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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】ガス遮断器
(51)【国際特許分類】
   H01H 33/915 20060101AFI20220808BHJP
   H02B 13/045 20060101ALI20220808BHJP
   H02B 13/055 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
H01H33/915
H02B13/045 Z
H02B13/055 B
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021511839
(86)(22)【出願日】2019-04-02
(86)【国際出願番号】 JP2019014706
(87)【国際公開番号】W WO2020202479
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】飯島 崇文
(72)【発明者】
【氏名】真島 周也
(72)【発明者】
【氏名】内井 敏之
(72)【発明者】
【氏名】島村 旭
(72)【発明者】
【氏名】加藤 紀光
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-085740(JP,U)
【文献】特公昭50-022707(JP,B1)
【文献】特開2016-63579(JP,A)
【文献】特開2007-258137(JP,A)
【文献】特開平9-56024(JP,A)
【文献】特開2009-189182(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 33/70 - 33/99
H02B 13/00 - 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消弧性ガスが封入された密閉容器と、
前記密閉容器に固定された第1の固定接触子部と、
前記密閉容器に固定された第2の固定接触子部と、
前記第1の固定接触子部と前記第2の固定接触子部との間を移動することにより、前記第1の固定接触子部と前記第2の固定接触子部の電流を導通、遮断する可動接触子部を有し、
前記第1の固定接触子部に設けられた固定アーク接触子および前記可動接触子部に設けられた可動アーク接触子との間に、電流遮断時に発生するアークは、前記消弧性ガスが吹き付けられることにより消弧されるガス遮断器であって、
前記アークに吹き付けられた前記消弧性ガスから発生する不要ガスを溜める気室を有し、
前記密閉容器は、中空である二つの円錐台部の口径の大きい端部が、円筒部を介して接合された形状であり、前記気室は、前記密閉容器をなす前記円筒部の内部に構成された、
ガス遮断器。
【請求項2】
前記円筒部の高さは、電流遮断時に前記固定アーク接触子と前記可動アーク接触子との間に発生するアークの長さ以上である、
請求項1に記載のガス遮断器。
【請求項3】
前記円筒部の高さは、前記密閉容器をなす前記円錐台部の高さ以上である、
請求項1に記載のガス遮断器。
【請求項4】
前記気室は、消弧性ガスより比重が重い不要ガスを溜める、前記密閉容器の地平面側に配置された気室により構成された、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のガス遮断器。
【請求項5】
前記気室は、消弧性ガスより比重が軽い不要ガスを溜める、前記密閉容器の地平面反対側に配置された気室により構成された、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のガス遮断器。
【請求項6】
前記気室には、前記不要ガスを分解する触媒が配置された、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のガス遮断器。
【請求項7】
前記触媒は、炭素、マンガン、アルミニウム、セリウム、バリウム、プラチナ、パラジウム、ロジウム、ルテリウムのうち少なくとも一つを含む、
請求項6に記載のガス遮断器。
【請求項8】
前記気室には、前記不要ガスを吸着する吸着剤が配置された、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のガス遮断器。
【請求項9】
前記吸着剤は、活性炭である、
請求項8に記載のガス遮断器。
【請求項10】
前記気室は、消弧性ガスより比重が重い不要ガスを溜める、前記密閉容器の地平面側に配置された第1の気室、および消弧性ガスより比重が軽い不要ガスを溜める、前記密閉容器の地平面反対側に配置された第2の気室により構成され、
前記密閉容器の外部に設けられ、前記アークに吹き付けられた前記消弧性ガスから発生する不要ガスを分解する処理部と、
前記第1の気室から前記不要ガスを前記処理部に送る第1の排出管と、
前記第2の気室から前記不要ガスを前記処理部に送る第2の排出管と、
前記処理部で、不要ガスが分解された前記消弧性ガスを前記密閉容器に送る送気管と、
を有する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のガス遮断器。
【請求項11】
前記消弧性ガスから発生する不要ガスのうち消弧性ガスより比重が重いオゾンを排出する、前記密閉容器の地平面側に配置された排気管、前記消弧性ガスから発生する不要ガスのうち消弧性ガスより比重が軽い一酸化炭素を排出する、前記密閉容器の地平面反対側に配置された排気管の少なくとも一つを有する、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のガス遮断器。
【請求項12】
前記アークに吹き付けられた前記消弧性ガスから発生する不要ガスを検出するセンサを有する、
請求項1乃至11のいずれか1項に記載のガス遮断器。
【請求項13】
前記センサは、前記消弧性ガスから発生する不要ガスのうち消弧性ガスより比重が重いオゾンを検出する、前記密閉容器の地平面側に配置されたオゾンセンサ、前記消弧性ガスから発生する不要ガスのうち消弧性ガスより比重が軽い一酸化炭素を検出する、前記密閉容器の地平面反対側に配置された一酸化炭素センサの少なくとも一つである、
請求項12に記載のガス遮断器。
【請求項14】
前記消弧性ガスは0.1MPa-g以上であり、二酸化炭素を50%以上含む、
請求項1乃至13のいずれか1項に記載のガス遮断器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、電力系統において電流遮断を行うガス遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
電力系統の電力供給線に流れる電流を遮断するためにガス遮断器が使用されている。ガス遮断器は、系統事故時において事故の生じた系統を切り離す際に流れる電流を遮断するために電力供給線に配置される。
【0003】
ガス遮断器は、消弧性ガスが充填された密閉容器内に、対向して配置された一対の電極を有する。これらの一対の電極が、ガス遮断器の外部に配置された駆動装置により駆動されて開閉する。
【0004】
ガス遮断器が開状態とされる時には、この一対の電極が、ガス遮断器の外部に配置された駆動装置により駆動され、機械的に切り離される。しかしながら、交流の電力系統に設置されるガス遮断器は、一対の電極が機械的に切り離された後も、次の交流電流の電流零点まではアーク電流が流れ続ける。パッファ形ガス遮断器は、密閉容器内の消弧性ガスを循環させて、アークに吹き付け消弧することにより、このアーク電流を遮断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-72032公報
【文献】特開2009-189182公報
【文献】特開2016-152648公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記のようなガス遮断器は、消弧性ガスをアークに吹き付け消弧することにより、アーク電流を遮断する。従来は、消弧性ガスとして、優れたアーク消弧性能を有する六フッ化硫黄ガス(SF6ガス)が主に用いられた。しかしながら、六フッ化硫黄ガス(SF6ガス)は地球温暖化ガスであり、近年、使用量の削減が求められている。
【0007】
近年、六フッ化硫黄ガス(SF6ガス)に替わり、地球温暖化係数の小さい二酸化炭素を主体とした消弧性ガスが使用される。二酸化炭素に混合されるガスは、酸素、フッ化エーテル、フッ化ケトン等である。しかしながら、二酸化炭素を主体とした消弧性ガスは、アークに吹き付けられ高温化されることにより、オゾンや一酸化炭素等の不要なガス(以降「不要ガス」と総称する)を発生する場合がある。これらの不要ガスは、ガス遮断器の絶縁性能や電流遮断性能を劣化させる問題点があった。
【0008】
本実施形態は、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスによる絶縁性能、電流遮断性能の劣化を軽減することができるガス遮断器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施形態のガス遮断器は次のような構成を有することを特徴とする。
(1)消弧性ガスが封入された密閉容器。
(2)前記密閉容器に固定された第1の固定接触子部。
(3)前記密閉容器に固定された第2の固定接触子部。
(4)前記第1の固定接触子部と第2の固定接触子部との間を移動することにより、前記第1の固定接触子部と第2の固定接触子部の電流を導通、遮断する可動接触子部。
(5)前記第1の固定接触子部に設けられた固定アーク接触子および前記可動接触子部に設けられた可動アーク接触子との間に、電流遮断時に発生するアークは、前記消弧性ガスが吹き付けられることにより消弧される。
(6)前記アークに吹き付けられた前記消弧性ガスから発生する不要ガスを溜める気室。
(7)前記密閉容器は、中空である二つの円錐台部の口径の大きい端部が、円筒部を介して接合された形状であり、前記気室は、前記密閉容器をなす前記円筒部の内部に構成される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態にかかるガス遮断器の構成を示す図
図2】第1実施形態にかかるガス遮断器の外観を示す斜視図
図3】第1実施形態の第1の変形例にかかるガス遮断器の構成を示す図
図4】第1実施形態の第2の変形例にかかるガス遮断器の構成を示す図
図5】第1実施形態の第3の変形例にかかるガス遮断器の構成を示す図
図6】第1実施形態の第3の変形例の他の形態にかかるガス遮断器の構成を示す図
図7】第1実施形態の第4の変形例にかかるガス遮断器の構成を示す図
図8】第1実施形態の第4の変形例にかかるガス遮断器の外観を示す図
図9】第1実施形態の第5の変形例にかかるガス遮断器の構成を示す図
図10】第1実施形態の第5の変形例にかかるガス遮断器の外観を示す図
図11】第1実施形態の第5の変形例の他の形態にかかるガス遮断器の構成を示す図
図12】第2実施形態にかかるガス遮断器の構成を示す図
図13】第2実施形態の第1の変形例にかかるガス遮断器の構成を示す図
図14】第2実施形態の第2の変形例にかかるガス遮断器の構成を示す図
図15】第2実施形態の第2の変形例の他の形態にかかるガス遮断器の構成を示す図
図16】第3実施形態にかかるガス遮断器の構成を示す図
図17】第3実施形態の変形例にかかるガス遮断器の構成を示す図
図18】第3実施形態の変形例の他の形態にかかるガス遮断器の構成を示す図
図19】第4実施形態にかかるガス遮断器の構成を示す図
図20】第4実施形態の変形例にかかるガス遮断器の構成を示す図
図21】第4実施形態のセンサを有する変形例にかかるガス遮断器の構成を示す図
図22】第4実施形態のセンサを有する変形例の他の形態にかかるガス遮断器の構成を示す図
図23】第4実施形態の排出管の変形例にかかるガス遮断器の構成を示す図
図24】第4実施形態の排出管の変形例の他の形態にかかるガス遮断器の構成を示す図
図25】第4実施形態の他の形態の変形例にかかるガス遮断器の構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
[1-1.概略構成]
以下では、図1図2を参照しつつ、本実施形態のガス遮断器の全体構成を説明する。本実施形態のガス遮断器の全体構成の断面図を図1に示す。図1は、ガス遮断器1が開路状態である時の内部構造を示している。
【0012】
ガス遮断器1は、第1の固定接触子部2(以降、「固定接触子部2」と総称する)、可動接触子部3、第2の固定接触子部4(以降、「固定接触子部4」と総称する)、密閉容器8を有する。密閉容器8を介し、電力供給線7aが固定接触子部2に、電力供給線7bが固定接触子部4に接続される。電力供給線7a、7bは、電力系統に接続される。ガス遮断器1は、変電所等の電力供給設備に設置される。
【0013】
固定接触子部2、固定接触子部4は、導体金属により構成された円筒状の部材である。可動接触子部3は、固定接触子部2、固定接触子部4の内径と密着し摺動可能に配置された、導体金属により構成された円筒状の部材である。固定接触子部2、固定接触子部4は、密閉容器8内に離間して配置される。
【0014】
可動接触子部3が、ガス遮断器1の外部に配置された駆動装置9により駆動され、固定接触子部2と固定接触子部4との間を移動することにより、固定接触子部2と固定接触子部4が電気的に遮断または導通とされる。これにより電力供給線7a、7b間が、電気的に遮断または導通となる。
【0015】
ガス遮断器1が開路状態となるときに固定接触子部2と可動接触子部3との間にアークが発生する。このアークは、密閉容器8内に充填された消弧性ガスが循環され、消弧される。
【0016】
