(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】把持機構
(51)【国際特許分類】
B25J 15/00 20060101AFI20220809BHJP
B25J 15/08 20060101ALI20220809BHJP
B25J 19/00 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
B25J15/00 C
B25J15/08 P
B25J19/00 C
(21)【出願番号】P 2018034821
(22)【出願日】2018-02-28
【審査請求日】2021-02-15
(31)【優先権主張番号】P 2017035893
(32)【優先日】2017-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017071495
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100132067
【氏名又は名称】岡田 喜雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120444
【氏名又は名称】北川 雅章
(72)【発明者】
【氏名】土井 達也
(72)【発明者】
【氏名】田中 泰仁
(72)【発明者】
【氏名】神内 直寛
(72)【発明者】
【氏名】立川 裕之
【審査官】神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-226040(JP,A)
【文献】特開昭61-169420(JP,A)
【文献】実開平01-147902(JP,U)
【文献】特開2019-048699(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
B65B 35/00-35/58
B66C 1/00- 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を把持位置から吊り下げて把持する把持部と、
前記把持部で把持した物品の揺動を規制する振れ止め機構とを備え
、
前記振れ止め機構は、物品に当接する押さえ部材と、前記押さえ部材を上下方向に相対移動可能に支持するガイド部材とを備え、
前記押さえ部材は、物品に当接する部分を形成する接触体と、下端に前記接触体が設けられて上下方向に延びる円柱状をなす軸状部とを備え、前記揺動の方向にて前記把持位置を挟む両側に設けられ、
前記接触体は、下方に膨出する球面に沿う形状を備え、
前記ガイド部材は、前記押さえ部材により物品に向かって押さえ力を作用させ、前記押さえ部材を前記軸状部の軸回りに回転可能に支持することを特徴とする把持機構。
【請求項2】
前記把持部は、第1の把持部及び第2の把持部を含め複数設けられ、
前記ガイド部材は、前記第1の把持部が物品を把持するときに、前記押さえ部材によって前記把持位置より下方で物品に押さえ力を付与させ、前記第2の把持部が物品を把持するときに、前記押さえ部材を前記把持位置より上方に退避させることを特徴とする請求項
1に記載の把持機構。
【請求項3】
物品を把持位置から吊り下げて把持する把持部と、
前記把持部で把持した物品の揺動を規制する振れ止め機構とを備え
、
前記把持部は、第1の把持部及び第2の把持部を含め複数設けられ、
前記振れ止め機構は、物品に当接する押さえ部材と、前記押さえ部材を上下方向に相対移動可能に支持するガイド部材とを備え、
前記押さえ部材は、前記揺動の方向にて前記把持位置を挟む両側に設けられ、
前記ガイド部材は、前記押さえ部材により物品に向かって押さえ力を作用させ、前記第1の把持部が物品を把持するときに、前記押さえ部材によって前記把持位置より下方で物品に押さえ力を付与させ、前記第2の把持部が物品を把持するときに、前記押さえ部材を前記把持位置より上方に退避させることを特徴とする把持機構。
【請求項4】
前記押さえ部材は、物品に当接する部分を形成する接触体を備え、
前記接触体は、下方に膨出する球面に沿う形状を備えていることを特徴とする請求項
3に記載の把持機構。
【請求項5】
前記押さえ部材は、下端に前記接触体が設けられて上下方向に延びる円柱状をなす軸状部を備え、
前記ガイド部材は、前記押さえ部材を前記軸状部の軸回りに回転可能に支持することを特徴とする請求項
4に記載の把持機構。
【請求項6】
前記ガイド部材は、内部に挿通される前記軸状部の上下移動を直線的に案内するリニアブッシュを備えていることを特徴とする請求項
1または請求項5に記載の把持機構。
【請求項7】
前記第2の把持部は、前記第1の把持部を挟む二箇所位置で前記物品を把持し、
前記押さえ部材は、前記二箇所位置それぞれと前記第1の把持部との間の二箇所位置に設けられていることを特徴とする請求項
2ないし請求項5のいずれかに記載の把持機構。
【請求項8】
前記把持部及び前記押さえ部材を動作させるための駆動部を更に備え、
前記駆動部は、前記把持部を把持動作させるときに、前記押さえ部材が物品に当接するように動作可能なことを特徴とする請求項
1ないし請求項7のいずれかに記載の把持機構。
【請求項9】
前記駆動部は、前記把持部が物品を把持しない状態のときに、前記押さえ部材が物品に当接しない非当接位置とし、前記把持部が物品を把持する状態に動作させたときに、前記非当接位置から前記押さえ部材を動作して物品に当接可能なことを特徴とする請求項
8に記載の把持機構。
【請求項10】
前記把持部は、把持する物品に当接する当接体を備え、
前記駆動部は、前記当接体が物品を把持可能な高さ位置で該物品に非接触なときに、前記押さえ部材が物品に当接しない非当接位置とし、
前記把持部が物品を把持する状態に動作させて前記当接体が物品に当接したときに、前記非当接位置から前記押さえ部材を動作して物品に当接可能なことを特徴とする請求項
8に記載の把持機構。
【請求項11】
前記把持部を上下に移動させる昇降手段を更に備え、
前記ガイド部材は、物品を把持した前記把持部の前記昇降手段による上昇動作によって、前記押さえ部材の押さえ力を物品に付与させることを特徴とする請求項
1ないし請求項
10のいずれかに記載の把持機構。
【請求項12】
前記ガイド部材は、前記把持部を物品に接近する動作によって、前記押さえ部材の押さえ力を物品に付与させることを特徴とする請求項
1ないし請求項
10のいずれかに記載の把持機構。
【請求項13】
前記ガイド部材は、前記押さえ部材による押さえ力を該押さえ部材の自重によって物品に作用させることを特徴とする請求項
1ないし請求項
12のいずれかに記載の把持機構。
【請求項14】
前記ガイド部材は、前記押さえ部材による押さえ力を付勢手段によって物品に作用させることを特徴とする請求項
1ないし請求項
13のいずれかに記載の把持機構。
【請求項15】
物品を把持位置から吊り下げて把持する把持部と、
前記把持部で把持した物品の揺動を規制する振れ止め機構とを備え
、
前記振れ止め機構は、物品に当接する押さえ部材と、前記押さえ部材を上下方向に相対移動可能に支持するガイド部材とを備え、
前記ガイド部材は、前記押さえ部材により物品に向かって押さえ力を作用させ、該押さえ力を前記押さえ部材の自重によって物品に作用させることを特徴とする把持機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、把持機構に関し、特に、物品を把持して搬送するために用いる把持機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の物品を搬送するため、例えば、特許文献1に開示される搬送装置が提案されている。特許文献1の搬送装置は、挟持部材によって物品を挟持して持ち上げ、送出位置から払出位置まで搬送するよう構成されている。挟持部材は、枢軸を中心として揺動可能な一対の揺動部材を備え、各揺動部材の先端が開閉して物品を挟持したり挟持を解除したりできるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の搬送装置では、物品の上端側を揺動部材で挟持することで物品を吊り下げるように把持する場合、物品の搬送時における加速や停止によって、物品に慣性力が加わると、慣性力で物品が挟持位置を支点として揺れ動いてしまう。