(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】調光装置および調光装置の駆動方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13 20060101AFI20220809BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20220809BHJP
G02F 1/1343 20060101ALI20220809BHJP
B60J 3/04 20060101ALN20220809BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02F1/133 575
G02F1/1343
B60J3/04
(21)【出願番号】P 2018000623
(22)【出願日】2018-01-05
【審査請求日】2020-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】▲辻▼ 真樹
【審査官】岩村 貴
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-171029(JP,U)
【文献】国際公開第2017/221838(WO,A1)
【文献】特開平03-266814(JP,A)
【文献】国際公開第03/069396(WO,A2)
【文献】中国特許出願公開第102135663(CN,A)
【文献】特開2009-075392(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104090323(CN,A)
【文献】特開平10-90730(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13
G02F 1/133
G02F 1/1334
G02F 1/1343
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明電極を備えた2枚の透明樹脂基材の透明電極の間に調光層を積層してなる調光シートを、接着層を介してガラス基板に接着してな
り、調光シートのヘイズ値が低い時を透明な状態とし、調光シートのヘイズ値が十分大きい場合を不透明な状態とし、透明な状態と不透明な状態の中間のヘイズ値を半透明表示とする調光装置において、
一方の透明電極は櫛型電極からなり、もう一方の透明電極はベタ電極からなり、
前記櫛型電極は、各電極の櫛歯部分が互いに交互になるように基材上に配置され、ベタ電極との間に印加する交番電圧をそれぞれ独立して制御可能に電源に接続されることを特徴とする調光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の前記調光装置の前記調光層がノーマルモードである調光装置を透明な状態と不透明な状態の中間である半透明な状態にする調光装置の駆動方法であって、
前記櫛型電極のいずれか一方の電極に前記調光層が透明な状態になる交番電圧と同じ振幅で且つその交番電圧より小さい実効値の交番電圧を印加し、且つもう一方の電極には前記調光層が透明な状態になる交番電圧から位相をずらした交番電圧を印加することを特徴とする調光装置の駆動方法。
【請求項3】
請求項1に記載の前記調光装置の前記調光層がリバースモードである調光装置を透明な状態と不透明な状態の中間である半透明な状態にする調光装置の駆動方法であって、
前記櫛型電極のいずれか一方の電極に前記調光層が不透明な状態になる交番電圧と同じ振幅で且つその交番電圧より小さい実効値の交番電圧を印加し、且つもう一方の電極には前記調光層が不透明な状態になる交番電圧から位相をずらした交番電圧を印加することを特徴とする調光装置の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両や建築物などの調光スクリーンや調光窓に使用される調光装置とその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
調光装置に使用される調光機能部材としては、調光層を2枚の透明電極付のガラス板の透明電極側を向い合わせにして挟み込んだ調光合わせガラスや透明電極付の透明樹脂基材の透明電極側を向い合わせにして挟み込んだ積層体からなる調光シートが使用されている。
【0003】
