(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/20 20060101AFI20220809BHJP
G05G 1/04 20060101ALI20220809BHJP
G05G 5/03 20080401ALI20220809BHJP
B66C 13/52 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
E02F9/20 K
E02F9/20 M
G05G1/04 Z
G05G5/03 A
B66C13/52 B
(21)【出願番号】P 2018051029
(22)【出願日】2018-03-19
【審査請求日】2020-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 精一
(72)【発明者】
【氏名】高村 玲央奈
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-184131(JP,A)
【文献】特開平11-210015(JP,A)
【文献】国際公開第2014/054194(WO,A1)
【文献】特開昭62-185932(JP,A)
【文献】国際公開第2017/043112(WO,A1)
【文献】特開2005-105582(JP,A)
【文献】特開平10-157983(JP,A)
【文献】特開2016-094106(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0073935(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/20
G05G 1/04
G05G 5/03
B66C 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、当該下部走行体に旋回可能に設けられた上部旋回体と、当該上部旋回体に回動自在に連結された作業装置と、当該作業装置の先端に連結されたアタッチメントと、前記下部走行体、前記上部旋回体、前記作業装置および前記アタッチメントを操作する操作部とを備えた建設機械において、
当該建設機械は、前記操作部および当該操作部を操作する操作者の身体に接触する接触部の少なくとも一方に、振動を与える振動発生装置と、指定された前記建設機械の特定部位の目標位置及び目標姿勢のうち少なくとも一方の時系列を表わす目標状態軌道を記憶する記憶部と、を備え、
当該建設機械の前記特定部位の位置および姿勢のうち少なくとも一方、または当該位置および当該姿勢のうち少なくとも一方の時系列を表わす状態軌道が、前記目標状態軌道に対する所定の複数の条件のそれぞれに対応しているときに、所定の複数の条件毎に設定された複数の異なる振動パターンのそれぞれにしたがって前記振動発生装置を振動させる制御装置を備え、
前記制御装置は、前記複数の異なる振動パターンのうち、前記建設機械の形態
を表す指標値及び、前記目標状態軌道の関係に応じて定まる一の振動パターンにしたがって、振動発生装置を振動させる
ことを特徴とする建設機械。
【請求項2】
請求項1に記載の建設機械であって、
当該建設機械は、外界状態を検知する外界状態検知部と、当該外界状態検知部の検知結果に応じて前記目標状態軌道を生成する目標状態軌道生成部と、を備えていることを特徴とする建設機械。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の建設機械であって、
前記所定の複数の条件のそれぞれは、前記特定部位が前記目標状態軌道から所定の距離内であるという条件を含み、
前記複数の異なる状況のそれぞれは、前記特定部位から前記目標状態軌道までの複数の異なる距離範囲のそれぞれに含まれているという状況を含むことを特徴とする建設機械。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項記載の建設機械であって、
前記所定の複数の異なる振動パターンは、前記アタッチメントの前記目標位置までの距離が小さくなるにつれて、前記振動発生装置による振動の周波数が大きくなる、又は、前記振動の振幅が大きくなることを特徴とする建設機械。
【請求項5】
請求項1に記載の建設機械であって、
前記制御装置が、前記操作部による少なくとも前記上部旋回体の目標操作状態の時系列を含み、かつ、第1所定時点において前記特定部位としての前記アタッチメントの運動を停止させるような前記目標状態軌道を生成する場合、前記上部旋回体が旋回中に前記上部旋回体の旋回停止指示があった時点から前記アタッチメントが停止するまでの予測所要時間に基づき、前記第1所定時点よりも前の第2所定時点において前記上部旋回体の旋回停止指示を出すような前記目標操作状態を含む前記目標状態軌道を生成することを特徴とする建設機械。
【請求項6】
請求項5記載の建設機械であって、
前記所定の複数の条件のそれぞれは、現在時点が前記第2所定時点よりも前にある複数の異なる時間範囲のそれぞれに含まれているという条件であることを特徴とする建設機械。
【請求項7】
請求項6記載の建設機械であって、
前記所定の複数の異なる振動パターンは、前記第2所定時点に近い前記複数の異なる時間範囲のうち、現在時点が前記第2所定時点に近い時間範囲に含まれるほど、前記振動発生装置による振動の周波数が大きくなる、又は、前記振動の振幅が大きくなることを特徴とする建設機械。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項記載の建設機械であって、