このため、物品が搬送経路上の装置や部材に接触して損傷したり、揺動部材から抜け落ちたりしてしまう、という問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、吊り下げて保持した物品が揺れ動くことを抑制することができる把持機構を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における一態様の把持機構は、物品を把持位置から吊り下げて把持する把持部と、前記把持部で把持した物品の揺動を規制する振れ止め機構とを備え、前記振れ止め機構は、物品に当接する押さえ部材と、前記押さえ部材を上下方向に相対移動可能に支持するガイド部材とを備え、前記押さえ部材は、物品に当接する部分を形成する接触体と、下端に前記接触体が設けられて上下方向に延びる円柱状をなす軸状部とを備え、前記揺動の方向にて前記把持位置を挟む両側に設けられ、前記接触体は、下方に膨出する球面に沿う形状を備え、前記ガイド部材は、前記押さえ部材により物品に向かって押さえ力を作用させ、前記押さえ部材を前記軸状部の軸回りに回転可能に支持することを特徴とする。また、本発明における一態様の把持機構は、物品を把持位置から吊り下げて把持する把持部と、前記把持部で把持した物品の揺動を規制する振れ止め機構とを備え、前記把持部は、第1の把持部及び第2の把持部を含め複数設けられ、前記振れ止め機構は、物品に当接する押さえ部材と、前記押さえ部材を上下方向に相対移動可能に支持するガイド部材とを備え、前記押さえ部材は、前記揺動の方向にて前記把持位置を挟む両側に設けられ、前記ガイド部材は、前記押さえ部材により物品に向かって押さえ力を作用させ、前記第1の把持部が物品を把持するときに、前記押さえ部材によって前記把持位置より下方で物品に押さえ力を付与させ、前記第2の把持部が物品を把持するときに、前記押さえ部材を前記把持位置より上方に退避させることを特徴とする。更に、本発明における一態様の把持機構は、物品を把持位置から吊り下げて把持する把持部と、前記把持部で把持した物品の揺動を規制する振れ止め機構とを備え、前記振れ止め機構は、物品に当接する押さえ部材と、前記押さえ部材を上下方向に相対移動可能に支持するガイド部材とを備え、前記ガイド部材は、前記押さえ部材により物品に向かって押さえ力を作用させ、該押さえ力を前記押さえ部材の自重によって物品に作用させることを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、上方から吊り下げて保持された物品が搬送中に振れて揺れ動くことを振れ止め機構によって抑制することができる。これにより、物品が搬送経路周りの部材等に接触或いは衝突したり、把持部から物品が抜け落ちたりすることを回避でき、物品を安定して良好に搬送することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の把持機構によれば、振れ止め機構によって吊り下げて保持した物品が揺れ動くことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施の形態に係る把持機構を備えた把持ユニットの概略斜視図である。
【
図3】第1の実施の形態に係る把持機構の一部を下方から見た概略斜視図である。
【
図6】第1の実施の形態の把持機構が一の物品を把持した状態の概略斜視図である。
【
図7】第1の実施の形態の把持機構が他の物品を把持した状態の概略斜視図である。
【
図8】第1の実施の形態の把持機構が一の物品を把持する直前状態を示す説明図である。
【
図9】第1の実施の形態の把持機構が一の物品を把持した後の状態を示す説明図である。
【
図10】第1の実施の形態の把持機構が他の物品を把持する直前状態を示す説明図である。
【
図11】第1の実施の形態の把持機構が他の物品を把持した後の状態を示す説明図である。
【
図12】第1の実施の形態における把持機構全体のZX面を切断面とした断面図である。
【
図13】一方の押さえ部材及びガイド部材の概略斜視図である。
【
図15】第1の実施の形態の把持機構が一の物品を搬送する待機状態を示す説明図である。
【
図16】第1の実施の形態の把持機構が一の物品を把持する直前の状態を示す説明図である。
【
図17】第1の実施の形態の把持機構が一の物品を把持した直後の状態を示す説明図である。
【
図18】第1の実施の形態の把持機構が一の物品を搬送中の状態を示す説明図である。
【
図19】第1の実施の形態の把持機構が他の物品を搬送する待機状態を示す説明図である。
【
図20】第1の実施の形態の把持機構が他の物品を把持する直前の状態を示す説明図である。
【
図21】第1の実施の形態の把持機構が他の物品を把持した直後の状態を示す説明図である。
【
図22】第1の実施の形態の把持機構が他の物品を搬送中の状態を示す説明図である。
【
図23】第1の実施の形態の把持機構が他の物品を搬送中の状態を示す説明図である。
【
図24】第2の実施の形態の把持ユニットの概略斜視図である。
【
図26】第2の実施の形態における把持機構全体のZX面を切断面とした断面図である。
【
図28】第2の実施の形態の把持機構が一の物品を把持して揺動を規制した状態を示す説明図である。
【
図29】第2の実施の形態の把持機構が他の物品を把持した状態を示す説明図である。
【
図30】第3の実施の形態における把持機構全体のZX面を切断面とした断面図である。
【
図32】第3の実施の形態の把持機構が一の物品を把持して揺動を規制した状態を示す説明図である。
【
図33】第3の実施の形態の把持機構が物品を把持していない状態を示す説明図である。
【
図35】第3の実施の形態の把持機構を備えた把持ユニットによる物品の搬送動作の説明図である。
【
図36】第3の実施の形態の把持機構を備えた把持ユニットによる物品の搬送動作の説明図である。
【
図37】第3の実施の形態の把持機構を備えた把持ユニットによる物品の搬送動作の説明図である。
【
図38】変形例に係る振れ止め機構を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、下記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施することができるものである。以下の図においては、説明の便宜上、一部の構成を省略することがある。
【0011】
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る把持機構を備えた把持ユニットの概略斜視図である。
図2は、上記把持ユニットの正面図である。
図1に示すように、把持ユニットUは、8体の把持機構1と、Z方向(上下方向)に所定間隔を隔てて配置された上部固定板U1、中間固定板U2及び下部固定板U3とを備えている。8体の把持機構1は、概略同一の構成を備えてY方向に等間隔で並んで設けられている。8体の把持機構1は、第1の把持部10と、第2の把持部20と、これら把持部10、20を支持するための支持体30と、駆動機構(駆動部)40とを備えている。また、8体の把持機構1は、Z方向に延びる昇降シリンダ(昇降手段)60と、中間固定板U2及び下部固定板U3に支持される振れ止め機構70とを有している。把持ユニットUは、不図示の多関節アーム等のロボットアームや2軸或いは3軸の移動機構等に上部固定板U1が取り付けられ、物品W(
図6及び
図7参照)を把持して搬送するために用いられる。
【0012】
各把持機構1の昇降シリンダ60は、上端側で上部固定板U1を介して相互に連結され、下端側で中間固定板U2を介して相互に連結されている。従って、上部固定板U1及び中間固定板U2を介してY方向に並ぶ8体の把持機構1が一体化されている。昇降シリンダ60は、Z方向に進退動作する出力軸を備え、この出力軸が支持体30に連結されて支持体30とこれに支持される把持部10、20がZ方向に進退移動可能に設けられる。中間固定板U2及び下部固定板U3は、平面視長方形状に形成され、それぞれの四隅においてZ方向に延びる連結棒U4を介して連結されている。
【0013】
以下の説明では、先ず、
図3から
図11を参照して把持機構1における第1の把持部10、第2の把持部20、支持体30及び駆動機構40についての構成及び機能について説明し、その後、振れ止め機構70について説明する。
【0014】
図3は、第1の実施の形態に係る把持機構の一部を下方から見た概略斜視図である。
図3に示すように、把持機構1にて、第1の把持部10及び第2の把持部20を支持するための支持体30は、本実施の形態では、上下方向(Z方向)に軸線が向けられた四角柱状に形成されている。
【0015】
図4は、
図3のZX面を切断面とした断面図である。
図4に示すように、第1の把持部10は、X方向に並ぶ一対の第1の把持板11a、11bと、第1の把持板11a、11bを揺動可能に支持する単一の第1の支持軸と12と、第1の支持軸12に設けられた第1の付勢部材13とを備えている。第1の把持板11a、11bは、表裏各面がY方向と平行になる主板部と、主板部のY方向両側を屈曲して形成された側板部とをそれぞれ備えている。
【0016】
第1の支持軸12は、Y方向に平行に延びて第1の把持板11a、11bにおける側板部の
