(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】レーザダイオードパッケージモジュールおよび距離検出装置、電子機器
(51)【国際特許分類】
H01S 5/02255 20210101AFI20220809BHJP
H01S 5/40 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
H01S5/02255
H01S5/40
(21)【出願番号】P 2021502976
(86)(22)【出願日】2018-08-03
(86)【国際出願番号】 CN2018098418
(87)【国際公開番号】W WO2020024240
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】513068816
【氏名又は名称】エスゼット ディージェイアイ テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SZ DJI TECHNOLOGY CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】6F,HKUST SZ IER Bldg.NO.9 Yuexing 1st Rd.Hi-Tech Park(South),Nanshan District Shenzhen,Guangdong 518057 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リウ、シャン
(72)【発明者】
【氏名】ゼン、グオガン
(72)【発明者】
【氏名】ホン、シャオピン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ミンギュ
(72)【発明者】
【氏名】ドン、シュアイ
【審査官】村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-315700(JP,A)
【文献】特開2007-65600(JP,A)
【文献】特開2008-102282(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103872230(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0185313(US,A1)
【文献】特開2019-67809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00 - 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面を有する基板と、
カバーとの間に収容空間を形成する前記基板の第1の面に設けられたカバーであって、前記基板に対向する面に光透過領域を少なくとも部分的に設けたカバーと、
前記収容空間内に設けられたレーザダイオードダイと、
前記収容空間内の前記基板上に前記レーザダイオードダイの出射面と対向して設けられる異方性構造を有する半導体と、
前記収容空間内に設けられた反射面であって、前記レーザダイオードダイの出射光を、前記反射面を経て反射させた後に前記光透過領域を通過して出射させるために用いられる反射面と、
を備え
、
前記反射面は、前記半導体の前記異方性構造の傾斜面であるか、あるいは、前記反射面は、前記半導体の前記異方性構造の傾斜面にコーティングされた反射膜を備え、
前記半導体の前記異方性構造の底面の鋭角の箇所に切り欠きまたは浅溝が設けられ、
前記切り欠きは、前記半導体の前記異方性構造の、底部鋭角の一部を除去して形成した切り欠きであり、
前記浅溝は、前記異方性構造の前記底面の鋭角の縁部に設けられるとともに、前記半導体の前記異方性構造の前記底面から前記半導体の前記異方性構造の頂面に向かって一部の深さだけ凹んでいる、レーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項2】
前記レーザダイオードダイの出射光は前記反射面を経て反射された後、前記基板の前記第1の面と略垂直な方向で前記光透過領域を通過して出射される請求項1に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項3】
前記半導体は半導体ウェハを含む請求項
1または2に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項4】
前記半導体はシリコンであり、前記傾斜面と前記半導体の
前記異方性構造の底面との間の挟角が略54.74°である請求項
1または2に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項5】
前記レーザダイオードパッケージモジュール内に、少なくとも2つの斜設された反射面が設けられており、各々の反射面が、少なくとも1つの前記レーザダイオードダイの出射面に対向して設けられることで、各々の前記レーザダイオードダイの出射光が前記反射面を経て反射された後、前記光透過領域を通過して出射されるようにする請求項1に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項6】
前記各々の反射面が、少なくとも2つの、並んで配置されたレーザダイオードダイの出射面に対向して設けられることで、各々の前記レーザダイオードダイの出射光が前記反射面を経て反射された後、前記光透過領域を通過して出射されるようにする請求項
5に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項7】
前記少なくとも2つの斜設された反射面は、前記半導体の
前記異方性構造の異なる傾斜面上に設けられる請求項
5に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項8】
前記2つの斜設された反射面は、前記半導体の前記異方性構造上の、対称に設けられた、背向する2つの傾斜面上に設けられる請求項
7に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項9】
前記レーザダイオードパッケージモジュールは、異方性構造を有する少なくとも2つの半導体を備えており、前記少なくとも2つの斜設された反射面は、
前記少なくとも2つの半導体のそれぞれの前記異方性構造の傾斜面上にそれぞれ設けられる請求項
5に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項10】
同一の反射面に対向する複数の前記レーザダイオードダイが、前記基板の第1の面上に等間隔に配置される請求項
6に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項11】
同一の反射面に対向する各々の前記レーザダイオードダイの出射面と前記反射面との間の距離が等しい請求項
6に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項12】
前記半導体
の前記異方性構造は、底部に位置する第1の部分と、前記第1の部分の一部の表面上に位置する第2の部分とを備えており、前記反射面は前記第2の部分の少なくとも1つの傾斜面上に設けられる請求項
1または2に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項13】
前記レーザダイオードダイは前記反射面外側の前記第1の部分の表面に実装され、前記レーザダイオードダイの出射面が前記反射面に対向して設けられるようにする請求項
12に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項14】
前記反射膜は金属層を備えており、前記反射面上の金属層は、さらに伸びて、前記反射面外側の、前記第1の部分が露出している一部の表面を被覆し、前記金属層の、前記第1の部分の表面上に位置する部分が、前記レーザダイオードダイの底面と電気的に接続するために用いられる請求項
13に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項15】
前記レーザダイオードダイは、前記第1の部分の表面上の前記反射膜の一部の表面を被覆し、前記反射膜がリードによって、前記基板上に位置するパッドと電気的に接続されることで、前記レーザダイオードダイの底面上の電極を引き出す請求項
14に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項16】
前記半導体はSOIウェハであり、前記SOIウェハの埋め込み酸化物層と、前記埋め込み酸化物層の下方に位置するシリコン層とが前記第1の部分となり、前記SOIウェハの、前記埋め込み酸化物層の一部の表面上に位置するシリコン層が前記第2の部分となる請求項
12に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項17】
前記レーザダイオードパッケージモジュールはガラスをさらに備えており、前記反射面は、前記ガラスの傾斜面にコーティングされた
前記反射膜を備えている請求項1に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項18】
2つの斜設された反射面が前記ガラス上の背向する2つの傾斜面上にそれぞれ設けられ、各々の反射面が、少なくとも1つの前記レーザダイオードダイの出射面に対向して設けられることで、各々の前記レーザダイオードダイの出射光が前記反射面を経て反射された後、前記光透過領域を通過して出射されるようにする請求項
17に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項19】
前記ガラスは三角錐あるいは三角錐台状を呈し、斜設された3つの反射面が前記ガラス上の3つの傾斜面上にそれぞれ設けられ、各々の前記反射面が、少なくとも1つの前記レーザダイオードダイの出射面に対向して設けられることで、各々の前記レーザダイオードダイの出射光が前記反射面を経て反射された後、前記光透過領域を通過して出射されるようにする請求項
17に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項20】
前記反射面は凹面である請求項1に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項21】
前記レーザダイオードダイの出射光の方向が、前記反射面の底辺に対して垂直である請求項1に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項22】
前記反射面が設けられた半導体とガラスとの少なくとも1つと、前記レーザダイオードダイとが、いずれも前記基板の第1の面に実装される請求項1から
21のいずれか一項に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項23】
前記レーザダイオードパッケージモジュールはコリメート素子をさらに備えており、速軸方向における光ビームの発散角を小さくするために用いられ、前記コリメート素子は、前記レーザダイオードダイと前記反射面との間に設けられることで、前記レーザダイオードダイの出射光が前記コリメート素子を経た後に前記反射面に至るようにする請求項1から
22のいずれか一項に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項24】
前記コリメート素子が前記基板の前記第1の面に実装される請求項
23に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項25】
前記コリメート素子が円柱レンズであり、前記円柱レンズの曲面が前記レーザダイオードダイの出射面に対向することで、前記レーザダイオードダイの出射光を前記円柱レンズの曲面上に照射させる請求項
23に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項26】
前記円柱レンズの曲面寸法が、前記レーザダイオードダイから発される出射光が前記円柱レンズ上に照射されるスポットの寸法よりも大きい請求項
25に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項27】
前記円柱レンズが前記基板上に実装される表面が平面であるか、前記円柱レンズの頂面が平面であるかの少なくとも1つである請求項
25に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項28】
前記レーザダイオードダイは、互いに対向して設けられた第1の電極と第2の電極とを備えており、前記第1の電極が所在する表面が、前記基板の第1の面に実装される請求項1から
27のいずれか一項に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項29】
前記第1の電極は、導電性接着層を介して前記基板の第1の面に実装される請求項
28に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項30】
前記第2の電極は、リードを介して前記基板に電気的に接続される請求項
28に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項31】
前記基板の第1の面に複数の前記レーザダイオードダイを実装し、各々の前記レーザダイオードダイの前記第1の電極が、1つの導電性接着層に対応して前記基板の第1の面に実装される請求項
28に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項32】
同一の前記反射面に対向する複数の前記レーザダイオードダイの前記第2の電極が、リードを介して前記基板上の同一のパッドに電気的に接続される請求項
28に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項33】
前記導電性接着層の面積が前記レーザダイオードダイの底面面積よりも大きいか、
リードを介して前記導電性接着層を前記基板上のパッドに電気的に接続することで、前記第1の電極を引き出すかの少なくとも1つである請求項
29に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項34】
前記カバーは、窓を有するU字形または四角形のカバー本体と、前記窓を封止被覆する光透過板とを備えていることで前記光透過領域を形成し、前記レーザダイオードダイの出射光が前記光透過板を経て出射されるか、または、前記カバーは、すべて光を透過する板状構造である請求項1から
33のいずれか一項に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項35】
前記カバー本体は前記基板の前記第1の面上に固設され
ている請求項
34に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項36】
前記カバー本体の材料は金属、樹脂またはセラミックを含む請求項
34に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項37】
前記レーザダイオードパッケージモジュールは前記レーザダイオードダイの送信を制御するための駆動チップをさらに備えており、前記駆動チップは前記収容空間内に設けられ、前記駆動チップは前記基板の第1の面に実装される請求項1から
36のいずれか一項に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項38】
前記レーザダイオードパッケージモジュールが、はんだペースト実装されたデバイスをさらに備えており、前記はんだペースト実装されたデバイスは前記収容空間の外に設けられる請求項1から37のいずれか一項に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項39】
前記はんだペースト実装されたデバイスは、抵抗器とコンデンサとを備えており、前記抵抗器とコンデンサとは、はんだペーストにより前記収容空間の外の前記基板の第1の面に実装される請求項
38に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項40】
前記基板はPCB基板またはセラミック基板を含む請求項1から
39のいずれか一項に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項41】
前記導電性接着層の材料は、導電性の銀ペースト、はんだ、または導電性のダイ連結フィルムを含む請求項
29、
31および
33のいずれか一項に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項42】
前記反射膜は金と銀のうち少なくとも一種を含む請求項