密閉容器8は、金属や碍子等からなる円筒状の密閉容器であり、内部に消弧性ガスが充填される。消弧性ガスとして、消弧性能及び絶縁性能に優れた二酸化炭素(CO2ガス)を主体としたガスが使用される。密閉容器8は、接地電位に接続される。
【0017】
固定接触子部2は、密閉容器8と同心円を描く円筒状の部材である。固定接触子部2は、固定アーク接触子21、固定通電接触子22、排気管25を有する。これらの部材の詳細については後述する。密閉容器8を介し、電力供給線7aが固定接触子部2に接続される。
【0018】
固定接触子部2は、密閉容器8に固定され配置される。固定接触子部2は、ガス遮断器1の閉路状態時に、可動接触子部3を介し固定接触子部4と電気的に接続され、電力供給線7a、7b間の電流を導通する。一方、固定接触子部2は、ガス遮断器1の開路状態時に、可動接触子部3と電気的に非接続となり、電力供給線7a、7b間の電流を遮断する。
【0019】
固定接触子部4は、密閉容器8と同心円を描く円筒状の部材である。固定接触子部4は、通電接触子41、ピストン42を有する。これらの部材の詳細については後述する。密閉容器8を介し、電力供給線7bが固定接触子部4に接続される。固定接触子部4は、密閉容器8に固定され配置される。
【0020】
固定接触子部4は、ガス遮断器1の閉路状態時に、可動接触子部3を介し固定接触子部2と電気的に接続され、電力供給線7a、7b間の電流を導通する。一方、固定接触子部4は、ガス遮断器1の開路状態時に、固定接触子部2と可動接触子部3が電気的に非接続となるため、電力供給線7a、7b間の電流を遮断する。
【0021】
可動接触子部3は、密閉容器8と同心円を描く円筒状の部材である。可動接触子部3は、可動アーク接触子31、可動通電接触子32、絶縁ノズル33、シリンダ34を有する。これらの部材の詳細については後述する。可動接触子部3の一方の端部は、固定接触子部2の内径に接する外径を有する円筒状となっている。可動接触子部3の他方の端部は、固定接触子部4の内径に接する外径を有する円筒状となっている。可動接触子部3は、固定接触子部2および固定接触子部4との間を往復移動可能なように配置される。
【0022】
可動接触子部3は、ガス遮断器1の外部に配置された駆動装置9に機械的に接続される。ガス遮断器1の開閉時には、駆動装置9により可動接触子部3が駆動され、電力供給線7a、7bに流れる電流が遮断、導通される。可動接触子部3は、ガス遮断器1の閉路状態時に、固定接触子部2と固定接触子部4を電気的に接続し、電力供給線7a、7b間の電流を導通する。一方、可動接触子部3は、ガス遮断器1の開路状態時に、固定接触子部2と電気的に非接続となり、電力供給線7a、7b間の電流を遮断する。
【0023】
また、可動接触子部3は、ガス遮断器1の開路状態時に、ピストン42と可動接触子部3に連動したシリンダ34にて構成される蓄圧室36内の消弧性ガスを昇圧する。ガス遮断器1の開路状態時に、可動接触子部3は、蓄圧室36内に蓄積された消弧性ガスを絶縁ノズル33から噴出し、固定接触子部2と可動接触子部3との間に発生したアークを消弧し、アーク電流を遮断する。
【0024】
固定接触子部2、可動接触子部3、固定接触子部4、密閉容器8は、同心円を描く円筒状の部材であり共通の中心軸を有し、同一軸上に配置される。なお、以下では、各部材の位置関係及び方向を説明するにあたり、固定接触子部2側の方向を開放端方向と、その反対側の固定接触子部4側の方向を駆動装置方向と呼ぶ。
【0025】
密閉容器8は、金属や碍子等からなる円筒状の密閉容器であり、内部に消弧性ガスが充填される。密閉容器8は、中空である二つの円錐台部82、83の口径の大きい端部が、円筒部81を介して接合された形状をなす。密閉容器8を構成する二つの円錐台部82、83が接合された円筒部81の内部に、気室51a、51bを有する。気室51a、51bは、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスを溜める。
【0026】
[1-2.詳細構成]
(固定接触子部2)
固定接触子部2は、固定アーク接触子21、固定通電接触子22を有する。
【0027】
(固定通電接触子22)
固定通電接触子22は、固定接触子部2の駆動装置方向の外周部端面に配置されたリング状の電極である。固定通電接触子22は、削り出し等により、内径側に膨出したリング状に形成された金属導体により構成される。
【0028】
固定通電接触子22は、可動接触子部3の可動通電接触子32の外径と摺動可能な、一定のクリアランスを持つ内径を有する。固定通電接触子22は、円筒状の導体金属により構成された通気筒24の駆動装置方向の端部に配置される。通気筒24には、密閉容器8を介し、電力供給線7aが接続される。通気筒24は密閉容器8に絶縁部材により固定される。
【0029】
ガス遮断器1の閉路状態時に、固定通電接触子22には、可動接触子部3の可動通電接触子32が挿入される。これにより固定通電接触子22は、可動通電接触子32と接触し、固定接触子部2と可動接触子部3を電気的に導通させる。
【0030】
一方、ガス遮断器1の開路状態時に、固定通電接触子22は、可動接触子部3の可動通電接触子32と離間し、固定接触子部2と可動接触子部3を電気的に遮断する。
【0031】
(固定アーク接触子21)
固定アーク接触子21は、固定接触子部2の円筒の中心軸に沿い、固定接触子部2の駆動装置方向の端部に配置された棒状の電極である。固定アーク接触子21は、削り出し等により形成された、駆動装置方向側に半球状の端部を有する中実の円柱状金属導体により構成される。
【0032】
固定アーク接触子21は、可動接触子部3の可動アーク接触子31の内径と摺動可能な、一定のクリアランスを持つ外径を有する。固定アーク接触子21は、固定接触子部2の外周を構成する通気筒24の内壁面に設けられた、固定支えにより通気筒24に固定される。
【0033】
ガス遮断器1の閉路状態時に、固定アーク接触子21は、可動接触子部3の可動アーク接触子31に挿入される。これにより固定アーク接触子21は、可動接触子部3の可動アーク接触子31と接触し、固定接触子部2と可動接触子部3を電気的に導通させる。
【0034】
一方、ガス遮断器1の開路状態時に、固定アーク接触子21は、可動接触子部3の可動アーク接触子31と離間し、固定接触子部2と可動接触子部3との間に発生するアークを負担する。固定通電接触子22と可動接触子部3の可動通電接触子32の間には、アークが発生しない。
【0035】
固定アーク接触子21および可動アーク接触子31は、固定通電接触子22と可動通電接触子32の間のアークの発生を避け、固定アーク接触子21と可動アーク接触子31の間にアークを集中させるために設けられている。これにより固定通電接触子22と可動通電接触子32のアークによる劣化が軽減される。
【0036】
なお、固定アーク接触子21と可動アーク接触子31の間のアークは、ピストン42と可動接触子部3のシリンダ34により構成される蓄圧室36に蓄積された消弧性ガスが、絶縁ノズル33を介し噴出されることにより、消弧される。
【0037】
(通気筒24)
通気筒24は、削り出された導体金属により構成された円筒状の部材である。通気筒24は、円筒の軸を固定通電接触子22の軸と揃え、固定通電接触子22の開放端方向の端部に配置される。通気筒24は、固定通電接触子22と一体に成形されていてもよい。
【0038】
通気筒24の径は、固定通電接触子22の外径と略同等である。通気筒24には、密閉容器8を介し、電力供給線7aが接続される。
【0039】
通気筒24は、固定アーク接触子21、固定通電接触子22、排気管25を支持する。通気筒24の内部は、消弧性ガスの流路となっており、アークに吹き付けられ高温になった消弧性ガスを、固定アーク接触子21および可動アーク接触子31の間のアーク空間から排気管25へ導く。固定アーク接触子21および可動アーク接触子31の間の、アークが発生する空間をアーク空間と呼ぶ。
【0040】
(排気管25)
排気管25は、金属等により構成された、一端に有底部を他端に開口部を有する筒形状の部材である。排気管25の開口部の径は、通気筒24の開放端方向の端部の径より大きい。排気管25は、有底部が開放端方向に、開口部が駆動装置方向となるように、サポート(図中不示)等により固定接触子部2に固定される。排気管25は、排気管25の開口部が通気筒24の開放端方向の端部を覆うように配置される。
【0041】
排気管25の開口部と通気筒24の開放端方向の端部の間には、消弧性ガスが排気される流路が形成される。排気される消弧性ガスは、排気管25により流れを駆動装置方向に変えられ、通気筒24に沿って密閉容器8内へ、排気される。
【0042】
(固定接触子部4)
固定接触子部4は、通電接触子41、ピストン42を有する。
【0043】
(通電接触子41)
通電接触子41は、固定接触子部4の開放端方向の外周部端面に配置されたリング状の電極である。通電接触子41は、削り出し等により、内径側に膨出したリング状に形成された金属導体により構成される。
【0044】
固定通電接触子41は、可動接触子部3のシリンダ34の外径と摺動可能な、一定のクリアランスを持つ内径を有する。固定通電接触子41は、円筒状の導体金属により構成されたサポート43の開放端方向の端部に配置される。サポート43には、密閉容器8を介し、電力供給線7bが接続される。サポート43は密閉容器8に絶縁部材により固定される。
【0045】
ガス遮断器1の閉路状態時および開路状態時に、通電接触子41には、可動接触子部3のシリンダ34が挿入される。これにより通電接触子41は、シリンダ34と接触し、固定接触子部4と可動接触子部3を電気的に導通させる。通電接触子41内を、可動接触子部3のシリンダ34が摺動する。可動接触子部3のシリンダ34は導体金属により構成されているため、ガス遮断器1の閉路状態、開路状態にかかわらず、固定接触子部4と可動接触子部3の電気的な導通が確保される。
【0046】
(ピストン42)
ピストン42は、固定接触子部4の開放端方向の端面に配置されたドーナツ形状の板である。ピストン42は、削り出し等により、ドーナツ形状に形成された金属導体により構成される。
【0047】
ピストン42は、可動接触子部3のシリンダ34の外径と摺動可能な外径を有する。ピストン42は、可動接触子部3のシリンダ34の内壁を構成する操作ロッド35の外径と摺動可能なドーナツ状の穴径を有する。
【0048】
ピストン42は、固定接触子部4の外周を構成するサポート43の内壁面に設けられた、ピストン支え42aによりサポート43に固定される。
【0049】
ピストン42は、可動接触子部3のシリンダ34とともに、消弧性ガスを蓄積するための蓄圧室36を形成する。ピストン42は、ガス遮断器1が開路状態となる時に、可動接触子部3のシリンダ34とともに蓄圧室36内の消弧性ガスを圧縮する。ピストン42は、蓄圧室36の気密を確保する。これにより蓄圧室36内の消弧性ガスは、昇圧される。
【0050】
固定通電接触子22と可動通電接触子32の間のアークは、昇圧された蓄圧室36内の消弧性ガスが、絶縁ノズル33を介し噴出されることにより、消弧される。
【0051】
(サポート43)
サポート43は、一端面が有底の円筒形状の導体であり、有底の端面が駆動装置方向に配置される。サポート43は、開放端方向から可動接触子部3のシリンダ34が挿入される。
【0052】
(可動接触子部3)
可動接触子部3は、可動アーク接触子31、可動通電接触子32、絶縁ノズル33、シリンダ34を有する。
【0053】
(可動通電接触子32)
可動通電接触子32は、可動接触子部3の開放端方向の外周部端面に配置されたリング状の電極である。可動通電接触子32は、削り出し等によりリング状に形成された金属導体により構成される。
【0054】
可動通電接触子32は、固定接触子部2の固定通電接触子22の内径と摺動可能な、一定のクリアランスを持つ外径を有する。可動通電接触子32は、円筒状の導体金属により構成されたシリンダ34の開放端方向の端部に配置される。
【0055】
ガス遮断器1の閉路状態時に、可動通電接触子32は、固定接触子部2の固定通電接触子22に挿入される。これにより可動通電接触子32は、固定通電接触子22と接触し、可動接触子部3と固定接触子部2を電気的に導通させる。
【0056】
一方、ガス遮断器1の開路状態時に、可動通電接触子32は、固定接触子部2の固定通電接触子22と離間し、可動接触子部3と固定接触子部2を電気的に遮断する。
【0057】
可動通電接触子32は、導体により構成されたシリンダ34と一体に形成されている。ガス遮断器1の閉路状態時および開路状態時に、シリンダ34が固定接触子部4の通電接触子41に挿入されて接触し、可動接触子部3と固定接触子部4を電気的に導通させる。シリンダ34が、固定接触子部4の通電接触子41内を、摺動するため、ガス遮断器1の閉路状態、開路状態にかかわらず、可動接触子部3と固定接触子部4の電気的な導通が確保される。
【0058】
(可動アーク接触子31)
可動アーク接触子31は、可動接触子部3の円筒の中心軸に沿い、可動接触子部3の開放端方向の端部に配置された円筒状の電極である。可動アーク接触子31は、削り出し等により、一端が丸みを帯びた中空の円筒状に形成された金属導体により構成される。
【0059】
可動アーク接触子31は、固定接触子部2の固定アーク接触子21の外径と摺動可能な、一定のクリアランスを持つ内径を有する。可動アーク接触子31は、可動接触子部3のシリンダ34の内周に接続される。可動アーク接触子31は、シリンダ34および絶縁ロッド37を介し駆動装置9に駆動され、固定接触子部2と固定接触子部4の間を往復移動する。
【0060】
ガス遮断器1の閉路状態時に、可動アーク接触子31に固定接触子部2の固定アーク接触子21が挿入される。これにより可動アーク接触子31は、固定接触子部2の固定アーク接触子21と接触し、可動接触子部3と固定接触子部2を電気的に導通させる。
【0061】
