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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】空気調和機の室外機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/24 20110101AFI20220809BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20220809BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20220809BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20220809BHJP
   H01L 23/473 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
F24F1/24
F25B1/00 321L
H05K7/20 H
H01L23/36 Z
H01L23/46 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018051106
(22)【出願日】2018-03-19
(65)【公開番号】P2019163878
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2021-01-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002653
【氏名又は名称】弁理士法人アズテックIP
(72)【発明者】
【氏名】下野 聖仁
(72)【発明者】
【氏名】畠山 幸子
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-018104(JP,A)
【文献】特開2010-078305(JP,A)
【文献】特開2019-158253(JP,A)
【文献】特許第5472364(JP,B2)
【文献】特許第6674668(JP,B2)
【文献】特許第7020464(JP,B2)
【文献】実開昭62-019535(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0174411(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/24
F25B 1/00
H05K 7/20
H01L 23/36
H01L 23/473
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体が仕切板によって、少なくとも送風ファンが配置される送風機室と、少なくとも電装品モジュール、該電装品モジュールのパワーデバイスを冷却する冷却器、及び該冷却器が取り付けられる冷媒配管が配置される機械室とに区画され、前記仕切板に前記送風機室と前記機械室とを連通させる通風口が形成された空気調和機の室外機であって、
前記電装品モジュールは、メイン基板と、前記パワーデバイスが搭載されるパワー基板と、正面に前記メイン基板が搭載され裏面に前記パワー基板が搭載され前記機械室に取り付けられる固定板とを備え、前記固定板の上部を前記機械室に取り付ける上フレームと、前記固定板の下部を前記機械室に取り付ける下フレームを備え、前記冷却器は前記上フレームと前記下フレームに跨るように取り付けられ、
前記冷却器は、前記パワーデバイスに押し付けられ、熱的に結合されるヒートシンクと、該ヒートシンクを前記冷媒配管に取り付けるためのカバーとを有し、該カバーに前記仕切板の前記通風口を流れる空気流で冷却される放熱フィンが設けられていることを特徴とする空気調和機の室外機。
【請求項2】
請求項1に記載の空気調和機の室外機において、
前記ヒートシンクは、前記パワーデバイスに接触する厚板部と、前記冷媒配管をガイドする第1溝と、一方の側端に形成された第1取付部と他方の側端に形成された第2取付部とを備え、
前記カバーは、前記冷媒配管をガイドする第2溝と、前記ヒートシンクの前記第1取付部に係合するフック部と、前記ヒートシンクの前記第2取付部に固定される押え部とを備えることを特徴とする空気調和機の室外機。
【請求項3】
請求項2に記載の空気調和機の室外機において、
前記冷却部の前記カバーは、前記放熱フィン及び前記放熱フィンの裏面に設けられた凸部を有する放熱板と、該放熱板が取り付けられるカバー本体とを備え、