前記振動発生装置は、前記操作部のグリップに設けられていることを特徴とする建設機械。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項記載の建設機械であって、
前記振動発生装置は、前記操作部の操作レバーに着脱可能であることを特徴とする建設機械。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項記載の建設機械であって、
前記振動発生装置は、アームレストに設けられていることを特徴とする建設機械。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項記載の建設機械であって、
前記所定の複数の条件のそれぞれおよび前記複数の異なる振動パターンのそれぞれは、変更可能又は調整可能であることを特徴とする建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業装置及びアタッチメントの駆動を操作する操作部に対して、操作を教示して操作性を向上させる建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベル等の建設機械による作業は、操作室の操作者が操作レバー等を操作することで行われる。作業時に、アタッチメントを目標軌道に沿って移動させると効率的に作業を行うことができ操作性が向上するので好ましい。
【0003】
アタッチメントを目標軌道に沿って移動させる方法として、操作者とは異なる機構によってアタッチメントが目標軌道に沿って移動するように、ブーム、アーム及びアタッチメント等の操作レバーの操作量を教示する方法がある。このような、操作者とは異なる機構によってアタッチメントが目標軌道に沿って移動するように操作レバーの操作量を教示する建設機械が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-9432号公報
【文献】国際公開第2015/173935号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の建設機械は、アタッチメント等の作業目標面を設定する設定手段と、操作レバーの操作によりアタッチメンが作業目標面に接近する場合にアタッチメントの作業目標面への接近の度合いと動作方向に応じて、作業目標面に沿った動作となるように操作レバーに補助力を発生して操作を操作者に教示する電磁アクチュエータと、を備えている。
【0006】
操作者が操作レバーによりアタッチメント等を操作し、アタッチメントが作業目標面から外れそうになると、建設機械はアタッチメントが作業目標面に近づくように電磁アクチュエータにより操作レバーに補助力を発生することで操作を教示するものである。
【0007】
特許文献2の建設機械は、当該建設機械の現在位置及び姿勢の情報を検出する車両状態検出部と、作業対象の目標面に位置情報を規則する記憶部と、アタッチメントの刃先の方向を含む情報及び目標面と直交する方向を含む情報等に基づいてアタッチメントの刃先が目標面と正対するために必要な建設機械の動作量を示す目標動作情報を求めて、目標動作情報に対応する画像を表示装置に表示する処理部と、音声発生装置と、を備えている。
【0008】
処理部は、目標面に対するアタッチメントの刃先の位置を表示装置に表示し、アタッチメントの刃先ベクトルと目標面とが平行に近くになるにしたがって音声発生装置から発生する音の間隔を短くすることで操作を教示するものである。
【0009】
しかし、特許文献1では、電動アクチュエータの補助力によって操作レバーが直接動かされるため操作者が煩わしく感じることがある。また、特許文献2では、操作者が直接アタッチメント先端を目視しているときに表示装置を見ると視線が途切れてしまい好ましくない場合があり、音声発生装置による音が作業現場の騒音で聞きづらい場合があるため、操作の教示手段に改善の余地がある。
【0010】
本発明は、以上の点に鑑み、操作者の視線が途切れたり、教示音が聞きづらくなったりすることなく、且つ、操作レバー動作の煩わしさも低減し、操作者に確実に操作を教示して操作性を向上させることができる建設機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[1]上記目的を達成するため、本発明の建設機械は、
下部走行体と、当該下部走行体に旋回可能に設けられた上部旋回体と、当該上部旋回体に回動自在に連結された作業装置と、当該作業装置の先端に連結されたアタッチメントと、前記下部走行体、前記上部旋回体、前記作業装置および前記アタッチメントを操作する操作部とを備えた建設機械において、
当該建設機械は、前記操作部および当該操作部を操作する操作者の身体に接触する接触部の少なくとも一方に、振動を与える振動発生装置と、指定された前記建設機械の特定部位の目標位置及び目標姿勢のうち少なくとも一方の時系列を表わす目標状態軌道を記憶する記憶部と、を備え、
当該建設機械の前記特定部位の位置および姿勢のうち少なくとも一方、または当該位置および当該姿勢のうち少なくとも一方の時系列を表わす状態軌道が、前記目標状態軌道に対する所定の複数の条件のそれぞれに対応しているときに、所定の複数の条件毎に設定された複数の異なる振動パターンのそれぞれにしたがって前記振動発生装置を振動させる制御装置を備え、
前記制御装置は、前記複数の異なる振動パターンのうち、前記建設機械の形態を表す指標値及び、前記目標状態軌道の関係に応じて定まる一の振動パターンにしたがって、振動発生装置を振動させる
