(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
B66C 23/74 20060101AFI20220809BHJP
【FI】
B66C23/74 E
(21)【出願番号】P 2018083847
(22)【出願日】2018-04-25
【審査請求日】2021-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100178582
【氏名又は名称】行武 孝
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼松 伸広
(72)【発明者】
【氏名】山口 拓則
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-218374(JP,A)
【文献】特開2017-095218(JP,A)
【文献】特開2018-016442(JP,A)
【文献】特開平10-072187(JP,A)
【文献】特開2007-016895(JP,A)
【文献】実開平04-034290(JP,U)
【文献】国際公開第2017/159321(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 23/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部本体であって、前記上部本体の後端部に配置されるウエイト装着部を有する、上部本体と、
前記上部本体が鉛直方向に延びる旋回軸心回りに旋回可能なように前記上部本体を支持する下部本体と、
前記ウエイト装着部よりも前方において前記上部本体に配置され、作業者が搭乗することを許容する運転室と、
前記上部本体の前方部分に起伏可能に装着される起伏部材と、
前記上部本体に固定される第1リング部と前記下部本体に固定される第2リング部とを有し、前記第1リング部は前記第2リング部に対して前記旋回軸心回りに相対回転可能である、旋回ベアリングと、
前記上部本体の前記ウエイト装着部に着脱可能に装着されるカウンタウエイトと、
前記上部本体のうち前記ウエイト装着部よりも前方部分に装着され、前記カウンタウエイトの前記ウエイト装着部への装着に伴う前記上部本体の変形量を検出する変形量検出部と、
前記変形量検出部によって検出された前記変形量に基づいて、前記カウンタウエイトが前記ウエイト装着部に装着されたことを判定する装着判定部と、
を備え
、
前記上部本体の前後方向において、前記変形量検出部から前記旋回ベアリングまでの距離が前記変形量検出部から前記ウエイト装着部までの距離よりも小さい位置に前記変形量検出部が配置されている、作業機械。
【請求項2】
前記変形量検出部はひずみゲージからなり、当該ひずみゲージは前記上部本体のうち前記ひずみゲージが装着された部分のひずみ量を前記変形量として検出する、請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記カウンタウエイトの重量に対応する閾値を予め記憶および出力する記憶部を更に備え、
前記装着判定部は、前記ひずみゲージによって検出される前記ひずみ量と前記記憶部から出力される前記閾値とを比較することで、前記カウンタウエイトが前記ウエイト装着部に装着されたか否かを判定する、請求項2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記装着判定部は、前記ひずみゲージによって検出される前記ひずみ量が前記閾値を超えた場合に、前記カウンタウエイトが前記ウエイト装着部に装着されたと判定する、請求項3に記載の作業機械。
【請求項5】
前記閾値は、前記カウンタウエイトの重量に応じて予め設定された下限値および上限値を含み、
前記装着判定部は、前記ひずみゲージによって検出される前記ひずみ量が前記下限値と前記上限値との間に含まれる場合に、前記カウンタウエイトが前記ウエイト装着部に装着されたと判定する、請求項3に記載の作業機械。
【請求項6】
上部本体であって、前記上部本体の後端部に配置されるウエイト装着部を有する、上部本体と、
前記上部本体が鉛直方向に延びる旋回軸心回りに旋回可能なように前記上部本体を支持する下部本体と、
前記ウエイト装着部よりも前方において前記上部本体に配置され、作業者が搭乗することを許容する運転室と、
前記上部本体の前方部分に起伏可能に装着される起伏部材と、
前記上部本体に固定される第1リング部と前記下部本体に固定される第2リング部とを有し、前記第1リング部は前記第2リング部に対して前記旋回軸心回りに相対回転可能である、旋回ベアリングと、
前記上部本体の前記ウエイト装着部に着脱可能に装着されるカウンタウエイトと、
前記上部本体のうち前記ウエイト装着部よりも前方部分に装着され、前記カウンタウエイトの前記ウエイト装着部への装着に伴う前記上部本体の変形量を検出する変形量検出部と、
前記変形量検出部によって検出された前記変形量に基づいて、前記カウンタウエイトが前記ウエイト装着部に装着されたことを判定する装着判定部と、
前記カウンタウエイトの重量に対応する閾値を予め記憶および出力する記憶部と、
を備え、
前記変形量検出部はひずみゲージからなり、当該ひずみゲージは前記上部本体のうち前記ひずみゲージが装着された部分のひずみ量を前記変形量として検出し、
前記閾値は、前記カウンタウエイトの重量に応じて予め設定された下限値および上限値を含み、
前記装着判定部は、前記ひずみゲージによって検出される前記ひずみ量が前記下限値と前記上限値との間に含まれる場合に、前記カウンタウエイトが前記ウエイト装着部に装着されたと判定し、
前記ひずみゲージによって検出される前記ひずみ量が前記下限値よりも小さいまたは前記上限値よりも大きい場合に、所定の警告情報を出力する警告情報出力部を更に有する、
作業機械。
【請求項7】
上部本体であって、前記上部本体の後端部に配置されるウエイト装着部を有する、上部本体と、
前記上部本体が鉛直方向に延びる旋回軸心回りに旋回可能なように前記上部本体を支持する下部本体と、
前記ウエイト装着部よりも前方において前記上部本体に配置され、作業者が搭乗することを許容する運転室と、
前記上部本体の前方部分に起伏可能に装着される起伏部材と、
前記上部本体に固定される第1リング部と前記下部本体に固定される第2リング部とを有し、前記第1リング部は前記第2リング部に対して前記旋回軸心回りに相対回転可能である、旋回ベアリングと、
前記上部本体の前記ウエイト装着部に着脱可能に装着されるカウンタウエイトと、
前記上部本体のうち前記ウエイト装着部よりも前方部分に装着され、前記カウンタウエイトの前記ウエイト装着部への装着に伴う前記上部本体の変形量を検出する変形量検出部と、
前記変形量検出部によって検出された前記変形量に基づいて、前記カウンタウエイトが前記ウエイト装着部に装着されたことを判定する装着判定部と、
前記カウンタウエイトの重量に対応する閾値を予め記憶および出力する記憶部と、
を備え、
前記変形量検出部はひずみゲージからなり、当該ひずみゲージは前記上部本体のうち前記ひずみゲージが装着された部分のひずみ量を前記変形量として検出し、
前記装着判定部は、前記ひずみゲージによって検出される前記ひずみ量と前記記憶部から出力される前記閾値とを比較することで、前記カウンタウエイトが前記ウエイト装着部に装着されたか否かを判定し、
前記カウンタウエイトは、前記ウエイト装着部に鉛直方向に沿って積載されることが可能な複数のウエイト体を有し、
前記ウエイト装着部に装着される前記ウエイト体の数に関するモード情報を受け付ける情報入力部であって、当該情報入力部は、少なくとも最大装着モードおよび部分装着モードを選択的に受け付け可能であり、前記最大装着モードでは前記複数のウエイト体のうちのすべてのウエイト体が前記ウエイト装着部に装着され、前記部分装着モードでは前記複数のウエイト体のうちの一部のウエイト体が前記ウエイト装着部に装着される、情報入力部を更に備え、
前記記憶部は、前記複数のウエイト体のうちの前記すべてのウエイト体の総重量に対応する前記閾値である全ウエイト用閾値と、前記複数のウエイト体のうちの前記一部のウエイト体の総重量に対応する前記閾値である部分ウエイト用閾値とを予め記憶しており、
前記装着判定部は、前記情報入力部が前記最大装着モードを受け付けると前記ひずみゲージによって検出される前記ひずみ量と前記記憶部から出力される前記全ウエイト用閾値とを比較することで前記すべてのウエイト体が前記ウエイト装着部に装着されたか否かを判定する一方、前記情報入力部が前記部分装着モードを受け付けると前記ひずみゲージによって検出される前記ひずみ量と前記記憶部から出力される前記部分ウエイト用閾値とを比較することで前記一部のウエイト体が前記ウエイト装着部に装着されたか否かを判定する、
作業機械。
【請求項8】
上部本体であって、前記上部本体の後端部に配置されるウエイト装着部を有する、上部本体と、
前記上部本体が鉛直方向に延びる旋回軸心回りに旋回可能なように前記上部本体を支持する下部本体と、
前記ウエイト装着部よりも前方において前記上部本体に配置され、作業者が搭乗することを許容する運転室と、
前記上部本体の前方部分に起伏可能に装着される起伏部材と、
前記上部本体に固定される第1リング部と前記下部本体に固定される第2リング部とを有し、前記第1リング部は前記第2リング部に対して前記旋回軸心回りに相対回転可能である、旋回ベアリングと、
前記上部本体の前記ウエイト装着部に着脱可能に装着されるカウンタウエイトと、
前記上部本体のうち前記ウエイト装着部よりも前方部分に装着され、前記カウンタウエイトの前記ウエイト装着部への装着に伴う前記上部本体の変形量を検出する変形量検出部と、
前記変形量検出部によって検出された前記変形量に基づいて、前記カウンタウエイトが前記ウエイト装着部に装着されたことを判定する装着判定部と、
前記カウンタウエイトの重量に対応する閾値を予め記憶および出力する記憶部と、
を備え、
前記変形量検出部はひずみゲージからなり、当該ひずみゲージは前記上部本体のうち前記ひずみゲージが装着された部分のひずみ量を前記変形量として検出し、
前記装着判定部は、前記ひずみゲージによって検出される前記ひずみ量と前記記憶部から出力される前記閾値とを比較することで、前記カウンタウエイトが前記ウエイト装着部に装着されたか否かを判定し、
前記カウンタウエイトは、前記ウエイト装着部に鉛直方向に沿って順に積載されることが可能な複数のウエイト体を有し、
前記ウエイト装着部に装着されることが予定される前記ウエイト体の数である積載予定数に関する情報を受け付ける情報入力部を更に備え、