該カバー本体は、前記放熱板の凸部を前記ヒートシンクに接触させるために形成された開口と、前記フック部と、前記押え部に形成され前記第2取付部に係合する弾性爪とを有することを特徴とする空気調和機の室外機。
【請求項4】
請求項2に記載の空気調和機の室外機において、
前記冷却部の前記カバーは、前記放熱フィンを有する放熱板と、該放熱板が取り付けられるカバー本体とを備え、
該カバー本体は、前記フック部と前記押え部とを備えることを特徴とする空気調和機の室外機。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つに記載の空気調和機の室外機において、
前記放熱フィンは、個々のフィンが前記空気流の流れる方向に沿って配置されていることを特徴とする空気調和機の室外機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電装品モジュールに搭載されたパワーデバイスを冷媒配管に取り付けた冷却器で冷却する空気調和機の室外機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な空気調和機は、図16に示すように、室外に設置される室外機10と室内に設置される室内機20とを備えている。室外機10と室内機20は、冷媒配管30によって接続され蒸気圧縮式冷凍サイクルを形成している。
【0003】
室外機10には、室外空気と冷媒を熱交換する室外熱交換器11、送風ファン11F、冷媒を圧縮する圧縮機12、圧縮機12から吐き出された潤滑油及び冷媒の混合流体から潤滑油を分離する油分離器13、流入した冷媒を膨張させて所定の圧力に減圧させる膨張弁14、流入した冷媒を気液分離するアキュムレータ15、暖房運転と冷房運転を切り替える四方弁16などが設けられている。また、室内機20には、室内空気と冷媒を熱交換する室内熱交換器21、送風ファン21Fなどが設けられている。そして、冷媒配管30は、これら室外熱交換器11、圧縮機12、油分離器13、膨張弁14、アキュムレータ15、四方弁16、及び室内熱交換器21を接続している。冷媒配管30は、液側冷媒配管30Lとガス側冷媒配管30Gとを含む。
【0004】
室外機10は、図17に示すように、筐体17の内部が仕切板171によって左右方向に、送風機室10Aと機械室10Bとに区画されている。そして、送風機室10Aには、前述した室外熱交換器11と送風ファン11Fが配置されている。機械室10Bには、前述した圧縮機12、油分離器13、膨張弁14、アキュムレータ15、四方弁16などが収容され、これらは図17に示すように筐体17の前面の図示しないサービスパネルを取り外すことにより、外部から視認可能となっている。
【0005】
この機械室10Bには、さらに、その上下方向のほぼ中間位置に電装品モジュール40が配置されている。この電装品モジュール40は、空気調和機の全体の動作を制御する制御回路、空気調和機の各種設定を行うための設定回路、空気調和機の状態を表示する表示回路、外部から供給される交流電力を直流電力に変換して出力するコンバータ回路、コンバータ回路から出力された直流電力を交流電力に変換して出力するインバータ回路、その他の回路などを搭載したモジュールであり、プリント基板41にそれらの回路を実現するための複数の電子部品が搭載されている。プリント基板41は、機械室10Bの奥側に配管スペースを確保できるように、1枚で構成されている。
【0006】
図18に電装品モジュール40の正面を示す。プリント基板41は、機械室10B内に起立した姿勢で取り付けられている。このプリント基板41は上下方向に弱電領域41Aと強電領域41Bに分割されている。
【0007】
弱電領域41Aには、前記した制御回路の一部を構成するマイコン等の電子部品、設定回路を構成するスイッチ41A1やプラグを抜き差しする小電力用コネクタ41A2などの操作のための電子部品、表示回路を構成するLED41A3などの弱電系の電子部品が搭載される。強電領域41Bには、前記した制御回路の残りを構成する電力変換を行うための強電系の複数の電子部品、例えばコンバータ回路のIC、インバータ回路のICなどのパワーデバイス41B1、平滑用の大容量電解コンデンサ41B2、大電力用コネクタ41B3などの部品が搭載される。
【0008】