ことを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、建設機械は、下部走行体、上部旋回体、作業装置、アタッチメント、操作部および接触部の少なくとも一方に、振動を与える振動発生装置と、指定された建設機械の特定部位の目標位置及び目標姿勢のうち少なくとも一方の時系列を表わす目標状態軌道を記憶する記憶部とを備えている。制御装置によって、当該建設機械の特定部位の位置および姿勢のうち少なくとも一方、または当該位置および当該姿勢のうち少なくとも一方の時系列を表わす状態軌道が、目標状態軌道に対する所定の複数の条件のそれぞれに対応しているときに、所定の複数の条件毎に設定された複数の異なる振動パターンのそれぞれにしたがって振動発生装置を振動させるので、操作者の視線が途切れたり、教示音が聞きづらくなったりすることない。さらに、例えば操作レバーは、振動するだけで、補助力によって動くわけではないので、操作レバー動作の煩わしさも低減し、操作者に確実に操作を教示して操作性を向上させることができる。
【0013】
[2]また、本発明においては、当該建設機械は、外界状態を検知する外界状態検知部と、当該外界状態検知部の検知結果に応じて前記目標状態軌道を生成する目標状態軌道生成部と、を備えていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、外界状態検知部によって外界状態を検知し、当該外界状態検知部の検知結果に応じて目標状態軌道生成部が目標状態軌道を生成するので、外界状況が変化しても、操作者に確実に操作を教示して操作性を向上させることができる。
【0015】
[3]また、本発明においては、前記所定の複数の条件のそれぞれは、前記特定部位が前記目標状態軌道から所定の距離内であるという条件を含み、
前記複数の異なる状況のそれぞれは、前記特定部位から前記目標状態軌道までの複数の異なる距離範囲のそれぞれに含まれているという状況を含むことが好ましい。
【0016】
この構成によれば、特定部位の目標状態軌道からの距離範囲に応じて、操作部および接触部の少なくとも一方が振動するので、特定部位を目標位置まで最適に近い軌道で誘導することができ、操作性を向上させることができる。
【0017】
[4]また、本発明においては、前記所定の複数の異なる振動パターンは、前記アタッチメントの前記目標位置までの距離が小さくなるにつれて、前記振動発生装置による振動の周波数が大きくなる、又は、前記振動の振幅が大きくなることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、所定の複数の異なる振動パターンは、アタッチメントの目標位置までの距離が小さくなるにつれて、振動発生装置による振動の周波数が大きくなる又は振動の振幅が大きくなるので、操作者は、振動または振幅の変化によってアタッチメントの目標位置までの距離を知覚することができる。
【0019】
[5]また、本発明においては、前記制御装置が、前記操作部による少なくとも前記上部旋回体の目標操作状態の時系列を含み、かつ、第1所定時点において前記特定部位としての前記アタッチメントの運動を停止させるような前記目標状態軌道を生成する場合、前記上部旋回体が旋回中に前記上部旋回体の旋回停止指示があった時点から前記アタッチメントが停止するまでの予測所要時間に基づき、前記第1所定時点よりも前の第2所定時点において前記上部旋回体の旋回停止指示を出すような前記目標操作状態を含む前記目標状態軌道を生成することが好ましい。
【0020】
この構成によれば、上部旋回体の旋回速度と、少なくとも作業装置の姿勢と、に応じて定まる、上部旋回体に生じる慣性モーメントおよび/または上部旋回体が油圧式アクチュエータにより旋回駆動される場合には当該油圧アクチュエータの応答遅れ時間としての予測所要時間に基づき第1所定時点よりも前の第2所定時点において上部旋回体の旋回停止指示を出すような目標操作状態を含む目標状態軌道を生成するので、アタッチメントを目標位置で停止し易くすることができる。
【0021】
[6]また、本発明においては、前記所定の複数の条件のそれぞれは、現在時点が前記第2所定時点よりも前にある複数の異なる時間範囲のそれぞれに含まれているという条件であることを特徴とすることが好ましい。
【0022】
この構成によれば、所定の複数の条件のそれぞれは、現在時点が前記第2所定時点よりも前にある複数の異なる時間範囲のそれぞれに含まれているので、アタッチメントを目標位置でより停止し易くすることができる。
【0023】
[7]また、本発明においては、前記所定の複数の異なる振動パターンは、前記第2所定時点に近い前記複数の異なる時間範囲のうち、現在時点が前記第2所定時点に近い時間範囲に含まれるほど、前記振動発生装置による振動の周波数が大きくなる、又は、前記振動の振幅が大きくなることが好ましい。
【0024】
この構成によれば、現在時点が第2所定時点に近い時間範囲に含まれるほど、振動発生装置による振動の周波数が大きくなる、又は、振動の振幅が大きくなるので、操作者は、振動または振幅の変化によってアタッチメントを目標位置で停止させるための操作感覚を段階的に知覚することができる。
【0025】
[8]また、本発明においては、前記振動発生装置は、前記操作部のグリップに設けられていることが好ましい。
【0026】
この構成によれば、振動発生装置は操作部のグリップに設けられているので、操作者が手でつかむ操作部のグリップを介して確実に操作者に知覚させ、視線を途切らせたり煩わしさを与えたりすることなく操作を教示することができる。
【0027】
[9]また、本発明においては、前記振動発生装置は、前記操作部の操作レバーに着脱可能であることが好ましい。
【0028】
この構成によれば、振動発生装置は、操作レバーに着脱可能であるので、標準的な操作部に後付けによって振動発生装置を装着することができる。
