(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】熱動弁ユニット、熱源機および熱動弁ユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
F16K 27/02 20060101AFI20220809BHJP
F24D 3/10 20060101ALI20220809BHJP
F16K 27/00 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
F16K27/02
F24D3/10 A
F16K27/00 D
(21)【出願番号】P 2018030486
(22)【出願日】2018-02-23
【審査請求日】2020-12-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 恭平
(72)【発明者】
【氏名】大内 亮二
【審査官】笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-189653(JP,A)
【文献】特開2001-012759(JP,A)
【文献】特開2013-24282(JP,A)
【文献】特開2009-264587(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 27/02
F24D 3/10
F16K 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延在する主流路と、前記主流路に連通する第1流路を有する第1環状部と、前記主流路に連通する第2流路を有する第2環状部とを含む第1筐体と、
前記第1流路に連通する第1通路を有する第1筒状部と、前記第2流路に連通する第2通路を有し前記第1筒状部と一体的に成形された第2筒状部とを含む第2筐体と、
前記第1環状部と前記第1筒状部との間をシールする第1シール部材と、
前記第2環状部と前記第2筒状部との間をシールする第2シール部材と、
前記第1筐体および前記第2筐体に収容された第1熱動弁部および第2熱動弁部とを備え、
前記第1熱動弁部は前記第1通路を開閉可能に構成されており、
前記第2熱動弁部は前記第2通路を開閉可能に構成されており、
前記第1方向に直交する第2方向において、
組立時に荷重がかかるタイミングがずれるように、前記第1シール部材の位置は、前記主流路に対して前記第2シール部材の位置と相対的にずれている、熱動弁ユニット。
【請求項2】
前記第1流路は前記第1筒状部が挿入される第1開口を含み、
前記第2流路は前記第2筒状部が挿入される第2開口を含み、
前記第2方向において前記主流路に対して前記第1開口と前記第2開口とは同じ位置に配置されており、
前記第2方向において、前記第1開口から前記第1シール部材までの距離は、前記第2開口から前記第2シール部材までの距離よりも大きい、請求項1に記載の熱動弁ユニット。
【請求項3】
前記第2方向において、前記第1シール部材は前記第2シール部材と重ならないように配置されている、請求項1または2に記載の熱動弁ユニット。
【請求項4】
前記第1シール部材および前記第2シール部材の各々はOリングである、請求項1から3のいずれか1項に記載の熱動弁ユニット。
【請求項5】
前記第1筐体は、前記主流路に連通する第3流路を有する第3環状部を含み、
前記第2筐体は、前記第3流路に連通する第3通路を有し前記第1筒状部および前記第2筒状部と一体的に成形された第3筒状部を含み、
前記第3環状部と前記第3筒状部との間をシールする第3シール部材と、
前記第1筐体および前記第2筐体に収容された第3熱動弁部とをさらに備え、
前記第3熱動弁部は前記第3通路を開閉可能に構成されており、
前記第1シール部材は前記第2シール部材よりも前記第2方向において前記主流路の近くに配置され、かつ前記第2シール部材は前記第3シール部材よりも前記第2方向において前記主流路の近くに配置されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の熱動弁ユニット。
【請求項6】
配管と、
前記配管の経路上に配置される請求項1から5のいずれか1項に記載の熱動弁ユニットとを備えた、熱源機。
【請求項7】
第1方向に延在する主流路と、前記主流路に連通する第1流路を有する第1環状部と、前記主流路に連通する第2流路を有する第2環状部とを含む第1筐体を準備する工程と、
前記第1流路に連通する第1通路を有する第1筒状部と、前記第2流路に連通する第2通路を有し前記第1筒状部と一体的に成形された第2筒状部とを含む第2筐体を準備する工程と、
前記第1流路と前記第1通路とが連通された状態で前記第1環状部と前記第1筒状部との間が第1シール部材によりシールされた後に、前記第2流路と前記第2通路とが連通された状態で前記第2環状部と前記第2筒状部との間が第2シール部材によりシールされる工程とを備え、
前記第1方向に直交する第2方向において、
組立時に荷重がかかるタイミングがずれるように、前記第1シール部材の位置は、前記主流路に対して前記第2シール部材の位置と相対的にずれている、熱動弁ユニットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱動弁ユニット、熱源機および熱動弁ユニットの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱動弁ユニットは、たとえば特開平8-189653号公報(特許文献1)に開示されている。この熱動弁ユニットは、弁本体と、複数のノズルと、複数のアクチュエータとを有している。弁本体には温水が供給される。複数のノズルの各々は、弁本体内に供給される温水を外部機器へ供給する。複数のアクチュエータの各々は、弁本体における複数のノズルの各々に対応する部分にそれぞれ設けられている。各アクチュエータは、各ノズルにおける水の供給量を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記公報に記載された熱動弁ユニットのように複数のノズルを有する熱動弁ユニットにでは、通常、複数のノズルの各々における弁本体との接続部分にそれぞれシール部材が設置される。また、複数のノズルは互いに接続されることにより一体化される場合がある。この場合には、一体化された複数のノズルが弁本体に組み付けられるときに、当該接続部分に設置された複数のシール部材に同時に荷重がかかるため、熱動弁ユニットの組立てが困難である。