1から41のいずれか一項に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項43】
前記レーザダイオードダイの底面は前記収容空間内に実装され、そして、前記レーザダイオードダイの側面が出光し、かつ、前記レーザダイオードダイの出射光が前記基板の第1の面と略平行である請求項1に記載のレーザダイオードパッケージモジュール。
【請求項44】
請求項1~
43のいずれか一項に記載のレーザダイオードパッケージモジュールであって、前記レーザダイオードパッケージモジュールの基板の第1の面と一定の挟角を呈する方向でレーザパルスを出射するために用いられ、前記挟角は90°未満であるレーザダイオードパッケージモジュールと、
前記光透過領域の外側に設けられ、前記光透過領域から出射される出射光をコリメートするために用いられるコリメーティングレンズと、
前記光透過領域の外側に設けられ、前記光透過領域から出射される出射光の光路を変更するために用いられ、前記レーザダイオードパッケージモジュールからのレーザパルスを、前記コリメーティングレンズの中心軸に略沿った方向で前記コリメーティングレンズに入射させる第1の光路変更素子と、
を備えている距離検出装置。
【請求項45】
前記第1の光路変更素子は、
前記コリメーティングレンズの光軸からずれており、前記光透過領域から出射される出射光を前記コリメーティングレンズに反射するための第1の反射鏡を備えている請求項
44に記載の距離検出装置。
【請求項46】
前記レーザダイオードパッケージモジュールは前記コリメーティングレンズの中心軸の一つの側に位置しており、かつ、前記レーザダイオードパッケージモジュール中の基板の第1の面が前記コリメーティングレンズの中心軸に略平行であり、
前記第1の反射鏡は前記コリメーティングレンズの中心軸上に位置しており、前記レーザダイオードパッケージモジュールが出射するレーザパルスを、前記コリメーティングレンズの中心軸に略沿った方向に反射するために用いられる請求項
45に記載の距離検出装置。
【請求項47】
前記コリメーティングレンズは、検出物に反射された戻り光の少なくとも一部を集光するためにさらに用いられ、
前記距離検出装置が、
中心に光透過領域が設けられている第2の反射鏡、第3の反射鏡、および検出器をさらに備えており、
前記第2の反射鏡は前記コリメーティングレンズと前記第1の反射鏡との間に設けられ、前記第1の反射鏡に反射された光ビームが通過するのを許容し、かつ、前記コリメーティングレンズが集光した戻り光を前記第3の反射鏡に反射するために用いられ、
前記第3の反射鏡はそれぞれ前記第2の反射鏡および前記検出器と対向して設けられ、前記第2の反射鏡に反射された前記戻り光を前記検出器に反射するために用いられ、
前記検出器は、受信した光信号を電気信号に変換するために用いられ、前記電気信号は、前記検出物と前記距離検出装置の距離を測定するために用いられる請求項
45に記載の距離検出装置。
【請求項48】
請求項1~
43のいずれか一項に記載のレーザダイオードパッケージモジュールを備えており、無人機、自動車またはロボットを含む電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全体として集積回路分野に関し、より具体的には、レーザダイオードパッケージモジュールおよび距離検出装置、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体レーザ装置は、成熟が比較的早く発展が比較的速いタイプのレーザ装置であるが、波長範囲が広く、作製が簡単であり、コストが安く、大量生産が容易であるため、しかも、体積が小さく、重量が軽く、寿命が長いため、製品の種類が急速に増大しており、応用範囲が広い。半導体レーザ装置が現在、最も幅広く応用されているのは端面発光レーザ装置(Edge Emitting Lasers、 EELs)である。端面発光レーザ装置のレーザダイオードダイ(Laser diode die)は一般的には細長型であり、発光面はダイの最小面であり、ダイの2つの最大面は金属化面であり、外部との電気接続点である。
【0003】
そして、パッケージにおいて、垂直方向での光出射を保証するために、一般に金属TOパッケージを採用している。TOパッケージ技術は、トランジスタアウトライン(Transistor Outline)またはスルーホール(Through-hole)パッケージ技術を指し、つまり、完全密閉式パッケージ技術である。TOパッケージを採用したレーザ装置は、寄生インダクタンスが比較的大きいため、狭パルスが要求される応用場面において狭パルスを生成することができず、しかも、実装の作業効率が低く、自動化機械において表面パッケージ技術(Surface Mounted Technology,SMT)を行うことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、上記の技術的課題を解決するために、現在のレーザ装置のパッケージを改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題のうち少なくとも1つを解決するために本発明を提案している。本発明は、現在のTOパッケージに存在する、寄生インダクタンスが比較的大きい問題を改善可能であり、上述の課題を克服することができるレーザダイオードパッケージモジュールを提供する。
【0006】
具体的には、本発明の一態様は、
第1の面を有する基板と、
カバーとの間に収容空間を形成する前記基板の第1の面に設けられたカバーであって、前記基板に対向する面に光透過領域を少なくとも部分的に設けたカバーと、
前記収容空間内に設けられたレーザダイオードダイと、
前記収容空間内に設けられた反射面であって、前記レーザダイオードダイの出射光を、前記反射面を経て反射させた後に前記光透過領域を通過して出射させるために用いられる反射面と、
を備えるレーザダイオードパッケージモジュールを提供する。
【0007】
例示的には、前記レーザダイオードダイの出射光は前記反射面を経て反射された後、前記基板の前記第1の面と略垂直な方向で前記光透過領域を通過して出射される。
【0008】
例示的には、前記パッケージモジュールは、異方性構造を有する半導体をさらに備え、
前記反射面は、具体的には、前記半導体の、異方性を利用してエッチングを行って作製して得られた傾斜面であるか、あるいは、前記反射面は、前記半導体の、異方性を利用してエッチングを行って作製して得られた傾斜面にコーティングされた反射膜を備える。
【0009】
例示的には、前記半導体は半導体ウェハを含む。
【0010】
例示的には、前記半導体はシリコンであり、前記傾斜面と前記半導体の底面との間の挟角が略54.74°である。
【0011】
例示的には、前記パッケージモジュール内に、少なくとも2つの斜設された反射面が設けられており、各々の反射面が、少なくとも1つの前記レーザダイオードダイの出射面に対向して設けられることで、各々の前記レーザダイオードダイの出射光が前記反射面を経て反射された後、前記光透過領域を通過して出射されるようにする。
【0012】
例示的には、前記各々の反射面が、少なくとも2つの、並んで配置されたレーザダイオードダイの出射面に対向して設けられることで、各々の前記レーザダイオードダイの出射光が前記反射面を経て反射された後、前記光透過領域を通過して出射されるようにする。
【0013】
例示的には、前記パッケージモジュールは、異方性構造を有する半導体を備えており、前記少なくとも2つの斜設された反射面は、前記半導体の、異方性を利用してエッチングを行って作製して得られた異なる傾斜面上に設けられる。
【0014】
例示的には、前記2つの斜設された反射面は、前記半導体上の、対称に設けられた、背向する2つの傾斜面上に設けられる。
【0015】
例示的には、前記パッケージモジュールは、異方性構造を有する少なくとも2つの半導体を備えており、前記少なくとも2つの斜設された反射面は、異なる半導体の、異方性を利用してエッチングを行って作製して得られた傾斜面上にそれぞれ設けられる。
【0016】
例示的には、同一の反射面に対向する複数の前記レーザダイオードダイが、前記基板の第1の面上に等間隔に配置される。
【0017】
例示的には、同一の反射面に対向する各々の前記レーザダイオードダイの出射面とこの反射面との間の距離が等しい。
【0018】
例示的には、前記半導体の底面の鋭角の箇所に切り欠きまたは浅溝が設けられている。
【0019】
例示的には、前記切り欠きは、具体的には、前記半導体の、底部鋭角の一部を除去して形成した切り欠きであり、
前記浅溝は、前記底面の鋭角の縁部に設けられるとともに、前記半導体の底面から前記半導体の頂面に向かって一部の深さだけ凹んでいる。
【0020】
例示的には、前記半導体は、底部に位置する第1の部分と、前記第1の部分の一部の表面上に位置する第2の部分とを備えており、前記反射面は前記第2の部分の少なくとも1つの傾斜面上に設けられる。
【0021】
例示的には、前記レーザダイオードダイは前記反射面外側の前記第1の部分の表面に実装され、前記レーザダイオードダイの出射面が前記反射面に対向して設けられるようにする。
【0022】
例示的には、前記反射膜は金属層を備えており、前記反射面上の金属層は、さらに伸びて、前記反射面外側の、前記第1の部分が露出している一部の表面を被覆し、前記金属層の、前記第1の部分の表面上に位置する部分が、前記レーザダイオードダイの底面と電気的に接続するために用いられる。
【0023】
例示的には、前記レーザダイオードダイは、前記第1の部分の表面上の前記反射膜の一部の表面を被覆し、前記反射膜がリードによって、前記基板上に位置するパッドと電気的に接続されることで、前記レーザダイオードダイの底面上の電極を引き出す。
【0024】
例示的には、前記半導体はSOIウェハであり、前記SOIウェハの埋め込み酸化物層と、前記埋め込み酸化物層の下方に位置するシリコン層とが前記第1の部分となり、前記SOIウェハの、前記埋め込み酸化物層の一部の表面上に位置するシリコン層が前記第2の部分となる。
【0025】
例示的には、前記パッケージモジュールはガラスをさらに備えており、前記反射面は、前記ガラスの傾斜面にコーティングされた反射膜を備えている。
【0026】
例示的には、2つの斜設された反射面が前記ガラス上の背向する2つの傾斜面上にそれぞれ設けられ、各々の反射面が、少なくとも1つの前記レーザダイオードダイの出射面に対向して設けられることで、各々の前記レーザダイオードダイの出射光が前記反射面を経て反射された後、前記光透過領域を通過して出射されるようにする。
【0027】
例示的には、前記ガラスは三角錐あるいは三角錐台状を呈し、斜設された3つの反射面が前記ガラス上の3つの傾斜面上にそれぞれ設けられ、各々の前記反射面が、少なくとも1つの前記レーザダイオードダイの出射面に対向して設けられることで、各々の前記レーザダイオードダイの出射光が前記反射面を経て反射された後、前記光透過領域を通過して出射されるようにする。
【0028】
例示的には、前記反射面は凹面である。
【0029】
例示的には、前記レーザダイオードダイの出射光の方向が、前記反射面の底辺に対して垂直である。
【0030】
例示的には、前記反射面が設けられた半導体とガラスとの少なくとも1つと、前記レーザダイオードダイとが、いずれも前記基板の第1の面に実装される。
【0031】
例示的には、前記パッケージモジュールはコリメート素子をさらに備えており、速軸方向における光ビームの発散角を小さくするために用いられ、前記コリメート素子は、前記レーザダイオードダイと前記反射面との間に設けられることで、前記レーザダイオードダイの出射光が前記コリメート素子を経た後に前記反射面に至るようにする。
【0032】
例示的には、前記コリメート素子が前記基板の前記第1の面に実装される。
【0033】
例示的には、前記コリメート素子が円柱レンズであり、前記円柱レンズの曲面が前記レーザダイオードダイの出射面に対向することで、前記レーザダイオードダイの出射光を前記円柱レンズの曲面上に照射させる。
【0034】
例示的には、前記円柱レンズの曲面寸法が、前記レーザダイオードダイから発される出射光が前記円柱レンズ上に照射されるスポットの寸法よりも大きい。
【0035】
例示的には、前記円柱レンズが前記基板上に実装される表面が平面であるか、前記円柱レンズの頂面が平面であるかの少なくとも1つである。
【0036】
例示的には、前記レーザダイオードダイは、互いに対向して設けられた第1の電極と第2の電極とを備えており、前記第1の電極が所在する表面が、前記基板の第1の面に実装される。
【0037】
例示的には、前記第1の電極は、導電性接着層を介して前記基板の第1の面に実装される。
【0038】
例示的には、前記第2の電極は、リードを介して前記基板に電気的に接続される。
【0039】
例示的には、前記基板の第1の面に複数の前記レーザダイオードダイを実装し、各々の前記レーザダイオードダイの前記第1の電極が、1つの導電性接着層に対応して前記基板の第1の面に実装される。
【0040】
例示的には、同一の前記反射面に対向する複数の前記レーザダイオードの前記第2の電極が、リードを介して前記基板上の同一のパッドに電気的に接続される。
【0041】
例示的には、前記導電性接着層の面積が前記レーザダイオードダイの底面面積よりも大きいか、
リードを介して前記導電性接着層を前記基板上のパッドに電気的に接続することで、前記第1の電極を引き出すかの少なくとも1つである。
【0042】
例示的には、前記カバーは、窓を有するU字形または四角形のカバー本体と、前記窓を封止被覆する光透過板とを備えていることで前記光透過領域を形成し、前記レーザダイオードダイの出射光が前記光透過板を経て出射されるか、または、前記カバーは、すべて光を透過する板状構造である。
【0043】
例示的には、前記カバー本体は溶接の方式によって前記基板の前記第1の面上に固設される。
【0044】
例示的には、前記カバー本体の材料は金属、樹脂またはセラミックを含む。
【0045】
例示的には、前記パッケージモジュールは前記レーザダイオードダイの送信を制御するための駆動チップをさらに備えており、前記駆動チップは前記収容空間内に設けられ、前記駆動チップは前記基板の第1の面に実装される。
【0046】
例示的には、前記パッケージモジュールが、はんだペースト実装されたデバイスをさらに備えており、前記はんだペースト実装されたデバイスは前記収容空間の外に設けられる。
【0047】
例示的には、前記はんだペースト実装されたデバイスは、抵抗器とコンデンサとを備えており、前記抵抗器とコンデンサとは、はんだペーストにより前記収容空間の外の前記基板の第1の面に実装される。
【0048】
例示的には、前記基板はPCB基板またはセラミック基板を含む。
【0049】
例示的には、前記導電性接着層の材料は、導電性の銀ペースト、はんだ、または導電性のダイ連結フィルムを含む。
【0050】
例示的には、前記反射膜は金と銀のうち少なくとも一種を含む。
【0051】
例示的には、前記レーザダイオードダイの底面は前記収容空間内に実装され、そして、前記レーザダイオードダイの側面が出光し、かつ、前記レーザダイオードダイの出射光が前記基板の第1の面と略平行である。
【0052】
本発明の別の態様は、
前記レーザダイオードパッケージモジュールの基板の第1の面と一定の挟角を呈する方向でレーザパルスを出射するために用いられ、前記挟角は90°未満である前記レーザダイオードパッケージモジュールと、
前記光透過領域の外側に設けられ、前記光透過領域から出射される出射光をコリメートするために用いられるコリメーティングレンズと、
前記光透過領域の外側に設けられ、前記光透過領域から出射される出射光の光路を変更するために用いられ、前記レーザダイオードパッケージモジュールからのレーザパルスを、前記コリメーティングレンズの中心軸に略沿った方向で前記コリメーティングレンズに入射させる第1の光路変更素子と、
を備えた距離検出装置を提供する。
【0053】
例示的には、前記第1の光路変更素子は、
前記コリメーティングレンズの光軸からずれており、前記光透過領域から出射される出射光を前記コリメーティングレンズに反射するための第1の反射鏡を備えている。
【0054】
例示的には、前記レーザダイオードパッケージモジュールは前記コリメーティングレンズの中心軸の一つの側に位置しており、かつ、前記レーザダイオードパッケージモジュール中の基板の第1の面が前記コリメーティングレンズの中心軸に略平行であり、
前記第1の反射鏡は前記コリメーティングレンズの中心軸上に位置しており、前記レーザダイオードパッケージモジュールが出射するレーザパルスを、前記コリメーティングレンズの中心軸に略沿った方向に反射するために用いられる。
【0055】
例示的には、前記コリメーティングレンズは、検出物に反射された戻り光の少なくとも一部を集光するためにさらに用いられ、
前記レーザ送信装置が、