強電領域41Bには、さらに、パワーデバイス41B1で発生する熱を冷却するための冷却器50が配置されている。この冷却器50は冷媒配管30の液側冷媒配管30Lに取り付けられるような形状の図示しないヒートシンクを備える。そのヒートシンクはパワーデバイス41B1に熱的に結合させるようプリント基板41の正面側に図示しないサービスパネル側に向けて配置されている。液側冷媒配管30Lには、冷房運転時には室外熱交換器11で凝縮した冷媒が流れ、暖房運転時には室内熱交換器21で凝縮され膨張弁14で減圧された冷媒が流れるので、その冷媒温度によって冷却器50のヒートシンクが冷却され、パワーデバイス41B1の温度が所定値以下に保持される。以上説明した空気調和機については、特許文献1に記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第5472364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、上記した室外機10は、パワーデバイス41B1で発生した熱を冷媒配管30Lの冷媒によって冷却するものである。このため、冷媒冷却効果は冷媒配管30Lの温度に大きく依存する。よって、圧縮機12が動作している、つまり冷媒が冷媒配管30を循環しているときは冷却効果が大きいが、保護動作などによって圧縮機12が停止して冷媒循環が停止しているときは冷却効果が減退する。圧縮機はパワーデバイス41B1の温度が所定値以下になるまでは再起動されないので、それまで待機しなければならず、冷却時間が長くなって再起動が遅れてしまう問題があった。
【0011】
本発明の目的は、保護動作などで圧縮機が停止した場合であってもパワーデバイスの冷却が効果的に行われるようにして、部品冷却に長い時間がかからないようにした空気調和機の室外機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、筐体が仕切板によって、少なくとも送風ファンが配置される送風機室と、少なくとも電装品モジュール、該電装品モジュールのパワーデバイスを冷却する冷却器、及び該冷却器が取り付けられる冷媒配管が配置される機械室とに区画され、前記仕切板に前記送風機室と前記機械室とを連通させる通風口が形成された空気調和機の室外機であって、前記電装品モジュールは、メイン基板と、前記パワーデバイスが搭載されるパワー基板と、正面に前記メイン基板が搭載され裏面に前記パワー基板が搭載され前記機械室に取り付けられる固定板とを備え、前記固定板の上部を前記機械室に取り付ける上フレームと、前記固定板の下部を前記機械室に取り付ける下フレームを備え、前記冷却器は前記上フレームと前記下フレームに跨るように取り付けられ、前記冷却器は、前記パワーデバイスに押し付けられ、熱的に結合されるヒートシンクと、該ヒートシンクを前記冷媒配管に取り付けるためのカバーとを有し、該カバーに前記仕切板の前記通風口を流れる空気流で冷却される放熱フィンが設けられていることを特徴とする。
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の空気調和機の室外機において、前記ヒートシンクは、前記パワーデバイスに接触する厚板部と、前記冷媒配管をガイドする第1溝と、一方の側端に形成された第1取付部と他方の側端に形成された第2取付部とを備え、
前記カバーは、前記冷媒配管をガイドする第2溝と、前記ヒートシンクの前記第1取付部に係合するフック部と、前記ヒートシンクの前記第2取付部に固定される押え部とを備えることを特徴とする。
請求項3にかかる発明は、請求項2に記載の空気調和機の室外機において、前記冷却部の前記カバーは、前記放熱フィン及び前記放熱フィンの裏面に設けられた凸部を有する放熱板と、該放熱板が取り付けられるカバー本体とを備え、該カバー本体は、前記放熱板の凸部を前記ヒートシンクに接触させるために形成された開口と、前記フック部と、前記押え部に形成され前記第2取付部に係合する弾性爪とを有することを特徴とする。
請求項4にかかる発明は、請求項2に記載の空気調和機の室外機において、前記冷却部の前記カバーは、前記放熱フィンを有する放熱板と、該放熱板が取り付けられるカバー本体とを備え、該カバー本体は、前記フック部と前記押え部とを備えることを特徴とする。
請求項5にかかる発明は、請求項1乃至4のいずれか1つに記載の空気調和機の室外機において、前記放熱フィンは、個々のフィンが前記空気流の流れる方向に沿って配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、パワーデバイスを冷却する冷却器に放熱フィンを設けるとともにその放熱フィンが送風ファンによって生じる空気流によって冷却されるようにしたので、保護動作などで圧縮機が停止した場合であっても送風ファンによりパワーデバイスを効果的に冷却でき、冷却時間が短くなり、再起動までの時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例の室外機の斜視図である。
