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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-08-08
(45)【発行日】2022-08-17
(54)【発明の名称】座席支持用構造体
(51)【国際特許分類】
   A47C 1/16 20060101AFI20220809BHJP
   A47C 1/124 20060101ALN20220809BHJP
【FI】
A47C1/16
A47C1/124
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018122943
(22)【出願日】2018-06-28
(65)【公開番号】P2020000499
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】木村 晃之
【審査官】細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-008767(JP,A)
【文献】特開2001-008771(JP,A)
【文献】特開2003-135213(JP,A)
【文献】特開2004-350905(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0146180(US,A1)
【文献】実開昭60-14747(JP,U)
【文献】特開平5-111974(JP,A)
【文献】米国特許第6683394(US,B1)
【文献】国際公開第2009/148326(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 1/16
A47C 1/124
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に伸長する複数本の横架材が間隙を隔てて連結される、座席を支持するための支持レールと、
隣接する一方の横架材の端面と他方の横架材の端面との間隙に差し入りそれら横架材の端面の少なくとも一部に当接若しくは近接する差入部を有したカバー部材とを具備し
前記カバー部材が、前記差入部から横架材の伸長方向に沿って拡張し横架材の端面と交わる当該横架材の外周の少なくとも一部に当接若しくは近接する外装部を有している座席支持用構造体。
【請求項2】
所定方向に伸長する複数本の横架材が間隙を隔てて連結される、座席を支持するための支持レールと、
隣接する一方の横架材の端面と他方の横架材の端面との間隙に差し入りそれら横架材の端面の少なくとも一部に当接若しくは近接する差入部を有したカバー部材とを具備し、
前記横架材に、その他の部位よりも突出する突起が設けられ、その突起が横架材の端面にまで至っており、
前記カバー部材が、前記横架材の端部において、前記突起の端面に当接若しくは近接し同突起の外周に当接若しくは近接する座席支持用構造体。
【請求項3】
前記横架材の上方及び下方にそれぞれ前記突起が設けられ、その上方の側の突起に前記支持レールに支持される座席が係合し、下方の側の突起に前記支持レールを支持する支持体が係合するとともに、
前記カバー部材が上下に分割されており、その一方の部品が下方から前記横架材の端面と端面との間隙に差し入って当該横架材の下方の側の端面及び外周を被覆し、他方の部品が上方から横架材の端面と端面との間隙に差し入って当該横架材の上方の側の端面及び外周を被覆する請求項2記載の座席支持用構造体。
【請求項4】
所定方向に伸長する複数本の横架材が間隙を隔てて連結される、座席を支持するための支持レールと、
隣接する一方の横架材の端面と他方の横架材の端面との間隙に差し入りそれら横架材の端面の少なくとも一部に当接若しくは近接する差入部を有したカバー部材とを具備し、
前記カバー部材が、前記横架材の端部における、座席に着く人にとって前方にあたる側の端面及び外周を被覆する座席支持用構造体。
【請求項5】
前記外装部の座席に着く人にとって後方にあたる側の部分の幅寸が、同外装部の座席に着く人にとって前方にあたる側の部分の幅寸よりも大きい請求項1記載の座席支持用構造体。
【請求項6】
所定方向に伸長する複数本の横架材が間隙を隔てて連結される、座席を支持するための支持レールと、
隣接する一方の横架材の端面と他方の横架材の端面との間隙に差し入りそれら横架材の端面の少なくとも一部に当接若しくは近接する差入部を有したカバー部材とを具備し、
前記差入部の座席に着く人にとって前方にあたる側の部分の面積が、同差入部の座席に着く人にとって後方にあたる側の部分の面積よりも大きい座席支持用構造体。
【請求項7】
所定方向に伸長する複数本の横架材が間隙を隔てて連結される、座席を支持するための支持レールと、
隣接する一方の横架材の端面と他方の横架材の端面との間隙に差し入りそれら横架材の端面の少なくとも一部に当接若しくは近接する差入部を有したカバー部材とを具備し、
前記横架材の端部が中空であり、
隣接する一方の横架材の端部及び他方の横架材の端部の双方に挿入されてこれらに嵌合する嵌合部、並びに、両嵌合部の間にあって両横架材の端面と端面との間隙に差し入り当該端面の少なくとも一部に当接若しくは近接するスペーサを有したジョイント部材を具備し、
前記横架材の端面と端面との間隙に前記差入部及び前記スペーサが介在する座席支持用構造体。
【請求項8】
所定方向に伸長し端部が中空である複数本の横架材が間隙を隔てて連結される、座席を支持するための支持レールと、
隣接する一方の横架材の端部及び他方の横架材の端部の双方に挿入されてこれらに嵌合する嵌合部、並びに、両嵌合部の間にあって両横架材の端面と端面との間隙に差し入り当該端面の少なくとも一部に当接若しくは近接しかつその外周が当該端面と交わる横架材の外周の少なくとも一部と面一若しくは略面一となるかそれよりも外方に突出するスペーサを有したジョイント部材とを具備し、
前記横架材に、その他の部位よりも突出する突起が設けられ、その突起が横架材の端面にまで至っており、