中央部に光透過領域が設けられている第2の反射鏡、第3の反射鏡、および検出器をさらに備えており、
前記第2の反射鏡は前記コリメーティングレンズと前記第1の反射鏡との間に設けられ、前記第1の反射鏡に反射された光ビームが通過するのを許容し、かつ、前記コリメーティングレンズが集光した戻り光を前記第3の反射鏡に反射するために用いられ、
前記第3の反射鏡はそれぞれ前記第2の反射鏡および前記検出器と対向して設けられ、前記第2の反射鏡に反射された前記戻り光を前記検出器に反射するために用いられ、
前記検出器は、受信した光信号を電気信号に変換するために用いられ、前記電気信号は、前記検出物と前記距離検出装置の距離を測定するために用いられる。
【0056】
本発明のさらに別の態様は、前記レーザダイオードパッケージモジュールを備えており、無人機、自動車またはロボットを含む電子機器をさらに提供する。
【0057】
本発明のパッケージ案は、基板パッケージの作業方式によってパッケージングを行うことができ、パッケージングの効率が良く、かつ、パッケージング後のダイは、表面パッケージ技術(Surface Mounted Technology,SMT)に用いるのに適している。さらに、本発明のパッケージモジュール構造におけるピン経路は短く、寄生インダクタンスはTOパッケージに比べ大幅に低下する。しかも、レーザダイオードダイは側面出光であり、出射光の方向は基板の第1の面と略平行であり、レーザダイオードダイの出射光の伝搬経路上に反射面を設けており、出射光を反射した後にカバー上の光透過領域から出射することにより光ビームの伝搬方向を変え、出射光の伝搬経路上に反射面を加えており、レーザダイオードダイの底面を収容空間内に実装可能にすると同時に、出射光ビームを、第1の面に略垂直な方向に沿って出射可能にしており、しかも、レーザダイオードダイの底面の面積が比較的大きいため、ダイの実装に便利であると同時に、装置全体におけるパッケージモジュールの位置設定にも便利である。また、本発明の実施例によるパッケージモジュール構造に基づいて実現される距離検出装置は送信出力を高めることができ、迅速なパルス駆動信号に対する迅速な応答が、信頼性と正確さを高めており、生産コストと複雑さを低減しており、生産効率を高めている。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【
図1】本発明が提供するレーザダイオードパッケージモジュール中のレーザダイオードの構造概略図を示している。
【
図2】
図1のレーザダイオードのB-B方向に沿った断面図を示している。
【
図3A】本発明の1つの実施例中の、異方性を利用してエッチングを行った後のシリコンウェハの断面概略図を示している。
【
図3B】本発明の1つの実施例中の、傾斜面に反射面が設けられたシリコンウェハの断面概略図を示しており、左図は、1つの傾斜面を有するシリコンウェハであり、右図は、2つの傾斜面を有するシリコンウェハである。
【
図3C】本発明の1つの実施例中の、底面の鋭角の箇所に切り欠きが設けられているシリコンウェハの断面概略図を示している。
【
図3D】本発明の1つの実施例中の、底面の鋭角の箇所に浅溝が設けられているシリコンウェハの断面概略図を示している。
【
図4A】本発明の1つの実施例中のレーザダイオードパッケージモジュール構造の断面図を示している。
【
図4B】
図4A中のレーザダイオードパッケージモジュール構造の、カバーを除去した後の平面図を示している。
【
図4C】本発明のもう1つの実施例中のレーザダイオードパッケージモジュール構造の断面図を示している。
【
図4D】
図4C中のレーザダイオードパッケージモジュール構造の、カバーを除去した後の平面図を示している。
【
図4E】本発明のまたもう1つの実施例中のレーザダイオードパッケージモジュール構造の断面図を示している。
【
図4F】
図4E中のレーザダイオードパッケージモジュール構造の、カバーを除去した後の平面図を示している。
【
図4G】本発明のさらにもう1つの実施例中のレーザダイオードパッケージモジュール構造の断面図を示している。
【
図4H】本発明のもう1つの実施例中のレーザダイオードパッケージモジュール構造の断面図を示している。
【
図4I】本発明のもう1つの実施例中のレーザダイオードパッケージモジュール構造の断面図を示している。
【
図5A】本発明の1つの実施例中のSOIウェハの断面図を示している。
【
図5B】本発明の1つの実施例中の、SOIウェハの傾斜面に反射面を設けた断面図を示している。
【
図6A】本発明のもう1つの実施例中のレーザダイオードパッケージモジュール構造の断面図を示している。
【
図6B】
図6A中のレーザダイオードパッケージモジュール構造の、カバーを除去した後の平面図を示している。
【
図6C】本発明のもう1つの実施例中のレーザダイオードパッケージモジュール構造の断面図を示している。
【
図7A】本発明のもう1つの実施例中の、傾斜面を有するガラスの断面図を示している。
【
図7B】本発明の1つの実施例中のレーザダイオードパッケージモジュール構造の断面図を示している。
【
図7C】本発明のもう1つの実施例中のレーザダイオードパッケージモジュール構造の断面図を示している。
【
図8A】本発明のもう1つの実施例中の、凹面を有するガラスの断面図を示している。
【
図8B】本発明の1つの実施例中のレーザダイオードパッケージモジュール構造の断面図を示している。
【
図8C】本発明のもう1つの実施例中のレーザダイオードパッケージモジュール構造の断面図を示している。
【
図9A】本発明の1つの実施例中のレーザダイオードパッケージモジュール構造の部分立体概略図を示している。
【
図9B】
図9A中のレーザダイオードダイの等価位置図を示している。
【
図9C】本発明のもう1つの実施例中のレーザダイオードパッケージモジュール構造の部分立体概略図を示している。
【
図9D】
図9C中のレーザダイオードダイの等価位置図を示している。
【
図10】本発明の距離検出装置の1つの実施例の概略図を示している。
【
図11】本発明の距離検出装置のもう1つの実施例の概略図を示している。
【
図12】本発明の距離検出装置のさらにもう1つの実施例の概略図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0059】
本発明の目的、技術的解決策、および利点をより明確にするために、以下、図面を参照しつつ、本発明による例示的実施例について詳述する。当然ながら、記述される実施例は本発明の一部の実施例であるに過ぎず、本発明のすべての実施例ではない。本発明は、ここで記述される例示的実施例に限定されないことは理解しておかなければならない。本発明において記述される本発明の実施例に基づき、当業者が創造的な労働を行っていない状況で得た他のすべての実施例は、いずれも本発明の保護範囲にとどまっていなければならない。
【0060】
本発明について、より徹底的な理解を提供することができるように、以下の記述において、大量の具体的な細部を示している。しかしながら、当業者にとって自明なのは、本発明は、1つまたは複数のこれら細部がなくても実施可能であるという点である。他の例では、本発明と混同が生じるのを避けるため、本分野の公知のいくつかの技術的特徴については記述していない。
【0061】
理解すべきなのは、本発明は、異なる形式で実施することができるが、ここで提示された実施例に限定されると解釈すべきではないという点である。逆に、これらの実施例を提供して、開示を徹底的かつ完全なものにするとともに、本発明の範囲を当業者に完全に伝達する。
【0062】
ここで使用する用語の目的は、具体的な実施例について記述するとともに本発明の限定とはしないことのみにある。ここで使用する際に、単数形の「一」、「1つの」および「前記/この」は、それ以外の方式を前後で明示していない限り、複数形を含むことも意図している。用語「~からなる」と「~を含む」との少なくとも1つは、本明細書において使用する際に、前記特徴、整数、ステップ、操作、部品と部材との少なくとも1つの存在を決定するが、1つまたはより多くの他の特徴、整数、ステップ、操作、部品、部材と群との少なくとも1つの存在または追加を排除しないことも理解していなければならない。ここで使用する際に、用語「~との少なくとも1つ」は、関連する列記された項目のあらゆる組み合わせを含む。
【0063】
本発明を徹底的に理解するため、本発明が提示する技術的解決策を詳しく説明することができるように、下記の記述において詳細な構造を提示する。本発明の選択可能な実施例については下記の通り詳細に記述するが、これらの詳細な記述以外に、本発明は他の実施形態も有し得る。
【0064】
上記課題を解決するため、本発明はレーザダイオードパッケージモジュールを提供している。前記パッケージモジュールは、
第1の面を有する基板と、
カバーとの間に収容空間を形成する前記基板の第1の面に設けられたカバーであって、前記基板に対向する面に光透過領域を少なくとも部分的に設けたカバーと、
前記収容空間内に設けられたレーザダイオードダイと、
前記収容空間内に設けられた反射面であって、前記レーザダイオードダイの出射光を、前記反射面を経て反射させた後に前記光透過領域を通過して出射させるために用いられる反射面と、
を備える。
【0065】
本発明のパッケージ案は、基板パッケージの作業方式によってパッケージングを行うことができ、パッケージングの効率が良く、かつ、パッケージング後のダイは、表面パッケージ技術(Surface Mounted Technology,SMT)に用いるのに適している。さらに、本発明のパッケージモジュール構造におけるピン経路は短く、寄生インダクタンスはTOパッケージに比べ大幅に低下する。しかも、レーザダイオードダイは側面出光であり、出射光の方向は基板の第1の面と略平行であり、レーザダイオードダイの出射光の伝搬経路上に反射面を設けており、出射光を反射した後にカバー上の光透過領域から出射することにより光ビームの伝搬方向を変え、出射光の伝搬経路上に反射面を加えており、レーザダイオードダイの底面を収容空間内に実装可能にすると同時に、出射光ビームを、第1の面に略垂直な方向に沿って出射可能にしており、しかも、レーザダイオードダイの底面の面積が比較的大きいため、ダイの実装に便利であると同時に、装置全体におけるパッケージモジュールの位置設定にも便利である。
【0066】
実施例1
以下、
図1、
図2、
図3A~
図3D、
図4A~
図4Iを参照しながら、本発明のレーザダイオードパッケージモジュールの具体的な実施例について詳細に説明する。矛盾しない場合、下記の実施例および実施形態中の特徴は、互いに組み合わせることができる。
【0067】
図4Aは、本発明の1つの実施例中のレーザダイオードパッケージモジュール構造の断面図を示しており、
図4Bは、
図4A中のレーザダイオードパッケージモジュール構造の平面図を示している。1つの実施例では、本発明のレーザダイオードパッケージモジュール構造は、第1の面30を有する基板300を備える。
【0068】
ここで、前記基板300は、PCB基板(Printed Circuit Board、プリント回路基板)、セラミック基板、プリモールド(Pre-mold)基板等、各種タイプの基板を含んでいてよく、セラミック基板は、窒化アルミニウムまたは酸化アルミニウム基板であってよい。
【0069】
ここで、前記PCBは、様々な部品や複数種の複雑な加工技術処理等により作製されてなり、そのうちPCB回路基板の構造には、単層、二層、多層構造があり、層構造ごとに作製方式が異なる。
【0070】
任意には、プリント回路基板は主に、パッド、ビア、取り付け孔、リード、部品、コネクタ、フィラー、電気的境界等からなる。
【0071】
さらに、プリント回路基板の一般的な層構造は、単層基板(Single Layer PCB)、二層基板(Double Layer PCB)、および多層基板(Multi Layer PCB)の3種を含み、その具体的構造は下記の通りである:
(1)単層基板:一方の面だけが銅で被覆されており他方の面が銅で被覆されてない回路基板。通常、部品は、銅で被覆されてない面に配置され、銅で被覆されている面は主に配線と溶接に用いられる。
【0072】
(2)二層基板:2つの面がいずれも銅で被覆されている回路基板。通常、一方の面を最上層(Top Layer)、他方の面を最下層(Bottom Layer)と称する。一般に、最上層を、部品を配置する面とし、最下層を部品溶接面とする。
【0073】
(3)多層基板:複数の機能層面を含む回路基板。最上層および最下層以外にいくつかの中間層も含んでおり、通常、中間層は、リード層、信号層、電源層、接地層等とすることができる。層と層の間は互いに絶縁され、層と層の接続は通常、ビアによって実現される。
【0074】
ここで、プリント回路基板は、信号層、防護層、シルクスクリーン印刷層、内部層など、多くのタイプの機能層面を含むが、無用な記述はここで繰り返さない。
【0075】
また、本願に記載の基板にセラミック基板を選択使用してもよい。セラミック基板は、銅箔が高温下で酸化アルミニウム(Al2O3)または窒化アルミニウム(AlN)セラミック基板の表面(片面または両面)に直接結合された特殊加工基板を指す。作製された超薄型複合基板は、優れた電気的絶縁性能、高い熱伝導特性、特に優れたはんだ濡れ性、および高い付着強度を有しており、PCB基板と同様に各種パターンをエッチングすることができ、大きな電荷担持能力を有している。
【0076】
さらに、前記基板はプリモールド(Pre-mold)基板であってよく、ここで、前記プリモールド基板中に成形リードとピンとを有しており、前記成形リードは前記基板の本体構造内に嵌め込まれ、前記ピンは、例えば内面と外面との少なくとも1つ等、前記基板の本体構造の表面に位置していることで、前記基板とレーザダイオードダイ、駆動チップ、および回路基板のそれぞれとの電気的接続を実現する。
【0077】
ここで、前記プリモールド(Pre-mold)基板の作製方法は、通常の成形プロセス、バイト彫り込みおよびダイスタンピング成形を相次いで経て形成することができるが、ここでは無用な記述を行わない。
【0078】
ここで、前記プリモールド(Pre-mold)基板の成形材料には、通常の材料を選択使用することができる。例えば熱伝導性プラスチック材料等であってよいが、ある一種に限定されることはない。ここで、前記プリモールド(Pre-mold)基板の形状は成形フレームにより規定されるが、ある一種に限定されることはない。
【0079】
さらに、レーザダイオードパッケージモジュール構造はレーザダイオードダイ303をさらに備えており、前記収容空間内に設けられる。任意には、前記レーザダイオードダイ303は前記基板300の第1の面30に実装される。
【0080】
例示として、前記レーザダイオードダイ303は端面レーザ装置であり、つまり、レーザダイオードダイは側面出光である。ここで、前記レーザダイオードダイの構造は
図1および
図2に示す通りである。
図1は、本発明が提供するレーザダイオードパッケージモジュール中のレーザダイオードの構造概略図を示しており、
図2は、
図1のレーザダイオードのB-B方向に沿った断面図を示している。ここで、前記レーザダイオードダイは、互いに対向して設けられた第1の電極201と第2の電極202とを備えており、前記第1の電極201が所在する表面が、前記基板の第1の面に実装される。
【0081】
任意には、前記第1の電極201と前記第2の電極202とはいずれも金属化電極であり、前記第1の電極201はレーザダイオードダイの底面に設けられ、前記第1の電極201はn電極であり、前記第2の電極202は前記レーザダイオードダイの頂面であり、前記第2の電極202はp電極である。
【0082】
1つの例示では、
図4Aに示すように、前記レーザダイオードダイ303の第1の電極は、導電性接着層を介して前記基板の第1の面に実装される。例えば、前記基板300の第1の面30上の、対応する基板金属層3041上に実装される。
【0083】
ここで、前記レーザダイオードダイ303はベアダイ(bare die)、すなわち、ウェハ(Wafer)から切り分けられた小片であり回路を有する「ダイ」であり、ダイボンド(die bond)の方式によって基板300上に実装される。ダイボンド(die bond)は、接着剤、一般的には導電性接着剤または絶縁性接着剤によってダイを基板の所定の領域に結着させ、熱経路または電気経路を形成し、後述のワイヤボンディングのために条件を整える工程のことを指す。本実施例では、前記基板の第1の面が、パターン化された基板金属層で覆われており、例えば、
図4Aおよび
図4Bに示すように、前記基板300の第1の面30に、レーザダイオードダイ303との電気的接続を実現するための基板金属層3041が設けられており、この基板金属層3041は、セラミック基板上の銅箔をエッチングして形成したパターンを有していてよく、これらの基板金属層はさらに、基板上の各種デバイスのダイボンドの過程でアライメントマークとして用いることができる。
【0084】
例示的には、
