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特許7119225PDGF受容体に対する抗体およびその用途
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】PDGF受容体に対する抗体およびその用途
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/28 20060101AFI20220808BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20220808BHJP
   C07K 16/44 20060101ALI20220808BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20220808BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20220808BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20220808BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220808BHJP
   A61K 31/407 20060101ALI20220808BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20220808BHJP
   A61K 31/7036 20060101ALI20220808BHJP
   A61K 31/4725 20060101ALI20220808BHJP
   A61K 31/537 20060101ALI20220808BHJP
   A61K 31/197 20060101ALI20220808BHJP
   A61K 31/555 20060101ALI20220808BHJP
   A61K 38/12 20060101ALI20220808BHJP
   A61K 36/07 20060101ALI20220808BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20220808BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220808BHJP
   C12P 21/08 20060101ALN20220808BHJP
   C07D 487/04 20060101ALN20220808BHJP
   C07D 471/04 20060101ALN20220808BHJP
   C07D 491/22 20060101ALN20220808BHJP
   C07D 498/18 20060101ALN20220808BHJP
   C07H 15/203 20060101ALN20220808BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C07K16/46
C07K16/44
C12N15/13
C12N15/62 Z
C07K19/00
A61K39/395 C
A61K39/395 L
A61K31/407
A61K31/437
A61K31/7036
A61K31/4725
A61K31/537
A61K31/197
A61K31/555
A61K38/12
A61K36/07
A61P27/02
A61P35/00
C12P21/08
C07D487/04 137
C07D471/04 104Z
C07D491/22
C07D498/18 311
C07H15/203
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2021518726
(86)(22)【出願日】2019-10-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 KR2019013122
(87)【国際公開番号】W WO2020071881
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-04-05
(31)【優先権主張番号】62/741,733
(32)【優先日】2018-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513246872
【氏名又は名称】ソウル大学校産学協力団
【氏名又は名称原語表記】SEOUL NATIONAL UNIVERSITY R&DB FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】スヒョン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヒョリ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ドン・ヒョン・ジョ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・フン・キム
(72)【発明者】
【氏名】スリ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ドンミン・カン
(72)【発明者】
【氏名】ドビン・ファン
(72)【発明者】
【氏名】ジュンホ・チュン
【審査官】名和 大輔
(56)【参考文献】
【文献】Methods,2019,154,p.125-135,Epub-2018-Oct-4
【文献】Exp.Mol.Med.,2018,50(5),p.1-14
【文献】Exp.Mol.Med.,2013,45(9),e43
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 1/00-19/00
C12N 15/00-15/90
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血小板由来成長因子受容体-ベータ(platelet-derived growth factor receptor beta、PDGFR-β)を特異的に結合し、重鎖可変領域と軽鎖可変領域とを含む抗-PDGF受容体抗体またはその抗原結合断片であって、
(a)配列番号33~35のアミノ酸配列をそれぞれ含むVH-CDR1~VH-CDR3と、配列番号36~38のアミノ酸配列をそれぞれ含むVL-CDR1~VL-CDR3とを含むか、又は、
(b)配列番号41~43のアミノ酸配列をそれぞれ含むVH-CDR1~VH-CDR3と、配列番号44~46のアミノ酸配列をそれぞれ含むVL-CDR1~VL-CDR3とを含むか、又は、
(c)配列番号49~51のアミノ酸配列をそれぞれ含むVH-CDR1~VH-CDR3と、配列番号52~54のアミノ酸配列をそれぞれ含むVL-CDR1~VL-CDR3とを含むものである、
抗-PDGF受容体抗体またはその抗原結合断片
【請求項2】
前記抗-PDGF受容体抗体またはその抗原結合断片は、PDGFR-βの細胞外領域に特異的に結合するものである、請求項1に記載の抗-PDGF受容体抗体またはその抗原結合断片。
【請求項3】
前記抗-PDGF受容体抗体またはその抗原結合断片は、PDGF-BBと非-競争的に結合するものである、請求項1に記載の抗-PDGF受容体抗体またはその抗原結合断片。
【請求項4】
前記抗-PDGF受容体抗体またはその抗原結合断片は、
配列番号39のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号40のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むか、又は、
配列番号47のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号48のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むか、又は、
配列番号55のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号56のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むものである、
請求項3に記載の抗-PDGF受容体抗体またはその抗原結合断片。
【請求項5】
前記抗-PDGF受容体抗体またはその抗原結合断片は、PDGFR-βを発現する細胞によって内在化されるものである、請求項1に記載の抗-PDGF受容体抗体またはその抗原結合断片。
【請求項6】
前記抗-PDGF受容体抗体は、完全な抗体はIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4形態である、請求項1に記載の抗-PDGF受容体抗体またはその抗原結合断片。
【請求項7】
前記抗体の抗原結合断片は、scFv、(scFv)、scFv-Fc、Fab、Fab’およびF(ab’)からなる群より選択されるものである、請求項1に記載の抗-PDGF受容体抗体またはその抗原結合断片。
【請求項8】
前記抗体の抗原結合断片は、N-末端からC-末端方向に順次に軽鎖可変領域(VL)、リンカーおよび重鎖可変領域(VH)を含むscFvである、請求項に記載の抗-PDGF受容体抗体またはその抗原結合断片。
【請求項9】
前記抗-PDGF受容体抗体またはその抗原結合断片は、化学療法薬物、ハプテン(hapten)、酵素、ペプチド、アプタマー(aptamer)、毒素、親和性リガンド、または検出標識が接合されたものである、請求項に記載の抗-PDGF受容体抗体またはその抗原結合断片。
【請求項10】
前記ハプテンは、コチニン、DNP(2,4-dinitrophenol)、TNP(2,4,6-trinitrophenol)、biotin、またはdigoxigeninである、請求項に記載の抗-PDGF受容体抗体またはその抗原結合断片。
【請求項11】
前記ハプテンは、化学療法薬物が結合したものである、請求項に記載の抗-PDGF受容体抗体またはその抗原結合断片。
【請求項12】
請求項1~のいずれか1項に記載の血小板由来成長因子受容体-ベータ(platelet-derived growth factor receptor beta、PDGFR-β)を特異的に結合する抗-PDGF受容体抗体またはその抗原結合断片と、化学療法薬物に対するハプテンに対する抗体またはその抗原結合断片を含む、抗-PDGF受容体と前記ハプテンとを特異的に結合する二重特異抗体。
【請求項13】
抗-PDGF受容体抗体の抗原結合断片とハプテンに結合する抗体の抗原結合断片を含むものである、請求項1に記載の二重特異抗体。
【請求項14】
前記二重特異抗体は、前記抗-PDGF受容体抗体のscFvと、化学療法薬物に対するハプテンに対する抗体のscFvとが直接または第1リンカーを介して連結されたものである、請求項1に記載の二重特異抗体。
【請求項15】
前記二重特異抗体は、前記抗-PDGF受容体抗体のscFvのC-末端と、化学療法薬物に対するハプテンに対する抗体のscFvのN-末端とが第1リンカーを介して連結されたものである、請求項1に記載の二重特異抗体。
【請求項16】
抗-PDGF受容体抗体の重鎖可変領域と軽鎖可変領域が第2リンカーを介して連結されたscFvと、抗-コチニン抗体の重鎖可変領域と軽鎖可変領域が第3リンカーを介して連結されたscFvとが、第1リンカーを介して連結された、請求項1に記載の二重特異抗体。
【請求項17】
前記化学療法薬物は、duocarmycin、calicheamicin、pyrrolobenzodiazepine(PBD)、anthracycline、nemorubicin、doxorubicin、Irinotecan、amatoxin、auristatin、maytansine、tubulysin、SN-38、5-Aminolaevulinic acid(ALA)、Benzoporphyrin derivative monoacid ring A(BPD-MA)、Chlorins、Tetra(m-hydroxyphenyl)chlorin(mTHPC)、またはLutetium texaphyrinである、請求項1に記載の二重特異抗体。
【請求項18】
請求項1~のいずれか1項に記載の抗-PDGF受容体抗体またはその抗原結合断片を含むPDGF受容体を発現する細胞に薬物を伝達する薬物伝達体。
【請求項19】
前記薬物免疫療法剤または化学療法剤である、請求項18に記載の薬物伝達体。
【請求項20】
前記抗-PDGF受容体抗体は、化学療法薬物に対するハプテンに対する抗体またはその抗原結合断片を追加的に含み、抗-PDGF受容体と前記ハプテンとを特異的に結合するものである、請求項18に記載の薬物伝達体。
【請求項21】
請求項1~のいずれか1項に記載の抗-PDGF受容体抗体またはその抗原結合断片、または請求項1~1のいずれか1項に記載の抗-PDGF受容体抗体またはその抗原結合断片と薬物に対するハプテンに対する抗体またはその抗原結合断片を含む、抗-PDGF受容体と前記ハプテンとを特異的に結合する二重特異抗体と薬物を含む眼球の血管新生性疾患の予防、改善または治療用薬学組成物。
【請求項22】
前記眼球の血管新生性疾患は、虚血性網膜病症、紅彩血管新生、眼内血管新生、老人性黄斑変性、角膜血管新生、網膜血管新生、脈絡膜血管新生、糖尿病性網膜虚血または増殖性糖尿病性網膜病症である、請求項2に記載の薬学組成物。
【請求項23】
請求項1~のいずれか1項に記載の抗-PDGF受容体抗体またはその抗原結合断片、または請求項14~18のいずれか1項に記載の抗-PDGF受容体抗体またはその抗原結合断片と薬物に対するハプテンに対する抗体またはその抗原結合断片を含む、抗-PDGF受容体と前記ハプテンとを特異的に結合する二重特異抗体と、化学療法薬物を含む癌疾患の予防、改善または治療用薬学組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PDGF受容体に対する抗体、前記PDGF受容体に対する抗体に化学療法剤を接合した抗体-薬物接合体およびこれを用いた眼球の血管新生性疾患の予防または治療用途に関する。
【背景技術】
【0002】
血管新生(neovascularization)とも呼ばれる血管形成(angiogenesis)は、既存の血管から突出部が形成され、これらが周辺組織に浸潤する段階を伴う。これと関連がある過程の脈管形成(vasculogenesis)は、組織全体にすでに存在している内皮細胞と血管芽細胞が分化し、以降にはこれらが共に連結されながら血管が形成される段階を伴う。
【0003】
血管形成は発生中に広範囲に行われ、また、健康な身体においても損傷や傷害後に組織への血流復旧のための創傷治癒の間に行われる。しかし、血管形成は癌および腫瘍形成とも関連がある。
【0004】
各種眼球障害は、血管形成における変更を伴う。例えば、成人失明の原因の一つである糖尿病性網膜病症は過度の血管形成と関連がある。非増殖性網膜病症は網膜内の血管周囲細胞の選択的消失を伴い、このような消失によって関連毛細管が拡張して血流が増加する。拡張された毛細管では内皮細胞が増殖し嚢状突出を形成して微細動脈瘤になり、隣接毛細管が遮断されてこれら微細動脈瘤周辺の網膜領域で灌流が起こらない。実際に、微細動脈瘤の隣接領域の間では短絡血管が現れ、初期糖尿病性網膜病症の臨床的像は微細動脈瘤および灌流されない網膜領域があることが分かる。微細動脈瘤で漏出が生じて毛細血管が裂けることがあり、滲出と出血を起こしかねない。増殖性糖尿病性網膜病症は、網膜の一部領域が引き続き毛細血管を消失し灌流されない状態になり、ディスクおよび網膜上の他の領域で新しい血管が現れる時に発生する。このような新しい血管は、ガラス質および出血部位に成長しやすくて網膜前出血を起こす。増殖性糖尿病性網膜病症が進展すれば、過度のガラス質出血がガラス体腔内の大部分を満たすことがある。また、新しい血管は牽引性網膜剥離を起こしうる繊維状組織の増殖を伴う。
【0005】
黄斑浮腫および増殖性糖尿病性網膜病症の早期治療は95%の患者で5年間失明を予防するが、治療が遅れればたった50%の患者でのみ失明が予防される。したがって、早期診断および早期治療が必須である。
【0006】
血管新生に伴う他の眼球障害は、老人性黄斑変性(AMD)である。AMDは、網膜の中央領域である黄斑で起こる一連の病理変化を特徴とし、特に中心部視力に影響を及ぼす視力問題を伴う。網膜色素上皮は、AMDで厚くなり、硬化する基底膜複合体のブルッフ膜上に存在する。新しい血管は、豊富な血管層を含有する下側脈絡膜からブルッフ膜を通過しながら生成されることがある。次に、これら血管は網膜色素上皮の下側のみならず網膜色素上皮と感覚性網膜との間で乳液を漏出させたり出血を起こすことがある。以降の線維性瘢痕形成は、光受容体細胞への栄養分の供給を遮断して、これら細胞を死滅させて中心部視力の喪失を招く。このような類型の老人性黄斑病症は、漏出血管および網膜下浮腫または血液のため、「湿性(wet type)」と呼ばれる。「乾性(dry type)」老人性黄斑病症は、網膜色素上皮がその上に存在する光受容体細胞の消失とともに崩壊することを伴う。このような乾性は視力を低下させる。
【0007】
このような血管形成調節子の中で、信号伝達分子のPDGF族に属するPDGF-B構成員の役割が研究されているが、これらがたまに壁在性細胞、例えば、血管平滑筋、血管間細胞および血管周囲細胞とも称される血管周囲細胞の形成、増殖および適当な機能を行ううえで所定の役割を果たすとされるからである。
【0008】
PDGFファミリー(family)は、単量体PDGF-A、PDGF-B、PDGF-CおよびPDGF-Dと、二量体PDGF-AA、PDGF-AB、PDGF-BB、PDGF-CCおよびPDGF-DDから構成されている。PDGF二量体の結合により、PDGFはPDGF受容体αとβに結合する。前記PDGF受容体はチロシンリン酸化酵素の一種で、αα、ββおよびαβ二量体として3つの組み合わせを形成することができる。PDGF受容体の細胞外領域は、5つの免疫グロブリン様領域から構成されており、細胞内領域は、チロシンリン酸化領域を含んでいる。受容体のリガンド結合部位は、最初3つの免疫グロブリン様領域に位置する。PDGFは、PDGF受容体の免疫グロブリン様ドメイン2と3に結合して受容体の二量体化を誘導し、追加的な安定化のために、免疫グロブリン様ドメイン4と5を含む直接的な受容体-受容体の相互作用を誘導する。
【0009】
PDGF-CCは特に、PDGF受容体-ααおよびPDGF受容体-αβと相互作用するが、PDGFR-ββとは相互作用しないので、PDGF-ABと類似している。PDGF-DDは、PDGFR-ββと高い親和力で結合し、PDGF受容体-αβとははるかに低い程度で結合するので、PDGFR-ββに特異的と見なされる。PDGF-AAは、単にPDGF受容体-ααとのみ結合し、PDGF-BBは唯一すべての3つの組み合わせの受容体と高い親和力で結合する。
【0010】
PDGFとPDGF受容体との間の過度の信号は、腎臓細胞癌腫、肺癌、膠芽腫、慢性リンパ性白血病、前立腺癌のような多くの癌において重要な役割を果たす。PDGF受容体は、腫瘍成長、関連血管、stromal fibroblast(間質線維芽細胞)などに直接影響を与えて腫瘍持続力を促進することによって腫瘍成長を促進する。
【0011】
PDGFとPDGF受容体の信号伝達を標的とする単クローン抗体として、Olaratumab(IMC-3G3、LartruvoTM)は、PDGF受容体αと特異的に結合し、PDGF-AA、PDGF-BB、およびPDGF-CCの結合および受容体の活性化を防止しPDGFR-βと交差反応しないα-PDGFRに対する組換え型ヒトIgG1抗体である。Olaratumabとドキソルビシンの併用療法がドキソルビシンの単独使用に比べて全体平均生存率を大きく向上させたという後期軟部組織肉腫のIb/II段階の研究結果に基づき、Olaratumabは2016年10月に米国で初めて癌治療承認を受けた。
【0012】
抗体-薬物接合体(antibody-drug conjugates、ADCs)は、細胞毒性剤(cytotoxic drug)-単一抗体(monoclonal antibodies)を含む治療剤であって、非標的(off-target)毒性を最小化しながら、標的抗原を発現する癌細胞に毒性剤を伝達する治療剤である。
【0013】