一方、ガス遮断器1が開路状態となる時に、可動アーク接触子31は、固定接触子部2の固定アーク接触子21と離間する。これにより可動アーク接触子31は、可動接触子部3と固定接触子部2との間に発生するアークを負担する。可動通電接触子32と固定接触子部2の固定通電接触子22の間には、アークが発生しない。
【0062】
ガス遮断器1の開路状態時に発生するアークは、可動アーク接触子31および固定アーク接触子21間に集中する。可動通電接触子32と固定通電接触子22の間のアークの発生が避けられ、可動通電接触子32と固定通電接触子22の劣化が軽減される。なお、可動アーク接触子31と固定アーク接触子21の間のアークは、ピストン42と可動接触子部3のシリンダ34により形成された蓄圧室36の消弧性ガスにより、消弧される。
【0063】
可動アーク接触子31の内部空間は、一端の開口がアークの発生する可動アーク接触子31および固定アーク接触子21との間の空間(以降、「アーク空間」と総称する)に連通している。可動アーク接触子31の内部空間は、アーク消弧時の消弧性ガスの排気流路の一つとなる。
【0064】
可動アーク接触子31に固定支持された操作ロッド35を介し、駆動装置9より駆動されることにより、可動アーク接触子31は移動する。操作ロッド35は、開放端方向の一端が開口し、駆動装置方向の他端が有底であり、内部が中空である円筒形状を有する。操作ロッド35は、可動アーク接触子31と同径の円筒上に配置される。
【0065】
(シリンダ34)
シリンダ34は、金属導体により構成された、一端に有底部を他端に開口部を有する筒形状の部材である。シリンダ34は、円筒状の内壁を構成する操作ロッド35を有する。操作ロッド35は、シリンダ34と同心円を描くように配置された円筒状の部材である。
【0066】
シリンダ34は、有底部が操作ロッド35の開放端方向の端面と同一面になるように、操作ロッド35に連結され、操作ロッド35と共に移動する。シリンダ34は、操作ロッド35の外径よりも内径が大きく、操作ロッド35と共通の中心軸を有する。有底部は、円盤状であり、操作ロッド35の先端外周縁からフランジ状に拡がり、側周壁は、駆動装置方向に延びる。固定接触子部4のサポート43の駆動装置方向端面は開口しており、操作ロッド35はこの開口に挿通されて、サポート43内部を貫通している。
【0067】
シリンダ34は、固定通電接触子41の内径と摺動可能な、一定のクリアランスを持つ外径を有する。
【0068】
シリンダ34は、固定接触子部4のピストン42の外径と摺動可能な内径を有する。さらに、シリンダ34の、内壁を構成する操作ロッド35は、ピストン42のドーナツ状の穴径と摺動可能な、外径を有する。
【0069】
シリンダ34は、有底部が開放端方向に、開口部が駆動装置方向になるように固定接触子部2と固定接触子部4の間に配置される。シリンダ34は、固定接触子部4の通電接触子41と摺動可能なように配置される。
【0070】
さらにシリンダ34は、ピストン42が挿入され、シリンダ34とピストン42により、消弧性ガスを蓄積するための蓄圧室36が形成される。シリンダ34とピストン42は、ガス遮断器1が開路状態となる時に、蓄圧室36内の消弧性ガスを圧縮する。シリンダ34とピストン42は、蓄圧室36の気密を確保する。これにより蓄圧室36内の消弧性ガスは、昇圧される。
【0071】
シリンダ34の開放端方向の面には貫通孔34aが設けられている。蓄圧室36で昇圧された消弧性ガスは、絶縁ノズル33を介しアーク空間へ誘導される。
【0072】
シリンダ34は、操作ロッド35に接続された絶縁ロッド37を介し駆動装置9により駆動され、往復移動する。駆動装置9による往復移動は、ガス遮断器1を閉路状態にする時および開路状態にする時に行われる。
【0073】
ガス遮断器1の閉路状態時および開路状態時に、シリンダ34は、固定接触子部4の通電接触子41に挿入される。これによりシリンダ34は、通電接触子41と接触し、可動接触子部3と固定接触子部4を電気的に導通させる。シリンダ34は、通電接触子41内を摺動する。シリンダ34は導体金属により構成されているため、ガス遮断器1の閉路状態、開路状態にかかわらず、可動接触子部3と固定接触子部4の電気的な導通が確保される。
【0074】
ガス遮断器1が開路状態となる時に、シリンダ34は、操作ロッド35および絶縁ロッド37を介し駆動され、駆動装置方向に移動する。これによりシリンダ34は、ピストン42と協調して蓄圧室36内の消弧性ガスを圧縮する。その結果、蓄圧室36内の消弧性ガスは、昇圧される。
【0075】
なお、操作ロッド35の周壁には、操作ロッド35の中空部分とサポート43の内部空間とを連通する連通穴が設けられ、また、サポート43の側壁にはサポート43内部の空間と外部の空間とを連通する排気穴が設けられている。そのため、操作ロッド35の中空部分、サポート43の内部空間、密閉容器8内部が連通しており、アーク空間からのガスの排気流路の一つとなる。
【0076】
(絶縁ノズル33)
絶縁ノズル33は、蓄圧室36にて昇圧された消弧性ガスの噴出方向を誘導するスロート部を有する円筒状の整流部材である。絶縁ノズル33は、ポリテトラフルオロエチレンなどの耐熱性の絶縁物により構成される。
【0077】
絶縁ノズル33は、シリンダ34の開放端方向の端部に、絶縁ノズル33の円筒を構成する軸が、シリンダ34の円筒軸の延長上に来るように配置される。
【0078】
絶縁ノズル33は、可動アーク接触子31を包囲するように、軸に沿い固定アーク接触子21側へ延び、可動アーク接触子31の先端を通過後、内径が固定アーク接触子21の外径よりも若干大きい程度まで窄み、最小内径部分となるスロート部に至ったところで開放端方向に向けて直線的に拡がる形状となっている。
【0079】
絶縁ノズル33により、消弧性ガスはアーク空間へ誘導される。また、絶縁ノズル33のスロート部により消弧性ガスは、アーク空間に集中されるとともに、消弧性ガスの流速が高速化される。
【0080】
ガス遮断器1が開路状態となる時に、消弧性ガスは、シリンダ34、ピストン42により形成される蓄圧室36内で圧縮され昇圧される。蓄圧室36で昇圧された消弧性ガスは、シリンダ34の貫通孔34aをとおり絶縁ノズル33の内部を介しアーク空間へ誘導される。その結果、消弧性ガスが、可動アーク接触子31および固定アーク接触子21との間に発生したアークに吹き付けられ、アークが消弧される。
【0081】
ガス遮断器1が開路状態となる時に、蓄圧室36で昇圧された消弧性ガスは、シリンダ34の開放端方向の端部面に設けられた貫通孔34a、絶縁ノズル33内側で可動アーク接触子31の内周側の空間、アーク空間、絶縁ノズル33の開放端方向の内部空間、通気筒24を順に通り、密閉容器8内に排気される。この連通した空間が消弧性ガスの排気流路の一つとなる。
【0082】
アークの発弧により絶縁ノズル33は極めて高温のアークに曝され続けるため、絶縁ノズル33の構成材料であるポリテトラフルオロエチレンなどの絶縁物が、溶融しガス化する。その結果、この絶縁物が溶融したガスが、絶縁ノズル33内壁から蓄圧室36に侵入し、蓄圧室36内での昇圧に作用する。
【0083】
(密閉容器8)
密閉容器8は、金属や碍子等からなる円筒状の密閉容器であり、内部に消弧性ガスが充填される。密閉容器8は、中空に構成された二つの円錐台部82、83の口径の大きい端部が、円筒部81を介して接合される。密閉容器8は、テーパー部82a、82bを有する円錐台部82、およびテーパー部83a、83bを有する円錐台部83を有する。円錐台部82および円錐台部83は、円筒部81を介して接合される。密閉容器8は、二つの円錐台部82、83が接合された円筒部81の内部に、気室51a、51bを有する。
【0084】
密閉容器8は、二つの円錐台部82、83の接合された部分に円筒部81を有し、円筒部81は、地平面側に平坦部81aを地平面反対側に平坦部81bを有する。円筒部81の地平面側の平坦部81aの内側に、消弧性ガスより比重が重いオゾン等の不要ガスを溜める気室51aが、円筒部81の地平面反対側の平坦部81bの内側に、消弧性ガスより比重が軽い一酸化炭素等の不要ガスを溜める気室51bが、配置される。
【0085】
密閉容器8の内部は、二酸化炭素(CO2ガス)を主成分とする消弧性ガスが充填される。消弧性ガスは0.1MPa-g以上であり、二酸化炭素を50%以上含むことが望ましい。
【0086】
ガス遮断器1が開路状態となるときに固定接触子部2と可動接触子部3との間にアークが発生する。このアークは、密閉容器8内に充填された消弧性ガスが吹き付けられ、消弧される。アークに吹き付けられた消弧性ガスは、オゾンや一酸化炭素等の不要ガスを発生する。
【0087】
密閉容器8は、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスを溜める気室51a、51bを有する。なお気室51a、51bを総称し気室5と呼ぶ場合がある。
【0088】
(気室5)
気室5は、気室51aおよび気室51bにより構成される。気室51aおよび気室51bは、密閉容器8を構成する材料と同じ材料にて構成される。気室51aおよび気室51bは、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスを溜める。
【0089】
密閉容器8は、中空に構成された二つの円錐台部82、83の端部が、円筒部81を介して接合された形状をなす。二つの円錐台部82、83の口径が大きい部分が円筒部81に接合され、この円筒部81により平坦部81a、81bが構成される。平坦部81aは円筒部81の地平面側に、平坦部81bは円筒部81の地平面反対側に構成される。
【0090】
気室51aおよび気室51bは、それぞれ円筒部81の平坦部81a、81bの内側に設けられた部分である。気室51aおよび気室51bが配置された平坦部81a、81bを有する円筒部81と二つの円錐台部82、83は、一体に形成され、密閉容器8内に充填された消弧性ガスの気密を確保する。気室51aおよび気室51bは、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスを溜める。
【0091】
気室51aは、円筒部81の平坦部81aの内側の地平面側に設けられた部分である。密閉容器8の地平面側に配置された気室51aは、消弧性ガスより比重が重いオゾン等の不要ガスを溜める。気室51aは、密閉容器8の容積の0.01%以上の容積を有することが望ましい。
【0092】
気室51bは、円筒部81の平坦部81bの内側の地平面反対側に設けられた部分である。密閉容器8の地平面反対側に配置された気室51bは、消弧性ガスより比重が軽い一酸化炭素等の不要ガスを溜める。気室51aは、密閉容器8の容積の0.01%以上の容積を有することが望ましい。
【0093】
気室51aおよび気室51bは、固定アーク接触子21および可動アーク接触子31の間の、アークが発生する空間であるアーク空間から地平面に下ろした垂線上の、密閉容器8に配置されることが望ましい。
【0094】
[1-2.作用]
次に、本実施形態のガス遮断器の作用を、図1~2に基づき説明する。
【0095】
[A.ガス遮断器1が閉路状態の場合]
最初に、本実施形態のガス遮断器1が閉路状態である場合について説明する。ガス遮断器1は、閉路状態の場合、電力供給線7a、7bに流れる電流を導通する。
【0096】
ガス遮断器1が閉路状態である場合、固定接触子部2と固定接触子部4は、可動接触子部3を介し電気的に接続され、電力供給線7a、7b間の電流を導通する。具体的には、固定接触子部2の固定通電接触子22には、可動接触子部3の可動通電接触子32が挿入される。これにより固定通電接触子22は、可動通電接触子32と接触し、固定接触子部2と可動接触子部3は電気的に導通状態とされる。
【0097】
また、固定接触子部2の固定アーク接触子21は、可動接触子部3の可動アーク接触子31に挿入される。これにより固定アーク接触子21は、可動アーク接触子31と接触し、固定接触子部2と可動接触子部3は電気的に導通状態とされる。
【0098】
さらに、固定接触子部4の通電接触子41には、可動接触子部3のシリンダ34が挿入される。これにより通電接触子41は、シリンダ34と接触し、固定接触子部4と可動接触子部3は電気的に導通状態とされる。
【0099】
また、可動接触子部3のシリンダ34と可動通電接触子32および可動アーク接触子31は電気的に接続されている。この結果、固定接触子部2と固定接触子部4は、可動接触子部3を介し電気的に接続され、電力供給線7a、7b間が電気的に導通状態となる。
【0100】
この状態において、可動アーク接触子31および固定アーク接触子21との間の空間に、アークは発生していない。また、消弧性ガスは、密閉容器8内における各部で均一の圧力となっている。従って、可動接触子部3のシリンダ34および固定接触子部4のピストン42により形成される蓄圧室36内の消弧性ガスも昇圧されていない。
【0101】
ガス遮断器1が閉路状態である時、密閉容器8内の消弧性ガスの圧力は均一であるとともに常温である。従って、消弧性ガスが高温時に発生する、オゾンや一酸化炭素等の不要ガスは発生しない。
【0102】
[B.ガス遮断器1が開路状態となる場合]
次に、本実施形態のガス遮断器1が開路状態となる場合について説明する。ガス遮断器1は、開路状態となり、電力供給線7a、7bに流れる電流を遮断する。
【0103】
ガス遮断器1を開路状態とする遮断動作は、事故電流、進み小電流、リアクトル遮断等の遅れ負荷電流、又は極めて小さな事故電流の遮断を要する場合など、ガス遮断器1を導通状態から遮断状態に切り替える場合に行われる。
【0104】
ガス遮断器1を閉路状態から開路状態とする場合、駆動装置9を駆動させる。駆動装置9により、可動接触子部3が、軸に沿い固定接触子部4内を駆動装置方向に移動させられる。これにより、固定通電接触子22に対して可動通電接触子32が開離するとともに、固定アーク接触子21に対して可動アーク接触子31が開離する。
【0105】
