(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-05
(45)【発行日】2022-08-16
(54)【発明の名称】コンベヤーベルト上で搬送されるタイヤ内/上に一体化/適用されるRFIDタグから/に対してデータの読出し/書込みをする方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20220808BHJP
G06K 19/077 20060101ALI20220808BHJP
G06K 7/00 20060101ALI20220808BHJP
【FI】
G06K7/10 276
G06K19/077 232
G06K7/00 095
G06K7/10 184
(21)【出願番号】P 2021535128
(86)(22)【出願日】2019-12-11
(86)【国際出願番号】 EP2019084705
(87)【国際公開番号】W WO2020126757
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-08-13
(31)【優先権主張番号】102018000020134
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】518333177
【氏名又は名称】ブリヂストン ヨーロッパ エヌブイ/エスエイ
【氏名又は名称原語表記】BRIDGESTONE EUROPE NV/SA
【住所又は居所原語表記】Kleine Kloosterstraat 10, B-1932 Zaventem (BE)
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100202636
【氏名又は名称】鈴木 麻菜美
(72)【発明者】
【氏名】マリア クリスティーナ カッカミ
(72)【発明者】
【氏名】セシリア オッキウツィ
(72)【発明者】
【氏名】サラ アメンドーラ
(72)【発明者】
【氏名】ガエタノ マロッコ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ ドゥーバ
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/095922(WO,A1)
【文献】独国実用新案第202017102186(DE,U1)
【文献】特開2008-197781(JP,A)
【文献】特開2017-200114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
G06K 19/077
G06K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベヤーベルト(3)上で搬送方向に搬送されるタイヤ(4、A、B、C)であって、各タイヤ(4、A、B、C)には、そのタイヤ(4、A、B、C)の一義的識別子を記憶する対応無線周波数識別タグ(5、5A、5B、5C)が装着されている、前記タイヤの無線周波数識別タグ(5、5A、5B、5C)から/に対してデータの読出し及び/又は書込みをする方法において、前記方法は、
・前記コンベヤーベルト(3)の上方又は近傍に据え付けられるアンテナ(2)であって、以下のことを行うよう、すなわち、
- 前記コンベヤーベルト(3)のフットプリント領域(21)に向かって無線周波数信号を放射し、かつ
- 前記フットプリント領域(21)から後方散乱する無線周波数信号を受信する
よう構成された、該アンテナ(2)と、及び
・前記アンテナ(2)に接続して、該アンテナの送信及び受信を動作させるリーダー(6)と
を準備するステップを備え、
前記方法は、さらに、前記リーダー(6)を較正することを含む予備較正ステップを実施するステップを備え、前記予備較正は、
a1) 所与の無線周波数識別タグ(51)を装着した所与のタイヤ(41)を前記コンベヤーベルト(3)上に配置し、また前記所与のタイヤ(41)を前記アンテナ(2)の下方/近傍に不動に維持すること、
a2) 前記所与のタイヤ(41)が前記アンテナ(2)の下方/近傍に不動に維持される間に
- 前記所与の無線周波数識別タグ(51)を作動させるのに必要な最小送信出力を決定し、
- 前記最小送信出力よりも大きい較正送信出力を決定し、また
- 前記アンテナ(2)を介して前記較正送信出力を有する較正無線周波数信号を放射し、かつ前記アンテナ(2)を介して前記所与の無線周波数識別タグ(51)から後方散乱した較正無線周波数信号を受信する
こと、
a3) 前記較正無線周波数信号の放射及び前記後方散乱した較正無線周波数信号の受信を継続する間に、前記所与の無線周波数識別タグ(51)が応答を停止するまで、前記所与のタイヤ(41)の前後への移動を増大させること、
a4) 前記操作a3)に基づいて前記搬送方向に平行な前記フットプリント領域(21)のサイズ(a
x)を推定すること、
a5) 以下を測定する、すなわち、
- 前記所与のタイヤ(41)が前記アンテナ(2)の下方/近傍に不動に維持される間、及び前記所与のタイヤ(41)が前後に移動される間に、前記所与の無線周波数識別タグ(51)が受信する前記較正無線周波数信号の第1受信出力レベル、及び
- 前記所与のタイヤ(41)が前記アンテナ(2)の下方/近傍に不動に維持される間、及び前記所与のタイヤ(41)が前後に移動される間に、前記アンテナ(2)を介して前記リーダー(6)が受信する前記後方散乱した較正無線周波数信号の第2受信出力レベル
を測定すること、
a6) 異なるタイヤ(41、42、43)で前記操作a1)~a5)を繰り返し、以下を取得する、すなわち、
- 前記異なるタイヤ(41、42、43)に関連する複数の較正送信出力、
- 前記異なるタイヤ(41、42、43)に関連する複数のフットプリント領域(21)の推定サイズ(a
x)、
- 前記異なるタイヤ(41、42、43)に関連する複数の第1及び第2の受信出力レベル
を取得すること、