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、組立てが容易となる熱動弁ユニットおよびそれを備えた熱源機ならびに組立てが容易となる熱動弁ユニットの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の熱動弁ユニットは、第1筐体と、第2筐体と、第1シール部材と、第2シール部材と、第1熱動弁部と、第2熱動弁部とを備えている。第1筐体は、主流路と、第1環状部と、第2環状部とを含んでいる。主流路は第1方向に延在する。第1環状部は、主流路に連通する第1流路を有する。第2環状部は、主流路に連通する第2流路を有する。第2筐体は、第1筒状部と、第2筒状部とを含んでいる。第1筒状部は、第1流路に連通する第1通路を有する。第2筒状部は、第2流路に連通する第2通路を有し第1筒状部と一体的に成形されている。第1シール部材は、第1環状部と第1筒状部との間をシールする。第2シール部材は、第2環状部と第2筒状部との間をシールする。第1熱動弁部および第2熱動弁部は第1筐体および第2筐体に収容されている。第1熱動弁部は第1通路を開閉可能に構成されている。第2熱動弁部は第2通路を開閉可能に構成されている。第1方向に直交する第2方向において、第1シール部材の位置は、主流路に対して第2シール部材の位置と相対的にずれている。
【0007】
本発明の熱動弁ユニットによれば、第2方向において、第1シール部材の位置は、主流路に対して第2シール部材の位置と相対的にずれている。このため、第1シール部材に荷重がかかるタイミングと第2シール部材に荷重がかかるタイミングとをずらすことができる。したがって、第1シール部材と第2シール部材とに同時にかかる荷重を低減することができる。これにより、熱動弁ユニットの組立てが容易となる。
【0008】
上記の熱動弁ユニットにおいて、第1流路は第1筒状部が挿入される第1開口を含んでいる。第2流路は第2筒状部が挿入される第2開口を含んでいる。第2方向において主流路に対して第1開口と第2開口とは同じ位置に配置されている。第2方向において、第1開口から第1シール部材までの距離は、第2開口から第2シール部材までの距離よりも大きい。このため、第2方向において第1シール部材の位置が主流路に対して第2シール部材の位置よりも近くなる。このようにして、第2方向において第1シール部材の位置を主流路に対して第2シール部材の位置と相対的にずらすことができる。
【0009】
上記の熱動弁ユニットにおいて、第2方向において、第1シール部材は第2シール部材と重ならないように配置されている。このため、第1シール部材および第2シール部材の各々に荷重がかかるタイミングを確実にずらすことができる。
【0010】
上記の熱動弁ユニットにおいて、第1シール部材および第2シール部材の各々はOリングである。Oリングは、汎用性が高いため、コストが安い。このため、熱動弁ユニットのコストを低減させることができる。
【0011】
上記の熱動弁ユニットにおいて、第1筐体は、第3環状部を含んでいる。第3環状部は主流路に連通する第3流路を有している。第2筐体は、第3筒状部を含んでいる。第3筒状部は、第3流路に連通する第3通路を有し第1筒状部および第2筒状部と一体的に成形されている。熱動弁ユニットは、第3環状部と第3筒状部との間をシールする第3シール部材と、第1筐体および第2筐体に収容された第3熱動弁部とをさらに備えている。第3熱動弁部は第3通路を開閉可能に構成されている。第1シール部材は第2シール部材よりも第2方向において主流路の近くに配置され、かつ第2シール部材は第3シール部材よりも第2方向において主流路の近くに配置されている。このため、組立て時において第1シール部材、第2シール部材、第3シール部材が互いに並んだ方向に第3シール部材側から第1シール部材、第2シール部材、第3シール部材を見たときに、第1シール部材、第2シール部材、第3シール部材を視認しやすい。したがって、第1シール部材、第2シール部材、第3シール部材の視認性を向上させることができる。これにより、熱動弁ユニットの組立てが容易となる。
【0012】
本発明の熱源機は、配管と、配管の経路上に配置される熱動弁ユニットとを備えている。このため、組立てが容易となる熱動弁ユニットを備えた熱源機を提供することができる。
【0013】
本発明の熱動弁ユニットの製造方法においては、第1筐体が準備される。第1筐体は、主流路と、主流路に連通する第1流路を有する第1環状部と、主流路に連通する第2流路を有する第2環状部とを含んでいる。第2筐体が準備される。第2筐体は、第1流路に連通する第1通路を有する第1筒状部と、第2流路に連通する第2通部を有し第1筒状部と一体的に成形された第2筒状部とを含んでいる。第1流路と第1通路とが連通された状態で第1環状部と第1筒状部との間が第1シール部材によりシールされた後に、第2流路と第2通路とが連通された状態で第2環状部と第2筒状部との間が第2シール部材によりシールされる。
【0014】
本発明の熱動弁ユニットの製造方法によれば、第1環状部と第1筒状部との間が第1シール部材によりシールされた後に、第2環状部と第2筒状部との間が第2シール部材によりシールされる。このため、第1シール部材に荷重がかかるタイミングと第2シール部材に荷重がかかるタイミングとをずらすことができる。したがって、第1シール部材と第2シール部材とに同時にかかる荷重を低減することができる。これにより、熱動弁ユニットの組立てが容易となる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、組立てが容易となる熱動弁ユニットおよびそれを備えた熱源機ならびに組立てが容易となる熱動弁ユニットの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施の形態における熱動弁ユニットの構成を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施の形態における熱動弁ユニットの構成を示す分解斜視図である。
【
図3】
図1のIII-III線に沿う断面図である。
【
図5】本発明の一実施の形態における熱動弁ユニットの製造方法において、第1シール部材にかかる荷重がピークとなる位置での断面図である。
【
図6】本発明の一実施の形態における熱動弁ユニットの製造方法において、第2シール部材にかかる荷重がピークとなる位置での断面図である。
【
図7】本発明の一実施の形態における熱動弁ユニットの製造方法において、第3シール部材にかかる荷重がピークとなる位置での断面図である。
