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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/28 20060101AFI20220809BHJP
【FI】
A47L9/28 A
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021518897
(86)(22)【出願日】2018-10-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(86)【国際出願番号】 EP2018077815
(87)【国際公開番号】W WO2020074088
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】516124465
【氏名又は名称】アクチエボラゲット エレクトロルックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カールション、ロジャー
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開昭56-072831(JP,A)
【文献】特開2000-262448(JP,A)
【文献】特開平01-223923(JP,A)
【文献】特表2018-500633(JP,A)
【文献】特開2017-142851(JP,A)
【文献】特表2007-512884(JP,A)
【文献】特開平02-007928(JP,A)
【文献】特表2011-504775(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/00 - 9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータによって駆動するファンを備える電気掃除機であって、前記ファンが電気掃除機ノズルからチューブを介して粉塵分離装置に吸引流を発生させるように構成され、前記電気掃除機はハンドルを備え、前記ハンドルと前記ノズルとの間の方向に沿う力を計測する感知装置、及び前記計測した力に応じて前記モータの出力を制御する制御装置を備え、前記チューブは、前記方向に連結してチューブを形成する外側チューブピース及び内部チューブピースを含み、前記内部チューブピースは、前記外側チューブピース内に摺動可能に取り付けられ、前記感知装置は、前記外側チューブピース及び前記内部チューブピースの間に取り付けられる可変抵抗器を備え電気掃除機。
【請求項2】
前記可変抵抗器は前記外側チューブピースの内側に取り付けられる絶縁抵抗層及び前記内部チューブピースの端部に取り付けられる摺動コネクタを備え前記摺動コネクタがばねの力に対して前記方向に前記絶縁抵抗層上を摺動可能であり、これにより前記可変抵抗器の抵抗を変更する、請求項に記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記感知装置がひずみゲージロードセルをさらに備える、請求項1又は2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
前記ひずみゲージロードセルが前記チューブ内に配置されている、請求項に記載の電気掃除機。
【請求項5】
感知した力が所定の閾値を超えると、前記制御装置が前記モータ出力を低下させるように適応される、請求項1~のいずれか一項に記載の電気掃除機。
【請求項6】
前記モータ出力が一定期間低下される、請求項に記載の電気掃除機。
【請求項7】
前記一定期間は、前記計測した力に応じて調整される、請求項6に記載の電気掃除機。
【請求項8】
前記制御装置が、感知した力に応じて前記モータ出力を変更するように構成された、請求項1~のいずれか一項に記載の電気掃除機。
【請求項9】
前記感知装置が電気掃除機チューブ湾曲端部内に配置された、請求項1~8のいずれか一項に記載の電気掃除機。
【請求項10】
前記制御装置が使用者の設定により影響を受ける、請求項1~9のいずれか一項に記載の電気掃除機。
【請求項11】
前記使用者の設定が、出力低下機能をオフにすることを含む、請求項10に記載の電気掃除機。
【請求項12】
記閾値は使用者により設定される、請求項に記載の電気掃除機。
【請求項13】
前記モータ及び前記ファン及び前記粉塵分離装置を含むハウジングを備え、前記ハウジングが床上で移動可能に構成され、可撓性チューブが、前記ハウジングを、ハンドル部を備える剛性チューブの一端及び前記剛性チューブの他端に取り付けられたノズルに接続する、請求項1~12のいずれか一項に記載の電気掃除機。
【請求項14】
前記電気掃除機が直立型又はスティック型の電気掃除機である、請求項1~12のいずれか一項に記載の電気掃除機。