a7) 以下を計算する、すなわち、
- 前記取得した較正送信出力に基づく平均送信出力、
- 前記取得したすべての推定サイズ(a
x)に基づく前記フットプリント領域(21)の平均サイズ、
- 前記フットプリント領域(21)の平均サイズ及び前記コンベヤーベルト(3)における所与の搬送速度に基づく呼掛けレート、
- 前記取得した第1及び第2の受信出力レベルに基づく平均受信出力レベル、及び
- 前記平均受信出力レベルに基づく1つ又はそれ以上の閾値
を計算すること、
によって、該較正を行い、
前記方法は、さらに、前記較正済みリーダー(6)を動作させることを含む読出し及び書込みステップを実施するステップを備え、前記動作は、以下のこと、すなわち、
b1) 前記アンテナ(2)を介して、前記予備較正ステップで計算した前記平均送信出力及び前記呼掛けレートで1つ又はそれ以上の呼掛け無線周波数信号を放射すること、
b2) 前記アンテナ(2)を介して、前記フットプリント領域(21)を通過するタイヤ(4、A、B、C)の無線周波数識別タグ(5、5A、5B、5C)から1つ又はそれ以上の後方散乱無線周波数信号であって、前記通過するタイヤ(4、A、B、C)の前記一義的識別子を担持する、該後方散乱無線周波数信号を受信すること、
b3) 以下を測定する、すなわち、
- 前記通過するタイヤ(4、A、B、C)の無線周波数識別タグ(5、5A、5B、5C)が受信する前記呼掛け無線周波数信号の1つ又はそれ以上の第3受信出力レベル、及び
- 前記アンテナ(2)を介して前記リーダー(6)が受信する前記後方散乱呼掛け無線周波数信号の1つ又はそれ以上の第4受信出力レベル
を測定すること、
b4) 前記第3及び第4の受信出力レベルを前記予備較正ステップで計算した前記閾値と比較することによって、前記通過するタイヤ(4、A、B、C)を検出すること、及び
b5) 前記後方散乱呼掛け無線周波数信号が担持する前記一義的識別子に基づいて前記検出した通過タイヤ(4、A、B、C)を識別すること
を前記較正済みリーダー(6)に動作させることを含む、方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、前記読出し及び書込みステップは、さらに、
b6) 前記通過タイヤ(4、A、B、C)の前記無線周波数識別タグ(5、5A、5B、5C)から/に対してタイヤ関連データを読出し及び/又は書込みすること
を前記較正済みリーダー(6)に動作させることを含む、方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の方法において、前記アンテナ(2)は、結果として、前記フットプリント領域(21)が、以下をカバーする、すなわち、
・前記搬送方向に直交する前記コンベヤーベルト(3)の全体幅、及び
・前記搬送方向に平行な限定長さ
をカバーするような放射パターンを有するよう構成される、方法。
【請求項4】
請求項1~3のうちいずれか1項記載の方法において、前記アンテナ(2)は、平面状かつコンベヤーベルト(3)に平行であり、また前記搬送方向に平行な所定長さ(L)及び前記搬送方向に直交する所定幅(W)を有し、前記所定長さ(L)は前記所定幅(W)より大きいものである、方法。
【請求項5】
請求項1~4のうちいずれか1項記載の方法において、前記第1、第2、第3及び第4の受信出力レベルは、受信出力の振幅及び位相の測定値を表す、方法。
【請求項6】
コンベヤーベルト(3)上で搬送方向に搬送されるタイヤ(4、A、B、C)であって、各タイヤ(4、A、B、C)には、そのタイヤ(4、A、B、C)の一義的識別子を記憶する対応無線周波数識別タグ(5、5A、5B、5C)が装着されている、該タイヤの無線周波数識別タグ(5、5A、5B、5C)から/に対してデータの読出し及び/又は書込みをするシステム(1)において、前記システム(1)は、
・前記コンベヤーベルト(3)の上方又は近傍に据え付けられるアンテナ(2)であって、以下のことを行う、すなわち、
- 前記コンベヤーベルト(3)のフットプリント領域(21)に向かって無線周波数信号を放射し、かつ
- 前記フットプリント領域(21)を通過するタイヤ(4、41、42、43、A、B、C)の無線周波数識別タグ(5、51、52、53、5A、5B、5C)によって後方散乱された無線周波数信号を受信する
よう構成された、該アンテナ(2)と、及び
・前記アンテナ(2)に接続して、該アンテナの送信及び受信を動作させるリーダー(6)と
を備え、
前記リーダー(6)は、請求項1~5のうちいずれか1項記載の方法における、前記予備較正ステップを受けるよう設計され、また較正した後には、前記読出し及び書込みステップを行うよう動作可能である、システム。
【請求項7】
請求項6記載のシステムにおいて、前記アンテナ(2)は、結果として、前記フットプリント領域(21)が、以下をカバーする、すなわち、
・前記搬送方向に直交する前記コンベヤーベルト(3)の全体幅、及び
・前記搬送方向に平行な限定長さ
をカバーするような放射パターンを有するよう構成される、システム。
【請求項8】
請求項6又は7記載のシステムにおいて、前記アンテナ(2)は、平面状かつコンベヤーベルト(3)に平行であり、また前記搬送方向に平行な所定長さ(L)及び前記搬送方向に直交する所定幅(W)を有し、前記所定長さ(L)は前記所定幅(W)より大きいものである、システム。
【請求項9】
請求項6~8のうちいずれか1項記載のシステムにおいて、複数のアンテナ(2)であって、
・前記コンベヤーベルト(3)に沿う異なる位置に据え付けられ、
・それぞれが前記コンベヤーベルト(3)の対応するフットプリント領域(21)に向かって無線周波数信号を放射し、かつ前記対応するフットプリント領域(21)から後方散乱した無線周波数信号を受信するよう構成され、また
・送信及び受信の動作をするよう前記リーダー(6)に接続される、
該複数のアンテナ(2)を備え、