最適化抗体-薬物接合体開発のためには、抗体、リンカー、結合部位、腫瘍の種類、抗原発現率、毒性物、薬物-抗体比率(drug to antibody ratio、DAR)などの複雑な考慮事項がある。例えば、結合部位は、結合率、親和力、安定性に影響を与える。薬物-接合体は、細胞内に内在化(Internalize)して薬物を放出するため、毒性効能は薬物をどれだけ効果的に細胞内に伝達するかが重要である。また、細胞表面にある同一ターゲット抗原にくっつく抗体同士も内在化効率性が異なる。かくして、効率的に内在化する抗体を選別することは、抗体-薬物複合体の効能に極めて重要である。薬物の細胞毒性効能は、標的抗原に対する抗体-薬物接合体の再循環(recycle)と細胞内輸送(intracellular trafficking)などの多くの要因があるため、内在化する抗体の毒性率を精密に測定する方法は、実際の抗体-薬物接合体を作製した後に確認することができる。残念ながら、様々な種類の抗体を用いた抗体-薬物接合体の候補物質を作るのに多くの努力と時間が費やされている。
【0014】
現在流通しているPDGFR-β治療剤は、PDGFリガンドの対抗(antagonistic)効果に集中しており、PDGFR-βの内在化に効率的に内在化することができない。よって、PDGFRβに効率的に内在化してPDGFR-βを発現する細胞の内部に抗体または抗体と薬物接合体を伝達できる抗体の開発が求められるのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の一例は、抗-PDGF受容体、詳しくは、PDGF受容体-βを特異的に認識する抗体または抗体の抗原結合断片に関する。
【0016】
本発明のさらなる例は、前記抗-PDGF受容体抗体または抗体の抗原結合断片に薬物が接合された抗体-薬物接合体に関する。前記抗体-薬物接合体は、抗-PDGF受容体抗体に薬物が非共有的または共有的結合で結合した結合体であってもよい。
【0017】
本発明のさらに他の例は、抗-PDGF受容体抗体またはこれら抗体の抗原結合断片は、薬物と接合できるヘプテンを特異的に認識する抗体または抗体の抗原結合断片を含む二重特異的抗体であってもよい。
【0018】
前記抗体の抗原結合断片は、抗原結合部位は少なくとも1つのCDRを有する抗体の部位を意味し、これは、scFv、(scFv)、scFv-Fc、Fab、Fab’およびF(ab’)であってもよい。
【0019】
本発明の一例は、抗-PDGF受容体抗体を含む、PDGF受容体、詳しくは、PDGF受容体-βを細胞表面に有し、細胞または組織に薬物を伝達する薬物伝達体の用途に関する。前記薬物伝達体は、抗-PDGF受容体抗体またはこれら抗体の抗原結合断片は薬物と接合できるヘプテンを特異的に認識する抗体または抗体の抗原結合断片を含む二重特異的抗体であってもよい。前記薬物伝達体がヘプテンを認識する抗体またはその抗原結合断片が結合したものである場合、前記薬物は、ヘプテンと結合してヘプテンを介して抗-PDGF受容体抗体またはその抗原結合断片に結合して標的細胞または組織に伝達されるものであってもよい。前記標的細胞に伝達される薬物は、PDGFまたはPDGF受容体関連疾患、例えば、血管新生性疾患の予防、改善または治療用薬物であってもよい。前記薬物は、免疫療法剤または化学療法剤であってもよいし、前記免疫療法剤は、抗体であってもよい。
【0020】
本発明の一例は、前記抗-PDGF受容体抗体または抗体の抗原結合断片に薬物が接合された抗体-薬物接合体、抗-PDGF受容体抗体または抗体の抗原結合断片にヘプテンを介して薬物が接合された抗体-薬物接合体を含む、血管新生性疾患の予防、改善または治療用薬学組成物に関する。
【0021】
本発明の一例は、血管新生性疾患を患っていると診断されたか、血管新生性疾患の発病の危険がある対象を治療する方法であって、前記対象に1次治療剤または補助治療剤として前記疾患を予防、改善または治療するのに十分な量で、前記抗-PDGF受容体抗体または抗体の抗原結合断片に薬物が接合された抗体-薬物接合体、抗-PDGF受容体抗体または抗体の抗原結合断片にヘプテンを介して薬物が接合された抗体-薬物接合体を投与する段階を含む。
【課題を解決するための手段】
【0022】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0023】
本発明の一例は、抗-PDGF受容体、詳しくは、PDGF受容体-β(PDGFR-β)を特異的に認識する抗体または抗体の抗原結合断片に関する。
【0024】
本発明で使用された「抗体」は、抗原の刺激により作られる物質である。抗体の例としては、動物抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体などを含み、これに限定されない。
【0025】
また、分離された抗原結合部位も、本発明の抗体の範疇内に属する。相補性領域(complementary-determining region、CDR)は、抗原特異性に重要な抗体の可変部位(variable region)を意味する。前記説明された抗原結合部位は、少なくとも1つのCDRを有する抗体の部位を意味し、これは、scFv、(scFv)、scFv-Fc、Fab、Fab’およびF(ab’)であってもよいし、好ましくは、scFvであってもよい。前記抗体は、多クローン抗体または単クローン抗体であってもよい。前記抗体は、すべてのサブタイプの免疫グロブリン(例えば、IgA、IgD、IgE、IgG(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)、IgMなど)から選択されたものであってもよい。前記IgG形態の抗体は、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4サブタイプ、例えば、IgG1またはIgG2サブタイプ形態であってもよい。
【0026】
本発明に使用された、抗体または免疫グロブリンの鎖(重鎖または軽鎖)の「抗原結合断片」は、全長鎖と比較して一部のアミノ酸が欠如したが、抗原に特異的に結合できる抗体の一部を含むものである。このような抗原結合断片は、標的抗原に特異的に結合でき、または他の抗体または抗原結合断片と特定のエピトープに結合するために競争できるという側面から、生物学的に活性があるといえる。具体的には、前記抗原結合断片は、前記相補性決定領域を1つ以上含む抗体断片、例えば、scFv、(scFv)、scFv-Fc、Fab、Fab’およびF(ab’)からなる群より選択されるものであってもよいが、これに限定しない。このような生物学的活性断片は、組換えDNA技術によって生産されるか、または例えば完全な抗体を酵素的または化学的切断して生産できる。免疫学的に機能的な免疫グロブリン断片はこれに限定しない。
【0027】
非-ヒト(例えば、ニワトリ、マウス、ラットなど)抗体の「ヒト化」形態は、非-ヒト免疫グロブリンから誘導された最小の配列を含有する特異的キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖またはその断片(例えば、Fv、Fab、Fab’、F(ab)または抗体のその他の抗原-結合結果物)である。概して、ヒト化抗体は、受容子抗体の相補的決定領域(CDR)からの残基が、所望の特異性、親和度および能力を有するマウス、ラットまたはウサギのような非-ヒト種(供与子抗体)のCDRからの残基に代替されたヒトイムノグロブリン(受容子抗体)である。いくつかのケースにおいて、ヒトイムノグロブリンのFvフレームワーク領域(FR)の残基は、相応する非-ヒトFR残基に代替される。また、ヒト化抗体は、受容子抗体においても、導入されたCDRまたはFR配列でも発見されない残基を含むこともできる。前記変形を行って抗体の性能を追加的に精練し最適化することができる。一般に、ヒト化抗体は、すべてまたは実質的にすべてのCDR領域が非-ヒトイムノグロブリンの領域に相応し、すべてまたは実質的にすべてのFR残基がヒトイムノグロブリンコンセンサス配列の残基である少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含む。ヒト化抗体はまた、最適にはイムノグロブリン不変領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒトイムノグロブリンの少なくとも一部を含む。
【0028】
本発明は、PDGFR-β isoformの細胞外領域(extracellular domain)に対する抗体である。PDGF受容体はチロシンリン酸化酵素の一種で、PDGFR-αおよびPDGFR-βの2つのisoformがあり、これらはαα、ββおよびαβ二量体として3つの組み合わせを形成することができる。PDGF受容体の構造は、5つの免疫グロブリン様ドメインから構成された細胞外領域、膜貫通領域、および細胞内領域(チロシンリン酸化領域)を含んでいる。受容体のリガンド結合部位は、細胞外領域を構成する5つの免疫グロブリン様ドメイン(immunoglobulin-like)のうち、前方に位置する3つの免疫グロブリン様領域に位置する。PDGFは、PDGF受容体の免疫グロブリン様ドメイン2と3に結合して受容体の二量体化を誘導し、さらなる安定化のために、免疫グロブリン様ドメイン4と5を含む直接的な受容体-受容体の相互作用を誘導することが知られている。
【0029】
本発明による抗体は、ファージディスプレイ技術(文献[McCafferty et al.,(1990)Nature,348:552-553])を用いて、試験管内で非免疫化された供与子からのイムノグロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーからヒト抗体および抗体断片を生産することができる。
【0030】
本発明は、PDGFR-βに特異的に結合する分離された抗体またはその抗原結合断片に関し、前記抗体または抗原結合断片は、重鎖の相補性決定部位と軽鎖の相補性決定部位を含み、PDGFR-βに特異的に結合するポリペプチド、タンパク質または抗体またはその抗原結合断片であってもよい。
【0031】
具体的な一例は、抗-PDGFR-β抗体およびその抗原結合断片は、
(i)H-CDR1、H-CDR2およびH-CDR3からなる群より選択された1つ以上の重鎖相補性決定領域、または前記1つ以上の重鎖相補性決定領域を含む重鎖可変領域;
(ii)L-CDR1、L-CDR2およびL-CDR3からなる群より選択された1つ以上の軽鎖相補性決定領域、または前記1つ以上の軽鎖相補性決定領域を含む軽鎖可変領域;
前記1つ以上の重鎖相補性決定領域および前記1つ以上の軽鎖相補性決定領域の組み合わせ;または
前記重鎖可変領域および前記軽鎖可変領域の組み合わせ
を含むものであってもよい。
【0032】
追加的に、前記重鎖可変領域、前記軽鎖可変領域、または前記重鎖可変領域および前記軽鎖可変領域の組み合わせにおいて、前記重鎖可変領域は、H-FR1、H-FR2、H-FR3およびH-FR4からなる群より選択された1つ以上の重鎖フレームワークを含むことができ、前記軽鎖可変領域は、L-FR1、L-FR2、L-FR3およびL-FR4からなる群より選択された1つ以上の軽鎖フレームワークを含むことができる。
【0033】
本発明による(i)H-CDR1、H-CDR2またはH-CDR3の重鎖相補性決定部位は、下記表1および表2に記載のアミノ酸配列の中から選択されるか、前記選択されたアミノ酸配列と実質的な配列同一性を有する1つ以上のアミノ酸配列を含む。また、(ii)L-CDR1、L-CDR2またはL-CDR3の軽鎖相補性決定部位は、下記表1および表2に記載のアミノ酸配列の中から選択されるか、前記選択されたアミノ酸配列と実質的な配列同一性を有する1つ以上のアミノ酸配列を含む。
【0034】
本発明において、単鎖Fvは、重鎖および軽鎖可変領域が直接またはリンカーによって連結された抗原結合領域の単一ポリペプチド鎖であって、重鎖可変領域と軽鎖可変領域が単一鎖形態で連結されたscFv、scFvダイマーのような構造(di-scFv)、および重鎖可変領域、軽鎖可変領域、およびFcが単一鎖形態で連結されたscFv-Fcなどからなる群より選択された1種以上であってもよい。単鎖Fvは、重鎖および軽鎖可変領域がリンカーによって連結可能であり、リンカーは特に限定されず、例えば、下記表2の配列番号57のアミノ酸配列を有するリンカー配列であってもよい。
【0035】
本発明において、標的抗原の一例として、マウスまたはヒトの血小板由来成長因子受容体-ベータ(platelet-derived growth factor receptor beta、PDGFR-β)に対する抗体を含み、前記抗体のscFvを二重特異抗体の製造に使用することができる。例えば、scFvは、抗体のCDR1~CDR3を有するheavy chainと、CDR1~CDR3を有するlight chainとがリンカーで連結されている抗体であってもよい。追加的に、二重特異抗体として、(抗-PDGFR-β抗体のscFv)-Cκ-(抗-コチニン抗体のscFv)の融合タンパク質は、各抗体のheavy chainの3つのCDRおよびlight chainの3つのCDRを含むことができ、これは、下記表2に明示されたようにCκで連結可能である。
【0036】
具体的な一例において、本発明による標的抗原の一例であるマウスPDGFR-β(mPDGFR-β)に対する抗体の具体的な一例は、PRb-CN01、PRb-CC01、PRb-CC02およびPRb-CC03であり、これらの重鎖可変領域、軽鎖可変領域およびこれら領域のCDR配列を下記表1に示す。
【0037】
【表1-1】
【表1-2】
【0038】
前記PRb-CN01、PRb-CC01、PRb-CC02およびPRb-CC03抗体のうち、PRb-CC01、PRb-CC02、PRb-CC03は、mPDGF-BBと競争して、結合部位がPDGFR-βの免疫グロブリン様ドメイン2および/または3と見なされ、PRb-CN01は、mPDGF-BBと競争せず、PDGFR-βの免疫グロブリン様ドメイン1、4または5に結合すると予想される。PRb-CN01とPRb-32は、いずれもmPDGF-BBの有/無に関係なく同一の毒性を示し、PRb-CN01およびPRb-32は、代理抗体(surrogate)であることを確認した(図20A図20B)。
【0039】
本発明による新規な抗体、例えば、PRb-CN01、PRb-CC01、PRb-CC02およびPRb-CC03抗体、抗体断片、その混合物または誘導体は、抗-コチニン抗体と二重抗体を製造した場合に、PDGF受容体に対して1x10-7M~1x10-10Mの範囲の結合親和性を有する。
【0040】
前記PRb-CN01、PRb-CC02およびPRb-CC03抗体はエンドソームを介して細胞内在化することを確認したが、PRb-CC01は内在化されないことを確認した。薬物-接合体は、細胞内に内在化(Internalize)して薬物を放出するため、毒性効能は薬物をどれだけ効果的に細胞内に伝達するかが重要である。また、細胞表面にある同一ターゲット抗原にくっつく抗体同士も内在化効率性が異なる。かくして、効率的に内在化する抗体を選別することは、抗体-薬物複合体の効能に極めて重要である。
【0041】
また、前記PRb-CN01、PRb-CC01、PRb-CC02およびPRb-CC03抗体は細胞毒性を示し、4つの抗体のうち、特にPRb-CN01がcotinine-duocarmycinとcomplexを形成する場合、最も高い細胞毒性(cytotoxicity)を示すため、duocarmycinのような薬物の最も効果的な標的化伝達体として考えられる。mPDGF-BBを追加した後にも、cot-duoまたはcot-duo-cotと複合体をなしたPRb-CN01含有二重抗体の細胞毒性は依然として高かったが、mPDGF-BBを追加すれば、mPDGF-BBと競争するcot-duoまたはcot-duo-cotと複合体をなした3つの抗体(PRb-CC01、PRb-CC02およびPRb-CC03)の毒性がやや減少した。本発明において、PRb-CN01を含む二重抗体は、PDGF-BBと競争せず、PDGF-BBと関係なく細胞毒性を誘発した(図5A図5D)。
【0042】
本発明による標的抗原の一例であるヒトPDGFR-β(hPDGFR-β)に対する抗体の具体的な一例は、PRb-CN16、PRb-CN32およびPRb-CN26であり、これらの重鎖可変領域、軽鎖可変領域およびこれら領域のCDR配列を下記表2に示す。
【0043】
【表2-1】
【表2-2】
【0044】
前記PRb-CN16、PRb-CN32およびPRb-CN26抗体は、いずれもhPDGF-BBと競争せず、よって、hPDGFR-βの免疫グロブリン様ドメイン1、4または5に結合すると予想される。前記PRb-CN16、PRb-CN32およびPRb-CN26抗体は、いずれもhPDGFR-β、mPDGFRβ、レサスPDGFRβ、サイノモルガスPDGFRβおよびスーススクローファPDGFR-βに結合することが確認される。PRb-CN01とPRb-32は、いずれもmPDGF-BBの有/無に関係なく同一の毒性を示し、PRb-CN01およびPRb-32は、代理抗体(surrogate)であることを確認した(図20A図20B)。
【0045】
本発明による新規な抗体、例えば、PRb-CN16、PRb-CN32およびPRb-CN26抗体、抗体断片、その混合物または誘導体は、抗-コチニン抗体と二重抗体を製造した場合に、PDGF受容体に対して1x10-7M~1x10-11Mの範囲の結合親和性を有する。
【0046】
本発明による標的抗原の一例であるヒトPDGFR-β(hPDGFR-β)に対する抗体の細胞内在化性能評価において、hPDGF-BBがない場合、PRb-CN32がhuman pericyte細胞に内在化を最も良くし、その次にPRb-CN16であり、PRb-CN26は内在化しない。また、細胞内在化性能評価でhPDGF-BBを共に処理した場合、PRb-CN16、PRb-CN32およびPRb-CN26抗体は、いずれも細胞内在化性能に優れている。薬物-接合体を製造する場合、細胞内に内在化(Internalize)して薬物を放出するため、本発明によるhPDGFR-β抗体が標的細胞に移動して内在化が良くなるので、前記抗体を用いて薬物-接合体を製造する場合、細胞内に内在化(Internalize)して細胞内に薬物を放出するため、薬物の効能増加に寄与する。Wet type AMDおよびPDGFR-βが問題になる疾患を有する患者はPDGFR-βの発現レベルの増加および/またはPDGF-BBの発現レベルが増加し、この増加した発現レベルにより抗体の内在化または効能が抑制される傾向がある。これに関連し、本発明による抗-PDGFR-β抗体は、PDGF-BBの発現レベルが増加しても、抗体の内在化レベルが抑制されなかったり、内在化がさらに増加するという利点がある。
【0047】
前記PRb-CN16、PRb-CN32およびPRb-CN26抗体のうち、特にPRb-CN32とPRb-CN26がcotinine-duocarmycinとcomplexを形成する場合、最も高い細胞毒性(cytotoxicity)を示すので、duocarmycinのような薬物の最も効果的な標的化伝達体として考えられる。
【0048】
前記PRb-CN16、PRb-CN32、PRb-CN26のすべては、PDGFR-βの発現細胞株においてhPDGF-BBの有/無に関係なく対照抗-mCD154xcotinine scFv-Cκ-scFv対比、高い毒性を示し、特にPRb-CN26とPRb-CN32が高い細胞毒性を示す(図14Aおよび14B)。また、前記PRb-CN16、PRb-CN32、PRb-CN26のすべては、hPDGFR-βを発現しない細胞株において対照抗-mCD154xcotinine scFv-Cκ-scFv対比、細胞毒性が同等である。よって、hPDGFRb非発現細胞株とhPDGFRb発現細胞株に対する二重抗体-薬物の毒性(IC50)の差を有し、hPDGFRbを発現する細胞により低い濃度で毒性を示して、当該濃度では正常細胞または正常組織には毒性を最小化しながら、hPDGFR-βが多く発現する病的な細胞または組織に特異的により多くの毒性を示す。また、Wet type AMDおよびPDGFR-βが問題になる疾患を有する患者は、PDGFR-βの発現レベルの増加(C.Zehetner et al.,Invest Ophthalmol Vis Sci.55(2014)337-44)および/またはPDGF-BBの発現レベルが増加し(C.Zehetner,R.Kirchmair,S.B.Neururer,M.T.Kralinger,N.E.Bechrakis,G.F.Kieselbach,Systemic upregulation of PDGF-B in patients with neovascular AMD,Invest Ophthalmol Vis Sci.55(2014)337-44))、この増加した発現レベルにより抗体の内在化または効能が抑制される傾向がある。これに関連し、本発明による抗-PDGFR-β抗体は、PDGF-BBの発現レベルが増加しても、抗体の内在化レベルが抑制されなかったり、内在化がさらに増加するという利点がある。
