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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】センタコンソール構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 7/04 20060101AFI20220809BHJP
   B60K 20/02 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
B60R7/04 C
B60K20/02 F
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018103224
(22)【出願日】2018-05-30
(65)【公開番号】P2019206281
(43)【公開日】2019-12-05
【審査請求日】2021-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】河合 浩幸
(72)【発明者】
【氏名】田口 雅典
(72)【発明者】
【氏名】岡田 英嗣
(72)【発明者】
【氏名】加留部 順子
(72)【発明者】
【氏名】松田 大和
(72)【発明者】
【氏名】▲柳▼ 陽一
(72)【発明者】
【氏名】樋川 一輝
(72)【発明者】
【氏名】中村 淳子
(72)【発明者】
【氏名】宮本 孝志
(72)【発明者】
【氏名】岩淵 淳郎
(72)【発明者】
【氏名】早田 英彦
(72)【発明者】
【氏名】橋本 亮一
【審査官】西田 侑以
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-098211(JP,A)
【文献】特開2014-133503(JP,A)
【文献】特開2010-76607(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0176448(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 3/00 - 7/14
B60K 20/00 - 20/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右のフロントシート間の床面に立設されシフト操作機構をその上面に備えるセンタコンソール構造であって、
センタコンソール面を含む上部体と、
上記フロントシート間に立設されて上記上部体を上記床面に支持する柱部とを備え、
上記上部体が上記柱部よりも前方へインストルメントパネルの後方突出部に近接するまで突出しており、
上記上部体と上記床面との間であって、後方が上記柱部により、また左右両側方がシートクッションよりも低い高さの壁部によりそれぞれ仕切られた物置空間が形成されており、
上記上部体の車幅方向中央の下面側に上記シフト操作機構の下部を収容した膨出部が形成され、
車両側面視で上記物置空間への左右からの出し入れ口の後縁を成す上記柱部に対して、上記膨出部が車両前方に位置し、
上記柱部の前縁と、上記膨出部の前縁と、上記物置空間の左右の壁部の前縁とが、前上がり傾斜形状に形成されたことを特徴とする
センタコンソール構造。
【請求項2】
左右のフロントシート間の床面に立設されシフト操作機構をその上面に備えるセンタコンソール構造であって、
センタコンソール面を含む上部体と、
上記フロントシート間に立設されて上記上部体を上記床面に支持する柱部とを備え、
上記上部体が上記柱部よりも前方へインストルメントパネルの後方突出部に近接するまで突出しており、
上記上部体と上記床面との間であって、後方が上記柱部により、また左右両側方がシートクッションよりも低い高さの壁部によりそれぞれ仕切られた物置空間が形成されており、
上記上部体の車幅方向中央の下面側に上記シフト操作機構の下部を収容した膨出部が形成され、
車両側面視で上記物置空間への左右からの出し入れ口の後縁を成す上記柱部に対して、上記膨出部が車両前方に位置し、
上記柱部の前縁と、上記膨出部の前縁と、上記物置空間の左右の壁部の前縁とが、同一傾斜角度の前上がり傾斜形状に形成されたことを特徴とする
センタコンソール構造。
【請求項3】
上記前縁が前上がり傾斜した上記膨部の下部と、上記柱部の前縁とが連続する
