(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】温水ユニット
(51)【国際特許分類】
F24H 9/02 20060101AFI20220809BHJP
F24H 9/20 20220101ALI20220809BHJP
【FI】
F24H9/02 301Z
F24H9/20 B
F24H9/20 E
(21)【出願番号】P 2018031743
(22)【出願日】2018-02-26
【審査請求日】2021-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】河内 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】山口 和城
(72)【発明者】
【氏名】興津 嘉人
【審査官】古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-172863(JP,U)
【文献】実開昭50-123540(JP,U)
【文献】特開2011-169517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/02,9/20
H05K 5/00-5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面が開口部とされており、かつ温水生成機能または温水貯留機能を有する温水関連機器を内部に収容する外装ケースと、
この外装ケースの複数の壁部のうち、間隔を隔てて互いに対向する一対の壁部に橋渡し状に取付けられるステーと、
前記外装ケース内に収容され、かつ前記温水関連機器の制御を行なうための制御ユニットと、
を備えている、温水ユニットであって、
前記一対の壁部に設けられ、かつ前記ステーの両端部の差し込み保持が可能な一対のステー用差し込み保持部を、さらに備えており、
前記制御ユニットは、前記ステーが前記一対のステー用差し込み保持部からの抜け外れ方向に変位することを阻止するように、前記ステーとの
係合が図られるステー用係合部を備えており、
前記ステーは、このステーから前記外装ケースの前記開口部の手前側に向けて突出する被係合用突部を備えており、
前記ステー用係合部として、前記制御ユニットの上部または上下高さ方向途中部分に設けられ、かつ前記被係合用突部に係合するフック状のステー用係合部を備えていることを特徴とする、温水ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の温水ユニットであって、
前記一対の壁部は、前記外装ケースの左右一対の側壁部であり、
前記ステーは、前記温水関連機器よりも前記開口部寄りの位置において、前記開口部またはその近傍部分を横切るように取付けられており、
前記制御ユニットは、前記ステーの手前側に配されている、温水ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の温水ユニットであって、
前記一対のステー用差し込み保持部は、これらの上方から前記ステーの両端部を下向きに差し込み可能であり、前記抜け外れ方向は、上向きとされている、温水ユニット。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の温水ユニットであって、
前記ステーの両端部には、前記ステーの長手方向と交差する方向に突出する一対の突出部が設けられており、
前記一対のステー用差し込み保持部は、前記一対の壁部の内側に一対のブラケット部材を取付けることにより構成され、
前記一対のブラケット部材のそれぞれは、前記一対の壁部に当接するベース部と、このベース部よりも前記外装ケースの内側寄りに突出した凸状段部と、この凸状段部と前記ベース部との相互間に形成された上部開口状の隙間と、を備えており、
前記隙間にその上方から前記ステーの前記各突出部が差し込まれた状態においては、前記凸状段部上に前記ステーを載せた状態に設定可能とされている、温水ユニット。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の温水ユニットであって、
前記外装ケースに設けられ、かつ締結部材を用いて前記制御ユニットの下部が締結されるブラケット部を、さらに備えている、温水ユニット。
【請求項6】
請求項
5に記載の温水ユニットであって、