【0029】
[10]また、本発明においては、前記振動発生装置は、アームレストに設けられていることが好ましい。
【0030】
この構成によれば、振動発生装置は、アームレストに設けられているので、操作者の腕を介して振動を伝えることで、より操作者への知覚を促すことができる。
【0031】
[11]また、本発明においては、前記所定の複数の条件のそれぞれおよび前記複数の異なる振動パターンのそれぞれは、変更可能又は調整可能であることが好ましい。
【0032】
この構成によれば、所定の条件および所定の複数の振動パターンは、変更可能又は調整可能であるので、それぞれの操作者の感じ易いように、振動パターンを設定してより一層振動を知覚しやすいようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図4】着脱可能な振動発生装置を取り付けた操作レバーの正面図。
【
図5】実施形態の建設機械の構成を示すブロック図。
【
図7】目標状態軌道からアタッチメント先端の状態軌道までの距離を条件としたフローチャート。
【
図8】
図8Aはアタッチメント先端の目標状態軌道を示す説明図。
図8Bはアタッチメント先端が目標状態軌道に沿って移動するときの作用図。
【
図9】アタッチメントを直線的に移動させるときの作用図。
【
図10】目的位置からアタッチメント先端までの距離を条件としたフローチャート。
【
図11】
図11Aは目的位置からアタッチメント先端までの距離を示す説明図。
図11Bはアタッチメント先端が目的位置に接近するときの作用図。
【
図12】上部旋回体を旋回移動させるときの作用図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(実施形態)
図を参照して、本発明の第1実施形態の建設機械10を詳しく説明する。
図1、
図2に示すように、建設機械10は、油圧ショベルであり、下部走行体12と、下部走行体12上に旋回軸13を介して旋回可能に設けられた上部旋回体14と、上部旋回体14に設けられた作業装置15とを備えている。上部旋回体14の前横部には操作室(キャブ)16が搭載され、上部旋回体14の後部には機械室17に配置されたエンジンやカウンタウエイト18が搭載されている。
【0035】
上部旋回体14には、ブーム21及びこのブーム21を回動するブームシリンダ(アクチュエータ)22が回動可能に軸支されている。ブームシリンダ22の先端部はピン22aを介してブーム21に回動可能に連結されている。ブーム21の先端には、アーム23がアームシリンダ(アクチュエータ)24により回動されるように軸支されている。アーム23には、先端のアタッチメントであるバケット25がリンク部26を介してバケットシリンダ(アクチュエータ)27により回動されるように軸支されている。作業装置15は、ブーム21と、アーム23およびバケット25とを含んでいる。
【0036】
上部旋回体14に回転可能に軸支されるブーム21の回転軸部分には、上部旋回体14に対するブーム21の回転角度を計測する第1角度センサ(ロータリエンコーダ)41が設けられている。ブーム21に回転可能に軸支されるアーム23の回転部分には、ブーム21に対するアーム23の回転角度を計測する第2角度センサ42に設けられている。
【0037】
アーム23に回転可能に軸支されるバケット(アタッチメント)25には、アーム23に対するバケット25の回転角度を計測する第3角度センサ43が設けられている。下部走行体12に旋回可能に設けられた上部旋回体14の旋回軸13には、下部走行体12に対する上部旋回体14の回転角度を計測する第4角度センサ44が設けられている。第1~第4角度センサ41、42、43、44によって、バケット(アタッチメント)25及び作業装置15の姿勢が検出される。
【0038】
また、建設機械10は、操作室16に配置され車両前方に外界状態を検知する外界状態検知部45としての3次元スキャナと、建設機械10後方の複数の異なるエリアにある物体を検出する外界状態検知部46、47としてのエリアセンサと、複数のアクチュエータとしてのブームシリンダ22、アームシリンダ24およびバケットシリンダ27に加わる保持圧の大きさをそれぞれ計測する負荷計測部51、52、53(
図5参照)と、当該建設機械10の水平方向に対する傾きを計測する外界状態検知部48としての傾斜センサとを備えている。また、建設機械10は、下部走行体12を駆動するアクチュエータとしての駆動装置(不図示)および、上部旋回体14を旋回するアクチュエータとしての旋回モータ(不図示)に加わる保持圧の大きさを計測する負荷計測部(不図示)を備えている。
【0039】
なお、実施形態では、外界状態検知部45、46、47、48をそれぞれ、3次元スキャナ、エリアセンサ、傾斜センサとしたが、これに限定されず、外界状態検知部45、46、47、48は、3次元スキャナ、距離計測器、エリアセンサ、カメラ等の外界状態を計測できれば他の機器であっても差し支えない。また、負荷計測部51、52、53は、例えば圧力センサであるが、これに限定されず、アクチュエータ22、24、27に加わる負荷の大きさを検出できれば、ひずみゲージなど他の計測器であっても差し支えない。
【0040】
図3に示すように、操作室16には、操作者が操作する操作部61と、操作者が着座する接触部としてのシート62と、操作者が腕を置く接触部としてのアームレスト63とが備えられている。操作部61は、操作レバーを含み、当該操作レバー(操作部)61に振動を与える振動発生装置64が備えられている。振動発生装置64は操作レバー61に設けられているので、操作者が手でつかむ操作レバー61を介して、確実に操作者に警告情報を伝達することができる。なお、実施形態では、振動発生装置64を操作部61としての操作レバーに備えたが、これに限定されず、振動発生装置64を操作部61としての操作ペダルやハンドル(不図示)に備えても差し支えない。