その結果、固定アーク接触子21と可動アーク接触子31との間のアーク空間にアークが発生する。このアークは非常に高温であるため、アークから高温のガスが発生するとともに、アーク周辺の消弧性ガスも加熱され高温となる。
【0106】
可動接触子部3の移動に伴い、シリンダ34は駆動装置方向にピストン42に接近するように移動する。これによりシリンダ34およびピストン42により構成された蓄圧室36は圧縮され、蓄圧室36内の消弧性ガスが昇圧される。さらに、駆動装置9により可動接触子部3が牽引され、蓄圧室36の消弧性ガスが予め設定された圧力に昇圧されると、蓄圧室36の貫通孔34aから消弧性ガスが噴出される。
【0107】
電力供給線7a、7bから供給された交流電流の電流零点では、固定アーク接触子21と可動アーク接触子31間のアークが小さくなり、消弧性ガスが吹き付けられることにより消弧に至る。その結果、ガス遮断器1は、開路状態となり、電力供給線7a、7bに流れる電流が遮断される。
【0108】
従来は、消弧性ガスとして、優れたアーク消弧性能を有する六フッ化硫黄ガス(SF6ガス)が主に用いられた。しかしながら、六フッ化硫黄ガス(SF6ガス)は地球温暖化ガスであり、近年、使用量の削減が求められている。
【0109】
六フッ化硫黄ガス(SF6ガス)に替わるガスとして、二酸化炭素を主体とした混合ガスが使用される。二酸化炭素に混合されるガスとして、酸素、フッ化エーテル、フッ化ケトン等がある。以下に二酸化炭素(CO2ガス)に酸素が混合された消弧性ガスを用いた場合について説明する。
【0110】
密閉容器8の内部には、二酸化炭素(CO2ガス)に酸素が混合された消弧性ガスが充填されている。消弧性ガスは0.1MPa-g以上であり、二酸化炭素を50%以上含むことが望ましい。
【0111】
ガス遮断器1が開路状態となるときに固定接触子部2と可動接触子部3との間にアークが発生する。このアークは、密閉容器8内に充填された消弧性ガスが吹き付けられ、消弧される。アークに吹き付けられた消弧性ガスは、オゾンや一酸化炭素等の不要ガスを発生する。
【0112】
電流遮断時に発生したアークにより、固定アーク接触子21および可動アーク接触子31の間は、所謂アークプラズマ状態となる。このアークプラズマ状態内の消弧性ガスは、高温・高圧となり不要ガスを発生する反応を生じる。
【0113】
二酸化炭素(CO2ガス)に酸素(O2)が混合された消弧性ガスは、アークに吹き付けられ以下に示す反応を生ずる。
A、初期反応
CO2 + e- → CO + O + e- ・・・(反応1)
O2 + e- → O + O ・・・(反応2)
B、中間反応
CO2 + O → CO + O2 ・・・(反応3)
O2 + O → O3 ・・・(反応4)
C、終結反応
CO + O → CO2 ・・・(反応5)
O3 + O + M → O2 + O2 + M ・・・(反応6)
O3 + thermal → O2 + O ・・・(反応7)
O + O → O2 ・・・(反応8)
上記の式において各符号は、以下を表す。
O:酸素原子
e-:電子
CO:一酸化炭素
O3:オゾン
M:所定の粒子(粒子種は特定されない)
【0114】
また、各反応の反応速度Rfは、以下の式にて表わすことができる。
Rf = kf*[A]*[B] ・・・(式1)
上記の式において各符号は、以下を表す。
kf:反応速度定数
[A]:反応する粒子Aの粒子密度
[B]:反応する粒子Bの粒子密度
【0115】
また、反応速度定数kfは次式で表すことができる。
速度定数kf = A*exp(―Ea/kBT) ・・・(式2)
上記の式において各符号は、以下を表す。
A:反応固有の頻度因子にかかる定数
Ea:活性化エネルギー
kB:ボルツマン定数
T:温度
なお、上式は一例として、二体衝突の場合について適用される。
【0116】
上記においてCO2、O2は、安定した状態である。これに対し、O3は、例えば常温・大気圧の状態であれば上記の反応6により、24時間以下程度で自然解離し、O2に戻る。
【0117】
式1に示したように、反応速度は粒子密度に依存する。例えば反応3に示したCOとOにおいて、COが存在しても反応の相手となるO原子が周囲に存在しない場合、反応は進行せず、COのまま存在し続ける。
【0118】
表1にCO2を消弧性ガスとして電流遮断試験を実施し、試験後一定時間が経過した時の各粒子の残存割合の実測値を示す。
【表1】
発明者による実験により、二酸化炭素(CO2ガス)に酸素(O2)が混合されたガスを消弧性ガスとして用いた場合でも、O3が発生した。表1においてH2Oは意図せず微量に混入したものである。アークプラズマ状態内でH2Oが解離・再結合により発生するフッ化水素HFも検出された。
【0119】
本実施形態では、二酸化炭素(CO2ガス)が50%以上含まれた混合ガスを対象とする。混合ガスは、あらかじめ十分に混合されることで均一分布となり、密閉容器8内に密度分布は生じない。密閉容器8内の所定の箇所でプラズマ状態が生じた場合、混合ガスは、反応1~8に示す反応により、過渡的に分子量に応じた密度分布が生じる。
【0120】
その後、自然対流と濃度分布による拡散が生じ、密閉容器8内では不要ガスも含め、濃度分布が均一化される。一旦均一化された濃度分布は、エントロピー増大則に基づき不可逆であり、再び濃度分布が不均一化されない。
【0121】
したがって、濃度分布が均一化される前に不要ガスを捕捉することができなければ、不要ガスは、長時間にわたり密閉容器8内に存在し続ける。アークプラズマ状態内で反応1~8を経て生成された、比較的安定な粒子の分子量を表2に示す。
【表2】
【0122】
密閉容器8内の、アークプラズマ状態が発生した後の過渡状態において、分子量の大きな粒子は地平面側である密閉容器8底部に沈殿し、軽い粒子は地平面反対側である密閉容器8上部に浮き上がる。本実施形態において、分子量が大きく重いオゾンは地平面側の底部付近に沈殿し、分子量が小さく軽い一酸化炭素は地平面反対側の天部付近に滞留する。
【0123】
その結果、密閉容器8の地平面側に配置された気室51aは、消弧性ガスより比重が重いオゾン等の不要ガスを溜める。密閉容器8の地平面反対側に配置された気室51bは、消弧性ガスより比重が軽い一酸化炭素等の不要ガスを溜める。
【0124】
密閉容器8内で底部付近に沈殿するオゾンは、反応6、7により解離・再結合し、O2に戻る。
【0125】
密閉容器8内で天部に対流するCOがCO2に戻るためには反応5が生じることが必要とされる。しかしながら、COが多く存在する密閉容器8の地平面反対側である天部近傍ではOはほとんど存在しない。このため天部近傍のCOは、反応することなく滞留し続ける。
【0126】
O3は、密閉容器8におけるガスを密閉するためのシーリング材(図中不示)を酸化劣化させるおそれがある。また、O3は、ガス遮断器1の電気的な絶縁特性を低下させるおそれがある。また、O3は、人間にとって有害である。
【0127】
COは、ガス遮断器1の電気的な絶縁特性を低下させるおそれがある。また、COは、人間にとって有害である。作業者が、定期点検時等に密閉容器8に存在するCOを吸引することは望ましくない。
【0128】
気室51aおよび気室51bは、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスを溜める。密閉容器8の地平面側に配置された気室51aは、消弧性ガスより比重が重いオゾン等の不要ガスを溜め、不要ガスが気室51a外部に流れ出ることを軽減する。密閉容器8の地平面反対側に配置された気室51bは、消弧性ガスより比重が軽い一酸化炭素等の不要ガスを溜め、不要ガスが気室51b外部に流れ出ることを軽減する。
【0129】
発明者による実験により、アークに吹き付けられた消弧性ガスが、密閉容器8の容積の0.01%程度のオゾンを発生することが判明した。気室51aは、密閉容器8の容積の0.01%以上の容積を有し、消弧性ガスより比重が重いオゾン等の不要ガスを溜める。
【0130】
発明者による実験により、アークに吹き付けられた消弧性ガスが、密閉容器8の容積の0.01%程度の一酸化炭素を発生することが判明した。気室51bは、密閉容器8の容積の0.01%以上の容積を有し、消弧性ガスより比重が軽い一酸化炭素等の不要ガスを溜める。
【0131】
アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスのうち、消弧性ガスより比重が重いオゾン等の不要ガスは、密閉容器8内を地平面側に下降する。さらに、消弧性ガスより比重が重いオゾン等の不要ガスは、密閉容器8の中空の円錐台部82、83の内部の地平面側のテーパー部82a、83aに沿い降下し、気室51aに蓄えられる。気室51aは、消弧性ガスより比重が重いオゾン等の不要ガスを溜める。気室51aは、密閉容器8の容積の0.01%以上の容積を有することが望ましい。
【0132】
アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスのうち、消弧性ガスより比重が軽い一酸化炭素等の不要ガスは、密閉容器8内を地平面反対側に上昇する。さらに、消弧性ガスより比重が軽い一酸化炭素等の不要ガスは、密閉容器8の中空の円錐台部82、83の内部の地平面反対側のテーパー部82b、83bに沿い上昇し、気室51bに蓄えられる。気室51bは、消弧性ガスより比重が軽い一酸化炭素等の不要ガスを溜める。気室51bは、密閉容器8の容積の0.01%以上の容積を有することが望ましい。
【0133】
また、気室51aおよび気室51bは、固定アーク接触子21および可動アーク接触子31の間の、アークが発生する空間であるアーク空間から地平面に下ろした垂線上の、密閉容器8に配置されており、密閉容器8内に散らばる前に、アーク空間で発生した不要ガスを溜める。
【0134】
[1-3.効果]
(1)本実施形態によれば、消弧性ガスが封入された密閉容器8と、密閉容器8に固定された第1の固定接触子部2と、密閉容器8に固定された第2の固定接触子部4と、第1の固定接触子部2と第2の固定接触子部4との間を移動することにより、第1の固定接触子部2と第2の固定接触子部4の電流を導通、遮断する可動接触子部3を有し、第1の固定接触子部2に設けられた固定アーク接触子21および可動接触子部3に設けられた可動アーク接触子31との間に、電流遮断時に発生するアークは、消弧性ガスが吹き付けられることにより消弧されるガス遮断器において、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスを溜める気室5を有し、密閉容器8は、中空である二つの円錐台部82、83の口径の大きい端部が、円筒部81を介して接合された形状であり、気室5は、密閉容器8をなす円筒部81の内部に構成されるので、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスによる絶縁性能、電流遮断性能の劣化を軽減することができるガス遮断器を提供することができる。
【0135】
アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスが、気室5に滞留させられ、ガス遮断器1を構成する絶縁部材、第1の固定接触子部2、第2の固定接触子部4、可動接触子部3に不要ガスが接触しにくいため、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスによるガス遮断器1の絶縁性能、電流遮断性能の劣化を軽減することができる。
【0136】
(2)本実施形態によれば、気室5は、密閉容器8の地平面側に配置された、消弧性ガスより比重が重い不要ガスを溜める気室51aであるので、アークに吹き付けられた消弧性ガスが発生するオゾン等の、消弧性ガスより比重が重い不要ガスが、気室5に滞留させられ、ガス遮断器1を構成する絶縁部材、第1の固定接触子部2、第2の固定接触子部4、可動接触子部3に不要ガスが接触しにくいため、不要ガスによるガス遮断器1の絶縁性能、電流遮断性能の劣化を軽減することができる。
【0137】
(3)本実施形態によれば、前記気室5は、前記密閉容器の地平面反対側に配置された、消弧性ガスより比重が軽い不要ガスを溜める気室51bであるので、アークに吹き付けられた消弧性ガスが発生する一酸化炭素等の、消弧性ガスより比重が軽い不要ガスが、気室5に滞留させられ、ガス遮断器1を構成する絶縁部材、第1の固定接触子部2、第2の固定接触子部4、可動接触子部3に不要ガスが接触しにくいため、不要ガスによるガス遮断器1の絶縁性能、電流遮断性能の劣化を軽減することができる。
【0138】
(4)本実施形態によれば、消弧性ガスは0.1MPa-g以上であり、二酸化炭素を50%以上含むので、環境を害しにくい消弧性ガスにて、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスによる絶縁性能、電流遮断性能の劣化を軽減することができるガス遮断器を構成することができる。
【0139】
(5)本実施形態によれば、気室5の容積は密閉容器8の0.01%以上であるので、コンパクトな形状にて、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスによる絶縁性能、電流遮断性能の劣化を軽減することができるガス遮断器を構成することができる。
【0140】
(6)本実施形態によれば、密閉容器8は円錐台部82、83を有し、気室5は、中空の円錐台をなす密閉容器8の二つの円錐台部82、83が接合された円筒部81の平坦部81a、81bの内部に構成されるので、密閉容器8の円錐台部82、83を構成するテーパー部82a、82b、83a、83bにより、不要ガスが気室5に導かれ、より確実に不要ガスを気室5に滞留させることができる。
【0141】