前記記憶部は、前記複数のウエイト体のうちの各ウエイト体の重量に対応する前記閾値であるウエイト単体用閾値をそれぞれ記憶しており、
前記装着判定部は、前記ひずみゲージによって検出される前記ひずみ量の変化量と前記記憶部から出力される前記ウエイト単体用閾値とを比較すること、または、前記ひずみゲージによって検出される前記ひずみ量と前記記憶部から出力された複数の前記ウエイト単体用閾値の合計とを比較することで、前記各ウエイト体が前記ウエイト装着部に装着されたか否かを判定する、
作業機械。
【請求項9】
前記記憶部は、前記複数のウエイト体のうちの各ウエイト体が積載される順番に関する情報を更に記憶しており、
前記装着判定部は、n番目(nは自然数)に積載される前記ウエイト体に対して、(n-1)番目の前記ウエイト体が積載された状態からの前記ひずみゲージによって検出される前記ひずみ量の変化量と前記記憶部から出力されるn番目の前記ウエイト体の前記ウエイト単体用閾値とを比較すること、または、前記ひずみゲージによって検出される前記ひずみ量と前記記憶部から出力される
1番目からn番目までの前記ウエイト単体用閾値の合計とを比較することで、前記n番目のウエイト体が前記ウエイト装着部に装着されたか否かを判定する、請求項8に記載の作業機械。
【請求項10】
前記(n-1)番目の前記ウエイト体の装着後、前記ひずみ量が変化したにも関わらず、前記n番目のウエイト体が前記ウエイト装着部に装着されていないと前記装着判定部が判定した場合に、所定の誤積載情報を出力する誤積載情報出力部を更に有する、請求項9に記載の作業機械。
【請求項11】
上部本体であって、前記上部本体の後端部に配置されるウエイト装着部を有する、上部本体と、
前記上部本体が鉛直方向に延びる旋回軸心回りに旋回可能なように前記上部本体を支持する下部本体と、
前記ウエイト装着部よりも前方において前記上部本体に配置され、作業者が搭乗することを許容する運転室と、
前記上部本体の前方部分に起伏可能に装着される起伏部材と、
前記上部本体に固定される第1リング部と前記下部本体に固定される第2リング部とを有し、前記第1リング部は前記第2リング部に対して前記旋回軸心回りに相対回転可能である、旋回ベアリングと、
前記上部本体の前記ウエイト装着部に着脱可能に装着されるカウンタウエイトと、
前記上部本体のうち前記ウエイト装着部よりも前方部分に装着され、前記カウンタウエイトの前記ウエイト装着部への装着に伴う前記上部本体の変形量を検出する変形量検出部と、
前記変形量検出部によって検出された前記変形量に基づいて、前記カウンタウエイトが前記ウエイト装着部に装着されたことを判定する装着判定部と、
を備え、
前記上部本体は、当該上部本体のうち前記ウエイト装着部よりも前記第1リング部に近い位置に配置され、前記ウエイト装着部への前記カウンタウエイトの装着に伴って前記上部本体とともに変形する変形部材を更に備え、
前記変形量検出部は、前記変形部材に装着され、前記カウンタウエイトの装着に伴う前記変形部材の変形量を検出する、
作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業機械として、下部走行体と、上部旋回体と、起伏部材と、を備えたクレーンが知られている。起伏部材は、上部旋回体の前部に起伏可能に取り付けられる。起伏部材の先端部から吊り下げられたフックによって吊り荷の吊り上げ作業が実行される。また、上部旋回体の後部には、カウンタウエイトが配置される。カウンタウエイトは、クレーンのバランスを保持する機能を有する。
【0003】
特許文献1には、上部旋回体に対するカウンタウエイトの装着状態を検出する検出装置が開示されている。クレーンは、上部旋回体のフレームと、当該フレームの後端部に配置されカウンタウエイトが載置されることを許容するウエイトブラケットと、カウンタウエイトの荷重を受けるロードセルと、を有する。ウエイトブラケットは、フレームの後端部に複数のピンによって連結されており、ロードセルは当該ピンに固定されている。カウンタウエイトがウエイトブラケットに載置されると、ロードセルの出力が変化することによって、カウンタウエイトが装着されたことが検出される。
【0004】
また、特許文献2には、カウンタウエイトにRFIDタグが装着され、作業機械に備えられた読取装置によってRFIDタグに記憶された情報が読み取られる技術が開示されている。予め記憶されたID情報によって、カウンタウエイトの種類などが検出可能とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平9-58978号公報
【文献】特開2006-315843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された技術では、カウンタウエイトの装着状態を安定して検出することが困難な場合があった。特に、特許文献1に記載された技術では、カウンタウエイトの装着状態を検出するロードセルや当該ロードセルに接続される電気配線が破損しやすいという問題があった。具体的に、ロードセルはウエイトブラケットとフレームとを結合するピンに固定されている。ウエイトブラケットはカウンタウエイトの荷重を直接受けるため、ロードセルが装着時に大きな衝撃を受けやすい。このため、カウンタウエイトの装着を繰り返すうちにロードセルの破損が生じやすくなる。また、ロードセルは、着脱可能なピンに固定されるため、ピンの着脱作業を繰り返すうちにロードセルに接続される電気配線が損傷しやすくなる。
【0007】
また、特許文献2に記載された技術では、RFIDタグが損傷、脱落した場合、カウンタウエイトの装着状態を安定して検出することができないという問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、カウンタウエイトの装着状態を安定して検出することが可能な作業機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の発明者は、作業機械の組立作業中において、上部本体にかかる負荷は、カウンタウエイトの装着によるものが支配的であることを新たに知見した。すなわち、従来のようにウエイト装着部にロードセルのような検出装置を備えずとも、上部本体のうちウエイト装着部よりも前方部分に検出装置(変位量検出部)を配置することで、カウンタウエイトの有無を検出することが可能であることを知見した。当該知見は、上部本体の旋回ベアリング周辺が片持ち梁の固定端として機能し、ウエイト装着部の周辺が片持ち梁の自由端として機能することに着目したものである。
【0010】
上記のような観点に基づく本発明の一局面に係る作業機械は、上部本体であって、前記上部本体の後端部に配置されるウエイト装着部を有する、上部本体と、前記上部本体が鉛直方向に延びる旋回軸心回りに旋回可能なように前記上部本体を支持する下部本体と、前記ウエイト装着部よりも前方において前記上部本体に配置され、作業者が搭乗することを許容する運転室と、前記上部本体の前方部分に起伏可能に装着される起伏部材と、前記上部本体に固定される第1リング部と前記下部本体に固定される第2リング部とを有し、前記第1リング部は前記第2リング部に対して前記旋回軸心回りに相対回転可能である、旋回ベアリングと、前記上部本体の前記ウエイト装着部に着脱可能に装着されるカウンタウエイトと、前記上部本体のうち前記ウエイト装着部よりも前方部分に装着され、前記カウンタウエイトの前記ウエイト装着部への装着に伴う前記上部本体の変形量を検出する変形量検出部と、前記変形量検出部によって検出された前記変形量に基づいて、前記カウンタウエイトが前記ウエイト装着部に装着されたことを判定する装着判定部と、を備える。
【0011】
本構成によれば、カウンタウエイトがウエイト装着部に装着されると、変形量検出部が上部本体の変形量を検出する。そして、装着判定部は、前記変形量検出部によって検出された変形量に基づいて、前記カウンタウエイトが前記ウエイト装着部に装着されたことを判定する。このため、上部本体のうちウエイト装着部よりも前方部分の変形に基づいて、カウンタウエイトの装着を検出することができる。また、上記の構成によれば、カウンタウエイトがウエイト装着部に装着される時に、カウンタウエイトの重量に応じた直接的な衝撃が変形量検出部に付与されることがない。したがって、作業機械の組立作業が繰り返し行われた場合であっても、変形量検出部の破損が抑止される。また、ウエイト装着部に変形量検出部が配置される場合と比較して、変形量検出部から延びる電気配線がカウンタウエイトと接触することで損傷することを防止することができる。このように、カウンタウエイトの装着状態を安定して検出することが可能な作業機械を提供することができる。更に、カウンタウエイトに装着されたRFIDタグの情報に応じてカウンタウエイトの装着状態が検出される技術と比較して、タグの損傷や脱離に伴う誤検出が防止される。
【0012】
上記の構成において、前記変形量検出部はひずみゲージからなり、当該ひずみゲージは前記上部本体のうち前記ひずみゲージが装着された部分のひずみ量を前記変形量として検出することが望ましい。
【0013】
本構成によれば、カウンタウエイトの大きな重量に対応した荷重計を備えることなく、カウンタウエイトの装着状態を簡易かつ低コストで検出することができる。
【0014】
上記の構成において、前記カウンタウエイトの重量に対応する閾値を予め記憶および出力する記憶部を更に備え、前記装着判定部は、前記ひずみゲージによって検出される前記ひずみ量と前記記憶部から出力される前記閾値とを比較することで、前記カウンタウエイトが前記ウエイト装着部に装着されたか否かを判定することが望ましい。
【0015】
本構成によれば、ひずみゲージが検出するひずみ量の変化に応じて、カウンタウエイトの装着を判定することができる。
【0016】
上記の構成において、前記装着判定部は、前記ひずみゲージによって検出される前記ひずみ量が前記閾値を超えた場合に、前記カウンタウエイトが前記ウエイト装着部に装着されたと判定することが望ましい。
【0017】
本構成によれば、検出されるひずみ量が閾値を超えることに対応して、カウンタウエイトの装着を速やかに判定することができる。
【0018】
上記の構成において、前記閾値は、前記カウンタウエイトの重量に応じて予め設定された下限値および上限値を含み、前記装着判定部は、前記ひずみゲージによって検出される前記ひずみ量が前記下限値と前記上限値との間に含まれる場合に、前記カウンタウエイトが前記ウエイト装着部に装着されたと判定することが望ましい。
【0019】
本構成によれば、カウンタウエイトの重量に製造誤差などがある場合であっても、カウンタウエイトの装着を安定して検出し、誤検知を防止することができる。