図2】サービスパネルを取り外した同室外機の斜視図である。
図3】機械室から電装品モジュールを取り外した状態の同室外機の斜視図である。
図4】電装品モジュールと冷却器の展開斜視図である。
図5】上フレームと下フレームを仕切板へ取り付ける取付説明図である。
図6】冷却器の斜視図である。
図7】電装品モジュールの縦断面図である。
図8図7のA-A線の横断面図である。
図9】室外機の天面パネルを取り外した平面図である。
図10】室外機の右側面パネルを取り外した右側面図である。
図11】メイン基板の正面図である。
図12】パワー基板の正面図である。
図13】電装品モジュールの冷却器を冷却する空気流の経路の説明図である。
図14】別の冷却器の説明図である。
図15】更なる別の冷却器の説明図である。
図16】空気調和機の冷媒回路の回路図である。
図17】従来の室外機のサービスパネルを取り外した正面図である。
図18】従来の電装品モジュールの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1図3に本発明の実施例の室外機100を示す。この室外機100の筐体110は、前面パネル111、その前面パネル111の右横のサービスパネル112、右側面パネル113、左側面パネル114、天面パネル115、背面パネル116、底面パネル117を備え、底面パネル117にはスタンド118が取り付けられている。この筐体110は仕切板119によって、正面パネル111の奥側が送風機室110Aになり、サービスパネル112の奥側が機械室110Bになるように、左右方向に区画されている。仕切板119にはその上部に、機械室110Bと送風機室110Aを連通させる通風口119aが形成されている。
【0016】
そして、送風機室110Aに、前述した室外熱交換器11や送風ファン11Fが配置されている。また、機械室110Bに、前述した冷媒配管30、圧縮機12、膨張弁14、アキュムレータ15、サブアキュムレータ15A、四方弁16、電装品モジュール200などが収容されている。機械室110Bは、サービスパネル112を取り外すことにより、室外機100の前面側から視認可能となっている。
【0017】
図4図10に電装品モジュール200を示す。電装品モジュール200は、正面がサービスパネル112の裏面と対面するよう機械室110Bに配置される固定板210と、固定板210の上部にネジ止めされる長尺形状の上フレーム220と、固定板210の下部にネジ止めされる長尺形状の下フレーム230と、上フレーム220を仕切板119に取り付ける取付金具240と、下フレーム230を仕切板119に取り付ける取付金具250と、制御回路の一部を構成する電子部品やその他の電子部品が搭載されるメイン基板260と、制御回路の残りの部分を構成する電子部品やその他の電子部品、後記するパワーデバイス277が搭載されるパワー基板270を備える。
【0018】
このように、電装品モジュール200のプリント基板はメイン基板260とパワー基板270に分割されていて、メイン基板260は後記する裏面260bが固定板210の後記する正面211aに対面するように固定板210に搭載され、パワー基板270は後記する裏面270bが固定板210の後記する裏面211bに対面するよう固定板210に搭載される。
【0019】
300は冷却器であり、後記するように冷媒配管30LのU字折曲部31に取り付けられ、且つ上フレーム220と下フレーム230に跨るように、その上フレーム220と下フレーム230に取り付けられる。
【0020】
固定板210は、正面211aにメイン基板260が搭載され裏面211bにパワー基板270が搭載される本体部211と、その本体部211の上端から裏面211bの方向に90度に折り曲げられた補強用の上横片212と、その折曲片212の後端から上方に90度に折り曲げられた取付用の上縦片213を備える。また、本体部211の下端から正面211aの方向に90度に折り曲げられた補強用の下横片214と、その下横片214の前端から下方に90度に折り曲げられた下縦片215とを備える。その下縦片215の両端には下方に突出させた取付部215aが形成されている。
【0021】
上フレーム220は、固定板210の上縦片213にネジ止めされる縦片221と、その縦片221の上端から後方に90度に折り曲げられた補強用の上横片222と、縦片211の左端から前方に向けて45度に折り曲げられた取付片223とを備える。224は冷却器300が取り付けられる端部である。