(7)本実施形態によれば、密閉容器8は、二つの円錐台部82、83の口径が大きい端部が接合された形状であり、気室5は、密閉容器8をなす二つの円錐台部82、83が接合された円筒部81の内部に構成されるので、消弧性ガスがアークに吹き付けられる箇所の近傍に気室5を配置することができる。その結果、より確実に不要ガスが気室5に導かれ、不要ガスを気室5に滞留させることができる。
【0142】
また、密閉容器8は、二つの円錐台部82、83の口径が大きい端部が円筒部81を介して接合された形状であり、密閉容器8を構成する二つの円錐台部82、83の部材は同一の製造工程にて製造することができ、製造しやすい。したがって、製造しやすいガス遮断器を提供することができる。
【0143】
[1-4.変形例]
(1)第1の変形例
密閉容器8は、上記のように構成されるものに限られない。密閉容器8は、図3のように構成されるものであってもよい。
【0144】
密閉容器8は、中空である二つの円錐台部82、83の口径の大きい端部が、円筒部81を介して接合された形状であり、円筒部81の高さL1は、電流遮断時に固定アーク接触子21と可動アーク接触子31との間に発生するアークの長さL2以上である。気室5は、密閉容器8の円筒部81の内部に構成される。
【0145】
気室51aおよび気室51bは、発生したアークの固定アーク接触子21側端部から地平面に下ろした垂線、および発生したアークの可動アーク接触子31側端部から地平面に下ろした垂線を包含する円筒部81の内側の部分により構成される。
【0146】
円筒部81の高さL1は、電流遮断時に固定アーク接触子21と可動アーク接触子31との間に発生するアークの長さL2以上であるので、より気室5の容積を増やすことができる。これによりアークにより発生した不要ガスが拡散した場合であっても、不要ガスをより確実に気室5に溜めることができる。
【0147】
円筒部81の平坦部81aの内側の地平面側に設けられた気室51aは、より確実に消弧性ガスより比重が重いオゾン等の不要ガスを溜めることができる。筒部81の平坦部81bの内側の地平面反対側に設けられた気室51bは、より確実に消弧性ガスより比重が軽い一酸化炭素等の不要ガスを溜めることができる。
【0148】
円筒部81の高さL1は、電流遮断時に固定アーク接触子21と可動アーク接触子31との間に発生するアークの長さ以上であるので、不要ガスをより確実に気室5に溜めることができるガス遮断器1を提供することができる。
【0149】
また、密閉容器8は、中空である二つの円錐台部82、83の口径の大きい端部が、円筒部81を介して接合された形状であり、前記円筒部81の高さは、密閉容器8をなす円錐台部82、または円錐台部83の高さL3以上であってもよい。気室5は、密閉容器8の円筒部81の内部に構成される。
【0150】
円筒部81の高さL1は、密閉容器8をなす円錐台部82、83の高さL3以上であるので、円錐台部82、83の高さL3を短くすることができ、円錐台部82、83の成形が容易であり、製造しやすいガス遮断器1を提供することができる。また、円錐台部82、83の高さL3を短くすることができるので、円錐台部82の口径が小さい端部に配置された底部82cとテーパー部82a、82b、および円錐台部83の口径が小さい端部に配置された底部83cとテーパー部83a、83bを一体に成形することができる。これにより、消弧性ガスの気密度がより高いガス遮断器1を提供することができる。
【0151】
(2)第2の変形例
気室5は、上記のように構成されるものに限られない。気室5は、図4のように構成されるものであってもよい。
【0152】
上記実施形態では、密閉容器8は、二つの円錐台部82、83の口径の大きい端部が、円筒部81を介して接合されたものとし、二つの円錐台部82、83が接合された円筒部81の内部に、気室51a、51bを有するものとした。しかしながら、気室51a、51bは、上記のように構成されるものに限られない。
【0153】
図4に示すように密閉容器8は、中空に構成された二つの円錐台部82、83の口径の大きい端部が、直接、接合されたものとし、二つの円錐台部82、83が接合された部分の内側に、気室51a、51bを有するものとしてもよい。
【0154】
気室51a、51bは、密閉容器8の、二つの円錐台部82、83の、口径が大きい端部が接合された部分の内側に配置される。
【0155】
密閉容器8の、円錐台部82、83の接合部分の内側であり、かつ地平面側が気室51aを構成する。密閉容器8の、円錐台の接合部分の内側であり、かつ地平面反対側が気室51bを構成する。
【0156】
気室51aは、アークに吹き付けられた消弧性ガスが発生するオゾン等の、消弧性ガスより比重が重い不要ガスを溜める。気室51aは、アークに吹き付けられた消弧性ガスが発生する一酸化炭素等の、消弧性ガスより比重が軽い不要ガスを溜める。
【0157】
密閉容器8は、中空に構成された二つの円錐台の口径が大きい端部が接合された形状であり、密閉容器8を構成する二つの円錐台状の部材は同一の製造工程にて製造することができ、製造しやすい。したがって、より製造しやすいガス遮断器を提供することができる。
【0158】
(3)第3の変形例
気室5は、上記のように構成されるものに限られない。気室5は、図5のように構成されるものであってもよい。
【0159】
図5に示すように密閉容器8は、中空に構成された一つの円錐台状であり、円錐台の口径の大きい端部部分の内側に、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスを溜める気室54a、54bを有する。
【0160】
密閉容器8は、図5に示すように、有底の中空の円錐台状に構成される。中空に構成された円錐台の径の大きい底部が、駆動装置方向となるように、密閉容器8は配置される。密閉容器8は、中空の円錐台状の径の大きい底部側の内部に気室54a、54bを有する。
【0161】
密閉容器8の、中空の円錐台状の径の大きい底部の内側であり、かつ地平面側が気室54aを構成する。密閉容器8の、中空の円錐台状の径の大きい底部の内側であり、かつ地平面反対側が気室54bを構成する。気室54aおよび気室54bは、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスを溜める。
【0162】
アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスのうち、消弧性ガスより比重が重いオゾン等の不要ガスは、密閉容器8内を地平面側に下降する。さらに、消弧性ガスより比重が重いオゾン等の不要ガスは、密閉容器8の中空の円錐台状の内部の地平面側のテーパー部84aに沿い降下し、気室54aに蓄えられる。気室54aは、消弧性ガスより比重が重いオゾン等の不要ガスを溜める。気室54aは、密閉容器8の容積の0.01%以上の容積を有することが望ましい。
【0163】
アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスのうち、消弧性ガスより比重が軽い一酸化炭素等の不要ガスは、密閉容器8内を地平面反対側に上昇する。さらに、消弧性ガスより比重が軽い一酸化炭素等の不要ガスは、密閉容器8の中空の円錐台状の内部の地平面反対側のテーパー部84bに沿い上昇し、気室54bに蓄えられる。気室54bは、消弧性ガスより比重が軽い一酸化炭素等の不要ガスを溜める。気室54bは、密閉容器8の容積の0.01%以上の容積を有することが望ましい。
【0164】
第3の変形例にかかる実施形態によれば、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスを溜める気室54a、54bを有するので、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスによる絶縁性能、電流遮断性能の劣化を軽減することができるガス遮断器を提供することができる。
【0165】
アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスが、気室54a、54bに滞留させられ、ガス遮断器1を構成する絶縁部材、第1の固定接触子部2、第2の固定接触子部4、可動接触子部3に不要ガスが接触しにくいため、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスによるガス遮断器1の絶縁性能、電流遮断性能の劣化を軽減することができる。
【0166】
第3の変形例にかかる実施形態によれば、密閉容器8は円錐台状であり、気室54a、54bは、中空の円錐台をなす密閉容器8の径の大きい底側の内部に構成されるので、密閉容器8の円錐台を構成するテーパー部84a、84bにより、不要ガスが気室54a、54bに導かれ、より確実に不要ガスを気室5に滞留させることができる。
【0167】
第3の変形例にかかる実施形態によれば、密閉容器8をより単純な形状にて構成することができ、より製造しやすいガス遮断器を提供することができる。
【0168】
第3の変形例にかかる実施形態では、密閉容器8は、中空の円錐台の径の大きい底部が、駆動装置方向となるように配置され、中空の円錐台の径の大きい底部側の内部に気室54a、54bが配置されるものとしたが、図6に示すように密閉容器8は、中空の円錐台の径の大きい底部が、開放端方向となるように配置され、中空の円錐台の径の大きい底部側の内部に気室55a、55bが配置されるようにしてもよい。密閉容器8は、テーパー部85a、85bを有し、テーパー部85a、85bにより、不要ガスが気室55a、55bに導かれ、不要ガスを気室5に滞留させる。
【0169】
このように、中空の円錐台をなす密閉容器8の径の大きい底部が、開放端方向となるように配置されることにより、ガス遮断器1の設置場所をフレキシブルに選択することができる。
【0170】
(4)第4の変形例
気室5は、上記のように構成されるものに限られない。気室5は、図7~8のように構成されるものであってもよい。
【0171】
図7~8に示すように密閉容器8は、密閉容器8を構成する円筒状部材の周囲中腹に、さらに密閉容器8の内径より大きな内径の円筒部86を有する。密閉容器8は、円筒部86の内側に、気室56a、56bを有する。気室56a、56bは、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスを溜める
【0172】
密閉容器8を構成する円筒状部材の周囲中腹に設けられた、密閉容器8の内径より大きな内径を有する円筒部86は、中空タイヤ状に構成されており、円筒軸から円筒周囲方向の断面にコの字状となる空間を有する。気室56aは、円筒部86の地平面側のコの字状となる空間に設けられる。また、気室56bは、円筒部86の地平面反対側のコの字状となる空間に設けられる。
【0173】
気室56a、56bは、密閉容器8を構成する材料と同じ材料にて構成される。気室56a、56bを有する円筒部86は、密閉容器8と一体に接合され、消弧性ガスの気密を確保する。
【0174】
気室56aは、消弧性ガスより比重が重いオゾン等の不要ガスを溜める。気室56aは、密閉容器8の容積の0.01%以上の容積を有することが望ましい。気室56bは、消弧性ガスより比重が軽い一酸化炭素等の不要ガスを溜める。気室56bは、密閉容器8の容積の0.01%以上の容積を有することが望ましい。
【0175】
気室56aおよび気室56bは、固定アーク接触子21および可動アーク接触子31の間の、アークが発生する空間であるアーク空間から地平面に下ろした垂線上の、密閉容器8に配置されることが望ましい。
【0176】
気室56aおよび気室56bは、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスを溜める。密閉容器8の地平面側に配置された気室56aは、消弧性ガスより比重が重いオゾン等の不要ガスを溜め、不要ガスが気室56a外部に流れ出ることを軽減する。密閉容器8の地平面反対側に配置された気室56bは、消弧性ガスより比重が軽い一酸化炭素等の不要ガスを溜め、不要ガスが気室56b外部に流れ出ることを軽減する。
【0177】
第4の変形例にかかる実施形態によれば、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスを溜める気室56a、56bを有するので、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスによる絶縁性能、電流遮断性能の劣化を軽減することができるガス遮断器を提供することができる。
【0178】
アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスが、気室56a、56bに滞留させられ、ガス遮断器1を構成する絶縁部材、第1の固定接触子部2、第2の固定接触子部4、可動接触子部3に不要ガスが接触しにくいため、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスによるガス遮断器1の絶縁性能、電流遮断性能の劣化を軽減することができる。
【0179】
第4の変形例にかかる実施形態によれば、アークに吹き付けられた消弧性ガスが発生する、オゾン等の消弧性ガスより比重が重い不要ガスが、気室56aに滞留させられ、一酸化炭素等の消弧性ガスより比重が軽い不要ガスが、気室56bに滞留させられ、ガス遮断器1を構成する絶縁部材、第1の固定接触子部2、第2の固定接触子部4、可動接触子部3に不要ガスが接触しにくいため、不要ガスによるガス遮断器1の絶縁性能、電流遮断性能の劣化を軽減することができる。
【0180】
第4の変形例にかかる実施形態によれば、本実施形態によれば、密閉容器8は円筒状であり、気室56a、56bは、密閉容器8の円筒周囲に設けられ、密閉容器8の内径より大きな内径を有するタイヤ状の円筒部86の内部に構成されるので、密閉容器8の容積を小さくすることができる。その結果、設置場所が狭くても設置しやすい、コンパクトなガス遮断器を提供することができる。
【0181】