図4中上側領域を貫通し、且つ、支持体30の下端に形成されたブラケット部31を介して支持されている。従って、第1の把持部10は、第1の支持軸12を介して支持体30に支持されつつ、第1の把持板11a、11bの下端が離反及び接近する方向(概略X方向)に揺動して開閉可能となっている。なお、
図1~
図4では、第1の把持板11a、11bが開いた状態を図示している。
【0017】
第1の付勢部材13は、本実施の形態ではトーションばねによって構成されている。第1の付勢部材13は、巻回されたコイル状部に第1の支持軸12が貫通され、コイル状部から延びる一対のアーム部(一方を不図示)が第1の把持板11a、11bを開く方向に付勢する力を加えている。
【0018】
第1の把持板11a、11bの下端部には、第1の当接体14a、14bが相対するようにねじ止め固定されている。第1の当接体14a、14bは、円筒状をなすゴム等の弾性部材からなり、第1の把持部10で把持する物品W(
図6参照)に当接する部分となる。
【0019】
図5は、
図3のYZ面を切断面とした断面図である。
図5に示すように、第2の把持部20は、Y方向に並ぶ一対の第2の把持板21a、21bと、第2の把持板21a、21bを揺動可能に支持する第2の支持軸と22と、第2の支持軸22に設けられた第2の付勢部材23とを備えている。ここで、第2の把持板21a、21bは、
図5中上部領域において連結板25a、25bに連結されている。連結板25a、25bは、第1の把持板11a、11bに類似した形態をなし、表裏各面がX方向と平行になる主板部と、主板部のX方向両側を屈曲して形成された側板部とをそれぞれ備えている。
【0020】
第2の把持板21a、21bは、それぞれ一枚の板部材を折り曲げるように形成されている。第2の把持板21a、21bは、連結板25a、25bの主板部にねじ止めによって連結され、当該主板部と平行に延びる被連結面部21aa、21baを備えている。更に、第2の把持板21a、21bは、被連結面部21aa、21baの下端から下方に向かって相互に接近する方向に傾斜する内向屈曲面部21ab、21bbと、内向屈曲面部21ab、21bbの下端に連なる外向屈曲面部21ac、21bcとを更に備えている。外向屈曲面部21ac、21bcは、内向屈曲面部21ab、21bbの下端から下方に向かって相互に離反するする方向に傾斜し、先端側が更に外側に開くように屈曲形成されている。なお、被連結面部21aa、21baと外向屈曲面部21ac、21bcとは平行となっている。
【0021】
第2の支持軸22は、X方向に平行に延びて連結板25a、25bにおける側板部の上側領域を貫通している。更に、第2の支持軸22は、支持体30のブラケット部31より
図4中上方で支持体30の左右両側面から突出するように貫通して支持されている。従って、第2の把持部20は、第2の支持軸22を介して支持体30に支持され、且つ、連結板25a、25bに連結される第2の把持板21a、21bの下端が離反及び接近する方向(概略Y方向)に揺動して開閉可能となっている。なお、
図1~
図5では、第2の把持板21a、21bが開いた状態を図示している。
【0022】
第2の付勢部材23は、本実施の形態ではトーションばねによって構成されている。第2の付勢部材23は、巻回されたコイル状部に第2の支持軸22が貫通され、コイル状部から延びる一対のアーム部(一方を不図示)が連結板25a、25bを介して第2の把持板21a、21bを開く方向に付勢する力を加えている。
【0023】
図3に示すように、第2の把持板21a、21bにおいて、被連結面部21aa、21baは、下端部が第1の把持部10よりX方向両側に大きく突出するように形成されている。そして、内向屈曲面部21ab、21bbは、上下方向(Z方向)中間部にてX方向両端側だけが下方に突出する二股状に形成されている。従って、内向屈曲面部21ab、21bbに連なる外向屈曲面部21ac、21bcは、第1の把持部10よりX方向両側に離れた位置にそれぞれ形成される。X方向両側の外向屈曲面部21ac、21bcには、第2の当接体24a、24bが相対するようにねじ止め固定されている。第2の当接体24a、24bは、第1の当接体14a、14bと同様に、円筒状をなすゴム等の弾性部材からなり、第2の把持部20で把持する物品W(
図7参照)に当接する部分となる。
【0024】
ここで、第1の把持部10の把持位置となる第1の当接体14a、14bは、第2の把持部20の把持位置となる第2の当接体24a、24bより上方となってZ方向の位置(高さ位置)が異なるように設けられる。
【0025】
また、把持機構1は、第1の把持部10及び第2の把持部20を開閉動作(把持駆動)させるための駆動機構(駆動部)40を更に備えている。駆動機構40は、支持体30に設けられている。駆動機構40は、支持体30が挿入される筒状の移動体41と、移動体41に装着された駆動源42(
図4参照)とを備えている。
【0026】
移動体41は、四角柱状の支持体30の側面に平行に位置する角筒状をなすよう、主として、4体の壁部を備えている。ここで、本実施の形態では、支持体30のX方向両側に位置して相対する一対の壁部を第1の壁部43、支持体30のY方向両側に位置して相対する一対の壁部を第2の壁部44とする。
【0027】
図4に示すように、第1の壁部43の上端部には、外方に突出する耳部43aが形成され、一方の第1の壁部43における耳部43aの上には、駆動源42が連結されている。駆動源42は、本体部42aから出力軸42bを進退させるエアシリンダ等により構成されている。駆動源42の本体部42aは支持体30の側面に固定され、出力軸42bの先端側は耳部43aに連結されている。出力軸42bは、支持体30の延出方向となるZ方向に進退動作可能に設けられ、この進退動作に応じて移動体41が支持体30に対し上下方向に相対移動可能となる。
【0028】
第1の壁部43の面内中央部には、上下方向に延びるスロット穴43bが形成されている。スロット穴43bの内部には第2の支持軸22の端部が挿入され、これにより、駆動源42の作動によって移動体41を駆動させたときに、移動体41の移動方向が上下方向と平行になるように案内される。
【0029】
第1の壁部43の下端部にはガイド面部43cが形成され、ガイド面部43cは下方に向かうに従って外側に傾斜している。また、ガイド面部43cに接触するように、第1の把持板11a、11bには板状をなす第1の調整部材45が装着されている。第1の調整部材45は、摩擦抵抗が少なくなるよう、PTFEによって表面処理が施された部材等によって形成されている。
【0030】
第1の調整部材45は、第1の付勢部材13の付勢力によってガイド面部43cに押し当てられている。この押し当てによって、ガイド面部43cから第1の付勢部材13の付勢力に抗する力が作用し、第1の把持板11a、11bの開放動作が規制される。このように押し当てられた状態で、移動体41が上下動作すると、第1の調整部材45がガイド面部43cと擦れ合い、それらの接触位置の変化に応じて第1の把持板11a、11bを開閉動作できるようになっている。
【0031】
図5に示すように、第2の壁部44の下端部にも、下方に向かうに従って外側に傾斜するガイド面部44cが形成されている。また、ガイド面部44cに接触するように、連結板25a、25bには板状をなす第2の調整部材46が装着されている。第2の調整部材46も第1の調整部材45と同様に、摩擦抵抗が少なくなるような処理或いは材質によって形成されている。
【0032】
第2の調整部材46は、第2の付勢部材23の付勢力によってガイド面部44cに押し当てられている。この押し当てによって、ガイド面部44cから第2の付勢部材23の付勢力に抗する力が作用し、第2の把持板21a、21bの開放動作が規制される。このように押し当てられた状態で、移動体41が上下動作すると、第2の調整部材46がガイド面部44cと擦れ合い、それらの接触位置の変化に応じて第2の把持板21a、21bが開閉動作される。
【0033】
このように、本実施の形態では、同一で単一となる駆動源42によって移動体41を移動し、この移動体41が移動することで、第1の把持板11a、11b及び第2の把持板21a、21bの両方に対して閉塞する方向の力を加えることができる。これにより、第1の把持板11a、11bが閉塞する方向に駆動すると同時に、第2の把持板21a、21bも閉塞する方向に駆動することができる。また、第1の把持部10及び第2の把持部20は、支持体30の一端側(下端側)に支持されつつ、近傍に位置する駆動機構40によって駆動される。従って、これらは単一のユニットとして構成され、かかるユニットに第1の把持部10及び第2の把持部20は組み込まれることとなる。
【0034】
続いて、第1の実施の形態の把持機構1が物品を把持する際の動作について、
図6から
図11を参照して説明する。
図6は、第1の実施の形態の把持機構が一の物品を把持した状態の概略斜視図であり、