図4Cと
図4Dに示すように、基板の第1の面に複数のレーザダイオードダイを実装すれば、個々のレーザダイオードダイが1つの基板金属層3041に対応するとともに、これらの基板金属層3041同士が互いに離隔され、基板金属層3041はさらに、他のデバイスと電気的に接続することができるように、レーザダイオードダイ303の底面に位置する電極を引き出すために用いられる。さらに、個々のレーザダイオードダイ303の第1の電極(基板上に実装された電極であり、レーザダイオードダイの底面の電極と称することもできる)は、1つの導電性接着層(図示せず)と対応して前記基板の第1の面に実装される。例えば、前記基板300の第1の面30上の相応の基板金属層3041上に実装され、かつ、隣り合う導電性接着層同士が互いに離隔されることで、レーザダイオードダイの底面の電極が電気的に接続されるのを防止する。
【0085】
1つの例示では、前記導電性接着層の面積が前記レーザダイオードダイの底面面積よりも大きいか、リードを介して前記導電性接着層を前記基板上のパッドに電気的に接続することで、前記第1の電極を引き出すかの少なくとも1つである。
【0086】
本実施例では、導電性接着層(図示せず)を介してレーザダイオードダイ303を基板上に実装し、電気経路を形成する。ここで、前記導電性接着層(図示せず)の材料は、導電性の銀ペースト、はんだまたは導電性のダイ連結フィルム(die attach film,DAF)を含む。ここで、前記導電性の銀ペーストは普通の銀ペーストまたはナノ銀ペーストであってよく、はんだはAuSn20を含むがこれらのみに限定されず、任意には、実装位置の精度および高い放熱性を保証するため、AuSn20の共晶を用いてダイボンドを行う。例えばAuSn20のはんだを導電性接着層として用いると、揮発性のフラックスを含有する他のはんだ(例えばはんだペースト)と比べると実質的に無揮発または低揮発であるため、はんだが揮発性物質を有するためレーザダイオードダイおよび反射面を汚してレーザダイオードダイの出光効率に影響する問題が生じるおそれがない。
【0087】
例示的には、前記第2の電極はリード305を介して前記基板に電気的に接続される。例えば、前記第2の電極(例えばp極)は、前記基板上に設けられたパッド306に、リード305を介して電気的に接続され、任意には、前記リード305には金属リード、例えば金線を使用することができる。ここで、前記金線の直径は約1mil(25.4マイクロメートル)前後あるいは他の好適な直径寸法であり、実際のニーズに応じてリード305の数を合理的に設定することができ、複数本の前記リードを並べて使用することで第2の電極とパッドの電気的接続を実現して、ループをできる限り低くすることができる。
【0088】
1つの例示では、前記レーザダイオードダイの形状は柱状構造であり、例えば直方体構造を呈していてよく、多面体や柱状等、他の適当な形状であってもよいが、ここでは逐一列挙しない。ここで、前記レーザダイオードダイの出射面はいずれも、前記レーザダイオードダイの柱状構造の一端の側面に設けることができ、この側面はレーザダイオードダイの最小の面であってよく、さらに、レーザダイオードダイの底面は収容空間内に実装される。ここで、前記レーザダイオードダイの底面の面積は比較的大きく、例えば、出射面の面積よりも大きい。任意には、レーザダイオードダイの底面は基板の第1の面に実装され、レーザダイオードダイの側面が出光する。反射面の設置のため、レーザダイオードダイの底面を収容空間内に実装可能にすると同時に、出射光ビームを、第1の面に略垂直な方向に沿って出射可能にし、レーザダイオードダイの底面の面積が比較的大きく、ダイの実装に便利であると同時に、装置全体におけるパッケージモジュールの位置設定にも便利である。
【0089】
1つの具体的な実施形態では、前記レーザダイオードダイは直方体構造を呈する。前記レーザダイオードダイの出射面は前記直方体構造の一端の側面を指し、
図1に示すように、前記レーザダイオードダイの出射面は直方体構造左端の側面であり、ここで、発光領域203は前記第2の電極の下方に設けられ、かつ、前記発光領域203は、
図2に示すように、第2の電極202に近接する。
【0090】
説明を要するのは、出射面(発光面も指す)は、レーザダイオードダイが出射光を発する表面を指し、前記出射面は前記レーザダイオードダイの右端の側面であってもよく、前記レーザダイオードダイの前面および後面であってもよく、上記例示に限定されない、という点である。
【0091】
例示として、本発明のレーザダイオードパッケージモジュール構造は、前記収容空間内に設けられる反射面をさらに備え、前記レーザダイオードダイの出射光が前記反射面を経て反射された後、前記光透過領域を通過して出射されるようにするために用いられ、任意には、前記レーザダイオードダイの出射光は前記反射面を経て反射された後、前記基板の前記第1の面と略垂直な方向で前記光透過領域を通過して出射される。
【0092】
1つの例示では、前記パッケージモジュールは、異方性構造を有する半導体をさらに備え、ここで、前記異方性構造を有する半導体はシリコンを含み得るがそれのみに限定されず、他のゲルマニウムおよびIII~V族(GaAsなど)化合物半導体等の、他の半導体材料であってもよい。任意には、前記半導体は、例えば単結晶シリコンウェハなどの半導体ウェハを含む。
【0093】
1つの例示では、前記反射面は、具体的には、前記半導体の、異方性を利用してエッチングを行って作製して得られた傾斜面であり、半導体自身が光ビームに対して反射する作用を有しているため、半導体の傾斜面を反射面としてそのまま使用することができる。例示として
図3Aおよび
図3Bに示すように、前記半導体はシリコンウェハ301であり、半導体の材料であるシリコンは、そのダイヤモンド立方結晶格子構造のため、異方性の特性を有しており、エッチングの面で異方性の特性を有している。
図3Aに示すように、シリコンウェハ301の<100>の結晶学的構造と<111>の結晶学的構とが54.74°の角度をなす。[100]で下向きにエッチングする際に、<111>の結晶学的構造と[100]の結晶学的構造とのエッチング速度の差が極めて大いため、<111>の結晶学的構造は実質的にエッチングされることはなく、<100>の結晶学的構造が急速に腐食されることにより、54.74°の台形を形成し、つまり、前記半導体の、異方性を利用してエッチングを行って作製して得られた傾斜面と前記半導体の底面との間の挟角が略54.74°である。角度は材料の結晶格子構造が決定し、生産の過程のパラメータ変動に伴って変わることはないため、シリコンウェハで作製される傾斜面の角度は実質的に54.74°である。ここで、前記エッチングについては、例えば無機アルカリ溶液あるいは有機アルカリ性溶液をエッチング剤として採用するなど、任意の好適なエッチング剤を採用して使用することができ、無機アルカリ溶液はKOHを含むが、それのみに限定されず、有機アルカリ性溶液は水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を含むが、それのみに限定されない。
【0094】
さらに、前記半導体は異方性を利用してエッチングを行って少なくとも1つの傾斜面を作製して得る。1つの例示では、少なくとも2つの斜設された反射面は、前記半導体の、異方性を利用してエッチングを行って作製して得られた異なる傾斜面上に設けられる。シリコンウェハを例にすると、
図3Aと
図3Bに示すように、前記シリコンウェハ301は異方性を利用してエッチングを行って傾斜面を作製して得、好適なエッチング方法によって少なくとも1つの傾斜面を作製して得ることができる。例えば、エッチングしてシリコンウェハの上下表面を貫通して
図3Bに示す構造を形成する。ここで、
図3B左側の図に示すのは、1つの傾斜面を有するシリコンウェハ301であり、あるいは、
図3B右側の図に示すのは、2つの背向する傾斜面を有するシリコンウェハ301である。ここで、前記半導体(例えばシリコンウェハ301)の断面形状は直角台形あるいは等脚台形であってよい。
【0095】
ここで、本明細書で言及する反射面は、前記半導体の、異方性を利用してエッチングを行って作製して得られた異なる傾斜面上に設けられ、半導体(例えばシリコンウェハ)の傾斜面を前記反射面としてそのまま使用するものを指すことができ、あるいは、前記反射面は、前記半導体の、異方性を利用してエッチングを行って作製して得られた傾斜面にコーティングされた反射膜を備える。波長が300~1200nmの光ビームについては、単結晶シリコンが吸収する量子効率が、いずれも50%を超える。1つの実施例では、レーザダイオードダイが出射する光ビームの波長は905nm前後である。この範囲内で、単結晶シリコンの反射率は概ね70%前後である。任意には、半導体に単結晶シリコンを採用する場合に、反射率を高めるため、単結晶シリコンの傾斜面に1層の反射膜をコーティングする。例えば、
図3Bに示すように、シリコンウェハ301の、異方性を利用してエッチングを行って作製して得られた傾斜面上に1層の反射膜302をコーティングすることで、光に対する反射面の反射率を高めることにより、レーザ装置の出力を向上する。ここで、前記反射膜302の材料は、光に対して反射を有する任意の好適な金属材料を含むことができる。例えば、前記反射膜302は、金、銀、およびアルミニウムのうち少なくとも1種を含む。ここで、波長が905nmの光ビームに対する金または銀の反射率は95%以上である。例えば、真空蒸着の蒸着方法を使用して半導体の傾斜面上に反射膜302を形成することができる。
【0096】
ダイボンド(die bond)の過程では、下へ押圧されるため、半導体(例えば
図3Bに示すシリコンウェハ301)の底部の鋭角の箇所は比較的薄く、コーナー欠けのリスクがある可能性があり、斜面の底部に近い付近の破断につながって砕屑が生じるおそれがある。上記コーナー欠けの問題を回避するために、前記半導体の底面の鋭角の箇所に切り欠きまたは浅溝が設けられている。予め設けられる切り欠きまたは浅溝は、下へ押圧されるために形成されるコーナー欠けに比べ、寸法および形成位置が、より制御可能であることにより、コーナー欠けが生じない状況で、反射面が前記レーザダイオードダイから送信されたすべての出射光のスポットを受け入れることができることを保証することができる。
【0097】
1つの例示では、
図3Cに示すように、半導体(例えばシリコンウェハ301)の底面の鋭角の箇所に切り欠き3011が設けられており、任意には、前記切り欠きは、具体的には、前記半導体の、底部鋭角の一部を除去して形成した切り欠きであり、エッチングの方法によって一部の底部鋭角を除去することができる。前記エッチングには、例えば反応イオンエッチング、イオンビームエッチング、プラズマエッチング、レーザアブレーションあるいはこれらの方法の任意の組み合わせなど、従来のドライエッチングプロセスを使用することができる。単一のエッチング方法を使用することができ、あるいは、1つよりも多いエッチング方法を使用することもできる。もう1つの例示では、
図3Dに示すように、半導体(例えばシリコンウェハ301)の底面の鋭角の箇所に浅溝3012が設けられており、任意には、前記浅溝3012は前記底面の鋭角の縁部に設けられ、前記半導体の底面から前記半導体の頂面に向かって一部の深さだけ凹んでいる。ここで、エッチングの方法によって前記浅溝3012を形成することができる。前記エッチングは湿式エッチングあるいは乾式エッチングを含むがこれらのみに限定されず、1つの例示では、浅溝を形成する方法は次のようなものであってよい:半導体の底面に、例えばフォトレジストのマスクを形成した後、フォトエッチングプロセスによって、フォトレジストにおいて、形成する予定の浅溝のパターンを定義し、さらに、このフォトレジスト層をマスクとし、前記底面から前記半導体をエッチングすることで前記浅溝3012を形成し、最後に前記フォトレジスト層を除去する。
【0098】
1つの例示では、前記パッケージモジュール内に1つの斜設された反射面が設けられており、例えば、
図4Aと
図4Bに示すように、前記反射面は、前記半導体(例えばシリコンウェハ301)の、異方性を利用してエッチングを行って作製して得られた傾斜面にコーティングされた反射膜302を含み、前記反射面は、1つの前記レーザダイオードダイ303の出射面に対向して設けられることで、前記レーザダイオードダイ303の出射光が前記反射面を経て反射された後、光透過領域を通過して出射されるようにする。ここで、反射面と前記半導体(例えばシリコンウェハ301)の底面との間の挟角が略54.74°であるとき、前記レーザダイオードダイ303の出射光は前記反射面を経て反射された後、前記基板の法線と約19.48°をなす角度で光透過領域を通過して出射される。
【0099】
もう1つの例示では、
図4Cと
図4Dに示すように、前記パッケージモジュール内に1つの斜設された反射面が設けられており、前記反射面は、前記半導体(例えばシリコンウェハ301)の、異方性を利用してエッチングを行って作製して得られた傾斜面にコーティングされた反射膜302を含み、前記反射面は、少なくとも2つの並んで配置された前記レーザダイオードダイ303の出射面に対向して設けられることで、各々の前記レーザダイオードダイ303の出射光が前記反射面を経て反射された後、光透過領域を通過して出射されるようにすることにより、1×Nの一次元多線型のパッケージ構造を実現し、ここでNは2以上である。
【0100】
本実施例では、前記半導体(例えばシリコンウェハ301)は粘着層(図示せず)を介して前記基板300の第1の面30に実装される。例えば、前記基板300の第1の面30に、この半導体に対応する基板金属層3042が設けられており、前記半導体は粘着層を介して前記基板の第1の面30上の基板金属層3042の表面に実装される。
【0101】
ここで、この粘着層の材料に、前記導電性接着層と同じ材料を使用することができる。前記導電性接着層(図示せず)の材料は、導電性の銀ペースト、はんだまたは導電性のダイ連結フィルム(die attach film,DAF)を含む。ここで、前記導電性の銀ペーストは普通の銀ペーストまたはナノ銀ペーストであってよく、はんだはAuSn20を含むがこれらのみに限定されず、任意には、実装位置の精度および高い放熱性を保証するため、AuSn20の共晶を用いてダイボンドを行い、1つの例示では、AuSn共晶を採用してダイボンドを行う方法は以下のステップを含む:半導体の裏面と基板金属層の表面を貼り合わせ、ここで、基板金属層4042はAuSn合金であってよく、半導体の裏面に金が設けられており、次いで、加熱を行って半導体裏面の金と基板金属層とに合金を形成させ、半導体を基板の第1の面に固定する役割と、良好な電気的接続の役割とを果たす。
【0102】
もう1つの例示では、前記粘着層は接着剤を含み、基板上の、半導体を載置する予定の位置に接着剤を塗布した後、半導体を接着剤上に載置し、さらに焼き付け硬化等の処理を行うことにより、半導体を前記基板の第1の面に実装させる。
【0103】
さらに、
図4Dに示すように、前記基板300の第1の面に複数の前記レーザダイオードダイ303を実装する。ここで、各々の前記レーザダイオードダイ303の前記第1の電極(例えばn極)は1つの基板金属層3041と対応して前記基板300の第1の面に実装され、しかも、隣り合う基板金属層3041同士が離隔される。
【0104】
1つの例示では、
図4Dに示すように、同一の前記反射面に対向する複数の前記レーザダイオードダイ303の前記第2の電極(例えばp極)が、リード305を介して前記基板300上の同一のパッド306に電気的に接続され、ここで、このパッド306は細長状であり、前記レーザダイオードダイ303の、前記出射面に対向する表面外側に設けられる。前記パッド306の材料は、アルミニウムあるいは他の好適な金属材料を含み得る。
【0105】
1つの例示では、前記パッケージモジュールは、異方性構造を有する半導体を備えており、少なくとも2つの斜設された反射面が、前記半導体の、異方性を利用してエッチングを行って作製して得られた異なる傾斜面上に設けられる。例えば、
図3Bの右側の図に示すように、2つの斜設された反射面が、前記半導体(例えばシリコンウェハ301)上の、対称に設けられた、背向する2つの傾斜面上に設けられるか、あるいは、2つの斜設された反射面が、前記半導体上の隣り合う2つの傾斜面上に設けられてもよい。
【0106】
1つの例示では、前記パッケージモジュール内に、少なくとも2つの斜設された反射面が設けられており、各々の反射面が、少なくとも1つの前記レーザダイオードダイの出射面に対向して設けられることで、各々の前記レーザダイオードダイの出射光が前記反射面を経て反射された後、前記光透過領域を通過して出射されるようにする。
【0107】