【請求項15】
前記粉塵分離装置が、集塵バッグ、フィルタ、サイクロン、又はこれらの組み合わせである、請求項1~14のいずれか一項に記載の電気掃除機。
【請求項16】
モータによって駆動するファンを備える電気掃除機における方法であって、前記ファンが電気掃除機ノズルからチューブを介して粉塵分離装置に吸引流を発生させるように構成され、前記電気掃除機がハンドルを備え、前記方法が前記ハンドルと前記ノズルとの間の方向に沿って力を計測する工程と、前記計測した力に応じて前記モータの出力を制御する工程とを含み、前記チューブは、前記方向に連結してチューブを形成する外側チューブピース及び内部チューブピースを含み、前記内部チューブピースは、前記外側チューブピース内に摺動可能に取り付けられ、前記外側チューブピース及び前記内部チューブピースの間に取り付けられる可変抵抗器を備える感知装置により、前記方向に沿う力を計測する、方法。
【請求項17】
前記制御する工程では、前記計測した力が所定の閾値を超える前記モータ出力を一定期間、下させる、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モータによって駆動するファンを備える電気掃除機に関するものであり、ファンは電気掃除機ノズルからチューブを介して粉塵分離装置に吸引流を発生させるように構成され、電気掃除機はハンドルを備える。本開示はさらに、このような電気掃除機において実行する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このような電気掃除機は、例えば、米国特許出願公開第2018/0177368-A1号明細書に開示されている。多くの電気掃除機に関連する1つの技術的課題は、効率的な掃除を提供するために十分な吸引力を提供する必要があることである。しかしこれは電気掃除機のノズルを行き詰まらせ得るものであり、例えば、厚手のラグマットの掃除の際、電気掃除機の運転を妨げる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
このため、本開示の1つの目的は、より少ない程度で行き詰まりつつある間、高い動力で運転できる電気掃除機を提供することである。この目的は、請求項1に定義した電気掃除機によって達成される。より明確には、初めに言及した種類の電気掃除機に、ハンドルと前述のノズルとの間の方向に沿って力を計測する感知装置が設けられる。制御装置は、計測された力に応じてモータの出力を制御する。この装置は、電気掃除機に、ノズルとハンドルとの間にかけられた増加した力に応じて出力を一時的に低下可能にし、ノズルがほぼ行き詰まりそうであることを示す。これは、全体の高い動力を維持しながらノズルが行き詰まるのを回避するのに役立つ。
【0004】
感知装置は、可変抵抗器を備え得る。例えば、可変抵抗器は、ばねの力に対して前述の方向に相互に対して摺動可能であり、これにより可変抵抗器の抵抗を変化させる第1の部品及び第2の部品に取り付けられ得る。
【0005】
別の例において、感知装置は、出力を提供するために移動可能な部品を必要としないひずみゲージロードセルであり得る。このようなロードセルは、前述のチューブ内に配置され得る。
【0006】
制御装置は、感知した力が所定の閾値を超えた場合にモータ出力を低下させるように適応され得る。一例として、モータ出力は一定期間低下され得る。
【0007】
他の方法として、制御装置は、感知された力に応じてモータ出力を変更するように構成され得る。
【0008】
感知装置は、電気掃除機チューブ内、又はハンドル内、又はハンドルの近くに、例えば湾曲端部内に配置され得る。
【0009】
制御装置は、使用者の設定によって影響を受け得るものであり、例えば、使用者の設定は出力低下機能をオフにすることを含み得るものであり、又は閾値に影響を与え得る。
【0010】
電気掃除機は、モータ、ファン、及び粉塵分離装置を含むハウジングを備える種類のものであり得、ハウジングは床上で移動可能であるように構成され、可撓性チューブはハウジングを剛性チューブの一端に接続する。このチューブはハンドル部を有し得るものであり、剛性チューブの他端に取り付けられたノズルを備え得る。
【0011】
他の方法として、電気掃除機は、直立型又はスティック型の電気掃除機であり得る。
【0012】
電気掃除機の種類に関わらず、粉塵分離装置は集塵バッグ、フィルタ、サイクロン、又はこれらの組み合わせであり得る。
【0013】
本開示はまた、モータによって駆動するファンを備える電気掃除機における方法にも関し、ファンは、電気掃除機ノズルからチューブを介して粉塵分離装置に吸引流を発生させるように構成され、電気掃除機はハンドルを備えている。方法は、ハンドルとノズルとの間の方向に沿って力を計測する工程と、計測された力に応じてモータ出力を制御する工程とを含む。所定の閾値を超える力は、所定時間のモータ出力の低下を開始させ得る。これにより、上述の電気掃除機に対応する利点がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】電気掃除機の一例を示す。