図7は、他の物品を把持した状態の概略斜視図である。
図8は、第1の実施の形態の把持機構が一の物品を把持する直前状態を示す説明図であり、
図9は、一の物品を把持後の状態を示す説明図である。
図10は、第1の実施の形態の把持機構が他の物品を把持する直前状態を示す説明図であり、
図11は、他の物品を把持した後の状態を示す説明図である。
【0035】
ここで、
図6及び
図7に示すように、本実施の形態の把持機構1で把持する物品Wは2種類あり、両方とも包装されたおにぎりとしている。
図6に示す一方の物品Wは、正面視で三角形状のおにぎりを包装したもの(以下、便宜上「三角おにぎりW1」と称する)であり、上部の頂点からシート部W1aが突出するよう形成される。
図7に示す他方の物品は、おにぎりの形状は任意で包装となる袋形状が方形となったもの(以下、便宜上「袋おにぎりW2」と称する)であり、横方向両側が圧着や融着等によって恰も一枚厚のシート部W2aとして形成される。把持機構1で把持する前において、三角おにぎりW1のシート部W1aは、YZ平面と平行に向けられ、袋おにぎりW2のシート部W2aはZX平面と平行に向けられているものとする。先ず、三角おにぎりW1を第1の把持部10で把持する場合について以下に説明する。
【0036】
三角おにぎりW1を把持する前は、
図8に示すように、両方の把持部10、20が開いた状態とし、また、図示の向きに把持機構1を向けて第1の把持板11a、11b及び第2の把持板21a、21bの先端を下向きとする。この状態から、三角おにぎりW1を把持する場合は、不図示の搬送機構を介して把持機構1を三角おにぎりW1の上方に移動する。この移動において、第1の当接体14a、14bの概略中間点が三角おにぎりW1のシート部W1aの直上に位置するようX方向及びY方向にて位置合わせする。その後、第1の当接体14a、14bの間にシート部W1aが位置するように把持機構1を下降する。このとき、第2の把持部20の下端は、三角おにぎりW1の上端より低くなるが、かかる下端を形成する外向屈曲面部21ac、21bcが第1の把持部10に対してX方向に離れて位置するので、外向屈曲面部21ac、21bcや第2の当接体24a、24bと三角おにぎりW1との接触が回避される。
【0037】
図6に示した位置まで両方の把持部10、20を移動した後、駆動源42(
図4参照)を作動して移動体41を下降する。この下降によって、ガイド面部43cが第1の調整部材45を介して第1の把持板11a、11bが徐々に閉塞するよう押圧し、X方向にて第1の当接体14a、14bが相互に接近する方向に変位される。
【0038】
この閉塞時の動作を詳述すると、第1の調整部材45にて、第1の把持板11a、11bの主面部に対して傾斜する傾斜面45aと、ガイド面部43cとが擦れ合いながらガイド面部43cが下降することで、第1の把持板11a、11bを閉塞する方向に回動させる。そして、
図9に示すように、ガイド面部43cを含む移動体41が更に下降し、ガイド面部43cが傾斜面45aより下方に位置すると、第1の調整部材45にて第1の把持板11a、11bの主面部に平行な平行面45bが、第1の壁部43の内面に接触する。このとき、第1の把持板11a、11bの主面部がZ方向と平行に向けられた状態として、第1の把持板11a、11bの回動が停止され、
図6にも示すように、第1の当接体14a、14bでX方向から三角おにぎりW1のシート部W1aを挟み込んで把持する。これにより、第1の把持部10によって把持位置となるシート部W1aから三角おにぎりW1が吊り下げて把持される。
【0039】
次いで、袋おにぎりW2を第2の把持部20で把持する場合について以下に説明する。
【0040】
袋おにぎりW2を把持する前においても、
図10に示すように、両方の把持部10、20が開いた状態とし、また、図示の向きに把持機構1を向けて第1の把持板11a、11b及び第2の把持板21a、21bの先端を下向きとする。この状態から、袋おにぎりW2を把持する場合、不図示の搬送機構を介して把持機構1を袋おにぎりW2の上方に移動する。この移動において、袋おにぎりW2の両側のシート部W2aの上方にそれぞれ第2の当接体24a、24bが位置し、更に、第2の当接体24a、24bの概略中間点が袋おにぎりW2のシート部W2aの直上に位置するようX方向及びY方向にて位置合わせする。その後、第2の当接体24a、24bの間にシート部W2aが位置するように把持機構1を下降する。このとき、第1の当接体14a、14bが第2の当接体24a、24bより上方に位置するので、第1の当接体14a、14bを袋おにぎりW2の上端より高くしてそれらが接触することを回避することができる。なお、袋おにぎりW2の場合は、袋内の空気量やおにぎりのサイズにもよるが、若干の変形が許容される場合があり、この場合には、第1の把持板11a、11bで袋おにぎりW2を若干凹ませるように接触させてもよい。
【0041】
図10に示した位置まで把持機構1を移動した後、駆動源42(
図4参照)を作動して移動体41を下降する。この下降によって、ガイド面部44cが第2の調整部材46を介して第2の把持板21a、21bが徐々に閉塞するよう押圧し、Y方向にて第2の当接体24a、24bが相互に接近する方向に変位される。
【0042】
この閉塞時の動作を詳述すると、第2の調整部材46にて、連結板25a、25bの主面部に対して傾斜する傾斜面46aと、ガイド面部44cとが擦れ合いながらガイド面部44cが下降することで、第2の把持板21a、21bを閉塞する方向に回動させる。そして、
図11に示すように、ガイド面部44cを含む移動体41が更に下降し、ガイド面部44cが傾斜面46aより下方に位置すると、第2の調整部材46にて連結板25a、25bの主面部に平行な平行面46bが、第2の壁部44の内面に接触する。このとき、連結板25a、25bの主面部、第2の把持板21a、21bの被連結面部21aa、21ba及び外向屈曲面部21ac、21bcがZ方向と平行に向けられた状態として、第2の把持板21a、21bの回動が停止される。これにより、
図7にも示すように、第2の当接体24a、24bでY方向から袋おにぎりW2のシート部W2aを挟み込んで把持する。ここで、第2の当接体24a、24bは、第1の把持部10を挟んでY方向両側にそれぞれ位置し、袋おにぎりW2の両側のシート部W2aが第2の当接体24a、24bによってそれぞれ把持される。これにより、第2の把持部20によって把持位置となるシート部W2aから袋おにぎりW2が吊り下げて把持される。
【0043】
以上のように、第1の実施の形態において、第1の把持部10では第1の把持板11a、11bの下端が概略X方向に閉塞して三角おにぎりW1を把持し、第2の把持部20では第2の把持板21a、21bの下端が概略Y方向に閉塞して袋おにぎりW2を把持する。従って、第1の把持部10と第2の把持部20とでは、把持方向が上面視で直交する関係となって異なるようになる。これにより、単一の把持機構1によって把持される部分となるシート部W1a、W2aの向きが上面視で90°異なる三角おにぎりW1及び袋おにぎりW2を両方とも把持して搬送することができる。この結果、搬送前の状態で三角おにぎりW1及び袋おにぎりW2が混在していても、これらを両方とも搬送でき、搬送前の配列等についての制約を緩和し、自由度を高めて作業負担を軽減することができる。
【0044】
また、把持機構1にて上記のように把持できるので、把持方向が異なる把持機構を複数用意し、これら把持機構をおにぎりW1、W2に応じて交換して搬送する場合に比べ、交換のための作業負担を軽減し、搬送時間が長くならないようすることができる。また、搬送装置を複数台用意し、それぞれに装着される把持機構の向きが異なるように設定すれば、搬送時間が長くなることを抑制できるが、設備コストが上昇する上、搬送装置の設置スペースが広く必要となり、本実施の形態の方が設備上の負担を抑制できる点で有利となる。
【0045】
更に、第1の把持部10と第2の把持部20とでは、物品Wを把持する高さ位置が異なるので、三角おにぎりW1及び袋おにぎりW2のように把持する位置が中央一箇所となったり両側二箇所となったりしてX方向の位置が変化しても、両方に対応して把持することができる。このように対応し得ることによって、把持する物品Wの位置の制約を緩和でき、搬送装置を複数台用意する必要をなくして設備上の負担を抑制することができる。
【0046】
また、同一の駆動源42によって第1の把持部10と第2の把持部20との両方を駆動できるので、それぞれに駆動源を設ける場合に比べて構成の簡略化を図ることができる。また、単一の移動体41の往復移動を介して第1の把持板11a、11bと第2の把持板21a、21bとを同時に開閉することができるので、これによっても構成を簡略にすることができる。なお、駆動機構40を把持駆動した際に、駆動機構40の把持駆動完了時において、第1の把持部10と第2の把持部20とが把持状態となればよく、第1の把持部10と第2の把持部20との閉状態となるタイミングが一致しなくてもよい。