【
図8】比較例の熱動弁ユニットの構成を示す断面図である。
【
図9】
図8のP2部に対応する部分の拡大図であり、第1シール部材、第2シール部材および第3シール部材にかかる荷重がピークとなる位置での図である。
【
図10】本発明の一実施の形態における熱動弁ユニットおよび比較例の熱動弁ユニットにかかる荷重と時間との関係を示す図である。
【
図11】本発明の一実施の形態の変形例における熱動弁ユニットの第1シール部材、第2シール部材、第3シール部材の配置を示す断面図である。
【
図12】本発明の一実施の形態における熱源機の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。なお、以下の図においては、同一または相当する部分に同一の符号を付すものとし、重複する説明は繰り返さない。
【0018】
(実施の形態における熱動弁ユニットの構成)
図1~
図4を参照して、本発明の一実施の形態における熱動弁ユニットの構成を説明する。
【0019】
図1に示されるように、本実施の形態の熱動弁ユニット50は、複数の熱動弁50Aが互いに接合されて一体となるように構成されている。本実施の形態の熱動弁ユニット50は、一例として3つの熱動弁50Aから構成されているが、2つの熱動弁50Aから構成されていてもよく、また4つ以上の熱動弁50Aから構成されていてもよい。
【0020】
複数の熱動弁50Aの各々は、弁筐体1と、蓋41とを有している。弁筐体1は、第1通水部1aと、第2通水部1bとを有している。第1通水部1aはたとえば入水部であり、第2通水部1bはたとえば出水部である。
【0021】
図2に示されるように、複数の熱動弁50Aの各々の弁筐体1は、一体として成形されており、互いに接合されている。複数の熱動弁50Aの各々の弁筐体1は、第1通水部1aを共有している。複数の熱動弁50Aは、複数の第2通水部1bを有している。第2通水部1bは、1つの熱動弁50A毎に設けられている。
【0022】
複数の熱動弁50Aの各々の蓋41は、接続部43により一体として成形されており、互いに接合されている。蓋41は、弁筐体1に取り付け固定されている。具体的には、ボルト45などの固定部材が蓋41の貫通孔を挿通されたうえで弁筐体1のネジ孔に螺合されることにより蓋41は弁筐体1に取り付け固定されている。
【0023】
図3に示されるように、1つの熱動弁50Aは、弁筐体1と、弁本体11と、駆動部21と、シール部材31と、絶縁リテーナ25と、絶縁スペーサ26と、第1弾性部材27と、蓋41とを有している。
【0024】
弁筐体1は、筐体本体1kと、駆動部筐体1eとを有している。筐体本体1kおよび駆動部筐体1eは、一体として成形されており、互いに接合されている。筐体本体1kは、第1通水部1a(
図1、2)と、第2通水部1bと、内部流路1cと、軸挿通孔1dとを有している。
【0025】
第1通水部1aと第2通水部1bとの間に内部流路1cが設けられている。このため、たとえば第1通水部1aに供給された熱媒流体は、内部流路1cを通じて第2通水部1bから排出される。この内部流路1cは、複数の熱動弁50Aにより共有されている。
【0026】
軸挿通孔1dは、弁筐体1の内部に設けられている。軸挿通孔1dは、内部流路1cに連通している。
【0027】
弁筐体1の駆動部筐体1eは、筒形状を有している。駆動部筐体1eは、第1端1e1と、第1端1e1の反対側の端である第2端1e2とを有している。駆動部筐体1eは、第2端1e2において筐体本体1kと接続されている。
【0028】
駆動部筐体1eは、軸挿通孔1dに対して内部流路1cの反対側に配置されている。駆動部筐体1eの内部空間1fは軸挿通孔1dに連通している。
【0029】
弁本体11は、弁体12と、弁軸13と、第2弾性部材14とを有している。弁体12は、上記内部流路1cを開閉可能である。具体的には、弁体12が弁座1gに当接した状態において、内部流路1cは弁体12により閉じられている。また弁体12が弁座1gから離れた状態において、内部流路1cは弁体12により開かれている。
【0030】
弁軸13は、軸挿通孔1dを貫通するように軸挿通孔1dに挿通されている。弁軸13の一方端部は弁体12に接続されており、他方端部は駆動部筐体1eの内部空間1fに位置している。第2弾性部材14は、内部流路1cを閉じる方向(弁体12が弁座1gに向かう方向)に弁体12を付勢している。第2弾性部材14は、たとえばコイルばねである。
【0031】
駆動部21は、駆動部筐体1eの内部空間1fに配置されている。駆動部21は、ヒータ22と、第1電極部材23aと、第2電極部材23bと、熱応動素子24とを有している。ヒータ22、第1電極部材23aおよび第2電極部材23bの各々は、熱応動素子24よりも第1端1e1側に配置されている。
【0032】
第1電極部材23aおよび第2電極部材23bの各々は、ヒータ22に電気的に接続されている。第1電極部材23aはヒータ22の第2端1e2側に配置されており、第2電極部材23bはヒータ22の第1端1e1側に配置されている。第1電極部材23aと第2電極部材23bとによりヒータ22は挟み込まれている。
【0033】
第1電極部材23aと第2電極部材23bとによりヒータ22は通電可能である。ヒータ22は、通電されることによって発熱する。ヒータ22は発熱することによって熱応動素子24を加熱する。ヒータ22は、たとえばPTC(Positive Thermal Coefficient)サーミスタ(正特性サーミスタ)である。
【0034】
熱応動素子24は、ヒータ22と弁軸13との間に配置されている。熱応動素子24は、ヒータ22で加熱されることによって弁軸13をその軸方向に移動させることができる。
【0035】
熱応動素子24は、たとえばワックスエレメントである。この熱応動素子24は、感熱部24aと、軸体24bとを有している。感熱部24aは、ワックスが充填された構成を有している。感熱部24aに充填されるワックスは、たとえばパラフィンワックスである。軸体24bは、感熱部24aの内部に挿入された一端と、感熱部24aから突き出した他端とを有している。
【0036】
感熱部24aのワックスは、ヒータ22で加熱されることにより膨張する。このワックスの膨張に伴い、軸体24bは感熱部24aの内部から押し出される。また感熱部24aのワックスは、加熱状態から冷却されることにより収縮する。このワックスの収縮に伴い、軸体24bは感熱部24aの内部へ移動する。
【0037】