【0049】
さらに詳しくは、本発明による抗体は、血小板由来成長因子受容体-ベータ(platelet-derived growth factor receptor beta、PDGFR-β)を特異的に結合し、重鎖可変領域と軽鎖可変領域とを含む抗-PDGF受容体抗体またはその抗原結合断片:
前記抗-PDGF抗体の重鎖可変領域は、配列番号1、9、17、25、33、41または49のアミノ酸配列を含むVH-CDR1と、配列番号2、10、18、26、34、42または50のアミノ酸配列を含むVH-CDR2と、配列番号3、11、19、27、35、43または51のアミノ酸配列を含むVH-CDR3とを含み、
前記抗-PDGF抗体の軽鎖可変領域は、配列番号4、12、20、28、36、44または52のアミノ酸配列を含むVL-CDR1と、配列番号5、13、21、29、37、45または53のアミノ酸配列を含むVL-CDR2と、配列番号6、14、22、30、38、46または54のアミノ酸配列を含むVL-CDR3とを含む。
【0050】
前記抗体は、前記抗-PDGF受容体抗体またはその抗原結合断片は、PDGF-BBと非-競争的に結合するものであってもよいし、例えば、重鎖可変領域は、配列番号1、33、41または49のアミノ酸配列を含むVH-CDR1と、配列番号2、34、42または50のアミノ酸配列を含むVH-CDR2と、配列番号3、35、43または51のアミノ酸配列を含むVH-CDR3とを含み、
軽鎖可変領域は、配列番号4、36、44または52のアミノ酸配列を含むVL-CDR1と、配列番号5、37、45または53のアミノ酸配列を含むVL-CDR2と、配列番号6、38、46または54のアミノ酸配列を含むVL-CDR3とを含むものであってもよい。
【0051】
前記抗-PDGF受容体抗体またはその抗原結合断片は、PDGFR-βを発現する細胞によって内在化されるものであってもよいし、例えば、
重鎖可変領域は、配列番号1、17、25、33、41または49のアミノ酸配列を含むVH-CDR1と、配列番号2、18、26、34、42または50のアミノ酸配列を含むVH-CDR2と、配列番号3、19、27、35、43または51のアミノ酸配列を含むVH-CDR3とを含み、
軽鎖可変領域は、配列番号4、20、28、36、44または52のアミノ酸配列を含むVL-CDR1と、配列番号5、21、29、37、45または53のアミノ酸配列を含むVL-CDR2と、配列番号6、22、30、38、46または54のアミノ酸配列を含むVL-CDR3とを含むものであってもよい。
【0052】
本発明の具体的な抗-PDGF受容体抗体またはその抗原結合断片は、
(a)配列番号1~3のアミノ酸配列をそれぞれ含むVH-CDR1~VH-CDR3と、配列番号4~6のアミノ酸配列をそれぞれ含むVL-CDR1~VL-CDR3とを含み、
(b)配列番号9~11のアミノ酸配列をそれぞれ含むVH-CDR1~VH-CDR3と、配列番号12~14のアミノ酸配列をそれぞれ含むVL-CDR1~VL-CDR3とを含み、
(c)配列番号17~19のアミノ酸配列をそれぞれ含むVH-CDR1~VH-CDR3と、配列番号20~22のアミノ酸配列をそれぞれ含むVL-CDR1~VL-CDR3とを含み、
(d)配列番号25~27のアミノ酸配列をそれぞれ含むVH-CDR1~VH-CDR3と、配列番号28~30のアミノ酸配列をそれぞれ含むVL-CDR1~VL-CDR3とを含み、
(e)配列番号33~35のアミノ酸配列をそれぞれ含むVH-CDR1~VH-CDR3と、配列番号36~38のアミノ酸配列をそれぞれ含むVL-CDR1~VL-CDR3とを含み、
(f)配列番号41~43のアミノ酸配列をそれぞれ含むVH-CDR1~VH-CDR3と、配列番号44~46のアミノ酸配列をそれぞれ含むVL-CDR1~VL-CDR3とを含み、または
(g)配列番号49~50のアミノ酸配列をそれぞれ含むVH-CDR1~VH-CDR3と、配列番号52~54のアミノ酸配列をそれぞれ含むVL-CDR1~VL-CDR3とを含むことができる。
【0053】
本発明の一例は、抗-PDGF受容体抗体を含む、PDGF受容体、詳しくは、PDGF受容体-βを細胞表面に有し、細胞または組織に薬物を伝達する薬物伝達体の用途に関する。前記抗-PDGF受容体抗体またはその抗原結合断片は、抗-PDGF受容体を有するターゲット細胞に標的化し、ターゲット細胞の内部に内在化(internlization)されて、ターゲット細胞の内部に、抗体またはその抗原結合断片に接合された物質を効率的に伝達することができる。前記伝達可能な薬物は、抗-PDGF受容体抗体に直接またはリンカーを介して結合して抗体-薬物接合体を形成することができるか、ハプテン-薬物接合体を形成してハプテンを介して抗-PDGF受容体抗体に結合できる薬物であってもよい。
【0054】
本発明の一例は、抗-PDGF受容体抗体またはその抗原結合断片は、化学療法薬物、酵素、ペプチド、アプタマー(aptamer)、毒素、親和性リガンド、または検出標識のような接合化合物を接合した抗体またはその抗原結合断片と接合化合物を含む複合体を提供する。前記接合化合物の種類によって、前記複合体は疾病の診断または治療に多様に適用可能である。
【0055】
本発明のさらなる例は、前記抗-PDGF受容体抗体または抗体の抗原結合断片に薬物が接合された抗体-薬物接合体に関する。前記抗体-薬物接合体は、抗-PDGF受容体抗体に薬物が非共有的または共有的結合で結合した結合体であってもよい。
【0056】
本願において、「接合体」または「コンジュゲート」は、本願に開示された抗体またはその抗原結合断片と他の分子、特に後述する治療剤とのキメラ分子を称するものである。コンジュゲートにおいて、本願による抗体またはその抗原結合断片は、他の分子と、例えば、共有結合またはファンデルワールスまたは疎水性相互作用による物理的力、カプセル化、埋め込み化(embedding)または前記組み合わせを含む方法によって物理的に結合する。一実施形態によるコンジュゲートにおいて、本願による抗体またはその抗原結合断片は、ペプチドリンカーを介して連結可能である。
【0057】
本発明のさらに他の例は、抗-PDGF受容体抗体またはこれら抗体の抗原結合断片は、薬物と接合できるヘプテンを特異的に認識する抗体または抗体の抗原結合断片を含む二重特異的抗体であってもよい。前記抗体の抗原結合断片は、抗原結合部位は少なくとも1つのCDRを有する抗体の部位を意味し、これは、scFv、(scFv)、scFv-Fc、Fab、Fab’およびF(ab’)であってもよい。本発明において、「多重特異抗原結合タンパク質」または「多重特異抗体」は、2つ以上の抗原またはエピトープを標的とするもので、2つ以上の抗原結合部位を含む。本発明において、「二重特異」または「二重特異的」抗原結合タンパク質または抗体は、2つの異なる抗原結合部位を有するハイブリッド抗原結合タンパク質または抗体である。このような二重特異的抗体は、多重特異的抗原結合タンパク質または多重特異的抗体の一種で、公知の多様な方法、例えば、ハイブリドーマの融合またはFab’断片の連結によって生産できる。
【0058】
本発明による薬物伝達体がヘプテンを認識する抗体またはその抗原結合断片が結合したものである場合、前記薬物は、ヘプテンと結合してヘプテンを介して抗-PDGF受容体抗体またはその抗原結合断片に結合して標的細胞または組織に伝達されるものであってもよい。前記標的細胞に伝達される薬物は、PDGFまたはPDGF受容体関連疾患、例えば、血管新生性疾患の予防、改善または治療用薬物であってもよい。
【0059】
本発明の一例は、前記抗-PDGF受容体抗体または抗体の抗原結合断片に薬物が接合された抗体-薬物接合体、抗-PDGF受容体抗体または抗体の抗原結合断片にヘプテンを介して薬物が接合された抗体-薬物接合体を含む、血管新生性疾患の予防、改善または治療用薬学組成物に関する。
【0060】
本発明の一例は、血管新生性疾患を患っていると診断されたか、血管新生性疾患の発病の危険がある対象を治療する方法であって、前記対象に1次治療剤または補助治療剤として前記疾患を予防、改善または治療するのに十分な量で、前記抗-PDGF受容体抗体または抗体の抗原結合断片に薬物が接合された抗体-薬物接合体、抗-PDGF受容体抗体または抗体の抗原結合断片にヘプテンを介して薬物が接合された抗体-薬物接合体を投与する段階を含む。
【0061】
さらに他の例において、本発明の薬学的組成物は、眼球の血管新生性疾患を予防、改善、抑制または治療するための手段を提供する。
【0062】
本発明の薬学組成物によって治療または抑制できる眼球の血管新生性疾患(ocular neovascular disorder)は、虚血性網膜病症(ischemic retinopathy)、紅彩血管新生(iris neovascularization)、眼内血管新生(intraocular neovascularization)、老人性黄斑変性(age-related macular degeneration)、角膜血管新生(corneal neovascularization)、網膜血管新生(retinal neovascularization)、脈絡膜血管新生(choroidal neovascularization)、糖尿病性網膜虚血(diabetic retinal ischemia)または増殖性糖尿病性網膜病症(proliferative diabetic retinopathy)などがある。
【0063】
具体的には、酸素誘導網膜病動物モデルは、未熟児網膜症の動物モデルであり(A.Hellstrom,L.E.Smith,D.Dammann,Retinopathy of prematurity,Lancet.382(2013)1445-57)、レーザ誘導脈絡膜血管新生動物モデルは、湿性老人性黄斑変性の動物モデルであり(V.Lambert,J.Lecomte,S.Hansen,S.Blacher,ML.Gonzalez,et al,Laser-induced choroidal neovascularization model to study age-related macular degeneration in mice,Nat Protoc.8(2013)2197-211)、これら2つはいずれも血管新生合成が重要な機序で発病する疾患であることが分かる。また、増殖性糖尿網膜病(Proliferative diabetic retinopathy)のように血管新生合成が重要な機序で発病する疾病の治療剤としても使用することができる(Y.Qazi,Mediators of ocular angiogenesis,J.Genet.88(2009)495-515)。
【0064】
さらに他の例において、本発明の薬学的組成物は、血管新生性疾患、例えば、癌または腫瘍を予防、改善、抑制または治療するための手段を提供する。前記癌は、PDGFR-βが問題になる癌であって、網膜芽細胞腫、神経膠腫、睾丸癌、乳癌、卵巣癌、黒色腫、肺癌および前立腺癌を含み、これに限定されない。
【0065】
また、mPDGFRbを発現するNIH3T3とhPDGFR-βを発現するヒト周皮細胞(Human pericyte cell)で細胞毒性を示したもので、PDGFR-βが問題になる疾患としては、網膜芽細胞腫(retinoblastoma)(Z.K.Goldsmith et al.,Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.59(2018)4486-4495)、神経膠腫(glioma)(I.Nazarenko et al.,J.Med.Sci.117(2012)99-112)、colorectal cancer(S.Fujino et al.,Oncol.Rep.39(2018)2178-2184)、睾丸癌(S.Basciani et al.,Endocrinology.149(2008)6226-35)、乳癌(J.Paulsson et al.,J.Pathol.Clin.Res.3(2017)38-43)、卵巣癌(S.Avril et al.,Oncotarget.8(2017)97851-97861)、黒色腫(Melanoma)、肺癌(lung cancer)および前立腺癌(prostate cancer)(M.Raica et al.,Pharmaceuticals(Basels).3(2010)572-599)などを含む。
【0066】
本願に使用されたように、用語「血管新生」および「血管形成」は互いに入れ替えて使うことができる。血管新生および血管形成は、新しい血管が細胞、組織または器官内に発生することを指し示す。血管形成の調節は、典型的には特定の疾患状態で変化し、多くの場合で、この疾患に関連する病理学的損傷は変化したり、調節されなかったり制御されない血管形成に関連する。持続的で調節されない血管形成が内皮細胞による異常成長を特徴とすることをはじめとする多数の疾患状態で起こり、血管の漏出および透過性をはじめとするこれらの状態で観察される病理学的損傷を裏付ける。
【0067】
本明細書において、「眼球の血管新生性障害」または「眼球の血管新生性疾患」は、対象(subject)の目で変化したり調節されない血管形成を特徴とする障害を意味する。例示的な眼球の血管新生性障害としては、虚血性網膜病症、紅彩血管新生、眼内血管新生、老人性黄斑変性、角膜血管新生、網膜血管新生、脈絡膜血管新生、糖尿病性網膜虚血または増殖性糖尿病性網膜病症などがある。
【0068】
本明細書において、「PDGF」または「血小板-由来成長因子」は、血管形成または血管形成過程に影響を与える哺乳動物血小板-由来成長因子を意味する。本願に使用されたように、一般に、用語「PDGF」は、反応性細胞の類型に対する血小板-由来成長因子細胞表面受容体(つまり、PDGF受容体)の結合および活性化によりDNA合成および有糸分裂を誘導する成長因子部類の構成員を指し示す。
【0069】
本発明において、血小板由来成長因子受容体-ベータ(platelet-derived growth factor receptor beta、mPDGFR-β)に対する抗体の単鎖可変断片(single-chain variable fragment、scFv)-カッパ不変領域(kappa constant region、Cκ)-scFv融合タンパク質とコチニン-デュオカルマイシンが抗体-薬物接合体の複合体を形成してPDGFR-βを発現する細胞に対抗して細胞毒性を誘導できることを観察する。多数の抗mPDGFR-Β抗体候補物質を二重特異性scFv-Cκ-scFv融合タンパク質フォーマットで製造し、コチニン-結合細胞毒性薬物を伝達する能力を試験することによって、抗体-薬物接合体の製造において抗体選択のための改善された接近法を提供する。
【0070】
本発明の一例は、ハプテン(hapten)-薬物接合体および二重特異抗体を用いて薬物をターゲット細胞内に効率的に伝達する抗体を選別する方法に関する。
本発明のさらなる例は、前記選別された抗体と薬物を含む薬物-抗体接合体、または前記選別された抗体と薬物-ヘプテンを含む複合体に関する。
【0071】
本発明による方法で使用されるハプテン(hapten)-薬物接合体は、標的細胞に伝達しようとする対象薬物とハプテンとが結合した接合体をいう。前記ハプテンは、細胞と結合するのを防止するために生体内に本来存在しない物質であり、体内で生合成(de novo biosynthesis)されず、生理的活性も誘発せず、接合物質との効果的な結合のために化学官能基(chemical functional group)を有しなければならない。本発明に使用可能なヘプテンは特に限定されず、例えば、コチニン、small molecular weight organic moleculesであるDNP(2,4-dinitrophenol)、TNP(2,4,6-trinitrophenol)、biotin、およびdigoxigeninの中から選択できる。
【0072】
前記ハプテンの一例として、コチニンは、ニコチン(nicotine)の主要代謝物であって、外因性(exogeneity)、非毒性、生理不活性(physiological inertness)のため、本プラットフォームで用いられる理想的なハプテンであり、市販のトランス-4-コチニンカルボン酸(trans-4-cotininecarboxylic)は様々な物質に結合することができる。コチニン-薬物接合体は容易に合成可能であり、純度も既存の抗体-薬物接合体より高く、多様な薬物とリンカーを有するコチニン-薬物接合体の組み合わせへの合成が可能である。また、薬物が抗体に直接接合されず、抗体の親和力と安定性に影響を与えない。抗体-薬物接合体は、二重抗体とコチニン-薬物接合体を簡単に反応するもので作られる。
【0073】
本発明に適用可能な薬物は、抗体を用いて標的に伝達する対象であり、特に限定されず、例えば、DNA synthesis inhibitor(例、calicheamicin、pyrrolobenzodiazepine(PBD)、duocarmyin derivative、anthracycline/Nemorubicin、doxorubicin、Irinotecan、amatoxin)、Microtubule inhibitors(例、auristatin、maytansine、tubulysin)、Topo-isomerase inhibitor(SN-38)、photosensitizer(例、5-Aminolaevulinic acid(ALA)、Benzoporphyrin derivative monoacid ring A(BPD-MA)、Chlorins、Tetra(m-hydroxyphenyl)chlorin(mTHPC)、Lutetium texaphyrin)などを含むが、これに限定されない。前記光敏感剤は、単独で薬効を発揮することはできないが、標的細胞や組織に局所的に伝達されるか全身に伝達され、特定部位、例えば、眼球または眼などの病変部位にレーザを照射して伝達された薬物を活性化して薬物の効能を発揮させる。したがって、前記光敏感剤は、抗体に接合してこれを必要とする対象に投与した後に、レーザを照射して薬効を発揮する段階を追加的に行うことができる。
【0074】
本発明による方法は、標的抗原に結合する二重特異抗体は、薬物を伝達する対象組織または細胞に存在する標的抗原に特異的に結合し、ハプテン-薬物接合体に含まれているハプテンにも特異的に結合できる二重特異抗体であってもよい。例えば、本発明に適用可能な二重抗体は、第1抗体-リンカー-第2抗体の構造を有することができ、前記第1抗体および第2抗体は、それぞれハプテンまたは標的抗原に特異的に結合する抗体であってもよい。前記第1抗体-リンカー-第2抗体構造を有する二重特異抗体は、第1抗体(scFv)-Cκ(kappa constant)-第2抗体(scFv)の融合タンパク質であってもよい。例えば、N末端からVH-GQSSRSSGGGGSSGGGGS-VLの順序で結合され、前記リンカーは、VHのC末端がVLのN末端を連結したものである。(抗-PDGFR-β抗体のscFv)-(GGGGS)3-Ck-(GGGGS)3-(抗-コチニン抗体のscFv)構造であってもよい。本発明に使用可能なコチニンのアミノ酸配列または塩基配列は本技術分野で広く知られており、例えば、US8008448Bなどを参照することができる。
【0075】
本発明の一例として、前記標的抗原が血小板由来成長因子受容体-ベータ(platelet-derived growth factor receptor beta、PDGFR-Β)であり、ハプテンがコチニンの場合、前記二重特異抗体は、標的抗原に対する抗体(抗-PDGFR-β抗体)とハプテン(抗-ヘプテン抗体)に対する抗体とをリンカーで連結することができ、さらに詳しくは、第1抗体(抗-PDGFR-β抗体のscFv)-Cκ-第2抗体(抗-ヘプテン抗体のscFv)の構造を有する融合タンパク質であってもよい。
【0076】