1つの具体的な例示では、前記パッケージモジュールは、異方性構造を有する少なくとも2つの半導体を備えており、少なくとも2つの斜設された反射面が、異なる半導体の、異方性を利用してエッチングを行って作製して得られた傾斜面上にそれぞれ設けられる。前記異なる半導体は、任意の好適な配列方式により前記基板上に設けることができ、前記半導体が互いに間隔を空けて列になるように並んで前記基板上に設けられる。例えば、シリコンウェハを例にすると、
図4Eに示すように、前記パッケージモジュールは、異方性構造を有する3つのシリコンウェハ301を備えており、3つの斜設された反射面が、異なるシリコンウェハ301の、異方性を利用してエッチングを行って作製して得られた傾斜面上にそれぞれ設けられる。
【0108】
さらに、前記各々の反射面が、少なくとも2つの、並んで配置されたレーザダイオードダイの出射面に対向して設けられることで、各々の前記レーザダイオードダイの出射光が前記反射面を経て反射された後、前記光透過領域を通過して出射されるようにすることで、M×Nの2次元多線パッケージを実現する。例えば、
図4Eと
図4Fに示すように、各々の反射面は、並んで配置された6つのレーザダイオードダイ303の出射面に対向して設けられることで、各々の前記レーザダイオードダイ303の出射光が前記反射面を経て反射された後、前記光透過領域を通過して出射されるようにする。ここで、同一の反射面に対向するレーザダイオードダイ303の数は、実際のデバイスのニーズに応じて合理的に選択することができる。言及に値するのは、前記
図4Fでは、1つの傾斜面を有する半導体のみを示しており、前記半導体は、少なくとも2つの傾斜面を有する半導体であってもよいことである。
【0109】
同一の反射面に対向する複数のレーザダイオードダイは前記基板の第1の面上で任意の好適な間隔で配置することができ、任意には、
図4Fに示すように、同一の反射面に対向する複数の前記レーザダイオードダイ303が前記基板300の第1の面上で等間隔に配置されることで、前記反射面を経て反射された異なるレーザダイオードダイ303の出射光を等間隔に出射させる。本願のパッケージモジュールをレーザレーダに応用する際には、光透過領域から出射される個々の光が個々の受信器と一対一対応しなければならず、つまり、個々のレーザダイオードダイが送信したレーザが物体を経て反射された後、対応する受信器内に一部が戻るため、送信および受信する位置が、較正を経ることで、それらを一対一対応させなければならず、従って、レーザダイオードダイ303が等間隔に配置され、受信器の配置をより便利にする。
【0110】
同一の反射面に対向するレーザダイオードダイの出射面とこの反射面との間の距離は、具体的なデバイスのニーズに応じて合理的に設定することができ、任意には、
図4Fに示すように、同一の反射面に対向する各々の前記レーザダイオードダイ303の出射面とこの反射面との間の距離が等しいことで、この反射面に到達する個々のレーザダイオードダイの光の実質的な適合性を保証する。
【0111】
本発明の技術的解決策においては、任意には、前記レーザダイオードダイ303の出射光の方向は前記反射面の底辺に対して垂直であり、しかも、基板の第1の面と平行であり、
図4Aと
図4Bに示すように、前記反射面は四角形であり、前記基板の第1の面に近接しており前記第1の面と平行な辺が底辺となる。
【0112】
レーザダイオードダイが出射する光ビームは楕円形のスポットであり、基板の第1の面に対して垂直な方向(ここではy方向と呼ぶ)に沿った光ビームの発散角は大きく、速軸と呼ばれ、x方向(ここで、x方向とy方向は垂直である)に沿った光ビームの発散角は小さく、遅軸と呼ばれ、速軸と遅軸の光ビームのビームウエストおよび発散角の違いのため、半導体レーザ装置の速軸と遅軸の光ビームの質BPPの差が大きくなり、従って、本発明の前記パッケージモジュールはさらに、コリメート素子を選択的に備えることができ、光ビームをコリメートするために用いられ、速軸方向における光ビームの発散角を小さくするかまたは速軸および遅軸方向の発散角を小さくし、前記コリメート素子は、前記レーザダイオードダイと前記反射面との間に設けられることで、前記レーザダイオードダイの出射光が前記コリメート素子を経た後に前記反射面に至るようにし、前記コリメート素子が速軸と遅軸との間の非点収差を解消し、光ビームの質を改善し、速軸方向における光ビームの発散角を圧縮し、レーザダイオードダイの放射利用効率を高める。ここで、前記コリメート素子は、当業者に周知の、光に対してコリメート作用を果たすことのできる任意の部品、例えば円柱レンズ、Dレンズ、光ファイバロッド、非球面レンズ等であってよい。
【0113】
図4Gに示すように、前記コリメート素子が円柱レンズ309である場合を例にすると、円柱レンズ309は前記レーザダイオードダイと前記反射面との間に設けられ、各々の前記レーザダイオードダイ303の出射面から反射される出射光をすべて円柱レンズ309に到達させるため、前記円柱レンズの曲面が前記レーザダイオードダイ303の出射面に対向していることで、前記レーザダイオードダイ303の出射光を前記円柱レンズ309の曲面に照射させる。任意には、前記円柱レンズ309の曲面寸法が、前記レーザダイオードダイ303から発される出射光の、前記円柱レンズ309の入光面が所在する平面上におけるスポットの寸法よりも大きいことで、すべての出射光がいずれも円柱レンズ309上に照射されてコリメートされることを保証する。
【0114】
1つの例示では、前記コリメート素子が前記基板の前記第1の面に実装される。例えば
図4Gに示すように、円柱レンズ309は前記基板300の前記第1の面30に実装される。
【0115】
1つの例示では、前記コリメート素子が前記基板300に実装される表面は平面であり、平面の設置により、コリメート素子と基板の第1の面とをより良く接合させることができる。前記コリメート素子を基板にダイボンドしやすくする。1つの例示では、前記コリメート素子の頂面が平面である。コリメート素子を基板に実装する過程で、通常は、伝送ツールを用いてこのコリメート素子を吸い付け、さらに、それを所定の位置に載置することになる。コリメート素子の頂面は平面であり、コリメート素子を吸い付けに適合させるのに役立つ。
【0116】
前記コリメート素子は、任意の好適な方式によって基板上に実装することができる。例えば、前記コリメート素子(例えば円柱レンズ309)は、粘着層を介して前記基板300の第1の面に実装することができる。
【0117】
さらに、レーザダイオードパッケージモジュール構造は、前記基板300の第1の面30に設けられるカバーをさらに備えており、前記基板300と前記カバーとの間に収容空間を形成する。ここで、前記カバーの、前記基板300に対向する面に、光透過領域を少なくとも部分的に設ける。
【0118】
本発明の1つの実施例では、前記カバーも、ある1つの構造に限定されず、前記カバー上に光透過領域を少なくとも部分的に設け、前記レーザダイオードダイの出射光が前記反射面を経て反射された後、前記光透過領域を通過して出射される。例えば、本実施中の前記カバーは、ガラス窓付きの金属ケースである。
【0119】
さらに、
図4A、
図4C、
図4E、
図4Gに示すように、前記カバーは、窓を有するU字形または四角形のカバー本体307と、前記窓を封止被覆する光透過板308とを備えていることで前記光透過領域を形成し、前記レーザダイオードダイ303の出射光が、反射を経た後に前記光透過板から出射され、ここで、前記光透過板は前記基体の第1の面と平行であるか、または、前記カバーは、すべて光を透過する板状構造である。さらに、前記カバーは、その内部の封止被覆するダイのために保護と気密環境とを提供する。
【0120】
例示的には、窓を有するU字形の前記カバー本体307の、前記基板の第1の面における投影は、円形であるか、あるいは他の好適な形状であり、四角形のカバー本体307の、前記基板の第1の面における投影は四角形であり、ここで、四角形のカバー本体は基板の寸法と適合し、パッケージの寸法を効果的に低減することができる。
【0121】
前記カバー本体の材料には任意の好適な材料を使用することができる。例えば、前記カバー本体の材料は金属、樹脂またはセラミックを含む。1つの例示では、前記カバー本体307の材料に金属材料を任意に使用し、前記金属材料に、前記光透過板308の熱膨張係数に近い材料を任意に使用し、例えば、コバール(Kovar)合金を使用する。カバー本体307と光透過板308の熱膨張係数が近いため、光透過板を前記カバー本体307の窓に接着する際に、熱膨張係数の相違に起因する光透過板の破裂の問題が生じるのを回避することができる。任意には、溶接の方式によって前記カバー本体を前記基板の第1の面に固定連結することができる。前記溶接には、例えば並列シーム溶接または放電溶接など、任意の好適な溶接方式を使用することができる。例示的には、前記光透過板308はさらに前記カバー本体の窓の内側に接着される。
【0122】
ここで、前記光透過板308には、例えばガラスなど、一般的な光透過材料を選択して使用することができる。前記ガラスは、レーザダイオードダイが発するレーザ波長に対して高い通過性を有していなければならない。
【0123】
もう1つの例示では、前記カバーは、すべて光を透過する板状構造である。前記板状構造には、例えばガラスなど、一般的な光透過材料を選択して使用し、前記ガラスは、レーザダイオードダイが発するレーザ波長に対して高い通過性を有していなければならない。ここで、前記基板全体の構造が凹溝形状を呈することができる。前記凹溝は四角形凹溝あるいは円形凹溝であってよく、前記カバーは前記基板の凹溝の頂部に儲けられ、基板の頂面に接合されることで前記凹溝を封止被覆し、前記基板と前記カバーとの間に収容空間を形成する。
【0124】
前記
図4A~
図4Gに示すパッケージモジュールの案においては、ピン経路が短いため、寄生インダクタンスがTOパッケージに比べ大幅に低下し、しかも、基板パッケージの作業方式によってパッケージングを行うことができ、パッケージングの効率が良く、かつ、パッケージング後のダイは、SMTに用いるのに適している。
【0125】
1つの例示では、
図4Hと
図4Iに示すように、パッケージの集積度を高め、レーザダイオードダイと駆動チップとの間のリードを短縮する。さらにインダクタンスを低減するため、前記パッケージモジュールは、前記レーザダイオードダイ303の送信を制御するための駆動チップ310をさらに備えており、前記駆動チップ310は前記収容空間内に設けられる。ここで、前記駆動チップ310は前記基板300の第1の面30に実装される。この実施例では、前記レーザダイオードダイの送信を制御する駆動チップ310とレーザダイオードダイとを直接1つにパッケージし、前記基板と前記カバーとの間に形成された収容空間内にいずれもパッケージされる。前記設置によって、現在のTOパッケージ中のレーザダイオードダイとレーザダイオードダイ近傍の駆動回路との間のインダクタンスと、配線上の分布インダクタンスとを除去することで、前記パッケージモジュールの分布インダクタンスを小さくし、大出力のレーザ出射を実現し、狭パルスレーザ駆動を実現することができる。
【0126】
任意には、前記パッケージモジュールにおいて、レーザダイオードダイを駆動チップにできる限り近づけて置くことができる。前記レーザダイオードダイと前記駆動チップとの距離が短いほど、より効果的に分布インダクタンスを小さくすることができる。前記設置によって、前記送信モジュールの分布インダクタンス上の損失は大幅に小さくなり、大出力のレーザ出射を実現するのがより容易になり、分布インダクタンスが小さくなることで狭パルスレーザ駆動も可能になる。
【0127】
本発明の1つの具体的な実施例では、前記パッケージモジュールはスイッチチップをさらに備えている。ここで、前記スイッチチップは同様に前記収容空間内に設けられる。ここで、前記スイッチチップはスイッチ回路を備えており、前記スイッチ回路は、前記駆動回路の駆動の下で前記レーザダイオードダイを制御してレーザを送信するために用いられる。
【0128】
また、
図4Hと
図4Iに示すように、前記基板に、例えば、FETデバイスあるいは他のタイプのスイッチデバイス、あるいはスイッチデバイスの駆動チップ、必要な抵抗器とコンデンサ311、および表面実装回路(SMT IC)等のデバイスなど、他のデバイスがさらに設けられており、例えば導電性接着剤(はんだペーストを含むがそれに限定されない)などの導電性材料によって、表面パッケージ技術(Surface Mounted Technology,SMT)により基板に実装される。
【0129】
ここで、
図4Hに示すパッケージモジュール構造においては、レーザダイオードダイ303、駆動チップ310、前記反射面、および他のデバイスをいずれも前記基板300の第1の面に実装するとともに、カバーと基板との間の収容空間内にいずれも設け、任意には、このパッケージモジュール構造において、無揮発または低揮発の導電性接着層をいずれも採用して前記基板の第1の面に実装する。このような設置が、揮発性の導電性接着層中の揮発物質が揮発してレーザダイオードダイ、反射面および光透過領域を汚し、レーザダイオードダイの出光効率に影響するという問題の発生を回避することができる。
【0130】
もう1つの例示では、
図4Iに示すようなパッケージモジュール構造は、前記駆動チップ310、前記反射面および前記レーザダイオードダイ303が前記収容空間内にパッケージされ、そして、前記パッケージモジュールが、はんだペースト実装されたデバイスをさらに備えており、前記はんだペースト実装されたデバイスは前記収容空間の外に設けられ、つまり、カバー外側の基板上に設けられる。ここで、はんだペースト実装されたデバイスは、FETデバイスあるいは他のタイプのスイッチデバイス、あるいはスイッチデバイスの駆動チップ、必要な抵抗器とコンデンサ311等を含むがこれらのみに限定されず、本実施例では、抵抗器とコンデンサ311を例にすると、前記抵抗器とコンデンサ311は、はんだペーストにより前記収容空間の外の前記基板の第1の面、つまり、前記カバー外側の前記基板の第1の面に実装される。このように設けられる利点は次の点にある:駆動チップ310とレーザダイオードダイ303とを収容空間内に集積し、両者の間に短い距離を持たせて、寄生インダクタンスを低減する目的を達成すると同時に、はんだペースト実装されたデバイスとレーザダイオードダイ303とを離隔させて、はんだペースト内のフラックスが揮発してレーザダイオードダイおよび反射鏡を汚し、ひいてはレーザダイオードダイの出光効率に影響するという問題を回避する。
【0131】
要するに、上記実施例のパッケージモジュール構造は、レーザダイオードダイの出射光の伝搬経路上に反射面を設けており、基板の第1の面に元々平行な出射光を反射し、反射した光線がカバー上の光透過領域から出射され、レーザダイオードダイは側面出光であり、出射光の方向は基板の第1の面と略平行であり、レーザダイオードダイの出射光の伝搬経路上に反射面を設けており、出射光を反射した後にカバー上の光透過領域から出射することにより光ビームの伝搬方向を変え、出射光の伝搬経路上に反射面を加えており、レーザダイオードダイの底面を収容空間内に実装可能にすると同時に、出射光ビームを、第1の面に略垂直な方向に沿って出射可能にしており、しかも、レーザダイオードダイの底面の面積が比較的大きいため、ダイの実装に便利であると同時に、装置全体におけるパッケージモジュールの位置設定にも便利である。しかも、本発明の反射面は、具体的には、前記半導体の、異方性を利用してエッチングを行って作製して得られた傾斜面であり、個々の半導体は、結晶学的構造が特定のものであるため、それが形成する傾斜面の角度も特定のものであることにより、反射面で反射された光を特定の方向に沿って出射させる。しかも、本発明のパッケージモジュールにおけるピン経路は短く、寄生インダクタンスはTOパッケージに比べ大幅に低下する。従って、基板パッケージの作業方式によってパッケージングを行うことができ、パッケージングの効率が良く、かつ、パッケージング後のダイは、SMTに用いるのに適している。
【0132】
実施例2
次に、
図5A~
図5Bと
図6A~
図6Cを参照しながら、本発明のパッケージモジュール構造のもう1つの実施例について記述する。ここで、重複を避けるため、本実施例では、基板400の構造および材料、レーザダイオードダイ403、カバー本体407、光透過板408等と、前記実施例1中のいくつかの同じ特徴の記述については、いずれも前記実施例1を参照することができる。ここでは無用な記述は繰り返さない。本実施例と前記実施例1との違いは、前記パッケージモジュールが備える異方性の半導体の構造が異なっている点にある。
【0133】
具体的には、例示として、6Aと
図6Bに示すように、前記パッケージモジュールは、異方性の半導体を備えており、前記半導体は、カバーと基板とから形成される収容空間内に設けられる。ここで、前記半導体は、底部に位置する第1の部分4011と、前記第1の部分4011の一部表面に位置する第2の部分4012とを備えている。ここで、前記反射面は、前記第2の部分4012の少なくとも1つの傾斜面上に設けられる。
【0134】