【0047】
更に、
図5に示すように、第2の把持板21a、21bは第1の把持板11a、11bをY方向から挟むように位置するが、第2の把持板21a、21bに内向屈曲面部21ab、21bbを形成したので、第2の把持部20の最大幅Lを小さくできる。これにより、複数台の把持機構1をY方向に並設した把持ユニットU(
図1参照)において、Y方向の単位長さ当たりにおける把持機構1の並設数を増やすことができる。この結果、一回の搬送動作によって把持できる物品数を増やすことができ、搬送効率の向上を図ることができる。
【0048】
続いて、把持機構1における振れ止め機構70について
図12から
図23を参照して説明する。
【0049】
図12は、第1の実施の形態における把持機構全体のZX面を切断面とした断面図である。
図12に示すように、振れ止め機構70は、X方向に並ぶ一対の押さえ部材71a、71bと、各押さえ部材71a、71bをZ方向(上下方向)に相対移動可能に支持するガイド部材76a、76bとを備えて構成されている。ここで、
図12にて右側に位置する押さえ部材71a及びガイド部材76aと、左側に位置する押さえ部材71b及びガイド部材76bとは左右対称な構造となっている。
【0050】
図13は、一方の押さえ部材及びガイド部材の概略斜視図であり、
図14は、
図13のYZ面を切断面とした断面図である。
図12~
図14に示すように、押さえ部材71a、71bは、Z方向(上下方向)に延びる丸棒上に形成された軸状部72a、72bと、軸状部72a、72bの下端にねじ73a、73b(
図13では不図示)を介して取り付けられた接触体74a、74bと、軸状部72a、72bの上端側に設けられた案内ピン75a、75bとを備えて構成されている。案内ピン75a、75bは、軸状部72a、72bからY方向両側に突出するように形成されている。なお、軸状部72a、72bは、下部固定板U3に形成された不図示の孔を貫通している。
【0051】
接触体74a、74bは傾斜面部74aa、74baを備え、かかる傾斜面部74aa、74baは、三角おにぎりW1(
図15、
図18参照)における上部頂点から山状に傾斜する傾斜上面と平行になる傾斜角に形成される。従って、傾斜面部74aa、74baは、三角おにぎりW1の傾斜上面に接触するときに、下面側が面接触するようになる。なお、傾斜面部74aa、74baの面内に形成される穴は、ねじ73a、73bを回転操作するスクリュードライバーを挿通させるためのものである。
【0052】
ガイド部材76a、76bは、Z方向に長尺となる鉛直壁部77a、77bと、鉛直壁部の上下両側に形成された取付壁部78a、78b(
図12では不図示)とを備えている。鉛直壁部77a、77bは、軸状部72a、72bのY方向両側に設けられ、面内には上下方向に延びるスロット穴77aa、77baが形成されている。スロット穴77aa、77baの内部には、案内ピン75a、75bの端部が挿入される。これにより、スロット穴77aa、77ba内にて案内ピン75a、75bの上下方向の相対移動が案内され、ひいては、ガイド部材76a、76bと押さえ部材71a、71bとの上下方向の相対移動がガイドされる。このとき、下部固定板U3に形成された孔(不図示)によって軸状部72a、72bの上下動がガイドされ、押さえ部材71a、71bが揺動しないようになっている。また、押さえ部材71a、71bに外力が加わらない状態では、押さえ部材71a、71bが自重で下降して案内ピン75a、75bがスロット穴77aa、77baの下端面に載置される。これにより、案内ピン75a、75bを含む押さえ部材71a、71bの下方移動が規制され、案内ピン75a、75bが抜け止めとして機能するようになる。また、案内ピン75a、75bがスロット穴77aa、77baの下端面に載置されたときの押さえ部材71a、71bの位置が下降限となる。取付壁部78a、78bには、ガイド部材76a、76bを中間固定板U2及び下部固定板U3(
図12に図示)に取り付けるためのねじ(不図示)が挿通される。
【0053】
図12に示すように、押さえ部材71a、71bは、第1の把持部10を挟むX方向両側に配置され、第2の把持部20の把持位置となる二箇所の第2の当接体24aの間に収まるように配置されている。具体的には、
図12の左右方向(X方向)において、第1の把持部10における右側の第1の当接体14aと、第2の把持部20における右側の第2の当接体24aとの間に右側の押さえ部材71aが配置される。また、第1の把持部10における左側の第1の当接体14bと、第2の把持部20における左側の第2の当接体24aとの間に左側の押さえ部材71bが配置される。更に、
図18に示すように、押さえ部材71a、71bは、第2の把持板21a、21bの間を通過するように配置される。押さえ部材71a、71bは、各把持部10、20との上下方向の相対移動によって、第1の把持部10及び第2の把持部20に接触しない大きさ及び形状に設けられている。
【0054】
続いて、第1の実施の形態の把持機構が物品を把持して搬送する際の振れ止め機構の動作について、
図15から
図23を参照して説明する。
図15は、第1の実施の形態の把持機構が一の物品を搬送する待機状態を示す説明図である。
図16は、第1の実施の形態の把持機構が一の物品を把持する直前の状態を示す説明図である。
図17は、第1の実施の形態の把持機構が一の物品を把持した直後の状態を示す説明図である。
図18は、第1の実施の形態の把持機構が一の物品を搬送中の状態を示す説明図である。
図19は、第1の実施の形態の把持機構が他の物品を搬送する待機状態を示す説明図である。
図20は、第1の実施の形態の把持機構が他の物品を把持する直前の状態を示す説明図である。
図21は、第1の実施の形態の把持機構が他の物品を把持した直後の状態を示す説明図である。
図22及び
図23は、第1の実施の形態の把持機構が他の物品を搬送中の状態を示す説明図である。なお、物品を把持する際の動作については、上記にて説明したので省略または簡略にする。先ず、三角おにぎりW1を第1の把持部10で把持して搬送する場合について以下に説明する。
【0055】
三角おにぎりW1を把持する前は、
図15に示すように、押さえ部材71a、71bが下降限となる位置に配置され、接触体74a、74bが第2の把持板21a、21bの先端(下端)より下方に配置される。この状態から、三角おにぎりW1を搬送する場合は、不図示の搬送機構を介して把持機構1を三角おにぎりW1より上方に所定距離隔てた位置に移動する。
【0056】
次いで、
図16に示すように、昇降シリンダ60の出力軸を進出し、第1の当接体14a、14bの間にシート部W1aが位置するところまで両方の把持部10、20が下降する。このとき、押さえ部材71a、71bが第2の把持板21a、21bの間から上方に抜け出るようになり、第1の当接体14a、14b及び第2の当接体24a、24bより上方に押さえ部材71a、71bが位置する。言い換えると、押さえ部材71a、71bの下方に第1の当接体14a、14b及び第2の当接体24a、24bが位置する。
【0057】
そして、
図17に示すように、第1の把持部10で三角おにぎりW1のシート部W1aを挟み込んで把持してから、
図18に示すように、昇降シリンダ60の出力軸を退行し、両方の把持部10、20及び第1の把持部10で把持された三角おにぎりW1を上昇動作する。すると、上昇の中途段階で押さえ部材71a、71bの接触体74a、74bが三角おにぎりW1の上面に当接して載置される。この接触後に更に上昇を進行することで、三角おにぎりW1を介して押さえ部材71a、71bが上昇し、このとき、押さえ部材71a、71bの自重が三角おにぎりW1に作用することとなる。この押さえ部材71a、71bの自重が三角おにぎりW1を下方に押さえる押さえ力となる。
【0058】
ところで、振れ止め機構70の作用を考察するため、比較構造として本実施の形態の構成から振れ止め機構70を省略した構成を考える。かかる構成では、三角おにぎりW1が第1の把持部10によるシート部W1aの把持だけによって保持される。シート部W1aは三角おにぎりW1の最上部にあり、この位置で第1の把持部10により把持することで、シート部W1aの把持位置を支点に三角おにぎりW1が振り子状に揺動し易くなる。特に、三角おにぎりW1は、シート部W1aがYZ面と平行になり、下部に向かってX方向の幅が大きくなる形状となるため、三角おにぎりW1の下方がX方向に往復動する方向に振れ動き易くなる。
【0059】
