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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】直流リレー
(51)【国際特許分類】
   H01H 1/54 20060101AFI20220808BHJP
   H01H 50/54 20060101ALI20220808BHJP
   H01H 51/06 20060101ALI20220808BHJP
   H01H 50/36 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
H01H1/54
H01H50/54 B
H01H51/06 J
H01H50/36 B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021508299
(86)(22)【出願日】2019-08-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 KR2019010278
(87)【国際公開番号】W WO2020045860
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-02-17
(31)【優先権主張番号】10-2018-0103724
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス、エレクトリック、カンパニー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LS ELECTRIC CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】127,LS-ro,Dongan-gu,Anyang-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100140822
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 光広
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ジョンウ
【審査官】藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-022984(JP,A)
【文献】特開2014-232669(JP,A)
【文献】特開2014-132595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 1/54
H01H 50/36
H01H 50/54
H01H 51/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の固定接触子と、アクチュエータにより上下運動して前記一対の固定接触子に接離する可動接触子とを含む直流リレーにおいて、
前記可動接触子の下方に配置され、シャフトにより前記アクチュエータに連結される可動子支持台と、
前記可動接触子の上方に配置され、前記可動子支持台に固定される可動子ホルダと、
前記可動接触子の上方及び下方にそれぞれ備えられ、電磁力を発生させる上部ヨーク及び下部ヨークと、
前記下部ヨークと前記可動子支持台間に備えられる接圧スプリングとを含み、
前記上部ヨーク及び前記下部ヨークは、磁路を形成し、前記固定接触子と前記可動接触子間に発生する電磁反発力を相殺し、
前記可動子ホルダは、第2平板部と、前記第2平板部の両端からそれぞれ下方に折曲形成される側面部とを有し、
前記第2平板部の下面に突設される支持部は、前記可動接触子の上面に形成される支持溝に挿入されることを特徴とする直流リレー。
【請求項2】
前記シャフトの上端には、前記可動子支持台の内部に挿入結合される結合部が形成されることを特徴とする請求項1に記載の直流リレー。
【請求項3】
前記可動子支持台は、第1平板部と、前記第1平板部の両側端から上方に突設され、前記可動子ホルダが固定されるアーム部とから構成されることを特徴とする請求項1に記載の直流リレー。
【請求項4】
前記第1平板部の上部には、前記接圧スプリングの下端を支持するスプリング支持部が突設されることを特徴とする請求項3に記載の直流リレー。
【請求項5】
前記支持部及び前記支持溝の長さ(深さ)は、前記可動接触子のオーバートラベル(over travel)の長さより長く形成されることを特徴とする請求項に記載の直流リレー。
【請求項6】
前記側面部は、前記第2平板部の両端から下方に延設される第1側面部と、前記第1側
