(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
B65D 75/62 20060101AFI20220809BHJP
B65D 33/00 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
B65D75/62 A
B65D33/00 C
B65D75/62 Z
(21)【出願番号】P 2017118743
(22)【出願日】2017-06-16
【審査請求日】2020-05-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】特許業務法人 小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢島 俊輔
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-002790(JP,A)
【文献】国際公開第2015/105101(WO,A1)
【文献】特開2006-206141(JP,A)
【文献】特開2000-118567(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/62
B65D 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルムを重ね合せ、少なくとも3つの端縁をシールして収容部を形成した矩形の包装袋であって、
前記3つの端縁のうちの一つの端縁である第1の端縁から、前記収容部を経て前記第1の端縁に対向する第2の端縁まで延伸する、前記フィルムの強度を弱化させた2本以上の第1の弱化線と、
前記第1の端縁において、前記収容部を開封する際に前記フィルム破断のきっかけとなる第1のノッチと
、
前記フィルムの強度を弱化させた第1の補助弱化線と、が形成され、
前記第1の弱化線は、
前記第1の端縁と直交する方向に、前記第1のノッチから前記第2の端縁まで延伸する第1の直線と、前記第1の端縁に隣接する端縁のうち前記第1のノッチに近い側の端縁である第3の端縁とに挟まれた領域を通過し、前記第1の直線から1mm以上の間隔を有するように並べて形成され
、かつ、前記第1の直線と、前記第3の端縁に対向する、前記3つの端縁のうちの一つの端縁である第4の端縁との間には形成されておらず、
前記第1の補助弱化線は、前記第1の端縁における前記第1のノッチよりも前記第4の端縁側の部分から延伸して、前記第1の直線と交差し、前記第1の弱化線に接続される、包装袋。
【請求項2】
前
記第4の端縁から、前記収容部を経て前記第3の端縁まで延伸する、前記フィルムの強度を弱化させた2本以上の第2の弱化線と、
前記第4の端縁において、前記収容部を開封する際に前記フィルム破断のきっかけとなる第2のノッチと
、
前記フィルムの強度を弱化させた第2の補助弱化線と、がさらに形成され、
前記第2の弱化線は、
前記第4の端縁と直交する方向に、前記第2のノッチから前記第3の端縁まで延伸する第2の直線と、前記第2の端縁とに挟まれた領域を通過し、前記第2の直線から1mm以上の間隔を有するように並べて形成され
、かつ、前記第2の直線と、前記第1の端縁との間には形成されておらず、
第2の補助弱化線は、前記第4の端縁における前記第2のノッチよりも前記第1の端縁側の部分から延伸して、前記第2の直線と交差し、前記第2の弱化線に接続される、請求項1に記載の包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
1枚の矩形状の積層フィルムを2つ折りにして、合わせた端縁をシールして収容部を形成した三方シール袋や、一組の矩形状の積層フィルムを互いに重ね合せた後、端縁をシール(ヒートシール)して収容部を形成した四方シール袋等の包装袋が知られている。
【0003】
特許文献1には、4つの端縁のうち隣り合う2つの端縁のそれぞれに沿って平行に延びる、ハーフカット等により強度を弱化させた弱化線(開封予定線)を、表裏の積層フィルム上に形成した矩形の包装袋(四方シール袋)が開示されている。この包装袋には、例えば薬物を経皮投与するテープ材や貼付剤のようなシート状の内容物を包装することができる。
【0004】