例示的には、前記反射面は、具体的には、前記半導体の、異方性を利用してエッチングを行って作製して得られた傾斜面であり、例えば、湿式エッチングの方法によって半導体をエッチングし、このエッチングは半導体の中で停止し、半導体基体の上下表面をエッチングで貫通していないことにより、第1の部分4011と第2の部分4012とを備えた半導体を形成する。ここで、半導体の異方性のため、第2の部分に少なくとも1つの傾斜面を持たせ、例えば、前記半導体がシリコンである場合には、前記傾斜面とその下方の第2の部分との間の鋭角の挟角が略54.74°である。
【0135】
1つの例示では、
図5Aと
図5Bに示すように、前記半導体がSOIウェハ401である場合を例にすると、SOIウェハ401は、埋め込み酸化物層と、埋め込み酸化物層により離隔された上下2層のシリコン層とを備えており、前記2層のシリコン層のうち一方をエッチングすることによって前記第2の部分4012を形成する。前記エッチングは湿式エッチングであってよく、例えば、湿式エッチングを使用可能であり、湿式エッチングには、埋め込み酸化物層に対して高い選択性を有する例えばKOH溶液などのエッチング剤をシリコンに対して採用することができる。例示的には、エッチングの前に、SOIウェハ401のエッチングすべき表面の一部領域上に、例えばフォトレジストのマスク層を形成するとともに、フォトエッチングプロセスによってこのマスク層中に、形成する予定の第2の部分4012の表面のパターンを定義することもでき、つまり、パターン化されたマスク層で、形成する予定の第2の部分4012の表面を覆い、第2の部分4012の表面以外の他の領域を露出させる。さらに、表面の一部領域にマスク層が形成されたSOIウェハ401をエッチングするとともに、埋め込み酸化物層401b内で停止する。半導体の異方性のため、形成される第2の部分4012は少なくとも1つの傾斜面を有しており、前記反射面は前記第2の部分4012の少なくとも1つの傾斜面であってよく、埋め込み酸化物層401bおよび埋め込み酸化物層401b下方のシリコン層401aは前記第1の部分4011となり、異方性エッチングを経た埋め込み酸化物層401b上のシリコン層が第2の部分4012として用いられる。
【0136】
もう1つの例示では、
図5Bに示すように、前記反射面は、前記半導体の、異方性を利用してエッチングを行って作製して得られた傾斜面にコーティングされた反射膜402を備えることで、光に対する反射面の反射率を高めることにより、レーザ装置の出力を高める。任意には、前記第1の部分4011の露出した少なくとも一部の表面が導電層でさらに覆われている。
【0137】
例えば、前記反射膜402は導電性の反射膜であり、前記反射面上の反射膜402は、さらに延びて前記反射面外側の前記第1の部分4011の露出した少なくとも一部の表面を覆う。前記半導体がSOIウェハである場合、前記反射膜402は前記第2の部分4012外側の一部の前記埋め込み酸化物層401bの表面まで延びる。例えば、前記導電性の反射膜402は金属層であってよく、前記反射膜402の材料は、光に対して反射を有する任意の好適な金属材料を含むことができる。例えば、前記反射膜402は、金、銀、およびアルミニウムのうち少なくとも1種を含み、例えば、真空蒸着の蒸着方法を使用して半導体の傾斜面上に反射膜402を形成することができる。
【0138】
1つの例示では、前記レーザダイオードダイ403は前記反射面外側の前記第1の部分4011の表面に実装され、前記レーザダイオードダイ403の出射面を前記反射面に対向して設けさせることで、前記レーザダイオードダイの出射光が前記反射面を経て反射された後、前記光透過領域を通過して出射されるようにし、本実施例では、前記実施例1中のレーザダイオードダイと反射面との間の位置関係等の特徴もこれに適用される。例えば、
図6A~
図6Cに示すように、各々の反射面外側の第1の部分4011の表面に1つの前記レーザダイオードダイを設け、しかも、このレーザダイオードダイの出射面は前記反射面に対向しているか、あるいは、各々の反射面外側の第1の部分の表面に少なくとも2つのレーザダイオードダイを設け、しかも、個々のレーザダイオードダイの出射面が前記反射面に対向していてもよい。
【0139】
1つの例示では、
図6Bに示すように、前記レーザダイオードダイ403は、前記第1の部分の表面に位置する導電性の反射膜402上に設けられる。ここで、前記第1の部分の表面に位置する導電性の反射膜402のパターンは前記レーザダイオードダイの底面と適合しておりかつ電気的に接続され、前記第1の部分の表面に位置する反射膜402の面積が前記レーザダイオードダイの底面の面積よりも大きいことで、一部の前記第1の部分の表面に位置する導電性の反射膜402を前記レーザダイオードダイの外側から露出させており、レーザダイオードダイの、底面に位置する電極を引き出すのに便利であり、例えば、
図6B中の、第1の部分4011の表面に位置する反射膜402の形状はT字状であるか、あるいは、他の好適な、細長形、十字状等の形状であってもよい。言及に値するのは、
図6Bでは、第1の部分4011の表面のみに1つのレーザダイオードダイを設ける状況のみを示しているが、第1の部分4011の表面に、並列した少なくとも2つのレーザダイオードダイを設けることができることについては、この第1の部分の表面に、互いに間隔の空いた複数の前記反射膜が対応して設けられており、個々の反射膜は1つのレーザダイオードダイと対応する、という点である。
【0140】
任意の好適な方法を採用して、第1の部分4011の表面に位置する前記反射膜402を形成することができ、1つの例示では、前記反射膜402を形成する方法は以下のステップを含む:まず、ステップA1は、半導体を提供し、前記半導体(例えばシリコンウェハまたはSOIウェハ)は、底部に位置する第1の部分4011と、前記第1の部分4011の一部表面に位置する第2の部分4012とを備えている。ここで、前記反射面は、前記第2の部分4012の少なくとも1つの傾斜面上に設けられる。続いて、ステップA2を実行し、反射膜402を形成して前記第1の部分4011と前記第2の部分との露出した表面を完全に覆い、ここで、例えば真空蒸着の方法を使って反射膜402を形成することができる。続いて、ステップA3を実行し、フォトエッチングプロセスとエッチングプロセスとを利用して反射膜402をパターン化し、例えば、反射膜にフォトレジスト層を塗布し、フォトエッチングプロセスの露光や現像等のステップを利用してこのフォトレジスト層をパターン化し、パターン化されたフォトレジスト層を形成し、このパターン化されたフォトレジスト層は、第1の部分4011上に形成する予定の反射膜のパターン形状や位置等のパラメータが定義されており、しかも、このパターン化されたフォトレジスト層が、前記第2の部分の、反射面として用いられる予定の傾斜面を覆い、さらに、パターン化されたフォトレジスト層をマスクとし、前記第1の部分4011上の反射膜をエッチングし、前記第1の部分4011内で停止することで、前記第1の部分4011の表面に位置するパターン化された反射膜402を形成し、最後にフォトレジスト層を除去する。
【0141】
さらに、本実施例のパッケージ構造の技術的解決策において、レーザダイオードを前記第1の部分4011の表面に実装する際に、第1の部分4011に位置する反射膜402のパターンは、アライメントマークとして用いることもでき、このアライメントマークのパターンはフォトエッチングおよびエッチングによって形成されたものであるため、その精度は2μm以内にすることができ、高精度のアライメントマークは、ダイボンドを行う際のレーザダイオードダイの位置精度と、レーザダイオードダイと反射面との間の相対的位置精度とを高めることができる。
【0142】
本実施例においては、レーザダイオードダイ403は、例えば前記実施例1中の方式によって第1の部分の表面に実装される。例えば、レーザダイオードダイ403が、前記第1の部分に位置する反射膜402上に導電性接着層を介して実装されることで、レーザダイオードダイ403と前記反射膜402との電気的接続を実現する。
【0143】
1つの例示では、
図6Aと
図6Bに示すように、異方性の半導体(例えばシリコンウェハまたはSOIウェハ)が導電性接着層を介して前記基板400の第1の面40に実装され、つまり、前記第1の部分4011の底面が前記基板400に実装されるとともに、収容空間内に設けられる。
【0144】
1つの例示では、
図6Aと
図6Bに示すように、前記レーザダイオードダイ403は、対向して設けられた第1の電極と第2の電極を備えており、例えば、前記レーザダイオードダイ403の底面に前記第1の電極を設け、前記レーザダイオードダイ403の頂面は第2の電極として設けられ、前記第1の電極はp極であってよく、前記第2の電極はn極であってよいか、あるいは、前記第1の電極はn極であってよく、前記第2の電極はp極であってよい。前記第1の電極および第2の電極はそれぞれリードを介して前記基板400に電気的に接続され、特に、前記基板400の第1の面上の異なるパッドに電気的に接続される。例えば、前記レーザダイオードダイ403の頂面上の電極が、リード4052を介してパッド4062に電気的に接続される一方、前記レーザダイオードダイ403の底面上の電極がリード4051を介してパッド4061に電気的に接続され、底面上の電極が第1の部分4011に位置する反射膜402に電気的に接続されるため、リードを介して前記反射膜402をパッド4062に電気的に接続することにより、レーザダイオードダイ403の底面上の電極とパッド4062との電気的接続を実現する。ここで、パッド4062とパッド4061とは互いに間隔を空けて設けられ、しかも、反射膜がレーザダイオードダイ403の底面の電極を引き出すことができることを保証するため、第1の部分4011上の反射膜402の面積をレーザダイオードダイ403の底面の面積よりも大きくすることもでき、つまり、レーザダイオードダイ403が、第1の部分4011の表面上に位置する一部の反射膜402を覆う。
【0145】
言及に値するのは、第1の電極と第2の電極とを引き出す上記の方法は例示であるに過ぎず、他の好適な方法については、本発明に適用することも可能であり、例えば、各々の前記レーザダイオードダイの下方に、前記第1の部分を貫通して前記レーザダイオードダイの底面の電極に電気的に接続される接触孔を設けることによって、前記接触孔を介して前記レーザダイオードダイの底面電極(例えば第1の電極)を電気的に接続してもよく、基板上の半導体の第1の部分の底面の下に基板金属層が設けられており、この基板金属層は、接触孔を介してレーザダイオードダイの底面電極(例えば第1の電極)に電気的に接続されることにより、レーザダイオードダイの底面電極を引き出すことを実現することができる、という点である。
【0146】
1つの例示では、
図6Cはパッケージモジュールの構造を示しており、このパッケージモジュールの構造と
図6A中に示された構造との違いは次の点である:
図6Cにおいて、前記第2の部分4012は、対称な、背向して設けられた2つの傾斜面を有しており、前記傾斜面は反射面であり、各々の前記反射面は少なくとも1つのレーザダイオードダイ403の出射面と対向して設けられ、個々のレーザダイオードダイ403が、前記第1の部分に位置する反射膜402上に導電性接着層を介して実装されることで、レーザダイオードダイ403と前記反射膜402との電気的接続を実現し、これにより、
図6Cにおいて、2×N型のパッケージ構造を示している。
【0147】
言及に値するのは、本実施例において異方性の半導体が、例えばガラス、セラミック、または樹脂等の好適な材料など、他の好適な材料にも置き換え可能であるという点である。
【0148】
要するに、本実施例中のパッケージ構造が、前記実施例1中のパッケージ構造の利点も同様に備えている以外に、その反射面上の反射膜が、レーザダイオードダイの出射光を反射するために用いられる以外に、前記反射膜の、反射面外側の第1の部分に位置する部分が、レーザダイオードダイの底面を電気的に接続するためにも用いられ、そして、レーザダイオードダイの実装時に対外マークとして用いられる。フォトエッチングおよびエッチングによって形成された、第1の部分上に位置する反射膜は、その精度が高いため、レーザダイオードダイのダイボンドの位置精度と、レーザダイオードダイと反射膜との間の相対的位置精度とを高めることができる。
【0149】
実施例3
次に、
図7A~
図7C、
図8A~
図8Cおよび
図9A~
図9Dを参照しながら、本発明のパッケージモジュール構造のさらにもう1つの実施例について記述する。ここで、重複を避けるため、本実施例では、基板400の構造および材料、反射膜502、レーザダイオードダイ503、カバー本体507、光透過板508、基板金属層5041、5042等と、前記実施例1および実施例2中のいくつかの同じ特徴の記述については、いずれも前記実施例1および実施例2を参照することができる。ここでは無用な記述は繰り返さない。本実施例と前記実施例1との違いは、実施例1中の異方性の半導体を本実施中のガラスに置き換えている点にある。
【0150】
具体的には、1つの例示では、
図7A~
図7Cに示すように、前記パッケージモジュールはガラス501を備えており、前記ガラス501は少なくとも1つの傾斜面を備えており、前記反射面は、前記ガラス501の傾斜面にコーティングされた反射膜502を備えている。
【0151】
前記反射面と前記ガラスの底面との間の挟角は、任意の好適な、90°未満の角度であってよく、任意には、前記反射面とガラスの底面との間の挟角は約45°であり、このような設置が、前記レーザダイオードダイ503の出射面から発される出射光が前記反射面を経て反射された後、前記基板の第1の面に対して垂直な方向で、カバー上の光透過領域から出射されるようにすることができる。
【0152】
任意の好適な方法によって、少なくとも1つの傾斜面を有するガラス501を形成することができる。例えば、従来の光学部品を採用した製造方法は、研磨、ポリッシング、およびコーティング等のプロセスを光学ガラスに対して行うことによって、所定寸法のガラスプリズムに加工し、反射面とガラス底面との挟角を45°または他の任意の角度にするか、あるいは、モールド成形の方法によって所定寸法のガラス501を形成することもでき、モールド成形の方法は、溶融状態の光学ガラス素地を注ぎ入れ、ガラス転移温度よりも50℃以上高い低温金型内で加圧成形する。
【0153】
1つの例示では、
図7Bは、1つの傾斜面のみを有するガラス501を示しており、この傾斜面に反射膜502が反射面として設けられており、前記反射面外側の基板の第1の面に、少なくとも1つのレーザダイオードダイ503を設け、各々の前記レーザダイオードダイの出射面はこの反射面に対向して設けられ、さらに、前記レーザダイオードダイの出射面から発される出射光は前記反射面の底辺に対して垂直であり、前記反射面とガラスの底面との間の挟角は約45°であり、前記レーザダイオードダイ503の出射面から発される出射光が前記反射面を経て反射された後、前記基板の第1の面に対して垂直な方向で、カバー上の光透過領域から出射されるようにする。
【0154】
もう1つの例示では、
図7Cは、2つの背向して設けられた傾斜面を有するガラス501を示しており、この2つの傾斜面に反射膜502が反射面として設けられている。ここで、各々の反射面の外側の前記基板500の第1の面に少なくとも1つのレーザダイオードダイ503を設け、ここで、このガラスの、背向して設けられた傾斜面は対称に設けられてよく、非対称に設けられてもよい。つまり、そのうち一方の傾斜面とガラスの底面との挟角が、他方の傾斜面とガラスの底面との間の挟角と異なっていてよい。
【0155】
さらに、前記反射面は凹面であってもよく、前記凹面は具体的には、異方性の半導体の凹面、あるいはガラスの凹面、あるいは、他の好適な、反射鏡材料上となり得る凹面であってよく、この凹面の反射面は、レーザダイオードダイの出射光を反射する役割を果たすことができる以外に、前記コリメート素子に類似した作用も果たすことができ、速軸と遅軸との間の非点収差を低減し、光ビームの質を改善し、速軸方向の発散角を小さくし、有限な出光絞りの条件下で放射利用効率を高めることができる。
【0156】
1つの例示では、
図8A~
図8Cに示すように、前記反射面がガラス5011である凹面を例にすると、前記反射面は、前記ガラス5011の少なくとも1つの凹面にコーティングした反射膜502をさらに備えている。ここで、
図8Bは、前記反射面は具体的には前記ガラスの一方の凹面であることを示しており、
図8Cは、前記反射面は具体的には前記ガラスの2つの背向する凹面であり、2つの背向する凹面は対称に設けられてもよいことを示している。
【0157】
任意の好適な方法によって、前記凹面を有するガラス5011を形成することができる。例えば、モールド成形の方法を採用してガラスの反射面を凹面の形状にし、この凹面上に反射膜502をコーティングしてもよい。
【0158】