請求項1または2に記載のセンタコンソール構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、左右のフロントシート間の床面に立設されシフト操作機構をその上面に備えるセンタコンソール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、センタコンソールの上面には変速操作機構が設けられ、この変速操作機構はリンク部材等を介して変速機に連結されている。
近年、上述の変速操作機構(シフト操作機構)やパーキングブレーキが電子化されており、このように変速操作機構やパーキングブレーキが電子化されると、従来のリンク部材等による機械的な連結構造に代えて、電気信号により変速操作およびブレーキングが実行されるので、上述のリンク部材が不要となる。
【0003】
このため、従来において上述のリンク部材を配置していたセンタコンソールの下方空間を、物入れやデザイン要素として活用できるようになってきた。
【0004】
ところで、特許文献1には、インストルメントパネルの車室側下部から後方に延びるセンタコンソールアッパ部およびセンタコンソールロア部とを備え、上述のセンタコンソールアッパ部とセンタコンソールロア部との間に、物置空間を形成した構造が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、車室内に設けられるインストルメントパネルの後方で、かつ、センタコンソールの上方の位置に、空間部を有して操作パネルを配設し、当該操作パネルの立上がり面にディスプレイ装置を配置したものが開示されている。
【0006】
さらに、特許文献3には、床面に沿って車両前後方向に延びるコンソール部材の後部に後方側コンソール部材を設け、この後方側コンソール部材の上部にアームレスト部材を配設すると共に、インストルメントパネルとアームレスト部材の直前部とをブリッジ状のシフトパネルで連結し、該シフトパネルにシフト操作機構のシフトノブを配置したものが開示されている。
【0007】
上記何れの特許文献に開示された構造においても、センタコンソール上面部にはシフト操作機構のシフトノブが配置されるが、センタコンソールのデザイン性確保とシフト操作機構のシフトロッド収容容積確保との両立を図る点で、改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2014-133503号公報
【文献】特開2013-237286号公報
【文献】特開2010-076607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、この発明は、センタコンソール面を含む上部体のデザイン性確保と、シフト操作機構の機構収容容積の確保との両立を図ることができるセンタコンソール構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明によるセンタコンソール構造は、左右のフロントシート間の床面に立設されシフト操作機構をその上面に備えるセンタコンソール構造であって、センタコンソール面を含む上部体と、上記フロントシート間に立設されて上記上部体を上記床面に支持する柱部とを備え、上記上部体が上記柱部よりも前方へインストルメントパネルの後方突出部に近接するまで突出しており、上記上部体と上記床面との間であって、後方が上記柱部により、また左右両側方がシートクッションよりも低い高さの壁部によりそれぞれ仕切られた物置空間が形成されており、上記上部体の車幅方向中央の下面側に上記シフト操作機構の下部を収容した膨出部が形成され、車両側面視で上記物置空間への左右からの出し入れ口の後縁を成す上記柱部に対して、上記膨出部が車両前方に位置し、上記柱部の前縁と、上記膨出部の前縁と、上記物置空間の左右の壁部の前縁とが、前上がり傾斜形状に形成されたものである。
【0011】
上記構成によれば、センタコンソール面を含む上部体のデザイン性(当該上部体を薄く見せるというデザイン性)を確保しつつ、上記膨出部にてシフト操作機構の収容容積を下方に拡大して、当該シフト操作機構の収容容積を確保することができる。
【0012】
また、収容容積の下方への拡大により、シフトロッドの長さを充分に確保することができ、この結果、シフトノブの移動軌跡を円弧状から水平に近づけて、シフト操作時におけるシフトノブの上下方向への移動量を少なくすることができる。
さらに、左右の出し入れ口から物置空間に対して荷物の出し入れができるので、その出し入れ性をも確保することができる。