面部の下方に延設され、前記第1側面部の幅より広く形成される第2側面部とから構成されることを特徴とする請求項に記載の直流リレー。
【請求項7】
前記可動子ホルダの厚さは、前記可動子支持台の厚さより薄く形成されることを特徴とする請求項1に記載の直流リレー。
【請求項8】
前記下部ヨークの下面には、前記接圧スプリングの上端部が挿入される挿入溝が形成されることを特徴とする請求項1に記載の直流リレー。
【請求項9】
前記上部ヨークは、第3平板部と、前記第3平板部の両端から下方に延設され、前記可動子ホルダに嵌合される翼部とから構成されることを特徴とする請求項1に記載の直流リレー。
【請求項10】
前記可動接触子の下面には、前記下部ヨークの一部が挿入されるヨーク挿入溝が形成されることを特徴とする請求項1に記載の直流リレー。
【請求項11】
前記上部ヨークは、前記可動子ホルダの上方又は下方に配置されることを特徴とする請求項1に記載の直流リレー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流リレーに関し、より詳細には、接圧力が向上した可動子アセンブリを有する直流リレーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、直流リレー(Direct Current Relay)又は電磁開閉器(Magnetic Switch)は、電磁石の原理を利用して機械的な駆動と電流信号を伝達する電気的な回路開閉装置の一種であり、各種産業用設備、機械、車両などに設置されている。
【0003】
特に、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車、ゴルフカート、電動フォークリフトなどの電気自動車(Electric Vehicle)は、バッテリの電力を動力発生装置及び電装部に供給及び遮断するための電気自動車用リレー(Electric Vehicle Relay)を備えており、この電気自動車用リレーは電気自動車において非常に重要な中核部品の1つである。
【0004】
図1は従来技術による直流リレーの内部構造図である。
【0005】
直流リレーは、上部フレーム1及び下部フレーム2で構成されるケース1、2と、前記ケースの内部に備えられるミドルプレート9と、ミドルプレート9の上方に設置される接点部3、4及び消弧部8と、ミドルプレート9の下方に設置されるアクチュエータ7とを含む。ここで、アクチュエータ7は、電磁石の原理により作動する装置である。
【0006】
上部フレーム1の上面には、接点部3、4の固定接点3が露出し、負荷又は電源が接続される。
【0007】
上部フレーム1の内部には、接点部3、4と消弧部8が設けられる。接点部3、4は、上部フレーム1に固設される固定接点3と、アクチュエータ7により可動して固定接点3に接離する可動接点4とからなる。通常、消弧部8は、セラミック材料で形成される。消弧部8は、アークチャンバ(arc chamber)ともいう。消弧部8の内部には、アーク消弧のために消弧用ガスが充填される。
【0008】
接点部3、4の遮断時(分離時)に発生するアーク(Arc)を効果的に制御するために、永久磁石(図示せず)が備えられる。永久磁石は、接点部の周辺に設置され、磁場を発生させて急激な電気の流れであるアークを制御する。永久磁石を固定するために、永久磁石ホルダ6が備えられる。
【0009】
アクチュエータは、電磁石の原理を利用して作動するものであり、固定コア7aと、可動コア7bと、可動軸7cと、復帰スプリング7dとを含む。固定コア7aと可動コア7bをシリンダ7eが覆っている。シリンダ7eと消弧部8は、密閉された空間を形成する。
【0010】
シリンダ7eの周辺にはコイル7fが備えられ、制御電源が供給されると周辺に電磁力を発生させる。固定コア7aは、コイル7fから発生する電磁力により励磁(magnetized)され、可動コア7bは、固定コア7aの磁力により吸引される。よって、可動コア7bに結合された可動軸7c及び可動軸7cの上部に結合された可動接触子4が共に動いて固定接触子3に接触し、回路が通電状態となる。復帰スプリング7dは、コイルの制御電源遮断時に可動コア7bが初期位置に復帰する付勢力を与える。
【0011】
