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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】ショーケース
(51)【国際特許分類】
   A47F 3/06 20060101AFI20220809BHJP
   A47F 3/04 20060101ALI20220809BHJP
   F25D 25/02 20060101ALI20220809BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
A47F3/06
A47F3/04 H
F25D25/02 F
F25D25/02 J
F25D25/02 P
F25D25/02 N
F25D11/00 101C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018114743
(22)【出願日】2018-06-15
(65)【公開番号】P2019216846
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-05-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤村 善紀
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-125770(JP,A)
【文献】国際公開第2009/054397(WO,A1)
【文献】特開平11-290167(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104337285(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 1/00~11/10
F25D 11/00~16/00
F25D 23/00~25/04
A47B 1/00~97/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に開口を有したケース本体の内部に互いに離隔する態様で前方に向けて配設され、かつ後端部同士が補強部材により互いに連結された左右一対のブラケット部材と、
前記ブラケット部材の内側にスライダを介して取り付けられることにより該ブラケット部材間に架設され、前記開口を通じて前後方向にスライド可能な棚板と
を備えた商品載置棚を有するショーケースであって、
前記ブラケット部材は、後端部の上部に先端部分が前記スライダよりも他方のブラケット部材に向けて突出する態様で設けられ、かつ該先端部分にて前記補強部材と締結部材を介して締結される補強取付部を備えたことを特徴とするショーケース。
【請求項2】
前記補強部材は、
左右両端部が前記補強取付部に前記締結部材を介して締結される補強基部と、
前記補強基部の後端部より下方に向けて延在し、その延在端部が前方に向けて屈曲された補強後端下延部と、
前記補強基部の前端部より下方に向けて延在した補強前端下延部と
が一体的に成形された構成されたことを特徴とする請求項1に記載のショーケース。
【請求項3】
前記補強部材は、
前記補強前端下延部の延在端部より前方に向けて延在する補強前延部と、
前記補強前延部の前端部より上方に向けて延在し、その延在端部が後方に向けて屈曲された補強上延部と
を備えたことを特徴とする請求項2に記載のショーケース。
【請求項4】
前記補強取付部は、前記先端部分における前後方向に沿った複数の個所に前記締結部材により前記補強部材と締結されたことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載のショーケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショーケースに関し、より詳細には、例えばコンビニエンスストア等の店舗に設置され、ケース本体の内部に商品を載置するための商品載置棚を備えたショーケースの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばコンビニエンスストア等の店舗では、販売商品を商品載置棚に載置させた状態でケース本体の内部に収納するようにしたショーケースが多く適用されている。
【0003】
商品載置棚は、ブラケット部材及び棚板を備えて構成されている。ブラケット部材は、ケース本体の収納室の背面側において上下方向に所定間隔で係止孔が形成された棚支柱に対し、自身の係止片が所定の係止孔に挿入されることで該棚支柱に支持される左右一対のものである。これらブラケット部材は、内面にスライドレールが取り付けられており、上部が内側に屈曲されてスライドレールの上方に屈曲片部が形成されている。
【0004】