【0013】
しかも、上記柱部の前縁と、上記膨出部の前縁と、上記物置空間の左右の壁部の前縁とが、前上がり傾斜形状に形成されたものであるから、長尺の荷物の出し入れ性確保と、センタコンソールの見映え確保との両立を図ることができる。
【0014】
この発明によるセンタコンソール構造は、また、左右のフロントシート間の床面に立設されシフト操作機構をその上面に備えるセンタコンソール構造であって、センタコンソール面を含む上部体と、上記フロントシート間に立設されて上記上部体を上記床面に支持する柱部とを備え、上記上部体が上記柱部よりも前方へインストルメントパネルの後方突出部に近接するまで突出しており、上記上部体と上記床面との間であって、後方が上記柱部により、また左右両側方がシートクッションよりも低い高さの壁部によりそれぞれ仕切られた物置空間が形成されており、上記上部体の車幅方向中央の下面側に上記シフト操作機構の下部を収容した膨出部が形成され、車両側面視で上記物置空間への左右からの出し入れ口の後縁を成す上記柱部に対して、上記膨出部が車両前方に位置し、上記柱部の前縁と、上記膨出部の前縁と、上記物置空間の左右の壁部の前縁とが、同一傾斜角度の前上がり傾斜形状に形成されたものである。
【0015】
この発明の態様として、上記前縁が前上がり傾斜した上記膨部の下部と、上記柱部の前縁とが連続していてもよい。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、センタコンソール面を含む上部体のデザイン性確保と、シフト操作機構の機構収容容積の確保との両立を図ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のセンタコンソール構造を示す平面図
図2】センタコンソール構造を車両左側斜め上方から見た状態で示す斜視図
図3】センタコンソール構造を車両右側斜め上方から見た状態で示す斜視図
図4】センタコンソール構造の車両左側の側面図
図5】センタコンソール構造の車両右側の側面図
図6】センタコンソールの側面図
図7】内部フレームの斜視図
図8図4の要部拡大側面図
図9図5の要部拡大側面図
図10図1のA-A線に沿う要部の矢視断面図
図11図4のB-B線に沿う要部の矢視断面図
図12】(a)は図6のC-C線に沿う底部の断面図、(b)は図6のD-D線に沿う要部の矢視断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
センタコンソール面を含む上部体のデザイン性確保と、シフト操作機構の機構収容容積の確保との両立を図るという目的を、左右のフロントシート間の床面に立設されシフト操作機構をその上面に備えるセンタコンソール構造であって、センタコンソール面を含む上部体と、上記フロントシート間に立設されて上記上部体を上記床面に支持する柱部とを備え、上記上部体が上記柱部よりも前方へインストルメントパネルの後方突出部に近接するまで突出しており、上記上部体と上記床面との間であって、後方が上記柱部により、また左右両側方がシートクッションよりも低い高さの壁部によりそれぞれ仕切られた物置空間が形成されており、上記上部体の車幅方向中央の下面側に上記シフト操作機構の下部を収容した膨出部が形成され、車両側面視で上記物置空間への左右からの出し入れ口の後縁を成す上記柱部に対して、上記膨出部が車両前方に位置し、上記柱部の前縁と、上記膨出部の前縁と、上記物置空間の左右の壁部の前縁とが、前上がり傾斜形状に形成されるという構成にて実現した。
【0019】
(実施例)
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面はセンタコンソール構造を示し、図1は当該センタコンソール構造を示す平面図、図2はセンタコンソール構造を車両左側斜め上方から見た状態で示す斜視図、図3はセンタコンソール構造を車両右側斜め上方から見た状態で示す斜視図、図4は当該センタコンソール構造の車両左側の側面図、図5はセンタコンソール構造の車両右側の側面図である。なお、以下の実施例においては、センタコンソール構造を、左ハンドル車両に適用した実施例について説明する。
【0020】
図4図5において、内燃機関搭載車両のエンジンルーム、または、電気自動車のモータルームと、車室とを車両の前後方向に仕切るダッシュロアパネル1(ダッシュパネル)を設けている。
【0021】