シール部材31は、弁軸13と軸挿通孔1dの壁面との間をシールする機能(弁軸13と軸挿通孔1dの壁面との間を水密に封止する機能)を有している。シール部材31は、駆動部21と内部流路1cとの間に配置されている。このシール部材31は、内部流路1c内の熱媒流体が、軸挿通孔1dを通じて駆動部筐体1eの内部空間1fに侵入することを阻止している。
【0038】
シール部材31は、たとえば2つのOリング32、33を有している。Oリング32、33の各々は、円環形状を有している。Oリング32、33の各々の内周部は弁軸13の外周面に接触し、かつOリング32、33の各々の外周部は軸挿通孔1dの壁面に接触している。
【0039】
絶縁リテーナ25は、駆動部筐体1eの内部空間1f内に配置されている。絶縁リテーナ25は、駆動部21とシール部材31との間に配置されている。絶縁リテーナ25は、絶縁材料により構成されている。
【0040】
絶縁リテーナ25は、有底筒状の形状を有している。絶縁リテーナ25は、筒状部25aと、底部25bと、フランジ部25cとを有している。筒状部25aは、筒状の形状を有している。底部25bは筒状部25aの底に設けられている。底部25bは、貫通孔を有する円環形状を有している。底部25bの貫通孔には弁軸13が挿通されている。フランジ部25cは、筒状部25aの外周面から外周側に突き出している。フランジ部25cは、円管形状を有している。
【0041】
絶縁スペーサ26は、たとえば柱状の形状を有している。絶縁スペーサ26は、熱応動素子24の軸体24bと弁本体11の弁軸13との間に配置されている。絶縁スペーサ26は、絶縁リテーナ25の筒状部25aの内部に配置されている。また絶縁スペーサ26は、絶縁材料により構成されている。
【0042】
第1弾性部材27は、絶縁リテーナ25のフランジ部25cと熱応動素子24との間に配置されている。第1弾性部材27は、たとえばコイルばねである。
【0043】
この第1弾性部材27は、熱応動素子24をヒータ22の側に向けて押付けている。具体的には、第1弾性部材27は、熱応動素子24を第1電極部材23aに押付けている。これにより熱応動素子24はヒータ22から発せられる熱を効率的に受け取ることができる。
【0044】
また第1弾性部材27は、駆動部21に対して絶縁リテーナ25をシール部材31の側に付勢している。これにより第1弾性部材27は、絶縁リテーナ25のフランジ部25cをシール部材31側に向けて弁筐体1に押付けている。
【0045】
蓋41は、たとえばボルト45(
図1、2)などの固定部材により弁筐体1に取り付けられている。蓋41は、駆動部筐体1eの外周面および第1端1e1を取り囲むように配置されている。蓋41は、内部に突き出す突起部42を有している。この突起部42は、第1端1e1側から駆動部筐体1eの内部空間1f内へ延びている。
【0046】
複数の蓋41は、上記のとおり接続部43により一体として成形されており、互いに接続されている。この接続部43は、複数の蓋41の下端に取り付けられている。接続部43には、複数(たとえば3つ)の防滴カバー44が接続部43と一体として成形されている。複数の防滴カバー44の各々は、接続部43に対して蓋41とは反対側に延びている。
【0047】
図2および
図3に示されるように、本実施の形態の熱動弁ユニット50は、第1熱動弁50A1、第2熱動弁50A2および第3熱動弁50A3の3つの熱動弁50Aから構成されている。第1熱動弁50A1、第2熱動弁50A2および第3熱動弁50A3の各々の弁筐体1および蓋41は、一体として筐体部HPを構成している。
【0048】
熱動弁ユニット50は、筐体部HPと、第1シール部材S1と、第2シール部材S2と、第3シール部材S3と、第1熱動弁部V1と、第2熱動弁部V2と、第3熱動弁部V3とを有している。
【0049】
筐体部HPは、第1筐体H1と、第2筐体H2とを有している。第1筐体H1と第2筐体H2とは互いに組み付けられている。第2筐体H2は、たとえばボルト46などの固定部材により第1筐体H1に取り付けられている。筐体部HPは、内部流路1cを有している。内部流路1cは、主流路FPと、第1流路F1と、第2流路F2と、第3流路F3と、第1通路W1と、第2通路W2と、第3通路W3とを有している。主流路FPは、第1方向D1に延在する。主流路FPは、第1方向D1に直交する第2方向D2において、第1流路F1、第2流路F2および第3流路F3の各々に連通している。第1流路F1、第2流路F2および第3流路F3の各々は、第2方向D2において、主流路FPに対して蓋41と反対側に配置されている。第1通路W1は、第2方向D2において第1流路F1に連通している。第2通路W2は、第2方向D2において第1流路F2に連通している。第3通路W3は、第2方向D2において第3流路F3に連通している。
【0050】
第1筐体H1は、第1熱動弁50A1、第2熱動弁50A2および第3熱動弁50A3の各々の筐体本体1kの一部および蓋41を有している。第1筐体H1は、主流路FPを有している。第1筐体H1は、第2筐体H2に接続された部分に、第1環状部C1と、第2環状部C2と、第3環状部C3とを有している。第1環状部C1、第2環状部C2および第3環状部C3の各々は円環形状を有している。
【0051】
第1熱動弁50A1は第1環状部C1を有している。第1環状部C1は、主流路FPに連通する第1流路F1を有している。第1流路F1は第2通水部1b側に開口した第1開口OP1を有している。
【0052】
第2熱動弁50A2は第2環状部C2を有している。第2環状部C2は、主流路FPに連通する第2流路F2を有している。第2流路F2は第2通水部1b側に開口した第2開口OP2を有している。第2環状部C2は、第2方向D2において主流路FPに対して第1環状部C1と同じ側に配置されている。
【0053】
第3熱動弁50A3は第3環状部C3を有している。第3流路F3は第2通水部1b側に開口した第3開口OP3を有している。第3環状部C3は、主流路FPに連通する第3流路F3を有している。第3環状部C3は、第2方向D2において主流路FPに対して第1環状部C1および第2環状部C2と同じ側に配置されている。
【0054】
第2筐体H2は、第1熱動弁50A1、第2熱動弁50A2および第3熱動弁50A3の各々の筐体本体1kの一部を有している。第2筐体H2は、第1筐体H1に接続された部分に、第1筒状部T1と、第2筒状部T2と、第3筒状部T3とを有している。第1筒状部T1と、第2筒状部T2と、第3筒状部T3とは一体として成形されており、互いに接合されている。第1筒状部T1、第2筒状部T2および第3筒状部T3の各々は筒形状を有している。
【0055】