前記制御ユニットの上部または上下高さ方向途中部分に設けられ、かつ前記締結部材とは別の締結部材を用いて前記ステーに締結されるステー用連結部を、さらに備えている、温水ユニット。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の温水ユニットであって、
前記制御ユニットの下部には、少なくとも1つの下向き突出部が設けられ、
前記外装ケースの底壁部には、前記下向き突出部を差し込み可能な位置決め用の孔部が設けられている、温水ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水関連機器が外装ケース内に収容されてユニット化された給湯器ユニットなどの温水ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
温水ユニットは、温水関連機器が外装ケース内に収容され、温水関連機器の保護、およびユニット全体の見栄えの向上を図るように構成されているのが一般的である。なお、外装ケース内には、温水関連機器の制御を行なうための制御ユニットも収容される。外装ケースは、薄手の金属板などを用いて構成されるのが通例であるが、外装ケースの大型化を図るような場合には、外装ケースに撓みが生じ易くなり、これを防止する必要がある。そこで、外装ケースの複数の壁部のうち、互いに対向する一対の壁部に、補強部材としてのステーを橋渡し状に取付ける手段が適宜採用される(たとえば、特許文献1を参照)。
このような構成によれば、外装ケースの各壁部の厚みを増大させることを回避しつつ、外装ケースを効果的に補強することができ、外装ケースに不当な撓みが生じることを防止することが可能である。
【0003】
しかしながら、従来においては、次に述べるように、改善すべき余地があった。
【0004】
すなわち、外装ケースの一対の壁部にステーを橋渡し状に取付ける場合、このステーを、外装ケース内において固定させたままでよい場合には、ステーをたとえば溶接手段を用いて容易に取付けることが可能である。ただし、これとは異なり、たとえば外装ケースの開口部またはその近傍部分を横切るようにステーを取付け、かつこのステーの奥部に温水関連機器を配置させるような場合には、温水関連機器のメンテナンス作業を考慮すると、ステーを取外し可能に設けることが要請される。
この場合、従来においては、外装ケースの壁部にブラケット部材を取付けた上で、このブラケット部材にステーの両端部をビス止めする手段が採用される。ところが、このようなビス止め手段を採用したのでは、ステーの取付け、および取外し作業が煩雑となり、温水関連機器のメンテナンス作業性が悪化する。また、前記ブラケット部材を、ビス止め用とする場合、このブラケット部材の厚みが大きくなって、外装ケース内において嵩張ってしまい、温水関連機器を外装ケースに出し入れする際に、ブラケット部材が邪魔になるといった不具合も生じ易くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、ステーの取付け、および取外し作業の容易化を適切かつ合理的に図ることが可能な温水ユニットを提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本発明により提供される温水ユニットは、前面が開口部とされており、かつ温水生成機能または温水貯留機能を有する温水関連機器を内部に収容する外装ケースと、この外装ケースの複数の壁部のうち、間隔を隔てて互いに対向する一対の壁部に橋渡し状に取付けられるステーと、前記外装ケース内に収容され、かつ前記温水関連機器の制御を行なうための制御ユニットと、を備えている、温水ユニットであって、前記一対の壁部に設けられ、かつ前記ステーの両端部の差し込み保持が可能な一対のステー用差し込み保持部を、さらに備えており、前記制御ユニットは、前記ステーが前記一対のステー用差し込み保持部からの抜け外れ方向に変位することを阻止するように、前記ステーとの係合が図られるステー用係合部を備えており、前記ステーは、このステーから前記外装ケースの前記開口部の手前側に向けて突出する被係合用突部を備えており、前記ステー用係合部として、前記制御ユニットの上部または上下高さ方向途中部分に設けられ、かつ前記被係合用突部に係合するフック状のステー用係合部を備えていることを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、ステーを利用して外装ケースの所定の一対の壁部を補強し、これら一対の壁部の撓み変形を適切に防止または抑制し得ることは勿論のこと、次のような効果がさらに得られる。