この包装袋の使用者は、初めに、包装袋の端縁に形成されたノッチ(切欠き)をきっかけとして、ノッチの近傍の弱化線に沿って積層フィルムを対向する他端まで破断する。次に、包装袋の使用者は、包装袋の別の端縁に形成されたノッチをきっかけにし、このノッチの近傍の弱化線に沿って積層フィルムを対向する他端まで破断する。この結果、包装袋には、2つの弱化線に沿って形成された破断線から構成される開封口が形成される。これにより、開封口が大きく開くので、包装袋の使用者は、この開封口から内容物を容易に取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような包装袋においては、破断線が弱化線から外れることによって、開封口の形成が困難になる場合があった。特に、力の加え方によっては破断線が弱化線から外れることがある、ノッチの形成された端縁と隣接する端縁に達した場合は、広い開封口を形成ができなくなる。この結果、開封不良となり内容物を取出せないおそれがあった。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、破断線がノッチに対向する端縁まで至らないことによる開封不良のおそれを抑制する包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の一局面は、フィルムを重ね合せ、少なくとも3つの端縁をシールして収容部を形成した矩形の包装袋であって、3つの端縁のうちの一つの端縁である第1の端縁から、収容部を経て第1の端縁に対向する第2の端縁まで延伸する、フィルムの強度を弱化させた2本以上の第1の弱化線と、第1の端縁において、収容部を開封する際にフィルム破断のきっかけとなる第1のノッチと、フィルムの強度を弱化させた第1の補助弱化線と、が形成され、第1の弱化線は、第1の端縁と直交する方向に、第1のノッチから第2の端縁まで延伸する第1の直線と、第1の端縁に隣接する端縁のうち第1のノッチに近い側の端縁である第3の端縁とに挟まれた領域を通過し、第1の直線から1mm以上の間隔を有するように並べて形成され、かつ、第1の直線と、第3の端縁に対向する、3つの端縁のうちの一つの端縁である第4の端縁との間には形成されておらず、第1の補助弱化線は、第1の端縁における第1のノッチよりも第4の端縁側の部分から延伸して、第1の直線と交差し、第1の弱化線に接続される、包装袋である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、破断線がノッチに対向する端縁まで至らないことによる開封不良のおそれを抑制する包装袋を提供することができる包装袋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る包装袋の平面図及び側面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態に係る包装袋について、図を参照して説明する。なお、変形例等において、同一または対応する構成には、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0012】
図1に本発明の一実施形態に係る包装袋100の平面図及び側面図を示す。包装袋100は、2枚の矩形状のフィルム10を重ね合せ、4つの端縁71~74をシールして形成したシール部20により囲まれた収容部30を備える四方シール包装袋である。包装袋100は、さらに、少なくとも収容部30上に形成されフィルム10の強度を弱化させた第1の弱化線41及び第2の弱化線42と、第1の補助弱化線81及び第2の補助弱化線82と、端縁71~74のいずれか2箇所に形成され、収容部30を開封する際にフィルム10破断のきっかけとなる第1のノッチ51及び第2のノッチ52とを備える。
【0013】
なお、以下では、第1のノッチ51が形成された端縁を第1の端縁71、第1の端縁71に対向する端縁を第2の端縁72、第1の端縁71に隣接する端縁のうち第1のノッチ51に近い側の端縁を第3の端縁73、第3の端縁73に対向する端縁を第4の端縁74と呼ぶ。
【0014】
(フィルム)
フィルム10は、矩形状に形成され、端縁71~74をシールすることにより収容部30を有する包装袋100とすることができる。フィルム10には、端縁71~74をヒートシール等によりシールするために、最内層にシーラント層を備える2層以上の多層フィルムを好適に用いることができる。フィルム10を構成する層の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アルミニウム(AL)、セロファン、ポリエチレン(PE)、透明蒸着PET、低吸着シーラント(ヒートシール性を有するPET、環状ポリオレフィン、EVOHシーラント等)等を用いることができ、多層フィルムの場合は、これらを適宜組み合せて用いることができる。
【0015】
(ノッチ)