任意には、前記反射面が具体的には異方性の半導体の凹面である場合、当業者に周知の何らかの好適な方法によって前記凹面を形成することができる。例えば、前記半導体に対して等方性の湿式エッチングを行うことにより上記の凹面を得ることができる。
【0159】
言及に値するのは、前記ガラスは導電性接着層を介して前記基板の第1の面に実装され、具体的な記述については前記実施例1を参照することができるという点であり、ここでは無用な記述は行わない。
【0160】
例示的には、
図7B~
図7C、
図8B~
図8Cに示すように、前記レーザダイオードダイ503は導電性接着層を介して前記基板500の第1の面50に実装することができる。ここで、前記レーザダイオードダイ503の第2の電極(つまり、頂面上の電極)は、リード505を介して前記基板500の第1の面50上のパッド506に電気的に接続される。
【0161】
言及に値するのは、凹面の反射面の外側になるように設けられるレーザダイオードダイ503の設置方式については前記実施例1および実施例2を参照することができるという点であり、ここでは無用な記述は行わない。
【0162】
もう1つの例示では、
図9Aに示すように、2つの斜設された反射面は、それぞれ前記ガラス5012上の背向する2つの傾斜面上に設けられる。ここで、各々の反射面は、少なくとも1つの前記レーザダイオードダイ503の出射面に対向して設けられることで、各々の前記レーザダイオードダイ503の出射光が前記反射面を経て反射された後、前記光透過領域を通過して出射されるようにする。ここで、このガラス5012は三角柱状を呈し、この三角柱状のガラスの1つの側面が前記基板の第1の面に実装され、他の2つの側面は傾斜面であり前記反射面となり、しかも、この反射面に、前記傾斜面にコーティングされた反射膜(図示せず)を備えており、さらに、反射面としての2つの傾斜面と、三角柱が基板上に実装される底面との間の挟角は、45°あるいは他の好適な角度であってもよく、
図9Aでは、各々の反射面の外側に4つのレーザダイオードダイ503を併設することを示しており、異なる反射面の外側に異なる数のレーザダイオードダイ503を設けてもよく、この数の選択については、デバイス構造のニーズに応じて合理的な選択を行うことができる。例えば、一方の反射面の外側に3つのレーザダイオードダイを設け、他方側の外側に4つのレーザダイオードダイを設ける。各々の反射面の外側に4つのレーザダイオードダイが設けられている場合、
図9Bに示すのは、
図9A中のレーザダイオードダイ503の等価位置図である。ここで、この図中に示す黒い点は位置関係を表しているに過ぎず、光源の形状とは無関係であり、図中に示す2列のレーザダイオードダイ503は2つずつ対向して設けられ、しかも、各列の前記レーザダイオードダイ503は等間隔に配列される。
【0163】
もう1つの例示では、前記ガラスは三角錐あるいは三角錐台状を呈していてよく、例えば、
図9Cに示すガラス5013は三角錐状を呈しており、斜設された3つの反射面が前記ガラス上の3つの傾斜面上にそれぞれ設けられ、各々の前記反射面が、少なくとも1つの前記レーザダイオードダイ503の出射面に対向して設けられることで、各々の前記レーザダイオードダイ503の出射光が前記反射面を経て反射された後、前記光透過領域を通過して出射されるようにし、例えば
図9Cと
図9Dに示すように、各々の反射面の外側に3つのレーザダイオードダイ503を設け、この各側の3つのレーザダイオードダイ503は等間隔に配列され、
図9Dに示すのは
図9C中のレーザダイオードダイ503の等価位置図である。ここで、この図中に示す黒い点は位置関係を表しているに過ぎず、光源の形状とは無関係である。
【0164】
言及に値するのは、上記のガラスは両面反射であるだけでなく、多面反射であってもよく、その形状はN角錐台あるいはN角錐であってよく、ここで、Nは3以上であり、しかも、複数の斜設された反射面をガラスが有しているだけでなく、前記実施例1および実施例2中の異方性の半導体あるいは他の材料も、複数の斜設された反射面を有していてよく、例えば三角柱、N角錐台あるいはN角錐の構造を形成してもよい、という点である。
【0165】
本実施例中のパッケージモジュールは同様に、前記実施例1中のパッケージモジュールの利点を有しており、しかも、反射面が凹面である例示については、レーザダイオードダイの出射光に対して反射作用を有している以外に、速軸と遅軸との間の非点収差を低減し、光ビームの質を改善することもできると同時に、基板上に例えば円柱レンズの光学コリメート素子を再び設けるのを回避することができ、パッケージモジュール構造の寸法を小さくすることができる。
【0166】
説明を要するのは、上記実施例1、実施例2、および実施例3中のパッケージ構造は例示的なものであるに過ぎず、本発明中の前記パッケージ構造は上記例示に限定されず、上記例示の各種変形も本発明に応用することができるという点である。例えば、傾斜した反射面が設けられた半導体やガラス等を1つのパッケージモジュールに実装し、各々の反射面に対向するレーザダイオードの数や、パッケージモジュールに含まれる半導体またはガラスの数および寸法等は、いずれも実際のニーズに応じて合理的に選択することができるが、ここでは逐一列挙しない。
【0167】
実施例4
図10に示すように、本発明が提供する距離検出装置800は、光送信モジュール810と反射光受信モジュール820とを備えている。ここで、光送信モジュール810は、実施例1、実施例2、または実施例3中の少なくとも1つのレーザダイオードパッケージモジュールを備えており、光信号を送信するために用いられ、かつ、光送信モジュール810が送信する光信号が距離検出装置800の視野角FOVをカバーし、反射光受信モジュール820は、光送信モジュール810が送信する光が測定対象物体に当たった後に反射された光を受信し、前記測定対象物体から距離検出装置800までの距離を計算するために用いられる。以下、
図10を参照しながら、光送信モジュール810およびその動作原理について記述する。
【0168】
図10に示すように、光送信モジュール810は光送信器811と光ビーム拡大ユニット812とを備えることができる。ここで、光送信器811は光を送信するために用いられ、光ビーム拡大ユニット812は、光送信器811が送信する光に対して、コリメート、ビーム拡大、光均一化、および視野拡大のうち少なくとも1つの処理を行うために用いられる。光送信器811が発する光が、光ビーム拡大ユニット812のコリメート、ビーム拡大、光均一化、およびFOV拡大のうち少なくとも1つを経て、出射光が発散して分布が均一になるように変え、場面のうち一定の2次元角度をカバーすることができ、
図8に示すように、出射光が測定対象物体の少なくとも一部の表面をカバーすることができる。
【0169】
1つの例示では、光送信器811はレーザダイオードであってよい。光送信器811が送信する光の波長については、1つの例示では、波長が895ナノメートル~915ナノメートルの光を選択することができる。例えば、905ナノメートルの波長の光を選択する。もう1つの例示では、波長が1540ナノメートル~1560ナノメートルの光を選択することができる。例えば、1550ナノメートルの波長の光を選択する。他の例示では、応用場面や各種ニーズに応じて他の適当な波長の光を選択してもよい。
【0170】
1つの例示では、光ビーム拡大ユニット812は、一段式または多段式のビーム拡大システムを採用して実現することができる。ここで、この光ビーム拡大処理は、反射式のものまたは透過式のものであってよく、両者の組み合わせであってもよい。1つの例示では、ホログラフィックフィルタ(holographic filter)を採用して複数のサブ光ビームからなる大角度光ビームを得ることができる。
【0171】
またもう1つの例示では、レーザダイオードアレイを採用し、レーザダイオードを利用してマルチビームを形成してもよく、ビーム拡大に類似したレーザ(例えばVCSELアレイレーザ装置)を得てもよい。
【0172】
さらにもう1つの例示では、2次元角度を調整可能な微小電気機械システム(MEMS)レンズを採用し、発された光を反射し、MEMSマイクロレンズを駆動して自らのレンズ面と光ビームとの間の角度を常に変えることによって反射光の角度を常に変化させることにより、1つの2次元の角度に発散させることで、測定対象物体の表面全体をカバーしてもよい。
【0173】
この距離検出装置は、例えば、環境目標の距離情報、角度情報、反射強度情報、速度情報等の外部環境情報を検知するために用いられる。具体的には、本発明の実施形態の距離検出装置はモバイルプラットフォームに応用可能であり、前記距離検出装置は、モバイルプラットフォームのプラットフォーム本体に取り付けることができる。距離検出装置を有するモバイルプラットフォームは外部環境を測定することができる。例えば、モバイルプラットフォームと障害物の距離を測定して障害物回避等の用途に用いたり、外部環境について2次元または3次元の測図を行ったりする。いくつかの実施形態では、モバイルプラットフォームは、無人航空機、自動車、およびリモコンカーのうち少なくとも1種を含む。距離検出装置が無人航空機に応用される場合、プラットフォーム本体は無人航空機の機体である。距離検出装置が自動車に応用される場合、プラットフォーム本体は自動車の車体である。距離検出装置がリモコンカーに応用される場合、プラットフォーム本体はリモコンカーの車体である。
【0174】
光送信モジュール810が送信する光は測定対象物体の少なくとも一部の表面をカバーすることができるばかりか、すべての表面をカバーすることができるため、相応に、光が物体表面に到達した後に反射が生じ、反射光が到達する反射光受信モジュール820もシングルポイントではなく、アレイ化して分布している。
【0175】
反射光受信モジュール820は、光電検知セルアレイ821とレンズ822とを備えている。ここで、測定対象物体の表面から反射されて戻ってきた光がレンズ822に到達した後、レンズ画像形成の原理に基づき、光電検知セルアレイ821中の相応の光電検知手段に到達した後、光電検知手段に受信され、光電検知の光電応答を誘発する。
【0176】
光が出射されてから光電検知手段が反射光を受信するまでの過程で、光送信器811と光電検知セルアレイ821が、クロック制御モジュール(例えば、距離検出装置800に含まれる、
図10に示すようなクロック制御モジュール830、あるいは距離検出装置800の外のクロック制御モジュール)がそれらに対して行う同期クロック制御を受けるため、飛行時間(TOF)の原理により、反射光が到達する点と距離検出装置800との距離を得ることができる。
【0177】
また、光電検知手段はシングルポイントのものではなく、光電検知セルアレイ821であるので、データ処理モジュール(例えば、距離検出装置800に含まれる、
図8に示すデータ処理モジュール840、あるいは距離検出装置800の外のデータ処理モジュール)を介するデータ処理は、すべての距離検出装置の視野内のあらゆるポイントの距離情報、つまり、距離検出装置が直面する外界環境距離のポイントクラウドデータを得ることができる。
【0178】
前述の、本発明の実施例によるレーザダイオードパッケージモジュールの構造と動作原理および本発明の実施例による距離検出装置の構造と動作原理に基づき、当業者は本発明の実施例による電子機器の構造と動作原理を理解することができ、簡潔にするため、無用な記述をここで繰り返さない。
【0179】
実施例5
科学技術の発展に伴い、検出および測定技術が各種分野に応用されている。レーザレーダは外界に対する感知システムであり、外界の立体3次元情報を知ることができ、カメラ等の、外界に対する平面感知方式に限定されることはなくなった。その原理は、レーザパルス信号を外へ能動的に送信し、反射されて戻ってきたパルス信号を検出し、送信─受信の間の時間差に基づいて、被測定物体の距離を判断し、光パルスの送信角度情報を結び付ければ、3次元深度情報を再構成して知ることができる、というものである。
【0180】
本発明は距離検出装置を提供しており、前記距離検出装置は、検出物から検出装置までの距離と、検出装置に対する検出物の向きとを測定するために用いることができる。1つの実施例では、検出装置は、例えばレーザレーダなどのレーダを備え得る。検出装置は、検出装置と検出物との間で光が伝搬される時間、つまり光の飛行時間(Time-of-Flight、TOF)を測定することによって、検出物から検出装置までの距離を検出する。
【0181】
距離検出装置には同軸光路を採用することができ、つまり、検出装置が出射する光ビームと、反射されて戻ってくる光ビームとが、検出装置内で少なくとも一部の光路を共用する。あるいは、検出装置には別軸光路を採用してもよい。つまり、検出装置が出射した光ビームと、反射されて戻ってくる光ビームとが、検出装置内で、異なる光路に沿ってそれぞれ伝送される。
図11は、本発明の距離検出装置の概略図を示している。
【0182】
距離検出装置100は光送受信装置110を備えており、光送受信装置110は光源103、コリメート素子104、検出器105、および光路変更素子106を備えている。光送受信装置110は、光ビームを送信し、かつ、戻り光を受信し、戻り光を電気信号に変換するために用いられる。光源103は光ビームを送信するために用いられる。1つの実施例では、光源103はレーザビームを送信することができる。ここで、前記光源は、実施例1、実施例2、または実施例3に記載のレーザダイオードパッケージモジュールを備えており、前記レーザダイオードパッケージモジュールの基板の第1の面と一定の挟角を呈する方向でレーザパルスを出射するために用いられ、前記挟角は90°未満である。任意には、光源103が出射するレーザビームは、波長が可視光線の範囲外の狭帯域幅の光ビームである。コリメート素子104はレーザパッケージモジュールの光透過領域の外側に設けられ、前記光透過領域から出射される出射光をコリメートする(つまり、光源103から発される光ビームをコリメートする)ために用いられ、光源103が発する光ビームを平行光にコリメートし、コリメート素子はさらに、検出物に反射された戻り光の少なくとも一部を集光するために用いられる。このコリメート素子104は、コリメーティングレンズであるか、あるいは、光ビームをコリメートすることができる他の部品であってよい。
【0183】
距離検出装置100は走査モジュール102をさらに備えている。走査モジュール102は光送受信装置110の出射光路上に配置され、走査モジュール102は、コリメート素子104に出射されたコリメート光ビーム119の伝送方向を変更して外界環境に投射し、戻り光をコリメート素子104に投射するために用いられる。戻り光はコリメート素子104を介して検出器105に集光される。
【0184】
1つの実施例では、走査モジュール102は、例えば、レンズ、反射鏡、プリズム、グレーティング、光フェーズドアレイ(Optical Phased Array)または上記光学部品の任意の組み合わせなど、1つまたは複数の光学部品を備え得る。いくつかの実施例では、走査モジュール102の複数の光学部品は、共通の軸109周りに回転することができ、個々の回転する光学部品は、入射する光ビームの伝搬方向を絶えず変更するために用いられる。1つの実施例では、走査モジュール102の複数の光学部品は、異なる回転速度で回転することができる。もう1つの実施例では、走査モジュール102の複数の光学部品は、略同じ回転速度で回転することができる。
【0185】
いくつかの実施例では、走査モジュールの複数の光学部品は、異なる軸周りに回転するか、あるいは同じ方向に振動するか、あるいは異なる方向に振動してもよく、ここでは限定しない。
【0186】
1つの実施例では、走査モジュール102は、第1の光学部品114と、第1の光学部品114に接続されたアクチュエータ116とを備えており、アクチュエータ116は、第1の光学部品114を駆動して回動軸109周りに回動させ、第1の光学部品114にコリメート光ビーム119の方向を変更させるために用いられる。第1の光学部品114は、コリメート光ビーム119を異なる方向に投射する。1つの実施例では、コリメート光ビーム119が第1の光学部品を経て変更された後の方向と回動軸109と挟角が、第1の光学部品114の回動に伴って変化する。1つの実施例では、第1の光学部品114が、対向しており平行ではない1対の表面を備えており、コリメート光ビーム119が、この1対の表面を通過する。1つの実施例では、第1の光学部品114はウェッジプリズムを備えており、コリメート光ビーム119を屈折させる。1つの実施例では、第1の光学部品114に反射防止膜がコーティングされており、反射防止膜の厚さは、光源103が出射する光ビームの波長と等しく、透過光ビームの強度を高めることができる。
【0187】