各検出されるタイヤ(4、A、B、C)の位置は、前記リーダー(6)によって又は該リーダーに接続若しくは一体化/内蔵された電子制御ユニット(7)によって、前記タイヤ(4、A、B、C)が検出されたことを裏付ける前記後方散乱した呼掛け無線周波数信号を受信した前記アンテナ(2)に基づいて、決定される、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベヤーベルト上で搬送されるタイヤ内に一体化/埋設された、又はタイヤ上/に適用された、無線周波数識別子(RFID)タグから/に対してデータの読出し及び/又は書込みをする方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤの分野において、タイヤの製造、使用及び廃棄中にタイヤの自動化したかつ一義的な識別を可能にする解決法に対する必要性が感じられる。
例えば、とくに、タイヤ製造に言及すると、タイヤの自動化したかつ一義的な識別は、製造処理及びロジスティクス作業を最適化し、自動制御システムの使用を促進し、効率的なタイヤ追跡/探知を実施し、またそれ故に、洗練されたスマートタイヤ工場を実現することを可能にする。
【0003】
この文脈において、タイヤ生産及び個別タイヤの生産履歴を管理するようタイヤに適用したバーコードの使用は知られている。しかし、この解決法はその限界があり、これはすなわち、印刷したバーコードには、タイヤの製造及び/又は通常作業中に消滅又は破損し、したがって判読不能、又はいずれにせよ読出し困難になるリスクがあるからである。
【0004】
このような限界を克服するため、特許文献1(米国公開特許公報第2016/0092814号)は、無線周波数識別子(RFID)タグに基づくタイヤ識別システムを用いることを提案している。とくに、特許文献1は、RFIDタグを用いるタイヤ生産管理システムを開示し、運用にあたり、タイヤ製造プロセスで完成タイヤを生産する前にRFIDタグをタイヤに取り付けるステップと、各製造プロセスにおいてタイヤに取り付けたタイヤタグを認識するステップと、及び個別タイヤにおける製造プロセスによる管理情報を管理するステップと、を備える。特許文献1によるタイヤ生産管理システムは、RFIDタグ取付け部分と、複数のRFIDリーダーと、それぞれに対応するプロセスのための複数の管理端末と、ロット管理サーバーと、及びタイヤ生産管理サーバーと、を備える。特許文献1は、さらに、コンベヤーベルト上で搬送されるタイヤに取り付けたRFIDタグのコード認識について記載しており、この場合、このコード認識は、コンベヤーベルトに隣接するRFIDリーダーによって実施する。
【0005】
さらに、特許文献2(伊国特許公開第102016000009727号)は、設定可能かつ調整可能な無線周波数無線センサデバイスを開示しており、このデバイスは、有利には、タイヤ製造中、ロジスティクス作業中、及び通常運用中に、タイヤを自動識別するようタイヤに一体化/内蔵、又は適用することができる。さらに、特許文献2によるこの設定可能かつ調整可能な無線周波数無線センサデバイスは、都合よくは、温度データ又は圧力データのような診断データをも提供するよう構成することができる。
【0006】
特許文献3(国際公開第2016/095922号)は、タイヤ生産設備内でタイヤを取扱い及び処理する方法を開示している。この方法は、支持体に未硬化タイヤを位置決めするステップと、及びタイヤを有する支持体をコンベヤーシステムに移動するステップと、を備える。
【0007】
特許文献4(独国実用新案公開第202017102186号)は、キャビティを画定する内面及びこの内面から背反する外面を有する空気タイヤを開示しており、該タイヤは、アンテナを有する無線チップを備え、この無線チップは電磁波で動作し、またこの電磁波は波長を有し、アンテナはその長さ全体にわたり外面に対して平均で波長の1/10未満及び/又は25mmより小さい距離に存在する。
【0008】
特許文献5(欧州特許第1792685号)は、タイヤにおける標的領域の3D座標を識別する方法及び装置を開示しており、この方法及び装置は、タイヤのデジタル画像を撮像するステップと、タイヤ画像からピクセル輝度値を用いてタイヤビードの端縁を探し出すステップと、タイヤビード端縁における複数の画像ピクセルを用いてタイヤビード円の中心及び半径を計算するステップと、及び標的領域X、Y座標を識別するため、ビード円の中心及び半径を用いてビード周縁周りにピクセル輝度サーチを実施するステップと、を備える。標的領域のZ座標及び傾斜は、その領域にわたる多重ポイント距離計算から決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】米国公開特許公報第2016/0092814号明細書
【文献】伊国特許公開第102016000009727号明細書
【文献】国際公開第2016/095922号パンフレット
【文献】独国実用新案公開第202017102186号明細書
【文献】欧州特許第1792685号明細書
【非特許文献】
【0010】
【文献】G. Casati et al., “The Interrogation Footprint of RFID-UAV: Electromagnetic Modeling and Experimentations”, IEEE Journal of Radio Frequency Identification, Volume 1, Issue 2, pages 155-162, 25 October 2017.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
発明の目的及び概要
本願人は、コンベヤーベルト上で搬送されるタイヤ内に一体化/埋設された、又はタイヤ上/に適用された、無線周波数識別子(RFID)タグから/に対してデータの読出し及び/又は書込みをする改善した方法論及びシステムを開発するために綿密な研究を行ってきており、この結果として、本発明に想到した。
【0012】