第1のノッチ51、第2のノッチ52は、包装袋100の端縁71~74に形成される切り込みである。包装袋100の使用者は、収容部30の開封に際して、第1のノッチ51、第2のノッチ52をきっかけにしてフィルム10を破断することができる。
図1に示すように、包装袋100は、第1の端縁71に形成された第1のノッチ51と、第4の端縁74に形成された第2のノッチ52とを備える。第1のノッチ51、第2のノッチ52のいずれも、対向する端縁71~74に向かって、シール部20を所定長さにわたって直線状に切り込んで形成される。第1のノッチ51、第2のノッチ52の形状は、フィルム10破断のきっかけとなるものであれば直線状に限定されず、三角形、五角形等の切り欠き形状を採用することができる。
【0016】
(弱化線)
第1の弱化線41、第2の弱化線42は、フィルム10の強度を線状に弱化させた箇所である。第1の弱化線41によって、破断線が、第1の端縁71と隣接する端縁のうち第1のノッチ51に近い側の第3の端縁73に至ることを防ぐことができる。また、第2の弱化線42によって、破断線が、第4の端縁74と隣接する端縁のうち第2のノッチ52に近い側の第2の端縁72に至ることを防ぐことができる。
【0017】
包装袋100において、第1の弱化線41、第2の弱化線42は、2枚のフィルム10の両方に、包装袋100に形成した際に平面視において重なるように形成されているが、2枚のフィルム10のいずれか一方のみに形成してもよい。
【0018】
図1に示すように、第1の弱化線41は、第1の端縁71から収容部30を経て第2の端縁72まで延伸するとともに、第1の端縁71と直交する方向に、第1のノッチ51から第2の端縁72まで延伸する仮想的な第1の直線61と、第1の端縁71に隣接する端縁のうち第1のノッチ51に近い側の端縁である第3の端縁73とに挟まれた領域を通過するように形成されている。
【0019】
また、第2の弱化線42は、第4の端縁74から収容部30を経て第3の端縁73まで延伸するとともに、第4の端縁74と直交する方向に、第2のノッチ52から第3の端縁73まで延伸する仮想的な第2の直線62と、第2の端縁72とに挟まれた領域を通過するように形成されている。
【0020】
図2に、弱化線の形成位置を、第1の弱化線41を例にして説明する包装袋100の拡大図を示す。第1の弱化線41と第1の直線61との間隔の最小値(La)は、1mm以上であることが好ましい。
【0021】
(補助弱化線)
第1の補助弱化線81及び第2の補助弱化線82は、第1の弱化線41、第2の弱化線42と同様にフィルム10の強度を線状に弱化させた箇所である。第1の補助弱化線81及び第2の補助弱化線82は、第1のノッチ51をきっかけとする破断線が、第4の端縁74に至ることを防ぐことができるとともに、第2のノッチ52をきっかけとする破断線が、第1の端縁71に至ることを防ぐことができる。
【0022】
図1に示すように、第1の補助弱化線81は、第1の直線61と交差するとともに、第1の端縁71の第1のノッチ51を挟んだ第3の端縁73の反対側から延伸して第1の弱化線41に接続するように形成されている。
【0023】
また、第2の補助弱化線82は、第2の直線62と交差するとともに、第4の端縁74の第2のノッチ52よりも第1の端縁71側から延伸して第2の弱化線42に接続するように形成されている。
【0024】
第1の弱化線41、第2の弱化線42、第1の補助弱化線81及び第2の補助弱化線82は、フィルム10に断続的な線状の切れ目(ハーフカット)を形成することにより得られる。フィルム10が積層フィルムである場合には、積層フィルムの最外層のみに貫通した切れ目を設けることにより第1の弱化線41、第2の弱化線42、第1の補助弱化線81及び第2の補助弱化線82を形成することができる。第1の弱化線41、第2の弱化線42、第1の補助弱化線81及び第2の補助弱化線82の形成には、トムソン刃やレザー刃等の刃型を用いた方法や、炭酸ガスレーザーを用いた方法等の周知の方法を用いることができる。
【0025】
(弱化線の機能)
このように包装袋100に第1の弱化線41及び第2の弱化線42を設けることにより、第1のノッチ51または第2のノッチ52をきっかけにして形成された破断線が対向する端縁に向かうことなく、第3の端縁73または第2の端縁72に向かった場合に、破断線を第1の弱化線41または第2の弱化線42に到達させることができる。さらに、第1の補助弱化線81及び第2の補助弱化線82を設けることにより、第1のノッチ51をきっかけとする破断線が、第4の端縁74に至ることを防ぐことができるとともに、第2のノッチ52をきっかけとする破断線が、第1の端縁71に至ることを防ぐことができる。
