネルギー貯蔵システムは
、ボイラーの外部に設けられる。非限定例として、好適なボイラーは、ガス燃焼ボイラー
またはガス燃焼ボイラーであってもよい。
【0025】
好適なボイラーと本発明にかかる外部エネルギー貯蔵システムとの組み合わせにより、
貯蔵コンビネーションボイラーに匹敵するが開発および認定コストを節約したシステムを
提供してもよい。
【0026】
システムボイラーと組み合わせて用いられるエネルギー貯蔵システムは、一般に衣類乾
燥棚(airing cupboard)等に置かれる貯蔵シリンダが必要なくなるため
、周知のシステムボイラーよりも有利である。このため、貯水に要するスペースが削減さ
れる。
【0027】
コンビネーションボイラーと組み合わせて外部で用いられるエネルギー貯蔵システムは
、外部エネルギー貯蔵システムが需要時の温水生成の遅延を実質的になくすため、周知の
従来のコンビネーションボイラーよりも有利である。加えて、コンビネーションボイラー
と組み合わせて外部で用いられるエネルギー貯蔵システムは、貯蔵容器の要件を軽減する
とともに、ボイラー装置内の故障の可能性のある動作部品の数を減らす。
【0028】
エネルギー貯蔵システムの飲用水量は、15リットルよりもはるかに低い。よって、装
置は、コンビネーションボイラーに用いられる非換気型貯蔵容器(40~80リットル)
に通常伴う安全装置および試験を要しなくてよい。
【0029】
従来の貯蔵コンビネーションボイラーは、一般的に、貯蔵飲用水を殺菌する必要がある
。なぜなら、容器内の貯水量が所定レベルを超えると、滞留時間が長くなるためである。
システムにおける飲用水量を最大およそ10リットルのレベルまで低減して維持し需要時
に即座に加熱することによって、水をレジオネラ菌から守るために60℃超に加熱する等
の殺菌が不要になる。
【0030】
システムボイラーは、エネルギー貯蔵システムと共に、従来のシステムボイラー構造や
貯蔵コンビネーションボイラーと比べて、ボイラー効率を向上させる。平均ボイラー回路
温度は、概してより低い。
【0031】
システムボイラーと本発明にかかるエネルギー貯蔵システムとの組み合わせにより、エ
ネルギー貯蔵システムが提供する貯蔵から温水が即座に供給されるため、水やエネルギー
浪費が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明の実施形態を、例としてのみ、添付図面を参照しながら以下に説明する。
図1】本発明の実施形態にかかるエネルギー貯蔵システムを備える貯蔵ボイラー構造の略図である。
図2】本発明の実施形態にかかるエネルギー貯蔵システムを備える貯蔵ボイラー構造の略図である。
図3】本発明の実施形態にかかるエネルギー貯蔵システムの好適な配置の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、外部貯蔵容量を有するコンビネーションボイラー100と実際上みなされる構
造を提供するための、システムボイラー20と組み合わせた本発明の実施形態にかかるエ
ネルギー貯蔵システム10の略図である。
【0034】
エネルギー貯蔵システム10は、通常は燃焼排ガスとして放散される熱エネルギーを回
収および貯蔵するための一連または一群のバンク101、102、103、および104
を備える。エネルギー貯蔵システム10は、ボイラー20と排気筒202との間に位置す
る熱交換器201から熱を回収する。
【0035】
各バンク101、102、103、および104は、相変化物質を含有する。第1バン
クは、廃熱回収バッテリーであり、融点28℃の相変化物質を含有し、貯蔵容量は約1.
5kWhである。
【0036】
他のバンク102、103、および104はそれぞれ、融点58℃の相変化物質を含有
し、貯蔵容量は2.0~10.0kWhである。
【0037】
図1に示す実施形態において、ポンプ105は、燃焼排ガス熱交換器201から廃熱回
収バンク101に廃熱エネルギーを移すために配される。コントローラ106は、蛇口が
開いた時等、温水需要時にボイラー20を燃焼する際に、ポンプ105を作動させるよう
動作可能である。燃焼排ガスからの熱エネルギーは、このように回収可能である。
【0038】
図2は、図1に示す配置と類似のボイラー20およびエネルギー貯蔵システム10の配
置を示す。このため、同じ参照符号を用いている。図1および図2に示す配置の違いは、
図2に示すように、燃焼排ガス熱交換器201と廃熱回収バンク101との間の廃熱回収
回路におけるマイクロヒートポンプ115である。水-水ヒートポンプ115は、一般的
に、ボイラー燃焼排ガス202から、図1に示す飲用水ミニポンプ105よりも多くのエ
ネルギーを抽出する。加えて、マイクロポンプ115は、図1のミニポンプ105よりも
高温で抽出熱エネルギーを貯蔵可能である。
【0039】
図示の例において、ボイラー20は従来のシステムボイラーであり、エネルギー貯蔵シ
ステム10と組み合わせることによって、温水貯蔵タンクが不要になる。
【0040】
システムボイラー20とエネルギー貯蔵システム10との組み合わせにより、同等の貯
蔵コンビネーションボイラーよりも効率的に動作可能な加熱システムが得られる。
【0041】