図4に示されるように、第1熱動弁50A1は第1筒状部T1を有している。第1筒状部T1は、第1流路F1に連通する第1通路W1を有している。第1筒状部T1は、第1本体部T11と、第1突出部T12とを有している。第1突出部T12は第1本体部T11から第2通水部1bと反対側に突出している。第1本体部T11の内径は第1突出部T12の内径と同じである。第1本体部T11の外径は第1突出部T12の外径よりも大きい。第1本体部T11は、第1本体部T11の外周面と第1突出部T12の外周面との間に円環状の第1係止部L1を有している。第1係止部L1に第1シール部材S1が係止される。
【0056】
第2熱動弁50A2は第2筒状部T2を有している。第2筒状部T2は、第2流路F2に連通する第2通路W2を有している。第2筒状部T2は、第1筒状部T1と一体的に成形されている。第2筒状部T2は、第2本体部T21と、第2突出部T22とを有している。第2突出部T22は第2本体部T21から第2通水部1bと反対側に突出している。第2本体部T21の内径は第2突出部T22の内径と同じである。第2本体部T21の外径は第2突出部T22の外径よりも大きい。第2本体部T21は、第2本体部T21の外周面と第2突出部T22の外周面との間に円環状の第2係止部L2を有している。第2係止部L2に第2シール部材S2が係止される。
【0057】
第3熱動弁50A3は第3筒状部T3を有している。第3筒状部T3は、第3流路F3に連通する第3通路W3を有している。第3筒状部T3は、第1筒状部T1および第2筒状部T2と一体的に成形されている。第3筒状部T3は、第3本体部T31と、第3突出部T32とを有している。第3突出部T32は第3本体部T31から第2通水部1bと反対側に突出している。第3本体部T31の内径は第3突出部T32の内径と同じである。第3本体部T31の外径は第3突出部T32の外径よりも大きい。第3本体部T31は、第3本体部T31の外周面と第3突出部T32の外周面との間に円環状の第3係止部L3を有している。第3係止部L3に第3シール部材S3が係止される。
【0058】
第1シール部材S1、第2シール部材S2および第3シール部材S3の各々は、第1筐体H1および第2筐体H2に収容されている。第1熱動弁50A1は第1シール部材S1を有している。第1シール部材S1は、第1環状部C1と第1筒状部T1との間をシールする機能を有している。第1シール部材S1は第1環状部C1と第1筒状部T1との間に配置されている。第1シール部材S1は、第1流路F1内の熱媒流体が第1開口OP1を通じて第1熱動弁50A1外に流出することを阻止している。
【0059】
第2熱動弁50A2は第2シール部材S2を有している。第2シール部材S2は、第2環状部C2と第2筒状部T2との間をシールする機能を有している。第2シール部材S2は第2環状部C2と第2筒状部T2との間に配置されている。第2シール部材S2は、第2流路F2内の熱媒流体が第2開口OP2を通じて第2熱動弁50A2外に流出することを阻止している。
【0060】
第3熱動弁50A3は第3シール部材S3を有している。第3シール部材S3は、第3環状部C3と第3筒状部T3との間をシールする機能を有している。第3シール部材S3は第3環状部C3と第3筒状部T3との間に配置されている。第3シール部材S3は、第3流路F3内の熱媒流体が第3開口OP3を通じて第3熱動弁50A3外に流出することを阻止している。
【0061】
第1シール部材S1、第2シール部材S2および第3シール部材S3の各々はOリングである。第1シール部材S1、第2シール部材S2および第3シール部材S3の各々は円環形状を有している。第1シール部材S1、第2シール部材S2および第3シール部材S3の各々は、各々の径方向に沿う断面において、2つの円形の断面を有している。
【0062】
第1シール部材S1の外周部は第1環状部C1の内周面に接触しており、第1シール部材S1の内周部は第1筒状部T1の外周面に接触している。第2シール部材S2の外周部は第2環状部C2の内周面に接触しており、第2シール部材S2の内周部は第2筒状部T2の外周面に接触している。第3シール部材S3の外周部は第3環状部C3の内周面に接触しており、第3シール部材S3の内周部は第3筒状部T3の外周面に接触している。
【0063】
図3および
図4に示されるように、第1熱動弁部V1、第2熱動弁部V2および第3熱動弁部V3の各々は、第1筐体H1および第2筐体H2に収容されている。第1熱動弁50A1は第1熱動弁部V1を有している。第1熱動弁部V1は第1通路W1を開閉可能に構成されている。第2熱動弁50A2は第2熱動弁部V2を有している。第2熱動弁部V2は第2通路W2を開閉可能に構成されている。第3熱動弁50A3は第3熱動弁部V3を有している。第3熱動弁部V3は第3通路W3を開閉可能に構成されている。
【0064】
第1熱動弁部V1、第2熱動弁部V2および第3熱動弁部V3の各々は、第1熱動弁50A1、第2熱動弁50A2および第3熱動弁50A3の各々の作動部である。第1熱動弁部V1、第2熱動弁部V2および第3熱動弁部V3の各々は、弁本体11と、駆動部21と、シール部材31と、絶縁リテーナ25と、絶縁スペーサ26と、第1弾性部材27とを有している。
【0065】
本実施の形態では、第1筐体H1の第1環状部C1に第1開口OP1から第2筐体H2の第1筒状部T1が挿入されている。第1環状部C1に第1筒状部T1が第2方向D2に挿入されている。第1筐体H1の第2環状部C2に第2開口OP2から第2筐体H2の第2筒状部T2が挿入されている。第2環状部C2に第2筒状部T2が第2方向D2挿入されている。第1筐体H1の第3環状部C3に第3開口OP3から第2筐体H2の第3筒状部T3が挿入されている。第3環状部C3に第3筒状部T3が第2方向D2に挿入されている。
【0066】
第1方向D1に直交する第2方向D2において、第1シール部材S1の位置は、主流路FPに対して第2シール部材S2の位置と相対的にずれている。また、第2方向D2において、第2シール部材S2の位置は、主流路FPに対して第3シール部材S3の位置と相対的にずれている。
【0067】
なお、上記では、第1環状部C1に第1筒状部T1が挿入され、第2環状部C2に第2筒状部T2が挿入され、第3環状部C3に第3筒状部T3が挿入されている。つまり、第1環状部C1に第1筒状部T1が内嵌めされ、第2環状部C2に第2筒状部T2が内嵌めされ、第3環状部C3に第3筒状部T3が内嵌めされている。しかしながら、第1筒状部T1に第1環状部C1が挿入され、第2筒状部T2に第2環状部C2が挿入され、第3筒状部T3に第3環状部C3が挿入されていてもよい。つまり、第1環状部C1に第1筒状部T1が外嵌めされ、第2環状部C2に第2筒状部T2が外嵌めされ、第3環状部C3に第3筒状部T3が外嵌めされていてもよい。