そこで、本実施の形態では、振れ止め機構70の押さえ部材71a、71bによって、三角おにぎりW1を下方に押さえ付けている。この押さえ付け位置は、第1の把持部10による把持位置を挟んでX方向両側となり、且つ、把持位置より下方であるので、X方向への揺動を良好に規制することができる。また、三角おにぎりW1のX方向両側に位置する傾斜上面に、接触体74a、74bの傾斜面部74aa、74baが面接触しつつ押さえ部材71a、71bの自重が作用するので、傾斜面部74aa、74baの間に三角おにぎりW1がくさびのように入り込む。従って、自重による下方向の力によって、横方向となるX方向の揺動をより良く規制できるようになる。
【0060】
次いで、袋おにぎりW2を第2の把持部20で把持して搬送する場合について以下に説明する。
【0061】
図19に示すように、袋おにぎりW2を把持する前においても、
図15に示した三角おにぎりW1を把持する際と同様に、両方の把持部10、20及び押さえ部材71a、71bが配置される。この状態から、袋おにぎりW2を搬送する場合、不図示の搬送機構を介して把持機構1を袋おにぎりW2より上方に所定距離隔てた位置に移動する。
【0062】
次いで、
図20に示すように、昇降シリンダ60の出力軸(不図示)を進出し、第2の当接体24a、24bの間にシート部W2aが位置するまで両方の把持部10、20を下降する。このとき、押さえ部材71a、71bが第2の把持板21a、21bの間から上方に抜け出て、第2の当接体24a、24bより上方に押さえ部材71a、71bが位置する。
【0063】
そして、
図21に示すように、第2の把持部20で袋おにぎりW2のシート部W2aを挟み込んで把持する。その後、
図22に示すように、昇降シリンダ60の出力軸を退行し、第2の把持部20及び第2の把持部20で把持された袋おにぎりW2を上昇動作する。すると、上昇の中途段階で押さえ部材71a、71bの接触体74a、74bが袋おにぎりW2の上端部に当接して載置され、更に上昇を進行することで、袋おにぎりW2と共に押さえ部材71a、71bも上昇する。
【0064】
図23に示すように、第2の把持部20で袋おにぎりW2を把持する場合、袋おにぎりW2のX方向両側にあるシート部W2aの二箇所位置で把持するので、三角おにぎりW1のようにX方向に揺動し難い把持態様となる。従って、押さえ部材71a、71bによるX方向の揺動規制が不要となり、袋おにぎりW2の把持を阻害しないように押さえ部材71a、71bを退避することが求められる。このため、本実施の形態では、把持した袋おにぎりW2の上昇によって押さえ部材71a、71bも上昇するようにし、
図23に示す状態にて、第2の把持部20の把持位置となる第2の当接体24a、24bより押さえ部材71a、71bが上方に配置される退避位置に移動するようにしている。このように、第2の把持部20での袋おにぎりW2の把持と、第1の把持部10での三角おにぎりW1の把持とで、押さえ部材71a、71bの高さ位置を変え、揺動を規制する押さえ力の有無を簡単に切り換えることができる。
【0065】
このような実施の形態によれば、三角おにぎりW1を搬送する加速度が大きくなったり急停止したりしても、第1の把持部10で吊り下げるように把持した三角おにぎりW1のX方向の揺動を押さえ部材71a、71bで押さえて規制することができる。これにより、三角おにぎりW1が搬送中に第1の把持部10から抜け出て落下することを防ぐことができる。また、搬送経路周りの部材等に三角おにぎりW1が接触することも回避でき、三角おにぎりW1を安定して良好に搬送することができる。また、第1の把持部10をX方向から挟む位置にて2体の押さえ部材71a、71bで三角おにぎりW1を押さえるので、X方向の揺動を確実に防ぐことができる。
【0066】
また、案内ピン75a、75bが上下に延びるスロット穴77aa、77baに挿入されることで、ガイド部材76a、76bと押さえ部材71a、71bとの上下方向の相対移動を案内することができる。更に、下部固定板U3に形成された孔(不図示)によって軸状部72a、72bの上下動がガイドされ、押さえ部材71a、71bが揺動しないようになる。しかも、昇降シリンダ60による両方の把持部10、20の上昇によって、把持された物品Wを介して押さえ部材71a、71bを上記のように上昇させることができる。つまり、搬送時に物品Wを昇降させる駆動源と、押さえ部材71a、71bを移動させる駆動源とを昇降シリンダ60が兼ね備えた構成とすることができ、モータやシリンダ等の機構を省略することができる。しかも、押さえ部材71a、71bの自重によって三角おにぎりW1に押さえ力を加えることができ、構成の簡略化を図ることができる。更には、三角おにぎりW1の形状に多少のばらつきがあっても、これに応じて押さえ部材71a、71bの高さが調整されつつ、押さえ力を押さえ部材71a、71bの自重として安定して付与することができる。
【0067】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について
図24~
図29を参照して説明する。なお、以下の説明において、第1の実施の形態と同一若しくは同等の構成部分については同一符号を用いる場合があり、説明を省略若しくは簡略にする場合がある。
【0068】
図24は、第2の実施の形態の把持ユニットの概略斜視図である。
図25は、
図24の側面図である。第2の実施の形態では、第1の実施の形態に対し、把持機構1における振れ止め機構70、170の構成を変更している。第2の実施の形態における振れ止め機構170では、接触体174の下端が半球状に形成され、ガイド部材176が下部固定板U3の上面に突出するように設けられている。
【0069】
図26は、第2の実施の形態における把持機構全体のZX面を切断面とした断面図である。
図27A~
図27Cは、振れ止め機構のYZ面を切断面とした断面図であり、動作要領の説明図である。振れ止め機構170は、
図26に示すように、X方向に並ぶ一対の押さえ部材171を備え、各押さえ部材171をZ方向(上下方向)に相対移動可能に支持するガイド部材176も備えている。ここで、
図26にて右側に位置する押さえ部材171及びガイド部材176と、左側に位置する押さえ部材171及びガイド部材176とは、同一となる構造が採用される。
【0070】
押さえ部材171は、Z方向(上下方向)に延びる円柱(丸棒)状に形成された軸状部172と、軸状部172の下端に取り付けられておにぎり等の物品W(
図28参照)に接触する部分を形成する接触体174とを備えている。接触体174は、内部に軸状部172の下端が挿入される円筒状部174aと、円筒状部174aの下端に連なって下方に膨出する半球状部174bとを備えた形状に形成されている。接触体174は、特に限定されるものでないが、ゴムや合成樹脂等の弾性変形可能な素材によって形成される。円筒状部174aは、その内径を軸状部172の外径より若干小さくすることで、軸状部172が圧入されて装着されるようにしてもよいし、接着やねじ止め等によって軸状部172に装着されるようにしてもよい。接触体174においては、三角おにぎりW1(
図28参照)における上部頂点から山状に傾斜する傾斜上面に接触するときに、半球状部174bが概略点状に接触するようになる。
【0071】
図27Aに示すように、軸状部172の上端には、ねじ175が設けられている。ねじ175の頭部は、軸状部172の外径より大きい直径寸法に形成されている。従って、ねじ175の頭部は、軸状部172からフランジ状に突出しており、後述のようにガイド部材176での抜け止めとして機能する。なお、軸状部172は、下部固定板U3に形成された孔を貫通している。
【0072】
ガイド部材176は、内部に軸状部172が挿通されるリニアブッシュ177と、リニアブッシュ177を下部固定板U3に固定する固定具178とを備えている。リニアブッシュ177では、軸状部172との上下方向の相対移動が案内され、これにより、ガイド部材176と押さえ部材171との上下方向の相対移動がガイドされる。また、リニアブッシュ177では、軸状部172の上下移動を直線的に案内し、押さえ部材171が揺動することを規制している。更に、リニアブッシュ177は、押さえ部材171が軸状部172の軸回りに回転することを規制せず、当該軸回りに回転可能に支持している。リニアブッシュ177を用いることによって、ガイド部材176の上下寸法を短縮しつつ、構造の簡略化、軽量化を図ることができる。
【0073】
固定具178は、リニアブッシュ177を上から覆うように形成され、Y方向両側で下部固定板U3にねじ止め固定されている。固定具178の上面には、軸状部172が挿通される孔が形成されており、この孔の内径は、ねじ175の頭部の外径より小さく設定される。従って、押さえ部材171に外力が加わらずに自重で下降することで、ねじ175の頭部が固定具178の上面に載置され、ねじ175を含む押さえ部材171の下方移動が規制される。