前記ジョイント部材のスペーサが、前記横架材の端部において、前記突起の端面に当接若しくは近接しかつ同突起の外周と面一若しくは略面一となるかそれよりも外方に突出する座席支持用構造体。
【請求項9】
前記突起に、前記支持レールに支持される座席が係合し、または、前記支持レールを支持する支持体が係合する請求項2または8記載の座席支持用構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばスタジアム等に設けられる座席を支持するための構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
スタジアム等に多数基の座席を設置する構造の具体例として、下記特許文献に開示されているように、土台となる段床に支持体となる脚を固着し、その脚に幅方向に延伸する支持レール(または、ビーム)を横架して、この支持レールに沿って座席を配列する態様を挙げることができる。
【0003】
規模の大きなスタジアム等では、必然的に座席数が多くなり、それら座席を支持する支持レールも長尺なものとなる。長尺な支持レールは、所定方向に伸長する複数本の横架材を連結することで構成される。
【0004】
横架材は、アルミニウム合金等の金属材料を押出成形し適宜の長さに切断して作製することが通例である。故に、横架材の外周面と端面とが交わる端縁が鋭利になる。そして、支持レールは、座席の下方、着席した人の手や足が届き得る位置に所在する。従って、横架材と横架材との継目に表れる端縁に、人の手が触れたり衣服や鞄等が引っ掛かったりすることが懸念される。
【0005】
特に、横架材に外方に突出する突起が成形され、その突起が横架材の端面にまで至っている場合、問題が顕在化する。即ち、張り出す突起の外周面と端面とが交差する箇所に形成される端縁に、手や衣服等がより接触しやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-239604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、複数本の横架材を連結して座席を支持するための支持レールを構築するに際し、隣接する横架材と横架材との継目に表れる端縁を好適に被覆することを所期の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、所定方向に伸長する複数本の横架材が間隙を隔てて連結される、座席を支持するための支持レールと、隣接する一方の横架材の端面と他方の横架材の端面との間隙に差し入りそれら横架材の端面の少なくとも一部に当接若しくは近接する差入部を有したカバー部材と具備する座席支持用構造体を構成した。
【0009】
さらに、前記カバー部材は、前記差入部から横架材の伸長方向に沿って拡張し横架材の端面と交わる当該横架材の外周の少なくとも一部に当接若しくは近接する外装部を有していることが好ましい。
【0010】
並びに、本発明では、所定方向に伸長し端部が中空である複数本の横架材が間隙を隔てて連結される、座席を支持するための支持レールと、隣接する一方の横架材の端部及び他方の横架材の端部の双方に挿入されてこれらに嵌合する嵌合部、並びに、両嵌合部の間にあって両横架材の端面と端面との間隙に差し入り当該端面の少なくとも一部に当接若しくは近接しかつその外周が当該端面と交わる横架材の外周の少なくとも一部と面一若しくは略面一となるかそれよりも外方に突出するスペーサを有したジョイント部材とを具備する座席支持用構造体を構成した。
【0011】
前記横架材に、その他の部位よりも突出する突起が設けられ、その突起が横架材の端面にまで至っている場合には、前記カバー部材が、前記横架材の端部において、前記突起の端面に当接若しくは近接し同突起の外周に当接若しくは近接する、または、前記ジョイント部材のスペーサが、前記横架材の端部において、前記突起の端面に当接若しくは近接しかつ同突起の外周と面一若しくは略面一となるかそれよりも外方に突出することが好ましい。
【0012】
前記突起には、前記支持レールに支持される座席が係合し、または前記支持レールを支持する支持体が係合することができる。つまり、突起は、支持レールと座席との結合、または支持レールと支持体との結合に利用できる。
【0013】
前記横架材の上方及び下方にそれぞれ前記突起が設けられ、その上方の側の突起に前記座席が係合し、下方の側の突起に前記支持体が係合するとともに、前記カバー部材が上下に分割されており、その一方の部品が下方から前記横架材の端面と端面との間隙に差し入って当該横架材の下方の側の端面及び外周を被覆し、他方の部品が上方から横架材の端面と端面との間隙に差し入って当該横架材の上方の側の端面及び外周を被覆するものとすれば、座席または支持体に設けられた係合部とカバー部材との干渉を避けることができ、支持レールに対する座席または支持体の取付位置を任意に設定または柔軟に変更できるようになる。隣接する横架材と横架材との間隙に重なるように、即ち両横架材の端部の双方に跨るように座席の係合部が係合する場合には、カバー部材の上方の部品をオミットし、下方の部品のみをその間隙に装着すればよい。隣接する横架材と横架材との間隙に重なるように支持体の係合部が係合する場合には、カバー部材の下方の部品をオミットして上方の部品のみをその間隙に装着すればよい。加えて、カバー部材が上下に分割されていることで、当該カバー部材を支持レールに装着しまたは支持レールから脱離する作業がより容易となる。
【0014】
前記カバー部材が、前記横架材の端部における、座席に着く人にとって前方にあたる側の端面及び外周を被覆するならば、人の手の届きやすい箇所をカバー部材により被覆でき、人の手指が横架材の鋭利な端縁に触れることを効果的に抑止できる。
【0015】
前記カバー部材に関して、前記外装部の座席に着く人にとって後方にあたる側の部分の幅寸を、同外装部の座席に着く人にとって前方にあたる側の部分の幅寸よりも大きく設定することがある。
【0016】