【0068】
したがって、本実施の形態においては、第1環状部C1および第1筒状部T1のいずれか一方にいずれか他方が挿入されればよい。また、第2環状部C2および第2筒状部T2のいずれか一方にいずれか他方が挿入されればよい。また、第3環状部C3および第3筒状部T3のいずれか一方にいずれか他方が挿入されればよい。
【0069】
第2方向D2において、主流路FPに対して、第1開口OP1、第2開口OP2および第3開口OP3の各々は、同じ位置に配置されている。第2方向D2において、第1開口OP1から第1シール部材S1までの距離DS1は、第2開口OP2から第2シール部材S2までの距離DS2よりも大きい。また、第2方向D2において、第2開口OP2から第2シール部材S2までの距離DS2は、第3開口OP3から第3シール部材S3までの距離DS3よりも大きい。
【0070】
第1シール部材S1は第2シール部材S2よりも第2方向D2において主流路FPの近くに配置され、かつ第2シール部材S2は第1シール部材S1よりも第2方向D2において主流路FPの近くに配置されている。このように、第1シール部材S1、第2シール部材S2および第3シール部材S3は、第2方向D2において、主流路FPに対して第1シール部材S1、第2シール部材S2、第3シール部材S3の順に近づくように配置されている。つまり、第1シール部材S1、第2シール部材S2および第3シール部材S3は、第2方向D2において、階段状に配置されている。
【0071】
(実施の形態における熱動弁の動作)
次に、本実施の形態における熱動弁50Aの動作について
図3を用いて説明する。
【0072】
図3に示されるように、熱応動素子24がヒータ22により加熱されていない場合には、弁体12が第2弾性部材14により駆動部21に向かう方向に付勢されて弁座1gに当接している。このため、第1通水部1a(
図1、
図2)から内部流路1cに流れ込んだ熱媒流体(たとえば湯水)は、弁体12と弁座1gにより遮断され、第2通水部1bへは達しない。
【0073】
他方、熱応動素子24がヒータ22により加熱されている場合には、熱応動素子24が弁軸13を軸方向に第2弾性部材14に向けて移動させる。このため、弁体12が弁座1gから離間する。その結果、第1通水部1aから内部流路1cに流れ込んだ熱媒流体(たとえば湯水)は、弁体12と弁座1gとの間を通過し、第2通水部1bから流出する。
【0074】
そして、ヒータ22による熱応動素子24の加熱が終了すると、熱応動素子24が弁軸13を軸方向に第2弾性部材14に向けて押し出す力がなくなる。このため、第2弾性部材14の付勢力により、弁体12と弁座1gとが再び当接し、熱媒流体の流れを遮断する上記状態に戻る。このように、熱動弁50Aにおいては、ヒータ22による加熱を行うか否かにより、熱媒流体(たとえば湯水)が内部流路1cを通水するか否かを切り替えることができる。
【0075】
(実施の形態における熱動弁ユニットの製造方法)
次に、
図2~
図7を参照して、本実施の形態における熱動弁ユニット50の製造方法について説明する。
【0076】
図2および
図3に示されるように、熱動弁ユニット50の第1筐体H1が準備される。また、第2筐体H2が準備される。そして、
図5および
図6に示されるように、第1流路F1と第1通路W1とが連通された状態で第1環状部C1と第1筒状部T1との間が第1シール部材S1によりシールされた後に、第2流路F2と第2通路W2とが連通された状態で第2環状部C2と第2筒状部T2との間が第2シール部材S2によりシールされる。
【0077】
図5に示されるように、第1環状部C1に第1筒状部T1が挿入される。これにより、第1流路F1と第1通路W1とが連通される。この状態で、第1環状部C1と第1筒状部T1との間が第1シール部材S1によりシール(封止)される。まず、第1係止部L1に係止された第1シール部材S1は、第1開口OP1において第1環状部C1に接触する。第1シール部材S1が第1環状部C1との第1筒状部T1との間で変形する前の第1シール部材S1の断面直径は、第1環状部C1の内周面と第1筒状部T1の外周面との隙間よりも大きい。そのため、第1シール部材S1が第1開口OP1において第1環状部C1に接触してから第1環状部C1の内周面と第1筒状部T1との隙間に設置されるまで第1シール部材S1には特に大きな荷重がかかる。したがって、第1シール部材S1が第1開口OP1に押し込まれるときに第1シール部材S1に係る荷重がピーク(最大)となる。
【0078】
図6に示されるように、第1環状部C1と第1筒状部T1との間が第1シール部材S1によりシールされた後に、第2環状部C2と第2筒状部T2との間が第2シール部材S2によりシールされる。第2環状部C2に第2筒状部T2が挿入される。これにより、第2流路F2と第2通路W2とが連通される。この状態で、第2環状部C2と、第2筒状部T2との間が第2シール部材S2によりシール(封止)される。第1シール部材S1の第1環状部C1の内周面と第1筒状部T1との隙間への設置が完了すると、完了前に比べて第1シール部材S1にかかる荷重が小さくなる。
【0079】
他方、第2係止部L2に係止された第2シール部材S2は、第2開口OP2において第2環状部C2に接触する。第2シール部材S2が第2環状部C2と第2筒状部T2との間で変形する前の第2シール部材S2の断面直径は、第2環状部C2の内周面と第2筒状部T2の外周面との隙間よりも大きい。そのため、第2シール部材S2が第2開口OP2において第2環状部C2に接触してから第2環状部C2の内周面と第2筒状部T2との隙間に設置されるまで第2シール部材S2には特に大きな荷重がかかる。したがって、第2シール部材S2が第2開口OP2に押し込まれるときに第2シール部材S2に係る荷重がピーク(最大)となる。
【0080】
図7に示されるように、第1環状部C1と第1筒状部T1との間が第1シール部材S1によりシールされるとともに第2環状部C2と第2筒状部T2との間が第2シール部材S2によりシールされた後に、第3環状部C3と第3筒状部T3との間が第3シール部材S3によりシールされる。第3環状部C3に第3筒状部T3が挿入される。これにより、第3流路F3と第2通路W2とが連通される。この状態で、第3環状部C3と、第3筒状部T3との間が第3シール部材S3によりシール(封止)される。第2シール部材S2の第2環状部C2の内周面と第2筒状部T2との隙間への設置が完了すると、完了前に比べて第2シール部材S2にかかる荷重が小さくなる。