しかし、従来技術による直流リレーにおいては、固定接触子と可動接触子間に電磁反発力が発生し、それにより互いに分離する方向に力が働く。このような電磁反発力による意図しない分離を防止するために、可動接触子4が接圧スプリング5により接圧力を受けるようにする。すなわち、固定接触子3と可動接触子4間の距離より固定コア7aと可動コア7b間の距離のほうが長く設定され、可動コアのオーバートラベル(over travel)により可動接触子が接圧力を受ける。しかし、その接圧力より強い電磁反発力が発生すると、依然として接点部が分離する恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、接圧力が向上した可動子アセンブリを有する直流リレーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様による直流リレーは、一対の固定接触子と、アクチュエータにより上下運動して前記一対の固定接触子に接離する可動接触子とを含む直流リレーにおいて、前記可動接触子の下方に配置され、シャフトにより前記アクチュエータに連結される可動子支持台と、前記可動接触子の上方に配置され、前記可動子支持台に固定される可動子ホルダと、前記可動接触子の上方及び下方にそれぞれ備えられ、電磁力を発生させる上部ヨーク及び下部ヨークと、前記下部ヨークと前記可動子支持台間に備えられる接圧スプリングとを含み、前記上部ヨーク及び前記下部ヨークは、磁路を形成し、前記固定接触子と前記可動接触子間に発生する電磁反発力を相殺することを特徴とする。
【0014】
ここで、前記シャフトの上端には、前記可動子支持台の内部に挿入結合される結合部が形成されることを特徴とする。
【0015】
また、前記可動子支持台は、第1平板部と、前記第1平板部の両側端から上方に突設され、前記可動子ホルダが固定されるアーム部とから構成されることを特徴とする。
【0016】
さらに、前記第1平板部の上部には、前記接圧スプリングの下端を支持するスプリング支持部が突設されることを特徴とする。
【0017】
さらに、前記可動子ホルダは、第2平板部と、前記第2平板部の両端からそれぞれ下方に折曲形成される側面部とを有することを特徴とする。
【0018】
さらに、前記第2平板部の下面に突設される支持部は、前記可動接触子の上面に形成される支持溝に挿入されることを特徴とする。
【0019】
さらに、前記支持部及び前記支持溝の長さ(深さ)は、前記可動接触子のオーバートラベル(over travel)の長さより長く形成されることを特徴とする。
【0020】
さらに、前記側面部は、前記第2平板部の両端から下方に延設される第1側面部と、前記第1側面部の下方に延設され、前記第1側面部の幅より広く形成される第2側面部とから構成されることを特徴とする。
【0021】
さらに、前記可動子ホルダの厚さは、前記可動子支持台の厚さより薄く形成されることを特徴とする。
【0022】
さらに、前記下部ヨークの下面には、前記接圧スプリングの上端部が挿入される挿入溝が形成されることを特徴とする。
【0023】
さらに、前記上部ヨークは、第3平板部と、前記第3平板部の両端から下方に延設され、前記可動子ホルダに嵌合される翼部とから構成されることを特徴とする。
【0024】
さらに、前記可動接触子の下面には、前記下部ヨークの一部が挿入されるヨーク挿入溝が形成されることを特徴とする。
【0025】
さらに、前記上部ヨークは、前記可動子ホルダの上方又は下方に配置されることを特徴とする。
【0026】
本発明の他の態様による直流リレーは、一対の固定接触子と、アクチュエータにより上下運動し、前記一対の固定接触子に接離して回路を通電又は遮断する可動子アセンブリとを含み、前記可動子アセンブリは、シャフトにより前記アクチュエータに連結される可動子支持台と、前記可動子支持台の上部に固定される可動子ホルダと、前記可動子ホルダと前記可動子支持台間に設置される可動接触子と、前記可動接触子の上方及び下方にそれぞれ備えられ、電磁力を発生させる上部ヨーク及び下部ヨークとを含み、前記可動子アセンブリは、上方から下方に、前記上部ヨーク、前記可動子ホルダ、前記可動接触子、前記下部ヨーク、前記可動子支持台の順序で配置されるか、前記可動子ホルダ、前記上部ヨーク、前記可動接触子、前記下部ヨーク、前記可動子支持台の順序で配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一実施形態による直流リレーによれば、可動接触子に上部ヨーク及び下部ヨークが備えられて電磁反発力が相殺されるので、意図しない接点部の分離が発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】従来技術による直流リレーの内部構造図である。
図2】本発明の一実施形態による直流リレーの内部構造図である。
図3図2に示す可動子アセンブリの側面図である。
図4図3に示す可動子アセンブリの分解斜視図である。
図5】本発明の他の実施形態による直流リレーに用いられる可動子アセンブリの正面断面図である。