【0074】
第1の把持部10及び第2の把持部20に対し、
図26にて右側に位置する押さえ部材171及び左側に位置する押さえ部材171の位置関係は、
図12及び
図26等に示すように、第1の実施の形態の押さえ部材71a、71bの位置関係と同様となる。よって、かかる位置関係について、ここでは説明を省略する。
【0075】
続いて、第2の実施の形態の振れ止め機構による作用について、
図26~
図29を参照して説明する。
図28は、第2の実施の形態の把持機構が一の物品を把持して揺動を規制した状態を示す説明図である。
図29は、第2の実施の形態の把持機構が他の物品を把持した状態を示す説明図である。
図26及び
図27Aに示すように、把持機構1で三角おにぎりW1を把持していない状態では、ねじ175の頭部が固定具178の上面に載置され、押さえ部材171が下降限となる位置に配置される。
【0076】
この状態から三角おにぎりW1を搬送する場合には、第1の実施の形態にて
図16~
図18を用いて説明したように、第1の把持部10で三角おにぎりW1を把持して上昇動作する。この上昇動作で、接触体174が三角おにぎりW1の上面に接触し、接触後に更に上昇を進行することで、
図27B及び
図28に示すように、三角おにぎりW1を介して押さえ部材171が上昇する。これにより、一対の押さえ部材171の自重が三角おにぎりW1に作用し、三角おにぎりW1を下方に押さえる押さえ力となる。
【0077】
このように一対の押さえ部材171で三角おにぎりW1を押さえることで、第1の実施の形態と同様にして、三角おにぎりW1のX方向への揺動を良好に規制することができる。また、接触体174の下半部を半球状部174bとしたので、三角おにぎりW1のサイズや傾斜上面の勾配等が変わっても、当該傾斜上面に概略点状に接触することを安定して保つことができ、三角おにぎりW1の形状変化に柔軟に対応することができる。しかも、軸状部172の軸回りにおける押さえ部材171の回転によって、接触体174の三角おにぎりW1に対する接触体174の相対位置が変化しなくなり、それらの接触位置を一定に保つことができる。これにより、軸回りでの押さえ部材171の向きの制約をなくし、当該向きを固定或いは調整する構成もなくすことができる。この結果、三角おにぎりW1のX方向の揺動を安定して規制しつつ、押さえ部材171を支持するガイド部材176の構成の簡略化を図ることが可能となる。
【0078】
袋おにぎりW2を搬送する場合には、第1の実施の形態にて
図20~
図23を用いて説明したように、第2の把持部20で袋おにぎりW2を把持して上昇動作する。この上昇動作で、接触体174が袋おにぎりW2の上面に接触し、接触後に更に上昇を進行することで、
図27C及び
図29に示すように、袋おにぎりW2を介して押さえ部材171が上昇する。把持した袋おにぎりW2の上昇によって押さえ部材171も上昇し、第2の把持部20の把持位置となる第2の当接体24a、24bより押さえ部材171が上方となる退避位置に移動する。なお、第2の実施の形態の袋おにぎりW2のシート部W2aが上方に形成され、
図29に示すように把持した状態で第1の把持板11a、11bでシート部W2aを若干凹ませるようにしてもよい。このように、第2の実施の形態においても、第2の把持部20での袋おにぎりW2の把持と、第1の把持部10での三角おにぎりW1の把持とで、押さえ部材171の高さ位置を変え、揺動を規制する押さえ力の有無を簡単に切り換えることができる。
【0079】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について
図30~
図37を参照して説明する。なお、以下の説明において、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同一若しくは同等の構成部分については同一符号を用いる場合があり、説明を省略若しくは簡略にする場合がある。
【0080】
図30は、第2の実施の形態における把持機構全体のZX面を切断面とした断面図であり、
図31は、
図30の部分拡大図である。第3の実施の形態では、第2の実施の形態に対し、把持機構1における駆動部40、240及び振れ止め機構170、270の構成を変更し、駆動部240によって把持部10、20だけでなく振れ止め機構270の押さえ部材271を動作させるようにしている。なお、第3の実施の形態では、第1の実施の形態及び第2の実施の形態の昇降シリンダ60(
図1参照)が省略され、昇降シリンダ60による昇降動作を、把持ユニットUが装着される移動機構(不図示)によって行われる。
【0081】
X方向に並ぶ一対の押さえ部材271の軸状部272は、第2の実施の形態の軸状部172(
図26参照)に比べて上方に延長するように形成されている。軸状部272の長さについては後述する。また、駆動部240における耳部243aは、第1の実施の形態の耳部43a(
図4参照)に比べて外方に延長するように形成されている。耳部243aには、軸状部272が挿通される孔が形成されており、この孔の内径は、軸状部272上部におけるねじ275の頭部の外径より小さく設定される。従って、押さえ部材271に外力が加わらずに自重で下降することで、ねじ275の頭部が耳部243aの上面に載置され、ねじ275を含む押さえ部材271の下方移動が規制される。
【0082】
ここで、第3の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、移動体41を構成する耳部243aが駆動部240における出力軸42bに連結され、出力軸42bの進退動作に応じて移動体41が上下方向に移動可能となる。そして、
図32及び
図33に示すように、出力軸42b及び移動体41の下降動作によって、第1の把持板11a、11bが閉塞動作(把持動作)される。この移動体41の下降動作にて、耳部243aに載置される押さえ部材271も下降動作され、第1の把持板11a、11bの閉塞動作と押さえ部材271の下降動作とが同一の駆動源42で同時に実施可能となる。
【0083】
また、第1の把持板11a、11bが閉塞した状態から、出力軸42b及び移動体41を上昇動作することで、第1の把持板11a、11bが開放され、耳部243aに押さえ部材271が載置されている場合には押さえ部材271も上昇動作される。なお、出力軸42b及び移動体41の上下動作で第1の把持板11a、11bが開閉動作する際、第2の把持板21a(第2の把持板21bは不図示)も開閉動作される。
【0084】
続いて、第3の実施の形態の振れ止め機構の動作について、
図34を参照して説明する。
図34A~
図34Cは、第3の実施の形態における把持機構のZX面を切断面とした一部断面図であり、動作要領の説明図である。
図34Aに示すように、第1の把持部10で三角おにぎりW1を把持していない状態では、ねじ275の頭部が耳部243aの上面に載置され、押さえ部材271が下降限となる位置に配置される。
【0085】
この状態から三角おにぎりW1を搬送する場合、本実施の形態では、第1の当接体14a、14bに非接触でそれらの間にシート部W1aが位置するところまで、把持ユニットU全体が移動機構(不図示)によって下降される。このとき、第1の当接体14a、14bは三角おにぎりW1のシート部W1aを把持可能な高さに位置する。また、駆動部240の出力軸42b及び移動体41が上昇しているので、押さえ部材271の接触体174は、第1の当接体14a、14bの下方であって、三角おにぎりW1の上面に当接しない位置(以下、「非当接位置」とする)に配置される。言い換えると、押さえ部材271の軸状部272の長さは、ねじ275の頭部が耳部243aの上面に載置され、第1の把持部10が三角おにぎりW1を把持しない状態のときに、接触体174がおにぎりWの上面に当接しないように設定される。
【0086】
この状態から、
図34Bに示すように、駆動部240の出力軸42b及び移動体41が下降されると、第1の把持部10が三角おにぎりW1を把持する状態に動作、つまり閉塞動作(把持動作)される。これにより、第1の当接体14a、14bが相互に接近して三角おにぎりW1のシート部W1aに当接して挟み込む。
【0087】
このとき、移動体41の下降に応じて押さえ部材271も三角おにぎりW1との非当接位置から下降動作される。この下降動作の中途段階で、接触体174が三角おにぎりW1の上面に当接して載置される。かかる当接後も移動体41の下降が進行されてねじ275が耳部243aの上面から離れ、押さえ部材271の自重が三角おにぎりW1に作用し、三角おにぎりW1を下方に押さえる押さえ力となる。言い換えると、押さえ部材271の軸状部272の長さは、
図34Bに示す状態で押さえ部材271の自重が三角おにぎりW1に作用するように設定される。従って、押さえ部材271は、