【0081】
他方、第3係止部L3に係止された第3シール部材S3は、第3開口OP3において第3環状部C3に接触する。第3シール部材S3が第3環状部C3と第2筒状部T2との間で変形する前の第3シール部材S3の断面直径は、第3環状部C3の内周面と第3筒状部T3の外周面との隙間よりも大きい。そのため、第3シール部材S3が第3開口OP3において第3環状部C3に接触してから第3環状部C3の内周面と第3筒状部T3との隙間に設置されるまで第3シール部材S3には特に大きな荷重がかかる。したがって、第3シール部材S3が第3開口OP3に押し込まれるときに第3シール部材S3に係る荷重がピーク(最大)となる。
【0082】
図4に示されるように、第3シール部材S3の第3環状部C3の内周面と第3筒状部T3との隙間への設置が完了すると、第2筐体H2が第1筐体H1にボルト46(
図2)により取り付けられる。このようにして、第1筐体H1と第2筐体H2との組み付けが完了する。
【0083】
本実施の形態における熱動弁ユニット50の製造方法では、第1シール部材S1、第2シール部材S2および第3シール部材S3の各々に特に大きな荷重がかかるタイミングがずれている。
【0084】
(実施の形態における効果)
次に、図本実施の形態の作用効果について比較例と対比して説明する。
【0085】
図8および
図9を参照して、比較例における熱動弁ユニット50について説明する。
図8に示されるように比較例における熱動弁ユニット50は、第2方向D2において、第1シール部材S1、第2シール部材S2および第3シール部材S3の各々の位置は、主流路FPに対して同じである。したがって、
図9に示されるように、挿入時に第1シール部材S1、第2シール部材S2および第3シール部材S3に同時に荷重がかかるため、熱動弁ユニット50の組立てが困難である。
【0086】
これに対して、本実施の形態における熱動弁ユニット50によれば、第2方向D2において第1シール部材S1の位置は、主流路FPに対して第2シール部材S2の位置と相対的にずれている。このため、第1シール部材S1に荷重がかかるタイミングと第2シール部材S2に荷重がかかるタイミングとをずらすことができる。したがって、第1シール部材S1と第2シール部材S2とに同時にかかる荷重を低減することができる。これにより、熱動弁ユニット50の組立てが容易となる。
【0087】
また、第2方向D2において第2シール部材S2の位置は、主流路FPに対して第3シール部材S3の位置と相対的にずれている。このため、第2シール部材S2に荷重がかかるタイミングと第3シール部材S3に荷重がかかるタイミングとをずらすことができる。したがって、第2シール部材S2と第3シール部材S3とに同時にかかる荷重を低減することができる。これにより、熱動弁ユニット50の組立てが容易となる。
【0088】
図10に示されるように、比較例における熱動弁ユニット50では、第1シール部材S1、第2シール部材S2および第3シール部材S3に同時に荷重がかかるため、荷重が大きくなる。これに対して、本実施の形態における熱動弁ユニット50によれば、第1シール部材S1、第2シール部材S2、第3シール部材S3に荷重がかかるタイミングがずれるため、荷重が分散される。そして、荷重が均一化される。
【0089】
本実施の形態における熱動弁ユニット50においては、第2方向D2において第1開口OP1から第1シール部材S1までの距離DS1は、第2開口OP2から第2シール部材S2までの距離DS2よりも大きい。このため、第2方向D2において第1シール部材S1の位置が主流路FPに対して第2シール部材S2の位置よりも近くなる。このようにして、第2方向D2において第1シール部材S1の位置を主流路FPに対して第2シール部材S2の位置と相対的にずらすことができる。
【0090】
本実施の形態における熱動弁ユニット50においては、第1シール部材S1および第2シール部材S2の各々はOリングである。Oリングは、汎用性が高いため、コストが安い。このため、熱動弁ユニット50のコストを低減させることができる。
【0091】
本実施の形態における熱動弁ユニット50においては、第1シール部材S1は第2シール部材S2よりも第2方向D2において主流路FPの近くに配置され、かつ第2シール部材S2は第3シール部材S3よりも第2方向D2において主流路FPの近くに配置されている。このため、組立て時において第1シール部材S1、第2シール部材S2、第3シール部材S3が互いに並んだ方向に第3シール部材S3側から第1シール部材S1、第2シール部材S2、第3シール部材S3を見たときに、第1シール部材S1、第2シール部材S2、第3シール部材S3を視認しやすい。したがって、第1シール部材S1、第2シール部材S2、第3シール部材S3の視認性を向上させることができる。これにより、熱動弁ユニット50の組立てが容易となる。
【0092】
本実施の形態における熱動弁ユニット50の製造方法によれば、第1環状部C1と第1筒状部T1との間が第1シール部材S1によりシールされた後に、第2環状部C2と第2筒状部T2との間が第2シール部材S2によりシールされる。このため、第1シール部材S1に荷重がかかるタイミングと第2シール部材S2に荷重がかかるタイミングとをずらすことができる。したがって、第1シール部材S1と第2シール部材S2とに同時にかかる荷重を低減することができる。これにより、熱動弁ユニット50の組立てが容易となる。
【0093】
また、第2環状部C2と第2筒状部T2との間が第2シール部材S2によりシールされた後に、第3環状部C3と第3筒状部T3との間が第3シール部材S3によりシールされる。このため、第2シール部材S2に荷重がかかるタイミングと第3シール部材S3に荷重がかかるタイミングとをずらすことができる。したがって、第2シール部材S2と第3シール部材S3とに同時にかかる荷重を低減することができる。これにより、熱動弁ユニット50の組立てが容易となる。
【0094】
(変形例)
図11を参照して、本実施の形態の変形例における熱動弁ユニット50について説明する。
図11に示されるように、第2方向D2において、第1シール部材S1は第2シール部材S2と重ならないように配置されていてもよい。つまり、第2方向D2において、第1シール部材S1は第2シール部材S2と完全にずれている。
【0095】