【0041】
また、アームレスト63は、当該アームレスト63に振動を与える振動発生装置65が備えている。振動発生装置65は、アームレスト63に備えられているので、操作者の腕を介して振動を伝えることで、より操作者への知覚を促すことができる。なお、実施形態では、操作部61を操作する操作者の身体に接触する接触部として、アームレスト63を例にし、振動発生装置65を接触部としてのアームレスト63に備えたが、これに限定されず、振動発生装置65を接触部としてのシート(シートクッション、シートバック、フットレスト、ヘッドレストを含む)62や、床に設けても差し支えない。
【0042】
図4に示すように、振動発生装置64は、操作レバー61に着脱可能に設けられている。具体的には、振動発生装置64は、操作レバー61を囲うようにして配置され、締結部材66によって締結されている。なお、実施形態では、振動発生装置64を操作レバー61の上下に延びているバーに配置したが、これに限定されず、振動発生装置64をノブの部分に装着する態様や、バーの基端部に配置する態様でもよく、操作者に振動を伝達することができれば、振動発生装置64の形状や取付態様は問わない。
【0043】
次に構成をブロック図で説明する。
図5に示すように、建設機械10の本体11側は、第1角度センサ41、第2角度センサ42、第3角度センサ43および第4角度センサ44からの角度情報から機械座標系における建設機械10の特定部位(アタッチメント25の先端)の座標を演算する演算部55と、を備えている。演算部55によって、建設機械10の機械座標系における上部旋回体14、ブーム21、アーム23、アタッチメント25の姿勢も演算される。また、建設機械10は、演算部55からの座標情報及び姿勢情報が送られる制御装置56と、制御装置56からの情報を操作室16側に送る通信装置57と、を備えている。
【0044】
制御装置56には、外界状態検知部(3次元スキャナ)45、外界状態検知部(エリアセンサ)46、47、外界状態検知部(傾斜センサ)48、負荷計測部51、52、53、旋回モータの負荷計測部54、および駆動装置の負荷計測部(不図示)が接続されている。さらに制御装置56には、アウトプット側にブームシリンダ22、アームシリンダ24、バケットシリンダ27、旋回モータ28および駆動装置(不図示)が接続されている。
【0045】
建設機械10の操作室16側は、本体11側の通信装置57と情報を相互に伝達する通信装置71と、当該通信装置71に接続される制御装置72と、当該制御装置72に接続されるインターフェース73と、当該インターフェース73等で指定された建設機械10の特定部位の目標位置及び目標姿勢のうち少なくとも一方の時系列を表わす目標状態軌道R1、R2(
図8参照)を記憶する記憶部74と、制御装置72に接続される操作レバー61側の振動発生装置64およびアームレスト63側の振動発生装置65とを備えている。制御装置72には、外界状態検知部45、46、47、48の検知結果に応じて目標状態軌道R1、R2を生成する目標状態軌道生成部75が接続されている。
【0046】
制御装置72は、建設機械10の特定部位の位置および姿勢のうち少なくとも一方、または当該位置および当該姿勢のうち少なくとも一方の時系列を表わす状態軌道(実際の軌道)が、目標状態軌道R1、R2に対する所定の複数の条件のそれぞれに対応しているときに、所定の複数の条件毎に設定された複数の異なる振動パターンのそれぞれにしたがって振動発生装置64、65を振動させる。
【0047】
インターフェース73には、機械座標系における、建設機械10の特定部位の移動先となる目的位置や、建設機械10の上部旋回体14、作業装置15、アタッチメント25の位置および姿勢を入力可能である。目的位置は、座標入力でもよいが、建設機械10に設けられた3次元スキャナ又は撮像装置によって建設機械10の周囲の情報を取得して、3次元スキャナで取得した3次元画像又は撮像装置で撮像した画像上で、目的位置を選択して、制御装置72で座標に変換する態様としてもよい。
【0048】
さらに、目標状態軌道生成部75が、外界状態検知部45、46、47、48の検知結果に応じて目標状態軌道R1、R2を修正して生成してもよい。例えば、建設機械10の操作中に障害物が入ってきて、その障害物を回避するような修正された目標状態軌道R1、R2等である。外界状態検知部45、46、47、48によって外界状態を検知し、当該外界状態検知部45、46、47、48の検知結果に応じて目標状態軌道生成部75が目標状態軌道を生成するので、外界状況が変化しても、操作者に確実に操作を教示して操作性を向上させることができる。
【0049】
また、例えば、特定位置をアタッチメント25の先端として、演算部55によってアタッチメント25先端の座標が演算され、当該アタッチメント25先端座標とインターフェース73で入力した目的位置の座標から、アタッチメント25先端から目的位置までの距離が指標値として演算される。
【0050】
また、操作者が操作部61を操作することでアタッチメント25の位置および姿勢が移動しても、演算部55によってアタッチメント25先端と目的位置までの距離が指標値として演算される。指標値は、建設機械10の形態を表わす値であり、ここではアタッチメント25先端から目的位置までの距離が指標値となる。
【0051】