【0020】
上記の構成において、前記ひずみゲージによって検出される前記ひずみ量が前記下限値よりも小さいまたは前記上限値よりも大きい場合に、所定の警告情報を出力する警告情報出力部を更に有することが望ましい。
【0021】
本構成によれば、装着されたカウンタウエイトの重量が所定の誤差範囲を超える場合には、速やかに警告情報を出力することができる。
【0022】
上記の構成において、前記カウンタウエイトは、前記ウエイト装着部に鉛直方向に沿って積載されることが可能な複数のウエイト体を有し、前記ウエイト装着部に装着される前記ウエイト体の数に関するモード情報を受け付ける情報入力部であって、当該情報入力部は、少なくとも最大装着モードおよび部分装着モードを選択的に受け付け可能であり、前記最大装着モードでは前記複数のウエイト体のうちのすべてのウエイト体が前記ウエイト装着部に装着され、前記部分装着モードでは前記複数のウエイト体のうちの一部のウエイト体が前記ウエイト装着部に装着される、情報入力部を更に備え、前記記憶部は、前記複数のウエイト体のうちの前記すべてのウエイト体の総重量に対応する前記閾値である全ウエイト用閾値と、前記複数のウエイト体のうちの前記一部のウエイト体の総重量に対応する前記閾値である部分ウエイト用閾値とを予め記憶しており、前記装着判定部は、前記情報入力部が前記最大装着モードを受け付けると前記ひずみゲージによって検出される前記ひずみ量と前記記憶部から出力される前記全ウエイト用閾値とを比較することで前記すべてのウエイト体が前記ウエイト装着部に装着されたか否かを判定する一方、前記情報入力部が前記部分装着モードを受け付けると前記ひずみゲージによって検出される前記ひずみ量と前記記憶部から出力される前記部分ウエイト用閾値とを比較することで前記一部のウエイト体が前記ウエイト装着部に装着されたか否かを判定することが望ましい。
【0023】
本構成によれば、作業機械において最大装着モードおよび部分装着モードの何れのモードが選択された場合であっても、ウエイト体の重量に関する適切な閾値が採用され、ウエイト体が装着されたか否かを判定することができる。
【0024】
上記の構成において、前記カウンタウエイトは、前記ウエイト装着部に鉛直方向に沿って順に積載されることが可能な複数のウエイト体を有し、前記ウエイト装着部に装着されることが予定される前記ウエイト体の数である積載予定数に関する情報を受け付ける情報入力部を更に備え、前記記憶部は、前記複数のウエイト体のうちの各ウエイト体の重量に対応する前記閾値であるウエイト単体用閾値をそれぞれ記憶しており、前記装着判定部は、前記ひずみゲージによって検出される前記ひずみ量の変化量と前記記憶部から出力される前記ウエイト単体用閾値とを比較すること、または、前記ひずみゲージによって検出される前記ひずみ量と前記記憶部から出力された複数の前記ウエイト単体用閾値の合計とを比較することで、前記各ウエイト体が前記ウエイト装着部に装着されたか否かを判定することが望ましい。
【0025】
本構成によれば、各ウエイト体がウエイト装着部に装着されることを個別に精度よく判定することができる。
【0026】
上記の構成において、前記記憶部は、前記複数のウエイト体のうちの各ウエイト体が積載される順番に関する情報を更に記憶しており、前記装着判定部は、n番目(nは自然数)に積載される前記ウエイト体に対して、(n-1)番目の前記ウエイト体が積載された状態からの前記ひずみゲージによって検出される前記ひずみ量の変化量と前記記憶部から出力されるn番目の前記ウエイト体の前記ウエイト単体用閾値とを比較すること、または、前記ひずみゲージによって検出される前記ひずみ量と前記記憶部から出力されるn番目までの前記ウエイト単体用閾値の合計とを比較することで、前記n番目のウエイト体が前記ウエイト装着部に装着されたか否かを判定することが望ましい。
【0027】
本構成によれば、各ウエイト体がウエイト装着部に所定の順番で装着されることを個別に精度よく判定することができる。
【0028】
上記の構成において、(n-1)番目の前記ウエイト体の装着後、前記ひずみ量が変化したにも関わらず、前記n番目のウエイト体が前記ウエイト装着部に装着されていないと前記装着判定部が判定した場合に、所定の誤積載情報を出力する誤積載情報出力部を更に有することが望ましい。
【0029】
本構成によれば、n番目に装着されるべきウエイト体とは異なるウエイト体が装着された場合に、速やかに誤積載情報を出力することができる。
【0030】
上記の構成において、前記上部本体は、当該上部本体のうち前記ウエイト装着部よりも前記第1リング部に近い位置に配置され、前記ウエイト装着部への前記カウンタウエイトの装着に伴って前記上部本体とともに変形する変形部材を更に備え、前記変形量検出部は、前記変形部材に装着され、前記カウンタウエイトの装着に伴う前記変形部材の変形量を検出することが望ましい。
【0031】
本構成によれば、変形部材の配置、形状や材料を調整し変形部材の変形量を大きくすることで、カウンタウエイトが装着されたことを精度よく判定することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、カウンタウエイトの装着状態を安定して検出することが可能な作業機械が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る作業機械の模式的な側面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る作業機械の旋回フレームの断面斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る作業機械の旋回フレームの側面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る作業機械の旋回フレームの側方断面図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る作業機械の旋回フレームの平面図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る作業機械の旋回フレームの拡大底面図であって、ベアリング装着部の周辺を拡大した図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係る旋回ベアリングの周辺の断面図である。
【
図8】
図2の変形部材の周辺を拡大した断面斜視図である。
【
図9】本発明の第1実施形態に係る変形部材の周辺を拡大した断面図である。
【
図10】本発明の第1実施形態に係る作業機械の制御部のブロック図である。
【
図11】本発明の第1実施形態に係る作業機械においてカウンタウエイトが装着される際のひずみ量の推移を示すグラフである。
【
図12】本発明の第1実施形態に係る作業機械においてカウンタウエイトの装着が検出される様子を示すフローチャートである。
【
図13】本発明の第2実施形態に係る作業機械においてカウンタウエイトが装着される際のひずみ量の推移を示すグラフである。
【
図14】本発明の第2実施形態に係る作業機械においてカウンタウエイトの装着が検出される様子を示すフローチャートである。
【
図15】本発明の第3実施形態に係る作業機械においてカウンタウエイトが装着される際のひずみ量の推移を示すグラフである。
【
図16】本発明の第3実施形態に係る作業機械においてカウンタウエイトが装着される際のひずみ量の推移を示すグラフである。
【
図17】本発明の第3実施形態に係る作業機械においてカウンタウエイトが装着される際のひずみ量の推移を示すグラフである。
【
図18】本発明の第3実施形態に係る作業機械においてカウンタウエイトの装着が検出される様子を示すフローチャートである。
【
図19】本発明の第4実施形態に係る作業機械においてカウンタウエイトが装着される際のひずみ量の推移を示すグラフである。
【
図20】本発明の第4実施形態に係る作業機械においてカウンタウエイトの装着が検出される様子を示すフローチャートである。
【
図21】本発明の第4実施形態に係る作業機械においてカウンタウエイトの装着が検出される際のエラー処理を示すフローチャートである。
【
図22】本発明の第1変形実施形態に係る作業機械の旋回フレームの断面斜視図である。
【
図23】本発明の第2変形実施形態に係る旋回フレームの一部を拡大した断面斜視図である。
【
図24】本発明の第3変形実施形態に係る旋回フレームの一部を拡大した断面斜視図である。
【
図25】本発明の第4変形実施形態に係る旋回フレームの一部を拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照しつつ、本発明の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るクレーン1(作業機械)の側面図である。なお、以後、各図には、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」および「後」の方向が示されているが、当該方向は、本実施形態に係るクレーン1の構造および組立方法を説明するために便宜上示すものであり、本発明に係る作業機械の移動方向や使用態様などを限定するものではない。
【0035】
クレーン1は、下部走行体10(下部本体)と、上部旋回体20と、旋回ベアリング21と、キャブ25(運転室)と、カウンタウエイト30と、ブーム31と、を備える。
【0036】
下部走行体10は、地面G上に配置され、上部旋回体20が鉛直方向に延びる旋回中心CL回りに旋回可能なように上部旋回体20の後記の旋回フレーム22を支持する。下部走行体10は、カーボディ11と、左右一対のクローラフレーム12と、を有する。カーボディ11は、下部走行体10の左右方向(
図1の紙面と直交する方向)の中央部に配置され、上部旋回体20を旋回可能に支持する。左右一対のクローラフレーム12は、カーボディ11に左右方向の両側から連結されている。クローラフレーム12は、カーボディ11よりも前後方向に長く延びており、クローラフレーム12の前端部および後端部には、駆動ローラ122およびアイドラローラ123が回転可能に支持されている。また、
図1に示すように、駆動ローラ122およびアイドラローラ123に支持された状態で、クローラ121がクローラフレーム12の周囲を周回可能に配置されている。不図示の駆動機構によって駆動ローラ122が回転されると、クレーン1の走行が可能となる。旋回ベアリング21は、下部走行体10と上部旋回体20との間に介在し、上部旋回体20が旋回することを許容する。