第1に、ステーの取付けは、外装ケースの一対の壁部に設けられている一対のステー用差し込み保持部にステーの両端部を差し込んだ上で、制御ユニットをステーに係合させることにより図ることができる。制御ユニットは、ステーが一対のステー用差し込み保持部から抜け外れることを防止するため、ステーを一対の壁部に安定的に取付けることが可能である。このようなことから、本発明によれば、ステーの取付け手段として、ステーの両端部を外装ケースの壁部、または壁部に取付けられたブラケット部材にビス止めする必要がなくなり、ステーの取付け作業、および取外し作業の容易化を図ることができる。その結果、ステーを取り外してから温水関連機器を外装ケースに出し入れする作業も容易化され、温水ユニットのメンテナンス作業性を良好なものとすることができる。
第2に、制御ユニットは、温水ユニットに元々具備されるものであり、この制御ユニットを利用してステーの抜け止めを図るため、その構成は合理的であり、部品総数の増大などを回避することが可能である。
第3に、ステー用差し込み保持部は、ステーの両端部をビス止めするための部分よりも薄型化することも可能である。したがって、ステー用差し込み保持部が外装ケースの内側に大きく嵩張らないようにし、このステー用差し込み保持部が温水関連機器の出し入れ作業の邪魔になるといった不具合も生じ難いものとすることが可能である。
第4に、制御ユニットをステーに係合させることにより、ステーの固定を図ると同時に、制御ユニットの取付けを図ることが可能である。したがって、温水ユニットのメンテナンス作業性などをより優れたものとすることができる。
第5に、制御ユニットの上部または上下高さ方向途中部分については、フック状のステー用係合部をステーの被係合用突部に係合させることにより、制御ユニットの取付けを的確に図ることができる。ステーと制御ユニットとを係合させる手段によれば、これらをビス止めする手段と比較すると、これらの取付け、および取外し作業の容易化を図ることが可能である。
【0010】
本発明において、好ましくは、前記一対の壁部は、前記外装ケースの左右一対の側壁部であり、前記ステーは、前記温水関連機器よりも前記開口部寄りの位置において、前記開口部またはその近傍部分を横切るように取付けられており、前記制御ユニットは、前記ステーの手前側に配されている。
【0011】
このような構成によれば、ステーを利用して、外装ケースの左右一対の側壁部を適切に補強することができる。外装ケースを縦長状の大きなサイズに形成し、一対の側壁部の上下寸法が大きくなるような場合には、とくに適したものとなる。また、外装ケースの前面の開口部側からステーおよび制御ユニットの取付け、および取外し作業を適切に図ることができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、前記一対のステー用差し込み保持部は、これらの上方から前記ステーの両端部を下向きに差し込み可能であり、前記抜け外れ方向は、上向きとされている。
【0013】
このような構成によれば、ステーに制御ユニットが未だ連結され、または係合されておらず、ステーの抜け止めが図られていない際に、一対のステー用差し込み保持部からステーが不用意に落下し難くすることが可能である。本発明では、たとえば一対のステー用差し込み保持部に対してステーを水平方向に差し込み保持させることも可能であるが、この
場合には、ステーの抜け止めが図られていない場合に、作業者がステーに触れるなどしてステーが水平方向に位置ずれし、落下する虞がある。これに対し、前記構成によれば、ステーを上方に変位させない限りは落下しないため、前記した虞を生じないようにすることが可能である。
【0014】
本発明において、好ましくは、前記ステーの両端部には、前記ステーの長手方向と交差する方向に突出する一対の突出部が設けられており、前記一対のステー用差し込み保持部は、前記一対の壁部の内側に一対のブラケット部材を取付けることにより構成され、前記一対のブラケット部材のそれぞれは、前記一対の壁部に当接するベース部と、このベース部よりも前記外装ケースの内側寄りに突出した凸状段部と、この凸状段部と前記ベース部との相互間に形成された上部開口状の隙間と、を備えており、前記隙間にその上方から前記ステーの前記各突出部が差し込まれた状態においては、前記凸状段部上に前記ステーを載せた状態に設定可能とされている。