また、前記差入部の座席に着く人にとって前方にあたる側の部分の面積が、同差入部の座席に着く人にとって後方にあたる側の部分の面積よりも大きいものであれば、支持レールに装着したカバー部材の前方側、即ち人の手の届きやすい側が外れにくくなる。
【0017】
前記横架材の端部が中空であり、隣接する一方の横架材の端部及び他方の横架材の端部の双方に挿入されてこれらに嵌合する嵌合部、並びに、両嵌合部の間にあって両横架材の端面と端面との間隙に差し入り当該端面の少なくとも一部に当接若しくは近接するスペーサを有したジョイント部材を具備し、前記横架材の端面と端面との間隙に前記差入部及び前記スペーサが介在する構造体とすれば、ジョイント部材を介して容易に複数本の横架材を連結でき、かつそのスペーサにより横架材と横架材との継目の部分にカバー部材が差し入る間隙を適切に確保できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数本の横架材を連結して座席を支持するための支持レールを構築するに際して、隣接する横架材と横架材との継目に表れる端縁を好適に被覆することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態の座席支持用構造体及び座席を示す斜視図。
図2】同実施形態の座席支持用構造体の支持レール及びカバー部材を示す斜視図。
図3】同実施形態の座席支持用構造体の支持レール及びカバー部材を示す分解斜視図。
図4】同実施形態の座席支持用構造体の支持レール及びジョイント部材を示す分解斜視図。
図5】同実施形態の座席支持用構造体及び座席を示す正面図。
図6】同実施形態の座席支持用構造体及び座席を示す側面図。
図7】同実施形態のカバー部材を示す側面図。
図8】同実施形態のカバー部材を示す底面図。
図9】同実施形態の支持レール、カバー部材及びジョイント部材を示す側断面図。
図10】同実施形態の支持レール、カバー部材及びジョイント部材を示す正断面図。
図11】同実施形態の支持レール及びカバー部材を示す平面図。
図12】本発明の変形例の座席支持用構造体の支持レール及びジョイント部材を示す斜視図。
図13】同変形例の支持レール及びジョイント部材を示す側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1図5及び図6に、本実施形態の座席支持用構造体及びこれを用いて配設される座席6を示す。本実施形態の座席支持用構造体は、土台(または、躯体)となる段床1に固定される支持体たる脚2と、この脚2に支持され所定方向即ち幅方向に延伸する支持レール3と、支持レール3を構成する横架材31の継目即ち隣接する横架材31と横架材31との間隙32に装着されてこれを被覆するカバー部材4とを具備する。そして、複数基の座席6が、支持レール3に沿って配列され、その各々が支持レール3により支持される。
【0021】
段床1は、従前は現場打ちでコンクリートを打設して構築されていたが、近時では、予め工場等で作製された複数個のプレキャストコンクリートブロック11を現場で結合することで構築されることも増えている。図5に示すように、複数個のコンクリートブロック11を接合して段床1を形成する場合、それらコンクリートブロック11間の目地12には、弾性変形して伸縮可能なシール材や接着剤等が敷設される。
【0022】
脚2は、段床1の直立した前向面13または水平な上向面14にコンクリートプラグやアンカー等を使用して固着する基部21と、支持レール3に係合してこれを保持する係合部23と、基部21から延出し係合部23に接続して両者を剛結する接続部22とを備える。図示例では、脚2の基部21を段床1の前向面13に固着し、脚2を段床1の上向面14から浮上させているが、これは清掃作業の容易性を考慮してのことである。脚2は複数存在し、それらが支持レール3を複数箇所で支持している。換言すれば、支持レール3が複数の脚2に跨って横架される。
【0023】
座席6は、着席する人の臀部が載せ置される座61と、同人の腰部ないし背中が凭れ掛かる背凭れ62と、座61及び背凭れ62の左右両側にあって座61と背凭れ62とを連結しつつこれらを支える支桿63とを備える。座61は、背凭れ62に対して相対的に回動可能となっており、図1及び図5に示すように座61を跳ね上げて通路を確保する状態と、図6に示すように座61を前方に倒して水平姿勢とし人が着席できる状態とを、選択的にとることができる。支桿63の下端部には、支持レール3に係合してこれを保持する係合部64が設けられている。
【0024】
支持レール3は、幅方向に伸長する複数本の横架材31が連結されてなるものである。支持レール3の構成要素となる各横架材31は、例えばアルミニウム合金等の金属材料を押出成形した後、適宜の長さに切断することで作製され、等断面形状をなしている。図1ないし図4に示すように、横架材31は、その下縁部及び上縁部に、他の部位と比較して外方に突出した突起である凸条311、312を有する。座席6に着く人から見て前方にあたる側にある凸条311は、支持レール3及び横架材31の前向面よりも前方に迫り出している。並びに、座席6に着く人から見て後方にあたる側にある凸条312は、支持レール3及び横架材31の後向面よりも後方に迫り出している。凸条311、312は、横架材31それ自体とともに幅方向に伸長し、横架材31の両端面313にまで到達している。
【0025】
脚2の係合部23は、支持レール3(を構成する横架材31)の下半部に、下方から係合する。より具体的には、支持レール3の下方の凸条311、312を前後両側から包囲するようにくわえ込みながら、支持レール3の外周面である下面、下半部の前向面及び後向面、並びに凸条311、312の上向面に当接する。これにより、支持レール3が脚2に対してがたついたりぐらついたりすることを抑止している。なお、係合部23が複数個の部材に分割されており、それら部材をボルト及びナット等を使用して相互に締結することで当該係合部23が構成されることがある。
【0026】