したがって、本発明の目的は、概して、卓越したRFIDベースの読出し/書込み性能をもたらし、とくに、RFIDタグの一義的検出の性能が現行既知の解決法よりも向上する、上述したタイプの方法論及びシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は本発明によって達成され、本発明は、特許請求の範囲で定義されるように、コンベヤーベルト上で搬送方向に搬送されるタイヤの無線周波数識別(RFID)タグから/に対してデータの読出し及び/又は書込みをする方法及びシステムに関する。
【0014】
より具体的には、本発明は、コンベヤーベルト上で搬送方向に搬送されるタイヤであって、各タイヤには、そのタイヤの一義的識別子を記憶する対応無線周波数識別タグが装着されている、前記タイヤの無線周波数識別タグから/に対してデータの読出し及び/又は書込みをする方法に関する。本発明方法は、
・前記コンベヤーベルトの上方又は近傍に据え付けられるアンテナであって、以下のことを行うよう、すなわち、
- 前記コンベヤーベルトのフットプリント領域に向かって無線周波数信号(RF)を放射し、かつ
- 前記フットプリント領域から後方散乱するRF信号を受信する
よう構成された、該アンテナと、及び
・前記アンテナに接続して、該アンテナの送信及び受信を動作させるリーダーと
を準備するステップを備える。
【0015】
本発明方法は、さらに、前記リーダーを較正することを含む予備較正ステップを実施するステップを備え、前記予備較正は、
a1) 所与のRFIDタグを装着した所与のタイヤを前記コンベヤーベルト上に配置し、また前記所与のタイヤを前記アンテナの下方/近傍に不動に維持すること、
a2) 前記所与のタイヤが前記アンテナの下方/近傍に不動に維持される間に
- 前記所与のRFIDタグを作動させるのに必要な最小送信出力を決定し、
- 前記最小送信出力よりも大きい較正送信出力を決定し、また
- 前記アンテナを介して前記較正送信出力を有する較正RF信号を放射し、かつ前記アンテナを介して前記所与のRFIDタグから後方散乱した較正RF信号を受信する
こと、
a3) 前記較正RF信号の放射及び前記後方散乱した較正RF信号の受信を継続する間に、前記所与のRFIDタグが応答を停止するまで、前記所与のタイヤの前後への移動を増大させること、
a4) 前記操作a3)に基づいて前記搬送方向に平行な前記フットプリント領域のサイズを推定すること、
a5) 以下を測定する、すなわち、
- 前記所与のタイヤが前記アンテナの下方/近傍に不動に維持される間、及び前記所与のタイヤが前後に移動される間に、前記所与のRFIDタグが受信する前記較正RF信号の第1受信出力レベル、及び
- 前記所与のタイヤが前記アンテナの下方/近傍に不動に維持される間、及び前記所与のタイヤが前後に移動される間に、前記アンテナを介して前記リーダーが受信する前記後方散乱した較正RF信号の第2受信出力レベル
を測定すること、
a6) 異なるタイヤで前記操作a1)~a5)を繰り返し、以下を取得する、すなわち、
- 前記異なるタイヤに関連する複数の較正送信出力、
- 前記異なるタイヤに関連する複数のフットプリント領域の推定サイズ、
- 前記異なるタイヤに関連する複数の第1及び第2の受信出力レベル
を取得すること、
a7) 以下を計算する、すなわち、
- 前記取得した較正送信出力に基づく平均送信出力、
- 前記取得したすべての推定サイズに基づく前記フットプリント領域の平均サイズ、
- 前記フットプリント領域の平均サイズ及び前記コンベヤーベルトにおける所与の搬送速度に基づく呼掛けレート、
- 前記取得した第1及び第2の受信出力レベルに基づく平均受信出力レベル、及び
- 前記平均受信出力レベルに基づく1つ又はそれ以上の閾値
を計算すること、
によって、該較正を行う。
【0016】
さらにまた、本発明方法は、さらに、前記較正済みリーダーを動作させることを含む読出し及び書込みステップを実施するステップを備え、前記動作は、以下のこと、すなわち、
b1) 前記アンテナを介して、前記予備較正ステップで計算した前記平均送信出力及び前記呼掛けレートで1つ又はそれ以上の呼掛けRF信号を放射すること、
b2) 前記アンテナを介して、前記フットプリント領域を通過するタイヤのRFタグから1つ又はそれ以上の後方散乱RF信号であって、通過するタイヤの前記一義的識別子を担持する、該後方散乱RF信号を受信すること、
b3) 以下を測定する、すなわち、
- 前記通過するタイヤのRFIDタグが受信する前記呼掛けRF信号の1つ又はそれ以上の第3受信出力レベル、及び
- 前記アンテナを介して前記リーダーが受信する前記後方散乱呼掛けRF信号の1つ又はそれ以上の第4受信出力レベル
を測定すること、
b4) 前記第3及び第4の受信出力レベルを前記予備較正ステップで計算した前記閾値と比較することによって、前記通過するタイヤを検出すること、及び
b5) 前記後方散乱呼掛けRF信号が担持する前記一義的識別子に基づいて前記検出した通過タイヤを識別すること
を前記較正済みリーダーに動作させることを含む。
【0017】
都合よくは、前記読出し及び書込みステップは、さらに、
b6) 前記通過タイヤの前記RFIDタグから/に対してタイヤ関連データを読出し及び/又は書込みすること
を前記較正済みリーダーに動作させることを含む。
【0018】
好適には、前記アンテナは、結果として、前記フットプリント領域が、以下をカバーする、すなわち、
・前記搬送方向に直交する前記コンベヤーベルトの全体幅、及び
・前記搬送方向に平行な限定長さ
をカバーするような放射パターンを有するよう構成される。
【0019】
都合よくは、前記アンテナは、平面状かつコンベヤーベルトに平行であり、また前記搬送方向に平行な所定長さ及び前記搬送方向に直交する所定幅を有し、前記所定長さは前記所定幅より大きいものである。
【0020】
好適には、前記第1、第2、第3及び第4の受信出力レベルは、受信出力の振幅及び位相の測定値を表すものとする。
【0021】
