(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20220809BHJP
【FI】
H01L23/12 301
H01L23/12 B
(21)【出願番号】P 2019059078
(22)【出願日】2019-03-26
(62)【分割の表示】P 2019500609の分割
【原出願日】2018-08-01
【審査請求日】2021-06-21
(31)【優先権主張番号】P 2017150035
(32)【優先日】2017-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000154325
【氏名又は名称】住友電工デバイス・イノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】井上 真吾
【審査官】庄司 一隆
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-517211(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0004115(US,A1)
【文献】特開2014-132651(JP,A)
【文献】特開平08-125464(JP,A)
【文献】国際公開第2003/063246(WO,A2)
【文献】特開2003-282751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップを、焼結型金属ペーストを介して搭載する金属ベースと、
該金属ベースの外辺に沿って設けられ、該焼結型金属ペーストにより該金属ベースに固定された樹脂製の側壁と、
該側壁の頂面に固定され、入力パターン、出力パターン、及び該半導体チップにバイアス電圧を供給するバイアスパッドを有する配線層を備え、
該バイアスパッドと、該入力パターン若しくは該出力パターンとは、該半導体チップが対象とする高周波信号の帯域において、該バイアスパッドと該入力パターン若しくは該出力パターンを隔離する導電体により電気的に接続されている、半導体装置。
【請求項2】
該配線層は0.05mm~0.2mmの厚さを有し、該導電体は該配線層上に形成された線状の金属パターンである、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
該バイアスパッドは該配線層上で該入力パターン及び該出力パターンとは電気的に絶縁されており、該導電体は、該バイアスパッドを該半導体チップに接続するボンディングワイヤである、請求項
1に記載の半導体装置。
【請求項4】
該金属ベースは更に整合回路を搭載し、該ボンディングワイヤは該整合回路に接続されており、該バイアス電圧が該バイアスパッド及び該整合回路を介して該半導体チップに供給される、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
該ボンディングワイヤは、該バイアスパッドと該半導体チップを直接接続している、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項6】
該金属ベースは更にバイパスキャパシタを搭載し、該導電体は、該バイパスキャパシタと該半導体チップを接続するボンディングワイヤである、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
該入力パターンと該出力パターンは、該半導体チップを挟んで対向しており、
該バイアスパッドは該入力パターンに隣接して設けられており、該バイパスキャパシタは出力端子に隣接して設けられており、
該配線層は、更に該バイアスパッドから該出力パターンに隣接する領域まで延び、該領域において該バイパスキャパシタと別のボンディングワイヤにより接続されている配線パターンを有する、請求項6に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2011-165931号公報は、高周波信号を扱う電子部品が実装された第1のプリント基板と、第1のプリント基板に対向配置された第2のプリント基板とを備えた回路モジュールを開示している。第2のプリント基板は、第1のプリント基板の電子部品が設置される凹部を有する。この凹部は、ビアホールを有し、表層又は内層によって形成された壁に囲まれている。第1及び第2のプリント基板のパターン同士は互いに接続されている。第2のプリント基板の凹部には、複数の電子部品が互いに電気的に分離された状態で配置される。
【0003】
特開2014-132651号公報は、マイクロ波電力素子用外囲器を開示している。マイクロ波電力素子用外囲器は、セラミックフレームと、Cu、Cu-ダイヤモンド複合材、及びAl-ダイヤモンド複合材のうちいずれか1種からなる金属ベース板を備える。フレームには端子が接合されており、フレームは低温焼結性の金属粒子で金属ベース板に気密接合されている。一般的に、高周波用半導体装置のパッケージは、金属ベース、リード端子付きのセラミック製のフレーム、及びセラミック製のリッドから構成される。セラミック製のフレームはベースに、リード端子はフレームに、それぞれ銀蝋付けされる。更に、リッドは、金属ベース上に搭載された半導体チップ、及び回路基板を気密封止するためにフレームに銀蝋付けされる。低雑音及び小信号のデバイスでは、ベースが金属製ではなくセラミック製である場合がある。