棚板は、上面が商品を載置する載置面を構成する矩形平板状の形態を成している。このような棚板は、各ブラケット部材に取り付けられたスライドレールに取り付けられることで、これらスライドレール間に跨る態様で架設されている。かかる棚板は、ブラケット部材に対して前後方向にスライド可能である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5589448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記左右一対のブラケット部材は、後端部同士が補強部材により連結されて強度の向上が図られているのが一般的である。補強部材は、左右方向が長手方向となる長尺状部材であり、縦断面が例えばL字状を成している。このような補強部材は、左右両端部が、ブラケット部材の後端部の上部である屈曲片部に例えばネジ等の締結部材を介して締結されている。
【0007】
そのように屈曲片部に締結部材を介して補強部材が締結されているので、屈曲片部と、スライドレールとの間隔は、締結部材の干渉を防ぐために十分に確保することが求められている。
【0008】
そのため、ブラケット部材は、上下方向の長さを大きくする必要があった。しかも、ブラケット部材の上方に棚板が配置されるので、商品載置棚の上下寸法が過大なものとなってしまう虞れがあった。このように商品載置棚の上下寸法が過大なものになってしまうと、販売商品の収納容量を減少させることを招来し、好ましいものではない。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みて、販売商品の収納容積の向上を図ることができるショーケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係るショーケースは、前面に開口を有したケース本体の内部に互いに離隔する態様で前方に向けて配設され、かつ後端部同士が補強部材により互いに連結された左右一対のブラケット部材と、前記ブラケット部材の内側にスライダを介して取り付けられることにより該ブラケット部材間に架設され、前記開口を通じて前後方向にスライド可能な棚板とを備えた商品載置棚を有するショーケースであって、前記ブラケット部材は、後端部の上部に先端部分が前記スライダよりも他方のブラケット部材に向けて突出する態様で設けられ、かつ該先端部分にて前記補強部材と締結部材を介して締結される補強取付部を備えたことを特徴とする。
【0011】
また本発明は、上記ショーケースにおいて、前記補強部材は、左右両端部が前記補強取付部に前記締結部材を介して締結される補強基部と、前記補強基部の後端部より下方に向けて延在し、その延在端部が前方に向けて屈曲された補強後端下延部と、前記補強基部の前端部より下方に向けて延在した補強前端下延部とが一体的に成形された構成されたことを特徴とする。
【0012】
また本発明は、上記ショーケースにおいて、前記補強部材は、前記補強前端下延部の延在端部より前方に向けて延在する補強前延部と、前記補強前延部の前端部より上方に向けて延在し、その延在端部が後方に向けて屈曲された補強上延部とを備えたことを特徴とする。
【0013】
また本発明は、上記ショーケースにおいて、前記補強取付部は、前記先端部分における前後方向に沿った複数の個所に前記締結部材により前記補強部材と締結されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ブラケット部材における後端部の上部の補強取付部が、先端部分がスライダよりも他方のブラケット部材に向けて突出する態様で設けられ、かつ該先端部分にて補強部材と締結部材を介して締結されるので、締結部材とスライダとの干渉を考慮する必要がなく、ブラケット部材の上部とスライダとの隙間を必要最小限の大きさにすることができる。これにより、ブラケット部材の上下寸法を低減することができ、ブラケット部材間に架設される棚板を含めた商品載置棚の上下寸法を低減することができる。従って、販売商品の収納容積の向上を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の実施の形態であるショーケースを示す断面側面図である。
図2図2は、図1に示した1つの商品載置棚を示す斜視図である。
図3図3は、図1に示した1つの商品載置棚を示す斜視図である。
図4図4は、図1に示した1つの商品載置棚を示す分解斜視図である。
図5図5は、図2図4に示した商品載置棚の要部を示す斜視図である。
図6図6は、図2図4に示した商品載置棚の要部を示す斜視図である。
図7図7は、図1に示した1つの商品載置棚を示す斜視図である。
図8図8は、図1に示した1つの商品載置棚を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るショーケースの好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態であるショーケースを示す断面側面図である。ここで例示するショーケースは、例えばコンビニエンスストア等の店舗において販売商品をケース本体1の内部に収納するようにしたものである。本実施の形態では特に、要冷蔵商品を収納するための冷蔵用ショーケースを例示している。