加えて、本発明方法は、さらに、コンベヤーベルト上で搬送方向に搬送されるタイヤであって、各タイヤには、そのタイヤの一義的識別子を記憶する対応RFIDタグが装着されている、該タイヤのRFIDタグから/に対してデータの読出し及び/又は書込みをするシステムに関する。本発明システムは、
・前記コンベヤーベルトの上方又は近傍に据え付けられるアンテナであって、以下のことを行う、すなわち、
- 前記コンベヤーベルトのフットプリント領域に向かってRF信号を放射し、かつ
- 前記フットプリント領域から後方散乱されたRF信号を受信する
よう構成された、該アンテナと、及び
・前記アンテナに接続して、該アンテナの送信及び受信を動作させるリーダーと
を備え、また前記リーダーは、本発明による上述した方法における、前記予備較正ステップを受けるよう設計され、また較正した後には、前記読出し及び書込みステップを行うよう動作可能である。
【0022】
好適には、本発明システムは、複数のアンテナであって、
・前記コンベヤーベルトに沿う異なる位置に据え付けられ、
・それぞれが前記コンベヤーベルトの対応するフットプリント領域に向かってRF信号を放射し、かつ前記対応するフットプリント領域から後方散乱したRF信号を受信するよう構成され、また
・送信及び受信の動作をするよう前記リーダーに接続される、
該複数のアンテナを備え、
各検出されるタイヤの位置は、前記リーダーによって又は該リーダーに接続若しくは一体化/内蔵された電子制御ユニットによって、前記タイヤが検出されたことを裏付ける前記後方散乱した呼掛けRF信号を受信した前記アンテナ(都合よくは、アンテナの位置)に基づいて、決定される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明のより良い理解のため、単に非限定的な実施例であることを意図する好適な実施形態を、以下に添付図面(すべて縮尺どおりではない)につき説明する。
【
図1】本発明の好適な(非限定的であるが)実施形態によるRFIDゲートを概略的に示す。
【
図2】
図1のRFIDゲートにおけるアンテナの放射パターンを示す。
【
図3】
図1のRFIDゲートにおけるアンテナの放射パターンを示す。
【
図4】
図1のRFIDゲートにおけるアンテナの放射パターンを示す。
【
図5】
図1のRFIDゲートにおける予備較正を実施するシナリオの実施例を概略的に示す。
【
図6】
図1のRFIDゲートを通過する3つのタイヤのシーケンスを検出する実施例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の説明は、当業者が本発明を作成及び使用できるように提示する。図示及び説明される実施形態に対する、特許請求の範囲から逸脱することのない、種々の変更は当業者には容易に理解されるであろう。したがって、本発明は図示及び記載した実施形態に限定することは意図せず、ただし、本明細書記載の及び特許請求の範囲で定義される原理及び特徴に一致する最も広い保護範囲によるものである。
【0025】
本発明は、コンベヤーベルト上に搬送されるタイヤであって、各タイヤが、タイヤの一義的識別子、及び都合よくは追加情報(例えば、タイヤモデル、生産日付及び/又は場所、タイヤ材料、等々を示す情報項目)を含むタイヤ関連データを記憶する対応のRFIDタグを装着した、該タイヤをモニタリングするため、コンベヤーベルトの経路に沿って据え付けられる1つ又はそれ以上のRFID読出し及び/又は書込みシステム(以下、RFIDゲートと称する)の使用に関する。
【0026】
本発明は、有利には、コンベヤーベルトを採用する、(スマート)タイヤ製造、仕分け、及び廃棄プラントにおける用途をモニタリング及び追跡する自動制御に利用することができる。実際、本発明を使用することによって、コンベヤーベルト上で移動するタイヤを制御/モニタリング/追跡するようコンベヤーベルトの経路に沿ってRFIDゲートを展開し、使用にあたり、RFIDゲートが、通過するタイヤのRFIDタグに記憶されたタイヤ関連データを読み取り、また必要であれば、都合よくはそのタグ上にデータ(例えば、一義的識別子及び/又は上述したように、追加情報も)を書き込む(すなわち、記憶する)こともできる。
【0027】
とくに、使用にあたり、本発明によるRFIDゲートは、各通過するタイヤを一義的かつ単独で識別し、隣接タイヤ/コンベヤーからの多重読出し問題を回避する能力を有する。このことは、通過するタイヤの各個に対する特別な行為を自動的に実施し、また通過するタイヤのシーケンスを一義的に追跡/モニタリングすることを可能にする。
【0028】
本発明のより良い理解のために、
図1は、本発明の好適な(非限定的であるが)実施形態によるRFIDゲート(全体的に参照符号「1」として示す)を概略的に示す。
【0029】
とくに、RFIDゲート1は、所与の搬送方向に沿って(すなわち、平行に)タイヤ4を搬送するコンベヤーベルト3上に配置したアンテナ2(都合よくは、アレイアンテナ)を有し、各タイヤ4には、該タイヤ4の(少なくとも)一義的識別子を記憶する、それぞれに対応するRFIDタグ(
図1には図示せず)を装着する。
【0030】
アンテナ2は、ほぼ平面状であり、またコンベヤーベルト3及び基準平面xyの双方に平行であり、該基準平面xyは、
・コンベヤーベルト3上におけるタイヤ4の所与の搬送方向に平行な第1基準方向x、及び
・第1基準方向xに直交する(及び、ひいては所与の搬送方向にも直交する)第2基準方向y
によって画定される。
【0031】
アンテナ2は、第1基準方向xに沿う(すなわち、平行な)所定長さLと、第2基準方向yに沿う(すなわち、平行な)所定幅Wとを有し、この所定長さLは、所定幅Wよりも大きい(すなわち、L>W)。
【0032】
アンテナ2は、第1及び第2の基準方向x及びyに直交する第3基準方向zに沿って(すなわち、平行に)所定距離Dだけコンベヤーベルト3から離間する。
【0033】
好適には、通過するタイヤ4の検出を容易にするため、アンテナ2は、フットプリント領域に向う/からの無線周波数(RF)信号を放射及び受信するよう構成された指向性アンテナであり、該フットプリント領域は、