【0015】
このような構成によれば、ステーが上方から差し込まれることによって、このステーを保持可能なステー用差し込み保持部を、構成が簡易なブラケット部材を利用して適切に構築することが可能であり、製造コストを廉価にすることができる。また、各ステー用差し込み保持部を薄型とし、外装ケースの内側において大きく嵩張らないようにする上で、一層好ましいものとなる。
【0016】
本発明において、好ましくは、前記外装ケースに設けられ、かつ締結部材を用いて前記制御ユニットの下部が締結されるブラケット部を、さらに備えている。
【0017】
このような構成によれば、制御ユニットの下部については、締結部材を用いて外装ケースのブラケット部に適切に締結することができる。また、前記ブラケット部は、外装ケースの下部寄り領域に設ければよいこととなるため、このブラケット部が温水関連機器の出し入れ作業の邪魔になることを極力回避することも可能である。
【0020】
本発明において、好ましくは、前記制御ユニットの上部または上下高さ方向途中部分に設けられ、かつ前記締結部材とは別の締結部材を用いて前記ステーに締結されるステー用連結部を、さらに備えている。
【0021】
このような構成によれば、制御ユニットの上部または上下高さ方向途中部分を、締結部材を用いてステーに締結することができるため、制御ユニットの上部または上下高さ方向途中部分を、前記したフック状のステー用係合部と被係合用突部との係合のみを利用してステーに連結させた構成と比較すると、制御ユニットおよびステーの取付けの安定性、信頼性を高めることが可能である。
【0022】
本発明において、好ましくは、前記制御ユニットの下部には、少なくとも1つの下向き
突出部が設けられ、前記外装ケースの底壁部には、前記下向き突出部を差し込み可能な位置決め用の孔部が設けられている。
【0023】
このような構成によれば、制御ユニットを取付ける際には、下向き突出部を位置決め用の孔部に差し込むことにより、制御ユニットの下部を所定の位置に正確に位置決めすることが可能となる。したがって、制御ユニットの取付け作業の一層の容易化、ならびに適正化を図ることができる。
【0024】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明に係る温水ユニットの一例を示す断面図である。
【
図4】
図1に示す温水ユニットの要部正面図である。
【
図6】(a)は、
図4のVIa-VIa断面図であり、(b)は、
図4の VIb-VIb断面図である。
【
図8】(a)は、
図4の要部正面断面図であり、(b)は、(a)に示す箇所の要部概略斜視図である。
【
図9】(a)は、
図8(a)の要部分解正面断面図であり、(b)は、(a)に示す箇所の要部概略斜視図である。
【
図10】
図1に示す温水ユニットにおいて、制御ユニットを仮支持の状態に設定した場合の一例を示す要部概略斜視図である。
【
図12】本発明の他の例を示す要部概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0027】
図1および
図2に示す温水ユニットUは、外装ケース1、カバーパネル18(前面カバーパネル)、外装ケース1内に収容された温水関連機器2、制御ユニット3、ステー4、および一対のステー用差し込み保持部5を構成するブラケット部材50を備えている。
【0028】
外装ケース1は、前面に開口部10が形成された内部空洞状の略直方体であり、たとえば薄手の金属板を用いて形成されており、複数の壁部11(11a~11d)を備えている。これら複数の壁部11は、具体的には、左右の一対の側壁部11a、底壁部11b、上壁部11c、および後壁部11dである。外装ケース1は、通常時においては、その前面部にカバーパネル18がビス90などの締結部材を用いて取付けられ、開口部10は塞がれている。
【0029】
温水関連機器2は、図面においては、その詳細を省略し、または不図示とされているが、たとえば瞬間式給湯器、あるいは貯湯タンクなどである。ただし、後述するように、これに限定されない。この温水関連機器2は、外装ケース1内の奥部寄りの位置に収容されている。
