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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】軸流ファン
(51)【国際特許分類】
   F04D 25/16 20060101AFI20220809BHJP
   F04D 29/00 20060101ALI20220809BHJP
   F04D 29/32 20060101ALI20220809BHJP
【FI】
F04D25/16
F04D29/00 B
F04D29/32 C
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018118971
(22)【出願日】2018-06-22
(65)【公開番号】P2019218938
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井内 一博
(72)【発明者】
【氏名】松山 純也
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0171057(US,A1)
【文献】特開2014-098331(JP,A)
【文献】特開2009-144569(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0138927(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 25/16
F04D 29/00
F04D 29/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に延びる中心軸に沿って延び、上端に吸気口を有し、下端に排気口を有する送風流路を有するハウジングと、
前記ハウジングの軸方向上部に配置され、前記中心軸回りに回転する上側インペラと、
前記上側インペラを前記中心軸回りに回転させる上側モータと、
前記上側インペラの軸方向下側に配置された上側回路基板と、
を有し、
前記上側インペラは、
前記上側モータに固定される上側インペラカップと、
前記上側インペラカップの外面において周方向に配列される複数の上側羽根と、
を有し、
前記上側インペラカップは、
前記上側モータと径方向に対向し、前記中心軸に沿って延びる上側筒部と、
前記上側筒部の軸方向上端において径方向に広がる上側蓋部と、
を有し、また、
前記ハウジングの軸方向下部に配置され、前記中心軸回りに回転する下側インペラと、
前記下側インペラを前記中心軸回りに回転させる下側モータと、
前記下側インペラの軸方向上側に配置された下側回路基板と、
を有し、
前記下側インペラは、
前記下側モータに固定される下側インペラカップと、
前記下側インペラカップの外面において周方向に配列される複数の下側羽根と、
を有し、
前記下側インペラカップは、
前記下側モータと径方向に対向し、前記中心軸に沿って延びる下側筒部と、
前記下側筒部の軸方向下端において径方向に広がる下側蓋部と、
を有し、
前記上側筒部の軸方向上端外径は、前記上側筒部の軸方向下端外径よりも小さく、
前記下側筒部の軸方向下端外径は、前記下側筒部の軸方向上端外径よりも小さく、
前記下側筒部の軸方向下端外径は、前記上側筒部の軸方向下端外径よりも小さく、
前記上側筒部は、軸方向下側に向かうにつれて外径が大きくなる第1上側傾斜部を有し、
前記上側蓋部は、径方向外側に向かうにつれて軸方向下側に延びる第2上側傾斜部を有し、
前記第1上側傾斜部の軸方向下端の軸方向位置は、前記上側筒部の軸方向下端の軸方向位置と一致する、
軸流ファン。
【請求項2】
前記下側筒部は、軸方向上側に向かうにつれて外径が大きくなる円錐状である第1下側傾斜部を有する、請求項1に記載の軸流ファン。
【請求項3】
前記下側筒部の軸方向上端外径は、前記上側筒部の軸方向下端外径と同一である、請求項1または請求項2に記載の軸流ファン。
【請求項4】
前記下側蓋部は、径方向外側に向かうにつれて軸方向上側に延びる円錐状である第2下側傾斜部を有する、請求項1から請求項のいずれかに記載の軸流ファン。
【請求項5】
前記複数の上側羽根の軸方向中央に対して軸方向上部の径方向外端は、軸方向上側に向かうにつれて軸方向上側に向かって湾曲する、請求項1から請求項のいずれかに記載の軸流ファン。