【0037】
キャブ25は、上部旋回体20の前端部に配置されている。本実施形態では、キャブ25は、ウエイト装着部よりも前方において上部旋回体20に配置され、クレーン1の運転室に相当し、クレーン1を操作する作業者が搭乗することを許容する。キャブ25には、作業者が操作する操作レバーや作業者が視認する作業情報を表示する表示部61(
図10)などが配置されている。
【0038】
ブーム31は、上部旋回体20(旋回フレーム22)の前端部(前方部分)に水平な回転軸回りに起伏可能に装着されている。ブーム31の先端部から吊り下げられた不図示の主巻ロープにはフックが取り付けられている。
【0039】
カウンタウエイト30は、上部旋回体20の後端部に装着される。カウンタウエイト30は、クレーン1のバランスを保持するための錘である。
図1に示すように、カウンタウエイト30は、薄板状の複数のウエイト体300が順に積層されることで構成される。
【0040】
また、クレーン1には、不図示の各種ウインチが搭載される。具体的には、ブーム31を起伏させるためのブーム起伏用ウインチと、吊り荷の巻上げ及び巻下げを行うための主巻用ウインチとが搭載される。
【0041】
ブーム起伏用ウインチが不図示のブーム起伏用ロープの巻き取り及び繰り出しを行うことで、ブーム31が起伏方向に回動する。主巻用ウインチは、前記主巻ロープによる吊り荷の巻上げ及び巻下げを行う。
【0042】
図2は、本実施形態に係るクレーン1の旋回フレーム22の断面斜視図である。
図3乃至
図5は、それぞれ旋回フレーム22の側面図、側方断面図および平面図である。上部旋回体20は、旋回フレーム22(上部本体)を有する。旋回フレーム22は、上部旋回体20の本体部分を構成するものであり、複数の板材が溶接接合されることで成形される。なお、各図に示される前後方向(旋回フレーム22の長手方向)および左右方向(旋回フレーム22の幅方向)は、旋回フレーム22(上部旋回体20)を基準とした方向である。
図2乃至
図5を参照して、旋回フレーム22は、底壁221と、上壁222と、左右一対の側壁223と、後壁224と、前壁220と、複数の内壁225と、複数の内側リブ226と、中央リブ22Hと、を備える。
【0043】
左右一対の側壁223は、旋回フレーム22の前後方向に沿って延びるとともに旋回フレーム22の左右方向に互いに間隔をおいて配置される。側壁223は、前記左右方向に面している。左右一対の側壁223は、左側壁223L(
図2)と右側壁223R(
図3)とを含む。なお、
図2では、左側壁223Lのみが現れているが、右側壁223R(
図3)も左側壁223Lと同じ構造を有する。左右一対の側壁223は、それぞれ中央突出部223Tと、ウエイト装着部22S(ウエイト装着部)と、を有する。中央突出部223Tは、側壁223の前後方向の略中央部が上方に突出した部分である。当該中央突出部223Tには、ブーム31を起伏可能に支持する不図示のマストが装着される。
【0044】
ウエイト装着部22Sは、側壁223(旋回フレーム22)の後端部に配置される。ウエイト装着部22Sは、U字形状を有し、左右一対のウエイト装着部22Sに、カウンタウエイト30が着脱可能に装着される。カウンタウエイト30は、ウエイト装着部22Sに係合可能な不図示の係合部を有する。なお、前述のキャブ25は、ウエイト装着部22Sよりも前方において旋回フレーム22上に配置される。
【0045】
底壁221は、旋回フレーム22の下面部を画定する板材である。底壁221は、左右一対の側壁223の間で鉛直方向に面するように配置されるとともに、左右一対の側壁223同士を左右方向において接続する。
図2乃至
図4に示すように、底壁221は、側壁223の前端部から後端部にかけて前後方向に延びている。底壁221には、底壁前開口部221Sおよび底壁後開口部221Tは開口されている(
図2)。底壁前開口部221Sは、中央突出部223Tよりも前方において、底壁221に開口された開口部である。同様に、底壁後開口部221Tは、中央突出部223Tよりも後方において、底壁221に開口された開口部である。底壁前開口部221Sおよび底壁後開口部221Tは、いずれも前後方向に延びる長穴状に開口されている。
【0046】
上壁222は、旋回フレーム22の上面部を画定する板材である。上壁222は、底壁221の上方に間隔をおいて配置される。上壁222も、底壁221と同様に、左右一対の側壁223の間で鉛直方向に面するように配置されるとともに、左右一対の側壁223同士を左右方向において接続する。また、
図2に示すように、上壁222のうち、底壁前開口部221Sおよび底壁後開口部221Tの上方の部分には、それぞれ開口部が形成されている。
【0047】
後壁224は、左右一対の側壁223の後端部、底壁221の後端部および上壁222の後端部を接続する。後壁224は、鉛直方向に沿って延びている。一方、前壁220は、左右一対の側壁223の前端部、底壁221の前端部および上壁222の前端部を接続する。なお、底壁221、上壁222、一対の側壁223、前壁220および後壁224によって、旋回フレーム22の箱型形状が構成される。
図2に示すように、後壁224には、楕円状の開口部が形成されている。
【0048】
複数の内壁225は、左右一対の側壁223の間で鉛直方向に沿ってそれぞれ延びるとともに前後方向に互いに間隔をおいて配置されている。複数の内壁225の左右方向の両端部は、それぞれ左右一対の側壁223に接続されている。また、複数の内壁225の下端部および上端部は、それぞれ底壁221および上壁222に接続されている。複数の内壁225には、楕円状の開口部が形成されている。複数の内壁225は、第1内壁225Aと、第2内壁225Bと、第3内壁225Cと、第4内壁225Dと、を有する。第1内壁225Aは、底壁前開口部221Sの前端部近傍に配置され、第2内壁225Bは、底壁前開口部221Sの後端部近傍に配置されている。また、第3内壁225Cは、第2内壁225Bの後方であって、底壁後開口部221Tの前端部近傍に配置されている。第4内壁225Dは、底壁後開口部221Tの後端部近傍に配置されている。なお、後壁224、第3内壁225Cおよび第4内壁225Dは、本発明の複数の縦板を構成する。このうち、第3内壁225Cは、本発明の一の縦板を構成する。第3内壁225Cは、前記複数の縦板のうち最も旋回ベアリング21(第1リング部21A)に近い位置に配置されている。
【0049】
複数の内側リブ226は、側壁223の内面部に固定されており、底壁221と上壁222とを上下方向に沿って接続するように配置されている。複数の内壁225および複数の内側リブ226によって、旋回フレーム22の剛性が確保されている。
【0050】
中央リブ22Hは、中央突出部223Tの内側に配置され、中央突出部223Tの倒れを防止する。
【0051】
図6は、本実施形態に係るクレーン1の旋回フレーム22の拡大底面図であって、ベアリング装着部21Sの周辺を拡大した図である。また、
図7は、ベアリング装着部21Sの周辺の上部旋回体20(旋回フレーム22)および下部走行体10の断面図である。
【0052】
旋回ベアリング21は、円形の第1リング部21Aと、円形の第2リング部21Bと、を有する(
図7)。第1リング部21Aは、旋回フレーム22の底壁221に形成されたベアリング装着部21Sに固定される。第2リング部21Bは、第1リング部21Aの径方向内側に配置され、下部走行体10の上面部110(
図7)に形成されたベアリング装着部110S(
図7)に固定される。第1リング部21Aは、第2リング部21Bに対して前記旋回軸心CL回りに相対回転可能とされる。具体的に、第2リング部21Bの内周面には、周方向に沿って複数のギア歯21Cが形成されている。また、クレーン1は、底壁221の旋回モータ装着部22Mに固定される旋回モータM(
図7)を有する。旋回モータMのピニオンギアMPが第2リング部21Bのギア歯21Cと係合する。旋回モータMのピニオンギアMPが回転すると、旋回モータMとともに旋回フレーム22が下部走行体10に対して回転することで、上部旋回体20が旋回中心CL回りに旋回する。
【0053】
旋回フレーム20は、更に、左右一対の測定支台50(変形部材)を有する。また、クレーン1は、左右一対のひずみゲージ51(変形量検出部)を備える。
図8は、
図2に示される測定支台50の周辺を拡大した断面斜視図である。
図9は、測定支台50の周辺を拡大した模式的な断面図である。なお、
図8では、左右一対の測定支台50およびひずみゲージ51のうち、左側の測定支台50およびひずみゲージ51のみが現れているが、右側の測定支台50およびひずみゲージ51は、
図9の測定支台50およびひずみゲージ51の右方に間隔を置いた位置に配置されている。換言すれば、旋回フレーム22の構造は、当該旋回フレーム22の左右方向の中心を通り前後方向に延びる不図示の中心線を中心に線対称に配置されている。
【0054】
測定支台50は、旋回フレーム22のうち、第1リング部21Aよりも後方であってウエイト装着部22Sの前方であって、ウエイト装着部22Sよりも第1リング部21Aに近い位置に配置されている。特に、本実施形態では、測定支台50は、底壁221と第3内壁225Cとによって形成される角部に配置されている。測定支台50は、ウエイト装着部22Sへのカウンタウエイト30の装着に伴って旋回フレーム22の周囲の部材から力を受けてこれらの部材とともに変形する。ひずみゲージ51は、測定支台50に装着され、カウンタウエイト30の装着に伴う測定支台50(旋回フレーム22)のひずみ量(変形量)に応じた信号を出力する(変形量を検出する)。
【0055】
図9を参照して、前述の第3内壁225Cは、旋回フレーム22の後方向に面する後面部225C1を有する。また、底壁221は、上方向に面する上面部221Aを有する。上面部221Aおよび後面部225C1は互いに接続され、測定支台50が固定される角部を形成している。
【0056】
測定支台50は、上下および前後方向に延びる板材からなる。すなわち、測定支台50の左右方向における寸法は、測定支台50の前後方向および鉛直方向における寸法よりも小さく設定されている。測定支台50は、第1面50Aと、第2面50Bと、保持面50Cと、を有する。第1面50Aは、測定支台50の前面部であり、第3内壁225Cの後面部225C1(
図9)に鉛直方向に沿って接続される。第2面50Bは、測定支台50の下面部であり、底壁221の上面部221A(
図9)に前後方向に沿って接続される。