本発明者らは、本プラットフォームの有用性(feasibility)を確認するために、(抗-mPDGFR-β抗体のscFv)-Cκ-(抗-コチニン抗体のscFv)二重抗体融合タンパク質を用いる。本発明者らは、一価(monovalent)と二価(bivalent)コチニン-デュオカルマイシンを作製する。これは、コチニン-デュオカルマイシン(cot-duo)とコチニン-デュオカルマイシン-コチニン(cot-duo-cot)と称する(図1B)。本発明において、既存のプラットフォーム対比、抗体-薬物接合体開発のための最適な抗体と薬物の組み合わせを選別できることを確認した。
【0077】
二重抗体(例、抗-PDGFR-βxコチニンscFv-Cκ-scFv)とハプテン-薬物接合体(例、コチニン-デュオカルマイシン接合体)を含む複合体は、標的抗原(例、mPDGFR-β)を発現するNIH3T3細胞株に特異的毒性を発揮する。本発明が抗体-薬物接合体の開発において好ましい内在化抗体と毒性薬物の組み合わせを選別することができる。例えば、4つの抗体クローンは、底にコーティングされたmPDGFR-βに濃度依存的に結合し(図3A)、陰性対照群としてコーティングされたヒトFcタンパク質には結合しなかった。本発明者らは、流細胞測定器を用いてそれぞれクローンがmPDGFR-βを発現するNIH3T3細胞結合能を確認し、ビオチン(biotin)-mPDGF-BBが細胞に結合することを確認した(図4B)。
【0078】
本発明による3種類のマウス抗原に対する抗体クローン(PRb-CC01、PRb-CC02、PRb-CC03)は、mPDGFR-βのリガンドであるmPDGF-BBと競争して、mPDGFR-βのドメイン2または3に結合する。1つの抗体クローン(PRb-CN01)は、mPDGF-BBと競争せず、ドメイン2および3の代わりにドメイン1、4または5に結合する。mPDGFR-βに対するPRb-CC01、PRb-CC02、PRb-CC03の結合能はmPDGF-BBが抑制したが(図4A)、PRb-CN01の結合能はmPDGF-BBが抑制できなかった。本発明者らは、流細胞測定法を用いてmPDGFR-Βを発現するNIH3T3細胞にmPDGF-BBが存在する時、各クローンの細胞結合能を測定し、二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質とビオチン-mPDGF-BBが細胞に結合することを確認した。競争酵素免疫測定法と同様に、PRb-CN01のみmPDGF-BB-biotinがある時、mPDGFR-βに結合可能であり(図4B)、他の3種類のクローンの結合能はmPDGF-BBによって妨げられた。
【0079】
本発明にある抗体が二重抗体scFv-Cκ-scFv形態で発現した時、二重抗体は、mPDGFR-Βとコチニン2つとも結合可能である。また、二重抗体は、コチニン-デュオカルマイシン(cot-duo)とコチニン-デュオカルマイシン-コチニン(cot-duo-cot)のような様々なコチニン薬物と接合体を作ることができる。Cot-duoとcot-duo-cotのような複合体で毒性実験を進行させる時、複合体は毒性を有する。4つの二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質(PRb-CC01、PRb-CN01、PRb-CC02、PRb-CC03)は、対照二重抗体とは異なってmPDGFR-Βとコチニンに同時結合可能であった(図3D)。
【0080】
4種類の二重抗体scFv-Cκ-scFvとコチニン-デュオカルマイシン接合体の毒性を評価するために、NIH3T3細胞は接合体とmPDGF-BBの有/無の2つの条件で培養し、細胞内の三リン酸アデノシン(ATP)で相対的細胞生存力を測定した。PRb-CN01とcot-duoまたはcot-duo-cot複合体の毒性は、mPDGF-BBを入れた時も高かったが、mPDGF-BBと競争する(PRb-CC01、PRb-CC02、PRb-CC03)融合タンパク質とcot-duoまたはcot-duo-cot複合体の毒性率は、mPDGF-BBを入れた時に減少した(図5)。
【0081】
発明は、scFv-Cκ-scFv二重抗体融合タンパク質とコチニン-デュオカルマイシン(cot-duo)をそれぞれ製造する(図1B)。二重抗体scFv-Cκ-scFvとコチニン-デュオカルマイシン接合体を製造し、毒性実験を行った結果、hPDGFR-βを発現するヒト周皮細胞で特徴的毒性を発揮した。本発明の結果は、既存のプラットフォーム対比、抗体-薬物接合体開発のための最適な抗体と薬物の組み合わせを選別できることを示す。
【0082】
例えば、本発明による標的抗原の一例であるhPDGFR-βに結合する3つの抗体クローンは、hPDGFR-βに濃度依存的に結合するということを示した。3つの融合タンパク質は、底にコーティングされたhPDGFR-βに濃度依存的に結合し(図12A)、陰性対照群としてコーティングされたヒトFcタンパク質には結合しなかった(図12B)。本発明は、それぞれクローンがhPDGF-BBが存在する時、hPDGFR-βを発現するヒト周皮細胞結合能を流細胞測定器を用いて確認し、ビオチン(biotin)-hPDGF-BBが細胞に結合することを確認した(図13B)。
【0083】
本発明による3種類のhPDGFR-βに対する抗体クローン(PRb-CN16、PRb-CN32、PRb-CN26)は、hPDGFR-βのリガンドであるhPDGF-BBと競争せず、ドメイン2、3の代わりにドメイン1、4、5に結合する。hPDGFR-βに対するPRb-CN16、PRb-CN32、PRb-CN26の結合能はhPDGF-BBが抑制できなかった(図13A)。
【0084】
本発明は、hPDGFR-Βを発現するヒト周皮細胞にhPDGF-BBが存在する時、各クローンの細胞結合能を流細胞測定法を用いて測定し、二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質とビオチン-hPDGF-BBが細胞に結合することを確認した。競争酵素免疫測定法と同様に、3種類の抗体クローン(PRb-CN16、PRb-CN32、PRb-CN26)がhPDGF-BB-biotinがある時、hPDGFR-Βに結合可能であった(図13B)。
【0085】
本発明による標的抗原に対する抗体は、二重抗体scFv-Cκ-scFv形態で発現した時、二重抗体は標的抗原とハプテンにすべて結合可能であり、具体的には、抗原のhPDGFR-βとハプテンのコチニンにすべて結合可能である。また、二重抗体は、コチニン-デュオカルマイシン(cot-duo)のような様々なコチニン-薬物接合体と複合体を作ることができる。Cot-duoのような接合体で毒性実験を進行させる時、前記複合体は毒性を有する。
【0086】
本発明によるヒトPDGFR-βに対する3つの二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質(PRb-CN16、PRb-CN32、PRb-CN26)は、対照二重抗体とは異なってhPDGFR-βとコチニンに同時結合可能であった(図12D)。3種類のhPDGFR-β抗体を用いた二重抗体scFv-Cκ-scFvとコチニン-デュオカルマイシン接合体の毒性を評価するために、ヒト周皮細胞は接合体とhPDGF-BBの有/無の2つの条件で培養し、細胞内の三リン酸アデノシン(ATP)で相対的細胞生存力を測定した。前記抗-hPDGFR-β抗体である、PRb-CN16、PRb-CN32、PRb-CN26とcot-duo複合体の毒性は、hPDGF-BBを入れた時も高かった(図14A、および図14B)。
【0087】
本発明者らは、最適な抗体-薬物接合体抗体と薬物を選別するための過程を単純化する二重特異性scFv-Cκ-scFv融合タンパク質とコチニン-細胞毒性薬物とから構成された新たな抗体-薬物接合体開発プラットフォームを試験した。理想的には、効率的な内在化と細胞毒性薬物の放出を保障する抗体を選択することが実用的である。しかし、候補抗体を用いた個別抗体-薬物接合体分子の生成は、DAR(薬物-抗体比率)を含んで最適化および特性化するための大変な作業を必要とするため、抗体は、初期選別段階で内在化の速度と効率性を基準として選別されてきた。さらに、抗体-薬物接合体が細胞に作用する過程に対する理解が高まるにつれ、抗体の内在化が抗体-薬物接合体の効能を決定する唯一の要因ではないことが分かる。
【0088】
コチニンは毒性がなく、ネズミにおいて4±0.1g/kgのLD50値を有する。しかも、4日連続最大1,800mgのコチニンを処理したヒトにおいて有害な副作用は誘発されなかった。本発明者らは、生体外環境で自由デュオカルマイシンとコチニン-デュオカルマイシン接合体の細胞毒性の間には若干の差があることを観察した。抗-HER2xコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質とコチニン-デュオカルマイシン結合体との間の複合体形成は、生体外環境でデュオカルマイシンの毒性を低くして二重抗体が薬物と共に複合体を形成して細胞への薬物の吸収を減少させたことを暗示する。前の研究においてデュオカルマイシンがマウスに大きな体重減少を誘導すると報告されているが、本発明による四価の二重特異性抗体を用いる生体内実験では、陰性対照群IgGと混合されたコチニン-デュオカルマイシン結合体を注入したマウスにおいて有意な体重減少を見せなかった。このような事実は、コチニンと毒性薬物(デュオカルマイシン)との間に多様な形態のリンカーを導入し、腫瘍環境でのみmetalloprotease(金属タンパク質分解酵素)のようにコチニンから毒素を放出できる可能性を切り開く。コチニン-薬物接合体は、腫瘍環境で分解なく放出されるため、正常細胞を損傷させずに血流から速やかに除去されるであろう。
【0089】
mPDGF-BBを追加した後にも、cot-duoまたはcot-duo-cotと複合体をなしたPRb-CN01含有二重抗体の細胞毒性は依然として高かったが、細胞増殖を促進するmPDGF-BBを追加すれば、mPDGF-BBと競争するcot-duoまたはcot-duo-cotと複合体をなした3つの抗体(PRb-CC01、PRb-CC02およびPRb-CC03)の毒性がやや減少した。mPDGF-BBは、すでにPRb-CN01に結合したPDGFR-βに結合して受容体の内在化を強化してcot-duoとcot-duo-cotの細胞毒性効果を促進することができる。本発明において、PRb-CN01構造物は、PDGF-BBと競争せず、PDGF-BBと関係なく細胞毒性を誘発した(図5A図5D)。PDGFR-βは血管新生と高い関連があり、主に外膜細胞(pericyte)で過発現している。
【発明の効果】
【0090】
本発明によるPDGF受容体に対する抗体、前記PDGF受容体に対する抗体に化学療法剤を接合した抗体-薬物接合体およびこれを用いた眼球の血管新生性疾患の予防または治療用途において、PDGF受容体に対する抗体は、当該濃度では正常細胞または正常組織には毒性を最小化しながら、hPDGFR-βが多く発現する病的な細胞または組織に特異的により多くの毒性を示して優れた治療剤として使用可能であり、また、PDGFR-βの発現レベルの増加および/またはPDGF-BBの発現レベルが増加しても、抗体の内在化レベルが抑制されなかったり、内在化がさらに増加するという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0091】
図1A図1Aおよび図1Bは、本発明の一例による抗-mPDGFR-β抗体に関する二重抗体とコチニン-テュオカルマイシンを示す図である。
図1B図1Aおよび図1Bは、本発明の一例による抗-mPDGFR-β抗体に関する二重抗体とコチニン-テュオカルマイシンを示す図である。
図2図2は、本発明の一例による抗-mPDGFR-β抗体に関する二重特異抗体をSDS-polyacrylamideゲル電気泳動の結果を示す。Lane1、reduced PRb-CC03xコチニン;Lane2、non-reduced PRb-CC03xコチニン;Lane3、reduced PRb-CC01xコチニン;Lane4、non-reduced PRb-CC01xコチニン;Lane5、reduced PRb-CN01xコチニン;Lane6、non-reduced PRb-CN01xコチニン;Lane7、reduced PRb-CC02xコチニン;Lane8、non-reduced PRb-CC02xコチニン;Lane9、reduced抗-HER2xコチニン(対照群);Lane10、non-reduced抗-HER2xコチニン(対照群)。M:分子量マーカー。
図3A図3Aは、本発明の一例による抗-mPDGFR-β抗体に関する二重抗体の結合能を示すグラフであって、mPDGFR-βキメラがコーティングされた板に、二重抗体であるPRb-CC01(
【化1】
);PRb-CN01(
【化2】
);PRb-CC02(
【化3】
);PRb-CC03(
【化4】
);negative control(
【化5】
)を反応した。各ウェルにはHRP-抗ヒトCκ抗体、そしてTMBを反応した。結果は2回の繰り返し実験の平均値±標準誤差を示す。
図3B図3Bは、TNF-α受容体の細胞外領域-ヒトFc融合タンパク質は酵素免疫測定法の陰性対照抗原として使用された。
図3C図3Cは、二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質のコチニンに対する結合能を確認するために、コチニン-BSAがコーティングされた板に二重抗体scFv-Cκ-scFvを反応し、HRP-抗ヒトCκ抗体とTMBを処理した。
図3D図3Dは、二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質のコチニンとmPDGFR-βに対する同時結合能を確認するために、コチニン-BSAがコーティングされた板にmPDGFR-β-Fcキメラを反応し、HRP-抗ヒトFc抗体、そしてTMBを処理した。結果は、3回の繰り返し実験の平均値±標準誤差を示す。対照群に比較して、***p<0.001である。
図4A図4A図4Cは、PDGF-BBと抗-mPDGFR-β抗体に関する二重抗体の競争と細胞内に内在化を確認したグラフである。図4Aは、PDGFR-β-Fcキメラがコーティングされた板にscFv-Cκ-scFvをmPDGF-BB(100nM)を添付しないか(左)、添付して(右)反応した後、結合している二重抗体融合タンパク質はHRP-抗-ヒトCκ抗体とTMBで測定した。図4Bは、mPDGFR-βを発現するNIH3T3細胞に流細胞分析バッファーにある二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質(100nM)をmPDGF-BB-biotinの有/無で反応した。細胞にはAPC-抗ヒトCκ抗体とstreptavidin-PEを処理した。二重抗体である抗-HER2xcotinine scFv-Cκ-scFv融合タンパク質は陰性対照群として使用された。共焦点顕微鏡は二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質の内在化を映像化した。NIH3T3細胞に融合タンパク質を処理後、細胞表面に結合している抗体を除去した。細胞の固定後、融合タンパク質はFITC-抗ヒトCκ抗体(緑色)で染色した。初期エンドソームをイメージ化するために、細胞は抗-Rab5抗体とAlexa Fluor546-ヤギ抗-ウサギ抗体IgG(赤色)で染色された。矢印で表示された部分は、拡大された部分を示しながら、抗-PDGFR-βxコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質と初期エンドソームの蛍光が共局在化されている部分を示す。DNAはDAPI(青色)で染色された(Scale bar、10μm)
図4B図4A図4Cは、PDGF-BBと抗-mPDGFR-β抗体に関する二重抗体の競争と細胞内に内在化を確認したグラフである。図4Aは、PDGFR-β-Fcキメラがコーティングされた板にscFv-Cκ-scFvをmPDGF-BB(100nM)を添付しないか(左)、添付して(右)反応した後、結合している二重抗体融合タンパク質はHRP-抗-ヒトCκ抗体とTMBで測定した。図4Bは、mPDGFR-βを発現するNIH3T3細胞に流細胞分析バッファーにある二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質(100nM)をmPDGF-BB-biotinの有/無で反応した。細胞にはAPC-抗ヒトCκ抗体とstreptavidin-PEを処理した。二重抗体である抗-HER2xcotinine scFv-Cκ-scFv融合タンパク質は陰性対照群として使用された。共焦点顕微鏡は二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質の内在化を映像化した。NIH3T3細胞に融合タンパク質を処理後、細胞表面に結合している抗体を除去した。細胞の固定後、融合タンパク質はFITC-抗ヒトCκ抗体(緑色)で染色した。初期エンドソームをイメージ化するために、細胞は抗-Rab5抗体とAlexa Fluor546-ヤギ抗-ウサギ抗体IgG(赤色)で染色された。矢印で表示された部分は、拡大された部分を示しながら、抗-PDGFR-βxコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質と初期エンドソームの蛍光が共局在化されている部分を示す。DNAはDAPI(青色)で染色された(Scale bar、10μm)
図4C図4A図4Cは、PDGF-BBと抗-mPDGFR-β抗体に関する二重抗体の競争と細胞内に内在化を確認したグラフである。図4Aは、PDGFR-β-Fcキメラがコーティングされた板にscFv-Cκ-scFvをmPDGF-BB(100nM)を添付しないか(左)、添付して(右)反応した後、結合している二重抗体融合タンパク質はHRP-抗-ヒトCκ抗体とTMBで測定した。図4Bは、mPDGFR-βを発現するNIH3T3細胞に流細胞分析バッファーにある二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質(100nM)をmPDGF-BB-biotinの有/無で反応した。細胞にはAPC-抗ヒトCκ抗体とstreptavidin-PEを処理した。二重抗体である抗-HER2xcotinine scFv-Cκ-scFv融合タンパク質は陰性対照群として使用された。共焦点顕微鏡は二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質の内在化を映像化した。NIH3T3細胞に融合タンパク質を処理後、細胞表面に結合している抗体を除去した。細胞の固定後、融合タンパク質はFITC-抗ヒトCκ抗体(緑色)で染色した。初期エンドソームをイメージ化するために、細胞は抗-Rab5抗体とAlexa Fluor546-ヤギ抗-ウサギ抗体IgG(赤色)で染色された。矢印で表示された部分は、拡大された部分を示しながら、抗-PDGFR-βxコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質と初期エンドソームの蛍光が共局在化されている部分を示す。DNAはDAPI(青色)で染色された(Scale bar、10μm)
図5A図5A図5Dは、PDGFR-βを発現する細胞に対して抗-mPDGFR-βに対する二重抗体とコチニン-デュオカルマイシン複合体の細胞毒性能を確認したグラフである。図5Aは、NIH3T3細胞は二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質とcot-duo複合体をmPDGF-BBなしに処理した。細胞ATPは、相対的細胞生存率を評価するために測定した。二重抗体抗-HER2xコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質は陰性対照群として使用された。図5Bは、mPDGF-BBがある条件で実験が繰り返された。図5Cは、NIH3T3細胞は二重抗体とcot-duo-cotの複合体をmPDGF-BBなしに処理した。図5Dは、mPDGF-BBがある条件で実験が繰り返された。DMSOはcot-duoとcot-duo-cotの複合体対照群として使用された。結果は3回の繰り返し実験の平均値±標準誤差を示す。