このダッシュロアパネル1は、上下方向に延びる縦壁部1aと、該縦壁部1aの下端から下方かつ後方に延びるスラント部1bと、を備えており、当該スラント部1bには車室の床面を形成するフロアパネル2を一体的に連設している。また、上述の縦壁部1aの下部前面には、車幅方向に延びるダッシュクロスメンバ3を接合固定し、縦壁部1aとダッシュクロスメンバ3との間には、車幅方向に延びるダッシュクロス閉断面4を形成している。
【0022】
上述のフロアパネル2の車幅方向中央部には、車室内方へ突出して車両の前後方向に延びるトンネル部5を、フロアパネル2と一体または一体的に形成している。この実施例では、当該トンネル部5はダッシュロアパネル1と後方のキックアップ部6との間にわたって車両の前後方向に延びるよう形成されている。
【0023】
図1に示すように、上述のフロアパネル2の左右にはフロントシートとしての運転席シート7と助手席シート8とを設けている。
運転席シート7は乗員の着座面を形成するシートクッション7Cと、乗員の背もたれ面を形成するシートバック7Bと、乗員の頭部を保持するヘッドレスト7Hとを備えている。
【0024】
同様に、助手席シート8も乗員の着座面を形成するシートクッション8Cと、乗員の背もたれ面を形成するシートバック8Bと、乗員の頭部を保持するヘッドレスト8Hとを備えている。
図4図5に示すように、上述の助手席シート8は、ロアレール9とアッパレール10とから成るシートスライドレール11およびシートフレーム12を介して設けられたもので、助手席乗員の体格に応じて車両の前後方向に位置調整可能に構成されている。
【0025】
助手席シート8と同様に、運転席シート7も、ロアレールとアッパレールとから成るシートスライドレールおよびシートフレームを介して設けられており、運転席乗員の体格に応じて車両の前後方向に位置調整可能に構成されている。
【0026】
図4図5において、13はフロントウインドガラス、14はインストルメントパネルである。
同図に示すように、該インストルメントパネル14は、車両の略前後方向に延びる上面部14aと、この上面部14aの後端から下方かつ前方に延びる後面部14bと、この後面部14bの下端から車両前方に延びる下面部14cと、を有しており、当該インストルメントパネル14の運転席シート7側には、ステアリングコラムカバー15が設けられている。
【0027】
図1図5に示すように、上述のインストルメントパネル14の内部には、車幅方向に延びて左右のヒンジピラー(車体剛性部材)間を連結する強度部材としてのインパネメンバ16が設けられており、このインパネメンバ16は、図1に示すように、助手席シート8側のメンバに対して運転席シート7側のメンバが大径に形成されており、オフセット衝突から乗員を保護すべく構成している。また、図1に示すように、上述のインパネメンバ16とトンネル部5との間には支持ステー17が張架されており、この単一の支持ステー17でインパネメンバ16を支持するように構成している。
【0028】
図4に示すように、フロントウインドガラス13の傾斜下部と対向するインストルメントパネル14には、デフロスタダクト18と連通するデフロスタ吹出口19が開口形成されており、フロントウインドガラス13の曇り止めを図るよう構成している。
図2図4に示すように、乗員の顔部と対向するインストルメントパネル14には、ベントダクト20と連通するセンタベント吹出口21およびサイドベント吹出口22が開口形成されている。
【0029】
図4に示すように、運転席シート7および助手席シート8に着座した乗員の足元スペースと対向するインストルメントパネル14には、フット用ダクト(いわゆるヒートダクト)23と連通する足元吹出口24が開口形成されている。
【0030】
図6はセンタコンソールの側面図、図7は内部フレームの斜視図、図8図4の要部拡大側面図、図9図5の要部拡大側面図、図10図1のA-A線に沿う要部の矢視断面図、図11図4のB-B線に沿う要部の矢視断面図、図12の(a)は図6のC-C線に沿う底部(底部コンソール)の断面図、図12の(b)は図6のD-D線に沿う要部の矢視断面図である。
【0031】
図1図6に示すように、運転席シート7と助手席シート8との間の床面(車室フロア面)としてのトンネル部5上面に立設され、シフト操作機構25をその上部に備えると共に、インストルメントパネル14の直下部から左右のシート7,8のシートクッション7C,8C側方部まで前後方向に延びるセンタコンソール体30を設けている。
【0032】