保持面50Cは、第1面50Aと第2面50Bとを接続するとともに、ひずみゲージ51を保持する。保持面50Cは、旋回フレーム22の前方に向かって先上がりに傾斜するとともにひずみゲージ51を保持する傾斜面を有する。
図9に示すように、本実施形態では、当該傾斜面は円弧状の湾曲面からなる。そして、本実施形態では、ひずみゲージ51は、前後方向および鉛直方向を含む基準面(
図9の紙面と平行な面)上における保持面50Cの伸縮(
図9の矢印D2)に応じて前記信号を出力するように保持面50Cに保持されている。すなわち、当該ひずみゲージ51は旋回フレーム20のうちひずみゲージ51が装着された部分のひずみ量に応じた信号を出力する。なお、ひずみゲージ51は、保持面50Cに対して着脱可能に固定されている。
【0057】
また、本実施形態では、
図8に示すように、左側壁223Lが左右方向においてひずみゲージ51に対向して配置される。また、上壁222(上板)が、ひずみゲージ51を上方から覆うように配置される。
【0058】
クレーン1は、更に制御部60を備える。
図10は、本実施形態に係るクレーン1の制御部60のブロック図である。制御部60は、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)等から構成されている。また、制御部60には、前述のひずみゲージ51に加え、表示部61(報知部)および操作部62(情報入力部)が電気的に接続されている。
【0059】
表示部61は、キャブ25内で運転席の前方に配置された液晶パネルであり、作業者に対してクレーン1の作業情報などを報知する。特に、表示部61は、ひずみゲージ51から出力された信号に基づく情報を受け付け、カウンタウエイト30がウエイト装着部22Sに装着されたことをキャブ25内の作業者に報知する。なお、表示部61に代わって、ブザー音を発生するスピーカーや発光するランプなどによって上記の情報が報知されてもよい。
【0060】
また、操作部62は、キャブ25内に設けられており、作業者によって操作される。操作部62は、クレーン1を操作するための不図示の操作レバーと、モードスイッチ621と、を含む。モードスイッチ621も作業者によって操作されるものであって、本実施形態では、カウンタウエイト30がウエイト装着部22Sに装着されたか否かを検出するための「自動検出モード」が開始される際に、当該モードスイッチ621が作業者によって押圧される。モードスイッチ621が押圧されると、所定の指令信号が制御部60に入力される。
【0061】
制御部60は、前記ひずみゲージ51から出力された前記信号に基づいて、カウンタウエイト30がウエイト装着部22Sに装着されたことを検出する。制御部60は、前記CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、装着判定部601、記憶部602および情報出力部603(警告情報出力部、誤積載情報出力部)を備えるように機能する。
【0062】
装着判定部601は、ひずみゲージ51から出力された信号を受け付け、当該信号の大きさに応じて、ウエイト装着部22Sにカウンタウエイト30が装着されたか否かを判定する。記憶部602は、カウンタウエイト30の重量に対応する閾値を予め記憶および出力する。本実施形態では、装着判定部601は、ひずみゲージ51によって検出されるひずみ量と記憶部602から出力される閾値とを比較することで、ウエイト装着部22Sにカウンタウエイト30が装着されたか否かを判定する。
【0063】
情報出力部603は、装着判定部601によってカウンタウエイト30がウエイト装着部22Sに装着されていると判定されると、「カウンタウエイト搭載完了情報」を表示部61に対して出力し、当該情報を表示部61に表示させる。また、情報出力部603は、後記のように、設定されたカウンタウエイト30とは異なる重量のカウンタウエイト30がウエイト装着部22Sに装着された場合に「警告情報」を出力し、表示部61に表示させる。
【0064】
図11は、本実施形態に係るクレーン1においてカウンタウエイト30が装着される際のひずみ量の推移を示すグラフである。
図12は、クレーン1においてカウンタウエイト30の装着が検出される様子を示すフローチャートである。
【0065】
本実施形態では、クレーン1の組立段階において、予め複数のウエイト体300が地上で積層されることでカウンタウエイト30が一体に構成される。その後、不図示の補助クレーンによって、
図1の矢印で示すようにカウンタウエイト30(複数のウエイト体300)がウエイト装着部22S(
図2)に装着される。
【0066】
図12を参照して、クレーン1の組立作業が開始されると、制御部60の装着判定部601が、記憶部602に記憶されているFlagを0(ゼロ)にリセットする(ステップS01)。次に、作業者が操作部62のモードスイッチ621を押圧すると、カウンタウエイト30の自動検出モードが選択される(ステップS02でYES)。なお、モードスイッチ621が押圧されるまで、装着判定部601はステップS02を繰り返す(ステップS02でNO)。モードスイッチ621が押圧されると、装着判定部601が記憶部602に記憶されているFlagを1に更新する(ステップS03)。そして、装着判定部601は、ひずみゲージ51から出力される信号を受けることで、測定支台50のひずみ量εtを測定する(ステップS04)。当該ひずみ量εtの測定は、所定の時間間隔で継続的に実行される。この間、装着判定部601は、ひずみ量εtと、カウンタウエイト30の重量に応じて予め設定された閾値ε0との大小関係を比較する(ステップS05)。
【0067】
表1は、本実施形態において、記憶部602に記憶される情報を示している。カウンタウエイト30の重量は100tであり、当該カウンタウエイト30がウエイト装着部22Sに装着された際のひずみゲージ51が検出するひずみ量εtが100%とすると、閾値ε0は60%に設定されている。
【0068】
【0069】
ここで、εt>ε0の場合(ステップS05でYES)、すなわち、ひずみゲージ51によって検出されるひずみ量εtが閾値ε0を超えた場合に、装着判定部601は、カウンタウエイト30がウエイト装着部22Sに装着されたと判定する。そして、情報出力部603が、「カウンタウエイト搭載完了情報」を表示部61に対して出力し、当該情報を表示部61に表示させる(ステップS06)。なお、
図11では、時刻t1において、ひずみゲージ51によって検出されるひずみ量εtが、ウエイトなし状態のεpから増大し閾値ε0を超えている。このひずみ量εtの変化によって、装着判定部601はカウンタウエイト30がウエイト装着部22Sに装着されたと判定することができる。なお、ステップS05において、εt≦ε0の場合(ステップS05でNO)は、ステップS04、S05が繰り返される。
【0070】
以上のように、本実施形態では、カウンタウエイト30がウエイト装着部22Sに装着されると、ひずみゲージ51が旋回フレーム22上の測定支台50の変形量に応じた信号を出力する。そして、制御部60は、ひずみゲージ51から出力された前記信号を受け、カウンタウエイト30がウエイト装着部22Sに装着されたことを検出する。このため、旋回フレーム22のうちウエイト装着部22Sよりも前方部分の変形に基づいて、カウンタウエイト30の装着を検出することができる。また、本実施形態では、ウエイト装着部22Sよりも前方、特に、ウエイト装着部22Sよりも旋回ベアリング21(第1リング部21A)に近い位置に測定支台50が配置されている。このため、カウンタウエイト30がウエイト装着部22Sに装着される時に、カウンタウエイト30の重量に応じた直接的な衝撃がひずみゲージ51に付与されることがない。したがって、クレーン1の組立作業が繰り返し行われた場合であっても、ひずみゲージ51の破損が抑止される。また、ウエイト装着部22Sにひずみゲージ51が直接配置される場合と比較して、ひずみゲージ51から延びる電気配線がカウンタウエイト30と接触することで損傷することを防止することができる。このように、本実施形態では、カウンタウエイト30の装着状態を安定して検出することが可能なクレーン1を提供することができる。更に、カウンタウエイト30に装着されたRFIDタグの情報に応じてカウンタウエイト30の装着状態が検出される技術と比較して、タグの損傷や脱離に伴う誤検出が防止される。
【0071】
また、本実施形態では、装着判定部601が、前記ひずみゲージ51によって検出されるひずみ量εtと前記記憶部602から出力される前記閾値ε0とを比較することで、前記カウンタウエイト30が前記ウエイト装着部22Sに装着されたか否かを判定する。このため、ひずみゲージ51が検出するひずみ量εtの変化に応じて、カウンタウエイト30の装着を検出することができる。更に、検出されるひずみ量εtが閾値ε0を超えることに対応して、カウンタウエイト30の装着を速やかに判定することができる。
【0072】
なお、クレーン1の組立段階において、旋回フレーム22では旋回ベアリング21の第1リング部21Aが固定端として機能し、ウエイト装着部22S周辺が上下に移動可能な自由端として機能する。このため、ウエイト装着部22Sにカウンタウエイト30が装着されると、測定支台50の第2面50Bが接続された底壁221には
図9の矢印D1で示すように下方に向かって荷重が付与される。一方、測定支台50の第1面50Aは第3内壁225Cに接続されているため前後方向には動きにくい。この結果、ひずみゲージ51を保持する保持面50Cには、矢印D2で示すような引張応力が発生する。ひずみゲージ51は、当該保持面50Cの変形量に応じた信号(電圧)を制御部60の装着判定部601(
図10)に入力する。そして、前述のように当該信号(ひずみ量εt)が予め設定された閾値ε0を上回っている場合に、装着判定部601はカウンタウエイト30がウエイト装着部22Sに装着されたと判定し、当該情報が情報出力部603から出力され表示部61に表示される。このため、キャブ25よりも後方のウエイト装着部22Sにカウンタウエイト30が装着されたことを、キャブ25に前方を向いて搭乗している作業者が認識することができる。
【0073】
また、本実施形態では、カウンタウエイト30の重量が旋回フレーム22の後端部に付与されたことが、測定支台50の保持面50Cの変形量としてひずみゲージ51によって検出される。このため、カウンタウエイト30の大きな重量に対応した荷重計を備えることなく、カウンタウエイト30の装着状態を簡易かつ低コストで検出することができる。
【0074】
また、本実施形態では、