従来、調光機能部材に使用される透明電極には、ガラス板や透明樹脂基材の表面に透明導電膜が一面に形成されたベタ電極が使用されてきた。
【0004】
このような調光機能部材を使用した調光装置において、中間的な遮光状態(または光散乱状態)を得ようとする場合、電極間に印加する電圧を、透明な状態(光散乱の無い状態)が得られる電圧と光散乱が強く不透明な状態が得られる電圧の中間的な電圧(半透明な状態)に設定する事によって実現していた。しかしながら、中間的な電圧においては、調光機能部材の調光層を形成する液晶層の配向ムラに起因するムラが発生し易い問題があった。
【0005】
そのため、半透明な状態をムラ無く実現可能な調光装置が求められていた。しかしながら半透明な状態をムラ無く実現可能な調光装置に関する先行技術を見出すことはできなかった。もっとも近い技術としては、例えば特許文献1に優れた広視野角特性と高速応答性とを同時に実現することができる液晶表示装置が開示されているが、これは調光装置に関する技術ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の事情に鑑み、本発明は半透明な状態をムラ無く実現可能な調光装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決する手段として、本発明の第一の態様は、透明電極を備えた2枚の透明樹脂基材の透明電極の間に調光層を積層してなる調光シートを、接着層を介してガラス基板に接着してなり、調光シートのヘイズ値が低い時を透明な状態とし、調光シートのヘイズ値が十分大きい場合を不透明な状態とし、透明な状態と不透明な状態の中間のヘイズ値を半透明表示とする調光装置において、少なくとも一方の透明電極は櫛型電極からなり、もう一方の透明電極はベタ電極からなり、櫛型電極の2つの対向する電極は、各電極の櫛歯部分が互いに交互になるように基材上に配置され、ベタ電極との間に印加する電圧をそれぞれ独立して制御可能に電源に接続されていることを特徴とする調光装置である。
【0009】
このように櫛型電極の2つの対向する電極に、櫛型電極と調光層を介して対向する側にあるベタ電極との間に印加する電圧を、それぞれ自由に設定できる構成にしておくことにより、一方の電極に、例えばノーマルモードの調光層が透明になる電圧を印加し、同時に
もう一方の電極には電圧を印加しない不透明な状態を実現可能となる。リバースモードの調光層の場合は逆になる。
【0010】
また、第二の態様は、第一の態様に記載の前記調光装置の前記調光層がノーマルモードである調光装置を透明な状態と不透明な状態の中間である半透明な状態にする調光装置の駆動方法であって、
前記櫛型電極のいずれか一方の電極に前記調光層が透明な状態になる交番電圧と同じ振幅で且つその交番電圧より小さい実効値の交番電圧を印加し、且つもう一方の電極には前記調光層が透明な状態になる交番電圧から位相をずらした交番電圧を印加することを特徴とする調光装置の駆動方法である。
【0011】
また、第三の態様は、第一の態様に記載の前記調光装置の前記調光層がリバースモードである調光装置を透明な状態と不透明な状態の中間である半透明な状態にする調光装置の駆動方法であって、
前記櫛型電極のいずれか一方の電極に前記調光層が不透明な状態になる交番電圧と同じ振幅で且つその交番電圧より小さい実効値の交番電圧を印加し、且つもう一方の電極には前記調光層が不透明な状態になる交番電圧から位相をずらした交番電圧を印加することを特徴とする調光装置の駆動方法である。
【0012】
調光層がノーマルモードの場合、透明な状態にするには、櫛型電極の両方の電極とベタ電極に十分大きな振幅と十分大きな実効値を持つ電圧を印加すれば良い。不透明な状態にするには、対向する一対の櫛型電極とベタ電極の間に印加する交番電圧をOFFすれば良い。また、それらの透明な状態と不透明な状態の中間である半透明な状態にするには、透明な状態にすることができる交番電圧と同じ振幅を持ち、且つその交番電圧より実効値が小さく、且つ櫛型電極の一方の電極ともう一方の電極に印加する交番電圧の位相をずらすことによって実施することができる。
【0013】