図5B図5A図5Dは、PDGFR-βを発現する細胞に対して抗-mPDGFR-βに対する二重抗体とコチニン-デュオカルマイシン複合体の細胞毒性能を確認したグラフである。図5Aは、NIH3T3細胞は二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質とcot-duo複合体をmPDGF-BBなしに処理した。細胞ATPは、相対的細胞生存率を評価するために測定した。二重抗体抗-HER2xコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質は陰性対照群として使用された。図5Bは、mPDGF-BBがある条件で実験が繰り返された。図5Cは、NIH3T3細胞は二重抗体とcot-duo-cotの複合体をmPDGF-BBなしに処理した。図5Dは、mPDGF-BBがある条件で実験が繰り返された。DMSOはcot-duoとcot-duo-cotの複合体対照群として使用された。結果は3回の繰り返し実験の平均値±標準誤差を示す。
図5C図5A図5Dは、PDGFR-βを発現する細胞に対して抗-mPDGFR-βに対する二重抗体とコチニン-デュオカルマイシン複合体の細胞毒性能を確認したグラフである。図5Aは、NIH3T3細胞は二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質とcot-duo複合体をmPDGF-BBなしに処理した。細胞ATPは、相対的細胞生存率を評価するために測定した。二重抗体抗-HER2xコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質は陰性対照群として使用された。図5Bは、mPDGF-BBがある条件で実験が繰り返された。図5Cは、NIH3T3細胞は二重抗体とcot-duo-cotの複合体をmPDGF-BBなしに処理した。図5Dは、mPDGF-BBがある条件で実験が繰り返された。DMSOはcot-duoとcot-duo-cotの複合体対照群として使用された。結果は3回の繰り返し実験の平均値±標準誤差を示す。
図5D図5A図5Dは、PDGFR-βを発現する細胞に対して抗-mPDGFR-βに対する二重抗体とコチニン-デュオカルマイシン複合体の細胞毒性能を確認したグラフである。図5Aは、NIH3T3細胞は二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質とcot-duo複合体をmPDGF-BBなしに処理した。細胞ATPは、相対的細胞生存率を評価するために測定した。二重抗体抗-HER2xコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質は陰性対照群として使用された。図5Bは、mPDGF-BBがある条件で実験が繰り返された。図5Cは、NIH3T3細胞は二重抗体とcot-duo-cotの複合体をmPDGF-BBなしに処理した。図5Dは、mPDGF-BBがある条件で実験が繰り返された。DMSOはcot-duoとcot-duo-cotの複合体対照群として使用された。結果は3回の繰り返し実験の平均値±標準誤差を示す。
図6図6は、PDGFR-βを発現しないMOLT-4細胞に対する、本発明による抗-mPDGFR-Β抗体に関する二重抗体の結合能を流細胞分析器で実験したグラフである。MOLT-4細胞に二重抗体(100nM)を処理し、APC-抗ヒトCκ抗体(clone TB28-2、BD Biosciences、San Jose、CA、USA)で染色した。
図7図7は、PDGFR-βを発現しない細胞に対して、抗-mPDGFR-Β抗体に関する二重抗体とcot-duo複合体の細胞毒性能を確認したグラフである。図7の(A)にてMOLT-4細胞に二重抗体およびcot-duoの複合体(DAR4)を反応した。相対的細胞生存率を評価するために細胞ATPを測定した。図7の(B)にてMOLT-4細胞に二重抗体およびcot-duoの複合体(DAR2)を反応した。二重抗体である抗-HER2xコチニンscFv-Cκ-scFvは陰性対照群として使用された。DMSOはコチニン-デュオカルマイシンの賦形体対照群として使用された。結果は3回の繰り返し実験の平均値±標準誤差を示す。
図8図8は、本発明の一例による抗-mPDGFR-β抗体に関する二重抗体のサイズ排除クロマトグラフィー(size exclusion chromatography)の結果である。本発明による二重抗体、二重抗体およびcot-duoの複合体、二重抗体およびcot-duo-cotの複合体はSepax SRT-C SEC-300カラムが装着されているDionex Ultimate3000を用いたサイズ排除クロマトグラフィー-HPLCで分析した。移動相はPBSで使用し、15分間1mL/minで移動溶媒を溶出した。紫外線検出器は254nmに調節されており、結果はmAUでモニタリングした。HMWはhigh molecular weight speciesである。
図9図9は、本発明による抗-mPDGFR-β抗体に関する二重抗体およびcot-duo複合体が酸素誘導網膜病動物モデルにおける新生血管増殖を抑制することを示す結果である。
図10図10は、本発明による抗-mPDGFR-Β抗体に関する二重抗体およびcot-duo複合体がレーザ誘導脈絡膜血管新生動物モデルにおける新生血管増殖を抑制することを示す。
図11図11は、本発明による抗-hPDGFR-β抗体に関する二重抗体としてコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質をSDS-polyacrylamideゲル電気泳動した結果である:Lane1、reduced PRb-CN16xコチニン;Lane2、non-reduced PRb-CN16xコチニン;Lane3、reduced PRb-CN26xコチニン;Lane4、non-reduced PRb-CN26xコチニン;Lane5、reduced PRb-CN32xコチニン;Lane6、non-reduced PRb-CN32xコチニン;Lane7、reduced抗-mCD154xコチニン(対照群);Lane8、non-reduced抗-mCD154xコチニン(対照群)。M、molecular weight marker。
図12A図12Aは、hPDGFR-βキメラがコーティングされた板に様々な濃度の二重抗体であるPRb-CN16(
【化6】
);PRb-CN32(
【化7】
);PRb-CN26(
【化8】
);negative control(
【化9】
)コチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質を反応した。
図12B図12Bは、各ウェルにはHRP-抗ヒトCκ抗体、そしてTMBを反応した結果であって、結果は2回の繰り返し実験の平均値±標準誤差を示す。
図12C図12Cは、TNF-α受容体の細胞外領域-ヒトFc融合タンパク質は酵素免疫測定法の陰性対照抗原として使用された。
図12D図12Dは、本発明による抗-hPDGFR-β抗体に関する二重抗体のコチニンに対する結合能を確認するために、コチニン-BSAがコーティングされた板に二重抗体scFv-Cκ-scFvを培養し、HRP-抗ヒトCκ抗体とTMBを処理した。本発明による抗-hPDGFR-β抗体に関する二重抗体のコチニンとhPDGFR-βに対する同時結合能を確認するために、コチニン-BSAがコーティングされた板にhPDGFR-Β-Fcキメラを培養し、HRP-抗ヒトFc抗体、そしてTMBを処理した。結果は3回の繰り返し実験の平均値±標準誤差を示す。対照群に比較して、***p<0.001である。
図13A図13A図13Dは、PDGF-BBと本発明による抗-hPDGFR-β抗体に関する二重抗体の競争と細胞内への内在化を確認したグラフである。図13Aは、hPDGFR-β-Fcキメラがコーティングされた板にscFv-Cκ-scFvをhPDGF-BB(100nM)を添付しないか(左)、添付して(右)培養した後、結合している二重抗体融合タンパク質はHRP-抗-ヒトCκ抗体とTMBで測定した。図13Bは、hPDGFR-βを発現するヒト周皮細胞に流細胞分析バッファーにある二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質(100nM)をhPDGF-BB-biotinの有/無で培養した。細胞にはAPC-抗ヒトCκ抗体とstreptavidin-PEを処理した。二重抗体抗-mCD154xcotinine scFv-Cκ-scFv融合タンパク質は陰性対照群として使用された。図13Cは、共焦点顕微鏡は二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質の内在化を映像化した。ヒト周皮細胞に融合タンパク質を処理後、細胞表面に結合している抗体を除去した。細胞の固定後、融合タンパク質はFITC-抗ヒトCκ抗体(緑色)で染色した。初期エンドソームをイメージ化するために、細胞は抗-Rab5抗体とAlexa Fluor546-ヤギ抗-ウサギ抗体IgG(赤色)で染色された。矢印で表示された部分は、拡大された部分を示しながら、抗-hPDGFR-ΒxコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質と初期エンドソームの蛍光が共局在化されている部分を示す。DNAはDAPI(青色)で染色された。Scale bar、10μm。図13Dは、hPDGF-BBを入れて繰り返された。
図13B図13A図13Dは、PDGF-BBと本発明による抗-hPDGFR-β抗体に関する二重抗体の競争と細胞内への内在化を確認したグラフである。図13Aは、hPDGFR-β-Fcキメラがコーティングされた板にscFv-Cκ-scFvをhPDGF-BB(100nM)を添付しないか(左)、添付して(右)培養した後、結合している二重抗体融合タンパク質はHRP-抗-ヒトCκ抗体とTMBで測定した。図13Bは、hPDGFR-βを発現するヒト周皮細胞に流細胞分析バッファーにある二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質(100nM)をhPDGF-BB-biotinの有/無で培養した。細胞にはAPC-抗ヒトCκ抗体とstreptavidin-PEを処理した。二重抗体抗-mCD154xcotinine scFv-Cκ-scFv融合タンパク質は陰性対照群として使用された。図13Cは、共焦点顕微鏡は二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質の内在化を映像化した。ヒト周皮細胞に融合タンパク質を処理後、細胞表面に結合している抗体を除去した。細胞の固定後、融合タンパク質はFITC-抗ヒトCκ抗体(緑色)で染色した。初期エンドソームをイメージ化するために、細胞は抗-Rab5抗体とAlexa Fluor546-ヤギ抗-ウサギ抗体IgG(赤色)で染色された。矢印で表示された部分は、拡大された部分を示しながら、抗-hPDGFR-ΒxコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質と初期エンドソームの蛍光が共局在化されている部分を示す。DNAはDAPI(青色)で染色された。Scale bar、10μm。図13Dは、hPDGF-BBを入れて繰り返された。
図13C図13A図13Dは、PDGF-BBと本発明による抗-hPDGFR-β抗体に関する二重抗体の競争と細胞内への内在化を確認したグラフである。図13Aは、hPDGFR-β-Fcキメラがコーティングされた板にscFv-Cκ-scFvをhPDGF-BB(100nM)を添付しないか(左)、添付して(右)培養した後、結合している二重抗体融合タンパク質はHRP-抗-ヒトCκ抗体とTMBで測定した。図13Bは、hPDGFR-βを発現するヒト周皮細胞に流細胞分析バッファーにある二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質(100nM)をhPDGF-BB-biotinの有/無で培養した。細胞にはAPC-抗ヒトCκ抗体とstreptavidin-PEを処理した。二重抗体抗-mCD154xcotinine scFv-Cκ-scFv融合タンパク質は陰性対照群として使用された。図13Cは、共焦点顕微鏡は二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質の内在化を映像化した。ヒト周皮細胞に融合タンパク質を処理後、細胞表面に結合している抗体を除去した。細胞の固定後、融合タンパク質はFITC-抗ヒトCκ抗体(緑色)で染色した。初期エンドソームをイメージ化するために、細胞は抗-Rab5抗体とAlexa Fluor546-ヤギ抗-ウサギ抗体IgG(赤色)で染色された。矢印で表示された部分は、拡大された部分を示しながら、抗-hPDGFR-ΒxコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質と初期エンドソームの蛍光が共局在化されている部分を示す。DNAはDAPI(青色)で染色された。Scale bar、10μm。図13Dは、hPDGF-BBを入れて繰り返された。
図13D図13A図13Dは、PDGF-BBと本発明による抗-hPDGFR-β抗体に関する二重抗体の競争と細胞内への内在化を確認したグラフである。図13Aは、hPDGFR-β-Fcキメラがコーティングされた板にscFv-Cκ-scFvをhPDGF-BB(100nM)を添付しないか(左)、添付して(右)培養した後、結合している二重抗体融合タンパク質はHRP-抗-ヒトCκ抗体とTMBで測定した。図13Bは、hPDGFR-βを発現するヒト周皮細胞に流細胞分析バッファーにある二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質(100nM)をhPDGF-BB-biotinの有/無で培養した。細胞にはAPC-抗ヒトCκ抗体とstreptavidin-PEを処理した。二重抗体抗-mCD154xcotinine scFv-Cκ-scFv融合タンパク質は陰性対照群として使用された。図13Cは、共焦点顕微鏡は二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質の内在化を映像化した。ヒト周皮細胞に融合タンパク質を処理後、細胞表面に結合している抗体を除去した。細胞の固定後、融合タンパク質はFITC-抗ヒトCκ抗体(緑色)で染色した。初期エンドソームをイメージ化するために、細胞は抗-Rab5抗体とAlexa Fluor546-ヤギ抗-ウサギ抗体IgG(赤色)で染色された。矢印で表示された部分は、拡大された部分を示しながら、抗-hPDGFR-ΒxコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質と初期エンドソームの蛍光が共局在化されている部分を示す。DNAはDAPI(青色)で染色された。Scale bar、10μm。図13Dは、hPDGF-BBを入れて繰り返された。
図14A図14Aおよび図14Bは、PDGFR-βを発現している細胞に対して、本発明による抗-hPDGFR-β抗体に関する二重抗体/cot-duo複合体の細胞毒性能を確認したグラフである。図14Aのグラフは、ヒト周皮細胞は二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質とcot-duo複合体を処理した。図14Bのグラフは、hPDGF-BBがある条件で実験が繰り返された。細胞ATPは相対的細胞生存率を評価するために測定した。二重抗体抗-mCD154xコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質は陰性対照群として使用された。DMSOはcot-duoの賦形体対照群として使用された。結果は3回の繰り返し実験の平均値±標準誤差を示す。
図14B図14Aおよび図14Bは、PDGFR-βを発現している細胞に対して、本発明による抗-hPDGFR-β抗体に関する二重抗体/cot-duo複合体の細胞毒性能を確認したグラフである。図14Aのグラフは、ヒト周皮細胞は二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質とcot-duo複合体を処理した。図14Bのグラフは、hPDGF-BBがある条件で実験が繰り返された。細胞ATPは相対的細胞生存率を評価するために測定した。二重抗体抗-mCD154xコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質は陰性対照群として使用された。DMSOはcot-duoの賦形体対照群として使用された。結果は3回の繰り返し実験の平均値±標準誤差を示す。
図15図15は、hPDGFR-βを発現しない細胞に対する、本発明による抗-hPDGFR-β抗体に関する二重抗体の結合能を流細胞分析器で実験したグラフである。A-431細胞は二重抗体(抗-hPDGFR-βxコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質)(100nM)を処理し、APC-抗ヒトCκ抗体(clone TB28-2、BD Biosciences、San Jose、CA、USA)で染色した。
図16図16は、hPDGFR-βを発現しない細胞に対して、本発明による抗-hPDGFR-Β抗体に関する二重抗体とcot-duo複合体の細胞毒性能を実験したグラフである。A-431細胞に二重抗体/cot-duo複合体(DAR4)を反応した。細胞ATPは相対的細胞生存率を評価するために測定された。二重抗体抗-mCD154xコチニンscFv-Cκ-scFvは陰性対照群として使用された。DMSOはコチニン-デュオカルマイシンの賦形体対照群として使用された。結果は3回の繰り返し実験の平均値±標準誤差を示す。
図17図17は、発明による抗-hPDGFR-β抗体に関する二重抗体の種間反応を実験したグラフである。hPDGFR-β、mPDGFR-β、レサスPDGFR-β、サイノモルガスPDGFR-β、スーススクローファPDGFR-βおよび対照群Fcコーティングされたマイクロタイタープレートに、本発明による抗-hPDGFR-β抗体に関する二重抗体(100nM)と反応し、結合した二重抗体の量をHRP接合された抗-ヒトCκ抗体およびTMBを用いて測定した。
図18図18は、mPDGFR-βを発現するNIH3T3細胞に流細胞分析バッファーにある二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質(100nM)を培養した。細胞にはAPC-抗ヒトCκ抗体を処理した。二重抗体である抗-HER2xcotinine scFv-Cκ-scFv融合タンパク質は陰性対照群として使用された。
図19A図19A図19Bは、PRb-CN01代理抗体に関する競争を確認した結果である。図19Aは、mPDGFR-β-hFcキメラタンパク質がコーティングされた板に3%BSA/PBSに希釈した様々な濃度のPRb-CN01-ウサギFc(0.01nM-1μM)とPRb-CN01、抗-HER2対照抗体、PRb-CN32二重抗体scFv-Cκ-scFv(100nM)を、各ウェルに37℃で2時間反応した後、結合しているPRb-CN01-ウサギFcタンパク質はHRP-抗ウサギFc抗体とABTSで測定した。図19Bは、mPDGFR-βを発現するNIH3T3細胞にPRb-CN01-ウサギFc(50nM)とPRb-CN01、対照抗体、PRb-CN32二重抗体scFv-Cκ-scFv(1μM)を反応した。細胞にはFITC-抗ウサギFc抗体を培養した。二重抗体である抗-HER2xcotinine scFv-Cκ-scFv融合タンパク質は陰性対照群として使用された。
図19B図19A図19Bは、PRb-CN01代理抗体に関する競争を確認した結果である。図19Aは、mPDGFR-β-hFcキメラタンパク質がコーティングされた板に3%BSA/PBSに希釈した様々な濃度のPRb-CN01-ウサギFc(0.01nM-1μM)とPRb-CN01、抗-HER2対照抗体、PRb-CN32二重抗体scFv-Cκ-scFv(100nM)を、各ウェルに37℃で2時間反応した後、結合しているPRb-CN01-ウサギFcタンパク質はHRP-抗ウサギFc抗体とABTSで測定した。図19Bは、mPDGFR-βを発現するNIH3T3細胞にPRb-CN01-ウサギFc(50nM)とPRb-CN01、対照抗体、PRb-CN32二重抗体scFv-Cκ-scFv(1μM)を反応した。細胞にはFITC-抗ウサギFc抗体を培養した。二重抗体である抗-HER2xcotinine scFv-Cκ-scFv融合タンパク質は陰性対照群として使用された。