【0030】
制御ユニット3は、樹脂製の偏平ケース状のホルダ30の表面側に、温水関連機器2の動作制御などを実行するための制御回路や電源回路などを搭載した電装基板31が取付け
られた構成である。電装基板31についても、温水関連機器2と同様に、図面において、その詳細を省略し、または不図示とされている。制御ユニット3は、温水関連機器2およびステー4よりも手前側(開口部10寄り)に配されている。
【0031】
ステー4は、本来的には、外装ケース1の左右一対の側壁部11aを補強し、これらが撓み変形することを防止するための部材である。本実施形態において、外装ケース1は、左右の横幅が比較的狭い一方、全体の上下高さ寸法が大きくされており、一対の側壁部11aが撓み変形を生じ易い。ステー4は、これを解消するのに役立つが、後述するように、制御ユニット3の取付けにも利用される。なお、一対の側壁部11aは、本発明でいう一対の壁部の一例に相当する。
【0032】
図9によく表われているように、ステー4は、一定方向に延びる帯板状のステー本体部40、このステー本体部40の長手方向両端部に繋がり、かつ前記長手方向と交差する方向に突出する片状の一対の突出部41、ステー本体部40からその手前側に突出する被係合用突部42、およびビス止め用の孔部43を備えている。好ましくは、ステー4は、金属板にプレス加工を施すことによって各部が一体形成されたものとされている。ステー4の前記した各部の詳細については後述する。
【0033】
各ステー用差し込み保持部5は、ステー4の各突出部41の差し込み保持が可能とされた部位であり、ブラケット部材50を側壁部11aの内面に溶接付けすることにより構成されている。ブラケット部材50は、ステー4と同様に、金属板にプレス加工を施すことにより形成されており、ベース部51、凸状段部52、およびステー4の差し込み用の隙間53を備えている。ベース部51は、側壁部11aの内面に当接するようにして側壁部11aへの前記溶接付けが図られる部位である。凸状段部52は、ベース部51よりも外装ケース1の内側寄りに突出するように形成された段押し加工部である。隙間53は、ベース部51と凸状段部52との相互間に形成されており、本実施形態では、上部および下部の双方が開口した形態とされているが、少なくとも上部が開口した構成とされる。このことにより、隙間53には、その上方からステー4の突出部41を差し込み可能である。
【0034】
図8に示すように、前記した隙間53にその上方からステー4の突出部41を差し込んだ状態においては、凸状段部52上に、ステー本体部40の両端部を載せて支持させることが可能となっている。この状態において、ステー4が外装ケース1の前後方向および左右横幅方向に変位することは規制されている。このような設定がなされることにより、左右一対の側壁部11aの上下高さ方向途中部分であって、開口部10の近傍には、ステー4が略水平な姿勢の橋渡し状に取付けられる。ただし、隙間53に突出部41を差し込んだだけの状態では、ステー4を上方に抜き取ることが可能であり、ステー4が抜け外れることは阻止されていない。
【0035】
図3~
図5によく表われているように、制御ユニット3のホルダ30には、外装ケース1内における制御ユニット3の取付け、ならびにステー4との係合および連結を図るための手段として、ステー用係合部32、ステー用連結部33、および下向き突出部34が設けられている。
【0036】
ステー用係合部32は、先端が下向きの側面視略L字状のフックとして構成され、かつホルダ30の上部または上下高さ方向途中部分の横幅方向片側に設けられており、ステー4の被係合用突部42に係合させることが可能である。被係合用突部42は、
図8および
図9によく表われているように、ステー本体部40の一部に切り起こし加工(符号40aは、切り起こしに伴って形成される孔部)を施すことにより形成されており、ステー4の手前側に向けて突出している。この被係合用突部42は、水平方向に屈曲した先端屈曲部42aが形成されている。
図4に示すように、制御ユニット3は、ステー用係合部32が
被係合用突部42に対してその上側から係合するように設定される。この係合状態においては、
図7によく表われているように、被係合用突部42は、左右横幅方向において、ステー用係合部32とホルダ30の本体部分との相互間に位置し、ステー用係合部32は、前後方向において、被係合用突部42の先端屈曲部42aとステー本体部40との相互間に位置する。このため、ステー4に相対して、制御ユニット3が外装ケース1の左右横幅方向および前後方向に変位することが規制される。