ボイラー20は、典型的なシステムボイラーであり、本発明の一部を構成しない。エネ
ルギー貯蔵システムと関連するボイラー20の主構成要素を、以下に説明する。なお、ガ
ス燃焼ボイラーや重油燃焼ボイラー等の他のタイプのボイラーを、本発明の実施形態にか
かるシステムと共に用いてもよい。
【0042】
図1および図2において、ボイラー20は、ハイドロブロック207を備える。温水蛇
口が開けられると、ボイラー20は、通常需要に応じて点火し、ハイドロブロック207
上の3ポート弁を介して温水が蛇口に供給される。図示の例では、ハイドロブロック20
7での出力流れは、エネルギー貯蔵システム10を通る。よって、エネルギー貯蔵システ
ム10により燃焼排ガス201からの熱が回収されエネルギー貯蔵システム10に貯蔵さ
れている水の加熱に利用されるため、ボイラー20に対する要求は軽減される。このよう
に、本発明の実施形態にかかるシステムは、温水需要時に、蛇口が開くと即座に温水を供
給する。
【0043】
燃焼排ガスは、通常、ボイラーガス-水熱交換器によって燃焼室208におけるガスの
燃焼から熱が抽出された後、ボイラー排気筒202を介して大気中に排出される。下記の
通り、図示の例では、熱交換器201は、燃焼室208とボイラー排気筒202との間に
位置し、エネルギー貯蔵システム10と共に動作して排ガスから熱を回収する。
【0044】
一般的に、燃焼排ガスは、特に露点未満で腐食するため、廃熱回収回路のための特注ス
テンレス鋼ガス-水熱交換器201が最適である。開発を複雑にしないため、フレキシブ
ルでコスト効率の良いポンプ回路を用いて熱交換器201から廃熱回収バンク101へと
熱を移す。
【0045】
ボイラー20とエネルギー貯蔵システム10とを備えるシステム100は、温水出口2
09と、電源冷水供給210と、コンデンセートドレーン211と、セントラルヒーティ
ング温水流出力212と、セントラルヒーティングリターン213とを含む。
【0046】
本発明の実施形態にかかるシステムにおいて、エネルギー貯蔵システム10内の飲用水
量は、15リットル未満である。従って、水をレジオネラ菌から守るために60℃超に加
熱する等の殺菌が不要になる。但し、もし規則で決められている等で飲用・家庭用温水の
殺菌が要求事項である場合、図1に示すように、1週間に1回等定期的にバンク101を
高温加熱すればよい。
【0047】
周知の貯蔵コンビネーションボイラーにおいて、貯蔵容量を増やしレジオネラ菌の危険
性を低減するために、水は、通常およそ65℃に加熱される。貯蔵コンビネーションボイ
ラーの容器の平均エネルギー貯蔵容量は、2.7kWhであり、これは、およそ25リッ
トルの飲用水に相当する。典型的に、このような量は、水の殺菌を要し、よって、60℃
超の加熱が必要である。
【0048】
ボイラー20とエネルギー貯蔵システム10とを備えるシステム100は、温水出口209と、水道水の冷水供給210と、コンデンセートドレーン211と、セントラルヒーティング温水流出力212と、セントラルヒーティングリターン213とを含む。
【0049】
比較のコンビネーションボイラーからの流れ温度は、約45℃である。図1および図2
に示すボイラー20およびエネルギー貯蔵システム10から同じ流れ温度を得るための好
適な相変化物質は、融点または相変態温度が50~55℃の物質である。加えて、温度調
整混合弁(thermostatic blending valve)110をエネル
ギー貯蔵システム10内に配して、出口209の温水温度をおよそ47℃になるように調
節する。
【0050】
エネルギー貯蔵システムは、その設置・配置に要するスペースが最小となるように構成
することができる。例えば、図3に示すように、エネルギー貯蔵システム10を、ボイラ
ー20の後ろや下300等、ボイラー20に隣接して配置してもよい。あるいは、エネル
ギー貯蔵システム10を、ボイラー20から遠くに配置し、好適な導管や配管で両者を接
続してもよい。例えば、ボイラー20を台所の壁やキャビネットの中に設置して、エネル
ギー貯蔵システム10を、ウォールキャビネット310の上や、ベースキャビネット32
0の後ろの空所や、キャビネットと壁330との間の空間等、空間や空隙に個別に配置し
てもよい。
【0051】
記載・図示した実施形態において、エネルギー貯蔵システム10は、4つのバンク10
1、102、103、および104を備える。しかし、バンクやバッテリーの数は一例に
すぎず、各バンクにおける相変化物質の融点温度も同様である。よって、バンクはより少
なくても多くてもよく、相変態温度はより高くても低くてもよい。
【0052】
相変化物質を含むシステムは、エネルギーを貯蔵および放出することができるシステム
を提供する。ここで、物質の物理的状態が固体から液体へまたは液体から固体へ変化する
時に、熱が吸収または放出される。
【0053】
システムをシステムボイラーと組み合わせて説明したが、システムを、重油燃焼ボイラ
ーやガス燃焼ボイラーを非限定的に含む他のタイプのボイラーと共に用いて、システム性
能を改善し廃熱を低減してもよい。
【0054】
本発明の特定の実施形態を記載したが、記載の実施形態からの展開も当然本発明の範囲
に含まれ得る。




図1
図2
図3