【請求項6】
前記複数の上側羽根の軸方向中央に対して軸方向下部の径方向外端は、軸方向下側に向かうにつれて軸方向下側に向かって湾曲する、請求項1から請求項のいずれかに記載の軸流ファン。
【請求項7】
前記複数の下側羽根の軸方向中央に対して軸方向上部の径方向外端は、軸方向上側に向かうにつれて軸方向上側に向かって湾曲する、請求項1から請求項のいずれかに記載の軸流ファン。
【請求項8】
前記複数の下側羽根の軸方向中央に対して軸方向下部の径方向外端は、軸方向下側に向かうにつれて軸方向下側に向かって湾曲する、請求項1から請求項のいずれかに記載の軸流ファン。
【請求項9】
前記上側インペラ及び前記下側インペラは、前記送風流路内に収容される、請求項1から請求項のいずれかに記載の軸流ファン。
【請求項10】
前記上側回路基板の外径は、前記上側筒部の軸方向下端外径よりも小さい、請求項1から請求項のいずれかに記載の軸流ファン。
【請求項11】
前記下側回路基板の外径は、前記下側筒部の軸方向上端外径よりも小さい、請求項1から請求項10のいずれかに記載の軸流ファン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸流ファンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の軸流ファンである二重反転式軸流送風機が、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示された二重反転式軸流送風機は、風洞を備えたケーシングと、風洞内で回転する前段インペラと、風洞内で前段インペラと逆方向に回転する後段インペラと、を有する。これにより、風量と静圧の特性を向上させることができ、且つ消費電力及び騒音を低減させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-219712公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された二重反転式軸流送風機では、インペラの回転を制御するための回路基板に関して、大型の回路基板を設ける場合について考慮されていない。これにより、インペラのハブが大型化して風洞が狭くなり、空気の圧力-風量特性が低下することが課題であった。
【0005】
上記の点に鑑み、本発明は、回路基板が大型化した場合であっても、回路基板の設置スペースを確保することができ、且つ空気の圧力-風量特性を好適に保持することが可能な軸流ファンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的な軸流ファンは、上下に延びる中心軸に沿って延び、上端に吸気口を有し、下端に排気口を有する送風流路を有するハウジングと、前記ハウジングの軸方向上部に配置され、前記中心軸回りに回転する上側インペラと、前記上側インペラを前記中心軸回りに回転させる上側モータと、前記上側インペラの軸方向下側に配置された上側回路基板と、を有する。前記上側インペラは、前記上側モータに固定される上側インペラカップと、前記上側インペラカップの外面において周方向に配列される複数の上側羽根と、を有する。前記上側インペラカップは、前記上側モータと径方向に対向し、前記中心軸に沿って延びる上側筒部と、前記上側筒部の軸方向上端において径方向に広がる上側蓋部と、を有する。また、軸流ファンは、前記ハウジングの軸方向下部に配置され、前記中心軸回りに回転する下側インペラと、前記下側インペラを前記中心軸回りに回転させる下側モータと、前記下側インペラの軸方向上側に配置された下側回路基板と、を有する。前記下側インペラは、前記下側モータに固定される下側インペラカップと、前記下側インペラカップの外面において周方向に配列される複数の下側羽根と、を有する。前記下側インペラカップは、前記下側モータと径方向に対向し、前記中心軸に沿って延びる下側筒部と、前記下側筒部の軸方向下端において径方向に広がる下側蓋部と、を有する。前記上側筒部の軸方向上端外径は、前記上側筒部の軸方向下端外径よりも小さい。前記下側筒部の軸方向下端外径は、前記下側筒部の軸方向上端外径よりも小さい。前記下側筒部の軸方向下端外径は、前記上側筒部の軸方向下端外径よりも小さい。