図34Cに示すように、三角おにぎりW1を把持せずに第1の把持部10が閉塞するまで駆動部240を駆動させたときの下降限にて、ねじ275が耳部243aに載置され、且つ、
図34Bに示す状態より低くなるように設定される。
【0088】
このように一対の押さえ部材271で三角おにぎりW1を押さえることで、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同様にして、三角おにぎりW1のX方向への揺動を良好に規制することができる。また、駆動部240にて移動体41を動作することで、第1の把持部10で三角おにぎりW1を把持するタイミングで、押さえ部材271を下降して三角おにぎりW1を下方に押さえ、X方向への揺動を規制することができる。
【0089】
ここで、第3の実施の形態における作用、効果を、
図35~
図37を参照して以下に説明する。
図35~
図37は、第3の実施の形態の把持機構を備えた把持ユニットによる物品の搬送動作の説明図である。例えば、
図35に示すように、把持ユニットUの8体の把持機構1中、同図の右から2番目の把持機構1で既に三角おにぎりW1(以下、「把持済おにぎりW1」とする)が把持された状態とする。また、1番右側の把持機構1の真下にはケース(番重)Cに他の三角おにぎりW1(以下、「未把持おにぎりW1」とする)が収容された状態とする。
【0090】
このような状態から、
図36に示すように、ケースCに把持済おにぎりW1を収容する場合、或いは、ケースCから未把持おにぎりW1を搬出する場合、把持ユニットUが下降されて把持済おにぎりW1がケースCの底部に載置される。このとき、把持ユニットUにて三角おにぎりW1を把持していない把持機構1は、第1の把持部10がシート部W1aを把持し得るように開放位置とされ、これに伴って押さえ部材271も三角おにぎりW1に対して非当接位置とされる(
図37参照)。なお、
図37は、
図36を矢印A方向から見た図であり、該A方向で1番手前(
図36で1番右側)の把持機構1における押さえ部材271が三角おにぎりW1に対して非当接位置であり、第1の把持部10が開放した状態となっている。三角おにぎりW1に押さえ部材271が載置され、第1の把持部10が閉塞して図示された状態の把持機構1は、A方向で手前から2番目(
図36で右から2番目)の把持機構1である。このように、把持ユニットUの下降によって、ケースC内の未把持おにぎりW1に押さえ部材271が接触することを回避することができ、未把持おにぎりW1に対して無駄な外力や負荷が加わることを防止することができる。
【0091】
図34Bに戻り、三角おにぎりW1を把持した状態から、その把持を解除すべく第1の把持部10を開放すると、これと同時に押さえ部材271が三角おにぎりW1から離れて退避するようになる。これにより、第1の把持部10が三角おにぎりW1を把持せずに開放した状態であり、把持することを待機した状態では、
図37に示すように、押さえ部材271が三角おにぎりW1に対して接触しないよう配置することができる。
【0092】
また、本発明の実施の形態は上記の各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、本発明の技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【0093】
上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態における各昇降シリンダ60は省略してもよく、この場合、昇降シリンダ60による昇降動作を、把持ユニットUが装着されるロボットアーム等で行ってもよい。この場合、各把持部10、20を物品Wに接近する動作によって、ガイド部材76a、76b、176を介し押さえ部材71a、71b、171の自重による押さえ力を物品Wに付与させる。
【0094】
また、第1の実施の形態において、ガイド部材76a、76bにより案内される押さえ部材71a、71bの動作は、上下方向に直線的な動作に限定されず、当該動作に替えて、或いは当該動作と共に押さえ部材71a、71bを回転変位させる動作を行ってもよい。
【0095】
また、接触体74a、74bは、
図38に示す形状に代替してもよい。
図38の接触体74a、74bは、傾斜面部74aa、74baをY方向に延長して、三角おにぎりW1のY方向幅に対応する幅寸法に形成されている。そして、傾斜面部74aa、74baのY方向両側にX方向内向きに突出する突出片部74ab、74bbを形成している。突出片部74ab、74bbは、傾斜面部74aa、74baが三角おにぎりW1に当接したときに、三角おにぎりW1のY方向両側に配置される。これにより、押さえ部材71a、71bで押さえ力を加えたときに、突出片部74ab、74bbで三角おにぎりW1のY方向の揺動を規制することができる。
【0096】
上記各実施の形態では、把持する物品Wをおにぎりとしたが、把持機構1によって把持できる物品であれば何ら限定されるものでない。例えば、サンドイッチやパン、弁当等の他の食品としたり、箱やトレイによって梱包されたものとしてもよい。これら物品を複数とし、少なくとも把持される部分の向きや位置、形状が異なっていても、把持機構1では、これに応じて複数の把持部で物品を保持する。
【0097】
また、上記各実施の形態では、第1の把持部10及び第2の把持部20の把持方向が直交するようにしたが、それぞれの把持方向が異なっている限りにおいて、例えば60°や45°にする等、種々の変更が可能である。この場合、支持体30及び移動体41の平面形状を四角から平行四辺形にしたりすることで、2つの把持部10、20の把持方向のなす角度を変えることができる。
【0098】
また、上記各実施の形態では、複数の把持部として第1の把持部10及び第2の把持部20を備えた構成としたが、他の物品を把持可能な第3の把持部を更に増設する等、把持部を3つ以上設けてもよい。この場合、複数の把持部のうちの2つが上述した各実施の形態のように機能すればよい。第3の把持部としては、支持体30及び移動体41の平面形状を例えば六角形状にし、相対する一対の辺に応じて把持部を設けることで、第1ないし第3の把持部を設けることができる。また、上記各実施の形態にて、把持部として第2の把持部20を省略して第1の把持部10が単一で設けられた把持機構1としてもよい。
【0099】
また、把持部としては、上記のように物品を挟持する構成の他、物品の外周面を吸着して保持する吸着パッドを備えた構成としてもよい。吸着パッドは負圧発生装置に連通して負圧を生じさせ、物品の外面を真空吸着することで物品を把持可能となる。このときの把持部の把持方向は、吸着される物品の外周面に直交する方向となる。この場合、吸着方向は鉛直方向とするなど、他の把持部による挟持方向と異なる方向に吸着することがより望ましい。
【0100】
また、上記各実施の形態におけるねじ止め固定は、接着やリベット止めにする等、ねじ止めと同様に固定状態を維持できる限りにおいて変更してもよい。
【0101】
また、上記各実施の形態では、一の物品と他の物品を異なる形状の物品として説明したが、物品の輸送形態(向き、位置など)が異なる状態の同一形状物品を、一の物品と他の物品として扱ってもよい。この場合、縦向きと横向きが混在するなど、物品の向きが完全に統一されていない場合でも、確実に目的の物品を把持することができる。
【0102】
また、上記各実施の形態では、複数の把持機構1によって把持ユニットUを形成した場合を説明したが、単体の把持機構1をロボットアーム等に装着して利用してもよい。
【0103】
また、上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態では、ガイド部材76a、76b、176を介し押さえ部材71a、71b、171の自重による押さえ力を物品Wに作用させたが、自重に替え或いは自重に加えて付勢手段によって押さえ力を作用させてもよい。付勢手段としては、コイルばね等の弾性部材によって押さえ部材71a、71b、171を下方に付勢し、シリンダやリニアモータによって押さえ部材71a、71b、171を上方に退避させる構成を例示できる。かかる構成は、中間固定板U2の上面側に設置するとよい。
【符号の説明】
【0104】
1 把持機構
10 第1の把持部
11a 当接体
11b 当接体
20 第2の把持部
60 昇降シリンダ(昇降手段)
70 振れ止め機構
71a 押さえ部材
71b 押さえ部材
76a ガイド部材
76b ガイド部材
170 振れ止め機構
171 押さえ部材
176 ガイド部材
177 リニアブッシュ
240 駆動部
270 振れ止め機構
271 押さえ部材
W 物品
W1 三角おにぎり(物品)
W1a シート部
W2 袋おにぎり(物品)
W2a シート部