図9に示すように、測定支台50が、第3内壁225Cに接続される第1面50Aと、底壁221に接続される第2面50Bと、第1面50Aおよび第2面50Bを接続するとともにひずみゲージ51を保持する保持面50Cとを有する。そして、ひずみゲージ51は、前後方向および鉛直方向を含む基準面上における保持面50Cの伸縮に応じて前記信号を出力するように保持面50Cに保持されている。このため、ウエイト装着部22Sにカウンタウエイト30の重量に相当する荷重が付与されると、保持面50Cに大きな応力が発生し、当該応力に応じた保持面50Cの変形量をひずみゲージ51が高い感度で検出することができる。このように、測定支台50が設けられると、ひずみゲージ51が旋回フレーム22に直接装着される場合と比較して、測定支台50の配置、形状や材料を調整し測定支台50の変形量を大きくすることで、カウンタウエイト30が装着されたことを精度よく判定することができる。
【0075】
更に、本実施形態では、測定支台50(ひずみゲージ51)は、旋回ベアリング21よりも後方の縦板のうち、最も旋回ベアリング21(第1リング部21A)に近い位置に配置された第3内壁225Cに装着されている。カウンタウエイト30の装着時に、旋回フレーム22の第1リング部21Aの周辺が固定端として機能し、ウエイト装着部22Sの周辺が自由端として機能する。そして、測定支台50が装着される第3内壁225Cは上記の固定端に近い位置に配置される。したがって、このため、測定支台50の第2面50Bに対して下方に向かう大きな力が付与され(
図9の矢印D1)、保持面50Cの変形量を大きく設定することができる。このため、保持面50Cの変形量をひずみゲージ51が安定して検出することができる。
【0076】
また、本実施形態では、測定支台50(ひずみゲージ51)の左右方向の両側に、左右一対の側壁223が配置され、測定支台50の上方には上壁222が配置されている。このため、ひずみゲージ51の変形量検出動作が、雨風などクレーン1の外部の環境の影響を受けにくい。また、ひずみゲージ51に物が衝突しひずみゲージ51が破損することが抑止される。
【0077】
更に、本実施形態では、測定支台50の左右方向における寸法は、測定支台50の前後方向および鉛直方向における寸法よりも小さく設定されている。すなわち、測定支台50は、前後および上下方向に沿って延びる板材であり、保持面50Cは、当該板材の厚さ部分に相当する。この場合、保持面50Cの左右方向における変形が少ないため、ひずみゲージ51が
図9の矢印D2方向に沿った保持面50Cの変形量を精度良く検出することができる。
【0078】
更に、本実施形態では、ひずみゲージ51は、保持面50Cに対して着脱可能とされている。一例として、ひずみゲージ51は接着剤によって保持面50Cに固定される。一方、ひずみゲージ51を取り外す際には、当該接着剤を溶解する他の溶剤を用いることで、ひずみゲージ51を保持面50Cから引き剥がすことができる。このため、クレーン1の組立作業、換言すれば、カウンタウエイト30の着脱作業が繰り返された際に、ひずみゲージ51の感度が低下した場合でも、ひずみゲージ51を容易に交換することができる。
【0079】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態は、第1実施形態と比較して、自動検出モードにおけるカウンタウエイト30の装着判定方法において相違するため、当該相違点を中心に説明する。以後の各実施形態についても同様である。
図13は、本実施形態に係るクレーン1においてカウンタウエイト30が装着される際のひずみ量の推移を示すグラフである。
図14は、本実施形態に係るクレーン1においてカウンタウエイト30の装着が検出される様子を示すフローチャートである。
【0080】
図14を参照して、クレーン1の組立作業が開始されると、制御部60の装着判定部601が、記憶部602に記憶されているFlagを0(ゼロ)にリセットする(ステップS11)。次に、作業者が操作部62のモードスイッチ621を押圧すると、カウンタウエイト30の自動検出モードが選択される(ステップS12でYES)。本実施形態でも、モードスイッチ621が押圧されるまで、装着判定部601はステップS12を繰り返す(ステップS12でNO)。モードスイッチ621が押圧されると、装着判定部601が記憶部602に記憶されているFlagを1に更新する(ステップS13)。そして、装着判定部601は、ひずみゲージ51から出力される信号を受けることで、測定支台50のひずみ量εtを測定する(ステップS14)。当該ひずみ量εtの測定は、所定の時間間隔で継続的に実行される。この間、装着判定部601は、ひずみ量εtと、カウンタウエイト30の重量に応じて予め設定された閾値ε0との大小関係を比較する(ステップS15)。本実施形態では、カウンタウエイト30の製造誤差に伴う重量のばらつきを踏まえて、閾値ε0に誤差αが設定されている。すなわち、閾値ε0±αがカウンタウエイト30の重量に対応している。一例として、前述の表1に示すように、αはカウンタウエイト30の重量100tに対応するひずみ量100%に対して±10%に設定されている。ここで、ε0-α≦εt≦ε0+αの場合(ステップS15でYES)、すなわち、ひずみゲージ51によって検出されるひずみ量εtが閾値ε0±αの範囲に含まれる場合に、装着判定部601は、カウンタウエイト30がウエイト装着部22Sに装着されたと判定する。そして、情報出力部603が、「カウンタウエイト搭載完了情報」を表示部61に対して出力し、当該情報を表示部61に表示させる(ステップS16)。なお、
図13では、時刻t1において、ひずみゲージ51によって検出されるひずみ量εtが、εpから増大し閾値ε0±αの範囲に含まれている。このひずみ量εtの変化によって、装着判定部601はカウンタウエイト30がウエイト装着部22Sに装着されたことを検出することができる。なお、ステップS15において、εp<εt<ε0-α、または、ε0+α<εtの場合(ステップS15でNO)は、ステップS14、S15が繰り返される。
【0081】
以上のように、本実施形態では、カウンタウエイト30の重量に応じて設定された前記閾値は、予め設定された下限値(ε0-α)および上限値(ε0+α)を含む。そして、装着判定部601は、ひずみゲージ51によって検出されるひずみ量εtが前記下限値と前記上限値との間に含まれる場合に、カウンタウエイト30がウエイト装着部22Sに装着されたと判定する。このため、カウンタウエイト30の重量に製造誤差によるばらつきがある場合でも、カウンタウエイト30がウエイト装着部22Sに装着されたことを安定して検出し、誤検知を防止することができる。なお、本実施形態において、ステップS15において、εp<εt<ε0-α(下限値よりも小さい)、または、ε0+α<εt(上限値よりも大きい)の場合(ステップS15でNO)、後記の実施形態のように情報出力部603が所定の警告情報(エラー情報)を出力してもよい。この場合、装着されたカウンタウエイト30の重量が所定の誤差範囲を超える場合には、速やかに警告情報を出力することができる。
【0082】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図15乃至
図17は、本実施形態に係るクレーン1においてカウンタウエイト30が装着される際のひずみ量の推移を示すグラフである。
図18は、本実施形態に係るクレーン1においてカウンタウエイト30の装着が検出される様子を示すフローチャートである。
【0083】
図18を参照して、クレーン1の組立作業が開始されると、制御部60の装着判定部601が、記憶部602に記憶されているFlagを0(ゼロ)にリセットする(ステップS21)。次に、作業者が操作部62のモードスイッチ621を押圧すると、カウンタウエイト30の自動検出モードが選択される(ステップS22でYES)。本実施形態でも、モードスイッチ621が押圧されるまで、装着判定部601はステップS22を繰り返す(ステップS22でNO)。本実施形態では、モードスイッチ621が2つのモードメニューからモードを選択可能とされている。一方のモードは全重量仕様モード(最大装着モード)であり、他方のモードは軽量仕様モード(部分装着モード)である。なお、作業者が全重量仕様モードを選択すると装着判定部601は記憶部602のFlagを1に更新し、作業者が軽量仕様モードを選択すると装着判定部601は記憶部602のFlagを2に更新する。そして、更新されたFlagが1の場合(ステップS23でYES)、装着判定部601は、記憶部602に記憶されている閾値ε0としてεmaxを選択する(ステップS24)。一方、更新されたFlagが1ではない場合(ステップS23でNO)、装着判定部601は、記憶部602に記憶されている閾値ε0としてεaを選択する(ステップS25)。なお、閾値εmax(全ウエイト用閾値)は、前記複数のウエイト体300のうちの前記すべてのウエイト体300の総重量に対応する閾値である。一方、閾値εa(部分ウエイト用閾値)は、前記複数のウエイト体300のうちの軽量仕様モードで使用される一部のウエイト体300の総重量に対応する前記閾値である。この際、軽量仕様モードで使用されるウエイト体300は予め決定されている。表2は、本実施形態において、記憶部602が記憶している情報を示したものである。
【0084】
【0085】
すなわち、全重量仕様モードでは、カウンタウエイト30の重量が100tであり、ひずみゲージ51が検出するひずみ量の閾値ε0(閾値εmax)が100%に設定されている。一方、軽量仕様モードでは、カウンタウエイト30の重量が80tであり、ひずみゲージ51が検出するひずみ量の閾値ε0(閾値εa)が80%に設定されている。なお、全重量仕様モードではαは10%に設定され、軽量仕様モードではαは8%に設定されている。
【0086】
ステップS24またはS25においてε0が設定されると、装着判定部601は、ひずみゲージ51から出力される信号を受けることで、測定支台50のひずみ量εtを測定する(ステップS26)。そして、装着判定部601は、ひずみ量εtとカウンタウエイト30の重量に応じて予め設定された閾値ε0との大小関係を比較する(ステップS27)。本実施形態でも、第2実施形態と同様に閾値ε0に誤差αが設定されている。ここで、ε0-α≦εt≦ε0+αの場合(ステップS27でYES)、すなわち、ひずみゲージ51によって検出されるひずみ量εtが閾値ε0±αの範囲に含まれる場合に、装着判定部601は、カウンタウエイト30がウエイト装着部22Sに装着されたと判定する。更に、装着判定部601は、Flagの値を確認し(ステップS28)、Flagが1の場合には(ステップS28でYES)、情報出力部603が、「全重量仕様モードでのカウンタウエイト搭載完了情報」を表示部61に対して出力し、当該情報を表示部61に表示させる(ステップS29)。一方、ステップS28においてFlagが1でない場合には(ステップS28でNO)、情報出力部603が、「軽量仕様モードでのカウンタウエイト搭載完了情報」を表示部61に対して出力し、当該情報を表示部61に表示させる(ステップS30)。