前記上側筒部は、軸方向下側に向かうにつれて外径が大きくなる第1上側傾斜部を有する。前記上側蓋部は、径方向外側に向かうにつれて軸方向下側に延びる第2上側傾斜部を有する。前記第1上側傾斜部の軸方向下端の軸方向位置は、前記上側筒部の軸方向下端の軸方向位置と一致する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の例示的な軸流ファンによれば、回路基板が大型化した場合であっても、回路基板の設置スペースを確保することができ、且つ空気の圧力-風量特性を好適に保持することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施形態に係る軸流ファンの一例の全体斜視図である。
図2図2は、軸流ファンの縦断面図である。
図3図3は、ハウジングを非表示にした軸流ファンの全体斜視図である。
図4図4は、ハウジングを非表示にした軸流ファンの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。本書では、軸流ファンの中心軸が延びる方向を単に「軸方向」と呼び、軸流ファンの中心軸を中心として中心軸と直交する方向を単に「径方向」と呼び、軸流ファンの中心軸を中心とする円弧に沿う方向を単に「周方向」と呼ぶ。また、本書では、説明の便宜上、軸方向を上下方向とし、図2における上下方向を軸流ファンの上下方向として各部の形状及び位置関係を説明する。軸流ファンの「上側」が「吸気側」であり、「下側」が「排気側」である。なお、この上下方向の定義が軸流ファンの使用時の向き及び位置関係を限定するものではない。また、本書では、軸方向に平行な断面を「縦断面」と呼ぶ。また、本書で用いる「平行」は、厳密な意味で平行を表すものではなく、略平行を含む。
【0010】
<1.軸流ファンの全体構成>
図1は、本発明の実施形態に係る軸流ファンの一例の全体斜視図である。図2は、軸流ファンの縦断面図である。軸流ファン1は、ハウジング2を有する。ハウジング2は、上下に延びる中心軸Cに沿って延び、内部に送風流路3を有する。送風流路3は、上端に吸気口31を有し、下端に排気口32を有する。すなわち、ハウジング2は、上下に延びる中心軸Cに沿って延び、上端に吸気口31を有し、下端に排気口32を有する送風流路3を有する。
【0011】
また、軸流ファン1は、上側ファン4と、下側ファン5と、を有する。上側ファン4は、上側ハウジング41と、上側インペラ42と、上側モータ43と、上側回路基板44と、を有する。下側ファン5は、下側ハウジング51と、下側インペラ52と、下側モータ53と、下側回路基板54と、を有する。すなわち、軸流ファン1は、ハウジング2と、上側インペラ42と、上側モータ43と、上側回路基板44と、下側インペラ52と、下側モータ53と、下側回路基板54と、を有する。なお、ハウジング2は、上側ハウジング41と、下側ハウジング51と、を含む。
【0012】
<1-1.上側ファンの構成>
上側ハウジング41は、上側インペラ42、上側モータ43及び上側回路基板44よりも外側に配置される。上側ハウジング41は、上側モータベース部411と、上側周壁412と、上側リブ413と、を有する。
【0013】
上側モータベース部411は、上側モータ43の軸方向下側に配置される。上側モータベース部411は、基部4111と、軸受保持部4112と、を有する。基部4111は、上側モータ43の軸方向下側に配置され、中心軸Cを中心として径方向に広がる円板状である。軸受保持部4112は、基部4111の上面から軸方向上側に向かって突出する。軸受保持部4112は、中心軸Cを中心とした円筒状である。軸受保持部4112の内側には、軸方向上下一対で配列された上側軸受432が収容されて保持される。軸受保持部4112の径方向外面には、上側モータ43が固定される。
【0014】
上側周壁412は、上側インペラ42の径方向外側に配置される。上側周壁412は、軸方向上下に延びる円筒状である。上側周壁412の径方向内側には、送風流路3が配置される。すなわち、上側周壁412の軸方向上端には、円形状の開口部である吸気口31が配置される。
【0015】