図11に示す実施例では、走査モジュール102は第2の光学部品115を備えており、第2の光学部品115は回動軸109周りに回動し、第2の光学部品115の回動速度は第1の光学部品114の回動速度と異なる。第2の光学部品115は、第1の光学部品114が投射する光ビームの方向を変更する。1つの実施例では、第2の光学部品115はもう1つのアクチュエータ117に接続され、アクチュエータ117は第2の光学部品115を駆動して回動させる。第1の光学部品114と第2の光学部品115とは、異なるアクチュエータにより駆動されてよく、第1の光学部品114と第2の光学部品115との回転速度を異ならせることにより、コリメート光ビーム119を外界空間の異なる方向に投射し、比較的大きな空間範囲を走査することができる。1つの実施例では、コントローラ118がアクチュエータ116および117を制御し、第1の光学部品114および第2の光学部品115をそれぞれ駆動する。第1の光学部品114と第2の光学部品115との回転速度は、実際の応用において走査する見通しの領域および様式に応じて決定することができる。アクチュエータ116および117はモータまたは他の駆動装置を含み得る。
【0188】
1つの実施例では、第2の光学部品115が、対向しており平行ではない1対の表面を備えており、光ビームが、この1対の表面を通過する。第2の光学部品115はウェッジプリズムを備えている。1つの実施例では、第2の光学部品115に反射防止膜がコーティングされており、透過光ビームの強度を高めることができる。
【0189】
走査モジュール102は回転し、例えば方向111および113など、異なる方向に光を投射することで、検出装置100周囲の空間を走査することができる。走査モジュール102が投射した、方向111の光が検出物101に当たったとき、一部の光が検出物101により、投射された光の方向111とは反対の方向に沿って検出装置100に反射される。走査モジュール102は、検出物101が反射した戻り光112を受信し、戻り光112をコリメート素子104に投射する。
【0190】
コリメート素子104は、検出物101が反射した戻り光112の少なくとも一部を集光する。1つの実施例では、コリメート素子104に反射防止膜がコーティングされており、透過光ビームの強度を高めることができる。検出器105と光源103はコリメート素子104の同じ側に配置され、検出器105は、コリメート素子104を通過する少なくとも一部の戻り光を電気信号に変換するために用いられる。いくつかの実施例では、検出器105はアバランシェフォトダイオードを備えていてよく、アバランシェフォトダイオードは高感度の半導体デバイスであり、光電効果を利用して光信号を電気信号に変換することができる。
【0191】
いくつかの実施例では、距離検出装置100は、例えばTOF手段107などの測定回路を備えており、TOFを測定することで検出物101の距離を測定するために用いることができる。例えば、TOF手段107は公式t=2D/cによって距離を計算することができる。ここで、Dは検出装置と検出物との間の距離を表し、cは光速を表し、tは、光が検出装置から検出物に投射され検出物から検出装置に戻るのにかかる総時間を表す。距離検出装置100は、光源103が光ビームを送信し検出器105が戻り光を受信する時間差に基づいて時間tを決定することができ、ひいては距離Dを決定することができる。距離検出装置100は、距離検出装置100における検出物101の向きも検出することができる。距離検出装置100が検出した距離および向きは、リモートセンシング、障害物回避、測図、モデリング、ナビゲーション等に用いることができる。
【0192】
いくつかの実施例では、光源103はレーザダイオードを備えていてよく、レーザダイオードによってナノ秒クラスのレーザを送信する。例えば、光源103が送信するレーザパルスが10ns持続し、検出器105が検出した戻り光のパルス持続時間と、送信されるレーザパルス持続時間とが略等しい。さらに、レーザパルス受信時間を決定することができる。例えば、電気信号パルスの立ち上がり時間と立ち下がり時間との少なくとも1つを検出することによってレーザパルス受信時間を決定する。いくつかの実施例では、電気信号を多段増幅することができる。このようにすれば、距離検出装置100はパルス受信時間情報およびパルス発信時間情報を利用してTOFを計算することにより、検出物101から距離検出装置100までの距離を決定することができる。
【0193】
図12に示すのは、距離検出装置600のもう1つの実施例の概略図である。距離検出装置600は、
図11に示す距離検出装置100に類似しており、
図11に示す実施例と比較すると、
図12に示す実施例の距離検出装置600の光送受信装置610は複数の光路変更素子6061~6063を備えており、光源603が送信する出射光ビームの光路と戻り光の光路とを変更し、このようにすれば、焦点距離が比較的長いコリメーティングレンズ604を使用し、複数の光路変更素子6061~6063によって、光源603および検出器605を、コリメーティングレンズ604に位置する焦点位置と等価にすることができる。このようにして、光路変更素子6061~6063によって光路を折り畳み、距離検出装置600の構造をコンパクトにし、小型化に役立つ。
【0194】
光源603は、前記実施例1、実施例2、または実施例3のレーザパッケージモジュール構造を備えており、前記レーザダイオードパッケージモジュールの基板の第1の面と一定の挟角を呈する方向でレーザパルスを出射するために用いられ、前記挟角は90°未満であり、例えば前記実施例1中のパッケージモジュールは、異方性構造を有する半導体をさらに備え、前記反射面は、具体的には、前記半導体の、異方性を利用してエッチングを行って作製して得られた傾斜面であるか、あるいは、前記反射面は、前記半導体の、異方性を利用してエッチングを行って作製して得られた傾斜面にコーティングされた反射膜を備え、エッチング後に、反射面としての傾斜面が作製され、前記傾斜面と前記半導体の底面との間の挟角が略54.74°であり、前記レーザダイオードダイの出射光は前記反射面を経て反射された後、前記基板の法線と約19.48°をなす角度で光透過領域を通過して出射され、つまり、前記レーザダイオードパッケージモジュールの基板の第1の面と一定の挟角を呈する方向でレーザパルスを出射し、前記挟角は90°未満であり、ここで、コリメーティングレンズ604はレーザダイオードパッケージモジュールの光透過領域の外側に設けられ、前記光透過領域から出射される出射光をコリメートするために用いられ、前記コリメーティングレンズは、検出物に反射された戻り光の少なくとも一部を集光するためにさらに用いられる。前記レーザダイオードパッケージモジュールは前記コリメーティングレンズ604の中心軸の一つの側に位置しており、かつ、前記レーザダイオードパッケージモジュール中の基板の第1の面が前記コリメーティングレンズ604の中心軸に略平行である。
【0195】
複数の光路変更素子6061~6063は、反射鏡、プリズムまたは光路を変更する他の光学部品を備え得る。図示した実施例では、複数の光路変更素子6061~6063が、第1の光路変更素子6061、第2の光路変更素子6062、および第2の光路変更素子6063を備えている。第1の光路変更素子6061は前記光透過領域の外側に設けられ、光源603およびコリメーティングレンズ604に対向し、レーザダイオードパッケージモジュールの光透過領域から出射される出射光の光路を変更し、前記レーザダイオードパッケージモジュールからのレーザパルスを、前記コリメーティングレンズの中心軸に略沿った方向で前記コリメーティングレンズ604に入射させるために用いられる。例えば、前記第1の光路変更素子6061は反射鏡であり、前記第1の光路変更素子6061は前記コリメーティングレンズの中心軸上に位置し、前記レーザダイオードパッケージモジュールが出射するレーザパルスを、前記コリメーティングレンズの中心軸に略沿った方向に反射するために用いられ、前記反射面が、具体的には、前記半導体の、異方性を利用してエッチングを行って作製して得られた傾斜面である状況を例にすると、エッチング後に作製された前記傾斜面と前記半導体の底面との間の挟角は略54.74°であり、前記レーザダイオードダイの出射光は前記反射面を経て反射された後、前記基板の法線と約19.48°をなす角度で光透過領域を通過して出射され、それから、第1の光路変更素子6061に照射され、第1の光路変更素子6061を経て、前記コリメーティングレンズの中心軸に略沿った方向に反射される。光源603は斜め下向きに光ビームを送信し、光ビームは第1の光路変更素子6061に到達し、第1の光路変更素子6061はコリメーティングレンズ604方向へ光ビームを反射する。
【0196】
例えば反射鏡の第1の光路変更素子6061はコリメーティングレンズ604の光軸に対して傾斜して配置され、つまり、前記コリメーティングレンズ604の光軸からずれ、光源603およびコリメーティングレンズ604に対向しており、前記光透過領域から出射される出射光を前記コリメーティングレンズ604に反射するために用いられる。つまり、光源603は斜め下向きに光ビームを送信し、光ビームは第1の光路変更素子6061に到達し、第1の光路変更素子6061はコリメーティングレンズ604方向へ光ビームを反射する。
【0197】
第2の光路変更素子6062の中心に、例えばスルーホール6064などの光透過領域が設けられている。スルーホール6064は第2の光路変更素子6062の略中央部に位置する。スルーホール6064は台形を呈する。他の実施例では、スルーホール6064は長方形、円形または他の形状を呈していてよい。引き続き
図12を参照すると、第2の光路変更素子6062は第1の光路変更素子6061とコリメーティングレンズ604との間に位置しており、コリメーティングレンズ604に対向している。コリメーティングレンズ604の光軸はスルーホール6064を通過することができる。第1の光路変更素子6061が反射した光ビームは第2の光路変更素子6062のスルーホール6064を通過し、コリメーティングレンズ604に投射され、コリメーティングレンズ604を経てコリメートされる。
【0198】
図示した実施例では、検出器605は、距離検出装置600の、光源603と反対側の、もう1つの側辺に位置しており、受信した光信号を電気信号に変換するために用いられ、前記電気信号は、前記検出物と前記距離検出装置の距離を測定するために用いられる。コリメーティングレンズ604により集光された戻り光が、第2の光路変更素子6062および第3の光路変更素子6063を介して検出器605に集光される。第3の光路変更素子6063はコリメーティングレンズ604の外側に位置しており、検出器605の、コリメーティングレンズ604に近い上方に位置しており、第2の光路変更素子6062および検出器605に対向しており、それぞれ前記第2の光路変更素子6062および前記検出器605に対向して設けられる。コリメーティングレンズ604が集光した戻り光は、第2の光路変更素子6062を介して第3の光路変更素子6063に反射され、第3の光路変更素子6063はさらに戻り光を検出器605に反射する。
【0199】
ここで、図面を参照しながら例示的実施例について記述したが、上記の例示的実施例は例示的なものであるに過ぎず、しかも、本発明の範囲をこれに限定する意図はないことを理解しなければならない。当業者はその中で様々な変更および修正を行うことができるが、本発明の範囲および趣旨から逸脱してはならない。これらすべての変更および修正は、添付された特許請求の範囲が請求する本発明の範囲に含まれることが意図される。
【0200】
本明細書で開示された実施例が記述する各例示の手段およびアルゴリズムステップを結び付ければ、電子ハードウェアか、あるいはコンピュータソフトウェアと電子ハードウェアとの組み合わせで実現可能であることに、当業者は気付くことができる。これらの機能が結局のところ、ハードウェアとソフトウェアのいずれの方式で実行されるかは、技術的解決策の特定の応用と設計された制約条件とに応じて決まる。当業者は、個々の特定の応用について、記述された機能を、異なる方法を用いて実現することができるが、このような実現は、本発明の範囲を超えるとみなされてはならない。
【0201】
本願が提供するいくつかの実施例においては、開示された機器および方法が、他の方式によって実現可能であることを理解しなければならない。例えば、以上で記述された機器の実施例は概略的なものであるに過ぎず、例えば、前記手段の区分は、ただ論理機能の区分であるに過ぎず、実際に実現する際には他の区分方式があってよく、例えば複数の手段またはアセンブリは、結合可能であるか、あるいはもう1つの機器に一体化可能であるか、またはいくつかの特徴は、省略するかまたは実行しなくてよい。
【0202】
ここで提供する明細書において、多くの具体的な細部について説明した。しかしながら、本発明の実施例は、これらの具体的な細部がない状況で実践可能であることは理解可能である。いくつかの実例では、本明細書に対する理解があいまいにならないように、公知の方法、構造、および技術を詳しく示していない。
【0203】
同様に、本発明を簡略にするとともに各発明の態様のうち1つまたは複数の理解を助けるために、本発明の例示的実施例についての記述において、本発明の各特徴が、単一の実施例、図、あるいはそれについての記述に一括して分類されることがあることを理解しなければならない。しかしながら、保護が請求されている本発明は個々の特許請求の範囲に明確に記載された特徴よりも多くの特徴を請求するという意図を反映するように、本発明の方法を解釈してはならない。より的確に言えば、相応の特許請求の範囲が反映しているように、その発明のポイントは、ある開示された単一の実施例のすべての特徴よりも少ない特徴を用いて相応の技術的課題を解決することができる点にある。従って、具体的な実施形態に従う特許請求の範囲は、これにより、この具体的な実施形態を明確に組み入れ、そのうち個々の請求項自体がいずれも本発明の単独の実施例となる。
【0204】
特徴同士が排除し合う場合を除き、任意の組み合わせを採用して、本明細書(添付の特許請求の範囲、要約、および図面を含む)において開示されたすべての特徴や、このように開示された任意の方法あるいは機器のすべてのプロセスまたは手段を組み合わせることができることを、当業者は理解することができる。別途明確に述べられていない限り、本明細書(添付の特許請求の範囲、要約、および図面を含む)において開示された個々の特徴は、同一の、同等の、または類似した目的を提供して特徴に代えることで代替することができる。
【0205】
また、ここに記載したいくつかの実施例は、他の特徴ではなく、他の実施例に含まれるいくつかの特徴を含んでいるが、異なる実施例の特徴の組み合わせは、本発明の範囲内にありしかも異なる実施例を形成することを意味していることを、当業者は理解することができる。例えば、特許請求の範囲において、保護を請求している実施例の任意の1つがいずれも、任意の組み合わせ方で使用可能である。
【0206】
本発明の各部材の実施例はハードウェアで実現するか、あるいは、1つまたは複数のプロセッサ上で動作するソフトウェアモジュールで実現するか、あるいはそれらの組み合わせで実現することができる。実践においてマイクロプロセッサまたはデジタル信号プロセッサ(DSP)を使用して、本発明の実施例によるいくつかのモジュールのいくつかのあるいはすべての機能を実現することができることを当業者は理解しなければならない。本発明は、ここで記述された方法の一部またはすべての装置プログラム(例えば、コンピュータプログラムおよびコンピュータプログラム製品)を実行するために用いられるように実現することもできる。本発明を実現するこのようなプログラムは、コンピュータ可読媒体に記憶させることができ、あるいは、1つまたは複数の信号の形式を有し得る。このような信号は、インターネットウェブサイトからダウンロードして得るか、あるいはキャリア信号上で提供するか、あるいは他の何らかの形で提供することができる。
【0207】
注意すべきなのは、上記実施例は本発明について説明しており、本発明を限定してはおらず、しかも、当業者は、添付された特許請求の範囲から逸脱しない状況で代わりの実施例を考案することができるという点である。特許請求の範囲において、括弧の間に位置するいかなる参照符号も、特許請求の範囲に対する限定になるように構成されてはならない。本発明は、若干の異なる部品を含んだハードウェアおよび適切にプログラミングされたコンピュータの助けにより実現することができる。若干の装置を列挙した単位請求項において、これらの装置のうちいくつかは、同一のハードウェアによって具体化されてよい。「第1(の)」、「第2(の)」、および「第3(の)」等の単語の使用は、いかなる順序も表さない。これらの単語を名称として解釈することができる。
【0208】
上記は、本発明の具体的な実施形態または具体的な実施形態についての説明であるに過ぎず、本発明の保護範囲はこれに限定されず、いかなる当業者も、本発明が開示する技術の範囲内で変更または置換を容易に想到可能であり、いずれも本発明の保護範囲に含まれていなければならない。本発明の保護範囲は特許請求の範囲の保護範囲に準じなければならない。