第4の変形例にかかる実施形態では、気室56a、気室56bを有する円筒部86は、密閉容器8の円筒中腹部に配置されるものとしたが、円筒部86が配置される箇所はこれに限られない。気室56a、気室56bを有する円筒部86は、密閉容器8の円筒側面の端部に配置されてもよい。
【0182】
このように、気室56a、気室56bを有する円筒部86が配置されることにより、ガス遮断器1の設置場所をよりフレキシブルに選択することができる。
【0183】
(5)第5の変形例
気室5は、上記のように構成されるものに限られない。気室5は、図9~10のように構成されるものであってもよい。
【0184】
図9~10に示すように密閉容器8は、密閉容器8を構成する円筒状部材の周囲に突出した、カップ形状の部材により構成された気室57aおよび気室57bを有する。気室57aおよび気室57bは、密閉容器8を構成する材料と同じ材料にて構成される。気室57a、57bは、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスを溜める。
【0185】
気室57aは、密閉容器8の地平面側の外側に突出して配置された、カップ形状の部材である。気室57aのカップ形状の開口部分が、密閉容器8の内側面と接合する。気室57aは、密閉容器8と一体に接合され、密閉容器8内に充填された消弧性ガスの気密を確保する。気室57aは、消弧性ガスより比重が重いオゾン等の不要ガスを溜める。気室57aは、密閉容器8の容積の0.01%以上の容積を有することが望ましい。
【0186】
気室57bは、密閉容器8の地平面反対側の外側に突出して配置された、カップ形状の部材である。気室57bのカップ形状の開口部分が、密閉容器8の内側面と接合する。気室57bは、密閉容器8と一体に接合され、密閉容器8内に充填された消弧性ガスの気密を確保する。気室57bは、消弧性ガスより比重が軽い一酸化炭素等の不要ガスを溜める。気室57bは、密閉容器8の容積の0.01%以上の容積を有することが望ましい。
【0187】
気室57aおよび気室57bは、固定アーク接触子21および可動アーク接触子31の間の、アークが発生する空間であるアーク空間から地平面に下ろした垂線上の、密閉容器8に配置されることが望ましい。
【0188】
気室57aおよび気室57bは、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスを溜める。密閉容器8の地平面側に配置された気室57aは、消弧性ガスより比重が重いオゾン等の不要ガスを溜め、不要ガスが気室57a外部に流れ出ることを軽減する。密閉容器8の地平面反対側に配置された気室57bは、消弧性ガスより比重が軽い一酸化炭素等の不要ガスを溜め、不要ガスが気室57b外部に流れ出ることを軽減する。
【0189】
第5の変形例にかかる実施形態によれば、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスを溜める気室57a、57bを有するので、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスによる絶縁性能、電流遮断性能の劣化を軽減することができるガス遮断器を提供することができる。
【0190】
アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスが、気室57a、57bに滞留させられ、ガス遮断器1を構成する絶縁部材、第1の固定接触子部2、第2の固定接触子部4、可動接触子部3に不要ガスが接触しにくいため、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスによるガス遮断器1の絶縁性能、電流遮断性能の劣化を軽減することができる。
【0191】
第5の変形例にかかる実施形態によれば、アークに吹き付けられた消弧性ガスが発生する、オゾン等の消弧性ガスより比重が重い不要ガスが、気室57aに滞留させられ、一酸化炭素等の消弧性ガスより比重が軽い不要ガスが、気室57bに滞留させられ、ガス遮断器1を構成する絶縁部材、第1の固定接触子部2、第2の固定接触子部4、可動接触子部3に不要ガスが接触しにくいため、不要ガスによるガス遮断器1の絶縁性能、電流遮断性能の劣化を軽減することができる。
【0192】
第5の変形例にかかる実施形態によれば、気室57a、57bは、密閉容器8から突出したカップ形状の部材により構成されるので、密閉容器8の容積を小さくすることができる。その結果、設置場所が狭くても設置しやすい、コンパクトなガス遮断器を提供することができる。
【0193】
第5の変形例にかかる実施形態によれば、気室57a、57bは、密閉容器8から突出したカップ形状の部材により構成されるので、簡単な部材で気室57a、57bを構成することができ、製造しやすいガス遮断器を提供することができる。
【0194】
第5の変形例にかかる実施形態では、気室57a、気室57bは、密閉容器8を構成する円筒状部材の円筒周囲に突出した、カップ形状の部材により構成されるものとしたが、気室57a、気室57bが配置される箇所はこれに限られない。気室57a、気室57bは、図11のように配置されるものであってもよい。
【0195】
図11に示すようにガス遮断器1は、開放端方向が地平面反対側、駆動装置方向が地平面側に設置される構成とし、気室58aが密閉容器8の地平面側の円筒底部に、気室58bが密閉容器8の地平面反対側の円筒頭部に外側に突出して配置されるようにしてもよい。
【0196】
このように、気室58a、気室58bが配置されることにより、ガス遮断器1の設置場所をフレキシブルに選択することができる。例えば、ガス遮断器1の周辺に他の機器が隣接する場合、狭い設置面積にてガス遮断器1を設置することができる。
【0197】
第5の変形例にかかる実施形態では、気室57a、57bまたは気室58a、58bは、密閉容器8の外側に突出して配置された、中空のカップ形状の部材であるものとした。カップ形状を構成する気室57a、57bまたは気室58a、58bは密閉容器8に対し、機械加工や溶接により接合されるようにし、シーリング用のパッキン等を用いない構造としてもよい。シーリング用のパッキン等を用いない構造とすることにより、シーリング材料のオゾンによる劣化防ぎ、消弧性ガスの漏洩を軽減することができる。
【0198】
[2.第2実施形態]
[2-1.構成]
第2実施形態にかかるガス遮断器について図12を参照して説明する。なお、この第2実施形態のガス遮断器の構成において、図1図11に示す第1実施形態と同一部分は同一符号で示す。
【0199】
第1実施形態にかかるガス遮断器1は、密閉容器8内に、気室51aを有するが、第2実施形態におけるガス遮断器は、密閉容器8内に、オゾン分解触媒61aが配置された気室51aを有する点が相違する。
【0200】
図12に示すように、密閉容器8は、中空に構成された二つの円錐台部82、83の接合部分に円筒部81を有し、円筒部81は、地平面側に平坦部81aを地平面反対側に平坦部81bを有する。円筒部81の地平面側の平坦部81aの内側に、消弧性ガスより比重が重いオゾン等の不要ガスを溜める気室51aが構成され、気室51aにオゾン分解触媒61aが配置される。第1実施形態と同様に円筒部81の地平面反対側の平坦部81bの内側に、消弧性ガスより比重が軽い一酸化炭素等の不要ガスを溜める気室51bが構成される。
【0201】
[2-2.作用]
【0202】
電流遮断時に発生したアークにより、固定アーク接触子21および可動アーク接触子31の間は、所謂アークプラズマ状態となる。このアークプラズマ状態内の消弧性ガスは、高温・高圧となり不要ガスを発生する反応を生じる。分子量が大きく重いオゾンは密閉容器8の地平面側に沈殿し、分子量が小さく軽い一酸化炭素は密閉容器8の地平面反対側に上昇し滞留する。
【0203】
気室51aおよび気室51bは、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスを溜める。密閉容器8の地平面側に配置された気室51aは、消弧性ガスより比重が重いオゾン等の不要ガスを溜め、不要ガスが気室51a外部に流れ出ることを軽減する。密閉容器8の地平面反対側に配置された気室51bは、消弧性ガスより比重が軽い一酸化炭素等の不要ガスを溜め、不要ガスが気室51b外部に流れ出ることを軽減する。
【0204】
気室51aに配置されたオゾン分解触媒61aは、活性炭により構成される。気室51aの底部に活性炭が配置される。オゾン分解触媒61aである活性炭によりオゾンO3は、以下のように分解される。
2O3 + C → CO2 + CO2 + 679kJ・・・(反応9)
上記反応は発熱反応であり高温を発する。反応の発熱により前述の反応6、7にかかるオゾン分解反応がさらに加速される。
【0205】
活性炭は一般的には吸着剤として知られるが,非極性物質に対する吸着効果が高い。活性炭は炭素で形成され、炭素はオゾンに対して下記の反応10、11の触媒反応を生じさせる。
【化1】
【0206】
オゾン分解触媒61aである活性炭は、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスであるオゾンを分解する。
【0207】
オゾン分解触媒61aは、活性炭に代替し、または、活性炭に加え、マンガン、アルミニウム、セリウム、バリウム、プラチナ、パラジウム、ロジウム、ルテリウムであってもよい。上記反応10および反応11に示す酸素原子の解離再結合反応は炭素の他、マンガン、アルミニウム、セリウム、バリウム、プラチナ、パラジウム、ロジウム、ルテリウムを用いても得られる。
【0208】
また活性炭はH2O吸着効果を有する。気室51aの底部に配置されたオゾン分解触媒61aである活性炭は、密閉容器8内の水分を吸着する。また、オゾン分解触媒61aである活性炭は、フッ化水素を吸着する。
【0209】
[2-3.効果]
(1)本実施形態によれば、気室51a内に、オゾン分解触媒61aが配置されるので、発生した不要ガスであるオゾンが分解される。
【0210】
(2)本実施形態によれば、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスであるオゾンがオゾン分解触媒61aにより分解されるので、ガス遮断器1を構成する絶縁部材、第1の固定接触子部2、第2の固定接触子部4、可動接触子部3に不要ガスが、接触しにくく、不要ガスによるガス遮断器1の絶縁性能、電流遮断性能の劣化を軽減することができる。
【0211】
(3)本実施形態によれば、オゾン分解触媒61aは、活性炭、炭素、マンガン、アルミニウム、セリウム、バリウム、プラチナ、パラジウム、ロジウム、ルテリウムのうち少なくとも一つを含むので、一般的な触媒にて、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスによる絶縁性能、電流遮断性能の劣化を軽減することができるガス遮断器を提供することができる。
【0212】
(4)本実施形態によれば、さらに、オゾン分解触媒61aである活性炭が、気室51aの底部に配置されるので、密閉容器8内の水分も吸着することができる。また、オゾン分解触媒61aである活性炭はフッ化水素を吸着するため、ガス遮断器1の劣化を軽減することができる。
【0213】
[2-4.変形例]
(1)第1の変形例
図13に示すように、密閉容器8の円筒部81の高さL1が、電流遮断時に固定アーク接触子21と可動アーク接触子31との間に発生するアークの長さL2以上であるように、構成されるようにしてもよい。円筒部81の地平面側の平坦部81aの内側に構成された、消弧性ガスより比重が重いオゾン等の不要ガスを溜める気室51aにオゾン分解触媒61aが配置される。
【0214】
円筒部81の高さL1は、電流遮断時に固定アーク接触子21と可動アーク接触子31との間に発生するアークの長さL2以上であるので、より気室51aの容積を増やすことができる。これによりアークにより発生した不要ガスが拡散した場合であっても、より確実に不要ガスが気室51aに溜められ、気室51a内に配置されたオゾン分解触媒61aにより、不要ガスであるオゾンが、より確実に分解される。
【0215】
また、密閉容器8の円筒部81の高さL1が、密閉容器8をなす円錐台部82、または円錐台部83の高さL3以上であるように構成してもよい。円錐台部82、83の高さL3を短くすることができるので、円錐台部82、83の成形が容易であり、製造しやすいガス遮断器1を提供することができる。
【0216】
(2)第2の変形例
上記実施形態に加え、図14または図15に示すように、密閉容器8における、二つの円錐台部82、83が接合された円筒部81の、地平面反対側の平坦部81bの内側に構成された気室51bにも、オゾン分解触媒61bが配置されるようにしてもよい。
【0217】
オゾン分解触媒61bである活性炭は、反応10、反応11に加え、下記の反応12のように一酸化炭素を二酸化炭素に還元する。
【化2】
【0218】
気室51bに配置された活性炭により、上記の反応12のように一酸化炭素が二酸化炭素に還元される。
【0219】
気室51bに配置された活性炭により、一酸化炭素が二酸化炭素に還元されるので、ガス遮断器1を構成する絶縁部材、第1の固定接触子部2、第2の固定接触子部4、可動接触子部3に不要ガスが、接触しにくく、不要ガスによるガス遮断器1の絶縁性能、電流遮断性能の劣化を軽減することができる。
【0220】
(3)上記実施形態に加え、第1実施形態にかかる、図4に示す第2の変形例における気室51a、図5、6に示す第3の変形例における気室54a、気室55a、図7に示す第4の変形例における気室56a、図9、11に示す第5の変形例における気室57a、気室58aに、オゾン分解触媒61aを配置し、オゾンを分解するようにしてもよい。このように構成することにより、密閉容器8の容積を小さくすることができる。その結果、設置場所が狭くても設置しやすい、コンパクトなガス遮断器を提供することができる。
【0221】