座席6の支桿63の係合部64は、支持レール3(を構成する横架材31)の上半部に、上方から係合する。より具体的には、支持レール3の上方の凸条311、312を前後両側から包囲するようにくわえ込みながら、支持レール3の外周面である上面、上半部の前向面及び後向面、並びに凸条の下向面に当接する。これにより、座席6の支桿63が支持レール3に対してがたついたりぐらついたりすることを抑止している。なお、係合部64が複数個の部材に分割されており、それら部材をボルト及びナット等を使用して相互に締結することで当該係合部64が構成されることがある。
【0027】
支持レール3を構成する複数本の横架材31を連結するにあたっては、ジョイント部材5を使用する。図4図9及び図10に示すように、各横架材31は、少なくともその左右両端部が中空である。そして、ジョイント部材5は、隣接する一方の横架材31の中空の端部及び他方の横架材31の中空の端部の各々に挿入されてこれらに嵌合する左右一対の嵌合部51と、両嵌合部51の間にあって両横架材31の端面313と端面313との間隙32に差し入るスペーサ52とを備えており、隣接する両横架材31を相互に連結することができる。ジョイント部材5は、例えばポリアミド等の樹脂材料を用いた硬質な一体成形品である。
【0028】
スペーサ52は、嵌合部51の外周面よりも外方に突出、即ち前方、上方、後方及び下方に突出し、かつ嵌合部51の外周に沿って一周連続した鍔状の薄片であり、複数本の横架材31を間隙32を隔てて連結するために利用できる。但し、スペーサ52を、所々切断された、一周連続していない間欠的な形状に成形しても構わない。差入部42は、嵌合部51に対して直交若しくは略直交し、左右の嵌合部51の中央若しくは略中央に位置している。スペーサ52は、後述するカバー部材4の差入部42と比較して固い。換言すれば、スペーサ52は差入部42と比較して弾性率がより大きく、同等の大きさの応力が作用した場合にスペーサ52よりも厚みが伸縮しにくい。
【0029】
図10に示すように、本実施形態では、スペーサ52の厚み幅D2を、隣接する二本の横架材31の間隙32の幅、即ち一方の横架材31の端面313と他方の横架材31の端面313との離間距離よりも小さくとっている。つまるところ、隣接する二本の横架材31を連結する際に、それら横架材31の間隙32の幅を、スペーサ52の厚みD2よりも多少拡げておくようにしている。よって、スペーサ52は、連結した二本の横架材31の一方または両方の端面313から少しく離間した状態にある。横架材31の間隙32の幅は、3mmないし3.5mmの範囲内の値に設定することが好ましい。
【0030】
既に述べた通り、支持レール3を構成する横架材31は押出成形品であり、横架材31の外周面と端面313とが交わる(特に、直交若しくは略直交する)端縁が鋭利である。とりわけ、本実施形態では、横架材31に、脚2の係合部23や座席6の支桿63の係合部64が係合するための凸条311、312を外方即ち前方及び後方に突出させており、凸条311、312の外周面と横架材31の端面313とが交わる端縁が前方及び後方に張り出すことから、座席6に着席する人の手や衣服、鞄等がその端縁に触れやすくなる。
【0031】
そこで、本実施形態では、隣接する二本の横架材31の端面313同士が間隙32を隔てて対向する支持レール3の継目に、鋭利な端縁、特に凸条311、312の端縁を被覆するためのカバー部材4を装着することとしている。図1ないし図3図7及び図8に示すように、カバー部材4は、互いに向き合う両横架材31の端面313と端面313との間隙32に差し入る差入部42と、この差入部42から横架材31の伸長方向に沿って拡張する外装部43とを備える。カバー部材4は、例えばポリプロピレン等の樹脂材料を用いた一体成形品であり、人の手の力である程度曲げられるような柔軟性を有している。
【0032】
本実施形態にあって、カバー部材4は、上方の部品41と下方の部品41とに二分されている。下方の部品41は、下方から両横架材31の端面313と端面313との間隙32に差し入り、それら横架材31の端部における下半部の端面313及び外周面を被覆する。並びに、上方の部品41は、上方から両横架材31の端面313と端面313との間隙32に差し入り、それら横架材31の端部における上半部の端面313及び外周面を被覆する。尤も、上方の部品41と下方の部品41とは共通である。上方の部品41の形状と下方の部品41の形状とは同一であり、しかもそれらが水平面に関して対称となっている。故に、上方の部品41をひっくり返して下方の部品41として使用することも、下方の部品41をひっくり返して上方の部品41として使用することも可能である。
【0033】
カバー部材4を構成する部品41の形状について補記する。図2図3図7ないし図9に示すように、外装部43は、側面視または側断面視における横架材31の輪郭の形状、即ち横架材31の前向面から前方の凸条311、横架材31の上面、後方の凸条312そして横架材31の後向面に至る外周に合わせて、当該横架材31の上半部または下半部を取り巻くような形状を有する。同時に、この外装部43は、差入部42から幅方向に沿って左右両側方に拡張した平板状をなしている。
【0034】
図2図9及び図10に示すように、カバー部材4(の各部品41)を隣接する横架材31の端部の継目32に装着したとき、その外装部43の前壁431が両横架材31の端部における前向面に当接若しくは近接し、頂壁433が両横架材31の端部における上面または下面に当接若しくは近接し、後壁435が両横架材31の端部における後向面に当接若しくは近接する。さらに、外装部43における、前方に膨出するように湾曲しながら前壁431と頂壁433とを繋ぐ膨出壁432が、両横架材31の端部における前方の凸条311に沿うようにしてこれに当接若しくは近接する。また、外装部43における、後方に膨出するように湾曲しながら頂壁433と後壁435とを繋ぐ膨出壁434が、両横架材31の端部における後方の凸条312に沿うようにしてこれに当接若しくは近接する。結果として、カバー部材4の外装部43が、隣接する二本の横架材31の各々の端部及び両者の間隙32を外方より遮蔽、被覆する。