このセンタコンソール体30は、シフト操作機構25を支持する金属製の内部フレーム40(図7参照)と、該内部フレーム40の周囲を囲って化粧面をなす樹脂製の外装体50と、後述する基部部材(図7の基部ブラケット41参照)の前方に位置してインストルメントパネル14直下に至るまで車両前後に延在する底部としての底部コンソール60とを備えている(図6参照)。
【0033】
図7に示すように、金属製の内部フレーム40は、車幅方向の断面がハット形状の基部部材としての基部ブラケット41と、金属板を角筒形状に折曲げ形成して、溶接部42にて必要箇所を溶接固定した下部ブラケット43と、この下部ブラケット43の上部に固定した中間ブラケット44と、この中間ブラケット44の上部に固定され、車幅方向の断面が略凹状の上部ブラケット45と、を備えており、基部ブラケット41よりも上側の各要素、すなわち、下部ブラケット43、中間ブラケット44、上部ブラケット45で上部部材46を形成している。
そして、図6図7に示すように、内部フレーム40はその前側部にて、床面側の基部ブラケット41よりも上部部材46(特に、上部ブラケット45)が前方斜め上方に位置するよう傾斜している。
【0034】
ここで、上述の基部ブラケット41は、図11に示すように、複数のマウントラバー47と、複数のボルト、ナット等の取付け部材48とを用いて、トンネル部5の上面にマウント支持されている。また、同図に示すように、上部ブラケット45と中間ブラケット44とは、複数のボルト、ナット等の取付け部材49を用いて固定されている。
【0035】
図6図11に示すように、上述の樹脂製の外装体50は左右の側壁部51,51と、当該左右の側壁部51の下部を前方に延長してなる略逆向きU字状の左右の塀部51a,51a(図12の(b)参照)と、これら左右の塀部51a,51aの内側端部を車幅方向に連結する前下部51bと、を備えている。
【0036】
一方、底部コンソール60は、図12の(a)にその断面形状を示すように、底壁61と、この底壁61の左右端部から上方に立上がる内側壁62と、該内側壁62の上端から車幅方向外側に延びる上壁63と、この上壁63の車幅方向外端部から下方に延びる外側壁64と、を合成樹脂にて一体形成したもので、上記各壁62,63,64の形状は、図12の(b)で示す外装体50における左右の塀部51a,51aの形状と対応するものである。
【0037】
そして、図6に示すように、底部コンソール60の左右両側が外装体50の左右の塀部51aで囲われ、かつ後部が外装体50の前下部51bで囲われている。
さらに、図6に示すように、上述の左右の塀部51aの上方の左右両側、並びに、底部コンソール60の上壁63の上方の左右両側が、運転席シート7および助手席シート8の足元空間に開放し、かつ連通する物置部70に形成されている。
【0038】
ところで、この実施例のセンタコンソール構造は、運転席シート7と助手席シート8との間の車室フロア面であるトンネル部5に立設され、各シート7,8のシートクッション7C,8C上面近傍まで上方に延びる柱部Xと、当該柱部Xの上部に配置され、前後方向に延在し、その上面部がセンタコンソール面Zをなして、シフト操作機構25を収容する上部体Yとを有している(図6参照)。
【0039】
上述の柱部Xは、図11で示した基部ブラケット41、下部ブラケット43、外装体50の下域部分である側壁部51を含むものである。
また、上述の上部体Yは、図11で示した中間ブラケット44、上部ブラケット45、後述する外装体50の上域部分を含むものである。
【0040】
図6図8図10に示すように、上述の上部体Yは、上記柱部Xよりも前方に片持ち状に延長され、その前部に屈曲して斜め前上方に立ち上がる延長部31を有している。
この実施例では、上述の延長部31はセンタコンソール面Zの車両前方への仮想延長線に対して、約60度の角度で立ち上がるように形成されているが、この数値に限定されるものではない。
【0041】
図11に示すように、上述の上部体Yは、センタコンソール面Zを形成する上面パネル52と、この上面パネル52の左右両側に位置する側面パネル53と、を備えている。これらの各パネル52,53は化粧面をなす樹脂製の外装体であり、これらの各パネル52,53は外装体50の一部を構成するものである。
【0042】