上側リブ413は、上側モータベース部411の基部4111の径方向外側であって、上側周壁412の径方向内側に配置される。上側リブ413は、径方向に延びて基部4111と上側周壁412とを接続する。上側リブ413は、周方向に複数配列される。送風流路3を流通する空気は、隣り合う上側リブ413の間を通過する。
【0016】
上側インペラ42は、上側ハウジング41の径方向内側であって、上側モータ43の軸方向上側及び径方向外側に配置される。上側インペラ42は、上側モータ43によって中心軸C回りに回転される。すなわち、上側インペラ42は、ハウジング2の軸方向上部に配置され、中心軸C回りに回転する。上側インペラ42は、上側インペラカップ421と、複数の上側羽根422と、を有する。
【0017】
上側インペラカップ421は、上側モータ43に固定される。上側インペラカップ421は、軸方向上側に蓋を有する略円筒状の部材である。上側インペラカップ421の内側には、上側モータ43のロータヨーク4341が固定される。複数の上側羽根422は、上側インペラカップ421の外面において周方向に配列される。上側インペラ42の詳細な構成は、後述する。
【0018】
上側モータ43は、上側ハウジング41の径方向内側に配置される。上側モータ43は、上側ハウジング41の上側モータベース部411に支持される。上側モータ43は、上側インペラ42を中心軸C回りに回転させる。上側モータ43は、上側シャフト431と、上側軸受432と、上側ステータ433と、上側ロータ434と、を有する。
【0019】
上側シャフト431は、中心軸Cに沿って配置される。上側シャフト431は、例えばステンレス等の金属で構成され、軸方向上下に延びる柱状の部材である。上側シャフト431は、上側軸受432によって中心軸C回りに回転可能に支持される。
【0020】
上側軸受432は、少なくとも軸方向上下一対で配置される。上側軸受432は、上側モータベース部411の、円筒状の軸受保持部4112の内側に保持される。上側軸受432は、例えばボールベアリングで構成されるが、スリーブベアリングなどによって構成されても良い。軸方向上下一対の上側軸受432は、上側シャフト431を、上側ハウジング41に対して中心軸C回りに回転可能に支持する。
【0021】
上側ステータ433は、上側モータベース部411の軸受保持部4112の外周面に固定される。上側ステータ433は、ステータコア4331と、インシュレータ4332と、コイル4333と、を有する。
【0022】
ステータコア4331は、例えばケイ素鋼板等の電磁鋼板を上下に積層して構成される。インシュレータ4332は、絶縁性を有する樹脂で構成される。インシュレータ4332は、ステータコア4331の外面を囲んで設けられる。コイル4333は、インシュレータ4332を介して、ステータコア4331の周囲に巻き回された導線で構成される。
【0023】
上側ロータ434は、上側ステータ433の軸方向上側及び径方向外側に配置される。上側ロータ434は、上側ステータ433に対して中心軸C回りに回転する。上側ロータ434は、ロータヨーク4341と、マグネット4342と、を有する。
【0024】
ロータヨーク4341は、磁性体で構成され、軸方向上側に蓋を有する略円筒状の部材である。ロータヨーク4341は、上側シャフト431に固定される。マグネット4342は、円筒状であり、ロータヨーク4341の内周面に固定される。マグネット4342は、上側ステータ433の径方向外側に配置される。
【0025】
上側回路基板44は、上側インペラ42の軸方向下側に配置される。より詳細には、上側回路基板44は、上側インペラ42及び上側モータ43の軸方向下側であって、上側モータベース部411の基部4111の軸方向上側に配置される。上側回路基板44は、例えば中心軸Cを中心として径方向に広がる円板状である。上側回路基板44には、コイル4333の引出線が電気的に接続される。上側回路基板44には、コイル4333に駆動電流を供給するための電子回路が実装される。
【0026】
上記構成の上側ファン4において、上側回路基板44を介して、上側モータ43のコイル4333に駆動電流が供給されると、ステータコア4331に径方向の磁束が生じる。ステータコア4331の磁束によって生じる磁界と、マグネット4342によって生じる磁界とが作用し、上側ロータ434の周方向にトルクが発生する。このトルクによって、上側ロータ434及び上側インペラ42が、中心軸Cを中心として回転する。上側インペラ42が回転すると、複数の上側羽根422によって気流が生じる。すなわち、上側ファン4において、上側を吸気側とし、下側を排気側とした気流を生じさせ、送風を行うことができる。