【0026】
第1の弱化線41または第2の弱化線42に到達した破断線は、第1の弱化線41または第2の弱化線42に沿って進む。ここで、第1の弱化線41は、第1の端縁71から収容部30を経て第2の端縁72まで延伸して形成されている。また、第2の弱化線42は、第4の端縁74から収容部30を経て第3の端縁73まで延伸して形成されている。このため、第1の弱化線41または第2の弱化線42に到達した破断線は、第1の弱化線41または第2の弱化線42に沿って、第1のノッチ51または第2のノッチ52の形成された端縁と対向する端縁である第2の端縁72または第3の端縁73まで進むことができる。
【0027】
以上説明したように、包装袋100は、第1の弱化線41を備えることにより、第1のノッチ51をきっかけとした破断線が、第3の端縁73に至ることを防ぐとともに、第2の端縁72に達するように誘導することができる。また、同様にして、第2の弱化線42を備えることにより、第2のノッチ52をきっかけとした破断線が、第2の端縁72に至ることを防ぐことができるとともに、第3の端縁73に達するように誘導することができる。したがって、包装袋100によれば、破断線が第1のノッチ51及び第2のノッチに対向する端縁まで至らないことによる開封不良のおそれを抑制することができる。また、第1のノッチ51及び第2のノッチ52に対応する第1の弱化線41及び第2の弱化線42を設けることで、2軸方向における開封性を向上させることができる。
【0028】
また、第1の弱化線41及び第2の弱化線42のそれぞれを、第1の直線61または第2の直線62から1mm以上の間隔を有するように形成することで、第1のノッチ51または第2のノッチ52をきっかけにしてフィルム10の破断を開始する際に、勢いが付くことにより破断線が第1の弱化線41または第2の弱化線42を乗り越えてしまうことを防止できる。
【0029】
(変形例)
第1の弱化線41、第2の弱化線42は、直線状ではなく曲線状としてもよい。
図3に、第1の弱化線41、第2の弱化線42を曲線で形成した、変形例に係る包装袋101を示す。
【0030】
第1の弱化線41、第2の弱化線42の形状は、フィルム10の強度を線状に弱化させることができれば、断続的な切れ目により構成されるミシン目に限定されない。
図4に、第1の弱化線41、第2の弱化線42の形状を、線状のハーフカットを断続的に形成した直線をそれぞれ2本並べて形成した、変形例に係る包装袋102を示す。また、
図5に、第1の弱化線41、第2の弱化線42の形状を、八の字状となる2つの微細な切れ目の組を線状に複数配置した八の字ミシン目として形成した、変形例に係る包装袋103を示す。第1の弱化線41、第2の弱化線42には、これ以外にも、直線、直線を複数並べた多重線等の形状を用いることができる。
【0031】
包装袋100は四方シール袋としたが、包装袋は少なくとも3つの端縁をシールして収容部を形成した矩形の包装袋であれば四方シール袋に限定されない。包装袋としては、例えば、1枚の矩形状の積層フィルムを2つ折りにして、合わせた端縁をシールした三方シール袋を用いてもよい。また、1枚の矩形状の積層フィルムを2つ折りにして、4つの端縁とした四方シール袋を用いてもよい。
【0032】
包装袋100には第1の弱化線41、第2の弱化線42を1本ずつ形成したが、弱化線はいずれか1本であってもよい。また、第1の補助弱化線81及び第2の補助弱化線82は、必須ではない。
【実施例】
【0033】
実施例及び比較例に係る包装袋を製造し、これらを用いて各包装袋の開封性についての評価を行った。実施例に係る包装袋は、
図1に示した包装袋100の弱化線形成位置(間隔La)及び弱化線形状を変えることにより製造した。比較例に係る包装袋は、包装袋100の弱化線を、ノッチから延伸する仮想的な直線と接するように形成するか(比較例1~3、比較例5~11)、またはノッチから延伸する仮想的な直線に関して実施例に係る包装袋の弱化線が形成された領域と対称となる領域に形成した(比較例4)。実施例及び比較例のいずれも、包装袋100と同様に、弱化線は、2つのノッチのそれぞれが形成された2つの端縁が接する角を起点とする対角線に関して対称となるように2本形成した(第1及び第2の弱化線)。
【0034】
全ての実施例及び比較例に係る包装袋として、最外層から最内層の順に以下の層構成を有するフィルムを用いたものをそれぞれ全て作成した。
(1)ポリエチレンテレフタレート(PET)(12μm)/アルミニウム(AL)(7μm)/ヒートシール性を有するPET(20~50μm)