図20A図20A図20Bは、PDGFR-βを発現する細胞に対して、PRb-CN01とPRb-CN32二重抗体とコチニン-デュオカルマイシン複合体の細胞毒性能の差を確認したグラフである。図20Aは、NIH3T3細胞は二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質とcot-duo複合体をmPDGF-BBなしに処理した。細胞ATPは相対的細胞生存率を評価するために測定した。二重抗体抗-HER2xコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質は陰性対照群として使用された。図20Bは、mPDGF-BBがある条件で実験が繰り返された。
図20B図20A図20Bは、PDGFR-βを発現する細胞に対して、PRb-CN01とPRb-CN32二重抗体とコチニン-デュオカルマイシン複合体の細胞毒性能の差を確認したグラフである。図20Aは、NIH3T3細胞は二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質とcot-duo複合体をmPDGF-BBなしに処理した。細胞ATPは相対的細胞生存率を評価するために測定した。二重抗体抗-HER2xコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質は陰性対照群として使用された。図20Bは、mPDGF-BBがある条件で実験が繰り返された。
【発明を実施するための形態】
【0092】
本発明を下記の実施例を挙げてさらに詳しく説明するが、本発明の権利範囲が下記の実施例に限定される意図ではない。
【実施例
【0093】
実施例1.mPDGFR-βおよびCκ融合タンパク質の発現および精製
mPDGFR-βの細胞外領域は下記表でSEQ ID NO:60のアミノ酸配列を有するペプチドであり、これを暗号化する塩基配列を製造し、前記塩基配列の末端側にSfiI制限酵素配列を入れて合成し(ジェンスクリプトバイオテック、江蘇省、中国)、SfiI酵素で切断してpCEP4ベクターにクローニングして組換えpCEP4発現ベクターを製造し、従来報告された方法で発現した[Y.Lee,H.Kim et al.,Exp.Mol.Med.46(2014)e114]。
【0094】
【表3-1】
【表3-2】
【0095】
具体的には、前記組換えpCEP4発現ベクターは、従来報告された方法で[S.E.Reed et al.,J.Vriol.Methods.138(2006)85-98]polyethyleneimine(Polysciences、Warrington、PA、USA)を用いて、ヒト胎児腎臓293F細胞株(Invitrogen、Carlsbad、CA、USA)に形質導入した。形質導入された細胞は10,000IU/Lペニシリンと100mg/Lストレプトマイシンを含むGIBCO Freestyle293の発現培地で培養された[S.Yoon et al.,J.Cancer.Res.Clin.Oncol.140(2014)227-33]。形質導入6日後、培養上澄液を収集して、製造業者の指示の通りにKappaSelectレジン(GE Healthcare、Buckinghamshire、UK)を用いて親和性クロマトグラフィー方法でmPDGFR-β-Cκ融合タンパク質を精製した。前記融合タンパク質におけるmPDGFR-βアミノ酸配列は、mPDGFR-βの32番目のLeu~530番目のLysであり、これは細胞外領域に相当し、mPDGFR-βアミノ酸配列のC末端にCκはリンカー-(GGGGS)3を介して連結された構造を有する。
【0096】
実施例2.二重抗体(scFv-Cκ-scFv)の発現および精製
2-1:複合scFvを発現してファージライブラリーの作製およびバイオパンニング
抗-mPDGFR-β抗体は免疫されたニワトリから作られたscFvを表面に発現するファージライブラリーから選別された。
【0097】
前記実施例1で得られたmPDGFR-β-Cκ融合タンパク質でニワトリを計4回免疫した。免疫前と免疫の途中に翼の静脈から採血して得られた血清で酵素免疫測定法と流細胞測定器で動物の免疫状態を確認した。4番目の免疫化1週間後に犠牲にし、脾臓、ファブリキウス嚢および骨髄を収穫してTRI reagent(Invitrogen)を用いてRNAを分離した。
【0098】
前記分離されたRNAを鋳型としてSuperscript(商標) III First-Strand Synthesis system(Invitrogen)を用いてcDNAを合成した後、scFvを発現するファージライブラリーを従来報告した方法の通りに作製した[M.S.Lee et al.,Hybridoma(Larchmt).27(2008)18-24]。つまり、当該cDNAを用いて7.5×108、6.9×108、2.1×109、2.2×109scFvを発現するファージライブラリーを計4つ作製した。当該ライブラリーでmPDGFR-β-Cκが結合している磁性ビーズに計5回のバイオパンニングを進行させた[Y.Lee et al.,Exp.Mol.Med.46(2014)e114]。
【0099】
5次排出価(output titer)からscFvクローンをランダムに選別して、mPDGFR-β-Cκがコーティングされたマイクロタイター板(3690;Corning Life Sciences、Corning、NY、USA)に対してファージ酵素免疫測定法を進行させた[C.F.Barbas III,D.R.Burton,J.K.Scott,G.J.Silverman,Phage display-a laboratory manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York,2001]。
【0100】
mPDGFR-β-Cκに結合能(A405>1.5)があるクローンはマクロジェンに依頼して、OmpSeqプライマーで配列分析を進行させた[W.Yang et al.,Exp.Mol.Med.49(2017)e308]。アミノ酸配列を確認した後、計9種類の抗体クローンを探した(表3)。発現率と結合能を考慮して計4つのクローン(PRb-CN01、PRb-CC01、PRb-CC02、PRb-CC03)を選択し、選択されたクローンに対して、追って実験を進行させた。
【0101】
下記表4は、抗-mPDGFR-β scFvクローンのH-CDR3アミノ酸配列である。前記得られた4つのクローンに対するVHおよびVLとこれらのCDRアミノ酸配列情報を前記表1に示す。
【0102】
【表4】
【0103】
2-2:二重抗体(scFv-Cκ-scFv)の発現および精製
実施例1で製造した抗-mPDGFR-β scFvクローンを用いて、(抗-mPDGFR-β scFv)-Cκ-(抗-コチニンscFv)二重特異抗体を暗号化している遺伝子を含むpCEP4発現ベクターが作製された。
【0104】
製造された(抗-mPDGFR-β scFv)-Cκ-(抗-コチニンscFv)二重特異抗体の具体的構造とそれぞれのリンカーの結合位置は図1Aに示す。具体的には、抗-mPDGFR-β scFvおよび抗-コチニンscFvは、それぞれN末端からVL-GQSSRSSGGGGSSGGGGS(表2の配列番号57)-VHの順序で結合し、つまり、VLのC末端とVHのN末端とを連結したものである。N末端から抗-mPDGFR-β scFv、Ckおよび抗-コチニンscFvがそれぞれリンカーを用いて連結され、前記scFvを連結したリンカーは表2の配列番号59を有する(GGGGS)3を用い、Ckアミノ酸配列は表2の配列番号58を有するものを使用した。
【0105】
二重特異抗体である融合タンパク質を製造する具体的な方法として、抗-mPDGFR-β scFvを暗号化する遺伝子と抗-コチニンscfvを暗号化する遺伝子は、SfiI、AgeI、NotI(New England Biolabs)で切断して発現ベクターに連結された。前記抗-mPDGFR-β scFvを暗号化する遺伝子は、N-末端からC-末端側に前記表1のVL-リンカー-VHの順に連結し、前記リンクは前記表2の配列番号57に記載の配列を用いてペプチドを製造し、これを暗号化する遺伝子配列を得た。前記抗-コチニンscfvを暗号化する遺伝子はUS8008448Bに記載の内容に基づいて得ており、得られたコチニンのアミノ酸配列は下記表の通りである。
【0106】
【表5】
【0107】
抗-mPDGFR-β scFvの対照群としてTrastuzumab scFvを発現ベクターにクローニングした。二硫化結合(disulfide bond)による二量体化(dimerization)を排除するために、CκのC-末端部分にあるシステインは排除した。前記得られたDNA構造物をHEK293F細胞に形質導入した後、scFv-Cκ-scFv融合タンパク質を生産し、KappaSelectレジンを用いた親和クロマトグラフィー方法で二重抗体(scFv-Cκ-scFv)を精製した。
【0108】
発現した二重抗体のタンパク質の純度を確認するために、NuPage4-12%Bis-Trisゲル(Invitrogen)を用いて、製造業者の指示の通りにSDS-polyacrylamideゲル電気泳動を進行させた。タンパク質1μgを還元剤の有無のLDSサンプルバッファーに入れた後、95℃で10分間反応した。その後、電気泳動を進行させ、タンパク質を可視化するために、ゲルをEzway Protein-Blue II staining solution(コマバイオテック、ソウル、韓国)で染色した。SDS-polyacrylamideゲル電気泳動を実施した(図2)。前記電気泳動結果の写真を図2に示す。
【0109】
図2に示すように、還元剤を用いて還元された(reduced)タンパク質は67kDaであり、非還元(non-reduced)タンパク質は60kDaで染色された。コンピュータで計算した融合タンパク質の分子量は66.77kDaであった。多量体(Multimeric)バンドは見えなかった。非還元タンパク質は密な固有の形態のため、ゲル上で移動時に抵抗をより少なく受けて還元タンパク質より速やかに移動したと予想される。
【0110】
本発明の一例による抗-mPDGFR-β抗体に関する二重抗体のサイズ排除クロマトグラフィー(size exclusion chromatography)結果であるSEC-HPLC(図8)において、PRb-CN01とは異なって、PRb-CC01、PRb-CC02およびPRb-CC03は、いずれもmonomericとtrimericバンドが見えた。Cot-duoと接合体を形成した時、PRb-CC01、PRb-CC02、PRb-CC03とも多量のhigh molecular weight species(HMWs)が観察された。PRb-CN01のような場合、HMWが少し観察された。Cot-duo-cotは4つのクローンのすべてにHMWsを作らなかった。
【0111】
実施例3.抗体のmPDGFR-βおよびコチニンに対する結合能分析(酵素免疫測定法)
コーティングバッファー(0.1M重炭酸塩ナトリウム、pH8.6)に入っている100ngのmPDGFR-β-FcキメラまたはTNF-α受容体の細胞外領域-ヒトFc融合タンパク質をマイクロタイター板に4℃O/Nコーティングした。各ウェルに3%(w/v)BSA(bovine serum albumin)/PBS150μLを、37℃で1時間遮断剤で培養した。3%BSA/PBSに希釈した様々な濃度のニワトリ血清(1:500-1:62,500)を処理した後、37℃で2時間培養した。マイクロタイター板は0.05%PBSTで3回洗浄後、horseradish perixodase(HRP)-抗ニワトリIgY抗体(Millipore、Billerica、MA、USA)を処理して、37℃で1時間培養した。マイクロタイター板はもう一度0.05%PBSTで洗浄後、2,2’-azino-bis-3-ethylbenzothiazoline-6-sulfonic acid solutions(ABTS)(Pierce、Rockford、IL、USA)を用いて培養した。その後、Multiscan Ascentマイクロプレート機器(Labsystems、Helsinki、Finland)で405nmにおける吸光度を測定した。
【0112】
コーティングバッファーに入っている100ngのmPDGFR-β-FcキメラまたはTNF-α受容体の細胞外領域-ヒトFc融合タンパク質をマイクロタイター板に4℃O/Nコーティングした。各ウェルに3%(w/v)BSA(bovine serum albumin)/PBS150μLを、37℃の温度で1時間遮断剤で培養した。3%BSA/PBSに希釈した様々な濃度の二重抗体(0.06nM-1μM)を処理した後、37℃の温度で2時間培養した。板はPBSTで3回洗浄後、HRP-抗ヒトCκ抗体(Millipore)を用いて、37℃の温度で1時間培養した。板をPBSTで3回洗浄後、3,3’,5,5’-tetramethyl benzidine substrate solution(TMB)(GenDEPOT、Barker、TX、USA)を培養した。その後、Multiscan Ascentマイクロプレート機器(Labsystems)で650nmにおける吸光度を測定した。
【0113】
本発明による二重抗体とmPDGF-BB競争を確認するために、前述のように、マイクロタイター板にmPDGFR-β-Fcキメラをコーティングした後、ブロッキングした。mPDGF-BB(100nM)の有/無の条件で様々な濃度の二重抗体(0.06nM-1μM)を板に処理した後、2時間37℃の温度で培養した。洗浄、培養、検出は前記説明された酵素免疫測定法と同様に行われた。
【0114】
mPDGFR-βとコチニンに対する二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質の同時結合能を確認するために、酵素免疫測定法を用いた。4種類の二重特異抗体は対照-ヒトFcタンパク質には結合せず(図3B)、濃度依存的にmPDGFR-β-Fcキメラタンパク質に結合した(図3A)。
【0115】
本発明による抗-mPDGFR-β抗体を含む二重抗体は、タンパク質はコチニン-BSAに結合能があったが、対照二重抗体として抗-HER2xコチニンscFv-Cκ-scFv融合抗-HER2xHER2 scFv-Cκ-scFv融合タンパク質は結合能がなかった(図3C)。
【0116】
コチニンとmPDGFR-βに同時結合能があるかを確認するために、抗-mPDGFR-βxコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質をコチニン-BSAがコーティングされたウェルに培養した。それぞれの過程ごとに洗浄をし、mPDGFR-β-Fcキメラタンパク質、HRP-抗ヒトFc抗体を順に培養した。他の対照群とは異なって、4種類の二重抗体scFv-Cκ-scFv(PRb-CC01、PRb-CN01、PRb-CC02、PRb-CC03)はmPDGFR-βとコチニンに同時結合した(図3D)。
【0117】
mPDGF-BBが抗-mPDGFR-βxコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質の結合能に及ぼす影響を調べるために、競争酵素免疫測定法を開発した。連続希釈した二重抗体(抗-mPDGFR-β scFv-Cκ-コチニンscFv)にmPDGF-BBの有/無でmPDGFR-β-Fcキメラ融合タンパク質がコーティングされたウェルに反応した。HRP-抗-ヒトCκ抗体を培養した後、TMBを入れた。PRb-CC01、PRb-CC02、PRb-CC03のmPDGFR-βに対する結合能は、mPDGF-BBがある時に阻害されたが(図4A)、PRb-CN01の結合能は阻害されず、mPDGF-BBと非競争的に結合することを確認した。
【0118】
実施例4.抗体の細胞内在化分析(共焦点顕微鏡分析)
二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質内在化の視角化のための共焦点顕微鏡で分析した。NIH3T3細胞に10%FBSが添加されたDMEMに希釈した二重抗体scFv-Cκ-scFv(10μg/mL)を処理して、30分間37℃で内在化させた。細胞は冷たいPBSで3回洗浄後、細胞表面に結合している抗体を除去するために、酸性バッファー(0.2M酢酸、0.5M塩化ナトリウム)を5分間常温で処理した。細胞は冷たいPBSで2回洗浄し、10分間4%paraformaldehydeで固定した後、予め説明されているように免疫蛍光染色を進行させた[J.M.Lim et al.,J.Cell.Biol.210(2015)23]。
【0119】
簡略に説明すれば、非特異反応を有する抗体を遮断するために、細胞は5%ウマ血清を含むPBSと0.1%Triton X-100に30分間培養し、2μg/mLのFITC-抗ヒトCκ抗体(TB28-2、BD Biosciences)を常温で30分間添加した。初期エンドソームを映像化するために、細胞をPBSで3回洗浄し、5%ウマ血清を含むPBSと0.1% Triton X-100を30分間培養した後、30分間1:200で希釈した抗-Rab5抗体(C8B1、Cell Signaling Technology、Danvers、MA、USA)を培養し、Alexa Fluor546ヤギ抗-ウサギIgG(A-11035、Invitrogen)を順次に処理した。DNAを検出するために、細胞に0.2μg/mL DAPIを処理した。共焦点顕微鏡映像はZeiss LSM 880 microscopeを用いて得ており、映像はZenソフトウェア(Carl Zeiss、Thornwood、NY、USA)で分析された。
【0120】
3種類の抗-mPDGFR-βxコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質はエンドソームを介して細胞内在化することを確認した。
【0121】
二重抗体scFv-Cκ-scFvの細胞内在化を測定するために、抗-mPDGFR-βxコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質をNIH3T3細胞に培養した後、FITC-抗ヒトCκ抗体とエンドソーム特異的抗体を処理して、共焦点顕微鏡を用いて映像化した。細胞内蛍光はPRb-CN01、PRb-CC02、PRb-CC03を培養した細胞内でのみ確認可能であった(図4C)。PRb-CC01は内在化されなかった。映像を合併した時、本発明者らは、3つの抗体クローンとエンドソーム特異的抗体の蛍光が共局在化したことを確認した。
【0122】
実施例5.二重抗体のmPDGFR-βおよびコチニンに対する結合能分析(流細胞分析)
NIH3T3は流細胞分析バッファー(1%[w/v]BSA/PBSに0.05%[w/v]sodium azide)に1:100で希釈したニワトリ血清を4℃にて1時間培養し、流細胞分析バッファーで4回洗浄した。流細胞分析バッファーにあるAlexa Fluor488-抗ニワトリIgY抗体(703-545-155、Jackson Immunoresearch、West Grove、PA、USA)を細胞に処理した。洗浄後、FACS Canto II instrument(BD Biosciences、San Jose、CA、USA)で分類して分析した。各測定時ごとに10,000細胞を確認し、結果はFlowJo(Tree Star、Ashland、OR、USA)で分析した。前記NIH3T3細胞は韓国細胞株銀行から購入して、10%ウシ胎児血清(FBS;GIBCO、Grand Island、NY、USA)と1%ペニシリン、ストレプトマイシン[S.Park et el.,Exp.Mol.Med.44(2012)554-61]を添加したDulbecco’s modified Eagle’s medium(DMEM;Welgene、ソウル、韓国)培地で培養して用意したものである。
【0123】
mPDGF-BBは、製造業者の指示により、biotin-xx microscaleタンパク質ラベリングキット(Invitrogen)を用いてbiotinylationした。NIH3T3細胞は、mPDGF-BB-biotin(100nM)の有/無の2つの条件で二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質(100nM)を用いて、4℃にて1時間培養した。細胞は流細胞バッファーで4回洗浄後、allophycocyanin(APC)-抗ヒトCκ抗体(clone TB28-2;BD Biosciences、San Jose、CA、USA)とstreptavidin-phycoerythrin(PE)(12-4317-87;eBioscience、ThermoFisher)を用いて培養した。洗浄後、FACS Canto II instrument(BD Biosciences、San Jose、CA、USA)で分類して分析した。各測定時ごとに10,000細胞を確認し、結果はFlowJo(Tree Star、Ashland、OR、USA)で分析した。酵素免疫測定法と類似する結果の通りにmPDGF-BBを一緒に入れた場合、PRb-CN01のみ細胞表面に存在するPDGFR-βに結合した(図4B)。他の3つのクローンの結合能はmPDGF-BBによって阻害された。