【0035】
外装部43は、座席6に着く人にとって後方にあたる側の部分434、435の幅寸W2を、同外装部43の座席6に着く人にとって前方にあたる側の部分431、432の幅寸W1よりも大きくとっている。具体的には、後壁435、後方の膨出壁434及びこれに連なる頂壁433の後端部の幅寸W2が、前壁431、前方の膨出壁432及びこれに連なる頂壁433の前端部の幅寸W1よりも少しく拡大している。頂壁433は、後端部から前端部に向かうにつれて、その幅寸が徐々に縮小する。このように外装部43の幅寸W1、W2を設定する理由は、第一に、カバー部材4の各部品41の前後を明確にするためである。第二に、図11に示すように、支持レール3を完全に一直線状とするのではなく、座席6を設置するスタジアム等の形状に合わせて緩やかに湾曲させる、つまり平面視において隣接する二本の横架材31の一方を他方に対して一度ないし数度程度の角度だけ前方に傾けた上で両者を連結する場合において、それら横架材31の端面313と端面313との間隙32を外装部43により前後両方から適切に遮蔽するためである。
【0036】
図3図7ないし図9に示すように、差入部42は、外装部43の内周から内方に突出、即ち前壁431及び前方の膨出壁432から後方に、頂壁433から下方(上方の部品41)または上方(下方の部品41)に、かつ後壁435及び後方の膨出壁434から前方に突出した薄片である。差入部42は、外装部43に対して直交若しくは略直交し、外装部43の幅寸W1、W2の中央若しくは略中央に位置している。差入部42は、前述したジョイント部材5の鍔状のスペーサ52と比較して柔らかい。換言すれば、差入部42はスペーサ52と比較して弾性率がより小さく、同等の大きさの応力が作用した場合にスペーサ52よりも厚みが大きく伸縮する。
【0037】
図8及び図10に示すように、差入部42の厚み幅D1は、隣接する二本の横架材31の間隙32の幅、即ち一方の横架材31の端面313と他方の横架材31の端面313との離間距離と同等若しくは略同等(間隙32の幅よりも僅かに大きいか僅かに小さい)である。図2図9及び図10に示すように、カバー部材4(の各部品41)を隣接する横架材31の端部の継目32に装着したとき、この差入部42が横架材31の端面313と端面313との間隙32に差し入り、それら横架材31の端面313に当接若しくは近接して、端面313の殆ど全てを被覆する。通常は、差入部42が、両横架材31の端面313と端面313との間隙32に緊密に嵌合して、両横架材31の端面313に密接する。
【0038】
従って、カバー部材4の外装部43と差入部42とにより、横架材31の端部における外周面と端面313とが交わる鋭利な端縁が隠蔽される。特に、凸条311、312の外周面と端面313とが交わる端縁が隠蔽されて、この端縁に人の手や衣服、鞄等が触れることが防がれる。
【0039】
図9及び図10に示しているように、ジョイント材を用いて二本の横架材31の端部同士を連結し、かつそれら横架材31の間隙32にカバー部材4を装着したとき、ジョイント部材5のスペーサ52とカバー部材4の差入部42とが、横架材31の間隙32内で内外方向に沿って対向する。
【0040】
なお、図7及び図9に示すように、側面視または側断面視において、差入部42の座席6に着く人にとって前方にあたる側の部分421の面積が、同差入部42の座席6に着く人にとって後方にあたる側の部分422の面積よりも大きくなっている。具体的には、差入部42における、外装部43の後方の膨出壁434に囲われた部分422を一部切り欠くことで、差入部42の後方側の部分422の面積を、外装部43の前方の膨出壁432に囲われた部分421の面積よりも縮小している。
【0041】
これにより、カバー部材4を構成する各部品41について、その後方側の部位434、435が前方側の部位431、432よりも弾性変形しやすくなり、例えば、後壁435及び後方の膨出壁434を後上方(上方の部品41)または後下方(下方の部品41)に曲げるような操作が容易となる。加えて、横架材31の間隙32に差し入る差入部42の後方側の部分422と横架材31の端面313との摩擦がより小さく、前方側の部分421と横架材31の端面313との摩擦がより大きくなる。その帰結として、支持レール3の継目32に装着したカバー部材4の前方側、即ち座席6に着席した人の手の届きやすい側がより外れにくくなり、一方でカバー部材4の後方側、即ち着席した人の手の届きにくい側がより外れやすくなる。
【0042】
カバー部材4の各部品41を支持レール3の継目32に装着しようとする際には、先に差入部42の前方側を横架材31の間隙32に前方から挿入若しくは圧入し、外装部43の前壁431及び前方の膨出壁432を横架材31の端部の前向面及び前方の凸条312に当接若しくは近接させる。次に、差入部42の上方側(上方の部品41)または下方側(上方の部品41)を横架材31の間隙32に上方または下方から挿入若しくは圧入し、外装部43の頂壁433を横架材31の端部の上面または下面に当接若しくは近接させる。しかる後、差入部42の後方側を横架材31の間隙32に後方から挿入若しくは圧入して、外装部43の後壁435及び後方の膨出壁434を横架材31の端部の後向面及び後方の凸条312に当接若しくは近接させる。
【0043】
翻って、装着しているカバー部材4の各部品41を支持レール3の継目32から脱離させるためには、まず、外装部43の後壁435及び後方側の膨出壁434を横架材31の端部から後方に引き離すようにし、差入部42の後方側を横架材31の間隙32から抜出する。次に、外装部43の頂壁433及びを横架材31の端部から上方(上方の部品41)または下方(下方の部品41)に引き離すようにし、差入部42の上方側または下方側を横架材31の間隙32から抜出する。最後に、外装部43の前壁431及び前方側の膨出壁432を横架材31の端部から前方に引き離すようにして、差入部42の前方側を横架材31の間隙32から抜出する。