【0004】
しかしながら、金属ベース、及びセラミック製のフレームと、セラミック製のリッドとによって構成された高周波半導体装置はコストメリットが少ない。リッド付きのフレームを備える高周波半導体装置に代えて、コストメリットが高いガラスエポキシ等の樹脂製の高周波半導体装置が用いられることがある。しかしながら、この高周波半導体装置は、組立性の点で改善の余地がある。すなわち、樹脂製のパッケージは、材料のコストは抑えられるものの組立てにかかるコストは相対的に高い。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一側面は、半導体チップを、焼結型金属ペーストを介して搭載する金属ベースと、該金属ベースの外辺に沿って設けられ、該焼結型金属ペーストにより該金属ベースに固定された樹脂製の側壁と、該側壁の頂面に固定され、入力パターン、出力パターン、及び該半導体チップにバイアス電圧を供給するバイアスパッドを有する配線層を備え、該バイアスパッドと、該入力パターン若しくは該出力パターンとは、該半導体チップが対象とする高周波信号の帯域において、該バイアスパッドと該入力パターン若しくは該出力パターンを隔離する導電体により電気的に接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る半導体装置の斜視図を示す。
【
図2】
図2は、半導体装置の内部を示す平面図である。
【
図5A】
図5Aは、側壁の底部を金属ベース側から見た平面図である。
【
図5B】
図5Bは、側壁と焼結型金属ペーストとを示す断面図である。
【
図6B】
図6Bは、金属ベースを並べて搭載するキャリアの平面図である。
【
図7A】
図7Aは、焼結型金属ペーストが塗布されている金属ベースの断面を示す。
【
図7B】
図7Bは、焼結型金属ペーストが塗布されておりキャリアに並んで配置された金属ベースの平面図である。
【
図8A】
図8Aは、基板、半導体チップ及び回路素子が焼結型金属ペーストによって固定された金属ベースの断面を示す。
【
図8B】
図8Bは、半導体チップ、回路素子及び配線層を、側壁を介してそれぞれ搭載する基板の平面図である。
【
図9】
図9は、金属ベース、半導体チップ、回路素子、及び基板が互いにワイヤボンディングされて焼結型金属ペーストが樹脂層が覆われた金属ベースの断面を示す。
【
図10A】
図10Aは、接着シートを介してリッドを組み立てる半導体装置の断面を示す。
【
図10B】
図10Bは、タイバーを介して接続されると共に各側壁に組み立てられたリッドの平面図である。
【
図11B】
図11Bは、金属が充填されたビアホールを有する配線層を拡大した図である。
【
図15】
図15は、配線層の曲率を調整する切り欠きを有する変形例の側壁を備え、外部の回路基板に組み立てられた半導体装置の断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に、本発明に係る実施形態を図面を参照しながら説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0008】
図1は、本発明の実施形態に係る半導体装置1の斜視図を示す。
図2は、半導体装置1の内部を示す平面図である。本実施形態の半導体装置1は、金属ベース2と、金属ベース2に搭載された半導体チップ3と、入力整合回路4a及び出力整合回路4bを含む回路素子と、リッド5と、基板10とを備える。半導体チップ3、入力整合回路4a及び出力整合回路4bは、金属ベース2に搭載されている。基板10は、側壁11と配線層12とを備え、金属ベース2に、半導体チップ3及び回路素子4が搭載される空間Aを画定する。本実施形態の半導体装置1は、互いに独立して動作する2つの半導体チップ3を備える。
【0009】
金属ベース2は、例えば、銅(Cu)、銅とモリブデン(CuMo)の合金、Cu/CuMo/Cu、銅とダイヤモンドの複合体(Cu-ダイヤモンドとも称される)、アルミニウムとダイヤモンドの複合体(Al-Diamond)、銅と黒鉛の複合体(Cu-Craphite)、アルミニウムと黒鉛の複合体(Al-Graphite)、銅とタングステンの合金(CuW)、銅とモリブデンの合金(CuMo)及び銅スラブを含む。これらの材料のうち、Cu/Mo/Cu、Cu/CuMo/Cu及び銅スラブの積層金属はコストメリットがある。
【0010】
金属ベース2は、10mm×20mmの長方形の平面形状を有する。しかしながら、半導体装置1の種類や用途に応じて、金属ベース2の大きさや面積は適宜変更可能である。好ましくは0.5~1.5mmの厚さを有する金属ベース2に、厚さ3.0μmのニッケルと厚さ1.5μmの金(Ni-Au)のメッキを施す。ニッケル、パラジウム及び金(Ni-Pd-Au)を、それぞれ、3.0μm、0.2μm及び3.0μmの厚さとしてもよいし、厚さ0.1μmのパラジウム及び厚さ0.1μmの金を含んでいてもよい。