そして、あらかじめ設定され制御装置56、72に記憶された、又は、インターフェース73により入力された、所定の条件としての複数の異なる状況のそれぞれに、指標値が対応しているときに、制御装置72が複数の異なる振動パターンのそれぞれにしたがって振動発生装置64、65を振動させる。
【0052】
例えば、所定の条件は、アタッチメント25先端が目的位置から2m内、1m内、0.5m内の3つの条件であり、アタッチメント25先端が目的位置から2m(指標値が2m内)内に位置すると振動発生装置64、65が小さい振動数で振動し、アタッチメント25先端が目的位置から1m内(指標値が1m内)に位置すると振動発生装置64、65が少し大きい振動数で振動し、アタッチメント25先端が目的位置から0.5m内(指標値が0.5m内)に位置すると振動発生装置64、65がさらに大きい振動数で振動する。
【0053】
なお、実施形態では、本体11側の通信装置57と、操作室16側の通信装置71とを設けて無線で情報を伝達するようにしたが、これに限定されず、通信装置57、71間を有線で接続してもよく、さらには、通信装置71をなくして、制御装置56、72を1つに統合しても差し支えない。また、建設機械10に、本体11側の通信装置57と、操作室16側の通信装置71とを設けて無線で情報を伝達する場合は、本体11と操作室16とを隔てて、操作部61を、操作者が建設機械10を遠隔操作する遠隔操作用操作部としてもよい。
【0054】
次に、以上に述べた建設機械10の作用をフローチャートに基づいて説明する。
図6に示すように、制御を開始し、STEP1で制御装置56、72は、建設機械10の形態を表わす指標値が所定の条件を充足しているか判断する。STEP1で指標値が所定の条件を充足していれば(STEP1でYES)、STEP2に進む。STEP1で指標値が所定の条件を充足していなければ(STEP1でNO)、STEP1に戻る。
【0055】
STEP2で、複数の異なる振動パターンで振動発生装置64、65を振動させる。これにより、建設機械10の特定部位の位置および姿勢のうち少なくとも一方、または当該位置および当該姿勢のうち少なくとも一方の時系列を表わす状態軌道が、目標状態軌道R1、R2(
図8参照)に対する所定の複数の条件のそれぞれに対応しているときに、所定の複数の条件毎に設定された複数の異なる振動パターンのそれぞれにしたがって振動発生装置64、65を振動させることで、複数の異なる状況のそれぞれを操作者に確実に教示し、操作性を向上させることができる。
【0056】
次に、フローチャートの別態様を説明する。
図7に示すように、指標値は、目標状態軌道から特定部位までの距離L5(
図8参照)である。制御を開始し、STEP11で、演算部55は目標状態軌道からアタッチメント25の先端(特定部位)までの距離L5を演算し指標値を求める。
【0057】
STEP12で、目標状態軌道から特定部位までの距離(指標値)が所定の距離内であるか、判断する。STEP12で指標値が所定の距離範囲を超えていれば(STEP12でYES)、STEP13に進む。STEP12で指標値が所定の距離範囲超えていなければ(STEP12でNO)、STEP11に戻る。
【0058】
STEP13で、目標状態軌道からアタッチメント25先端の距離の複数の異なる距離範囲のそれぞれに含まれると、すなわち、アタッチメント25先端が警告対象物に近づくほど、振動発生装置64、65による振動パターンは、振動が断続的から連続的に変化する(振動の周波数が大きくなる)。
【0059】
このため、操作者は、建設機械10の特定部位であるアタッチメント25先端の目標状態軌道からの距離を振動によって知覚することできる。
【0060】
次に、作用図について説明する。
図8Aに示すように、建設機械10のアタッチメント25先端はP1の位置にある。目標状態軌道は略円弧上のR1、R2であり、アタッチメント25先端は、位置P1から目標状態軌道R1を通って位置P2へ移動し、さらに位置P2から目標状態軌道R2を通って位置Gへ移動することが目標とされる。
【0061】
図8Bに示すように、実際に操作してアタッチメント25を移動させると、アタッチメント25先端が目標状態軌道R1から距離L5(指標値)だけ離れる。この距離L5が所定の距離範囲を超えていれば、振動発生装置64、65(
図3参照)が振動する。
【0062】
このように、所定の複数の条件のそれぞれは、特定部位が目標状態軌道から所定の距離内であるという条件を含み、複数の異なる状況のそれぞれは特定部位から目標状態軌道までの複数の異なる距離のそれぞれに含まれているという状況を含む。
【0063】
この構成によれば、特定部位の目標状態軌道からの距離に応じて、操作部61および接触部62、63の少なくとも一方が振動するので、特定部位を目標位置まで最適に近い軌道で誘導することができ、操作性を向上させることができる。
【0064】
なお、実施形態のフローチャートでは、アタッチメント25等の位置を条件としたが、これに限定されず、アタッチメント25等の位置に加えて姿勢も考慮するものとしてもよい。
【0065】
次に、アタッチメント25の先端を地面にならい直線的に移動させるときの作用について説明する。
図9に示すように、建設機械10は作業装置15が車両前方に伸びた状態であり、アタッチメント25先端はP3の位置にある。目標状態軌道は、地面であり、アタッチメント25先端でいわゆる水平引きという作業を行う際に、施工面(地面)に対して直線的にアタッチメント25先端を移動させることが目標とされる。ここでは、アタッチメント25先端を位置P3から位置P4へ地面にならい直線的に移動することが目標とされる。
【0066】