【0044】
金属製の横架材31は、温度変化に伴いその長さが伸縮する。また、地震が発生した場合には、段床1を構成するコンクリートブロック11及びこれに固定された脚2が揺れ動き、脚2に支持された横架材31が座席6とともに揺さ振られる。支持レール3を構築するにあたり、隣接する横架材31の端面313と端面313と密接させず間隙32を隔てて連結しているのは、横架材31が隣の横架材31と衝突せずに変位することのできる空間を予め確保し、伸縮や地震等によって横架材31に過大な応力集中が起こることを回避または抑制するためである。ジョイント部材5のスペーサ52の厚みD2を横架材31の間隙32の幅及びカバー部材4の差入部42の厚みD1よりも薄くしていること、並びに、カバー部材4の差入部42を比較的柔らかくしていることも、横架材31に過大な応力が作用して横架材31が破損することを防止するという目的に寄与する。
【0045】
図5に示すように、隣り合う二つの脚2が、互いに別個のコンクリートブロック11に固定されることがある。このとき、これら二つの脚2が同じ一本の横架材31に結合されていると、地震発生時に各コンクリートブロック11が別々の方向に運動し、それぞれの脚2もまた互いに別方向に運動して、それら脚2が支えている横架材31の破損を惹起するおそれがある。
【0046】
そこで、隣り合う二つの脚2が互いに別個のコンクリートブロック11に固定されるときに、その一方の脚2が係合する横架材31と、他方の脚2が係合する横架材31とが切り離されているように、脚2及び横架材31を配置することとする。本実施形態では、一方の脚2が係合する横架材31と、他方の脚2が係合する横架材31との間に、それら横架材31よりも短尺な中間の横架材31を介在させている。この中間の横架材31は、一方の脚2が係合する横架材31からも、他方の脚2が係合する横架材31からも切り離されて別体をなしている。言うまでもなく、一方の脚2が係合する横架材31と、他方の脚2が係合する横架材31とは別体である。中間の横架材31には、コンクリートブロック11に固定される脚2が係合しない、即ち脚2によって直接には支持されない。二個のコンクリートブロック11の境である目地12は、中間の横架材31に重なる位置に所在する。
【0047】
また、図5に示しているように、座席6の支桿63に設けた係合部64が、隣接する二本の横架材31の双方の端部に跨るように係合する、換言すれば支持レール3の継目32に覆い被さるように係合することがある。この場合において、係合部64は各横架材31の凸条311、312を含む外周に緊密に嵌合して強固に結着しているため、両横架材31の端面313間に間隙32を設けているといえども、それら横架材31は(部材として切り離され別体をなしているにもかかわらず)係合部64によって一体化した状態となる。つまり、隣接する二本の横架材31の一方が他方に対して相対的に変位することが妨げられる。脚2に設けている係合部23が、隣接する二本の横架材31の双方の端部に跨るように係合する場合も、同様である。
【0048】
そして、座席6の係合部64または脚2の係合部23が、中間の横架材31の左端部とその左隣の横架材31の右端部とに跨るように係合し、かつ同じ中間の横架材31の右端部とその右隣の横架材31の左端部とに跨るように係合すると、中間の横架材31を含む三本の横架材31が一体化してしまい、別々のコンクリートブロック11に固定されている二つの脚2が一本の横架材31に結合されるのと同じ状況に陥ることとなる。さすれば、横架材31自体の伸長や地震の発生等により、何れかの横架材31に過大な応力が集中しかねない。
【0049】
この問題を回避するべく、本実施形態では、一本の横架材31(特に、中間の横架材31)の一方側の端部とこれに隣接する別の横架材31の端部との双方に跨るように何れかの座席6または脚2の係合部64、23が係合する場合、同横架材31(中間の横架材31)の他方側の端部とこれに隣接する別の横架材31の端部との双方に跨るように何れかの座席6または脚2の係合部64、23が係合しないように、横架材31の長さを設定している。具体的には、中間の横架材31の長さを、一基の座席6の左右両側に設けられる一対の係合部64の離間距離即ち両係合部64の内法と同程度にまたはそれよりも短くすることで、座席6の両側の係合部64が一本の中間の横架材31の左右両側にある継目32に同時に被さって係合する可能性を縮小している。
【0050】
座席6の数は任意に増減させることができ、その配置レイアウトも支持レール3の延伸方向に沿って任意に変更することができる。因みに、支持レール3に係合する座席6の係合部64の下縁は、支持レール3の継目32に装着されるカバー部材4の下方の部品41の(前壁431及び後壁435の)上縁よりも上方に位置している。図5に示しているように、何れかの座席6の係合部64が支持レール3の継目32に被さって係合する場合、その継目32にはカバー部材4の上方の部品41を装着せず、下方の部品41のみを装着する。
【0051】
加えて、支持レール3に係合する脚2の係合部23の上縁は、支持レール3の継目32に装着されるカバー部材4の上方の部品41の(前壁431及び後壁435の)下縁よりも上方に位置している。何れかの脚2の係合部23が支持レール3の継目32に被さって係合する場合、その継目32にはカバー部材4の下方の部品41を装着せず、上方の部品41のみを装着する。
【0052】
座席6の係合部64の下縁は脚2の係合部23の上縁よりも上方にあり、支持レール3の一つの継目32に座席6の係合部64及び支持レール3の係合部23が同時に被さって係合することも可能である。この場合には、その継目32にカバー部材4の両部品41を装着しない。
【0053】