図6】本発明のさらに他の実施形態による直流リレーに用いられる可動子アセンブリの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について説明するが、これらは本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が発明を容易に実施することができるように詳細に説明するためのものであり、本発明の技術的思想及び範囲を限定するものではない。
【0030】
図2は本発明の一実施形態による直流リレーの内部構造図であり、図3図2に示す可動子アセンブリの側面図であり、図4図3に示す可動子アセンブリの分解斜視図である。図面を参照して、本発明の各実施形態による直流リレーについて詳細に説明する。
【0031】
本発明の一態様による直流リレーは、一対の固定接触子14と、アクチュエータ60により上下運動して一対の固定接触子14に接離する可動接触子50とを含む直流リレーにおいて、可動接触子50の下方に配置され、シャフト57によりアクチュエータ60に連結される可動子支持台40と、可動接触子50の上方に配置され、可動子支持台40に固定される可動子ホルダ44と、可動接触子50の上方及び下方にそれぞれ備えられ、電磁力を発生させる上部ヨーク31及び下部ヨーク35と、下部ヨーク35と可動子支持台40間に備えられる接圧スプリング55とを含み、上部ヨーク31と下部ヨーク35は、磁路を形成し、固定接触子14と可動接触子40間に発生する電磁反発力を相殺することを特徴とする。
【0032】
フレーム11、12は、構成要素を内蔵して保護及び支持することのできる箱状のケースで形成される。フレーム11、12は、上部フレーム11と、下部フレーム12とから構成される。
【0033】
アークチャンバ(arc chamber)13は、下面が開放された箱状に形成され、上部フレーム11の内部に設置される。アークチャンバ13は、遮断時に接点部14、50から発生するアークを消弧できるように、絶縁性、耐圧性、耐熱性に優れた材質で形成される。例えば、アークチャンバ13は、セラミック材質で作製される。アークチャンバ13は、ミドルプレート70の上方に固設される。
【0034】
固定接触子(fixed contact)14は、一対で備えられ、アークチャンバ13に固設される。固定接触子14は、上部フレーム11に露出する。固定接触子14のいずれか一方は電源側に接続され、他方は負荷側に接続される。
【0035】
可動接触子(moving contact)50は、所定の長さの板状体で形成され、一対の固定接触子14の下方に設置される。可動接触子50は、可動子アセンブリ30に設置されて一体となって動く。可動接触子50は、下部フレーム12の内部に設置されるアクチュエータ60により上下に直線運動することができ、固定接触子14に接離して回路を接続又は遮断する。
【0036】
接点部14、50の遮断時(分離時)に発生するアーク(Arc)を効果的に制御するために、永久磁石(図示せず)が備えられる。永久磁石は、接点部14、50の周辺に設置され、磁場を発生させて急激な電気の流れであるアークを制御する。永久磁石を固定するために、永久磁石ホルダ15が設けられる。
【0037】
可動子アセンブリ30、すなわち可動接触子50を動作させるために、アクチュエータ60が設けられる。アクチュエータ60は、U字状に形成されて磁路(a magnetic circuit)を形成するヨーク61と、ヨーク61の内部に設置されるボビン62に巻回され、外部電源が供給されると磁場を発生するコイル63と、コイル63の内部に固設され、コイル63が発生する磁場により磁化されて磁気吸引力を発生する固定コア65と、固定コア65の下方に直線運動可能に設置され、固定コア65の磁気吸引力により固定コア65に接離する可動コア67と、下端が可動コア67に結合され、上端が可動接触子50に摺動可能に貫挿されるシャフト57と、固定コア65と可動コア67間に設置され、可動コア67を下方に復帰させるリターンスプリング69と、固定コア65、可動コア67及びリターンスプリング69を収容するシリンダ68とを含む。
【0038】
アクチュエータ60とアークチャンバ13間には、ミドルプレート70が備えられる。ミドルプレート70は、ヨーク61の上方に設置され、磁性体で形成されてヨーク61と共に磁路を形成する。ミドルプレート70は、上側のアークチャンバ13及び下側のアクチュエータ60がそれぞれ設置される支持板の役割も果たす。ミドルプレート70の下部に、シリンダ68が密封結合される。
【0039】
ミドルプレート70とアークチャンバ13間には、密封用部材72が備えられる。すなわち、アークチャンバ13の下部周囲に沿って密封用部材72が備えられ、アークチャンバ13、ミドルプレート70(ミドルプレートの中央部の孔)及びシリンダ68が形成する空間が密閉されるようにする。