上述の上面パネル52は車両前後方向に延びてセンタコンソール面Zを形成すると共に、その前端から延長部31の着座乗員側の面部を形成すべく屈曲して斜め前上方に立ち上がったスラント面52aを一体形成しており、これにより、上記延長部31の着座乗員側の面部が、センタコンソール面Zと連続した外表面をなしている。
【0043】
また、上述の側面パネル53は車両前後方向に延びてセンタコンソール面Zの側壁を形成すると共に、その前端から延長部31の側部を形成すべく屈曲して斜め前上方に立ち上がった立上り面53aを一体形成している(図11参照)。
【0044】
さらに、図10に示すように、上述の上面パネル52はスラント面52aの上端から延長部31の前面を形成すべく下方かつ後方に向けて折返された折返し面52bを一体形成している。加えて、上述の側面パネル53は上部体Yの前壁を形成すべく、左右一対の側面パネル53前端を車幅方向に連結する前面部53bを一体形成している。
図11に示すように、上述の側面パネル53の左右両側には当該側面パネル53の立上り面53aを含むように装飾用のアロング(along)パネル54が沿設されている。
【0045】
また、これら左右の各アロングパネル54の車幅方向外側には中間パネル55を介して側壁部51上端の段差部51cを配置している。この段差部51cは、側壁部51に対して車幅方向内側に段差を有するよう形成されている。
【0046】
そして、この段差部51cの車幅方向外側の面には、車両側面視で略平行四辺形状のオーナメント(ornament)パネル56を取付けている。また、図11に示すように、上述の中間パネル55の上端部には前後方向に延びるスペーサ57が配置されている。このスペーサ57は断面門形状に形成されている。
【0047】
一方、図6図10に示すように、上述の物置部70の後部直上位置には、シフト操作機構25のシフトノブ25aが配置されている。
図10に示すように、シフト操作機構25は、シフトノブ25aと、シフトロッド25bと、ピボット部25cとを備えており、ピボット部25cとシフトロッド25bとは上部体Yの内部空間に収納されており、シフトノブ25aはセンタコンソール面Zの上方位置に変速操作可能に配設されている。また、シフトロッド25bは上部ブラケット45に支持されたシフトガイド26,27で案内されている。
【0048】
図2図3図10に示すように、上述のシフトノブ25aの後方部におけるセンタコンソール面Zには、コマンダ28(commander)のツマミ部29と、車載オーディオ装置等の音量調節装置80(いわゆるボリューム)のツマミ部81と、パーキングブレーキ操作部82とが配設されている。
【0049】
上述のコマンダ28は、そのツマミ部29の回動操作により、アプリケーション部、インターネット部、コミュニケーション部、ナビゲーション部、セッティング部を選択し、その押込み操作により選択肢の決定を行なう装置である。
【0050】
ここで、上述の各部の選択肢は、アプリケーション部においては、燃費情報、各種のメンテナンス情報などであり、インターネット部においては、インターネットラジオ、ポータブルオーディオの他に、AM/FMラジオ、CD/DVDプレーヤなどであり、コミュニケーション部においては、ハンズフリー通話、ショートメッセージの読上げなどであり、ナビゲーション部においては、道路地図表示、ルート案内、ルート誘導などであり、セッティング部においては、サウンドのセッティング、アクティブ・ドライビング・ディスプレイの明るさや角度調整などである。
【0051】
ところで、図10に示すように、上記延長部31の車両前方側の部位は、インストルメントパネル14の後方突出部14dに係止されている。
詳しくは、同図に示すように、延長部31の車両前方側部位としての上面パネル52の折返し面52bに第1係合部であるアッパブラケット32が設けられ、インストルメントパネル14の後方突出部14dに、アッパブラケット32に係合する第2係合部としてのロアブラケット33が設けられ、当該ロアブラケット33の下面には予めナット34が接合されると共に、延長部31の上方前縁部とインストルメントパネル14の後方突出部14dとの間に、各ブラケット32,33に上方からアクセスする空隙Gが設けられている。
【0052】
そして、インストルメントパネル14側のロアブラケット33に対して、延長部31側のアッパブラケット32が上載されるよう、インストルメントパネル14の後方突出部14dに延長部31を近接配置した後に、上述の空隙Gからボルト35を下方へ移動させ、当該ボルト35を上述のナット34に締付けることで、延長部31の車両前方側の部位を、各ブラケット32,33を介して、インストルメントパネル14の後方突出部14dに係止すべく構成したものである。