(4)上記実施形態に加え、第1実施形態にかかる、図4に示す第2の変形例における気室51b、図5、6に示す第3の変形例における気室54b、気室55b、図7に示す第4の変形例における気室56b、図9、11に示す第5の変形例における気室57b、気室58bに、オゾン分解触媒61bである活性炭を配置し、一酸化炭素を分解するようにしてもよい。このように構成することにより、密閉容器8の容積を小さくすることができる。その結果、設置場所が狭くても設置しやすい、コンパクトなガス遮断器を提供することができる。
【0222】
[3.第3実施形態]
[3-1.構成]
第3実施形態にかかるガス遮断器1について図16を参照して説明する。なお、この第3実施形態のガス遮断器1の構成において、図1図11に示す第1実施形態と同一部分は同一符号で示す。
【0223】
第1実施形態にかかるガス遮断器1は、密閉容器8内に、気室51a、51bを有するが、第3実施形態におけるガス遮断器1は、さらに、気室51aに接続された排気管62a、気室51bに接続された排気管62b、気室51a近傍に配置されたセンサ63a、気室51b近傍に配置されたセンサ63bを有する点が相違する。
【0224】
図16に示すように、密閉容器8は、中空に構成された二つの円錐台部82、83の接合部分に円筒部81を有し、円筒部81は、地平面側に平坦部81aを地平面反対側に平坦部81bを有する。第1実施形態と同様に、円筒部81の地平面側の平坦部81aの内側に、消弧性ガスより比重が重いオゾン等の不要ガスを溜める気室51aが構成される。また、円筒部81の地平面反対側の平坦部81bの内側に、消弧性ガスより比重が軽い一酸化炭素等の不要ガスを溜める気室51bが構成される。
【0225】
円筒部81の地平面側の平坦部81aに設けられた気室51aには、排気管62aが接続される。排気管62aは、気室51aを介し密閉容器8の内部から外部へ不要ガスが通る、流路を構成する。
【0226】
排気管62aは、アルミニウム等の金属からなるパイプにより構成される。排気管62aは、密閉容器8の地平面側の気室51aに配置される。また、排気管62aは、密閉容器8の外部であり、密閉容器8の内部から外部へと通ずる中腹に、排気管62aを開閉するコック64aを有する。
【0227】
排気管62aは、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスのうち消弧性ガスより比重が重いオゾンを排出する。作業者によりコック64aが開栓され、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスのうち消弧性ガスより比重が重いオゾンが回収される。
【0228】
センサ63aは、半導体等からなるオゾンセンサにより構成される。センサ63aは、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスを検出するセンサである。センサ63aは、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスのうちオゾンの濃度を検出する。センサ63aは、密閉容器8内の地平面側の気室51a近傍に配置される。センサ63aの出力信号は、外部のデータロガー(図中不示)等に入力される。
【0229】
円筒部81の地平面反対側の平坦部81bに設けられた気室51bには、排気管62bが接続される。排気管62bは、気室51bを介し密閉容器8の内部から外部へ不要ガスが通る、流路を構成する。
【0230】
排気管62bは、アルミニウム等の金属からなるパイプにより構成される。排気管62bは、密閉容器8の地平面側の気室51bに配置される。また、排気管62bは、密閉容器8の外部であり、密閉容器8の内部から外部へと通ずる中腹に、排気管62bを開閉するコック64aを有する。
【0231】
排気管62bは、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスのうち消弧性ガスより比重が軽い一酸化炭素を排出する。作業者によりコック64bが開栓され、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスのうち消弧性ガスより比重が軽い一酸化炭素が回収される。
【0232】
センサ63bは、半導体等からなる一酸化炭素センサにより構成される。センサ63bは、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスを検出するセンサである。センサ63bは、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスのうち一酸化炭素の濃度を検出する。センサ63bは、密閉容器8内の地平面反対側の気室51b近傍に配置される。センサ63bの出力信号は、外部のデータロガー(図中不示)等に入力される。
【0233】
[3-2.作用]
上述のとおり、アークに吹き付けられた消弧性ガスは、オゾンおよび一酸化炭素を含む不要ガスを発生する。オゾンは、消弧性ガスより比重が重いため、密閉容器8の地平面側の気室51aに滞留する。また、一酸化炭素は、消弧性ガスより比重が軽いため、密閉容器8の地平面反対側の気室51bに滞留する。
【0234】
滞留したオゾンおよび一酸化炭素は、時間の経過とともに滞留量が減少する。しかしながら、滞留量の減少に要する時間が経過する前に、ガス遮断器1の遮断動作が繰り返された場合、オゾンおよび一酸化炭素は累積的に蓄積される。
【0235】
作業者は、センサ63aから出力されるオゾンの濃度および、センサ63bから出力される一酸化炭素の濃度をデータロガー等の外部装置によりモニターする。
【0236】
センサ63aから出力されるオゾンの濃度および、センサ63bから出力される一酸化炭素の濃度をモニターすることにより、作業者は、オゾンおよび一酸化炭素の滞留量を知ることができる。
【0237】
オゾンの滞留量が一定値異常であると判断した場合、作業者は、コック64aを開栓し、排気管62aを介しオゾンを回収する。一酸化炭素の滞留量が一定値異常であると判断した場合、作業者は、コック64bを開栓し、排気管62bを介し一酸化炭素を回収する。
【0238】
[3-3.効果]
(1)本実施形態によれば、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスを検出するセンサ63a、63bを有するので、作業者は、オゾンおよび一酸化炭素の滞留量を知ることができる。
【0239】
(2)本実施形態によれば、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスを排出する排気管62a、62bを有するので、作業者は、オゾンおよび一酸化炭素を排気管62a、62bから回収することができる。その結果、オゾンおよび一酸化炭素が密閉容器8内から除去され、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスによる絶縁性能、電流遮断性能の劣化を軽減することができるガス遮断器を提供することができる。
【0240】
[3-4.変形例]
(1)図17に示すように、密閉容器8の円筒部81の高さL1が、電流遮断時に固定アーク接触子21と可動アーク接触子31との間に発生するアークの長さL2以上であるように、構成されるようにしてもよい。気室51aに排気管62aが、気室51bに排気管62bが接続される。また気室51a近傍にセンサ63aが、気室51b近傍にセンサ63bが配置される。
【0241】
円筒部81の高さL1は、電流遮断時に固定アーク接触子21と可動アーク接触子31との間に発生するアークの長さL2以上であるので、より気室51a、気室51bの容積を増やすことができる。これによりアークにより発生した不要ガスが拡散した場合であっても、より確実に不要ガスが気室51a、気室51bに溜められる。
【0242】
不要ガスのうち消弧性ガスより比重が重いオゾンは、気室51aに溜められ、より確実に排気管62aから排出される。また、センサ63aにより、より確実にオゾンの濃度が検出される。
【0243】
不要ガスのうち消弧性ガスより比重が軽い一酸化炭素は、気室51bに溜められ、より確実に排気管62bから排出される。また、センサ63bにより、より確実に一酸化炭素の濃度が検出される。
【0244】
また、密閉容器8の円筒部81の高さL1が、密閉容器8をなす円錐台部82、または円錐台部83の高さL3以上であるように構成してもよい。円錐台部82、83の高さL3を短くすることができるので、円錐台部82、83の成形が容易であり、製造しやすいガス遮断器1を提供することができる。
【0245】
(2)上記実施形態では、センサ63aは、半導体等からなるオゾンセンサとしたが、センサ63aは、これに限られない。センサ63aは、紫外線吸収方式のオゾンセンサ等であってもよい。また、センサ63aは、密閉容器8の気室51a近傍に配置されるものとしたがセンサ63aが配置される箇所はこれに限られない。センサ63aは、密閉容器8外部の排気管62aに配置されるものであってもよい。
【0246】
(3)上記実施形態では、センサ63bは、半導体等からなる一酸化炭素センサとしたが、センサ63bは、これに限られない。センサ63bは、赤外線吸収方式の一酸化炭素センサ等であってもよい。また、センサ63bは、密閉容器8の気室51b近傍に配置されるものとしたがセンサ63bが配置される箇所はこれに限られない。センサ63bは、密閉容器8外部の排気管62aに配置されるものであってもよい。
【0247】
(4)上記実施形態に代替し、第1実施形態にかかる、図4に示す第2の変形例における気室51a、図5、6に示す第3の変形例における気室54a、気室55a、図7に示す第4の変形例における気室56a、図9、11に示す第5の変形例における気室57a、気室58aに、排気管62aが接続され、近傍にセンサ63aが配置されるようにしてもよい。このように構成することにより、密閉容器8の容積を小さくすることができる。その結果、設置場所が狭くても設置しやすい、コンパクトなガス遮断器を提供することができる。
【0248】
(5)上記実施形態に代替し、第1実施形態にかかる、図4に示す第2の変形例における気室51b、図5、6に示す第3の変形例における気室54b、気室55b、図7に示す第4の変形例における気室56b、図9、11に示す第5の変形例における気室57b、気室58bに、排気管62bが接続され、近傍にセンサ63bが配置されるようにしてもよい。このように構成することにより、密閉容器8の容積を小さくすることができる。その結果、設置場所が狭くても設置しやすい、コンパクトなガス遮断器を提供することができる。
【0249】
(6)上記実施形態では、排気管62aは気室51aに接続され、センサ63aは気室51aの近傍に配置されるものとしたが、排気管62a、センサ63aが配置される箇所はこれに限られない。図18に示すように、密閉容器8が気室51aを有さず、排気管62aが密閉容器8の地平面側に接続され、センサ63aが密閉容器8内部の地平面側に配置されるものであってもよい。
【0250】
(7)上記実施形態では、排気管62bは気室51bに接続され、センサ63bは気室51bの近傍に配置されるものとしたが、排気管62b、センサ63bが配置される箇所はこれに限られない。図18に示すように、密閉容器8が気室51bを有さず、排気管62bが密閉容器8の地平面反対側に接続され、センサ63bが密閉容器8内部の地平面反対側に配置されるものであってもよい。
【0251】
[4.第4実施形態]
[4-1.構成]
第4実施形態にかかるガス遮断器1について図19を参照して説明する。なお、この第4実施形態のガス遮断器1の構成において、図1図11に示す第1実施形態と同一部分は同一符号で示す。
【0252】
第1実施形態にかかるガス遮断器1は、密閉容器8内に、気室51a、51bを有するが、第4実施形態におけるガス遮断器1は、さらに、密閉容器8の外部に設けられ、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスを分解する処理部67と、密閉容器8から不要ガスを含む消弧性ガスを処理部67に送る排出管65a、65bと、処理部67で、不要ガスが分解された消弧性ガスを密閉容器8に送る送気管66を有する点が相違する。
【0253】
図19に示すように、密閉容器8の外部に、処理部67が配置される。密閉容器8には、消弧性ガスを処理部67に送る排出管65a、排出管65bと、処理部67で、不要ガスが分解された消弧性ガスを密閉容器8に送る送気管66が接続される。
【0254】
密閉容器8は、中空に構成された二つの円錐台部82、83の接合部分に円筒部81を有し、円筒部81は、地平面側に平坦部81aを地平面反対側に平坦部81bを有する。第1実施形態と同様に、円筒部81の地平面側の平坦部81aの内側に、消弧性ガスより比重が重いオゾン等の不要ガスを溜める気室51aが構成される。また、円筒部81の地平面反対側の平坦部81bの内側に、消弧性ガスより比重が軽い一酸化炭素等の不要ガスを溜める気室51bが構成される。
【0255】
円筒部81の地平面側の平坦部81aに設けられた気室51aには、排出管65aが接続される。排出管65aは、不要ガスを気室51aから密閉容器8の外部に配置された処理部67へ送る流路を構成する。
【0256】
排出管65aは、アルミニウム等の金属からなるパイプにより構成される。排出管65aは、密閉容器8の地平面側の気室51aに配置される。また、排出管65aは、密閉容器8の外部であり、処理部67へ至る中間に、排出管65aを開閉するコック68aを有する。
【0257】
排出管65aは、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスのうち消弧性ガスより比重が重いオゾンを処理部67へ送る。作業者によりコック68aが開栓され、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスのうち消弧性ガスより比重が重いオゾンが処理部67へ送られる。