【0040】
可動子アセンブリ30は、シャフト57と、可動子支持台40と、可動子ホルダ44と、可動接触子50と、接圧スプリング55と、上部ヨーク31と、下部ヨーク35とを含む。
【0041】
シャフト57は、一文字状の棒やロッドで構成される。シャフト57の下端は、可動コア67に固設される。よって、シャフト57は、可動コア67の動作に伴って上下運動をし、可動接触子50を固定接触子14に接離させる。
【0042】
シャフト57の上端部には、結合部58が形成される。結合部58は、板状、例えば円板状に形成される。シャフト57の結合部58は、可動子支持台40の内部に固定結合される。シャフト57の結合部58は、可動子支持台40への挿入結合、例えばインサート射出成形により作製される。
【0043】
可動子支持台40は、可動接触子50などを支持するために設けられ、シャフト57が固設される。可動子支持台40は、第1平板部41と、第1平板部41の両側端から上方に突設されるアーム部(arm)42とから構成される。
【0044】
可動子支持台40の第1平板部41の上部には、スプリング支持部43が突設される。
【0045】
可動子支持台40のアーム部42には、可動子ホルダ44が固設される。
【0046】
正面から見ると(図2図4参照)、第1平板部41の(左右方向の)長さは、可動接触子50の(左右方向の)長さより小さく形成される。よって、可動接触子50の接点は、可動子支持台40の両側にそれぞれ露出する。
【0047】
第1平板部41の内面(上面)の(前後方向の)幅は、可動接触子50の(前後方向の)幅より小さく形成される。よって、可動子ホルダ44が可動子支持台40のアーム部42に安定して挿入結合される(図3参照)。
【0048】
可動接触子50、上部ヨーク31及び下部ヨーク35を支持するために、可動子ホルダ44が備えられる。
【0049】
可動子ホルダ44は、可動子支持台40に固設される。可動子ホルダ44は、コ字状に形成される。すなわち、可動子ホルダ44は、第2平板部45と、両側面部46とを有する。両側面部46は、第2平板部45の両端から下方に折曲形成される。
【0050】
第2平板部45の幅(左右方向の長さ)は、可動接触子50の長さより小さく形成される。よって、可動接触子50の接点は、可動子ホルダ44の両側にそれぞれ露出する。
【0051】
第2平板部45の下面には、支持部48が突設される。支持部48は、円柱状に形成される。支持部48は、可動接触子50の支持溝51に挿入される。支持部48の高さ(長さ)及び支持溝51の深さは、オーバートラベル(over travel)の距離、すなわち可動コア67の移動距離から接点部14、50間の距離を引いた距離より長く形成される。よって、可動接触子50は、可動子ホルダ44から分離したとしても、離脱しない。
【0052】
側面部46は、第2平板部45に隣接して下方に延びる第1側面部46aと、第1側面部46aから下方に延びる第2側面部46bとから構成される。
【0053】
第1側面部46aの幅(左右方向の長さ)は、第2平板部45の幅と同じ幅に形成される。
【0054】
第2側面部46bの幅は、第1側面部46aの幅より大きく形成される。すなわち、第2平板部45及び第1側面部46aの幅は、第2側面部46bの幅より小さく形成される。また、可動子ホルダ44の厚さは、可動子支持台40の厚さより薄く形成される。よって、重量は減少するが、可動子ホルダ44が可動子支持台40に固定される結合力は維持される。
【0055】
第2側面部46bには、複数の孔47が形成される。よって、インサート射出時の結合力を向上させることができる。
【0056】
第2側面部46bの下端部は、内側に折曲形成される。よって、可動子ホルダ44と可動子支持台40のインサート射出成形時の結合力を向上させることができる。
【0057】
可動接触子50は、第2平板部45の下面に接触するように設置される。可動接触子50は、可動子ホルダ44に固定されておらず、分離することができる。よって、可動子アセンブリ30が上方に移動すると、可動接触子50が第2平板部45から分離され、接圧スプリング55による接圧力を受けて固定接触子14に密着する。
【0058】
可動接触子50の上面には、支持溝51が形成される。支持溝51には、可動子ホルダ44の支持部48が挿入される。支持溝51の深さは、支持部48の長さより深く(長く)形成されることが好ましい。
【0059】