また、調光層がリバースモードの場合、不透明な状態にするには、櫛型電極の両方の電極とベタ電極に十分大きな振幅と十分大きな実効値を持つ電圧を印加すれば良い。透明な状態にするには、対向する一対の櫛型電極とベタ電極の間に印加する交番電圧をOFFすれば良い。また、それらの透明な状態と不透明な状態の中間である半透明な状態にするには、不透明な状態にすることができる交番電圧と同じ振幅を持ち、且つその交番電圧より実効値が小さく、且つ櫛型電極の一方の電極ともう一方の電極に印加する交番電圧の位相をずらすことによって実施することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の調光装置は、調光層の両面に備えられた電極の一方が櫛型電極であり、他方がベタ電極であるため、透明(ノーマルモードの調光層の場合)または不透明(リバースモードの調光層の場合)な状態にすることができる交番電圧と同じ振幅を持ち、且つ実効値が小さく、且つ櫛型電極の一方とベタ電極間に印加する電圧およびもう一方の電極とベタ電極間に印加する電圧の位相をずらすことによって、透明な状態と不透明な状態の中間である半透明な状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の調光装置の調光シートに使用される電極シートを例示する説明図であって、(a)は櫛型電極シート、(b)はベタ電極シート、をそれぞれ示している。
【
図2】本発明の調光装置の層構成を例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<調光装置>
本発明の調光装置を
図1および
図2を用いて説明する。
図2に示す様に、本発明の調光装置40は、調光シート30を、接着層13を介してガラス基板12に接着してなる調光装置である。
【0017】
調光シート30は、透明樹脂基材8上に櫛型電極5が形成された櫛型電極シート10と、透明樹脂基材9上にベタ電極6が形成されたベタ電極シート20との、櫛型電極5とベタ電極6とを対面させた内側に調光層11を挿入して積層した構成となっている。
【0018】
図1に示す様に、櫛型電極5の2つの対向する電極1、電極2(
図1(a)参照)は、ベタ電極6(
図1(b)参照)との間に印加する電圧をそれぞれ独立して制御可能に電源(図示省略)に接続されている。
【0019】
このように、電極1とベタ電極6の間に印加する電圧および電極2とベタ電極6の間に印加する電圧を、独立して制御可能に電源に接続されていることによって、例えば、調光層11がノーマルモードの材料である場合は、調光層11が透明になる電圧を電極1とベタ電極6の間に印加し、電極2とベタ電極6の間には電圧を印加しないことにより、調光層11にムラを生じさせることなく電極1とベタ電極6の間の調光層11を透明にし、電極2とベタ電極6の間の調光層11を不透明にすることができる。このことにより、調光シート30としては、透明な状態と不透明な状態の中間の状態である半透明な状態を実現することができる。調光層11がリバースモードの材料である場合は、電圧を印加することによって不透明になり、電圧を印加しないことによって透明になる事が異なるだけである。
【0020】
図2に例示した調光装置40の製造方法について説明する。
本発明の調光装置40は、ガラス基板12に接着層13を介して調光シート30を貼り付けることによって製造することができる。
【0021】
調光シート30は、別工程にて製造すれば良い。調光シート30の製造方法は、特に限定する必要は無い。例えば、まず透明樹脂基材9の上にベタ電極6を形成する。ベタ電極6の形成方法は、例えばITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電性薄膜を直流マグネトロンスパッタ装置などの薄膜形成装置を用いて透明樹脂基材9の上に形成する。次にエッチングレジストパターンをスクリーン印刷やフォトリソグラフィー技術を用いて形成した後、透明導電性薄膜をエッチング除去し、その後エッチングレジストを剥離処理する事によってえることができる。或いは、薄膜形成装置で明樹脂基材8の上に形成する時に透明導電性薄膜を形成する部位のみに開口部を備えた金属薄板製の蒸着マスクを用いてベタ電極6を形成することも可能である。
【0022】
次に、透明樹脂基材8の上に櫛型電極5を形成する。ベタ電極6の形成方法と同様にして製造することができる。
【0023】
この様にしてベタ電極シート20と櫛型電極シート10を作製することができる。
次に、ベタ電極シート20のベタ電極6と櫛型電極シート10の櫛型電極5にパッド電極3、4、7をそれぞれ形成する。パッド電極3、4、7は、透明電極のままでも良いが、予め半田層を形成しても良いし、導電性接着層や導電性インキ層を形成しても良い。