【0027】
<1-2.下側ファンの構成>
下側ハウジング51は、下側インペラ52、下側モータ53及び下側回路基板54よりも外側に配置される。下側ハウジング51は、下側モータベース部511と、下側周壁512と、下側リブ513と、を有する。
【0028】
下側モータベース部511は、下側モータ53の軸方向上側に配置される。下側モータベース部511は、基部5111と、軸受保持部5112と、を有する。基部5111は、下側モータ53の軸方向上側に配置され、中心軸Cを中心として径方向に広がる円板状である。軸受保持部5112は、基部5111の下面から軸方向下側に向かって突出する。軸受保持部5112は、中心軸Cを中心とした円筒状である。軸受保持部5112の内側には、軸方向上下一対で配列された下側軸受532が収容されて保持される。軸受保持部5112の径方向外面には、下側モータ53が固定される。
【0029】
下側周壁512は、下側インペラ52の径方向外側に配置される。下側周壁512は、軸方向上下に延びる円筒状である。下側周壁512の径方向内側には、送風流路3が配置される。すなわち、下側周壁512の軸方向下端には、円形状の開口部である排気口32が配置される。
【0030】
下側リブ513は、下側モータベース部511の基部5111の径方向外側であって、下側周壁512の径方向内側に配置される。下側リブ513は、径方向に延びて基部5111と下側周壁512とを接続する。下側リブ513は、周方向に複数配列される。送風流路3を流通する空気は、隣り合う下側リブ513の間を通過する。
【0031】
下側インペラ52は、下側ハウジング51の径方向内側であって、下側モータ53の軸方向下側及び径方向外側に配置される。下側インペラ52は、下側モータ53によって中心軸C回りに回転される。すなわち、下側インペラ52は、ハウジング2の軸方向下部に配置され、中心軸C回りに回転する。下側インペラ52は、下側インペラカップ521と、複数の下側羽根522と、を有する。
【0032】
下側インペラカップ521は、下側モータ53に固定される。下側インペラカップ521は、軸方向下側に蓋を有する略円筒状の部材である。下側インペラカップ521の内側には、下側モータ53のロータヨーク5341が固定される。複数の下側羽根522は、下側インペラカップ521の外面において周方向に配列される。下側インペラ52の詳細な構成は、後述する。
【0033】
下側モータ53は、下側ハウジング51の径方向内側に配置される。下側モータ53は、下側ハウジング51の下側モータベース部511に支持される。下側モータ53は、下側インペラ52を中心軸C回りに回転させる。下側モータ53は、下側シャフト531と、下側軸受532と、下側ステータ533と、下側ロータ534と、を有する。
【0034】
下側シャフト531は、中心軸Cに沿って配置される。下側シャフト531は、例えばステンレス等の金属で構成され、軸方向上下に延びる柱状の部材である。下側シャフト531は、下側軸受532によって中心軸C回りに回転可能に支持される。
【0035】
下側軸受532は、少なくとも軸方向上下一対で配置される。下側軸受532は、下側モータベース部511の、円筒状の軸受保持部5112の内側に保持される。下側軸受532は、例えばボールベアリングで構成されるが、スリーブベアリングなどによって構成されても良い。軸方向上下一対の下側軸受532は、下側シャフト531を、下側ハウジング51に対して中心軸C回りに回転可能に支持する。
【0036】
下側ステータ533は、下側モータベース部511の軸受保持部5112の外周面に固定される。下側ステータ533は、ステータコア5331と、インシュレータ5332と、コイル5333と、を有する。
【0037】
ステータコア5331は、例えばケイ素鋼板等の電磁鋼板を上下に積層して構成される。インシュレータ5332は、絶縁性を有する樹脂で構成される。インシュレータ5332は、ステータコア5331の外面を囲んで設けられる。コイル5333は、インシュレータ5332を介して、ステータコア5331の周囲に巻き回された導線で構成される。