【0124】
本発明者らは、mPDGFR-βを発現しないMOLT-4細胞にも二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質の結合能を流細胞実験で確認した。MOLT-4細胞は二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質(100nM)を4℃の温度に1時間培養した。前記説明のように洗浄後、検出はAPC-抗ヒトCκ抗体を処理して実験を進行させた。前記MOLT-4細胞は韓国細胞株銀行から購入して、10%ウシ胎児血清と1%ペニシリン、ストレプトマイシンを添加したRPMI-1640(Welgene、ソウル、韓国)培地で培養して用意したものである。PRb-CN01と抗-HER2二重抗体scFv-Cκ-scFv融合抗体の両方とも、当該細胞に結合しないことを確認した(図6)。
【0125】
実施例6.二重抗体とコチニン-デュオカルマイシン(cot-duo)の複合体形成
6-1:コチニン-デュオカルマイシンの複合体の合成
本発明は、コチニンが接合されたバリン-シトルリン-PAB-デュオカルマイシン、バリン-シトルリン-PAB-モノメチルオーリスタチンE(MMAE)またはバリン-シトルリン-PAB-マレイミドメチルシクロヘキサン-1-カルボキシアレート(mcc)mertansine(DM1)を製造する。本発明において、DAR1とDAR4のコチニン-細胞毒性薬物を試験した結果、DAR4コチニン-細胞毒性薬物がDAR1よりも強いということを確認し、また、デュオカルマイシンはコチニンに結合した時に最も強いということを発見した。この理由から、コチニン-デュオカルマイシンを実験に使用する。
【0126】
Trans-4-コチニンcarbonyl-(GSK)4ペプチドは、ペプトロン(大田(テジョン)、韓国)でASP48S auto peptide synthesizerを用いて、Fmoc solid phase peptide synthesis 9SPSS)で合成された。Trans-4-コチニンcarboxylic acid(Sigma-Aldrich、St Louis、MO、USA)はFmoc-amino acid coupling方法を利用してペプチドのN-末端に付着した。
【0127】
合成が完了した後、crude productはTFA/EDT/thioanisole/TIS/DW(90/2.5/2.5/2、5/2.5volume)を2時間処理してレジンから落とした。溶液は冷たいエーテルを用いて遠心分離により沈殿させた。沈殿物は空気に乾かした。Crude productはACE10 C18-300 reverse phaseカラム(250mmx21.2mm、10μM)を用いたreverse phase HPLCで精製した。0.1%(v/v)trifluoroacetic acid(Alfa Aesar、Warm Hill、MA、USA)を含む水-アセトニトリルlinear gradient(10~75%(v/v)アセトニトリル)で溶出された。精製されたペプチド(Cot-(GSK)4ペプチド)は収集されて乾燥した。
【0128】
Valine-citrulline p-aminobenzyloxycarbonyl(PAB)-linked dimethylaminoethylデュオカルマイシンは、コチニン-(GSK)4に存在する4つのリシンの自由アミノ酸にLevena Biopharma(San Diego、CA、USA)によって連結された。Cot-(GSK)4ペプチド(3.5mg、2μmol)はアセトニトリル/水(6/4、v/v、1mL)に溶かした。PAB-dimethylaminoethylデュオカルマイシンPEG3-valine-citrullineのNHS esterを追加し、saturated aqueous NaHCO 9μLを順次に追加した。混合物は常温で4時間混合し、Phenomenex Gemini(商標) C18-100Å column(100mmx2mmx5μM)を用いるreverse phase HPLC手法によって精製された。複合体(コチニン-[GSK(デュオカルマイシン)]4、DAR4)を「cot-duo」と称した。二価コチニン-(GSK)4Kは、予め説明した方法でデュオカルマイシンに連結された[J.Jin et al.,Exp.Mol.Med.50(2018)67]。簡略に、ペプトロン社で2つのtrans-4-コチニンcarboxylic acid moleculeをGSKGSKGSKGSKKのN-末端に存在する自由アミノ酸とC-末端にあるリシンのepsilonアミノ酸に、basic Fmoc-amino acid coupling方法を利用して連結した。Levena Biopharmaで4つのPAB-デュオカルマイシンを二価コチニン-GSKGSKGSKGSKKペプチド連結して、コチニン-[GSK(duocarmycin)]4K-コチニン(DAR2)、cot-duo-cotと称された複合体を作った。図1Aは、二重抗体の融合タンパク質とコチニン-デュオカルマイシン接合体(cot-duo、cot-duo-cot)を示し、図1Bは、cot-duoとcot-duo-cotの化学構造を示す。「R」は、valine-citrulline PAB-linked dimethyl aminoethylデュオカルマイシンである。
【0129】
6-2:二重抗体と複合体の製造
実施例2によりPBSに溶けている抗-PDGFR-βxコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質(15μM)は、DMSOに溶けているcot-duo(15μM)と1:1、cot-duo-cot(7.5μM)とは2:1で混合した。常温で複合体を形成した30分後に、複合体は10%FBSと1%ペニシリン/ストレプトマイシンを含むDMEM培地に5倍ずつ希釈した(25.6pM-2μM)。
【0130】
6-3:二重抗体と複合体形成の確認
複合体形成を確認するために、実施例2で製造した(抗-mPDGFR-β scFv)-Cκ-(抗-コチニンscFv)二重抗体とコチニン-デュオカルマイシン接合体をサイズ排除クロマトグラフィーおよびHPLCを用いてY-biologics(大田(テジョン)、韓国)が分析した。
【0131】
前記分析には5μmの粒子に300Åのサイズの孔で埋められているSepax SRT-C SEC-300カラム(7.8x300mm)が装着されたDionex Ultimate3000(Thermo Fisher Scientific Inc.、MA、USA)を使用した。移動相(mobile phase)はPBS(phosphate-buffered saline)であり、20μLのサンプル(1mg/mL)を注入し、15分間1mL/minで溶出液で溶出した。カラムの溶出液は254nmでmAU値で紫外線検出器によりモニタリングした。
【0132】
図8は、本発明の一例による抗-mPDGFR-β抗体に関する二重抗体のサイズ排除クロマトグラフィー(size exclusion chromatography)の結果である。本発明による二重抗体、二重抗体およびcot-duoの複合体、二重抗体およびcot-duo-cotの複合体は、Sepax SRT-C SEC-300カラムが装着されているDionex Ultimate3000を用いたサイズ排除クロマトグラフィー-HPLCで分析した。移動相はPBSで用い、15分間1mL/minで移動溶媒を溶出した。紫外線検出器は254nmに調節されており、結果はmAUでモニタリングした。HMWはhigh molecular weight speciesである。
【0133】
実施例7.PDGFR-βの発現細胞株における抗増殖性分析(細胞毒性実験)
10%FBSと1%ペニシリン/ストレプトマイシンを添加したDMEM50μLにNIH3T3細胞を入れて、96-ウェル板(CLS3595、Corning)に入れて、一晩5%CO2、37℃の培養器で培養した。細胞50μLが入っている各ウェルに、実験例10で得られたcot-duoまたはcot-duo-cotと複合体をなした抗-PDGFR-ΒxコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質(25.6pM-2μM)を50μL添加して、5%CO2、37℃の培養器で72時間培養した。mPDGF-BBの二重抗体scFv-Cκ-scFvとコチニン-デュオカルマイシン複合体の毒性効果を調べるために、mPDGF-BB(2nM)を二重抗体scFv-Cκ-scFvとコチニン-デュオカルマイシン複合体50μLに一緒に入れた。混合された複合体はNIH3T3細胞が入っている50μLに添付した。
【0134】
二重抗体抗-HER2xコチニンscFv-Cκ-scFvは対照群として使用された。細胞に培養72時間後、製造業者の指示の通りにCell Titer-Glo reagents(Promega Corp.、Madison、WI、USA)を100μLずつすべてのウェルに入れて、ルミノメーター(PerkinElmer、Waltham、MA、USA)で発光を測定した。実験は3回繰り返し行われた。相対的生存力は当該公式で計算した:[%生存力=(実験ウェルの発光-背景ウェルの発光)/(対照群の発光-背景ウェルの発光)x100]。新しい培地のみ入っているウェルを背景ウェルとして用いた。
【0135】
抗-mPDGFR-βxコチニンscFv-Cκ-scFv融合抗体コチニンデュオカルマイシン(cot-duo、cot-duo-cot)複合体は、PDGFR-βを発現するネズミ線維芽細胞に抗増殖性効果があることを確認した。
【0136】
抗-mPDGFR-ΒxコチニンscFv-Cκ-scFv二重抗体とコチニンデュオカルマイシン(cot-duo、cot-duo-cot)複合体の毒性を評価するために、NIH3T3細胞に複合体はmPDGF-BBの有/無の状態で処理し、細胞の三リン酸アデノシンを測定して相対的生存力を測定した。二重抗体scFv-Cκ-scFv融合抗体の毒性はIC50で表6および図5に示した。下記表6は、抗-mPDGFR-βxコチニンscFv-Cκ-scFv融合抗体コチニンデュオカルマイシン複合体の試験管内力価と95%信頼区間を適用した。
【0137】
【表6】
4つの実験された抗体のうち、mPDGF-BBの有/無に関係なく対照抗-HER2xcotinine scFv-Cκ-scFv対比、PRb-CN01が最も高い毒性を示した(p<0.01;図5)。PRb-CC02とPRb-CC03は、対照抗体と内在化しない抗体(PRb-CC01)に対比して毒性を示したが、統計の有意性を見せてはいなかった。しかし、mPDGF-BBがある場合、コチニンデュオカルマイシンは、PRb-CN01と複合体をなす時、自由デュオカルマイシンより統計的に有意に毒性が高かった(p<0.01)。対照実験として二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質とcot-duo複合体を、mPDGFR-βを発現しないMOLT-4細胞に毒性実験を進行させた。PRb-CN01は、対照抗体である抗-HER2xコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質と毒性の差がなかった(図7)。
【0138】
図5に示すように、scFv-Ck-scFvは、抗体濃度が上昇しても細胞を殺さずIC50値を求めることができず、表6にはscFv-Ck-scFv単独のIC50値を入れずにscFv-Ck-scFvとcot-duoまたはcot-duo-cotを一緒に添加した結果を示す。また、MOLT-4細胞はmPDGFR-βを発現しないので、PRb-CN01-薬物複合体と対照抗体-薬物複合体の毒性の差がない。
【0139】
実施例8.生体内新生血管増殖能分析
抗-mPDGFR-βxコチニンscFv-Cκ-scFv融合抗体にcot-duoが結合した複合体は生体内で新生血管増殖を抑制したことを確認した。
【0140】
8-1:酸素誘導網膜病動物実験
出生後7日目のC57BL/6マウスを高濃度酸素(75%)チャンバにて5日間飼育し、12日目に正常酸素飼育施設に移すと、未熟児網膜病症の環境を作る。
【0141】
生後14日目に二重抗体scFv-Cκ-scFv、二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質とcot-duoの複合体をそれぞれ1nMおよび10nMの濃度で1uLずつガラス体腔内に注射した。血管を標識するために、網膜フラットマウントにisolectin B4-594(1:100;121413、Invitrogen)を処理した。
【0142】
酸素誘導網膜病動物モデルにおいてPRb-CN01xコチニンscFv-Cκ-scFv融合抗体cot-duo複合体は濃度依存的に新生血管増殖を抑制した(図9)。
【0143】
8-2:レーザ誘導脈絡膜血管新生動物モデル
マウスを麻酔させた後、マウスの網膜に300umの点サイズで400mWの強度、50msの持続時間、810nm波長帯のindirect ophthalmoscope system(ILOODA)レーザを照射して、ブルッフ膜(Bruch’s membrane)の破壊を誘導した。
【0144】
レーザ照射4日後、二重抗体scFv-Cκ-scFv、二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質とcot-duo複合体をそれぞれ10nMの濃度で1uLずつガラス体腔内に注射した。レーザ照射7日後、眼球を摘出して網膜色素上皮-脈絡膜-強膜組織を得た後、脈絡膜新生血管膜の範囲を確認するために、Alexa Fluor594が結合したisolectin B4抗体で免疫蛍光染色を実施して、二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質とcot-duo複合体による血管形成抑制能を確認した。脈絡膜新生血管膜の範囲を定量的分析するために、ImageJプログラム(NIH)を用いた。
【0145】
レーザ誘導脈絡膜血管新生動物モデルにおいてもPRb-CN01xコチニンscFv-Cκ-scFv融合抗体cot-duo複合体は新生血管増殖を抑制した(図10)。
【0146】
二重抗体scFv-Cκ-scFvの毒性はIC50(最大抑制能の50%)で計算され、統計はunpaired Student’s t-testsまたはone-way analysis of varianceを用いた。Tukey’s post hoc multiple comparison testは二重抗体scFv-Cκ-scFv同士の統計の有意性を調べるために使用された。p-value0.05以下は統計的に有意であると見なした。すべての分析はPrism v5.0(GraphPad Software、Inc.、San Diego、CA、USA)を用いた。
【0147】
実施例9.hPDGFR-β-Cκ融合タンパク質の発現および精製
hPDGFR-β、サイノモルガス猿PDGFR-β、スーススクローファPDGFR-βの細胞外領域に対するアミノ酸配列は、前記表3の配列番号61、62および63に示し、ただし、レサスPDGFR-βは市販の抗原(Cat:90215-C02H)を購入して使用した。前記製造された塩基配列の末端にSfiI制限酵素配列を入れて合成し(ジェンスクリプトバイオテック、江蘇省、中国)、SfiI酵素で切断、pCEP4ベクターにクローニングした後、CκまたはhFc形態で従来報告された方法を用いて発現した[Y.Lee,H.Kim et al.,Exp.Mol.Med.46(2014)e114,S.Park,D.Lee et al.,Clin Chim Acta 411(2010)1238]。
【0148】
形質注入および精製は実施例1のmPDGFR-βにより行われたが、製造業者の指示により、タンパク質Aゲル親和性クロマトグラフィーを用いてhFc融合タンパク質を精製するように変形した(Repligen Corp.、Cambridge、MA)。前記融合タンパク質はhPDGFR-βアミノ酸配列のC末端に、Cκはリンカー-(GGGGS)3を介して連結された構造を有する。
【0149】
実施例10.二重抗体(scFv-Cκ-scFv)の発現および精製
10-1:複合scfvを発現してファージライブラリーの作製およびバイオパンニング
実施例2のmPDGFR-β scFv-発現ファージライブラリーおよびバイオパンニングの生成と同様の方法で、実施例9でhPDGFR-β-Cκ融合タンパク質を用いて抗-hPDGFR-β scFv-発現ファージライブラリーを生成し、バイオパンニングを行った。
【0150】
5次排出価からscFvクローンをランダムに選別して、hPDGFR-β-Cκがコーティングされたマイクロタイター板に対してファージ酵素免疫測定法を進行させた。アミノ酸配列を確認した後、計3種類の抗体クローンを探した(表7)。下記表7は、抗-hPDGFR-β scFvクローンのHCDR3配列である。前記得られた3つのクローンに対するVHおよびVLとこれらのCDRアミノ酸配列情報を前記表2に示す。
【0151】
【表7】
【0152】
10-2:二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質の発現および精製
実施例2の抗-mPDGFR-β scFvの作製と同様の方法により、実施例9で製造した抗-hPDGFR-β scFvクローンを用いて、(抗-hPDGFR-β scFv)-Cκ-(抗-コチニンscFv)二重特異抗体を暗号化している遺伝子を含むpCEP4発現ベクターが作製された。
【0153】
製造された(抗-hPDGFR-β scFv)-Cκ-(抗-コチニンscFv)二重特異抗体の具体的構造とそれぞれのリンカーの結合位置は図1Aに示す。具体的には、抗-hPDGFR-β scFvおよび抗-コチニンscFvは、それぞれN-末端からVL-GQSSRSSGGGGSSGGGGS(表2の配列番号57)-VHの順序で結合し、つまり、VLのC末端とVHのN末端とを連結したものである。N末端から抗-mPDGFR-β scFv、Ckおよび抗-コチニンscFvがそれぞれリンカーを用いて連結され、前記scFvを連結したリンカーは表2の配列番号59を有する(GGGGS)3を使用し、Ckアミノ酸配列は表2の配列番号58を有するものを使用した。
【0154】
二重特異抗体である融合タンパク質を製造する具体的な方法、発現した二重抗体のタンパク質の精製および純度の確認方法などは、実施例2と実質的に同様の方法で行った。SDS-polyacrylamideゲル電気泳動結果を図11に示す。図11は、本発明による抗-hPDGFR-β抗体に関する二重抗体としてコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質をSDS-polyacrylamideゲル電気泳動した結果である。
【0155】
図11に示すように、還元剤を用いて還元された(reduced)タンパク質は、レーン1(PRb-CN16xコチニン二重抗体)、レーン3(PRb-CN26xコチニン二重抗体)、レーン5(PRb-CN32xコチニン二重抗体)で69.0kDaであり、還元タンパク質は67kDa、非還元タンパク質は60kDaで染色された。コンピュータで計算した融合タンパク質のサイズは66.77kDaであった。Multimeric帯は見えなかった。
【0156】
実施例11.二重抗体のhPDGFR-βとコチニンに対する結合能分析
コーティングバッファー(0.1M重炭酸塩ナトリウム、pH8.6)に入っている100ngのhPDGFR-Β-FcキメラまたはTNF-α受容体の細胞外領域-ヒトFc融合タンパク質をマイクロタイター板に4℃O/Nコーティングした。各ウェルに3%(w/v)BSA(bovine serum albumin)/PBS150μLを37℃で1時間遮断剤で培養し、抗-mPDGFR-Β免疫ニワトリ血清結合能を実験したプロトコルに同様に従った。