【0022】
下フレーム230は、固定板210の下縦片215にネジ止めされる下縦片231と、下縦片231の上端から後方に90度に折り曲げられた上横片232と、上横片232の奥端から上方に90度に折り曲げられた補強用の上縦片233と、下縦片231の左端から前方に向けて45度に折り曲げられた取付片234とを備える。そして、下縦片231の正面側には端子板400が取り付けられる。235は冷却器300が取り付けられる端部である。
【0023】
冷却器300は、パワー基板270の正面270aに搭載された後記するパワーデバイス277に熱的に結合されるアルミニウム製のヒートシンク310と、そのヒートシンク310に形成された断面が半円形状の2個の溝311に嵌め込まれる液側冷媒配管30LのU字折曲部31と、そのU字折曲部31をヒートシンク310に固定するためのアルミニウム製のカバー320とを有する。ヒートシンク310は、溝311に加えて、パワーデバイス277が押し付けられて熱的に結合する厚板部312と、その厚板部312の一方の側端に形成された取付部313と他方の側端に形成された取付部314を有する。カバー320は、液側冷媒配管30LのU字折曲部31に嵌め込まれる断面が半円形状の2個の溝321と、一方の側端に形成されたフック部322と、他方の側端に形成された押え部323と、溝321が形成された面と反対面に形成された放熱フィン324を備える。図6にこの冷却器300の詳細を示した。
【0024】
メイン基板260はその正面260aに、前記したように制御回路の一部を構成する電子部品やその他の電子部品が搭載されている。即ち、図11に示すように、表示器としてのLEDランプ261a、操作部としてのディップスイッチ261bやボタンスイッチ261cなどを含む表示設定回路261、制御回路の一部を構成するマイクロコンピュータ等の制御IC262、周辺部に配置される複数のコネクタ263、膨張弁14や四方弁16を駆動するアクチュエータ駆動回路264、配管30の温度を検出する図示しないサーミスタに接続される温度検出回路265などが搭載されている。260bはメイン基板260の裏面である。260cは上端、260dは下端、260eは左端、260fは右端である。このメイン基板260は、裏面260bが固定板210の本体部211の正面211aと対面するように、その正面211aに搭載される。
【0025】
パワー基板270はその正面270aに、前記したように制御回路の残りの部分を構成する後記するパワーデバイス277を含む電子部品が搭載されている。即ち、図12に示すように、整流用のダイオードブリッジ271a、バイポーラトランジスタのゲート部分にMOSFETを組み込み動作抵抗を小さくしたIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)素子271b、高速動作用のFRD(Fast Recovery Diode)素子271c、力率改善用のPFC(Power Factor Correction)コイル271d、平滑用の電解コンデンサ271eが搭載される。これらダイオードブリッジ271a、IGBT素子271b、FRD素子271c、PFCコイル271d、電解コンデンサ271eなどは、外部から供給される交流電力を直流電力に変換して出力するコンバータ回路271を構成する。さらに、駆動回路や自己保護機能が組み込まれコンバータ回路271から供給される交流電力を直流電力に変換して出力するインバータ回路を形成するIPM(Intelligent Power Module)素子272も搭載されている。さらに、スイッチング電源回路273を形成するスイッチングトランス273aやスイッチングIC273bなどの素子も搭載されている。さらに、コンデンサ274aやコモンモードチョークコイル274bを含む外来ノイズ及び自発ノイズの対策用のEMC(ElectroMagnetic Compatibillity)フィルタ回路274も搭載されている。270bはパワー基板270の裏面である。270cは上端、270dは下端、270eは左端、270fは右端である。ダイオードブリッジ271a、IGBT素子271b、FRD素子271c、IPM素子272などは、発熱の大きなパワーデバイス277であり、左端270eの近傍に縦並びで搭載されている。このパワー基板270は、裏面270bが固定板210の本体部211の裏面211bと対面するように、その裏面211bに搭載される。冷却器300は、パワーデバイス277に当接される。