【0011】
基板10は、空間A(第2領域)を取り囲む周辺領域に搭載されている。半導体装置1は、金属ベース2の空間Aに半導体チップ3及び回路素子4を搭載する。空間Aには、入力整合回路4a、半導体チップ3及び出力整合回路4bがこの順に配置される。半導体チップ3は、例えば、シリコン(Si)、シリコンカーバイド(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、ヒ化ガリウム(GaAs)、及び/又はダイヤモンドからなる基板を有する。半導体チップ3の当該基板は、金属ベース2に対向する裏面に金属層を備える。
【0012】
半導体チップ3は、GaNを主成分とする高電子移動度トランジスタ(HEMT)の一種であり、主としてGaNからなるHEMTを高出力で動作させることができる。半導体チップ3は、アスペクト比が1~10の細長い平面形状を有する。一例として、半導体チップ3の短辺は0.5mm、半導体チップ3の長辺は8.0mm、半導体チップ3の厚さは50~200μmである。
【0013】
図3は、半導体装置1の側断面を示している。
図3に示すように、半導体チップ3、入力整合回路4a及び出力整合回路4bは、焼結型金属ペースト6を介して金属ベース2上に搭載されている。各ボンディングワイヤWが、配線層12と、入力整合回路4aと、半導体チップ3と、出力整合回路4bと、他の配線層12とを互いに電気的に接続する。入力整合回路4a及び出力整合回路4bは、平行平板型のコンデンサ、すなわち、ダイキャパシタを含んでいる。
【0014】
入力整合回路4aは、半導体装置1の入力リード端子、すなわち一方の配線層12の上の配線と、半導体チップ3のゲートとのインピーダンスとを整合させる。出力整合回路4bは、半導体装置1の出力リード端子、すなわち他方の配線層12上の配線と半導体チップ3のドレインとのインピーダンスを整合させる。具体的には、出力整合回路4bは、半導体装置1の出力効率が最大となり、設計された周波数特性を示すようにインピーダンスの整合を行う。
【0015】
金属ベース2と半導体チップ3との間、金属ベース2と回路素子4との間、及び金属ベース2と基板10の側壁11との間、のそれぞれには焼結型金属ペースト6が配置されている。微細な金属粉末を含有する焼結型金属ペースト6は、粉末に含まれる溶媒を焼結することによって硬化させることができる。焼結型金属ペースト6は、例えば、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、パラジウム(Pd)及び亜鉛(Zn)の少なくともいずれかが150~300℃といった比較的低温で揮発性が高い溶媒に含浸されたものであってもよい。この温度で焼結型金属ペースト6を曝すことにより、焼結型金属ペースト6の溶媒が輝散し、焼結型金属ペースト6の金属紛体のみが残存する。
【0016】
基板10は、例えば、ポリフェニレンエーテル(PPE)、液晶ポリマー(LCP)、炭化水素セラミック(FCC)及び/又はエポキシ樹脂のうちの少なくとも1つをガラスクロスに含浸させることによって構成される。基板10は、側壁11と、側壁11の上部に位置する配線層12とを備える。配線層12の上部にリッド5が取り付けられる。側壁11と配線層12との間には接着層(プリプレグ)が介在している。リッド5は、PPE、LCP、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)及びエポキシ樹脂の少なくともいずれかを含むガラスクロスを固化させて形成されている。
【0017】
側壁11の厚さは0.2~1.0mmであることが好ましく、配線層12の厚さは0。05~0.2mmであることが好ましい。本実施形態に係る半導体装置1では、側壁11の厚さは0.5mmであり、配線層12の厚さは0.1mmである。配線層12は、高周波信号を入力及び出力する上面12a及び下面12bを有し、上面12a及び下面12bの両方に配線を有する。入力側の配線層12は、面取り部を有しており、この面取り部によって入力側の配線層12と出力側の配線層12とが識別される。
【0018】
図4A及び
図4Bは、配線層12の上面12a及び下面12bのそれぞれを示す平面図である。
図5Aは、側壁11の平面を金属ベース2側から見た底面図である。
図5Bは、金属ベース2と側壁11の間の焼結型金属ペースト6の断面を示す。側壁11及び配線層12は、それぞれ、空間Aに対応する開口11c及び開口12cを有する。
図4A及び
図4Bに示すように、配線層12は、2つの開口12cを形成する枠部12g及び壁部12hを備える。配線層12の上面12aは、枠部12g及び壁部12hに金属パターン12dを備える。枠部12gと壁部12hは第1の金属パターン12d
1を有し、枠部12gと壁部12hとを互いに接続する部分は第2の金属パターン12d
2を有する。金属パターン12d
1はリッド5を固定するために設けられる。一方、金属パターン12d
2は信号端子として設けられる。金属パターン12d