【0258】
円筒部81の地平面反対側の平坦部81bに設けられた気室51bには、排出管65bが接続される。排出管65bは、不要ガスを気室51bから密閉容器8の外部に配置された処理部67へ送る流路を構成する。
【0259】
排出管65bは、アルミニウム等の金属からなるパイプにより構成される。排出管65bは、密閉容器8の地平面側の気室51bに配置される。また、排出管65bは、密閉容器8の外部であり、処理部67へ至る中間に、排出管65bを開閉するコック68bを有する。
【0260】
排出管65bは、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスのうち消弧性ガスより比重が軽い一酸化炭素を処理部67へ送る。作業者によりコック68bが開栓され、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスのうち消弧性ガスより比重が軽い一酸化炭素が処理部67へ送られる。
【0261】
送気管66は、アルミニウム等の金属からなるパイプにより構成される。送気管66の一端は、密閉容器8と接続され、送気管66の他端は、処理部67に接続される。また、送気管66は、密閉容器8の外部であり、処理部67から密閉容器8へ至る中間に、送気管66を開閉するコック68cを有する。送気管66は、駆動装置方向よりの密閉容器8と接続されることが望ましい。
【0262】
送気管66は、処理部67で、不要ガスが除去された消弧性ガスを密閉容器8に送る。
【0263】
処理部67は、アルミニウムケース等の金属により構成されたケースに内蔵されたオゾン分解触媒により構成される。処理部67は、密閉容器8の外部に配置される。処理部67の入力側は、排出管65a、排出管65bを介し、密閉容器8に接続される。処理部67の出力側は、送気管66を介し、密閉容器8に接続される。
【0264】
処理部67内に設けられたブロア(図中不示)により、密閉容器8の地平面側に設けられた気室51aおよび排出管65aを介し、不要ガスであるオゾンを含む消弧性ガスが処理部67に送られる。また、密閉容器8の地平面反対側に設けられた気室51bおよび排出管65bを介し、不要ガスである一酸化炭素を含む消弧性ガスが処理部67に送られる。
【0265】
処理部67のオゾン分解触媒として、活性炭が使用される。処理部67は、アークに吹き付けられた消弧性ガスが含む不要ガスであるオゾンおよび一酸化炭素を混合し、上記の反応10、11、12を引き起こし分解する。密閉容器8から排出管65a、排出管65bを介し排出された不要ガスを含む消弧性ガスは、オゾンおよび一酸化炭素が分解された後、送気管66を介し密閉容器8に送出される。
【0266】
[4-2.作用]
上述のとおり、アークに吹き付けられた消弧性ガスは、オゾンおよび一酸化炭素を含む不要ガスを発生する。オゾンは、消弧性ガスより比重が重いため、密閉容器8の地平面側の気室51aに滞留する。また、一酸化炭素は、消弧性ガスより比重が軽いため、密閉容器8の地平面反対側の気室51bに滞留する。
【0267】
排出管65aは、密閉容器8の地平面側の気室51aに配置されている。作業者によりコック68aおよびコック68cが開栓された後、処理部67内に設けられたブロア(図中不示)により、密閉容器8の地平面側に滞留したオゾンを含む消弧性ガスは、排出管65aを介し処理部67に送られる。
【0268】
排出管65bは、密閉容器8の地平面反対側の気室51bに配置されている。作業者によりコック68bおよびコック68cが開栓された後、処理部67内に設けられたブロア(図中不示)により、密閉容器8の地平面反対側に滞留した一酸化炭素を含む消弧性ガスは、排出管65bを介し処理部67に送られる。
【0269】
処理部67は、アルミニウムケース等の金属により構成されたケース内に、オゾン分解触媒である活性炭を有する。処理部67は、処理部67内に設けられたブロア(図中不示)により、密閉容器8の地平面側に設けられた気室51aおよび排出管65aを介し、不要ガスであるオゾンを含む消弧性ガスおよび密閉容器8の地平面反対側に設けられた気室51bおよび排出管65bを介し、不要ガスである一酸化炭素を含む消弧性ガスを吸引する。
【0270】
処理部67は、排出管65aを介して吸引したオゾンおよび排出管65bを介して吸引した一酸化炭素を混合し、上記の反応10、11、12を引き起こし分解する。処理部67は、排出管65aを介して吸引したオゾンおよび排出管65bを介して吸引した一酸化炭素を分解した後、送気管66を介し密閉容器8に送出する。
【0271】
[4-3.効果]
(1)本実施形態によれば、密閉容器8の外部に設けられ、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスを分解する処理部67と、密閉容器8から不要ガスを含む消弧性ガスを処理部67に送る排出管65a、65bと、処理部67で、不要ガスが分解された消弧性ガスを密閉容器8に送る送気管66を有するので、不要ガスが分解されアークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスによる絶縁性能、電流遮断性能の劣化を軽減することができるガス遮断器を提供することができる。
【0272】
(2)本実施形態によれば、排出管65aは、密閉容器8の地平面側に配置され、消弧性ガスが発生する不要ガスのうち消弧性ガスより比重が重いオゾンを排出し、排出管65bは、密閉容器8の地平面反対側に配置され、消弧性ガスが発生する不要ガスのうち消弧性ガスより比重が軽い一酸化炭素を排出し、処理部67は排出管65aを介して吸引したオゾンおよび排出管65bを介して吸引した一酸化炭素を混合し、分解するので、不要ガスによる絶縁性能、電流遮断性能の劣化を軽減することができるガス遮断器を提供することができる。
【0273】
(3)本実施形態によれば、不要ガスであるオゾンおよび一酸化炭素を含む消弧性ガスは、処理部67により、オゾンおよび一酸化炭素が分解された後に送気管66を介し密閉容器8に送出されるので、密閉容器8内の消弧性ガスの圧力の低下を避けることができる。また、密閉容器8外部に、不要ガスであるオゾンおよび一酸化炭素が拡散することを防止することができる。
【0274】
[4-4.変形例]
(1)図20に示すように、密閉容器8の円筒部81の高さL1が、電流遮断時に固定アーク接触子21と可動アーク接触子31との間に発生するアークの長さL2以上であるように、構成されるようにしてもよい。気室51aに排出管65aが、気室51bに排出管65bが接続される。不要ガスを含む消弧性ガスは、排出管65a、65bを介し処理部67に送られる。不要ガスは処理部67により分解され、送気管66を介し密閉容器8に送られる。
【0275】
円筒部81の高さL1は、電流遮断時に固定アーク接触子21と可動アーク接触子31との間に発生するアークの長さL2以上であるので、より気室51a、気室51bの容積を増やすことができる。これによりアークにより発生した不要ガスが拡散した場合であっても、より確実に不要ガスが排出管65a、65bを介し処理部67に送られる。
【0276】
また、密閉容器8の円筒部81の高さL1が、密閉容器8をなす円錐台部82、または円錐台部83の高さL3以上であるように構成してもよい。円錐台部82、83の高さL3を短くすることができるので、円錐台部82、83の成形が容易であり、製造しやすいガス遮断器1を提供することができる。
【0277】
(1)上記実施形態では、オゾンを含む消弧性ガスを処理部67に送る排出管65aおよび一酸化炭素を含む消弧性ガスを処理部67に送る排出管65bの双方を有するものとしたが、オゾンを含む消弧性ガスを処理部67に送る排出管65a、一酸化炭素を含む消弧性ガスを処理部67に送る排出管65bのうちいずれか一方を有するものであってもよい。不要ガスとしてオゾン、一酸化炭素のうちいずれか一方を処理部67にて吸着させるようにしてもよい。
【0278】
(2)上記実施形態に加え、図21図22に示すように密閉容器8の地平面側にセンサ63aを有していてもよい。センサ63aは、半導体等からなるオゾンセンサにより構成される。センサ63aは、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスを検出するセンサである。センサ63aは、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスのうちオゾンの濃度を検出する。センサ63aは、密閉容器8内の地平面側の気室51a近傍に配置される。センサ63aの出力信号は、外部のデータロガー(図中不示)等に入力される。
【0279】
センサ63aから出力されるオゾンの濃度をモニターすることにより、作業者は、オゾンの滞留量を知ることができる。オゾンの濃度が予め定められた濃度を超えた場合に、作業者は、コック68a、68cを開栓し、処理部67を動作させオゾンの処理を行うことができる。
【0280】
(3)上記実施形態に加え、図21図22に示すように密閉容器8の地平面反対側にセンサ63bを有していてもよい。センサ63bは、半導体等からなる一酸化炭素センサにより構成される。センサ63bは、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスを検出するセンサである。センサ63bは、アークに吹き付けられた消弧性ガスから発生した不要ガスのうち一酸化炭素の濃度を検出する。センサ63bは、密閉容器8内の地平面側の気室51b近傍に配置される。センサ63bの出力信号は、外部のデータロガー(図中不示)等に入力される。
【0281】
センサ63bから出力される一酸化炭素の濃度をモニターすることにより、作業者は、一酸化炭素の滞留量を知ることができる。一酸化炭素の濃度が予め定められた濃度を超えた場合に、作業者は、コック68b、68cを開栓し、処理部67を動作させ一酸化炭素の処理を行うことができる。
【0282】
(4)上記実施形態では、排出管65aは、一端が密閉容器8と接続され、他端が処理部67に接続されるものとした。同じく排出管65bは、一端が密閉容器8と接続され、他端が処理部67に接続されるものとした。しかしながら、排出管65aおよび排出管65bは、図23図24に示すようにマニホールド化され統合されて処理部67に接続されるようにしてもよい。このように構成することにより、オゾンと一酸化炭素が混合され、不要ガスの分解をより効率よく行うことができる。
【0283】
(5)上記実施形態に代替し、第1実施形態にかかる、図4に示す第2の変形例における気室51a、図5、6に示す第2の変形例における気室54a、気室55a、図7に示す第4の変形例における気室56a、図9、11に示す第5の変形例における気室57a、気室58aに、排出管65aが接続されるようにしてもよい。このように構成することにより、密閉容器8の容積を小さくすることができる。その結果、設置場所が狭くても設置しやすい、コンパクトなガス遮断器を提供することができる。
【0284】
(6)上記実施形態に代替し、第1実施形態にかかる、図4に示す第2の変形例における気室51b、図5、6に示す第3の変形例における気室54b、気室55b、図7に示す第4の変形例における気室56b、図9、11に示す第5の変形例における気室57b、気室58bに、排出管65bが接続されるようにしてもよい。このように構成することにより、密閉容器8の容積を小さくすることができる。その結果、設置場所が狭くても設置しやすい、コンパクトなガス遮断器を提供することができる。
【0285】
(7)上記実施形態では、排出管65aは気室51aに接続されるものとしたが、排出管65aが配置される箇所はこれに限られない。図25に示すように、密閉容器8が気室51aを有さず、排出管65aが密閉容器8の地平面側に接続されるものであってもよい。
【0286】
(8)上記実施形態では、排出管65bは気室51bに接続されるものとしたが、排出管65bが配置される箇所はこれに限られない。図25に示すように、密閉容器8が気室51bを有さず、排出管65bが密閉容器8の地平面反対側に接続されるものであってもよい。
【0287】
[5.他の実施形態]
変形例を含めた実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。以下は、その一例である。
【0288】
(1)上記実施形態では、二酸化炭素(CO2ガス)を主成分とする消弧性ガスを用いるものとしたが、消弧性ガスはこれに限られない。消弧性ガスは、不要ガスを発生する他の成分により構成されたガスであってもよい。
【符号の説明】
【0289】
1・・・ガス遮断器
2,4・・・固定接触子部
3・・・可動接触子部
5,51a,51b,54a,54b,55a,55b,56a,56b,57a,57b,58a,58b・・・気室
7a,7b・・・電力供給線
8・・・密閉容器
9・・・駆動装置
21・・・固定アーク接触子
22・・・固定通電接触子
24・・・通気筒
25・・・排気管
31・・・可動アーク接触子
32・・・可動通電接触子
33・・・絶縁ノズル
34・・・シリンダ
34a・・・貫通孔
35・・・操作ロッド
36・・・蓄圧室
37・・・絶縁ロッド
41・・・通電接触子
42・・・ピストン
42a・・・ピストン支え
43・・・サポート
61a,61b・・・オゾン分解触媒
62a,62b・・・排気管
63a,63b・・・センサ
64a,64b・・・コック
65a,65b・・・排出管
66・・・送気管
67・・・処理部
68a,68b,68c・・・コック
81・・・円筒部
81a,81b・・・平坦部
82,83・・・円錐台部
82a,82b,83a,83b,84a,84b,85a,85b・・・テーパー部
82c,83c・・・底部
86・・・円筒部

図1
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