【0157】
コーティングバッファーに入っている100ngのhPDGFR-β-FcキメラまたはTNF-α受容体の細胞外領域-ヒトFc融合タンパク質をマイクロタイター板に4℃O/Nコーティングした。各ウェルに3%(w/v)BSA(bovine serum albumin)/PBS150μLを、37℃の温度で1時間遮断剤で培養した。3%BSA/PBSに希釈した様々な濃度の二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質(0.01nM-1μM)を処理した後、抗-mPDGFR-β scFv-Cκ-scFv融合タンパク質の容量-依存的結合能を測定したプロトコルと同様に実験を進行させた。
【0158】
二重抗体scFv-Cκ-scFvとhPDGF-BB競争を確認するために、実施例3のようにマイクロタイター板にhPDGFR-β-Fcキメラをコーティングした後、ブロッキングした。hPDGF-BB(100nM;220-BB;R&D systems)の有/無の条件で様々な濃度の二重抗体scFv-Cκ-scFv(0.01nM-1μM)を板に処理した後、2時間37℃の温度で培養した。洗浄、培養、検出は前記説明された酵素免疫測定法と同様に行われた。PRb-CN16、PRb-CN32、PRb-CN26のhPDGFR-Βに対する結合能は、hPDGF-BBがある時に阻害されなかった(図12A)。
【0159】
抗-hPDGFR-β scFv-Cκ-scFv融合タンパク質の交差種結合を試験するために、マイクロタイタープレートに100ngのhPDGFR-β、mPDGFR-β、レサスPDGFR-β(90215-C02H、Sino Biological Inc.、北京、中国)、サイノモルガス猿PDGFR-β、スーススクローファPDGFR-β-FcキメラまたはTNF-α受容体の細胞外領域-ヒトFc融合タンパク質で4℃の温度でO/Nコーティングした。ウェルをブロッキングした後、実施例3と同様の方法で抗-hPDGFR-β scFv-Cκ-scFv融合タンパク質およびHRP接合された抗-ヒトCκ抗体の順次的培養が続けられた。
【0160】
hPDGFR-βとコチニンに対する二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質の同時結合能を確認するために、酵素免疫測定法を用いた。3種類の融合抗体は対照-ヒトFcタンパク質には結合せず(図12B)、濃度依存的にhPDGFR-Β-Fcキメラタンパク質に結合した(図12A)。
【0161】
抗-hPDGFR-βxコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質のすべてと対照二重抗体抗-mCD154xコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質はコチニン-BSAに結合能があった(図12C)。コチニンとhPDGFR-βに同時結合能があるかを確認するために、抗-hPDGFR-βxコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質をコチニン-BSAがコーティングされたウェルに培養した。それぞれの過程ごとに洗浄をし、hPDGFR-β-Fcキメラタンパク質、HRP-抗ヒトFc抗体を順に培養した。3種類の二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質はhPDGFR-βとコチニンに同時結合した(図12D)。
【0162】
抗-hPDGFR-βxコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質は、hPDGF-BBがある場合にも、hPDGFR-βとコチニンに同時に結合できることを確認した(図13A)。
【0163】
抗-hPDGFR-βxコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質の交差種間結合を試験するために、酵素免疫測定法を用いた。対照群xコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質を除いたすべての3つのクローンは、hPDGFR-β、mPDGFR-β、レサスPDGFR-β、サイノモルガスPDGFR-β、スーススクローファPDGFR-βへの結合に成功した(図17)。
【0164】
図17は、本発明による抗-hPDGFR-β抗体に関する二重抗体の種間反応を実験したグラフである。hPDGFR-β、mPDGFR-β、レサスPDGFR-β、サイノモルガスPDGFR-Β、スーススクローファPDGFR-βおよび対照群Fcコーティングされたマイクロタイタープレートに、本発明による抗-hPDGFR-β抗体に関する二重抗体(100nM)と反応し、結合した二重抗体の量をHRP接合された抗-ヒトCκ抗体およびTMBを用いて測定した。
【0165】
実施例12.二重抗体の細胞内在化分析
ヒト周皮細胞に10%FBSが添加された周皮生長培地に希釈した二重抗体scFv-Cκ-scFv(10μg/mL)を処理して、30分間37℃で内在化させた。実施例4の抗-mPDGFR- βxコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質の共焦点顕微鏡のプロトコルに同様に従った。二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質にhPDGF-BB(50ng/mL)を添加した後、同一のプロトコルに従って共焦点顕微鏡実験が行われた。
【0166】
抗-hPDGFR-βxコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質はエンドソームを介して細胞内在化を確認した。
【0167】
二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質の内在化を映像化した。ヒト周皮細胞に融合タンパク質を処理後、細胞表面に結合している抗体を除去した。細胞の固定後、融合タンパク質はFITC-抗ヒトCκ抗体(緑色)で染色した。初期エンドソームをイメージ化するために、細胞は抗-Rab5抗体とAlexa Fluor546-ヤギ抗-ウサギ抗体IgG(赤色)で染色された。矢印で表示された部分は、拡大された部分を示しながら、抗-hPDGFR-ΒxコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質と初期エンドソームの蛍光が共局在化されている部分を示す。DNAはDAPI(青色)で染色された。Scale bar、10μm。図13Dは、hPDGF-BBを入れて繰り返された。
【0168】
二重抗体scFv-Cκ-scFvの細胞内在化を測定するために、抗-hPDGFR-βxコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質をヒト周皮細胞に培養した後、FITC-抗ヒトCκ抗体とエンドソーム特異的抗体を処理して、共焦点顕微鏡を用いて映像化した。細胞内蛍光はPRb-CN32、PRb-CN16を培養した細胞内でのみ確認可能であった(図13C)。映像を合併した時、本発明者らは、2つの抗体クローンとエンドソーム特異的抗体の蛍光が共局在化したことを確認した。PRb-CN32、PRb-CN16、PRb-CN26にhPDGF-BBを処理した時、エンドソーム特異的抗体と共局在化したことを確認した(図13D)。PRb-CN26は、PDGF-BBと共に処理した場合、30分内に多量が内在化された。抗体の内在化は標的細胞内への薬物の伝達に極めて重要であり、いくつかの疾病にはPDGF-BBのレベルが上昇しているが、本発明による抗体は、PDGF-BBのレベルが上昇しても抗体が内在化に影響を与えず、病症のある患者に薬物を細胞内に伝達するのに有用である。
【0169】
実施例13.二重抗体のhPDGFR-βおよびコチニンに対する結合能分析
ヒト周皮細胞は、分析用バッファー(1%[w/v]BSA/PBSに0.05%[w/v]sodium azide)に1:100で希釈したニワトリ血清を4℃にて1時間培養し、流細胞分析バッファーで4回洗浄した。実施例4の抗-mPDGFR-βを試験した同一のプロトコルに従った。前記ヒト周皮細胞はPromoCell(Heidelberg、Germany)から購入して、10%ウシ胎児血清(FBS;GIBCO、Grand Island、NY、USA)と1%ペニシリン、ストレプトマイシンを添加した周皮細胞生長培地(PromoCell)で培養されたものである。
【0170】
ヒト周皮細胞は、hPDGF-BB-biotin(100nM;BT220;R&D systems )の有/無の2つの条件で二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質(100nM )を用いて、4℃にて1時間培養した。細胞は流細胞バッファーで4回洗浄後、allophycocyanin(APC)-抗ヒトCκ抗体(clone TB28-2;BD Biosciences、San Jose、CA、USA)とstreptavidin-phycoerythrin(PE)(12-4317-87;eBioscience、ThermoFisher)を用いて培養した。洗浄後、FACS Canto II instrument(BD Biosciences、San Jose、CA、USA)で分類して分析した。各測定時ごとに10,000細胞を確認し、結果はFlowJo(Tree Star、Ashland、OR、USA)で分析した。
【0171】
A-431細胞に二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質(100nM)を4℃にて1時間培養した。前記説明のように洗浄後、検出はAPC-抗ヒトCκ抗体を処理して実験を進行させた。前記A-431細胞は韓国細胞株銀行から購入して、10%ウシ胎児血清(GIBCO)と1%ペニシリン、ストレプトマイシンを添加したDulbecco’s modified Eagle’s medium(DMEM;Welgene、ソウル、韓国)培地で培養したものである。
【0172】
本発明者らはまた、流細胞実験でhPDGF-BBがある時、hPDGFR-βを発現するヒト周皮細胞に各クローンの結合能を確認し、抗-hPDGFR-βxコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質とhPDGF-BB-biotinは細胞に結合することを確認した。酵素免疫測定法と類似する結果の通りにhPDGF-BBを一緒に入れた場合、すべての3つのクローンが細胞表面に存在するPDGFR-βに結合した(図13B)。本発明者らは、hPDGFR-βを発現しないA-431細胞にも二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質の結合能を流細胞実験で確認し、抗-hPDGFR-ΒxコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質のすべてと対照二重抗体抗-mCD154xコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質が当該細胞に結合しないことを確認した(図15)。
【0173】
実施例14.二重抗体とコチニン-デュオカルマイシン(cot-duo)の複合体形成
実施例6と実質的に同様の方法で行い、抗-mPDGFR-β抗体に関する二重抗体の代わりに、実施例10で製造した抗-hPDGFR-β抗体に関する二重抗体を使用した。実施例6による抗-mPDGFR-βxコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質の作製と形質導入で言及したように、同一にHEK293F細胞に形質導入した。上澄液から二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質を親和クロマトグラフィー方法で精製し、SDS-polyacrylamideゲル電気泳動を実施した(図11)。
【0174】
実施例15.PDGFR-βの発現細胞株における抗増殖性分析(細胞毒性実験)
10%FBSと1%ペニシリン/ストレプトマイシンを添加した周皮細胞生長培地50μLにヒト周皮細胞を入れて、96-ウェル板(CLS3595、Corning)に入れて、一晩5%CO2、37℃の培養器で培養した。細胞50μLが入っている各ウェルにcot-duoと複合体をなした抗-hPDGFR-βxコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質(25.6pM-2μM)を50μL添加して、5%CO2、37℃の培養器で72時間培養した。
【0175】
二重抗体scFv-Cκ-scFvとcot-duo複合体の毒性に対するhPDGF-BBの影響を分析するために、hPDGF-BB(2nM)を二重抗体scFv-Cκ-scFvとcot-duo複合体50μLに一緒に入れた。混合された複合体は細胞含有溶液50μLに添加した。二重抗体抗-mCD154xコチニンscFv-Cκ-scFvは対照群として使用された。その他の実験方法は、実施例7の抗-mPDGFR-βxコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質のプロトコルと同様に実験を進行させた。
【0176】
抗-hPDGFR-βxコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質cot-duo複合体の毒性を評価するために、ヒト周皮細胞に複合体をhPDGF-BBの有/無の状態で処理し、細胞の三リン酸アデノシンを測定して相対的生存力を測定した。二重抗体scFv-Cκ-scFvの毒性はIC50で示した(表8)。下記表8は、抗-hPDGFR-βxコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質とcot-duo複合体の試験管内力価を示し、95%信頼区間を適用した。
【0177】
【表8】
【0178】
前記表8の結果に示すように、3つの実験された抗体(PRb-CN16、PRb-CN32、PRb-CN26)のすべては、hPDGF-BBの有/無に関係なく対照抗-mCD154xcotinine scFv-Cκ-scFv対比、高い毒性を示した(p<0.05;図14A、および図14B)。対照実験で二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質cot-duo複合体を、hPDGFR-βを発現しないA-431細胞に毒性実験を進行させた。抗-hPDGFR-βxコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質とも、対照抗体である抗-mCD154xコチニンscFv-Cκ-scFv融合タンパク質より毒性が高くなかった(図16)。よって、抗増殖性の結果、二重抗体/cot-duo複合体は、hPDGFR-β発現するヒト周皮細胞株において、対照抗-mCD154xcotinine scFv-Cκ-scFv対比、細胞毒性が高く、hPDGFR-βを発現しないA-431細胞では、対照抗-mCD154xcotinine scFv-Cκ-scFv対比、細胞毒性の差がなかった。このような細胞毒性の結果は、hPDGFR-βによって伝達されたデュオカルマイシンの効能によるものであり、よって、scFv-Cκ-scFv二重特異抗体がハプテン-薬物である(cot-duo)を効果的に標的細胞に伝達し、細胞内に薬物を効果的に放出したことを示したのである。
【0179】
実施例16
まず、実施例2で製造したPRb-CN01 scFvを用いて、scFv-ウサギFc抗体を暗号化している遺伝子を含むpCEP4発現ベクターが作製された。前記実験に用いられたウサギFc抗体のアミノ酸配列は、添付の配列リストのSEQ ID NO:72に示す。
【0180】
具体的には、抗-mPDGFR-β scFvのC-末端にhinge(QEPKSSDKTHTSPPSP:SEQ ID NO:73)を用いてウサギFcに連結された。scFv-ウサギ-Fcを製造する具体的な方法として、抗-mPDGFR-βを暗号化する遺伝子はSfiI(New England Biolabs)で切断して発現ベクターに連結された。形質注入および精製は、実施例のmPDGFR-βにより行われたが、製造業者の指示により、タンパク質Aゲル親和性クロマトグラフィーを用いてウサギFc融合タンパク質を精製するように変形した(Repligen Corp.、Cambridge、MA)。
【0181】
実施例5の抗体結合能に対する流細胞分析法と実質的に同様の方法で行って、NIH3T3にPRb-CN01とPRb-CN32二重抗体scFv-Cκ-scFvの両方とも当該細胞に結合することが確認された(図18)。具体的には、mPDGFR-βを発現するNIH3T3細胞に、流細胞分析バッファーにある二重抗体scFv-Cκ-scFv融合タンパク質(100nM)を培養した。細胞にはAPC-抗ヒトCκ抗体を処理した。二重抗体である抗-HER2 xcotinine scFv-Cκ-scFv融合タンパク質は陰性対照群として使用された。
【0182】
実施例3の抗体結合能に対する酵素免疫測定法と実質的に同様の方法で行い、mPDGFR-β-hFcキメラタンパク質をマイクロタイター板に4℃の温度でO/Nコーティングした。各ウェルに遮断剤を培養した後、3%BSA/PBSに希釈した様々な濃度のPRb-CN01-ウサギFc(0.01nM-1μM)とPRb-CN01、抗-HER2対照抗体、PRb-CN32二重抗体scFv-Cκ-scFv(100nM)を、各ウェルに37℃の温度で2時間反応した。板をPBSTで3回洗浄後、HRP-抗ウサギFc抗体を37℃の温度で1時間反応、洗浄後、ABTSを用いて反応した。その後、Multiscan Ascentマイクロプレート機器(Labsystems、Helsinki、Finland)で405nmにおける吸光度を測定した(図19A)。図19Aは、PRb-CN01代理抗体に関する競争を確認した結果である。図19Aに示されるように、mPDGFR-β-hFcキメラタンパク質とPRb-CN01-ウサギFcの結合能はPRb-CN01とPRb-CN32二重抗体scFv-Cκ-scFvによって阻害された。
【0183】
実施例5と実質的に同様の方法で行って、PRb-CN01-ウサギFc(50nM)とPRb-CN01、対照抗体、PRb-CN32二重抗体scFv-Cκ-scFv(1μM)を、NIH3T3細胞に4℃にて1時間培養した。洗浄後、FITC-抗ウサギFc抗体(172-1506、KPL、Gaithersburg、Maryland、USA)を4℃にて1時間培養した。洗浄後、FACS Canto II instrument(BD Biosciences、San Jose、CA、USA)で分類して分析した。各測定時ごとに10,000細胞を確認し、結果はFlowJo(Tree Star、Ashland、OR、USA)で分析した(図19B)。
【0184】
図19Bに示されるように、細胞表面に存在するmPDGFR-βとPRb-CN01-ウサギFcの結合能はPRb-CN01とPRb-CN32二重抗体scFv-Cκ-scFvによって阻害された。
【0185】
実施例7と同様の方法で行い、抗-mPDGFR-β抗体に関する二重抗体と実施例10で製造した抗-hPDGFR-β抗体に関する二重抗体を使用した。図20A図20Bは、PDGFR-βを発現する細胞に対して、PRb-CN01とPRb-CN32二重抗体とコチニン-デュオカルマイシン複合体の細胞毒性能の差を確認したグラフである。図20Bは、mPDGF-BBがある条件で実験が繰り返された。
【0186】
図20Aおよび20Bに示されるように、2つの実験された抗体(PRb-CN01、PRb-32)とも、mPDGF-BBの有/無に関係なく同一の毒性を示した。したがって、PRb-CN01およびPRb-32は、代理抗体(surrogate)であることを確認した。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図13A
図13B
図13C
図13D
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18
図19A
図19B
図20A
図20B
【配列表】
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