【0053】
ここで、上述の各ブラケット32,33の上下方向の位置は、延長部31の上端から所定距離下方に位置した不可視部に設定されており、着座乗員からボルト35の頭部が目視不可となるよう構成されている。
【0054】
さらに、図10に示すように、延長部31には、車両関連情報を表示するディスプレイ装置の一例として、エアコン用のディスプレイ装置36が収容されており、当該ディスプレイ装置36のディスプレイ面37が着座乗員側の面部(スラント面52a参照)に配置されている。
【0055】
この実施例では、上述のディスプレイ面37を含むディスプレイ装置36を、タッチパネル式の表示装置にて構成すると共に、シフトノブ25aを図10に示す最も前側の位置(パーキング位置)にシフト操作した時においても、着座乗員からディスプレイ面37の全体が目視できるように構成している。
【0056】
図8図9に示すように、センタコンソール面Zを含む上部体Yと,床面としてのトンネル部5との間であって、上部が上部体Yで仕切られ、下部が床面としての底壁61(図12の(a)参照)および前下部51b(図12の(b)参照)で仕切られ、後方が上述の柱部Xにより仕切られ、かつ、左右両側方がシートクッション7C,8Cの上面よりも低い高さの壁部としての側壁62,64により仕切られた物置空間71が形成されている。
【0057】
図10に示すように、上述の上部体Yは柱部Xよりも前方へインストルメントパネル14の後方突出部14dに近接するまで突出しており、この上部体Yの車幅方向中央の下面側には、シフト操作機構25の下部であるシフトロッド25bとピボット部25cとを収容した膨出部38が形成されており、図8図9に示すように、車両側面視で上述の物置空間71への左右からの出し入れ口71L,71R(図2図3参照)の後縁を成す柱部Xの前縁Xaに対して、上述の膨出部38の前縁38aが車両前方に位置するよう構成している。
【0058】
図8図9において、底部コンソール60の側壁62,64には斜め前上方に延びる左右の壁部としてのスラント壁65,66が一体形成されている。
車両左側においては、図8に示すようにスラント壁65の後端部が物置空間71の前縁65aとなり、車両右側においては、図9に示すようにスラント壁66の後端部が物置空間71の前縁66aとなる。
【0059】
そこで、この実施例では、図8図9に示すように、柱部Xの前縁Xaと、膨出部38の前縁38aと、物置空間71の左右の壁部の前縁65a,66aとが、同一傾斜角度(但し、略同一傾斜角度を含む)の前上がり傾斜形状に形成されている。なお、図8において、67はニーパッド部材である。
【0060】
さらに、図8図9に示すように、柱部Xの下部前側と底部コンソール60の壁部(すなわち、内側壁62、上壁63、外側壁64)とは外装体で左右外表面が面一になるよう形成されている。
【0061】
詳しくは、上述の内側壁62、上壁63、外側壁64は外装体であって、図12に示すように、柱部Xの前下部51bと底部コンソール60の底壁61とが面一となり、柱部Xの塀部51aと底部コンソール60の各壁62,63,64とが面一になるよう形成されている。
【0062】
ここで、上述の塀部51a、前下部51bは外装体50を構成する側壁部51に一体形成されたものである。
また、図8図9に示すように壁部(各要素61,62,63,64,51a,51b参照)において外装体を前後に分割するパーティングラインPLが設けられている。
【0063】
この実施例では、図8図9に示すように、底部コンソール60の後端部に、上述の塀部51a、前下部51bの肉厚に相当する段下げ部68を一体形成し、この段下げ部68に対して、上述の塀部51a、前下部51bを配置することで、外装体の面一構造を確保している。
【0064】
また、図12の(b)に示すように、柱部X側における側壁部51の塀部51aの外側部には、内方に向けて突出する複数のクリップ51dを一体形成し、これらの各クリップ51dを用いて、塀部51aの外側部を、図12に示す底部コンソール60側の外側壁64に係止させている。
【0065】
一方、図6に示すように、上述の柱部Xの後方には、第2の物置空間としての前側カップホルダ72を設け、この前側カップホルダ72のさらに後方には、第3の物置空間としての後側カップホルダ73を設け、当該後側カップホルダ73の上部には後側カップホルダ73の開閉蓋を兼ねるアームレスト部74を設けている。