1は互いに物理的に分離されている。
図4Bに示すように、配線層12の下面12bには枠部12gの外側の領域において上側の金属パターン12d
2に対応する金属パターン12eが設けられる。下面12bの金属パターン12eは、金属が充填されたビアホール12fを介して上面12aの金属パターン12d
2と電気的に接続されている。
【0019】
図5Aに示すように、側壁11は、枠部11g、壁部11h及び開口11cを備え、側壁11は、枠部11g、壁部11h及び開口11cのそれぞれは、枠部12g、壁部12h及び開口12cのそれぞれに対応する。枠部11g及び壁部11hには、金属ベース2を固定するための金属パターン11dが設けられる。焼結型金属ペースト6は金属パターン11d上に塗布される。側壁11の金属パターン11dは、配線層12の上面12aの金属パターン12dと電気的に隔離されており、両者の熱膨張係数の差により、配線層12の側壁11からの機械的応力、反り、及び/又は剥がれを抑制することができる。
【0020】
次に、本発明の実施形態に係る半導体装置1の製造方法について説明する。本実施形態に係る方法は、複数の半導体装置1を一括して同時に組み立てることを特徴とする。まず、
図6A及び
図6Bに示すように、キャリア21を用意する。
図6Aは、金属ベース2を搭載したキャリア21の断面図を示し、
図6Bは、キャリア21と金属ベース2を示す平面図である。なお、
図6Aでは、キャリア21に搭載された1つの金属ベース2を拡大している。キャリア21は、複数の金属ベース2をアレイ状に搭載し、
図6Bに示すように、6×4の金属ベース2を搭載する。キャリア21は、後述する後工程において耐熱性を有するものであれば、金属製であってもよいし、セラミック製であってもよい。キャリア21には複数の金属ベース2を配列する。キャリア21には、キャリア21に搭載される部品を整列するための整合孔21aが設けられる。少なくとも1つの整合孔21aは細長い円形状を呈する。
【0021】
次に、
図7A及び
図7Bに示すように、焼結型金属ペースト6をスクリーン印刷によって複数の金属ベース2のそれぞれに同時に塗布する。焼結型金属ペースト6は、金属ベース2上に搭載される基板10、半導体チップ3及び回路素子4に塗布される。具体的には、まず、アレイ状に配置された金属ベース2上の焼結型金属ペースト6を塗布する領域に対向する開口部が形成されたマスクを載置する。このマスクは、キャリア21の整合孔21aに整合する孔を有する。マスクの孔をキャリア21の整合孔21aに合わせることにより、金属ベース2に対する正確な位置合わせが可能となる。焼結型金属ペースト6をマスクを介して金属ベース2上に塗布し、塗布した焼結型金属ペーストをへらやスキージ等によって平滑化する。そして、キャリア21からマスクを外す。これにより、
図7Bに示すように金属ベース2上に焼結型金属ペースト6を同時に塗布する。
【0022】
以上のように同時に塗布を行うことにより、塗布の工程を簡易にできるだけでなく、焼結型金属ペースト6を均一に塗布することができる。従来の方法では、焼結型金属ペースト6を1つの金属ベース2に対して1つずつ塗布しており、この場合、例えば1つの金属ベース2当たり約20秒間のタクトタイムを要する。本実施形態の方法では、焼結型金属ペースト6の塗布に約2秒半の時間を要し、24の金属ベース2に対して約1分(60秒)程度の時間を要する。しかしながら、本実施形態の方法では、24の金属ベース2に対して一括して塗布を行うことにより、タクトタイムは従来の1/8となる。
【0023】
本実施形態では、基板10の半導体チップ3、回路素子4及び側壁11のそれぞれに、焼結型金属ペースト6を塗布している。各部の焼結型金属ペースト6の厚さは適宜変更可能である。すなわち、焼結型金属ペースト6の厚さは、半導体チップ3、回路素子4及び側壁11のそれぞれの面積に応じた厚さであってもよい。この場合、前述したマスクは、半導体チップ3、回路素子4及び基板10のそれぞれに対応して互いに深さが異なる複数の開口を有する。
【0024】
続いて、半導体チップ3、回路素子4及び基板10を金属ベース2上に搭載する。側壁11に配線層12を貼り付けて予め基板10を形成し、その基板10を金属ベース2上に実装する。基板10では、
図8Bに示すように、1つの金属ベース2と1つの側壁11に対応する複数のユニットを1つの半導体装置1とする。それぞれのユニットは長方形の穴14に囲まれている。基板10は、整列用の孔13、及び分割用の穴14を有する。孔13とキャリア21の位置合わせ用の整合孔21aとが一致する。穴14は、各ユニットを分割するために設けられる。
【0025】
基板10上の孔13をキャリア21の整合孔21aに整列するときに、基板10の側壁11が金属ベース2と共に揃えられる。よって、半導体チップ3及び回路素子4を損傷することなく、金属ベース2上に搭載された半導体チップ3及び回路素子4を基板10と共に整列することが可能となる。
【0026】
図8A及び