・第2基準方向yに沿う(すなわち、平行な)コンベヤーベルト3における幅全体、及び
・第1基準方向xに沿う(すなわち、平行な)限定長さ
をカバーする。
【0034】
都合よくは、アンテナは、ブレード状の放射パターンを有するよう構成された指向性アンテナとし、この放射パターンは、コンベヤーベルト3上におけるタイヤ4の所与の搬送方向に直交するよう(第1基準方向xに直交しかつ第2基準方向yに平行に)指向し、また第2基準方向yに沿うコンベヤーベルト3の全体幅、及び第1基準方向xに沿う限定長さをカバーするメインローブを有する。
【0035】
これに関連し、
図2、3及び4はアンテナ2の放射パターンの実施例を示し、それぞれ基準空間的xyz、基準平面xz、及び基準平面xyを示す(
図3及び4では、参照符号5はタイヤ4に適用したRFIDタグを示す)。
【0036】
都合よくは、アンテナ2は、極超短波(UHF)帯域、好適には、860~960MHz周波数レンジ、より好適には865~868MHz周波数サブレンジ及び/又は902~928MHz周波数サブレンジの周波数を有するRF信号を放射/受信するよう動作可能である。
【0037】
付加的に、アンテナ2の随意的要件は、都合よくは、
・0dBより高いゲイン
・円形極性形成に基づく動作
・少なくとも単一平面上で90°より小さいビーム幅
である点を含むことができる。
【0038】
再び
図1に戻って説明すると、RFIDゲート1は、さらに、有線で、例えば、同軸ケーブルによってアンテナ2に接続した読出し及び/又は書込みユニット/デバイス6(以下単に簡潔にするためリーダーと称する)。さらに、制御及び処理ユニット7(例えば、コンピュータ)をローカル又は遠隔でリーダー6に接続し、その動作を制御する。これに関連して、制御及び処理ユニット7は、都合よくは、リーダー6内に一体化/内蔵することもできる点を付記するのは有意義である。
【0039】
都合よくは、リーダー6は、コンベヤーベルト3の経路に沿う異なる位置に据え付けた複数のアンテナ2に接続することができる。例えば、リーダー6は、都合よくは、直接、又はマルチプレクサ(例えば、異なるアンテナ2に給電するため、時間/出力分割ストラテジーを都合よく採用することができる)を介して4個までのアンテナ2に接続することができる。
【0040】
付加的に、リーダー6の随意的要件は、都合よくは、
・860~960MHz周波数レンジ全体にわたる、又は上述の周波数サブレンジにわたる支援、
・多重アンテナ接続を支援し、かつ+31.5dBmのレベルに達するまで動作する能力
・個別の読出し及び書込みレベル、及び例えば、少なくとも+/-0.5dBmの精度で5dBmから31.5dBmまで調整可能な出力要求で動作する能力
である点を含むことができる。
【0041】
上述の点を考慮して、使用にあたり、タイヤ4がコンベヤーベルト3上で搬送されるとき、RFIDゲート1は、アンテナ2の下方を通過する各タイヤ4を一義的に検出し、また自動的に識別することができる。これにより、複数のRFIDゲート1(及び/又は1つ又はそれ以上のリーダー6に接続される複数のアンテナ2)を採用して、コンベヤーベルト3の経路に沿って(又は複数のコンベヤーベルト3の経路に沿って)据え付けられる制御/モニタリングシステムは、移動する各タイヤ4を正確に探し出すことができる。
【0042】
さらにまた、送信及び受信されたRF信号の適正処理(振幅、位相及び時刻の点で)を都合よく使用することによって、その/各RFIDゲート1を通過するタイヤ4のシーケンス(又は1つ又はそれ以上のリーダー6に接続された多重アンテナ2の場合、各アンテナ2の下方を通過するタイヤ4のシーケンス)をモニタリング/追跡することもできる。
【0043】
さらに、その/各リーダー6は、都合よくは、以下のように、すなわち、
・タイヤの一義的識別子に加えて、さらに、通過するタイヤ4のRFIDタグ5に記憶した追加タイヤ関連データ(例えば、タイヤモデル、生産日付及び/又は場所、タイヤ材料、等々を示す情報項目)も読み出す、また
・必要であれば、通過するタイヤ4のRFIDタグ5にデータを書き込む(すなわち、記憶する)
よう構成することができる。
【0044】
これに関連して、当然のことながら、その/各リーダー6は、RFIDタグ5の一義的識別子も書き込むのに都合よく使用することができる点を付記するのは有意義である。
【0045】
読出し及び/又は書込み動作は、以下によって、すなわち、
・採用したすべてのリーダー6に接続され、各リーダー6を選択的に制御し、1つ又はそれ以上のそれぞれに対応する所定読出し及び/又は書込み動作を実施するよう構成される制御及び処理ユニット7、又は
・採用したすべての制御及び処理ユニット7に遠隔に接続される中央制御ユニットであって、各制御及び処理ユニット7を選択的に制御して、該制御及び処理ユニットをして、それに接続された各リーダー6を選択的に制御させ、1つ又はそれ以上のそれぞれに対応する所定読出し及び/又は書込み動作を実施させる、該中央制御ユニット
によって、都合よく制御することができる。
【0046】
より全般的には、本発明の好適な実施形態による、コンベヤーベルト3上で搬送されるタイヤ4のRFIDタグ5から/に対してデータを読み取り及び/又は書き込む方法は、
・リーダー6を較正することを含む予備較正(preliminary calibration)ステップであって、RFIDゲート1が据え付けられた後に、又は周囲環境がRF通信シナリオに影響を及ぼす大きな変動(例えば、散乱物体の位置変動)を受ける場合に、都合よく実施される、該予備較正ステップと、
・較正済みリーダー6を動作させることによって行われる読出し及び/又は書込みステップと、
を備える。
【0047】