【0087】
なお、
図15では、時刻t1において、ひずみゲージ51によって検出されるひずみ量εtが、ウエイトなし状態のεpから増大し閾値εmax±αの範囲に含まれているため、「全重量仕様モードでのカウンタウエイト搭載完了情報」が表示部61に表示される。このひずみ量εtの変化によって、装着判定部601はカウンタウエイト30がウエイト装着部22Sに装着されたことを検出することができる。なお、本実施形態でも、ステップS27において、εt<ε0-α、または、ε0+α<εtの場合(ステップS27でNO)は、ステップS26、S27が繰り返される。
【0088】
以上のように、本実施形態では、操作部62(情報入力部)のモードスイッチ621が、ウエイト装着部22Sに装着されるウエイト体300の数に関するモード情報を受け付ける。当該モードスイッチ621は、少なくとも全重量仕様モードおよび軽量仕様モードを選択的に受け付け可能であり、全重量仕様モードでは前記複数のウエイト体300のうちのすべてのウエイト体300が前記ウエイト装着部22Sに装着され、軽量仕様モードでは前記複数のウエイト体300のうちの一部のウエイト体300が前記ウエイト装着部22Sに装着される。
【0089】
そして、装着判定部601は、モードスイッチ621が全重量仕様モードを受け付けると前記ひずみゲージ51によって検出される前記ひずみ量εtと記憶部602から出力される前記全ウエイト用閾値εmaxとを比較することで前記すべてのウエイト体300が前記ウエイト装着部22Sに装着されたか否かを判定する。一方、装着判定部601は、モードスイッチ621が軽量仕様モードを受け付けると前記ひずみゲージ51によって検出される前記ひずみ量εtと記憶部602から出力される前記部分ウエイト用閾値εaとを比較することで前記一部のウエイト体300が前記ウエイト装着部22Sに装着されたか否かを判定する。このため、クレーン1において全重量仕様モードおよび軽量仕様モードの何れのモードが選択された場合であっても、ウエイト体300の重量に関する適切な閾値が採用され、ウエイト体300が装着されたか否かを判定することができる。
【0090】
なお、本実施形態においても、ステップS27において、εp<εt<ε0-α(下限値よりも小さい)、または、ε0+α<εt(上限値よりも大きい)の場合(ステップS15でNO)、後記の実施形態のように情報出力部603が所定の警告情報(エラー情報)を出力してもよい。この場合も、装着されたカウンタウエイト30の重量が所定の誤差範囲を超える場合には、速やかに警告情報を出力することができる。
【0091】
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
図19は、本実施形態に係るクレーン1においてカウンタウエイト30が装着される際のひずみ量の推移を示すグラフである。
図20は、本実施形態に係るクレーン1においてカウンタウエイト30の装着が検出される様子を示すフローチャートである。なお、本実施形態では、ウエイト装着部22Sに対して、ウエイト体300が1つずつ順番に積載される。この際、ウエイト装着部22Sに装着されることが予定されるウエイト体300の数(段数N、積載予定数)は予め設定されており、作業者が操作部62から当該段数Nを入力する。
【0092】
図20を参照して、クレーン1の組立作業が開始されると、制御部60の装着判定部601が、記憶部602に記憶されているFlagを0(ゼロ)にリセットする(ステップS31)。次に、作業者が操作部62のモードスイッチ621を押圧すると、カウンタウエイト30の自動検出モードが選択される(ステップS32でYES)。本実施形態でも、モードスイッチ621が押圧されるまで、装着判定部601はステップS32を繰り返す(ステップS32でNO)。モードスイッチ621が押圧されると、装着判定部601が記憶部602にそれぞれ記憶されている、変数n、閾値ε0および誤差変数α0をそれぞれ0に更新する(ステップS33)。また、本実施形態では、作業者によって、操作部62を通じてウエイト体300の段数N(最大数)が入力される(ステップS34)。当該段数Nは、前記ウエイト装着部22Sに装着されることが予定される前記ウエイト体300の数に関する情報に相当する。表3は、本実施形態において、記憶部602が記憶している情報を示したものである。
【0093】
【0094】
すなわち、表3では、段数Nが9まで選択可能なように設定されており、各ウエイト体300の重量が、8tから15tの範囲でそれぞれ設定されている。また、これらのウエイト体300が積載された場合の総重量が100tであり、当該総重量に対するひずみゲージ51のひずみ量εtが100%とされた場合、各ウエイト体300に対するひずみゲージ51のひずみ量ε0(閾値ε(n))は8%から15%の範囲に設定されている。また、表3では、1段目から順にウエイト体300が積載された場合のひずみゲージ51の累積ひずみ量が示されている。当該情報も記憶部602にそれぞれ格納されている。なお、いずれの場合もαは±1%に設定されている。
【0095】
ステップS34において作業者によって入力された段数Nは、Nmaxとして記憶部602に記憶される。次に、装着判定部601は、変数nに1を加算するとともに(最初は0+1=1)、n=1における閾値ε0=ε(n)および誤差変数α0=α(n)を記憶部602から取得する(ステップS35)。なお、ε(n)およびα(n)は、いずれもn段目のウエイト体300に対応して予め設定された閾値(ひずみ量)および誤差である。1≦n≦Nのすべての範囲に対応して、各ウエイト体300が積載される順番に関する情報とともにこれら閾値および誤差に関する情報が、予め記憶部602に格納されている。
【0096】
次に、装着判定部601は、ひずみゲージ51から出力される信号を受けることで、測定支台50のひずみ量εtを測定する(ステップS36)。当該ひずみ量εtの測定は、所定の時間間隔で継続的に実行される。この間、装着判定部601は、ひずみ量εtと、カウンタウエイト30の重量に応じて予め設定された閾値ε0との大小関係を比較する(ステップS37)。ここで、ε0-α0≦εt≦ε0+α0の場合(ステップS37でYES)、すなわち、ひずみゲージ51によって検出されるひずみ量εtが閾値ε0±α0の範囲に含まれる場合に、装着判定部601は、n段目のウエイト体300がウエイト装着部22Sに装着されたと判定する。
【0097】
次に、装着判定部601は、nが記憶部602に記憶されている最大段数Nmaxに等しいか否かを判定する(ステップS38)。ここで、n=Nmaxの場合(ステップS38でYES)、装着判定部601は、閾値ε0および誤差変数α0をそれぞれεmaxおよびαmaxに更新する(ステップS39)。なお、閾値εmaxおよび誤差αmaxは、すべてのウエイト体300の総重量に対応する閾値(ひずみ量)および誤差であり、予め記憶部602に記憶されている。その後、記憶部602は、ひずみゲージ51によって検出されるひずみ量εtと、カウンタウエイト30の総重量に応じて予め設定された閾値ε0(εmax)との大小関係を比較する(ステップS40)。すなわち、n=Nmaxになると、積載されたすべてのウエイト体300の総重量に対するひずみ量εtが評価される。ここで、ε0-α0≦εt≦ε0+α0の場合(ステップS40でYES)、すなわち、ひずみゲージ51によって検出されるひずみ量εtが閾値ε0±α0の範囲に含まれる場合に、装着判定部601は、予定されているすべてのウエイト体300がウエイト装着部22Sに適切に装着されたと判定する。この結果、情報出力部603が、「全重量仕様モードでのカウンタウエイト搭載完了情報」を表示部61に対して出力し、当該情報を表示部61に表示させる(ステップS41)。
【0098】
なお、
図19では、作業者によって段数N(Nmax)が3に設定された上で、1段目から3段目までのウエイト体300がウエイト装着部22Sに順に積載される様子を示している。すなわち、時刻t1において、ひずみゲージ51によって検出されるひずみ量εtが、εpから増大し閾値ε(1)±αの範囲に含まれている。このひずみ量εtの変化によって、装着判定部601は1段目のウエイト体300がウエイト装着部22Sに装着されたことを判定することができる。同様に、時刻t2、t3において、ひずみ量εtが、閾値ε(2)±α、閾値ε(3)±αの範囲に含まれている。このひずみ量εtの変化によって、装着判定部601は2段目および3段目のウエイト体300がウエイト装着部22Sに装着されたことを判定することができる。なお、ステップS37において、εp<εt<ε0-α0、または、ε0+α0<εtの場合(ステップS37でNO)は、ステップS36、S37が繰り返される。また、ステップS38でnがNmaxに等しくない場合(ステップS38でNO)、nが1繰り上げられ(n=n+1)、ステップS35~S38が繰り返される。この結果、装着判定部601は、何枚のウエイト体300がウエイト装着部22Sに積載されたかを記憶部602に記憶することが可能となる。この積載枚数情報を情報出力部603が表示部61に表示させることで、当該情報を作業者に報知することができる。
【0099】
更に、本実施形態では、ステップS40において、εp<εt<ε0-α0、またはε0+α0<εtの場合(ステップS40でNO)は、装着判定部601が、所定のエラー処理を実行する(ステップS42)。
【0100】
図21は、本実施形態に係るクレーン1においてカウンタウエイト30の装着が検出される際のエラー処理を示すフローチャートである。
図21を参照して、
図20のステップS40において、εp<εt<ε0-α0、または、ε0+α0<εtの場合(ステップS40でNO)、装着判定部601は、ステップS50において、εt>ε0+α0か否かを判定する。そして、εt>ε0+α0の場合(ステップS50でYES)、