(2)セロファン(#300~500)/AL(7μm)/ヒートシール性を有するPET(20~50μm)
(3)PET(12μm)/AL(9μm)/ポリエチレン(PE)(20~50μm)
(4)PET(12μm)/PE(10~30μm)/AL(7μm)/PE(10~40μm)
(5)セロファン(#300~500)/PE(10~30μm)/AL(7μm)/PE(10~40μm)
(6)PET(12μm)/ヒートシール性を有するPET(10~50μm)
(7)透明蒸着PET(12μm)/ヒートシール性を有するPET(10~50μm)
(8)PET(12μm)/PE(10~50μm)
【0035】
上記のフィルムを、後述する包装袋の寸法に対応する矩形状に切断した後、フィルム表面に弱化線を形成した。その後、弱化線を形成したフィルムを2枚準備し、これらを最内層(シーラント層)が対向するように重ね合わせた後、4つの端縁をシールした。シール幅(
図5のLs)は、5mmとした。最後に、シール部に線状のノッチを形成して包装袋とした。ノッチは、隣接する端縁どうしが接する包装袋の角からの距離(
図5のLn)が、10mmの位置に形成した。
【0036】
製造した包装袋を、第1及び第2のノッチをきっかけとして開封した際の開封性について評価した。開封の際には、破断線が、ノッチの形成された端縁に隣接する端縁であって、ノッチに近い側の端縁に向かって形成される向きに荷重を加えながらフィルムを破断した。表1に、実施例1~14及び比較例1~11に係る各包装袋の寸法、第1及び第2の弱化線とノッチから延伸する仮想的な直線との間隔の最小値La、弱化線の形状、補助弱化線の有無、及び評価結果(開封性)を示した。なお、間隔の最小値Laが正の値の場合は、
図2において弱化線が第1の直線51よりも上方にあることを示し、負の値の場合は、下方にあることを示す。
【0037】
評価結果では、全てのサンプルにおいて、破断線がノッチから対向する端縁まで達した包装袋は、十分な開封性を有するものとして「+」で示した。また、破断線が、全てのサンプルにおいて、ノッチの形成された端縁と対向する端縁まで達することがなく、開封不良が生じた場合には、開封性を有さないものとして「-」で示した。
【0038】
【0039】
実施例1~14に係る包装袋においては、弱化線を、ノッチから延伸する仮想的な直線と、ノッチの形成された端縁に隣接する端縁のうちノッチに近い側の端縁とに挟まれた収容部を通過するように形成している。このため、破断線がノッチの形成された端縁に隣接する端縁のうちノッチに近い側の端縁に向かって形成された場合でも、破断線をすみやかに弱化線に到達させて、破断線の形成方向をノッチに対向する端縁へ誘導することができた。したがって、表1に示すように、実施例1~14に係る包装袋が十分な開封性を有していることが確認できた。なお、全てのフィルムの層構成、厚さによらず同じ結果が得られた。
【0040】
これに対して、比較例1~11に係る包装袋は、第1及び第2の弱化線の少なくともいずれかにおいて、破断線がノッチから対向する端縁まで達することができない開封不良が生じた。具体的には、比較例2、比較例8においては、破断線が、ノッチから延伸する直線上に形成された第1の弱化線から外れることにより開封不良が生じた。また、比較例3、比較例10においても、破断線が、ノッチから延伸する直線上に形成された第2の弱化線から外れることにより開封不良が生じた。それ以外の比較例では、第1及び第2の弱化線に両方において、破断線が弱化線から外れることにより開封不良が生じた。
【0041】
なお、実施例1~14に係る包装袋について、第1及び第2の弱化線のいずれかのみを形成した包装袋をさらに作成して開封性の評価を行った。この結果、第1の弱化線及び第2の弱化線のいずれかのみを形成した場合であっても、表1に示した実施例1~14に係る包装袋と同様の結果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、薬物を経皮投与するテープ材や貼付剤のようなシート状の内容物の包装に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0043】
100~103 包装袋
10 フィルム
20 シール部
30 収容部
41 第1の弱化線
42 第2の弱化線
51 第1のノッチ
52 第2のノッチ
61 仮想的な第1の直線
62 仮想的な第2の直線
71 第1の端縁
72 第2の端縁
73 第3の端縁
74 第4の端縁
81 第1の補助弱化線
82 第2の補助弱化線