図2】本開示による制御機能のブロック図を示す。
図3a】ひずみ感知装置の第1の例を概略的に示す。
図3b】ひずみ感知装置の第1の例を概略的に示す。
図4】ひずみ感知装置の第2の例を示す。
図5】制御装置の基本的方法を示す。
図6】直立型又はスティック型の電気掃除機を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は、例えば図1に示すような電気掃除機に関する。この電気掃除機1は、モータ、ファン及び粉塵分離装置をその中に隠して備える主ハウジング3を備える。モータは、バッテリにより、又はコードを介して壁コンセントに接続することにより駆動する。モータは、ノズル5からチューブ装置7、9を介してハウジング3内の粉塵分離装置を通し、ハウジング3内の排気口11を通して周囲空間に強い空気流をもたらすファンに接続されている。一般には、集塵バッグ、フィルタ、サイクロン、又はその組み合わせであり得る粉塵分離装置が使用される。
【0016】
図示の場合、ハウジング3は、使用者がチューブ装置を操作する間、回転によって床の上を移動可能であるように構成されている。チューブ装置は、床上のハウジング3から剛性チューブ7に繋がる可撓性チューブ部9を備えており、床掃除のために床の上に置かれることが多いノズル5に繋がっている。
【0017】
しかし、本開示は、ノズル5からハンドル8に繋がる硬質のチューブ27を有するのみであり、且つハウジング3がこの硬質のチューブに取り付けられている、図6に示すような直立型又はスティック型の電気掃除機1'において同様に有益である。両方の場合において、使用者は、剛性チューブ7、27を様々な方向に押したり引いたりすることにより、時には床からノズル5を持ち上げることにより、ノズルをあちこちに移動する。
【0018】
上に言及した基本的な電気掃除機の設計はこのようなものが周知である。調節などの最近の取り組みは、例えば使用される最大電力を制限することにより、電気掃除機において使用される動力を低減することを追求している。例えば優れたノズル設計により、最大モータ動力を低減したにもかかわらず、電気掃除機の粉塵除去効率が維持されるか又は改善さえすることが可能である。これは、ノズル内の内部空間を広くし、ノズルの外部境界を作りこの内部空間と周囲空間との間をより強く密閉することにより、部分的に達成されてきた。これは多くの場合において、例えば硬質の床の上において非常に円滑に効果があったが、環境が問題に繋がり得ることもある。
【0019】
例えば、厚手のラグマットに電気掃除機をかけている時、ノズルはラグマット上で行き詰まり得る場合があり、移動が非常に困難であることがあり得る。その場合使用者がしっかりと動かすことにより、ラグマットを掃除するというよりもむしろラグマットを全体的に移動することさえあり得る。
【0020】
この問題はある程度取り組まれてきており、米国特許第2978733-A号明細書が、ノズルの移動が困難である場合、剛性チューブの移動を試みることによりチューブに空気を漏出させるバイパス穴を開口し、ノズルをラグマット等から解放するというような一例を示している。
【0021】
このような解決策は一時的に役に立つが、その使用は非常に混乱させるものであり得る。ノズルが移動を開始するとすぐにバイパス穴が閉じ、これはノズルがラグマット上で再び行き詰まる可能性があることを意味する。ノズルをラグマット上で押したり引いたりするとノズルが跳ねる結果となり得る。また、バイパス穴は、不快であり得るシューという音を発生させる。
【0022】
本開示は、この問題に対して改善した解決策を達成することを試みるものである。これは、チューブ7、27内のその延長方向16に沿ったひずみを感知する感知装置13を設けることによってなされる。図2に示すように、チューブ7に空気を漏出させる代わりに、制御装置15が、感知されたひずみに応じてモータ17の出力を制御し、ファン18によって得られる圧力降下を変更する。
【0023】
これは、より順応性のある解決策を提供する。例えば、センサ13が制御ユニット15にノズル5の行き詰まりを示す信号を送信した場合、動力出力を、数秒間、例えばタイマーで計測した5~15秒間、例えば通常の動力の90%まで低下させることが可能である。この期間中、ノズル5の行き詰まりが再び検出されると、例えば、出力動力をさらに、例えば通常の動力の80%までさらに低下させ、タイマーを新たな低下期間に再設定できる。多数の様々な制御策がこの目的のために可能である。電気掃除機を使用する場所に常時適応させることさえも可能である。例えば、使用者のアパートが、2枚のラグマット、一方が75%の出力動力が必要であり、通常約45秒間掃除される1枚の厚手のものと、出力動力の90%が適切であり、約75秒間掃除される大きく薄い1枚のものとを備えることが周知であるとする。厚手のラグマットが掃除されていることを感知すると、制御ユニット15は単にモータ17の出力動力を45秒間75%に低下させ、より楽な掃除体験を提供し得る。例えば使用者がラグマットを念入りに掃除したい場合には、動力低下機能をオフにできる。