また、第2方向D2において、第3シール部材S3は、第1シール部材S1および第2シール部材S2と重ならないように配置されていてもよい。つまり、第2方向D2において、第3シール部材S3は、第1シール部材S1および第2シール部材S2と完全にずれている。
【0096】
本実施の形態の変形例における熱動弁ユニット50によれば、第1シール部材S1は第2シール部材S2と重ならないように配置されているため、第1シール部材S1および第2シール部材S2の各々に荷重がかかるタイミングを確実にずらすことができる。
【0097】
また、第3シール部材S3は第1シール部材S1および第2シール部材S2と重ならないように配置されているため、第1シール部材S1、第2シール部材S2および第3シール部材S3の各々に荷重がかかるタイミングを確実にずらすことができる。
【0098】
(実施の形態における適用範囲)
なお、本実施の形態において熱応動素子24は、加熱により応動する素子であれば、ワックスエレメント以外の素子であってもよい。またヒータ22は、熱応動素子24を加熱できるものであれば、PTCサーミスタ以外であってもよい。
【0099】
(実施の形態における温水暖房装置の構成)
次に、
図12を参照して、本発明の実施の形態に係る熱源機の一例として温水暖房装置60の構成について説明する。本実施の形態における熱動弁ユニット50が温水暖房装置60に用いられている。
【0100】
図12に示されるように、温水暖房装置60は、熱動弁ユニット50と、タンク51と、ポンプ52と、ファン53と、バーナ54と、一次熱交換器55と、二次熱交換器56と、配管57a~57gとを有している。
【0101】
配管57aは給水配管であって、タンク51に接続されている。タンク51には配管57bの一方端が接続されている。この配管57bにはポンプ52が配置されている。配管57bの他方端は、配管57cと配管57dとに分岐している。つまり配管57cの一方端と配管57dの一方端との各々は、配管57bの他方端に接続されている。
【0102】
配管57cの他方端は、一次熱交換器55に接続されている。配管57dの他方端は、低温暖房端末61に接続される部分である。
【0103】
配管57eの一方端は、一次熱交換器55に接続されている。配管57eの他方端は、高温暖房端末62に接続される部分である。
【0104】
配管57fの一方端は、低温暖房端末61および高温暖房端末62の各々に接続される部分である。配管57fの他方端は、二次熱交換器56に接続されている。
【0105】
配管57gの一方端は、二次熱交換器56に接続されている。配管57gの他方端は、タンク51に接続されている。
【0106】
バーナ54は、混合ガスを燃焼することにより加熱用気体としての燃焼ガスを発生するためのものである。ファン53は、バーナ54に生じた燃焼ガスを一次熱交換器55および二次熱交換器56に送るためのものである。
【0107】
一次熱交換器55は燃焼ガスの顕熱を回収するためのものである。二次熱交換器56は燃焼ガスの潜熱を回収するためのものである。一次熱交換器55は、バーナ54の近傍に配置されている。二次熱交換器56は、一次熱交換器55を通過した後の燃焼ガスが通過する位置に配置されている。
【0108】
タンク51は、熱媒流体(たとえば湯水)を貯留するためのものである。ポンプ52は、図中の矢印の方向に熱媒流体(たとえば湯水)を循環させるためのものである。このポンプ52により、タンク51内の熱媒流体は、配管57b~57gと、低温暖房端末61と、高温暖房端末62とを循環する。
【0109】
具体的には、ポンプ52によりタンク51から配管57dに入った熱媒流体は、低温暖房端末61に供給される。これにより低温暖房端末61において暖房が行われる。
【0110】
またポンプ52によりタンク51から配管57cに入った熱媒流体は、一次熱交換器55で加熱された後に高温暖房端末62に供給される。これにより高温暖房端末62において暖房が行われる。
【0111】
低温暖房端末61および高温暖房端末62において熱を失った熱媒流体は、配管57fを通じて二次熱交換器56で加熱された後、タンク51に戻る。なお、配管57dを流れる熱媒流体の温度は、配管57eを流れる熱媒流体の温度よりも低い。
【0112】
上記のような温水暖房装置60において、本実施の形態の熱動弁ユニット50は、たとえば配管57dに接続されている。このように熱動弁ユニット50は、配管57dの経路上に配置されている。熱動弁ユニット50は、この熱動弁ユニット50を開閉制御することにより、低温暖房端末61への熱媒流体の供給と遮断とを制御することが可能となる。
【0113】
本実施の形態における温水暖房装置60によれば、組立てが容易となる熱動弁ユニット50を備えた温水暖房装置60を提供することができる。
【0114】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0115】
1 弁筐体、1a 第1通水部、1b 第2通水部、1c 内部流路、1d 軸挿通孔、1e 駆動部筐体、1f 内部空間、1g 弁座、1k 筐体本体、11 弁本体、12 弁体、13 弁軸、14 第2弾性部材、21 駆動部、22 ヒータ、23a 第1電極部材、23b 第2電極部材、24 熱応動素子、24a 感熱部、24b 軸体、25 絶縁リテーナ、25a 筒状部、25b 底部、25c フランジ部、26 絶縁スペーサ、27 第1弾性部材、31 シール部材、32 リング、41 蓋、42 突起部、43 接続部、44 防滴カバー、45,46 ボルト、50 熱動弁ユニット、50A 熱動弁、50A1 第1熱動弁、50A2 第2熱動弁、50A3 第3熱動弁、51 タンク、52 ポンプ、53 ファン、54 バーナ、55 一次熱交換器、56 二次熱交換器、57a,57b,57c,57d,57e,57f,57g 配管、60 温水暖房装置、61 低温暖房端末、62 高温暖房端末、C1 第1環状部、C2 第2環状部、C3 第3環状部、D1 第1方向、D2 第2方向、DS1,DS2,DS3 距離、F1 第1流路、F2 第2流路、F3 第3流路、FP 主流路、H1 第1筐体、H2 第2筐体、HP 筐体部、L1 第1係止部、L2 第2係止部、L3 第3係止部、OP1 第1開口、OP2 第2開口、OP3 第3開口、S1 第1シール部材、S2 第2シール部材、S3 第3シール部材、T1 第1筒状部、T2 第2筒状部、T3 第3筒状部、T11 第1本体部、T12 第1突出部、T21 第2本体部、T22 第2突出部、T31 第3本体部、T32 第3突出部、V1 第1熱動弁部、V2 第2熱動弁部、V3 第3熱動弁部、W1 第1通路、W2 第2通路、W3 第3通路。