下部ヨーク35は、可動接触子50の下方に設置される。下部ヨーク35は、平板で形成される。接圧スプリング55は、下部ヨーク35を介して可動接触子50に接圧力を加える。よって、接圧スプリング55は、可動接触子50に損傷を与えることなく接圧力を加えるので、安全性が向上する。
【0060】
下部ヨーク35には、接圧スプリング55を装着することのできる挿入溝36が形成される。接圧スプリング55は、下部ヨーク35の挿入溝36に上端が挿入されるので、離脱することなく、動作安全性が向上する。
【0061】
上部ヨーク31は、可動子ホルダ44の上方に設置される。上部ヨーク31は、第3平板部32と、第3平板部32の両端から下方に延設される翼部33とから構成される。
【0062】
上部ヨーク31は、可動子ホルダ44に結合される。例えば、上部ヨーク31は、可動子ホルダ44に嵌合される。上部ヨーク31は、可動子ホルダ44の第2平板部45と第1側面部46aに嵌合される。
【0063】
上部ヨーク31と可動子ホルダ44の結合力を強化するために、かしめ作業を行う。例えば、上部ヨーク31の翼部33の内面には、かしめ突起34が形成される。
【0064】
可動接触子50の上方に上部ヨーク31が備えられ、かつ可動接触子50の下方に下部ヨーク35が備えられると、回路の通電状態において、上部ヨーク31と下部ヨーク35が磁化され、下部ヨーク35が上部ヨーク31に吸引される力を受ける。よって、可動接触子50が上向きの力を受け、電磁反発力が相殺される。
【0065】
接圧スプリング55は、下部ヨーク35と可動子支持台40間に備えられる。接圧スプリング55は、可動接触子50を支持し、通電時に可動接触子50に接圧力を供給するために設けられる。接圧スプリング55は、圧縮コイルばねで構成される。
【0066】
接圧スプリング55は、下部ヨーク35に直接接触するので、可動接触子50に損傷を与えない。よって、耐久性が向上する。
【0067】
図5を参照して、本発明の他の実施形態による直流リレーの可動子アセンブリについて説明する。
【0068】
本実施形態の可動子アセンブリ30Aにおいて、可動子ホルダ44と可動接触子50を除く他の構成要素は、前述した実施形態と同一又は類似の形態に形成される。
【0069】
前述した実施形態とは異なり、可動子ホルダ44には支持部48が形成されておらず、可動接触子50には支持溝51が形成されていない。
【0070】
その代わりに、可動接触子50の下面には、ヨーク挿入溝52が形成される。ヨーク挿入溝52には、下部ヨーク35が挿入される。可動接触子50は、ヨーク挿入溝52に挿入され、下部ヨーク35と共に動くので、離脱しない。
【0071】
図6を参照して、本発明のさらに他の実施形態による直流リレーの可動子アセンブリについて説明する。
【0072】
本実施形態の可動子アセンブリ30Bにおいて、可動子ホルダ44と上部ヨーク31を除く他の構成要素は、最初の実施形態と同一又は類似の形態に形成される。
【0073】
本実施形態においては、上部ヨーク31が可動子ホルダ44の下方に配置される。すなわち、上部ヨーク31は、可動子ホルダ44と可動接触子50間に配置される。可動子ホルダ44と上部ヨーク31の各サイズは、適宜変更される。上部ヨーク31の中央部には、可動子ホルダ44の支持部48が貫挿される貫通孔32aが形成される。上部ヨーク31と下部ヨーク35が可動接触子50を囲み、より密接に配置されるので、電磁力の増大がもたらされる。
【0074】
本実施形態と最初の実施形態の主な相違点は配置順序である。最初の実施形態においては、上方から下方に、上部ヨーク31、可動子ホルダ44、可動接触子50、下部ヨーク35、可動子支持台40の順序で配置されるのに対して、本実施形態においては、上方から下方に、可動子ホルダ44、上部ヨーク31、可動接触子50、下部ヨーク35、可動子支持台40の順序で配置される。
【0075】
本発明の各実施形態による直流リレーによれば、可動接触子に上部ヨーク及び下部ヨークが備えられて電磁反発力が相殺されるので、意図しない接点部の分離が発生しない。
【0076】
前述した実施形態は本発明を実現する実施形態であり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で様々な変更及び変形が可能であろう。よって、本発明の実施形態は本発明の技術思想を説明するためのものであり、これらの実施形態に本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。すなわち、本発明の保護範囲は請求の範囲により解釈されるべきであり、それと均等の範囲内にあるあらゆる技術思想は本発明の権利範囲に含まれるものと解釈すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6