【0038】
下側ロータ534は、下側ステータ533の軸方向下側及び径方向外側に配置される。下側ロータ534は、下側ステータ533に対して中心軸C回りに回転する。下側ロータ534は、ロータヨーク5341と、マグネット5342と、を有する。
【0039】
ロータヨーク5341は、磁性体で構成され、軸方向下側に蓋を有する略円筒状の部材である。ロータヨーク5341は、下側シャフト531に固定される。マグネット5342は、円筒状であり、ロータヨーク5341の内周面に固定される。マグネット5342は、下側ステータ533の径方向外側に配置される。
【0040】
下側回路基板54は、下側インペラ52の軸方向上側に配置される。より詳細には、下側回路基板54は、下側インペラ52及び下側モータ53の軸方向上側であって、下側モータベース部511の基部5111の軸方向下側に配置される。下側回路基板54は、例えば中心軸Cを中心として径方向に広がる円板状である。下側回路基板54には、コイル5333の引出線が電気的に接続される。下側回路基板54には、コイル5333に駆動電流を供給するための電子回路が実装される。
【0041】
上記構成の下側ファン5において、下側回路基板54を介して、下側モータ53のコイル5333に駆動電流が供給されると、ステータコア5331に径方向の磁束が生じる。ステータコア5331の磁束によって生じる磁界と、マグネット5342によって生じる磁界とが作用し、下側ロータ534の周方向にトルクが発生する。このトルクによって、下側ロータ534及び下側インペラ52が、中心軸Cを中心として回転する。下側インペラ52が回転すると、複数の下側羽根522によって気流が生じる。すなわち、下側ファン5において、上側を吸気側とし、下側を排気側とした気流を生じさせ、送風を行うことができる。
【0042】
<2.上側インペラ及び下側インペラの詳細構成>
続いて、上側インペラ42及び下側インペラ52の詳細構成について、図1及び図2に加えて、図3及び図4を用いて説明する。図3は、ハウジング2を非表示にした軸流ファン1の全体斜視図である。図4は、ハウジング2を非表示にした軸流ファン1の側面図である。なお、説明の便宜上、図4では、上側筒部4211の軸方向下端外径D422と、下側筒部5211の軸方向上端外径D522とは、上側インペラ42または下側インペラ52それぞれの上下2箇所に記載した。
【0043】
上側インペラカップ421は、上側筒部4211と、上側蓋部4212と、を有する。上側筒部4211と、上側蓋部4212とは、単一の部材である。
【0044】
上側筒部4211は、上側モータ43の径方向外側に配置され、径方向において上側モータ43を内包する。上側筒部4211は、中心軸Cに沿って上下に延びる。すなわち、上側筒部4211は、上側モータ43と径方向に対向し、中心軸Cに沿って延びる。
【0045】
上側蓋部4212は、上側筒部4211の軸方向上端部に配置される。上側蓋部4212は、中心軸Cを中心として径方向に広がる円板状である。上側蓋部4212の外縁部は、上側筒部4211の軸方向上端部に接続される。すなわち、上側蓋部4212は、上側筒部4211の軸方向上端において径方向に広がる。
【0046】
下側インペラカップ521は、下側筒部5211と、下側蓋部5212と、を有する。下側筒部5211と、下側蓋部5212とは、単一の部材である。
【0047】
下側筒部5211は、下側モータ53の径方向外側に配置され、径方向において下側モータ53を内包する。下側筒部5211は、中心軸Cに沿って上下に延びる。すなわち、下側筒部5211は、下側モータ53と径方向に対向し、中心軸Cに沿って延びる。
【0048】
下側蓋部5212は、下側筒部5211の軸方向下端部に配置される。下側蓋部5212は、中心軸Cを中心として径方向に広がる円板状である。下側蓋部5212の外縁部は、下側筒部5211の軸方向下端部に接続される。すなわち、下側蓋部5212は、下側筒部5211の軸方向下端において径方向に広がる。
【0049】
図4に示すように、上側筒部4211の軸方向上端外径D421は、上側筒部4211の軸方向下端外径D422よりも小さい。さらに、下側筒部5211の軸方向下端外径D521は、下側筒部5211の軸方向上端外径D522よりも小さい。さらに、下側筒部5211の軸方向下端外径D521は、上側筒部4211の軸方向下端外径D422よりも小さい。