【0026】
さて、電装品モジュール200を室外機100の機械室110Bに配置するには、まず仕切板119に、斜面241を有する取付金具240と、斜面251を有する取付金具250とを予め取り付けておく。そして、図5に示すように、上フレーム220の取付片223を取付金具240の斜面241にネジ止めし、下フレーム230の取付片234を取付金具250の斜面251にネジ止めする。これにより、上フレーム220と下フレーム230が、仕切板119に片持ち支持の形で横姿勢で取り付けられる。
【0027】
次に、図7に示すように、上フレーム220の縦片221の端部224と下フレーム230の上部縦片233の端部235の間に跨るように、冷却器300のヒートシンク310をネジB1,B2で取り付ける。さらに、このヒートシンク310の溝311に冷媒配管30LのU字折曲部31を嵌め込んでから、図8に示すように、カバー320のフック部322をヒートシンク310の一方の取付部313に係合し、押え部323をヒートシンク310の他方の取付部314に押し付けて、その押え部323を取付部314に3カ所のネジB3で固着する。この作業は室外機100の背面パネル116を取り外した状態で行われる。以上によって、上フレーム220の端部224と下フレーム230の端部235の間に跨るように、且つヒートシンク310の厚板部312がサービスパネル112の方向を向くように、冷却器300が取り付けられる。
【0028】
また、固定板210の本体部211の正面211aにメイン基板260を搭載し、裏面211bにパワー基板260を搭載しておく。そして、これらメイン基板260とパワー基板270が搭載された固定板210を、その上縦片213が上フレーム220の縦片221に、その下縦片215が下フレーム230の下縦片231に合わさるように、ネジB4、B5によって取り付ける。これにより、パワー基板270のパワーデバイス277は、冷却器300のヒートシンク310の厚板部312に対面して押し付けられ、そこで熱的な結合が行われる。以上の取り付けによって、電装品モジュール200のパワー基板270は、仕切板119の通風口119aの近傍に位置する。このようにして、機械室110Bに電装品モジュール200が取り付けられた後に、その電装品モジュール200のメイン基板260のコネクタ263に所要の配線が接続されたプラグが接続され、端子板400に所要の別の配線が接続される。
【0029】
このように本実施例では、メイン基板260とパワー基板270を、機械室110Bに取り付けられる固定板210を介在して裏面合わせでその固定板210に搭載するので、それらメイン基板260とパワー基板270の上下方向サイズを、メイン基板260とパワー基板270を上下に並べて1枚とした場合のプリント基板の上下方向サイズと比較して、大幅に小さくすることができ、上下スペースに余裕が少ない筐体を有する室外機にも有効に適用することができる。
【0030】
また、パワー基板270に搭載されたパワーデバイス277は、固定板210の裏面211b側において冷却器300に熱的に結合するが、冷却器300に対しては押し付けられているだけであるので、ネジB4,B5を緩めれば、その冷却器300に邪魔されることなく、固定板210、メイン基板260、パワー基板270を一体として、機械室110Bの正面から取り外すことが可能となり、メイン基板260とパワー基板270のメンテナンスが容易となる。
【0031】
また、冷却器300は仕切板119の通風口119aの近傍に位置しているため、送風機室110Aの送風ファン11Fが回転することによって、機械室110Bのサービスパネル112の取付部分の隙間や底面パネル117に形成されている図示しない開口などから引き込まれた空気流が、図13に示すように、その通風口119aを経由して送風機室110Aに流れる際に、冷却器300の放熱フィン324を冷却する。
【0032】
このように、本実施例では、パワーデバイス277を冷却する冷却器300を、パワーデバイス277に熱的に結合するヒートシンク310とそのヒートシンク310に冷媒配管31を結合させるカバー320で形成し、そのカバー320に放熱フィン324を設けている。そして、送風ファン11Fによって生じる空気流によってその放熱フィン324が冷却されるようにしている。このため、保護動作などで圧縮機が停止して冷媒配管30Lの冷媒温度が高くなっている場合であっても、そのとき回転している送風ファン11Fで生じる空気流によって冷却器300を効果的に冷却できる。したがって、圧縮機動作停止後のパワーデバイス277を冷却する時間を短くして、前記した再起動までの時間を短くすることができる。