【0018】
すなわち、このショーケースでは、ケース本体1の内部に背面板2を設けることによって背面板2とケース本体1の後壁1aとの間に通風ダクト3を構成するとともに、背面板2よりも前方に収納室4を構成している。通風ダクト3の内部には、蒸発器5や送風ファン6を配設している。蒸発器5は、図示していないコンデンシングユニットとともに冷凍サイクルを構成し、通過する空気との間において熱交換を行うものである。このショーケースでは、図示せぬコンデンシングユニット及び送風ファン6を駆動すれば、蒸発器5を通過した空気が通風ダクト3を通じて収納室4に循環供給され、収納室4が所望の冷蔵温度に維持されることになる。
【0019】
ケース本体1は、前面に開口(以下、前面開口ともいう)1bを有した箱状を成すもので、収納室4に複数段の商品載置棚10を備えている。収納室4の各段の商品載置棚10は、同様の構成を有したものであるから、以下では1つの商品載置棚10について説明を行う。
【0020】
図2図4は、それぞれ図1に示した1つの商品載置棚10を示すもので、図2及び図3は斜視図、図4は分解斜視図である。商品載置棚10は、図2図4に示すように、ブラケット部材20及び棚板30を備えて構成してある。
【0021】
ブラケット部材20は、背面板2の左右両側の前面に取り付けた棚支柱7から前方に突出するように配設したものである。つまり、ブラケット部材20は、ケース本体1の内部である収納室4に互いに離隔する態様で前方に向けて配設した左右一対のものである。以下においては便宜上、2つのブラケット部材20において互いに近接した方向を内側と称し、互いに離反した方向を外側と称して説明する。
【0022】
ブラケット部材20は、板金等から形成したものであり、図5に示すように、側壁部21及び上壁部22を一体に成形することによって構成してある。
【0023】
側壁部21は、ブラケット部材20の主要な構成要素であり、前後方向が長手方向となる長尺状部分である。この側壁部21は、後端部の上下寸法が該後端部よりも前方側の領域の上下寸法よりも大きく形成してあり、該後端部の後端部分には後方に突出する複数の係止片211が形成してある。これら係止片211は、棚支柱7の前面に設けられた図示せぬ係止孔の任意に挿入することが可能である。係止片211を係止孔に挿入した場合には、側壁部21の後端部分が棚支柱7の前面に当接することになり、ブラケット部材20を棚支柱7の任意の高さに略水平の片持ち状態で支持させることが可能である。
【0024】
この側壁部21の内側には、図6にも示すように、スライダ25の外側構成要素251が取り付けてある。スライダ25は、従来公知のものであり、外側構成要素251に対して該スライダ25を構成する内側構成要素252が前後方向にスライドすることを許容するものである。
【0025】
上壁部22は、側壁部21の上端縁部より内側に向けて延在する水平延在部分であり、その後端部分に補強取付部221を有している。補強取付部221は、先端部分221aが側壁部21に取り付けられたスライダ25よりも内側に向けて突出する態様で形成された水平板状部分である。この補強取付部221の先端部分221aには、前後2個所においてネジ等の締結部材Nにより補強部材40が締結してある。
【0026】
補強部材40は、例えば板金等から形成したものであり、左右一対のブラケット部材20同士を連結することにより、該ブラケット部材20が変形等することを規制するものである。この補強部材40は、補強基部41と、補強後端下延部42と、補強前端下延部43と、補強前延部44と、補強上延部45とを一体に成形することによって構成してある。
【0027】
補強基部41は、前後方向の長さが補強取付部221の前後方向の長さと略同じ大きさを有しており、左右両端部が補強取付部221の先端部分221aに締結部材Nを介して締結される平板状部分である。補強後端下延部42は、補強基部41の後端部より下方に向けて延在し、その延在端部が前方に向けて屈曲された部分である。補強前端下延部43は、補強基部41の前端部より下方に向けて延在した部分である。この補強前端下延部43の補強基部41の前端部からの下方への延在長さは、上記補強後端下延部42の補強基部41の後端部からの下方への延在長さと略同じ大きさである。補強前延部44は、補強前端下延部43の延在端部より前方に向けて延在する部分である。補強上延部45は、補強前延部44の前端部より上方に向けて延在し、その延在端部が後方に向けて屈曲された部分である。この補強上延部45の補強前延部44の前端部からの上方への延在長さは、上記補強前端下延部43の補強基部41の前端部からの下方への延在長さと略同じ大きさである。
【0028】
このように補強部材40は、補強基部41と、補強後端下延部42と、補強前端下延部43と、補強前延部44と、補強上延部45とを一体に成形することによって、いわゆるダブルハット型と称されるような屈曲加工が施されてその強度が十分な大きさとされている。そして、補強部材40の前端面を構成する補強上延部45には、複数の磁石451が取り付けてある。