【0024】
次に、調光シート30の透明樹脂基材8または透明樹脂基材9に接着層13を形成する。接着層13としては調光シート30をガラス基板12に接着でき、透明な材料であれば特に限定する必要はない。
【0025】
次に、調光シート30を、接着層13を介してガラス基板12に接着する。接着する方
法としてはマニュアルでも良いし、専用の装置を使用してガラス基板12の調光シート30を貼り付ける位置に位置合わせした後、接着層13に空気の泡を含まないように貼り付けることでも良い。
【0026】
次に、制御装置や駆動装置などの外部装置からの配線(図示省略)を上記のパッド電極3、4、7に接続する。
以上の様にして、本発明の調光装置40を製造することができる。
【0027】
<調光装置の駆動方法>
次に本発明の調光装置の駆動方法について説明する。
本発明の調光装置の駆動方法は、本発明の調光装置を透明な状態と不透明な状態の中間である半透明な状態にする調光装置の駆動方法である。
調光層がノーマルモードである場合は、櫛型電極のいずれか一方の電極に調光層が透明な状態になる交番電圧と同じ振幅で且つその交番電圧より小さい実効値の交番電圧を印加し、且つもう一方の電極には前記調光層が透明な状態になる交番電圧から位相をずらした交番電圧を印加する。
また、調光層がリバースモードである場合は、櫛型電極のいずれか一方の電極に調光層が不透明な状態になる交番電圧と同じ振幅で且つその交番電圧より小さい実効値の交番電圧を印加し、且つもう一方の電極には調光層が不透明な状態になる交番電圧から位相をずらした交番電圧を印加する。
【0028】
【0029】
表1を用いて更に詳しく説明する。
表1は調光装置に使用する調光シートの調光層としてノーマルモードの調光層を使用した場合を例として説明している。
【0030】
上記で調光装置の透明な状態とは、調光シートのヘイズの値が低い場合に該当する。またヘイズの値が十分大きい場合は不透明な状態になる。ヘイズの値がそれらのヘイズの値の中間的な値をとる場合に、半透明な状態となる。
【0031】
また、電圧は交番電圧(交流電圧とも言う。)を使用する。調光層11を構成する液晶材料は交番電圧を印加することによって駆動することができるためである。交番電圧は、表1に例示したような0(ボルト)を基準として、プラスとマイナスの方向に交互に変化する矩形状のパルス電圧であっても良いし、三角波やノコギリ波、正弦波などであっても良い。またプラスの方向の振幅とマイナスの方向の振幅が必ずしも一致していなくても構わない。
【0032】
ノーマルモードの調光シート30においては、
図1における櫛型電極5の一方の電極1と調光層11を挟んで調光シート30(
図2参照)の対向する側にあるベタ電極6の間に印加する電圧と電極2とベタ電極6の間に印加する電圧を、表1の「不透明な状態」の欄に示した様に、0(電圧を印加しない状態)とすると、調光シート30は不透明な状態になる。
【0033】
表1の「透明な状態」の欄に示した様に、電極1とベタ電極6の間および電極2とベタ電極6の間に印加する電圧を、ある振幅以上で同じ位相の交番電圧を印加することにより、ヘイズの値が十分小さい透明な状態となる。
【0034】
また、表1の「半透明な状態」の欄に示した様に、電極1とベタ電極6の間に透明な状態の欄で示したパルス電圧の振幅と同じであるが、その振幅を維持する時間を短くした、すなわち実効電圧を小さくした、パルス電圧を印加している場合を例示している。また、その時、電極2とベタ電極6の間に印加する電圧は、電極1とベタ電極6の間に印加した
パルス電圧の振幅と同じであるが、位相がずれている。そのため、電極1側が透明な時は電極2側が不透明であり、逆に電極2側が透明な時は電極1側が不透明となっている。このようにして、透明と不透明の中間的な状態が作り出すことができる。
【0035】
リバースモードの場合は、これらの関係が逆になる。すなわち不透明な状態は、電圧を印加した状態で実現し、透明な状態は、電圧を印加しない状態で実現することになる。
【0036】