【0050】
上記実施形態の構成によれば、上側インペラ42の上側筒部4211の軸方向上端付近の空気流通空間は、上側筒部4211の軸方向下端付近の空気流通空間よりも広くなる。このため、上側筒部4211の径方向外側において、空気の流れの乱れの増加を抑制または低下させつつ、空気を効率良く排気側に送ることができる。さらに、下側インペラ52の下側筒部5211の軸方向下端付近の空気流通空間は、下側筒部5211の軸方向上端付近の空気流通空間よりも広くなる。このため、下側筒部5211の径方向外側において、空気の圧力の増加を抑制または低下させつつ、空気を効率良く排気側に送ることができる。これらにより、径方向に関して、上側回路基板44及び下側回路基板54の設置スペースを確保することができ、且つ空気の圧力-風量特性を好適に保持することが可能である。
【0051】
そして、下側筒部5211の軸方向上端外径D522は、上側筒部4211の軸方向下端外径D422と同一である。この構成によれば、圧力上昇が抑制された上側インペラ42側の空気を、円滑に下側インペラ52側に渡すことができる。したがって、効率良く送風することが可能になる。
【0052】
上側筒部4211は、第1上側傾斜部4211aを有する。第1上側傾斜部4211aは、上側筒部4211の外周部に配置される。第1上側傾斜部4211aは、軸方向下側に向かうにつれて外径が大きくなる円錐状である。この構成によれば、上側筒部4211の外形は、軸方向に沿って傾斜し、円錐状になる。すなわち、上側筒部4211の径方向外側の空気流通空間は、軸方向上側から軸方向下側に向かって、徐々に狭くなる。したがって、上側筒部4211の径方向外側において、空気の急激な圧力上昇を抑制しつつ、上側筒部4211の軸方向下側において上側回路基板44の設置スペースを大きくすることが可能である。
【0053】
下側筒部5211は、第1下側傾斜部5211aを有する。第1下側傾斜部5211aは、下側筒部5211の外周部に配置される。第1下側傾斜部5211aは、軸方向上側に向かうにつれて外径が大きくなる円錐状である。この構成によれば、下側筒部5211の外形は、軸方向に沿って傾斜し、円錐状になる。すなわち、下側筒部5211の径方向外側の空気流通空間は、軸方向上側から軸方向下側に向かって、徐々に広くなる。したがって、下側筒部5211の径方向外側において、空気の圧力を徐々に低下させつつ、下側筒部5211の軸方向上側において下側回路基板54の設置スペースを大きくすることが可能である。
【0054】
上側蓋部4212は、第2上側傾斜部4212aを有する。第2上側傾斜部4212aは、上側蓋部4212の外周部に配置される。第2上側傾斜部4212aは、径方向外側に向かうにつれて軸方向下側に延びる円錐状である。この構成によれば、上側インペラカップ421よりも軸方向上側の空気を、上側筒部4211の径方向外側に導くにあたって、空気流通空間は、軸方向上側から軸方向下側に向かって、徐々に狭くなる。したがって、吸気口31から吸い込んだ空気の抵抗を抑制しつつ、上側インペラカップ421の軸方向下側に向かって空気を送り込むことができる。
【0055】
下側蓋部5212は、第2下側傾斜部5212aを有する。第2下側傾斜部5212aは、下側蓋部5212の外周部に配置される。第2下側傾斜部5212aは、径方向外側に向かうにつれて軸方向上側に延びる円錐状である。この構成によれば、下側筒部5211の径方向外側の空気を、下側インペラカップ521よりも軸方向下側に導くにあたって、空気流通空間は、軸方向上側から軸方向下側に向かって、徐々に広くなる。したがって、下側インペラカップ521の軸方向下側に向かう空気の乱れを抑制しつつ、排気口32から外部に空気を排出することができる。
【0056】
複数の上側羽根422の軸方向上部及び軸方向下部は、それぞれ軸方向上側或いは軸方向下側に向かうにつれて、互いに異なる方向に向かって湾曲する。詳細に言えば、複数の上側羽根422の軸方向上部は、軸方向上側に向かうにつれて径方向外端が軸方向上側に向かって湾曲する。そして、複数の上側羽根422の軸方向下部は、軸方向下側に向かうにつれて径方向外端が軸方向下側に向かって湾曲する。これらの構成によれば、径方向内側の流速を抑制し、送風流路3の下流側における空気抵抗を低減させることができる。したがって、空気の圧力-風量特性の向上を図ることが可能である。