【0033】
図14に別の例の冷却器300Aを示す。この放熱器300Aは、前述したカバー320を、図14(b)に示す鋼板製のバネ性をもつカバー本体330と、図14(c)に示すアルミニウム製の放熱板340により形成している。ヒートシンク310は前述したものと同じである。カバー本体330は、板形状の本体部331の上下と中央の3カ所に分離して開口332が形成され、その本体部331の一方の端側にはフック部333が形成され、他方の側端の押え部334には上下と中央に分離して3カ所に弾性爪334aが形成されている。放熱板340は、本体部341の上下と中央の3カ所に分離して放熱フィン342が形成され、放熱フィン342の形成された側と反対側となる裏面に、カバー本体330の開口3332に嵌る形状と大きさの凸部343が形成されている。放熱フィン342は個々のフィン342aが縦並びとなるように形成されている。
【0034】
組み立てに当たっては、カバー本体330の開口332に放熱板340の凸部343が嵌るように、そのカバー本体330に放熱板340をネジB6によって取り付ける。そして、そのカバー本体330のフック部333をヒートシンク310の一方の取付部313に係合し、弾性爪334aをヒートシンク310の他方の取付部314に係合し、押え部334をヒートシンク310の取付部314にネジ止めすると、図14(a)のように組み立てられる。
【0035】
この冷却器300Aでは、放熱板340の裏面の凸部343がカバー本体330の開口332からヒートシンク310に接触するので、カバー本体330の影響を受けることなくヒートシンク310からの熱が放熱板340に伝達される。また、放熱板340の放熱フィン342の個々のフィン342aが縦並びで配置されているので、この冷却器300Aが冷媒配管31に取り付けられたとき、送風ファン11Fによって生じた空気流がそのフィン342aに沿って流れる。つまり、個々のフィン342aが空気流の流れる方向に沿って配置されているので、その空気流による冷却効果が大きくなる。
【0036】
図15に更なる別の例の冷却器300Bを示す。この放熱器300Bも、前述したカバー320を、図15(b)に示すアルミニウム製のカバー本体350と、図15(c)に示すアルミニウム製の放熱板340により構成している。カバー本体350は、平面部351の裏面に冷媒配管31が嵌る半円形状の2個の溝352が形成され、一方の側端にはフック部353が形成され、他方の側端は押え部354となっている。
【0037】
組み立てに当たっては、まず、カバー本体350に放熱板340をネジB7によって取り付ける。そして、そのカバー本体350のフック部353をヒートシンク310の一方の取付部313に係合し、押え部354を他方の取付部314にネジ止めすると、図15(a)のように組み立てられる。
【0038】
この冷却器300Bでは、放熱板340の裏面の凸部343がカバー本体350に接触しそのカバー本体350がヒートシンク310に接触するので、ヒートシンク310からの熱がカバー本体350を経由して放熱板340に伝達される。放熱板340の放熱フィン342の個々のフィン342aが縦並びで配置されていることの効果は、冷却器300Aの場合と同じである。
【符号の説明】
【0039】
30L:液側冷媒配管、31:U字折曲部
100:室外機、110:筐体、110A:送風機室、110B:機械室、111:正面パネル、112:サービスパネル、113:右側面パネル、114:左側面パネル、115:天面パネル、116:背面パネル、117:下面パネル、118:スタンド、119:仕切板、119a:通風口
200:電装品モジュール
210:固定板、211:本体部、211a:正面、211b:裏面、212:上横片、213:上縦片、214:下横片、215:下縦片
220:上フレーム、221:縦片、222:横片、223:取付片
230:下フレーム、231:下縦片、232:上横片、233:上縦片、234:取付片
240,250:取付金具
260:メイン基板、260a:正面、260b:裏面
270:パワー基板、270a:正面、270b:裏面、277:パワーデバイス
300,300A,300B:冷却器、310:ヒートシンク、320:カバー、324:放熱フィン、330,350:カバー本体、340:放熱板、342:放熱フィン、342a:フィン
400:端子板
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