図17に示すように積載されたカウンタウエイト30の重量が予め設定された閾値を超えているため、情報出力部603が表示部61に対して「重量超過情報」(警告情報)を出力し、表示部61に当該情報を表示させる。この場合、積載されたカウンタウエイト30の少なくとも一部のウエイト体300が予め設定されたものと異なっている可能性やウエイト体300の積載順序が誤っている可能性があるため、当該エラー情報によって作業者に注意喚起される。また、本実施形態が前述の軽量仕様モードにおいて実行された場合には、誤ってすべてのウエイト体300が積載された場合にも、当該「重量超過情報」が出力される。
【0101】
一方、ステップS50において、εt<εt<ε0-α0の場合(ステップS50でNO)、
図16に示すように積載されたカウンタウエイト30の重量が予め設定された閾値に届いていないこととなる。この場合、装着判定部601は、モードスイッチ621の出力を確認し、作業者によって自動検出モードの終了ボタンが押圧されたか否かを判定する(ステップS52)。ここで、作業者によって終了ボタンが押圧されている場合(ステップS52でYES)、情報出力部603が表示部61に対して「重量未達情報」(警告情報)を出力し、表示部61に当該情報を表示させる(ステップS53)。この場合も、積載されたカウンタウエイト30の少なくとも一部のウエイト体300が予め設定されたものと異なっている可能性やウエイト体300の積載順序が誤っている可能性があるため、当該エラー情報によって作業者に注意喚起される。また、本実施形態が前述の全重量仕様モードにおいて実行された場合には、作業者が軽量仕様モードと勘違いして、一部のウエイト体300が積載された場合にも、当該「重量未達情報」が出力される。なお、ステップS53が実行される状態には、積載されたカウンタウエイト30の重量が所定の閾値に届いていない場合であって、積載作業が完了したと作業者が錯誤し終了ボタンを押圧した場合、または作業者が意図的に自動検出モードを強制終了しようとした場合が含まれる。作業者は、「重量未達情報」を確認することで、作業が未了であることを認識することができる。
【0102】
一方、ステップS52において作業者によって自動検出モードの終了ボタンが押圧されていない場合(ステップS52でNO)、装着判定部601は、所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS54)。所定時間が経過した場合(ステップS54でYES)、積載されたカウンタウエイト30の重量が所定の閾値に届いていない場合であって、積載作業を作業者が終了したと思い待機している状態に相当する。したがって、情報出力部603が表示部61に対して「タイムアウト情報」を出力し、表示部61に当該情報を表示させる(ステップS55)。この場合、カウンタウエイト30の重量が未達の状態で所定時間放置されていることを、作業者が認識することで、作業の再開またはエラーの原因を確認することができる。
【0103】
なお、ステップS51、S53およびS55が実行されると、装着判定部601は自動検出モードを終了する。また、ステップS54において、所定時間が経過していない場合(ステップS54でNO)、装着判定部601は、ステップS36以下を繰り返す。
【0104】
以上のように、本実施形態では、記憶部602は、複数のウエイト体300のうちの各ウエイト体300の重量に対応する閾値であるウエイト単体用閾値ε(n)および各ウエイト体300が積載される順番をそれぞれ記憶している。そして、装着判定部601は、n番目(nは自然数)に積載されるウエイト体300に対して、(n-1)番目のウエイト体300が積載された状態からのひずみゲージ51によって検出される前記ひずみ量εtの増加分(変化量)と記憶部602から出力されるn番目のウエイト体300のウエイト単体用閾値ε(n)とを比較することで、各ウエイト体300がウエイト装着部22Sに装着されたか否かを判定する。なお、装着判定部601は、前記ひずみゲージ51によって検出される前記ひずみ量εtと記憶部602から出力されるn番目までの前記ウエイト単体用閾値の合計(累積値)とを比較することで、各ウエイト体300がウエイト装着部22Sに装着されたか否かを判定してもよい。このような構成によれば、各ウエイト体300がウエイト装着部22Sに装着されることを個別に精度よく判定することができる。
【0105】
また、上記のように、各ウエイト体300が積載される順番が管理されることなく、ウエイト体300が一つずつウエイト装着部22Sに装着されることが判定される態様でもよい。この場合、装着判定部601は、ひずみゲージ51によって検出されるひずみ量εtの変化量と記憶部602から出力されるウエイト単体用閾値とを比較すること、または、ひずみゲージ51によって検出されるひずみ量εtと記憶部602から出力された複数のウエイト単体用閾値の合計とを比較することで、各ウエイト体300がウエイト装着部22Sに装着されたか否かを判定する。
【0106】
また、上記のように、(n-1)番目のウエイト体300の装着後、ひずみ量εtが変化したにも関わらず、n番目のウエイト体300がウエイト装着部22Sに装着されていないと装着判定部601が判定した場合に、情報出力部603が所定の誤積載情報を出力するものでもよい。この場合、n番目に装着されるべきウエイト体300とは異なるウエイト体300が装着された場合に、速やかに誤積載情報を出力することができる。
【0107】
また、本実施形態に係るクレーン1のカウンタウエイト30の検出方法は、旋回フレーム22のうちウエイト装着部22Sよりも前方部分に、ウエイト装着部22Sへのカウンタウエイト30の装着に伴う旋回フレーム22の変形量を検出するひずみゲージ51(変形量検出部)を装着することと、ひずみゲージ51から出力された前記信号に応じて、カウンタウエイト30がウエイト装着部22Sに装着されたこと検出することと、を備える。当該検出方法によれば、旋回フレーム22のうちウエイト装着部22Sよりも前方部分の変形に基づいて、カウンタウエイト30の装着を検出することができる。また、カウンタウエイト30の装着に際して、カウンタウエイト30の重量に応じた直接的な衝撃がひずみゲージ51に付与されることはない。したがって、クレーン1の組立作業が繰り返し行われた場合であっても、ひずみゲージ51の破損が抑止される。また、ウエイト装着部22Sの周辺にひずみゲージ51が配置される場合と比較して、ひずみゲージ51から延びる電気配線が損傷することが抑止される。このため、クレーン1においてカウンタウエイト30の装着状態を安定して検出することができる。なお、上記の実施形態におけるクレーン1の各特徴も、当該検出方法に含まれる。
【0108】
以上、本発明の実施形態に係るクレーン1、クレーン1のカウンタウエイト30の検出方法について説明した。なお、本発明はこれらの形態に限定されるものではない。本発明は、例えば以下のような変形実施形態を取ることができる。
【0109】
上記の各実施形態では、変形量検出部としてひずみゲージ51を用いて説明したが、変形量検出部は、半導体ひずみゲージ、光ファイバー、ロードセルなどのように、ひずみゲージ51以外のセンサなどであってもよい。また、測定支台50は、第3内壁225Cに固定される態様にて説明したが、ウエイト装着部22Sよりも第1リング部21Aに近い位置で、底壁221、上壁222、左右一対の側壁223、第2内壁225B、第3内壁225などに固定されるものでもよい。また、ひずみゲージ51は測定支台50に装着されることなく、上記の底壁221、上壁222、左右一対の側壁223、第2内壁225B、第3内壁225などに直接装着される(貼り付けられる)ものでもよい。なお、ひずみゲージ51が測定支台50に装着される場合には、測定支台50の配置、形状や材料が調整され測定支台50の変形量を大きくすることができるため、測定支台50を備えずひずみゲージ51が旋回フレーム22に直接装着される場合よりもカウンタウエイト30が装着されたことを精度よく判定することができる。また、測定支台50およびひずみゲージ51の数は、2つ(左右一対)に限定されるものではなく、1つまたは3つ以上の測定支台50およびひずみゲージ51が配置されてもよい。
【0110】
また、
図22は、本発明の第1変形実施形態に係る旋回フレーム22の断面斜視図である。
図22では、上下一対のひずみゲージ50Lが底壁221および上壁222に直接装着されている。このように、本発明に係る変形量検出部(ひずみゲージ)は、測定支台50を介さずに旋回フレーム22に直接装着される態様でもよい。この場合も、ひずみゲージ50Lは、旋回フレーム22のうちウエイト装着部22Sよりも前方部分、更には、ウエイト装着部22Sよりも第1リング部21Aに近い位置に装着されることが望ましい。
【0111】
また、
図23および
図24は、それぞれ本発明の第2変形実施形態および第3変形実施形態に係る測定支台50Mおよび50Nを拡大した断面斜視図である。先の実施形態では、測定支台50の保持面50Cが湾曲面からなる態様にて説明したが、
図23および
図24に示すように、保持面50Cは傾斜した平面からなる態様でもよい。
【0112】
また、
図25は、本発明の第4変形実施形態に係る測定支台50Pを拡大した断面図である。本変形実施形態では、測定支台50Pは、第3内壁225Cの上端部と上壁222とが交差する角部に配置されている。この場合、ウエイト装着部22Sにカウンタウエイト30が装着されると、上壁222には
図25の矢印D3方向に沿って力が付与される。この結果、測定支台50Pの保持面50Cには、矢印D4で示すような圧縮応力が発生する。そして、ひずみゲージ51は、当該圧縮応力に伴う保持面50Cの変形量を検出する。このような構成においても、カウンタウエイト30の装着に際して、カウンタウエイト30の重量に応じた直接的な衝撃がひずみゲージ51に付与されることはない。したがって、クレーン1の組立作業が繰り返し行われた場合であっても、ひずみゲージ51の破損が抑止される。また、ひずみゲージ51が
図25の矢印D4方向に沿った保持面50Cの変形量を精度良く検出することができる。
【符号の説明】
【0113】
1 クレーン
10 下部走行体(下部本体)
20 上部旋回体
21 旋回ベアリング
21A 第1リング部
21B 第2リング部
21S ベアリング装着部
22 旋回フレーム(上部本体)
22M 旋回モータ装着部
22S ウエイト装着部
25 キャブ(運転室)
30 カウンタウエイト
31 ブーム(起伏部材)
50 測定支台(変形部材)
50L、51 ひずみゲージ(変形量検出部)
60 制御部
601 装着判定部
602 記憶部
603 情報出力部(警告情報出力部、誤積載情報出力部)
61 表示部
62 操作部(情報入力部)
621 モードスイッチ
CL 旋回中心
G 地面
M 旋回モータ