なお、図示された構成では、ステー用係合部32の幅Waは、ホルダ30の幅Wbよりも小さくされており、小サイズ化が図られている。これは、
図10および
図11を参照して後述する制御ユニット3の仮保持状態の設定時において、ステー用係合部32をステー4に係合させ易くするのに役立つ。
【0037】
図3~
図5において、ステー用連結部33は、ホルダ30の上部または上下高さ方向途中部分のうち、前記したステー用係合部32とは横幅方向反対側の位置に設けられており、かつビス止め用の孔部33aを備えた突出片状のブラケット部として構成されている。このステー用連結部33は、ステー4のビス止め用の孔部43の手前側に配され、かつステー4にビス91(本発明でいう別の締結部材の一例)を介して締結されている。
【0038】
制御ユニット3のホルダ30の下部には、ビス止め用の孔部35が設けられている。一方、外装ケース1の底壁部11b上には、制御ユニット3を固定するためのブラケット部19が起立して設けられている。制御ユニット3の下部は、ビス止め用の孔部35を挿通するビス92(本発明でいう締結部材の一例)を利用してブラケット部19に固定されている(
図6(a)も参照)。
【0039】
制御ユニット3の下向き突出部34は、ホルダ30の下面部から下向きに突出したボス部として形成されている。この下向き突出部34は、少なくとも1つ設けられるが、本実施形態では、横幅方向に間隔を隔てて2つ設けられている。外装ケース1の底壁部11bには、下向き突出部34に対応する2つの位置決め用の孔部18が設けられており、外装ケース1内への制御ユニット3の取付けは、それら位置決め用の孔部18に下向き突出部34を差し込んだ状態で行なわれている(
図6(b)も参照)。このような構成によれば、下向き突出部34と位置決め用の孔部18との嵌合作用により、外装ケース1内における制御ユニット3の位置決めを図ることができ、制御ユニット3を所定位置に正確に、かつ迅速に配置させて取付ける作業の容易化を図ることができる。
【0040】
次に、前記した温水ユニットUの作用について説明する。
【0041】
まず、ステー4は、その突出部41がステー用差し込み保持部5の隙間53にその上方から差し込まれて保持されているが、そのような差し込みを行なっただけでは、ステー4がステー用差し込み保持部5の上方(本発明でいう抜け外れ方向の一例に相当)に変位することは規制されていない状態にある。これに対し、制御ユニット3は、ステー用連結部33およびステー用係合部32を介してステー4に連結され、また係合しているため、ステー4が上方に変位することは適切に規制される。したがって、ステー4を適切に、かつ安定的に固定した状態でステー用差し込み保持部5に取付けることができる。その結果、ステー用差し込み保持部5が設けられている外装ケース1の一対の側壁部11aを、ステー4を利用して効果的に補強することができる。
【0042】
本実施形態においては、制御ユニット3の取付けに際しては、ビス止め手段が採用されているものの、外装ケース1の側壁部11aにステー4を取付けるための手段としては、ビス止め手段は採用されていない。このため、ステー4の取付け作業性をよくすることができる。また、温水関連機器2を外装ケース1の外部に取り出すなどのメンテナンス作業を行なう場合において、ステー4を取外す際には、制御ユニット3を取り外した後に、ス
テー4をステー用差し込み保持部5の上方に容易に抜き外すことが可能である。したがって、ステー4の取外し作業も容易である。ステー用差し込み保持部5を構成するブラケット部材50は、薄型に形成されており、外装ケース1の側壁部11aの内側に大きく突出しないようにされている。このため、ステー4を取り外した状態において、温水関連機器2を外装ケース1内に出し入れする際に、ステー用差し込み保持部5がその作業の邪魔になるようなことも適切に回避することが可能である。
【0043】