以下、好適な(非限定的であるが)上記方法の実施形態を、RFIDゲート1につき、すなわち、単独アンテナ2、単独リーダー6及び単独制御及び処理ユニット7を有する特別な場合につき詳細に説明し、以下の教示は、変更すべきところは変更して、1つ又はそれ以上の制御及び処理ユニット7の使用を含み、各ユニットが1つ又はそれ以上のリーダー6に接続され、各リーダーが1つ又はそれ以上のアンテナ2に接続されることを伴う(さらに、コンベヤーベルトに対する異なる空間配置をも都合よく有することができる、例えば、コンベヤーベルトの端縁に隣接/近接配置することができる)異なるシステムアーキテクチャに適用できることは明らかであろう。
【0048】
好適には、RFIDタグ検出は、アンテナ2を介してリーダー6によってRFIDタグ5に送信され、また該RFIDタグからアンテナ2に後方散乱し、したがって、リーダー6によって受信されるRF信号の出力振幅及び位相の複合使用に基づく。
【0049】
都合よくは、幾つかの予備動作は、予備較正ステップ並びに読出し及び/又は書込みステップの双方に共通することができ、例えば、
・適正通信ポート/インタフェース(例えば、イーサネット、シリアル、USB、Wi-Fi、等々)を選択することによって、リーダー6を制御及び処理ユニット7に接続するステップ、
・リーダー6を選択し(多重リーダー6が採用される場合)、またそのアンテナ2(又は複数のアンテナ2がその/各リーダー6に接続される場合)に切り替えるステップ、
・動作周波数、呼掛け(インタロゲイション)レート(すなわち、1秒あたり(又は他の時間単位あたり)の呼掛け回数)及び発生される出力に関して、特定呼掛けモダリティを画定するステップ、
があり得る。
【0050】
都合よくは、リーダー・ツー・タグ通信の開始時に、リーダー6は、連続波を送信することによってアンテナ2の下方を通過するRFIDタグ5を作動させる。次に、作動したRFIDタグ5はリーダー6からコマンドを受信し、また最終的にデータ(すなわち、一義的識別子及び/又は追加タイヤ関連データ)を、RFIDゲート1から受信した連続波の後方散乱変調を介して返信する。後方散乱しかつ伝送された出力であって、受信信号強度インジケータ(RSSIs)に関してリーダー側における出力(振幅及び位相の点におけるRSSIR)及びRFIDタグ側における出力(振幅及び位相の点におけるRSSIT)を測定する。
【0051】
予備較正ステップのより良い理解のため、以下に好適な(非限定的であるが)実施形態を詳細に説明する。
【0052】
これに関連して、
図5は、リーダー6の予備較正を実施するためのシナリオの実施例を概略的に示す。
【0053】
とくに、
図5に示すように、RFIDタグ51を装着したタイヤ41が都合よくアンテナ2の真下でコンベヤーベルト3上に配置され、都合よくは、RFIDタグ51を作動させるようアンテナ2を介してリーダー6により発生される最小出力(P
min)が決定される(好適には、オン状態出力測定手順を遂行することによって)。
【0054】
次に、送信出力値PTX = Pmin+Psm (ここで、Psmは安全マージン(例えば、3dBに等しい)を示す)は、都合よくは、リーダー6とRFIDタグ51との間でタイヤ41内/上におけるRFIDタグ51の位置(極性の向き)に無関係に、幾分ロバストな通信を確保するようセットされる。
【0055】
この送信出力PTXは、次にアンテナ2からのRF信号を送信するのに使用されるとともに、RSSI値を、振幅/モジュール及び位相の双方に関し、RFIDタグ及びリーダー双方の側で測定される(RSSIT及びRSSIR)。
【0056】
次に、コンベヤーベルト3におけるアンテナ2のフットプリント領域21(すなわち、RFIDタグ51が検出される可能性が最大にある領域)のサイズは、タイヤの初期位置からRFIDタグ51の応答が停止するまで、タイヤ41の前後移動を徐々に速くさせる(手動で又はコンベヤーベルト3を動作させる)ことによって実験的に決定することができる。このことに関連して、フットプリント領域のサイズは、代表的には、使用される特定構成(すなわち、送信出力PTX、アンテナビーム幅、コンベヤーベルトタイプ、等々)に基づく。
【0057】
隣接タイヤ41、42、43のRFIDタグ51、52、53からの多重応答を減少するため、コンベヤーベルト3上の隣接タイヤ41、42、43を適正に離間させ、決定されたフットプリント領域21内に一度に1個のタイヤ41/42/43のみ有するように(例えば、楕円形状の読出し容積22を大まかに推測することによって、隣接タイヤ41、42、43間の最大距離dminは、都合よくは、コンベヤーベルト3上におけるタイヤ41、42、43の搬送方向に平行なフットプリント領域21の長軸の半分ax/2よりも大きいと推測できる)することが都合がよい。
【0058】
RFIDフットプリントに関する付加情報に対しては、例えば、非特許文献1を参照することができる。
【0059】
都合よくは、セットアップの変動性を考慮するため、異なるタイヤ41、42、43において上述の手順をN回(例えば、少なくとも3回)繰り返し、平均送信出力値PTX-av、平均RSSI値RSSIT-av、RSSIR-av(振幅及び位相)、及びフットプリント領域21の平均サイズを決定する。
【0060】
したがって、予備較正ステップの終了時に、読出し及び/又は書込みステップを実施するのに使用される送信出力値をPTX-avに等しくなるようセットするとともに、平均RSSI値RSSIT-av、RSSIR-avを使用して、通過するタイヤを検出し、また多重読出し間/相互間を区別する(例えば、十分離間していないタイヤ、隣接コンベヤーベルト上の複数タイヤ、確率論的マルチパス現象、等々に起因する)のに使用すべき1つ又はそれ以上の閾値をセットする。
【0061】
異なる閾値計算選定は、都合よくは、平均RSSI値RSSIT-av、RSSIR-avに基づいて、また種々の要因、例えば、使用される特定構成(すなわち、送信出力PTX、アンテナビーム幅、コンベヤーベルトタイプ、等々)に依存して、採用することができる。例えば、以下を計算する、すなわち、
・すべてのRSSI測定値で使用すべき単独の全体閾値、又は