図8Bに示すように、キャリア21、金属ベース2及び基板10を組み立てるときに、焼結型金属ペースト6に含まれる溶媒を加熱によって輝散する。具体的には、例えば、200℃で2時間加熱を行い、焼結型金属ペースト6に含まれる溶媒を金属成分のみが残るように輝散させることによって半導体チップ3、回路素子4及び基板10を金属ベース2上に固定する。加熱の条件は、上記の例に限られず適宜変更可能であり、溶媒を完全に輝散させないように加熱を行ってもよい。
【0027】
図5A及び
図5Bに示すように、基板10の側壁11は金属ベース2に対向する面に金属パターン11dを有する。焼結型金属ペースト6は、金属ベース2と金属パターン11dの間の隙間11eにおいて厚くなり、金属パターン11dにおいて薄くなる。薄く塗布された焼結型金属ペースト6では、金属ベース2と側壁11との間の強度が低下し、この部分において強度が不十分になる可能性がある。裏面の金属層11dが数μm、具体的には30~50μmの厚さを有する。
【0028】
図9に示すように、基板10にワイヤボンディングを行う工程は、配線層12の金属パターン12d
2、回路素子4及び半導体チップ3に行う。具体的には、ボンディングワイヤWは、金属パターン12d
2と入力整合回路4a、入力整合回路4aと半導体チップ3、半導体チップ3と出力整合回路4b、及び出力整合回路4bと金属パターン12d
2のそれぞれを接続する。このワイヤボンディングは、キャリア21上における組み立ての工程とは別に行われる。
【0029】
ワイヤボンディングの工程は、ボンディング箇所の特定のために基準位置を設定し、2つのボンディング箇所間をボンディングワイヤWで接続する。従来のように、各金属ベース2が個別にワイヤボンディングされるときには、1つの金属ベース2に対しワイヤボンディングの基準位置を個別に設定する必要がある。これに対し、本実施形態のように複数の金属ベース2に対して一括でワイヤボンディングを行う場合には、複数の金属ベース2を一括して搭載してから基準位置を確認し、ワイヤボンディングを一括して行うことができる。従って、ワイヤボンディングの作業を一括で行うことができ、作業時間を短縮させることができる。
【0030】
ワイヤボンディングの後には、加熱された焼結型金属ペースト6が樹脂8によって覆われる。具体的には、樹脂8は、焼結型金属ペースト6を覆うように塗布され、樹脂8の溶媒が150℃の条件下において数分で輝散する。本実施形態に係る半導体装置1は、例えば、ガラスエポキシ等によって構成された側壁11を備え、空間Aに水分が入り込むことがある。リッド5が樹脂製である場合には、水分の侵入がより顕著となる可能性がある。更に、銀による焼結型金属ペーストは、水分によってAg
+にイオン化しやすく、ゲートを備える半導体チップ3が陰イオン化しやすくなる。銀イオンAg
+は、半導体チップ3のゲートの方向に移動して半導体チップ3に流れ込み、最終的に短絡を引き起こす懸念がある。すなわち、半導体チップ3に流れ込んだ銀イオンがグランド電位とされることによってイオンマイグレーションが生じる可能性がある。従って、
図9に示すように、本実施形態に係る半導体装置1は、揮発する焼結型金属ペーストを樹脂8によって覆っている。樹脂8は、数μmの厚さとされていてもよい。
【0031】
図10A及び
図10Bに示すように、樹脂8が硬化した後に、キャリア21に並べて配置されると共に側壁11が載せられた各ユニットにリッド5を取り付ける工程を実行する。
図10Bに示すように、リッド5は、キャリア21の整合孔21aに合わされる孔22aを有するタイバー22によって連結されている。よって、整合孔21aに孔22aを合わせることにより、各側壁11に各リッド5が正確に載せられる。
【0032】
具体的には、基板10を取り付ける前にリッド5の底面5aに接着シート7を接着し、整合孔21aに孔22aを重ねて基板10の上にリッド5を配置し、リッド5を基板10に押し付けてリッド5を含むユニットを150℃で加熱する。金属ベース2及び側壁11に載せられるリッド5の取り付けによって空間Aを封止する。すなわち、一対の側壁11間における2つの空間Aを封止する。最終的に、
図8Bに示される配線層12に示される孔14を繋ぐ線Lに沿ってタイバー22においてリッド5を支持する橋部22bを切断することにより、
図1に示される複数の半導体装置1が一括して製造される。
【0033】
本実施形態に係る半導体装置1を製造する工程では、まず、キャリア21に複数の金属ベース2を配置し、スクリーン印刷によって金属ベース2に一括して焼結型金属ペースト6を塗布する。また、それぞれ半導体チップ3、回路素子4及び基板10を搭載する金属ベース2がまとめて加熱され、焼結型金属ペースト6の溶媒がまとめて揮発する。従って、工程作業時間を著しく低減させることができる。更に、半導体装置1は、例えば、ガラスエポキシ等の樹脂材料によって構成された側壁11を備えるので、半導体装置1にかかる材料のコストをセラミック製の側壁を備える場合と比較して低減させることができる。
【0034】
(第1変形例)
次に、半導体装置1の変形例について説明する。
図11Aは、外部の回路基板によって製造される半導体装置1の断面図である。