【0066】
なお、図9において、90は物置部70に出し入れ可能に載置した荷物の一例としてのバッグを示す。また、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印LEFTは車幅方向の左方を示し、矢印RIGHTは車幅方向の右方を示し、矢印UPは車両上方を示す。
【0067】
このように、上記実施例のセンタコンソール構造は、左右のフロントシート(運転席シート7、助手席シート8参照)間の床面(トンネル部5参照)に立設されシフト操作機構25をその上面に備えるセンタコンソール構造であって、センタコンソール面Zを含む上部体Yと、上記フロントシート(運転席シート7、助手席シート8)間に立設されて上記上部体Yを上記床面(トンネル部5)に支持する柱部Xとを備え、上記上部体Yが上記柱部Xよりも前方へインストルメントパネル14の後方突出部14dに近接するまで突出しており、上記上部体Yと上記床面(トンネル部5)との間であって、後方が上記柱部Xにより、また左右両側方がシートクッション7C,8Cよりも低い高さの壁部(内側壁62、外側壁64参照)によりそれぞれ仕切られた物置空間71が形成されており、上記上部体Yの車幅方向中央の下面側に上記シフト操作機構25の下部を収容した膨出部38が形成され、車両側面視で上記物置空間71への左右からの出し入れ口71L,71Rの後縁を成す上記柱部Xに対して、上記膨出部38が車両前方に位置するものである(図1図4図5図8図9図12参照)。
【0068】
この構成によれば、センタコンソール面Zを含む上部体Yのデザイン性(当該上部体Yを薄く見せるというデザイン性)を確保しつつ、上記膨出部38にてシフト操作機構25の収容容積を下方に拡大して、当該シフト操作機構25の収容容積を確保することができる。
【0069】
また、収容容積の下方への拡大により、シフトロッド25b(図10参照)の長さを充分に確保することができ、この結果、シフトノブ25aの移動軌跡を円弧状から水平に近づけて、シフト操作機構におけるシフトノブ25aの上下方向への移動量を少なくすることができる。
【0070】
さらに、左右の出し入れ口71L,71R(図2図3参照)から物置空間71に対して荷物の出し入れができるので、その出し入れ性をも確保することができる。
【0071】
この発明の一実施形態においては、上記柱部Xの前縁Xaと、上記膨出部38の前縁38aと、上記物置空間71の左右の壁部(内側壁62、外側壁64)の前縁65a,66aとが、同一傾斜角度の前上がり傾斜形状に形成されたものである(図8図9参照)。
【0072】
この構成によれば、上記各前縁Xa,38a,65a,66aを同一傾斜角度と成したので、長尺の荷物の出し入れ性確保と、センタコンソールの見映え確保との両立を図ることができる。
【0073】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明のフロントシート間の床面は、実施例のトンネル部5に対応し、以下同様に、
フロントシートは、運転席シート7、助手席シート8に対応し、
シートクッションよりも低い高さの壁部は、内側壁62、外側壁64に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0074】
例えば、上記実施例においてはセンタコンソール構造を左ハンドル車両に適用した場合について説明したが、本発明のセンタコンソール構造は右ハンドル車両に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上説明したように、本発明は、左右のフロントシート間の床面に立設されシフト操作機構をその上面に備えるセンタコンソール構造について有用である。
【符号の説明】
【0076】
5…トンネル部(床面)
7…運転席シート(フロントシート)
8…助手席シート(フロントシート)
7C,8C…シートクッション
14…インストルメントパネル
14d…後方突出部
25…シフト操作機構
38…膨出部
38a,Xa,65a,66a…前縁
62…内側壁(壁部)
64…外側壁(壁部)
71…物置空間
71L,71R…出し入れ口
X…柱部
Y…上部体
Z…センタコンソール面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12