制御ユニット3は、既述したように、ステー用連結部33およびステー用係合部32を介してステー4に連結、係合していることにより、ステー4の上方への変位を規制しているが、そのようにステー4との連結、係合が図られていることにより、制御ユニット3自体の取付け状態の安定化が図られる効果も得られる。本実施形態では、外装ケース1に対するビス止め箇所は、制御ユニット3の下部がブラケット部19にビス止めされた箇所のみであるが、制御ユニット3の上部がステー4に連結、係合していることによって、制御ユニット3の取付け状態を十分に安定化させることが可能である。下向き突出部34と位置決め用の孔部18とが嵌合していることにより、制御ユニット3をより安定的な取付け状態とすることも可能である。
【0044】
なお、本実施形態においては、好ましくは、制御ユニット3を取外した状態では、
図10および
図11に示すように、制御ユニット3の向きを変更し、ステー用係合部32をステー4に係合させることにより、制御ユニット3を外装ケース1の開口部10の近傍において仮支持の状態に設定することが可能とされている。より好ましくは、制御ユニット3の前記した仮支持の状態においては、ステー4に対するステー用係合部32の係合箇所を左右方向に位置ずれ可能とし、制御ユニット3をたとえば開口部10の左端寄り領域から右端寄り領域のいずれの位置にも選択的に配置できるように構成される。このような構成によれば、開口部10を大きな面積で開放することができる。したがって、外装ケース1の開口部10から外装ケース1内の奥部に工具を差し入れるなどして、温水関連機器2のメンテナンス作業を容易に行なうことができる。
【0045】
図12は、本発明の他の実施形態を示している。同図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付すこととし、重複説明は省略する。
【0046】
図12に示す実施形態においては、ステー用差し込み保持部5Aが、外装ケース1の側壁部11aに溶接などの手段により接合されたブラケット部材50を用いて構成されているが、このブラケット部材50は、凸状段部52が上下高さ方向に延びた形態に設けられている。このことにより、凸状段部52と側壁部11aとの相互間には、ステー4の突出部41が差し込まれる隙間53が形成されている。この隙間53に、突出部41を差し込んだ際には、ステー4を凸状段部52の上部によって支持することができる。
本実施形態においても、先の実施形態のステー用差し込み保持部5と同様な作用が得られる。
【0047】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る温水ユニットの各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0048】
上述の実施形態においては、ステー用差し込み保持部5に対してステー4の突出部41をその上方から下向きに差し込んでいるが、ステー4の差し込み方向はこれに限定されない。たとえば、斜め上方から差し込んだり、あるいは外装ケース1の手前側から奥部側に向けて差し込むように構成することもできる。したがって、本発明でいうステーの「抜け外れ方向」は、上方に限定されない。
【0049】
ステーが取付けられる外装ケースの一対の壁部は、左右一対の側壁部に限定されず、間隔を隔てて対向する一対の壁部どうしであれば、これらをステーの取付け対象の壁部とすることが可能である。ステーの具体的な形状、サイズ、材質は、限定されない。
【0050】
本発明でいう温水関連機器とは、温水生成機能または温水貯留機能を有する機器を意味するが、その具体的な種類や数は問わない。温水関連機器には、貯湯タンクや瞬間式の給湯器などの他に、たとえばヒートホンプやコージェネレーションシステム機器なども該当する。したがって、本発明に係る温水ユニットは、たとえば貯湯タンクユニット、給湯器ユニット、ヒートポンプユニット、コージェネレーションシステムなどとして構成することができる。本発明でいう制御ユニットは、温水関連機器を制御する機能を備えたユニットであり、やはりその具体的な構成は限定されない。
【符号の説明】
【0051】
U 温水ユニット
1 外装ケース
10 開口部
11a 側壁部(外装ケースの壁部)
18 位置決め用の孔部
19 ブラケット部
2 温水関連機器
3 制御ユニット
32 ステー用係合部
33 ステー用連結部
34 下向き突出部
35 ビス止め用の孔部
4 ステー
41 突出部
42 被係合用突部
43 ビス止め用の孔部
5 ステー用差し込み保持部
50 ブラケット部材
51 ベース部
52 凸状段部
53 隙間
91,92 ビス(締結部材)