図11Bは、金属が充填されたビアホール12f
1の周囲の部分Hにおける配線層12を拡大した図である。
図11Aに示すように、配線層12は、ビアホール12f
1が下面12bから上面12aまで貫通していない特徴を備える。上面12aには、ビアホール12f
1を塞ぐ金属パターン12d,12eが設けられる。側壁11の外部の配線層12は、上側の金属パターン12dと下側の金属パターン12eに挟まれた支持部材12mを備える。支持部材12mは、側壁11と実質同一の材料によって構成されていてもよい。
図11Aに示すように、半導体装置1は、配線51aを上面に有する外部の回路基板51に組み立てられる。配線層12は、配線51aに半田付けされ、金属パターン12dが配線51aに接続される。ビアヒール12f
1が開放されている場合、配線51aにおいて溶融した半田が金属パターン12dに流れ込みビアホール12f
1を通過する可能性がある。本実施形態に係る半導体装置1は、少なくとも1つの上側の金属パターン12dと下側の金属パターン12eに覆われたビアホール12f
1を有し、ビアホール12f
1は、好ましくは、金属によって完全に塞がれる。
【0035】
(第2変形例)
図12A~
図12Dは、それぞれ、配線層12A~12Dを示す平面図であり
図4Aに示される配線層12の変形例を示す。変形例に係る配線層12A~12Dは、半導体チップ3にゲートバイアスとドレインバイアスを供給するパッド12d
3を備える。
【0036】
具体的には、半導体装置1の内部に搭載された半導体チップ3はFETを備え、ゲートバイアスとドレインバイアスが半導体チップ3を動作させるために必要となる。半導体チップ3のソースは、金属ベース2に直接グランド接続されている。ゲートバイアス及びドレインバイアスには金属パターン12d
2を介してRF信号が供給されるが、追加の回路要素が半導体装置1の外部に必要となる。半導体チップ3には、パッド12d
3と線状のパターン12d
4を介してパッド12d
3から金属パターン12d
2にゲートバイアスが供給される。
図12Aに示すように、金属パターン12d
2~12d
4は、それぞれ並んでいる。線状の金属パターン12d
4は、半導体チップ3によって増幅されたRF信号を伝送し、バイアスパッド12d
3は、実質的に上側の金属パターン12d
2からRF信号の周波数帯域において隔離されている。半導体チップ3は、
図12Aにおいて下側にそれぞれ配置されているバイアスパッド12d
3及び線状の金属パターン12d
4を介してドレインバイアスが供給されうる。下側のバイアスパッド12d
3は、半導体チップ3から出力されるRF信号から実質隔離されており、RF信号は下側の金属パターン12d
2に伝送される。よって、半導体チップ3は、金属パターン12d
2等の信号線及び回路要素が介在することなく、バイアスされている。
【0037】
図12Bは、
図4Aに示される配線層12とは別の変形例を示している。変形例に係る配線層12Bは、ゲートバイアスとドレインバイアスがバイアスパッド12d
3を介して供給される。バイアスパッド12d
3は、配線層12Bの角部のそれぞれに配置され、バイアスパッド12d
3から、前述した線状の金属パターン12d
4に代えて設けられるボンディングワイヤW
Bによって接続されている。ボンディングワイヤW
Bは、例えば金(Au)等の金属製であり、数μmの直径を有し、半導体装置1の周波数に相当するナノヘンリーのインダクタンスを有する。
【0038】
図12Cは、更に別の変形例に係る配線層12Cを示しており、配線層12Cはバイアスパッド12d
3が入力整合回路4a又は出力整合回路4bと共にワイヤボンディングされているという特徴を有する。ボンディングワイヤW
Bは、
図12Bに示されるボンディングワイヤW
Bよりも長く、金属パターン12d
2を超えて入力整合回路4a又は出力整合回路4bと直接接続している。よって、ボンディングワイヤW
Bは、半導体装置1の周波数付近の周波数において更に実質的なインピーダンスを示すことがあり、半導体装置1の信号線はバイアスラインから更に隔離されうる。
【0039】
図12Dは、更に別の変形例に係る配線層12Dを示しており、配線層12Dは半導体チップ3のゲートバイアスとドレインバイアスがバイアスパッド12d
3からボンディングワイヤW
Bを介して金属パターン12d
2及び入力整合回路4aを超えて直接接続されている特徴を有する。すなわち、半導体チップ3は、更に別のゲートパッドを備え、ボンディングワイヤW
Bを介してバイアスパッド12d
3にワイヤボンディングされている。半導体チップ3は、更に別のドレインパッドを備え、ボンディングワイヤW
Bを介してワイヤボンディングされている。この変形例に係る配線層12Dでは、ボンディングワイヤW
Bは、
図12Cに示されるものより更に長いので、バイアスパッド12d
3と金属パターン12d
2等の信号線のアイソレーションがより効果的となる。
【0040】
図13は、更に別の変形例に係る配線層12Eを示す平面図である。配線層12Eは、ドレインバイアスのためのバイアスパッド12d