・すべてのRSSI振幅測定値に対する振幅閾値及び/若しくはすべてのRSSI位相測定値に対する位相閾値、又は
・4つの閾値すらも、すなわち、それぞれRFIDタグ側で実施されるRSSI振幅及び位相測定値のための第1振幅閾値及び第1位相閾値、並びにそれぞれリーダー側におけるRSSI振幅及び位相測定値のための第2振幅閾値及び第2位相閾値、
を計算することができる。
【0062】
特定構成/設定に対する閾値計算に関する最終選定は、都合よくは、このような特定構成/設定のために実行される予備較正ステップ中に実施される評価に基づいて行うことができる。
【0063】
さらに、予備較正ステップにおいて、通過するタイヤを検出するのに使用すべき呼掛けレートも決定することができる。実際、コンベヤーベルト上におけるタイヤの搬送方向に沿うフットプリント領域の決定された平均サイズ(例えば、
図5に示す楕円形フットプリント領域21の長軸)がa
x、及び搬送されるタイヤの速度がv
x(理想的には一定であると見なすことができる)である場合、タイヤがフットプリント領域全体をカバーするのに要する時間t
x、又は同等的にタイヤがフットプリント領域内にある時間を決定することができる。したがって、通過するタイヤを検出するため、リーダー6によって使用される呼掛けレートは、都合よくは、時間t
x内で少なくとも1回の呼掛けを有するよう決定することができる。
【0064】
さらに、読出し及び/又は書込みステップのより良い理解のため、該読出し及び/又は書込みステップで実施されるタイヤ検出動作の好適な(非限定的であるが)実施形態を以下に詳細に説明する。
【0065】
都合よくは、通常動作中に、リーダー6は、アンテナ2を介して連続的に「読出し」コマンドを送信し、この送信は、送信出力値として予備較正ステップで決定される平均送信出力値PTX-avを使用することによって行い、この場合、このPTX-avは、アンテナの下方を通過する単に1個の単独RFIDタグを読み出すことができるようなものとする。
【0066】
さらに、予備較正ステップで平均RSSI値RSSIT-av、RSSIR-avに基づいて計算された閾値を使用して、アンテナの下方を通過するRFIDタグを検出し、また多重読出し間/相互間を区別する(上述したように、これは、1つかつ同一のコンベヤーベルト上における隣接タイヤの十分でない間隔、又は隣接コンベヤーベルト上における複数タイヤの存在、又は確率論的マルチパス現象等々に起因し得る)。
【0067】
都合よくは、RFIDタグの検出は、以下のように合成的に表現することができる、すなわち、
・RSSIR/T-m ≧ RSSIthである場合、RFIDタグ(及び、ひいてはタイヤ)が検出される、又は
・RSSIR/T-m < RSSIthである場合、RFIDタグ/タイヤは検出されない(例えば、同一コンベヤーベルト3、又は隣接コンベヤーベルト上におけるアンテナ2の前後であり得る)。
ものとして表現することができ、
ここで、RSSIR/T-m は、リーダー側及び/又はRFIDタグ側で測定された振幅及び/又は位相のRSSI値を示し、またRSSIthは、上述したように、予備較正ステップで平均RSSI値RSSIT-av、RSSIR-avに基づいて決定された閾値を示す。
【0068】
都合よくは、閾値RSSIthは、さらに、検出を特定の設定及び/又は環境に適合させるよう動的にかつリアルタイムに変更することができる(例えば、検出の堅牢性/信頼性を向上させるためオフセット値を付加する)。
【0069】
都合よくは、値RSSI
R/T-m の時間変動の適正処理によれば、さらに、
図6に示すように、通過するタイヤのシーケンスをモニタリング/追跡することを可能にし、この
図6は、
・頂部に、それぞれが対応するRFIDタグ5A/5B/5Cを装着した3つのタイヤA、B、Cのシーケンス、及び
・底部に、経時的に測定した対応するRSSI(タイヤA、B、Cは1m/sの速度で移動し、かつ100cmずつ離間し、また30dBmの読出し出力を使用すると仮定する)
を概略的に示す。
【0070】
上述したことから、本発明の技術的利点及び革新的特徴は、当業者には即座に明白であろう。
【0071】
とくに、本発明は、概して、卓越したRFIDベースの読出し/書込み性能を提供し、またとくに、現行既知の解決法と比べて向上した性能でRFIDタグの一義的検出を提供する点を指摘するのは重要である。
【0072】
したがって、本発明は、コンベヤーベルトを採用する、(スマート)タイヤ製造、仕分け、及び廃棄プラントにおける用途をモニタリング及び追跡する自動制御に有利に利用可能である。
【0073】
さらに、本発明は、各生産されたタイヤに関する重要データを記憶し、また関連する利害関係者(製造オペレータ、ロジスティクスオペレータ、ディーラー、顧客、等々)がアクセス可能なタイヤ在庫管理データベースの実現を可能にする。
【0074】
結論として、多くの変更及び改変を本発明に加えることができるのは明らかであり、これら変更及び改変のすべては、特許請求の範囲で定義される本発明の範囲内にある。これに関連して、本発明は、とくに、コンベヤーベルト上方に配置されるアンテナにつきこれまで説明してきたが、本発明の教示は、変更すべきところは変更して、コンベヤーに対するアンテナの異なる空間的構成/配置にも直ちに適用することができる。例えば、アンテナは、コンベヤーベルトの側方端縁に沿って、該コンベヤーベルトに隣接又は近接させて、コンベヤーベルト平面(すなわち、上述した基準平面xy)に直交又は傾斜するよう、また搬送方向に平行に、都合よく据え付けることができる。より全体的には、アンテナは、コンベヤーベルト近傍に配置し、依然として、フットプリント領域において搬送方向に直交するコンベヤーベルトの全体幅及び搬送方向に平行な限定長さをカバーする結果となるような放射パターンを有する(都合よくは、平面状であり、また搬送方向に平行な所定長さ及び搬送方向に直交する所定幅を有し、該所定長さは該所定幅よりも大きい)ものにすることができる。