ところで、油圧ショベルのような建設機械10は、上部旋回体14に対するブーム21の動き、ブーム21に対するアーム23の動き、アーム23に対するアタッチメント25の動きが、基本的に全て円弧運動であり、アタッチメント25の先端を下方に向けたままの姿勢を維持して直線的に移動させることが難しい。具体的な建設機械10の水平引き動作の一例を示すと、アタッチメント25先端を位置P3から位置P4へ移動させる際、ブーム21を上方へ回動させながらアーム23を下方へ回動させ、さらにアタッチメント25の先端が下方を向くように回動させる。アタッチメント25先端を戻す際は、ブーム21を下方へ回動させながらアーム23を上方へ回動させ、さらにアタッチマント25の先端が下方を向くように回動させる。
【0067】
この点、本発明では、実際に操作してアタッチメント25を地面にならい直線的に移動させようとする際に、アタッチメント25の先端が地面から距離L6(指標値)だけ離れると、この距離L6が所定の距離範囲を超えていれば、振動発生装置64、65(
図3参照)が振動することでアタッチメント25が地面から離れていることを操作者に伝え、これを繰り返してアタッチメント25先端が地面にならって移動するよう操作を教示する。
このように、建設機械10では、アタッチメント25の先端を地面などにならって直線的に移動させる操作が求められることが多いが、本発明では、特に操作者が初心者・初級者の場合に難しいとされる水平引きであっても、アタッチメント25先端が地面から指標値分だけ離れると振動発生装置64、65が振動して教示するのでアタッチメント25先端を地面にならうような直線的な移動を容易行うことができる。
【0068】
次に別態様のフローチャートについて説明する。
図10に示すように、指標値は、アタッチメント25先端から目的位置まで距離である。制御を開始し、STEP21で、演算部55はアタッチメント25先端から目的位置までの距離を演算し指標値を求める。
【0069】
STEP22で、アタッチメント25の先端から目的位置までの距離である指標値が、所定の条件である距離範囲に含まれているか判断する。STEP22で指標値が所定の距離範囲に含まれていれば(STEP22でYES)、STEP23に進む。STEP22で指標値が所定の距離範囲に含まれていなければ(STEP22でNO)、STEP21に戻る。
【0070】
STEP23で、目的位置からアタッチメント25先端の距離の複数の異なる距離範囲のそれぞれに含まれると、すなわち、アタッチメント25先端が目的位置に近づくほど、振動発生装置64、65による振動パターンは、振動が断続的から連続的に変化する(振動の周波数が大きくなる)。
【0071】
このため、操作者は、建設機械10の特定部位であるアタッチメント25先端から目的位置までの距離を振動によって教示することできる。
【0072】
次に、作用図について説明する。
図11Aに示すように、建設機械10は、アタッチメント25が、本体11に近く且つ高い位置にある。建設機械10の前方には、凹部1が形成されており、凹部1の底が目的位置Gとして入力されている。特定部位としてのアタッチメント25先端から目的位置Gまでの距離は、L1である。
【0073】
図11Bに示すように、アタッチメント25先端から目的位置Gまでの距離L2は、所定の距離内であり、アタッチメント25先端が距離L2内に含まれると、振動発生装置64、65(
図3参照)は小さな振動数で振動する。
【0074】
アタッチメント25が移動され、アタッチメント25先端が距離L3内に含まれると、振動発生装置64、65(
図3参照)は少し大きい振動数で振動する。さらにアタッチメント25が移動され、アタッチメント25先端が距離L4内に含まれると、振動発生装置64、65(
図3参照)はさらに大きい振動数で振動する。
【0075】
次に、所定の条件の別態様を説明する。
図1~
図6および
図12に示すように、所定の複数の条件のそれぞれのうち少なくとも1つは、制御装置72によって、アタッチメント25の先端が所定位置P5および所定姿勢から目標位置P6および目標姿勢に到達するまでの上部旋回体14の旋回量を演算し、アタッチメント25および作業装置15の姿勢および保持圧から、アタッチメント25に加わる重量を演算し、旋回時に発生する慣性力及び目標状態軌道から、上部旋回体14を旋回させる操作部61の理想的な操作量を演算し、操作部61の実際の操作量でアタッチメント25の先端が目標位置P6及び目標姿勢に到達するか否かという条件である。
【0076】
具体的には、建設機械10は、上部旋回体14が車両前方を向いているとともに作業装置15が前方に伸びた状態であり、アタッチメント25先端はP5の位置にある。目標状態軌道は、作業装置15が姿勢を維持した状態における上部旋回体14が旋回する際のアタッチメント25の軌道である。記憶部74に、上部旋回体14、ブーム21、アーム23、アタッチメント25の大きさ、関節間の長さ及び重量を記憶させ、角度センサ41、42、43、44の角度情から現在の上部旋回体14、ブーム21、アーム23、アタッチメント25の位置P5および姿勢を演算する。
【0077】
上部旋回体14を旋回させる際、制御装置72によって、アタッチメント25の先端が所定位置P5および所定姿勢から目標位置P6および目標姿勢に到達するまでの上部旋回体14の旋回量を演算し、さらに角度センサ41、42、43、44の角度情報および負荷計測部51、52、53、54の保持圧情報から、アタッチメント25が持つ荷物の重量を演算する。
【0078】
この状態で、制御装置72で、旋回時に発生する慣性力及び目標状態軌道から、上部旋回体14を旋回させる操作部61の理想的な操作量を演算し、操作部61の実際の操作量でアタッチメント25の先端が目標位置P6及び目標姿勢に到達するか否かという条件を適応する。