3を備える特徴を有する。半導体チップ3のゲートバイアスは、半導体装置1の外部から半導体チップ3のゲートに接続されている金属パターン12d
2を介して供給される。半導体チップ3は、バイアスパッド12d
3、長尺状のパターン12d
5及びリレー回路4cを介してドレインバイアスを受けてもよい。配線層12Eでゲート側からドレイン側にリッド5の下で延びる長尺状のパターン12d
5は、ボンディングワイヤW
Bを介してリレー回路4cにワイヤボンディングされている。金属ベース2にグランド接続された上側の電極と下側の電極とを有するダイキャパシタであるリレー回路4cは、半導体チップ3上に設けられたゲートパッドにワイヤボンディングされている。よって、リレー回路4cは、ドレインバイアスを安定化させる半導体チップ3に隣接するバイパスキャパシタとして機能する。
【0041】
(第3変形例)
図14A及び
図14Bは、
図4Aに示される配線層12の変形例であって本発明の第3変形例に係る配線層12F及び配線層12Gを示す平面図であり、配線層12F及び配線層12Gは、インピーダンスの変動を補償する機能を有する。すなわち、それぞれRF信号を入力及び出力するリード端子として機能する金属層12d
6及び金属層12d
7は、好ましくは、入力整合回路4a及び出力整合回路4bの付近で外部から内部へ実質同一のインピーダンスを有する。しかしながら、リッド5は、金属層12d
6及び金属層12d
7の一部を覆う。このリッド5が覆う部分は金属層12d
6及び金属層12d
7のインピーダンスの不整合を生じさせる可能性がある。
図14A及び
図14Bに示すように、配線層12F及び配線層12Gのそれぞれは、インピーダンスの不整合又は変動を補償しうる。
図14A及び
図14Bに示すように、配線層12F、配線層12G、及び不図示の側壁11は、壁部11hに相当する仕切部を有しない。
【0042】
例えば、リッド5の誘電率は空気の誘電率とは異なり、リッド5は樹脂で構成されているものの場合、約4.0の誘電率を有する。リッド5に覆われる金属層12~12Gの部分のインピーダンスは、空気に曝される他の部分のインピーダンスとは異なる。例えば、配線層12~12Gの下部の側壁11は、誘電率が約4.1、厚さが0.6mmのガラスエポキシ樹脂によって構成されており、リッド5は、誘電率が約4.1であって厚さが約55μm、幅が6mmであり、リッド5と重なる部分の金属層12~12Gの等価インピーダンスは14.1Ωであり、リッド5がない空気に曝される他の部分の等価インピーダンスは15.1Ωであり、これらの差は1Ωである。インピーダンスの変動を補償するために、金属層12~12Gの幅を5.5mmに狭める必要がある。リッド5がセラミックによって構成される場合、リッド5の誘電率が9.5を超えて配線層12~12Gのインピーダンスのばらつきが大きくなる。インピーダンスの差が1Ωであっても、配線層12~12Gに伝送されるRF信号の特性が劣化する可能性がある。
【0043】
インピーダンスの変動を補償する1つの手段として、リッド5と重なる配線層12~12Gの部分を狭くすることが挙げられる。しかしながら、配線層12~12Gの幅が互いに異なる場合、配線層12~12Gを接続するボンディングワイヤが半導体チップ3の幅方向の中心に伝送されるRF信号と半導体チップ3の周辺部に供給されるRF信号との間に位相のずれを生じさせる可能性がある。この点を考慮して、幅のずれを補う半導体チップ3が必要となる。従って、配線層12~12Gとしては、半導体チップ3と略同一の幅を有することが求められる。
【0044】
図14A及び
図14Bに示される配線層12F,12Gによれば前述した問題を解決することが可能となる。すなわち、配線層12F,12Gでは、金属層12d
6,12d
7のリッド5と重なる部分の幅を半導体チップ3の幅と略同一となるように狭くしている。金属層12d
6は複数の開口部12jを有し、金属層12d
7は切り込み12kを有する。
図14Aに示す配線層12Fは、幅が6mmである金属層12d
6と、幅が0.25mmである2つの開口部12jとを有し、2つの開口部12kの金属の被覆率は87.5%となっており、2つの開口部の側方の金属の被覆率は93.4%である。開口部12jの幅が狭く、開口部12jの数が多い場合、金属被覆率の差が小さくなり、金属層12d
6のエッチングの精度によっては開口部12jの幅の最小値は約0.1mmに抑えられる。
【0045】
図14Bに示すように、金属層12d
7の両側には幅が0.25mmである2つの切り込み12kを有し、その中央部の金属被覆率は100%、側方の金属被覆率は87.5%である。この金属被覆率の相違により、半導体チップ3の中央部のインピーダンスと、半導体チップ3の周辺部のインピーダンスとは異なっている。このように、半導体チップ3と、半導体チップ3の外側との精密なインピーダンスのマッチングの観点では、
図5に示される金属層12d
5の配置が好ましい。
【0046】
(第4変形例)
図15は、
図3に示される側壁11の変形例に係る別の半導体装置を示す断面図である。半導体装置1を外部の回路基板51に組み付ける場合、半導体装置1のRF信号は、外部の回路基板51に設けられた伝送線路51a、金属層12d及び入力整合回路4aを介して半導体チップ3に入力される。