本実施形態では、所定方向に伸長する複数本の横架材31が間隙32を隔てて連結される、座席6を支持するための支持レール3と、隣接する一方の横架材31の端面313と他方の横架材31の端面313との間隙32に差し入りそれら横架材31の端面313の少なくとも一部に当接若しくは近接する差入部42、並びに、この差入部42から横架材31の伸長方向に沿って拡張し横架材31の端面313と交わる当該横架材31の外周の少なくとも一部に当接若しくは近接する外装部43を有したカバー部材4とを具備する座席支持用構造体を構成した。本実施形態によれば、複数本の横架材31を連結して座席6を支持するための支持レール3を構築するに際し、隣接する横架材31と横架材31との継目32に表れる端縁を好適に被覆することができる。
【0054】
前記横架材31には、その他の部位よりも突出する突起311、312が設けられ、その突起311、312が横架材31の端面313にまで至っている。前記カバー部材4が、前記横架材31の端部において、前記突起311、312の端面313に当接若しくは近接しかつ同突起311、312の外周に当接若しくは近接することで、突起311、312の外周と端面313とが交わる鋭利な端縁を被覆する。
【0055】
前記突起311、312には、前記支持レール3に支持される座席6が係合し、また前記支持レール3を支持する支持体(脚)2が係合することができる。つまり、突起311、312は、支持レール3と座席6との結合、または支持レール3と支持体2との結合に利用できる。
【0056】
前記横架材31の上方及び下方にそれぞれ前記突起311、312が設けられ、その上方の側の突起311、312に前記座席6が係合し、下方の側の突起311、312に前記支持体2が係合するとともに、前記カバー部材4が上下に分割されており、その一方の部品41が下方から前記横架材31の端面313と端面313との間隙32に差し入って当該横架材31の下方の側の端面313及び外周を被覆し、他方の部品41が上方から横架材31の端面313と端面313との間隙32に差し入って当該横架材31の上方の側の端面313及び外周を被覆する。これにより、座席6または支持体2に設けられた係合部64、23とカバー部材4との干渉を避けることができ、支持レール3に対する座席6または支持体2の取付位置を任意に設定または柔軟に変更できるようになる。隣接する横架材31と横架材31との間隙32に重なるように、即ち両横架材31の端部の双方に跨るように座席6の係合部64が係合する場合には、カバー部材4の上方の部品41をオミットし、下方の部品41のみをその間隙32に装着すればよい。隣接する横架材31と横架材31との間隙32に重なるように支持体2の係合部23が係合する場合には、カバー部材4の下方の部品41をオミットして上方の部品41のみをその間隙32に装着すればよい。加えて、カバー部材4が上下に分割されていることで、当該カバー部材4を支持レール3に装着しまたは支持レール3から脱離する作業がより容易となる。
【0057】
前記カバー部材4が、前記横架材31の端部における、座席6に着く人にとって前方にあたる側の端面313及び外周を被覆するので、人の手の届きやすい箇所をカバー部材4により被覆でき、人の手指が横架材31の鋭利な端縁に触れることを効果的に抑止できる。
【0058】
前記カバー部材4に関して、前記外装部43の座席6に着く人にとって後方にあたる側の部分434、435の幅寸W2を、同外装部43の座席6に着く人にとって前方にあたる側の部分431、432の幅寸W1よりも大きく設定していることは、図11に示すように、支持レール3を座席6を設置するスタジアム等の形状に合わせて緩やかに湾曲させる場合において、横架材31の端面313と端面313との間隙32を外装部43により前後両方から適切に遮蔽するために有効である。
【0059】
また、前記差入部42の座席6に着く人にとって前方にあたる側の部分421の面積が、同差入部42の座席6に着く人にとって後方にあたる側の部分422の面積よりも大きいことにより、支持レール3に装着したカバー部材4の前方側、即ち人の手の届きやすい側が外れにくくなる。
【0060】
前記横架材31の端部が中空であり、隣接する一方の横架材31の端部及び他方の横架材31の端部の双方に挿入されてこれらに嵌合する嵌合部51、並びに、両嵌合部51の間にあって両横架材31の端面313と端面313との間隙32に差し入り当該端面313の少なくとも一部に当接若しくは近接するスペーサ52を有したジョイント部材5を具備し、前記横架材31の端面313と端面313との間隙32に前記差入部42及び前記スペーサ52が介在する構造体としているため、ジョイント部材5を介して容易に複数本の横架材31を連結でき、かつそのスペーサ52により横架材31と横架材31との継目の部分にカバー部材4が差し入る間隙32を適切に確保できる。
【0061】
しかして、本実施形態では、所定方向に伸長し端部が中空である複数本の横架材31が間隙32を隔てて連結される、座席6を支持するための支持レール3と、隣接する一方の横架材31の端部及び他方の横架材31の端部の双方に挿入されてこれらに嵌合する嵌合部51、並びに、両嵌合部51の間にあって両横架材31の端面313と端面313との間隙32に差し入りながらその厚みが当該間隙32の幅よりも薄く何れか一方または両方の横架材31の端面313から離間しているスペーサ52を有したジョイント部材5とを具備する座席支持用構造体を構成した。本実施形態によれば、複数本の横架材31を連結して座席6を支持するための支持レール3を構築したものにおいて、横架材31の変位により横架材31に過大な応力が作用することを回避または抑制できる。
【0062】
加えて、本実施形態では、所定方向に伸長する複数本の横架材31が間隙32を隔てて連結される、座席6を支持するための支持レール3と、前記支持レール3に支持される座席6または支持レール3を支持する支持体2に設けられ、当該支持レール3に係合する係合部64、23とを具備し、一本の横架材31の一方側の端部とこれに隣接する別の横架材31の端部との双方に跨るように何れかの座席6または支持体2の係合部64、23が係合する場合、同横架材31の他方側の端部とこれに隣接する別の横架材31の端部との双方に跨るように何れかの座席6または支持体2の係合部64、23が係合しないように、横架材31の長さが設定されている座席支持用構造体を構成した。本実施形態によれば、複数本の横架材31を連結して座席6を支持するための支持レール3を構築したものにおいて、横架材31の変位により横架材31に過大な応力が作用することを回避または抑制できる。