また、表1の「半透明な状態」の欄において、印加するパルス電圧の振幅の大きさはそのままにして、且つ電極1と電極2に印加する電圧の位相をずらしたままにして、パルス電圧の1周期の中に占める時間を長くしたり、短くしたりすることにより、すなわち実効電圧を大きくしたり小さくしたりすることにより、調光シートのヘイズの値、すなわち半透明の状態を変化させる事が可能である。調光層のムラは、印加する電圧の振幅が十分に大きくない時に発生する。本発明の駆動方法の様に、十分に大きな振幅を持つ電圧を印加するためムラは発生させずに、電圧の実効値を上下することによりヘイズを変化させることができる。
【実施例】
【0037】
次に、本発明の実施例について説明する。
【0038】
<調光シートの作製>
透明樹脂基材として、厚さ50μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に、ITO(Indium Tin Oxide)薄膜を直流マグネトロンスパッタ装置にて100nmの厚みになるように成膜し、透明導電シートを作製した。
【0039】
次に、その透明導電シートを縦30cm×横30cmのサイズに断才し、同じサイズの透明導電シートを2枚作製した。
【0040】
次に、一方の透明導電シートのITO薄膜側にスクリーン印刷にて、ベタ電極を作製するエッチングレジストパターンを印刷し、乾燥後、ITO薄膜をエッチングし、エッチングレジストを剥離処理することにより、ベタ電極シートを得た。パッド電極(
図1(b)におけるパッド電極7)はITO薄膜パターンをそのまま使用した。
【0041】
同様にして、もう一方の透明導電シートのITO薄膜側にロールコータにて感光性レジストを塗布し、乾燥後、櫛型電極を形成するフォトマスクを用いて感光性レジストを露光し、現像・水洗・加熱処理することによりレジストパターンを得た。そのレジストパターンをエッチングマスクとして、ITO薄膜をエッチングした後、レジストパターンを剥離処理することにより、櫛型電極シートを得た。
【0042】
櫛型電極のピッチは5mm、櫛型電極の線幅は4mmとした。そのため、櫛型電極間の隙間は1mmとして、
図1に例示したのと同様の形態を持つ櫛型電極シートを作製した。
【0043】
また、外部装置との接続電極であるパッド電極(
図1(a)におけるパッド電極3、4)は、ITO薄膜パターンをそのまま使用した。
【0044】
次に、リバースモードの調光材料を、櫛型電極シートの櫛型電極上にバーコータを用いて塗布後、塗布された調光材料の上からベタ電極シートのベタ電極側を、ラミネータを用いて積層し、調光シートを得た。
【0045】
次に、作製した調光シートの櫛型電極シートの透明樹脂基材上に接着層をスクリーン印刷後、その接着層を介して、縦30cm×横30cm×厚さ0.7mmの無アルカリガラ
ス板に貼り付けた。
【0046】
次に、パッド電極3、4およびパッド電極7に調光シートに交番電圧を印加する電源装置からの配線を接続した。電源装置側からの配線と、パッド電極3、4およびパッド電極7との接続には導電性接着シートを使用した。
【0047】
この様にして、ガラス板上に調光シートを貼り付けた調光装置を作製した。この調光装置に電源装置からの配線を通して、交番電圧を印加する実験を行った。
【0048】
印加した交番電圧は、表1の透明な状態に対応する条件として、周波数50Hz、+15ボルトと-15ボルトの1周期に占める割合を1:1とした、振幅が15ボルトで、0ボルトを基準として±15ボルトのパルス電圧を、パッド電極3、4に同期して印加し、透明になることを目視で確認した。
【0049】
また、不透明な状態は、電圧を印加しない状態を目視により、不透明であることを確認した。この状態では全く調光装置を介して、目視者と反対側にある映像は何も目視できないことを確認した。
【0050】
また、半透明な状態に対応する条件として、周波数50Hz、+15ボルトと-15ボルトの1周期に占める割合を1:5とした、振幅が15ボルトで、0ボルトを基準として±15ボルトのパルス電圧を、パッド電極3、4に位相をずらして印加し、半透明になることを目視で確認した。半透明な状態は、調光装置を介して、目視者と反対側にある映像が不鮮明ながら目視できることで確認した。
【符号の説明】
【0051】
1・・・(櫛型電極の一方の)電極
2・・・(櫛型電極のもう一方の)電極
3・・・(電極1の)電極パッド
4・・・(電極2の)電極パッド
5・・・櫛型電極
6・・・ベタ電極
7・・・(ベタ電極の)パッド電極
8・・・透明樹脂基材
9・・・透明樹脂基材
10・・・櫛型電極シート
11・・・調光層
12・・・ガラス基板
13・・・接着層
20・・・ベタ電極シート
30・・・調光シート
40・・・調光装置