図11Aに示すように、金属層12dの入力端子は、外部の回路基板51の伝送線路51aが設けられた上面と略水平になっている。しかしながら、外部の回路基板51の当該上面の高さは、金属層12dの高さと異なる場合がある。また、外部の回路基板51は、
図15に示すように、可能な限り近くに半導体装置1を組み付けることが求められる場合がある。この場合、配線層12の曲がり具合が大きくなり、配線層12の根元部分の損傷を引き起こす可能性がある。変形例に係る側壁11Aは、配線層12に対向する切り欠き11fを有する。切り欠き11fにより配線層12の曲げを適切にすることが可能となる。すなわち、半導体装置1に対向する端部の伝送線路51aは、外部の回路基板51の端部から例えば0.5mm程度後退している。切り欠き11fの深さが側壁11Aの端部から例えば0.2mmである場合、配線層12の長さを30%以上長くすることができる。これにより、配線層12に付与される応力が緩和され、配線層12が損傷する可能性を低減させることができる。
【0047】
(第5変形例)
本実施形態に係る方法では、銀イオン(Ag
+)が半導体チップ3のゲートパッドに引き込まれることを防止するために、溶媒を輝散させた後の焼結型金属ペースト6に樹脂を流し込む。
図16A及び
図16Bに示されるように、第5変形例に係る半導体装置1は、側壁11と金属ベース2の間に介在する銀イオンAg
+が配線層12の裏側の金属層12eに入り込むことを抑制することが可能である。
図16Aは側壁11の裏面を示す図であり、
図16Bは
図16AのXVIb-XVIb線に沿った断面図である。半導体チップ3のゲートパッドに接続された裏側の金属層12eは負のバイアスとされている。このため、焼結型金属ペースト6に含まれる銀(Ag)は、空気中の水分によって正にイオン化されて裏側の金属層12eに引き寄せられることがあり、その結果、ゲート電極のグランドへの短絡を引き起こす可能性がある。本変形例では、側壁11の下側の焼結型金属ペースト6にピンホール6aを形成している。ピンホール6aには樹脂8aが塗布され、塗布された樹脂8aはピンホール6aを介して空間Aから外部に漏れ出し、
図16Bに示すように、金属ベース2に流れ出て焼結型金属ペースト6を覆う。これにより、焼結型金属ペースト6が空間Aの外側で樹脂8aに覆われるため、配線層12の銀イオン(Ag
+)と裏側の金属層12eとのイオンマイグレーションを効果的に防止することができる。
【0048】
裏側の金属層11dは、入力リード端子に対応する部分を除いて隙間11eを有していない。すなわち、メッシュ状とされた裏側の金属層11dは、入力リード端子に対応する部分のみに設けられる。
図5Bに示すように、裏側の金属層11dでは焼結型金属ペースト6が薄くなるので、側壁11を固定する工程において、金属ベース2と側壁11との間にスペースを介在する。具体的には、金属ベース2上に焼結型金属ペースト6を塗布した後、基板10を金属ベース2に載せて、金属ベース2と金属層11dとの間に40~60μmの隙間を確保することにより、隙間11eに80~100μm程度の間隔を形成する。このように、金属ベース2上に焼結型金属ペースト6を介在させて側壁11を配置すると。焼結型金属ペースト6の熱処理の後にピンホール6aが隙間11eに効果的に残ることとなる。焼結型金属ペースト6を覆って空間Aに設けられた樹脂8を流し込むと、ピンホール6aを通り抜けた樹脂8aが側壁11の下方に位置する焼結型金属ペースト6を効果的に覆う。
【0049】
(第6変形例)
図17Aは、半導体装置1を示す平面図であり、
図17Bは、
図17AのXVIIb-XVIIb線に沿った線断面図である。
図17A及び
図17Bに示すように、半導体装置1の金属ベース2は、側壁11B及び配線層12Hの横幅よりも短い入力リード端子として機能する2つの上側の金属層12dを結ぶ方向に沿った横幅を有する。入力リード端子として機能する金属層12dと出力リード端子とを結ぶ方向に沿った金属ベース2の幅は、側壁11Bの幅と略同一、又は側壁11Bの幅よりも僅かに大きい。金属ベース2の幅は、配線層12H及び側壁11Bの幅と同一、又は当該幅より若干大きい。よって、半導体装置1に組み立てられる外部の回路基板が隣接する半導体装置1及び外部の回路基板を搭載する平面の大きさに相当する。従って、半導体装置1及び外部の回路基板を搭載する装置の平面の大きさを小さくすることができる。
【0050】
また、側壁11B及び配線層12Hの端部から金属ベース2が後退しており、側壁11B及び配線層12Hは凹部12n(11g)を有する。半導体装置1を組み立てるときに、半導体装置1を組み立てる装置が凹部12n(11g)を保持することが可能となる。
【0051】
本発明の種々の実施形態を説明のために本明細書に記載したが、多くの修正及び変更が可能であることは当業者にとって明らかである。従って、特許請求の範囲には、本発明の精神及び範囲内にある全ての改変及び変更が包含されることが意図される。