【0024】
概して、このようにして、これは電気掃除機に様々な床面に適応させることを可能にする。制御機能は、制御ユニットで稼働するソフトウェアのような他の制御機能と統合し得る。
【0025】
この装置による他の利点は、バイパス穴のシューという音が取り除かれ、モータ出力動力の低下期間中にさらにより多くのエネルギーが節約されることである。
【0026】
感知装置13(図1参照)は例えば、湾曲されて、ハンドル部、例えばいわゆる湾曲端部を形成し得る電気掃除機チューブ端部10内に配置され得る。
【0027】
図3a及び3bは、ひずみ感知装置の第1の例を概略的に示す。この場合、感知装置はばねを搭載したレオスタットである。
【0028】
ここで、レオスタットは可変抵抗器を意味する。線形ポテンショメータの2つの端子によって実行され得る。
【0029】
これは、剛性チューブ(図1の7参照)を2つのピース7a、7bとして設けることによりなされ得るものであり、一方7bが他方7a内に取り付けられており、この中で伸縮自在に摺動可能である。2つのチューブピース7a、7bの間にはばね19が取り付けられており、内側チューブピース7bの端部においては外側円周突起部23によって、及び外側チューブピース7aの端部においては対応する内側突起部21によってこの空間に嵌め込まれている。この構成により、内側チューブピース7bは、ばね19を圧縮することにより、チューブ装置7a、7bの延長方向にひずみをかける必要のある外側チューブピース7aの端部に向けて摺動可能である。
【0030】
この移動は、レオスタット装置25、27によって感知可能である。基本的な構成では、これは外側チューブピース7aの内側に取り付けられた絶縁抵抗層25、及び内側チューブピース7bの端部に取り付けられた摺動コネクタ27から作られ得る。チューブ7a、7bが強い引張りひずみを受けると、それはばね19を圧縮することによってより長くなり、摺動コネクタ27が抵抗層25に沿って摺動する。これは、抵抗層25の端部と摺動コネクタ27との間の抵抗Rが増大するという結果となり、制御ユニットにより検出可能である。言うまでもなく、当業者は、様々な方法で同様の機能を提供するレオスタット装置、例えば、チューブ装置7a、7bを押圧する代わりに検出するレオスタット装置を得ることができる。
【0031】
図4は、ひずみ感知装置の第2の例を示す。この場合、感知装置は、チューブ7の内面に取り付けられたひずみゲージロードセル29である。このようなロードセルはチューブ7の非常に小さい変形を感知可能であり、抵抗差が先の例におけるものよりも大幅に小さいが、可動部が不要であることが利点である。ひずみゲージロードセルはチューブの外側にも配置できる。
【0032】
感知装置を得る他の方法が無論可能であり、例えば、圧電セルが考えられる。
【0033】
図5は、制御装置の基本的方法を示す。チューブ部内のひずみが所定の閾値を超えたかどうかを検査する31。超えた場合にはモータ動力をある程度低下でき33、超えていない場合にはモータがすでに全動力で運転していない限り、モータ動力はその代わりに増大され得る35。工程はその後、所定時間、例えば図示した30ミリ秒間待機し37、その後検査31を繰り返し、おそらく動力をさらに低下させ得る。言及したように、この工程は、所望であればより大幅に複雑にし得る。例えば、閾値が適応可能である。
【0034】
高いひずみが検出されるとモータ出力が一定期間低下され、その後通常の出力動力に戻るというより単純な機能を提供し得る。この期間の長さは、ひずみの検出に応じて調整され、円滑な操作を得られ得る。感知されたひずみに応じて、制御ユニットにモータ出力を変更させることもできる。制御装置はまた、使用者の設定によっても、例えば、ノズルを行き詰まらせる非常に埃まみれのラグマットを掃除するために一時的に高い動力を必要とする使用者により高い動力を可能にすることによっても、影響を受け得る。使用者はまた、例えば、ラグマットを念入りに掃除したい場合、力の閾値を変更するか、又は動力低下機能をオフにもし得る。
【0035】
本開示は上述の実施形態に限定されず、添付の請求項の範囲内において様々な方法で変化させ変更し得る。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6