【0029】
棚板30は、販売商品が載置される部分であり、図4に示したように、矩形状を成す棚枠31の内部に載置板32を支持させることによって構成してある。載置板32は、例えばガラス板のように透明な矩形状の板状体である。
【0030】
棚枠31の後部を構成する後枠部311は、前端部分311aに載置板32の後端部を載置させて支持するものであり、後端部分311bが載置板32と同一平面となるよう前端部分311aと後端部分311bとの境界部分に段部311cが形成してある。この後端部分311bは、載置板32と同様に商品を載置させるためのものである。
【0031】
また棚板30は、棚枠31の前部を構成する前枠部312には、その前端部に上方に延在する前端上延部312aが形成され、棚枠31の両側部を構成する左右一対の側枠部313には、その端部に上方に延在する側端上延部313aが形成されている。そして、前端上延部312aの両端部分と、側端上延部313aの前端部分311aとの間には、間隙Sが形成してある。
【0032】
そのような棚板30は、側枠部313がブラケット部材20に取り付けられたスライダ25の内側構成要素252に連結されている。これにより、棚板30は、ブラケット部材20の内側にスライダ25を介して取り付けられることにより該ブラケット部材20間に架設され、図2及び図3に示すように最も後方にスライドした収納姿勢と、図7及び図8に示すように最も前方にスライドした補充姿勢との間で、前面開口1bを通じて前後方向にスライド可能である。
【0033】
そして、棚板30が収納姿勢となる場合、後枠部311の一部が補強部材40の磁石451に磁力により接着されてその収納姿勢が保持されている。また後枠部311の後端部分311bは、補強部材40の補強基部41の上方域に配置される。
【0034】
以上説明したように、本発明の実施の形態であるショーケースによれば、ブラケット部材20における上壁部22の後端部分311bの補強取付部221が、先端部分221aが側壁部21の内側に取り付けられたスライダ25よりも内側に向けて突出する態様で設けられ、かつ先端部分221aにて補強部材40と締結部材Nを介して締結されるので、締結部材Nとスライダ25との干渉を考慮する必要がなく、上壁部22とスライダ25との隙間を必要最小限の大きさにすることができる。これにより、ブラケット部材20の上下寸法を低減することができ、ブラケット部材20間に架設される棚板30を含めた商品載置棚10の上下寸法を低減することができる。従って、販売商品の収納容積の向上を図ることができる。
【0035】
上記ショーケースによれば、補強部材40は、従来のような縦断面がL字状を成すものではなく、補強基部41と、補強後端下延部42と、補強前端下延部43と、補強前延部44と、補強上延部45とを一体に成形することによって、いわゆるダブルハット型と称されるような屈曲形状で十分に大きい強度を有し、しかも補強取付部221と補強部材40とは、それぞれ前後2個所で締結部材Nを介して締結されているので、商品載置棚10全体の強度を向上させることができる。
【0036】
上記ショーケースによれば、後枠部311の後端部分311bが載置板32と同一平面となるように、該後枠部311に段部311cを形成しているので、棚板30における商品の載置高さレベルを低くすることができ、これによっても販売商品の収納容積の向上を図ることができる。
【0037】
上記ショーケースによれば、棚板30における前端上延部312aの両端部分と、側端上延部313aの前端部分311aとの間には、間隙Sが形成してあるので、該間隙Sを通じて載置板32の上面に付着した塵埃物を取り除くことができ、商品載置棚10の清掃を容易なものとすることができる。
【0038】
上述した実施の形態では、補強部材40は、いわゆるダブルハット型と称される屈曲形状を成していたが、かかる補強部材40は、補強基部41と、補強後端下延部42と、補強前端下延部43とを一体に成形することによって、いわゆるハット型と称される屈曲形状を成していてもよい。
【0039】
また上述した実施の形態では、補強取付部221は、先端部分221aにて前後2個所で締結部材Nを介して補強部材40と締結されていたが、補強取付部221は、先端部分221aにて複数個所で締結部材Nを介して補強部材40と締結されていればよい。
【符号の説明】
【0040】
1 ケース本体
1b 前面開口
4 収納室
10 商品載置棚
20 ブラケット部材
21 側壁部
22 上壁部
221 補強取付部
221a 先端部分
25 スライダ
30 棚板
31 棚枠
32 載置板
40 補強部材
41 補強基部
42 補強後端下延部
43 補強前端下延部
44 補強前延部
45 補強上延部
N 締結部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8