【0057】
複数の下側羽根522の軸方向上部及び軸方向下部は、それぞれ軸方向上側或いは軸方向下側に向かうにつれて、互いに異なる方向に向かって湾曲する。詳細に言えば、複数の下側羽根522の軸方向上部は、軸方向上側に向かうにつれて径方向外端が軸方向上側に向かって湾曲する。そして、複数の下側羽根522の軸方向下部は、軸方向下側に向かうにつれて径方向外端が軸方向下側に向かって湾曲する。これらの構成によれば、径方向内側の流速を抑制し、送風流路3の下流側における空気抵抗を低減させることができる。したがって、空気の圧力-風量特性の向上を図ることが可能である。
【0058】
上側インペラ42は、吸気口31よりも軸方向下側に配置される。すなわち、上側インペラ42は、送風流路3の外部に突出しない。下側インペラ52は、排気口32よりも軸方向上側に配置される。すなわち、下側インペラ52は、送風流路3の外部に突出しない。つまり、上側インペラ42及び下側インペラ52は、送風流路3内に収容される。この構成によれば、空気の圧力-風量特性の向上を図ることが可能である。さらに、上側インペラ42及び下側インペラ52がハウジング2の外部に突出しないので、軸流ファン1の装置等への取り付けを容易に行うことが可能である。そして、上側インペラ42及び下側インペラ52を保護することができる。
【0059】
図4に示すように、上側回路基板44の外径D44は、上側インペラ42の上側筒部4211の軸方向下端外径D422よりも小さい。すなわち、上側回路基板44の外径は、上側インペラ42の外径よりも小さい。この構成によれば、上側回路基板44が上側インペラ42も径方向外側に突出することに起因する送風流路3内における空気の乱れを抑制することが可能になる。
【0060】
図4に示すように、下側回路基板54の外径D54は、下側インペラ52の下側筒部5211の軸方向上端外径D522よりも小さい。すなわち、下側回路基板54の外径は、下側インペラ52の外径よりも小さい。この構成によれば、下側回路基板54が下側インペラ52も径方向外側に突出することに起因する送風流路3内における空気の乱れを抑制することが可能になる。
【0061】
<3.その他>
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。また、上記実施形態とその変形例は適宜任意に組み合わせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、例えば軸流ファンにおいて利用可能である。
【符号の説明】
【0063】
1・・・軸流ファン、2・・・ハウジング、3・・・送風流路、4・・・上側ファン、5・・・下側ファン、31・・・吸気口、32・・・排気口、41・・・上側ハウジング、42・・・上側インペラ、43・・・上側モータ、44・・・上側回路基板、51・・・下側ハウジング、52・・・下側インペラ、53・・・下側モータ、54・・・下側回路基板、411・・・上側モータベース部、412・・・上側周壁、413・・・上側リブ、421・・・上側インペラカップ、422・・・上側羽根、431・・・上側シャフト、432・・・上側軸受、433・・・上側ステータ、434・・・上側ロータ、511・・・下側モータベース部、512・・・下側周壁、513・・・下側リブ、521・・・下側インペラカップ、522・・・下側羽根、531・・・下側シャフト、532・・・下側軸受、533・・・下側ステータ、534・・・下側ロータ、4111・・・基部、4112・・・軸受保持部、4211・・・上側筒部、4211a・・・第1上側傾斜部、4212・・・上側蓋部、4212a・・・第2上側傾斜部、4331・・・ステータコア、4332・・・インシュレータ、4333・・・コイル、4341・・・ロータヨーク、4342・・・マグネット、5111・・・基部、5112・・・軸受保持部、5211・・・下側筒部、5211a・・・第1下側傾斜部、5212・・・下側蓋部、5212a・・・第2下側傾斜部、5331・・・ステータコア、5332・・・インシュレータ、5333・・・コイル、5341・・・ロータヨーク、5342・・・マグネット、C・・・中心軸
図1
図2
図3
図4