【0063】
前記横架材31の端面313と端面313との間隙32は、例えば3mmないし3.5mmの間の大きさに設定される。
【0064】
その上で、前記横架材31の端面313と端面313との間隙32に差し入りそれら横架材31の端面313の少なくとも一部に当接若しくは近接する差入部42、並びに、この差入部42から横架材31の伸長方向に沿って拡張し横架材31の端面313と交わる当該横架材31の外周の少なくとも一部に当接若しくは近接する外装部43を有したカバー部材4を具備することで、隣接する横架材31と横架材31との継目32に表れる端縁をカバー部材4により好適に被覆することができる。
【0065】
前記カバー部材4の差入部42は、前記ジョイント部材5のスペーサ52よりも柔らかい。これにより、カバー部材4の差入部42を横架材31の端面313と端面313との間隙32に緊密に嵌合させ両横架材31の端面313に密接させたとしても、横架材31に過大な応力が作用し難い。
【0066】
前記支持レール3を支持する支持体2のうちの隣り合う二つの支持体2が互いに別個のコンクリートブロック11に固定される場合、それら二つの支持体2の一方が係合する横架材31と、他方が係合する横架材31とは切り離し、両横架材31を別体とする。
【0067】
前記二つの支持体2の一方が係合する横架材31と、他方が係合する横架材31との間には、これら両横架材31から切り離され別体をなしている中間の横架材31を介在させる。
【0068】
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。例えば、座席6に背凭れ62は必須ではなく、座61のみの座席6を支持レール3に支持させることもできる。座61の跳ね上げ機構も必須ではない。
【0069】
支持レール3を構成する横架材31に、その上面よりも上方に突出する突起(凸条)311、312や、その下面よりも下方に突出する突起(凸条)311、312を形成し、その突起311、312に座席6の係合部64または脚2の係合部23を係合させるようにしてもよい。この場合、ちょうど図9を左方または右方に九十度回転させたような様相を呈する。この場合にも、当然ながら、カバー部材4の差入部42が横架材31の端面313と端面313との間隙32に差し入り、それら端面313の少なくとも一部に当接若しくは近接してこれを被覆する。そして、この差入部42から横架材31の伸長方向に沿って拡張した外装部43が、横架材31の端面313と交わる外周の少なくとも一部に当接若しくは近接してこれを被覆する。
【0070】
上記実施形態では、カバー部材4を上下に二分割していたが、カバー部材4を前後に二分割する態様もとり得る。
【0071】
横架材31の端縁を被覆するためのカバー部材4は、必須の構成要素ではない。図12及び図13に示すように、ジョイント部材5のスペーサ52を、その外周が横架材31の外周の少なくとも一部と面一若しくは略面一となる位置まで外方に張り出させることで、横架材31の外周面と端面313とが交わる端縁を被覆または遮蔽することもできる。この場合のスペーサ52の厚み幅は、隣接する二本の横架材31の間隙32の幅、即ち一方の横架材31の端面313と他方の横架材31の端面313との離間距離と同等若しくは略同等(間隙32の幅よりも僅かに大きいか僅かに小さい)とすることが好ましい。このスペーサ52は、横架材31の端面313の少なくとも一部に当接若しくは近接する。特に、このスペーサ52は、横架材31の端部において、突起311、312の端面313に当接若しくは近接し、かつ同突起311、312の外周と面一若しくは略面一となる。
【0072】
さらに、ジョイント部材5のスペーサ52を、その外周が横架材31の外周の少なくとも一部よりも外方に突出する位置まで外方に張り出させることで、横架材31の外周面と端面313とが交わる端縁を被覆または遮蔽することも考えられる。スペーサ52は、横架材31の端部において、突起311、312の端面313に当接若しくは近接しながら、同突起311、312の外周よりも外方に突出することがある。
【0073】
上記実施形態におけるカバー部材4の外装部43は必須ではなく、このような外装部43を有していないカバー部材4、即ち隣接する一方の横架材3の端面313と他方の横架材3の端面313との間隙32に差し入りそれら横架材3の端面313の少なくとも一部に当接若しくは近接する差入部42のみを有するカバー部材4を構成することも可能である。この場合のカバー部材4の差入部42は、図12及び図13に示しているスペーサ52と同様に、横架材3の端部において、突起311、312を含む部分の端面313に当接若しくは近接する。そして、その差入部42は、横架材3の突起311、312を含む部分の外周と面一若しくは略面一となるか、それよりも外方に突出することが好ましい。
【0074】
その他、各部の具体的構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0075】
11…コンクリートブロック
2…支持体(脚)
23…係合部
3…支持レール
31…横架材
311、312…突起(凸条)
313…端面
32…間隙
4…カバー部材
41…部品
42…差入部
43…外装部
5…ジョイント部材
51…嵌合部
52…スペーサ
6…座席
64…係合部
D1…差入部の厚み
D2…スペーサの厚み
W1…外装部の前方側の部分の幅寸
【0076】
W2…外装部の後方側の部分の幅寸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13