【0079】
このようにすることで、建設機械10の作業では上部旋回体14を旋回させることが多いが、上部旋回体14を旋回させる操作部61の理想的な操作量に対して、所定の複数の条件のそれぞれのうち少なくとも1つは、操作部61の実際の操作量でアタッチメント25の先端が目標位置P6及び目標姿勢に到達するか否かという条件であるので、旋回操作を教示して上部旋回体14の旋回時の操作性を向上させることができる。
【0080】
また、制御装置56、72が、操作部61による少なくとも上部旋回体14の目標操作状態の時系列を含み、かつ、第1所定時点において特定部位としてのアタッチメント25の運動を停止させるような目標状態軌道を生成する場合、上部旋回体14が旋回中に上部旋回体14の旋回停止指示があった時点からアタッチメント25が停止するまでの予測所要時間に基づき、第1所定時点よりも前の第2所定時点において上部旋回体14の旋回停止指示を出すような目標操作状態を含む目標状態軌道を生成する。
【0081】
また、所定の複数の条件のそれぞれは、現在時点が第2所定時点よりも前にある複数の異なる時間範囲のそれぞれに含まれているという条件である。そして、所定の複数の異なる振動パターンは、第2所定時点に近い複数の異なる時間範囲のうち、現在時点が第2所定時点に近い時間範囲に含まれるほど、振動発生装置64、65による振動の周波数が大きくなる、又は、振動の振幅が大きくなる。
【0082】
このようにすることで、上部旋回体14の旋回速度と、少なくとも作業装置15の姿勢と、に応じて定まる、上部旋回体14に生じる慣性モーメントおよび/または上部旋回体14が油圧式アクチュエータにより旋回駆動される場合には当該油圧アクチュエータの応答遅れ時間としての予測所要時間に基づき第1所定時点よりも前の第2所定時点において上部旋回体14の旋回停止指示を出すような目標操作状態を含む目標状態軌道を生成するので、アタッチメント25を目標位置で停止し易くすることができる。
【0083】
次に上記で説明した以外の作用効果について説明する。制御装置56、72によって、建設機械10の特定部位の位置および姿勢のうち少なくとも一方、または当該位置および当該姿勢のうち少なくとも一方の時系列を表わす状態軌道が、目標状態軌道に対する所定の複数の条件のそれぞれに対応しているときに、所定の複数の条件毎に設定された複数の異なる振動パターンのそれぞれにしたがって振動発生装置64、65を振動させるので、操作者の視線が途切れたり、教示音が聞きづらくなったりすることがない。さらに、例えば操作レバー61は、振動するだけで、補助力によって動くわけではないので、操作レバー61動作の煩わしさも低減し、操作者に確実に操作を教示して操作性を向上させることができる。
【0084】
また、振動発生装置64は操作部61のグリップに設けられているので、操作者が手でつかむ操作部のグリップを介して確実に操作者に知覚させ、視線を途切らせたり煩わしさを与えたりすることなく操作を教示することができる。
【0085】
また、振動発生装置64は、操作レバー61に着脱可能であるので、標準的な操作部61に後付けによって振動発生装置64を装着することができる。
【0086】
また、振動発生装置65は、アームレスト63に設けられているので、操作者の腕を介して振動を伝えることで、より操作者への知覚を促すことができる。
【0087】
また、所定の条件および所定の複数の振動パターンは、変更可能又は調整可能である。このため、それぞれの操作者の感じ易いように、振動パターンを設定してより一層振動を知覚しやすいようにできる。
【0088】
また、実施形態では、振動発生装置64、65を、操作部61と接触部63の両方に備えたが、これに限定されず、振動発生装置64、65を、操作部61および接触部62、63の少なくとも一方に備えいればよい。
【0089】
また、実施形態では、外界状態検知部45、46、47、48を建設機械10に設けたが、これに限定されず、建設機械10の周囲の外界状態検知部45、46、47、48を配置して建設機械10の外部から外界状態を検知してもよい。
【0090】
また、実施形態では、目標状態軌道からアタッチメント25先端等の距離が所定の距離以上離れた場合に振動発生装置64、65を振動させ、目的位置に近づくにつれて振動発生装置64、65を振動させたが、これに限定されず振動する条件を逆にし、目標状態軌道からアタッチメント25先端等の距離が所定の距離以内の場合に振動発生装置64、65を振動させ、目的位置に近づくにつれて振動発生装置64、65による振動を弱めるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0091】
10 建設機械
12 下部走行体
13 旋回軸
14 上部旋回体
15 作業装置
16 操作室(キャブ)
21 ブーム
22 アクチュエータ(ブームシリンダ)
23 アーム
24 アクチュエータ(アームシリンダ)
25 アタッチメント(バケット)
27 アクチュエータ(バケットシリンダ)
41 第1角度センサ(ロータリエンコーダ)
42 第2角度センサ(ロータリエンコーダ)
43 第3角度センサ(ロータリエンコーダ)
44 第4角度センサ(ロータリエンコーダ)
45 外界状態検知部(3次元スキャナ)
46、47 外界状態検知部(エリアセンサ)
48 外界状態検知部(傾斜センサ)
51、52、53、54 負荷計測部
55 演算部
56、72制御装置
61 操作部(操作レバー)
63 接触部(アームレスト)
64、65 振動発生装置
74 記憶部
75 目標状態軌道生成部